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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】自動分析装置及び試薬量表示方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/00 20060101AFI20241127BHJP
【FI】
G01N35/00 C
G01N35/00 E
G01N35/00 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023566292
(86)(22)【出願日】2022-12-02
(86)【国際出願番号】 JP2022044574
(87)【国際公開番号】W WO2023106234
(87)【国際公開日】2023-06-15
【審査請求日】2024-01-11
(31)【優先権主張番号】P 2021199980
(32)【優先日】2021-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390037327
【氏名又は名称】積水メディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123674
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 亮
(74)【代理人】
【識別番号】100097559
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 浩司
(72)【発明者】
【氏名】川辺 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】飯島 由実
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 康介
【審査官】松岡 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-209329(JP,A)
【文献】特開2009-216594(JP,A)
【文献】特開2012-237734(JP,A)
【文献】特開2009-074901(JP,A)
【文献】特開2011-127900(JP,A)
【文献】特開2003-315344(JP,A)
【文献】特開2021-060327(JP,A)
【文献】特開2021-135261(JP,A)
【文献】特開2013-253813(JP,A)
【文献】特開2020-160086(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N35/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人から採取した検体が分注された反応容器を保持する反応部と、試薬を供給する試薬供給部とを備え、前記試薬供給部から前記反応容器に供給される試薬と前記検体とを混合して反応させた検液を測定することにより所定の分析項目に関して測定情報を得る自動分析装置であって、
既に行なわれた分析に関する履歴情報を記憶する履歴情報記憶部と、
前記履歴情報記憶部に記憶された履歴情報から、分析項目ごとに、各分析日の1日当たりの分析回数である単位分析回数を演算する分析回数演算部と、
前記分析回数演算部により演算された単位分析回数を曜日ごとに分類して記憶する分類記憶部と、
前記試薬供給部における現在のそれぞれの試薬の残量を検出する試薬残量検出部と、
分析実施日の曜日に対応する所定期間にわたる各単位分析回数を前記分類記憶部から読み出し、その読み出したそれぞれの単位分析回数を、分析項目ごとに、その分析に使用されるそれぞれの試薬に関して、試薬使用量に換算する換算部と、
前記換算部によって換算されたそれぞれの試薬使用量と前記試薬残量検出部で検出されたそれぞれの試薬の残量とに関連する情報を、それぞれの試薬ごとに並べて表示する表示部と、
を備え
前記分析回数演算部は、キャリブレータ測定回数及び/又は精度管理試料測定回数を差し引いて前記単位分析回数を演算することを特徴とする自動分析装置。
【請求項2】
前記所定期間を選択するための期間選択部を更に有することを特徴とする請求項1に記載の自動分析装置。
【請求項3】
前記分類記憶部は、前記単位分析回数を、前記キャリブレータ測定回数と、前記精度管理試料測定回数と、初検回数と、再検回数と、これらの合計回数とに分類して記憶し、
