(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】可変グリップを有する入力デバイス
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20241127BHJP
G06F 3/0338 20130101ALI20241127BHJP
A63F 13/24 20140101ALI20241127BHJP
【FI】
G06F3/01 560
G06F3/0338 411
A63F13/24
(21)【出願番号】P 2023549204
(86)(22)【出願日】2021-09-21
(86)【国際出願番号】 JP2021034652
(87)【国際公開番号】W WO2023047472
(87)【国際公開日】2023-03-30
【審査請求日】2024-03-21
(73)【特許権者】
【識別番号】310021766
【氏名又は名称】株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】只野 勝久
(72)【発明者】
【氏名】奥山 功
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 健
【審査官】亀澤 智博
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-000757(JP,A)
【文献】特開2012-055340(JP,A)
【文献】特開2003-199974(JP,A)
【文献】国際公開第2017/221432(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/033 - 3/039
A63F 13/00 -13/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項11】
前記グリップとして、右グリップと左グリップとを含んでいる
請求項1に記載の入力デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ユーザが握るグリップを有している入力デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に示すように、グリップに振動モータが内蔵された入力デバイスが、ゲーム機の操作用に利用されている。振動モータはゲーム空間内で生じるイベントやアクションに応じて振動するよう制御される。ユーザは振動モータによる振動を手で感じることで、そのイベントやアクションの発生を体感できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、グリップの持ち方によっては、ユーザの手に伝わる振動強度が低下する。例えば、グリップと手のひらとの間に隙間が生じていると、ユーザの手に伝わる振動強度が低下する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示で提案する入力デバイスは、ユーザが握るときに手のひらが触れる側面を有しているグリップと、ユーザが指で操作するための少なくとも1つの操作部材と、を有している。前記グリップは、グリップ本体と、前記グリップの前記側面の一部を構成しているグリップ可動部と、前記グリップ可動部に取り付けられている振動モータと、を含む。前記グリップ可動部と前記グリップ本体との相対位置は変えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本開示で提案する入力デバイスの一例を示す斜視図である。
【
図3A】入力デバイスのグリップを示す正面図である。この図において、グリップ可動部は縮小位置に配置されている。
【
図3B】入力デバイスのグリップを示す正面図である。この図において、グリップ可動部は拡大位置に配置されている。
【
図5A】
図4のV-V線で示す断面図である。この図において、グリップ可動部は縮小位置に配置されている。
【
図5B】
