(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-26
(45)【発行日】2024-12-04
(54)【発明の名称】ネクチン4を標的としエキサテカンペイロードを含む抗体薬物コンジュゲート(ADC)
(51)【国際特許分類】
A61K 47/68 20170101AFI20241127BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241127BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20241127BHJP
【FI】
A61K47/68
A61P35/00
A61K39/395 T
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024170351
(22)【出願日】2024-09-30
【審査請求日】2024-10-02
(32)【優先日】2023-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523374873
【氏名又は名称】エマージェンス セラピューティクス ゲーエムベーハー
(73)【特許権者】
【識別番号】316011983
【氏名又は名称】ユニヴェルシテ デクス-マルセイユ
(73)【特許権者】
【識別番号】514154570
【氏名又は名称】インサーム(インスティテュート ナショナル ドゥ ラ サンテ エ ドゥ ラ ルシェルシュ メディカル)
(73)【特許権者】
【識別番号】522138777
【氏名又は名称】アンスティチュ・ジャン・パオリ・エ・イレーヌ・カルメット
(73)【特許権者】
【識別番号】505351201
【氏名又は名称】セントレ ナシオナル デ ラ ルシェルシェ シエンティフィーク
(73)【特許権者】
【識別番号】520144853
【氏名又は名称】マブリンク ビオシオンス
(73)【特許権者】
【識別番号】511196870
【氏名又は名称】ユニベルシテ クロード ベルナール リヨン プルミエ
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100103182
【氏名又は名称】日野 真美
(74)【代理人】
【識別番号】100196966
【氏名又は名称】植田 渉
(72)【発明者】
【氏名】ヤコブス ペトルス マリア エランズ
(72)【発明者】
【氏名】シャビエル プレヴィレ
(72)【発明者】
【氏名】フローレンス ロスピス
(72)【発明者】
【氏名】ヨアンナ フェアス
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル オリーブ
(72)【発明者】
【氏名】マーク ロペス
(72)【発明者】
【氏名】ウォーレン ヴィリセル
(72)【発明者】
【氏名】ベノイト ヨセフ
(72)【発明者】
【氏名】ギー フォーネット
【審査官】三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2022/112356(WO,A1)
【文献】国際公開第2022/207825(WO,A1)
【文献】国際公開第2022/207699(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00- 47/69
A61P 1/00- 43/00
A61K 39/395
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式の抗体-薬物コンジュゲート(ADC)であって、
【化1】
式中、
Abは、ヒトネクチン-4に結合する抗体であり、Abは、可変領域(HCVR)を含む重鎖(HC)及び可変領域(LCVR)を含む軽鎖(LC)を含み、前記HCVRは、重鎖相補性決定領域(HCDR)HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、前記LCVRは、軽鎖相補性決定領域(LCDR)LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
(i)前記HCDR1は、配列番号9(NYGMA)を含み、前記HCDR2は、配列番号10(FISNLAYGINYADTVTG)を含み、前記HCDR3は、配列番号11(GARATGWFAY)を含み、前記LCDR1は、配列番号12(KASQNVDTHVA)を含み、前記LCDR2は、配列番号13(SASYRYS)を含み、前記LCDR3は、配列番号14(QQYNSYPLT)を含むか、又は
(ii)前記HCDR1は、配列番号15(GFTFSNYG)を含み、前記HCDR2は、配列番号16(ISNLAYGI)を含み、前記HCDR3は、配列番号17(ARGARATGWFAY)を含み、前記LCDR1は、配列番号18(QNVDTH)を含み、前記LCDR2は、配列番号19(SAS)を含み、前記LCDR3は、配列番号20(QQYNSYPLT)を含み、
DARは、1~8である、ADC。
【請求項2】
前記HCVRが配列番号7を含み、前記LCVRが配列番号8を含み、かつ/又は前記HCが配列番号5を含み、前記LCが配列番号6を含む、請求項1に記載のADC。
【請求項3】
前記Abが、ヒトIgG1又はIgG4アイソタイプ、好ましくはヒトIgG1アイソタイプを有する、請求項
1に記載のADC。
【請求項4】
下式を有し、
【化2】
式中、Abは、配列番号5のHC及び配列番号6のLCを含み、前記Abは、前記HCのC222位、C228位、C231位のシステインを介して、かつ前記LCのC214のシステインを介してコンジュゲートされている、請求項
1に記載のADC。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか一項に記載のADCを含む組成物であって、前記組成物中の前記ADCの少なくとも約95%が、8のDARを有する、組成物。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか一項に記載のAD
Cと、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤と、を含む、医薬組成物。
【請求項7】
それを必要とする患者におけるがんの治療における使用のための、請求項1~4のいずれか一項に記載のADCを含む組成
物。
【請求項8】
前記がんが、尿路上皮がん、乳がん、肺がん、胃がん、食道がん、結腸直腸がん、膵臓がん、頭頸部がん、卵巣がん、又は前立腺がん、好ましくは尿路上皮がんである、請求項7に記載の組成
物。
【請求項9】
前記患者が、第一選択、第二選択、又は第三選択治療としてエンホルツマブベドチンを以前に投与されており、任意選択で、前記がんが、エンホルツマブベドチンが投与された後に再発しているか、又は前記がんが、エンホルツマブベドチンが投与された後にエンホルツマブベドチンによる治療に対して難治性になっている、請求項
7に記載の組成
物。
【請求項10】
療法における使用のための、請求項1~4のいずれか一項に記載のADCを含む組成物。
【請求項11】
がんの治療のための薬剤の製造のための、請求項1~4のいずれか一項に記載のADCの、使用。
【請求項12】
ADCを生成する方法であって、
(i)ヒトネクチン-4に結合する抗体(Ab)であって、前記Abが、可変領域(HCVR)を有する重鎖(HC)及び可変領域(LCVR)を有する軽鎖(LC)を含み、前記HCVRが、重鎖相補性決定領域(HCDR)HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、前記LCVRが、軽鎖相補性決定領域(LCDR)LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
a)前記HCDR1が、配列番号9(NYGMA)を含み、前記HCDR2が、配列番号10(FISNLAYGINYADTVTG)を含み、前記HCDR3が、配列番号11(GARATGWFAY)を含み、前記LCDR1が、配列番号12(KASQNVDTHVA)を含み、前記LCDR2が、配列番号13(SASYRYS)を含み、前記LCDR3が、配列番号14(QQYNSYPLT)を含むか、又は
b)前記HCDR1が、配列番号15(GFTFSNYG)を含み、前記HCDR2が、配列番号16(ISNLAYGI)を含み、前記HCDR3が、配列番号17(ARGARATGWFAY)を含み、前記LCDR1が、配列番号18(QNVDTH)を含み、前記LCDR2が、配列番号19(SAS)を含み、前記LCDR3が、配列番号20(QQYNSYPLT)を含む、Ab、並びに
(ii)下式の化合物:
【化3】
をコンジュゲートすることを含む、方法。
【請求項13】
前記化合物が、コンジュゲートの間、前記Abに対して少なくとも約8モル過剰で存在する、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(配列表への参照)
本出願は、ST.26XML形式の配列表とともに、提出されている。配列表は、2023年9月27日に作成された「txt_P30825_FR」というタイトルのファイルとして提供され、7,935バイトのサイズである。ST.26XML形式の配列表情報は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は、医学の分野に関する。より詳細には、本開示は、ネクチン-4抗体薬物コンジュゲート及びその医薬組成物、並びにがんの治療におけるそれらの使用に関する。
【0003】
ネクチン-4は、Ca2+非依存性免疫グロブリン様細胞接着分子であるネクチンファミリーのメンバーである。ネクチンファミリーの他のものとは異なり、健常組織におけるネクチン-4発現は、主に胎盤又は胚であるが、ネクチン-4は、尿路上皮、乳房、肺、胃、食道、結腸直腸、膵臓、及び卵巣がんを含むいくつかの腫瘍型において過剰発現される。研究により、いくつかのがん型における高いネクチン-4発現が腫瘍発生と関連付けられている。
【0004】
抗ネクチン-4抗体を含む抗体薬物コンジュゲート(antibody drug conjugate、ADC)が作製されている。これらには、モノメチルアウリスタチンE(monomethyl auristatin E、MMAE)ペイロードを含むADC(国際公開第201247724号)、カンプトテシン類似体ペイロードを有するADC(国際公開第2022112356号及び国際公開第2021151984号)、並びにエキサテカンペイロードを含むADC(国際公開第2022207825号)が含まれる。
【0005】
腫瘍学における使用のためのADCは、健康な細胞よりも腫瘍標的に対する十分な特異性、許容される毒性と同時にバイスタンダー腫瘍細胞に対する所望の活性の維持、並びに細胞内送達を可能にしつつ良好な物理的及び化学的安定性を維持するペイロードの不安定性の制御など、分子の複数の態様のバランスを取らなければならないため、設計するのが非常に困難な化合物である。具体的には、ADCの開発における課題のうちの1つは、ペイロードをADCの抗体にコンジュゲートするのに好適なリンカーを選択することである。リンカーの化学構造は、毒性、特異性、安定性、及び効力を含むADCの様々な特性に影響を及ぼす。
【0006】
現在、1つのFDA承認抗ネクチン-4 ADCが存在し、これは、商品名PADCEV(登録商標)で市販されているエンホルツムマブベドチン-ejfvである。エンホルツムマブベドチンは、モノクローナル抗ネクチン-4抗体と、細胞傷害性ペイロードとしてモノメチルアウリスタチン-E(MMAE)と、を含むADCである。残念ながら、エンホルツムマブベドチンは、標的化腫瘍細胞とは対照的に、皮膚細胞へのエンホルツムマブの無差別な結合に少なくとも部分的に関連し得るいくつかの望ましくない皮膚毒性を示す。加えて、エンホルツムマブベドチンの長期投与は、ヒト患者における薬物抵抗性がんの発生をもたらし得る。Cabaud et al.(Mol Cancer Ther 21(2022):1227-1235)は、前臨床マウスモデルにおいて、多剤抵抗性タンパク質MDR 1/P-糖タンパク質(P-gp)をコードするABCB1発現の抵抗性腫瘍における上方制御を見出した。抵抗性マウスモデルの抗ネクチン-4抗体-MMAEコンジュゲートに対する感受性を、P-gp阻害剤タリキダールによってインビトロ及びインビボで回復させることができた。
【0007】
具体的には、トポイソメラーゼIペイロードを含む抗ネクチン-4 ADCが依然として必要とされている。具体的には、ある特定の抗ネクチン-4 ADCにおいて見られる皮膚科学的事象を回避又はより良好な管理を可能にする抗ネクチン-4 ADCが依然として必要とされている。具体的には、ある特定の抗ネクチン-4 ADCに見られる視神経障害及び/又は末梢神経障害のシグナルを回避する抗ネクチン-4 ADCが依然として必要とされている。具体的には、低い免疫原性、安定したインビボ薬物動態、並びに適切な化学的及び物理的安定性を有する抗ネクチン-4 ADCが依然として必要とされている。追加的に、次の特徴、すなわち、ある特定の腫瘍モデルにおいて測定される改善された抗腫瘍活性、ネクチン-4低腫瘍に対する増強されたバイスタンダー活性、より低い免疫原性、測定可能な抗体エフェクター機能がないこと、並びに/又はより良好な物理的及び化学的安定性のうちの1つ以上を有する抗ネクチン-4 ADCが依然として必要とされている。
【0008】
ここで、本発明者らは、1つ以上のこれらの必要性に対処する新規抗ネクチン-4 ADCを開示する。開示されるADCは、腫瘍発現ネクチン-4に対する選択性を示す抗ネクチン-4抗体、及びエキサテカンを含む新規リンカー-ペイロードを含む。本発明者らは、開示される抗ネクチン-4 ADCが、凝集、毒性、特異性、安定性、及び効力に関連するこれらの改善された特性のうちの1つ以上を示すことを示す。本発明者らはまた、新規抗ネクチン-4 ADCを使用して、エンホルツムマブベドチンによる治療に抵抗性であるがんを含む、アウリスタチン抵抗性がんを治療することができることを示す。
【発明の概要】
【0009】
抗ネクチン-4 ADC及び抗ネクチン-4 ADCを含む組成物が本明細書に提供される。患者におけるがん、例えば、ネクチン-4を発現するがんを治療するために、抗ネクチン-4 ADC又は抗ネクチン-4 ADCを含む組成物を使用する方法も本明細書に提供される。
【0010】
一態様では、ヒトネクチン-4に結合する抗体及びペイロードを含むADCが本明細書に提供される。一態様では、ヒトネクチン-4に結合する抗体をペイロードにコンジュゲートすることによって調製されたADCが本明細書に提供される。ADCにおいて、抗体及びペイロードは、直接又はリンカーを介してのいずれかで共有結合又はコンジュゲートされている。開示されるADCの一態様では、抗体及びペイロードは、リンカーを介して共有結合又はコンジュゲートされる。一態様では、リンカーは、ADCが全身投与される場合に抗体とペイロードとの間の好適な安定した結合又はコンジュゲーションを提供し、リンカーは、ペイロードがADCから放出されるように、ADCがネクチン-4を発現する標的細胞によって内在化される場合に好適な不安定性を提供する。
【0011】
一態様では、ヒトネクチン-4に結合する抗体を含むか、又はそれから調製されたADCが本明細書に提供され、抗体は、重鎖可変領域(heavy chain variable region、HCVR)と、軽鎖可変領域(light chain variable region、LCVR)とを含み、HCVRは、重鎖相補性決定領域(heavy chain complementarity determining region、HCDR)HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、LCVRは、軽鎖相補性決定領域(light chain complementarity determining region、LCDR)LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、
(a)HCDR1は、配列番号9(NYGMA)を含み、HCDR2は、配列番号10(FISNLAYGINYADTVTG)を含み、HCDR3は、配列番号11(GARATGWFAY)を含み、LCDR1は、配列番号12(KASQNVDTHVA)を含み、LCDR2は、配列番号13(SASYRYS)を含み、LCDR3は、配列番号14(QQYNSYPLT)(全てKabat番号付け)を含むか、又は
(b)HCDR1は、配列番号15(GFTFSNYG)を含み、HCDR2は、配列番号16(ISNLAYGI)を含み、HCDR3は、配列番号17(ARGARATGWFAY)を含み、LCDR1は、配列番号18(QNVDTH)を含み、LCDR2は、配列番号19(SAS)を含み、LCDR3は、配列番号20(QQYNSYPLT)(全てIMGT番号付け)を含む。
【0012】
更なる態様では、ヒトネクチン-4に結合する抗体を含むか、又はそれから調製されたADCが本明細書に提供され、抗体は、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含み、HCVRは配列番号7を含み、LCVRは配列番号8を含む。
【0013】
別の態様では、ヒトネクチン-4に結合する抗体を含むか、又はそれから調製されたADCが本明細書に提供され、抗体は、本明細書に開示されるFcエフェクター機能を改変する抗体定常領域に1つ以上の変異、例えば、Fc受容体への抗体の結合の低減をもたらす定常領域に変異を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、L234F、L235E、及びP331S(EU番号付け)から選択される1つ以上の変異、又はL247F、L248E、及びP350S(Kabat番号付け)から選択される1つ以上の変異を含むIgG1重鎖(heavy chain、HC)を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、変異L234F、L235E、及びP331S(EU番号付け)の各々、又は変異L247F、L248E、及びP350S(Kabat番号付け)の各々を含むIgG1重鎖(HC)を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号2に提供される野生型配列に対して、L234F、L235E、及びP331Sから選択される1つ以上の変異を含む鎖(HC)を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号2に提供される野生型配列に対して変異L234F、L235E、及びP331Sの各々を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗体は、配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
【0014】
別の態様では、ヒトネクチン-4に結合する抗体を含むか、又はそれから調製されたADCが本明細書に提供され、抗体は、重鎖(HC)及び軽鎖(light chain、LC)を含み、HCは配列番号5を含み、LCは配列番号6を含む。
【0015】
別の態様では、ペイロードに直接又はリンカーを介してコンジュゲートされたネクチン-4抗体を含むADCが本明細書に提供され、このペイロードは、エキサテカン又はその類似体などの細胞傷害性剤を含み得る。いくつかの実施形態では、ネクチン-4抗体は、1つ以上のシステイン残基のチオール基を介してペイロードにコンジュゲートされている。
【0016】
いくつかの実施形態では、ADCは、抗体のHCに存在する1つ以上のシステイン残基のチオール基を介してコンジュゲートされている抗ネクチン-4抗体を含むか、又はそれから調製され、システイン残基は、任意選択でHCの定常領域に存在する。いくつかの実施形態では、システイン残基は、HCにおいて、C220、C226、C229(EUインデックス番号付け)及びそれらの組み合わせから選択される1つ以上の位置に、又はC233、C239、C242及びそれらの組み合わせ(Kabat番号付け)から選択される位置に存在する。いくつかの実施形態では、抗ネクチン-4抗体は、HCにおいて、C220、C226、C229位(EUインデックス番号付け)、又はC233、C239、C242位(Kabat番号付け)に存在するシステイン残基の各々のチオール基を介してコンジュゲートされている。いくつかの実施形態では、抗ネクチン-4抗体は、抗体のHCに存在する1つ以上のシステイン残基のチオール基を介してコンジュゲートされており、HCは、配列番号5のアミノ酸配列を有し、システイン残基は、HCにおいて、C222、C228、C231及びそれらの組み合わせから選択される位置に存在し、任意選択で、抗ネクチン-4抗体は、C222、C228、及びC231位に存在するシステイン残基の各々のチオール基を介してコンジュゲートされている。いくつかの実施形態では、抗ネクチン-4抗体は、LCに存在するシステイン残基のチオール基を介してコンジュゲートされている。いくつかの実施形態では、抗ネクチン-4抗体は、LCのC末端に存在するシステイン残基のチオール基を介してコンジュゲートされており、任意選択で、LCはカッパ軽鎖であり、システイン残基はC214位に存在する。いくつかの実施形態では、抗ネクチン-4抗体は、抗体のLCに存在する1つ以上のシステイン残基のチオール基を介してコンジュゲートされており、LCは配列番号6のアミノ酸配列を有し、システイン残基はLCにおいてC214位に存在する。いくつかの実施形態では、抗ネクチン-4抗体は、HCにおいて、C220、C226、C229位(EUインデックス番号付け)又はC233、C239、C242位(Kabat番号付け)に存在するシステイン残基のチオール基を介して、かつLCにおいて、C214位に存在するシステイン残基のチオール基を介してコンジュゲートされている。いくつかの実施形態では、抗ネクチン-4抗体は、HCに存在するシステイン残基のチオール基を介してコンジュゲートされており、HCは配列番号5のアミノ酸配列を有し、システインは、C222、C228、及びC231位に存在し、ネクチン-4抗体は、LCに存在するシステイン残基のチオール基を介してコンジュゲートされており、LCは配列番号6のアミノ酸配列を有し、システインはC214位に存在する。
