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特許7594657RFID読み取りアンテナアセンブリ、在庫追跡方法および在庫追跡システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】RFID読み取りアンテナアセンブリ、在庫追跡方法および在庫追跡システム
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20241127BHJP
   H01Q 1/24 20060101ALI20241127BHJP
   H01Q 7/00 20060101ALI20241127BHJP
   B65G 1/137 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
G06K7/10 232
G06K7/10 264
H01Q1/24 C
H01Q7/00
B65G1/137 A
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2023507964
(86)(22)【出願日】2021-08-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-05
(86)【国際出願番号】 IB2021057071
(87)【国際公開番号】W WO2022029608
(87)【国際公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-03-27
(31)【優先権主張番号】2020902729
(32)【優先日】2020-08-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】000130581
【氏名又は名称】サトーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】マードック、グラハム
(72)【発明者】
【氏名】ナゲンドラ、ガネーシュ
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-336436(JP,A)
【文献】特開2007-070112(JP,A)
【文献】特開2003-168914(JP,A)
【文献】特開2010-192951(JP,A)
【文献】特開2009-230512(JP,A)
【文献】特開2001-101352(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0316045(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/10
H01Q 1/24
H01Q 7/00
B65G 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
孔を有する金属基板上で、当該金属基板に配置された物品に付与されたRFIDタグの読み取りに使われるRFID読み取りアンテナアセンブリであって、
前記孔を有する金属基板に取り付けられた高透磁率層と、
前記高透磁率層に取り付けられ、縦軸を定義する細長いキャリアと、
前記細長いキャリアに搭載された少なくとも1つのアンテナコイルと、
を備え、
前記RFID読み取りアンテナアセンブリは、細長く、前記物品の幅より小さい幅を有し、これにより、流体が前記孔を有する金属基板を通って前記物品に流れることを可能となることを特徴とするRFID読み取りアンテナアセンブリ。
【請求項2】
前記アンテナコイルは、均一に間隔を空けて横方向に配置された複数の部分を有し、
前記横方向に配置された部分は、実質的に同じ幅を持った連続するアンテナループを定義し、
前記各アンテナループの幅は、隣接する横方向に配置された部分同士の間隔に実質的に等しいことを特徴とする請求項1に記載のRFID読み取りアンテナアセンブリ。
【請求項3】
前記横方向に配置された部分は、前記アンテナコイルのアンテナループの1つの横部を形成し、
前記アンテナコイルは、前記横方向に配置された部分の複数の対を有し、
前記横方向に配置された部分の対は、互いに交差して8の字型の構造を定義し、少なくとも1つの連続したアンテナループの組を形成することを特徴とする請求項2に記載のRFID読み取りアンテナアセンブリ。
【請求項4】
前記少なくとも1つのアンテナコイルは、間隔を空けて横方向に配置された部分の複数の対を有し、
前記間隔を空けて横方向に配置された部分の対同士の間隔は、一定であり、実質的に同じ幅を持った連続するアンテナループの連鎖を形成することを特徴とする請求項3に記載のRFID読み取りアンテナアセンブリ。
【請求項5】
前記連続するアンテナループの連鎖は、8の字型の構造を定義することを特徴とする請求項4に記載のRFID読み取りアンテナアセンブリ。
【請求項6】
前記少なくとも1つのアンテナコイルの一部は、曲がりくねった形状の構成を持つことを特徴とする請求項1に記載のRFID読み取りアンテナアセンブリ。
【請求項7】
読み取り対象の前記RFIDタグのタグアンテナは、細長く、前記キャリアを横断して配置され、
前記タグアンテナの幅は、前記アンテナコイルの各アンテナの幅に実質的に等しいことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のRFID読み取りアンテナアセンブリ。
【請求項8】
前記キャリアの上に縦方向に互い違いに配置された少なくとも2つのアンテナコイルを備え、
前記少なくとも2つのアンテナコイルは、互いに同一の構造を持つことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のRFID読み取りアンテナアセンブリ。
【請求項9】
前記少なくとも2つのアンテナコイルは、連続的に駆動されることを特徴とする請求項8に記載のRFID読み取りアンテナアセンブリ。
【請求項10】
前記少なくとも2つのアンテナコイルは、互いに位相が外れるように駆動されることを特徴とする請求項8に記載のRFID読み取りアンテナアセンブリ。
【請求項11】
2つのアンテナコイルを備え、
前記2つのアンテナコイルは、互いに90°位相が外れるように駆動されることを特徴とする請求項10に記載のRFID読み取りアンテナアセンブリ。
【請求項12】
前記高透磁率層は、当該高透磁率層を前記金属基板に位置付けるために、当該金属基板の相補的特徴と協同するように構成されたロケータを備えることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載のRFID読み取りアンテナアセンブリ。
【請求項13】
前記高透磁率層はフェライト層であることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載のRFID読み取りアンテナアセンブリ。
【請求項14】
