IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ピルツ ゲーエムベーハー アンド コー.カーゲーの特許一覧

<>
  • 特許-試験装置を有する電波探知システム 図1
  • 特許-試験装置を有する電波探知システム 図2
  • 特許-試験装置を有する電波探知システム 図3
  • 特許-試験装置を有する電波探知システム 図4
  • 特許-試験装置を有する電波探知システム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】試験装置を有する電波探知システム
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/02 20100101AFI20241127BHJP
【FI】
G01S5/02 Z
【請求項の数】 18
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023118064
(22)【出願日】2023-07-20
(65)【公開番号】P2024016821
(43)【公開日】2024-02-07
【審査請求日】2023-10-16
(31)【優先権主張番号】10 2022 118 737.3
(32)【優先日】2022-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501493037
【氏名又は名称】ピルツ ゲーエムベーハー アンド コー.カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ロイ
(72)【発明者】
【氏名】マルクス フリッツマン
(72)【発明者】
【氏名】オネディン イブロセヴィック
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン プルマン
【審査官】山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/159051(WO,A1)
【文献】特表2022-516082(JP,A)
【文献】特表2022-519913(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00-G01S 5/14
G01S 11/00-G01S 11/16
G01S 19/00-G01S 19/55
G05D 1/00-G05D 1/87
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波探知システム(10)であって、
第1の電波ユニット(12)と、
第2の電波ユニット(14)と、
照合電波ユニット(16)と、
当該電波探知システム(10)に結合できる試験装置(26)とを備え、
当該電波探知システム(10)は、前記第1の電波ユニット(12)と前記第2の電波ユニット(14)との間の第1の規定の特徴(20)を、電波探知を使用して判定するよう、かつ、前記第1の電波ユニット(12)と前記照合電波ユニット(16)と間の第2の規定の特徴(22、22’)を、電波探知を使用して判定するよう構成されており、
前記第2の規定の特徴(22、22’)は、前記試験装置(26)にとって既知のパターン(24)に従って、継続的に変動可能とされており、
前記試験装置(26)は、前記パターン(24)に従って変化する前記第2の規定の特徴(22、22’)を当該電波探知システム(10)が検知したときにのみ、前記第1の規定の特徴(20)の確認を生成するよう構成されている、電波探知システム。
【請求項2】
前記照合電波ユニット(16)は、位置(38)の変化により前記パターン(24)に従って前記第2の規定の特徴(22、22’)を変化させる照合物体(36)に配置されている、請求項1に記載の電波探知システム。
【請求項3】
前記試験装置(26)に結合可能なセンサをさらに備えており、前記センサは、前記照合物体(36)の前記位置(38)の変化を検知して、前記試験装置(26)にとって既知の前記パターン(24)を作成する、請求項2に記載の電波探知システム。
【請求項4】
前記照合物体(36)は、その位置を無作為に変化させる、請求項3に記載の電波探知システム。
【請求項5】
前記照合電波ユニット(16)は、前記第2の規定の特徴を表す信号を送信し、かつ変動させて、前記パターン(24)に従い前記第2の規定の特徴を変化させるよう構成されている、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の電波探知システム。
【請求項6】
前記照合電波ユニット(16)は、第1のアンテナユニット(30a)および前記第1のアンテナユニット(30a)から空間的に間隔を空けて配置された第2のアンテナユニット(30b)を備えており、前記照合電波ユニット(16)は、前記第1のアンテナユニット(30a)または前記第2のアンテナユニット(30b)で選択的に信号を送信して、前記パターン(24)に従い前記信号を修正する、請求項5に記載の電波探知システム。
【請求項7】
前記照合電波ユニット(16)は、規定の試験間隔においてのみ、前記第2の規定の特徴を変化させるよう構成されている、請求項1~請求項4 のいずれか1項に記載の電波探知システム。
【請求項8】
前記第1の規定の特徴および前記第2の規定の特徴は、信号伝搬時間、信号伝搬時間差、信号往復時間、信号入射角、信号強度、それらの組み合わせ、または、それらから導出される値とされている、請求項1に記載の電波探知システム。
【請求項9】
前記第1の電波ユニット(12)は、当該電波探知システム(10)の基礎をなす照合システム(34)内で固定位置を有する、当該電波探知システム(10)の固定局(32)である、請求項1に記載の電波探知システム。