【0017】
更なる態様では、(i)ヒトネクチン-4に結合する抗体、(ii)任意選択で、リンカー、及び(iii)ペイロードを含むか、又はそれらから調製されたADCが本明細書に提供される。更なる態様では、ヒトネクチン-4に結合する抗体を含むADCが本明細書に提供され、抗体は、ペイロードに直接又はリンカーを介してコンジュゲートされている。更なる態様では、ヒトネクチン-4に結合する抗体を、直接又はリンカーを介して間接的のいずれかでペイロードにコンジュゲートすることによって調製されたADCが本明細書に提供される。
【0018】
更なる態様では、(i)ヒトネクチン-4に結合する抗体、(ii)任意選択で、リンカー、及び(iii)エキサテカン若しくはその類似体を含むか、又はそれらから調製されたADCが本明細書に提供される。更なる態様では、ヒトネクチン-4に結合する抗体を含むADCが本明細書に提供され、抗体は、エキサテカン又はその類似体に直接又はリンカーを介してコンジュゲートされている。更なる態様では、直接又はリンカーを介して間接的のいずれかで、ヒトネクチン-4に結合する抗体及びエキサテカン又はその類似体をコンジュゲートすることによって調製されたADCが本明細書に提供される。
【0019】
更なる態様では、ヒトネクチン-4に結合する抗体、任意選択で、リンカー、及びいくつかの態様では「ペイロード」と称され得る、式(P)の化合物を含むADCが本明細書に提供される。
【0020】
【0021】
式(P)の化合物は、エキサテカンと称され得る。
【0022】
更なる態様では、式(P)のペイロードに直接又はリンカーを介してコンジュゲートされたヒトネクチン-4に結合する抗体を含むADCが本明細書に提供される。更なる態様では、直接又はリンカーを介して間接的のいずれかで、ヒトネクチン-4に結合する抗体及び式(P)のペイロードをコンジュゲートすることによって調製されたADCが本明細書に提供される。
【0023】
更なる態様では、化合物が本明細書に提供され、これは、いくつかの態様では、ADCのためのリンカー-ペイロードとして利用され得る。一態様では、本明細書に開示されるADCのためのリンカー-ペイロードとして利用され得る、式(L-P)の化合物が開示され、
【0024】
【化2】
式中、mは、1~6から選択され、nは、1~6から選択され、pは、1~20から選択される。
【0025】
式(L-P)のリンカー-ペイロードのいくつかの実施形態では、mは2である。
【0026】
式(L-P)のリンカー-ペイロードのいくつかの実施形態では、nは2である。
【0027】
式(L-P)のリンカー-ペイロードのいくつかの実施形態では、pは10である。
【0028】
更なる態様では、ヒトネクチン-4に結合する抗体及び式(L-P)の化合物を含むADC、又はヒトネクチン-4に結合する抗体及び式(L-P)の化合物をコンジュゲートすることにより調製されたADCが本明細書に提供される。
【0029】
別の態様では、本明細書に開示されるADCのためのリンカー-ペイロードとして使用され得る、式(L-P’)の化合物本明細書に提供される。
【0030】
【0031】
別の態様では、化合物:(2S,3S,4S,5R,6S)-6-(4-((3S,9S)-40-アミノ-9-(2-(2-(2-(3-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)プロパンアミド)エトキシ)エトキシ)アセトアミド)-1-(((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)アミノ)-11,14,17,20,23,26,29,32,35,38-デカメチル-1,6,10,13,16,19,22,25,28,31,34,37,40-トリデカオキソ-2-オキサ-5,11,14,17,20,23,26,29,32,35,38-ウンデカアザテトラコンタン-3-イル)-2-ニトロフェノキシ)-3,4,5-トリヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-カルボン酸が本明細書に提供され、この化合物は、いくつかの態様では、本明細書に開示されるADCのためのリンカー-ペイロードとして利用され得る。
【0032】
更なる態様では、式(L-P)のリンカー-ペイロードにコンジュゲートされたヒトネクチン-4に結合する抗体を含むADCが本明細書に提供される。更なる態様では、ヒトネクチン-4に結合する抗体及び式(L-P)のリンカー-ペイロードをコンジュゲートすることによって調製されたADCが本明細書に提供される。
【0033】
一態様では、下式(ADC)の抗体-薬物コンジュゲート(ADC)が本明細書に提供され、
【0034】
【化4】
式中、Abは、本明細書に開示されるネクチン-4に結合する抗体であり、mは、1~6から選択され、nは、1~6から選択され、pは、1~20から選択され、DARは、1~8(両端を含む)の範囲の値であり、ADCの薬物-抗体比(drug-antibody ratio、DAR)を表す。
【0035】
式(ADC)のADCのいくつかの実施形態では、mは2である。
【0036】
式(ADC)のADCのいくつかの実施形態では、nは2である。
【0037】
式(ADC)のADCのいくつかの実施形態では、pは10である。
【0038】
式(ADC)のADCのいくつかの実施形態では、DARは8である。
【0039】
式(ADC)のADCのいくつかの実施形態では、ADCの少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%は、8のDARを有する。式(ADC)のADCのいくつかの実施形態では、ADCは組成物中に存在し、組成物中のADCの少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%が8のDARを有する。
【0040】
式(ADC)のADCのいくつかの実施形態では、Abは、1つ以上のシステイン残基のチオール基を介してリンカー-ペイロードにコンジュゲートされている。いくつかの実施形態では、Abは、AbのHC中の1つ以上のシステイン残基のチオール基を介してコンジュゲートされており、任意選択で、HCは、配列番号5のアミノ酸配列を有し、システインは、C222、C228、C231位、及びそれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、Abは、AbのLC中の1つ以上のシステイン残基のチオール基を介してコンジュゲートされ、任意選択で、LCは配列番号6のアミノ酸配列を有し、システインはC214位に存在する。いくつかの実施形態では、Abは配列番号5のHCのC222、C228、及びC231、並びに配列番号6のLCのC214の全てを介してコンジュゲートされている。
【0041】
更なる態様では、式(L-P’)のリンカー-ペイロードにコンジュゲートされたヒトネクチン-4に結合する抗体を含むADCが本明細書に提供される。更なる態様では、ヒトネクチン-4に結合する抗体及び式(L-P’)のリンカー-ペイロードをコンジュゲートすることによって調製されたADCが本明細書に提供される。
【0042】
一態様では、下式(ADC’)の抗体-薬物コンジュゲート(ADC)が本明細書に提供され、
【0043】
【化5】
式中、DARは、1~8(両端を含む)の範囲の値であり、ADCの薬物-抗体比(DAR)を表す。
【0044】
式(ADC’)のADCのいくつかの実施形態では、DARは8である。
【0045】
式(ADC’)のADCのいくつかの実施形態では、ADCの少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%は、8のDARを有する。式(ADC’)のADCのいくつかの実施形態では、ADCは組成物中に存在し、組成物中のADCの少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%が8のDARを有する。
【0046】
式(ADC’)のADCのいくつかの実施形態では、Abは、1つ以上のシステイン残基のチオール基を介してリンカー-ペイロードにコンジュゲートされている。いくつかの実施形態では、Abは、AbのHC中の1つ以上のシステイン残基のチオール基を介してコンジュゲートされており、任意選択で、HCは、配列番号5のアミノ酸配列を有し、システインは、C222、C228、C231位、及びそれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、Abは、AbのLC中の1つ以上のシステイン残基のチオール基を介してコンジュゲートされ、任意選択で、LCは配列番号6のアミノ酸配列を有し、システインはC214位に存在する。いくつかの実施形態では、Abは配列番号5のHCのC222、C228、及びC231、並びに配列番号6のLCのC214の全てを介してコンジュゲートされている。
【0047】
別の態様では、下式(ETx-22)の抗体-薬物コンジュゲート(ADC)が本明細書に提供され、
【0048】
【化6】
式中、Abは、本明細書に開示されるネクチン-4に結合する抗体である。Abは、重鎖(HC)及び軽鎖(LC)を含み、HCは配列番号5を含み、LCは配列番号6を含む。Abは、配列番号5のHCのC222、C228、及びC231、並びに配列番号6のLCのC214を含むシステイン残基のチオール基を介してリンカー-ペイロードにコンジュゲートされている。
【0049】
別の態様では、本明細書に開示される抗ネクチン-4 ADCを含む組成物が本明細書に提供される。抗ネクチン-4 ADCを含む開示される組成物の一態様では、組成物中のADCの少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%は、8のDARを有する。
【0050】
別の態様では、本明細書に開示される抗ネクチン-4抗体と、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤と、を含む医薬組成物が本明細書に提供される。別の態様では、本明細書に開示される抗ネクチン-4 ADCと、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤と、を含む医薬組成物が本明細書に提供される。別の態様では、本明細書に開示される抗ネクチン-4 ADCを含む医薬組成物が本明細書に提供され、組成物中のADCの少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%が8のDARを有する。
【0051】
別の態様では、ネクチン-4発現がんなどのがんの治療を必要とする患者に、有効量の本明細書に開示される抗ネクチン-4 ADCを投与することを含む、がんを治療する方法が本明細書に提供される。更なる態様では、がんの治療を必要とする患者に、有効量の本明細書に開示される抗ネクチン-4 ADCを投与することを含む、がんを治療する方法が本明細書に提供され、がんは、尿路上皮がん、乳がん、肺がん、胃がん、食道がん、結腸直腸がん、膵臓がん、頭頸部がん、卵巣がん、又は前立腺がんである。別の態様では、がんの治療を必要とする患者に、有効量の本明細書に開示される抗ネクチン-4 ADCを投与することを含む、がんを治療する方法が本明細書に提供され、任意選択で、がんは、ネクチン-4結合剤及びアウリスタチン、例えば、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)を含むADCによる治療に抵抗性である。別の態様では、がんの治療を必要とする患者に、有効量の本明細書に開示される抗ネクチン-4 ADCを投与することを含む、がんを治療する方法が本明細書に提供され、患者は、エンホルツマブベドチン、任意選択で、商品名Padcev(登録商標)で市販されているエンホルツマブベドチン-ejfvを以前に投与されている。
【0052】
別の態様では、ネクチン-4発現がんなどの本明細書に開示されるがんに罹患している患者にADCを投与することを含む方法において使用するための、ネクチン-4結合剤及びエキサテカンを含むADCが本明細書に提供される。任意選択で、がんは、ネクチン-4結合剤及びアウリスタチン、例えば、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)を含むADCによる治療に抵抗性である。別の態様では、ネクチン-4発現がんに罹患している患者にADCを投与することを含む方法において使用するための、ネクチン-4結合剤及びエキサテカンを含むADCが本明細書に提供され、患者は、エンホルツマブベドチン、任意選択で、商品名Padcev(登録商標)で市販されているエンホルツマブベドチン-ejfvを以前に投与されている。
【0053】
別の態様では、ネクチン-4発現がんなどのがんの治療に使用するための、ネクチン-4結合剤及びエキサテカンを含む医薬組成物が本明細書に提供される。任意選択で、がんは、ネクチン-4結合剤及びアウリスタチン、例えば、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)を含むADCによる治療に抵抗性である。別の態様では、がんの治療に使用するためのネクチン-4結合剤及びエキサテカンを含む医薬組成物が本明細書に提供され、患者は、エンホルツマブベドチン、任意選択で、商品名Padcev(登録商標)で市販されているエンホルツマブベドチン-ejfvを以前に投与されている。
【0054】
別の態様では、ネクチン-4発現がんに罹患している患者の治療のための薬剤の製造のための、ネクチン-4結合剤及びエキサテカンを含むADCの使用が本明細書に提供される。任意選択で、がんは、ネクチン-4結合剤及びアウリスタチン、例えば、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)を含むADCによる治療に抵抗性である。別の態様では、ネクチン-4発現がんに罹患している患者の治療のための薬剤の製造のための、ネクチン-4結合剤及びエキサテカンを含むADCの使用が本明細書に提供され、患者は、エンホルツマブベドチン、任意選択で、Padcev(登録商標)の商品名で市販されているエンホルツマブベドチン-ejfvを以前に投与されている。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図2】裸ヒト化15A7.5とETx-22との比較HIC。
【
図3】エクスビボ安定性評価。ETx-22を、マウス、カニクイザル、又はヒト血清中でインキュベートした。示された時間に、ETx-22を、抗ヒトLC-カッパ(マウス)又はFc-ネクチン-4断片(カニクイザル及びヒト)を介して親和性捕捉し、薬物抗体比をLC/MSによって測定した。
【
図4】ETx-22インビトロ細胞傷害活性。用量範囲のETx-22(黒三角)又は同じリンカーペイロードにカップリングしたIgG1アイソタイプ対照(白菱形)を、ヒトネクチン-4を発現するHCT-116-2G10クローンとともに8日間インキュベートした。生存率を、BMG Labtech蛍光光度計を用いてミトコンドリア酸化(細胞力価青色試薬)によってモニターした。
【
図5】ETx-22 ADCのPK/PD特徴付け。NSGマウス及びTNBC PDX400移植NSGマウス(1時点当たりn=3)に、腫瘍が平均150mm
3(T0)になったときに、10mg/kgのETx-22を静脈内注射した。示された時点で、終末血液サンプリングを実施し、血漿をナイーブ及びPDX 400移植NSGマウスから調製した。A、メソスケールディスカバリ(mesoscale discovery)技術によるETx-22(ADC+全抗体)の薬物動態分析。B、抗ヒトLC-カッパによるETx-22の親和性捕捉後のLC/MSによるインビボ安定性測定。C、血漿中の循環遊離エキサテカン濃度のLC/MSによる決定。
【
図6】ETx-22作用機序。TNBC PDX400移植NSGマウス(1時点当たりn=3)に、腫瘍が平均150mm
3(T0)になったときに、10mg/kgのETx-22を静脈内注射した。示された時点で、動物を安楽死させ、それらの腫瘍を収集し、測定し、量った。A、PDX400腫瘍におけるETx-22浸潤及び薬力学のIHC分析。腫瘍を固定し、パラフィンに包埋した。ETx-22(上のパネル)をウサギ抗ヒトIgGで検出し、これは西洋ワサビペルオキシダーゼにカップリングした二次抗ウサギIgG及びChromoMap DABキットで明らかにされた。トポイソメラーゼI阻害剤活性のマーカーであるリン酸化H2A.X(下のパネル)を、マウス抗ホスホ-ヒストンH2A.Xで検出し、これは、西洋ワサビペルオキシダーゼにカップリングした二次ウサギ抗マウスIgG及び三次抗ウサギIgG並びにChromoMap DABキットで明らかにされた。B、腫瘍溶解物のウェスタンブロット分析。西洋ワサビペルオキシダーゼにコンジュゲートされたヤギ抗ヒトIgGを用いてETx-22を検出した。C、腫瘍1グラム当たりのエキサテカン量のLC/MS決定。D、リン酸化H2A.X陽性細胞の定量化。AのスライドをHamamatsuスキャナで数え、Tribun Calopixソフトウェアを使用してリン酸化H2A.X陽性細胞のパーセンテージを定量化した。E、キャリパーで測定された腫瘍体積(V=(L×W×H)×π/6))。
【
図7】MMAE抵抗性TNBC細胞株(SUM190)におけるETx-22のインビボ有効性。NSGマウス(n=5/群)に、マトリゲルに包埋されたMMAE抵抗性SUM190細胞を両側に同所異種移植した。示された時間(黒矢印)に、3つの異なるADCを静脈内注射した:アイソタイプ対照(8mg/kg)、2、4、及び8mg/kgのETx-22、並びに4及び8mg/kgのエンホルツムマブベドチン。対照群にはADC希釈剤を与えた。腫瘍成長を週2回モニターした(V(mm
3)=L×W
2×π/6)。
【
図8】PDXモデル(ES0201、食道がん)におけるETx-22のインビボ有効性。BALB/c Nuマウスに腫瘍断片を皮下移植した。示された時間(黒矢印)に、示されたADCを2回静脈内注射した。ネクチン-4発現についてのクイックスコアを、免疫組織化学によって決定した。腫瘍成長を週2回モニターした(V(mm
3)=L×W
2×π/6)。
【
図9】PDXモデル(BLCU003、膀胱がん)におけるETx-22のインビボ有効性。NMRIヌードマウスに腫瘍断片を皮下移植した。示された時間(黒矢印)に、示されたADCを2回静脈内注射した。ネクチン-4発現についてのクイックスコアを、免疫組織化学染色によって決定し、ここに示す。腫瘍成長を週2回モニターした(V(mm
3)=L×W
2×π/6)。
【
図10】PDXモデル(B521、膀胱がん)におけるETx-22のインビボ有効性。膀胱がんPDXモデルB521は、比較的高いネクチン-4発現を示し、エルダフィチニブに対する抵抗性を付与するFGFR3におけるホモ接合変異を有する。シスプラチン/ゲムシタビンを投与した:4mg/kg Q3W×2/60mg/kg QW×4。
【
図11】PDXモデル(HN2579、頭頸部がん)におけるETx-22のインビボ有効性。頭頸部PDXモデルHN2579は、中程度から高いネクチン-4発現を示す。NOD/SCIDマウスに腫瘍断片を皮下移植した。示された時間(黒矢印)に、示されたADCを2回静脈内注射した。ネクチン-4発現についてのクイックスコアを、免疫組織化学染色によって決定し、ここに示す。腫瘍成長を週2回モニターした(V(mm
3)=L×W
2×π/6)。
【
図12】PDXモデル(CV3035、子宮頸がん)におけるETx-22のインビボ有効性。BALB/c Nuマウスに腫瘍断片を皮下移植した。示された時間(黒矢印)に、示されたADCを2回静脈内注射した。ネクチン-4発現についてのクイックスコアを、免疫組織化学染色によって決定し、ここに示す。腫瘍成長を週2回モニターした(V(mm
3)=L×W
2×π/6)。
【
図13】PDXモデル(CV3560、子宮頸がん)におけるETx-22のインビボ有効性。子宮頸がんPDXモデルCV3560は、中程度から高いネクチン-4発現を示す。
【
図14】PDXモデル(OV2423、卵巣がん)におけるETx-22のインビボ有効性。NOD/SCIDマウスに腫瘍断片を皮下移植した。示された時間(黒矢印)に、示されたADCを2回静脈内注射した。各PDXモデルにおいて、ネクチン-4発現についてのクイックスコアを、免疫組織化学染色によって決定し、ここに示す。腫瘍成長を週2回モニターした(V(mm
3)=L×W
2×π/6)。
【
