(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】端子付きダンパー装置
(51)【国際特許分類】
H01H 15/14 20060101AFI20241127BHJP
H01H 3/60 20060101ALI20241127BHJP
F16F 9/12 20060101ALI20241127BHJP
F16F 15/16 20060101ALI20241127BHJP
B60Q 3/225 20170101ALN20241127BHJP
B60R 7/06 20060101ALN20241127BHJP
【FI】
H01H15/14
H01H3/60 A
F16F9/12
F16F15/16 Z
B60Q3/225
B60R7/06 G
(21)【出願番号】P 2023556381
(86)(22)【出願日】2022-10-20
(86)【国際出願番号】 JP2022039175
(87)【国際公開番号】W WO2023074537
(87)【国際公開日】2023-05-04
【審査請求日】2024-04-19
(31)【優先権主張番号】P 2021174976
(32)【優先日】2021-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000124096
【氏名又は名称】株式会社パイオラックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】加藤 幸一
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/198423(WO,A1)
【文献】特開2009-184466(JP,A)
【文献】特開2011-178296(JP,A)
【文献】国際公開第2020/241518(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/080448(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0187195(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0121501(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2008-0082766(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 15/14
H01H 3/60
F16F 9/12
F16F 15/16
B60Q 3/225
B60R 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに接離する第1端子及び第2端子を有する、端子付きダンパー装置であって、
ケースと、
該ケースにスライド可能に保持されるロッドと、
前記ロッドに制動力を付与するダンパー構造とを有しており、
前記ロッドは、そのスライド位置によって、前記第1端子を押圧して前記第2端子に接触させる押圧部を有しており、
前記第1端子は、基端が前記ケースに支持され、前記ロッドのスライド方向に延びる第1延出部と、該第1延出部の先端部側に設けられた第1接触部と、前記押圧部により押圧される受け部とを有し、前記ケースの外側に配置されており、
前記第2端子は、基端が前記ケースに支持され、前記ロッドのスライド方向に延びる第2延出部と、該第2延出部の先端部側に設けられ、前記押圧部により前記受け部が押圧されたときに、前記第1接触部が接触する第2接触部とを有し、前記ケースの外側であって且つ前記第1端子に対向して配置されていることを特徴とする、端子付きダンパー装置。
【請求項2】
前記第1延出部の先端部側には、前記第2端子から離反する方向に向けて屈曲する屈曲部を有しており、
該屈曲部は、その幅方向の一側辺から突出する部分を有しており、この部分が前記受け部をなしている請求項1記載の端子付きダンパー装置。
【請求項3】
前記ケースは、一対の側壁と、該一対の側壁どうしを連結する一対の連結壁とを有しており、
少なくとも一方の前記側壁の外側に、前記第1端子及び前記第2端子が配置されており、
前記受け部は、前記ロッドのスライド方向から見て、前記ケースの、一方の前記側壁に重なるように設けられている請求項2記載の端子付きダンパー装置。
【請求項4】
前記第2延出部の先端部には、前記受け部に対して近接するように、幅方向に偏位した位置から、前記第1端子に近接する方向に向けて突出する突部が設けられており、
該突部が、前記第2接触部をなしている請求項2又は3記載の端子付きダンパー装置。
【請求項5】
前記第1端子には、前記屈曲部の先端から、前記第2端子に近接する方向に向けて延びる延長部が設けられており、
該延長部の先端部側が折り返されて、折り返し部が設けられており、
該折り返し部が前記第1接触部をなしており、前記突部に接離するように構成されている請求項4記載の端子付きダンパー装置。
【請求項6】
前記第1延出部の、幅方向の他側辺であって、その基端部寄りの位置から、幅方向の一側辺であって先端部側の位置に向けて斜めに延びる、ビード部が設けられている請求項1~
3のいずれか1つに記載の端子付きダンパー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車のグローブボックスの開閉動作等の制動に用いられ、所定動作がなされたときに、互いに接触して導通する端子を有する、端子付きダンパー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車のグローブボックスには、リッドが急に開くのを抑制して緩やかに開かせるために、ダンパー装置が用いられることがある。また、ダンパー装置には、例えば、グローブボックスが開いたときに、ライトを点灯させるための、一対の端子を備えたものもある。
【0003】