【請求項10】
前記第2の電波ユニット(14)は、入来信号を取り上げ、かつ、好ましくは自動的に応答する、可動式の中継器である、請求項1に記載の電波探知システム。
【請求項11】
前記第1の規定の特徴(20)は、前記第1の電波ユニット(12)と前記第2の電波ユニット(14)との間で規定される位置または所在情報を表している、請求項1に記載の電波探知システム。
【請求項12】
前記第2の規定の特徴(22、22’)は、前記第1の電波ユニット(12)と前記照合電波ユニット(16)との間で規定される位置または所在情報を表している、請求項1に記載の電波探知システム。
【請求項13】
電波探知システム(10)用の、前記電波探知システム(10)が第1の電波ユニット(12)と、第2の電波ユニット(14)と、照合電波ユニット(16)と、当該電波探知システム(10)に結合できる試験装置(26)とを有する、方法(1000)であって、
前記第1の電波ユニット(12)と前記第2の電波ユニット(14)との間の第1の規定の特徴(20)を、電波探知を使用して判定するステップと、
前記第1の電波ユニット(12)と前記照合電波ユニット(16)と間の第2の規定の特徴(22、22’)を、電波探知を使用して判定するステップであって、前記第2の規定の特徴(22、22’)は、前記試験装置(26)にとって既知のパターン(24)に従って、継続的に変動可能とされているステップと、
前記パターン(24)に従って変化する前記第2の規定の特徴(22、22’)を前記電波探知システム(10)が検知した場合に、前記試験装置(26)により前記第1の規定の特徴(20)を確認するステップとを備える、方法。
【請求項14】
請求項1に記載の電波探知システム(10)を有する技術設備を保護するための安全システム(100)であって、
前記電波探知システム(10)による電波探知に基づき、安全構成を実行または調整するよう構成された安全コントローラ(44)を備え、
前記電波探知システム(10)の前記試験装置(26)が前記電波探知を確認したときにのみ、前記安全コントローラ(44)は、前記安全構成を実行または調整する、安全システム。
【請求項15】
前記試験装置(26)は、前記安全コントローラ(44)にイネーブル信号を出力および送信して、前記電波探知システム(10)による前記電波探知を確認するよう構成されている、請求項14に記載の安全システム。
【請求項16】
前記安全コントローラ(44)は、当該安全コントローラ(44)が前記イネーブル信号を受信していない場合に、前記技術設備を安全な状態に移行させるよう構成されている、請求項15に記載の安全システム。
【請求項17】
前記安全コントローラ(44)は、当該安全コントローラ(44)が前記イネーブル信号を受信していない場合に、前記技術設備をオフに切り換えるよう構成されている、請求項16に記載の安全システム。
【請求項18】
前記安全コントローラ(44)は、前記イネーブル信号をフェールセーフなやり方で評価するために、マルチチャネルの冗長性を備えて構成されている、請求項15~請求項17のいずれか1項に記載の安全システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電波探知システム、電波探知方法、および、このような電波探知システムを使用する技術設備を保護するための安全システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電波探知システム(電波航法とも呼ばれる)は、照合システムにおける無線で通信する電波ユニットの位置が、受信された電波または信号の特徴に基づいて判定される、電波に基づく位置特定システムである。
【0003】
先行技術より、さまざまな電波探知システムが公知である。最もよく知られた電波探知システムの中に、全地球的航法衛星システム(GPS、ガリレオなど)があり、全地球的航法衛星システムでは、公知の軌道を有する衛星により送信された時間情報を含む信号に基づき、電波受信機が地球座標システム(terrestrial coordinate system)における自身の位置を判定できる。
【0004】
さらには、建物内の電波ユニットの位置を判定するのに使用できる、さまざまな屋内の電波探知システムが公知である。最も一般的な追跡技術には、Bluetooth Low Energy、WLANおよび超広帯域技術(Ultra-Wideband technology)が含まれる。
【0005】
周知の電波探知システムは、例えば、産業環境において、自動で運転する機械の処理を制御するために使用される。例えば、電波探知システムは、自動運転の乗り物用に使用でき、それらがレーンの誘導なしに産業施設の中を移動することを可能にする。さらには、電波探知システムを機能的安全性の分野で使用することが公知である。この場合、電波探知システムを使用して、技術設備の周りの区域中のさまざまな行為者(人々および機械)の位置を判定し、かつ、その位置情報に基づき、適合的な安全システムに、可変の安全構成を提供する。このような仕方で、固定の硬直的な防護物を選択的に省くことができ、一般の作業空間において、人々と機械との間の、より柔軟な協働を可能にする。
【0006】
下記特許文献1および下記特許文献2はそれぞれ、電波探知システムに依拠する適合的な安全システムを示している。特許文献1が、動く機械の位置特定について記載しているのに対し、下記特許文献2は、中継器(電波ユニット)を備える人間の位置判定の例として示している。
【0007】
