IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 蒙娜麗莎集団股▲ふん▼有限公司の特許一覧

特許7594684色翡翠効果のある陶磁器岩板及びその製造方法
<>
  • 特許-色翡翠効果のある陶磁器岩板及びその製造方法 図1
  • 特許-色翡翠効果のある陶磁器岩板及びその製造方法 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】色翡翠効果のある陶磁器岩板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 33/24 20060101AFI20241127BHJP
   C04B 35/18 20060101ALI20241127BHJP
   C03C 4/02 20060101ALI20241127BHJP
   C03C 3/097 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
C04B33/24 Z
C04B35/18
C03C4/02
C03C3/097
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023552200
(86)(22)【出願日】2021-12-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-02-20
(86)【国際出願番号】 CN2021135267
(87)【国際公開番号】W WO2022205988
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-08-28
(31)【優先権主張番号】202110343867.7
(32)【優先日】2021-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515266393
【氏名又は名称】蒙娜麗莎集団股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】劉 一軍
(72)【発明者】
【氏名】楊 元東
(72)【発明者】
【氏名】黄 秋立
(72)【発明者】
【氏名】張 克林
【審査官】山本 晋也
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-188462(JP,A)
【文献】特開昭51-017206(JP,A)
【文献】特開2005-008425(JP,A)
【文献】国際公開第2011/057730(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第101177346(CN,A)
【文献】特開2011-121850(JP,A)
【文献】特開2010-235416(JP,A)
【文献】特開2010-275515(JP,A)
【文献】実開平01-002041(JP,U)
【文献】特開平10-324558(JP,A)
【文献】特開昭54-053118(JP,A)
【文献】特開平11-157915(JP,A)
【文献】特開2007-197294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 33/00-33/36
C04B 35/00-35/84
C03C 1/00-14/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
色翡翠効果のある陶磁器岩板の製造方法であって、
前記製造方法は、
陶磁器基材と色ガラスカレットとが含まれている原料をプレス成形して陶磁器素地を得る第一ステップと
(ここで、前記陶磁器基材に対する前記色ガラスカレットの比率は3~5wt%であり、
前記陶磁器基材の化学組成は、質量百分率で、SiO2:65~69%、Al2O3:18~22%、アルカリ金属酸化物:4~9%を含み、
前記色ガラスカレットは、粒度が6~8メッシュであり、化学組成が、質量百分率で、SiO2:65~70%、Al2O3:2~4%、Fe2O3:0.2~0.4%、CaO:8~10%、MgO:1~2%、K2O:0.5~1%、Na2O:10~15%、P2O50.2~0.4%、BaO:0.1~0.3%、Cr2O3:0.1~0.2%、SO3:0.1~0.2%を含み、