このようなダンパー装置として、下記特許文献1には、ハウジングと、該ハウジングにスライド可能に保持されるピストンロッドとを有し、ハウジングの外周から、径方向外方に向けてコンタクトキャリアが突設しており(特許文献1のFig.4参照)、該コンタクトキャリアに、一対のコンタクトタングが配置された、ダンパー装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第6298959号明細書(US6298959B1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1のダンパー装置の場合、ハウジング外周から、コンタクトキャリアが径方向外方(ピストンロッドのスライド方向に交差し且つハウジング外方に向く方向)に向けて突設し、該コンタクトキャリアに、一対のコンタクトタングが配置されているので、ダンパー装置全体として、径方向外方に大型化してしまうという不都合があった。
【0006】
したがって、本発明の目的は、ロッドのスライド方向に交差し且つケース外方に向く方向において、コンパクト化を図ることができる、端子付きダンパー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、互いに接離する第1端子及び第2端子を有する、端子付きダンパー装置であって、ケースと、該ケースにスライド可能に保持されるロッドと、前記ロッドに制動力を付与するダンパー構造とを有しており、前記ロッドは、そのスライド位置によって、前記第1端子を押圧して前記第2端子に接触させる押圧部を有しており、前記第1端子は、基端が前記ケースに支持され、前記ロッドのスライド方向に延びる第1延出部と、該第1延出部の先端部側に設けられた第1接触部と、前記押圧部により押圧される受け部とを有し、前記ケースの外側に配置されており、前記第2端子は、基端が前記ケースに支持され、前記ロッドのスライド方向に延びる第2延出部と、該第2延出部の先端部側に設けられ、前記押圧部により前記受け部が押圧されたときに、前記第1接触部が接触する第2接触部とを有し、前記ケースの外側であって且つ前記第1端子に対向して配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第1端子の第1延出部、及び、第2端子の第2延出部が、ロッドのスライド方向に延びているので、ダンパー装置が、ロッドのスライド方向に交差し且つケース外方に向く方向に、嵩張ることを抑制することができ、ダンパー装置のコンパクト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に係る端子付きダンパー装置の、一実施形態を示す分解斜視図である。
【
図2】同端子付きダンパー装置を構成する一対の端子及び端子ケースの斜視図である。
【
図3】端子ケースに一対の端子を収容保持した状態の斜視図である。
【
図7】一対の端子及び同一対の端子を収容保持した端子ケースの、側面図である。
【
図9】端子付きダンパー装置の、端子ケースを除いた状態の平面図である。
【
図10】端子付きダンパー装置について、本体ケースを除いた状態での動作を示しており、(a)は、ロッドの押圧部が、第1端子の受け部を押圧していない状態の断面説明図、(b)はロッドがスライドして、その押圧部が第1端子の受け部を押圧した状態の断面説明図である。
【
図11】端子付きダンパー装置について、端子ケースを除いた状態での動作を示しており、(a)は、ロッドの押圧部が、第1端子の受け部を押圧していない状態の側面説明図、(b)は、ロッドがスライドして、その押圧部が第1端子の受け部を押圧した状態の側面説明図である。
【
図12】固定体の開口部を、開閉体で閉じた状態の説明図である。
【
図13】固定体の開口部から開閉体が開いた状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(端子付きダンパー装置の一実施形態)
以下、図面を参照して、本発明に係る端子付きダンパー装置の、一実施形態について説明する。
【0011】
図1に示すように、この端子付きダンパー装置10(以下、単に「ダンパー装置10」ともいう)は、互いに接離する第1端子60及び第2端子70を有し、
図12及び
図13に示すように、互いに近接離反する一対の部材に取付けられ、両部材が近接又は離反するときに制動力を付与するものであって、例えば、自動車のインストルメントパネルに設けられた収容部の開口部に、開閉可能に取付けられたグローブボックスやリッド等の、制動用として用いられる。
【0012】
なお、以下の実施形態においては、一方の部材を、インストルメントパネルの収容部等の固定体1とし、他方の部材を、固定体の開口部に開閉可能に取付けられた、グローブボックスやリッド等の開閉体3として説明するが、一対の部材は互いに近接離反可能なものであれば、特に限定はされない。また、この実施形態では、一対の端子60,70は、固定体1内(ここではグローブボックス内)に配置された図示しないライトを、開閉体3が開いたときに点灯させるために用いられるスイッチ端子となっており、固定体1の開口部から開閉体3が開いたときに、両端子60,70が互いに接触して導通し、上記ライトを点灯させるものとなっている。ただし、第1端子及び第2端子は、ライト点灯用のスイッチ端子以外に用いてもよく、特に限定されない。
【0013】
図1に示すように、この実施形態のダンパー装置10は、互いに接離する第1端子60及び第2端子70を有するものであって、本体ケース20(本発明における「ケース」をなす)と、該本体ケース20にスライド可能に保持されるロッド40と、ロッド40に制動力を付与するダンパー構造とを有している。この実施形態では、複数のギヤ等からなるダンパー構造体50と、ロッド40に設けたラックギヤ43a(
図5参照)とが、本発明における「ダンパー構造」をなしている。更に、このダンパー装置10は、本体ケース20の外側に装着されて、一対の端子60,70を収容保持する、端子ケース80を有している。
【0014】
なお、以下の説明では、本体ケース20に対するロッド40のスライド方向を「X」とし、その一方の方向を「X1」、他方の方向を「X2」とする(
図1及び
図2参照)。また、ロッド40のスライド方向Xに直交する方向を「幅方向Y」とし、スライド方向X及び幅方向Yに直交する方向を「高さ方向Z」とする(
図1及び
図2参照)。
【0015】
まず、本体ケース20について説明する。
【0016】
図1に示すように、この実施形態の本体ケース20は、所定長さで延び且つ互いに平行に配置される一対の側壁21,21と、該一対の側壁21,21の長手方向両端部どうしを連結する一対の連結壁23,24と、これらの側壁21,21及び連結壁23,24の底部側に設けられた底壁25とを有しており、底壁25とは反対側の天井側が開口した、薄肉ケース状(薄肉箱状)をなしている。
