(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】緩衝部材の製造方法、装置、記憶媒体および電子デバイス
(51)【国際特許分類】
G06F 30/27 20200101AFI20241127BHJP
G06F 119/14 20200101ALN20241127BHJP
【FI】
G06F30/27
G06F119:14
(21)【出願番号】P 2023563106
(86)(22)【出願日】2023-08-29
(86)【国際出願番号】 CN2023115533
(87)【国際公開番号】W WO2024078165
(87)【国際公開日】2024-04-18
【審査請求日】2023-10-13
(31)【優先権主張番号】202310407367.4
(32)【優先日】2023-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521162399
【氏名又は名称】之江実験室
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 宇
(72)【発明者】
【氏名】謝 安桓
(72)【発明者】
【氏名】朱 世強
(72)【発明者】
【氏名】顧 建軍
(72)【発明者】
【氏名】聶 大明
(72)【発明者】
【氏名】孔 令雨
【審査官】合田 幸裕
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0086624(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2022/0110407(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0384878(US,A1)
【文献】国際公開第2020/056405(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第109858133(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00 - 30/398
IEEE Xplore
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセルからなるドットマトリックスを含む緩衝部材の製造方法であって、
前記ドットマトリックスを製造するための材料およびセルサイズを初期化するステップと、
所定の荷重、前記材料および前記セルサイズを予め訓練されたセル配向決定モデルに入力して、前記所定の荷重の条件下で前記材料から前記セルサイズに製造されるときに前記緩衝部材が採用すべきセル配向を決定するステップと、
前記材料から製造される、前記セル配向および前記セルサイズを有するセルからなる緩衝部材の、前記所定の荷重の条件下での等価応力場が均一であるか否かを判定するステップと、
均一である場合、前記材料から前記セルサイズおよび前記セル配向を有する緩衝部材を製造するステップと、
均一でない場合、前記等価応力場が均一になるまで前記セル配向を調整するステップと、を含み、
前記セル配向決定モデルの訓練は、
サンプルドットマトリックスを製造するための材料およびセルサイズを初期化するステップと、
前記材料および前記セルサイズのラベルセル配向を取得するステップと、
所定の荷重、前記材料および前記セルサイズをセル配向決定モデルに入力して、前記セル配向決定モデルによって出力されるセル配向を出力セル配向として決定するステップと、
前記ラベルセル配向および前記出力セル配向に基づいて前記セル配向決定モデルを訓練するステップと、を含む、
ことを特徴とする緩衝部材の製造方法。
【請求項2】
前記材料から製造される、前記セル配向および前記セルサイズを有するセルからなる緩衝部材の、前記所定の荷重の条件下での等価応力場が均一であるか否かを判定するステップは、
前記材料から製造される、前記セル配向および前記セルサイズを有するセルからなる緩衝部材の、前記所定の荷重の条件下での等価応力場を決定するステップと、
前記等価応力場の最大応力と最小応力とを決定するステップと、
最大応力と最小応力との差を決定するステップと、
前記差が所定の第1の閾値未満であるか否かを判定するステップと、を含み、
前記差分値が前記所定の第1の閾値未満である場合、前記等価応力場は均一であり、
前記差の値が前記所定の第1の閾値以上である場合、前記等価応力場は均一でない、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記等価応力場の最大応力と最小応力とを決定するステップは、
前記等価応力場における各応力点と各応力点の応力とを決定するステップと、
各応力点の応力に基づいて、各応力点から異常応力点を除去するステップと、
異常応力点を除去した後の各応力点の応力から、前記等価応力場の最大応力と最小応力とを決定するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記等価応力場の最大応力と最小応力とを決定するステップは、
前記等価応力場から所定数の最大応力と所定数の最小応力とを決定するステップを含み、
最大応力と最小応力との差を決定するステップは、
前記所定数の最大応力の第1の平均値と、前記所定数の最小応力の第2の平均値とを決定し、前記第1の平均値と前記第2の平均値との平均値の差を決定するステップを含み、
前記差が所定の第1の閾値未満であるか否かを判定するステップは、
前記平均値の差が所定の第1の閾値未満であるか否かを判定するステップを含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記セル配向を調整する前に、
現在の時点で前記セル配向が調整された回数が所定の第2の閾値に達していないと決定するステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
現在の時点で前記セル配向が調整された回数が所定の第2の閾値に達した場合、前記ドットマトリックスの構造情報を調整するステップであって、前記構造情報は、前記ドットマトリックスの製造に使用された材料およびセルサイズを含む、ステップと、
前記所定の荷重および調整された構造情報に基づいてセル配向を再決定するステップと、