前記換算部は、前記分類記憶部から読み出した前記キャリブレータ測定回数と、前記精度管理試料測定回数と、初検回数と、再検回数と、これらの合計回数とを、分析項目ごとに、その分析に使用されるそれぞれの試薬に関して、試薬使用量に換算する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の自動分析装置。
【請求項4】
前記分析回数演算部は、分析項目ごとに、その分析に使用されるそれぞれの試薬に関して、再分析頻度を演算し、前記表示部がその再分析頻度の情報を表示することを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の自動分析装置。
【請求項5】
前記試薬残量検出部で検出されたそれぞれの試薬の残量が前記換算部によって換算されたそれぞれの試薬使用量よりも少ないときにその旨を報知する報知部を更に備えることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の自動分析装置。
【請求項6】
人から採取した検体が分注された反応容器を保持する反応部と、試薬を供給する試薬供給部とを備え、前記試薬供給部から前記反応容器に供給される試薬と前記検体とを混合して反応させた検液を測定することにより所定の分析項目に関して測定情報を得る自動分析装置における試薬量表示方法において、
既に行なわれた分析に関する履歴情報を記憶する履歴情報記憶ステップと、
前記履歴情報記憶ステップで記憶された履歴情報から、分析項目ごとに、各分析日の1日当たりの分析回数である単位分析回数を演算する分析回数演算ステップと、
前記分析回数演算ステップで演算された単位分析回数を曜日ごとに分類して記憶部に記憶する分類記憶ステップと、
前記試薬供給部における現在のそれぞれの試薬の残量を検出する試薬残量検出ステップと、
分析実施日の曜日に対応する所定期間にわたる各単位分析回数を前記記憶部から読み出し、その読み出したそれぞれの単位分析回数を、分析項目ごとに、その分析に使用されるそれぞれの試薬に関して、試薬使用量に換算する換算ステップと、
前記換算ステップで換算されたそれぞれの試薬使用量と前記試薬残量検出ステップで検出されたそれぞれの試薬の残量とに関連する情報を、それぞれの試薬ごとに並べて表示する表示ステップと、
備え、
前記分析回数演算ステップは、キャリブレータ測定回数及び/又は精度管理試料測定回数を差し引いて単位分析回数を演算することを特徴とする試薬量表示方法。
【請求項7】
前記所定期間を選択する期間選択ステップを更に含むことを特徴とする請求項に記載の試薬量表示方法。
【請求項8】
前記分類記憶ステップは、前記単位分析回数を、前記キャリブレータ測定回数と、前記精度管理試料測定回数と、初検回数と、再検回数と、これらの合計回数とに分類して記憶し、
前記換算ステップは、前記記憶部から読み出した前記キャリブレータ測定回数と、前記精度管理試料測定回数と、初検回数と、再検回数と、これらの合計回数とを、分析項目ごとに、その分析に使用されるそれぞれの試薬に関して、試薬使用量に換算する、
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の試薬量表示方法。
【請求項9】
前記分析回数演算ステップは、分析項目ごとに、その分析に使用されるそれぞれの試薬に関して、再分析頻度を演算し、前記表示ステップがその再分析頻度の情報を表示することを特徴とする請求項6から8のいずれか一項に記載の試薬量表示方法。
【請求項10】
前記試薬残量検出ステップで検出されたそれぞれの試薬の残量が前記換算ステップによって換算されたそれぞれの試薬使用量よりも少ないときにその旨を報知する報知ステップを更に含むことを特徴とする請求項6から9のいずれか一項に記載の試薬量表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液や尿などの人から採取した検体が分注された反応容器を保持する反応部と、試薬を供給する試薬供給部とを備え、前記試薬供給部から前記反応容器に供給される試薬と前記検体とを混合して反応させた検液を測定することにより所定の分析項目に関して測定情報を得る自動分析装置、及び、該自動分析装置における試薬量表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血液凝固分析装置や、免疫測定法を用いた分析装置など、血液や尿などの生体サンプルを種々の試薬と混合して反応させた検液を測定することにより様々な分析項目に関して測定情報を得ることができる自動分析装置は、従来から様々な形態のものが知られており、例えば、生体サンプルとしての検体を検体容器から反応容器に分注し、その分注した検体に分析項目に応じた試薬を混合させて各種の測定及び分析を行なう(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-057614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、実際の検査の現場(病院、検査センターなど)で行なわれる分析では、一週間の中でも曜日によって分析項目毎にその測定回数にばらつきがあり、また、一般的な検査現場では、曜日によって測定回数に一定の傾向がある。