【0017】
また、一対の連結壁23,24の、高さ方向Zの一端部側には、連結壁23,24を貫通して、本体ケース20に対してロッド40をスライド可能に保持する、スロット23a,24aがそれぞれ形成されている。このように、この本体ケース20は、ロッド40のスライド方向Xの両方向X1,X2に開口した、スロット23a,24aが設けられた形状をなしている。また、
図4や
図5に示すように、前記ロッド40は、一対の連結壁23,24のスロット23a,24aに挿入されて、
図12に示すX1方向や
図13に示すX2方向に、スライド可能となるように保持される。
【0018】
更に
図5及び
図6に示すように、底壁25の外側には、取付部25aが突設されている。この取付部25aを介して、ダンパー装置10全体が、一方の部材である固定体1に取付けられるようになっている。また、本体ケース20の内部には、ダンパー構造体50を構成する、遊星ギヤ57(
図1参照)が所定方向に回転しようとしたときに、その回転を規制する、回転規制部26が設けられている(
図5参照)。
【0019】
更に
図1に示すように、各側壁21の外側には、端子ケース80を装着するための、端子ケース装着部30が設けられている。
【0020】
具体的には、各側壁21の外面側であって、その高さ方向Z(
図1参照)の両端縁部からは、一対の押え壁31,31が突設されている。これらの一対の押え壁31,31は、対向して配置されており、側壁21の長手方向(ロッド40のスライド方向Xと同方向)に沿って延びている。また、一方の押え壁31の長手方向一端部(ロッド40のスライド方向X1側の端部)及び長手方向他端部(ロッド40のスライド方向X2側の端部)の内面側(相手側の押え壁31との対向面側)からは、他方の押え壁31に向けて、突起状をなした第1係合部32及び第2係合部33がそれぞれ突設している。
【0021】
更に、各側壁21の外面の、第1係合部32及び第2係合部33の間であって、高さ方向Yの中間部には、矩形突起状をなした端子係合突部35が突設されている。また、各側壁21の外面であって、高さ方向Yの中間部には、凹溝状をなした位置決め溝37が、長手方向一端から他端側に向けて、端子係合突部35には至らない長さで形成されている。
【0022】
次に、ロッド40について説明する。
【0023】
この実施形態のロッド40は、所定長さで延びる長板状の基板41と、該基板41の長手方向に直交する幅方向Yの両側縁から垂設した一対の側壁43,43と、基板41や両側壁43の長手方向一端部に配置されて、これらを互いに連結する先端部45とを有しており、全体として薄肉平坦状をなしている。このロッド40は、本体ケース20のスロット23a,24aに挿入され、同本体ケース20によりスライド可能に保持される。この際、一対の側壁43,43は、スロット23a,24aの幅方向Yの両側に配置される。また、
図5に示すように、一方の側壁43の内面には、ラックギヤ43aが形成されている。
【0024】
更に、先端部45からは、舌片状をなした一対の取付片45a,45aが突出している。これらの一対の取付片45a,45aを介して、ダンパー装置10全体が、他方の部材である開閉体3に取付けられるようになっている(
図12及び
図13参照)。
【0025】
また、ロッド40は、そのスライド位置によって、第1端子60を押圧して第2端子70に接触させる、押圧部47を有している。
【0026】
図1や
図11に示すように、この実施形態では、各側壁43の外面側であって、高さ方向Zの一端縁部から、薄肉のリブ状をなした押圧部47がそれぞれ張り出している。
図1に示すように、この押圧部47は、ロッド40の側壁43の長手方向一端部側から他端部側に向けて延びている。また、この押圧部47は、本体ケース20の外側に第1端子60が配置された状態で、第1端子60の受け部62(
図1,2参照)に対して整合する位置となり、押圧部47と受け部62とが対向配置されるようになっている(
図6参照)。
【0027】
そして、ロッド40のスライドに伴って、押圧部47が第1端子60の受け部62を押圧することで(
図10(b),
図11(b)では受け部62は図示されないが、
図10の紙面手前側に位置する受け部62や、
図11の紙面奥側に位置する受け部62が、押圧部47によって押圧される)、第1端子60の第1接触部を、第2端子70の第2接触部に接触させるようになっている(これについては端子60,70の説明にて詳述する)。
【0028】
また、
図10に示すように、押圧部47の長手方向一端部(ロッド40のスライド方向X1側の端部)の、内面側(第1端子60との対向面側)には、押圧部47の長手方向の最先端(一端部の最端)に向けて次第に高さが低くなるテーパ面47aが形成されている。なお、このテーパ面47aは、押圧部47が、第1端子60に設けられた受け部62を押圧しやすくする役割をなしている(テーパ面47aによって、ロッド40のスライドに伴って、押圧部47が受け部62を徐々に押圧可能となる)。
【0029】
次に、ダンパー構造体50について説明する。
【0030】
このダンパー構造体50は、基本的には、本出願人が出願した特願2019-099113号や特願2019-099441号におけるダンパー構造と同様の構造をなしているので、詳細な構造は省略するが、概ね次のような構造となっている。
【0031】
図1や
図5に示すように、このダンパー構造体50は、外周にギヤ溝を形成した大径ギヤ51と、その内側に粘性流体Rを介して回転可能に配置される支軸52aを有するロータ52と、ロータ52の、支軸52a以外の表面側をカバーして、粘性流体Rを封止する複数のキャップ53,54,55と、ロータ52の支軸52aの先端部に回転規制状態で装着されるピニオンギヤ56と、大径ギヤ51の外周に配置される遊星ギヤ57とからなる。また、ピニオンギヤ56は、ロッド40のラックギヤ43aと歯合するようになっている。更に、遊星ギヤ57は、所定方向に回転したときに、本体ケース20の回転規制部26に係合して、その回転が規制されるが、所定方向とは反対方向に回転したときには、回転規制部26に係合せずに、回転が許容されるようになっている。