調整された構造情報および再決定されたセル配向に基づいて製造された緩衝部材の、前記所定の荷重の条件下での等価応力場が均一であるか否かを再判定するステップと、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記緩衝部材は、人型ロボットの足に適用され、
前記所定の荷重は、前記人型ロボットの異なる歩き方での荷重であり、
前記セルは、前記材料から構成される複数の棒で囲まれた多角形を含み、前記セルの棒の直径と辺の長さとの比が1/5~1/3であり、
前記緩衝部材は、連続層をさらに備え、前記連続層は、前記ドット
マトリックスの上面および下面に設けられ、前記連続層は、所定の厚さ閾値より大きい厚さを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
複数のセルからなるドットマトリックスを含む緩衝部材の製造装置であって、
前記ドットマトリックスを製造するための材料およびセルサイズを初期化するための初期化モジュールと、
所定の荷重、前記材料および前記セルサイズを予め訓練されたセル配向決定モデルに入力して、前記所定の荷重の条件下で前記材料から前記セルサイズに製造されるときに前記緩衝部材が採用すべきセル配向を決定するためのセル配向決定モジュールと、
前記材料から製造される、前記セル配向および前記セルサイズを有するセルからなる緩衝部材の、前記所定の荷重の条件下での等価応力場が均一であるか否かを判定する第1の判定モジュールと、
均一である場合、前記材料から前記セルサイズおよび前記セル配向を有する緩衝部材を製造するための第1の結果出力モジュールと、
均一でない場合、前記等価応力場が均一になるまで前記セル配向を調整するための第2の結果出力モジュールと、
サンプルドットマトリックスを製造するための材料およびセルサイズを初期化し、前記材料および前記セルサイズのラベルセル配向を取得し、所定の荷重、前記材料および前記セルサイズをセル配向決定モデルに入力して、前記セル配向決定モデルによって出力されるセル配向を出力セル配向として決定し、前記ラベルセル配向および前記出力セル配向に基づいて前記セル配向決定モデルを訓練するためのモデル訓練モジュールと、を含む、
ことを特徴とする緩衝部材の製造装置。
【請求項9】
コンピュータプログラムを記憶しているコンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されると、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法が実施される、
ことを特徴とするコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項10】
メモリと、プロセッサと、前記メモリに記憶され、前記プロセッサ上で実行可能なコンピュータプログラムとを含む電子デバイスであって、前記プロセッサが前記コンピュータプログラムを実行すると、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法を実施する、
ことを特徴とする電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造設計の分野に関し、特に、緩衝部材の製造方法、装置、記憶媒体および電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
インテリジェントロボットの開発に伴い、掃除ロボット、インテリジェントソーティングロボットなどのインテリジェントロボットが様々な分野で使用され始め、人型ロボットも単純な歩行から、今では様々な困難なアクションを行うことができるようになった。しかし、人型ロボットは、強い外力によって外部衝撃を受けると、電子制御部品、通信回線の損傷や、駆動モータの減速システムなどによる壊れやすい部品への損傷を引き起こすだけでなく、構造部品間の接続スレッドへの影響または接続の故障などの問題を引き起こす可能性がある。そのため、人型ロボットに緩衝部材を取り付ける必要がある。
【0003】
これに基づき、本発明は、人型ロボットへの外部衝撃や、壊れやすい部品への損傷の可能性を低減する緩衝部材の製造方法を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来技術の上記課題を解決する緩衝部材の製造方法、装置、記憶媒体および電子デバイスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に用いられる技術的解決手段は、以下のとおりである。
【0006】
本発明は、複数のセルからなるドットマトリックスを含む緩衝部材の製造方法であって、
前記ドットマトリックスを製造するための材料およびセルサイズを初期化するステップと、
所定の荷重、前記材料および前記セルサイズを予め訓練されたセル配向決定モデルに入力して、前記所定の荷重の条件下で前記材料から前記セルサイズに製造されるときに前記緩衝部材が採用すべきセル配向を決定するステップと、
前記材料から製造される、前記セル配向および前記セルサイズを有するセルからなる緩衝部材の、前記所定の荷重の条件下での等価応力場が均一であるか否かを判定するステップと、
均一である場合、前記材料から前記セルサイズおよび前記セル配向を有する緩衝部材を製造するステップと、
均一でない場合、前記等価応力場が均一になるまで前記セル配向を調整するステップと、を含む、
緩衝部材の製造方法を提供する。
【0007】
オプションで、前記材料から製造される、前記セル配向および前記セルサイズを有するセルからなる緩衝部材の、前記所定の荷重の条件下での等価応力場が均一であるか否かを判定するステップは、具体的に、
前記材料から製造される、前記セル配向および前記セルサイズを有するセルからなる緩衝部材の、前記所定の荷重の条件下での等価応力場を決定するステップと、
前記等価応力場の最大応力と最小応力とを決定するステップと、
最大応力と最小応力との差を決定するステップと、
前記差が所定の第1の閾値未満であるか否かを判定するステップと、を含み、
前記差分値が前記所定の第1の閾値未満である場合、前記等価応力場は均一であり、
前記差の値が前記所定の第1の閾値以上である場合、前記等価応力場は均一でない。
【0008】
オプションで、前記等価応力場の最大応力と最小応力とを決定するステップは、具体的に、
前記等価応力場における各応力点と各応力点の応力とを決定するステップと、
各応力点の応力に基づいて、各応力点から異常応力点を除去するステップと、