下記特許文献1および下記特許文献2の両方は、適合的な安全システム用の位置情報を使用するために、一般の電波探知システムの位置情報は、安全にとって重大な用途に使用するのに十分な信頼性がないと述べている。したがって、両方の開示は、電波探知システムの測定を別個に独立して試験することを提案している。
【0008】
下記特許文献1は、電波探知システムと独立して、電波探知システムにより判定された位置を検証するために、異なる原理に基づく追加のセンサを使用することを提案している。このような仕方で、2つの独立した特徴により、動く機械の位置を一意に識別でき、かつ、これらの値が異なる場合に、安全な状態をもたらして、必要な安全性を確保できる。しかし、異なる原理に基づく追加の位置測定システムには、かなりの費用が関係し、いくつかの用途について常に実行可能なわけではない。くわえて、この変形例には、個々の位置測定システムの測定結果に偏りがある場合に、2つのシステムのどちらが適切に機能していないのかが直ちに明らかにならず、そのため両方のシステムを確認しなければならず診断の手間が増えるという問題がある。
【0009】
下記特許文献2は、電波探知システムにより提供される位置に加えて、「双方向測距」(TWR)原理に係る安全距離測定装置を有する固定物体への、2つの安全距離を判定することと、固定中継器(anchor transponder)の提供された位置、安全距離および既知の位置に基づき保護半径を判定することとを提案している。したがって、これはここでは、このようにして得られたデータに基づき実際の測定を検証するために、実際の物体に加えて少なくとも2つの固定点の位置を判定するという着想である。下記特許文献1の着想と異なり、ここでは追加の位置特定システムを求めないが、記載の解決策は、例えば信号伝搬時間における系統的な遅延または環境条件の変化による、一般的な原因のエラーの影響を受けやすい。
【0010】
下記特許文献3は、物体を探知するための安全システムおよび方法を記載している。下記特許文献3によれば、互いに離れて配置されて空間中で一意の平面に広がる、3つの電波中継器が、位置特定することになる物体に設けられている。制御および評価ユニットが電波中継器の位置データを比較して、物体の検証された位置データを提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】独国特許出願公開第10 2019 132 024 A1号明細書
【文献】欧州特許出願公開第EP 3 835 806 A1号明細書
【文献】独国特許出願公開第10 2020 102 155 A1明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
これらの背景に照らして、本発明の目的は、改良された電波探知システムを提供することである。特に、一般的な原因のエラーに対してより良く保護された電波探知システムを提供することが目的である。最後に、このような電波探知システムに基づく、改良された適合的な安全システムを提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の局面に従って、これらの目的は、電波探知システムであって、第1の電波ユニットと、第2の電波ユニットと、照合電波ユニットと、電波探知システムに結合できる試験装置とを備え、電波探知システムは、第1の電波ユニットと第2の電波ユニットとの間の第1の規定の特徴を、電波探知を使用して判定するよう、かつ、第1の電波ユニットと照合電波ユニットと間の第2の規定の特徴を、電波探知を使用して判定するよう構成されており、第2の規定の特徴は、試験装置にとって既知のパターンに従って、継続的に変動可能とされており、試験装置は、前記パターンに従って変化する前記第2の規定の特徴を当該電波探知システムが検知したときにのみ、第1の規定の特徴の確認を生成するよう構成されている、電波探知システムにより解決される。
【0014】
本発明の別の局面に従って、本目的は、電波探知システム用の、電波探知システムが第1の電波ユニットと、第2の電波ユニットと、照合電波ユニットと、電波探知システムに結合できる試験装置とを有する、電波探知方法であって、
第1の電波ユニットと第2の電波ユニットとの間の第1の規定の特徴を、電波探知を使用して判定するステップと、
第1の電波ユニットと照合電波ユニットと間の第2の規定の特徴を、電波探知を使用して判定するステップであって、第2の規定の特徴は、試験装置にとって既知のパターンに従って、継続的に変動可能とされているステップと、
パターンに従って変化する第2の規定の特徴を電波探知システムが検知した場合に、試験装置により第1の規定の特徴を確認するステップとを備える、方法によっても解決される。
【0015】
本発明のさらなる局面に従って、この目的は、上述した電波探知システムを有する技術設備を保護するための安全システムによっても解決され、安全システムは、電波探知システムによる電波探知を使用して、安全構成を実行する、または適合させるよう構成された安全コントローラを備え、電波探知システムの試験装置が電波探知を確認したときにのみ、安全コントローラは安全構成を実行する、または適合させる。
【0016】
このように、電波探知システムを継続的、動的かつ決定論的に検証可能とするために、追加の試験装置を電波探知システムに追加することが、本発明の着想である。
【0017】
電波探知システムは、2つの電波ユニットが、互いに対する、または、照合システムにおける、それらの位置、所在および/または方位についての結論を引き出すことができるように、電波探知を使用して互いに対する規定の関係を判定する、任意の電波探知システムであってもよい。例えば、電波探知システムは、ブルートゥース(登録商標)ローエナジー、WLANおよび/または超広帯域技術ベースの探知技術を使用する、リアルタイムロケーティングシステム(RTLS)であってもよい。