そのような傾向を熟知した操作者であれば、曜日に応じて適正な量の試薬を試薬供給部にセットできるが、不慣れな操作者は、曜日ごとの測定回数を把握できておらず、そのため、分析開始前に自動分析装置に予めセットしておくべき最適な試薬量が分からない。したがって、自動分析装置に架設される試薬量が不足している場合には、分析の途中で試薬切れが生じて、分析の中断を余儀なくされ、分析中の検体が無駄になるなどの不都合が生じ得る。また、このような事態を回避するべく、相当数の余裕を見込んで自動分析装置に試薬をセットしておくことも考えられるが、その場合には、分析数が少ない傾向にある曜日であっても試薬が多めにセットされることになるため、試薬が余ってしまうことが多々発生する。通常の試薬は、一度開封してしまうと、その時点からの使用期間が限定されるため、非効率的な試薬運用と言える。
【0005】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、操作者の熟練度に依らず常に適正量の試薬をセットできる自動分析装置及び試薬量表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的を達成するために、本発明は、血液や尿などの人から採取した検体が分注された反応容器を保持する反応部と、試薬を供給する試薬供給部とを備え、前記試薬供給部から前記反応容器に供給される試薬と前記検体とを混合して反応させた検液を測定することにより所定の分析項目に関して測定情報を得る自動分析装置であって、既に行なわれた分析に関する履歴情報を記憶する履歴情報記憶部と、前記履歴情報記憶部に記憶された履歴情報から、分析項目ごとに、各分析日の1日当たりの分析回数である単位分析回数を演算する分析回数演算部と、前記分析回数演算部により演算された単位分析回数を曜日ごとに分類して記憶する分類記憶部と、前記試薬供給部における現在のそれぞれの試薬の残量を検出する試薬残量検出部と、分析実施日の曜日に対応する所定期間にわたる各単位分析回数を前記分類記憶部から読み出し、その読み出したそれぞれの単位分析回数を、分析項目ごとに、その分析に使用されるそれぞれの試薬に関して、試薬使用量に換算する換算部と、前記換算部によって換算されたそれぞれの試薬使用量と前記試薬残量検出部で検出されたそれぞれの試薬の残量とに関連する情報を、それぞれの試薬ごとに並べて表示する表示部とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、血液や尿などの人から採取した検体が分注された反応容器を保持する反応部と、試薬を供給する試薬供給部とを備え、前記試薬供給部から前記反応容器に供給される試薬と前記検体とを混合して反応させた検液を測定することにより所定の分析項目に関して測定情報を得る自動分析装置における試薬量表示方法において、既に行なわれた分析に関する履歴情報を記憶する履歴情報記憶ステップと、前記履歴情報記憶ステップで記憶された履歴情報から、分析項目ごとに、各分析日の1日当たりの分析回数である単位分析回数を演算する分析回数演算ステップと、前記分析回数演算ステップで演算された単位分析回数を曜日ごとに分類して記憶部に記憶する分類記憶ステップと、前記試薬供給部における現在のそれぞれの試薬の残量を検出する試薬残量検出ステップと、分析実施日の曜日に対応する所定期間にわたる各単位分析回数を前記分類記憶部から読み出し、その読み出したそれぞれの単位分析回数を、分析項目ごとに、その分析に使用されるそれぞれの試薬に関して、試薬使用量に換算する換算ステップと、前記換算ステップで換算されたそれぞれの試薬使用量と前記試薬残量検出ステップで検出されたそれぞれの試薬の残量とに関連する情報を、それぞれの試薬ごとに並べて表示する表示ステップとを含むことを特徴とする。
【0008】
