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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
   F15B 11/02 20060101AFI20241127BHJP
   F15B 11/00 20060101ALI20241127BHJP
   F15B 21/14 20060101ALI20241127BHJP
   E02F 9/22 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
F15B11/02 C
F15B11/00 H
F15B21/14 Z
F15B11/02 F
E02F9/22 M
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023576629
(86)(22)【出願日】2022-10-31
(86)【国際出願番号】 JP2022040741
(87)【国際公開番号】W WO2023145182
(87)【国際公開日】2023-08-03
【審査請求日】2024-02-16
(31)【優先権主張番号】P 2022009752
(32)【優先日】2022-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 賢人
(72)【発明者】
【氏名】井村 進也
(72)【発明者】
【氏名】釣賀 靖貴
(72)【発明者】
【氏名】千葉 孝昭
(72)【発明者】
【氏名】山本 慎二郎
(72)【発明者】
【氏名】天野 裕昭
(72)【発明者】
【氏名】西川 真司
(72)【発明者】
【氏名】楢▲崎▼ 昭広
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/200244(WO,A1)
【文献】特開平07-158604(JP,A)
【文献】特開2022-001769(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0283676(US,A1)
【文献】特開2016-075358(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 11/00-11/22
F15B 21/14
E02F 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、
前記車体に取り付けられた作業装置と、
作動油タンクと、
前記作動油タンクから作動油を吸い込んで吐出する可変容量型の油圧ポンプと、
前記油圧ポンプの容量を制御するレギュレータと、
前記作業装置を駆動する複数のアクチュエータと、
前記油圧ポンプから前記複数のアクチュエータに供給される圧油の流れを制御する複数の方向制御弁と、
前記複数のアクチュエータの動作を指示する操作装置と、
前記複数の方向制御弁のうち特定の方向制御弁を前記作動油タンクに接続するメータアウト流路と前記特定の方向制御弁を前記油圧ポンプに接続するメータイン流路とを接続する再生流路と、
前記再生流路に設けられ、前記複数のアクチュエータのうち前記特定の方向制御弁に対応する特定のアクチュエータの戻り油を前記メータアウト流路から前記メータイン流路へ合流させる再生弁と、
前記メータアウト流路のうち前記再生流路との分岐点よりも下流に設けられ、前記特定のアクチュエータから前記作動油タンクに戻される流量を調整することにより前記再生弁の通過流量を制御する再生制御弁と、
前記操作装置の入力量に応じて前記レギュレータ、前記複数の方向制御弁、および前記再生制御弁を制御するコントローラとを備えた作業機械において、
前記油圧ポンプの吐出圧であるポンプ圧を検出する第1圧力センサと、
前記複数のアクチュエータのメータイン圧およびメータアウト圧を検出する第2圧力センサと、
前記車体および前記作業装置の姿勢および動作状態を検出する姿勢センサとを備え、
前記複数の方向制御弁は、それぞれ、同一弁体および同一ハウジングにより、弁変位に対してメータイン開口面積がメータアウト開口面積よりも小さくなるように形成され、
前記コントローラは、
前記操作装置の入力量を基に、前記油圧ポンプから前記複数のアクチュエータに供給される圧油の流量の目標値であるアクチュエータ目標流量を算出し、
前記再生弁の開口面積と前記特定のアクチュエータのメータイン圧およびメータアウト圧とを基に、前記再生弁の通過流量の推定値である推定再生流量を算出し、
前記アクチュエータ目標流量と前記推定再生流量とを基に、前記油圧ポンプの吐出流量の目標値であるポンプ目標流量を算出し、
前記アクチュエータ目標流量と前記ポンプ圧と前記メータイン圧とを基に、前記複数の方向制御弁のメータイン開口面積の目標値である目標メータイン開口面積を算出し、
前記操作装置の入力量と前記姿勢センサの出力値とを基に、前記特定のアクチュエータの推力の目標値である目標推力を算出し、
前記目標推力と前記特定のアクチュエータのメータイン圧とを基に、前記特定のアクチュエータのメータアウト圧の目標値である目標メータアウト圧を算出し、
前記目標メータアウト圧と前記特定のアクチュエータのメータアウト圧とを基に、前記再生制御弁の開口面積の目標値である再生制御弁目標開口面積を算出し、
前記ポンプ目標流量に応じて前記レギュレータを制御し、
前記目標メータイン開口面積に応じて前記複数の方向制御弁を制御し、
前記再生制御弁目標開口面積に応じて前記再生制御弁を制御する
ことを特徴とする作業機械。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機械において、
前記油圧ポンプから吐出された作動油を前記作動油タンクへ排出するブリードオフ弁を備え、
前記コントローラは、
前記操作装置の入力量を基に、前記ブリードオフ弁の開口面積の目標値であるブリードオフ弁目標開口面積を算出し、
前記ブリードオフ弁目標開口面積と前記ポンプ圧とを基に、前記ブリードオフ弁の通過流量の推定値である推定ブリードオフ流量を算出し、
前記アクチュエータ目標流量と前記推定再生流量と前記推定ブリードオフ流量とを基に前記ポンプ目標流量を算出する
ことを特徴とする作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の作業機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、例えば油圧ショベル等の作業機械には種々の油圧アクチュエータが設けられるが、このような油圧アクチュエータに対する油給排制御を行うための制御回路として、従来から、一本のスプール弁で、油圧アクチュエータに対する作動油の給排方向を切り換える方向切換制御と、油圧ポンプから油圧アクチュエータへの供給流量を制御するメータイン開口制御と、油圧アクチュエータから作動油タンクへの排出流量を制御するメータアウト開口制御とを行うように構成したものが広く知られている。また、油圧アクチュエータの一方の油室から排出される油(戻り油)を直接他方の油室へ供給(再生)する制御回路が知られている。
【0003】
油圧アクチュエータのメータイン開口制御とメータアウト開口制御とを一本のスプール弁で行う制御回路の場合、当該スプール弁の移動位置に対するメータイン側の開口面積とメータアウト側の開口面積との関係が一意的に決まってしまう。それゆえ、1つの油圧アクチュエータを単独で駆動させる単独動作や複数の油圧アクチュエータを同時に駆動させる複合動作、あるいは軽作業や重作業等の種々の作業内容に応じてメータイン側の開口面積とメータアウト側の開口面積との関係を変更させることができず、メータイン開口制御によりアクチュエータへの供給流量を制御する際、または、メータアウト開口制御によりアクチュエータからの排出流量を制御する際に、一方の開口制御が他方の開口制御に干渉してしまい、操作性が低下してしまう可能性がある。
【0004】