前記色ガラスカレットは0~400℃での線膨張係数が6.8×10-6~7.2×10-6/Kであり、前記陶磁器基材は0~400℃での線膨張係数が7.0×10-6~7.8×10-6/Kであり、前記色ガラスカレットと前記陶磁器基材の0~400℃での線膨張係数の差は 0.2~0.6×10-6/K以内である
前記陶磁器素地を乾燥して焼成する、第二ステップと、
窯から出された焼成後の前記陶磁器素地を研磨し、研磨処理された後、色翡翠効果の粒子は前記陶磁器素地表面に分布している、第三ステップと、を含み、
前記陶磁器岩板は、顔料が分散することがなく、岩板表面は高さが0.2mm 以下の微小突出があることを特徴とする、
色翡翠効果のある陶磁器岩板の製造方法。
【請求項2】
前記陶磁器素地は、最高焼成温度が1200℃以下、焼成周期が63~105minであることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
プレス成形前に、まずは前記陶磁器基材を施し、そして前記陶磁器基材の上層に前記色ガラスカレットを施すことを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記陶磁器基材の上層に前記色ガラスカレットを位置付けて施すことを特徴とする、請求項3に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色翡翠効果のある陶磁器岩板及びその製造方法に関し、建築用陶磁器製造の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年、中国の産業の急速な発展に伴い、経済力は急速に向上し、人々の生活の質への追求は向上しており、特に生活環境に対する要求は一層厳しくなっている。生活空間を美しくする装飾素材として住宅装飾業界でも広く使用されている建築用陶磁器タイルも、それに伴い大きな変化が起きている。既存の建築用陶磁器タイルは、研磨タイルから施釉タイルを経て、現在の可溶性塩タイル、陶磁器大板、岩板などに発展してきた。可溶性塩タイルは、研磨タイルと施釉タイルの両方の利点を備えており、消費者に深く愛されているとともに、陶磁器大板や岩板は住宅装飾の分野でますます流行している。
【0003】
現在、市場に出回っている模造石効果の大粒陶磁器可溶性塩タイルのほとんどは、一般的に陶磁器素地にフリットを添加することで実現されており、これらのフリットは種類が多くて高価である。色効果を実現したい場合は、それに応じた顔料を添加する必要があり、これらの顔料は高温で分散しやすく、焼成後のパターンがぼけてしまうことがある。さらに、これらのフリットは、中低温フリットが多いため、カリウム及びナトリウムイオンが高温で急速に溶融してガラス相を生成し、温度が上昇するにつれて素地が焼結まで排気され続け、初期融点が低いため、フリットが施された領域は素地と局所的に反応し、気泡が排出され続け、素地が収縮し、高温焼成後にタイル表面には局所的に沈下することがある。これは、コストが高くなるだけでなく、タイル表面効果や研磨効果も悪くなり、タイル表面の平坦性や美感にも影響を与える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】中国特許出願公開第109455934号明細書
【文献】中国特許出願公開第102515876号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
背景技術に提示されている課題に対し、本発明は、高価なフリットと顔料の代わりに、色ガラスカレットを使用して色翡翠効果のある陶磁器岩板を製造することにより、高温焼成後に、色素が分散する現象がなく、且つ焼成後の岩板表面は微小突出があり、研磨後の表面が更に平坦になり、凹みがなく、表面効果がよりよくなり、コストが大幅に削減され、廃棄物が宝物になり、より良い効果のある陶磁器製品を製造することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一方、本発明は、色翡翠効果のある陶磁器岩板の製造方法を提供している。前記製造方法は、陶磁器基材と色ガラスカレットとが含まれている原料をプレス成形して陶磁器素地が得られるステップと、陶磁器素地を乾燥して焼成し、色翡翠効果粒子が素地表面に分散している陶磁器岩板を形成するステップと、を含む。