上記構成の自動分析装置及び表示方法によれば、既に行なわれた分析に関する履歴情報から、分析項目ごとに、各分析日の1日当たりの分析回数である単位分析回数を演算し、その演算された単位分析回数を曜日ごとに分類するとともに、分析実施日の曜日に対応する所定期間にわたる各単位分析回数を、分析項目ごとに、その分析に使用されるそれぞれの試薬に関して、試薬使用量に換算し、換算されたそれぞれの試薬使用量と試薬供給部における現在のそれぞれの試薬の残量とに関連する情報を、それぞれの試薬ごとに並べて表示するようにしているため、その表示により、熟練の操作者でなくても、その日(曜日)に必要であると推定される(又は必要な)試薬量と自動分析装置に既に設置されている試薬量との差が容易に分かり、したがって、少なくともその差に対応する量の試薬を分析実施日の分析開始前に補充することで、常に適正量の試薬を維持することができる。そのため、分析の途中で試薬切れが生じて、分析の中断を余儀なくされ、分析中の検体が無駄になるなどの不都合を回避できる。また、このような自動分析装置自体による表示態様は、分析データを蓄積して演算し得る中央管理システムに対する自動分析装置の接続を不要とし、熟練の検査技師が少ない施設などにおいて有効である。
【0009】
また、このような試薬使用量と試薬残量とに関連する情報の並列表示に基づき、操作者は、分析実施日の分析開始前に必要最低限の量の試薬のみを補充すれば済むため、相当数の余裕を見込んで自動分析装置に試薬をセットしておく必要がなく、したがって、試薬の余りに起因する前述した試薬使用期間の制限に伴う非効率的な試薬運用も回避できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、操作者の熟練度に依らず常に適正量の試薬をセットできる自動分析装置及び試薬量表示方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る自動分析装置の概略的な全体外観図である。
図2図2の自動分析装置の内部構成を示す概略的な平面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る試薬量表示方法を実現する構成のブロック図である。
図4】本発明の一実施形態に係る試薬量表示方法のステップの一例を示すフローチャートである。
図5】表示装置による試薬量表示態様の第1の例を示す図である。
図6】表示装置による試薬量表示態様の第2の例を示す図である。
図7】表示装置による試薬量表示態様の第3の例を示す図である。
図8】表示装置による試薬量表示態様の第4の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は本実施形態の自動分析装置の概略的な全体外観図、図2図1の自動分析装置の概略的な内部構成を示すブロック図である。本実施形態の自動分析装置1は、図2に示されるように、血液や尿などの人から採取した検体が分注された反応容器54を保持する反応部40と、試薬容器74内の試薬を反応容器54に供給する試薬供給部70とを備え、試薬供給部70から反応容器54に供給される試薬を検体と反応させて反応経過を測定する(試薬と検体とを混合して反応させた検液を経過測定する)ことにより所定の分析項目(検査項目)に関して測定情報を得るものである。
具体的に、本実施形態の自動分析装置1は、筐体100によってその外枠が形成されるとともに、筐体100内の上部に検体処理空間を形成して成る(図1参照)。
【0013】
図2に明確に示されるように、自動分析装置1は、制御ユニット10と、測定ユニット30と、表示・操作ユニットとを備える。本実施形態では、表示・操作ユニットとして例えばタッチスクリーン190が設けられる。
【0014】
制御ユニット10は、自動分析装置1の全体の動作を制御する。制御ユニット10は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)によって構成される。制御ユニット10は、バスライン22を介して互いに接続されたCentral Processing Unit(CPU)12と、Random Access Memory(RAM)14と、Read Only Memory(ROM)16と、ストレージ18と、通信インターフェース(I/F)20とを備える。CPU12は、各種信号処理等を行なう。RAM14は、CPU12の主記憶装置として機能する。RAM14には、例えば、Dynamic RAM(DRAM)、Static RAM(SRAM)等が用いられ得る。ROM16は、各種起動プログラム等を記録している。
【0015】
ストレージ18には、例えば、Hard Disk Drive(HDD)、Solid State Drive(SSD)等が用いられ得る。ストレージ18には、CPU12で用いられるプログラム、パラメータ等各種情報が記録されている。また、ストレージ18には、測定ユニット30で取得されたデータが記録される。RAM14及びストレージ18は、これに限らず各種記憶装置に置換され得る。制御ユニット10は、通信I/F20を介して外部の機器、例えば測定ユニット30及びタッチスクリーン190との通信を行なう。