【0018】
第1の電波ユニットは定置型の電波局であってもよく、第2の電波ユニットは携帯型の中継器であってもよい。特に、第1の電波ユニットは、電波探知システム基礎構造(infrastructure)の固定局であってもよい。
【0019】
位置判定に関し、電波探知システムは、第1の電波ユニットと第2の電波ユニットとの間の規定の第1の特徴を、電波探知を介して判定する。例えば、電波探知は、第1の電波ユニットと第2の電波ユニットとの間の信号伝搬時間に基づいていてもよく、その際、信号伝搬時間、または、そこから導出される量が第1の規定の特徴に対応する。あるいは、または、補足的に、電波探知は異なる原理に基づいていてもよく、その結果、第1の規定の特徴は、角度または信号強度により表すこともできる。好ましくは、電波探知システムは、第1の規定の特徴を継続的に取得してもよい。
【0020】
さらに、電波探知システムは、第1の電波ユニットと照合電波ユニットとの間の第2の規定の特徴を判定する。電波探知システムは、第2の規定の特徴を継続的に取得することもできる。第2の規定の特徴の判定は好ましくは、第1の電波ユニットと第2の電波ユニットとの間の第1の規定の特徴の判定と同じやり方で行われる。すなわち、第2の規定の特徴は好ましくは、第1の規定の特徴と同じ種類の特徴である。
【0021】
しかし、第1の規定の特徴と異なり、第2の規定の特徴は可変である。この文脈において、可変であるとは、規定の時間間隔で、または、経時的に継続して、第2の規定の特徴が、電波探知を介して規定の特徴が判定されたときに、異なる値を取ることを意味している。
【0022】
第2の規定の特徴の変化は、照合電波ユニットにより、自動的、直接的または非直接的に引き起こすことができる。例えば、照合電波ユニットは、電波探知に関する照合システム内のその実際の位置を、規定のやり方で変化させることができ、または、規定のやり方で送信されることになる信号を、異なる位置にあるとして電波探知システムにより認識されるように、変化させることができる。あるいは、または、さらには、試験装置は、例えば、照合電波ユニットに結合されて照合電波ユニットから挙動における変化を要請する試験装置により、または、そのような変化を要請する照合電波ユニットにより、第2の規定の特徴の変化を能動的に引き起こすよう構成できる。
【0023】
電波探知システムは、第2の規定の特徴を継続的に取得することにより、第2の規定の特徴の変化を検知する。さらには、電波探知システムは、検知した変化を試験装置に転送し、試験装置は、変化が規定のパターンに対応するかを確認する。規定のパターン(すなわち、第2の規定の特徴が経時的にどのように変化するか)は、試験装置にとって既知でなければならない。ゆえに、試験装置は、あらかじめパターンを知っており、それ自体を特定し、または、外部装置からのパターンに気づくようにされている。
【0024】
試験装置は、変化がパターンに対応するかを確認する。したがって、試験装置は、第2の規定の特徴の経時的な変化についての予想を有している。この予想が当たれば、試験装置は、第1の規定の特徴の測定(すなわち、実際の用途に関連した測定)を確認する。この予想が当たらなければ、試験装置は、第1の規定の特徴の測定を確認しない。測定を確認するために、試験装置は、例えば、対応するイネーブル信号を供給でき、または、試験装置は、このような信号を供給することを省くことができる。
【0025】
測定の確認は、第2の規定の特徴が既知のパターンに従って変化していることを試験装置が検知した場合にのみ起きる。このような仕方で、電波探知が正確に機能しているかを、継続的に、または、特定の時間間隔で確認することができる。このように、電波探知システムは、能動的にのみならず、動的にも試験される。換言すれば、特定の仕方で継続的に変化する構成要素がシステム中に常に存在し、そのため、静的な筋書きであったとしても、測定は動的な構成要素により確認される。
【0026】
それにより、電波探知システムの適切な作動を容易に試験できる。特に、電波探知システムをこのような仕方で、継続的、動的かつ決定論的に確認できる。さらには、試験装置を既存の電波探知システムに、電波探知システム自体に適合させる必要なしに、容易に組み込むことができる。
【0027】
このようにして、上述した目的は十分に解決されている。
【0028】
好ましい改良形態では、照合電波ユニットは、第2の規定の特徴をパターンに従ってその位置を変化させることにより変化させる、照合物体上に配置できる。例えば、照合電波ユニットを、規定のやり方で動く物体上に、または、その位置が所定のやり方で判定できる物体上に配置できる。このような参照物体は、規定のやり方で動く回転するディスクまたは直線ユニットであってもよい。参照物体が、その位置を他の手段により試験装置に対して既知にできる、乗り物またはロボットであることも考えられる。この改良形態に従って、継続的かつ決定論的に変化する第2の規定の特徴を、容易に生成できる。
【0029】
さらなる改良形態では、参照物体は無作為に位置を変化させることができ、試験装置のセンサは、照合物体の位置の無作為の変化を検知し、このような仕方で、試験装置にとって既知の変化のパターンを作成する。それゆえに、参照物体は、空間中を継続的に動く、いずれの物体であってもよい。運動の検知も、事前に既知となっているパターンの場合に、補足として使用できると理解される。
【0030】
