(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】光学デバイス
(51)【国際特許分類】
G02B 26/08 20060101AFI20241127BHJP
G02B 26/10 20060101ALI20241127BHJP
G01J 3/45 20060101ALN20241127BHJP
【FI】
G02B26/08 E
G02B26/10 104Z
G01J3/45
(21)【出願番号】P 2024017078
(22)【出願日】2024-02-07
(62)【分割の表示】P 2022177023の分割
【原出願日】2018-08-02
【審査請求日】2024-03-04
(31)【優先権主張番号】P 2017220237
(32)【優先日】2017-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100177910
【氏名又は名称】木津 正晴
(72)【発明者】
【氏名】杉本 達哉
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智史
(72)【発明者】
【氏名】港谷 恭輔
(72)【発明者】
【氏名】蔵本 豊
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大幾
【審査官】堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-325578(JP,A)
【文献】国際公開第2014/122781(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0327946(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0052363(US,A1)
【文献】特開2016-212221(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102005023685(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 26/08 - 26/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、
可動部と、
第1軸線上における前記可動部の両側に配置され、前記可動部が前記基部に対して前記第1軸線周りに揺動可能となるように前記可動部を支持する一対の第1トーションバーと、を備え、
前記可動部の一方の表面には光学機能部が設けられており、前記可動部の他方の表面には梁部が設けられており、
前記梁部は、前記第1軸線に垂直な所定方向から見た場合に前記可動部の中心側から前記可動部の外縁側に向かってそれぞれ延在する第1延在部、第2延在部、第3延在部、第4延在部、第5延在部、第6延在部、第7延在部及び第8延在部の8つの延在部を含み、
前記第1軸線に平行な方向を第1軸線方向とし、前記所定方向から見た場合における可動部の中心を通り前記第1軸線及び前記所定方向に垂直な軸線を第2軸線とし、前記第2軸線に平行な方向を第2軸線方向とすると、
前記第1延在部及び前記第2延在部は、前記第1軸線を間に挟むように前記可動部の前記中心側から前記第1軸線方向の一方側に向かって延在しており、
前記第3延在部及び前記第4延在部は、前記第1軸線を間に挟むように前記可動部の前記中心側から前記第1軸線方向の他方側に向かって延在しており、
前記第5延在部及び前記第6延在部は、前記第2軸線を間に挟むように前記可動部の前記中心側から前記第2軸線方向の一方側に向かって延在しており、
前記第7延在部及び前記第8延在部は、前記第2軸線を間に挟むように前記可動部の前記中心側から前記第2軸線方向の他方側に向かって延在しており、
前記第1延在部、前記第2延在部、前記第3延在部、前記第4延在部、前記第5延在部、前記第6延在部、前記第7延在部及び前記第8延在部が延在する方向をそれぞれ第1延在方向、第2延在方向、第3延在方向、第4延在方向、第5延在方向、第6延在方向、第7延在方向及び第8延在方向とし、前記第1延在方向と前記第2延在方向との間の角度を第1角度、前記第3延在方向と前記第4延在方向との間の角度を第2角度、前記第5延在方向と前記第6延在方向との間の角度を第3角度、前記第7延在方向と前記第8延在方向との間の角度を第4角度とすると、前記第1角度及び前記第2角度の各々は、前記第3角度及び前記第4角度の各々よりも大きい、光学デバイス。
【請求項2】
前記8つの延在部は、前記可動部の前記中心側において互いに接続されている、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項3】
前記梁部は、前記可動部の前記中心に配置された中央部を更に有し、
前記8つの延在部は、前記中央部から延在している、請求項2に記載の光学デバイス。
【請求項4】
前記8つの延在部は、前記可動部の前記中心側から前記可動部の外縁側に向かって真っ直ぐに延在している、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項5】
前記第1角度は前記第2角度と同一であり、前記第3角度は前記第4角度と同一である、請求項1~4のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項6】
前記第1延在部における前記可動部の外縁側の先端部と前記第2延在部における前記可動部の外縁側の先端部とは互いに接続されておらず、前記第3延在部における前記可動部の外縁側の先端部と前記第4延在部における前記可動部の外縁側の先端部とは互いに接続されていない、請求項1~5のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項7】
前記第5延在部における前記可動部の外縁側の先端部と前記第6延在部における前記可動部の外縁側の先端部とは互いに接続されておらず、前記第7延在部における前記可動部の外縁側の先端部と前記第8延在部における前記可動部の外縁側の先端部とは互いに接続されていない、請求項1~6のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項8】
前記可動部は、前記光学機能部及び前記梁部が設けられた本体部と、前記所定方向から見た場合に前記本体部を囲むように環状に形成された環状部と、前記本体部と前記環状部とを互いに接続する接続部と、を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項9】
前記可動部及び前記基部を支持するベースと、前記第2軸線上における前記基部の両側に配置され、前記基部が前記ベースに対して前記第2軸線周りに揺動可能となるように前記基部を支持する一対の第2トーションバーを更に備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項10】
前記基部、前記可動部及び前記一対の第1トーションバーは、第1半導体層及び第2半導体層を有する半導体基板によって構成されており、
前記可動部は、前記第2半導体によって構成されており、
前記梁部は、前記第1半導体層によって構成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の光学デバイス。
【請求項11】
前記半導体基板は、前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に配置された絶縁層を更に有し、
前記梁部は、前記第1半導体層及び前記絶縁層によって構成されている、請求項10に記載の光学デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光学デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
SOI(Silicon On Insulator)基板によって構成されたMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイスとして、ベースと、可動部と、ベースと可動部との間に接続された弾性支持部と、可動部上に配置された光学機能部と、を備える光学デバイスが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開2008/0284078号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような光学デバイスでは、可動部又は弾性支持部の移動中の変形を抑制するために、可動部又は弾性支持部に梁部を設けることが考えられる。そのような光学デバイスには、可動部の制御性の観点等から、梁部を精度良く形成することが求められる。
【0005】
本開示の一側面は、梁部を精度良く形成することができる光学デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る光学デバイスの製造方法は、ベースと、可動部と、ベースと可動部との間に接続された弾性支持部と、可動部上に配置された光学機能部と、を備え、ベース、可動部及び弾性支持部は、第1半導体層、第2半導体層、及び第1半導体層と第2半導体層との間に配置された絶縁層を有する半導体基板によって構成されており、ベースは、第1半導体層、第2半導体層及び絶縁層によって構成されており、可動部及び弾性支持部の少なくとも一方は、少なくとも前記第1半導体層によって構成されて第2半導体層上に配置された梁部を有し、梁部を構成する第1半導体層は、ベースを構成する第1半導体層よりも薄い、光学デバイスの製造方法であって、ベース、可動部及び弾性支持部に対応する部分を有する半導体基板を用意する第1ステップと、第1ステップの後に、第1半導体層における絶縁層とは反対側の表面のうち、ベースに対応する領域に、第1レジスト層を形成する第2ステップと、第2ステップの後に、第1レジスト層をマスクとして用いて第1半導体層を厚さ方向における中間部までエッチングすることにより、第1半導体層に凹部を形成する第3ステップと、第3ステップの後に、凹部の底面のうち梁部に対応する領域、凹部の側面、及び、第1半導体層における絶縁層とは反対側の表面に、第2レジスト層を形成する第4ステップと、第4ステップの後に、第2レジスト層をマスクとして用いて第1半導体層を絶縁層に至るまでエッチングすることにより、梁部を形成する第5ステップと、を備える。
【0007】
この光学デバイスの製造方法によって得られる光学デバイスでは、梁部を構成する第1半導体層が、ベースを構成する第1半導体層よりも薄い。これにより、梁部によって可動部及び/又は弾性支持部の変形を抑制しながらも、梁部がベースから突出するのを抑制して梁部の保護を図ることができる。一方、一般的な製造方法では、このような梁部を精度良く形成することは難しい。これに対し、この光学デバイスの製造方法では、第1レジスト層及び第2レジスト層をマスクとして用いた2段階のエッチングにより、梁部が形成される。そのため、梁部を精度良く形成することができる。
【0008】
第1ステップでは、第1半導体層が第2半導体層よりも厚い半導体基板を用意してもよい。この場合、得られる光学デバイスにおいて梁部の厚さを確保することができ、可動部及び/又は弾性支持部の変形をより好適に抑制することができる。
【0009】
本開示の一側面に係る光学デバイスの製造方法は、第5ステップの後に、第2半導体層における絶縁層側の表面上に光学機能部を形成する第6ステップを更に備えてもよい。この場合、ベース及び梁部によって光学機能部を保護することができ、例えば、運搬時等における直接的な接触によって光学機能部が損傷するのを抑制することができる。
【0010】
梁部は、互いに幅が異なる複数の部分を含んでいてもよい。本開示の光学デバイスの製造方法では、梁部が互いに幅が異なる複数の部分を含んでいる場合でも、梁部を精度良く形成することができる。
【0011】
弾性支持部は、ベースの主面と交差する方向に沿って可動部が移動可能となるように、可動部を支持していてもよい。本開示の光学デバイスの製造方法では、このような光学デバイスを製造する場合において、梁部を精度良く形成することができる。
【0012】
弾性支持部は、可動部が所定の軸線周りに揺動可能となるように、可動部を支持していてもよい。本開示の光学デバイスの製造方法では、このような光学デバイスを製造する場合において、梁部を精度良く形成することができる。
【0013】
上記光学デバイスは、ベースに設けられ、複数の固定櫛歯を有する固定櫛歯電極と、可動部及び弾性支持部の少なくとも一方に設けられ、複数の固定櫛歯と互い違いに配置された複数の可動櫛歯を有する可動櫛歯電極と、を更に備えてもよい。本開示の光学デバイスの製造方法では、このような光学デバイスを製造する場合において、梁部を精度良く形成することができる。
【0014】
上記光学デバイスは、可動部に設けられたコイル又は圧電素子を更に備えてもよい。本開示の光学デバイスの製造方法では、このような光学デバイスを製造する場合において、梁部を精度良く形成することができる。
【0015】
梁部は、第1半導体層及び絶縁層によって構成されていてもよい。本開示の光学デバイスの製造方法では、このような光学デバイスを製造する場合において、梁部を精度良く形成することができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示の一側面によれば、梁部を精度良く形成することができる光学デバイスの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、第1実施形態の光モジュールの断面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示されるミラーユニットの平面図である。
【
図3】
図3は、
図2に示されるIII-III線に沿ってのミラーユニットの断面図である。
【
図4】
図4は、
図2に示されるIV-IV線に沿ってのミラーユニットの断面図である。
【
図5】
図5は、
図2に示されるV-V線に沿ってのミラーデバイスの模式的な断面図である。
【
図6】
図6は、
図2に示されるミラーデバイスの部分拡大図である。
【
図8】
図8は、
図1に示されるVIII-VIII線に沿っての光モジュールの断面図である。
【
図9】
図9は、
図1に示されるIX-IX線に沿っての光モジュールの断面図である。
【
図10】
図10は、
図1に示されるミラーユニット及びビームスプリッタユニットの模式的な断面図である。
【
図11】
図11は、
図2に示されるXI-XI線に沿ってのミラーデバイスの模式的な断面図である。
【
図12】
図12は、第1実施形態のミラーデバイスの模式的な断面図である。
【
図13】
図13(a)及び
図13(b)は、第1実施形態に係るミラーデバイスの製造方法を説明するための図である。
【
図14】
図14(a)及び
図14(b)は、第1実施形態に係るミラーデバイスの製造方法を説明するための図である。
【
図15】
図15(a)及び
図15(b)は、第1実施形態に係るミラーデバイスの製造方法を説明するための図である。
【
図16】
図16(a)及び
図16(b)は、比較例に係るミラーデバイスの製造方法を説明するための図である。
【
図17】
図17(a)及び
図17(b)は、比較例に係るミラーデバイスの製造方法を説明するための図である。
【
図18】
図18は、比較例に係るミラーデバイスの製造方法を説明するための図である。
【
図19】
図19(a)及び
図19(b)は、第1実施形態に係るミラーデバイスの製造方法の作用効果を説明するための図である。
【
図20】
図20(a)及び
図20(b)は、第1実施形態に係るミラーデバイスの製造方法の作用効果を説明するための図である。
【
図21】
図21(a)及び
図21(b)は、第1実施形態に係るミラーデバイスの製造方法の作用効果を説明するための図である。
【
図22】
図22は、第2実施形態の光学デバイスの平面図である。
【
図24】
図24は、
図22に示されるXXIV-XXIV線に沿っての光学デバイスの断面図である。
【
図25】
図25は、
図22に示されるXXV-XXV線に沿っての光学デバイスの断面図である。
【
図26】
図26は、第3実施形態の光学デバイスの平面図である。
【
図28】
図28は、
図26に示されるXXVIII-XXVIII線に沿っての光学デバイスの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する部分を省略する。
[第1実施形態]
[光モジュールの構成]
【0019】
図1に示されるように、光モジュール1は、ミラーユニット2と、ビームスプリッタユニット3と、光入射部4と、第1光検出器6と、第2光源7と、第2光検出器8と、支持体9と、第1支持構造11と、第2支持構造12と、を備えている。ミラーユニット2は、Z軸方向(第1方向)における支持体9の一方の側に配置されており、例えば接着剤によって、支持体9に取り付けられている。支持体9は、例えば銅タングステンによって形成されており、例えば矩形板状を呈している。ミラーユニット2は、Z軸方向に沿って移動する可動ミラー22と、位置が固定された固定ミラー16と、を含んでいる(詳細については後述する)。なお、Z軸方向は、例えば鉛直方向であり、Z軸方向における一方の側は、例えば上側である。
【0020】
ビームスプリッタユニット3は、Z軸方向におけるミラーユニット2の一方の側に配置されており、第1支持構造11によって支持されている。第1支持構造11は、例えば接着剤によって、支持体9に取り付けられている。光入射部4は、X軸方向(第1方向に垂直な第3方向)におけるビームスプリッタユニット3の一方の側に配置されており、第2支持構造12によって支持されている。第1光検出器6、第2光源7及び第2光検出器8は、Z軸方向におけるビームスプリッタユニット3の一方の側に配置されており、第2支持構造12によって支持されている。第2支持構造12は、例えばボルトによって、支持体9に取り付けられている。
【0021】
光モジュール1では、ビームスプリッタユニット3、可動ミラー22及び固定ミラー16によって、測定光L0及びレーザ光L10のそれぞれについて干渉光学系が構成される。測定光L0及びレーザ光L10のそれぞれについて構成される干渉光学系は、例えばマイケルソン干渉光学系である。
【0022】