図4のV-V線で示す断面図である。この図において、グリップ可動部は拡大位置に配置されている。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下において、本開示で提案する入力デバイスについて説明する。本明細書では、本開示で提案する入力デバイスの一例として、ゲーム機の操作に利用される入力デバイス100について説明する。なお、本開示は、ゲーム機とは異なる情報処理装置の操作に利用される入力デバイス(例えば、シミュレーション装置の操作に利用される入力デバイスや、車両や船舶、航空機の操作に利用される入力デバイスなど)に適用されてもよい。
【0008】
以下の説明では、
図1のX1及びX2で示す方向をそれぞれ右方及び左方と称し、Y1及びY2で示す方向をそれぞれ前方及び後方と称する。また、Z1及びZ2で示す方向をそれぞれ上方及び下方と称する。これらの方向は、入力デバイス100の要素(部品や、部材、部分)の相対的な位置関係を説明するために使用され、入力デバイス100の使用時の姿勢を特定するものではない。
【0009】
[操作部材]
図2に示すように、入力デバイス100は、ユーザが手で握るための1本のグリップ30を有している。グリップ30は、上下方向で伸びている棒状である。入力デバイス100は、ユーザが指で操作するための複数の操作部材を有している。複数の操作部材はグリップ30の上方に位置している。入力デバイス100は、複数の操作部材の例として、押しボタン11、12、13、14を有している。また、入力デバイス100は、操作部材の例として、操作スティック15を有している。操作スティック15は、その半径方向に傾けたり、操作スティック15を傾けた状態で回転させたりできる。操作スティック15は押しボタン11~14よりも左方に位置し、グリップ30の左側面30aよりも左方に突出している。さらに、入力デバイス100は、トリガーボタン16(
図4参照)を有している。入力デバイス100は、グリップ30の上部に位置している操作部10を有している。押しボタン11、12、13、14と操作スティック15は、操作部10の前面10aに設けられている。トリガーボタン16は押しボタン11、12、13、14とは反対側(すなわち、操作部10の後側)に設けられている。トリガーボタン16は左右方向に伸びている中心線Ax1(
図4参照)を中心として動くことができる。ユーザはグリップ30を握りながら、指で操作部材を操作する。具体的には、ユーザは、押しボタン11、12、13、14と操作スティック15とを親指で操作する。また、ユーザはトリガーボタン16を人指し指で操作する。入力デバイス100は、ボタン11~16の操作に応じた信号を、無線或いは有線で、ゲーム装置に送信する。(以降の説明において、上述した操作ボタン11~14、操作スティック15、及びトリガーボタン16を区別しないときには、これらを操作部材11~16と称する。)
【0010】
入力デバイス100では、操作部材11~15が設けられている操作部10の前面10aはグリップ30の延伸方向(上下方向)に対して前側に傾斜している(
図4参照)。入力デバイス100とは異なり、操作部10の前面10aはグリップ30の延伸方向と平行であってもよい。
【0011】
操作部材の種類や数は、ここで説明する例に限られない。例えば、入力デバイス100は、操作スティック15に替えて、或いは、操作スティック15とともに、十字キーを有してもよい。また、入力デバイス100は、トリガーボタン16の位置に、直線的に動く押しボタンを有してもよい。さらに他の例では、入力デバイス100が有する操作部材の数は1つだけでもよい。
【0012】
また、操作部材が配置される位置は、グリップ30の上方に位置している操作部10だけに限られない。例えば、操作部材はグリップ30に配置されてもよい。
図1に示すように、グリップ30に押しボタン37が配置されてもよい。
【0013】
[発光部]
また、入力デバイス100は、発光部2(
図1参照)を有してもよい。発光部2は、例えば、ボール状であり、入力デバイス100の最上部に配置される。ゲーム機は、ゲーム機に接続されているカメラを通して発光部2の位置及びサイズを追跡し、得られた情報に基づいてゲームに係る情報処理を実行する。発光部2の数や、位置、形状などはここで説明する例に限られない。例えば、1又は複数の発光部が入力デバイスの筐体の内部に埋め込まれた状態で配置されていてもよい。また、入力デバイス100は発光部2を有していなくてもよい。
【0014】
[グリップの動き]
ユーザがグリップ30を握っているとき、グリップ30の側面がユーザの手のひらに触れる。ここでグリップ30の「側面」とは、上下方向に沿ったグリップ30の中心線Lc(