そこで、従来、油圧アクチュエータに対する油給排制御を、油圧ポンプから油圧シリンダのヘッド側油室、ロッド側油室への供給流量をそれぞれ制御するヘッド側、ロッド側供給弁(ヘッドエンド、ロッドエンド供給弁)と、ヘッド側油室、ロッド側油室から油タンクへの排出流量をそれぞれ制御するヘッド側、ロッド側排出弁(ヘッドエンド、ロッドエンドドレン弁)との4つのメータリングバルブを用いて形成したブリッジ回路により行う制御回路が知られている(例えば、特許文献1)。当該制御回路では、4つのメータリングバルブがコントローラからの指令に基づいて個別に作動するため、作業内容等に応じてメータイン開口とメータアウト開口との関係を容易に変更することが可能である。
【0005】
また、前述した方向切換制御とメータイン開口制御とメータアウト開口制御とを一本のスプール弁で行う方向切換弁の上流側に可変抵抗機能を有する補助弁を配し、当該補助弁により単独動作や複合動作等の作業内容等に応じて方向切換弁に対する圧油供給を補助的に行う制御回路も知られている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5214450号公報
【文献】特許第3511425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の制御回路では、1つのアクチュエータに対する油給排制御を4つのメータリングバルブで行うため、メータイン開口制御によるアクチュエータの速度制御とメータアウト開口制御によるアクチュエータの推力制御とを両立させることができると考えられる。しかしながら、当該制御回路は、4つのメータリングバルブをそれぞれ構成する4つのスプール(またはポペット)に加え、各スプールを駆動するための4つの駆動装置(特許文献1においてはソレノイド)を必要とするため、回路の複雑化および部品点数の増加によりコストが増大するという課題がある。また、特許文献1には、戻り油を再生させるアクチュエータのメータイン開口制御およびメータアウト開口制御に関する記載はない。
【0008】
一方、特許文献2の制御回路においては、補助弁によって複合動作時に各アクチュエータへの圧油配分や優先度合いを制御することはできるものの、1つの方向切換弁で油圧アクチュエータに対するメータイン開口制御とメータアウト開口制御を行うことは従来通りであるため、一方の開口制御に他方の開口制御が干渉してしまうという問題は依然として解消されない。そのため、メータイン開口制御によるアクチュエータの速度制御とメータアウト開口制御によるアクチュエータの推力制御とを両立させることができない。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、戻り油を再生する特定のアクチュエータとその他のアクチュエータとを同時に駆動する複合操作時に、各アクチュエータの速度制御と特定のアクチュエータの推力制御とを簡素な構成で行うことが可能な作業機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、車体と、前記車体に取り付けられた作業装置と、作動油タンクと、前記作動油タンクから作動油を吸い込んで吐出する可変容量型の油圧ポンプと、前記油圧ポンプの容量を制御するレギュレータと、前記作業装置を駆動する複数のアクチュエータと、前記油圧ポンプから前記複数のアクチュエータに供給される圧油の流れを制御する複数の方向制御弁と、前記複数のアクチュエータの動作を指示する操作装置と、前記複数の方向制御弁のうち特定の方向制御弁を前記作動油タンクに接続するメータアウト流路と前記特定の方向制御弁を前記油圧ポンプに接続するメータイン流路とを接続する再生流路と、前記再生流路に設けられ、前記複数のアクチュエータのうち前記特定の方向制御弁に対応する特定のアクチュエータの戻り油を前記メータアウト流路から前記メータイン流路へ合流させる再生弁と、前記メータアウト流路のうち前記再生流路との分岐点よりも下流に設けられ、前記特定のアクチュエータから前記作動油タンクに戻される流量を調整することにより前記再生弁の通過流量を制御する再生制御弁と、前記操作装置の入力量に応じて前記レギュレータ、前記複数の方向制御弁、および前記再生制御弁を制御するコントローラとを備えた作業機械において、前記油圧ポンプの吐出圧であるポンプ圧を検出する第1圧力センサと、前記複数のアクチュエータのメータイン圧およびメータアウト圧を検出する第2圧力センサと、前記車体および前記作業装置の姿勢および動作状態を検出する姿勢センサとを備え、前記複数の方向制御弁は、それぞれ、同一弁体および同一ハウジングにより、弁変位に対してメータイン開口面積がメータアウト開口面積よりも小さくなるように形成され、前記コントローラは、前記操作装置の入力量を基に、前記油圧ポンプから前記複数のアクチュエータに供給される圧油の流量の目標値であるアクチュエータ目標流量を算出し、前記再生弁の開口面積と前記特定のアクチュエータのメータイン圧およびメータアウト圧とを基に、前記再生弁の通過流量の推定値である推定再生流量を算出し、前記アクチュエータ目標流量と前記推定再生流量とを基に、前記油圧ポンプの吐出流量の目標値であるポンプ目標流量を算出し、前記アクチュエータ目標流量と前記ポンプ圧と前記メータイン圧とを基に、前記複数の方向制御弁のメータイン開口面積の目標値である目標メータイン開口面積を算出し、前記操作装置の入力量と前記姿勢センサの出力値とを基に、前記特定のアクチュエータの推力の目標値である目標推力を算出し、前記目標推力と前記特定のアクチュエータのメータイン圧とを基に、前記特定のアクチュエータのメータアウト圧の目標値である目標メータアウト圧を算出し、前記目標メータアウト圧と前記特定のアクチュエータのメータアウト圧とを基に、前記再生制御弁の開口面積の目標値である再生制御弁目標開口面積を算出し、前記ポンプ目標流量に応じて前記レギュレータを制御し、前記目標メータイン開口面積に応じて前記複数の方向制御弁を制御し、前記再生制御弁目標開口面積に応じて前記再生制御弁を制御するものとする。
【0011】
以上のように構成した本発明によれば、戻り油を再生する特定のアクチュエータとその他のアクチュエータとを同時に駆動する複合操作時に、各方向制御弁の前後差圧に応じて各メータイン開口を調整することにより、目標通りの流量を各アクチュエータに供給することができる。また、特定の方向制御弁のメータアウト開口を調整して目標通りの推力を特定のアクチュエータに入力することにより、非駆動部材の慣性による行き過ぎなどを防止することができる。そして、各方向制御弁は、メータイン開口面積およびメータアウト開口面積が同一弁体および同一ハウジングにより形成される簡素な構成であるため、コストを抑制することができる。これにより、戻り油を再生する特定のアクチュエータとその他のアクチュエータとを同時に駆動する複合操作時に、各アクチュエータの速度制御と特定のアクチュエータの推力制御とを簡素な構成で行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る作業機械によれば、戻り油を再生する特定のアクチュエータとその他のアクチュエータとを同時に駆動する複合操作時に、特定のアクチュエータおよびその他のアクチュエータの速度制御と特定のアクチュエータの推力制御とを簡素な構成で行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る油圧ショベルの側面図である。
図2A図1に示す油圧ショベルに搭載される油圧駆動装置の回路図(1/2)である。
図2B図1に示す油圧ショベルに搭載される油圧駆動装置の回路図(2/2)である。
図3図2Aに示す方向制御弁の開口特性を示す図である。
図4図2Aに示すブリードオフ弁の開口特性を示す図である。
図5図2Bに示すコントローラの機能ブロック図
図6図2Bに示すコントローラのポンプ流量制御に関わる処理を示すフローチャートである。
図7図2Bに示すコントローラのブーム方向制御弁の開口制御に関わる処理を示すフローチャートである。