【0007】
色ガラスカレットに色が付いているのは、その組成に主な発色物質である酸化クロム(III)が含まれているためである。酸化クロム(III)は、非常に安定で、融点が約2266±25℃、沸点が約4000℃であり、一般的に酸化クロムから1100℃以上で製造される。陶磁器の焼成プロセスで温度は1200℃を超えておらず、ガラスの溶融温度は1200℃をはるかに超えているため、高温溶融したことのある色ガラスカレットは窯炉の雰囲気及び温度の影響を受けて変わることがなく、陶磁器の高温焼結プロセスに色ガラスカレットの構造は損傷することもない。本発明の製造方法によれば、色ガラスカレットが高温で安定し且つ色素が分散することがない特性を利用し、得られた岩板は表面が平坦であり、焼成後の立体感が強くなる。また、ガラスカレットを使用することにより、製造コストが大幅に削減され、工業生産が容易になり、省エネで環境に優しい。
【0008】
陶磁器基材に対する色ガラスカレットの質量百分率を3~5wt%に制御することにより、必要な色翡翠効果を実現するとともに、生産の安定性を確保し、元の生産プロセスに影響を与えないようにできる。陶磁器基材に対する色ガラスカレットの質量百分率が5wt%を超えると、生産プロセスに影響し、例えば、プレス成形ステップにおいて素地の体積密度分布が不均一となり、これにより素地の強度が低下し、その後の移送、乾燥などのステップに影響を及ぼす。上記影響になる理由は、主に、素地のプレス成形には、例えば粒子の等級付け、水分、単位容積質量などの粉状材料に対する特定の要件があるためである。色ガラスカレットと陶磁器基材とは、物理的及び化学的特性が大きく異なるため、素地の通常のプロセスを満たす前提で、色ガラスカレットの用量が多すぎないようにすべきである。
【0009】
好ましくは、前記陶磁器基材の化学組成は、質量百分率で、SiO2:65~69%、Al2O3:18~22%、アルカリ金属酸化物:4~9%を含む。アルカリ金属含有量が多すぎると、素地の焼成温度を低下させて、素地の吸水率、強度及びタイル形状に影響する。
【0010】
本発明の色ガラスカレットに対する選択原則は、当該物質が陶磁器基材と反応すること又は陶磁器の形成に不利な化学物質を生じることがなく、なお、色ガラスカレットが高温で安定的に存在し発色することができることである。好ましくは、前記色ガラスカレットの化学組成は、質量百分率で、SiO2:65~70%、Al2O3:2~4%、アルカリ土類金属酸化物:9~13%、アルカリ金属酸化物:10~16%を含む。
【0011】
好ましくは、前記陶磁器素地は、最高焼成温度が1200℃以下、焼成周期が63~105minである。
【0012】
好ましくは、前記色ガラスカレットの粒度は6~8メッシュである。
【0013】
好ましくは、前記色ガラスカレットの線膨張係数は6.8×10-6~7.2×10-6/K(0~400℃)であり、前記陶磁器基材の線膨張係数は7.0×10-6~7.8×10-6/K(0~400℃)である。ガラスカレットの膨張係数と陶磁器基材の線膨張係数とは近く、一般的に差が0.2~0.6×10-6/K(0~400℃)以内に制御される。これにより、高温焼結後、ガラス粒子と素地の間には膨張係数が適合しないためクラックが発生し装飾効果に影響することがない。
【0014】
好ましくは、プレス成形前に、まずは陶磁器基材を施し、そして陶磁器基材の上層に色ガラスカレットを施す。好ましくは、陶磁器基材の上層に色ガラスカレットを位置付けて施す。
【0015】
一方、本発明は、上記いずれか1項に記載の製造方法によって得られた色翡翠効果のある陶磁器岩板を提供する。一部の実施形態において、前記陶磁器岩板の表面は、高さが0.2mm以下の微小突出を有する。好ましくは、前記微小突出の高さは0.1~0.2mmである。
【0016】
上記陶磁器岩板の規格は、幅(600~1600)mm×長さ(600~3600)mm×厚さ(9.5~15)mmである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施例1のタイル面の効果図である。
