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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】涙液測定装置および涙液測定方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
A61B3/10 100
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022500221
(86)(22)【出願日】2020-09-11
(86)【国際出願番号】 JP2020035366
(87)【国際公開番号】W WO2021161572
(87)【国際公開日】2021-08-19
【審査請求日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】P 2020034216
(32)【優先日】2020-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】518148973
【氏名又は名称】株式会社シンクアウト
(72)【発明者】
【氏名】田淵 仁志
【審査官】牧尾 尚能
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-087507(JP,A)
【文献】特開2017-136212(JP,A)
【文献】特開2020-018475(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0133887(US,A1)
【文献】特開2014-140490(JP,A)
【文献】特開2013-212176(JP,A)
【文献】特開2016-059726(JP,A)
【文献】特開2018-121886(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00- 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検眼の正面画像を取得する第1撮像部と、
撮像位置が前記被検眼のうち前記正面画像の所定の位置と対応する位置となるように位置決めされており、光干渉を用いて前記被検眼の前眼部の断層画像を取得する第2撮像部と、
前記正面画像の中心と、前記被検眼の下眼瞼と角膜との境界との距離が、前記正面画像の中心と、前記被検眼の角膜頂点との距離よりも短くなるように前記第1撮像部および前記第2撮像部の位置を調整する調整部と、
前記第2撮像部における撮像により得られた前記断層画像に基づいて涙液高または涙液面積を算出する算出部と、
映像信号に基づいて映像を表示する表示部と、
ユーザからの指示を受け付ける入力部と、
前記正面画像および前記断層画像を含む第1の映像を前記表示部に表示させるための第1の映像信号を生成し前記表示部に出力した後、前記ユーザからの前記入力部への指示に基づいて、前記断層画像に含まれる涙液部分蛍光色で塗りつぶされた画像と、前記涙液面積とを含む第2の映像を前記表示部に表示させるための第2の映像信号を生成し前記表示部に出力するか、または、前記断層画像に含まれる涙液部分蛍光色で塗りつぶされた画像と、前記涙液高とを含む第3の映像を前記表示部に表示させるための第3の映像信号を生成し前記表示部に出力する表示制御部と
を備え
前記表示部は、受信した前記第1の映像信号に基づいて前記第1の映像を表示した後、受信した前記第2の映像信号に基づいて前記第2の映像を表示するか、または、受信した前記第3の映像信号に基づいて前記第3の映像を表示する
涙液測定装置。
【請求項2】
前記調整部は、前記正面画像の中心が前記被検眼の下眼瞼と角膜との境界付近となるように前記第1撮像部および前記第2撮像部の位置を調整する
請求項1に記載の涙液測定装置。
【請求項3】
前記調整部は、オートアライメント機能がオフのときには、前記ユーザからの前記入力部への指示に基づいて前記第1撮像部および前記第2撮像部の位置を調整する
請求項1または請求項2に記載の涙液測定装置。
【請求項4】
前記調整部は、涙液測定用のオートアライメント機能がオンのときには、前記正面画像に含まれる前記被検眼の位置データに基づいて前記第1撮像部および前記第2撮像部の位置を調整する
請求項1または請求項2に記載の涙液測定装置。
【請求項5】
前記ユーザからの前記入力部への指示に基づいて、前記正面画像の中心が前記被検眼の角膜頂点となる通常測定モード、および、前記正面画像の中心が前記被検眼の角膜頂点よりも下方の位置となる涙液測定モードのいずれかを選択する選択部を更に備え、
前記算出部は、前記選択部によって前記涙液測定モードが選択されたときに、前記涙液高または前記涙液面積を算出し、
前記表示制御部は、前記選択部によって前記涙液測定モードが選択されたときに、前記第1の映像信号生成し前記表示部に出力し、その後、前記ユーザからの前記入力部への指示に基づいて、前記第2の映像信号または前記第3の映像信号生成し前記表示部に出力す
請求項1または請求項2に記載の涙液測定装置。
【請求項6】
前記調整部は、前記選択部によって前記涙液測定モードが選択され、オートアライメント機能がオフのときには、前記ユーザからの前記入力部への指示に基づいて前記第1撮像部および前記第2撮像部の位置を調整する
請求項5に記載の涙液測定装置。
【請求項7】