図8図2Bに示すコントローラのアーム方向制御弁の開口制御に関わる処理を示すフローチャートである。
図9図2Bに示すコントローラのアーム再生制御弁の開口制御に関わる処理を示すフローチャートである。
図10図2Bに示すコントローラのブリードオフ弁の開口制御に関わる処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る作業機械として油圧ショベルを例に挙げ、図面を参照して説明する。なお、各図中、同等の部材には同一の符号を付し、重複した説明は適宜省略する。
【0015】
図1は、本実施形態に係る油圧ショベルの側面図である。図1に示すように、油圧ショベル901は、走行体201と、走行体201上に旋回可能に配置され、車体を構成する旋回体202と、旋回体202に上下方向に回動可能に取り付けられ、土砂の掘削作業等を行う作業装置203とを備えている。旋回体202は、旋回モータ211によって駆動される。
【0016】
作業装置203は、旋回体202に上下方向に回動可能に取り付けられたブーム204と、ブーム204の先端に上下方向に回動可能に取り付けられたアーム205と、アーム205の先端に上下方向に回動可能に取り付けられたバケット206と、ブーム204を駆動するアクチュエータであるブームシリンダ204aと、アーム205を駆動するアクチュエータであるアームシリンダ205aと、バケット206を駆動するアクチュエータであるバケットシリンダ206aとを有する。作業装置203には、ブーム204、アーム205、バケット206の姿勢および動作状態を検出するための慣性計測装置212,213,214が設置されている。旋回体202には、旋回体202の姿勢や回転速度を検出するための慣性計測装置215,216が設置されている。すなわち、本実施形態における慣性計測装置212~216は、旋回体202および作業装置203の姿勢および動作状態を検出する姿勢センサを構成している。
【0017】
旋回体202上の前側位置には運転室207が設けられており、後側位置には車体の重量バランスを確保するためのカウンタウエイト209が取り付けられている。運転室207とカウンタウエイト209の間には、機械室208が設けられている。機械室208には、エンジン(図示せず)、コントロールバルブ210、旋回モータ211、油圧ポンプ1~3(図2Aに示す)等が収容されている。コントロールバルブ210は、油圧ポンプから各アクチュエータへの作動油の流れを制御する。
【0018】
図2Aおよび図2Bは、油圧ショベル901に搭載される油圧駆動装置の回路図である。
【0019】
(構成)
油圧駆動装置902は、3つの主油圧ポンプ(例えば、可変容量形油圧ポンプからなる第1油圧ポンプ1、第2油圧ポンプ2、および第3油圧ポンプ3)と、パイロットポンプ91と、油圧ポンプ1~3およびパイロットポンプ91に油を供給する作動油タンク5とを備える。油圧ポンプ1~3およびパイロットポンプ91は、エンジン(図示せず)によって駆動される。
【0020】
第1油圧ポンプ1の傾転角は、第1油圧ポンプ1に付設したレギュレータによって制御される。第1油圧ポンプ1のレギュレータは、流量制御指令圧ポート1aを有し、流量制御指令圧ポート1aに作用する指令圧により駆動される。第2油圧ポンプ2の傾転角は、第2油圧ポンプ2に付設したレギュレータによって制御される。第2油圧ポンプ2のレギュレータは、流量制御指令圧ポート2aを有し、流量制御指令圧ポート2aに作用する指令圧により駆動される。第3油圧ポンプ3の傾転角は、第3油圧ポンプ3に付設したレギュレータによって制御される。第3油圧ポンプ3のレギュレータは、流量制御指令圧ポート3aを有し、流量制御指令圧ポート3aに作用する指令圧により駆動される。
【0021】
第1油圧ポンプ1のポンプライン40には、走行右方向制御弁6、バケット方向制御弁7、第2アーム方向制御弁8、および第1ブーム方向制御弁9がそれぞれメータイン流路41,42、メータイン流路43,44、およびメータイン流路45,46、メータイン流路47,48を介してパラレルに接続される。メータイン流路41,42、メータイン流路43,44、およびメータイン流路45,46、メータイン流路47,48には、ポンプライン40への圧油の逆流を防止するために、チェック弁21~24がそれぞれ配置されている。走行右方向制御弁6は、第1油圧ポンプ1から、走行体201を駆動する一対の走行モータのうちの図示しない走行右モータに供給される圧油の流れを制御する。バケット方向制御弁7は、第1油圧ポンプ1からバケットシリンダ206aに供給される圧油の流れを制御する。第2アーム方向制御弁8は、第1油圧ポンプ1からアームシリンダ205aに供給される圧油の流れを制御する。第1ブーム方向制御弁9は、第1油圧ポンプ1からブームシリンダ204aに供給される圧油の流れを制御する。ポンプライン40は、過剰な圧力上昇から回路を保護するために、メインリリーフ弁18を介して作動油タンク5に接続される。ポンプライン40は、油圧ポンプ1の余剰な吐出油を排出するために、ブリードオフ弁35を介して作動油タンク5に接続される。
【0022】
第2油圧ポンプ2のポンプライン50には、第2ブーム方向制御弁10、第1アーム方向制御弁11、第1アタッチメント方向制御弁12、および走行左方向制御弁13がそれぞれメータイン流路51,52、メータイン流路53,54、メータイン流路55,56、およびメータイン流路57,58を介してパラレルに接続される。メータイン流路51,52、メータイン流路53,54、メータイン流路55,56、およびメータイン流路57,58には、ポンプライン50への圧油の逆流を防止するために、チェック弁25~28がそれぞれ配置されている。第2ブーム方向制御弁10は、第2油圧ポンプ2からブームシリンダ204aに供給される圧油の流れを制御する。第1アーム方向制御弁11は、第2油圧ポンプ2からアームシリンダ205aに供給される圧油の流れを制御する。第1アタッチメント方向制御弁12は、第2油圧ポンプ2から、例えばバケット206に代えて設けられる小割機等の第1特殊アタッチメントを駆動する図示しない第1アクチュエータに供給される圧油の流れを制御する。走行左方向制御弁13は、第2油圧ポンプ2から、走行体201を駆動する一対の走行モータのうちの図示しない走行左モータに供給される圧油の流れを制御する。ポンプライン50は、過剰な圧力上昇から回路を保護するために、メインリリーフ弁19を介して作動油タンク5に接続される。ポンプライン50は、油圧ポンプ2の余剰な吐出油を排出するために、ブリードオフ弁36を介して作動油タンク5に接続される。ポンプライン50は、第1油圧ポンプ1の吐出油を合流させるために、合流弁17を介してポンプライン40に接続される。ポンプライン50のうちメータイン流路55とメータイン流路57とを接続する部分には、チェック弁32が設けられている。チェック弁32は、第1油圧ポンプ1から合流弁17を介してポンプライン50に合流する圧油が走行左方向制御弁13以外の方向制御弁10~12に流入することを防止する。第1アーム方向制御弁11のメータアウト側ポートはメータアウト流路75を介して作動油タンク5に接続される。メータアウト流路75は、アーム再生流路76を介してメータイン流路54に接続されている。アーム再生流路76には、メータアウト流路75からメータイン流路54への流れを許容するアーム再生弁33が設けられている。メータアウト流路75のアーム再生弁33との分岐点よりも下流には、アームシリンダ205aから作動油タンク5に戻される流量を調整することにより前記再生弁の通過流量を制御する再生制御弁とアーム再生制御弁34が設置されている。
【0023】
