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  • 特許-鞄用把手 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】鞄用把手
(51)【国際特許分類】
   A45C 13/26 20060101AFI20241127BHJP
【FI】
A45C13/26 J
A45C13/26 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023137689
(22)【出願日】2023-08-28
【審査請求日】2023-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000102304
【氏名又は名称】エース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119725
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 希世士
(74)【代理人】
【識別番号】100168790
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英之
(72)【発明者】
【氏名】若生 然太
【審査官】高橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-296572(JP,A)
【文献】特開2001-161428(JP,A)
【文献】登録実用新案第3084203(JP,U)
【文献】特開2020-075953(JP,A)
【文献】特開2005-066296(JP,A)
【文献】実開平07-024118(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 13/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の人差し指、中指、薬指、小指である四指と対向する側において前記四指と緩嵌 し得る連続した曲線状の窪み部(11)を有する芯材(1)と、
前記芯材(1)における使用者の前記四指と対向する側に沿って配設され、使用者の前 記四指の形状に合わせて変形可能である緩衝材(2)を備え
前記緩衝材(2)が帯状であり、前記緩衝材(2)と前記芯材(1)の窪み部(11) の間に前記緩衝材(2)の長手方向に沿って間欠的に隙間(SP)を備えることを特徴 とする鞄用把手。
【請求項2】
前記緩衝材(2)が、ダイラタンシー特性を有することを特徴とする請求項1に記載 の鞄用把手。
【請求項3】
前記緩衝材(2)が、ポリウレタンから形成され、25%圧縮荷重において0.05 ~0.25MPaであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の鞄用把手。
【請求項4】
前記窪み部(11)が、前記芯材(1)の長手方向に沿って6~20mmの幅で形成 されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の鞄用把手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手提げ鞄、背負い鞄やスーツケースなどの鞄に取り付けられ、使用者が手で把持するための把手に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、手提げ鞄、背負い鞄やスーツケースなどに、使用者が手で把持するための把手が取り付けられていることが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1及び特許文献2には、基本的な骨格である芯材の下部などを湾曲させた当て部を形成し、上層及び下層の2層からなるクッション材をその当て部を接合させ、さらの外側に外装生地を被覆させるなどしたかばん用持ち手が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実公平04-029790号公報
【文献】実公平05-040745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の把手においては、鞄本体に複数の書類など重たい荷物が収納されているときに、使用者の人差し指、中指、薬指、小指である四指と対向する側において芯材が平坦な形状であるために、介在する緩衝材が変形して使用者の四指を支持したとしても長時間持ち続けると指や手が痛くなるという課題があった。
【0006】
そこで、本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、使用者が重い荷物の入った鞄本体を持つときに、長時間持ち続けても、手や指への負担を軽減することができる鞄用把手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔1〕本発明は、使用者の人差し指、中指、薬指、小指である四指と対向する側にお いて前記四指と緩嵌し得る連続した曲線状の窪み部(11)を有する芯材(1)、及び 前記芯材(1)における使用者の前記四指と対向する側に沿って配設され、使用者の前 記四指の形状に合わせて変形可能である緩衝材(2)を備え、前記緩衝材(2)が帯状 であり、前記緩衝材(2)と前記芯材(1)の窪み部(11)の間に前記緩衝材(2) の長手方向に沿って間欠的に隙間(SP)を備えることを特徴とする鞄用把手である。