測定光L0については、次のように、測定光の干渉光L1が検出される。すなわち、第1光源(図示省略)から測定対象(図示省略)を介して入射した測定光L0又は測定対象から発せられた測定光L0(例えば、測定対象自体の発光等)が、光入射部4からビームスプリッタユニット3に入射すると、当該測定光L0は、ビームスプリッタユニット3において一部及び残部に分割される。そして、測定光L0の一部は、Z軸方向に沿って往復移動する可動ミラー22で反射されてビームスプリッタユニット3に戻る。一方、測定光L0の残部は、固定ミラー16で反射されてビームスプリッタユニット3に戻る。ビームスプリッタユニット3に戻った測定光L0の一部及び残部は、干渉光L1としてビームスプリッタユニット3から出射され、当該測定光の干渉光L1が第1光検出器6によって検出される。
【0023】
レーザ光L10については、次のように、レーザ光の干渉光L11が検出される。すなわち、第2光源7から出射されたレーザ光L10がビームスプリッタユニット3に入射すると、当該レーザ光L10は、ビームスプリッタユニット3において一部及び残部に分割される。そして、レーザ光L10の一部は、Z軸方向に沿って往復移動する可動ミラー22で反射されてビームスプリッタユニット3に戻る。一方、レーザ光L10の残部は、固定ミラー16で反射されてビームスプリッタユニット3に戻る。ビームスプリッタユニット3に戻ったレーザ光L10の一部及び残部は、干渉光L11としてビームスプリッタユニット3から出射され、当該レーザ光の干渉光L11が第2光検出器8によって検出される。
【0024】
光モジュール1によれば、レーザ光の干渉光L11の検出結果に基づいて、Z軸方向における可動ミラー22の位置の計測が可能となり、その位置の計測結果、及び測定光の干渉光L1の検出結果に基づいて、測定対象についての分光分析が可能となる。
[ミラーユニットの構成]
【0025】
図2、
図3及び
図4に示されるように、ミラーユニット2は、ミラーデバイス(光学デバイス)20と、光学機能部材13と、固定ミラー16と、応力緩和基板17と、を有している。ミラーデバイス20は、ベース21と、可動ミラー22と、駆動部23と、を含んでいる。
【0026】
ベース21は、第1表面21a(Z軸方向における一方の側の表面)、及び第1表面21aとは反対側の第2表面21bを有している。第1表面21a及び第2表面21bの各々は、ベース21の主面である。ベース21は、例えば矩形板状を呈しており、例えば10mm×15mm×0.35mm(厚さ)程度のサイズを有している。可動ミラー22は、ミラー面(光学機能部)22aと、ミラー面22aが配置された可動部22bと、を有している。可動ミラー22(可動部22b)は、第1表面21aに垂直なZ軸方向(第1表面に垂直な第1方向)に沿って移動可能となるようにベース21において支持されている。駆動部23は、Z軸方向に沿って可動ミラー22を移動させる。
【0027】
ミラーデバイス20には、一対の光通過開口24,25が設けられている。一対の光通過開口24,25は、X軸方向における可動ミラー22の両側に配置されている。光通過開口(第1光通過部)24は、ビームスプリッタユニット3と固定ミラー16との間の光路の第1部分を構成している。なお、本実施形態では、光通過開口25は、光通過開口として機能していない。
【0028】
ここで、ミラーデバイス20の構成について、
図2、
図5及び
図6を参照して詳細に説明する。なお、
図5は、
図3に示されるミラーデバイス20の模式的な断面図であり、
図5には、例えば、Z軸方向における寸法が実際よりも拡大された状態でミラーデバイス20が模式的に示されている。
【0029】
ベース21、可動ミラー22の可動部22b、及び駆動部23は、SOI(Silicon On Insulator)基板(半導体基板)100によって構成されている。つまり、ミラーデバイス20は、SOI基板100によって構成されている。ミラーデバイス20は、例えば、矩形板状に形成されている。SOI基板100は、支持層101、デバイス層102及び中間層103を有している。支持層101は、第1シリコン層(第1半導体層)である。デバイス層102は、第2シリコン層(第2半導体層)である。中間層103は、支持層101とデバイス層102との間に配置された絶縁層である。SOI基板100は、支持層101、中間層103及びデバイス層102を、Z軸方向における一方の側からこの順に有している。
【0030】
ベース21は、支持層101、デバイス層102及び中間層103の一部によって構成されている。ベース21の第1表面21aは、支持層101における中間層103とは反対側の表面である。ベース21の第2表面21bは、デバイス層102における中間層103とは反対側の表面である。ベース21を構成する支持層101は、ベース21を構成するデバイス層102よりも厚い。ベース21を構成する支持層101の厚さは、例えば、ベース21を構成するデバイス層102の厚さの4倍程度である。ミラーユニット2では、後述するように、ベース21の第2表面21bと光学機能部材13の第3表面13aとが互いに接合されている(
図3及び
図4参照)。
【0031】
可動ミラー22は、軸線R1と軸線R2との交点を中心位置(重心位置)として配置されている。軸線R1は、X軸方向に延在する直線である。軸線R2は、Y軸方向(第1方向及び第3方向に垂直な第2方向)に延在する直線である。Z軸方向から見た場合に、ミラーデバイス20のうち、後述するベース21の第6表面21dと重なる部分以外の部分は、軸線R1及び軸線R2の各々に関して線対称な形状を呈している。
【0032】
可動ミラー22(可動部22b)は、配置部221、枠部222、一対の連結部223、及び梁部224を有している。配置部221、枠部222及び一対の連結部223は、デバイス層102の一部によって構成されている。配置部221は、Z軸方向から見た場合に円形状を呈している。配置部221は、中央部221a及び外縁部221bを有している。中央部221aにおけるZ軸方向の一方の側の表面221as上には、例えば、金属膜(金属層)が形成されることで、ミラー面22aが設けられている。ミラー面22aは、Z軸方向に垂直に延在し、円形状を呈している。中央部221aの表面221asは、デバイス層102における中間層103側の表面である。ミラー面22aは、ベース21の第1表面21aよりもZ軸方向における他方の側に位置している。換言すれば、第1表面21aは、ミラー面22aよりもZ軸方向における一方の側に位置している。外縁部221bは、Z軸方向から見た場合に中央部221aを囲んでいる。
【0033】
枠部222は、Z軸方向から見た場合に、配置部221から所定の間隔を空けて配置部221を囲むように、環状に延在している。枠部222は、例えば、Z軸方向から見た場合に円環状を呈している。一対の連結部223の各々は、配置部221と枠部222とを互いに連結している。一対の連結部223は、Y軸方向における配置部221の両側に配置されている。
【0034】
梁部224は、デバイス層102上に配置された支持層101及び中間層103によって構成されている。梁部224は、ミラー面22aの周辺に配置されている。梁部224は、内側梁部224a、外側梁部224b及び一対の連結梁部224cを有している。内側梁部224aは、外縁部221bにおけるZ軸方向の一方の側の表面上に配置されている。内側梁部224aは、Z軸方向から見た場合にミラー面22aを囲んでいる。例えば、内側梁部224aの外縁は、Z軸方向から見た場合に、配置部221の外縁から所定の間隔を空けて、配置部221の外縁に沿って延在している。内側梁部224aの内縁は、Z軸方向から見た場合に、ミラー面22aの外縁から所定の間隔を空けて、ミラー面22aの外縁に沿って延在している。内側梁部224aにおけるZ軸方向の一方の側の端面224asは、ミラー面22aよりもZ軸方向における一方の側に位置している。
【0035】
外側梁部224bは、枠部222におけるZ軸方向の一方の側の表面上に配置されている。外側梁部224bは、Z軸方向から見た場合に内側梁部224aを囲んでおり、ひいてはミラー面22aを囲んでいる。例えば、外側梁部224bの外縁は、Z軸方向から見た場合に、枠部222の外縁から所定の間隔を空けて、枠部222の外縁に沿って延在している。外側梁部224bの内縁は、Z軸方向から見た場合に、枠部222の内縁から所定の間隔を空けて、枠部222の内縁に沿って延在している。外側梁部224bにおけるZ軸方向の一方の側の端面224bsは、ミラー面22aよりもZ軸方向における一方の側に位置している。
【0036】
一対の連結梁部224cは、一対の連結部223におけるZ軸方向の一方の側の表面上にそれぞれ配置されている。各連結梁部224cは、内側梁部224aと外側梁部224bとを互いに連結している。連結梁部224cにおけるZ軸方向における一方の側の端面224csは、ミラー面22aよりもZ軸方向における一方の側に位置している。
【0037】
Z軸方向における内側梁部224a、外側梁部224b及び各連結梁部224cの厚さは、互いに等しい。つまり、内側梁部224a、外側梁部224b及び各連結梁部224cを構成する支持層101の厚さは、互いに等しい。内側梁部224aの端面224as、外側梁部224bの端面224bs、及び各連結梁部224cの端面224csは、Z軸方向に垂直な同一の平面上に位置している。内側梁部224a、外側梁部224b及び各連結梁部224cを構成する支持層101は、ベース21を構成する支持層101よりも薄い。これにより、端面224as,224bs,224csは、ベース21の第1表面21aよりもZ軸方向における他方の側に位置している。換言すれば、第1表面21aは、端面224as,224bs,224csよりもZ軸方向の一方の側に位置している。
【0038】
Z軸方向から見た場合に、外側梁部224bの幅は、内側梁部224aの幅よりも広い。Z軸方向から見た場合における内側梁部224aの幅とは、内側梁部224aの延在方向に垂直な方向における内側梁部224aの長さであり、本実施形態では、内側梁部224aの半径方向における内側梁部224aの長さである。この点は、Z軸方向から見た場合における外側梁部224bの幅についても同様である。各連結梁部224cの幅は、内側梁部224a及び外側梁部224bのそれぞれの幅よりも大きい。各連結梁部224cの幅とは、内側梁部224aの延在方向に沿っての各連結梁部224cの長さである。
【0039】
駆動部23は、第1弾性支持部26、第2弾性支持部27及びアクチュエータ部28を有している。第1弾性支持部26、第2弾性支持部27及びアクチュエータ部28は、デバイス層102の一部によって構成されている。
【0040】
第1弾性支持部26及び第2弾性支持部27の各々は、ベース21と可動ミラー22との間に接続されている。第1弾性支持部26及び第2弾性支持部27は、可動ミラー22(可動部22b)がZ軸方向に沿って移動可能となるように可動ミラー22を支持している。
【0041】
第1弾性支持部26は、一対のレバー261、第1リンク部材262、第2リンク部材263、一対の梁部材264、中間部材265、一対の第1トーションバー(第1捩り支持部)266、一対の第2トーションバー(第2捩り支持部)267、一対の非線形性緩和バネ268、及び複数の電極支持部269を有している。
【0042】
一対のレバー261は、Y軸方向における光通過開口24の両側に配置され、Y軸方向において互いに向かい合っている。各レバー261は、Z軸方向に垂直な平面に沿って延在する板状を呈している。各レバー261は、第1部分261aと、第1部分261aに対して可動ミラー22とは反対側に配置された第2部分261bと、第1部分261a及び第2部分261bに接続された第3部分261cと、を有している。第1部分261a及び第2部分261bは、X軸方向に沿って延在している。X軸方向における第1部分261aの長さは、X軸方向における第2部分261bの長さよりも短い。一対のレバー261の第3部分261cは、可動ミラー22から遠ざかるほど互いに離れるように傾斜して延在している。
【0043】
第1リンク部材262は、一対のレバー261における可動ミラー22とは反対側の第1端部261d間に掛け渡されている。第1リンク部材262は、Z軸方向に垂直な平面に沿って延在する板状を呈し、Y軸方向に沿って延在している。第2リンク部材263は、一対のレバー261における可動ミラー22側の第2端部261e間に掛け渡されている。第2リンク部材263は、Z軸方向に垂直な平面に沿って延在する板状を呈し、Y軸方向に沿って延在している。X軸方向における第2リンク部材263の幅は、X軸方向における第1リンク部材262の幅よりも狭い。Y軸方向における第2リンク部材263の長さは、Y軸方向における第1リンク部材262の長さよりも短い。
【0044】
一対の梁部材264は、一対のレバー261の第2部分261bと、第1リンク部材262との間にそれぞれ掛け渡されている。各梁部材264は、Z軸方向に垂直な平面に沿って延在する板状を呈している。一対の梁部材264は、可動ミラー22から遠ざかるほど互いに近付くように傾斜して延在している。一対のレバー261、第1リンク部材262、第2リンク部材263及び一対の梁部材264は、光通過開口24を画定している。光通過開口24は、Z軸方向から見た場合に多角形状を呈している。光通過開口24は、例えば空洞(孔)である。或いは、光通過開口24内には、測定光L0及びレーザ光L10に対して光透過性を有する材料が配置されてもよい。
【0045】
中間部材265は、Z軸方向に垂直な平面に沿って延在する板状を呈し、Y軸方向に沿って延在している。中間部材265は、可動ミラー22と第2リンク部材263との間(換言すれば、可動ミラー22と光通過開口24との間)に配置されている。中間部材265は、後述するように、非線形性緩和バネ268を介して可動ミラー22に接続されている。
【0046】
一対の第1トーションバー266は、それぞれ、一方のレバー261の第1端部261dとベース21との間、及び、他方のレバー261の第1端部261dとベース21との間に掛け渡されている。つまり、一対の第1トーションバー266は、一対のレバー261とベース21との間にそれぞれ接続されている。各第1トーションバー266は、Y軸方向に沿って延在している。一対の第1トーションバー266は、Y軸方向に平行な同一の中心線上に配置されている。本実施形態では、各第1トーションバー266の中心線と第1リンク部材262の中心線とは、同一の直線上に位置している。各レバー261の第1端部261dには、Y軸方向における外側に突出した突出部261fが設けられており、各第1トーションバー266は、突出部261fに接続されている。
【0047】
一対の第2トーションバー267は、それぞれ、一方のレバー261の第2端部261eと中間部材265の一端との間、及び、他方のレバー261の第2端部261eと中間部材265の他端との間に掛け渡されている。つまり、一対の第2トーションバー267は、一対のレバー261と可動ミラー22との間にそれぞれ接続されている。各第2トーションバー267は、Y軸方向に沿って延在している。一対の第2トーションバー267は、Y軸方向に平行な同一の中心線上に配置されている。
【0048】
一対の非線形性緩和バネ268は、可動ミラー22と中間部材265との間に接続されている。つまり、一対の非線形性緩和バネ268は、可動ミラー22と第2トーションバー267との間に接続されている。各非線形性緩和バネ268は、Z軸方向から見た場合に蛇行して延在する蛇行部268aを有している。蛇行部268aは、Y軸方向に延在し、X軸方向に並ぶ複数の直線状部分268bと、複数の直線状部分268bの両端を交互に連結する複数の折り返し部分268cと、を含んでいる。蛇行部268aの一端は中間部材265に接続され、蛇行部268aの他端は枠部222に接続されている。蛇行部268aにおける枠部222側の部分は、枠部222の外縁に沿った形状を呈している。
【0049】
非線形性緩和バネ268は、可動ミラー22がZ軸方向に移動した状態において、Y軸方向周りにおける非線形性緩和バネ268の変形量がY軸方向周りにおける第1トーションバー266及び第2トーションバー267の各々の変形量よりも小さくなり、且つ、X軸方向における非線形性緩和バネ268の変形量がX軸方向における第1トーションバー266及び第2トーションバー267の各々の変形量よりも大きくなるように、構成されている。これにより、第1トーションバー266及び第2トーションバー267の捩れ変形に非線形性が生じるのを抑制することができ、当該非線形性に起因する可動ミラー22の制御特性の低下を抑制することができる。なお、Y軸方向周りにおける第1トーションバー266、第2トーションバー267及び非線形性緩和バネ268の変形量とは、例えば、捩れ量(捩れ角度)の絶対値を意味する。X軸方向における第1トーションバー266、第2トーションバー267及び非線形性緩和バネ268の変形量とは、例えば、撓み量の絶対値を意味する。Y軸方向周りにおける或る部材の変形量とは、当該部材の中心を通り且つY軸に平行な軸線を中心とする円の周方向における当該部材の変形量を意味する。これらの点は、後述する第1トーションバー276、第2トーションバー277及び非線形性緩和バネ278についても同様である。
【0050】
複数の電極支持部269は、一対の第1電極支持部269a、一対の第2電極支持部269b、及び一対の第3電極支持部269cを含んでいる。各電極支持部269a,269b,269cは、Z軸方向に垂直な平面に沿って延在する板状を呈し、Y軸方向に沿って延在している。各電極支持部269a,269b,269cは、レバー261の第2部分261bから、光通過開口24とは反対側に向かって延びている。一対の第1電極支持部269aは、Y軸方向に平行な同一の中心線上に配置されている。一対の第2電極支持部269bは、Y軸方向に平行な同一の中心線上に配置されている。一対の第3電極支持部269cは、Y軸方向に平行な同一の中心線上に配置されている。X軸方向において、第1電極支持部269a、第2電極支持部269b及び第3電極支持部269cは、可動ミラー22側からこの順に並んで配置されている。
【0051】
第2弾性支持部27は、一対のレバー271、第1リンク部材272、第2リンク部材273、一対の梁部材274、中間部材275、一対の第1トーションバー(第1捩り支持部)276、一対の第2トーションバー(第2捩り支持部)277、一対の非線形性緩和バネ278、及び複数の電極支持部279を有している。