第3油圧ポンプ3のポンプライン60には、旋回方向制御弁14、第3ブーム方向制御弁15、および第2アタッチメント方向制御弁16がそれぞれメータイン流路61,62、メータイン流路63,64、およびメータイン流路65,66を介してパラレルに接続される。メータイン流路61,62、メータイン流路63,64、およびメータイン流路65,66には、ポンプライン60への圧油の逆流を防止するために、チェック弁29~31がそれぞれ配置されている。旋回方向制御弁14は、第3油圧ポンプ3から旋回モータ211に供給される圧油の流れを制御する。第3ブーム方向制御弁15は、第3油圧ポンプ3からブームシリンダ204aに供給される圧油の流れを制御する。第2アタッチメント方向制御弁16は、第1特殊アタッチメントに加えて第2アクチュエータを備えた第2特殊アタッチメントが装着された際、または、第1特殊アタッチメントに代えて第1アクチュエータと第2アクチュエータの2つのアクチュエータを備えた第2特殊アタッチメントが装着された際に、第2アクチュエータに供給される圧油の流れを制御するために使用される。ポンプライン60は、過剰な圧力上昇から回路を保護するために、メインリリーフ弁20を介して作動油タンク5に接続される。ポンプライン60は、油圧ポンプ3の余剰な吐出油を排出するために、ブリードオフ弁37を介して作動油タンク5に接続される。
【0024】
図3に方向制御弁6~16の開口特性を示す。図3において、メータイン開口面積は、スプール変位に応じてゼロから最大開口面積まで増加する。メータアウト開口面積も同様に、スプール変位に応じてゼロから最大開口面積まで増加するが、スプール変位に対してメータイン開口面積よりも小さい値に設定されている。これにより、アクチュエータの駆動速度をメータイン開口で制御することが可能となる。図4にブリードオフ弁35~37の開口特性を示す。図4において、ブリードオフ弁開口面積は、最大操作レバー入力量がゼロから所定値までは最大開口面積となり、最大操作レバー入力量が所定値を超えると急峻にゼロまで減少する。なお、ここでいう最大操作レバー入力量は、当該ブリードオフ弁が接続されているポンプラインに接続された複数のアクチュエータに対応する各操作レバー入力量の最大値である。
【0025】
図2Aに戻り、ポンプライン50には、第2油圧ポンプ2の吐出圧(ポンプ圧PPmp2)を検出する圧力センサ85が設けられている。ブームシリンダ204aとブーム方向制御弁9,10,15とを接続する流路73,74には、ブームシリンダ204aのメータイン側の圧力(ブームメータイン圧PMIBm)を検出するための圧力センサ86,87が設けられている。アームシリンダ205aとアーム方向制御弁8,11とを接続する流路71,72には、アームシリンダ205aのメータイン側の圧力(アームメータイン圧PMIAm)およびメータアウト側の圧力(アームメータアウト圧PMOAm)を検出するための圧力センサ88,89が設けられている。圧力センサ85~89の出力値はコントローラ94に入力される。
【0026】
図2Bにおいて、パイロットポンプ91の吐出ポートは、パイロット一次圧生成用のパイロットリリーフ弁92を介して作動油タンク5に接続されると共に、流路80を介して、電磁弁ユニット93に内蔵される電磁弁93a~93gの一方の入力ポートに接続される。電磁弁93a~93の他方の入力ポートは、流路81を介して作動油タンク5に接続される。電磁弁93a~93gは、それぞれ、コントローラ94からの指令信号に応じてパイロット一次圧を減圧し、指令圧として出力する。
【0027】
電磁弁93aの出力ポートは、第2油圧ポンプ2のレギュレータの流量制御指令圧ポート2aに接続される。電磁弁93b,93cの出力ポートは、第2ブーム方向制御弁10のパイロットポート10a,10bに接続される。電磁弁93d,93eの出力ポートは、第1アーム方向制御弁11のパイロットポート11a,11bに接続される。電磁弁93fの出力ポートは、ブリードオフ弁36の指令圧ポート36aに接続される。電磁弁93gの出力ポートは、再生制御弁34の指令圧ポート34aに接続される。
【0028】
なお、説明を簡略化するため、第1油圧ポンプ1および第3油圧ポンプ3のレギュレータの流量制御指令圧ポート1a,3a用の電磁弁、走行右方向制御弁6用の電磁弁、バケット方向制御弁7用の電磁弁、第2アーム方向制御弁8用の電磁弁、第1ブーム方向制御弁9用の電磁弁、第1アタッチメント方向制御弁12用の電磁弁、走行左方向制御弁13用の電磁弁、旋回用方向制御弁14用の電磁弁、第3ブーム用方向制御弁15用の電磁弁、第2アタッチメント方向制御弁16用の電磁弁、ブリードオフ弁35,37用の電磁弁については、図示を省略している。
【0029】
油圧駆動装置902は、第1ブーム方向制御弁9、第2ブーム方向制御弁10、および第3ブーム方向制御弁15を切り換え操作可能なブーム操作レバー95aと、第1アーム方向制御弁11および第2アーム方向制御弁8を切り換え操作可能なアーム操作レバー95bとを備えている。なお、説明を簡略化するため、走行右方向制御弁6を切り換え操作する走行右操作レバー、バケット方向制御弁7切り換え操作するバケット操作レバー、第1アタッチメント方向制御弁12を切り換え操作する第1アタッチメント操作レバー、走行左方向制御弁13を切り換え操作する走行左操作レバー、旋回方向制御弁14を切り換え操作する旋回操作レバー、第2アタッチメント方向制御弁16を切り換え操作する第2アタッチメント操作レバーについては、図示を省略している。
【0030】
油圧駆動装置902はコントローラ94を備える。コントローラ94は、操作レバー95a,95bの入力量、慣性計測装置212~216の出力値、および圧力センサ85~89の出力値に応じて、電磁弁ユニット93が有する電磁弁93a~93g(図示しない電磁弁を含む)へ指令信号を出力する。
【0031】
図5は、コントローラ94の機能ブロック図である。図5において、コントローラ94は、ブーム目標流量演算部94aと、アーム目標流量演算部94bと、アーム推定再生流量演算部94cと、アーム修正目標流量演算部94dと、ブリードオフ弁目標開口演算部94eと、推定ブリードオフ流量演算部94fと、ポンプ目標流量演算部94gと、ポンプ制御指令出力部94hと、圧力状態判定部94iと、ブーム方向制御弁目標メータイン開口演算部94jと、ブーム方向制御弁制御指令出力部94kと、アーム方向制御弁目標メータイン開口演算部94lと、アーム方向制御弁制御指令出力部94mと、要求トルク演算部94nと、重力トルク演算部94oと、慣性トルク演算部94pと、目標トルク演算部94qと、目標推力演算部94rと、アーム目標メータアウト圧演算部94sと、アーム再生制御弁目標開口演算部94tと、アーム再生制御弁制御指令出力部94uと、ブリードオフ弁制御指令出力部94vとを有する。
【0032】
ブーム目標流量演算部94aは、操作レバー入力量を基に、ブームシリンダ204aに供給する流量(ブーム流量)の目標値(ブーム目標流量QTgtBm)を算出する。具体的には、予め設定された操作レバー入力量に対するブーム流量特性に従い、操作レバー入力量に応じたブーム目標流量QTgtBmを算出する。アーム目標流量演算部94bは、操作レバー入力量を基に、アームシリンダ205aに供給する流量(アーム流量)の目標値(アーム目標流量QTgtAm)を算出する。具体的には、予め設定された操作レバー入力量に対するアーム流量特性に従い、操作レバー入力量に応じたアーム目標流量QTgtAmを算出する。
【0033】
アーム推定再生流量演算部94cは、圧力センサ88,89の出力値から得られるアームメータイン圧PMIAmおよびアームメータアウト圧PMOAmとアーム再生弁33の開口面積とを基にアーム推定再生流量QEstRegAmを算出する。アーム修正目標流量演算部94dは、アーム目標流量演算部94bで算出されたアーム目標流量QTgtAmとアーム推定再生流量演算部94cで算出されたアーム推定再生流量QEstRegAmとを基にアーム修正目標流量QModiTgtAmを算出する。
【0034】
ブリードオフ弁目標開口演算部94eは、操作レバー入力量を基に、ブリードオフ弁35~37の目標開口面積を算出する。具体的には、予め設定された操作レバー入力量に対するブリードオフ弁開口面積特性に従い、操作レバー入力量に応じたブリードオフ弁目標開口面積を算出する。推定ブリードオフ流量演算部94fは、ブリードオフ弁目標開口演算部94eで算出されたブリードオフ弁目標開口面積ATgtBOと圧力センサ85の出力値から得られるポンプ圧PPmp2とを基に推定ブリードオフ流量QEstBOを算出する。