異常応力点を除去した後の各応力点の応力から、前記等価応力場の最大応力と最小応力とを決定するステップと、を含む。
【0009】
オプションで、前記等価応力場の最大応力と最小応力とを決定するステップは、具体的に、
前記等価応力場から所定数の最大応力と所定数の最小応力とを決定するステップを含み、
最大応力と最小応力との差を決定するステップは、具体的に、
前記所定数の最大応力の第1の平均値と、前記所定数の最小応力の第2の平均値とを決定し、前記第1の平均値と前記第2の平均値との平均値の差を決定するステップを含み、
前記差が所定の第1の閾値未満であるか否かを判定するステップは、具体的に、
前記平均値の差が所定の第1の閾値未満であるか否かを判定するステップを含む。
【0010】
オプションで、前記セル配向を調整する前に、
現在の時点で前記セル配向が調整された回数が所定の第2の閾値に達していないと決定するステップをさらに含む。
【0011】
オプションで、現在の時点で前記セル配向が調整された回数が所定の第2の閾値に達した場合、前記ドットマトリックスの構造情報を調整するステップであって、前記構造情報は、前記ドットマトリックスの製造に使用された材料およびセルサイズを含む、ステップと、
前記所定の荷重および調整された構造情報に基づいてセル配向を再決定するステップと、
調整された構造情報および再決定されたセル配向に基づいて製造された緩衝部材の、前記所定の荷重の条件下での等価応力場が均一であるか否かを再判定するステップと、をさらに含む。
【0012】
オプションで、前記セル配向決定モデルの訓練は、具体的に、
サンプルドットマトリックスを製造するための材料およびセルサイズを初期化するステップと、
前記材料および前記セルサイズのラベルセル配向を取得するステップと、
所定の荷重、前記材料および前記セルサイズをセル配向決定モデルに入力して、前記セル配向決定モデルによって出力されるセル配向を出力セル配向として決定するステップと、
前記ラベルセル配向および前記出力セル配向に基づいて前記セル配向決定モデルを訓練するステップと、を含む。
【0013】
オプションで、前記緩衝部材は、人型ロボットの足に適用され、
前記所定の荷重は、前記人型ロボットの異なる歩き方での荷重である。
【0014】
オプションで、前記セルは、複数の前記材料の棒で囲まれた多角形を含み、前記セルの棒の直径と辺の長さとの比が1/5~1/3である。
【0015】
オプションで、前記緩衝部材は、連続層をさらに備え、前記連続層は、前記ドットマトリックスの上面および下面に設けられ、前記連続層は、所定の厚さ閾値より大きい厚さを有する。
【0016】
本発明は、複数のセルからなるドットマトリックスを含む緩衝部材の製造装置であって、
前記ドットマトリックスを製造するための材料およびセルサイズを初期化するための初期化モジュールと、
所定の荷重、前記材料および前記セルサイズを予め訓練されたセル配向決定モデルに入力して、前記所定の荷重の条件下で前記材料から前記セルサイズに製造されるときに前記緩衝部材が採用すべきセル配向を決定するためのセル配向決定モジュールと、
前記材料から製造される、前記セル配向および前記セルサイズを有するセルからなる緩衝部材の、前記所定の荷重の条件下での等価応力場が均一であるか否かを判定する第1の判定モジュールと、
均一である場合、前記材料から前記セルサイズおよび前記セル配向を有する緩衝部材を製造するための第1の結果出力モジュールと、
均一でない場合、前記等価応力場が均一になるまで前記セル配向を調整するための第2の結果出力モジュールと、を含む、
緩衝部材の製造装置を提供する。
【0017】
オプションで、前記第1の判定モジュールは、具体的に、
前記材料から製造される、前記セル配向および前記セルサイズを有するセルからなる緩衝部材の、前記所定の荷重の条件下での等価応力場を決定し、
前記等価応力場の最大応力と最小応力とを決定し、
最大応力と最小応力との差を決定し、
前記差が所定の第1の閾値未満であるか否かを判定するために用いられ、
前記差分値が前記所定の第1の閾値未満である場合、前記等価応力場は均一であり、
前記差の値が前記所定の第1の閾値以上である場合、前記等価応力場は均一でない。
【0018】
オプションで、前記第1の判定モジュールは、具体的に、
前記等価応力場における各応力点と各応力点の応力とを決定し、
各応力点の応力に基づいて、各応力点から異常応力点を除去し、
異常応力点を除去した後の各応力点の応力から、前記等価応力場の最大応力と最小応力とを決定するために用いられる。
【0019】
オプションで、前記第1の判定モジュールは、具体的に、
前記等価応力場から所定数の最大応力と所定数の最小応力とを決定し、
前記所定数の最大応力の第1の平均値と、前記所定数の最小応力の第2の平均値とを決定し、前記第1の平均値と前記第2の平均値との平均値の差を決定し、
前記平均値の差が所定の第1の閾値未満であるか否かを判定するために用いられる。
【0020】
オプションで、前記セル配向を調整する前に、
現在の時点で前記セル配向が調整された回数が所定の第2の閾値に達していないと決定するための第2の判定モジュールをさらに含む。
【0021】
オプションで、現在の時点で前記セル配向が調整された回数が所定の第2の閾値に達した場合、前記ドットマトリックスの構造情報を調整し、前記構造情報は、前記ドットマトリックスの製造に使用された材料およびセルサイズを含み、
前記所定の荷重および調整された構造情報に基づいてセル配向を再決定し、
調整された構造情報および再決定されたセル配向に基づいて製造された緩衝部材の、前記所定の荷重の条件下での等価応力場が均一であるか否かを再判定するための第3の判定モジュールをさらに含む。
【0022】
オプションで、サンプルドットマトリックスを製造するための材料およびセルサイズを初期化し、
前記材料および前記セルサイズのラベルセル配向を取得し、
所定の荷重、前記材料および前記セルサイズをセル配向決定モデルに入力して、前記セル配向決定モデルによって出力されるセル配向を出力セル配向として決定し、
前記ラベルセル配向および前記出力セル配向に基づいて前記セル配向決定モデルを訓練するためのモデル訓練モジュールをさらに含む。
【0023】
前記緩衝部材は、人型ロボットの足に適用され、
前記所定の荷重は、前記人型ロボットの異なる歩き方での荷重である。
【0024】