【0052】
一対のレバー271は、Y軸方向における光通過開口25の両側に配置され、Y軸方向において互いに向かい合っている。各レバー271は、Z軸方向に垂直な平面に沿って延在する板状を呈している。各レバー271は、第1部分271aと、第1部分271aに対して可動ミラー22とは反対側に配置された第2部分271bと、第1部分271a及び第2部分271bに接続された第3部分271cと、を有している。第1部分271a及び第2部分271bは、X軸方向に沿って延在している。X軸方向における第1部分271aの長さは、X軸方向における第2部分271bの長さよりも短い。一対のレバー271の第3部分271cは、可動ミラー22から遠ざかるほど互いに離れるように傾斜して延在している。
【0053】
第1リンク部材272は、一対のレバー271における可動ミラー22とは反対側の第1端部271d間に掛け渡されている。第1リンク部材272は、Z軸方向に垂直な平面に沿って延在する板状を呈し、Y軸方向に沿って延在している。第2リンク部材273は、一対のレバー271における可動ミラー22側の第2端部271e間に掛け渡されている。第2リンク部材273は、Z軸方向に垂直な平面に沿って延在する板状を呈し、Y軸方向に沿って延在している。X軸方向における第2リンク部材273の幅は、X軸方向における第1リンク部材272の幅よりも狭い。Y軸方向における第2リンク部材273の長さは、Y軸方向における第1リンク部材272の長さよりも短い。
【0054】
一対の梁部材274は、一対のレバー271の第2部分271bと、第1リンク部材272との間にそれぞれ掛け渡されている。各梁部材274は、Z軸方向に垂直な平面に沿って延在する板状を呈している。一対の梁部材274は、可動ミラー22から遠ざかるほど互いに近付くように傾斜して延在している。一対のレバー271、第1リンク部材272、第2リンク部材273及び一対の梁部材274は、光通過開口25を画定している。光通過開口25は、Z軸方向から見た場合に多角形状を呈している。光通過開口25は、例えば空洞(孔)である。或いは、光通過開口25内には、測定光L0及びレーザ光L10に対して光透過性を有する材料が配置されてもよい。
【0055】
中間部材275は、Z軸方向に垂直な平面に沿って延在する板状を呈し、Y軸方向に沿って延在している。中間部材275は、可動ミラー22と第2リンク部材273との間(換言すれば、可動ミラー22と光通過開口25との間)に配置されている。中間部材275は、後述するように、非線形性緩和バネ278を介して可動ミラー22に接続されている。
【0056】
一対の第1トーションバー276は、それぞれ、一方のレバー271の第1端部271dとベース21との間、及び、他方のレバー271の第1端部271dとベース21との間に掛け渡されている。つまり、一対の第1トーションバー276は、一対のレバー271とベース21との間にそれぞれ接続されている。各第1トーションバー276は、Y軸方向に沿って延在している。一対の第1トーションバー276は、Y軸方向に平行な同一の中心線上に配置されている。本実施形態では、各第1トーションバー276の中心線と第1リンク部材272の中心線とは、同一の直線上に位置している。各レバー271の第1端部271dには、Y軸方向における外側に突出した突出部271fが設けられており、各第1トーションバー276は、突出部271fに接続されている。
【0057】
一対の第2トーションバー277は、それぞれ、一方のレバー271の第2端部271eと中間部材275の一端との間、及び、他方のレバー271の第2端部271eと中間部材275の他端との間に掛け渡されている。つまり、一対の第2トーションバー277は、一対のレバー271と可動ミラー22との間にそれぞれ接続されている。各第2トーションバー277は、Y軸方向に沿って延在している。一対の第2トーションバー277は、Y軸方向に平行な同一の中心線上に配置されている。
【0058】
一対の非線形性緩和バネ278は、可動ミラー22と中間部材275との間に接続されている。つまり、一対の非線形性緩和バネ278は、可動ミラー22と第2トーションバー277との間に接続されている。各非線形性緩和バネ278は、Z軸方向から見た場合に蛇行して延在する蛇行部278aを有している。蛇行部278aは、Y軸方向に延在し、X軸方向に並ぶ複数の直線状部分278bと、複数の直線状部分278bの両端を交互に連結する複数の折り返し部分278cと、を含んでいる。蛇行部278aの一端は中間部材275に接続され、蛇行部278aの他端は枠部222に接続されている。蛇行部278aにおける枠部222側の部分は、枠部222の外縁に沿った形状を呈している。
【0059】
非線形性緩和バネ278は、可動ミラー22がZ軸方向に移動した状態において、Y軸方向周りにおける非線形性緩和バネ278の変形量がY軸方向周りにおける第1トーションバー276及び第2トーションバー277の各々の変形量よりも小さくなり、且つ、X軸方向における非線形性緩和バネ278の変形量がX軸方向における第1トーションバー276及び第2トーションバー277の各々の変形量よりも大きくなるように、構成されている。これにより、第1トーションバー276及び第2トーションバー277の捩れ変形に非線形性が生じるのを抑制することができ、当該非線形性に起因する可動ミラー22の制御特性の低下を抑制することができる。
【0060】
複数の電極支持部279は、一対の第1電極支持部279a、一対の第2電極支持部279b、及び一対の第3電極支持部279cを含んでいる。各電極支持部279a,279b,279cは、Z軸方向に垂直な平面に沿って延在する板状を呈し、Y軸方向に沿って延在している。各電極支持部279a,279b,279cは、レバー271の第2部分271bから、光通過開口25とは反対側に向かって延びている。一対の第1電極支持部279aは、Y軸方向に平行な同一の中心線上に配置されている。一対の第2電極支持部279bは、Y軸方向に平行な同一の中心線上に配置されている。一対の第3電極支持部279cは、Y軸方向に平行な同一の中心線上に配置されている。X軸方向において、第1電極支持部279a、第2電極支持部279b及び第3電極支持部279cは、可動ミラー22側からこの順に並んで配置されている。
【0061】
アクチュエータ部28は、Z軸方向に沿って可動ミラー22を移動させる。アクチュエータ部28は、固定櫛歯電極281、可動櫛歯電極282、固定櫛歯電極283及び可動櫛歯電極284を有している。固定櫛歯電極281,283の位置は、固定されている。可動櫛歯電極282,284は、可動ミラー22の移動に伴って移動する。
【0062】
固定櫛歯電極281は、ベース21のデバイス層102における電極支持部269と向かい合う表面の一部に設けられている。固定櫛歯電極281は、Y軸方向に垂直な平面に沿って延在する複数の固定櫛歯281aを有している。これらの固定櫛歯281aは、Y軸方向に所定の間隔を空けて並んで配置されている。
【0063】
可動櫛歯電極282は、各第1電極支持部269aにおける可動ミラー22側の表面、各第2電極支持部269bにおけるX軸方向の両側の表面、及び、各第3電極支持部269cにおける可動ミラー22側の表面に設けられている。可動櫛歯電極282は、Y軸方向に垂直な平面に沿って延在する複数の可動櫛歯282aを有している。これらの可動櫛歯282aは、Y軸方向に所定の間隔を空けて並んで配置されている。
【0064】
固定櫛歯電極281及び可動櫛歯電極282においては、複数の固定櫛歯281aと複数の可動櫛歯282aとが互い違いに配置されている。つまり、固定櫛歯電極281の各固定櫛歯281aが可動櫛歯電極282の可動櫛歯282a間に位置している。隣り合う固定櫛歯281aと可動櫛歯282aとは、Y軸方向において互いに向かい合っている。隣り合う固定櫛歯281aと可動櫛歯282aとの間の距離は、例えば数μm程度である。
【0065】
固定櫛歯電極283は、ベース21のデバイス層102における電極支持部279と向かい合う表面の一部に設けられている。固定櫛歯電極283は、Y軸方向に垂直な平面に沿って延在する複数の固定櫛歯283aを有している。これらの固定櫛歯283aは、Y軸方向に所定の間隔を空けて並んで配置されている。
【0066】
可動櫛歯電極284は、各第1電極支持部279aにおける可動ミラー22側の表面、各第2電極支持部279bにおけるX軸方向の両側の表面、及び、各第3電極支持部279cにおける可動ミラー22側の表面に設けられている。可動櫛歯電極284は、Y軸方向に垂直な平面に沿って延在する複数の可動櫛歯284aを有している。これらの可動櫛歯284aは、Y軸方向に所定の間隔を空けて並んで配置されている。
【0067】
固定櫛歯電極283及び可動櫛歯電極284においては、複数の固定櫛歯283aと複数の可動櫛歯284aとが互い違いに配置されている。つまり、固定櫛歯電極283の各固定櫛歯283aが可動櫛歯電極284の可動櫛歯284a間に位置している。隣り合う固定櫛歯283aと可動櫛歯284aとは、Y軸方向において互いに向かい合っている。隣り合う固定櫛歯283aと可動櫛歯284aとの間の距離は、例えば数μm程度である。
【0068】
ベース21には、複数の電極パッド211が設けられている。各電極パッド211は、デバイス層102に至るようにベース21の第1表面21aに形成された開口213内において、デバイス層102の表面上に配置されている。複数の電極パッド211のうちの幾つかは、デバイス層102を介して、固定櫛歯電極281又は固定櫛歯電極283と電気的に接続されている。複数の電極パッド211のうちの他の幾つかは、第1弾性支持部26又は第2弾性支持部27を介して、可動櫛歯電極282又は可動櫛歯電極284と電気的に接続されている。また、ベース21には、グランド電極として用いられる一対の電極パッド212が設けられている。一対の電極パッド212は、Y軸方向における可動ミラー22の両側に位置するように、第1表面21a上に配置されている。
【0069】
図11を参照しつつ、電極パッド211の周辺の構成について更に説明する。以下、一の電極パッド211を参照して説明するが、他の電極パッド211についても同様に構成されている。
図11に示されるように、各電極パッド211は、デバイス層102に至るように支持層101におけるZ軸方向の一方の側の表面101aに形成された開口213内において、デバイス層102におけるZ軸方向の一方の側の表面102a上に配置されている。
【0070】
開口213は、表面102aによって構成された底面214と、支持層101及び中間層103によって構成された側面215と、を有している。底面214は、例えば矩形状を呈している。側面215は、底面214に連続して底面214と略垂直に延在する第1面215aと、第1面215aに連続して底面214と略平行に延在する段差面215bと、段差面215bに連続して底面214と略垂直に延在する第2面215cと、を有している。段差面215bは、Z軸方向から見た場合に、開口213の縁に沿って環状に延在している。
【0071】
電極パッド211は、底面214の全面にわたって配置されている。また、電極パッド211は、底面214及び側面215にわたって延在している。より具体的には、電極パッド211は、側面215の第1面215aに至り、段差面215bには至らないように形成されている。電極パッド211は、例えば、金属膜(金属層)によって構成されている。この金属膜は、例えば、ハードマスクを用いたスパッタリングにより形成される。電極パッド211を構成する金属膜は、ミラー面22aを構成する金属膜よりも厚い。
【0072】
ベース21は、デバイス層102に至るように支持層101の表面101aに形成された溝部216を有している。溝部216は、Z軸方向から見た場合に開口213を囲むように、環状に延在している。溝部216は、例えば、Z軸方向から見た場合に矩形環状を呈している。溝部216が設けられていることにより、電極パッド211同士を確実に電気的に絶縁することができる。すなわち、本実施形態のように、電極パッド211を構成する金属膜が側面215に至るように形成され、電極パッド211が支持層101に接触している場合、電極パッド211同士が支持層101を介して電気的に接続されてしまうおそれがある。これに対し、ミラーデバイス20では、溝部216が設けられていることにより、そのような場合でも、電極パッド211同士を確実に電気的に絶縁することができる。
【0073】
以上のように構成されたミラーデバイス20では、後述するリードピン113及びワイヤ(図示省略)を介して、Z軸方向に沿って可動ミラー22を移動させるための電気信号が駆動部23に入力される。これにより、例えば、Z軸方向における一方の側に可動ミラー22が移動するように、互いに向かい合う固定櫛歯電極281と可動櫛歯電極282との間、及び、互いに向かい合う固定櫛歯電極283と可動櫛歯電極284との間に静電気力が生じる。このとき、第1弾性支持部26及び第2弾性支持部27において第1トーションバー266,276、第2トーションバー267,277が捩れて、第1弾性支持部26及び第2弾性支持部27に弾性力が生じる。ミラーデバイス20では、駆動部23に周期的な電気信号を付与することで、Z軸方向に沿って可動ミラー22をその共振周波数レベルで往復動させることができる。このように、駆動部23は、静電アクチュエータとして機能する。
[ミラーユニットの他の構成]
【0074】
図2、
図3、
図4及び
図7に示されるように、光学機能部材13は、ベース21の第2表面21bと対向する第3表面13a(Z軸方向における一方の側の表面)、及び第3表面13aとは反対側の第4表面13bを有している。光学機能部材13は、ミラーデバイス20に対してZ軸方向における他方の側に配置されている。Z軸方向から見た場合に、光学機能部材13の外縁13cは、ベース21の外縁21cの外側に位置している。つまり、Z軸方向から見た場合に、光学機能部材13の外縁13cは、ベース21の外縁21cを包囲している。光学機能部材13は、測定光L0及びレーザ光L10に対して透過性を有する材料によって一体的に形成されている。光学機能部材13は、例えばガラスによって矩形板状に形成されており、例えば15mm×20mm×4mm(厚さ)程度のサイズを有している。なお、光学機能部材13の材料は、例えば、光モジュール1の感度波長が近赤外領域である場合にはガラス、光モジュール1の感度波長が中赤外領域である場合にはシリコンというように、光モジュール1の感度波長によって選択される。
【0075】
光学機能部材13には、一対の光透過部14,15が設けられている。光透過部14は、光学機能部材13のうち、Z軸方向においてミラーデバイス20の光通過開口24と対向する部分である。光透過部15は、光学機能部材13のうち、Z軸方向においてミラーデバイス20の光通過開口25と対向する部分である。光透過部14におけるミラーデバイス20側の表面14a、及び光透過部15におけるミラーデバイス20側の表面15aは、第3表面13aと同一平面上に位置している。光透過部(第2光通過部)14は、ビームスプリッタユニット3と固定ミラー16との間の光路の第2部分(一部分)を構成している。光透過部14は、ビームスプリッタユニット3と可動ミラー22との間の光路と、ビームスプリッタユニット3と固定ミラー16との間の光路と、の間に生じる光路差を補正する部分である。なお、本実施形態では、光透過部15は、光透過部として機能していない。
【0076】
光学機能部材13は、ミラーデバイス20の可動ミラー22及び駆動部23と対向する第5表面13dを有している。第5表面13dは、第3表面13aよりも第4表面13b側に位置している。第5表面13dは、Z軸方向から見た場合に光学機能部材13の外縁13cまで延在している。本実施形態では、第5表面13dは、各光透過部14,15におけるミラーデバイス20側の端部を包囲しつつ、光学機能部材13の外縁13cのうち、Y軸方向に延在する一対の対辺のそれぞれまで、延在している。
【0077】
光学機能部材13の第3表面13aは、ダイレクトボンディング(例えば、プラズマ活性化接合(Plasma Activation Bonding)、表面活性化接合(SAB:Surface-activated Room-temperature Bonding)、原子拡散接合(ADB:Atomic Diffusion Bonding)、陽極接合(Anodic Bonding)、フュージョンボンディング(Fusion Bonding)、親水化接合(Hydrophilic Bonding)等)によってベース21の第2表面21bと接合されている。本実施形態では、第3表面13aは、Y軸方向における第5表面13dの両側において、ベース21に設けられた複数の電極パッド211,212と対向するように延在している。ここで、第5表面13dは、第3表面13aよりも第4表面13b側に位置しているため、第5表面13dは、可動ミラー22及び駆動部23と対向する領域においてミラーデバイス20から離れることになる。また、光透過部14の表面14a、及び光透過部15の表面15aは、それぞれ、ミラーデバイス20の光通過開口24,25と対向している。これにより、ミラーユニット2では、可動ミラー22がZ軸方向に沿って往復移動した際に、可動ミラー22及び駆動部23が光学機能部材13に接触することが防止されている。
【0078】
なお、ミラーデバイス20のベース21には、光学機能部材13の第3表面13aとベース21の第2表面21bとが互いに接合された状態で光学機能部材13から離れた第6表面21dが設けられている。第6表面21dは、Z軸方向から見た場合におけるベース21の外縁の少なくとも一部を含む領域において光学機能部材13から離れている。本実施形態では、第6表面21dは、ベース21の外縁のうちY軸方向に延在する一辺に沿ってデバイス層102及び中間層103がエッチングによって除去されることで、形成されている。また、光学機能部材13の第3表面13aには、複数の基準孔13eが形成されている。本実施形態では、複数の基準孔13eは、ベース21が有する複数の角部にそれぞれ対応するように、第3表面13aに形成されている。光学機能部材13の第3表面13aとベース21の第2表面21bとが互いに接合される際には、ベース21のうち第6表面21dに対応する部分が把持されることでミラーデバイス20のハンドリングが実施され、第3表面13aに形成された複数の基準孔13eを基準として、X軸方向及びY軸方向におけるミラーデバイス20の位置、及びZ軸方向に垂直な平面内でのミラーデバイス20の角度が調整される。