【0009】
〕そして、前記緩衝材(2)が、ダイラタンシー特性を有することを特徴とする 前記〔1〕に記載の鞄用把手である。
【0010】
〕そして、前記緩衝材(2)が、ポリウレタンから形成され、25%圧縮荷重 において0.05~0.25MPaであることを特徴とする前記〔1〕又は前記〔2 〕に記載の鞄用把手である。
【0011】
〔5〕そして、前記窪み部(11)が、前記芯材(2)の長手方向に沿って6~20mmの幅で形成されていることを特徴とする前記〔1〕又は前記〔2〕に記載の鞄用把手である。
【発明の効果】
【0012】
〕そして、前記窪み部(11)が、前記芯材(2)の長手方向に沿って6~20 mmの幅で形成されていることを特徴とする前記〔1〕又は前記〔2〕に記載の鞄用把 手である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る鞄用把手を含む鞄を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る鞄用把手を含む一対の鞄用把手を示す斜視図である。
図3】(a)本発明の実施形態に係る未使用時における鞄用把手を示す断面図である。(b)本発明の実施形態に係る使用時における鞄用把手を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る鞄用把手を図面に基づいて詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するのに好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に発明を限定する旨が明記されていない限り、この実施形態に限定されるものではない。
【0015】
本発明の鞄用把手H1は、他の鞄用把手H2とともに、鞄Bの一の面及び他の面の上部に取り付けられることにより、使用者が鞄用把手H1,H2の握り部3,3を上下に重ねるようにして手で持って鞄Bを持ち運べるようにする部材である。
【0016】
本実施形態において、鞄Bは、合成皮革、天然皮革等適宜の素材を用いて製造されるものとしており、全体を四角形状とし、左側部の上部から上端部を通って右側部の上部に至るまで、ファスナーにより開閉自在とし、一の面及び他の面には、それぞれ小収納部が設けられている。本実施形態において、鞄用把手H1及びH2が取り付けられた鞄Bは手提げ鞄として使用するものであるが、他の実施形態において、鞄用把手H1が取り付けられた鞄Bとしては、背負い鞄やスーツケースなどの鞄とすることもできる。
【0017】
鞄Bに取り付けられる本発明の鞄用把手H1は、図3(a),(b)に示すように、使用者の人差し指、中指、薬指、小指である四指Fと対向する側において、四指Fと緩嵌し得る連続した曲線状の窪み部11を有する芯材1と、芯材1における使用者の四指Fと対向する側に沿って配設され、使用者の四指Fの形状に合わせて変形可能である緩衝材2を備えている。さらに、鞄用把手H1は、芯材1と緩衝材2を覆う厚さ3mm程度の合成皮革のシートSなどからなり、中央部が直線状となる握り部3を形成し、そして、握り部3から連続して、芯材1及び緩衝材2を備えず、合成皮革の帯状部材などからなる略ハ字状の形状である両側部4を形成している。
【0018】
芯材1は、本発明の鞄用把手H1の握り部3の基本的な骨格を形成する部材であり、上述したように、使用者の人差し指、中指、薬指、小指である四指Fと対向する側において、四指Fと緩嵌し得る連続した曲線状の窪み部11を有している断面三角形や断面半円形などの棒状の部材である。窪み部11は、使用者の人差し指、中指、薬指、小指である四指Fと対向する芯材1の下部に設けられており、サインカーブ、コサインカーブなどのような滑らかで連続した曲線状であることが好ましい。窪み部11により、使用者が鞄Bを持ち運ぶときに、使用者の人差し指、中指、薬指、小指である四指Fに掛かる負荷を分散することで、鞄用把手H1の握り部3を長時間持ち続けても、手や指への負担を軽減することができる。窪み部11は、使用者の人差し指、中指、薬指、小指である四指Fと緩嵌しやすいように、芯材1の長手方向に沿って6~20mmの幅で形成されていることが好ましく、8~15mmの幅で形成されていることがさらに好ましい。本実施形態において、芯材1は、断面が三角形や半円形であるが、他の実施形態において、背負い鞄やスーツケースなどの他の鞄に一つの鞄用把手H1として用いるときには、断面が四角形、六角形、八角形などの多角形、断面が円形、楕円形、長円形などの棒状とすることもできる。
【0019】
また、芯材1は、木製、プラスチック製等として、硬質でしっかりと握り部3を握れるものとしたり、スポンジ等としてソフトな感触が得られるようにしたりすることができる。
【0020】
緩衝材2は、芯材1における使用者の人差し指、中指、薬指、小指である四指Fと対向する側に沿って配設され、使用者の四指Fの形状に合わせて変形可能である部材である。緩衝材2により、使用者が鞄Bを持ち運ぶときに、使用者の人差し指、中指、薬指、小指である四指Fに掛かる負荷を分散しながら鞄用把手H1の握り部3を長時間持ち続けても、手や指への負担を軽減することができる。図3(a)に示すように、緩衝材2は帯状であり、芯材1に配設されると、未使用時には芯材1の窪み部11と間に緩衝材2の長手方向に沿って間欠的に隙間SPが形成される。この隙間SPによって、使用者の四指Fの大きさや太さなどに関わらず、使用者が鞄用把手H1の握り部3を持ったときに、緩衝材2が押圧され変形したときの逃げ場となり使用者の手や指への負担を軽減することができる。