オプションで、前記セルは、複数の前記材料の棒で囲まれた多角形を含み、前記セルの棒の直径と辺の長さとの比が1/5~1/3である。
【0025】
オプションで、前記緩衝部材は、連続層をさらに備え、前記連続層は、前記ドットマトリックスの上面および下面に設けられ、前記連続層は、所定の厚さ閾値より大きい厚さを有する。
【0026】
本発明は、コンピュータプログラムを記憶しているコンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されると、上述した緩衝部材の製造方法が実施される、コンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【0027】
本発明は、メモリと、プロセッサと、前記メモリに記憶され、前記プロセッサ上で実行可能なコンピュータプログラムとを含む電子デバイスであって、前記プロセッサが前記コンピュータプログラムを実行すると、上述した緩衝部材の製造方法を実施する、電子デバイスを提供する。
【発明の効果】
【0028】
本発明で用いられる上記技術的解決手段の少なくとも1つは、以下の有益な効果を達成することができる。
【0029】
本発明にて提供される緩衝部材の製造方法では、初期化された材料、所定の荷重、およびセルサイズをセル配向決定モデルに入力して、所望のセル配向を決定し、当該材料から製造される、当該セル配向および当該セルサイズを有するセルからなる緩衝部材の、所定の荷重の条件下での等価応力場が均一であるか否かを判定し、均一である場合、当該材料から当該セルサイズおよび当該セル配向を有する緩衝部材を製造し、均一でない場合、等価応力場が均一になるまでセル配向を調整する。
【0030】
上記方法から分かるように、本方法は、所定の荷重を制限条件として、所望のセル配向を得るために材料とセルサイズを選択し、当該材料から当該セルサイズおよび当該セル配向を有する緩衝部材を製造する。当該緩衝部材により人型ロボットを保護することで、人型ロボットへの外部衝撃や、壊れやすい部品への損傷の可能性を低減することができ、また、本方法により緩衝部材の製造効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
ここで説明される添付図面は、本発明の理解を深めるために用いられ、本発明の一部を構成し、本発明の例示的な実施形態およびその説明は、本発明を説明するために用いられ、本発明の不当な限定を構成するものではない。
【
図1】本発明にて提供される緩衝部材の製造方法のフローを示す概略図である。
【
図2】本発明にて提供されるセルを示す概略図である。
【
図3】本発明にて提供される緩衝部材の製造装置の構成を示す概略図である。
【
図4】本発明にて提供される
図1に対応する電子デバイスの構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の目的、技術的解決手段および利点をより明確にするために、以下、本発明の特定の実施形態および対応する添付図面と併せて、本発明の技術的解決手段を明確かつ完全に説明する。明らかに、説明された実施形態は、本発明の実施形態の一部に過ぎず、そのすべてではない。本発明の実施形態に基づいて、当業者が創作的な労力を要することなく得られる他のすべての実施形態は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0033】
以下、添付図面と併せて、本発明の各実施形態にて提供される技術的解決手段を詳細に説明する。
【0034】
図1は、本発明にて提供される、複数のセルからなるドットマトリックスを含む緩衝部材の製造方法のフローを示す概略図であり、以下のステップを含む。
【0035】
S100において、前記ドットマトリックスを製造するための材料およびセルサイズを初期化する。
【0036】
本発明の1つ以上の実施形態において、緩衝部材は、人型ロボットを保護するために、人型ロボットの様々な部位に適用することができる。本発明は、緩衝部材を人型ロボットの足に適用することを例として説明される。本発明の実行主体はサーバであってもよいし、演算機能を有する他の電子デバイスであってもよい。説明の便宜上、サーバのみを実行主体として、本発明にて提供される緩衝部材の製造方法を説明する。
【0037】
本発明にて提供されるセルを示す概略図であり、当該緩衝部材は、複数の
図2に示すようなセルからなるドットマトリックスを含み、セルは、上記材料から構成される複数の棒で囲まれた多角形を含み、当該セルの棒の直径と辺の長さとの比が1/5~1/3である。
【0038】
製造される緩衝部材に影響を与える要因としては、特に、緩衝部材を製造する材料、材料のセルサイズ、セル配向が挙げられる。当該人型ロボットの足に適した緩衝部材を製造するために、サーバは緩衝部材の形状など、当該緩衝部材の初期構成を設計する必要がある。その後、当該ドットマトリックスを製造するための材料およびセルサイズを初期化し、すなわち、当該ドットマトリックスを製造する材料、当該材料のセルサイズおよびセル形状をランダムに選択する。人型ロボットは重量が大きいため、緩衝部材が人型ロボットを保護できるように、一般的に弾性率の大きい高分子材料が緩衝部材の製造に使用される。材料の弾性率が小さい場合、当該材料で作られた緩衝部材は変形しやすく、人型ロボットを保護できない可能性がある。
【0039】
S102において、所定の荷重、前記材料および前記セルサイズを予め訓練されたセル配向決定モデルに入力して、前記所定の荷重の条件下で前記材料から前記セルサイズに製造されるときに前記緩衝部材が採用すべきセル配向を決定する。
【0040】
人型ロボットの異なる部位に適用される緩衝部材が耐える最大荷重は異なる可能性があるため、人型ロボットの足に緩衝部材を適用する場合、人型ロボットをよりよく保護するために、サーバは、人型ロボットの異なる歩き方での荷重を所定の荷重としてもよい。所定の荷重は正圧とせん断力を含み、所定の荷重は垂直方向の力と水平方向の力に分解されてもよく、垂直方向の力は均一で一定であってもよく、水平方向の位置によって変化してもよい。水平方向のせん断力の方向と大きさは荷重がかかる位置によって変化してもよい。歩き方には、踵接地歩行、つま先立ち歩行などが含まれ、本発明はこれについて限定されない。例えば、所定の荷重は、当該人型ロボットが荷物の配送タスクを実行しており、当該人型ロボットが最大許容重量の荷物を運んでおり、当該人型ロボットの歩き方が踵接地歩行であるときの荷重であってもよい。