前記調整部は、前記選択部によって前記涙液測定モードが選択され、前記涙液測定モード用のオートアライメント機能をオンのときには、前記正面画像に含まれる前記被検眼の位置データに基づいて前記第1撮像部および前記第2撮像部の位置を調整する
請求項5に記載の涙液測定装置。
【請求項8】
前記断層画像または前記断層画像の拡大画像を学習モデルに入力し、前記学習モデルから、入力した前記断層画像または前記拡大画像に基づいた涙道閉塞についての判定結果を取得する取得部を更に備えた
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の涙液測定装置。
【請求項9】
被検眼の正面画像を取得する第1撮像部と、撮像位置が前記被検眼のうち前記正面画像の所定の位置と対応する位置となるように位置決めされており、光干渉を用いて前記被検眼の前眼部の断層画像を取得する第2撮像部と、制御部と、表示部とを備えた前眼部光干渉断層撮影装置において、
前記制御部が、前記正面画像の中心と、前記被検眼の下眼瞼と角膜との境界との距離が、前記正面画像の中心と、前記被検眼の角膜頂点との距離よりも短くなるように前記第1撮像部および前記第2撮像部の位置を調整したのち、前記第1撮像部における撮像により前記正面画像を取得するとともに、前記第2撮像部における撮像により前記断層画像を取得することと、
前記制御部が、取得した前記断層画像に基づいて涙液高または涙液面積を算出することと、
前記制御部が、前記正面画像および前記断層画像を含む第1の映像を表示させるための第1の映像信号を生成し前記表示部に出力した後、ユーザからの指示に基づいて、前記断層画像に含まれる涙液部分蛍光色で塗りつぶされた画像と、前記涙液面積とを含む第2の映像を表示させるための第2の映像信号を生成し前記表示部に出力するか、または、前記断層画像に含まれる涙液部分蛍光色で塗りつぶされた画像と、前記涙液高とを含む第3の映像を表示させるための第3の映像信号を生成し前記表示部に出力することと
前記表示部が、前記第1の映像信号に基づいて前記第1の映像を表示した後、前記第2の映像信号に基づいて前記第2の映像を表示するか、または、受信した前記第3の映像信号に基づいて前記第3の映像を表示すること
を含む
涙液測定方法。
【請求項10】
前記制御部が、前記正面画像の中心が前記被検眼の下眼瞼と角膜との境界付近となるように前記第1撮像部および前記第2撮像部の位置の調整することを更に含む
請求項9に記載の涙液測定方法。
【請求項11】
前記制御部が、オートアライメント機能をオフにした状態で、前記ユーザからの指示に基づいて前記第1撮像部および前記第2撮像部の位置を調整することを更に含む
請求項9または請求項10に記載の涙液測定方法。
【請求項12】
前記制御部が、涙液測定用のオートアライメント機能をオンにした状態で、前記正面画像に含まれる前記被検眼の位置データに基づいて前記第1撮像部および前記第2撮像部の位置を調整することを更に含む
請求項9または請求項10に記載の涙液測定方法。
【請求項13】
前記制御部が、前記ユーザからの指示に基づいて、前記正面画像の中心が前記被検眼の角膜頂点となる通常測定モード、および、前記正面画像の中心が前記被検眼の角膜頂点よりも下方の位置となる涙液測定モードのいずれかを選択することと、
前記制御部が、前記涙液測定モードが選択されたときに、前記第1撮像部における撮像により前記正面画像を取得するとともに、前記第2撮像部における撮像により前記断層画像を取得し、その後、前記第1の映像信号生成し前記表示部に出力した後、前記ユーザからの指示に基づいて、前記第2の映像信号または前記第3の映像信号生成し前記表示部に出力することと
を更に含む
請求項9または請求項10に記載の涙液測定方法。
【請求項14】
前記制御部が、前記涙液測定モードが選択されたときに、オートアライメント機能をオフにし、前記ユーザからの指示に基づいて前記第1撮像部および前記第2撮像部の位置を調整することを更に含む
請求項13に記載の涙液測定方法。
【請求項15】
前記制御部が、前記涙液測定モードが選択されたときに、前記涙液測定モード用のオートアライメント機能をオンにし、前記正面画像に含まれる前記被検眼の位置データに基づいて前記第1撮像部および前記第2撮像部の位置を調整することを更に含む
請求項13に記載の涙液測定方法。
【請求項16】
前記制御部が、前記断層画像または前記断層画像の拡大画像を学習モデルに入力し、前記学習モデルから、入力した前記断層画像または前記拡大画像に基づいた涙道閉塞についての判定結果を取得することを更に含む
請求項9から請求項15のいずれか一項に記載の涙液測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、涙液測定装置および涙液測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
涙が多くて困る、という症状を流涙症と言う。この原因は様々であり、涙の分泌が少ない「ドライアイ」の症状として「涙が多い」と感じることも稀ではない。白内障の原因として、実際に涙が多いわけではないにもかかわらず「涙が多い」と感じる人もいる。しかし、代表的な原因はなんといっても、涙の排出路(涙道)での涙の通過が障害される涙道閉塞である(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】https://www.tsukazaki-hp.jp/care/ophthalmology/epiphora