【0079】
図3及び
図4に示されるように、固定ミラー16は、光学機能部材13に対してZ軸方向における他方の側(ミラーデバイス20とは反対側)に配置されており、ミラーデバイス20のベース21に対する位置が固定されている。固定ミラー16は、例えば蒸着によって、光学機能部材13の第4表面13bに形成されている。固定ミラー16は、Z軸方向に垂直なミラー面16aを有している。本実施形態では、可動ミラー22のミラー面22a及び固定ミラー16のミラー面16aが、Z軸方向における一方の側(ビームスプリッタユニット3側)に向いている。なお、固定ミラー16は、光学機能部材13の各光透過部14,15を透過する光を反射するように、光学機能部材13の第4表面13bに連続的に形成されているが、光透過部14を透過する光を反射する固定ミラーと、光透過部15を透過する光を反射する固定ミラーとが別々に設けられていてもよい。
【0080】
応力緩和基板17は、固定ミラー16を介して光学機能部材13の第4表面13bに取り付けられている。応力緩和基板17は、例えば接着剤によって、固定ミラー16に取り付けられている。Z軸方向から見た場合に、応力緩和基板17の外縁は、光学機能部材13の外縁13cの外側に位置している。つまり、Z軸方向から見た場合に、応力緩和基板17の外縁は、光学機能部材13の外縁13cを包囲している。応力緩和基板17の熱膨張係数は、光学機能部材13の熱膨張係数よりもミラーデバイス20のベース21の熱膨張係数(より具体的には、支持層101の熱膨張係数)に近い。また、応力緩和基板17の厚さは、光学機能部材13の厚さよりもミラーデバイス20のベース21の厚さに近い。応力緩和基板17は、例えばシリコンによって矩形板状に形成されており、例えば16mm×21mm×0.65mm(厚さ)程度のサイズを有している。
【0081】
以上のように構成されたミラーユニット2は、
図1に示されるように、応力緩和基板17における光学機能部材13とは反対側の表面が例えば接着剤によって支持体9の表面9a(Z軸方向における一方の側の表面)に固定されることで、支持体9に取り付けられている。ミラーユニット2が支持体9に取り付けられる際には、
図8に示されるように、支持体9に形成された基準孔9bを基準として、X軸方向及びY軸方向におけるミラーデバイス20の位置、及びZ軸方向に垂直な平面内でのミラーデバイス20の角度が調整される。なお、
図8では、第2支持構造12の図示が省略されている。
[第1支持構造及びビームスプリッタユニットの構成]
【0082】
図1及び
図8に示されるように、第1支持構造11は、枠体111と、光透過部材112と、複数のリードピン113と、を有している。枠体111は、Z軸方向から見た場合にミラーユニット2を包囲するように形成されており、例えば銀ロウ等の接着剤によって、支持体9の表面9aに取り付けられている。枠体111は、例えばセラミックによって形成されており、例えば矩形枠状を呈している。枠体111における支持体9とは反対側の端面111aは、ミラーデバイス20のベース21の第1表面21aよりも支持体9とは反対側に位置している。
【0083】
光透過部材112は、枠体111の開口を塞ぐように形成されており、例えば接着剤によって、枠体111の端面111aに取り付けられている。光透過部材112は、測定光L0及びレーザ光L10に対して透過性を有する材料によって形成されており、例えば矩形板状を呈している。ここで、枠体111の端面111aは、ミラーデバイス20のベース21の第1表面21aよりも支持体9とは反対側に位置しているため、光透過部材112は、ミラーデバイス20から離れることになる。これにより、光モジュール1では、可動ミラー22がZ軸方向に沿って往復移動した際に、可動ミラー22及び駆動部23が光透過部材112に接触することが防止されている。なお、光モジュール1では、支持体9、枠体111及び光透過部材112によって、ミラーユニット2を収容するパッケージが構成されている。
【0084】
各リードピン113は、一端部113aが枠体111の内側に位置し且つ他端部(図示省略)が枠体111の外側に位置するように、枠体111に設けられている。リードピン113の一端部113aは、ミラーデバイス20において当該リードピン113に対応する電極パッド211,212とワイヤ(図示省略)によって電気的に接続されている。光モジュール1では、Z軸方向に沿って可動ミラー22を移動させるための電気信号が、複数のリードピン113を介して駆動部23に入力される。本実施形態では、Y軸方向における光学機能部材13の両側においてX軸方向に延在する段差面111bが枠体111に形成されており、各リードピン113の一端部113aは、段差面111bに配置されている。各リードピン113は、Y軸方向における支持体9の両側においてZ軸方向に延在しており、各リードピン113の他端部は、支持体9よりもZ軸方向における他方の側に位置している。
【0085】
図10に示されるように、ビームスプリッタユニット3は、例えば屈折率整合剤を兼ねた光学接着剤によって、光透過部材112におけるミラーデバイス20とは反対側の表面112aに取り付けられている。ビームスプリッタユニット3は、第1ミラー面31、第2ミラー面32及び複数の光学面33a,33b,33c,33dを有している。ビームスプリッタユニット3は、複数の光学ブロック34,35が接合されることで構成されている。各光学ブロック34,35は、光学機能部材13と屈折率が同一又は類似の材料によって形成されている。なお、
図10は、
図1に示されるミラーユニット2及びビームスプリッタユニット3の模式的な断面図であり、
図10には、例えば、Z軸方向における寸法が実際よりも拡大された状態でミラーデバイス20が模式的に示されている。
【0086】
第1ミラー面31は、Z軸方向に対して傾斜したミラー面(例えば、ハーフミラー面)であり、光学ブロック34と光学ブロック35との間に形成されている。本実施形態では、第1ミラー面31は、Y軸方向に平行な面であり、且つZ軸方向と45°の角度を成す面であって、ミラーデバイス20に近付くほど光入射部4から離れるように傾斜した面である。第1ミラー面31は、測定光L0の一部を反射し且つ測定光L0の残部を透過させる機能、及びレーザ光L10の一部を反射し且つレーザ光L10の残部を透過させる機能を有している。第1ミラー面31は、例えば誘電体多層膜によって形成されている。第1ミラー面31は、Z軸方向から見た場合に、ミラーデバイス20の光通過開口24、光学機能部材13の光透過部14、及び固定ミラー16のミラー面16aと重なっており、且つX軸方向から見た場合に光入射部4と重なっている(
図1参照)。つまり、第1ミラー面31は、Z軸方向において固定ミラー16と対向しており、且つX軸方向において光入射部4と対向している。
【0087】
第2ミラー面32は、第1ミラー面31に平行なミラー面(例えば、全反射ミラー面)であり、第1ミラー面31に対して光入射部4とは反対側に位置するように光学ブロック35に形成されている。第2ミラー面32は、測定光L0を反射する機能、及びレーザ光L10を反射する機能を有している。第2ミラー面32は、例えば金属膜によって形成されている。第2ミラー面32は、Z軸方向から見た場合にミラーデバイス20の可動ミラー22のミラー面22aと重なっており、且つX軸方向から見た場合に第1ミラー面31と重なっている。つまり、第2ミラー面32は、Z軸方向において可動ミラー22と対向しており、且つX軸方向において第1ミラー面31と対向している。
【0088】
光学面33aは、Z軸方向に垂直な面であり、第1ミラー面31に対してミラーデバイス20とは反対側に位置するように光学ブロック35に形成されている。光学面33bは、Z軸方向に垂直な面であり、第2ミラー面32に対してミラーデバイス20側に位置するように光学ブロック35に形成されている。光学面33cは、Z軸方向に垂直な面であり、第1ミラー面31に対してミラーデバイス20側に位置するように光学ブロック34に形成されている。光学面33b及び光学面33cは、同一平面上に位置している。光学面33dは、X軸方向に垂直な面であり、第1ミラー面31に対して光入射部4側に位置するように光学ブロック34に形成されている。各光学面33a,33b,33c,33dは、測定光L0を透過させる機能、及びレーザ光L10を透過させる機能を有している。
【0089】
以上のように構成されたビームスプリッタユニット3は、同一平面上に位置する光学面33b及び光学面33cが例えば光学接着剤によって光透過部材112の表面112aに固定されることで、光透過部材112に取り付けられている。ビームスプリッタユニット3が光透過部材112に取り付けられる際には、
図9に示されるように、支持体9に形成された基準孔9bを基準として、X軸方向及びY軸方向におけるビームスプリッタユニット3の位置、及びZ軸方向に垂直な平面内でのビームスプリッタユニット3の角度が調整される。なお、
図9では、第2支持構造12の図示が省略されている。
【0090】
ここで、ミラーユニット2及びビームスプリッタユニット3における測定光L0の光路及びレーザ光L10の光路について、
図10を参照して詳細に説明する。
【0091】
図10に示されるように、光学面33dを介してビームスプリッタユニット3にX軸方向に沿って測定光L0が入射すると、測定光L0の一部は、第1ミラー面31を透過して第2ミラー面32で反射され、光学面33b及び光透過部材112を介して可動ミラー22のミラー面22aに至る。当該測定光L0の一部は、可動ミラー22のミラー面22aで反射され、同一の光路P1上を逆方向に進行して第1ミラー面31で反射される。測定光L0の残部は、第1ミラー面31で反射され、光学面33c、光透過部材112、ミラーデバイス20の光通過開口24、及び光学機能部材13の光透過部14を介して、固定ミラー16のミラー面16aに至る。当該測定光L0の残部は、固定ミラー16のミラー面16aで反射され、同一の光路P2上を逆方向に進行して第1ミラー面31を透過する。第1ミラー面31で反射された測定光L0の一部と、第1ミラー面31を透過した測定光L0の残部とは、干渉光L1となり、当該測定光の干渉光L1は、光学面33aを介してビームスプリッタユニット3からZ軸方向に沿って出射される。
【0092】
一方、光学面33aを介してビームスプリッタユニット3にZ軸方向に沿ってレーザ光L10が入射すると、レーザ光L10の一部は、第1ミラー面31及び第2ミラー面32で反射され、光学面33b及び光透過部材112を介して可動ミラー22のミラー面22aに至る。当該レーザ光L10の一部は、可動ミラー22のミラー面22aで反射され、同一の光路P3上を逆方向に進行して第1ミラー面31で反射される。レーザ光L10の残部は、第1ミラー面31を透過し、光学面33c、光透過部材112、ミラーデバイス20の光通過開口24、及び光学機能部材13の光透過部14を介して、固定ミラー16のミラー面16aに至る。当該レーザ光L10の残部は、固定ミラー16のミラー面16aで反射され、同一の光路P4上を逆方向に進行して第1ミラー面31を透過する。第1ミラー面31で反射されたレーザ光L10の一部と、第1ミラー面31を透過したレーザ光L10の残部とは、干渉光L11となり、当該レーザ光の干渉光L11は、光学面33aを介してビームスプリッタユニット3からZ軸方向に沿って出射される。
【0093】
以上のように、ミラーデバイス20の光通過開口24は、ビームスプリッタユニット3と固定ミラー16との間の光路のうち、測定光L0の光路P2の第1部分P2a、及びレーザ光L10の光路P4の第1部分P4aを構成している。また、光学機能部材13の光透過部14は、ビームスプリッタユニット3と固定ミラー16との間の光路のうち、測定光L0の光路P2の第2部分P2b、及びレーザ光L10の光路P4の第2部分P4bを構成している。
【0094】
測定光L0の光路P2の第2部分P2bが光透過部14によって構成されることで、測定光L0の光路P1の光路長(当該光路が通る各媒質の屈折率を考慮した光路長)と測定光L0の光路P2の光路長との差が小さくなるように、両光路P1,P2間の光路差が補正される。同様に、レーザ光L10の光路P4の第2部分P4bが光透過部14によって構成されることで、レーザ光L10の光路P3の光路長とレーザ光L10の光路P4の光路長との差が小さくなるように、両光路P3,P4間の光路差が補正される。本実施形態では、光透過部14の屈折率が、ビームスプリッタユニット3を構成する各光学ブロックの屈折率と等しく、X軸方向に沿った第1ミラー面31と第2ミラー面32との距離が、Z軸方向に沿った光透過部14の厚さ(すなわち、Z軸方向に沿った光透過部14の表面14aと光学機能部材13の第4表面13bとの距離)に等しい。
[第2支持構造及び光入射部等の構成]
【0095】
図1に示されるように、第2支持構造12は、連結ユニット120を有している。連結ユニット120は、本体部121と、枠体122と、固定プレート123と、を含んでいる。本体部121は、一対の側壁部124,125と、天壁部126と、を含んでいる。一対の側壁部124,125は、X軸方向において互いに対向している。X軸方向における一方の側の側壁部124には、開口124aが形成されている。天壁部126は、Z軸方向において支持体9と対向している。天壁部126には、開口126aが形成されている。本体部121は、例えば金属によって一体的に形成されている。本体部121には、複数の位置決めピン121aが設けられている。本体部121は、支持体9に形成された基準孔9b及び孔9cのそれぞれに位置決めピン121aが嵌められることで、支持体9に対して位置決めされ、その状態で、例えばボルトによって、支持体9に取り付けられている。
【0096】
枠体122は、側壁部124におけるビームスプリッタユニット3とは反対側の表面に配置されている。枠体122の開口は、側壁部124の開口124aを介して、ビームスプリッタユニット3と対向している。枠体122には、光入射部4が配置されている。固定プレート123は、枠体122に配置された光入射部4を本体部121に固定するための部材である(詳細については後述する)。
【0097】
第2支持構造12は、保持ユニット130を更に有している。保持ユニット130は、本体部131と、枠体132と、固定プレート133と、を含んでいる。本体部131は、天壁部126における支持体9とは反対側の表面に取り付けられている。本体部131は、複数の位置決めピン131aによって、連結ユニット120の本体部121に対して位置決めされ、その状態で、例えばボルトによって、天壁部126に取り付けられている。本体部131における支持体9とは反対側の表面には、凹部134が形成されている。凹部134の底面には、第1光通過孔135、第2光通過孔136及び第3光通過孔137が形成されている。第1光通過孔135は、Z軸方向においてビームスプリッタユニット3の第1ミラー面31と対向する位置に形成されている。第2光通過孔136は、X軸方向における第1光通過孔135の他方の側(すなわち、光入射部4とは反対側)に形成されている。第3光通過孔137は、X軸方向における第2光通過孔136の他方の側に形成されている。
【0098】
枠体132は、凹部134の底面に配置されている。枠体132の開口は、第3光通過孔137と対向している。枠体132には、第2光源7が配置されている。第1光検出器6は、第1光通過孔135と対向した状態で、凹部134の底面に配置されている。第2光検出器8は、第2光通過孔136と対向した状態で、凹部134の底面に配置されている。固定プレート133は、凹部134の底面に配置された第1光検出器6及び第2光検出器8、並びに、枠体132に配置された第2光源7を、本体部131に固定するための部材である(詳細については後述する)。
【0099】
光入射部4は、ホルダ41と、コリメータレンズ42と、を有している。ホルダ41は、コリメータレンズ42を保持しており、測定光L0を導光する光ファイバ(図示省略)の接続が可能となるように構成されている。コリメータレンズ42は、光ファイバから出射された測定光L0をコリメートする。ホルダ41に光ファイバが接続された際に、光ファイバの光軸は、コリメータレンズ42の光軸に一致する。
【0100】
ホルダ41には、フランジ部41aが設けられている。フランジ部41aは、枠体122と固定プレート123との間に配置されている。この状態で、固定プレート123が例えばボルトによって側壁部124に取り付けられることで、枠体122に配置された光入射部4が本体部121に固定されている。このように、光入射部4は、X軸方向におけるビームスプリッタユニット3の一方の側に配置されており、第2支持構造12によって支持されている。光入射部4は、第1光源から測定対象を介して入射した測定光L0又は測定対象から発せられた測定光L0(本実施形態では、光ファイバによって導光された測定光L0)をビームスプリッタユニット3に入射させる。
【0101】
枠体122には、フィルタ54が取り付けられている。フィルタ54は、レーザ光L10をカットする機能を有している。フィルタ54は、光入射部4の光軸に対して傾斜した状態で、側壁部124の開口124a内に配置されている。フィルタ54は、X軸方向から見た場合に枠体122の開口を塞いでいる。このように、フィルタ54は、光入射部4とビームスプリッタユニット3との間に配置されており、光入射部4の光軸に対して傾斜した状態で第2支持構造12によって支持されている。本実施形態では、フィルタ54の光学面は、Z軸方向に平行な面であり、且つY軸方向と10°~20°の角度を成す面である。なお、光入射部4の光軸は、X軸方向に平行である。
【0102】
これにより、レーザ光L10と同一の波長帯の光が測定光L0に含まれていたとしても、当該光がビームスプリッタユニット3に入射することが防止されるため、レーザ光の干渉光L11の検出結果に基づいてZ軸方向における可動ミラー22の位置を精度良く取得することができる。更に、フィルタ54が、光入射部4の光軸に対して傾斜しているため、レーザ光L10と同一の波長帯の光を干渉光学系外に反射させて、当該光が迷光となるのを確実に防止することができる。本実施形態では、X軸方向に沿ってビームスプリッタユニット3から出射されたレーザ光L10と同一の波長帯の光は、フィルタ54で反射されて、第2支持構造12の本体部121における一対の側壁部124,125間から干渉光学系外に出される。これにより、当該光が迷光となるのを確実に防止することができる。