図2】比較例1のタイル面の効果図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下は、下記の実施形態を結びつけて、本発明を更に説明する。下記の実施形態は本発明を説明するためのものであり、本発明を制限するものではない。各「%」含有量は、特に断りのない限り「質量%」含有量を意味する。「色ガラスカレット」は、具体的に断りのない限り「ガラスカレット」又は「ガラス粒子」とも称される。
【0019】
以下、本発明の色翡翠効果のある陶磁器岩板の製造方法を例示して説明する。
【0020】
陶磁器基材を製造する。陶磁器基材の化学組成は、陶磁器岩板の生産プロセスを満たせば良い。一部の実施形態において、前記陶磁器基材の化学組成は、質量百分率で、SiO2:65~69%、Al2O3:18~22%、アルカリ金属酸化物:4~9%を含む。例示として、前記陶磁器基材の化学組成は、質量百分率で、SiO2:65~69%、Al2O3:18~22%、Fe2O3:0.2~0.4%、TiO2:0.01~0.2%、CaO:0.3~0.5%、MgO:0.5~0.9%、K2O:2~4%、Na2O:2~5%、ZrO2:0.2~0.5%、P2O5:0.1~0.2%、SO3 0.1~0.2%、強熱減量:3~5%を含んでもよい。
【0021】
前記陶磁器基材の原料配合は、その化学組成に応じて調整して得られることができ、例えば、カリ長石、霞石、球状粘土、ベントナイト、黒滑石、鉄礬土を選択して配合する。前記陶磁器基材は、下記ステップで製造されることができる。原料100%、40-50%水、0.1-0.5%トリポリリン酸ナトリウムをボールミルで混合して粉砕し、ふるいにかけてスラリーを形成する。ボールミルでの粉砕時間は5~10minであってもよい。スラリーの325メッシュのふるい残分は≦1wt%である。上記スラリーを乾燥して粉砕し、水分が≦9wt%の陶磁器基材を形成する。陶磁器基材の水分含有量が上記範囲内にあると成形に有利である。
【0022】
陶磁器基材の表面に色ガラスカレットを施す。好ましくは、位置付けて施す方法を採用し、即ち、タイル面効果の要求に応じて適切な位置に色ガラスカレットを施す。例えば、タイル効果に応じて、陶磁器基材表面の対応する位置に接着剤をスプレーし、そして色ガラスカレットを施し、扇風機により余分な色ガラスカレットを除去する。色ガラスカレットの色は緑色、赤色等であってもよい。
【0023】
前記色ガラスカレットの化学組成は、質量百分率で、SiO2:65~70%、Al2O3:2~4%、アルカリ土類金属酸化物:9~13%、アルカリ金属酸化物:10~16%を含んでもよい。例示として、前記色ガラスカレットの化学組成は、質量百分率で、SiO2:65~70%、Al2O3:2~4%、Fe2O3:0.2~0.4%、CaO:8~10%、MgO:1~2%、K2O:0.5~1%、Na2O:10~15%、P2O5 0.2~0.4%、Ba0:0.1~0.3%、Cr2O3:0.1~0.2%、SO3:0.1~0.2%を含む。上記色ガラスカレットのうちFe2O3の含有量が非常に低くTiO2がほとんど存在しない。これにより、黒い斑点又は黄色い斑点の発生が回避され、素地の装飾効果が確保される。
【0024】
ガラス溶融時の温度は(ガラスの精製段階とガラスの均質化段階とを含み)通常1200℃より高く、1200~1300℃、更に1200~1600℃にも達することができる。陶磁器基材の焼成温度(即ち陶磁器岩板を製造する際の焼成温度)は、ガラス粒子の溶融温度よりも低い。陶磁器基材の高温焼成プロセスにおいて、ガラス粒子はこの温度下で過焼成によりガラス粒子の中に大量の気泡を形成することがないため、研磨プロセスに気孔が少なくて、防汚効果に影響を与えず、タイル表面の装飾効果がよりよくなる。また、陶磁器基材の焼成温度下で、陶磁器素地におけるガラスカレットは、低温のため「沸騰」状態が現れることがない。「沸騰」状態が現れる場合、軟化した顆粒は顆粒の元の位置以外の位置に拡散して、元の位置にある粒子の含有量が減少することにより、冷却されると元の位置に一定の凹みが形成される。ガラス粒子が低温のため 「沸騰」状態が現れることがないから、それに応じて凹みも発生しない。また、ガラス粒子の焼成は二次焼成に属し、その強熱減量も焼成前後の体積変化も小さい。陶磁器基材の焼結は生原料の焼結に属し、高温焼成後の強熱減量はガラス粒子よりも大きい。このように、素地の全体的な体積が小さくなり、ガラス粒子の体積変化が小さいため、高温焼成後に凹みが発生しない。