図2参照)を取り囲む面である。グリップ30は、例えば略四角柱であり、側面として、右側面30b、左側面30a、前側面30c、後側面を有する。グリップ30は円柱であってもよい。入力デバイス100は右手用のデバイスであり、ユーザの手のひらはグリップ30の右側面30b(
図2参照)に触れる。
【0015】
入力デバイス100は、操作部10とグリップ30の側面との相対位置を、左右方向において変えることができるように構成されている。言い換えれば、入力デバイス100は、操作部10に設けられている操作部材11~16と、グリップ30の側面との相対位置を、左右方向において変えることができるよう構成されている。上述したように入力デバイス100は右手用であるので、操作部10に設けられている操作部材11~16とグリップ30の少なくとも右側面30bとの相対位置を、左右方向において変えることができる。
【0016】
グリップ30はグリップ本体31とグリップ可動部32(
図2参照)とを有している。グリップ本体31の上部に操作部10が固定されている。グリップ本体31とグリップ可動部32は左右方向で並んでおり、グリップ可動部32はグリップ30の側面の一部を構成している。入力デバイス100においては、グリップ可動部32はグリップ本体31の右方に位置し、グリップ30の右側面30bを構成している。そのため、ユーザがグリップ30を右手で保持しているとき、手のひらがグリップ可動部32に当たる。
【0017】
図3A及び
図3Bに示すように、グリップ可動部32とグリップ本体31の相対位置が、左右方向で変えることができる。グリップ可動部32は、グリップ本体31に近接している第1の位置(
図3Aに示すグリップ可動部32の位置)と、左右方向においてグリップ本体31から離れている第2の位置(
図3Bに示すグリップ可動部32の位置)との間で、動くことができる。以下では、第1の位置を「縮小位置」と称し、第2の位置を「拡大位置」と称する。拡大位置にあるグリップ可動部32とグリップ本体31との距離は、縮小位置にあるグリップ可動部32とグリップ本体31との距離よりも大きい。
【0018】
グリップ30のこの構造により、ユーザは、グリップ可動部32と操作部10の相対位置を調整し、グリップ可動部32と操作部材11~16との間に、右手の指の長さに適合した距離を確保できる。すなわち、ユーザは自身の指の長さに合わせて、操作部材11~16と、グリップ30の右側面30bとの距離を設定できる。そのため、ユーザはボタン操作を快適に行うことができる。
【0019】
また、入力デバイス100においては、グリップ本体31に押しボタン37(
図5A参照)が設けられている。押しボタン37は、グリップ本体31とは左右方向において反対側に位置している(
図5A参照)。ユーザはグリップ可動部32の位置を調整することによって、押しボタン37と、グリップ30の右側面30bとの距離を自身の指の長さに合わせて設定できる。
【0020】
なお、グリップ可動部32の動きの方向は左右方向でなくてもよい。グリップ可動部32は、グリップ本体31から前方且つ右方に斜めに動いたり、グリップ本体31から後方且つ右方に斜めに動いたり、グリップ本体31から下方且つ右方に斜めに動いてもよい。つまり、グリップ30の右側面30bと操作部材11~16との距離が変化するように、グリップ可動部32はグリップ30の延伸方向(上下方向)に対して交差する方向に動いてよい。
【0021】
グリップ可動部32とグリップ本体31との間には、それらの相対位置を調整するための位置調整機構35(
図5A及び
図5B参照)が配置されている。位置調整機構35はユーザによって操作される位置調整操作部35c(
図2参照)を有している。ユーザは、位置調整操作部35cを操作することによって、グリップ可動部32の位置を、縮小位置、拡大位置、及びそれらの間の任意の位置に設定できる。位置調整機構35については、後において詳説する。
【0022】
グリップ可動部32の位置は、ここで説明する例に限られない。例えば、入力デバイス100は、左手用のデバイスであってよい。この場合、グリップ可動部32はグリップ本体31に対して左方に位置し、グリップ30の左側面30a(
図1参照)を構成してよい。さらに他の例では、グリップ30の形状は円柱であってもよい。この場合、グリップ可動部32は、円柱の外周面の右側部分(右側面)を構成してよい。