【0103】
第1光検出器6は、ホルダ61と、光検出素子62と、集光レンズ63と、を有している。ホルダ61は、光検出素子62及び集光レンズ63を保持している。光検出素子62は、測定光の干渉光L1を検出する。光検出素子62は、例えばInGaAsフォトダイオードである。集光レンズ63は、光検出素子62に入射する測定光の干渉光L1を光検出素子62に集光する。ホルダ61において、光検出素子62の光軸と集光レンズ63の光軸とは、互いに一致している。
【0104】
ホルダ61には、フランジ部61aが設けられている。フランジ部61aは、本体部131の凹部134の底面と固定プレート133との間に配置されている。この状態で、固定プレート133が例えばボルトによって本体部131に取り付けられることで、凹部134の底面に配置された第1光検出器6が本体部131に固定されている。このように、第1光検出器6は、Z軸方向におけるビームスプリッタユニット3の一方の側に配置されており、第2支持構造12によって支持されている。第1光検出器6は、Z軸方向においてビームスプリッタユニット3の第1ミラー面31と対向している。第1光検出器6は、ビームスプリッタユニット3から出射された測定光の干渉光L1を検出する。
【0105】
第2光検出器8は、ホルダ81と、光検出素子82と、集光レンズ83と、を有している。ホルダ81は、光検出素子82及び集光レンズ83を保持している。光検出素子82は、レーザ光の干渉光L11を検出する。光検出素子82は、例えばSiフォトダイオードである。集光レンズ83は、光検出素子82に入射するレーザ光の干渉光L11を光検出素子82に集光する。ホルダ81において、光検出素子82の光軸と集光レンズ83の光軸とは、互いに一致している。
【0106】
ホルダ81には、フランジ部81aが設けられている。フランジ部81aは、本体部131の凹部134の底面と固定プレート133との間に配置されている。この状態で、固定プレート133が例えばボルトによって本体部131に取り付けられることで、凹部134の底面に配置された第2光検出器8が本体部131に固定されている。このように、第2光検出器8は、Z軸方向におけるビームスプリッタユニット3の一方の側に配置されており、第2支持構造12によって支持されている。第2光検出器8は、ビームスプリッタユニット3から出射されたレーザ光の干渉光L11を検出する。
【0107】
第2光源7は、ホルダ71と、発光素子72と、コリメータレンズ73と、を有している。ホルダ71は、発光素子72及びコリメータレンズ73を保持している。発光素子72は、レーザ光L10を出射する。発光素子72は、例えばVCSEL等の半導体レーザである。コリメータレンズ73は、発光素子72から出射されたレーザ光L10をコリメートする。ホルダ71において、発光素子72の光軸とコリメータレンズ73の光軸とは、互いに一致している。
【0108】
ホルダ71には、フランジ部71aが設けられている。フランジ部71aは、枠体132と固定プレート133との間に配置されている。この状態で、固定プレート133が例えばボルトによって本体部131に取り付けられることで、枠体132に配置された第2光源7が本体部131に固定されている。このように、第2光源7は、Z軸方向におけるビームスプリッタユニット3の一方の側に配置されており、第2支持構造12によって支持されている。第2光源7は、ビームスプリッタユニット3に入射させるレーザ光L10を出射する。
【0109】
以上のように、保持ユニット130は、第1光検出器(第1光デバイス)6、第2光検出器(第2光デバイス)8及び第2光源(第3光デバイス)7が同一の側を向くように、且つ、第1光検出器6、第2光検出器8、第2光源7の順序で並ぶように、第1光検出器6、第2光検出器8及び第2光源7を保持している。本実施形態では、保持ユニット130は、Z軸方向におけるビームスプリッタユニット3の一方の側において、第1光検出器6、第2光検出器8及び第2光源7がZ軸方向における他方の側(すなわち、ビームスプリッタユニット3側)を向くように、第1光検出器6、第2光検出器8及び第2光源7を保持している。また、保持ユニット130は、X軸方向における一方の側(すなわち、光入射部4側)から第1光検出器6、第2光検出器8、第2光源7の順序で並ぶように、第1光検出器6、第2光検出器8及び第2光源7を保持している。
【0110】
保持ユニット130の本体部131には、第1ミラー51、第2ミラー52及び第3ミラー53が取り付けられている。第1ミラー51は、第1光通過孔135に対して第1光検出器6とは反対側に位置するように、保持ユニット130によって保持されている。第2ミラー52は、第2光通過孔136に対して第2光検出器8とは反対側に位置するように、保持ユニット130によって保持されている。第3ミラー53は、第3光通過孔137に対して第2光源7とは反対側に位置するように、保持ユニット130によって保持されている。
【0111】
第1ミラー51は、測定光L0を透過させ且つレーザ光L10を反射する機能を有し、且つ第1光検出器6の光軸に対して傾斜したダイクロイックミラーである。第1ミラー51は、ビームスプリッタユニット3と第1光検出器6との間に配置されている。つまり、第1ミラー51は、ビームスプリッタユニット3及び第1光検出器6と対向するように配置されている。本実施形態では、第1ミラー51の光学面は、Y軸方向に平行な面であり、且つZ軸方向と45°の角度を成す面である。なお、第1光検出器6の光軸は、Z軸方向に平行である。
【0112】
第2ミラー52は、レーザ光L10の一部を反射し且つレーザ光L10の残部を透過させる機能を有し、且つ第1ミラー51に平行なミラー(例えば、ハーフミラー)である。第2ミラー52は、X軸方向から見た場合に第1ミラー51と重なるように、且つZ軸方向から見た場合に第2光検出器8と重なるように、配置されている。つまり、第2ミラー52は、第1ミラー51及び第2光検出器8と対向するように配置されている。本実施形態では、第2ミラー52の光学面は、Y軸方向に平行な面であり、且つZ軸方向と45°の角度を成す面である。
【0113】
第3ミラー53は、レーザ光L10を反射する機能を有し、且つ第2ミラー52に平行なミラー(例えば、全反射ミラー)である。第3ミラー53は、X軸方向から見た場合に第2ミラー52と重なるように、且つZ軸方向から見た場合に第2光源7と重なるように、配置されている。つまり、第3ミラー53は、第2ミラー52及び第2光源7と対向するように配置されている。本実施形態では、第3ミラー53の光学面は、Y軸方向に平行な面であり、且つZ軸方向と45°の角度を成す面である。
【0114】
保持ユニット130の本体部131には、アパーチャ55が取り付けられている。アパーチャ55は、第1ミラー51と第1光検出器6との間に位置するように、保持ユニット130によって保持されている。アパーチャ55は、Z軸方向から見た場合に円形状を呈する開口が形成された部材であり、第1光通過孔135内に配置されている。
【0115】
ビームスプリッタユニット3からZ軸方向に沿って出射された測定光の干渉光L1は、第1ミラー51を透過して、アパーチャ55を介して第1光検出器6に入射し、第1光検出器6によって検出される。一方、第2光源7から出射されたレーザ光L10は、第3ミラー53で反射されて第2ミラー52を透過し、第1ミラー51で反射されてZ軸方向に沿ってビームスプリッタユニット3に入射する。ビームスプリッタユニット3からZ軸方向に沿って出射されたレーザ光の干渉光L11は、第1ミラー51及び第2ミラー52で反射されて第2光検出器8に入射し、第2光検出器8によって検出される。
[ミラーデバイスの製造方法]
【0116】
図12~
図17(b)を参照しつつ、第1実施形態に係るミラーデバイス20の製造方法を説明する。
図12~
図17(b)では、ミラーデバイス20の各構成が模式的に示されている。
図12に示されるミラーデバイス20では、梁部224は、可動部22bに設けられた第1梁部224dと、第1弾性支持部26及び第2弾性支持部27に設けられた第2梁部224eと、を有している。第1梁部224d及び第2梁部224eは、例えば、上述した内側梁部224a、外側梁部224b及び連結梁部224cと同様の構成を有している。第2梁部224eは、例えば、
図6に示される各レバー261,271上に配置されてもよいし、これに代えて又は加えて、
図6に示される各電極支持部269,279上に配置されてもよい。梁部224は、第1梁部224d及び第2梁部224eの一方のみを有していてもよい。
図12では、第2弾性支持部27に設けられた第2梁部224eの図示は省略されている。
【0117】
第1実施形態の製造方法では、まず、ベース21、可動部22b及び駆動部23に対応する部分を有するSOI基板100を用意する(第1ステップ)。第1ステップでは、支持層101がデバイス層102よりも厚いSOI基板100が用意される。なお、「ベース21、可動部22b及び駆動部23に対応する部分」とは、例えば、加工後にベース21、可動部22b及び駆動部23となる部分を意味する。
【0118】
続いて、支持層101における中間層103とは反対側の表面101aのうち、ベース21に対応する領域に、第1レジスト層104を形成する(第2ステップ、
図13(a))。第1レジスト層104は、表面101aのうち、各電極パッド211の形成予定領域に対応する領域には形成されない。なお、「或る表面のうち、或る要素に対応する領域」とは、例えば、当該表面のうち、Z軸方向から見た場合に当該要素と重なる領域を意味する。例えば、表面101aのうち、ベース21に対応する領域とは、表面101aのうち、Z軸方向から見た場合にベース21と重なる領域を意味する。
【0119】
続いて、第1レジスト層104をマスクとして用いて支持層101を厚さ方向(Z軸方向)における中間部までエッチングすることにより、支持層101に凹部105を形成する(第3ステップ)。続いて、第1レジスト層104を剥離する(
図13(b))。第3ステップでは、換言すれば、中間層103に至らないように、支持層101がエッチングされる。凹部105の深さは、梁部224の厚さに応じて決定される。ミラーデバイス20を形成する場合、第3ステップでは、複数の凹部105が形成される。一の凹部105は、可動部22b及び駆動部23に対応する位置に形成される。他の凹部105は、各電極パッド211の形成予定位置に対応する位置に形成される。
【0120】
続いて、各凹部105の底面105aのうち梁部224に対応する領域、各凹部105の側面105b、及び、支持層101の表面101aに、第2レジスト層106を形成する(第4ステップ、
図14(a))。第2レジスト層106は、側面105bの全面、及び表面101aの全面に形成される。
図14(a)に示されるように、第2レジスト層106は、底面105aのうち、側面105bとの境界に沿った領域にも形成される。これは、第2レジスト層106のパターニングの際に、底面105aにおける側面105bとの境界に沿って第2レジスト層106の一部が残るためである。第2レジスト層106は、例えば、スプレーコート法により形成されるが、ディップコート法により形成されてもよい。
【0121】
続いて、第2レジスト層106をマスクとして用いて支持層101を中間層103に至るまでエッチングすることにより、梁部224を形成する(第5ステップ)。続いて、第2レジスト層106を剥離した後に、露出している中間層103を剥離する(
図14(b))。第2レジスト層106が凹部105の側面105bから底面105aに至るように形成されているため、第5ステップでは、ベース21に段差面107が形成される。段差面107は、Z軸方向から見た場合に、各凹部105の縁に沿って延在している。
図5及び
図6には、段差面107が示されている。また、第2ステップから第5ステップでは、梁部224が形成されるのと並行して、上述した開口213及び溝部216(
図11)が形成される。段差面107は、上述した段差面215bに相当する。
【0122】
続いて、デバイス層102における中間層103とは反対側の表面102bのうち、ベース21、可動部22b及び駆動部23に対応する領域に、第3レジスト層108を形成する(
図15(a))。続いて、第3レジスト層108をマスクとして用いてデバイス層102を貫通エッチングする。これにより、ベース21、可動部22b及び駆動部23が互いに分離される。続いて、第3レジスト層108を剥離する(
図15(b))。
【0123】
続いて、デバイス層102における中間層103側の表面102a上に、ミラー面22aを形成する(第6ステップ)。ミラー面22aは、例えば、ハードマスクを用いたスパッタリングにより成膜される。続いて、デバイス層102の表面102a上に電極パッド211を形成すると共に、支持層101の表面101a上に電極パッド212を形成する(
図12)。電極パッド211,212は、例えば、ハードマスクを用いたスパッタリングにより成膜される。以上の工程により、
図12に示されるミラーデバイス20が得られる。
【0124】
なお、工程の順序は、上述の例に限られない。例えば、第3レジスト層108の形成及びデバイス層102のエッチングは、第2ステップの前、又は第4ステップの前に実施されてもよい。電極パッド211及び電極パッド212の形成は、ミラー面22aの形成前に実施されてもよい。電極パッド211,212の形成は、第5ステップと第6ステップとの間に実施されてもよい。上記説明では、1つのミラーデバイス20に着目して説明したが、上述したSOI基板100に対応する部分を複数含むウェハ(半導体基板)について各加工ステップが同時に行われ、加工完了後のミラーデバイス20が、SOI基板100に対応する部分同士の境界に設定されたダイシングラインにおいてダイシングされることにより、複数のミラーデバイス20が一括して形成されてもよい。この場合、例えば、支持層101の表面101aをダイシングテープに貼り付けてウェハを固定した状態で、ウェハが切断される。
[第1実施形態の作用及び効果]
【0125】
図16(a)~
図18を参照しつつ、比較例に係るミラーデバイスの製造方法を説明する。比較例の製造方法によって製造されるミラーデバイスは、第1実施形態のミラーデバイス20と同様の構成を有する。すなわち、比較例のミラーデバイスは、ベース21A、可動部22bA及び駆動部23Aを有する(
図18)。可動部22bAは、梁部224Aを有している。比較例の製造方法では、まず、支持層101A、デバイス層102A及び中間層103Aを有するSOI基板100Aが用意される。SOI基板100Aは、ベース21A、可動部22bA及び駆動部23Aに対応する部分を有している。続いて、支持層101Aにおける中間層103Aとは反対側の表面101aAに酸化膜109aが形成されると共に、デバイス層102Aにおける中間層103Aとは反対側の表面102bAに酸化膜109bが形成される。
【0126】
続いて、酸化膜109aの表面のうち、ベース21A及び梁部224Aに対応する領域に、レジスト層110aが形成される(
図16(a))。続いて、レジスト層110aをマスクとして用いて酸化膜109aがエッチングされた後、レジスト層110aが剥離される(
図16(b))。続いて、酸化膜109aの表面のうち、ベース21に対応する領域に、レジスト層110bが形成される(
図17(a))。続いて、レジスト層110bをマスクとして用いて支持層101Aを中間層103Aまでエッチングすることにより、梁部224Aが形成される(
図17(b))。これは、当該エッチングの際には、露出している酸化膜109aも同時にエッチングされることから、酸化膜109aが形成されている領域では、酸化膜109aが形成されていない領域と比べて、エッチング速度が遅くなるためである。続いて、レジスト層110b、酸化膜109a及び酸化膜109bが剥離された後に、露出している中間層103Aが除去される(
図18)。
【0127】
比較例の製造方法によっても梁部224Aを有するミラーデバイスを得ることができるが、比較例の製造方法では、梁部224Aを精度良く形成することは難しい。この理由について、
図19(a)~
図21(b)を参照しつつ説明する。
図19(a)、
図20(a)及び
図21(a)では、梁部224Aを形成するためのエッチング途中の状態が模式的に示されており、
図19(b)、
図20(b)及び
図21(b)では、当該エッチング後の状態が模式的に示されている。
【0128】
図19(a)及び
図19(b)に示されるように、比較例の製造方法(シリコン深掘りエッチング、ボッシュプロセス)では、梁部224Aが、基端部の幅よりも先端部の幅が広い逆テーパ形状に形成され易い。そのため、梁部224Aの幅を所望の幅に制御することが難しい。適用されるエッチングプロセスの種類によっては(例えばノンボッシュプロセスが用いられる場合)、梁部224Aが、基端部の幅よりも先端部の幅が狭い順テーパ形状に形成され易い場合もあるが、いずれにしても、梁部224Aの幅の制御は難しい。
【0129】
また、
図20(a)及び
図20(b)に示されるように、比較例の製造方法では、梁部224Aが、互いに幅が異なる部分224Aa,224Abを含んでいる場合に、部分224Aa,224Ab間でエッチング速度に差が生じ、部分224Aaの高さが部分224Abの高さと異なってしまうおそれがある。符号DPは、エッチング時に梁部224Aの側面に形成される堆積層を示している。部分224Aa,224Abのエッチング速度に差が生じるのは、梁部224Aを囲む溝部のアスペクト比(パターン寸法と深さの比)が大きいほど、エッチング速度が低下するマイクロローディング効果のためである。梁部224Aの高さが同一であれば、溝部の幅が狭い方が、アスペクト比が高くなり、エッチングが遅くなる。
【0130】
また、
図21(a)及び
図21(b)に示されるように、比較例の製造方法では、梁部224Aを形成するためのエッチングの途中で酸化膜109aが完全に除去されるが、継続してエッチングを進めた場合に、梁部224Aの縁部に残渣RDが生じ易い。これは、次のような理由によると考えられる。梁部224Aを囲む溝部のアスペクト比が高いと、エッチング速度が遅くなると共に、梁部224Aが順テーパ形状に形成され易くなる。順テーパ形状の場合は特に、エッチングが進むにつれて、梁部224Aの頂面上の堆積層DPの除去が難しくなり、頂面の周縁付近に堆積層DPが残り易くなる。周縁付近に残存した堆積層DPがマスクとなることで、支持層101Aがエッチングされず、その結果、残渣RDが発生する。