【発明の概要】
【0004】
現在、涙道閉塞を発見・治療するためには、涙道閉塞に詳しい専門医による診断が必要である。しかし、涙道閉塞の早期発見のためには、小さな町の眼科医でも、汎用的な医療機器を用いて、涙液メニスカスの高さや面積を正確に計測することで、涙道閉塞の可能性を判断できることが望ましい。従って、汎用的な医療機器で、涙液メニスカスの高さや面積を正確に計測したり、涙道閉塞の可能性を判断したりすることの可能な涙液測定装置および涙液測定方法を提供することが望ましい。
【0005】
本発明の一実施形態に係る涙液測定装置は、被検眼の正面画像を取得する第1撮像部と、撮像位置が被検眼のうち正面画像の所定の位置と対応する位置となるように位置決めされており、光干渉を用いて被検眼の前眼部の断層画像を取得する第2撮像部とを備えている。この涙液測定装置は、正面画像の中心が、被検眼の下眼瞼と角膜との境界までの距離が被検眼の角膜頂点までの距離よりも短くなる位置となるように第1撮像部および第2撮像部の位置を調整する調整部と、第2撮像部における撮像により得られた1または複数の断層画像に基づいて涙液高を算出する算出部と、1または複数の断層画像と、涙液高または涙液面積とを同一画面に表示する表示部とを更に備えている。
【0006】
本発明の一実施形態に係る涙液測定方法は、被検眼の正面画像を取得する第1撮像部と、撮像位置が被検眼のうち正面画像の所定の位置と対応する位置となるように位置決めされており、光干渉を用いて被検眼の前眼部の断層画像を取得する第2撮像部とを備えた前眼部光干渉断層撮影装置(前眼部OCT(Optical Coherence Tomography))において、以下の2つのステップを含む。
(1)正面画像の中心が、被検眼の下眼瞼と角膜との境界までの距離が被検眼の角膜頂点までの距離よりも短くなる位置となるように第1撮像部および第2撮像部の位置を調整したのち、第2撮像部における撮像により1または複数の断層画像を取得するステップ
(2)取得した1または複数の断層画像に基づいて涙液高または涙液面積を算出した後、取得した1または複数の断層画像と、算出した涙液高または涙液面積とを同一画面に表示するステップ
【0007】
本発明の一実施形態に係る涙液測定装置および涙液測定方法では、前眼部OCTに搭載されている2つの撮像部(第1撮像部および第2撮像部)の位置が、正面画像の中心が、被検眼の下眼瞼と角膜との境界までの距離が被検眼の角膜頂点までの距離よりも短くなる位置となるように調整される。そのような調整のなされた第2撮像部における撮像により得られた1または複数の断層画像に基づいて涙液高または涙液面積が算出され、1または複数の断層画像と、涙液高または涙液面積とが同一画面に表示される。これにより、涙液高や涙液面積を正確に計測することができる。
【0008】
ところで、前眼部OCTにおいて、2つの撮像部(第1撮像部および第2撮像部)を通常とは異なる所定の位置に調整した上で、前眼部の断層画像を撮像し、撮像により得られた1または複数の断層画像に基づいて涙液高または涙液面積を算出することは、例えば、汎用的な前眼部OCTに、新たなソフトウェアを組み込むなどすることにより実現可能である。つまり、汎用的な医療機器である前眼部OCTに改良を加えることにより、このような機能を実装することが可能である。従って、本発明は、小さな町の眼科医でも、汎用的な医療機器を用いて、涙液高や涙液面積を正確に計測することで、涙道閉塞の診断を可能とする道を拓くものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る前眼部OCTの概略構成例を表す図である。
図2図1の前眼部OCTにおける表示画面例を表す図である。
図3図1の前眼部OCTにおける計測手順例を表す図である。
図4図1の前眼部OCTにおける表示画面例を表す図である。
図5図1の前眼部OCTにおける表示画面例を表す図である。
図6図1の前眼部OCTにおける表示画面例を表す図である。
図7図1の前眼部OCTにおける表示画面例を表す図である。
図8図1の前眼部OCTにおける表示画面例を表す図である。
図9】本発明の第2の実施の形態に係る計測システムの概略構成例を表す図である。
図10図9の計測システムにおける計測手順例および判定手順例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明は本発明の一具体例であって、本発明は以下の態様に限定されるものではない。
【0011】
<第1の実施の形態>
[構成]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る前眼部OCT10の機能ブロック例を表したものである。前眼部OCT10は、患者の眼(被検眼)の前眼部の断層画像を取得し、取得した断層画像に基づいて涙液高または涙液面積を算出することの可能な装置である。前眼部OCT10は、図1に示したように、制御部110、メモリ120、2つの撮像部(第1撮像部130、第2撮像部140)、位置調整部150、表示部160、入力部170および通信部180を備えている。
【0012】