さらなる改良形態では、照合電波ユニットは、電波探知システムが第2の規定の特徴を判定するのに使用する、修正された信号を送信することにより、第2の規定の特徴を修正してもよい。このような仕方で、照合電波ユニットは、実際に照合電波ユニットを移動することなく、第2の規定の特徴を変更できる。特に好ましくは、照合電波ユニットは、空間的に間隔を空けたアンテナユニットをこの目的のために有していてもよく、それらを、送信されることになる信号を修正するために、選択的に使用する。アンテナユニットは、照合電波ユニットに組み込まれたアンテナユニット、外部のアンテナユニット、または、外部および内部のアンテナユニットの組み合わせであってもよい。内部のアンテナユニットは、照合電波ユニットの共通のハウジング内に設置された、または、共通のプリント回路基板を使用してリンクされた、アンテナユニットである。外部のアンテナユニットは、電波ユニットに別個に接続されたアンテナユニットである。修正された信号を生成するために異なるアンテナユニットを使用することには、市販の中継器を使用できるという利点があり、この改良形態を実施するのに、純粋なソフトウェア拡張で十分な場合がある。
【0031】
さらなる改良形態では、第2の規定の特徴は、規定の試験間隔でのみ変化する。このような仕方で、電波探知システムの試験レートを特定の時間間隔に設定することができ、試験レートを試験要件に柔軟に適合させることができる。このように、重大でない用途について、位置判定試験または通信試験を、安全にとって重大な用途よりも、頻度を減らして行うことができる。試験要件に応じて、パターンの種類を適合させることも考えられる。例えば、複雑で頻繁に変化するパターンを重大な用途に使用してもよく、一方で、重大でない用途には、簡単なパターンで十分な場合がある。全体として、本改良形態により、試験装置を試験要件に適合可能とすることができる。
【0032】
さらなる改良形態では、第1の規定の特徴および第2の規定の特徴は、信号伝搬時間、信号伝搬時間差、信号往復時間、信号入射角、信号強度、それらの組み合わせ、または、それらから導出される値とされている。電波探知に超広帯域技術を使用する際、第1の特徴および第2の特徴は、例えば、UWB到着時刻(UWB-Time-of-Arrival)、UWB到着時間差(UWB-Time-Difference-of-Arrival)、UWB往復到着時刻(UWB-Roundtrip-Time-of-Arrival)またはUWB到着角(UWB-Angle-of-Arrival)であってもよい。さらには、第1の特徴および第2の特徴は、UWB双方向測距(UWB two-way ranging)に基づいていてもよい。双方向測距では、すべてのタグが継続的に所在信号を送信し、かつ、互いに対する距離を応答から判定する。
【0033】
上記特徴および以下で説明されることになる特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、各場合に示される組み合わせにおいてのみならず、他の組み合わせ、または、それら単独でも使用できると理解される。
【0034】
本発明の実施の形態を図面に示し、より詳細に以下の記述において説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本開示に係る電波探知システムの実施の形態を示す模式図である。
図2図1に示す実施の形態の修正例を示す模式図である。
図3図1に示す実施の形態のさらなる修正例を示す模式図である。
図4】安全システムの実施の形態を示す模式図である。
図5】本開示に係る電波探知方法の実施の形態に関連するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、試験装置を有する電波探知システムの実施の形態の模式図を示している。電波探知システムはここで、その全体を参照番号10により示す。
【0037】
電波探知システム10は、第1の電波ユニット12、少なくとも1つの第2の電波ユニット14、および、照合電波ユニット16を含んでおり、これらは以下、すべての電波ユニットについて同じ特徴が説明される場合、簡単に電波ユニットと呼ぶことにする。
【0038】
電波ユニット12、14、16は、電波信号を送信または受信できる装置である。特に、電波ユニットは、入来信号を取り上げて、受信した電波信号に自動的に応答する、または受信した電波信号を自動的に転送する中継器であってもよい。電波ユニット12、14および16は、異なる設計であってもよく、かつ、定置型または可動式の装置であってもよい。
【0039】
一つの例では、第1の電波ユニットは、信号を送信および受信できる定置型の電波局であってもよい。局は、信号処理用の処理ユニットを含んでいてもよい。第2の電波ユニットは、入力信号に自動的に応答することに信号処理が限定される、(タグとも呼ばれる)携帯型の中継器であってもよい。次に、照合電波ユニットは、いくらかの特性が少なくとも試験装置について既知である、(アンカーとも呼ばれる)定置型の中継器であってもよい。本発明が電波ユニットのこの特定の構成に限定されないことを理解されたい。
【0040】
電波探知システム10は、第1の電波ユニット12と第2の電波ユニット14との間の第1の規定の特徴(関係)20、および、第1の電波ユニット12と照合電波ユニット16との間の第2の規定の特徴(関係)22、22’を判定するよう構成されている。第1の規定の特徴20および第2の規定の特徴22、22’は、信号伝搬時間、信号往復時間、入射角、信号強度、または、電波探知に関する照合システム内の電波ユニットの位置、所在および/もしくは方位を推測するのに使用できる他のいずれかの量であってもよい。上記特性の組み合わせが第1の特徴および/または第2の特徴を表すことも考えられる。
【0041】