【0131】
このように、比較例の製造方法では、梁部224Aを精度良く形成することは難しい。これに対し、第1実施形態に係るミラーデバイス20の製造方法では、上述したとおり、第1レジスト層104及び第2レジスト層106をマスクとして用いた2段階のエッチングにより、梁部224が形成される。そのため、梁部224を精度良く形成することができる。つまり、第1実施形態の製造方法では、比較例の製造方法と比べて、梁部224の幅を制御し易い。また、梁部224が、互いに幅が異なる部分を含んでいる場合に、それらの部分を互いに等しい高さに形成し易い。更に、梁部224の縁部に残差が生じるのを抑制することができる。
【0132】
また、ミラーデバイス20では、梁部224を構成する支持層101が、ベース21を構成する支持層101よりも薄い。これにより、梁部224がベース21から突出するのを抑制して梁部224の保護を図ることができる。より具体的には、少なくとも可動部22bの停止中に、梁部224がベース21から突出しないことで、可動部22bの停止中における梁部224の保護を図ることができる。更に、可動部22bの移動中に、梁部224がベース21から突出しないことで、可動部22bの移動中における梁部224の保護をも図ることができる。また、梁部224がベース21から突出するのを抑制することで、Z軸方向における可動部22bの移動量を増加させることが可能となる。また、仮に、梁部224を構成する支持層101の厚さが、ベース21を構成する支持層101の厚さと同一である場合、SOI基板100をダイシングする際に梁部224がダイシングテープに貼り付いてしまい、剥がす際に梁部224が破損するおそれがあるが、ミラーデバイス20では、そのような事態を回避することができる。
【0133】
第1実施形態の製造方法の第1ステップでは、支持層101がデバイス層102よりも厚いSOI基板100が用意される。これにより、得られるミラーデバイス20において梁部224の厚さを確保することができ、可動部22bの変形をより好適に抑制することができる。
【0134】
第1実施形態の製造方法の第6ステップでは、デバイス層102における中間層103側の表面102a上にミラー面22aが形成される。これにより、ベース21及び梁部224によってミラー面22aを保護することができ、例えば、運搬時等における直接的な接触によってミラー面22aが損傷するのを抑制することができる。
【0135】
ミラーデバイス20では、梁部224が、互いに幅が異なる複数の部分(内側梁部224a、外側梁部224b及び連結梁部224c、又は、第1梁部224d及び第2梁部224e)を含んでいる。第1実施形態の製造方法では、梁部224が互いに幅が異なる複数の部分を含んでいる場合でも、梁部224を精度良く形成することができる。
【0136】
ミラーデバイス20では、第1弾性支持部26及び第2弾性支持部27が、Z軸方向に沿って可動部22bが移動可能となるように、可動部22bを支持している。第1実施形態の製造方法では、このようなミラーデバイス20を製造する場合において、梁部224を精度良く形成することができる。
【0137】
ミラーデバイス20は、固定櫛歯電極281,283及び可動櫛歯電極282,284を備えている。第1実施形態の製造方法では、このようなミラーデバイス20を製造する場合において、梁部224を精度良く形成することができる。
[第1実施形態の変形例]
【0138】
上記第1実施形態において、各構成の材料及び形状には、上述した材料及び形状に限らず、様々な材料及び形状を採用することができる。例えば、配置部221及びミラー面22aの各々は、Z軸方向から見た場合に、矩形状、八角形状等の任意の形状を呈していてもよい。枠部222は、Z軸方向から見た場合に、矩形環状、八角形環状等の任意の環形状を呈していてもよい。光通過開口24及び光通過開口25の各々は、Z軸方向から見た場合に円形状、八角形状等の任意の形状を有していてもよい。ミラーデバイス20は、光通過開口24又は光通過開口25に代えて、ベース21に形成された孔又は切欠きを第1光通過部として有していてもよい。ミラーデバイス20を構成する半導体基板は、必ずしもSOI基板でなくてもよく、第1半導体層、第2半導体層、及び第1半導体層と第2半導体層との間に配置された絶縁層を有する基板であればよい。
【0139】
内側梁部224a、外側梁部224b及び連結梁部224cの各々は、任意の形状に形成されてよい。例えば、梁部は、X軸方向又はY軸方向に対して斜めに延在していたり、ジグザグ状に延在していたりしてもよい。各梁部の配置、数、長さ、幅及び厚さは任意に設定されてよい。例えば、内側梁部224a、外側梁部224b及び連結梁部224cの厚さは、互いに異なっていてもよい。これらの梁部の少なくとも1つが省略されてもよい。梁部224は、Z軸方向から見た場合にミラー面22aを囲んでいなくてもよい。第1トーションバー266,276及び第2トーションバー267,277の形状は限定されず、棒状等の任意の形状であってよい。ミラー面22aは、可動部22bを構成するデバイス層102における中間層103とは反対側の表面上に配置されていてもよい。この場合、例えば、ベース21を構成する支持層101における中間層103とは反対側の表面が光学機能部材13の第3表面13aと接合される。ベース21の第2表面21bと光学機能部材13の第3表面13aとは、ダイレクトボンディング以外の手段(例えば、UV硬化樹脂等の接着剤等)によって互いに接合されていてもよい。固定ミラー16は、光学機能部材13に対してミラーデバイス20とは反対側に配置されていれば、光学機能部材13の第4表面13bから離れていてもよい。
【0140】
上記第1実施形態では、梁部224が支持層101及び中間層103によって構成されていたが、梁部224は、少なくとも支持層101によって構成されていればよく、例えば、支持層101のみによって構成されていてもよい。例えば、可動部22b及び駆動部23を構成するデバイス層102上にわたって中間層103が配置されていてもよい。この場合、ミラー面22aは中間層103上に設けられる。このようなミラーデバイス20を製造する際には、第5ステップで梁部224を形成した後に、中間層103を除去しない。このようなミラーデバイス20の製造方法によっても、上記第1実施形態と同様に、梁部224を精度良く形成することができる。ここで、中間層103はエッチングストップ層として機能するため、中間層103の厚さにはばらつきが生じ易い。上記第1実施形態では、露出している中間層103が除去されるため、そのような厚さのばらつきを抑制することができる。
【0141】
本開示の光学デバイスは、ミラーデバイスに限られず、ミラー面22a以外の他の光学機能部が可動部22b上に配置された光学デバイスであってもよい。他の光学機能部としては、例えば、レンズ等が挙げられる。ミラーデバイス20の駆動部23は、可動ミラー22を弾性的に支持する3つ以上の弾性支持部を有していてもよい。ミラーデバイス20では、可動部22bの移動方向がベース21の第1表面21aに垂直な方向であったが、可動部22bの移動方向は、第1表面21aと交差する方向であればよい。アクチュエータ部28は、静電アクチュエータに限定されず、例えば、圧電式アクチュエータ、電磁式アクチュエータ等であってもよい。ミラーデバイス20は、FTIRを構成するものに限定されず、他の光学系を構成するものであってもよい。
[第2実施形態]
【0142】
図22~
図25を参照しつつ、第2実施形態に係る光学デバイス301について説明する。光学デバイス301は、ベース305と、可動部307と、第1トーションバー(弾性支持部)311と、第2トーションバー(弾性支持部)312と、を備えている。第1及び第2トーションバー311,312は、後述する軸線L301周りに可動部307が揺動可能となるように、可動部307を支持している。光学デバイス301は、SOI(Silicon On Insulator)基板(半導体基板)309によって、MEMSデバイスとして構成されている。光学デバイス301は、例えば、矩形板状を呈している。光学デバイス301は、例えば、9mm×7mm×0.4mm(厚さ)程度のサイズを有している。
【0143】
ベース305は、SOI基板309を構成するハンドル層(第1半導体層)391、デバイス層(第2半導体層)392及び中間層393の一部によって形成されている。ハンドル層391は、第1シリコン層である。デバイス層392は、第2シリコン層である。中間層393は、ハンドル層391とデバイス層392との間に配置された絶縁層である。
【0144】
可動部307は、軸線L301と軸線L302との交点を中心位置(重心位置)として配置されている。軸線L301は、X軸方向(X軸に平行な方向、第1方向)に延在する直線である。軸線L302は、Y軸方向(Y軸に平行な方向、第1方向に垂直な第2方向)に延在する直線である。可動部307は、Z軸方向(Z軸に平行な方向、第1方向及び第2方向に垂直な第3方向)から見た場合に、軸線L301に関して線対称となり且つ軸線L302に関して線対称となる形状を呈している。
【0145】
可動部307は、光学機能部371と、第5本体部372と、フレーム373と、複数の第5接続部374と、本体梁部375と、フレーム梁部376と、複数の接続梁部377と、を有している。光学機能部371は、第5本体部372に設けられている。光学機能部371は、第5本体部372を構成するデバイス層392におけるハンドル層391とは反対側の表面392aに形成されたミラーである。このようなミラーは、例えば、第5本体部372を構成するデバイス層392の表面392aに蒸着によって金属膜を形成することで得られる。
【0146】
第5本体部372は、デバイス層392の一部によって形成されている。第5本体部372は、例えば、Z軸方向から見た場合に円形状を呈している。フレーム373は、Z軸方向から見た場合に第5本体部372を囲んでいる。フレーム373は、デバイス層392の一部によって形成されている。フレーム373は、例えば、Z軸方向から見た場合に八角形環状を呈している。複数の第5接続部374は、軸線L301上における第5本体部372の両側、及び軸線L2上における第5本体部372の両側にそれぞれ配置されている。具体的には、複数の第5接続部374は、それぞれ、第1端部307aに対応する位置(第1端部307aと可動部307の中心位置との間の位置)、第2端部307bに対応する位置(第2端部307bと可動部307の中心位置との間の位置)、第1トーションバー311の延長線上の位置、及び第2トーションバー312の延長線上の位置に配置されている。各第5接続部374は、第5本体部372及びフレーム373に接続されている。各第5接続部374は、第5本体部372とフレーム373との間に架け渡されている。各第5接続部374は、デバイス層392の一部によって形成されている。
【0147】
本体梁部375は、第5本体部372の外縁に沿って延在している。本体梁部375は、ハンドル層391及び中間層393の一部によって形成されている。本体梁部375は、第5本体部372を構成するデバイス層392におけるハンドル層391側の表面392bに形成されている。本体梁部375は、例えば、Z軸方向から見た場合に円形環状を呈している。フレーム梁部376は、フレーム373に沿って延在している。フレーム梁部376は、ハンドル層391及び中間層393の一部によって形成されている。フレーム梁部376は、フレーム373を構成するデバイス層392の表面392bに形成されている。フレーム梁部376は、例えば、Z軸方向から見た場合に八角形環状を呈している。複数の接続梁部377は、複数の第5接続部374にそれぞれ配置されている。各接続梁部377は、本体梁部375及びフレーム梁部376に接続されている。各接続梁部377は、本体梁部375とフレーム梁部376との間に架け渡されている。各接続梁部377は、ハンドル層391及び中間層393の一部によって形成されている。各接続梁部377は、各第5接続部374を構成するデバイス層392の表面392bに形成されている。本体梁部375、フレーム梁部376及び各接続梁部377を構成するハンドル層391は、ベース305を構成するハンドル層391よりも薄い。
【0148】
第1トーションバー311は、X軸方向において可動部307の一方の側に配置されている。第1トーションバー311は、軸線L301上においてX軸方向に沿って延在している。第1トーションバー311は、デバイス層392の一部によって形成されている。第1トーションバー311は、ベース305及び可動部307に接続されている。第1トーションバー311は、ベース305と可動部307(光学デバイス301では、フレーム373)との間に架け渡されている。第1トーションバー311は、Z軸方向から見た場合に第1トーションバー311の外縁及び可動部307の外縁(光学デバイス301では、フレーム373の外縁)の曲率が連続するように、可動部307に接続されている。具体的には、第1トーションバー311のうち可動部307に接続される部分は、Y軸方向における当該部分の幅が可動部307に近付くほど大きくなるように当該部分の両側面が凹状に湾曲した形状を呈している。第1トーションバー311のうちベース305に接続される部分も同様に、Y軸方向における当該部分の幅がベース305に近付くほど大きくなるように当該部分の両側面が凹状に湾曲した形状を呈している。
【0149】
第2トーションバー312は、X軸方向において可動部307の他方の側に配置されている。第2トーションバー312は、軸線L301上においてX軸方向に沿って延在している。第2トーションバー312は、デバイス層392の一部によって形成されている。第2トーションバー312は、ベース305及び可動部307に接続されている。第2トーションバー312は、ベース305と可動部307(光学デバイス301では、フレーム373)との間に架け渡されている。第2トーションバー312は、Z軸方向から見た場合に第2トーションバー312の外縁及び可動部307の外縁(光学デバイス301では、フレーム373の外縁)の曲率が連続するように、可動部307に接続されている。具体的には、第2トーションバー312のうち可動部307に接続される部分は、Y軸方向における当該部分の幅が可動部307に近付くほど大きくなるように当該部分の両側面が凹状に湾曲した形状を呈している。第2トーションバー312のうちベース305に接続される部分も同様に、Y軸方向における当該部分の幅がベース305に近付くほど大きくなるように当該部分の両側面が凹状に湾曲した形状を呈している。
【0150】
光学デバイス301は、第1支持部321と、第2支持部322と、第3支持部323と、第4支持部324と、を更に備えている。第1支持部321は、Y軸方向において第1トーションバー311の一方の側に配置されており、可動部307に接続されている。第2支持部322は、Y軸方向において第1トーションバー311の他方の側に配置されており、可動部307に接続されている。第3支持部323は、Y軸方向において第2トーションバー312の一方の側に配置されており、可動部307に接続されている。第4支持部324は、Y軸方向において第2トーションバー312の他方の側に配置されており、第4支持部324は、可動部307に接続されている。
【0151】
第1支持部321は、第1本体部321aと、第1接続部321bと、第1梁部321cと、を有している。第1本体部321aは、第1本体部321aと第1トーションバー311との間に隙間が形成された状態で、X軸方向に沿って延在している。第1本体部321aは、デバイス層392の一部によって形成されている。第1接続部321bは、第1本体部321a及び可動部307に接続されている。第1接続部321bは、第1本体部321aと可動部307(光学デバイス301では、フレーム373)との間に架け渡されている。第1接続部321bは、デバイス層392の一部によって形成されている。第1接続部321bは、第1トーションバー311のうち可動部307に接続される部分から離れるように屈曲した形状を呈している。第1梁部321cは、Z軸方向における第1支持部321の厚さがZ軸方向における第1トーションバー311の厚さよりも大きくなるように、第1本体部321a及び第1接続部321bに形成されている。第1梁部321cは、第1本体部321aと第1接続部321bとに渡って延在しており、フレーム梁部376に接続されている。第1梁部321cは、ハンドル層391及び中間層393の一部によって形成されている。Y軸方向における第1梁部321cの幅は、Y軸方向における第1本体部321aの幅よりも小さい。第1梁部321cは、第1本体部321a及び第1接続部321bを構成するデバイス層392の表面392bに形成されている。光学デバイス301では、第1梁部321cは、Z軸方向において、第1及び第2トーションバー311,312を構成するデバイス層392の表面392bから突出した部分である。第1梁部321cを構成するハンドル層391は、ベース305を構成するハンドル層391よりも薄い。
【0152】
第2支持部322は、第2本体部322aと、第2接続部322bと、第2梁部322cと、を有している。第2本体部322aは、第2本体部322aと第1トーションバー311との間に隙間が形成された状態で、X軸方向に沿って延在している。第2本体部322aは、デバイス層392の一部によって形成されている。第2接続部322bは、第2本体部322a及び可動部307に接続されている。第2接続部322bは、第2本体部322aと可動部307(光学デバイス301では、フレーム373)との間に架け渡されている。第2接続部322bは、デバイス層392の一部によって形成されている。第2接続部322bは、第1トーションバー311のうち可動部307に接続される部分から離れるように屈曲した形状を呈している。第2梁部322cは、Z軸方向における第2支持部322の厚さがZ軸方向における第1トーションバー311の厚さよりも大きくなるように、第2本体部322a及び第2接続部322bに形成されている。第2梁部322cは、第2本体部322aと第2接続部322bとに渡って延在しており、フレーム梁部376に接続されている。第2梁部322cは、ハンドル層391及び中間層393の一部によって形成されている。Y軸方向における第2梁部322cの幅は、Y軸方向における第2本体部322aの幅よりも小さい。第2梁部322cは、第2本体部322a及び第2接続部322bを構成するデバイス層392の表面392bに形成されている。光学デバイス301では、第2梁部322cは、Z軸方向において、第1及び第2トーションバー311,312を構成するデバイス層392の表面392bから突出した部分である。第2梁部322cを構成するハンドル層391は、ベース305を構成するハンドル層391よりも薄い。