【0016】
タッチスクリーン190は、表示部としての表示装置192と、操作部等としての例えばタッチパネル194とを備える。表示装置192は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)又は有機ELディスプレイ等を含み得る。表示装置192は、制御ユニット10の制御下で、各種画面を表示する。この画面には、後述する試薬量に関連する表示画面、自動分析装置1の操作画面、測定結果を示す画面、解析結果を示す画面など、各種画面が含まれ得る。タッチパネル194は、表示装置192の上に設けられている。タッチパネル194は、ユーザからの入力を取得し、得られた入力情報を制御ユニット10へと伝達する。
【0017】
制御ユニット10は、通信I/F20を介して、プリンタ、ハンディコードリーダ、ホストコンピュータなど、他の機器と接続してもよい。
【0018】
測定ユニット30は、制御回路42と、データ処理回路44と、恒温槽52と、反応容器54と、光源62と、散乱光検出器64と、透過光検出器66と、検体容器72と、試薬容器74と、検体プローブ76と、試薬プローブ78とを備える。本実施形態では、一例として、反応容器54、散乱光検出器64、及び、透過光検出器66が恒温槽52に設けられているが、そのような配置形態に限定されない。
【0019】
制御回路42は、制御ユニット10からの指令に基づいて、測定ユニット30の各部の動作を制御する。制御回路42は、図示を省略しているが、データ処理回路44、恒温槽52、光源62、散乱光検出器64、透過光検出器66、検体プローブ76、試薬プローブ78等と接続し、各部の動作を制御する。
【0020】
データ処理回路44は、散乱光検出器64及び透過光検出器66に接続されており、散乱光検出器64及び透過光検出器66から検出結果を取得する。データ処理回路44は、取得した検出結果に対して各種処理を行ない、処理結果を出力する。データ処理回路44が行なう処理には、例えば、散乱光検出器64及び透過光検出器66から出力されるデータの形式を、制御ユニット10で処理できる形式に変更するA/D変換処理等が含まれ得る。
【0021】
制御回路42及びデータ処理回路44は、例えば、CPU、Application Specific Integrated Circuit(ASIC)、又はField Programmable Gate Array(FPGA)等を含み得る。制御回路42及びデータ処理回路44は、それぞれ1つの集積回路等で構成されてもよく、或いは、複数の集積回路等が組み合わされて構成されてもよい。また、制御回路42及びデータ処理回路44が1つの集積回路等で構成されてもよい。制御回路42及びデータ処理回路44の動作は、例えば記憶装置や当該回路内の記録領域に記録されたプログラムに従って行なわれ得る。
【0022】
検体容器72には、例えば患者から採取した血液から得られた検体が収容される。試薬容器74には、測定に用いる各種試薬が収容される。検体容器72及び試薬容器74は、それぞれいくつ設けられていてもよい。分析に用いられる試薬は通常複数種類あるので、試薬容器74は一般に複数ある。検体プローブ76は、制御回路42の制御下で、検体容器72に収容された検体を反応容器54に分注する。試薬プローブ78は、制御回路42の制御下で、試薬容器74に収容された試薬を反応容器54に分注する。検体プローブ76及び試薬プローブ78の数もいくつであってもよい。
【0023】
恒温槽52は、制御回路42の制御下で、反応容器54の温度を所定の温度に維持する。反応容器54内では、検体プローブ76によって分注された検体と、試薬プローブ78によって分注された試薬とが混合された混合液が反応する。なお、反応容器54は、いくつあってもよい。
【0024】
光源62は、制御回路42の制御下で、所定の波長の光を照射する。光源62は、測定の条件に応じて、異なる波長を有する光を照射するように構成されていてもよい。したがって、光源62は、複数の光源素子を有していてもよい。光源62から照射された光は、例えば光ファイバによって導かれ、反応容器54に照射される。反応容器54に照射された光は、反応容器54内の混合液の反応過程状態によって、一部は散乱し、一部は透過する。散乱光検出器64は、反応容器54で散乱した光を検出する。
【0025】