【0021】
緩衝材2は、ダイラタンシー特性を有することが好ましい。緩衝材2がダイラタンシー特性を有することにより、使用者が鞄用把手H1の握り部3を素早く持ち上げたときに、緩衝材2がおおよそ変形することなく鞄Bを素早く持ち上げることができるとともに、使用者が鞄用把手H1の握り部3を持ち続けることで緩衝材2が緩やかに使用者の人差し指、中指、薬指、小指である四指Fの形状に沿うように変形して使用者の四指Fに掛かる負荷を分散することで、鞄用把手H1の握り部3を長時間持ち続けても、手や指への負担を軽減することができる。
【0022】
さらに、緩衝材2は、ポリウレタンから形成され、25%圧縮荷重において0.05~0.25MPaであることが好ましい。緩衝材2がこのような性状であることにより、緩衝材2が緩やかに使用者の人差し指、中指、薬指、小指である四指Fの形状に沿って変形しやすく、さらに、鞄用把手H1の握り部3を長時間持ち続けても、使用者の四指Fに痛みを生じにくくすることができる。
【0023】
また、握り部3の内部において、芯材1における窪み部11がない反対側、すなわち、使用者の四指Fと対向する側とは反対側に、握り部3の形を整えたり、使用者が持ったときの感触を柔らかいようにしたりするためなどのために、合成皮革や合成樹脂からなる帯状のパッドPを複数配設することができる。本実施形態において、帯状のパッドPを4枚積層して配設しているが、他の実施形態において、1枚配設することができ、2~3枚、5枚以上積層して配設することができる。
【0024】
鞄Bに取り付けられるもう一方の鞄用把手H2は、握り部3の基本的な骨格を形成する断面三角形ないし半円形の棒状の他の芯材を備えている。さらに、鞄用把手H2は、他の芯材を覆う厚さ3mm程度の合成皮革のシートなどからなり、中央部が直線状となる握り部3を形成し、そして、握り部3から連続して、合成皮革のシートなどからなる略ハ字状の形状である両側部4を形成している。鞄用把手H2は、使用者が持ったときに手首に近い母指球側や小指球側に位置するため、鞄用把手H1と異なり、他の芯材には窪み部11を有しておらず、緩衝材2も備えていない。
【0025】
鞄用把手H1,H2を鞄Bに取り付けて握り部3を上下に重ねたときに、鞄用把手H1は下に位置し、鞄用把手H2は上に位置することとなる。芯材1と他の芯材は、長手方向に垂直に切断した断面が略三角形や略半円形の棒状で、両各鞄用把手H1,H2の握り部3,3を合わせたときに、断面が丸みを帯びた四角形や略円形になるようにしている。
【0026】
鞄用把手H1,H2は、図2に示したように、鞄Bに取り付ける前の元の形状が、握り部3の両側部4,4が、握り部3の長手方向からそれぞれ20度程度の角度で曲がった略ヘ字状の短い帯状となっている。
【0027】
両鞄用把手H1,H2を鞄Bに取り付けるには、図1に示すように、それぞれの両端部の間隔が握り部3の長さとほぼ同じになるように曲げ、両端部を鞄Bの一の面又は他の面に向け、この両端部を鞄Bの一の面又は他の面の中央上部に、縫着や各種の固定具等により固定する。各鞄用把手H1,H2はもともと曲がった形状であるため、曲げる際に無理に力を加えて捻る必要はない。
【0028】
このようにして鞄Bに取り付けられた鞄用把手H1,H2は、握り部3,3が鞄Bの上端部より上方に位置する。そして、正面から見て各鞄用把手H1,H2の握り部3と両側部4,4とが約90度の角度で曲がった態様となる。なお、握り部3と両側部4,4との角度はこれに限定されない。
【0029】
この鞄用把手H1,H2を取り付けた鞄Bは、図1に示したように、各鞄用把手H1,H2の各握り部3とその両側部4,4とが大きく捩れた状態とならないため、各鞄用把手H1,H2にほとんど皺がよらず、見栄えが良いとともに、耐久性も向上したものとなっており、頻繁に鞄Bを上下させるような使用のしかたをしても、長期間耐えることが可能である。
【0030】
また、両鞄用把手H1,H2を同じ長さとすると、両鞄用把手H1,H2の握り部3を上下に重ねて手に提げて持ったときに、上に来る方の鞄用把手を取り付けた側に鞄Bが引っ張られ傾くことになるが、本実施形態では、下に来る一方の鞄用把手H1が上に来る他方の鞄用把手H2よりも2センチ程度短いため、両鞄用把手H1,H2の握り部3を上下に重ねて手に提げて持ったときに、鞄Bの一の面側又は他の面側のいずれにも傾かないため、鞄B持ち心地がよく、快適に使用することができる。
【符号の説明】
【0031】
H1,H2・・・鞄用把手
1・・・芯材
11・・・窪み部
2・・・緩衝材
SP・・・隙間
3・・・握り部
4・・・両側部
B・・・鞄
F・・・四指
S・・・シート
P・・・パッド
【要約】
【課題】
使用者が重い荷物の入った鞄本体を持つときに、長時間持ち続けても、手や指への負担を軽減することができる鞄用把手を提供することを目的とする。
【解決手段】
使用者の人差し指、中指、薬指、小指である四指と対向する側において前記四指と緩嵌し得る連続した曲線状の窪み部(11)を有する芯材(1)と、
前記芯材(1)における使用者の前記四指と対向する側に沿って配設され、使用者の前記四指の形状に合わせて変形可能である緩衝材(2)を備えることを特徴とする鞄用把手により解決することができた。
【選択図】図1
図1
図2
図3