電気コネクタ配列を介して、RFIDタグ照合器に電気的に接続するコネクタを備えることを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載のRFID読み取りアンテナアセンブリ。
【請求項15】
前記金属基板は、孔を有し、前記金属基板および当該金属基板に配置された物品を通る流体の流れを促し、
前記高透磁率層および前記細長いキャリアは、前記物品を通る流体の流れの中断を最小化することを特徴とする請求項1から14のいずれかに記載のRFID読み取りアンテナアセンブリ。
【請求項16】
前記高透磁率層は第1の高透磁率層であり、
前記RFID読み取りアンテナアセンブリは、第2の高透磁率層を含み、
前記第2の高透磁率層は、前記第1の高透磁率層と機能的に位置合わせされ、
前記第2の高透磁率層は、第2の金属基板に取り付け可能であり、
前記第2の金属基板は、間隔を空けて、前記第1の高透磁率層を搭載した金属層の上または下に配置されることを特徴とする請求項1から15のいずれかに記載のRFID読み取りアンテナアセンブリ。
【請求項17】
請求項1から16のいずれかに記載のRFID読み取りアンテナアセンブリを搭載する孔を有する金属基板とともに使われる在庫追跡方法であって、
物品を少なくとも1つのRFID読み取りアンテナアセンブリのアンテナコイルに位置付けるステップと、
前記RFID読み取りアンテナアセンブリを駆動することによって、RFIDタグ照合器を用いてRFIDタグを照合するステップと、
を含み、
前記物品は、関連するRFIDタグを付与され、前記関連するRFIDタグと前記RFID読み取りアンテナアセンブリのアンテナコイルとが機能的に位置合わせされるように配置され、
前記関連するRFIDタグは、前記RFID読み取りアンテナアセンブリを介して、前記RFIDタグ照合器を用いて照合されることを特徴とする在庫追跡方法。
【請求項18】
関連するRFIDタグを照合するために、RFIDタグ照合器を用いて、請求項8から11のいずれかに記載のRFID読み取りアンテナアセンブリの少なくとも2つのアンテナコイルを連続的に駆動するステップを含むことを特徴とする請求項17に記載の在庫追跡方法。
【請求項19】
関連するRFIDタグを照合するために、RFIDタグ照合器を用いて、請求項8から11のいずれかに記載のRFID読み取りアンテナアセンブリの少なくとも2つのアンテナコイルを互いに位相が外れるように駆動するステップを含むことを特徴とする請求項17に記載の在庫追跡方法。
【請求項20】
前記孔を有する金属基板は、複数の細長い別々の区画を備え、
前記区画の各々は、縦軸を有し、
請求項1から16のいずれかに記載のRFID読み取りアンテナアセンブリは、それぞれ前記区画の1つに配置され、
前記各RFID読み取りアンテナアセンブリの縦軸は、関連する区画の縦軸と実質的に同軸であり、
この在庫追跡方法は、前記物品を関連する区画に配置するステップを含み、
関連するRFIDタグのアンテナコイルは、前記RFID読み取りアンテナアセンブリの縦軸に対して横向きに配置されることを特徴とする請求項17から19のいずれかに記載の在庫追跡方法。
【請求項21】
在庫を追跡するための孔を有する金属基板を改造する方法であって、
請求項1から16のいずれかに記載のRFID読み取りアンテナアセンブリをRFIDタグ照合器に電気的に接続するステップと、
前記RFID読み取りアンテナアセンブリを前記孔を有する金属基板に取り付けるステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
孔を有する金属基板とともに使われる在庫追跡システムであって、
RFIDタグ照合器と、
請求項1から16のいずれかに記載のRFID読み取りアンテナアセンブリと、
を備え、
前記RFID読み取りアンテナアセンブリは、前記孔を有する金属基板に取り付けられ、前記RFIDタグ照合器と通信することを特徴とする在庫追跡システム。
【請求項23】
少なくとも1つのRFIDタグをさらに備え、
前記RFIDタグは、物品に取り付け可能であり、
前記物品は、使用中、前記孔を有する金属基板に配置され、
前記RFIDタグと、前記少なくとも1つのRFID読み取りアンテナアセンブリのアンテナコイルとは、機能的に位置合わせされ、
関連するRFIDタグは、前記RFID読み取りアンテナアセンブリを介して、前記RFIDタグ照合器を用いて照合されることを特徴とする請求項22に記載の在庫追跡システム。
【請求項24】
電気コネクタ配列を備え、
前記RFID読み取りアンテナアセンブリは、前記電気コネクタ配列を介して、前記RFIDタグ照合器と通信することを特徴とする請求項22または23に記載の在庫追跡システム。
【請求項25】
前記金属基板は、ホルダーで取り外し可能に受け取られ、
前記電気コネクタ配列は、少なくとも1つのコネクタを含み、
前記コネクタは、前記金属基板が前記ホルダーに挿入および除去されたとき、前記RFIDタグ照合器と前記RFID読み取りアンテナアセンブリとの間の電気的接続をそれぞれ確立および遮断することを特徴とする請求項24に記載の在庫追跡システム。
【請求項26】
前記金属基板および前記ホルダーは、相補的な把持部品を備え、
前記相補的な把持部品は、前記金属基板が前記ホルダーに挿入されたとき、前記金属基板を前記ホルダーに対して位置付けて把持し、前記金属基板が前記ホルダーに対して留まることを促すことを特徴とする請求項25に記載の在庫追跡システム。
【請求項27】
1つ以上の孔を有する金属基板を備えたインキュベータのために使われる在庫追跡システムであって、
前記孔を有する金属基板は、横方向に配置された物品を受け取るための複数の横方向に配置された区画に分割されており、
当該在庫追跡システムは、
前記複数の横方向に配置された区画の内部に位置合わせされ適合される複数のRFID読み取りアンテナアセンブリと、
前記1つ以上の孔を有する金属基板に取り付け可能な第1の導電体キャリアと、
各物品によって運ばれるRFIDタグを読み取るために前記第1の導電体キャリアを介して前記複数のRFID読み取りアンテナアセンブリと通信するRFIDタグ照合器と、
を備え、
前記区画の各々は縦軸を持ち、
前記第1の導電体キャリアは、前記複数のRFID読み取りアンテナアセンブリを、前記横方向に配置された区画の内部で、水平方向に間隔を空けて動作可能に接続し、これにより、前記RFID読み取りアンテナアセンブリの各々はそれぞれの区画内に配置され、前記RFID読み取りアンテナアセンブリの各々の縦軸は関連する区画の縦軸と実質的に同軸であり、
前記RFID読み取りアンテナアセンブリは、
前記孔を有する金属基板に取り付けられた高透磁率層と、
前記高透磁率層に取り付けられ、縦軸を定義する細長いキャリアと、
前記細長いキャリアに搭載された少なくとも1つのアンテナコイルと、
を備え、
前記RFID読み取りアンテナアセンブリは、細長く、前記物品の幅より小さい幅を有し、これにより、流体が前記孔を有する金属基板を通って前記物品に流れることを可能となることを特徴とする在庫追跡システム。