【0032】
そして、
図12に示すように、ロッド40がX1方向にスライドすると(すなわち、本体ケース20の連結壁23のスロット23aからのロッド突出量が増大するように、ロッド40がスライドした場合)、ラックギヤ43aに歯合するピニオンギヤ56が所定方向に回転して、ロータ52が同方向に回転し、粘性流体Rを介して大径ギヤ51も同方向に回転しようとする。そのため、大径ギヤ51に歯合する遊星ギヤ57が同方向に回転しようとするが、回転規制部26により回転規制されるので、大径ギヤ51の回転が停止して、ロータ52のみが回転する。その結果、ロータ52に粘性流体Rを介して制動力が付与され、ロッド40のX1方向へのスライドに対して制動力が付与されるようになっている。
【0033】
一方、
図13に示すように、ロッド40がX2方向にスライドすると(すなわち、本体ケース20の連結壁23からのロッド突出量が減少して、スロット23aに対してロッド40が引き込まれるように、ロッド40がスライドした場合)、ラックギヤ43aに歯合するピニオンギヤ56が、上記の回転方向(ロッド40のX1方向へのスライド時におけるピニオンギヤ56の回転方向)とは反対方向に回転する。すると、ロータ52が同方向に回転し、粘性流体Rを介して大径ギヤ51も同方向に回転しようとする。そのため、大径ギヤ51に歯合する遊星ギヤ57が同方向に回転するが、この際、遊星ギヤ57は、回転規制部26により回転規制されずに、その回転が許容される。その結果、ロータ52と一緒に大径ギヤ51も回転するので、ロータ52に粘性流体Rを介しての制動力は付与されず、ロッド40のX2方向へのスライドに対して制動力は付与されないようになっている(ロッド40に付与された制動力が解除される、とも言える)。
【0034】
次に、第1端子60について説明する。
【0035】
図1、
図2、
図6~8等に示すように、この第1端子60は、基端が本体ケース20に支持され、ロッド40のスライド方向Xに延びる第1延出部61と、該第1延出部61の先端部61а側に設けられた第1接触部(この実施形態では、後述する折り返し部65の基端部65a)と、押圧部47により押圧される受け部62とを有し、本体ケース20の外側に配置されている。また、
図2や
図7に示すように、この第1端子60は、第2端子70に対向するように配置されるようになっている。更に、この第1端子60は、対向配置された第2端子70に対して、近接離反するように撓み変形可能となっている。
【0036】
図1や、
図9に示すようにダンパー装置10を平面方向から見たときに、第1端子60の第1延出部61は、ロッド40のスライド方向Xに沿って所定長さで且つ一定幅で延びる、長板状をなしている。そして、
図10(b)や
図11(b)に示すように、ロッド40の押圧部47により受け部62が押圧されたときに、第1端子60は、主に第1延出部61が撓み変形するようになっている。
【0037】
また、
図2や
図3に示すように、第1延出部61の延出方向の先端部61а(X1方向側の端部)側には、第2端子70から離反する方向に向けて屈曲した、屈曲部63を有している。
図10に示すように、この実施形態の屈曲部63は、第1延出部61の先端部61аの最先端から、第2端子70から離反するように斜め外方に傾斜して延びる傾斜部63aと、該傾斜部63aの延出方向先端側に設けられた曲面状をなした頂部63bとを有しており、該頂部63bの先端が、第2端子70側に向いた形状をなしている。なお、この屈曲部63は、
図10(b)や
図11(b)に示すように、ロッド40の押圧部47に向けて突出するように屈曲している、とも言える。
【0038】
更に、この屈曲部63は、その幅方向Yの一側辺から、突出する部分を有しており、この部分が受け部62をなしている(
図2参照)。すなわち、屈曲部63の、幅方向Yの一側辺(本体ケース20の側壁21の外面に近接する側辺)から、スリット62cを介して、受け部62が、屈曲部63の幅方向Y方向に突出している。なお、受け部62の突出方向は、第1延出部61の延出方向に対して直交する方向となっている(
図9参照)。すなわち、
図9に示すように、第1端子60を平面方向から見たときに(第1延出部61の面方向に直交する方向から見たとき)、第1端子60の先端部61а側は、第1延出部61とこれに直交する受け部62とによって、略L字状に屈曲した形状となっている。
【0039】
また、
図7に示すように、この受け部62は、屈曲部63と同様に、第2端子70から離反する方向に向けて屈曲した形状をなしており、第2端子70から離反するように斜め外方に傾斜して延びる傾斜部62aと、該傾斜部62aの延出方向先端部に設けられた曲面状をなした頂部62bとを有しており、該頂部62bの先端が、第2端子70側に向いた形状をなしている。更に
図6に示すように、上記受け部62は、本体ケース20の外側に第1端子60が配置された状態で、本体ケース20の一方の側壁21よりも内方に突出して、ロッド40の押圧部47に対して整合する位置となり、押圧部47と受け部62とが対向配置されるようになっている。
【0040】
そして、
図10(b)や
図11(b)に示すように、ロッド40がX1方向にスライドしたときに、その押圧部47によって、受け部62の頂部62bが押圧されるようになっている。この際には、主として、第1延出部61の延出方向の基端部61b側を支点として、同第1端子60が撓み変形して、その第1接触部(折り返し部65の基端部65a)が、第2端子70の第2接触部(後述する突部75)に接触することとなる(
図10(b),
図11(b)参照)。このように両接触部が互いに接触した状態から、押圧部47からの押圧力が作用しない状態となると、第1端子60は元の形状に弾性復帰するようになっている(
図10(a),
図11(a)参照)。
【0041】
また、
図6に示すように、受け部62は、ロッド40のスライド方向Xから見て、本体ケース20の、一方の側壁21に重なるように設けられている。すなわち、本体ケース20の外側に第1端子60が配置された状態で、受け部62の一部が、本体ケース20の一方の側壁21にラップするようになっている。
【0042】