図15】TNBC PDX400モデルにおけるETx-22のインビボ有効性。NSGマウスに腫瘍断片を両側に同所移植した。示された時間(黒矢印)に、示されたADCを静脈内注射した。免疫組織化学染色によって決定されたネクチン-4発現のクイックスコアを示す。バー=500μm。
【
図16】TNBC PDX317モデルにおけるETx-22のインビボ有効性。NSGマウスに腫瘍断片を両側に同所移植した。示された時間(黒矢印)に、示されたADCを静脈内注射した。免疫組織化学染色によって決定されたネクチン-4発現のクイックスコアを示す。バー=500μm。
【
図17】TNBC PDX348モデルにおけるETx-22のインビボ有効性。NSGマウスに腫瘍断片を両側に同所移植した。示された時間(黒矢印)に、示されたADCを静脈内注射した。免疫組織化学染色によって決定されたネクチン-4発現のクイックスコアを示す。バー=500μm。
【
図18】TNBC PDX434モデルにおけるETx-22のインビボ有効性。TNBC PDX434モデルは、低いネクチン-4発現を示す。NSGマウスに腫瘍断片を両側に同所移植した。示された時間(黒矢印)に、示されたADCを静脈内注射した。免疫組織化学染色によって決定されたネクチン-4発現のクイックスコアを示す。バー=500μm。
【発明を実施するための形態】
【0056】
ネクチン-4
本明細書で使用される場合、「ヒトネクチン-4」は、ポリオウイルス受容体関連4、Igスーパーファミリー受容体LNIR、又はポリオウイルス受容体関連タンパク質4(poliovirus receptor-related protein、PVRL4)としても知られる、ヒトネクチン-4タンパク質又はポリペプチドを指す。ヒトネクチン-4のアミノ酸配列は、NP_112178.2に見出すことができ、配列番号1に提供される。
【0057】
抗体
開示されるADCは、抗体を含む。本明細書で使用される場合、「抗体」という用語は、抗原に結合する免疫グロブリン分子を指す。抗体は、任意のクラス(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgA)、及び任意のサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)であってもよい。
【0058】
本開示の例示的な抗体は、4つのポリペプチド鎖:鎖間ジスルフィド結合を介して架橋される2つの重鎖(heavy chain、HC)及び2つの軽鎖(light chain、LC)から構成された、免疫グロブリンG(immunoglobulin G、IgG)型抗体である。4つのポリペプチド鎖の各々のアミノ末端部分は、抗原認識に主に関与する約100~125個以上のアミノ酸の可変領域を含む。4つのポリペプチド鎖の各々のカルボキシ末端部分は、エフェクター機能に主に関与する定常領域を含有する。各重鎖は、重鎖可変領域(VH)及び重鎖定常領域から構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(VL)及び軽鎖定常領域から構成される。IgGアイソタイプは、サブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4)に更に分割され得る。
【0059】
VH及びVL領域は、フレームワーク領域(framework region、FR)と呼ばれる、より保存されている領域が散在する、相補性決定領域(complementarity determining region、CDR)と呼ばれる、超可変領域に更に細分され得る。CDRはタンパク質の表面上に露出しており、抗原結合特異性のための抗体の重要な領域である。各VH及びVLは、3つのCDR及び4つのFRから構成されており、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順序でアミノ末端からカルボキシ末端へと配置される。本明細書では、重鎖の3つのCDRを「HCDR1、HCDR2、及びHCDR3」と称し、軽鎖の3つのCDRを「LCDR1、LCDR2、及びLCDR3」と称する。CDRは、抗原との特異的相互作用を形成する残基の大部分を含有する。アミノ酸残基のCDRへの割り当ては、Kabat(Kabat et al.,「Sequences of Proteins of Immunological Interest,」National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991))、Chothia(Chothia et al.,「Canonical structures for the hypervariable regions of immunoglobulins」,Journal of Molecular Biology,196,901-917(1987)、Al-Lazikani et al.,「Standard conformations for the canonical structures of immunoglobulins」,Journal of Molecular Biology,273,927-948(1997))、North(North et al.,「A New Clustering of Antibody CDR Loop Conformations」,Journal of Molecular Biology,406,228-256(2011))、又はIMGT(the international ImMunoGeneTics database、www.imgt.orgで利用可能、Lefranc et al.,Nucleic Acids Res.1999;27:209-212を参照)に記載されるものを含む、周知のスキームに従って行うことができる。本開示のCDRは、Northによって決定される。
【0060】
本明細書に記載のADCのある特定の抗体は、IgG1 Fc領域又はヒトIgG1に由来するFc領域、例えば、改変されたFcエフェクター機能を有する修飾IgG1 Fc領域を含有する。IgG1は、抗体依存性細胞傷害(antibody-dependent cell cytotoxicity、ADCC)及び補体依存性細胞傷害(complement-dependent cytotoxicity、CDC)を誘導すると知られている。開示されるADCのいくつかの抗体は、Fcエフェクター機能を改変する、IgG1 Fc領域に導入されたアミノ酸置換を含む。開示されるADCの抗体のいくつかの態様では、変異は、Fc領域において、234及び235位(EUインデックス番号付け)又は247及び248位(Kabat番号付け)に導入される。本明細書に開示される抗体のいくつかの態様では、変異は、234、235、及び331(EUインデックス番号付け)から、又は247、248、及び350(Kabat番号付け)から選択される1つ以上の位置でFc領域に導入される。いくつかの態様では、本開示の抗ネクチン-4抗体は、L234E、L235E、P331S、及びそれらの組み合わせ(EUインデックス番号付け)から選択されるか、又はL247F、L248E、P350S、及びそれらの組み合わせ(Kabat番号付け)から選択される1つ以上の変異を含む修飾ヒトIgG1 Fc領域を含む。更なる態様では、IgG1 Fc領域に導入されたこれらのアミノ酸置換は、Fc受容体への結合の低減を含むがこれに限定されない、測定可能な抗体エフェクター機能を低減又は排除した。
【0061】
IgGサブクラスからの哺乳動物での抗体の発現は、一方又は両方の重鎖からのC末端アミノ酸の切り取りをもたらす可能性があり、例えば、IgG1抗体の場合、1つ又は2つのC末端アミノ酸が除去され得る。IgG1抗体の場合、C末端リジンが存在する場合、発現中に重鎖から切り詰められるか、又は切り取られ得る。追加的に、最後から2番目のグリシンも、同様に重鎖から切り詰められるか、切り取られ得る。本明細書に開示される抗ネクチン-4抗体は、それに応じて、1つ以上の切り詰め及び切り取りを含み得る。
【0062】
哺乳動物での抗体の発現はまた、N末端アミノ酸の修飾ももたらし得る。例えば、重鎖又は軽鎖の最もN末端のアミノ酸がグルタミン又はグルタミン酸である場合、ピログルタミン酸に改変され得る。例えば、重鎖又は軽鎖の最もC末端のアミノ酸がリジン又はグリシンである場合、除去され得る。本明細書に開示される抗ネクチン-4抗体は、それに応じて、1つ以上の修飾又は除去を含み得る。
【0063】
「核酸」又は「ポリヌクレオチド」という用語は、本明細書で互換的に使用される場合、天然ヌクレオチド、修飾ヌクレオチド、及び/又はヌクレオチドの類似体を組み込んだDNA、cDNA、及びRNA分子などの一本鎖及び/又は二本鎖ヌクレオチド含有分子を含むヌクレオチドのポリマーを指す。本開示のポリヌクレオチドはまた、例えば、DNA若しくはRNAポリメラーゼ又は合成反応によってその中に組み込まれた基質を含んでもよい。
【0064】
本開示のポリヌクレオチドは、例えば、ポリヌクレオチドが発現制御配列に作動可能に連結された後に、宿主細胞において発現され得る。作動可能に連結されたポリヌクレオチドの発現が可能な発現制御配列は、当該技術分野において周知である。例えば、発現ベクターは、宿主細胞からのポリペプチドの分泌を促進する1つ以上のシグナルペプチドをコードする配列を含み得る。シグナルペプチドは、例えば、免疫グロブリンシグナルペプチド又は異種性シグナルペプチドであり得る。目的のポリヌクレオチド(例えば、抗体のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド)を含有する発現ベクターは、周知の方法によって宿主細胞に移入され得る。追加的に、発現ベクターは、所望のポリヌクレオチド配列で形質転換された宿主細胞の検出を助けるために、例えば、テトラサイクリン、ネオマイシン、及びジヒドロ葉酸レダクターゼなどの1つ以上の選択マーカーを含み得る。
【0065】
宿主細胞は、本開示の抗体の全部又は一部分を発現する1つ以上の発現ベクターで安定的に又は一過性にトランスフェクト、形質転換、形質導入又は感染された細胞を含む。いくつかの実施形態によると、宿主細胞は、本開示の抗体のHCポリペプチドを発現する発現ベクター及びLCポリペプチドを発現する発現ベクターで、安定的に又は一過性にトランスフェクト、形質転換、形質導入又は感染され得る。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、本開示の抗体のHC及びLCポリペプチドを発現する発現ベクターであり、安定的に又は一過性にトランスフェクト、形質転換、形質導入又は感染され得る。本開示の抗体は、当技術分野で周知の技術に従って、CHO、NS0、HEK293又はCOS細胞などの哺乳動物細胞において産生され得る。
【0066】
本開示の抗体が分泌された培地は、イオン交換及び疎水性相互作用クロマトグラフィの混合様式方法などの従来の技術によって精製することができる。例えば、培地は、従来の方法を使用して、プロテインA又はプロテインGカラムに適用され、そこから溶離することができ、イオン交換及び疎水性相互作用クロマトグラフィの混合様式方法もまた、使用することができる。可溶性凝集体及び多量体を、サイズ排除、疎水性相互作用、イオン交換、又はヒドロキシアパタイトクロマトグラフィを含む一般的な技術によって効果的に除去し得る。生成物は、例えば、-70℃で直ちに凍結されても、冷蔵されても、又は凍結乾燥されてもよい。タンパク質精製の様々な方法が採用され得、そのような方法は、当該技術分野において既知であり、例えば、Deutscher,Methods in Enzymology 182:83-89(1990)、及びScopes,Protein Purification:Principles and Practice,3rd Edition,Springer,NY(1994)に記載される。
【0067】
抗ネクチン-4抗体
開示されるADCにおいて使用するための抗体は、ネクチン-1などのヒトネクチンファミリーの他のタンパク質に対して、ネクチン-4への特異的結合を示す。本明細書で使用される場合、「結合」及び「特異的結合」という用語は、ネクチン-4抗原のエピトープへの抗体の結合を指す。抗体の結合強度の尺度は親和性と呼ばれる。インビトロアッセイを使用してそのような結合及び/又は親和性を決定するための方法は、当業者に公知である。本発明によれば、フローサイトメトリ、免疫組織化学、及び/又は蛍光による検出が記載されており、本明細書において特に好ましい。抗体の抗原への結合の親和性は、Ka(抗体/抗原複合体からの抗体の会合についての速度定数)、KD(解離定数)、及びKdis(KD/Ka)という用語によって定義され得る。
【0068】
いくつかの態様では、開示されるADCは、腫瘍選択的抗ネクチン-4抗体である抗ネクチン-4抗体を含み得るか、又はそれから調製され得る。腫瘍選択的抗ネクチン-4抗体は、正常細胞によって発現されたネクチン-4と比較して、より高い親和性で、腫瘍によって発現されたネクチン-4に結合する抗ネクチン-4抗体として特徴付けることができる。比較のために、いくつかの態様では、結合親和性は、フローサイトメトリ、免疫組織化学、及び/又は蛍光によって検出され得る。正常細胞は、正常ヒト内皮ケラチノサイト(normal human endothelial keratinocyte、NHEK)を含み得る。正常細胞は、インビトロで分化したネクチン-4発現ヒト内皮ケラチノサイトを含み得る。一態様では、腫瘍選択的抗ネクチン-4抗体は、腫瘍細胞上に発現されたネクチン-4への結合についての解離定数より大きい、ケラチノサイト上に発現されたネクチン-4への結合についての解離定数KDを有し得る。一態様では、腫瘍選択的抗ネクチン-4抗体は、腫瘍細胞と比較して、ケラチノサイトに対してより低い内在化及び/又は細胞傷害活性を示す。一態様では、腫瘍選択的抗ネクチン-4抗体は、腫瘍細胞と比較して、ケラチノサイトに対してより低い結合親和性、より低い内在化、及びより低い細胞傷害活性を示す。一態様では、開示されるADCの抗ネクチン-4抗体は、参照抗体HA22 mAb(エンホルツマブ)と比較して、腫瘍細胞と比較して、ケラチノサイトに対してより低い結合親和性、内在化、又は細胞傷害活性を示す。
【0069】
開示されるADCにおける使用のための腫瘍選択的抗ネクチン-4抗体は、国際公開第2022/207822号及び国際公開第2022/207825号に開示されている抗体を含み得る。一態様では、本明細書に開示されるADCは、国際公開第2022/207822号及び国際公開第2022/207825号に開示される逆変異を含み、配列番号5のアミノ酸配列を含むHCを有し、配列番号6のアミノ酸配列を含むLCを有する、15A7.5と称されるモノクローナル抗体、又はH1L2_15A7.5と称されるそのヒト化バリアントを含む。
【0070】
ある態様では、ヒトネクチン-4に結合する抗体を含むか、又はそれから調製されたADCが本明細書に提供され、抗体は、重鎖可変領域(HCVR)及び軽鎖可変領域(LCVR)を含み、HCVRは、重鎖相補性決定領域(HCDR)HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、LCVRは、軽鎖相補性決定領域(LCDR)LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、HCDR1は、配列番号9(NYGMA)を含み、HCDR2は、配列番号10(FISNLAYGINYADTVTG)を含み、HCDR3は、配列番号11(GARATGWFAY)を含み、LCDR1は、配列番号12(KASQNVDTHVA)を含み、LCDR2は、配列番号13(SASYRYS)を含み、LCDR3は、配列番号14(QQYNSYPLT)(全てKabat番号付け)を含む。別の態様では、ヒトネクチン-4に結合する抗体が本明細書に提供され、HCDR1は配列番号15(GFTFSNYG)を含み、HCDR2は配列番号16(ISNLAYGI)を含み、HCDR3は配列番号17(ARGARATGWFAY)を含み、LCDR1は配列番号18(QNVDTH)を含み、LCDR2は配列番号19(SAS)を含み、LCDR3は配列番号20(QQYNSYPLT)(全てIMGT番号付け)を含む。
【0071】
ある態様では、本明細書に開示されるADCは、抗ネクチン-4抗体を含むか、又はそれから調製され、抗体は、重鎖可変領域(HCVR)及び軽鎖可変領域(LCVR)を含み、抗体は、配列番号7を含むHCVR及び配列番号8を含むLCVRを含む。
【0072】
更なる態様では、本明細書に開示されるADCは、抗ネクチン-4抗体を含むか、又はそれから調製され、抗体は、重鎖可変領域(HCVR)及び軽鎖可変領域(LCVR)を含み、抗体は、ヒトIgG1又はIgG4アイソタイプを有する。更なる態様では、抗ネクチン-4抗体は、ヒトIgG1アイソタイプを有する。更なる態様では、抗ネクチン-4抗体はヒトIgG1アイソタイプを有し、抗ネクチン-4抗体のHCは、L234、L235、及びP331位(EUインデックス番号付け)又はL247、L248、P350位(Kabat番号付け)に1つ以上の変異を含む。更なる態様では、抗ネクチン-4抗体は、L234F、L235E、及びP331S(EUインデックス番号付け)又はL247F、L248E、P350S(Kabat番号付け)から選択される1つ以上の変異を含む。
【0073】
ある態様では、ヒトネクチン-4に結合する抗体を含むか、又はそれから調製されたADCが本明細書に提供され、抗体は、重鎖(HC)及び軽鎖(LC)を含み、HCは配列番号5を含み、LCは配列番号6を含む。
【0074】
更なる態様では、ヒトネクチン-4に結合する抗体を含むか、又はそれから調製されたADCが本明細書に提供され、HCは、配列番号5からなり、LCは、配列番号6からなる。
【0075】
別の態様では、配列番号5のアミノ酸配列、配列番号6のアミノ酸配列、又は配列番号5のアミノ酸配列及び配列番号6のアミノ酸配列の両方を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含むDNA分子を含む哺乳動物細胞が本明細書に提供される。いくつかの態様では、細胞は、本明細書に開示されるネクチン-4抗体を発現することができる。
【0076】
別の態様では、第1のDNA分子及び第2のDNA分子を含む哺乳動物細胞が本明細書に提供され、第1のDNA分子は、配列番号5のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含み、第2のDNA分子は、配列番号6のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む。
【0077】
別の態様では、抗体が発現されるような条件下で、本明細書に開示される哺乳動物細胞のうちの1つを培養することと、発現された抗体を回収することとを含む、ネクチン-4抗体を産生するためのプロセスが本明細書に提供される。
【0078】
別の態様では、抗体が発現されるような条件下で、配列番号5、配列番号6、又は配列番号5及び配列番号6の両方のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含むDNA分子を含む哺乳動物細胞を培養することと、発現された抗体を回収することとによって産生される抗体が本明細書に提供される。
【0079】
別の態様では、第1のDNA分子及び第2のDNA分子を含む哺乳動物細胞であって、第1のDNA分子が配列番号5のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含み、第2のDNA分子が配列番号6のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列を含む、哺乳動物細胞を、抗体が発現されるような条件下で培養することと、発現された抗体を回収することとによって産生される抗体が本明細書に提供される。
【0080】
本明細書で使用される場合、「エンホルツマブ」という用語は、標準的な条件を使用して発現及び精製された、国際公開第2012047724号(
図3A及び
図3B)に開示されている配列を有する完全ヒト抗ネクチン-4 IgG1カッパモノクローナル抗体を指す。エンホルツマブは、本明細書において代替的にHA22 mAbと称され得る。エンホルツマブ-ベドチン-ejfvという用語は、ペプチドリンカーを介してモノメチルアウリスタチンE(MMAE)ペイロードにコンジュゲートされたエンホルツマブを含み、リンカー-ペイロードがマレイミドカプロイル(maleimidocaproyl、MC)-バリン-シトルリン-PABC-MMAEとして表される式を有する、PADCEV(登録商標)の商品名で販売されている抗体-薬物コンジュゲートを指す。
【0081】
ペイロード
本開示のネクチン-4抗体を、様々なペイロード(その薬学的に許容される塩を含む)にコンジュゲートして、抗体薬物コンジュゲート(ADC)を形成することができる。一態様では、開示されるADCは、(i)ヒトネクチン-4に結合する抗体、(ii)任意選択で、リンカー、及び(iii)ペイロードを含むか、又はそれらから調製される。更なる態様では、開示されるADCは、ペイロードに直接又はリンカーを介してコンジュゲートされているヒトネクチン-4に結合する抗体を含む。更なる態様では、開示されるADCは、ヒトネクチン-4に結合する抗体を、直接又はリンカーを介して間接的のいずれかでペイロードにコンジュゲートすることによって調製される。更なる態様では、開示されるADCは、ADCがネクチン-4を発現する標的細胞に結合し、ADCが標的細胞によって内在化された後にペイロードを放出する。