【請求項28】
前記インキュベータは体液撹拌器であり、前記物品は体液バッグであることを特徴とする請求項27に記載の在庫追跡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にアンテナアセンブリに関し、より具体的にはRFIDタグが付与された物品の追跡および/または位置特定に使われるRFID読み取りアンテナアセンブリに関する。本開示は、特に、金属基板上でRFIDタグ(これは、金属基板に配置される物品に付与される)を読み取るのに使われるRFID読み取りアンテナアセンブリに応用されるが、それらに限られない。
【背景技術】
【0002】
在庫の追跡および/または位置特定により、在庫の正確な棚卸し、迅速な位置特定および回収ができる。RFIDタグの照合は、在庫の追跡および位置特定にとって便利な手段である。なぜならRFIDタグの照合は、ユーザが在庫に直接触れずに迅速に実行できるからである。医薬品などある種の在庫は、インキュベータまたはキャビネット内部の金属製の基板上に保管される。
【0003】
さらに、時々、RFIDタグが物品の上にランダムに置かれることがある。この場合、続けてRFIDタグを付与された物品がRFID読み取りアンテナの近くに置かれると、RFID読み取りアンテナによるRFIDタグの読み出しが困難となる。
【0004】
本明細書では、「追跡」は、必要に応じて、容器内で好適にタグ付けされた物品の位置を特定することを含む。
【0005】
本明細書に含まれる文書、動作、材料、デバイス、物品等に関するいかなる議論の全部または一部も、先行技術の基礎の一部を形成せず、各請求項に関し、本出願の優先日前に存在した関連分野の共通一般知識ではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様では、金属基板上で、当該金属基板に配置された物品に付与されたRFIDタグの読み取りに使われるRFID読み取りアンテナアセンブリが与えられる。このアンテナアセンブリは、金属基板に取り付けられた高透磁率層と、高透磁率層に取り付けられ、縦軸を定義する細長いキャリアと、細長いキャリアに搭載された少なくとも1つのアンテナコイルと、を備える。アンテナコイルは、均一に間隔を空けて横方向に配置された複数の部分を有する。横方向に配置された部分は、実質的に同じ幅を持った連続するアンテナループを定義する。各アンテナループの幅は、隣接する横方向に配置された部分同士の間隔に実質的に等しい。
【0007】
横方向に配置された部分は、アンテナコイルのアンテナループの1つの横部を形成してもよい。アンテナコイルは、横方向に配置された部分の複数の対を有する。横方向に配置された部分の対は、互いに交差して8の字型の構造を定義し、少なくとも1つの連続したアンテナループの組を形成する。アンテナコイルは、間隔を空けて横方向に配置された部分の複数の対を有してもよい。間隔を空けて横方向に配置された部分の対同士の間隔は、一定であり、実質的に同じ幅を持った連続するアンテナループの連鎖を形成する。連続するアンテナループの連鎖は、8の字型の構造を定義してもよい。
【0008】
アンテナコイルの一部は、曲がりくねった形状の構成を持ってもよい。特段の断りのない限り、本明細書で「曲がりくねった」とは、アンテナコイルの少なくとも1つの出力導電体または帰還導電体がジグザグ波または方形波状の構成を有し、階段状の遷移を形成する構成のことをいう。
【0009】
読み取り対象のRFIDタグのタグアンテナは、細長く、キャリアを横断して配置されてもよい。タグアンテナの幅は、アンテナコイルの各アンテナの幅に実質的に等しい。
【0010】
キャリアの上に縦方向に互い違いに配置された少なくとも2つのアンテナコイルを備えてもよい。少なくとも2つのアンテナコイルは、互いに同一の構造を持つ。少なくとも2つのアンテナコイルは、連続的に駆動されてもよい。少なくとも2つのアンテナコイルは、互いに位相が外れるように駆動されてもよい。アンテナアセンブリは、2つのアンテナコイルを備えてもよい。2つのアンテナコイルは、互いに90°位相が外れるように駆動される。
【0011】
高透磁率層は、当該高透磁率層を金属基板に位置付けけるために、当該金属基板の相補的特徴と協同するように構成されたロケータを備えてもよい。高透磁率層はフェライト層であってもよい。
【0012】
アンテナアセンブリは、電気コネクタ配列を介して、RFIDタグ照合器に電気的に接続するコネクタを備えてもよい。金属基板は、孔を有し、金属基板および当該金属基板に配置された物品を通る流体の流れを促してもよい。高透磁率層および細長いキャリアは、物品を通り過ぎる流体の流れの中断を最小化する。
【0013】
高透磁率層は第1の層であってもよい。RFID読み取りアンテナアセンブリは、第2の高透磁率層を含む第2の高透磁率層は、第1の高透磁率層と機能的に位置合わせされる。第2の高透磁率層は、第2の金属基板に取り付け可能である。第2の金属基板は、間隔を空けて、第1の高透磁率層を搭載した金属層の上または下に配置される。
【0014】
本開示の第2の態様では、前述のいずれかのRFID読み取りアンテナアセンブリを搭載する金属基板とともに使われる在庫追跡方法が与えられる。この方法は、物品をRFID読み取りアンテナアセンブリのアンテナコイルに位置付けるステップと、RFID読み取りアンテナアセンブリを駆動することによって、RFIDタグ照合器を用いてRFIDタグを照合するステップと、を含む。物品は、関連するRFIDタグを付与され、関連するRFIDタグとRFID読み取りアンテナアセンブリのアンテナコイルとが機能的に位置合わせされるように配置される。関連するRFIDタグは、RFID読み取りアンテナアセンブリを介して、RFIDタグ照合器を用いて照合される。
【0015】
ある非限定的な実施の形態では、在庫追跡方法は、関連するRFIDタグを照合するために、RFIDタグ照合器を用いて、前述のいずれかのRFID読み取りアンテナアセンブリの少なくとも2つのアンテナコイルを連続的に駆動するステップを含む。
【0016】
ある非限定的な実施の形態では、アンテナアセンブリは、少なくとも2つのアンテナアセンブリを備える。在庫追跡方法は、関連するRFIDタグを照合するために、RFIDタグ照合器を用いて、前述のいずれかのRFID読み取りアンテナアセンブリの少なくとも2つのアンテナコイルを互いに位相が外れるように駆動するステップを含む。
【0017】
金属基板は、複数の細長い別々の区画を備えてもよい。区画の各々は、縦軸を有する。前述のいずれかのRFID読み取りアンテナアセンブリは、それぞれ、区画の1つに配置される。各RFID読み取りアンテナアセンブリの縦軸は、関連する区画の縦軸と実質的に同軸である。この在庫追跡方法は、物品を関連する区画に配置するステップを含む。関連するRFIDタグのアンテナコイルは、RFID読み取りアンテナアセンブリの縦軸に対して横向きに配置される。
【0018】