【0041】
本発明の1つ以上の実施形態において、サーバは、所定の荷重の条件下で当該材料から当該セルサイズに製造されるときに採用すべきセル配向を決定してもよい。すなわち、所定の荷重、当該材料および当該セルサイズを予め訓練されたセル配向決定モデルに入力して、所定の荷重の条件下で当該材料から当該セルサイズに製造されるときに当該緩衝部材が採用すべきセル配向を決定する。セル配向の範囲は、勾配ブースティング(Gradient Boosting)の方法を用いて設定された水平面に対する傾斜角90度配向から0度配向までの指標値を含むが、もちろん、他の方法を用いて指標値の範囲をセル配向の範囲として決定してもよく、本発明はこれについて限定されない。
【0042】
S104において、前記材料から製造される、前記セル配向および前記セルサイズを有するセルからなる緩衝部材の、前記所定の荷重の条件下での等価応力場が均一であるか否かを判定し、均一である場合、ステップS106を実行し、均一でない場合、ステップS108を実行する。
【0043】
具体的に、サーバは、まず当該材料から製造される、当該セル配向および当該セルサイズを有するセルからなる緩衝部材の、所定の荷重の条件下での等価応力場を決定し、次に当該等価応力場における各応力点と各応力点の応力とを決定し、各応力点の応力に基づいて、各応力点から異常応力点を除去し、異常応力点は、応力無限小点、応力無限大点などを含み得る。次に、異常応力点を除去した後の各応力点の応力から、当該等価応力場の最大応力と最小応力とを決定する。すなわち、異常応力点を除去した後の各応力点の応力から、所定数の最大応力と所定数の最小応力とを決定する。例えば、所定数が10である場合、異常応力点を除去した後の各応力点の応力を大きい順にソートし、最初の10個の応力と最後の10個の応力を選択する。
【0044】
次に、最大応力と最小応力との差を決定する。例えば、所定数の最大応力の第1の平均値と、所定数の最小応力の第2の平均値とを決定し、第1の平均値と第2の平均値との平均値の差を決定してもよい。最後に、差が所定の第1の閾値未満であるか否かを判定し、すなわち、平均値の差が所定の第1の閾値未満であるか否かを判定する。
【0045】
S106において、前記等価応力場が均一である場合、前記材料から前記セルサイズおよび前記セル配向を有する緩衝部材を製造する。
【0046】
上記緩衝部材を製造する際に、当該材料から当該セルサイズおよび当該セル配向を有するドットマトリックスを製造することに加えて、当該ドットマトリックスの上面および下面に所定の厚さ閾値より大きい厚さを有する連続層を設けてもよい。通常、セルサイズは小さいため、緩衝部材の製造を容易にするために、3D(Three-Dimensional)印刷を使用して当該緩衝部材を製造するために、ドットマトリックス内のメッシュ層のセルの隣接する棒の交差線に角丸は設定されていない。
【0047】
S108において、前記等価応力場が均一でない場合、前記セル配向を調整し、ステップS104に戻る。
【0048】
すなわち、当該材料から製造される、調整されたセル配向および当該セルサイズを有するセルからなる緩衝部材の、当該所定の荷重の条件下での等価応力場が均一であるか否かを判定し、それでも均一でない場合、当該等価応力場が均一になるまで当該セル配向を調整し続ける。
【0049】
図1に示す緩衝部材の製造方法に基づき、本方法は、所定の荷重を制限条件として、所望のセル配向を得るために材料とセルサイズを選択し、当該材料から当該セルサイズおよび当該セル配向を有する緩衝部材を製造する。当該緩衝部材により人型ロボットを保護することで、人型ロボットへの外部衝撃や、壊れやすい部品への損傷の可能性を低減することができ、また、本方法により緩衝部材の製造効率を向上させることができる。
【0050】
ステップS108について、前記セル配向を調整する前に、サーバは、現在の時点でセル配向が調整された回数が所定の第2の閾値に達しているか否かと決定してもよい。セル配向が調整された回数が所定の第2の閾値に達していない場合、当該セル配向を調整し、セル配向が調整された回数が所定の第2の閾値に達した場合、当該ドットマトリックスの構造情報を調整する。当該構造情報は、当該ドットマトリックスの製造に使用された材料およびセルサイズを含み、すなわち、材料および/またはセルサイズを調整し、もちろん、セル形状を調整してもよい。次に、当該所定の荷重および調整された構造情報に基づいてセル配向を再決定する。次に、調整された構造情報および再決定されたセル配向に基づいて製造された緩衝部材の、前記所定の荷重の条件下での等価応力場が均一であるか否かを再判定する。
【0051】
また、本発明はセル配向決定モデルを訓練する方法をさらに提供する。セル配向決定モデルを訓練する際に、サーバは、まずサンプルドットマトリックスを製造するための材料およびセルサイズを初期化し、当該材料および当該セルサイズのラベルセル配向を取得すし、当該ラベルセル配向は、シミュレーション実験によって決定してもよい。次に、所定の荷重、当該材料および当該セルサイズをセル配向決定モデルに入力して、当該セル配向決定モデルによって出力されるセル配向を出力セル配向として決定する。最後に、当該ラベルセル配向および当該出力セル配向に基づいて当該セル配向決定モデルを訓練し、すなわち、当該ラベルセル配向および当該出力セル配向に基づいて、当該ラベルセル配向と当該出力セル配向との差を決定し、当該差に基づいて当該セル配向決定モデルの損失を決定し、当該損失を減らすことを目標に当該セル配向決定モデルを訓練する。
【0052】
具体的に、サーバは、シミュレーション実験を通じて、当該材料および当該セルサイズの最適なセル配向、すなわちラベルセル配向を決定してもよい。すなわち、サーバは、異なる材料および異なるセルサイズのサンプルドットマトリックスに対してシミュレーション一軸引張試験を行い、サンプルドットマトリックスに対して直交する3つの方向に一方向の引張力を加え、サンプルドットマトリックスの変位および引張力の大きさに基づいて直交する3つの方向の応力歪み曲線を求め、当該曲線に基づいてセル配向が異なるときの当該材料の弾性率、材料の降伏強度などの材料特性を求める。つまり、異なるセル配向と当該材料の材料特性との間の関係を決定するために、小さな体積のドットマトリックス構造に対して大きな計算能力のコンピュータによって有限要素計算を実行することができ、ここで、ドットマトリックス構造は、所定数以上のセルを含む。ラベルセル配向は、当該材料、当該セルサイズ、および当該関係に基づいて決定される。有限要素計算の計算量が多いため、最適なセル配向は、セル配向決定モデルを訓練することによって決定され、すなわち、セル配向決定モデルを訓練することによって異なるセル配向と当該材料の材料特性との間の関係を決定する。