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)およびGPU(Graphics Processing Unit)などを含んで構成され、例えば、メモリ120に記憶されたオペレーティングシステムや、前眼部OCT10に含まれる各種デバイスを制御する制御プログラムなど(図示せず)を実行する。制御部110は、さらに、例えば、メモリ120に記憶されたプログラム120Aを実行する。プログラム120Aは、涙液高または涙液面積を算出するための一連の手順を制御部110に実行させる。
【0013】
プログラム120Aがロードされた制御部110(以下、単に「制御部110」と称する。)は、2つの撮像部(第1撮像部130、第2撮像部140)の位置が所定の位置となるように、位置調整部150を制御する。制御部110は、例えば、測定モード、アライメントモードおよび撮像モードに応じて、位置調整部150を制御する。
【0014】
制御部110は、例えば、第1撮像部130から正面画像I1を取得し、取得した正面画像I1をメモリ120に格納する。制御部110は、例えば、第2撮像部140から垂直断層画像I2および水平断層画像I3を取得し、取得した垂直断層画像I2および水平断層画像I3をメモリ120に格納する。制御部110は、例えば、取得した正面画像I1、垂直断層画像I2および水平断層画像I3を、患者IDと関連付けてメモリ120に格納する。制御部110は、例えば、メモリ120から垂直断層画像I2を読み出し、読み出した垂直断層画像I2を、通信部180を介して外部の装置に送信する。
【0015】
測定モードが角膜測定モードの場合には、制御部110は、例えば、正面画像I1の中心が被検眼Eの角膜頂点と一致する位置となるように、位置調整部150を制御する。測定モードが涙液測定モードの場合には、制御部110は、例えば、正面画像I1の中心が、被検眼Eの下眼瞼と角膜との境界Bまでの距離が被検眼Eの角膜頂点までの距離よりも短くなる位置となるように、位置調整部150を制御する。このとき、制御部110は、例えば、正面画像I1の中心が境界B付近となるように、位置調整部150を制御してもよい。
【0016】
アライメントモードが自動モードの場合(オートアライメント機能がオンの場合)には、制御部110は、例えば、正面画像I1から、正面画像I1に含まれる被検眼Eの位置データを算出し、算出した位置データに基づいて、位置調整部150を制御する。アライメントモードが手動モードの場合(オートアライメント機能がオフの場合)には、制御部110は、例えば、入力部170に入力された、ユーザの指示に応じて位置調整部150を制御する。撮像モードが自動モードの場合(オートショット機能がオンの場合)には、制御部110は、例えば、2つの撮像部(第1撮像部130、第2撮像部140)における撮像を自動的に制御する。撮像モードが手動モードの場合(オートショット機能がオフの場合)には、制御部110は、例えば、入力部170に入力された、ユーザの指示に応じて2つの撮像部(第1撮像部130、第2撮像部140)における撮像を制御する。
【0017】
制御部110は、映像信号を生成し、表示部160に出力する。図2は、表示部160の表示画面160Aの表示例を表す。制御部110は、例えば、正面画像表示窓162、垂直断層画像表示窓163および水平断層画像表示窓164を表示するための映像信号を生成し、表示部160に出力する。正面画像表示窓162は、第1撮像部130で得られた正面画像I1を表示するための窓である。垂直断層画像表示窓163は、第2撮像部140で得られた垂直断層画像I2を表示するための窓である。水平断層画像表示窓164は、第2撮像部140で得られた水平断層画像I3を表示するための窓である。制御部110は、例えば、第1撮像部130で得られた正面画像I1と、第2撮像部140で得られた垂直断層画像I2および水平断層画像I3とを含む映像を表示するための映像信号を生成し、表示部160に出力する。制御部110は、例えば、1または複数の水平断層画像I3と、涙液高および涙液面積のうち少なくとも一方とを含む映像を表示するための映像信号を生成し、表示部160に出力する。制御部110は、例えば、入力インターフェース161を表示するための映像信号を生成し、表示部160に出力する。
【0018】
入力インターフェース161には、例えば、患者IDを入力するための入力窓や、測定モード、アライメントモードおよび撮像モードを選択するための選択ボタンが含まれる。つまり、入力インターフェース161は、測定モードとして、角膜測定モードおよび涙液測定モードのいずれかを選択することができるようになっており、アライメントモードとして、自動モードおよび手動モードのいずれかを選択することができるようになっており、撮像モードとして、自動モードおよび手動モードのいずれかを選択することができるようになっている。制御部110は、例えば、入力インターフェース161が表示部160の表示画面160Aに表示されているときに入力部170に入力された内容に応じて、患者を識別したり、測定モード、アライメントモードおよび撮像モードを設定したりする。
【0019】
制御部110は、第2撮像部140における撮像により得られた1または複数の垂直断層画像I2に基づいて涙液高および涙液面積の少なくとも一方を算出する。制御部110は、入力部170によって涙液測定モードが選択されたときに、涙液高および涙液面積の少なくとも一方を算出する。制御部110は、算出した涙液高および涙液面積の少なくとも一方をメモリ120に格納する。制御部110は、例えば、算出した涙液高および涙液面積の少なくとも一方を、患者IDと関連付けてメモリ120に格納する。