本開示の別の態様では、在庫を追跡するための金属基板を改造する方法が与えられる。この方法は、前述のいずれかのRFID読み取りアンテナアセンブリをRFIDタグ照合器に電気的に接続するステップと、RFID読み取りアンテナアセンブリを金属基板に取り付けるステップと、を含む。
【0019】
本開示のさらに別の態様では、金属基板とともに使われる在庫追跡システムが与えられる。このシステムは、RFIDタグ照合器と、前述のいずれかのRFID読み取りアンテナアセンブリと、を備える。RFID読み取りアンテナアセンブリは、RFIDタグ照合器と通信するために、金属基板に取り付けられる。
【0020】
在庫追跡システムは、少なくとも1つのRFIDタグをさらに備えてもよい。RFIDタグは、物品に取り付け可能である。物品は、使用中、金属基板に配置される。RFIDタグと、RFID読み取りアンテナアセンブリのアンテナコイルとは、機能的に位置合わせされる。関連するRFIDタグは、RFID読み取りアンテナアセンブリを介して、RFIDタグ照合器を用いて照合される。
【0021】
在庫追跡システムは、電気コネクタ配列を備えてもよい。RFID読み取りアンテナアセンブリは、電気コネクタ配列を介して、RFIDタグ照合器と通信する。金属基板は、ホルダーで取り外し可能に受け取られてもよい。電気コネクタ配列は、少なくとも1つのコネクタを含む。コネクタは、金属基板がホルダーに挿入および除去されたとき、RFIDタグ照合器とRFID読み取りアンテナアセンブリとの間の電気的接続をそれぞれ確立および遮断する。金属基板およびホルダーは、相補的な把持部品を備えてもよい。相補的な把持部品は、金属基板がホルダーに挿入されたとき、金属基板をホルダーに対して位置付けて把持し、金属基板がホルダーに対して留まることを促す。
【0022】
本明細書全体を通じて、「備える」またはその変形である「備えている」という用語は、指定された要素、整数もしくはステップ、または、要素、整数もしくはステップのグループが含まれることを意味するが、他のいかなる要素、整数もしくはステップ、または、他のいかなる要素、整数もしくはステップのグループも排除されないことが理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
以下、添付の図面を参照しながら、例示を用いて本開示の非限定的な実施の形態を説明する。
【0024】
図1】容器、当該容器に配置されたフレームの形をしたホルダー、および各々がフレームに取り外し可能に受け取られるトレイの形をした金属基板を含むキャビネットの透視図である。
【0025】
図2図1に示されるキャビネットのトレイに受け取られる物品の追跡に使われる在庫追跡システムの非限定的な実施の形態の正面図である。
【0026】
図3図2に示されるシステムのトレイの1つの平面図である。在庫追跡システムのRFID読み取りアンテナアセンブリは、トレイに取り付けられる。4つの物品がトレイの上に受け取られる。各物品は、アンテナアセンブリの1つに紐付けられている。
【0027】
図4図3に示されるトレイに取り付けられたRFID読み取りアンテナアセンブリの側面の一部を示す模式図である。
【0028】
図5a図3に示されるシステムのトレイで使われるアンテナアセンブリの非限定的な実施の形態の上面の模式図である。
【0029】
図5b図3に示されるシステムのトレイで使われるアンテナアセンブリの代替的な非限定的な実施の形態の上面の模式図である。
【0030】
図6図3に示されるシステムのトレイで使われるアンテナアセンブリの別の非限定的な実施の形態の上面の模式図である。
【0031】
図7a】使用中にキャビネットのトレイの1つに取り付けられた在庫追跡システムの一部の非限定的な実施の形態の側面断面図である。RFIDタグが付与された物品が、トレイの上に受け取られている。
【0032】
図7b】使用中にキャビネットのトレイの1つに取り付けられた在庫追跡システムの一部の別の非限定的な実施の形態の側面断面図である。RFIDタグが付与された物品が、トレイの上に受け取られている。
【0033】
図8図5aのアンテナアセンブリの上面および断面を示す模式図である。側面断面図は、使用中、アンテナアセンブリのアンテナコイルによって生成される磁場を示す。
【0034】
図9a図5a、図5bおよび図6のアンテナアセンブリのアンテナコイルに配置されたRFIDタグのタグアンテナの一部の模式的な透視図であり、使用中のタグアンテナとアンテナアセンブリとの間の電磁結合を示す。
【0035】
図9b図9aの使用中の構成を示す模式的な側面断面図である。使用中、図5a、図5bまたは図6のアンテナアセンブリのアンテナコイルの横方向に配置された部分に対してタグアンテナがオフセットしているときの、タグアンテナとアンテナアセンブリとの間の電磁結合を示す。
【0036】
図10図5aまたは図5bのアンテナコイルの模式的な側面断面図と、使用中タグアンテナがアンテナアセンブリのアンテナコイルに対して様々な位置を取ったときの、正規化された相互インダクタンスと位置との関係を示すプロットである。
【0037】
図11図6のアンテナコイルの模式的な側面断面図と、使用中タグアンテナがアンテナアセンブリのアンテナコイルに対して様々な位置を取ったときの、正規化された相互インダクタンスと位置との関係を示すプロットである。
【0038】
図12図6のアンテナコイルを駆動するのに使われる様々な方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図面において、一般に符号10は、キャビネット14で受け取られる追跡対象の物品12に使うための在庫追跡システムの非限定的な実施の形態を示す。図1に示されるように、キャビネット14は、容器16と、容器16内に配置されるフレーム18の形をしたホルダーと、ドア17と、を含む。トレイ20は、変位可能に(より具体的には、取り外し可能に)フレーム18に受け取られ、垂直方向に積層された状態で間隔を空けてフレーム18内に動作可能に配置される。
【0040】
図1に示されるキャビネット14の非限定的な実施の形態は、物品12のインキュベータである。例えば、キャビネットは撹拌器である。物品12の各々は、柔軟な(一般にはプラスチックの)バッグであって、体液(例えば、血液または血小板などの血液成分)を内蔵するものであってよい。各バッグの内蔵物は、撹拌される必要がある。従って、バッグ12の撹拌を可能とするために、フレーム18は、容器16に対して往復運動できるようにキャビネットの容器16内に取り付けられる。
【0041】
当業者は、他の非限定的な実施の形態(図示しない)において、取り外し可能にフレーム18に受け取られるトレイ20が1個だけでよいこと、トレイ20に受け取られる物品12が1個だけでもよいこと、および/またはキャビネット14はトレイ20を備えた任意の一般的なキャビネットでもよいことを理解できるだろう。
【0042】