【0023】
[グリップ可動部の位置及びサイズ]
グリップ可動部32は、グリップ30の少なくとも上部に位置しているのが望ましい。グリップ可動部32のこの配置によると、グリップ可動部32と操作部10の相対位置の調整によって、グリップ可動部32と操作部材11~16との間に、指の長さに適合した距離が確保され易くなる。一例では、グリップ可動部32はグリップ30の最上部に位置し、グリップ可動部32の上縁32aは、
図3Aに示すように、操作部10の下縁10bに沿って位置している。また、グリップ可動部32の上縁32aは、グリップ30に設けられている操作ボタン37の上縁37a(
図4参照)の位置よりも高い。
【0024】
グリップ可動部32は上縁32aから下方に伸びている。
図4に示すように、上下方向でのグリップ可動部32の長さは、上下方向でのグリップ30の長さの半分よりも大きい。より具体的には、上下方向でのグリップ可動部32の長さは、上下方向でのグリップ30の長さの2/3よりも大きい。
【0025】
グリップ可動部32の位置やサイズは、ここで説明する例に限られない。グリップ可動部32のサイズ(長さ)は、上下方向でのグリップ30の長さの半分程度か、半分よりも小さくてもよい。
【0026】
グリップ可動部32は、上下方向に沿ったグリップ30の中心線Lcを取り囲むように湾曲している。すなわち、グリップ可動部32は、円弧状の水平断面を有するように湾曲している。そして、グリップ可動部32は、グリップ30の右側面30bと、前側面30cとを構成している。グリップ可動部32は、その内側に、部品を配置するスペースを形成している。一例では、グリップ可動部32の内側に、後述する調整機構35や振動モータ36が配置されている(
図5A参照)。
【0027】
[グリップ可動部の支持]
図5A及び
図5Bに示すように、グリップ可動部32は、その下端に、回転可能に支持されている被支持部32bを有している。被支持部32bは前後方向に沿った中心線を中心として回転可能となっている。一例では、グリップ本体31の下端で支持されている軸33が被支持部32bに形成された孔に差し込まれており、被支持部32bはこの軸33によって支持され、軸33を中心にして回転可能である。したがって、グリップ可動部32は軸33を中心として左右方向で動くことができる。
【0028】
これによると、グリップ可動部32が平行移動する構造に比して、グリップ可動部32の支持構造を簡単化できる。また、この支持構造によると、グリップ可動部32の上部の位置が、下部に比して、左右方向で大きく変化するため、グリップ可動部32について必要な可動範囲を確保することが容易となる。上述したように、グリップ可動部32のサイズ(長さ)はグリップ30の長さの半分より大きい。このことも、グリップ可動部32の上部の可動範囲の拡大に寄与している。
【0029】
グリップ可動部32の支持構造は、ここで説明する例に限られない。例えば、グリップ30は軸33を有していなくてもよい。この場合、グリップ本体31の下端とグリップ可動部32の下端のうちの一方に、前後方向で突出する凸部が形成され、グリップ本体31の下端とグリップ可動部32の下端のうちの他方に、この凸部が回転可能となるように凸部を保持する凹部が形成されてもよい。こうすることで、グリップ可動部32は凸部を中心として動くことができる。
【0030】
さらに他の例として、グリップ可動部32は平行移動できるように支持されてもよい。すなわち、グリップ可動部32の上端と下端の双方が左右方向で動くように、グリップ可動部32はグリップ本体31によって支持されてよい。さらに他の例として、グリップ可動部32の上端に、回転可能に支持される被支持部32bが設けられてもよい。この場合、被支持部32bは、グリップ本体31ではなく、操作部10によって支持されてもよい。
【0031】
[ハンド保持部材]
入力デバイス100は、ユーザの手をグリップ30の側面に固定するためのハンド保持部材を有する。ハンド保持部材を利用すると、入力デバイス100の使用時に、ユーザはグリップ30から手を離すことができる。すなわち、ユーザはグリップ30を握っている手を広げることができる。
【0032】