【0020】
メモリ120は、制御部110によって実行されるプログラム(例えば、ウェブブラウザプログラムや、オペレーティングシステム)などを記憶している。メモリ120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、補助記憶装置(ハードディスク等)等によって構成される。メモリ120は、さらに、プログラム120Aを記憶している。
【0021】
2つの撮像部(第1撮像部130、第2撮像部140)は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサもしくはCMOS(Complementary metal-oxide-semiconductor)イメージセンサを含んで構成されている。第1撮像部130は、制御部110による制御に従って撮像を行い、それにより得られた画像(正面画像I1)を制御部110に出力する。第2撮像部140は、制御部110による制御に従って撮像を行い、それにより得られた画像(垂直断層画像I2、水平断層画像I3)を制御部110に出力する。第2撮像部140は、光干渉を用いて被検眼Eの前眼部の画像(垂直断層画像I2、水平断層画像I3)を取得する。第2撮像部140は、撮像位置が被検眼Eのうち正面画像I1の所定の位置と対応する位置となるように位置決めされている。
【0022】
位置調整部150は、例えば、制御部110による制御に従って、2つの撮像部(第1撮像部130、第2撮像部140)の位置を調整する。測定モードが角膜測定モードの場合には、位置調整部150は、例えば、制御部110による制御に従って、正面画像I1の中心が被検眼Eの角膜頂点と一致する位置となるように、2つの撮像部(第1撮像部130、第2撮像部140)の位置を調整する。測定モードが涙液測定モードの場合には、位置調整部150は、例えば、制御部110による制御に従って、正面画像I1の中心が、被検眼Eの下眼瞼と角膜との境界Bまでの距離が被検眼Eの角膜頂点までの距離よりも短くなる位置となるように、2つの撮像部(第1撮像部130、第2撮像部140)の位置を調整する。測定モードが角膜測定モードの場合には、位置調整部150は、例えば、制御部110による制御に従って、正面画像I1の中心が境界B付近となるように2つの撮像部(第1撮像部130、第2撮像部140)の位置を調整する。
【0023】
アライメントモードが自動モードの場合(オートアライメント機能がオンの場合)には、位置調整部150は、例えば、制御部110による制御に従って、正面画像I1に含まれる被検眼Eの位置データに基づいて2つの撮像部(第1撮像部130、第2撮像部140)の位置を調整する。アライメントモードが手動モードの場合(オートアライメント機能がオフの場合)には、位置調整部150は、例えば、入力部170に入力された、ユーザの指示に応じて2つの撮像部(第1撮像部130、第2撮像部140)の位置を調整する。
【0024】
表示部160は、例えば、液晶パネルや有機EL(Electro Luminescence)パネル等の表示装置からなる。表示部160は、制御部110からの映像信号に基づく映像を表示画面160Aに表示する。表示部160は、例えば、制御部110からの映像信号に基づいて、正面画像表示窓162、垂直断層画像表示窓163および水平断層画像表示窓164を表示する。表示部160は、例えば、制御部110からの映像信号に基づいて、第1撮像部130で得られた正面画像I1と、第2撮像部140で得られた垂直断層画像I2および水平断層画像I3とを含む映像を表示する。表示部160は、例えば、制御部110からの映像信号に基づいて、1または複数の水平断層画像I3と、涙液高および涙液面積のうち少なくとも一方とを含む映像を表示する。表示部160は、例えば、制御部110からの映像信号に基づいて、入力インターフェース161を表示する。
【0025】
入力部170は、外部(例えば、ユーザ)からの指示を受け付け、受け付けた指示を制御部110に出力する。入力部170は、例えば、ボタンやダイヤルなどを含む機械的な入力インターフェースであってもよいし、マイクロフォンなどを含む音声入力インターフェースであってもよい。入力部170は、例えば、前眼部OCT10の表示画面160Aに設けられたタッチパネルであってもよい。通信部180は、ネットワークを介して外部の機器と通信を行う通信インターフェースである。なお、前眼部OCT10において、通信部180は、必要に応じて省略可能である。
【0026】
[動作]
次に、図3を参照して、本実施の形態に係る前眼部OCT10における計測手順の一例について説明する。図3は、前眼部OCT10における計測手順の一例を表す。まず、制御部110は、入力インターフェース161を含む映像を表示するための映像信号を生成し、表示部160に出力する。表示部160は、制御部110からの映像信号に基づいて、入力インターフェース161を表示する(図2)。ユーザは、入力部170を介して、入力インターフェース161に対して、患者ID、測定モード、アライメントモードおよび撮像モードを入力する。
【0027】