図2に示される在庫追跡システム10の模式的な実施の形態において、トレイ20の各々は、複数のバッグ12を受け取るように構成される。バッグ12の各々は、RFIDタグ22が付与され、水平方向に間隔を空けて動作可能に配置される。典型的に、RFIDタグは、RFIDタグチップと、アンテナコイルと、を含んでもよい。在庫追跡システム10は、導電体キャリア26、28の形をした相補的部品を有する電気コネクタ配列24を含む。導電体キャリア26および28は、それぞれ、トレイ20およびフレーム18によって搭載される。詳細は後述するが、導電体キャリア26、28の各々は、プリント回路基板(PCB)の形をしている。
【0043】
各トレイ20に、1個のPCB26が取り付けられる。PCB26は、PCB26のトラックの形で導電体(図示しない)の組を搭載する。フレーム18の各サポートスタンション29に、1個のPCB28が取り付けられる。PCB28は、PCB28のトラックの形で一組の導電体(図示しない)の第2の組を搭載する。PCB26とPCB28とは、電気接続部品36を用いて接続される。
【0044】
在庫追跡システム10はまた、RFIDタグ照合器30を含む。図2で模式的に示されるように、RFIDタグ照合器には、有線の電気接続部品32を用いて、各PCB28が接続される。RFIDタグ照合器は、各バッグ12のRFIDタグ22を問い合わせるように構成される。RFIDタグ照合器30は、有線または無線接続を介して、コンピュータ(図示しない)に接続される。
【0045】
上記の通り、PCB26は各トレイ20に紐付けられる。これにより、RFIDタグ照合器30を用いた、キャビネット14内の各トレイ20上の各バッグ12のRFIDタグ22の照合が促進される。
【0046】
図3は、キャビネット14のトレイ20の1つの非限定的な実施の形態を示す。トレイ20は、横方向に配置された複数の分割器を搭載する。これらの分割器は、複数の別々の区画38、40、42、44を定義する。RFIDタグ22が付与されたバッグ12はそれぞれ、これらの各区画に受け取られる。
【0047】
在庫追跡システム10はまた、複数のRFID読み取りアンテナアセンブリ100を含む。これら複数のRFID読み取りアンテナアセンブリ100は、本開示の非限定的な実施の形態であり、以下でより詳しく説明する。各RFID読み取りアンテナアセンブリ100は、トレイ20に配置されたバッグ12に付与されたRFIDタグを読み取るために、トレイ20の上で使われる。図3に示される非限定的な実施の形態では、RFID読み取りアンテナアセンブリ100は、キャビネット14の各トレイ20の区画38、40、42、44に紐付けられる。
【0048】
各アンテナアセンブリ100は、アンテナコイル102と、カバー(図示しない)と、フェライト層104の形をした高透磁率層と、細長いキャリアと、を含む(図5a、5b)。各アンテナアセンブリ100のアンテナコイル102は、接点110、112の組で終端する。この接点110、112の組を介して、アンテナアセンブリ100は、PCB26の1つに接続する。さらに、各アンテナアセンブリ100は、トレイ20に取り付けられる。この非限定的な実施の形態では、フェライト層104は、トレイ20の上面35に動作可能に取り付けられる(図7aにも示される)。使用中に各バッグ12は、それぞれが紐付けられたアンテナアセンブリ100の上に置かれる。図3では、アンテナアセンブリ100は、区画42に見える。区画42には物品12がない。図示を目的に、アンテナアセンブリ100は区画42にある。
【0049】
区画38、40、42、44は、それぞれ細長く、縦軸46を定義する。これに相応して各アンテナアセンブリ100は、細長く、縦軸106を定義する。アンテナアセンブリ100が、それぞれに紐付けられた区画38、40、42、44に取り付けられると、アンテナアセンブリ100の縦軸106は、区画38、40、42、44の縦軸46と同軸になる。このようにして、区画38、40、42、44のアンテナアセンブリ100を介した、RFIDタグ照合器30によるRFIDタグ22の照合を促進するために、区画38、40、42、44に紐付けられたバッグ12のRFIDタグ22と、アンテナアセンブリ100のアンテナコイル102と、は機能的に位置合わせされる。RFIDタグ22とアンテナアセンブリ100との機能的な位置合わせは、RFIDタグ22に紐付いたアンテナコイルがアンテナアセンブリ100の縦軸106に横方向に配置されるように、バッグ12を関連する区画38、40、42、44に配置することで実現できることが理解されるだろう。
【0050】
図5aに、アンテナコイル102の非限定的な実施の形態を示す。アンテナコイル102は、接点110、112の組で終端する。アンテナコイル102は、接点110、112の組および電気コネクタ配列24を介してRFIDタグ照合器30と通信し、当該RFIDタグ照合器30によって駆動され、RFIDタグ22を照合するために、矢印118で示される向きに電流を流す。フェライト層104は、トレイ20に取り付けられる。細長いキャリア114は、フェライト層104に取り付けられる。
【0051】
アンテナコイル102は、細長いキャリア114の上に搭載され、複数の均一に間隔を空けて横方向に配置された部分116を有する。この横方向に配置された部分116は、実質的に同じ幅を持った連続するアンテナループ105を定義する。各アンテナループ105の幅は、隣接する横方向に配置された部分116同士の間隔に実質的に等しい。この非限定的な実施の形態では、横方向に配置された部分116の各々は、アンテナコイル102のアンテナループ105の1つの横部を形成する。アンテナコイル102は、横方向に配置された部分116の複数の対を有する。これらの対は、互いに交差して、一連の(または連続した)8の字型の構造を定義する。これにより、連続したアンテナループ105の連鎖が形成される。この非限定的な実施の形態では、アンテナコイル102の横方向に配置された部分116の対同士の間隔は一定である。これにより、実質的に同じ幅のアンテナループ105の連鎖が形成される。
【0052】
当業者が理解するように、横方向に配置された部分116の対の各々は、互いに交差する。このとき、横方向に配置された部分116の1つは、キャリア114(これはPCBであってよい)の一方の側を通過し、当該細長いキャリア114の他方の側まで続く。これに対し、横方向に配置された部分116のもう1つは、細長いキャリア114の頂部に留まる。これに代えて、横方向に配置された部分116の各々を形成する導電体が、ともにPCBの同じ側にあるが、互いに交差する部分で電気的に絶縁されていてもよい。
【0053】
本明細書で「連続したアンテナループ」とは、横方向に配置された部分116の対を共有することにより、隣のアンテナループ105と物理的に隣接するようになったアンテナループ105の対のことをいう。図示される非限定的な実施の形態では、このような3つの横方向に配置された部分116が与えられる。しかし、容易に理解されるように、横方向に配置された部分116の対が1つだけあり、8の字型の構造が1つ定義され、連続したアンテナループ105の1つの対が形成されてもよい。