【0082】
本明細書に開示されるネクチン-4抗体へのコンジュゲーションに好適な部分としては、細胞傷害性剤(例えば、化学療法剤)、プロドラッグ変換酵素、放射性同位体又は化合物、毒素、及び当技術分野で公知の他のペイロードが挙げられる。
【0083】
本明細書における例示的なADCは、エキサテカンベースのペイロード(例えば、エキサテカン又はエキサテカン類似体)を利用する。エキサテカンは、抗がん活性を有することが示されているトポイソメラーゼI(topoisomerase I、TOPO1)阻害剤である。エキサテカン及びその類似体は、部分的に切断されたDNAの再アニーリングを防ぎ、その蓄積によって細胞死をもたらすTOPO1/DNA複合体に結合する。
【0084】
更なる態様では、開示されるADCは、ヒトネクチン-4に結合する抗体、任意選択で、リンカー、及びエキサテカン又はその類似体を含む。更なる態様では、開示されるADCは、エキサテカン又はその類似体に直接又はリンカーを介してコンジュゲートされているヒトネクチン-4に結合する抗体を含む。更なる態様では、開示されるADCは、直接又はリンカーを介して間接的のいずれかで、ヒトネクチン-4に結合する抗体及びエキサテカン又はその類似体をコンジュゲートすることによって調製される。開示されるADCにおいて、エキサテカンは、その遊離NH2基を通じてリンカーを介して(例えば、リンカーとアミド結合を形成するエキサテカンのNH2基によって)直接又は間接的のいずれかで抗ネクチン-4抗体にコンジュゲートされ得る。
【0085】
更なる態様では、開示されるADCは、(i)ヒトネクチン-4に結合する抗体、(ii)任意選択で、リンカー、及び「ペイロード」と称され得る下式(P)の化合物を含むか、又はそれらから調製される。
【0086】
【0087】
式(P)の化合物は、エキサテカンと称され得る。
【0088】
更なる態様では、開示されるADCは、式(P)のペイロードに直接又はリンカーを介してコンジュゲートされているヒトネクチン-4に結合する抗体を含む。更なる態様では、開示されるADCは、直接又はリンカーを介して間接的のいずれかで、ヒトネクチン-4に結合する抗体及び式(P)のペイロードにコンジュゲートすることによって調製される。
【0089】
リンカー
本明細書に開示されるように、ペイロードは、当業者によって理解される方法によって、ネクチン-4抗体とコンジュゲートして、本明細書に記載されるネクチン-4 ADCを形成することができる。そのようなコンジュゲートの一例は、本明細書に記載されるペイロードの本明細書に記載されるネクチン-4抗体へのリンカーを介した接続を含む。
【0090】
ADCに使用されるリンカーは、ADCが標的細胞に局在化する時間を可能にするための、血漿中での安定性に対して設計される。ペイロードの放出が早すぎると、全ての種類の非標的組織を損傷することによって、ADCの治療指数が低下する。ADCが標的細胞に内在化されると、リンカーは、ペイロードが設計通りに機能することができるように、ペイロード遊離のための機構を提供するはずである。
【0091】
当業者に既知のリンカーは、例えば、切断可能な部分及び切断不可能な部分を含む。したがって、ペイロード、例えば、エキサテカン又はエキサテカン類似体が、切断可能な部分を有するリンカーを介して抗ネクチン-4抗体にコンジュゲートされているか、又は切断不可能な部分を有するリンカーを介して抗体にコンジュゲートされている、ADCが本明細書に提供される。
【0092】
当技術分野で公知の任意の好適なリンカーを、本開示のADCの調製において使用することができる。ある特定の態様では、リンカーは、本開示の抗体と、ペイロードとの両方とコンジュゲートすることができる反応基を含む。例としては、抗体のシステイン残基のチオールにコンジュゲート可能であるマレイミド基、及び3-(マレイミド)プロピオン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステルなどのペイロードにコンジュゲート可能なスクシンイミドエステル基を含むリンカーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0093】
本開示のある特定の態様では、ADCは、切断可能である部分を有するリンカーを含む。切断可能部分は、細胞内ベータ-グルクロニダーゼによって切断可能であるベータ-グルクロニドを含み得る。
【0094】
本開示のいくつかの態様では、ADCは、本明細書で開示される抗体のシステインを本明細書に記載のペイロードに接続する、本明細書ではスペーサ単位Aと称されるスペーサ単位を含むリンカーを含む。ペイロードをシステインのチオール基にコンジュゲートするために当技術分野で使用される化学物質のいくつかは、マレイミド又はスクシンイミド化学物質を含み、本開示のADCに利用することができる。本開示の更なる態様では、マレイミドプロピオニルなどのマレイミド型スペーサが、本明細書に開示されるリンカーにおいて利用される。
【0095】
本開示のいくつかの態様では、下式のスペーサ単位Aを有するADCが本明細書に提供され、
【0096】
【化8】
式中、zは1~5である。スペーサ単位Aは、還元マレイミジル基を介して抗ネクチン-4抗体にコンジュゲートされている。スペーサ単位Aは、メチレン部分(すなわち、(CH2)z)部分を通じてリンカーを介して直接又は間接的のいずれかでペイロードにコンジュゲートされていてもよい。スペーサ単位Aのいくつかの態様では、zは2である。いくつかの態様では、スペーサ単位Aは、リンカーの残部及びペイロードをADCの抗体から遠位に「離間する」か、又は「配置する」。
【0097】
ポリサルコシン(Polysarcosin、PSAR)及びポリエチレングリコール(Polyethylene Glycol、PEG)を含むリンカー。
いくつかの態様では、開示されるADCは、ポリサルコシン部分を含むリンカーを含む。ポリサルコシン部分を含むADCは、当技術分野で公知である。(国際公開第2019/081455号及び国際公開第2022/207699号並びにConilh et at.「Exatecan antibody drug conjugates based on a hydrophilic polysarcosine drug-linker platform」(Pharmaceuticals 14(2021),247を参照されたい)。
【0098】
いくつかの態様では、開示されるリンカーは、少なくとも1つのエチレングリコール単位、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10以上のエチレングリコール単位を含む。更に好ましいリンカーは、少なくとも1つのエチレングリコール単位、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10以上のエチレングリコール単位に付加されたアシル基、カルバモイル基、及び/又はスルファミド基などの高極性スペーサを含む。
【0099】
ある特定の実施形態では、リンカーは、例えば、最大20のサルコシン単位、及び少なくとも1つのエチレングリコール単位、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10以上のエチレングリコール単位を含む親水性ポリサルコシンリンカーであり、リンカーは、グリコシダーゼによる切断に供され、特に、グルクロニダーゼによる切断に供される。
【0100】
ある特定の実施形態では、リンカーは、例えば、約8~12のサルコシン単位、及び少なくとも1つのエチレングリコール単位、例えば、最大10のエチレングリコール単位を含む親水性ポリサルコシンリンカーであり、リンカーは、グリコシダーゼによる切断に供され、特に、グルクロニダーゼによる切断に供される。
【0101】
ある特定の実施形態では、リンカーは、10のサルコシン単位及び2つのエチレングリコール単位を含む親水性ポリサルコシンリンカーであり、リンカーは、グルクロニダーゼによる切断に供される。
【0102】
本発明の更なる態様は、(i)例えば、約8~12のサルコシン単位、及び少なくとも1つのエチレングリコール単位、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10以上のエチレングリコール単位を含む親水性ポリサルコシンリンカーであって、リンカーがグリコシダーゼによる切断に供され、特にグルクロニダーゼによる切断に供され、リンカーが、抗体又はその抗原結合断片上のシステイン残基と反応することができるチオール反応性基、例えば、マレイミド基を含む、親水性ポリサルコシンリンカーと、(ii)リンカーに共有結合したエキサテカンと、を含む、リンカー-薬物コンジュゲートに関する。
【0103】
特定の実施形態では、リンカー-薬物コンジュゲートは、(i)親水性ポリサルコシン基(例えば、10のサルコシン単位からなるポリサルコシン基)、及びポリエチレン基(例えば、2つのエチレングリコール単位からなるポリエチレングリコール基)であって、リンカーがグリコシダーゼによる切断に供され、特にグルクロニダーゼによる切断に供され、リンカーが、抗体又はその抗原結合断片上のシステイン残基と反応することができるマレイミド基を含む、親水性ポリサルコシン基及びポリエチレン基と、(ii)リンカーに共有結合したエキサテカンと、を含む。いくつかの実施形態では、ポリサルコシン基は、ポリエチレングリコール基及びエキサテカンに対して「直交」として特徴付けられるリンカー中の位置に位置する。
【0104】
自壊性(self-Immolative)単位
ADCの一部の自壊性(self-immolation)、つまり自己除去(self-removal)は、ADCの構造内に、例えば、ADCのリンカー内に設計することができる。自壊性は、典型的には、自壊性単位にコンジュゲートされているトリガー基の除去後に活性化される自壊性単位を伴う。自壊性単位のいくつかの態様では、トリガー基は、ADCが標的細胞によって内在化された後に、細胞酵素を介して自壊性単位から酵素的に切断される。好適なトリガー基には、細胞内ベータ-グルクロニダーゼを介して自壊性単位から切断されるベータ-グルクロニドが含まれ得る。次いで、更なる生物学的又は化学的反応が、リンカーからの自壊性単位自体の自発的な排除をもたらす。自壊性単位は、ADC内のペプチド切断部位に達する細胞プロテアーゼの立体障害を低減するための空間を提供するなど、ADCに良好な特性を提供することができる。
【0105】
本開示のいくつかの態様では、本明細書に記載されるADCは、自壊性単位を含有する。存在する場合、自壊性単位は、リンカー内に位置し得、自壊性単位からのトリガー基の酵素的切断後に活性化され得る。いくつかの態様では、自壊性単位は、その4-ヒドロキシル基を介してベータ-グルクロニドにコンジュゲートされている3-ニトロ-オクトパミン基を含み、ベータ-グルクロニドは、腫瘍によって発現された細胞内ベータ-グルクロニダーゼを介して切断可能である。
【0106】
コンジュゲーション
開示されるADCにおいて、ペイロード、特にエキサテカン又はエキサテカン類似体は、直接又はリンカーを介して間接的のいずれかで抗ネクチン-4抗体に共有結合的にコンジュゲートされる。本明細書に開示される抗体を、本明細書に開示されるペイロードにコンジュゲートする方法は、当技術分野において公知である。いくつかの方法において、抗体は、第1の反応においてリンカーにコンジュゲートされ、次いで、抗体及びリンカーは、第2の反応においてペイロードにコンジュゲートされる。いくつかの方法において、抗体は、1回の反応においてペイロード又はペイロード/リンカーにコンジュゲートされる。
【0107】
ペイロードは、ネクチン-4への抗体の結合を無効にしない、抗ネクチン-4抗体の任意の好適な位置にコンジュゲートされ得る。例えば、ペイロードは、抗体上の反応性アミノ酸残基、例えば、チオール基を有するシステイン残基にコンジュゲートされ得る。
【0108】
ある特定の態様では、ADCは、1より大きい薬物-抗体/抗体断片モル比(DAR)を有し、すなわち、2つ以上の薬物分子が抗体/抗体断片に結合している。典型的には、コンジュゲートは、約2:1~約16:1、具体的には約4:1~約10:1、より具体的には約6:1~約8:1のDARを有する。DARは、既知の方法に従って統計分布から計算することができる。いくつかの態様では、ADCは、8:1のDARを有する。いくつかの態様では、ADCは8のDARを有するか、又はADCは実質的に均一な8のDARを有し、例えば、ADCの少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%以上が8のDARを有する。
【0109】
いくつかの態様では、ADC(又はADCの集団)のDARが実質的に均一なDARであり、ADCの少なくとも約80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%が1~8の選択されたDARを有するADC(又はADCの集団)を含む組成物を得ることが望ましい場合がある。開示されるADC及び開示されるADCを含む組成物のいくつかの態様では、ADCを含む組成物は、実質的に均一なDARを有し、ADCの少なくとも約80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%が、2、4、6、又は8から選択されるDARを有する。開示されるADC及び開示されるADCを含む組成物のいくつかの態様では、ADCを含む組成物は、実質的に均一なDARを有し、ADCの少なくとも約80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%が8のDARを有する。
【0110】
開示されたADC(又はADCの集団)を含む組成物は、平均DARを有するADCを含み得る。いくつかの実施形態では、開示されるADC(又はADCの集団)を含む組成物は、1~8(両端を含む)の範囲内の値である平均DARを有するADCを含む。いくつかの実施形態では、平均DARは、約1、2、3、4、5、6、又は7より大きい。
【0111】
エキサテカンペイロードを含む抗ネクチン-4 ADC
更なる態様では、ヒトネクチン-4に結合する抗体及びエキサテカンペイロードを含むADCが本明細書に提供される。いくつかの態様では、ADCは、リンカー-ペイロードとして利用され得る下式(L-P)の化合物を含むか、又はそれから調製され、
【0112】
【化9】
式中、mは、1~6から選択され、nは、1~6から選択され、pは、1~20から選択される。
【0113】
式(L-P)のリンカー-ペイロードのいくつかの実施形態では、mは2である。
【0114】
式(L-P)のリンカー-ペイロードのいくつかの実施形態では、nは2である。
【0115】
式(L-P)のリンカー-ペイロードのいくつかの実施形態では、pは10である。
【0116】
いくつかの態様では、ADCは、リンカー-ペイロードとして利用され得る下式(L-P’)の化合物を含むか、又はそれから調製される。
【0117】
【0118】
いくつかの態様では、開示されるADCは、化合物:(2S,3S,4S,5R,6S)-6-(4-((3S,9S)-40-アミノ-9-(2-(2-(2-(3-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)プロパンアミド)エトキシ)エトキシ)アセトアミド)-1-(((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)アミノ)-11,14,17,20,23,26,29,32,35,38-デカメチル-1,6,10,13,16,19,22,25,28,31,34,37,40-トリデカオキソ-2-オキサ-5,11,14,17,20,23,26,29,32,35,38-ウンデカアザテトラコンタン-3-イル)-2-ニトロフェノキシ)-3,4,5-トリヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-カルボン酸を含むか、又はそれを使用して調製され、この化合物は、リンカー-ペイロードとして利用され得る。
【0119】
一態様では、本明細書に開示されるADCは、下式(ADC)のものであり、
【0120】
【化11】
式中、Abは、本明細書に開示されるネクチン-4に結合する抗体であり、mは、1~6から選択され、nは、1~6から選択され、pは、1~20から選択され、DARは、1~8であり、ADCの薬物-抗体比(DAR)を表す。
【0121】
式(ADC)のADCのいくつかの実施形態では、mは、Abの活性を損なわないように、リンカー-ペイロードがADCのAb部分から十分に離間されるように十分に大きい値であり、この活性は、腫瘍特異的ネクチン-4に対する結合及び結合親和性を含み得る。式(ADC)のADCのいくつかの実施形態では、mは1より大きく、好ましくはmは2である。
【0122】
式(ADC)のADCのいくつかの実施形態では、mは、リンカー-ペイロードの安定性を損なわないように十分に小さい値である。式(ADC)のADCのいくつかの実施形態では、mは、6、5、4、又は3未満であり、好ましくはmは2である。
【0123】
式(ADC)のADCのいくつかの実施形態では、nは、十分な親水性を提供し、ADCの凝集を低減するように十分に大きい値である。式(ADC)のADCのいくつかの実施形態では、nは1より大きく、好ましくはnは2である。
【0124】
式(ADC)のADCのいくつかの実施形態では、nは、リンカー-ペイロードの安定性を損なわないように十分に小さい値である。式(ADC)のADCのいくつかの実施形態では、nは、6、5、4、又は3未満であり、好ましくはnは2である。
【0125】
式(ADC)のADCのいくつかの実施形態では、pは、十分な親水性を提供し、ADCの凝集を低減するように十分に大きい値である。式(ADC)のADCのいくつかの実施形態では、pは、1、2、3、4、5、6、7、8、又は9より大きく、好ましくはpは10である。
【0126】
式(ADC)のADCのいくつかの実施形態では、pは、リンカー-ペイロードの安定性を損なわないように十分に小さい値である。式(ADC)のADCのいくつかの実施形態では、pは、20、19、18、17、16、15、14、13、12、又は11未満であり、好ましくはpは10である。
【0127】
式(ADC)のADCのいくつかの実施形態では、DARは、ADCに十分な活性、例えば十分な毒性を提供するように十分に大きい値である。式(ADC)のADCのいくつかの実施形態では、DARは、1、2、3、4、5、6、7より大きく、好ましくはDARは8である。
【0128】
式(ADC)のADCのいくつかの実施形態では、ADCの少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%は、8のDARを有する。いくつかの実施形態では、式(ADC)のADCは、組成物中に存在し、組成物中のADCの少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%は8のDARを有する。いくつかの実施形態では、式(ADC)のADCは、組成物中に存在し、組成物中に存在するADCは、約1、2、3、4、5、6、又は7より大きい平均DARを有する。
【0129】
式(ADC)のADCのいくつかの実施形態では、Abは、1つ以上のシステイン残基のチオール基を介してリンカー-ペイロードにコンジュゲートされている。いくつかの実施形態では、Abは、AbのHC中の1つ以上のシステイン残基のチオール基を介してコンジュゲートされており、任意選択で、HCは、配列番号5のアミノ酸配列を有し、システインは、C222、C228、C231、及びそれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、Abは、AbのLC中の1つ以上のシステイン残基のチオール基を介してコンジュゲートされており、任意選択で、LCは配列番号6のアミノ酸配列を有し、システインはC214である。式(ADC)のADCのいくつかの実施形態では、Abは、配列番号5のアミノ酸配列を含むHC及び配列番号6のアミノ酸配列を含むLCを含み、Abは、HCのC222、C228、C231、及びLCのC214の全てを含むシステイン残基のチオール基を介してリンカー-ペイロードにコンジュゲートされている。
【0130】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるADCは、下式(ADC’)のものであり、
【0131】
【化12】
式中、DARは、1~8であり、ADCの薬物-抗体比(DAR)を表す。
【0132】
式(ADC’)のADCのいくつかの実施形態では、DARは、DARに十分な毒性を提供するように十分に大きい値である。式(ADC)のADCのいくつかの実施形態では、DARは、1、2、3、4、5、6、7より大きく、好ましくはDARは8である。
【0133】
式(ADC’)のADCのいくつかの実施形態では、ADCの少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%は、8のDARを有する。式(ADC’)のADCのいくつかの実施形態では、ADCは組成物中に存在し、組成物中のADCの少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%が8のDARを有する。いくつかの実施形態では、式(ADC’)のADCは、組成物中に存在し、組成物中に存在するADCは、約1、2、3、4、5、6、又は7より大きい平均DARを有する。