【0025】
色ガラスカレットの細かさは、生産プロセス、例えば成形の性能を満たせば良い。素地のサイズ、厚さの規格に応じて色ガラスカレットの粒径を適切に調整してもよい。例えば、規格の厚さが大きい素地では、ガラスカレット粒子を適当に増やしてもよい。前記色ガラスカレットの粒度は、6~8メッシュであることが好ましい。色ガラスカレットの粒度が小さい場合、高温下で色ガラスカレットは陶磁器基材と反応し、色効果に影響する可能性がある。色ガラスカレットの粒度が大きい場合、素地が成形される際に粒子及び陶磁器基材の不均一な分布により、素地の密度の分布が不均一となり、完成品にタイルの破れ又はクラックなどの欠陥が発生する可能性がある。
【0026】
一部の実施形態において、陶磁器基材に対する色ガラスカレットの用量は3wt%~5wt%に制御される。
【0027】
原料を施した後にプレス成形して陶磁器素地を得る。陶磁器素地を乾燥する。乾燥時間は1.5~2hであってもよい。乾燥後の陶磁器素地の水分は0.3~0.5wt%に制御される。
【0028】
陶磁器素地を乾燥して焼成し、色翡翠効果のある陶磁器岩板を得る。乾燥時間は10minであってもよい。当該陶磁器岩板の最高焼成温は1200℃以下である。例えば、最高焼成温度は1183~1190℃、焼成周期は63~105minであってもよい。
【0029】
一部の実施形態において、焼成前に、陶磁器素地の表面にパターンをインクジェット印刷する。インクは乾燥された陶磁器素地に浸透して素地の表面にパターンを形成し、このように陶磁器岩板の装飾効果を高めることができる。
【0030】
窯から出された焼成後の陶磁器岩板に対し、需要に応じて研磨、エッジ研磨及び等級付けを行い、梱包して保管する。例えば、弾性モジュールで研磨する。当該研磨用モジュールの配置組合せは、240メッシュ×4組、300メッシュ×8組、400メッシュ×8組、600メッシュ×4組、800メッシュ×4組、1000メッシュ×4組、1500メッシュ×4組、2000メッシュ×4組、3000メッシュ×8組であってもよい。
【0031】
色ガラスカレットは焼成後にも色が変化しないため、研磨処理後、色翡翠効果の粒子は陶磁器素地の表面に分布していることが見える。当該色翡翠効果粒子のサイズは、2~4mm(6メッシュ~8メッシュに対応)に達すことができる。
【0032】
本発明の目的は、色ガラスカレットの色翡翠効果のある陶磁器岩板での用途を保護することであり、原料を施す方法は本発明を限定するのもではない。他の方法を使用して陶磁器素地を形成してもよい。例えば、色ガラスカレットを陶磁器基材に加えて均一に混合した後に、原料を施してプレス機で成形することで陶磁器素地を形成する。また、色ガラスカレットを乾粒にしてから陶磁器基材に加え、均一に混合した後に、原料を施し、好ましくは位置付けて原料を施し、プレス機で成形することで陶磁器素地を形成してもよい。
【0033】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。下記の実施例は本発明に対する更なる説明に過ぎず、本発明の保護範囲を限定するものではなく、当業者が本発明の上記内容に基づいてなされる非本質的な改良と調整は、共に本発明の保護範囲に属する。下記の例における具体的な工程変量なども適合範囲内の一例に過ぎず、即ち、当業者が本発明の説明に基づいて適当な範囲内で選択できるものであり、下記例の具体的な数値に限定されるものではない。
【0034】
実施例1
(1)陶磁器基材を製造する。陶磁器基材の化学組成は、質量百分率で、SiO2:66.04%、Al2O3:20.29%、Fe2O3:0.38%、TiO2:0.16%、CaO:0.39%、MgO:0.62%、K2O:3.15%、Na2O:3.36%、ZrO2:0.46%、P2O5:0.13%、SO3:0.19%、強熱減量:4.79%を含む。陶磁器基材の乾料(即ち陶磁器基材の全ての原料)100%、50%水、0.5%トリポリリン酸ナトリウムをボールミスで混合して6min粉砕し、ふるいにかけて、325メッシュのふるい残分は≦1wt%であり、乾燥して陶磁器基材を形成する。陶磁器基材の水分含有量は≦9wt%である。
【0035】