ユーザは、例えば、患者IDを入力した後、測定モードとして涙液測定モードを選択し、アライメントモードとして手動モードを選択し、撮像モードとして手動モードを選択する。すると、制御部110は、患者IDを取得し、測定モードとして涙液測定モードを設定し、アライメントモードとして手動モードを設定し、撮像モードとして手動モードを設定する。このとき、オート機能(オートアライメント機能、オートショット機能)がオフとなる。ユーザは、例えば、患者IDを入力した後、測定モードとして涙液測定モードを選択し、アライメントモードとして自動モードを選択し、撮像モードとして自動モードを選択する。すると、制御部110は、患者IDを取得し、測定モードとして涙液測定モードを設定し、アライメントモードとして自動モードを設定し、撮像モードとして自動モードを設定する。このとき、オート機能(オートアライメント機能、オートショット機能)がオンとなる。
【0028】
次に、制御部110は、第1撮像部130および第2撮像部140に対して、連続撮像を指示する。すると、第1撮像部130は、制御部110からの制御に従って撮像を行い、それにより得られた正面画像I1を制御部110に出力する。第2撮像部140は、制御部110からの制御に従って撮像を行い、それにより得られた垂直断層画像I2および水平断層画像I3を制御部110に出力する。制御部110は、第1撮像部130から正面画像I1を取得するとともに、第2撮像部140から垂直断層画像I2および水平断層画像I3を取得する。制御部110は、取得した正面画像I1、垂直断層画像I2および水平断層画像I3を表示するための映像信号を生成し、表示部160に出力する。このとき、制御部110は、正面画像I1の角膜中心に対して、画像中心マーカMが重ね合わされた画像を含む映像信号を生成し、表示部160に出力する。表示部160は、制御部110から得られた映像信号に基づいて、正面画像I1、垂直断層画像I2および水平断層画像I3を表示する(図4)。このとき、正面画像I1の角膜中心には、画像中心マーカMが重ね合わされている。
【0029】
次に、制御部110は、測定モードが涙液測定モードとなっており、かつ、アライメントモードが自動モードとなっている場合、正面画像I1の中心位置を涙液測定モードに対応した位置に設定する。このとき、制御部110は、例えば、正面画像I1の中心が、被検眼Eの下眼瞼と角膜との境界Bまでの距離が被検眼Eの角膜頂点までの距離よりも短くなる位置となるように、位置調整部150を制御する(図5)。制御部110は、例えば、正面画像I1の中心が境界B付近となるように、位置調整部150を制御してもよい(図5)。このとき、画像中心マーカMが境界B付近に表示されている。
【0030】
制御部110は、測定モードが涙液測定モードとなっており、かつ、アライメントモードが手動モードとなっている場合、制御部110は、例えば、入力部170に入力された、ユーザの指示に応じて位置調整部150を制御する。このとき、ユーザは、正面画像I1の中心が、被検眼Eの下眼瞼と角膜との境界Bまでの距離が被検眼Eの角膜頂点までの距離よりも短くなる位置となるように、入力部170に所定の入力を入力する。ユーザは、正面画像I1の中心が境界B付近となるように、入力部170に所定の入力を入力してもよい。
【0031】
ユーザが、入力部170を介して、表示画面160Aに表示されている「save」ボタンを押すことにより、制御部110は、取得した正面画像I1、垂直断層画像I2および水平断層画像I3をメモリ120に格納する。続いて、制御部110は、測定モードが涙液測定モードとなっている場合、得られた垂直断層画像I2を拡大した画像(拡大画像I4)を表示するための映像信号を生成し、表示部160に出力する。表示部160は、制御部110から得られた映像信号に基づいて、拡大画像I4を表示する(図6)。このとき、拡大画像I4の中心には、境界Bに溜まった涙液169aが表示されている。なお、図6には、倍率入力窓166に、倍率として200が入力されており、垂直断層画像I2を90度回転させた画像を200倍することにより得られた画像が拡大画像I4として拡大画像表示窓165に表示されている場合が例示されている。
【0032】
ユーザが、入力部170を介して、表示画面160Aに表示されている面積算出ボタン167をクリックすると、制御部110は、例えば、涙液169aを蛍光色で塗りつぶした画像を表示するための映像信号を生成し、表示部160に出力する。表示部160は、制御部110から得られた映像信号に基づいて、涙液169aが蛍光色で塗りつぶされた拡大画像I4を表示する(図7)。このとき、制御部110は、例えば、拡大画像I4に基づいて涙液169aの断面積(面積169b)を算出し、算出した断面積(面積169b)を含む画像を表示するための映像信号を生成し、表示部160に出力する。表示部160は、制御部110から得られた映像信号に基づいて、算出した断面積(面積169b)が含まれる拡大画像I4を表示する(図7)。
【0033】
ユーザが、入力部170を介して、表示画面160Aに表示されている涙液高算出ボタン168をクリックすると、制御部110は、例えば、拡大画像I4に基づいて涙液高169cを算出し、算出した涙液高169cを含む画像を表示するための映像信号を生成し、表示部160に出力する。表示部160は、制御部110から得られた映像信号に基づいて、算出した涙液高169cが含まれる拡大画像I4を表示する(図8)。ユーザが、入力部170を介して、表示画面160Aに表示されている「save」ボタンを押すことにより、制御部110は、算出した面積169bおよび涙液高169cをメモリ120に格納する。このようにして、面積169bおよび涙液高169cが計測される。
【0034】
[効果]