図2に示すように、入力デバイス100は、ハンド保持部材として、グリップ30に沿って配置され上下方向で伸びているバンド41を有している。バンド41は、グリップ30との間にユーザが手を入れるための隙間を形成する。入力デバイス100では、バンド41はグリップ30に対して右方に位置し、グリップ可動部32に沿って配置されている。したがって、ユーザは、バンド41とグリップ可動部32との間に手を入れることができる。
図4に示すように、入力デバイス100を側面視したとき(すなわち、グリップ可動部32の動く方向で入力デバイス100を見たとき)、バンド41はグリップ可動部32と重なる。
【0033】
バンド41の端部は、グリップ可動部32の端部を超えた位置で、入力デバイス100に取り付けられている。この構造により、グリップ可動部32とバンド41との相対位置(グリップ可動部32とバンド41との距離)を変えることができる。
【0034】
入力デバイス100では、
図5Aに示すように、バンド41の上端41aは、グリップ可動部32の上縁32aより高い位置で操作部10に取り付けられている。また、バンド41の下端41bは、グリップ可動部32の下端より低い位置で、グリップ本体31に取り付けられている。入力デバイス100とは異なり、バンド41の上端41aはグリップ本体31に取り付けられてもよい。また、バンド41の下端41bはグリップ可動部32の下端に取り付けられてもよい。
【0035】
バンド41は、その長さが調整可能なように構成されている。バンド41の長さを縮小することによって、バンド41とグリップ可動部32との隙間が小さくなり、ユーザの手はグリップ可動部32に押しつけられる。
【0036】
なお、ユーザの手をグリップ30の側面に固定するための構造は、ここで説明する例に限られない。例えば、バンド41の上端41aと下端41bはグリップ可動部32の上端と下端とにそれぞれ取り付けられてもよい。さらに他の例では、入力デバイス100は、ユーザの手をグリップ30の側面に固定するためのハンド保持部材として、バンド41に替えて、ユーザの手を嵌め入れることのできるグローブを有してもよい。
【0037】
[ハウジング]
図5Aに示すように、グリップ本体31はハウジング34を有している。ハウジング34は互いに組み合わされる2つのハウジング部34A、34Bを有している。2つのハウジング部34A、34Bは、例えば左右方向で組み合わされる。入力デバイス100とは異なり、ハウジング34は、前後方向で組み合わされる2つのハウジング部で構成されてもよい。
【0038】
図5Aに示すように、グリップ本体31には押しボタン37が設けられている。押しボタン37はハウジング34に形成された開口から外側に突出している。ハウジング34の内側には、フレーム38と、フレーム38に取り付けられ、押しボタン37の動きを検知するためのスイッチ38aとが配置されている。ハウジング34の内側には、フレーム38とともに、回路基板や、バッテリなど、種々の電気部品が配置されてよい。
【0039】
[位置調整機構]
入力デバイス100は、操作部材11~16と、グリップ30の側面との相対位置を調整するための位置調整機構35(
図5A参照)を有している。位置調整機構35は、グリップ可動部32とグリップ本体31との間に配置されている。また、位置調整機構35はユーザが操作する位置調整操作部35c(
図2参照)を有している。ユーザは位置調整操作部35cを操作することによって、グリップ可動部32の位置を、縮小位置、拡大位置、及びそれらの間の任意の位置に設定できる。
【0040】
図5Aに示すように、入力デバイス100は、位置調整機構35として、位置調整操作部35cに加えられる回転力を可動部材35Aの直進方向への動きに変換する機構、具体的には、送りねじ機構を有している。すなわち、位置調整機構35は、ねじ部35aと、ねじ部35aが内側に嵌められているナット部35bとを有している。ねじ部35aとナット部35bの一方はグリップ本体31側に設けられ、ねじ部35aとナット部35bの他方はグリップ可動部32側に設けられている。また、ねじ部35aとナット部35bのうちの一方は、位置調整操作部35cと一体的に形成されている。
【0041】
図5Aに示すように、入力デバイス100においては、位置調整機構35は可動部材35Aを有している。この可動部材35Aに位置調整操作部35cとねじ部35aとが形成されている。一方、ナット部35bはグリップ本体31のハウジング34に形成されている。詳細には、ナット部35bは、ハウジング34を構成する一方のハウジング部34Aと樹脂で一体的に形成されている。これにより、部品数の低減、製造工程数の低減を図ることができる。