また、屈曲部63の先端からは、第2端子70に近接する方向に延びる延長部64が設けられており、この延長部64の先端部側が折り返されて折り返し部65が設けられており、この折り返し部65が第1接触部をなしており、第2端子70に設けられた突部75に接離するように構成されている。
【0043】
図2や
図7に示すように、この実施形態では、屈曲部63及び受け部62の先端(頂部63b,62bの先端)から、第1延出部61に対して交差するように(ここではほぼ直交するように)、第2端子70に近接する方向に延長部64が延設されている。また、
図7に示すように、この延長部64の延出方向の先端部が、第1延出部61の延出方向の基端部61b側に向けて折り返されて、折り返し部65が設けられている。更に、この折り返し部65は、第1延出部61の基端部61b側に向けて、且つ、第1延出部61の厚さ方向の内面(第2端子70との対向面)に次第に近接するように、斜めに延びている(
図7参照)。また、
図7に示すように、折り返し部65の基端部65aは曲面状をなしており、この曲面状の基端部65aが、第2端子70の第2接触部に接触する、第1接触部となっている。
【0044】
なお、受け部62を含む屈曲部63、延長部64、及び折り返し部65の幅(幅方向Yの長さ)は、第1延出部61の幅よりも幅広に形成されている。
【0045】
更に、第1延出部61の、幅方向Yの他側辺61dであって、その基端部61b寄りの位置から、幅方向Yの一側辺61cであって先端部61а側の位置に向けて斜めに延びる、ビード部66が設けられている。
【0046】
すなわち、
図2や
図9に示すように、第1延出部61の、幅方向Yの他側辺61d(本体ケース20の側壁21の外面から離反する側辺)であって、第1延出部61の延出方向の基端部61b寄りの位置から、第1延出部61の幅方向Yの一側辺61cであって、第1延出部61の延出方向の先端部61а側の位置に向けて、斜めに且つ直線状にビード部66が延設されている。また、
図7に示すように、このビード部66は、第1延出部61の厚さ方向の外面(第2端子70の対向面とは反対面)から、第2端子70に対して離反する方向に隆起している。
【0047】
また、第1延出部61の延出方向の基端部61b(X2方向側の端部)であって、ロッド40のスライド方向Xと同方向の端縁からは、第2端子70側に向けて折り曲げられてなる、第1折曲リブ67が設けられている。
図7に示すように、この第1折曲リブ67は、本体ケース20の端子係合突部35に係合して、本体ケース20からの第1端子60の抜け止めを図る部分となっている。
【0048】
更に、第1延出部61の延出方向の基端部61bであって、ロッド40のスライド方向Xに交差する側縁(幅方向Yの他側辺61d側の側縁)からは、第2端子70側に向けて折り曲げられてなる、第2折曲リブ68が設けられている。この第2折曲リブ68を介して、バスバー69が、ロッド40のスライド方向Xに沿って延びている。このバスバー69は、図示しない電気コネクタに電気的に接触する部分となっている。
図8に示すように、バスバー69は、端子ケース80のバスバー挿通孔94に挿通されて、コネクタ差し込み空間S2内へと挿出されるようになっている。なお、第2折曲リブ68は、端子ケース80の側壁82の内面に当接可能とされており、バスバー69を、バスバー挿通孔94に挿通する際のガイドともなる。
【0049】
また、
図1に示すように、第1端子60は、第1延出部61の面方向(第1延出部61の面Mに沿った方向)が、本体ケース20の側壁21の外面に対して交差(ここでは直交)するように、本体ケース20の外側に配置されている。更に、第1端子60の第1延出部61の面方向は、ロッド40の基板41の面方向(基板41の面Mに沿った方向)に対してほぼ平行となるように、本体ケース20の外側に配置されるようになっている。
【0050】
以上説明した第1端子60は、この実施形態の場合、第1延出部61、受け部62、屈曲部63、延長部64、折り返し部65、第1折曲リブ67、第2折曲リブ68、バスバー69等の全ての部分が、例えば、ばね鋼やステンレス鋼等の鉄系合金、銅合金、アルミニウム合金等の金属材料からなる、金属板材を適宜折り曲げることで一体形成されている。なお、バスバー69は、金属板材を二つ折りして重ねられた形状とされており、第1延出部61等の、他の部分よりも肉厚となっている。
【0051】
次に、第2端子70について説明する。
【0052】
図1、
図2、
図6~8等に示すように、この第2端子70は、基端が本体ケース20に支持され、ロッド40のスライド方向Xに延びる第2延出部71と、該第2延出部71の先端部側に設けられ、押圧部47により受け部62が押圧されたときに、第1接触部(折り返し部65の基端部65a)に接触する第2接触部(この実施形態では、後述する突部75)とを有し、本体ケース20の外側であって且つ第1端子60に対向して配置されている。更に、この第2端子70は、対向配置された第1端子60に対して、近接離反するように撓み変形可能となっている。
【0053】
図1に示すように、第2端子70の第2延出部71は、ロッド40のスライド方向Xに沿って所定長さで且つ一定幅で延びる、長板状をなしている。そして、
図10(b)や
図11(b)に示すように、ロッド40の押圧部47により受け部62が押圧されて、第1延出部61が撓み変形し、第1端子60の第1接触部が第2端子70の第2接触部に接触したときに、第2端子70は、ロッド40の押圧部47からの押圧力を、第1端子60を介して間接的に受ける。そのため、第2端子70の第2延出部71が撓み変形するようになっている(
図10(b),
図11(b)参照)。
【0054】
また、第2延出部71の延出方向の先端部(X1方向側の端部)よりも、やや基端部(X2方向側の端部)寄りの位置には、第1端子60に近接する方向に向けて屈曲した、屈曲部73が設けられている。この屈曲部73は、曲面状をなした頂部73aを有している。そして、この第2端子70は、屈曲部73の頂部73aが、端子ケース80の位置決めリブ92に弾性的に当接して、第2延出部71が、第1延出部61から離反する方向にやや撓み変形した状態で、本体ケース20の外側に配置されるようになっている(
図7参照)。その結果、第2端子70は、