透過光検出器66は、反応容器54を透過した光を検出する。データ処理回路44は、散乱光検出器64で検出された散乱光量の情報を処理したり、透過光検出器66で検出された透過光量の情報を処理したりする。散乱光検出器64及び透過光検出器66は、測定条件に応じて何れか一方が動作してもよい。したがって、データ処理回路44は、測定条件に応じて、散乱光検出器64で検出された散乱光量の情報と透過光検出器66で検出された透過光量の情報とのうち何れかを処理してもよい。データ処理回路44は、処理済のデータを制御ユニット10に送信する。なお、図2に示される測定ユニット30は、散乱光検出器64と透過光検出器66との2つを備えているが、どちらか一方のみを備えていてもよい。
【0026】
制御ユニット10は、測定ユニット30から取得したデータに基づいて、各種演算を行なう。この演算には、混合液の反応量の算出、反応量に基づく被検体中の測定目的物質の物質量や活性値の定量演算等が含まれる。これらの演算の一部又は全部を、データ処理回路44が行なってもよい。
【0027】
なお、ここでは、測定ユニット30の動作を制御するPCと、データ演算及び定量演算を行なうPCとが同一の制御ユニット10である場合を示したが、これらは、別体であってもよい。言い換えると、データ演算及び定量演算を行なうPCは、単体として存在し得る。
【0028】
次に、図3及び図4を参照して、本発明の一実施形態に係る試薬量表示方法を実現するための構成及び試薬量表示方法手順の一例について説明する。
図3に示されるように、本実施形態の自動分析装置1は、測定ユニット30から通信I/F20を介して送信されてくる既に行なわれた分析に関する履歴情報を記憶する履歴情報記憶部80と、履歴情報記憶部80に記憶された履歴情報から、分析項目ごとに、各分析日の1日当たりの分析回数である単位分析回数を演算する分析回数演算部81と、分析回数演算部81により演算された単位分析回数を曜日ごとに分類して記憶する分類記憶部82と、前述した試薬供給部70における現在のそれぞれの試薬の残量を検出する試薬残量検出部83と、分析実施日の曜日に対応する所定期間にわたる各単位分析回数を分類記憶部82から読み出し、その読み出したそれぞれの単位分析回数を、分析項目ごとに、その分析に使用されるそれぞれの試薬に関して、試薬使用量に換算する換算部84と、試薬残量検出部83で検出された試薬の残量と換算部84によって換算された試薬使用量とに基づいて試薬供給部70に補充されるべき必要試薬量を算出する必要試薬量算出部85とを備える。
【0029】
これらの構成要素のうち、少なくとも、履歴情報記憶部80、分析回数演算部81、分類記憶部82、換算部84、及び、必要試薬量算出部85は、制御ユニット10に含まれる。特に、本実施形態では、履歴情報記憶部80及び分類記憶部82がRAM14及び/又はストレージ18によって構成されてもよく、また、分析回数演算部81、換算部84、及び、必要試薬量算出部85がCPU12によって構成されてもよい。
【0030】
また、試薬残量検出部83で検出された試薬残量に関するデータ、換算部84により換算された試薬使用量に関するデータ、及び、必要試薬量算出部85により算出された必要試薬量に関するデータは、そのまま又は関連するデータに変換されて(この変換は換算部84で既に行なわれてもよく、或いは、換算部84が変換することなく直接に単位分析回数を試薬使用量に関連するデータに換算してもよい)、タッチスクリーン190の表示装置192に送られ、表示装置192は、後述するように、試薬使用量と、試薬残量と、必要試薬量とに関連する情報を、それぞれの試薬(分析項目)ごとに並べて表示する。
【0031】
また、試薬残量検出部83で検出された試薬残量に関するデータ及び換算部84により換算された試薬使用量に関するデータは更に報知部89にも送られ、報知部89は、試薬残量検出部83で検出されたそれぞれの試薬の残量が換算部84によって換算されたそれぞれの試薬使用量よりも少ないときにその旨を報知する。
【0032】
また、本実施形態の自動分析装置1は、分類記憶部82から換算部84によって読み出されるべき対象となる単位分析回数の前記所定期間(分析実施日の曜日に対応する所定期間)を選択するための期間選択部86と、測定ユニット30により実行されるべき分析項目を入力するための分析項目入力部87とを備える。この場合、期間選択部86及び分析項目入力部87は、例えば本実施形態では、タッチスクリーン190のタッチパネル194によって構成される。
【0033】
また、このような構成に基づいて試薬量に関連する表示を行なう場合には、まずその前提として、既に行なわれた分析に関する履歴情報が履歴情報記憶部80に記憶される(図4の履歴情報記憶ステップS1)。そして、自動分析装置1の電源が立ち上げられると自動的に、或いは、タッチパネル194を通じた所定の入力に基づいて、CPU12の分析回数演算部81は、履歴情報記憶部80に(履歴情報記憶ステップS1で)記憶された履歴情報から、分析項目ごとに、各分析日の1日当たりの分析回数である単位分析回数を演算する(図4の分析回数演算ステップS2)。