【0042】
位置調整機構35は、ねじ部35aとナット部35bの中心線Ls(
図5A参照)がグリップ可動部32の移動方向(左右方向)に向くように、配置されている。
図5Bに示すように、可動部材35A(位置調整操作部35c)の一方向への回転により、可動部材35Aはグリップ本体31から離れる方向に動き、グリップ本体31とグリップ可動部32との距離を拡大する。また、可動部材35A(位置調整操作部35c)の反対方向への回転により、可動部材35Aはグリップ本体31に近づく方向に動き、グリップ本体31とグリップ可動部32との距離の縮小する(
図5A参照)。
【0043】
位置調整機構35はグリップ本体31に取り付けられ、グリップ可動部32には取り付けられていない。すなわち、可動部材35Aはグリップ可動部32の内面には取り付けられていない。そのため、可動部材35Aはグリップ可動部32に対して相対回転可能である。グリップ可動部32は、弾性部材(例えば、ばね)によってグリップ本体31側に付勢されていてもよい。例えば、グリップ可動部32を支持する軸33にグリップ本体31側に付勢するトーションばねが取り付けられてよい。
【0044】
位置調整操作部35cはねじ部35aの半径方向に広がる円盤状である。グリップ可動部32は、位置調整機構35の前側と後側とを覆うように湾曲している。
図2に示すように、位置調整操作部35cの外周部はグリップ30の側面から部分的に露出している。入力デバイス100では、グリップ可動部32に位置調整操作部35cの外周部を露出させる開口32cが形成されている。開口32cはグリップ可動部32の前側に形成されている。
【0045】
グリップ本体31には、グリップ可動部32の可動範囲を規定するストッパ部31a、39bが形成されている。グリップ可動部32には、ストッパ部31a、39bに当たる被ストッパ部32fが形成されている。グリップ可動部32が拡大位置にあるときに(
図5B参照)、ストッパ部31aは被ストッパ部32fに当たり、グリップ可動部32が拡大位置を超えて移動するのを規制する。グリップ可動部32が縮小位置にあるときに(
図5A参照)、ストッパ部39bは被ストッパ部32fに当たり、グリップ可動部32が縮小位置を超えて移動するのを規制する。
【0046】
図5Aに示すように、入力デバイス100においては、被ストッパ部32fはグリップ可動部32の上縁32aから上方に突出している。グリップ本体31の右ハウジング34Aには被ストッパ部32fが嵌まる開口が形成されている。この開口の右側の縁がストッパ部31aとして機能している(
図5B参照)。また、ハウジング34の内側にはフレーム39が配置されている。フレーム39の右側面がストッパ部39bとして機能している(
図5A参照)。
【0047】
位置調整機構35の構造は、ここで説明する例に限られない。例えば、ナット部35bはハウジング部34Aとは別個に形成され、ハウジング部34Aに取り付けられてもよい。他の例では、ねじ部35aがハウジング部34Aに取り付けられ、ナット部35bがグリップ可動部32側に配置されてもよい。この場合、ナット部35bと位置調整操作部35cとが可動部材35Aに形成されてよい。さらに他の例では、位置調整機構35は、グリップ本体31ではなく、グリップ可動部32に取り付けられてもよい。すなわち、位置調整機構35を構成する2つの部分(ナット部35bとねじ部35a)のうち一方が、グリップ可動部32の内面に回転可能となるように連結され、他方がグリップ本体31のハウジング34に取り付けられていてもよい。
【0048】
さらに他の例では、位置調整機構35の可動部材35Aは上下方向でスライド可能であってもよい。そして、可動部材35Aの動きをグリップ可動部32の動きに変換するための斜面が、グリップ可動部32の内面又はグリップ本体31のハウジング部34Aに形成されてよい。さらに他の例では、入力デバイス100は、位置調整機構35として、空気により膨らんだり、収縮する部材が配置されてもよい。
【0049】
[振動モータ]
