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  • 特許-窓シールへのトリムの固着 図1
  • 特許-窓シールへのトリムの固着 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】窓シールへのトリムの固着
(51)【国際特許分類】
   B60J 1/02 20060101AFI20241127BHJP
   B60J 10/70 20160101ALI20241127BHJP
   F16B 21/06 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
B60J1/02 111D
B60J10/70
F16B21/06 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023073740
(22)【出願日】2023-04-27
(62)【分割の表示】P 2020517582の分割
【原出願日】2018-09-25
(65)【公開番号】P2023100774
(43)【公開日】2023-07-19
【審査請求日】2023-04-27
(31)【優先権主張番号】17193854.1
(32)【優先日】2017-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510191919
【氏名又は名称】エージーシー グラス ユーロップ
【氏名又は名称原語表記】AGC GLASS EUROPE
【住所又は居所原語表記】Avenue Jean Monnet 4, 1348 Louvain-la-Neuve, Belgique
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】カーノイ, グザヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】ベカエルト, フランク
(72)【発明者】
【氏名】ヒック, ロバート
(72)【発明者】
【氏名】グラディ, ジョエル
【審査官】池田 晃一
(56)【参考文献】
【文献】仏国特許出願公開第02577483(FR,A1)
【文献】独国実用新案第202014005240(DE,U1)
【文献】特表2014-529541(JP,A)
【文献】特開2016-199265(JP,A)
【文献】特開2002-021825(JP,A)
【文献】実開平05-063925(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 1/00 - 1/20
B60R 13/02 ; 13/04 ; 13/06
B60J 10/00 - 10/90
F16B 21/00 - 21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリム(1)を車両の窓(11)の周囲シール(10)に固着するための要素(100)であって、前記要素(100)が、前記トリムを受けるように設計された面で、少なくとも2つの半剛性クリップ(7)を支持するベース部(6)によって構成された少なくとも1つのクリップ型アセンブリを備え、前記クリップが、少なくとも2つのアームを備え、それらの間に前記トリムの突起要素(4)が挿入されるものにおいて、前記トリム(1)が前記車両の窓(11)の周囲シール(10)を隠すためのものであり、前記固着要素(100)が、前記窓に対して前記周囲シールを成形する間に前記周囲シールと一体化される、ベース部(6)と少なくとも2つの半剛性クリップ(7)とを備える単一構成要素として構成されること、及び前記少なくとも1つのクリップ型アセンブリの前記少なくとも2つの半剛性クリップ(7)の間に、前記トリムの突起要素(4)を前記少なくとも2つの半剛性クリップ(7)の方に案内するための案内フィンガとして、1つだけのアームを備える要素(G)が存在することを特徴とする要素(100)。
【請求項2】
前記ベース部(6)及び前記半剛性クリップ(7)が同一材料から構成される、請求項1に記載の固着要素。
【請求項3】
前記固着要素(100)が、封入によって前記窓の前記周囲シール(10)に固着されることを特徴とする、請求項1に記載の固着要素(100)。
【請求項4】
前記半剛性クリップ(7)の前記アームが、ポリカーボネート/アクリロニトリル/ブタジエンスチレン(PC-ABS)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の固着要素(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の車体に取り付けられた窓の周囲に配置されたシールへのトリムの固着に関する。
【背景技術】
【0002】
車体の開口部に取り付けられた固定窓は、多くの場合、その周囲に配置されたシールを有し、シールは気密を提供し、ガラス/金属の接触を防ぐ。開口部内の窓の接合もシールを介して行われる。
【0003】
製造業者はしばしば、これらの魅力のないシールを金属製トリム又は金属フィルムでコーティングされた合成材料から作られたトリムの後ろに隠す。これらのトリムは、誤って外れる危険のないように、十分に強力に固着する必要がある。また、例えば、作業時又はトリムの欠陥が生じた場合の交換中に、それらを外すこともできなければならない。そうすることにより、車両に設けられた窓/ペイント全体を交換する必要はない。
【0004】
これらのトリムを固着するための様々な方法が提案されてきた。これらの方法は、シールとトリムとの間に連結を伴うことが多い。大抵、これらの固着は、設置が簡単且つ迅速であるように、クリップ型手段を使用して達成される。これらの組み付け作業において、本質的に金属プロファイルを備えるトリムは、シール自体に組み込まれた構成要素に固着される。様々な要素の位置決めは、多くの場合、手動でしか実行できない1つ又は複数の作業を必要とするが、これは経済的な観点からは満足のいくものではない。これらの作業を簡素化するために、解決策は、トリムを構成するプロファイルを、周囲シールが窓に形成されるとき、周囲シール内に一体化された対応する要素にクリッピングすることを含む固着方法に頼る。特に、ベルギー国特許出願BE 2013/0441号明細書は、2つの別個の要素を含むトリム固着具を提案し、第1の要素はシールに直接成形されたベース部であり、第2の要素はトリムの突起を受け入れるように設計されたクリップを備える。一方、第2の要素は、2つの要素の分離に対抗する運動において2つの要素を互いに係合することにより、ベース部に組み付けられる。この解決策には、第2の要素に欠陥がある場合に交換できるという利点がある。しかしながら、この解決策は、固着要素が位置決めされたときにシールの領域の収縮キャビティの形成をもたらす。