図7の矢印Fに示す方向に弾性付勢されることとなる。ただし、この状態でも、屈曲部73の頂部73aが位置決めリブ92に当接することで、第2延出部71が、第1端子60側にそれ以上近接することが規制されて、第2接触部をなす突部75と、第1接触部をなす折り返し部65の基端部65aとが、互いに離反した状態に維持されるようになっている。
【0055】
更に
図6に示すように、第2延出部71の延出方向の先端部71аには、第1端子60の受け部62に対して近接するように、幅方向Yに偏位した位置(第2延出部71の幅方向Yの一側辺71c寄りの位置)から、第1端子60に近接する方向に向けて突出する突部75が設けられており、この突部75が、第2接触部をなしている。
【0056】
図6に示すように、この実施形態の突部75は、第2延出部71の先端部71аの、厚さ方向の内面(第1端子60との対向面)から、第1端子60に近接する方向に隆起しており、その隆起面は曲面状をなしている。また、
図2に示すように、この突部75は、第2延出部71の延出方向に沿って所定長さで延びている。その結果、第2接触部をなす突部75は、第1端子60の幅方向Yに延びる、幅広の折り返し部65の基端部65aに対して交差するように接触するようになっている。
図2には、突部75に対する、折り返し部65の基端部65aの接触軌跡Tが示されているが、この実施形態の場合、折り返し部65の基端部65aは、突部75に対して、略十字状に交差するように線接触又は線接触に近い態様で接触するようになっている。
【0057】
また、第2延出部71の延出方向の基端部71b(X2方向側の端部)であって、ロッド40のスライド方向Xと同方向の端縁からは、第1端子60側に向けて折り曲げられてなる、第1折曲リブ77が設けられている。
図7に示すように、この第1折曲リブ77は、本体ケース20の端子係合突部35に係合して、本体ケース20からの第2端子70の抜け止めを図る部分となっている。
【0058】
更に、第2延出部71の延出方向の基端部71bであって、ロッド40のスライド方向Xに交差する側縁(幅方向Yの他側辺71d側の側縁)からは、第1端子60側に向けて折り曲げられてなる、第2折曲リブ78が設けられている。この第2折曲リブ78を介して、バスバー79が、ロッド40のスライド方向Xに沿って延びている。このバスバー79は、図示しない電気コネクタに電気的に接触する部分となっている。
図8に示すように、バスバー79は、端子ケース80のバスバー挿通孔95に挿通されて、コネクタ差し込み空間S2内へと挿出されるようになっている。なお、第2折曲リブ78は、端子ケース80の側壁82の内面に当接可能とされており、バスバー79を、バスバー挿通孔95に挿通する際のガイドとなる。
【0059】
また、
図1に示すように、第2端子70は、第2延出部71の面方向(第2延出部71の面Mに沿った方向)が、本体ケース20の側壁21の外面に対して交差(ここでは直交)するように、本体ケース20の外側に配置されている。更に、第2端子70の第2延出部71の面方向は、ロッド40の基板41の面方向に対して平行となるように、本体ケース20の外側に配置されている。
【0060】
以上説明した第2端子70は、この実施形態の場合、第2延出部71、屈曲部73、突部75、第1折曲リブ77、第2折曲リブ78、バスバー79等の全ての部分が、例えば、ばね鋼やステンレス鋼等の鉄系合金、銅合金、アルミニウム合金等の金属材料からなる、金属板材を適宜折り曲げることで一体形成されている。なお、バスバー79は、金属板材を二つ折りして重ねられた形状とされており、第2延出部71等の、他の部分よりも肉厚となっている。
【0061】
そして、この実施形態においては、
図12に示すように、ロッド40がX1方向にスライドして、ロッド40に制動力が付与されるときに、
図10(b)や
図11(b)に示すように、ロッド40の押圧部47が、第1端子60の受け部62の頂部62bを押圧して、第1延出部61を撓み変形させて、第1接触部をなす折り返し部65の基端部65aを、第2端子70の、第2接触部をなす突部75に接触させることで、両端子60,70を導通させるようになっている。この際、第2端子70の第2延出部71が、弾性付勢力(
図7の矢印F参照)に抗して、
図10(b)や
図11(b)に示すように撓み変形するようになっている(屈曲部73が端子ケース80の位置決めリブ92から離れる方向となるように、第2延出部71が撓み変形する)。
【0062】
一方、
図13に示すように、ロッド40がX2方向にスライドして、ロッド40に付与された制動力が解除されると、
図10(а)や
図11(а)に示すように、ロッド40の押圧部47が、第1端子60の受け部62から退避して接触しない位置となり、第1端子60を押圧しないようになるので、第1延出部61が弾性復帰して元の形状に戻り、第1接触部をなす折り返し部65の基端部65aが、第2端子70の第2接触部をなす突部75から離反して、両端子60,70が導通しない状態となる。また、第2端子70の第2延出部71が弾性復帰して、
図10(а)に示すように、屈曲部73の頂部73аが、端子ケース80の位置決めリブ92に当接し、第2延出部71の、第1端子60側への近接移動が規制されて、突部75と折り返し部65の基端部65aとが離反した状態に維持される。
【0063】
次に、端子ケース80について説明する。
【0064】
図1~4及び
図5に示すように、この実施形態の端子ケース80は、互いに平行となるように対向して配置され、ロッド40のスライド方向Xに沿って延びる一対の対向壁81,81と、これらの一対の対向壁81,81の、幅方向Yの他側縁(本体ケース20の側壁21の外面から離れる側縁)どうしを連結する側壁82とを有する、ケース状をなしている。また、
図2に示すように、一対の対向壁81,81及び側壁82の延出方向の中間部よりも、やや基端部寄りの位置には、隔壁83が配置されている。そして、端子ケース80の内部には、隔壁83を介して、一対の端子60,70が収容配置される端子収容空間S1と、一対の端子60,70に導通する図示しない電気コネクタが差し込まれる、コネクタ差し込み空間S2とが画成されるようになっている(
図8参照)。
【0065】
また、
図1や
図2に示すように、各対向壁81の延出方向の先端部よりも、やや基端部寄りの位置であって、幅方向Yの一側縁部(本体ケース20の側壁21の外面に近接する側縁部)には、本体ケース20の第1係合部32が係合する、貫通孔状をなした第1係合部86が設けられている。更に、各対向壁81の延出方向の基端部であって、幅方向Yの一側縁部には、本体ケース20の第2係合部33が係合する、略コ字枠状をなした第2係合部87が設けられている。