図5Aに示すように、入力デバイス100は、グリップ30に振動モータ36を有している。振動モータ36は、図示していないバッテリから供給される電力によって駆動する。入力デバイス100が内蔵する制御装置(不図示)は、ゲーム機から送信される信号に応じて振動モータ36を制御し、ゲーム空間内で生じるイベントやアクションに応じて、振動モータ36を振動させる。
【0050】
振動モータ36はグリップ可動部32に取り付けられている。そのため、グリップ可動部32の位置を左右方向で動かしたときに、振動モータ36の位置もそれに伴い移動する。グリップ可動部32の位置が調整できるので、グリップ可動部32がユーザの手に触れやすくなり、その結果、振動モータ36の振動がユーザの手に伝わりやすくなる。
【0051】
上述したように、入力デバイス100は、ユーザの手をグリップ30の側面に固定するためのハンド保持部材を有している。詳細には、入力デバイス100は、グリップ30に沿って配置されるバンド41を有している。
図4に示すように、グリップ可動部32が動く方向(左右方向)で入力デバイス100を見たときに、バンド41は振動モータ36と重なる。そのため、バンド41とグリップ30との間に入れた手が振動モータ36の位置から離れることを、効果的に防ぐことができる。バンド41の長さを縮小することによって、振動モータ36の振動が手に効果的に伝わる。
【0052】
振動モータ36は、例えばボイスコイルモータである。すなわち、振動モータ36は、相対動可能なコイルと磁石とを有し、コイルに流れる電流を制御することによって、磁石とコイルとを一方向において相対的に往復動させる。入力デバイス100において、振動モータ36の振動方向(磁石とコイルの相対移動の方向)は、グリップ可動部32の動きに対して直交する方向(前後方向や、上下方向、それらに対して斜めの方向である。入力デバイス100とは異なり、振動モータ36の振動方向は、グリップ可動部32の動きに沿った方向(すなわち、左右方向)であってもよい。
【0053】
また、振動モータ36の種類は、ボイスコイルモータに限られない。振動モータ36は偏心モータであってもよい。すなわち、振動モータ36は回転軸を有し、この回転軸に、回転中心から外れた位置に重心を有する重りが取り付けられてもよい。
【0054】
振動モータ36はグリップ可動部32とグリップ本体31との間に配置されている。上述したように、グリップ可動部32は円弧状の水平断面を有するように湾曲している。振動モータ36はグリップ可動部32の内面に取り付けられ、グリップ可動部32によって覆われている。すなわち、振動モータ36の前側と後側は、グリップ可動部32によって覆われている。
【0055】
図5Aに示すように、左右方向での振動モータ36の幅W1は、上下方向での振動モータ36の幅W2よりも小さい。また、左右方向での振動モータ36の幅W1は、前後方向での振動モータ36の幅W3(
図4参照)よりも小さい。このように、振動モータ36として薄型のモータが使用されている。このことによって、振動モータ36のグリップ可動部32での収容が容易となっている。
【0056】
図5Aに示すように、振動モータ36は、グリップ本体31のハウジング34の右側面を向き合うように配置されている。ハウジング34は、振動モータ36に対応する位置に、振動モータ36が内側に配置される凹部34bを有している。
【0057】
上述したように、グリップ可動部32とグリップ本体31との間には、位置調整機構35が配置されている。
図5Aに示すように、振動モータ36と位置調整機構35は、グリップ30の延伸方向、すなわち上下方向で並んでいる。このことによって、グリップ可動部32とグリップ本体31との間のスペースを有効利用できている。
【0058】
入力デバイス100において、位置調整機構35は振動モータ36の上方に位置している。すなわち、グリップ可動部32の被支持部32bの回転中心から位置調整機構35までの距離は、同回転中心から振動モータ36までの距離よりも大きい。この配置によって、振動モータ36がグリップ可動部32の内部においてユーザの手のひらに近い側に配置され、振動をより効果的に手のひらに伝えることができる。
【0059】
[まとめ1]
以上説明したように、入力デバイス100は、ユーザの手のひらが触れる右側面30bを有しているグリップ30と、グリップ30に対して上方に位置している、ユーザが指で操作するための操作部材11~16とを有している。操作部材11~16と、グリップ30の右側面30bとの相対位置が左右方向で変えることができる。この構造によると、ユーザは自身の指の長さに合わせて、操作部材11~16と、グリップ30の右側面30bとの距離を設定できる。そのため、ユーザがボタン操作を快適に行うことが可能となる。