【0134】
式(ADC’)のADCのいくつかの実施形態では、Abは、1つ以上のシステイン残基のチオール基を介してリンカー-ペイロードにコンジュゲートされている。いくつかの実施形態では、Abは、AbのHC中の1つ以上のシステイン残基のチオール基を介してコンジュゲートされており、任意選択で、HCは、配列番号5のアミノ酸配列を有し、システインは、C222、C228、C231、及びそれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、Abは、AbのLC中の1つ以上のシステイン残基のチオール基を介してコンジュゲートされており、任意選択で、LCは配列番号6のアミノ酸配列を有し、システインはC214である。式(ADC)のADCのいくつかの実施形態では、Abは、配列番号5のアミノ酸配列を含むHC及び配列番号6のアミノ酸配列を含むLCを含み、Abは、HCのC222、C228、C231、及びLCのC214の全てを含むシステイン残基のチオール基を介してリンカー-ペイロードにコンジュゲートされている。
【0135】
別の態様では、式(ETx-22):のADCが本明細書に提供され、
【0136】
【化13】
式中、Abは、本明細書に開示されるネクチン-4に結合する抗体である。式(ETx-22)のAbは、配列番号5のアミノ酸配列を含む2つのHCと、配列番号6のアミノ酸配列を含む2つのLCとを含み、Abは、Abの両方のHCのC222、C228、及びC231中のチオール基を介して、かつLCの両方の鎖のC214中のチオール基を介して、式(ETx-22)中のリンカーペイロードにコンジュゲートされており、8のDAR(すなわち、Abの各アームについて4つのシステイン-マレイミド連結)を提供する。
【0137】
示されるように、式(ETx-22)のADCは、3-マレイミド-プロピオニルスペーサ、PEG2スペーサ(すなわち、-CH2-CH2-O-CH2-CH2-O-)、ペイロードに対して直交として特徴付けられるリンカー中の位置に位置するPSAR10基(すなわち、-(N(CH3)-CH2-C(O))10-)、及び4-ベータ-グルクロニド-3-ニトロ-オクトパミンを含む自壊性単位を含むリンカーを含む。
【0138】
いくつかの態様では、式(ETx-22)のAbは、重鎖可変領域(HCVR)及び軽鎖可変領域(LCVR)を含み、HCVRは、重鎖相補性決定領域(HCDR)HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、LCVRは、軽鎖相補性決定領域(LCDR)LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、(a)HCDR1は、配列番号9を含み、HCDR2は、配列番号10を含み、HCDR3は、配列番号11を含み、LCDR1は、配列番号12を含み、LCDR2は、配列番号13を含み、LCDR3は、配列番号14(全てKabat番号付け)を含むか、又は(b)HCDR1は、配列番号15を含み、HCDR2は、配列番号16を含み、HCDR3は、配列番号17を含み、LCDR1は、配列番号18を含み、LCDR2は、配列番号19を含み、LCDR3は、配列番号20(全てIMGT番号付け)を含む。
【0139】
いくつかの態様では、式(ETx-22)のADCのAbは、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)を含み、HCVRは配列番号7を含み、LCVRは配列番号8を含む。
【0140】
いくつかの態様では、式(ETx-22)のADCのAbは、重鎖(HC)と、軽鎖(LC)とを含み、HCは、配列番号5を含み、LCは、配列番号6を含む。
【0141】
いくつかの態様では、式(ETx-22)のADCは、リンカー-ペイロード:(2S,3S,4S,5R,6S)-6-(4-((3S,9S)-40-アミノ-9-(2-(2-(2-(3-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)プロパンアミド)エトキシ)エトキシ)アセトアミド)-1-(((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)アミノ)-11,14,17,20,23,26,29,32,35,38-デカメチル-1,6,10,13,16,19,22,25,28,31,34,37,40-トリデカオキソ-2-オキサ-5,11,14,17,20,23,26,29,32,35,38-ウンデカアザテトラコンタン-3-イル)-2-ニトロフェノキシ)-3,4,5-トリヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-カルボン酸としての化合物を含むか、又はそれを使用して調製される。
【0142】
いくつかの態様では、式(ETx-22)のADCは、(i)mAb、及び(ii)リンカー-ペイロード:(2S,3S,4S,5R,6S)-6-(4-((3S,9S)-40-アミノ-9-(2-(2-(2-(3-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)プロパンアミド)エトキシ)エトキシ)アセトアミド)-1-(((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)アミノ)-11,14,17,20,23,26,29,32,35,38-デカメチル-1,6,10,13,16,19,22,25,28,31,34,37,40-トリデカオキソ-2-オキサ-5,11,14,17,20,23,26,29,32,35,38-ウンデカアザテトラコンタン-3-イル)-2-ニトロフェノキシ)-3,4,5-トリヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-カルボン酸をコンジュゲートすることによって調製される。いくつかの態様では、(i)及び(ii)をコンジュゲートすることによって調製された開示されるADCは、8のDARを有する。
【0143】
いくつかの態様では、式(ETx-22)のADCは、(a)mAbを還元することと、(b)還元されたmAb及びリンカー-ペイロード:(2S,3S,4S,5R,6S)-6-(4-((3S,9S)-40-アミノ-9-(2-(2-(2-(3-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)プロパンアミド)エトキシ)エトキシ)アセトアミド)-1-(((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)アミノ)-11,14,17,20,23,26,29,32,35,38-デカメチル-1,6,10,13,16,19,22,25,28,31,34,37,40-トリデカオキソ-2-オキサ-5,11,14,17,20,23,26,29,32,35,38-ウンデカアザテトラコンタン-3-イル)-2-ニトロフェノキシ)-3,4,5-トリヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-カルボン酸をコンジュゲートすることとによって調製される。いくつかの態様では、工程(a)及び(b)によって調製された開示されるADCは、8のDARを有する。
【0144】
いくつかの態様では、開示されるADCは、(i)配列番号5のアミノ酸配列を含むHC及び配列番号6のLCを含むLCを含むmAb、並びに(ii)(2S,3S,4S,5R,6S)-6-(4-((3S,9S)-40-アミノ-9-(2-(2-(2-(3-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)プロパンアミド)エトキシ)エトキシ)アセトアミド)-1-(((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)アミノ)-11,14,17,20,23,26,29,32,35,38-デカメチル-1,6,10,13,16,19,22,25,28,31,34,37,40-トリデカオキソ-2-オキサ-5,11,14,17,20,23,26,29,32,35,38-ウンデカアザテトラコンタン-3-イル)-2-ニトロフェノキシ)-3,4,5-トリヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-カルボン酸をコンジュゲートすることによって調製される。いくつかの態様では、開示されるADCは、コンジュゲートを実施する前にまずmAbを還元し、還元したmAbをリンカーペイロードにコンジュゲートすることによって調製される。いくつかの態様では、還元したmAb及びリンカー-ペイロードをコンジュゲートすることによって調製された開示されるADCは、8のDARを有する。
【0145】
式(ETx-22)のADCの構造的特徴及び活性
ETx-22と称されるADCは、下式を有し、
【0146】
【化14】
式中、Abは、配列番号5のアミノ酸配列を含む2つのHC及び配列番号6のアミノ酸配列を含む2つのLCを含む、本明細書に開示されるネクチン-4に結合する抗体である。Abは、Abの両方のHCのC222、C228、及びC231中のチオール基を介して、かつLCの両方の鎖のC214中のチオール基を介して、式(ETx-22)中のリンカーペイロードにコンジュゲートされており、8のDARを提供する(すなわち、ETx-22は、Abの各アームについて4つのシステイン-マレイミド連結を含む)。
【0147】
示されるように、式(ETx-22)のADCは、抗ネクチン-4抗体及び式(ETx-22)のADCのリンカー-ペイロードに関連する明確な構造的特徴を有する。いくつかの態様では、式(ETx-22)のADCのこれらの明確な構造的特徴又はそれらの組み合わせは、式(ETx-22)のADCに望ましい活性を付与する。
【0148】
一態様では、式(ETx-22)のADCは、配列番号5のHC及び配列番号6のLCを含むH1L2_15A7.5抗ネクチン-4mAbを含み、これは所望の選択性を示す。一態様では、H1L2_15A7.5抗ネクチン-4mAbは、ヒトネクチン-1、ネクチン-2、又はネクチン-3などの他のネクチンタンパク質に対して、ヒトネクチン-4に対して望ましい選択性を示す。一態様では、H1L2_15A7.5抗ネクチン-4 mAbは、正常ヒト内皮ケラチノサイトなどの正常細胞によって発現されたネクチン-4と比較して、腫瘍によって発現されたネクチン-4に対して望ましい選択性を示す。
【0149】
一態様では、式(ETx-22)のADCは、8のDARを有する。一態様では、式(ETx-22)のADCは、望ましい毒性及び効力を提供する8のDARを有する。一態様では、式(ETx-22)のADCは、8のDARを有し、ADCは、最小量の凝集を示す。一態様では、式(ETx-22)のADCは、8のDARを有し、ETx-22のリンカーは、凝集を最小限に抑える。一態様では、リンカーは、凝集を最小限に抑えるのに十分な長さを有する。一態様では、リンカーは、凝集を最小限に抑えるのに十分に親水性である。
【0150】
示されるように、式(ETx-22)のADCはリンカーを含み、リンカーは、3-マレイミド-プロピオニルスペーサ、PEG2スペーサ(すなわち、-CH2-CH2-O-CH2-CH2-O-)、ペイロードに対して直交として特徴付けられる位置にあり得るPSAR10基(すなわち、-(N(CH3)-CH2-C(O))10-)、及び4-ベータ-グルクロニド-3-ニトロ-オクトパミン基を含む自壊性単位を含むか、それらから調製される。一態様では、リンカーのこれらの特徴のうちの1つ以上は、式(ETx-22)のADCの凝集を最小限に抑える。一態様では、これらの構造的特徴のうちの1つ以上は、式(ETx-22)のADCの凝集を最小限に抑えるのに十分な長さを提供する。一態様では、リンカーのこれらの構造的特徴のうちの1つ以上は、式(ETx-22)のADCに十分な親水性を提供して、ADCの凝集を最小限に抑える。
【0151】
一態様では、式(ETx-22)のADCは、コンジュゲートされたリンカー-ペイロードが、ネクチン-4結合及び親和性の活性などの抗ネクチン-4抗体の活性を実質的に妨げないように、リンカー-ペイロードを抗ネクチン-4抗体から離れて配置するのに十分な長さを有するスペーサを含むリンカーを含む。一態様では、式(ETx-22)のADCは、リンカー-ペイロードの安定性を損なわないように十分に短い長さを有するスペーサを含むリンカーを含む。
【0152】
示されるように、式(ETx-22)のADCはリンカーを含み、リンカーは、3-マレイミド-プロピオニルスペーサ、PEG2スペーサ(すなわち、-CH2-CH2-O-CH2-CH2-O-)、ペイロードに対して直交として特徴付けられる位置にあり得るPSAR10基(すなわち、-(N(CH3)-CH2-C(O))10-)、及び4-ベータ-グルクロニド-3-ニトロ-オクトパミン基を含む自壊性単位を含むか、それらから調製される。一態様では、これらの構造的特徴のうちの1つ以上は、抗ネクチン-4抗体からのリンカー-ペイロードの望ましい間隔を提供することができる。
【0153】
一態様では、式(ETx-22)のADCは、望ましい安定性を示すリンカーを含む。一態様では、式(ETx-22)のADCは、血漿中で望ましい安定性を示すリンカーを含む。一態様では、血漿中の安定性は、ADCが血漿中に置かれた後の時間に対するADCのDARを決定することによって測定され得る。
【0154】
示されるように、式(ETx-22)のADCはリンカーを含み、リンカーは、3-マレイミド-プロピオニルスペーサ、PEG2スペーサ(すなわち、-CH2-CH2-O-CH2-CH2-O-)、ペイロードに対して直交として特徴付けられる位置にあり得るPSAR10基(すなわち、-(N(CH3)-CH2-C(O))10-)、及び4-ベータ-グルクロニド-3-ニトロ-オクトパミン基を含む自壊性単位を含むか、それらから調製される。一態様では、これらの構造的特徴のうちの1つ以上は、血流中のリンカー-ペイロードの望ましい安定性を提供し得る。
【0155】
一態様では、式(ETx-22)のADCは、選択的切断性を示すリンカーを含む。一態様では、式(ETx-22)のADCは、ADCが血流中にある間はインタクトなままであり、ADCが腫瘍部位に送達された後にのみ切断されるリンカーを含む。いくつかの態様では、式(ETx-22)のADCによって標的化された腫瘍は、リンカーの構成要素を切断する酵素を発現する。いくつかの態様では、腫瘍は、リンカーのベータ-グルクロニドを切断するベータ-グルクロニダーゼを発現する。
【0156】
示されるように、式(ETx-22)のADCは、トリガー基として機能し得るベータ-グルクロニド基、並びに再配列及び自壊性切断を受ける3-ニトロ-オクトパミン基を含むか、又はそれらから調製される自壊性単位を含む。一態様では、自壊性単位は、選択的切断性を提供し、切断は、ベータ-グルクロニドが標的化腫瘍細胞においてベータ-グルクロニダーゼによって切断されるまで引き起こされない。一態様では、ETx-22のADCは、細胞内ベータ-グルクロニダーゼを、好ましくは比較的高レベルで発現する腫瘍に送達される。一態様では、ベータ-グルクロニド基が自壊性単位から切断され、次いで、自壊性基が再配列及び自壊性切断を受け、それによってエキサテカンペイロードが放出される。
【0157】
治療用途
別の態様では、がんの治療を必要とする患者に、有効量の本明細書に記載されるネクチン-4 ADC又は医薬組成物を投与することを含む、がんを治療する方法が本明細書に提供される。更なる態様では、がんの治療を必要とする患者に、有効量の本明細書に記載されるADC又は医薬組成物を投与することを含む、がんを治療する方法が本明細書に提供され、がんは、膀胱がん、乳がん、肺がん、胃がん、食道がん、結腸直腸がん、膵臓がん、頭頸部がん、卵巣がん、又は前立腺がんである。
【0158】
別の態様では、ネクチン-4発現がんに罹患している患者にADCを投与することを含む方法において使用するための、ネクチン-4結合剤及びエキサテカンを含むADCが本明細書に提供され、任意選択で、がんは、ネクチン-4結合剤及びアウリスタチン、例えば、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)を含むADCによる治療に抵抗性である。別の態様では、ネクチン-4発現がんに罹患している患者の治療のための薬剤の製造のための、ネクチン-4結合剤及びエキサテカンを含むADCの使用が本明細書に提供され、任意選択で、がんは、ネクチン-4結合剤及びアウリスタチン、例えば、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)を含むADCによる治療に抵抗性である。更に別の態様では、ネクチン-4発現がんの治療を必要とする患者に、治療有効量のネクチン-4結合剤及びエキサテカンを含むコンジュゲートを投与することを含む、それを行うための方法が本明細書に提供され、任意選択で、障害は、ネクチン-4結合剤及びアウリスタチン、例えば、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)を含むADCによる治療に抵抗性である。
【0159】
更なる態様では、がんを治療する方法が提供され、がんは、膀胱がんである。更なる態様では、がんを治療する方法が提供され、がんは、尿路上皮がんである。更なる態様では、がんを治療する方法が提供され、がんは、乳がんである。更なる態様では、がんを治療する方法が提供され、がんは、肺がんである。更なる態様では、がんを治療する方法が提供され、がんは、胃がんである。更なる態様では、がんを治療する方法が提供され、がんは、食道がんである。更なる態様では、がんを治療する方法が提供され、がんは、結腸直腸がんである。更なる態様では、がんを治療する方法が提供され、がんは、膵臓がんである。更なる態様では、がんを治療する方法が提供され、がんは、頭頸部がんである。更なる態様では、がんを治療する方法が提供され、がんは、卵巣がんである。更なる態様では、がんを治療する方法が提供され、がんは、前立腺がんである。
【0160】
更なる態様では、患者は、エンホルツマブベドチンを投与された後に再発しているか、又は患者は、エンホルツマブベドチン又は標準治療に対して難治性になっている。更なる態様では、本明細書に記載されるADC又は医薬組成物で治療されている患者は、エンホルツマブベドチンでの治療に不適格である。更なる態様では、患者は、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)などのアウリスタチンによる治療に抵抗性であるがんを有する。
【0161】
更なる態様では、本明細書に記載されるADC又は医薬組成物で治療されている患者は、ネオアジュバント/アジュバント、局所進行性又は転移性環境において、プログラム死受容体-1(programmed death receptor-1、PD-1)又はプログラム死リガンド1(programmed death-ligand 1、PD-L1)阻害剤、及び白金含有化学療法を以前に受けていた。更なる態様では、本明細書に記載されるADC又は医薬組成物とPD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤との組み合わせで治療されている患者は、シスプラチン含有化学療法での治療に不適格である。
【0162】
更なる態様では、有効量の本明細書に記載されるADC又は医薬組成物を、1つ以上の抗腫瘍剤と同時に、別々に、又は連続的に組み合わせて投与することを含む、方法が提供される。更なる態様では、有効量の本明細書に記載されるADC又は医薬組成物を、PD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤と同時に、別々に、又は連続的に組み合わせて投与することを含む、方法が提供される。一態様では、患者は、PD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤の同時、別々、又は連続的投与の前に、患者のがんによるPD-1又はPD-L1の発現を測定する診断試験に供される。
【0163】
別の態様では、有効量の本明細書に記載されるネクチン-4 ADC又は医薬組成物を、FGFR化合物と同時に、別々に、又は連続的に組み合わせて投与することを含む、方法が本明細書に提供される。更なる態様では、がんは尿路上皮がんである。更なる態様では、FGFR化合物は、エルダフィチニブ、LOXO-435、フチバチニブ、ボファタマブ、ベマリツズマブ、デラザンチニブ、インフィグラチニブ、ペミガチニブ、ロガラチニブ、FGF401、又はペミガチニブである。いくつかの実施形態では、ネクチン-4 ADCは、エルダフィチニブによる治療に抵抗性であるがんを有する患者に投与される。
【0164】
別の態様では、療法に使用するための、本明細書に記載されるネクチン-4 ADC又は医薬組成物が本明細書に提供される。更なる態様では、がんの治療における使用のための、本明細書に記載されるADC又は医薬組成物が提供される。更なる態様では、がんは、尿路上皮がん、乳がん、肺がん、胃がん、食道がん、結腸直腸がん、膵臓がん、頭頸部がん、卵巣がん、又は前立腺がんである。
【0165】