【0053】
サーバは、セル配向決定モデルの反復回数または損失の大きさによってセル配向決定モデルの訓練が完了したか否かを判断するだけでなく、上記関係を訓練セットとテストセットとに分け、訓練セットをセル配向決定モデルの訓練に用い、テストセットをセル配向決定モデルのテストに用いてもよい。テスト時にセル配向決定モデルが出力する予測結果の誤差が所定の誤差閾値以下であれば、セル配向決定モデルの訓練が完了したと判断してもよい。例えば、セル配向決定モデルが出力した直交する3つの方向での材料の弾性率の予測結果の誤差が10%以下であれば、セル配向決定モデルの訓練が完了したと判定してもよい。
【0054】
上記は、本発明の1つまたは複数の実施形態による方法であり、同じ考え方に基づき、本発明は、
図3に示すような、対応する緩衝部材の製造装置をさらに提供する。
【0055】
図3は、本発明にて提供される緩衝部材の製造装置を示す概略図であり、
前記ドットマトリックスを製造するための材料およびセルサイズを初期化するための初期化モジュール400と、
所定の荷重、前記材料および前記セルサイズを予め訓練されたセル配向決定モデルに入力して、前記所定の荷重の条件下で前記材料から前記セルサイズに製造されるときに前記緩衝部材が採用すべきセル配向を決定するためのセル配向決定モジュール402と、
前記材料から製造される、前記セル配向および前記セルサイズを有するセルからなる緩衝部材の、前記所定の荷重の条件下での等価応力場が均一であるか否かを判定する第1の判定モジュール404と、
均一である場合、前記材料から前記セルサイズおよび前記セル配向を有する緩衝部材を製造するための第1の結果出力モジュール406と、
均一でない場合、前記等価応力場が均一になるまで前記セル配向を調整するための第2の結果出力モジュール408と、を含む。
【0056】
オプションで、前記第1の判定モジュール404は、具体的に、
前記材料から製造される、前記セル配向および前記セルサイズを有するセルからなる緩衝部材の、前記所定の荷重の条件下での等価応力場を決定し、
前記等価応力場の最大応力と最小応力とを決定し、
最大応力と最小応力との差を決定し、
前記差が所定の第1の閾値未満であるか否かを判定するために用いられ、
前記差分値が前記所定の第1の閾値未満である場合、前記等価応力場は均一であり、
前記差の値が前記所定の第1の閾値以上である場合、前記等価応力場は均一でない。
【0057】
オプションで、前記第1の判定モジュール404は、具体的に、
前記等価応力場における各応力点と各応力点の応力とを決定し、
各応力点の応力に基づいて、各応力点から異常応力点を除去し、
異常応力点を除去した後の各応力点の応力から、前記等価応力場の最大応力と最小応力とを決定するために用いられる。
【0058】
オプションで、前記第1の判定モジュール404は、具体的に、
前記等価応力場から所定数の最大応力と所定数の最小応力とを決定し、
前記所定数の最大応力の第1の平均値と、前記所定数の最小応力の第2の平均値とを決定し、前記第1の平均値と前記第2の平均値との平均値の差を決定し、
前記平均値の差が所定の第1の閾値未満であるか否かを判定するために用いられる。
【0059】
オプションで、前記セル配向を調整する前に、
現在の時点で前記セル配向が調整された回数が所定の第2の閾値に達していないと決定するための第2の判定モジュール410をさらに含む。
【0060】
オプションで、現在の時点で前記セル配向が調整された回数が所定の第2の閾値に達した場合、前記ドットマトリックスの構造情報を調整し、前記構造情報は、前記ドットマトリックスの製造に使用された材料およびセルサイズを含み、
前記所定の荷重および調整された構造情報に基づいてセル配向を再決定し、
調整された構造情報および再決定されたセル配向に基づいて製造された緩衝部材の、前記所定の荷重の条件下での等価応力場が均一であるか否かを再判定するための第3の判定モジュール412をさらに含む。
【0061】
オプションで、サンプルドットマトリックスを製造するための材料およびセルサイズを初期化し、
前記材料および前記セルサイズのラベルセル配向を取得し、
所定の荷重、前記材料および前記セルサイズをセル配向決定モデルに入力して、前記セル配向決定モデルによって出力されるセル配向を出力セル配向として決定し、
前記ラベルセル配向および前記出力セル配向に基づいて前記セル配向決定モデルを訓練するためのモデル訓練モジュール414をさらに含む。
【0062】
前記緩衝部材は、人型ロボットの足に適用され、
前記所定の荷重は、前記人型ロボットの異なる歩き方での荷重である。
【0063】
オプションで、前記セルは、複数の前記材料の棒で囲まれた多角形を含み、前記セルの棒の直径と辺の長さとの比が1/5~1/3である。
【0064】
オプションで、前記緩衝部材は、連続層をさらに備え、前記連続層は、前記ドットマトリックスの上面および下面に設けられ、前記連続層は、所定の厚さ閾値より大きい厚さを有する。
【0065】
本発明はコンピュータ可読記憶媒体をさらに提供し、当該コンピュータ可読記憶媒体はコンピュータプログラムを記憶しており、コンピュータプログラムは上記
図1に提供される緩衝部材の製造方法を実行するために用いられる。
【0066】
本発明は
図4に示す電子デバイスをさらに提供する。
図4に示すように、ハードウェアレベルでは、当該電子デバイスは、プロセッサ、内部バス、ネットワークインタフェース、内部メモリ、および不揮発性メモリを含み、もちろん、他の動作に必要なハードウェアも含み得る。プロセッサは、不揮発性メモリから対応するコンピュータプログラムを内部メモリに読み込んで実行し、上記
図1に記載の緩衝部材の製造方法を実施する。
【0067】
もちろん、ソフトウェアによる実現の他に、本発明は、論理デバイスやハードウェアとソフトウェアの組み合わせなど、他の実現方式を排除するものではなく、つまり、以下の処理プロセスの実行主体は、各の論理ユニットに限定されず、ハードウェアや論理デバイスであってもよい。
【0068】