【0060】
なお、入力デバイス100では、グリップ30は、グリップ本体31とグリップ可動部32とを有し、グリップ可動部32とグリップ本体31との相対位置を左右方向において動かすことが可能であった。入力デバイス100とは異なり、グリップ30の全体が操作部10に対して相対的に左右方向で動いてもよい。
【0061】
図6は、このような構造を有する入力デバイス300の例を示す正面図である。入力デバイス300はグリップ330を有している。この図において、右方に移動したグリップ330が実線で示され、初期位置にあるグリップ330が二点鎖線で示されている。図に示されるように、グリップ330の全体が操作部10に対して左右方向に移動可能となっている。この構造でも、操作部材11~16とグリップ330の右側面30bとの相対位置は左右方向で相対的に変化する。その結果、ユーザは自身の指の長さに合わせて、操作部材11~16と、グリップ30の右側面30bとの距離を設定できる。
【0062】
さらに他の例として、入力デバイス100は左手用に構成されてもよい。この場合、グリップ可動部32やバンド41はグリップ本体31に対して左方に位置してよい。
【0063】
[まとめ2]
以上説明したように、入力デバイス100は、ユーザの手のひらが触れる右側面30bを有するグリップ30と、ユーザが指で操作するための操作部材11~16とを有している。グリップ30は、グリップ本体31と、グリップ30の右側面30bを構成するグリップ可動部32と、グリップ可動部32に取り付けられている振動モータ36と、を含んでいる。グリップ本体31とグリップ可動部32の相対位置は左右方向において変えることができる。この構造によると、グリップ可動部32がユーザの手に触れやすくなり、その結果、振動モータ36の振動がユーザの手に伝わりやすくなる。なお、この構造において、グリップ可動部32が動く方向は、左右方向に限られない。グリップ可動部32は、前後方向や上下方向において、グリップ本体31に対して相対的に動いてもよい。
【0064】
本開示で提案する構造は、入力デバイス100の構造に限定されない。例えば、入力デバイス100において、グリップ30の数は1本である。しかしながら、本開示で提案する構造は左右に離れた2本のグリップを有する入力デバイスに適用されてもよい。
【0065】
図7は、2つのグリップを有する入力デバイスの例を示す平面図である。この図に示す入力デバイス200は左右のグリップ230R、230Lを有している。また、入力デバイス200は、グリップ230R、230Lの延伸方向における前側に位置している複数の操作部材が配置されている操作部210R、210Lを有している。右側の操作部210Rの上面には、操作部材として、4つの押しボタン211と、押しボタン212が設けられている。右側の操作部210Rの前面には押しボタン213が配置されている。左側の操作部210Lの上面には、操作部材として、十字キー214と、押しボタン212が設けられている。左側の操作部210Lの前面にも押しボタン213が配置されている。左右の操作部210R、210Lの間には、中央操作部210Cが設けられている。中央操作部210Cの上面には、タッチセンサが取り付けられた板状のボタン215が設けられている。板状のボタン215の後方には、左右の操作スティック216が設けられている。
【0066】
グリップ230R、230Lは、操作部210R、210Lにそれぞれ接続されているグリップ本体231と、グリップ本体231に対して左右方向における外側に位置しているグリップ可動部232が設けられている。グリップ可動部232とグリップ本体231の相対位置は左右方向で変えることができる。
図7においては、グリップ可動部232がグリップ本体231から左右方向における外側に離れた様子が示されている。一例では、グリップ可動部232は、左右方向で平行移動可能であってもよいし、軸を中心にして左右方向で移動可能であってもよい。グリップ230R、230Lは、グリップ可動部232の内面に取り付けられている振動モータ236を有している。このことによって、振動モータ236の振動がユーザの手に効果的に伝えることが可能となる。