第1の規定の特徴20および第2の規定の特徴22、22’は、好ましくは同じ種類である。特に、照合システムにおける第2の電波ユニット14の絶対位置を、第1の規定の特徴20から判定できる。同様に、照合電波ユニット16の絶対位置を、第2の規定の特徴22、22’から判定できる。
【0042】
照合電波ユニット16による特徴20、22、22’の判定を、ここで処理ユニット18より模式的に示すが、例えば図2および図3に係る実施の形態に示すように、異なる電波探知システムにおいて異なるやり方で行ってもよい。関係する電波ユニットが、それら自体の間で独立して特性を判定するよう設定されていることが考えられる。あるいは、電波探知システム10の中央処理ユニットが、対応する基礎構造を介して、2つの電波ユニットの規定の特徴を互いに関し判定してもよい。以下に説明する試験装置は、電波探知のいずれの特定の種類にも限定されない。
【0043】
第2の規定の特徴(すなわち、第1の電波ユニット12と照合電波ユニット16との間で判定可能な特徴)は可変である。すなわち、第2の規定の特徴を表す値は、参照番号22および22’を有する2つの別個の矢印でここに示すように、時間t1と時間t2とでは異なっている。第2の規定の特徴22、22’の変化は、例えば、照合ユニット16の位置の実際の変化により、または、照合電波ユニット16による修正された信号の送信により、引き起こされてもよい。
【0044】
第2の規定の特徴22、22’は、継続的に、かつ、好ましくは規定のパターン24に従う決定論的なやり方で、変化してもよい。例えば、パターン24は、第2の規定の特徴が経時的に変化する率を規定してもよい。すべてのユニットが適切に機能している場合、電波探知システム10は、規定のパターン24に従う第2の規定の特徴の変化を検知する。
【0045】
電波探知システム10の試験装置26が、第2の規定の特徴が規定のパターン24に従って変化したかを電波探知システム10が検知したことを検証する。その場合には、試験装置26は、それに基づき例えば第2の電波ユニット14の位置を判定できる、第1の規定の特徴の判定を確認する。他方、検知が規定のパターン24から偏っている場合、または、システムが変化をまったく検知しない場合、試験装置26は、第1の規定の特徴を確認しない。例えば、試験装置26は、簡単な切り換え装置であってもよく、かつ、例えば、電波探知システム10が規定のパターン24に従う第2の規定の特徴22、22’を検知した場合にのみ明示的にオンに切り換わるイネーブル信号により、第1の規定の特徴を確認してもよい。第2の規定の特徴22、22’が規定のパターン24に従って検知されないときに、試験装置26が警告信号を出力することも考えられる。
【0046】
試験装置26および照合電波ユニット16はともに、規定のパターン24に気付いている。最も簡単な場合、これは、所定のパターンを照合電波ユニット16および試験装置26に保存することにより実現できる。しかし、照合電波ユニット16および試験装置26を互いに結合して、それにより変化の起きるパターン24を交換することも考えられる。
【0047】
1つの実施の形態では、照合電波ユニット16は、例えば、試験装置26にパターンを報告してもよい。別の実施の形態では、試験装置26は、規定のパターン24を特定して、規定のパターン24を照合電波ユニット16へと送信するよう構成されていてもよい。電波探知システムのこれらおよび他の変形例を、図2および図3を参照して以下に示す。それらはそれぞれ、図1に係る電波探知システム10の変形例およびさらなる実施の形態を示している。同じ参照符号は、図1におけるものと同じ部品を示す。
【0048】
図2に示す電波探知システム10において、照合電波ユニット16および試験装置26は互いに直接結合されている。例えば、結合器28を介して、照合電波ユニット16は、第2の規定の特徴を修正するパターン24を、試験装置26に供給してもよい。あるいは、結合器28を介して、照合電波ユニット16はその現在位置を試験装置26に、試験装置26がそのパターン24を独立して推測できるように、通信してもよい。結合器28を介して、試験装置26が、それに従って第2の規定の特徴が変化されることになるパターン24を特定して、それを照合電波ユニット16に供給することも、同様に考えられる。
【0049】
例えば、さまざまな実施の形態において、照合電波ユニット16は、第2の規定の特徴を変動させるために、第1の状態と第2の状態との間で交替するよう構成されていてもよい。この場合、試験装置26は、それに従って照合電波ユニット16がこれら2つの状態の間で切り換わる、簡単なクロック信号を供給してもよい。異なる状態は、例えば、第1の状態において第1のアンテナユニット30aで、かつ、第2の状態において第2のアンテナユニット30bで、入来および送出信号を処理する照合電波ユニット16により採択されてもよく、2つのアンテナ30aおよび30bは間隔を空けられている。照合電波ユニット16が、第1の信号を使用することにより第1の状態を、かつ、第1の信号と異なる第2の信号を使用することにより第2の状態を示すことも考えられる。
【0050】
くわえて、図2に示す電波探知システム10では、第1の電波ユニット12は試験装置26に直接接続されている。ここで、第1の電波ユニット12は、電波探知システム10の位置特定作業を行う、それ自体の信号処理を備える電波局とされている。例えば、第1の電波ユニット12は、電波信号を第2の電波ユニット14および照合電波ユニット16に送り、かつ、戻って来た信号を使用してユニット間で第1の規定の特徴および第2の規定の特徴を判定してもよい。照合情報(例えば、照合システムにおけるそれ自体の位置)と併せて第1の規定の特徴および第2の規定の特徴から、電波ユニット12は、第2の電波ユニット14および照合電波ユニット16の特定の位置情報を判定できる。