【0066】
更に
図2や
図7に示すように、側壁82の延出方向の先端部側であって、高さ方向Zの中間位置の内面(本体ケース20の側壁21の外面との対向面)からは、本体ケース20の位置決め溝37に挿入される、位置決めリブ92が突設されている。
【0067】
また、
図8に示すように、隔壁83には、第1端子60のバスバー69が挿通される、バスバー挿通孔94が形成されている共に、第2端子70のバスバー79が挿通される、バスバー挿通孔95が形成されている。
【0068】
そして、
図8に示すように、両端子60,70のバスバー69,79を、隔壁83のバスバー挿通孔94,95に挿通させて、両バスバー69,79をコネクタ差し込み空間S2内に挿出させることで、端子収容空間S1内に一対の端子60,70を仮保持される。この状態で、各対向壁81の第1係合部86及び第2係合部87に、本体ケース20の対応する第1係合部32及び第2係合部33をそれぞれ係合させることで、
図4に示すように、本体ケース20の側壁21の外側に、端子ケース80が装着されるようになっている。この際、
図7に示すように、本体ケース20の端子係合突部35が、両端子60,70の第1折曲リブ67,77に係合して、同第1折曲リブ67,77が、隔壁83と端子係合突部35とにより挟持されることになるので、端子ケース80から両端子60,70が抜け外れないように、端子ケース80に対して両端子60,70が抜け止め保持されるようになっている。
【0069】
(変形例)
本発明における端子付きダンパー装置を構成する、本体ケースや、ロッド、ダンパー構造体、第1端子、第2端子、端子ケースの、形状や構造は、上記態様に限定されるものではない。
【0070】
この実施形態の本体ケース20は、ロッド40のスライド方向Xの両方向X1,X2に、スロット23a,24aを設け、天井側が開口した薄肉ケース状をなしているが、例えば、本体ケースとしては、円筒状や角筒状をなしたケース状であってもよい。また、この実施形態のロッド40は、薄肉平坦状をなしているが、例えば、ロッドとしては、円筒状や各筒状をなしていてもよい。
【0071】
更に、この実施形態のダンパー構造は、複数のギヤ等からなるダンパー構造体50及びロッド40に設けたラックギヤ43aとからなり、粘性流体Rを利用したいわゆるギヤダンパーとなっているが、例えば、ダンパー構造としては、空気を利用したエアダンパーや、摩擦力を利用したダンパー(フリクションダンパー)等であってもよく、ロッドに制動力を付与することができればよい。また、この実施形態では、ロッド40がX1方向にスライドしたときに、制動力が付与され、ロッド40がX2方向にスライドしたときに、制動力が解除されるようになっているが、ロッドがX2方向にスライドしたときに、制動力が付与され、X1方向にスライドしたときに、制動力が解除されるようにしてもよい。
【0072】
また、第1端子60は、屈曲部63や、延長部64、折り返し部65、ビード部66を有しているが、これらは存在しなくともよく、少なくとも、第1延出部と、第1接触部と、受け部とを有する形状・構造であればよい。更に、第2端子70は、屈曲部73や突部75を有しているが、これらは存在しなくともよく、少なくとも、第2延出部と、第2接触部とを有する形状・構造であればよい。
【0073】
また、この実施形態における第1端子60の第1延出部61や第2端子70の第2延出部71は、一定幅で延びる長板状をなしているが、第1延出部や第2延出部としては、例えば、基端部から先端部に向けて次第に幅狭或いは幅広としたり、基端部から先端部に向けて段階的に幅狭又は幅広としたり、更には、幅狭の線状等をなしていたりしてもよい。ただし、第1延出部や第2延出部は、撓み変形可能であることが好ましい。
【0074】
更に、両端子60,70は端子ケース80の端子収容空間S1内に収容保持されているが、端子ケース80は存在しなくともよい。例えば、本体ケース20の外側から、複数の係止爪を突設させておき、これらの複数の係止爪を両端子60,70の所定位置に係止させる等して、両端子60,70を、本体ケース20の外側に対向配置してもよい。
【0075】
また、この実施形態では、
図4に示すように、本体ケース20の一方の側壁21の外側に、端子ケース80を介して、一対の端子60,70が対向配置されるようになっているが、本体ケース20の他方の側壁21の外側に、一対の端子60,70を対向配置させてもよく、或いは、本体ケース20の両方の側壁21,21の外側に、一対の端子60,70をそれぞれ対向配置させてもよい。
【0076】
(作用効果)
次に、上記構造からなるダンパー装置10の作用効果について説明する。
【0077】
このダンパー装置10は、固定体1の開口部に対して開閉体3が閉じた状態では、
図12に示すように、本体ケース20のスロット23aからロッド40が引き込まれて、
図10(a)や
図11(a)に示すように、ロッド40の押圧部47が、第1端子60の受け部62に接触しない位置とされている。この状態では、ロッド40の押圧部47により、第1端子60が押圧されず、第1接触部をなす折り返し部65の基端部65aが、第2端子70の第2接触部をなす突部75から離反しており、両端子60,70が導通しないようになっている。
【0078】
そして、固定体1の開口部から開閉体3が開くと、取付片45aを介して、ロッド40が引っ張られて、X1方向にスライドする。その結果、ダンパー構造体50やラックギヤ43aからなるダンパー構造によって、ロッド40に制動力が付与されると共に、
図10(b)や
図11(b)に示すように、ロッド40の押圧部47が、第1端子60の受け部62の頂部62bを押圧して、第1延出部61を撓み変形させる。その結果、第1接触部をなす折り返し部65の基端部65aが、第2端子70の、第2接触部をなす突部75に接触するので、両端子60,70が互いに導通して、固定体1内に配置された図示しないランプが点灯するようになっている。
【0079】