【0034】
その後、CPU12の分類記憶部82は、分析回数演算部81(分析回数演算ステップS2)で演算された単位分析回数を曜日ごとに分類して記憶する(図4の分類記憶ステップS3)。この間に又はこれに引き続いて、試薬残量検出部83が、試薬供給部70における現在のそれぞれの試薬の残量を検出する(図4の試薬残量検出ステップS4)し、また、操作者は、タッチパネル194の期間選択部86を通じて分類記憶部82から換算部84によって読み出されるべき対象となる単位分析回数の所定期間を選択する(所定期間は1週間、1ヵ月、3ヶ月等の単位から任意に又は選択可能な単位のうちから設定が可能)とともに、タッチパネル194の分析項目入力部87を通じて測定ユニット30により実行されるべき分析項目を入力する(図4の期間選択・分析項目入力ステップS5)。
【0035】
そして、CPU12の換算部84は、分析実施日の曜日に対応する所定期間にわたる各単位分析回数を分類記憶部82から読み出し、その読み出したそれぞれの単位分析回数を、分析項目ごとに、その分析に使用されるそれぞれの試薬に関して、試薬使用量に換算する(図4の換算ステップS6)。その後、必要試薬量算出部85は、試薬残量検出部83で検出された試薬の残量と換算部84によって換算された試薬使用量とに基づいて試薬供給部70に補充されるべき必要試薬量を算出する(図4の必要試薬量算出ステップS7)。
【0036】
これにより、試薬残量検出部83で検出された試薬残量に関するデータ、換算部84により換算された試薬使用量に関するデータ、及び、必要試薬量算出部85により算出された必要試薬量に関するデータがタッチスクリーン190の表示装置192に送られ、表示装置192は、試薬使用量と、試薬残量と、必要試薬量とに関連するデータを含む試薬量関連情報を、それぞれの試薬(分析項目)ごとに並べて表示する(図4の表示ステップS8)。
【0037】
また、特に本実施形態では、この表示に伴って又は表示とは無関係に、報知部89又は報知部89を制御するCPU12は、試薬残量検出部83(試薬残量検出ステップS4)で検出されたそれぞれの試薬の残量が換算部(換算ステップ)によって換算されたそれぞれの試薬使用量よりも少ないかどうかを判断し(図4のステップS9)、試薬の残量が、換算した試薬使用量よりも少ない場合には、報知部89がその旨を報知する(図4の報知ステップS10)。
【0038】
図5には、表示装置192による試薬量関連情報の表示態様の一例が示されている。図示のように、この表示では、期間選択部86を含むタッチパネル194を通じて選択された曜日「本日」101(分析実施日;この画面では月曜日)、期間平均102(分類記憶部82から換算部84によって読み出されるべき対象となる単位分析回数の所定期間(分析実施日の曜日に対応する所定期間);この画面では4週間)、及び、検体種103(この画面では、患者検体(S)及びQC(品質制御)試料(Q))が画面上側に表示される。
【0039】
また、表示画面の主領域105には、換算部84により換算された試薬使用量に関連する情報、ここでは、各曜日の「測定数」(患者検体及びQC試料の両方が選択されたこの例では、患者検体とQC試料とを合算した平均測定数)と、試薬容器1本あたりの測定数「数/本」とが、各分析項目(又は試薬;この画面では、分析項目A~J)ごとに並べて表示される。この表示例では、分析項目入力部87を通じて入力された分析項目A~Jが表示画面の縦列に表示されるとともに、各曜日の「測定数」等が横列に表示される。無論、測定数ではなく測定量(mL)が表示されてもよい。
【0040】
このように、表示装置192は、分析項目入力部87により入力された分析項目のみに関して、換算部84によって換算されたそれぞれの試薬使用量と試薬残量検出部83で検出されたそれぞれの試薬の残量とに関連する情報を、それぞれの試薬(分析項目)ごとに並べて表示するが、分析項目入力部87により入力された分析項目以外の分析項目に関して表示するようになっていてもよい。
【0041】
また、この表示例において、選択された曜日「本日」(この画面では月曜日)に関しては、「測定数」のみならず、試薬供給部(試薬庫)70における現在のそれぞれの試薬の残量に関連する情報、ここでは、試薬庫に設置されている試薬の残測定数(1つの分析項目に関して2つの試薬を使用する2試薬系で残測定数が異なるときには、少ない方の残測定数)「試薬庫」と、測定数から残測定数を差し引いた「不足数」(「測定数」-「試薬庫」)と、試薬供給部(試薬庫)70に補充すべき必要試薬量に関連する情報、ここでは、補充すべき試薬容器74の本数「補充本数」、すなわち、「不足数」を「数/本」で乗じた数(商は切り上げ)とが更に表示される。試薬が補充されると、補充後の最新の試薬量状態が自動的に更新されて表示されるようになっていてもよい。