1990年代には、ある技術の改良は、ハードウェアの改良(ダイオード、トランジスタ、スイッチなどの回路構造の改良など)とソフトウェアの改良(方法フローの改良)に明確に区別することができる。しかし、技術の発展に伴い、現在の方法フローの改良の多くは、ハードウェア回路構造に対する直接的な改良と見なすことができるようになった。設計者は、改良された方法フローをハードウェア回路にプログラミングすることで、対応するハードウェア回路構造を得ることがほとんどである。従って、方法フローの改良がハードウェア物理モジュールにより実現できないとは言い切れない。例えば、プログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device、PLD)(例えばフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array、FPGA))はこのような集積回路であり、その論理機能がデバイスのユーザによるプログラミングによって決定される。チップメーカーが専用の集積回路チップを設計・製造する代わりに、設計者がプログラミングしてデジタルシステムを1枚のPLD上に「集積」する。そして、現在では、集積回路チップを手作りする代わりに、このプログラミングは「論理コンパイラ(logic compiler)」というソフトウェアを使って実現されることがほとんどであり、これは、プログラムを書くときに使うソフトウェアコンパイラと類似し、前のオリジナルコードをコンパイルするためには、特定のプログラミング言語で書く必要があり、これはハードウェア記述言語(Hardware Description Language、HDL)と呼ばれ、HDLは1種類だけではなく、ABEL(Advanced Boolean Expression Language)、AHDL(Altera Hardware Description Language)、Confluence、CUPL(Cornell University Programming Language)、HDCal、JHDL(Java Hardware Description Language)、Lava、Lola、MyHDL、PALASM、RHDL(Ruby Hardware Description Language)など、多くの種類があり、現在最もよく使われているのはVHDL(Very-High-Speed Integrated Circuit Hardware Description Language)とVerilogである。方法フローを、上記のハードウェア記述言語のいくつかでちょっと論理的にプログラミングして集積回路にプログラミングするだけで、論理的な方法フローを実現するハードウェア回路は簡単に得られることは、当業者には明らかであろう。
【0069】
コントローラは、任意の適切な方法で実現されてもよく、例えば、コントローラはマイクロプロセッサまたはプロセッサと、当該(マイクロ)プロセッサによって実行可能なコンピュータ可読プログラムコード(例えば、ソフトウェアまたはファームウェア)を記憶するコンピュータ可読記憶媒体と、論理ゲート、スイッチ、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)、プログラマブルロジックコントローラおよび埋め込みマイクロコントローラの形態を採用してもよく、コントローラの例として、ARC 625D、Atmel AT91SAM、Microchip PIC18F26K20、Silicone Labs C8051F320などのマイクロコントローラを含むが、これらに限定されず、メモリコントローラはさらに、メモリの制御ロジックの一部として実現されることも可能である。また、純粋なコンピュータ可読プログラムコードでコントローラを実現することに加えて、方法ステップを論理的にプログラミングすることで、コントローラに、論理ゲート、スイッチ、特定用途向け集積回路、プログラマブルロジックコントローラおよび埋め込みマイクロコントローラなどの形態で同じ機能を実行させることも完全に可能であることは、当業者には明らかであろう。従って、このようなコントローラを、ハードウェアコンポーネントとみなしてもよく、様々な機能を実現するためのその中に含まれる装置も、ハードウェアコンポーネント内の構造とみなしてもよい。または、さらに、様々な機能を実現するための装置を、方法を実現するソフトウェアモジュールであってもよいし、ハードウェアコンポーネント内の構造であってもよいと、みなしてもよい。
【0070】
上記実施形態で説明したシステム、装置、モジュールまたはユニットは、具体的には、コンピュータチップ、エンティティ、または何らかの機能を有する製品によって実現されてもよい。典型的な実現デバイスはコンピュータである。具体的に、コンピュータは例えば、パーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、携帯電話、カメラ付き電話、スマートフォン、パーソナルデジタルアシスタント、メディアプレーヤ、ナビゲーションデバイス、電子メールデバイス、ゲーム機、タブレット、ウェアラブルデバイス、またはこれらのデバイスの任意のいくつかの組み合わせであってもよい。
【0071】
なお、説明の便宜上、上記の装置を説明するときに機能によって様々なユニットに分けてそれぞれ説明する。もちろん、本発明を実施する際に、各ユニットの機能を同一または複数のソフトウェアおよび/またはハードウェアで実現することも可能である。
【0072】
当業者であれば分かるように、本発明の実施形態が、方法、システム、またはコンピュータプログラム製品として提供されてもよい。従って、本発明は、ハードウェアだけからなる実施形態、ソフトウェアだけからなる実施形態、またはソフトウェアとハードウェアを組み合わせた実施形態なる形態を用いてもよい。さらに、本発明は、コンピュータで使用可能なプログラムコードを含む1つまたは複数のコンピュータで使用可能な記憶媒体(磁気ディスクメモリ、CD-ROM、光学メモリなどを含むが、これらに限定されない)において実施されるコンピュータプログラム製品の形態であってもよい。
【0073】