【0035】
ポンプ目標流量演算部94gは、ブーム目標流量演算部94aで算出されたブーム目標流量QTgtBmとアーム目標流量演算部94bで算出されたアーム目標流量QTgtAmと推定ブリードオフ流量演算部94fで算出された推定ブリードオフ流量QEstBOとを基にポンプ目標流量QTgtPmpを算出する。ポンプ制御指令出力部94hは、予め設定されたポンプ流量に対する電磁弁指令信号特性に従い、ポンプ目標流量演算部94gで算出されたポンプ目標流量QTgtPmpに応じた指令信号(ポンプ流量制御指令信号)を電磁弁93aへ出力する。
【0036】
圧力状態判定部94iは、各アクチュエータラインに設けられた圧力センサの出力値を基に各アクチュエータの方向制御弁の前後差圧が所定の閾値より小さいか否かを判定し、判定結果をブーム方向制御弁目標メータイン開口演算部94jへ出力する。ブーム方向制御弁目標メータイン開口演算部94jは、ブーム目標流量演算部94aで算出されたブーム目標流量と圧力センサ85の出力値から得られるポンプ圧と圧力センサ86(87)の出力値から得られるブームメータイン圧と圧力状態判定部94iから出力された判定結果とを基にブーム方向制御弁9,10,15の目標メータイン開口面積ATgtMIBmを算出する。ブーム方向制御弁制御指令出力部94kは、予め設定されたメータイン開口面積に対する電磁弁指令信号特性に従い、ブーム方向制御弁目標メータイン開口演算部94jで算出された目標メータイン開口面積ATgtMIBmに応じた指令信号(ブーム方向制御弁制御指令信号)を電磁弁93b(93c)へ出力する。
【0037】
アーム方向制御弁目標メータイン開口演算部94lは、アーム目標流量演算部94bで算出されたアーム目標流量と圧力センサ85の出力値から得られるポンプ圧と圧力センサ88(89)の出力値から得られるアームメータイン圧と圧力状態判定部94iから出力された判定結果とを基にアーム方向制御弁8,11の目標メータイン開口面積ATgtMIAmを算出する。アーム方向制御弁制御指令出力部94mは、予め設定されたメータイン開口面積に対する電磁弁指令信号特性に従い、アーム方向制御弁目標メータイン開口演算部94lで算出された目標メータイン開口面積ATgtMIAmに応じた指令信号(アーム方向制御弁制御指令信号)を電磁弁93d(93e)へ出力する。
【0038】
要求トルク演算部94nは、予め設定されたアーム操作レバー入力量に対するアーム要求トルク特性に従い、アーム操作レバー入力量に応じたアーム205の要求トルクTReqAmを算出する。重力トルク演算部94oは、慣性計測装置212~216の出力値と車体仕様値とを基に、アームモーメントの重力成分を重力トルクTGravityとして算出する。慣性トルク演算部94pは、重力トルク演算部94oで算出された重力トルクTGravityと慣性計測装置212~216の出力値とを基に、アームモーメントの慣性成分を慣性トルクTInertiaとして算出する。目標トルク演算部94qは、要求トルク演算部94nで算出された要求トルクと重力トルク演算部94oで算出された重力トルクTGravityと慣性トルク演算部94pで算出された慣性トルクTInertiaとを基に、アーム205の目標トルクTTgtAmを算出する。目標推力演算部94rは、目標トルク演算部94qで算出された目標トルクTTgtAmと慣性計測装置212~216の出力値と車体仕様値とを基に、アームシリンダ205aの目標推力FTgtAmを算出する。
【0039】
アーム目標メータアウト圧演算部94sは、目標推力演算部94rで算出されたアームシリンダ205aの目標推力FTgtAmと圧力センサ88(89)の出力値から得られるアームメータイン圧PMIAmとを基にアーム目標メータアウト圧PMOTgtAmを算出する。アーム再生制御弁目標開口演算部94tは、アーム目標メータアウト圧演算部94sで算出されたアーム目標メータアウト圧PMOTgtAmと圧力センサ88(89)の出力値から得られるアームメータアウト圧PMOAmとを基にアーム再生制御弁34の目標開口面積ATgtMOAmを算出する。アーム再生制御弁制御指令出力部94uは、予め設定されたアーム再生制御弁の開口面積に対する電磁弁の指令電気信号特性に従い、アーム再生制御弁目標開口演算部94tで算出されたアーム再生制御弁34の目標開口面積ATgtMOAmに応じた指令信号(アーム再生制御弁制御指令信号)を電磁弁93gへ出力する。
【0040】
ブリードオフ弁制御指令出力部94vは、予め設定されたブリードオフ弁35~37の開口面積に対する電磁弁指令信号特性に従い、ブリードオフ弁目標開口演算部94eで算出された目標開口面積ATgtBOに応じた指令信号(ブリードオフ弁制御指令信号)を電磁弁93fへ出力する。
【0041】
図6は、コントローラ94のポンプ流量制御に関わる処理を示すフローチャートである。以下では、第2油圧ポンプ2の流量制御に関わる処理のみを説明する。なお、その他の油圧ポンプ1,3の流量制御に関わる処理はこれと同様であるため、説明は省略する。
【0042】
コントローラ94は、まず、操作レバー入力が無いか否かを判定する(ステップS101)。ここでいう操作レバー入力は、第2油圧ポンプ2のポンプライン60に接続されたアクチュエータ204a,205aに対応する操作レバー入力である。ステップS101で操作レバー入力が無い(YES)と判定した場合は、当該フローを終了する。
【0043】
ステップS101で操作レバー入力が有る(NO)と判定した場合は、ブーム目標流量演算部94aは、予め設定された操作レバー入力量に対するブーム目標流量特性に従い、操作レバー入力量に応じたブーム目標流量QTgtBmを算出する(ステップS102A)。
【0044】
ステップS102Aと並行して、アーム目標流量演算部94bは、予め設定された操作レバー入力量に対するアーム目標流量特性に従い、操作レバー入力量に応じたアーム目標流量QTgtAmを算出する(ステップS102B)。なお、図示は省略しているが、第2油圧ポンプ2のポンプライン50に接続されているその他のアクチュエータについても同様に目標流量を算出する。
【0045】
ステップS102Bに続き、アーム推定再生流量演算部94cは、圧力センサ88,89の出力値から得られるアームメータイン圧PMIAmおよびアームメータアウト圧PMOAmとアーム再生弁33の開口面積とを基にアーム推定再生流量QEstRegAmを算出する(ステップS103)。
【0046】
ステップS103に続き、アーム修正目標流量演算部94dは、アーム目標流量演算部94bで算出されたアーム目標流量QTgtAmとアーム推定再生流量演算部94cで算出されたアーム推定再生流量QEstRegAmとを用いて、式1よりアーム修正目標流量QModiTgtAmを算出する(ステップS104)。
【0047】
【数1】
【0048】
ステップS102AまたはステップS102B,S103,S104と並行して、推定ブリードオフ流量演算部94fは、ブリードオフ弁目標開口演算部94eで算出されたブリードオフ弁36の目標開口面積ATgtBOと圧力センサ85の出力値から得られるポンプ圧PPmp2とを用いて、式2より推定ブリードオフ流量QEstBOを算出する(ステップS105)。
【0049】
【数2】
【0050】
ここで、Cdは流量係数、PTankはタンク圧、ρは作動油密度である。
【0051】
ステップS102A,S104,S105に続き、ポンプ目標流量演算部94gは、ブーム目標流量QTgtBmとアーム修正目標流量QModiTgtAmと推定ブリードオフ流量QEstBOとを用いて、式3によりポンプ目標流量QTgtPmpを算出する(ステップS106)。
【0052】
【数3】
【0053】