【0054】
図5bに、代替的な非限定的な実施の形態が示される。特段の断りのない限り、前述の非限定的な実施の形態に対し、同様の部品には同様の符号を付す。アンテナコイル102は、複数の均一に間隔を空けて横方向に配置された部分116を有する。この横方向に配置された部分116は、実質的に同じ幅を持った連続するアンテナループ105を定義する。各アンテナループ105の幅は、隣接する横方向に配置された部分116同士の間隔に実質的に等しい。この非限定的な実施の形態では、(接点110からの)出力導電体103は、曲がりくねった形状の構成を持つ。(接点112への)帰還導電体107は、その長さの実質的に全体にわたって直線状であり、キャリア114の縦エッジ線の1つに隣接して平行に延びる。しかし容易に理解されるように、上記に代えて、帰還導電体107帰還導電体107が曲がりくねった形状の構成を持ち、出力導電体103が直線状であってもよい。
【0055】
上記のように、各バッグ12は血小板を内蔵する。血小板は、キャビネット14内に収容されている間、撹拌されていることが重要である。アンテナアセンブリ100が厚すぎると、アンテナアセンブリ100の両側および関連するトレイ20の表面35にステップが形成されるかもしれない。バッグ12はこのようなステップの上に配置され、ステップによる血小板のせき止め効果が生まれる可能性がある。これは望ましいことではない。従って、アンテナアセンブリ100、フェライト層104、細長いキャリア114およびカバーの各々の厚さは、それぞれ、1mm未満であり、好ましくは約0.1-0.5mmであり、例えば0.2mmである。これにより、ステップのサイズが縮小され、バッグ12内の血小板のせき止め効果が最小化される。
【0056】
在庫追跡システム10の一部としてのフレーム18には、複数のアンテナアセンブリ100の配置があり得る。これらは同等の技術的効果を与えるだろう。
【0057】
図示される非限定的な実施の形態では、トレイ20は、孔を持ち、トレイ20および当該トレイ20に配置された物品12を通る流体の流れを促し、図4に示されるような複数の開口48を定義する。いくつかの実施の形態では、トレイ20の開口48は、位置決めメカニズム49の一部を形成する。アンテナアセンブリ100は、位置決めピン108の形をした位置決めメカニズム49の第2部分を含む。これらは、フェライト層104の下面に動作可能に搭載される。位置決めピン108は、開口48に取り外し可能に受け取られる。これにより、アンテナアセンブリ100を、トレイ20の区画38、40、42、44に取り付け、位置決めすることができる。位置決めピン108は、圧入により、開口48内に留まる。各アンテナアセンブリ100は、複数の位置決めピン108(これらは、縦方向または横方向に間隔を置かれる)を備えてもよい。位置決めピン108の各々は、トレイ20の複数の開口48の1つに受け取られる。
【0058】
代替的な実施の形態では、このタイプの位置決め機構は使われず、位置決めピンは不要である。その代わり、アンテナアセンブリ100は、位置決め機構を使わずにトレイ20に確実に固定できるような形状およびサイズを持つように構成されてもよい。
【0059】
図6に、アンテナアセンブリ100の第2の実施の形態を示す。このアンテナアセンブリ100は、細長いキャリア114上に縦方向に互い違いに配置された2つのアンテナコイル102a、102bを備える。特段の断りのない限り、前述の非限定的な実施の形態に対し、同様の部品には同様の符号を付す。アンテナコイル102aと102bとを明確に区別するために、アンテナコイル102bは点線で示されている。さらに2つのアンテナコイル102a、102bは、互いにオフセットしたそれぞれの縦軸102a、102bとともに示されている。縦軸102a、102bは、細長いキャリア114の縦軸106とともに示されている。しかしこれらの目的は、説明を簡単にすることに過ぎない。特に2つのアンテナコイル102a、102bの縦軸102a、102bは、同軸であってもよい。アンテナコイル102a、102bの横方向に配置された部分116の組は、互いに縦方向に間隔を空けて配置される。アンテナコイル102a、102bの横方向に配置された部分116は、上記の図5aを参照して説明したものと同様に配置される。
【0060】
アンテナコイル102a、102bは、互いに同一の構成(この実施の形態では、横方向に配置された部分116の2つの対)を持つ。これらは、3つの連続したアンテナループを形成する。アンテナコイル102a、102bは、それぞれ接点110a、112a、110b、112bの組で終端する。バッグ12に紐付けられたRFIDタグ22を照合するために、アンテナコイル102a、102bは、それぞれ接点110a、112a、110b、112bおよびコネクタを介してRFIDタグ照合器30と通信し、RFIDタグ照合器30によって駆動される。容易に理解されるように、他の非限定的な実施の形態では、アンテナコイル102a、102bのそれぞれの横方向に配置された部分116は、図5bに示されるものと同様の方法で構成されてもよい。
【0061】
アンテナコイル102a、102bは、互いに連続的に駆動されるように構成される。代替的に、アンテナコイル102a、102bは、互い位相が外れるように駆動されてもよい(より具体的には、アンテナコイル102a、102bは、互いに90°位相が外れるように駆動されるように構成される)。これらの構成については、後でより詳しく述べる。当業者は、より多くの横方向に間隔空けて配置された部分116の対を与えるために、3つ以上のアンテナコイルがキャリアに搭載されてもよいことを理解するだろう。この場合、アンテナコイルが互いに位相が外れるように駆動されるとき、相応して、アンテナコイルの駆動電流間の差も異なるだろう。
【0062】
図6に示されるアンテナアセンブリ100の非限定的な実施の形態のアンテナコイル102a、102bは、様々な方法で駆動されてよい。図12に、適切に利用可能な3つの方法の非限定的な例が示される。第1の非限定的な実施の形態では、駆動方法400が使われる。これは、スイッチ402を備えた1つのRFIDタグ照合器30を使う。スイッチ402は、接続端子404a、404bを適切な周波数で切り替え、アンテナコイル102a、102bを連続的かつ効果的に駆動する。
【0063】
第2の非限定的な実施の形態では、駆動方法500が使われる。これは、1つのRFIDタグ照合器30と、二股に分かれた接続部502と、を使う。これらは、アンテナコイル102a、102bの両方を駆動するのに使われ、単信号を使う。この単信号は、+45°信号と-45°信号とに分割される。これにより、アンテナコイル102a、102bは、互いに90°位相が外れるように駆動される。
【0064】