更なる態様では、膀胱がんの治療における使用のための、本明細書に記載されるネクチン-4 ADC又は医薬組成物が本明細書に提供される。更なる態様では、尿路上皮がんの治療における使用のための、本明細書に記載されるネクチン-4 ADC又は医薬組成物が本明細書に提供される。更なる態様では、乳がんの治療における使用のための、本明細書に記載されるADC又は医薬組成物が本明細書に提供される。更なる態様では、肺がんの治療における使用のための、本明細書に記載されるADC又は医薬組成物が本明細書に提供される。更なる態様では、胃がんの治療における使用のための、本明細書に記載されるADC又は医薬組成物が本明細書に提供される。更なる態様では、食道がんの治療における使用のための、本明細書に記載されるADC又は医薬組成物が本明細書に提供される。更なる態様では、結腸直腸がんの治療における使用のための、本明細書に記載されるADC又は医薬組成物が本明細書に提供される。更なる態様では、膵臓がんの治療における使用のための、本明細書に記載されるADC又は医薬組成物が本明細書に提供される。更なる態様では、頭頸部がんの治療における使用のための、本明細書に記載されるADC又は医薬組成物が本明細書に提供される。更なる態様では、卵巣がんの治療における使用のための、本明細書に記載されるADC又は医薬組成物が本明細書に提供される。更なる態様では、前立腺がんの治療における使用のための、本明細書に記載されるADC又は医薬組成物が本明細書に提供される。
【0166】
更なる態様では、がんの治療における使用のための、本明細書に記載されるネクチン-4 ADC又は医薬組成物が本明細書に提供され、がんは、エンホルツマブベドチンによる治療後に再発しているか、又はがんは、エンホルツマブベドチンに対して難治性になっている。更なる態様では、がんの治療における使用のための、本明細書に記載される医薬組成物のネクチン-4 ADCが本明細書に提供され、がんは、モノメチルアウラスタチン(aurastatin)E(MMAE)などのアウリスタチンによる治療に対して抵抗性である。更なる態様では、がんの治療における使用のための、本明細書に記載されるネクチン-4 ADC又は医薬組成物が本明細書に提供され、がんは、エンホルツマブベドチンによる治療後に再発しているか、又はがんは、標準治療に対して難治性になっている。更なる態様では、エンホルツマブベドチンの事前使用が禁忌であった、がんの治療において使用するための、本明細書に記載されるADC又は医薬組成物が本明細書に提供される。
【0167】
更なる態様では、がんの治療における使用のための、本明細書に記載されるADC又は医薬組成物が本明細書に提供され、事前使用は、ネオアジュバント/アジュバント、局所進行性又は転移性環境におけるPD-1又はPD-L1阻害剤及び白金含有化学療法に対して起こる。更なる態様では、がんの治療において使用するための、PD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤と同時に、別々に、又は連続的に組み合わせた本明細書に記載されるADC又は医薬組成物が本明細書に提供され、がんは、シスプラチン含有化学療法で治療することができない。
【0168】
更なる態様では、がんの治療において使用するための、1つ以上の抗腫瘍剤と同時に、別々に、又は連続的に組み合わされた本明細書に記載されるADC又は医薬組成物が本明細書に提供される。更なる態様では、抗腫瘍剤は、PD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤である。
【0169】
別の態様では、がんの治療において使用するための、FGFR化合物と同時に、別々に、又は連続的に組み合わされた、本明細書に記載されるネクチン-4 ADC又は医薬組成物が本明細書に提供される。更なる態様では、がんは尿路上皮がんである。更なる態様では、FGFR化合物は、エルダフィチニブ、LOXO-435、フチバチニブ、ボファタマブ、ベマリツズマブ、デラザンチニブ、インフィグラチニブ、ペミガチニブ、ロガラチニブ、FGF401、又はペミガチニブである。別の態様では、エルダフィチニブに抵抗性であるがんの治療において使用するための、医薬組成物のネクチン-4 ADCが本明細書に提供される。
【0170】
別の態様では、がんの治療のための薬剤の製造のための、本明細書に記載されるネクチン-4 ADC又は医薬組成物の使用が本明細書に提供される。更なる態様では、がんの治療のための薬剤の製造のための、本明細書に記載されるADC又は医薬組成物の使用が本明細書に提供され、がんは、膀胱がん、乳がん、肺がん、胃がん、食道がん、結腸直腸がん、膵臓がん、頭頸部がん、卵巣がん、又は前立腺がんである。
【0171】
更なる態様では、がんの治療のための薬剤の製造のための、本明細書に記載されるネクチン-4 ADC又は医薬組成物の使用が本明細書に提供され、がんは、エンホルツマブベドチンによる治療後に再発しているか、又はがんは、エンホルツマブベドチン若しくは標準治療に対して難治性になっている。更なる態様では、エンホルツマブベドチンの事前使用が禁忌であった、がんの治療のための薬剤の製造における本明細書に記載されるADC又は医薬組成物の使用が本明細書に提供される。更なる態様では、がんの治療のための薬剤の製造のための、本明細書に記載されるネクチン-4 ADC又は医薬組成物の使用が本明細書に提供され、がんは、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)などのアウリスタチンによる治療に対して抵抗性である。
【0172】
更なる態様では、ネオアジュバント/アジュバント、局所進行性又は転移性環境におけるPD-1又はPD-L1阻害剤及び白金含有化学療法の事前使用である、がんの治療のための薬剤の製造における本明細書に記載されるADC又は医薬組成物の使用が本明細書に提供される。更なる態様では、がんの治療のための薬剤の製造における本明細書に記載されるADC又は医薬組成物の使用が本明細書で提供され、がんは、シスプラチン含有化学療法で治療することができず、当該薬剤は、PD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤と同時に、別々に、又は連続的に投与される。
【0173】
更なる態様では、がんの治療のための薬剤の製造における本明細書に記載されるADC又は医薬組成物の使用が本明細書で提供され、当該薬剤は、1つ以上の抗腫瘍剤と同時に、別々に、又は連続的に投与される。更なる態様では、がんの治療のための薬剤の製造における本明細書に記載されるADC又は医薬組成物の使用が本明細書に提供され、当該薬剤は、PD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤と同時に、別々に、又は連続的に投与される。
【0174】
別の態様では、がんの治療のための薬剤の製造における、本明細書に記載されるネクチン-4 ADC又は医薬組成物の使用が本明細書に提供され、当該薬剤は、FGFR化合物と同時に、別々に、又は連続的に投与される。更なる態様では、がんは尿路上皮がんである。更なる態様では、FGFR化合物は、エルダフィチニブ、LOXO-435、フチバチニブ、ボファタマブ、ベマリツズマブ、デラザンチニブ、インフィグラチニブ、ペミガチニブ、ロガラチニブ、FGF401、又はペミガチニブである。別の態様では、エルダフィチニブによる治療に抵抗性であるがんの治療のための薬剤の製造における、本明細書に記載されるネクチン-4 ADC又は医薬組成物の使用が本明細書に提供される。
【0175】
更なる態様では、膀胱がんは、尿路上皮がん、扁平上皮がん、又は腺がんである。更なる態様では、膀胱がんは、非浸潤性、筋層非浸潤性、又は筋層浸潤性である。更なる態様では、膀胱がんは、膀胱、腎盂、尿管、又は尿道のものである。更なる態様では、乳がんは、HR陽性、HER2陰性乳がん、又はトリプルネガティブ乳がん(triple negative breast cancer、TNBC)である。更なる態様では、乳がんは、乳管又は小葉である。更なる態様では、肺がんは、扁平上皮非小細胞肺がん(non-small cell lung cancer、NSCLC)又は非扁平上皮NSCLCである。更なる態様では、肺がんは、扁平上皮、腺がん、又は小細胞がんである。更なる態様では、前立腺がんは、転移性去勢抵抗性前立腺がんである。更なる態様では、胃(gastric)がんは、胃(stomach)がんである。更なる態様では、胃がん又は食道がんは、胃食道接合部がんである。更なる態様では、卵巣がんは、漿液性又は粘液性である。更なる態様では、卵巣がんは、卵管又は腹膜である。
【0176】
更なる態様では、抗腫瘍剤は、白金含有化学療法を含む化学療法治療剤であってもよく、かつ/又はシスプラチン、カルボプラチン、ダカルバジン、リポソーム化ドキソルビシン、ドセタキセル、シクロホスファミド及びドキソルビシン、ナベルビン、エリブリン、パクリタキセル、パクリタキセルタンパク質結合粒子注射用懸濁剤、イクサベピロン、カペシタビン、FOLFOX(ロイコボリン、フルオロウラシル、及びオキサリプラチン)、FOLFIRI(ロイコボリン、フルオロウラシル、及びイリノテカン)、ゲムシタビン、トポテカン、リポソーム化イリノテカン、ペメトレキセド、及びセツキシマブを含んでもよい。更なる態様では、抗腫瘍剤は、ニボルマブ、イピリムマブ、ピディリズマブ、ペンブロリズマブ、トレメリムマブ、ウレルマブ、リリルマブ、アテゾリズマブ、エパカドスタット、及びデュルバルマブからなる群から選択されるものを含む、腫瘍免疫療法剤であり得る。
【0177】
医薬組成物及び投与方法
本明細書に記載されるADCは、医薬組成物として製剤化することができ、医薬組成物は、例えば、経口、局所、又は皮下投与などの、抗体又はADCを生物学的に利用可能にするいずれかの経路によって投与される。
【0178】
また、本明細書に提供されるADCと、生理学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤、及び補助剤からなる群から選択される1つ以上の剤とを含む、医薬組成物が本明細書に提供される。
【0179】
本開示のADC、又はそれを含む医薬組成物は、非経口経路(例えば、皮下及び静脈内)によって投与され得る。本開示のADCは、薬学的に許容され得る担体、希釈剤、又は賦形剤とともに単回投与又は複数回投与で患者に単独で投与され得る。本明細書に記載される医薬組成物は、当該技術分野において周知の方法(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,22nd ed.(2012),A.Loyd et al.,Pharmaceutical Press)によって調製することができ、本明細書に開示される抗体又はADC、及び1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤又は賦形剤を含む。
【0180】
ある態様では、本明細書に開示される抗体と、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤と、を含む、医薬組成物が本明細書に開示される。ある態様では、本明細書に開示されるADCと、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤と、を含む、医薬組成物が本明細書に開示される。
【0181】
投薬、レジメン、及びサイクル
開示されるネクチン-4 ADCは、がんの治療を必要とする患者に、有効量の本明細書に記載されるネクチン-4 ADC又は医薬組成物を投与することを含む、がんを治療する方法において投与され得る。患者は、ネクチン-4 ADCの用量、投薬レジメン、又は投薬サイクルを調節することによって、有効量を投与され得る。
【0182】
一態様では、本開示のADC、又はそれを含む医薬組成物は、非経口経路(例えば、皮下及び静脈内)によって投与され得る。
【0183】
定義
本明細書で使用される場合、本開示の文脈で(特に特許請求の範囲の文脈で)使用される「a」、「an」、「the」という用語及び同様の用語は、本明細書に別段の定めがない限り、又は文脈によって明らかに矛盾していない限り、単数形及び複数形の両方をカバーすると解釈されるべきである。
【0184】
本明細書で使用される「結合する」という用語は、別段の定めがない限り、化学結合又は別のタンパク質若しくは分子との引力相互作用を形成するタンパク質又は分子の能力を意味することを意図しており、当該分野において既知である一般的な方法によって決定されるように、2つのタンパク質又は分子の近接をもたらす。
【0185】
本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、所望の治療結果を達成するのに必要な量(期間及び投与手段)を指す。タンパク質又はコンジュゲートの有効量は、個体の病状、年齢、性別及び体重、並びに個体において所望の応答を誘発するタンパク質又はコンジュゲートの能力などの要因に応じて変動し得る。有効量はまた、タンパク質又はコンジュゲートの任意の毒性効果又は有害効果よりも治療的に有益な効果が上回る量である。
【0186】
本明細書で使用される場合、「治療する」、「治療」又は「治療すること」という用語は、本明細書に開示の障害又は疾患の進行を減速、制御、遅延、若しくは停止し得る、又は障害若しくは疾患症状を改善し得る全てのプロセスを指すが、必ずしも全ての障害若しくは疾患症状の完全な消失を示すわけではない。
【0187】
本明細書で使用される場合、「患者」又は「対象」という用語は、それぞれ、ヒト患者又はヒト対象を指す。「患者」及び「対象」という用語は、本明細書において互換的に使用され得る。
【0188】
ある特定の略語は、以下のように定義される:「ACN」は、アセトニトリルを指し、「Boc2O」は、脱炭酸(decarbonate)ジ-tert-ブチルを指す。「DCM」は、ジクロロメタンを指し、「DIPEA」は、N,N-ジイソプロピルエチルアミンを指し、「DBU」は、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エンを指し、「DMTMM」は、(4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチル-モルホリニウムクロリドを指し、「DMAC」は、ジメチルアセトアミドを指し、「DMF」は、N,N-ジメチルホルムアミドを指し、「DTT」は、ジチオスレイトールを指し、「EtOAc」は、酢酸エチルを指し、「EDTA」は、エチレンジアミン四酢酸を指し、「FA」はギ酸を指し、「HMPA」は、ヘキサメチルホスホラミドを指し、「h」は、時間を指し、「HEPES」は、(N-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N’-2-エタンスルホン酸)を指し、「HMTTA」は、ヘキサメチルトリエチレンテトラミンを指し、「HATU」は、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェートを指し、「HOBt」は、ヒドロキシベンゾトリアゾールを指し、「Pyr」は、ピリジンを指し、「NMM」は、N-メチルモルホリンを指し、「NMP」は、(N-メチル-2-ピロリドン)を指し、「Su」は、スクシンイミドを指し、「PPTS」は、p-トルエンスルホン酸ピリジニウムを指し、「THF」は、テトラヒドロフランを指し、「TsOH」は、p-トルエンスルホン酸を指し、「TCEP」は、(トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン)を指す。「TFA」は、トリフルオロ酢酸を指し、「TEA」はトリエチルアミンを指す。
【0189】
実施形態
以下の実施形態は、例示であり、本発明の範囲を制限するように解釈されるべきではない。
【0190】
実施形態1.以下の式の抗体-薬物コンジュゲート(ADC)であって、
【0191】
【化15】
式中、Abは、ヒトネクチン-4に結合する抗体であり、Abは、可変領域(HCVR)を含む重鎖(HC)及び可変領域(LCVR)を含む軽鎖(LC)を含み、HCVRは、重鎖相補性決定領域(HCDR)HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、LCVRは、軽鎖相補性決定領域(LCDR)LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、(i)HCDR1は、配列番号9(NYGMA)を含み、HCDR2は、配列番号10(FISNLAYGINYADTVTG)を含み、HCDR3は、配列番号11(GARATGWFAY)を含み、LCDR1は、配列番号12(KASQNVDTHVA)を含み、LCDR2は、配列番号13(SASYRYS)を含み、LCDR3は、配列番号14(QQYNSYPLT)(全てKabat番号付け)を含むか、又は(ii)HCDR1は、配列番号15(GFTFSNYG)を含み、HCDR2は、配列番号16(ISNLAYGI)を含み、HCDR3は、配列番号17(ARGARATGWFAY)を含み、LCDR1は、配列番号18(QNVDTH)を含み、LCDR2は、配列番号19(SAS)を含み、LCDR3は、配列番号20(QQYNSYPLT)(全てIMGT番号付け)を含み、DARは、1~8である、ADC。
【0192】
実施形態2.HCVRが配列番号7を含み、LCVRが配列番号8を含む、実施形態1に記載のADC。
【0193】
実施形態3.HCが配列番号5を含み、LCが配列番号6を含む、実施形態1又は2に記載のADC。
【0194】
実施形態4.Abが、ヒトIgG1又はIgG4アイソタイプを有する、実施形態1~3のいずれか1つに記載のADC。
【0195】
実施形態5.Abが、ヒトIgG1アイソタイプを有する、実施形態1~4のいずれか1つに記載のADC。
【0196】
実施形態6.Abが、HC又はLCに存在するシステイン残基のうちの1つ以上のチオール基を介してコンジュゲートされている、実施形態1~5のいずれか1つに記載のADC。
【0197】
実施形態7.Abが、配列番号5のアミノ酸配列を有するHC及び配列番号6のアミノ酸配列を有するLCを含み、Abが、HCのC222、C228、若しくはC231のチオール基、LCのC214のチオール基、又はそれらの組み合わせを介してコンジュゲートされている、実施形態1~6のいずれか1つに記載のADC。
【0198】
実施形態8.ADCが、8のDARを有し、Abが、HCのC222、C228、及びC231のチオール基、並びにLCのC214のチオール基によってコンジュゲートされている、実施形態7に記載のADC。
【0199】
実施形態9.ADCの少なくとも95%が、8のDARを有する、実施形態1~8のいずれか1つに記載のADC。
【0200】
実施形態10.下式:
【0201】
【化16】
を有する、実施形態1~8のいずれか1つに記載のADC。
【0202】
実施形態11.Abが、配列番号5のHC及び配列番号6のLCを含む、実施形態10に記載のADC。
【0203】
実施形態12.Abが、HCのC222、C228、C231位のシステインを介して、かつLCのC214のシステインを介してコンジュゲートされている、実施形態11に記載のADC。
【0204】
実施形態13.実施形態1~8のいずれか1つに記載のADCを含む組成物であって、組成物中のADCの少なくとも約95%が、8のDARを有する、組成物。
【0205】
実施形態14.実施形態1~12のいずれか1つに記載のADC又は実施形態13に記載の組成物と、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤と、を含む、医薬組成物。
【0206】
実施形態15.がんを治療する方法であって、それを必要とする患者に、有効量の実施形態1~11のいずれか1つに記載のADC、実施形態13に記載の組成物、又は実施形態14に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【0207】
実施形態16.がんが、尿路上皮がん、乳がん、肺がん、胃がん、食道がん、結腸直腸がん、膵臓がん、頭頸部がん、卵巣がん、又は前立腺がんである、実施形態15に記載の方法。
【0208】
実施形態17.がんが、尿路上皮がんである、実施形態15又は16に記載の方法。
【0209】
実施形態18.がんが、エンホルツマブベドチンを投与された後に再発しているか、又はがんが、エンホルツマブベドチンによる治療に対して難治性になっている、実施形態15~17のいずれか1つに記載の方法。
【0210】
実施形態19.有効量の、実施形態1~11のいずれか1つに記載のADC、実施形態13に記載の組成物、又は実施形態14に記載の医薬組成物を患者に投与する前に、第一選択治療、第二選択治療、又は第三選択治療としてエンホルツマブベドチンが患者に投与された、実施形態15~18のいずれか1つに記載の方法。
【0211】
実施形態20.患者が、エンホルツマブベドチンによる治療に不適格である、実施形態15~17のいずれか1つに記載の方法。
【0212】
実施形態21.がんが、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)による治療に抵抗性である、実施形態15~17のいずれか1つに記載の方法。
【0213】
実施形態22.がんが、原発性腫瘍の成長、腫瘍転移の発生及び/若しくは再発、並びに/又は少なくとも1つの腫瘍マーカーの増加、並びに/又はABCB1発現の上方制御を特徴とする、実施形態15~21のいずれか1つに記載の方法。
【0214】