【0051】
さらに、電波ユニット12は、位置情報を試験装置26に送信してもよい。この場合、試験装置26は、保存または供給されたパターン24に基づく位置情報の期待値を有し、かつ、それを、取得した位置情報と比較する、簡単な比較ユニットであってもよい。照合電波ユニット16についての位置情報がパターン24に従って変化した場合、電波ユニット12による電波探知は適切に作動していると仮定でき、その結果、第2の電波ユニット14に関する位置情報も正確であると仮定できる。
【0052】
図3は、本開示に係る電波探知システムの別の実施の形態を示している。この実施の形態では、電波探知システム10は、基礎構造ベースの探知システムとされている。探知されることになる電波ユニット12、14、16に加えて、電波探知システム10はここで、複数の据え付けの固定局32と、中央処理ユニット18とを含んでいる。
【0053】
ここで、電波探知システム10は、三角測量を介し、固定局32を介して、照合システム34における電波ユニット12、14、16の位置を判定するよう構成されている。各電波ユニット12、14、16の位置情報に基づき、電波探知システム10は、電波ユニット12、14、16の間の規定の特徴(第1および第2の特徴)を推測できる。例えば、電波探知システム10は、所在情報に基づき、2つのユニットの間の距離を判定してもよい。このように、この実施の形態では、電波探知システム基礎構造が測定を行うが、測定される物体は簡単な中継器となっている。
【0054】
上述したように、照合電波ユニット16は、第2の規定の特徴を継続的に変化させるよう構成されている。本実施の形態では、電波ユニット16は、この目的のために照合物体36に配置されており、照合物体36は規定の仕方で照合システム34内を移動する。ここに示す運動は、照合システム34の軸に沿った直線運動38とされている。直線運動38は、パターン24を表す特定のやり方で起きる。運動が起きるパターン24は、試験装置26にとって既知である。例えば、照合物体36は、2つの固定位置の間を、時間t1に照合電波ユニット16が第1の場所にあり、時間t2に第2の場所にあるように移動可能な、直線ユニットであってもよい。電波ユニット16の所在に応じて、異なる第2の規定の特徴22、22’が取得される。
【0055】
どの時間に電波ユニット16がどの場所にあるか(パターン24)を知ることにより、試験装置26は電波探知の適切な作動を検証できる。
【0056】
図2および図3を参照して、電波探知システム10の2つの異なる実施の形態について上に説明した。照合電波ユニット16が第2の規定の特徴22、22’を変化させるよう構成されている、異なる変形例は組み合わせられると理解される。例えば、図3に係る実施の形態に示す直線ユニットを、図2に係る実施の形態で照合電波ユニット16として使用することができ、かつ、逆も可能である。同様に、第2の実施の形態に係る照合電波ユニット16を、図3に係る基礎構造ベースの電波探知システムで使用してもよい。本開示は、いかなる特定の構成にも限定されない。
【0057】
図4は、本開示の実施の形態に係る安全システムを示している。図4では、安全システム全体を、参照番号100により示している。
【0058】
安全システム100を使用して、ここで産業ロボット40として示す技術設備から、人および物体を保護する。産業ロボット40の作業区域が、あらゆるアクセスが監視されることになる保護区域42を規定する。監視は安全コントローラ44により提供され、安全コントローラ44は、入力側で光バリア48a、安全マット48b、緊急停止ボタン48c、安全カメラ48dなどの安全装置46へと、かつ、出力側でアクチュエータ50(例えば、技術設備の電力供給52a、52bにおける接触器)へと接続できる。安全コントローラは、安全装置46により供給される入力信号に基づき、安全関連の制御機能を実行し、出力に作用する。例えば、人54または自律的に作動する乗り物56が保護区域42入った場合に、このことは、安全コントローラ44に接続された安全装置46により検知でき、電力供給52a、52bをオフに切り換えることにより、産業ロボット40を安全な状態に移行させることができる。
【0059】
この例では、安全コントローラ44は、いくつかの入力モジュール45a、45b、45cと、出力モジュール47と、ヘッダモジュール49とをモジュール列で有する、モジュール式の安全コントローラとされている。ここで「モジュール式」とは、入力モジュールおよび出力モジュールの数が、追加の入力および出力モジュールをモジュール列に追加することにより、要求に従って変動してもよいことを意味する。
【0060】
(プログラマブル論理制御装置(PLC)とも呼ばれる)「通常の」標準的なコントローラ同様、安全コントローラは制御機能を実行する。しかし、通常のコントローラと異なり、安全コントローラは、安全機能のフェールセーフな実行を保証できる、追加の安全関連の機器を有している。ゆえに、安全制御は通例、処理用の2つの分離したチャネル、異なるハードウェアを有する多様な構造、入力および出力の常時の試験、ユーザデータの常時の比較、電圧および時間監視により、ならびに、エラーまたは危険の際の安全停止により、通常のコントローラと異なっている。
【0061】
本例では、安全コントローラ44は、適合的な安全コントローラともされている。この文脈において「適合的」とは、(以下で安全構成とも称する)安全コントローラ44により実行される安全機能が、入力パラメータに応じて動的に変化できることを意味する。例えば、入力パラメータは、作業区域内に位置する物体の位置情報、安全コントローラ44の上述した電波探知システム10により供給されている位置情報であってもよい。