ステップS106に続き、ポンプ制御指令出力部94hは、予め設定されたポンプ流量に対する電磁弁指令信号特性に従い、ポンプ目標流量演算部94gで算出されたポンプ目標流量QTgtPmpに応じた指令信号(ポンプ流量制御指令信号)を第2油圧ポンプ2のポンプ流量制御用の電磁弁93aへ出力する(ステップS107)。
【0054】
ステップS107に続き、第2油圧ポンプ2のポンプ流量制御用の電磁弁93aに指令圧を生成させ(ステップS108)、当該指令圧に応じて第2油圧ポンプ2の傾転を変化させ(ステップS109)、当該フローを終了する。
【0055】
図7は、コントローラ94のブーム方向制御弁9,10,15の開口制御に関わる処理を示すフローチャートである。以下では、第2ブーム方向制御弁10の開口制御に関わる処理のみを説明する。その他のブーム方向制御弁9,15の開口制御に関わる処理はこれと同様であるため、説明は省略する。
【0056】
コントローラ94は、まず、ブーム操作レバー入力が無いか否かを判定する(ステップS201)。ステップS201でブーム操作レバー入力が無い(YES)と判定した場合は、当該フローを終了する。
【0057】
ステップS201でブーム操作レバー入力が有る(NO)と判定した場合は、ブーム目標流量演算部94aは、予め設定されたブーム操作レバー入力量に対するブーム目標流量特性に従い、ブーム操作レバー入力量に応じたブーム目標流量QTgtBmを算出する(ステップS202)。
【0058】
ステップS202に続き、圧力状態判定部94iは、圧力センサ85の出力値から得られるポンプ圧PPmp2と圧力センサ86(87)の出力値から得られるブームメータイン圧PMIBmとの差圧(第2ブーム方向制御弁10の前後差圧)が閾値αより小さいか否かを判断する(ステップS203)。閾値αは、例えば、流量制御精度を確保することができる方向制御弁の前後差圧の最小値に設定される。
【0059】
ステップS203で前後差圧(PPmp2-PMIBm)が閾値α以上である(NO)と判定した場合は、ブーム方向制御弁目標メータイン開口演算部94jは、ブーム目標流量演算部94aで算出されたブーム目標流量QTgtBmと圧力センサ85の出力値から得られる第2油圧ポンプ2のポンプ圧PPmp2と圧力センサ86(87)の出力値から得られるブームメータイン圧PMIBmとを用いて、式4より第2ブーム方向制御弁10の目標メータイン開口面積ATgtMIBmを算出する(ステップS204)。
【0060】
【数4】
【0061】
ここで、Cdは流量係数、ρは作動油密度である。
【0062】
ステップS203で前後差圧(PPmp2-PMIBm)が閾値αよりも小さい(YES)と判定した場合は、ブーム方向制御弁目標メータイン開口演算部94jは、前後差圧(PPmp2-PMIBm)に代えて閾値αを用いて、ステップS204と同様に目標メータイン開口面積ATgtMIBm を算出する(ステップS205)。
【0063】
ステップS204またはステップS205に続き、ブーム方向制御弁制御指令出力部94kは、予め設定された第2ブーム方向制御弁10のメータイン開口面積に対する電磁弁指令信号特性に従い、ブーム方向制御弁目標メータイン開口演算部94jで算出された目標メータイン開口面積ATgtMIBmに応じた指令信号(ブーム方向制御弁制御指令信号)を第2ブーム方向制御弁10用の電磁弁93b(93c)へ出力する(ステップS206)。
【0064】
ステップS206に続き、第2ブーム方向制御弁10用の電磁弁93b(93c)に指令圧を生成させ(ステップS207)、当該指令圧に応じて第2ブーム方向制御弁10を開口させ(ステップS208)、当該フローを終了する。
【0065】
図8は、コントローラ94のアーム方向制御弁8,11の開口制御に関わる処理を示すフローチャートである。以下では、第1アーム方向制御弁11の開口制御に関わる処理のみを説明する。第2アーム方向制御弁8の開口制御に関わる処理はこれと同様であるため、説明は省略する。
【0066】
コントローラ94は、まず、アーム操作レバー入力が無いか否かを判定する(ステップS301)。ステップS301でアーム操作レバー入力が無い(YES)と判定した場合は、当該フローを終了する。
【0067】
ステップS301でアーム操作レバー入力が有る(NO)と判定した場合は、アーム目標流量演算部94bは、予め設定されたアーム操作レバー入力量に対するアーム目標流量特性に従い、アーム操作レバー入力量に応じたアーム目標流量QTgtAmを算出する(ステップS302)。
【0068】
ステップS302に続き、圧力状態判定部94iは、圧力センサ85の出力値から得られるポンプ圧PPmp2と圧力センサ88(89)の出力値から得られるアームメータイン圧PMIAmとの差圧(第1アーム方向制御弁11の前後差圧)が閾値αより小さいか否かを判断する(ステップS303)。
【0069】
ステップS303で前後差圧(PPmp2-PMIAm)が閾値α以上である(NO)と判定した場合は、アーム方向制御弁目標メータイン開口演算部94lは、アーム目標流量演算部94bで算出されたアーム目標流量QTgtAmと圧力センサ85の出力値から得られる第2油圧ポンプ2のポンプ圧PPmp2と圧力センサ88(89)の出力値から得られるアームメータイン圧PMIAmとを用いて、式5より第1アーム方向制御弁11の目標メータイン開口面積ATgtMIAmを算出する(ステップS304)。
【0070】
【数5】
【0071】
ここで、Cdは流量係数、ρは作動油密度である。
【0072】
ステップS303で前後差圧(PPmp2-PMIAm)が閾値αよりも小さい(YES)と判定した場合は、アーム方向制御弁目標メータイン開口演算部94lは、前後差圧(PPmp2-PMIAm)に代えて閾値αを用いて、ステップS304と同様に目標メータイン開口面積ATgtMIAm を算出する(ステップS305)。
【0073】
ステップS304またはステップS305に続き、アーム方向制御弁制御指令出力部94mは、予め設定された第1アーム方向制御弁11のメータイン開口面積に対する電磁弁指令信号特性に従い、アーム方向制御弁目標メータイン開口演算部94lで算出された目標メータイン開口面積ATgtMIAmに応じた指令信号(アーム方向制御弁制御指令信号)を第1アーム方向制御弁11用の電磁弁93d(93e)へ出力する(ステップS306)。
【0074】
ステップS306に続き、第1アーム方向制御弁11用の電磁弁93d(93e)に指令圧を生成させ(ステップS307)、当該指令圧に応じて第1アーム方向制御弁11を開口させ(ステップS308)、当該フローを終了する。
【0075】
図9は、コントローラ94のアーム再生制御弁34の開口制御に関わる処理を示すフローチャートである。
【0076】
コントローラ94は、まず、アーム操作レバー入力が無いか否かを判定する(ステップS401)。ステップS401でアーム操作レバー入力が無い(YES)と判定した場合は、当該フローを終了する。
【0077】
ステップS401でアーム操作レバー入力が有る(NO)と判定した場合は、要求トルク演算部94nは、予め設定されたアーム操作レバー入力量に対するアーム要求トルク特性に従い、アーム操作レバー入力量に応じたアーム要求トルクTReqAmを算出する(ステップS402)。
【0078】
ステップS402と並行して、重力トルク演算部94oは、慣性計測装置212~216の出力値と車体仕様値(主に構造物の寸法など)とを基に、アームモーメントの重力成分を重力トルクTGravityとして算出する(ステップS403)。
【0079】
ステップS403に続き、慣性トルク演算部94pは、重力トルク演算部94oが算出した重力トルクTGravityと慣性計測装置212~216の出力値とを基に、アームモーメントの慣性成分を慣性トルクTInertiaとして算出する(ステップS404)。
【0080】