実施形態23.PD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤を患者に同時に、別々に、又は連続的に投与することを更に含む、実施形態15~22のいずれか1つに記載の方法。
【0215】
実施形態24.PD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤を投与する前に、がんによるPD-1又はPD-L1の発現を測定する診断試験を患者に施す、実施形態23に記載の方法。
【0216】
実施形態25.療法における使用のための、実施形態1~12のいずれか1つに記載のADC。
【0217】
実施形態26.がんの治療における使用のための、実施形態1~12のいずれか1つに記載のADC。
【0218】
実施形態27.がんが、尿路上皮がん、乳がん、肺がん、胃がん、食道がん、結腸直腸がん、膵臓がん、頭頸部がん、卵巣がん、又は前立腺がんである、実施形態26に記載の使用のためのADC。
【0219】
実施形態28.がんが、尿路上皮がんである、実施形態26に記載の使用のためのADC。
【0220】
実施形態29.がんが、エンホルツマブベドチンによる治療後に再発しているか、又はがんが、エンホルツマブベドチンによる治療に対して難治性になっている、実施形態26~28のいずれか1つに記載の使用のためのADC。
【0221】
実施形態30.有効量の、実施形態1~11のいずれか1つに記載のADC、実施形態13に記載の組成物、又は実施形態14に記載の医薬組成物を患者に投与する前に、第一選択治療、第二選択治療、又は第三選択治療としてエンホルツマブベドチンが患者に以前に投与された、実施形態26~29のいずれか1つに記載の使用のためのADC。
【0222】
実施形態31.エンホルツマブベドチンの事前使用が禁忌である、実施形態26~28のいずれか1つに記載の使用のためのADC。
【0223】
実施形態32.がんが、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)による治療に抵抗性である、実施形態26~28のいずれか1つに記載の使用のためのADC。
【0224】
実施形態33.がんが、原発性腫瘍の成長、腫瘍転移の発生及び/若しくは再発、並びに/又は少なくとも1つの腫瘍マーカーの増加、並びに/又はABCB1発現の上方制御を特徴とする、実施形態26~32のいずれか1つに記載の使用のためのADC。
【0225】
実施形態34.PD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤と同時に、別々に、又は連続的に組み合わされる、実施形態24~33のいずれか1つに記載の使用のためのADC。
【0226】
実施形態35.がんが、PD-1又はPD-L1を発現するがんとして同定された後に、PD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤と同時に、別々に、又は連続的に組み合わされる、実施形態34に記載の使用のためのADC。
【0227】
実施形態36.がんの治療に使用するための、有効量の実施形態1~12のいずれか1つに記載のADC又は有効量の実施形態13に記載の組成物を含む、医薬組成物。
【0228】
実施形態37.がんが、尿路上皮がん、乳がん、肺がん、胃がん、食道がん、結腸直腸がん、膵臓がん、頭頸部がん、卵巣がん、又は前立腺がんである、実施形態36に記載の使用のための組成物。
【0229】
実施形態38.PD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤と同時に、別々に、又は連続的に組み合わせて投与される、実施形態36又は37に記載の組成物。
【0230】
実施形態39.がんが、PD-1又はPD-L1を発現するがんとして同定された後に、PD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤と同時に、別々に、又は連続的に組み合わせて投与される、実施形態36に記載の組成物。
【0231】
実施形態40.がんの治療のための薬剤の製造のための、実施形態1~12のいずれか1つに記載のADCの使用。
【0232】
実施形態41.がんが、尿路上皮がん、乳がん、肺がん、胃がん、食道がん、結腸直腸がん、膵臓がん、頭頸部がん、卵巣がん、又は前立腺がんである、実施形態40に記載の使用。
【0233】
実施形態42.薬剤が、PD-1阻害剤又はPD-L1阻害剤を更に含む、請求項40又は41に記載の使用。
【0234】
実施形態43.ADCを産生する方法であって、(i)ヒトネクチン-4に結合する抗体(Ab)であって、Abが、可変領域(HCVR)を含む重鎖(HC)及び可変領域(LCVR)を含む軽鎖(LC)を含み、HCVRが、重鎖相補性決定領域(HCDR)HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、LCVRが、軽鎖相補性決定領域(LCDR)LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、(a)HCDR1が、配列番号9(NYGMA)を含み、HCDR2が、配列番号10(FISNLAYGINYADTVTG)を含み、HCDR3が、配列番号11(GARATGWFAY)を含み、LCDR1が、配列番号12(KASQNVDTHVA)を含み、LCDR2が、配列番号13(SASYRYS)を含み、LCDR3が、配列番号14(QQYNSYPLT)(全てKabat番号付け)を含むか、又は(b)HCDR1が配列番号15(GFTFSNYG)を含み、HCDR2が、配列番号16(ISNLAYGI)を含み、HCDR3が、配列番号17(ARGARATGWFAY)を含み、LCDR1が、配列番号18(QNVDTH)を含み、LCDR2が、配列番号19(SAS)を含み、LCDR3が、配列番号20(QQYNSYPLT)(全てIMGT付番)を含む、Ab、及び(ii)下式の化合物をコンジュゲートすることを含む、方法:
【0235】
【0236】
実施形態44.Ab及び化合物が、Ab及び化合物をコンジュゲートし、8のDARを有するADCを提供するのに十分な条件下でコンジュゲートされる、実施形態43に記載の方法。
【0237】
実施形態45.コンジュゲートする前に、Abを還元剤で還元して、還元されたAbを産生することを更に含む、実施形態43又は44に記載の方法。
【0238】
実施形態46.還元剤が、DTT又はTCEPである、実施形態45に記載の方法。
【0239】
実施形態47.化合物が、コンジュゲートの間、Abに対して少なくとも約8モル過剰で存在する、実施形態43~46のいずれか1つに記載の方法。
【0240】
実施形態48.化合物が、コンジュゲートの間、Abに対して少なくとも約12モル過剰で存在する、実施形態43~46のいずれか1つに記載の方法。
本発明のさらなる実施形態を以下に示す。
1.以下の式の抗体-薬物コンジュゲート(ADC)であって、
【化29】
式中、
Abは、ヒトネクチン-4に結合する抗体であり、Abは、可変領域(HCVR)を含む重鎖(HC)及び可変領域(LCVR)を含む軽鎖(LC)を含み、前記HCVRは、重鎖相補性決定領域(HCDR)HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、前記LCVRは、軽鎖相補性決定領域(LCDR)LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
(i)前記HCDR1は、配列番号9(NYGMA)を含み、前記HCDR2は、配列番号10(FISNLAYGINYADTVTG)を含み、前記HCDR3は、配列番号11(GARATGWFAY)を含み、前記LCDR1は、配列番号12(KASQNVDTHVA)を含み、前記LCDR2は、配列番号13(SASYRYS)を含み、前記LCDR3は、配列番号14(QQYNSYPLT)を含むか、又は
(ii)前記HCDR1は、配列番号15(GFTFSNYG)を含み、前記HCDR2は、配列番号16(ISNLAYGI)を含み、前記HCDR3は、配列番号17(ARGARATGWFAY)を含み、前記LCDR1は、配列番号18(QNVDTH)を含み、前記LCDR2は、配列番号19(SAS)を含み、前記LCDR3は、配列番号20(QQYNSYPLT)を含み、
DARは、1~8である、ADC。
2.前記HCVRが配列番号7を含み、前記LCVRが配列番号8を含み、かつ/又は前記HCが配列番号5を含み、前記LCが配列番号6を含む、上記1に記載のADC。
3.前記Abが、ヒトIgG1又はIgG4アイソタイプ、好ましくはヒトIgG1アイソタイプを有する、上記1又は2に記載のADC。
4.下式を有し、
【化30】
式中、Abは、配列番号5のHC及び配列番号6のLCを含み、前記Abは、前記HCのC222位、C228位、C231位のシステインを介して、かつ前記LCのC214のシステインを介してコンジュゲートされている、上記1~3のいずれかに記載のADC。
5.上記1~3のいずれかに記載のADCを含む組成物であって、前記組成物中の前記ADCの少なくとも約95%が、8のDARを有する、組成物。
6.上記1~4のいずれかに記載のADC又は上記5に記載の組成物と、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤と、を含む、医薬組成物。
7.がんを治療する方法であって、それを必要とする患者に、有効量の上記1~4のいずれかに記載のADC、上記5に記載の組成物、又は上記6に記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
8.前記がんが、尿路上皮がん、乳がん、肺がん、胃がん、食道がん、結腸直腸がん、膵臓がん、頭頸部がん、卵巣がん、又は前立腺がん、好ましくは尿路上皮がんである、上記7に記載の方法。
9.前記患者が、第一選択、第二選択、又は第三選択治療としてエンホルツマブベドチンを以前に投与されており、任意選択で、前記がんが、エンホルツマブベドチンが投与された後に再発しているか、又は前記がんが、エンホルツマブベドチンが投与された後にエンホルツマブベドチンによる治療に対して難治性になっている、上記7又は8に記載の方法。
10.療法における使用のための、上記1~4のいずれかに記載のADC。
11.がんの治療における使用のための、上記1~4のいずれかに記載のADC。12.がんの治療に使用するための、有効量の上記1~4のいずれかに記載のADC又は有効量の上記5に記載の組成物を含む、医薬組成物。
13.がんの治療のための薬剤の製造のための、上記1~4のいずれかに記載のADCの、使用。
14.ADCを生成する方法であって、
(i)ヒトネクチン-4に結合する抗体(Ab)であって、前記Abが、可変領域(HCVR)を有する重鎖(HC)及び可変領域(LCVR)を有する軽鎖(LC)を含み、前記HCVRが、重鎖相補性決定領域(HCDR)HCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、前記LCVRが、軽鎖相補性決定領域(LCDR)LCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、
a)前記HCDR1が、配列番号9(NYGMA)を含み、前記HCDR2が、配列番号10(FISNLAYGINYADTVTG)を含み、前記HCDR3が、配列番号11(GARATGWFAY)を含み、前記LCDR1が、配列番号12(KASQNVDTHVA)を含み、前記LCDR2が、配列番号13(SASYRYS)を含み、前記LCDR3が、配列番号14(QQYNSYPLT)を含むか、又は
b)前記HCDR1が、配列番号15(GFTFSNYG)を含み、前記HCDR2が、配列番号16(ISNLAYGI)を含み、前記HCDR3が、配列番号17(ARGARATGWFAY)を含み、前記LCDR1が、配列番号18(QNVDTH)を含み、前記LCDR2が、配列番号19(SAS)を含み、前記LCDR3が、配列番号20(QQYNSYPLT)を含む、Ab、並びに
(ii)下式の化合物:
【化31】
をコンジュゲートすることを含む、方法。
15.前記化合物が、コンジュゲートの間、前記Abに対して少なくとも約8モル過剰で存在する、上記15に記載の方法。
【実施例】
【0241】
実施例1:式(L-P’)のリンカー-ペイロードの合成:(2S,3S,4S,5R,6S)-6-(4-((3S,9S)-40-アミノ-9-(2-(2-(2-(3-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)プロパンアミド)エトキシ)エトキシ)アセトアミド)-1-(((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)アミノ)-11,14,17,20,23,26,29,32,35,38-デカメチル-1,6,10,13,16,19,22,25,28,31,34,37,40-トリデカオキソ-2-オキサ-5,11,14,17,20,23,26,29,32,35,38-ウンデカアザテトラコンタン-3-イル)-2-ニトロフェノキシ)-3,4,5-トリヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-カルボン酸
【0242】
【0243】
式(L-P’)のリンカー-ペイロードは、ポリサルコシン(PSAR)化合物、4-ベータ-グルクロニド-3-ニトロ-オクタパミン化合物、エキサテカン化合物、及びマレイミド-プロプリオニル化合物を含む前駆体又は中間体から合成された。リンカー-ペイロードは、国際公開第2019081455号及び国際公開第2022/207699号に開示されている方法を使用して合成した。
【0244】
PSAR中間体:FmocNH-PEG2-Glu(Su)-PSAR10-NH2
【0245】
【0246】
PSAR中間体は、スキーム1を使用して調製することができる。
【0247】
【0248】
ポリサルコシンの樹脂上合成を、市販のFmoc-Sar-Sar-OHジペプトイドビルディングブロックを有するRinkアミドについてのサブモノマー合成反復手順を使用して実施する。別段の定めがない限り、全ての反応は室温で実施される。
【0249】
最初のFmoc-サルコシン残基を予備充填したRinkアミドを出発材料として使用する。Fmoc-サルコシンを予備充填したRinkアミドを、DMF中20%ピペリジン(樹脂100mg当たり1mL)で室温で15分間2回処理する。次いで、樹脂をDMF(4回)及びDCM(4回)で洗浄する。樹脂に、DMF(樹脂100mg当たり1mL)中のFmoc-Sar-Sar-OH(3当量)、HATU(2.9当量)、及びDIPEA(6当量)の溶液を添加した。反応容器を2時間撹拌し、樹脂をDMF(4回)及びDCM(4回)で洗浄する。樹脂を、DMF中20%ピペリジン(樹脂100mg当たり1mL)で室温にて15分間2回処理する。次いで、樹脂をDMF(4×)及びDCM(4×)で洗浄して、n=3のポリサルコシンオリゴマーを有するRink樹脂を得る。
【0250】
ブロモアセチル化工程とアミン置換工程とを交互に行うことによって、所望の長さが得られるまで、サブモノマー合成手順を使用して、n=3のポリサルコシンオリゴマーの伸長を実施する。ブロモアセチル化工程を、DMF中10当量のブロモ酢酸及び13当量のジイソプロピルカルボジイミド(樹脂100mg当たり2mL)を添加することによって実施する。混合物を30分間撹拌し、排出し、DMFで洗浄する(4回)。アミン置換工程のために、水溶液中40%(wt)メチルアミン(樹脂100mg当たり1.5mL)を添加し、容器を30分間振盪し、排水し、DMF(4回)及びDCM(4回)で洗浄する。
【0251】
所望のポリサルコシンオリゴマー長に達したら(例えば、PSAR 10-mer)、直交化学官能化を実施する。直交化学官能基化に続いて、Fmoc保護アミノ酸基又は他の基による最終キャッピングを行ってもよい。Fmoc保護基は、樹脂切断の前又は後に除去することができる。
【0252】
ポリサルコシンは、以下のように、グルタミン酸及びアミノ-3,6ジオキサオクタン酸で官能化され得る。DMF(樹脂100mg当たり1mL)中のFmoc-Glu(OAll)-OH(3当量)、HATU(2.9当量)、及びDIPEA(6当量)をRink樹脂に添加する。反応容器を90分間撹拌し、樹脂をDMF(4回)及びDCM(4回)で洗浄する。次いで、樹脂を室温で15分間、DMF中20%ピペリジン(樹脂100mg当たり1mL)で2回処理する。樹脂をDMF(4回)及びDCM(4回)で洗浄し、続いて、DMF(樹脂100mg当たり1mL)中のFmoc-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸(3当量)、HATU(2.9当量)、DIPEA(6当量)と1時間カップリングした。樹脂をDMF(4回)、DCM(4回)で洗浄する。0.25当量のPd(PPh3)4及び20当量のフェニルシラン(アルゴン気流下で穏やかに撹拌した)を含有するDCM溶液での2回の30分間の処理によって、alloc保護基を除去する。次いで、樹脂をDMF(5回)及びDCM(5回)で洗浄する。N-ヒドロキシスクシンイミド(N-hydroxysuccinimide、NHS)エステルを、50当量のDIC及び60当量のN-ヒドロキシスクシンイミド(樹脂100mg当たり1.5mL)を含有するDMF溶液での90分間の処理によって、最終ポリサルコシン化合物のカルボン酸側鎖に導入する。次いで、樹脂をDMF(4回)及びDCM(4回)で洗浄する。次いで、最終ポリサルコシン化合物を樹脂から切断する(100%TFA 2回、30分)。
【0253】
4-ベータ-グルクロニド-3ニトロ-オクトパミン中間体:(2S,3R,4S,5S,6S)-2-(4-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-1-(((4-ニトロフェノキシ)カルボニル)オキシ)エチル)-2-ニトロフェノキシ)-6-(メトキシカルボニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート
【0254】
【0255】
4-ベータ-グルクロニド-3-ニトロ-オクトパミン中間体4-ベータ-グルクロニド-3-ニトロ-オクトパミン中間体:(2S,3R,4S,5S,6S)-2-(4-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-1-(((4-ニトロフェノキシ)カルボニル)オキシ)エチル)-2-ニトロフェノキシ)-6-(メトキシカルボニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテートは、スキーム2を使用して調製され得る。
【0256】
【0257】
本方法で利用されるオクトパミン又はオクトパミン中間体は、ラセミ混合物として、又はエナンチオピュアな化合物として得ることができる。ラセミ混合物は、エナンチオピュアな化合物を得るために、当技術分野で公知のキラル分離に供することができる。
【0258】
オクトパミン(±)塩酸塩(1690mg/11mmol)を、4mLの蒸留水に懸濁する。フラスコを0℃で冷却し、予め冷却した65%硝酸溶液4mLをゆっくり添加する。反応物を0℃で20分間維持し、モノニトロ化をHPLCによって評価する。モノニトロ化オクトパミン前駆体を予め冷却した250mLの三角フラスコに移し、8~9のpH値に達するまで飽和NaHCO3溶液で0℃でゆっくり中和する。次いで、30mLのジオキサンを添加し、続いてBoc2O(7202mg/13.2mmol)を添加する。反応物を室温に到達させ、一晩撹拌する。次いで、反応物をEtOAcで希釈し、飽和クエン酸溶液で3回、飽和NaCl溶液で1回洗浄する。有機相をMgSO4上で乾燥させ、濾過し、真空下で蒸発させて、粗生成物を得、これを、シリカゲルでのクロマトグラフィ(石油エーテル/EtOAc、70:30~20:80の勾配)によって精製して、モノニトロ化オクトパミン前駆体:tert-ブチル(2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシ-3-ニトロフェニル)エチル)カルバメートを得る。次いで、得られたモノニトロ化オクトパミン前駆体を、更なる合成工程を実施する前にキラル分離に供する。
【0259】
ラセミtert-ブチル(2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシ-3-ニトロフェニル)エチル)カルバメートのキラル分離を、MPLCカラム並びにDCM±0.2%(v/v)EtOH(均一濃度勾配)の移動相及びDCM±0.2%(v/v)EtOHの試料溶媒を使用して実施する。絶対配置を決定するために、両方のエナンチオマーのフェノール位置を、無水THF中1.2モル当量の4-ニトロベンゾイルクロリド及び2モル当量のトリエチルアミンでエステル化する。化合物をシリカゲルでのクロマトグラフィ(石油エーテル/EtOAc、勾配90:10~10:90)によって精製して、4-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-1-ヒドロキシエチル)-2-ニトロフェニル4-ニトロベンゾエートを得る。エナンチオマーの絶対配置(予めヘプタン/ジクロロメタンの1:1混合物に溶解し、3週間ゆっくりと蒸発させて結晶の形成を誘導した)をX線結晶学によって確認する。
【0260】