【0153】
第3支持部323は、第3本体部323aと、第3接続部323bと、第3梁部323cと、を有している。第3本体部323aは、第3本体部323aと第2トーションバー312との間に隙間が形成された状態で、X軸方向に沿って延在している。第3本体部323aは、デバイス層392の一部によって形成されている。第3接続部323bは、第3本体部323a及び可動部307に接続されている。第3接続部323bは、第3本体部323aと可動部307(光学デバイス301では、フレーム373)との間に架け渡されている。第3接続部323bは、デバイス層392の一部によって形成されている。第3接続部323bは、第2トーションバー312のうち可動部307に接続される部分から離れるように屈曲した形状を呈している。第3梁部323cは、Z軸方向における第3支持部323の厚さがZ軸方向における第2トーションバー312の厚さよりも大きくなるように、第3本体部323a及び第3接続部323bに形成されている。第3梁部323cは、第3本体部323aと第3接続部323bとに渡って延在しており、フレーム梁部376に接続されている。第3梁部323cは、ハンドル層391及び中間層393の一部によって形成されている。Y軸方向における第3梁部323cの幅は、Y軸方向における第3本体部323aの幅よりも小さい。第3梁部323cは、第3本体部323a及び第3接続部323bを構成するデバイス層392の表面392bに形成されている。光学デバイス301では、第3梁部323cは、Z軸方向において、第1及び第2トーションバー311,312を構成するデバイス層392の表面392bから突出した部分である。第3梁部323cを構成するハンドル層391は、ベース305を構成するハンドル層391よりも薄い。
【0154】
第4支持部324は、第4本体部324aと、第4接続部324bと、第4梁部324cと、を有している。第4本体部324aは、第4本体部324aと第2トーションバー312との間に隙間が形成された状態で、X軸方向に沿って延在している。第4本体部324aは、デバイス層392の一部によって形成されている。第4接続部324bは、第4本体部324a及び可動部307に接続されている。第4接続部324bは、第4本体部324aと可動部307(光学デバイス301では、フレーム373)との間に架け渡されている。第4接続部324bは、デバイス層392の一部によって形成されている。第4接続部324bは、第2トーションバー312のうち可動部307に接続される部分から離れるように屈曲した形状を呈している。第4梁部324cは、Z軸方向における第4支持部324の厚さがZ軸方向における第2トーションバー312の厚さよりも大きくなるように、第4本体部324a及び第4接続部324bに形成されている。第4梁部324cは、第4本体部324aと第4接続部324bとに渡って延在しており、フレーム梁部376に接続されている。第4梁部324cは、ハンドル層391及び中間層393の一部によって形成されている。Y軸方向における第4梁部324cの幅は、Y軸方向における第4本体部324aの幅よりも小さい。第4梁部324cは、第4本体部324a及び第4接続部324bを構成するデバイス層392の表面392bに形成されている。光学デバイス301では、第4梁部324cは、Z軸方向において、第1及び第2トーションバー311,312を構成するデバイス層392の表面392bから突出した部分である。第4梁部324cを構成するハンドル層391は、ベース305を構成するハンドル層391よりも薄い。
【0155】
光学デバイス301は、第1可動櫛歯電極331と、第2可動櫛歯電極332と、第3可動櫛歯電極333と、第4可動櫛歯電極334と、第5可動櫛歯電極335と、第6可動櫛歯電極336と、を更に備えている。第1可動櫛歯電極331は、第1支持部321の第1本体部321aに設けられている。第2可動櫛歯電極332は、第2支持部322の第2本体部322aに設けられている。第3可動櫛歯電極333は、第3支持部323の第3本体部323aに設けられている。第4可動櫛歯電極334は、第4支持部324の第4本体部324aに設けられている。第5可動櫛歯電極335は、可動部307のうち第1端部307aを含む部分に設けられている。第1端部307aは、Y軸方向における可動部307の一方の側の端部である。光学デバイス301では、フレーム373のうち、第1支持部321の第1接続部321bと第3支持部323の第3接続部323bとの間の部分であって、第1端部307aを含む部分に、第5可動櫛歯電極335が設けられている。第6可動櫛歯電極336は、可動部307のうち第2端部307bを含む部分に設けられている。第2端部307bは、Y軸方向における可動部307の他方の側の端部である。光学デバイス301では、フレーム373のうち、第2支持部322の第2接続部322bと第4支持部324の第4接続部324bとの間の部分であって、第2端部307bを含む部分に、第6可動櫛歯電極336が設けられている。
【0156】
第1可動櫛歯電極331は、デバイス層392の一部によって形成されている。第1可動櫛歯電極331は、X軸方向から見た場合に、第1支持部321の第1本体部321aと可動部307の第1端部307aとの間に配置されている。第1可動櫛歯電極331は、複数の第1可動櫛歯331aを有している。各第1可動櫛歯331aは、第1支持部321の第1本体部321aにおける第1トーションバー311とは反対側の側面に設けられている。各第1可動櫛歯331aは、X軸方向に垂直な平面に沿って延在している。複数の第1可動櫛歯331aは、X軸方向において互いに隣り合う第1可動櫛歯331a間の間隔が一定となるように配列されている。
【0157】
第2可動櫛歯電極332は、デバイス層392の一部によって形成されている。第2可動櫛歯電極332は、X軸方向から見た場合に、第2支持部322の第2本体部322aと可動部307の第2端部307bとの間に配置されている。第2可動櫛歯電極332は、複数の第2可動櫛歯332aを有している。各第2可動櫛歯332aは、第2支持部322の第2本体部322aにおける第1トーションバー311とは反対側の側面に設けられている。各第2可動櫛歯332aは、X軸方向に垂直な平面に沿って延在している。複数の第2可動櫛歯332aは、X軸方向において互いに隣り合う第2可動櫛歯332a間の間隔が一定となるように配列されている。
【0158】
第3可動櫛歯電極333は、デバイス層392の一部によって形成されている。第3可動櫛歯電極333は、X軸方向から見た場合に、第3支持部323の第3本体部323aと可動部307の第1端部307aとの間に配置されている。第3可動櫛歯電極333は、複数の第3可動櫛歯333aを有している。各第3可動櫛歯333aは、第3支持部323の第3本体部323aにおける第2トーションバー312とは反対側の側面に設けられている。各第3可動櫛歯333aは、X軸方向に垂直な平面に沿って延在している。複数の第3可動櫛歯333aは、X軸方向において互いに隣り合う第3可動櫛歯333a間の間隔が一定となるように配列されている。
【0159】
第4可動櫛歯電極334は、デバイス層392の一部によって形成されている。第4可動櫛歯電極334は、X軸方向から見た場合に、第4支持部324の第4本体部324aと可動部307の第2端部307bとの間に配置されている。第4可動櫛歯電極334は、複数の第4可動櫛歯334aを有している。各第4可動櫛歯334aは、第4支持部324の第4本体部324aにおける第2トーションバー312とは反対側の側面に設けられている。各第4可動櫛歯334aは、X軸方向に垂直な平面に沿って延在している。複数の第4可動櫛歯334aは、X軸方向において互いに隣り合う第4可動櫛歯334a間の間隔が一定となるように配列されている。
【0160】
第5可動櫛歯電極335は、デバイス層392の一部によって形成されている。第5可動櫛歯電極335は、複数の第5可動櫛歯335aを有している。各第5可動櫛歯335aは、フレーム373のうち第1端部307aを含む部分における第5本体部372とは反対側の側面に設けられている。各第5可動櫛歯335aは、X軸方向に垂直な平面に沿って延在している。複数の第5可動櫛歯335aは、X軸方向において互いに隣り合う第5可動櫛歯335a間の間隔が一定となるように配列されている。
【0161】
第6可動櫛歯電極336は、デバイス層392の一部によって形成されている。第6可動櫛歯電極336は、複数の第6可動櫛歯336aを有している。各第6可動櫛歯336aは、フレーム373のうち第2端部307bを含む部分における第5本体部372とは反対側の側面に設けられている。各第6可動櫛歯336aは、X軸方向に垂直な平面に沿って延在している。複数の第6可動櫛歯336aは、X軸方向において互いに隣り合う第6可動櫛歯336a間の間隔が一定となるように配列されている。
【0162】
光学デバイス301は、第1固定櫛歯電極341と、第2固定櫛歯電極342と、第3固定櫛歯電極343と、第4固定櫛歯電極344と、第5固定櫛歯電極345と、第6固定櫛歯電極346と、を更に備えている。第1固定櫛歯電極341、第2固定櫛歯電極342、第3固定櫛歯電極343、第4固定櫛歯電極344、第5固定櫛歯電極345及び第6固定櫛歯電極346は、ベース305に設けられている。
【0163】
第1固定櫛歯電極341は、デバイス層392の一部によって形成されている。第1固定櫛歯電極341は、複数の第1固定櫛歯341aを有している。各第1固定櫛歯341aは、複数の第1可動櫛歯331aが設けられた第1本体部321aの側面と対向するベース305の側面に設けられている。各第1固定櫛歯341aは、X軸方向に垂直な平面に沿って延在している。複数の第1固定櫛歯341aは、X軸方向において互いに隣り合う第1固定櫛歯341a間の間隔が一定となるように配列されており、複数の第1可動櫛歯331aと互い違いに配置されている。隣り合う第1可動櫛歯331aと第1固定櫛歯341aとは、X軸方向において互いに向かい合っている。隣り合う第1可動櫛歯331aと第1固定櫛歯341aとの間隔は、例えば、数μm程度である。
【0164】
第2固定櫛歯電極342は、デバイス層392の一部によって形成されている。第2固定櫛歯電極342は、複数の第2固定櫛歯342aを有している。各第2固定櫛歯342aは、複数の第2可動櫛歯332aが設けられた第2本体部322aの側面と対向するベース305の側面に設けられている。各第2固定櫛歯342aは、X軸方向に垂直な平面に沿って延在している。複数の第2固定櫛歯342aは、X軸方向において互いに隣り合う第2固定櫛歯342a間の間隔が一定となるように配列されており、複数の第2可動櫛歯332aと互い違いに配置されている。隣り合う第2可動櫛歯332aと第2固定櫛歯342aとは、X軸方向において互いに向かい合っている。隣り合う第2可動櫛歯332aと第2固定櫛歯342aとの間隔は、例えば、数μm程度である。
【0165】
第3固定櫛歯電極343は、デバイス層392の一部によって形成されている。第3固定櫛歯電極343は、複数の第3固定櫛歯343aを有している。各第3固定櫛歯343aは、複数の第3可動櫛歯333aが設けられた第3本体部323aの側面と対向するベース305の側面に設けられている。各第3固定櫛歯343aは、X軸方向に垂直な平面に沿って延在している。複数の第3固定櫛歯343aは、X軸方向において互いに隣り合う第3固定櫛歯343a間の間隔が一定となるように配列されており、複数の第3可動櫛歯333aと互い違いに配置されている。隣り合う第3可動櫛歯333aと第3固定櫛歯343aとは、X軸方向において互いに向かい合っている。隣り合う第3可動櫛歯333aと第3固定櫛歯343aとの間隔は、例えば、数μm程度である。
【0166】
第4固定櫛歯電極344は、デバイス層392の一部によって形成されている。第4固定櫛歯電極344は、複数の第4固定櫛歯344aを有している。各第4固定櫛歯344aは、複数の第4可動櫛歯334aが設けられた第4本体部324aの側面と対向するベース305の側面に設けられている。各第4固定櫛歯344aは、X軸方向に垂直な平面に沿って延在している。複数の第4固定櫛歯344aは、X軸方向において互いに隣り合う第4固定櫛歯344a間の間隔が一定となるように配列されており、複数の第4可動櫛歯334aと互い違いに配置されている。隣り合う第4可動櫛歯334aと第4固定櫛歯344aとは、X軸方向において互いに向かい合っている。隣り合う第4可動櫛歯334aと第4固定櫛歯344aとの間隔は、例えば、数μm程度である。
【0167】
第5固定櫛歯電極345は、デバイス層392の一部によって形成されている。第5固定櫛歯電極345は、複数の第5固定櫛歯345aを有している。各第5固定櫛歯345aは、複数の第5可動櫛歯335aが設けられたフレーム373の側面と対向するベース305の側面に設けられている。各第5固定櫛歯345aは、X軸方向に垂直な平面に沿って延在している。複数の第5固定櫛歯345aは、X軸方向において互いに隣り合う第5固定櫛歯345a間の間隔が一定となるように配列されており、複数の第5可動櫛歯335aと互い違いに配置されている。隣り合う第5可動櫛歯335aと第5固定櫛歯345aとは、X軸方向において互いに向かい合っている。隣り合う第5可動櫛歯335aと第5固定櫛歯345aとの間隔は、例えば、数μm程度である。
【0168】
第6固定櫛歯電極346は、デバイス層392の一部によって形成されている。第6固定櫛歯電極346は、複数の第6固定櫛歯346aを有している。各第6固定櫛歯346aは、複数の第6可動櫛歯336aが設けられたフレーム373の側面と対向するベース305の側面に設けられている。各第6固定櫛歯346aは、X軸方向に垂直な平面に沿って延在している。複数の第6固定櫛歯346aは、X軸方向において互いに隣り合う第6固定櫛歯346a間の間隔が一定となるように配列されており、複数の第6可動櫛歯336aと互い違いに配置されている。隣り合う第6可動櫛歯336aと第6固定櫛歯346aとは、X軸方向において互いに向かい合っている。隣り合う第6可動櫛歯336aと第6固定櫛歯346aとの間隔は、例えば、数μm程度である。
【0169】
ベース305を構成するデバイス層392の表面392aには、複数の電極パッド302,303,304が設けられている。ベース305を構成するデバイス層392には、その一部が溝によって画定されることで、複数の配線部351,352,353が形成されている。各電極パッド302は、各配線部351を介して、第1可動櫛歯電極331、第2可動櫛歯電極332、第3可動櫛歯電極333、第4可動櫛歯電極334、第5可動櫛歯電極335及び第6可動櫛歯電極336と電気的に接続されている。第5固定櫛歯電極345の近傍に位置する電極パッド303は、第5固定櫛歯電極345の近傍に位置する配線部352を介して、第5固定櫛歯電極345に電気的に接続されている。第6固定櫛歯電極346の近傍に位置する電極パッド303は、第6固定櫛歯電極346の近傍に位置する配線部352を介して、第6固定櫛歯電極346と電気的に接続されている。第1固定櫛歯電極341の近傍に位置する電極パッド304は、第1固定櫛歯電極341の近傍に位置する配線部353を介して、第1固定櫛歯電極341と電気的に接続されている。第2固定櫛歯電極342の近傍に位置する電極パッド304は、第2固定櫛歯電極342の近傍に位置する配線部353を介して、第2固定櫛歯電極342と電気的に接続されている。第3固定櫛歯電極343の近傍に位置する電極パッド304は、第3固定櫛歯電極343の近傍に位置する配線部353を介して、第3固定櫛歯電極343と電気的に接続されている。第4固定櫛歯電極344の近傍に位置する電極パッド304は、第4固定櫛歯電極344の近傍に位置する配線部353を介して、第4固定櫛歯電極344と電気的に接続されている。なお、
図24及び
図25では、複数の電極パッド302,303,304の図示が省略されている。
【0170】
第5可動櫛歯電極335及び第5固定櫛歯電極345、並びに、第6可動櫛歯電極336及び第6固定櫛歯電極346は、駆動用の電極として用いられる。具体的には、複数の電極パッド302,303を介して、第5可動櫛歯電極335と第5固定櫛歯電極345との間、及び第6可動櫛歯電極336と第6固定櫛歯電極346との間のそれぞれに電圧が周期的に印加される。これにより、第5可動櫛歯電極335と第5固定櫛歯電極345との間、及び第6可動櫛歯電極336と第6固定櫛歯電極346との間のそれぞれに静電気力が発生し、第1トーションバー311及び第2トーションバー312に弾性力が生じる。光学デバイス301では、複数の電極パッド302,303に周期的な電気信号を付与することで、軸線L301を中心線として可動部307をその共振周波数レベルで揺動させることができる(すなわち、光学機能部371が揺動する)。
【0171】
第1可動櫛歯電極331及び第1固定櫛歯電極341、第2可動櫛歯電極332及び第2固定櫛歯電極342、第3可動櫛歯電極333及び第3固定櫛歯電極343、並びに、第4可動櫛歯電極334及び第4固定櫛歯電極344は、モニタ用の電極として用いられる。具体的には、複数の電極パッド302,304を介して、第1可動櫛歯電極331と第1固定櫛歯電極341との間、第2可動櫛歯電極332と第2固定櫛歯電極342との間、第3可動櫛歯電極333と第3固定櫛歯電極343との間、及び第4可動櫛歯電極334と第4固定櫛歯電極344との間のそれぞれの静電容量が検出される。当該静電容量は、可動部307の揺動角度(すなわち、光学機能部371の揺動角度)に応じて変化する。したがって、検出された静電容量に応じて駆動信号(印加する電圧の大きさ、周期等)を調整することで、可動部307の揺動角度(すなわち、光学機能部371の揺動角度)をフィードバック制御することができる。
【0172】