【0062】
使用の一例では、例えば、自動運転の輸送乗り物56の位置情報を使用して、乗り物56が産業ロボット40の保護区域42に入ったときに、安全関連の制御機能(この場合、産業ロボット40の安全停止)を制止できる。別の例では、人54の位置情報を使用して、保護区域42のサイズを動的に調整できる。この目的のために、例えば、それに従って保護区域42が区画されることになる位置情報に基づき、保護空間58を人54の周りに区画できる。これらの用途例が単なる例であって、動的な安全構成を使用できる他の可能な配置があることは言うまでもない。
【0063】
位置情報は、上述した電波探知システム10の1つを使用して判定されて、例えば、電波探知システム10の中央処理ユニット18から安全コントローラ44へと送信されてもよい。電波ユニット12~14は作業空間に、位置を判定されることになる動く物体のそれぞれに1つの電波ユニットを配置した状態で、分散されている。ここに示した例では、物体にある電波ユニットは、本開示で規定する第2の電波ユニット14に対応しており、本開示で規定する第1の電波ユニット12は、この例における電波探知システム10の固定局32に一致する。
【0064】
さらには、電波探知システム10は、少なくとも1つの照合電波ユニット16と、対応する試験装置26とを備えている。試験装置26は、上述したやり方で電波探知システム10の適切な作動を検証し、電波探知システム10により取得した位置情報を確認する。この目的のために、試験装置26は、通例の安全センサのように、安全コントローラ44の入力モジュール45bに接続されて、動的な照合電波ユニット16を介する検証に基づき電波探知システム10の適切な作動が確認されている限りイネーブル信号を供給してもよい。
【0065】
安全コントローラ44は、安全コントローラ44の入力モジュール45bにイネーブル信号が存在する場合にのみ、位置情報に基づいて安全構成を実行または調整するよう構成されている。この場合、安全コントローラ44は、安全コントローラ44の入力モジュール45bの入力に、試験装置26からのイネーブル信号が存在する場合にのみ、産業ロボット40の作動を可能にするよう構成されている。この目的のために、安全コントローラ44は出力モジュール47を、出力モジュール47に接続され、かつ、産業ロボット40の電力供給52a、52b内に配置された接触器50が、イネーブル信号が入力モジュール45bに印加されたときにのみ通電(稼働)されるように制御する。
【0066】
このように、安全コントローラ44は、電波探知システムから独立した追加の装置を介して位置情報自体を確認する必要なしに、電波探知システム10からの位置情報に基づき、制御を実行することができる。むしろ、安全コントローラ44にとっては、別の入力モジュールを介して試験装置26からイネーブル信号を受信し、かつ、イネーブル信号に従って出力モジュール47を制御することで十分である。試験装置26はこのようにして、さらなる安全装置46に対応し、安全コントローラ44はそれ自体、異なるセンサの2つの位置情報の比較を実行する必要はなく、さらなる入力信号を処理するだけでよい。
【0067】
上述した装置によって、より洗練された試験手順が可能となることが理解される。例えば、第1の電波探知方法を介して判定された2つの電波ユニットの間の距離を、第1と異なる第2の電波探知方法を介して2つの電波ユニットの間の距離をも測定し、かつ、受信した距離とそれを比較する電波ユニットの1つに送信するよう、電波探知システムを構成できる。別の電波探知方法を使用することにより、多様性をさらに増し加えることができる。くわえて、この局面を、電波ユニットの1つが動的にその位置をも変化させる、上述した動的な測定と組み合わせてもよい。このようにして、システム全体の信頼性をさらに増し加えることができる。
【0068】
最後に、図5は、試験装置を有する電波探知システム用の方法の実施の形態の、模式的なフローチャートを示している。本方法全体を、参照番号1000により示す。
【0069】
第1のステップ1001では、電波探知システムは、電波探知システム内の第1の電波ユニットおよび第2の電波ユニットの間の第1の規定の特徴を、電波探知を使用して判定する。ここで電波探知は、特定の測定手順に限定されない。特に、第1の規定の特徴は、電波探知システムの照合システム内の、第1および第2の電波ユニットの位置もしくは場所であっても、または、2つの電波ユニットの間の規定の関係(それらの間の距離など)であってもよい。
【0070】
第2のステップ1002では、電波探知システムは、好ましくは同じ電波探知手段を介して、第1の電波ユニットと照合電波ユニットとの間の第2の規定の特徴を判定する。特に、電波探知システムは、第2の規定の特徴の経時的な変化を判定するために、1つの継続的な測定、または、異なる時刻における少なくとも2つの測定を行う。第2の規定の特徴の変化は、既知のパターンに従って起きる。
【0071】
最後に、ステップ1003では、電波探知システムに結合された試験装置が、このパターンに従う第2の規定の特徴を電波探知システムが検知しているかを確認する。この目的のために、試験装置は、第2の規定の特徴について電波探知システムが判定した値が、既知のパターンに対応するかを確認できる。その場合には、試験装置は、確認としてイネーブル信号を送出でき、これは、例えば安全コントローラにより、さらに処理される。
【0072】
本電波探知システム、本安全システム、および、本方法の上述した実施の形態は全体として、単なる例とすることを意図しており、本開示の主題を限定しない。むしろ、主題は、下記の特許請求の範囲によってのみ、規定および限定される。
図1
図2
図3
図4
図5