丸底フラッシュ中、Ag2CO3(1500mg/5.4mmol)及び1,1,4,7,10,10-ヘキサメチルトリエチレンテトラミン(251mg/1.1mmol)を4mLの無水アセトニトリルに懸濁し、室温で2時間撹拌する。エナンチオピュアなtert-ブチル(2-ヒドロキシ-2-(4-ヒドロキシ-3-ニトロフェニル)エチル)カルバメート(292mg/0.98mmol)及び1-ブロモ-2,3,4-トリ-O-アセチル-α-D-グルクロニドメチルエステル(583mg/1.46mmol)を0℃で添加し、溶液混合物を室温で4時間撹拌する。次いで、反応物をセライトで濾過し、EtOAcで希釈し、飽和クエン酸溶液で3回、飽和NaCl溶液で1回洗浄する。有機相をMgSO4上で乾燥させ、濾過し、真空下で蒸発させて、粗製生成物を得、これを、シリカゲルでのクロマトグラフィ(石油エーテル/EtOAc、70:30~30:70の勾配)によって精製して、(2S,3R,4S,5S,6S)-2-(4-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-1-ヒドロキシエチル)-2-ニトロフェノキシ)-6-(メトキシカルボニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテートを得る。
【0261】
(2S,3R,4S,5S,6S)-2-(4-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-1-ヒドロキシエチル)-2-ニトロフェノキシ)-6-(メトキシカルボニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート(334mg/0.54mmol)及び4-ニトロフェニルクロロホルメート(219mg/1.09mmol)を、6mLの乾燥DCMに0℃で溶解する。無水ピリジン(112mg/1.41mmol)を添加し、混合物を室温で30分間撹拌する。反応物を0.45μmのPTFEフィルタで濾過し、シリカゲルでのクロマトグラフィ(石油エーテル/EtOAc、85:15~30:70の勾配)によって精製して、(2S,3R,4S,5S,6S)-2-(4-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-1-(((4-ニトロフェノキシ)カルボニル)オキシ)エチル)-2-ニトロフェノキシ)-6-(メトキシカルボニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテートを得る。
【0262】
4-ベータ-グルクロニド-3-ニトロ-オクトパミン-エキサテカン中間体:(2S,3R,4S,5S,6S)-2-(4-(2-アミノ-1-((((1R,9R)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:]6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)カルバモイル)オキシ)エチル)-2-ニトロフェノキシ)-3,4,5-トリヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-カルボン酸
【0263】
【0264】
4-ベータ-グルクロニド-3-ニトロ-オクトパミン中間体を、スキーム3を使用してエキサテカンにコンジュゲートして、4-ベータ-グルクロニド-3-ニトロ-オクトパミン-エキサテカン中間体:(2S,3R,4S,5S,6S)-2-(4-(2-アミノ-1-((((1R,9R)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)カルバモイル)オキシ)エチル)-2-ニトロフェノキシ)-3,4,5-トリヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-カルボン酸を得ることができる。
【0265】
【0266】
101mg(0.13mmol)の4-ベータ-グルクロニド-3-ニトロ-オクトパミン中間体(2S,3R,4S,5S,6S)-2-(4-(2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-1-(((4-ニトロフェノキシ)カルボニル)オキシ)エチル)-2-ニトロフェノキシ)-6-(メトキシカルボニル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリイルトリアセテート、0.14mmolのメシル酸エキサテカン、及び18mg(0.13mmol)のHOBtを、無水DMF/ピリジンの85:15(v/v)混合物1mLに溶解する。16.7mg(0.13mmol)のDIPEAを添加する。反応物を40℃で2時間撹拌し、揮発性物質を減圧下で蒸発させる。粗残渣をシリカゲルでのクロマトグラフィ(DCM/MeOH勾配99:1~95:5)によって精製して、中間体化合物を得て、次にこれを脱保護に供する。
【0267】
144mg(0.106mmol)のこの中間体化合物を0℃で3mLのMeOH(75:25)に溶解する。LiOH一水和物(44.5mg/1.06mmol)を水(0.4mL)に溶解し、反応容器に添加する。撹拌後、混合物を酢酸(83mg/1.4mmol)で中和し、減圧下で濃縮する。得られた粗生成物をTFA/DCM溶液で再溶解し、撹拌する。揮発性物質を減圧下で蒸発させ、粗残渣を採取し、HPLCを使用して精製して、(2S,3R,4S,5S,6S)-2-(4-(2-アミノ-1-((((1R,9R)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:]6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)カルバモイル)オキシ)エチル)-2-ニトロフェノキシ)-3,4,5-トリヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-カルボン酸を得る。
【0268】
官能化PSAR-4-ベータ-グルクロニド-3-ニトロ-オクトパミン-エキサテカン中間体を得るための、PSAR中間体及び4-ベータ-グルクロニド-3-ニトロ-オクトパミン-エキサテカン中間体のコンジュゲーション
【0269】
【0270】
PSAR中間体及び4-ベータ-グルクロニド-3-ニトロ-オクトパミン-エキサテカン中間体を、スキーム4を使用してコンジュゲートして、官能化PSAR-4-ベータ-グルクロニド-3-ニトロ-オクトパミン-エキサテカン中間体を得ることができる。
【0271】
【0272】
100mg(0.081mmol)のPSAR中間体及び51mg(0.061mmol)の4-ベータ-グルクロニド-3-ニトロ-オクトパミン-エキサテカン中間体を無水DMFに溶解する。41mg(0.405mmol)のトリエチルアミンを添加し、反応物を室温で30分間撹拌する。反応物の完全な変換がHPLCによって評価された後、DMF中の8%(v/v)ピペリジン溶液に達するために、ピペリジンを反応バイアルに直接添加する。次いで、HPLCによってFmoc脱保護全体が観察されるまで、反応物を室温で5~10分撹拌する。反応物を水/ACN 1:1(v/v)中の10%TFA溶液でゆっくり中和し、HPLCを使用して精製して、官能化PSAR-4-ベータ-グルクロニド-3-ニトロ-オクトパミン-エキサテカン中間体を得る。
【0273】
式(L-P’)のリンカー-ペイロード:(2S,3S,4S,5R,6S)-6-(4-((3S,9S)-40-アミノ-9-(2-(2-(2-(3-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)プロパンアミド)エトキシ)エトキシ)アセトアミド)-1-(((1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル)アミノ)-11,14,17,20,23,26,29,32,35,38-デカメチル-1,6,10,13,16,19,22,25,28,31,34,37,40-トリデカオキソ-2-オキサ-5,11,14,17,20,23,26,29,32,35,38-ウンデカアザテトラコンタン-3-イル)-2-ニトロフェノキシ)-3,4,5-トリヒドロキシテトラヒドロ-2H-ピラン-2-カルボン酸
【0274】
【0275】
式(L-P’)のリンカー-ペイロードは、スキーム5を使用して、マレイミドプロピオン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル及び官能化-PSAR-4-ベータ-グルクロニド-3-ニトロ-オクトパミン-エキサテカン中間体をコンジュゲートすることによって調製することができる。
【0276】
【0277】
マレイミドプロピオン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル及び官能化-PSAR-4-ベータ-グルクロニド-3-ニトロ-オクトパミン-エキサテカン中間体を、無水DMFに溶解する(0.1M濃度のマレイミド化合物)。1.56mg(0.015)のトリエチルアミンを添加し、反応物の完全な変換がHPLCによって観察されるまで、反応物を2時間撹拌した。次いで、反応混合物を1%TFA水溶液/ACN 1:1(v/v)で希釈し、HPLC分取方法6を使用して精製して、式(L-P’)のリンカー-ペイロードを得る。
【0278】
実施例2:ヒト化抗ネクチン4モノクローナル抗体(15A7.5mAb)
開示されるADCに利用される抗ネクチン-4mAbは、国際公開第2022/207822号及び国際公開第2022/207825号に記載されているmAb 15A7.5のヒト化誘導体である。示されるように、mAb 15A7.5は、ケラチノサイトに対して腫瘍細胞に対する選択的親和性を示す。本明細書に開示されるETx-22 ADCを調製するために利用されるmAbは、そのHC(H1)のアミノ酸配列及びそのLC(L2)のアミノ酸配列に導入された復帰変異を有する15A7.5mAbのヒト化誘導体であり、本明細書においてH1L2_15A7.5と称される。H1L2_15A7.5mAbは、配列番号5の重鎖アミノ酸配列及び配列番号6の軽鎖アミノ酸配列を有する。HC可変領域(HCVR)は、配列番号7として提供され、LC可変領域(LCVR)は、配列番号8として提供される。HC及びLCの相補性決定領域(HCDR及びLCDR)は、配列番号9~14(Kabat)及び配列番号15~20(IMGT)として提供される。
【0279】
実施例3:ETx-22 ADCの調製
「ETx-22」と称されるADCは、H1L2-15A7.5mAbを、システイン残基を介して、本明細書において式(L-P’)のリンカー-ペイロードと称されるエキサテカンペイロードにコンジュゲートすることによって調製した。ETx-22の概略図を
図1に提供する。
【0280】
ETx-22と称されるADCを調製するために、PBS 1X、1mM EDTA中のmAb H1L2-15A7.5(HC:配列番号5、LC:配列番号6)を、14モル当量のTCEPで37℃で2時間還元し、その後、緩衝液を100mM KPO4、1mM EDTA pH7.4に交換した(Amicon ultra 30kDa)。12モル当量の式(L-P’)のリンカー-ペイロードを、還元されたmAbとのコンジュゲーションのために室温で35分間使用した。次いで、緩衝液を100mM KPO4(pH8.0)に交換した後、酸素の不在下で37℃で24時間インキュベートして、マレイミドを自己加水分解させた。最終交換緩衝液を20mM His(pH6.0)中で実施した後、0.22μMフィルタで濾過して、ETx-22を得た。
【0281】
ETx-22の薬物-抗体比(DAR)をLC-MS分析に従って決定し、コンジュゲートしたmAb当たり7.77~7.82毒素であることが見出された。SEC-HPLCによって決定されるように、5%未満の材料が凝集した。疎水性相互作用クロマトグラフィ(HIC)によるETx-22の分析は、裸15A7.5mAbに近いETx-22についての単一の鋭いピークを明らかにし、これは高い均質な親水性を示す。(
図2及び対応する簡単な説明を参照されたい)。ETx-22のエクスビボ安定性を、マウス、カニクイザル、又はヒト血清中でETx-22をインキュベートし、経時的にDARを測定することによって評価した。(
図3及び対応する簡単な説明を参照されたい)。インビトロ細胞傷害活性を、ヒトネクチン-4を発現するHCT-116-2G10クローンについて評価した。(
図4及び対応する簡単な説明を参照されたい)。
【0282】
比較ADCとして、HA22抗ネクチン-4mAbをマレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-PABC-MMAEにコンジュゲートして、エンホルツムマブベドチンを生成した。簡単に述べると、10mM酢酸、1%ソルビトール、3%L-アルギニン(pH5.0)中のHA22の15mg/mL溶液を、20%体積の0.1M Tris、25mM EDTA、及び750mM NaCl(pH8.4)を補充して、溶液のpHを7.5の5mM EDTA及び150mM塩化ナトリウムに調整した。次いで、HA22 mAbを、2.5モル当量のTCEPを添加することによって部分的に還元し、次いで、37℃で2時間穏やかに撹拌した。次いで、部分的に還元されたmAb溶液を5℃に冷却し、4.4モル当量のシステイン反応性リンカー-エキサテカン化合物をDMSOの6%(v/v)溶液として添加した。混合物を5℃で60分間撹拌し、次いで、システイン反応性リンカー-MMAE化合物に対して1モル当量のN-アセチルシステインを添加した後、更に15分間撹拌した。過剰なクエンチされたシステイン反応性リンカー-ペイロード及び他の反応性構成要素を、10体積の20mMヒスチジン(pH6.0)を用いた抗体薬物コンジュゲート(ADC)の限外濾過/透析濾過によって除去した。LC-MS分析による薬物-抗体比(DAR)は、コンジュゲートしたmAb当たり3.79毒素であった。SEC-HPLCによって決定されるように、1%未満の材料が凝集した。
【0283】
実施例4:マウスにおけるインビボ研究
雌NOD/SCID/γcヌル(NSG)及び雄NMRIマウスをCharles River laboratoriesから入手した。雌NOD/SCID及びBALB/cヌードマウスをGemPharmatech Co.から入手した。マウスを滅菌条件下で収容し、滅菌した食餌及び水を随意に提供し、12時間明及び12時間暗サイクルで維持した。NSGマウスについては、細胞及びPDXを、50%フェノールレッド不含Matrigel(Becton-Dickinson Bioscience)中に懸濁した0.5×106個の細胞とともに、乳房脂肪体中の両方の側腹部に接種した。そうでなければ、PDX断片(2~3mm直径)を皮下接種した。
【0284】
腫瘍が100~200mm3の平均体積に達したとき、マウスを処置した。マウスを、示された濃度のADCの単回用量又は2回用量でi.v.処置した。デジタルキャリパーで測定し、腫瘍体積(長さ×幅2×π/6)を計算することによって、腫瘍成長をモニターした。各群の平均腫瘍体積が100~200mm3となるように、全ての動物を無作為に処置群に割り当てた。異なる処置の毒性を評価するために、動物の体重を3日毎にモニターした。マウスの体重減少>20%、腫瘍体積>1500mm3、外被の波打ち、及び背の丸まり、衰弱、並びに運動性の低下をモニターし、エンドポイントとみなした。
【0285】
ETx-22のPK/PD特徴付けを、NSGマウス及びトリプルネガティブ乳がん(TNBC)PDX 400移植NSGマウスを使用して評価した。(
図5及び対応する簡単な説明を参照されたい)。
【0286】
ETx-22の作用機序を、トリプルネガティブ乳がんのPDXモデル(PDX400)を移植したNSGマウスにおいて評価した。(
図6及び対応する簡単な説明を参照されたい)。
【0287】
MMAE抵抗性トリプルネガティブ乳がん(TNBC)細胞株(SUM190)におけるETx-22のインビボ有効性を、NSGマウスにおいて評価した。(
図7及び対応する簡単な説明を参照されたい)。
【0288】
ETx-22のインビボ有効性を、食道がん(ES0201)(
図8及び対応する簡単な説明)、膀胱がん(BLCU003)(
図9及び対応する簡単な説明)、膀胱がん(B521)(
図10及び対応する簡単な説明)、頭頸部がん(HN2579)(
図11及び対応する簡単な説明)、子宮頸がん(CV3035)(
図12及び対応する簡単な説明)、子宮頸がん(CV3560)(
図13及び対応する簡単な説明)、及び卵巣がん(OV2423)(
図14及び対応する簡単な説明)のPDXモデルにおいて評価した。
【0289】
ETx-22のインビボ有効性を、トリプルネガティブ乳がん(TNBC):PDX400(
図15及び対応する簡単な説明)、PDX317(
図16及び対応する簡単な説明)、PDX348(
図17及び対応する簡単な説明)、及びPDX434(
図18及び対応する簡単な説明)のPDXモデルにおいて評価した。
【0290】
アミノ酸配列
配列番号1
MPLSLGAEMWGPEAWLLLLLLLASFTGRCPAGELETSDVVTVVLGQDAKLPCFYRGDSGEQVGQVAWARVDAGEGAQELALLHSKYGLHVSPAYEGRVEQPPPPRNPLDGSVLLRNAVQADEGEYECRVSTFPAGSFQARLRLRVLVPPLPSLNPGPALEEGQGLTLAASCTAEGSPAPSVTWDTEVKGTTSSRSFKHSRSAAVTSEFHLVPSRSMNGQPLTCVVSHPGLLQDQRITHILHVSFLAEASVRGLEDQNLWHIGREGAMLKCLSEGQPPPSYNWTRLDGPLPSGVRVDGDTLGFPPLTTEHSGIYVCHVSNEFSSRDSQVTVDVLDPQEDSGKQVDLVSASVVVVGVIAALLFCLLVVVVVLMSRYHRRKAQQMTQKYEEELTLTRENSIRRLHSHHTDPRSQPEESVGLRAEGHPDSLKDNSSCSVMSEEPEGRSYSTLTTVREIETQTELLSPGSGRAEEEEDQDEGIKQAMNHFVQENGTLRAKPTGNGIYINGRGHLV
配列番号2
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号3
ASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPEFEGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPASIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号4
RTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号5
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSNYGMAWVRQAPGKGLEWVSFISNLAYGINYADTVTGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARGARATGWFAYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKRVEPKSCDKTHTCPPCPAPEFEGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPASIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK
配列番号6
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQNVDTHVAWYQQKPGKAPKALIYSASYRYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYNSYPLTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC
配列番号7
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSNYGMAWVRQAPGKGLEWVSFISNLAYGINYADTVTGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARGARATGWFAYWGQGTLVTVSS
配列番号8
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCKASQNVDTHVAWYQQKPGKAPKALIYSASYRYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYNSYPLTFGGGTKVEIK
配列番号9
NYGMA
配列番号10
FISNLAYGINYADTVTG
配列番号11
GARATGWFAY
配列番号12
KASQNVDTHVA
配列番号13
SASYRYS
配列番号14
QQYNSYPLT
配列番号15
GFTFSNYG
配列番号16
ISNLAYGI
配列番号17
ARGARATGWFAY
配列番号18
QNVDTH
配列番号19
SAS
配列番号20
QQYNSYPLT
【要約】
本開示は、エキサテカンを含むネクチン-4抗体薬物コンジュゲート(ADC)及びその医薬組成物、並びにがんの治療のためのADCを使用する方法を提供する。
【選択図】なし
【配列表】