光学デバイス301では、光学機能部371及び複数の電極パッド303,304を除く部分が、MEMS技術(パターニング及びエッチング)によってSOI基板309において一体的に形成されている。光学デバイス301では、少なくとも、SOI基板309において一体的に形成された部分が、Z軸方向から見た場合に、軸線L301に関して線対称となり且つ軸線L302に関して線対称となる形状を呈している。
【0173】
第2実施形態の光学デバイス301は、上記第1実施形態に係るミラーデバイス20の製造方法と同様の製造方法によって製造することができる。すなわち、第1及び第2レジスト層をマスクとして用いた2段階のエッチングにより、梁部(本体梁部375、フレーム梁部376、接続梁部377並びに第1、第2、第3及び第4梁部321c,322c,323c,324c)を形成することができる。この場合、上記第1実施形態と同様に、梁部を精度良く形成することができる。なお、
図23~
図25には、上述した段差面107に対応する段差面3107が示されている。
[第3実施形態]
【0174】
図26~
図28を参照しつつ、第3実施形態に係る光学デバイス401について説明する。光学デバイス401は、支持部(ベース)(基部)402と、第1可動部403と、第2可動部(基部)404と、一対の第1トーションバー(弾性支持部)405,406と、一対の第2トーションバー(弾性支持部)407,408と、磁界発生部409と、を備えている。
【0175】
光学デバイス401では、互いに直交するX軸(第1軸線)及びY軸(第1軸線に垂直な第2軸線)のそれぞれの周りに、ミラー面(光学機能部)410が配置された第1可動部403が揺動させられる。光学デバイス401は、例えば、光通信用光スイッチ、光スキャナ等に用いられる。
【0176】
支持部402、第1可動部403、第2可動部404、一対の第1トーションバー405,406及び一対の第2トーションバー407,408は、例えばSOI(Silicon on Insulator)基板(半導体基板)460によって一体的に形成されている。つまり、光学デバイス401は、MEMSデバイスとして構成されている。SOI基板460は、支持層461、デバイス層462及び中間層463を有している。支持層461は、第1シリコン層(第1半導体層)である。デバイス層462は、第2シリコン層(第2半導体層)である。中間層463は、支持層461とデバイス層462との間に配置された絶縁層である。
【0177】
磁界発生部409は、例えばハルバッハ配列がとられた永久磁石等によって構成されている。磁界発生部409は、例えば、平面視においてX軸及びY軸のそれぞれに対して45度傾斜した向きDの磁界を発生させ、後述するコイル414に作用させる。なお、「平面視において」とは、「ミラー面410に垂直な方向から見た場合に」との意味であり、換言すれば、「X軸及びY軸に垂直な方向から見た場合に」との意味である。磁界発生部409が発生させる磁界の向きDは、平面視においてX軸及びY軸に対して45度以外の角度で傾斜していてもよい。
【0178】
支持部402は、例えば、平面視において四角形状の外形を有し、枠状に形成されている。支持部402は、磁界発生部409に対してX軸及びY軸に垂直な方向における一方側に配置されている。支持部402は、第1可動部403及び第2可動部404等を支持している。支持部402は、支持層461、デバイス層462及び中間層463の一部によって構成されている。
【0179】
第1可動部403は、磁界発生部409から離間した状態で、支持部402の内側に配置されている。第1可動部403は、平面視においてX軸及びY軸のそれぞれに関して対称な形状を有している。第1可動部403は、本体部403aと、環状部403bと、梁部403cと、を有している。本体部403a及び環状部403bは、デバイス層462の一部によって構成されている。
【0180】
本体部403aは、平面視において円形状を呈しているが、楕円形状、四角形状、菱形状等の任意の形状に形成されてもよい。平面視における本体部403aの中心Pは、X軸とY軸との交点と一致している。本体部403aにおける磁界発生部409とは反対側の表面(本体部403aを構成するデバイス層462における中間層463とは反対側の表面)には、例えばアルミニウムからなる金属膜によって円形状のミラー面410が設けられている。ミラー面410は、当該表面における略全面に設けられているが、当該表面の一部に設けられてもよい。環状部403bは、平面視において本体部403aを囲むように環状に形成されている。環状部403bは、平面視において八角形状の外形を有しているが、円形状、楕円形状、四角形状、菱形状等の任意の外形を有していてもよい。環状部403bは、Y軸に平行なY軸方向の両側において本体部403aに接続されている。
【0181】
梁部403cは、デバイス層462上に配置された支持層461及び中間層463によって構成されている。梁部403cは、中央部403caと、複数(この例では8個)の延在部403cbと、を有している。中央部403caは、本体部403aの中心Pに配置されており、平面視において略円形状を呈している。複数の延在部403cbは、中央部403caから放射状に真っ直ぐに延在している。中央部403ca及び延在部403cbを構成する支持層461は、ベース402を構成する支持層461よりも薄い。
【0182】
第2可動部404は、枠状に形成されており、磁界発生部409から離間した状態で、第1可動部403を囲むように支持部402の内側に配置されている。第2可動部404は、一対の第1接続部441A,441Bと、一対の第2接続部442A,442Bと、一対の第1直線状部443A,443Bと、一対の第2直線状部444A,444Bと、一対の第3直線状部445A,445Bと、一対の第4直線状部446A,446Bと、梁部447と、を有している。接続部441A~442B及び直線状部443A~446Bは、デバイス層462の一部によって構成されている。第2可動部404は、平面視においてX軸及びY軸のそれぞれに関して対称な形状を有している。以下の説明において、X軸又はY軸に関して対称とは、平面視における対称をいう。
【0183】
第1接続部441A,441Bは、X軸に平行なX軸方向における第1可動部403の両側に位置している。各第1接続部441A,441Bは、Y軸方向に沿って延在している。第2接続部442A,442Bは、Y軸に平行なY軸方向における第1可動部403の両側に位置している。各第2接続部442A,442Bは、X軸方向に沿って延在している。平面視における各第2接続部442A,442Bの内縁は、Y軸方向に窪む凹部451を有しており、平面視における各第2接続部442A,442Bの外縁は、Y軸方向に突出する凸部452を有している。凹部451及び凸部452は、平面視においてY軸上に位置している。
【0184】
第1直線状部443A,443Bは、X軸方向における第2接続部442Aの両側に位置し、第2接続部442Aに接続されている。各第1直線状部443A,443Bは、X軸方向に沿って延在している。第1直線状部443A,443Bは、Y軸に関して互いに対称に配置されている。第2直線状部444A,444Bは、X軸方向における第2接続部442Bの両側に位置し、第2接続部442Bに接続されている。各第2直線状部444A,444Bは、X軸方向に沿って延在している。第2直線状部444A,444Bは、Y軸に関して互いに対称に配置されている。
【0185】
第3直線状部445A,445Bは、各第1直線状部443A,443Bに対して第2接続部442Aとは反対側に位置し、第1直線状部443A,443Bと第1接続部441A,441Bとに接続されている。第3直線状部445Aは、平面視において、X軸及びY軸のそれぞれに対して45度傾斜した方向に沿って延在している。第3直線状部445Bは、第3直線状部445Aに対してY軸に関して対称に延在している。
【0186】
第4直線状部446A,446Bは、各第2直線状部444A,444Bに対して第2接続部442Bとは反対側に位置し、第2直線状部444A,444Bと第1接続部441A,441Bとに接続されている。第4直線状部446Aは、第3直線状部445Aに対してX軸に関して対称に延在している。第4直線状部446Bは、第4直線状部446Aに対してY軸に関して対称に延在すると共に、第3直線状部445Bに対してX軸に関して対称に延在している。
【0187】
梁部447は、デバイス層462上に配置された支持層461及び中間層463によって構成されている。梁部447は、接続部441A~442B及び直線状部443A~446B上に配置され、平面視において第1可動部403を囲むように環状に延在している。第1接続部441A,441B及び直線状部445A~446Bにおける梁部447の幅は、第2接続部442A,442B及び直線状部443A~444Bにおける梁部447の幅よりも狭い。梁部447を構成する支持層461は、ベース402を構成する支持層461よりも薄い。
【0188】
第1トーションバー405,406は、X軸上における第1可動部403の両側に配置されている。第1トーションバー405,406は、第1可動部403がX軸周りに(X軸を中心線として)揺動可能となるように、X軸上において第1可動部403(環状部403b)と第2可動部404とを互いに連結している。第1トーションバー405,406は、後述するように、第2可動部404及び第2トーションバー407,408を介して支持部402に接続されている。つまり、第1トーションバー405,406は、第1可動部403がX軸周りに揺動可能となるように、第1可動部403と支持部402とを互いに連結しているとみなすこともできる。第1トーションバー405,406は、第1接続部441A,441Bにおいて第2可動部404に接続されている。各第1トーションバー405,406は、第1可動部403がX軸周りに揺動する際に捩れ変形する。各第1トーションバー405,406は、ミラー面410に平行な平面に沿って延在する板状を呈している。各第1トーションバー405,406の全体は、X軸上に位置している。第1トーションバー406は、第1トーションバー405に対してY軸に関して対称に配置されている。第1トーションバー405,406は、デバイス層462の一部によって構成されている。
【0189】
第2トーションバー407,408は、Y軸上における第2可動部404の両側に配置されている。第2トーションバー407,408は、第2可動部404がY軸周りに(Y軸を中心線として)揺動可能となるように、Y軸上において第2可動部404と支持部402とを互いに連結している。第2トーションバー407,408は、第2接続部442A,442Bにおいて第2可動部404に接続されている。各第2トーションバー407,408は、第2可動部404がY軸周りに揺動する際に捩れ変形する。各第2トーションバー407,408は、平面視において蛇行して延在している。各第2トーションバー407,408は、複数の直線状部411と、複数の折り返し部412と、を有している。複数の直線状部411は、それぞれY軸方向に沿って延在し、X軸方向に並んで配置されている。複数の折り返し部412は、隣り合う直線状部411の両端を交互に連結している。第2トーションバー407,408は、デバイス層462の一部によって構成されている。
【0190】
光学デバイス401は、一対のコイル414,415と、第1配線421と、第2配線422と、第3配線423と、第4配線424と、第1外部端子425と、第2外部端子426と、第3外部端子427と、第4外部端子428と、を更に備えている。各コイル414,415は、第1可動部403を囲むように第2可動部404に設けられ、平面視において渦巻き状を呈している。各コイル414,415は、X軸及びY軸を含む平面に沿って配置されている。各コイル414,415は、第1可動部403の周りに複数回巻回されている。一対のコイル414,415は、平面視において第2可動部404の幅方向に互い違いに並ぶように、配置されている。
図26では、コイル414,415が配置されている配置領域R401がハッチングで示されている。コイル414,415は、例えば、第2可動部404に埋め込まれたダマシン配線である。
【0191】
各外部端子425~428は、例えば、支持部402に設けられた電極パッドである。第1配線421は、コイル414の内側端部と第1外部端子425とに電気的に接続されている。第1配線421は、コイル414の内側端部から第2トーションバー407を介して第1外部端子425まで延在している。第2配線422は、コイル414の外側端部と第2外部端子426とに電気的に接続されている。第2配線422は、例えばY軸上においてコイル414の外側端部に接続されている。第2配線422は、コイル414の外側端部から第2トーションバー408を介して第2外部端子426まで延在している。
【0192】
第3配線423は、コイル415の内側端部と第3外部端子427とに電気的に接続されている。第3配線423は、コイル415の内側端部から第2トーションバー407を介して第3外部端子427まで延在している。第4配線424は、コイル415の外側端部と第4外部端子428とに電気的に接続されている。第4配線424は、例えばY軸上においてコイル415の外側端部に接続されている。第4配線424は、コイル415の外側端部から第2トーションバー408を介して第4外部端子428まで延在している。
【0193】
以上のように構成された光学デバイス401では、各外部端子425,426及び各配線421,422を介してコイル414にリニア動作用の駆動信号が入力されると、磁界発生部409が発生する磁界との相互作用によってコイル414にローレンツ力が作用する。当該ローレンツ力と第2トーションバー407,408の弾性力とのつり合いを利用することで、Y軸周りにミラー面410(第1可動部403)を第2可動部404と共にリニア動作させることができる。
【0194】
一方、各外部端子427,428及び各配線423,424を介してコイル415に共振動作用の駆動信号が入力されると、磁界発生部409が発生する磁界との相互作用によってコイル415にローレンツ力が作用する。当該ローレンツ力に加え、共振周波数での第1可動部403の共振を利用することで、X軸周りにミラー面410(第1可動部403)を共振動作させることができる。具体的には、X軸周りにおける第1可動部403の共振周波数に等しい周波数の駆動信号がコイル415に入力されると、第2可動部404がX軸周りに当該周波数で僅かに振動する。この振動が第1トーションバー405,406を介して第1可動部403に伝わることにより、第1可動部403をX軸周りに当該周波数で揺動させることができる。
【0195】
第3実施形態の光学デバイス401は、上記第1実施形態に係るミラーデバイス20の製造方法と同様の製造方法によって製造することができる。すなわち、第1及び第2レジスト層をマスクとして用いた2段階のエッチングにより、梁部(梁部403c及び梁部447)を形成することができる。この場合、上記第1実施形態と同様に、梁部を精度良く形成することができる。なお、
図27及び28には、上述した段差面107に対応する段差面4107が示されている。
【0196】
光学デバイス401では、第1可動部403の駆動が電磁力によって行われたが、第1可動部403の駆動は、圧電素子によって行われてもよい。この場合、例えば、第2可動部404には、コイル414,415に代えて、第1可動部403をX軸周りに揺動させるための第1圧電膜が設けられる。第1圧電膜は、例えば、Y軸に平行な方向に沿って延在するように、第1接続部441A,441B、第3直線状部445A,445B及び第4直線状部446A,446Bに配置される。また、第2可動部404の外側に第2可動部404を囲むように第3可動部が設けられ、第2可動部404をY軸周りに揺動させるための第2圧電膜が第3可動部に設けられてもよい。第2圧電膜は、例えば、X軸に平行な方向に沿って延在する。磁界発生部409は省略される。以上説明した第1、第2及び第3実施形態又は変形例における各構成は、他の実施形態又は変形例における各構成に任意に適用することができる。
【符号の説明】
【0197】
20…ミラーデバイス(光学デバイス)、21…ベース、21a…第1表面(主面)、21b…第2表面(主面)、22a…ミラー面(光学機能部)、22b…可動部、224…梁部、26…第1弾性支持部、27…第2弾性支持部、100…SOI基板(半導体基板)、101…支持層(第1半導体層)、101a…表面、102…デバイス層(第2半導体層)、102a…表面、103…中間層(絶縁層)、104…第1レジスト層、105…凹部、105a…底面、105b…側面、106…第2レジスト層、281,283…固定櫛歯電極、281a,283a…固定櫛歯、282,284…可動櫛歯電極、282a,284a…可動櫛歯、301…光学デバイス、305…ベース、307…可動部、311…第1トーションバー(弾性支持部)、312…第2トーションバー(弾性支持部)、309…SOI基板(半導体基板)、375…本体梁部、376…フレーム梁部、377…接続梁部、321c…第1梁部、322c…第2梁部、323c…第3梁部、324c…第4梁部、331…第1可動櫛歯電極、331a…第1可動櫛歯、332…第2可動櫛歯電極、332a…第2可動櫛歯、333…第3可動櫛歯電極、333a…第3可動櫛歯、334…第4可動櫛歯電極、334a…第4可動櫛歯、335…第5可動櫛歯電極、335a…第5可動櫛歯、336…第6可動櫛歯電極、336a…第6可動櫛歯、341…第1固定櫛歯電極、341a…第1固定櫛歯、342…第2固定櫛歯電極、342a…第2固定櫛歯、343…第3固定櫛歯電極、343a…第3固定櫛歯、344…第4固定櫛歯電極、344a…第4固定櫛歯、345…第5固定櫛歯電極、345a…第5固定櫛歯、346…第6固定櫛歯電極、346a…第6固定櫛歯、371…光学機能部、391…ハンドル層(第1半導体層)、392…デバイス層(第2半導体層)、393…中間層(絶縁層)、401…光学デバイス、402…支持部(ベース)、403…第1可動部、403c…梁部、404…第2可動部、405,406…第1トーションバー(弾性支持部)、407,408…第2トーションバー(弾性支持部)、410…ミラー面(光学機能部)、414,415…コイル、447…梁部、460…SOI基板(半導体基板)、461…支持層(第1半導体層)、462…デバイス層(第2半導体層)、463…中間層(絶縁層)。