【発明の概要】
【0005】
したがって、収縮キャビティ及び占有されたスペースのこの問題に応答して、本発明は、車両の窓(11)の周囲シール(10)にトリム(1)を固着するための要素(100)を提案し、この要素は、トリムを受けるように設計された面で、1つ又は複数の半剛性クリップ(7)を支持するベース部(6)によって構成された少なくとも1つのクリップ型アセンブリを備え、前記クリップは少なくとも2つのアームを備え、それらの間にトリムの突起要素(4)が挿入される。
具体的には、本発明は、以下の(1)~(4)の構成を有する。
(1)トリム(1)を車両の窓(11)の周囲シール(10)に固着するための要素(100)であって、前記要素(100)が、前記トリムを受けるように設計された面で、1つ又は複数の半剛性クリップ(7)を支持するベース部(6)によって構成された少なくとも1つのクリップ型アセンブリを備え、前記クリップが、少なくとも2つのアームを備え、それらの間に前記トリムの突起要素(4)が挿入されるものにおいて、前記固着要素(100)が、前記窓に対して前記周囲シールを成形する間に前記周囲シールと一体化される、ベース部(6)と1つ又は複数の半剛性クリップ(7)とを備える単一構成要素として構成されることを特徴とする要素(100)。
(2)前記ベース部(6)及び前記半剛性クリップ(7)が同一材料から構成される、(1)に記載の固着要素。
(3)前記固着要素(100)が、封入によって前記窓の前記周囲シール(10)に固着されることを特徴とする、(1)に記載の固着要素(100)。
(4)前記半剛性クリップ(7)の前記アームが、ポリカーボネート/アクリロニトリル/ブタジエンスチレン(PC-ABS)を含むことを特徴とする、(1)に記載の固着要素(100)。
【0006】
本発明によれば、固着要素(100)は、窓に対して周囲シールを成形する間に周囲シールと一体化される、ベース部(6)と1つ又は複数の半剛性クリップ(7)とを備える単一構成要素として形成される。
【0007】
本発明によれば、固着要素の1つ又は複数の半剛性クリップ(7)は、トリムがクリップされる固着要素の部分を構成する。トリムは、シールが形成された後に加えられる。
【0008】
この固着に伴う要素を備えるシールは、成形によって窓に直接形成される。その作業は「封入」と表現される。シールの、及びトリムの固着要素の窓への直接成形には、固着要素及びトリムの取り付け手順が単純になるという利点があるが、とりわけ、この固着要素によって占有されるスペースを低減し、同時に収縮キャビティの現象を緩和するという利点がある。
【0009】
本発明によれば、クリップのアームはトリムとの機械的な連結を提供する。1つ又は複数のクリップのアーム間に突起を挿入することによるトリムの位置決めにより作業は完了し、2つの要素の分離を可能にし得る動きが防止される。
【0010】
以下の文において、シールに組み込まれる固着要素の部分は「ベース部」と表現され、クリップのアームを備える部分は「クリップ」と表現される。本発明によるこれら2つの要素は、周囲シール上の窓に直接成形される単一構成要素を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明を、図を参照して詳細に記載する。
【0012】
図1】本発明によるクリッピングによる固着方法を断面で示す。
図2】窓を斜視図で示し、クリップ要素は封入シールに組み込まれている。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、クリッピングによる組付方法を断面で概略的に示す。この表現において、トリム1は、窓11の封入シール10を隠すように設計された外面2を有する。シールに向けられたその面に、トリムは突起4を備える。固着要素は、この例では、ABS-PCタイプのプラスチックから作られ、射出成形プロセスを用いて製造される。使用される材料は、クリッピング機能を可能にするのに十分な可撓性、及び同じく、プラスチック、好ましくは封入PVC又はTPEタイプのプラスチックとの接着性がなければならない。
【0014】
固着要素は、シールの成形時にシール内に保持されるベース部6を備える。固着要素はまた、半剛性式にトリム1の突起4を受け入れるように設計されたクリップ7を備える。クリップ7はベース部6に一体化され、したがって、ベース部6及びクリップ7を備える単一構成要素を構成する。
【0015】
図2は、この封入による組付方法の事例において、窓11の縁部をシール10内に固着するための方法の構成を示す。トリム(図示せず)は問題の組付作業後に位置決めされる。
【0016】
固着要素は、図2に示されるように、窓に対してシール10を成形する間にシール10内に保持される。クリップ7を備えるベース部6の上面だけがシール10の外側に現れ、残りの部分はシール内に保持される。クリップ7は、シール10の外側に置かれる。
【0017】
図2のシール10は、車両の車体との接触を防止するためにトリムの縁部が載るくさび形構成要素12と、トリムの長さの端部に横たわるエンドストッパ13とを有する。くさび形構成要素12及びストッパ13は、成形によってシールの本体と一緒に形成される。
【0018】
図1に示すように、ベース部6は、細長い形状の本体であって成形中にシール内への組み込みを可能にするような寸法の本体によって構成される。したがって、シールへの挿入は、封入用型において簡単且つ繰り返し可能に達成される。クリップ7は、シールに保持されないベース部6の面に置かれる。
【0019】
問題のトリムは、わずかに湾曲した形状であることが多く、ベース部6は、ベース部6に面するトリムの突起の部分と厳密に一直線上にシール10内に位置決めされない可能性がある。2つのクリップ7の存在は、特定の位置決めのずれを補うことが可能である。突起4は、クリップ7の2つのアームの間に存在するスペースを全体的に補完する形状を有し、有利なことに、必ずしも前記スペースを完全に満たさない。問題のスペースは、突起4の端部よりも好ましくはわずかに容量が大きい。トリムを定位置に保持するのに有害なこの隙間を防止するために、トリムの突起4をクリップの方に案内することを主として可能にする案内フィンガが提供される。この案内フィンガは、2つのクリップ7の間に配置されてもよい。このくさび形構成要素は、クリップ間のスペースの底部に対してわずかに前進し、その結果、突起の先端はこのくさび形構成要素の底部に載り、突起4のヒップ部分をクリップ7のアームに対して保持し、これらのクリップの相対的な弾性を利用する。
図1
図2