【0042】
また、この表示例において、選択された曜日(この画面では月曜日)に関連する情報項目には網掛け又は着色等が施されて他の曜日と視覚的に区別されるようになっている。また、試薬が不足している場合、すなわち、表示画面内の数値がマイナス(-)の場合には、その数値が視覚的に区別して(例えば、赤色等の着色を施して)表示される。
【0043】
なお、本実施形態において、分析回数演算部81は、分析項目ごとに、その分析に使用されるそれぞれの試薬に関して、再分析頻度を演算し、表示装置192がその再分析頻度の情報を表示するようにしてもよい。また、必要試薬量算出部85は、演算処理を軽減できるように、その演算時点においてその日の分析に必要な分析項目として分析項目入力部87で入力されている分析項目のみについて必要試薬量を算出することが好ましい。
【0044】
また、分類記憶部82は、単位分析回数を、キャリブレータ測定回数と、精度管理試料測定回数と、初検回数と、再検回数と、これらの合計回数とに分類して記憶してもよい。この場合、換算部84は、分類記憶部82から読み出したキャリブレータ測定回数と、精度管理試料測定回数と、初検回数と、再検回数と、これらの合計回数とを、分析項目ごとに、その分析に使用されるそれぞれの試薬に関して、試薬使用量に換算する。また、これに関連して、分析回数演算部81は、分析項目からキャリブレータ測定回数及び/又は精度管理試料測定回数を差し引いて単位分析回数を演算してもよい。
【0045】
キャリブレータ測定回数を含む表示画面の一例が図6に示される。図示のように、この表示例では、分析実施日を示す曜日「本日」101として火曜日が選択され、したがって、火曜日のみに関して、「測定数」のみならず、試薬の残測定数「試薬庫」と、「不足数」と、「補充本数」とが更に表示されるとともに、検体種103として、患者検体(S)、QC試料(Q)、及び、キャリブレータ(C)が選択されたことに伴い、表示画面の主領域105に、図5に関連して説明した情報項目に加えて、新たにキャリブレータ測定回数「CAL測定数」107、すなわち、キャリブレーションに必要な測定数が表示される。
【0046】
図7は、図5の表示態様の第1の変形例を示している。図示のように、この表示例では、図5に関連して説明した情報項目に加えて新たに、「補充本数」にしたがって試薬を補充した場合の測定数である「補充後数」108と、そのようにして試薬を補充した際に余る測定数である「余り数」109とが表示される。また、図8は、図5の表示態様の第2の変形例を示している。図示のように、この表示例では、選択された所定期間内の同じ曜日(ここでは図5と同様に月曜日)の最大値が「測定数」として表示されている。したがって、「不足数」及び「補充本数」に関してもその数値が図5に対して増大している。
【0047】
以上説明したように、本実施形態によれば、既に行なわれた分析に関する履歴情報から、分析項目ごとに、各分析日の1日当たりの分析回数である単位分析回数を演算し、その演算された単位分析回数を曜日ごとに分類するとともに、分析実施日の曜日に対応する所定期間にわたる各単位分析回数を、分析項目ごとに、その分析に使用されるそれぞれの試薬に関して、試薬使用量に換算し、換算されたそれぞれの試薬使用量と試薬供給部70における現在のそれぞれの試薬の残量とに関連する情報を、それぞれの試薬ごとに並べて表示するようにしているため、その表示により、熟練の操作者でなくても、その日(曜日)に必要であると推定される(又は必要な)試薬量と自動分析装置1に既に設置されている試薬量との差が容易に分かり、したがって、少なくともその差に対応する量の試薬を分析実施日の分析開始前に補充することで、常に適正量の試薬を維持することができる。そのため、分析の途中で試薬切れが生じて、分析の中断を余儀なくされ、分析中の検体が無駄になるなどの不都合を回避できる。
【符号の説明】
【0048】
1 自動分析装置
40 反応部
54 反応容器
70 試薬供給部
80 履歴情報記憶部
81 分析回数演算部
82 分類記憶部
83 試薬残量検出部
84 換算部
85 必要試薬量算出部
86 期間選択部
87 分析項目入力部
89 報知部
192 表示装置(表示部)
図1
図2
図3
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図8