第3の非限定的な実施の形態では、駆動方法600が使われる。この実施の形態では、RFIDタグ照合器は、それぞれ関連する接続部602a、602bを介してアンテナコイル102a、102bに接続された2つのRFIDタグドライバ30a、30bを備える。RFIDタグドライバ30a、30bのそれぞれは、適切な周波数で、関連するアンテナコイル102a、102bを駆動する。これにより、アンテナコイル102a、102bは、互いに90°位相が外れるように駆動される。
【0065】
図7aに示される非限定的な実施の形態では、各アンテナアセンブリ100は、関連する第2のフェライト層の形をした第2の高透磁率層62を有する。第2の高透磁率層62の各々は、位置決めピン(図示しない)を、トレイ20aの下面33を介して、複数の開口48の1つに動作的に圧入することにより、すぐ上のトレイ20の下面に動作可能に取り付けられる。第2のフェライト層62は、図4に示されたものと同様やり方で、下のトレイ20bの表面35に取り付けられたアンテナアセンブリ100と、機能的に位置合わせされる。第2のフェライト層62は、アンテナアセンブリ100で発生する磁場に関して低磁気抵抗の経路を与える。これにより、アンテナアセンブリ100と、バッグ12に搭載されるRFIDタグ22と、の間の相互インダクタンスが増加する。
【0066】
上記のように、各アンテナアセンブリ100は、なるべく薄く作成する必要がある。この場合、製造時の複雑さが増し、紐付けられたトレイ20から取り外されるときアンテナアセンブリ100が損傷するおそれがある。図7bに、システム10の他の非限定的な実施の形態を示す。特段の断りのない限り、前述の非限定的な実施の形態に対し、同様の部品には同様の符号を付す。
【0067】
この非限定的な実施の形態では、各アンテナアセンブリ100は、トレイ20aの下面33を介して、位置決めピン108を複数の開口48の1つに動作的に圧入することにより、上のトレイ20aに取り付けられる(図4に示されるのと同じ方法で)。この非限定的な実施の形態では、再びアンテナアセンブリ100は、関連する第2のフェライト層62を有する。第2のフェライト層62の各々は、紐付けられたアンテナアセンブリ100に対して機能的に位置合わせするために、下のトレイ20bの上面35を介して、位置決めピン(図示しない)を複数の開口48の1つに動作的に圧入することにより、下のトレイ20bに取り付けられる。第2のフェライト層62は、アンテナアセンブリ100で発生する磁場に関して低磁気抵抗の経路を与えるのに役立つ。これにより、アンテナアセンブリ100と、バッグ12に搭載されるRFIDタグ22と、の間の相互インダクタンスが増加する。第2のフェライト層62は、薄く、1mm未満のオーダであり、例えば0.2mmの厚さである。これにより、ステップおよびフェライト層62に重なるバッグ12の潜在的なせき止め効果が低減する。
【0068】
この構成は、アンテナアセンブリ100を、最初により厚いフェライト層104を用いて製造し(なるべく薄くする必要はない)、次により厚いアンテナコイル102を用いて製造できるので、有利である。この非限定的な実施の形態は、より厚いフェライト層104が磁場を増加させ、アンテナアセンブリ100とバッグ12に搭載されるRFIDタグ22との間のRFIDの動作を向上させるというさらなる利点を持つ。より厚いアンテナコイル102は、最大3.5mmの厚さであり、例えば約1.6mmの厚さである。より厚いフェライト層104は、最大2.5mmの厚さであり、例えば約0.5mm以上1mm以下の厚さであり、典型的には0.5mmの厚さである。
【0069】
代替的な実施の形態では、アンテナの下に単一のフェライト層が使われてもよい。この実施の形態では、位置決めピンおよび第2のフェライト層62は不要である。
【0070】
一旦、在庫追跡システム10がキャビネット14内に設置されると、ユーザはトレイ20の各区画にバッグ12を置く。各バッグ12は、それぞれに紐付けられたRFIDタグ22を有する。
【0071】
各物品12のRFIDタグ22を照合するために、ユーザは、RFIDタグ照合器30および電気コネクタ配列24を用いて、各トレイ20のアンテナアセンブリ100を駆動する。図8にA-Aの切断線で模式的に示されるように、ユーザがアンテナアセンブリ100のアンテナコイル102を駆動すると、誘導結合が発生する。これにより、横方向に配置された部分116の各々に隣接して磁場122が形成される。横方向に配置された部分116に交差した磁場122は互いに強め合う。その結果、磁場122より強い磁場124が形成される。
【0072】
使用中、RFIDタグ22のタグアンテナ導電体13と、アンテナアセンブリ100の駆動されたアンテナコイル102との間に誘導結合が発生する。図示されるタグアンテナ導電体13は、RFIDタグ22のアンテナコイルの一部を形成する導電体を表す。長さlの導電体を流れる電流から距離dにある長さlの導電体Mの相互インダクタンスは、以下で与えられる。
【数1】
【0073】
図9aに、アンテナアセンブリ100のアンテナコイル102の1つの横方向に配置された部分116の組の真上に配置されたタグアンテナ導電体13を模試的に示す。タグアンテナ導電体13の有効結合長lおよび距離dが図示される。説明を目的に、バッグ12は図示されない。さらに説明を簡単にするために、横方向に配置された部分116の組が示されるが、当該横方向に配置された部分116の組を構成する導電体は、交差せずに互いに平行になっている。横方向に配置された部分116の各々と、タグアンテナ導電体13との間の相互インダクタンスM1、M2は、上記の式で与えられる。しかし2つの電流が導電体を流れるため、相互インダクタンスM1、M2は強め合い、全相互インダクタンスMは、以下で与えられる。
【数2】
【0074】
図9bは、タグアンテナ導電体13が、アンテナアセンブリ100のアンテナコイル102の1つの横方向に配置された部分116に対して、xだけオフセットしている状況を示す模式図である。この構成では、dは次のように算出される。
=h+x
従ってこの状況では、アンテナコイル102とタグアンテナ導電体13との間の全相互インダクタンスMは減少する。
【0075】
図10に、アンテナアセンブリ100に対して異なる水平位置にあるRFIDタグ22を示す。ユーザがトレイ20の上の様々な位置にバッグ12を置けることを示すため、バッグ12は図示されない。この非限定的な実施の形態では、タグアンテナ導電体13の幅は、隣接する横方向に配置された部分116の組同士の間隔(従って、アンテナコイル102のアンテナループ105の1つの幅)に実質的に等しい。
【0076】
図10のプロット200に、RFIDタグ22のタグアンテナ導電体13のアンテナアセンブリ100に沿った水平位置xに対して、全相互インダクタンスおよび全相互インダクタンスの絶対値|M|がプロットされる。プロット200では、全相互インダクタンスの絶対値(または、正規化された値)|M|が実線で示され、全相互インダクタンスMが破線で示される。プロット200は、タグアンテナ導電体13が横方向に配置された部分116同士の実質的に中間に配置されたとき全相互インダクタンスMがゼロになり、タグアンテナ導電体13が横方向に配置された部分116の真上に配置されたとき全相互インダクタンスMが最大になることを示す。従って、タグアンテナ導電体13が隣接する横方向に配置された部分116同士の中間に配置された場合、タグアンテナ導電体13とアンテナアセンブリ100との間に結合が発生せず(または最小となり)、システム10のアンテナアセンブリ100はタグアンテナ導電体13を読み取れないことがある。