ステップS402,S404に続き、目標トルク演算部94qは、要求トルク演算部94nで算出されたアーム要求トルクTReqAmと、重力トルク演算部94oで算出された重力トルクTGravityと、慣性トルク演算部94pで算出された慣性トルクTInertiaとを用いて、式6よりアーム目標トルクTTgtAmを算出する(ステップS405)。
【0081】
【数6】
【0082】
ここで、アーム要求トルクTReqAmと同一回転方向のトルクを正とする。
【0083】
ステップS405に続き、目標推力演算部94rは、目標トルク演算部94qで算出されたアーム目標トルクTTgtAmと慣性計測装置212~216の出力値および車体仕様値とを基にアームシリンダ205aの目標推力FTgtAmを算出する(ステップS406)。
【0084】
ステップS406に続き、アーム目標メータアウト圧演算部94sは、目標推力演算部94rで算出された目標推力FTgtAmと圧力センサ88(89)の出力値から得られるアームメータイン圧PMIAmを用いて、式7よりアーム目標メータアウト圧PMOTgtAmを算出する(ステップS407)。
【0085】
【数7】
【0086】
ここで、SMIAmはアームシリンダ205aのメータイン側の受圧面積、SMOAmはアームシリンダ205aのメータアウト側の受圧面積である。
【0087】
ステップS407に続き、アーム再生制御弁目標開口演算部94tは、アーム目標メータアウト圧演算部94sで算出されたアーム目標メータアウト圧P MOTgtAmと圧力センサ89(88)の出力値から得られるアームメータアウト圧PMOAmとの差が小さくなるようにアーム再生制御弁34の目標開口面積ATgtMOAmを算出する(ステップS408)。
【0088】
ステップS408に続き、アーム再生制御弁制御指令出力部94uは、予め設定されたアーム再生制御弁34の開口面積に対する電磁弁指令信号特性に従い、アーム再生制御弁目標開口演算部94tで算出された目標開口面積ATgtMOAmに応じた指令信号(アーム再生制御弁制御指令信号)をアーム再生制御弁34用の電磁弁93gへ出力する(ステップS409)。
【0089】
ステップS409に続き、電磁弁93gにアーム再生制御弁34の指令圧を生成させ(ステップS410)、当該指令圧に応じてアーム再生制御弁34を開口させ(ステップS411)、当該フローを終了する。
【0090】
図10は、コントローラ94のブリードオフ弁35~37の開口制御に関わる処理を示すフローチャートである。以下では、第2油圧ポンプ2のポンプライン50に接続されたブリードオフ弁36の開口制御に関わる処理のみを説明する。その他のブリードオフ弁の開口制御に関わる処理はこれと同様であるため、説明は省略する。
【0091】
コントローラ94は、まず、操作レバー入力が無いか否かを判定する(ステップS501)。ここでいう操作レバー入力は、第2油圧ポンプ2のポンプライン50に接続されたアクチュエータ204a,205aに対応する操作レバー入力である。ステップS501で操作レバー入力が無い(YES)と判定した場合は、当該フローを終了する。
【0092】
ステップS501で操作レバー入力が有る(NO)と判定した場合は、ブリードオフ弁目標開口演算部94eは、図4に示すブリードオフ弁開口特性に従い、最大操作レバー入力量に応じたブリードオフ弁36の目標開口面積ATgtBOを算出する(ステップS502)。なお、ここでいう最大操作レバー入力量は、第2油圧ポンプ2のポンプライン50に接続されたアクチュエータ204a,205aに対応する各操作レバー入力量の最大値である。
【0093】
ステップS502に続き、ブリードオフ弁制御指令出力部94vは、予め設定されたブリードオフ弁36の開口面積に対する電磁弁指令信号特性に従い、ブリードオフ弁36の目標開口面積ATgtBOに応じた指令信号(ブリードオフ弁制御指令信号)をブリードオフ弁36用の電磁弁93fへ出力する(ステップS503)。
【0094】
ステップS503に続き、電磁弁93fにブリードオフ弁36の指令圧を生成させ(ステップS504)、当該指令圧に応じてブリードオフ弁36を開口させ(ステップS505)、当該フローを終了する。
【0095】
(動作)
油圧駆動装置902の動作の一例として、ブームシリンダ204aとアームシリンダ205aとを同時に駆動する複合操作が行われた場合の第2油圧ポンプ2、第2ブーム方向制御弁10、第1アーム方向制御弁11、アーム再生制御弁34、およびブリードオフ弁36の動作を説明する。
【0096】
「第2油圧ポンプ」
コントローラ94は、ブーム操作レバー95aおよびアーム操作レバー95bの入力量を基に第2油圧ポンプ2のポンプ目標流量QTgtPmpを算出し、ポンプ目標流量QTgtPmpに応じた指令信号(ポンプ流量制御指令信号)を電磁弁93aへ出力する。電磁弁93aは、ポンプ流量制御指令信号に応じた指令圧を生成し、第2油圧ポンプ2の吐出流量を駆動する。
【0097】
「第2ブーム方向制御弁」
コントローラ94は、ブーム操作レバー95aの入力量を基に算出されるブーム目標流量QTgtBmと、圧力センサ85によって検出されるポンプ圧PPmp2と、圧力センサ86(87)によって検出されるブームメータイン圧PMIBmとを基に目標メータイン開口面積ATgtMIBmを算出し、目標メータイン開口面積ATgtMIBmに応じた指令信号(ブーム方向制御弁制御指令信号)を電磁弁93b(93c)へ出力する。電磁弁93b(93c)は、ブーム方向制御弁制御指令信号に応じた指令圧を生成し、第2ブーム方向制御弁10のメータイン開口面積を制御する。
【0098】
「第1アーム方向制御弁」
コントローラ94は、アーム操作レバー95bの入力量を基に算出されるアーム目標流量QTgtAmと、圧力センサ85によって検出されるポンプ圧PPmp2と、圧力センサ88(89)によって検出されるアームメータイン圧PMIAmとを基に目標メータイン開口面積ATgtMIAmを算出し、目標メータイン開口面積ATgtMIAmに応じた指令信号(アーム方向制御弁制御指令信号)を電磁弁93d(93e)へ出力する。電磁弁93d(93e)は、アーム方向制御弁制御指令信号に応じた指令圧を生成し、第1アーム方向制御弁11のメータイン開口面積を制御する。
【0099】
「アーム再生制御弁」
コントローラ94は、アーム操作レバー95bの入力量、車体の重力トルクTGravityおよび慣性トルクTInertiaから算出される目標トルクTTgtAmと、圧力センサ88,89によって検出されるアームメータイン圧PMIAmおよびアームメータアウト圧PMOAmとを基にアーム再生制御弁34の目標開口面積ATgtMOAmを算出し、目標開口面積ATgtMOAmに応じた指令信号(アーム再生制御弁制御指令信号)を電磁弁93gへ出力する。電磁弁93gは、アーム再生制御弁制御指令信号に応じた指令圧を生成し、アーム再生制御弁34の開口面積を制御する。
【0100】
「ブリードオフ弁」
コントローラ94は、ブーム操作レバー95aおよびアーム操作レバー95bの入力量を基にブリードオフ弁36の目標開口面積ATgtBOを算出し、目標開口面積ATgtBOに応じた指令信号(ブリードオフ弁制御指令信号)を電磁弁93fへ出力する。電磁弁93fは、ブリードオフ弁制御指令信号に応じた指令圧を生成し、ブリードオフ弁36の開口面積を制御する。
【0101】
(まとめ)