次に、本実施の形態に係る前眼部OCT10の効果について説明する。
【0035】
涙が多くて困る、という症状を流涙症と言う。この原因は様々であり、涙の分泌が少ない「ドライアイ」の症状として「涙が多い」と感じることも稀ではない。白内障の原因として、実際に涙が多いわけではないにもかかわらず「涙が多い」と感じる人もいる。しかし、代表的な原因はなんといっても、涙の排出路(涙道)での涙の通過が障害される涙道閉塞である。
【0036】
現在、涙道閉塞を発見・治療するためには、涙道閉塞に詳しい専門医による診断が必要である。しかし、涙道閉塞の早期発見のためには、小さな町の眼科医でも、汎用的な医療機器を用いて、涙の分泌量を正確に計測することで、涙道閉塞の可能性を判断できることが望ましい。
【0037】
一方、本実施の形態では、前眼部OCT10に搭載されている2つの撮像部(第1撮像部130および第2撮像部140)の位置が、正面画像I1の中心が、被検眼Eの下眼瞼と角膜との境界Bまでの距離が被検眼Eの角膜頂点までの距離よりも短くなる位置となるように調整される。そのような調整のなされた第2撮像部140における撮像により得られた1または複数の垂直断層画像12に基づいて涙液高169cまたは涙液面積169bが算出され、1または複数の垂直断層画像12と、涙液高169cまたは涙液面積169bとが含まれる映像が表示される。これにより、涙液高169cや涙液面積169bを正確に計測することができる。
【0038】
ところで、前眼部OCT10において、2つの撮像部(第1撮像部130および第2撮像部140)を通常とは異なる所定の位置に調整した上で、前眼部の垂直断層画像12を撮像し、撮像により得られた1または複数の垂直断層画像12に基づいて涙液高169cまたは涙液面積169bを算出することは、例えば、汎用的な前眼部OCTに、新たなソフトウェアを組み込むなどすることにより実現可能である。つまり、汎用的な医療機器である前眼部OCTに改良を加えることにより、このような機能を実装することが可能である。従って、本実施の形態に係る前眼部OCT10は、小さな町の眼科医でも、汎用的な医療機器を用いて、涙液高169cや涙液面積169bを正確に計測することで、涙道閉塞の診断を可能とする道を拓くものである。
【0039】
本実施の形態では、正面画像I1の中心が被検眼Eの下眼瞼と角膜との境界B付近となるように2つの撮像部(第1撮像部130および第2撮像部140)の位置が調整される。これにより、境界B付近に存在する涙液169aが垂直断層画像12の中心付近に位置するようになり、涙液169aをより鮮明に撮像することが可能となる。その結果、涙液高169cや涙液面積169bを正確に計測することができる。
【0040】
本実施の形態では、アライメントモードが手動モードの場合(オートアライメント機能がオフの場合)には、ユーザからの指示に基づいて2つの撮像部(第1撮像部130および第2撮像部140)の位置が調整される。これにより、境界B付近に存在する涙液169aを垂直断層画像12の中心付近に位置させることができ、涙液169aをより鮮明に撮像することが可能となる。その結果、涙液高169cや涙液面積169bを正確に計測することができる。
【0041】
本実施の形態では、アライメントモードが自動モードの場合(オートアライメント機能がオンの場合)には、正面画像I1に含まれる被検眼Eの位置データに基づいて2つの撮像部(第1撮像部130および第2撮像部140)の位置が調整される。これにより、境界B付近に存在する涙液169aを垂直断層画像12の中心付近に位置させることができ、涙液169aをより鮮明に撮像することが可能となる。
【0042】
本実施の形態では、ユーザからの指示に基づいて、正面画像I1の中心が被検眼Eの角膜頂点となる網膜測定モード、および、正面画像I1の中心が被検眼Eの角膜頂点よりも下方の位置となる涙液測定モードのいずれかが入力インターフェース161によって選択される。これにより、測定対象に応じた適切な条件に設定することが可能となる。
【0043】
本実施の形態では、入力インターフェース161によって涙液測定モードが選択され、アライメントモードが手動モードの場合(オートアライメント機能がオフの場合)には、ユーザからの指示に基づいて2つの撮像部(第1撮像部130および第2撮像部140)の位置が調整される。これにより、境界B付近に存在する涙液169aを垂直断層画像12の中心付近に位置させることができ、涙液169aをより鮮明に撮像することが可能となる。その結果、涙液高169cや涙液面積169bを正確に計測することができる。
【0044】
本実施の形態では、入力インターフェース161によって涙液測定モードが選択され、涙液測定モード用のオートアライメント機能がオンの場合には、正面画像I1に含まれる被検眼Eの位置データに基づいて2つの撮像部(第1撮像部130および第2撮像部140)の位置が調整される。これにより、境界B付近に存在する涙液169aを垂直断層画像12の中心付近に位置させることができ、涙液169aをより鮮明に撮像することが可能となる。その結果、涙液高169cや涙液面積169bを正確に計測することができる。
【0045】
<第2の実施の形態>
[構成]