【0077】
この問題を解決するために、図6に示されるような、2つの縦方向にオフセットされたアンテナコイル102が与えられる。図11に、図6の非限定的な実施の形態のアンテナアセンブリ100に対して異なる水平位置にあるRFIDタグ22を示す。バッグ12は図示されない。図11はまた、タグ22を、トレイ20の上で、アンテナアセンブリ100に対する様々な位置に配置できることを示す。
【0078】
図11のプロット300に、アンテナコイル102a、102bの各々に関し、RFIDタグ22のタグアンテナ導電体13のアンテナアセンブリ100に沿った水平位置xに対して、全相互インダクタンスの絶対値(または、正規化された値)|M|がプロットされる。プロット300では、アンテナコイル102aからの全相互インダクタンスの絶対値|Mが破線で示され、アンテナコイル102bからの全相互インダクタンスの絶対値|Mが実線で示される。有利には、この非限定的な実施の形態では、タグアンテナ導電体13で作られる相互インダクタンスMは、0には到達しない。なぜなら、タグアンテナ導電体13は、常に、アンテナコイル102a、102bのいずれかと結合するところに位置するからである。言い換えれば、タグアンテナ導電体13からの距離dおよびアンテナコイル102a、102bは、タグアンテナ22の各水平位置xで十分小さいので、十分な相互結合が発生し、アンテナアセンブリ100はタグアンテナ導電体13を読み取ることができる。
【0079】
有利には、インキュベータ内のトレイ20は、換気のために、孔および開口48を有する。開口48で受け取られるロケータ108があることにより、フレーム18がキャビネット14に対して往復運動するとき、アンテナアセンブリ100とバッグ12のRFIDタグ22との間の相対移動が低減される。これは、信号強度を保つのに役立つ。
【0080】
さらに、RFIDタグ22は、ラベルの一部として、関連するバッグに適用され、バッグ12の外面に動作可能に接着される。ラベルは、バッグ12の外面上の任意の場所に適用してよい。従ってRFIDタグ22は、トレイ20の区画(ここにバッグ12が配置される)のアンテナアセンブリ100と最適に位置合わせされなくてもよい。細長いストリップアンテナアセンブリ100を使うことは、RFIDタグ22およびアンテナアセンブリ100の位置合わせの失敗を最小化するのに役立つ。また、バッグ12の周辺に温度制御流体を流す必要があるので、細長いストリップアンテナアセンブリ100を使うことにより、アンテナアセンブリ100によって塞がれる開口48の数を最小化することができる。これによりバッグ12の換気が改善される。
【0081】
有利には、横方向に配置された部分116が存在することによって、アンテナアセンブリ100は磁場122を与える。この磁場122は、タグアンテナ導電体13とアンテナコイル102との間の全相互インダクタンスMの生成を促す。これによって、アンテナアセンブリ100はタグアンテナ導電体13を読み取ることができる。さらに横方向に配置された部分116の交差は、有利なことに、より強い磁場124を与える。これにより、全相互インダクタンスMが広く行き渡る。さらに、複数のアンテナコイルが与えられると、これらのアンテナコイルが連続的にまたは互いに位相が外れるように駆動されることにより、アンテナアセンブリ100に対するタグアンテナ導電体13の位置に関わらず、RFIDタグ22のタグアンテナ導電体13の読み取りが容易となる。
【0082】
いくつかの実施の形態では、各トレイ20(またはトレイの群、例えばトレイの列)が、トレイ20の状態パラメータを表示する表示器11と紐付けられる。ある実施の形態の例では、各トレイは、発光ダイオード(LED)など(例えば2色LED)の光パネルまたは光表示器を含む。
【0083】
いくつかの実施の形態の例では、LEDは単一色であって、トレイ20が正しくホームポジションに置かれ、PCB26とPCB28との間の電気的接触が良好であることを示すのに使われる。電気的接触ができていない場合、LEDは点灯しない。別の実施の形態の例では、LEDは、コード化されたメッセージを表示するように構成される。例えば、LEDは、トレイ20の搭載状況を表すのに点滅するようプログラムされてもよい。例えば、LEDが点滅しているときは、トレイ20にいくつかの空いた区画があることを示してもよい。これにより、ユーザは、血小板バッグ12を、空きのあるトレイ20のどこに配置すればよいかを即座に知ることができる(例えば図3で、空いた区画42)。
【0084】
さらに別の実施の形態の例では、2色LEDが使われ、必要な様々なメッセージを示すようにプログラムされてもよい。例えば、トレイ20が正しくホームポジションに置かれていること(または置かれていないこと)、搭載状況、あるいはトレイに特別の注意が必要なことなどを示すのに、色の組み合わせや点滅の組み合わせ等が使われてもよい。
【0085】
LED表示器11により、ユーザは、例えばコンピュータインタフェースを必要とすることなく、キャビネット14と相互作用できる。この簡略化されたインタフェースにより、ユーザは、LEDの色やコードを容易に観察することができる。これにより、ユーザは、トレイ20が正しくホームポジションに置かれているか、バッグ12を追加するのにどのトレイに空きがあるか、どのトレイに特別の注意を払う必要があるか、等を知ることができる。
【0086】
以上、いくつかの、より適切な非限定的な実施の形態の概略を説明した。当業者には、本発明の範囲を逸脱することなく、開示された非限定的な実施の形態に対する変形が可能であることが明らかだろう。従って、開示された非限定的な実施の形態は、より顕著な特徴および応用のいくつかの例示に過ぎない。非限定的な実施の形態を別の仕方で適用することにより、あるいは既知の方法で改良することにより、他の有益な結果が得られる。これは、本明細書で明示的に開示された様々な非限定的な実施の形態の間で、いくつかの特徴、要素および/または機能を組み合わせる(または、合わせる)ことを含む。これにより当業者は、特段の断りのない限り、ある実施の形態の特徴、要素および/または機能を他の実施の形態に適切に組み込めることを理解するだろう。以上の説明は特定の構成および方法に関するものであるが、それらの目的およびコンセプトは、他の構成およびアプリケーションに適用できる。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図6
図7a
図7b
図8
図9a
図9b
図10
図11
図12