本実施形態では、車体202と、車体202に取り付けられた作業装置203と、作動油タンク5と、作動油タンク5から作動油を吸い込んで吐出する可変容量型の油圧ポンプ2と、油圧ポンプ2の容量を制御するレギュレータ2aと、作業装置203を駆動する複数のアクチュエータ204a,205aと、油圧ポンプ2から複数のアクチュエータ204a,205aに供給される圧油の流れを制御する複数の方向制御弁10,11と、複数のアクチュエータ204a,205aの動作を指示する操作装置95a,95bと、複数の方向制御弁10,11のうち特定の方向制御弁11を作動油タンク5に接続するメータアウト流路75と特定の方向制御弁11を油圧ポンプに接続するメータイン流路54とを接続する再生流路76と、再生流路76に設けられ、複数のアクチュエータ204a,205aのうち特定の方向制御弁11に対応する特定のアクチュエータ205aの戻り油をメータアウト流路75からメータイン流路54へ合流させる再生弁33と、メータアウト流路75のうち再生流路76との分岐点よりも下流に設けられ、特定のアクチュエータ205aから作動油タンク5に戻される流量を調整することにより再生弁33の通過流量を制御する再生制御弁34と、操作装置95a,95bの入力量に応じてレギュレータ2a、複数の方向制御弁10,11、および再生制御弁34を制御するコントローラ94とを備えた作業機械901において、油圧ポンプ2の吐出圧であるポンプ圧を検出する第1圧力センサ85と、複数のアクチュエータ204a,205aのメータイン圧PMIBm,PMIAmおよびメータアウト圧PMOBm,PMOAmを検出する第2圧力センサ86~89と、車体202および作業装置203の姿勢および動作状態を検出する姿勢センサ212~216とを備え、複数の方向制御弁10,11は、それぞれ、同一弁体および同一ハウジングにより、弁変位に対してメータイン開口面積がメータアウト開口面積よりも小さくなるように形成され、コントローラ94は、操作装置95a,95bの入力量を基に、油圧ポンプ2から複数のアクチュエータ204a,205aに供給される圧油の流量の目標値であるアクチュエータ目標流量QTgtBm,QTgtAmを算出し、再生弁33の開口面積と特定のアクチュエータ205aのメータイン圧PMIAmおよびメータアウト圧PMOAmとを基に、再生弁33の通過流量の推定値である推定再生流量QEstRegAmを算出し、アクチュエータ目標流量QTgtBm,QTgtAmと推定再生流量QEstRegAmとを基に、油圧ポンプ2の吐出流量の目標値であるポンプ目標流量QTgtPmpを算出し、アクチュエータ目標流量QTgtBm,QTgtAmとポンプ圧PPmp2とメータイン圧PMIBm,PMIAmとを基に、複数の方向制御弁10,11のメータイン開口面積の目標値である目標メータイン開口面積ATgtMIBm,ATgtMIAmを算出し、操作装置95bの入力量と姿勢センサ212~216の出力値とを基に、特定のアクチュエータ205aの推力の目標値である目標推力FTgtAmを算出し、目標推力FTgtAmと特定のアクチュエータ205aのメータイン圧PMIAmとを基に、特定のアクチュエータ205aのメータアウト圧PMOAmの目標値である目標メータアウト圧PMOTgtAmを算出し、目標メータアウト圧PMOTgtAmと特定のアクチュエータ205aのメータアウト圧PMOAmとを基に、再生制御弁34の開口面積の目標値である再生制御弁目標開口面積ATgtMOAmを算出し、ポンプ目標流量QTgtPmpに応じてレギュレータ2aを制御し、目標メータイン開口面積ATgtMIBm,ATgtMIAmに応じて複数の方向制御弁10,11を制御し、再生制御弁目標開口面積ATgtMOAmに応じて再生制御弁34を制御する。
【0102】
以上のように構成された本実施形態によれば、アームシリンダ205a(戻り油を再生する特定のアクチュエータ)とブームシリンダ204a(その他のアクチュエータ)とを同時に駆動する複合操作時に、各方向制御弁10,11の前後差圧に応じて各メータイン開口を調整することにより、目標通りの流量を各アクチュエータ204a,205aとに供給することができる。また、アーム方向制御弁11のメータアウト開口を調整して目標通りの推力をアームシリンダ205aに入力することにより、非駆動部材(アーム205)の慣性による行き過ぎなどを防止することができる。そして、各方向制御弁10,11は、メータイン開口面積およびメータアウト開口面積が同一弁体および同一ハウジングにより形成される簡素な構成であるため、コストを抑制することができる。これにより、戻り油を再生する特定のアクチュエータ205aとその他のアクチュエータ204aとを同時に駆動する複合操作時に、各アクチュエータ204a,205aの速度制御と特定のアクチュエータ205aの推力制御とを簡素な構成で行うことが可能となる。
【0103】
また、本実施形態における作業機械901は、油圧ポンプ3から吐出された作動油を作動油タンク5へ排出するブリードオフ弁36を備え、コントローラ94は、操作装置95a,95bの入力量を基に、ブリードオフ弁36の開口面積の目標値であるブリードオフ弁目標開口面積ATgtBOを算出し、ブリードオフ弁目標開口面積ATgtBOとポンプ圧PPmp2とを基に、ブリードオフ弁36の通過流量の推定値である推定ブリードオフ流量QEstBOを算出し、アクチュエータ目標流量QTgtBm,QTgtAmと推定再生流量QEstRegAmと推定ブリードオフ流量QEstBOとを基にポンプ目標流量QTgtPmpを算出する。これにより、アクチュエータ204a,205aの操作開始時に、油圧ポンプ3の吐出油の余剰分が作動油タンク5へ排出されるため、アクチュエータ204a,205aの飛び出しを防ぐことが可能となる。
【0104】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0105】
1…第1油圧ポンプ、1a…流量制御指令圧ポート(レギュレータ)、2…第2油圧ポンプ、2a…流量制御指令圧ポート(レギュレータ)、3…第3油圧ポンプ、3a…流量制御指令圧ポート(レギュレータ)、5…作動油タンク、6…走行右方向制御弁、7…バケット方向制御弁、8…第2アーム方向制御弁、9…第1ブーム方向制御弁、10…第2ブーム方向制御弁、10a,10b…パイロットポート、11…第1アーム方向制御弁、11a,11b…パイロットポート、12…第1アタッチメント方向制御弁、13…走行左方向制御弁、14…旋回方向制御弁、15…第3ブーム方向制御弁、16…第2アタッチメント方向制御弁、17…合流弁、18~20…メインリリーフ弁、21~32…チェック弁、33…アーム再生弁、34…アーム再生制御弁、34a…指令圧ポート、35~37…ブリードオフ弁、36a…指令圧ポート、40…ポンプライン、41~48…メータイン流路、50…ポンプライン、51~58…メータイン流路、60…ポンプライン、61~66…メータイン流路、71~74…流路、75…メータアウト流路、76…アーム再生流路、80,81…流路、85…第1圧力センサ、86,87…第2圧力センサ、88,89…第2圧力センサ、91…パイロットポンプ、92…パイロットリリーフ弁、93…電磁弁ユニット、93a~93g…電磁弁、94…コントローラ、94a…ブーム目標流量演算部、94b…アーム目標流量演算部、94c…アーム推定再生流量演算部、94d…アーム修正目標流量演算部、94e…ブリードオフ弁目標開口演算部、94f…推定ブリードオフ流量演算部、94g…ポンプ目標流量演算部、94h…ポンプ制御指令出力部、94i…圧力状態判定部、94j…ブーム方向制御弁目標メータイン開口演算部、94k…ブーム方向制御弁制御指令出力部、94l…アーム方向制御弁目標メータイン開口演算部、94m…アーム方向制御弁制御指令出力部、94n…要求トルク演算部、94o…重力トルク演算部、94p…慣性トルク演算部、94q…目標トルク演算部、94r…目標推力演算部、94s…アーム目標メータアウト圧演算部、94t…アーム再生制御弁目標開口演算部、94u…アーム再生制御弁制御指令出力部、94v…ブリードオフ弁制御指令出力部、95a…ブーム操作レバー(操作装置)、95b…アーム操作レバー(操作装置)、201…走行体、202…旋回体(車体)、203…作業装置、204…ブーム、204a…ブームシリンダ(アクチュエータ)、205…アーム、205a…アームシリンダ(アクチュエータ)、206…バケット、206a…バケットシリンダ(アクチュエータ)、207…運転室、208…機械室、209…カウンタウエイト、210…コントロールバルブ、211…旋回モータ、212~216…慣性計測装置(姿勢センサ)、901…油圧ショベル(作業機械)、902…油圧駆動装置。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10