一方、固定体1の開口部から開閉体3が開いた状態から、固定体1の開口部を閉じるべく、開閉体3を押し込んでいくと、取付片45aを介して、ロッド40が押し込まれていき、X2方向にスライドする。この場合、ダンパー構造による制動力は解除されるようになっているので、ロッド40はスムーズに押し込まれることとなる。そして、
図10(a)や
図11(a)に示すように、ロッド40の押圧部47が、第1端子60の受け部62から退避して接触しない位置となり、第1端子60を押圧しないようになるので、第1延出部61が弾性復帰して元の形状に戻り、第1接触部をなす折り返し部65の基端部65aが、第2端子70の第2接触部をなす突部75から離反する。その結果、両端子60,70が導通しない状態となり、固定体1内に配置された図示しないランプが消灯するようになっている。
【0080】
そして、このダンパー装置10においては、
図1や
図9に示すように、第1端子60の第1延出部61、及び、第2端子70の第2延出部71が、ロッド40のスライド方向Xに延びているので、ダンパー装置10が、ロッド40のスライド方向Xに交差し且つ本体ケース20の外方に向く方向に、嵩張ることを抑制することができる。その結果、ダンパー装置10のコンパクト化を図ることができる。また、第1端子60の第1延出部61や、第2端子70の第2延出部71を長く確保できるので、延出部61,71の柔軟性や、耐久性を高めることができ、へたれにくくすることができる。
【0081】
また、この実施形態においては、
図2や
図3に示すように、第1延出部61の先端部61а側には、第2端子70から離反する方向に向けて屈曲する屈曲部63を有しており、該屈曲部63は、その幅方向Yの一側辺から突出する部分を有しており、この部分が受け部62をなしている。
【0082】
上記態様によれば、屈曲部63の幅を広く確保しつつ、受け部62を設けることができるので、同受け部62が、ロッド40の押圧部47に、押圧されやすくすることができる。
【0083】
更に、この実施形態においては、
図1に示すように、本体ケース20は、一対の側壁21,21と、該一対の側壁21,21どうしを連結する一対の連結壁23,24とを有しており、少なくとも一方の側壁21の外側に、第1端子60及び第2端子70が配置されており、
図6に示すように、受け部62は、ロッド40のスライド方向Xから見て、本体ケース20の、一方の側壁21に重なるように設けられている。
【0084】
上記態様によれば、
図6に示すように、第1端子60の受け部62は、ロッド40のスライド方向Xから見て、本体ケース20の、一方の側壁21に重なるように設けられているので、ダンパー装置10が、ロッド40のスライド方向Xに交差し且つ本体ケース20の外方に向く方向に、嵩張ることを、より抑制することができる。その結果、ダンパー装置10を、より一層コンパクトにすることができる。
【0085】
また、この実施形態においては、
図6に示すように、第2延出部71の先端部71аには、受け部62に対して近接するように、幅方向Yに偏位した位置から、第1端子60に近接する方向に向けて突出する突部75が設けられており、この突部75が第2接触部をなしている。
【0086】
本実施形態の場合、前述したように、第1延出部61の先端部61а側に位置する屈曲部63の幅方向Yの一側辺から、受け部62が突出しているので、ロッド40の押圧部47によって、第1端子60の受け部62が押圧されたときに、
図6の二点鎖線で示すように、受け部62の幅方向Yの一側部62dが、幅方向Yの他側部62eに対して、第2端子70側に向けて斜めに傾くことがある。これに対して上記態様によれば、上記のように受け部62が傾いたとしても、同受け部62に対して近接し幅方向Yに偏位した位置に、第1端子60に近接する方向に突出する突部75が存在するので、受け部62を突部75に接触させやすくすることができ、両端子60,70の導通をより確実に行わせることができる。
【0087】
更に、この実施形態においては、
図2や
図6に示すように、第1端子60には、屈曲部63の先端から、第2端子70に近接する方向に向けて延びる延長部64が設けられており、該延長部64の先端部側が折り返されて折り返し部65が設けられており、該折り返し部65が第1接触部をなしており、突部75に接離するように構成されている。
【0088】
上記態様によれば、延長部64の先端側が折り返されてなる折り返し部65が、第1接触部をなし、この折り返し部65が、第2接触部をなす突部75に接離するので、その接触時には、折り返し部65と突部75とが交差するようにして接触することになるため(
図2の、突部75に対する、折り返し部65の基端部65aの接触軌跡Tを参照)、両端子60,70の導通を、より一層確実に行わせることができる。すなわち、幅広の折り返し部65が、突部75に交差するように接触するので、第1接触部をなす折り返し部65が斜めに傾いたとしても、突部75に確実に接触させることができる。
【0089】
また、この実施形態においては、
図1や
図2に示すように、第1延出部61の、幅方向Yの他側辺61dであって、その基端部61b寄りの位置から、幅方向Yの一側辺61cであって先端部61а側の位置に向けて斜めに延びる、ビード部66が設けられている。
【0090】
上記態様によれば、ビード部66によって、第1端子60の第1延出部61の剛性を高めることができる。それによって、ロッド40の押圧部47によって、第1端子60の受け部62が押圧されたときに、第1延出部61がねじれにくくなって、受け部62を傾きにくくすることができる。その結果、第1端子60の第1接触部を、第2端子70の第2接触部にしっかりと接触させることができ、両端子60,70の導通が確実となる。
【0091】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、各種の変形実施形態が可能であり、そのような実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0092】
10 端子付きダンパー装置(ダンパー装置)
20 本体ケース(ケース)
21 側壁
23,24 連結壁
40 ロッド
47 押圧部
50 ダンパー構造体
60 第1端子
61 第1延出部
62 受け部
63 屈曲部
64 延長部
65 折り返し部
66 ビード部
70 第2端子
71 第2延出部
73 屈曲部
75 突部
80 端子ケース