本発明は、本発明の実施形態による方法、デバイス(システム)、およびコンピュータプログラム製品のフローチャートおよび/またはブロック図を参照して説明される。フローチャートおよび/またはブロック図における各フローおよび/またはブロック、並びにフローチャートおよび/またはブロック図におけるフローおよび/またはブロックの組み合わせは、コンピュータプログラム命令によって実現されてもよいことが理解すべきである。これらのコンピュータプログラム命令は、マシンを生成するために、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、埋め込みプロセッサ、または他のプログラム可能なデータ処理デバイスのプロセッサに提供されてもよく、それにより、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理デバイスのプロセッサによって実行される命令により、フローチャートの1つまたは複数のフロー、および/またはブロック図の1つまたは複数のブロックにおいて指定される機能を実現するための装置が生成される。
【0074】
これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理デバイスに特定の方法で作業するように指示することができるコンピュータ可読メモリに記憶されてもよく、その結果、当該コンピュータ可読メモリに記憶されている命令により、フローチャートの1つまたは複数のフローおよび/またはブロック図の1つまたは複数のブロックにおいて指定される機能を実現する命令装置を含む製品が生成される。
【0075】
これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理デバイスにロードしてもよく、それにより、一連の動作ステップがコンピュータまたは他のプログラム可能なデバイス上で実行されることで、コンピュータにより実施される処理が生成され、それにより、コンピュータまたは他のプログラム可能なデバイス上で実行される命令により、フローチャートの1つまたは複数のフロー、および/またはブロック図の1つまたは複数のブロック内で指定される機能を実現するためのステップが提供される。
【0076】
典型的な構成では、コンピューティングデバイスは、1つ以上のプロセッサ(CPU)、入力/出力インタフェース、ネットワークインタフェース、およびメモリを含む。
【0077】
メモリは、コンピュータ可読記憶媒体のうちの揮発性メモリ、ランダムアクセスメモリ(RAM)および/または不揮発性メモリなどの形態を含み得、例えば、読み出し専用メモリ(Read Only Memory、ROM)またはフラッシュメモリ(flash RAM)である。メモリは、コンピュータ可読記憶媒体の一例である。
【0078】
コンピュータ可読記憶媒体は不揮発性および揮発性媒体、移動可能および非移動可能な媒体を含み、任意の方法または技術により情報記憶を実現し得る。情報はコンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュールまたは他のデータであってもよい。コンピュータの記憶媒体は、相変化メモリ(Phase Change RAM、PRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(Static Random-Access Memory、SRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(Dynamic Random Access Memory、DRAM)、他のタイプのランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory、EEPROM)、フラッシュメモリ(flash Memory)または他のメモリ技術、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(Compact Disc Read Only Memory、CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(Digital Versatile Disc、DVD)または他の光学記憶、磁気カセットテープ、磁気テープ磁気ディスク記憶または他の磁気記憶デバイス、またはコンピューティングデバイスからアクセス可能な情報を記憶するために使用され得る任意の他の非伝送媒体を含むがそれらに限定されない。本明細書の定義によれば、コンピュータ可読記憶媒体は一時記憶コンピュータ可読記憶媒体(transitory Media)、例えば変調されたデータ信号およびキャリアを含まない。
【0079】
また、用語「含む」、「含有」またはそのいずれかの他の変形は、非排他的な含有を含むことを意図し、それにより一連の要素を含むプロセス、方法、物品またはデバイスはそれらの要素を含むだけでなく、また明確に列挙されていない他の要素も含み、またはこのようなプロセス、方法、物品またはデバイスの固有の要素も含む。より多くの制限がない場合、文「1つの…を含む」により限定された要素は、前記要素を含むプロセス、方法、物品またはデバイスにさらに他の同じ要素が存在することを排除するものではない。
【0080】
本発明は、プログラムモジュールのようなコンピュータによって実行されるコンピュータ実行可能命令の一般的な文脈で記述され得る。一般的に、プログラムモジュールは、特定のタスクを実行する、または特定の抽象データ型を実現するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含む。本発明は、通信ネットワークを介して接続されたリモート処理デバイスによってタスクが実行される分散コンピューティング環境においても実施され得る。分散コンピューティング環境において、プログラムモジュールは、記憶デバイスを含むローカルおよびリモートコンピュータ記憶媒体に配置され得る。
【0081】
本発明における各実施形態はいずれも漸進の方式で説明され、各実施形態の間の同じまたは類似する部分は互いに参照すればよく、各実施形態の重点的に説明されたのは他の実施形態との相違点である。特に、システムの実施形態に対して、それは基本的に方法の実施形態と類似するため、簡単に説明し、関連する部分は方法の実施形態の一部の説明を参照すればよい。
【0082】
上記は、本発明の実施形態にすぎず、本発明を限定するために使用されるものではない。当業者にとって、本発明は、様々な変更および変化があり得る。本発明の趣旨と原理から逸脱せず行った任意の修正、同等な置換、改善など、いずれも本発明の特許請求の範囲に含まれるものとするべきである。