(2)陶磁器素地を形成する。原料を2回で施す方法を利用する。まずは陶磁器基材を施し、そして陶磁器基材の表面に陶磁器基材に対する比率が3~5wt%の色ガラスカレットを施し、プレス成形して陶磁器素地を形成する。色ガラスカレットの化学組成は、質量百分率で、SiO2:68.40%、Al2O3:3.43%、Fe2O3:0.35%、CaO:9.07%、MgO:1.37%、K2O:0.88%、Na2O:14.1%、P2O5:0.36%、BaO:0.23%、Cr2O3:0.16%、SO3:0.16%を含む。色ガラスカレットの粒度は6~8メッシュである
【0036】
(3)陶磁器素地を窯に入れて乾燥する。乾燥時間は1.5-2.0hであり、乾燥後の陶磁器素地の水分は0.3~0.5wt%である。
【0037】
(4)陶磁器素地の表面に、デザインパターンをインクジェット印刷する。
【0038】
(5)デザインパターンがインクジェット印刷された陶磁器素地を窯に入れて乾燥し、乾燥時間は10minである。
【0039】
(6)窯に入れて焼成する。最高焼成温度は1190℃、焼成周期は63minである。
【0040】
(7)研磨及び等級付けを行う。窯から出して弾性モジュラーで研磨する。研磨用モジュールの配置組合せは、240メッシュ×4組、300メッシュ×8組、400メッシュ×8組、600メッシュ×4組、800メッシュ×4組、1000メッシュ×4組、1500メッシュ×4組、2000メッシュ×4組、3000メッシュ×8組である。
【0041】
(8)梱包して保管する。
【0042】
図1から分かるように、研磨後、翡翠効果の粒子は素地の表面に分布しており、粒子効果が透明であり、より良いテクスチャ階層効果を実現している。
【0043】
実施例2
実施例1と基本的に同じであり、その違いは、前記陶磁器基材の化学組成が、質量百分率で、SiO2:65%、Al2O3:18%、Fe2O3:0.2%、TiO2:0.01%、CaO:0.3%、MgO:0.5%、K2O:2%、Na2O:2%、ZrO2:0.2%、P2O5:0.1%、SO3 0.1%、強熱減量:3%を含むことのみにある。
【0044】
実施例3
実施例1と基本的に同じであり、その違いは、前記陶磁器基材の化学組成が、質量百分率で、SiO2:69%、Al2O3:22%、Fe2O3:0.4%、TiO2:0.2%、CaO:0.5%、MgO:0.9%、K2O:4%、Na2O:5%、ZrO2:0.5%、P2O5:0.2%、SO3:0.2%、強熱減量:5%を含むことのみにある。
【0045】
比較例1
実施例1と基本的に同じであり、その違いは、ガラス粒子の代わりに色フリットを使用することのみにある。色フリットは、一般的に透明フリット及び顔料により構成されている。色フリットの化学組成は、質量百分率で、SiO2:50.61%、Al2O3:2%、Fe2O3:0.5%、CaO:8%、MgO:8.5%、K2O:5%、Na2O:10%、ZnO:5%、BaO:4.23%、CeO2:5%、SO3:0.16%、強熱減量:1%を含む。色フリットの膨張係数は5×10-6/K~6×10-6/K(0~400℃)である。
【0046】
図2から分かるように、タイル面に凹みがあり、粒子を施す箇所にクラックが発生している。当該フリットはガラス粒子よりも温度が低いため、その成分には酸化亜鉛が含まれており、アルカリ金属含有量がガラス粒子よりも高く、素地を高温焼成するプロセスにおいて、当該フリットは「沸騰」現象が発生し、高温での液相は周辺位置に拡散し、元の位置での含有量が少なくなり、凹み現象が発生する。図2からもタイル面の透明度が悪く、霞んで見える。これは、フリット粒子が高温で「沸騰」することに関係している。高温下で、フリット液相中には、水が沸騰することと同じように、大量の気体が発生し、気体が冷却されると包まれて気泡として残存し、光が通過するときに気泡によって光が散乱するため透明度が悪くなる。また、比較例1の図から分かるように、フリットを施す箇所でクラックが発生している。これは、フリットと陶磁器基材の膨張係数が適合しないためである。フリットの膨張係数が小さくて高温冷却後の体積変化は小さい。素地は、膨張係数が大きくて強熱減量があることなどで、高温冷却後の体積収縮が大きくて体積が小さくなって、フリットを施す箇所の元の体積が小さくなる。このように焼成後のフリット粒子の体積は、焼成後の素地に与えられる位置の体積よりも大きくて、ある程度の押し出しがあるため、冷却後にクラックが生じる。
図1
図2