図9は、本発明の第2の実施の形態に係る計測システム100の機能ブロック例を表したものである。計測システム100は、患者の眼(被検眼)の前眼部の断層画像を取得し、取得した断層画像に基づいて涙液高または涙液面積を算出するとともに、断層画像に基づいて涙道閉塞について判定することの可能な装置である。計測システム100は、図9に示したように、前眼部OCT10およびサーバ装置20を備えている。前眼部OCT10およびサーバ装置20は、通信ネットワーク30を介して接続されている。通信部180は、通信ネットワーク30を介してサーバ装置20と通信を行う通信インターフェースである。
【0046】
通信ネットワーク30は、例えば、インターネットで標準的に利用されている通信プロトコル(TCP/IP)を用いて通信を行うネットワークである。通信ネットワーク30は、例えば、そのネットワーク独自の通信プロトコルを用いて通信を行うセキュアなネットワークであってもよい。通信ネットワーク30は、例えば、インターネット、イントラネット、または、ローカルエリアネットワークである。通信ネットワーク30と、前眼部OCT10またはサーバ装置20との接続は、例えば、イーサネット等の有線LAN(Local Area Network)であってもよいし、Wi-Fi等の無線LANや、携帯電話回線などであってもよい。
【0047】
サーバ装置20は、例えば、制御部210、学習モデル220、メモリ230および通信部240を備えている。制御部210は、CPUおよびGPUなどを含んで構成され、例えば、メモリ230に記憶されたオペレーティングシステムなどを実行する。制御部210は、例えば、通信ネットワーク30を介して前眼部OCT10から入力された垂直断層画像I2を学習モデル220に入力し、入力した垂直断層画像I2に対する応答として、入力した垂直断層画像I2に基づく涙道閉塞についての判定結果を取得する。制御部210は、例えば、学習モデル220から取得した判定結果を、通信部240および通信ネットワーク30を介して、前眼部OCT10に出力する。
【0048】
学習モデル220は、学習用の垂直断層画像(画像データ230A)を説明変数とするとともに、学習用の垂直断層画像(画像データ230A)を医師が診断することにより得られた診断結果(診断データ230B)を目的変数とする機械学習が行われたモデルである。学習モデル220は、例えば、人工知能(AI)で構成されている。学習用の垂直断層画像(画像データ230A)は、上述の垂直診断画像I2の取得過程と共通の方法で取得された画像、または、上述の拡大画像I4の取得過程と共通の方法で取得された画像である。
【0049】
メモリ230は、制御部210によって実行されるプログラム(例えば、オペレーティングシステム)などを格納する。メモリ230は、例えば、RAM、ROM、補助記憶装置(ハードディスク等)等によって構成される。メモリ230は、さらに、複数の画像データ230Aおよび複数の診断データ230Bを記憶している。
【0050】
次に、図10を参照して、本実施の形態に係る計測システム100における計測手順および判定手順の一例について説明する。図3は、前眼部OCT10における計測手順の一例を表す。入力インターフェース161の表示から、面積169bおよび涙液高169cの計測までは、上記実施の形態と共通となっている。そこで、以下では、面積169bおよび涙液高169cが計測された後の手順について説明する。
【0051】
制御部110は、垂直断層画像I2または拡大画像I4を、通信部180および通信ネットワーク30を介して、サーバ装置20に出力する。サーバ装置20において、通信部240は、通信ネットワーク30を介して、前眼部OCT10から、垂直断層画像I2または拡大画像I4を取得する。通信部240は、取得した垂直断層画像I2または拡大画像I4を制御部210に出力する。制御部210は、取得した垂直断層画像I2または拡大画像I4を学習モデル220に入力する。学習モデル220は、垂直断層画像I2または拡大画像I4が入力されると、入力された垂直断層画像I2または拡大画像I4に対する応答として、入力された垂直断層画像I2または拡大画像I4に基づいた涙道閉塞についての判定結果を制御部210に出力する。制御部210は、学習モデル220から得られた、涙道閉塞についての判定結果を、通信部240および通信ネットワーク30を介して、前眼部OCT10に出力する。
【0052】
前眼部OCT10において、通信部240は、通信ネットワーク30を介して、前眼部OCT10から、涙道閉塞についての判定結果を取得する。通信部180は、取得した涙道閉塞についての判定結果を制御部210に出力する。制御部210は、取得した涙道閉塞についての判定結果を表示するための映像信号を生成し、表示部160に出力する。表示部160は、制御部110から得られた映像信号に基づいて、涙道閉塞についての判定結果を表示する。このようにして、計測システム100における計測および判定が行われる。
【0053】
本実施の形態では、学習モデル220に垂直断層画像I2または拡大画像I4を入力することにより、入力された垂直断層画像I2または拡大画像I4に対する応答として、入力された垂直断層画像I2または拡大画像I4に基づいた涙道閉塞についての判定結果が得られる。これにより、小さな町の眼科医でも、汎用的な医療機器を用いて取得した垂直断層画像I2または拡大画像I4を学習モデル220に入力することで、涙道閉塞についての判定結果を得ることができ、その判定結果に基づいて、涙道閉塞の可能性を判断することができる。
【0054】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は実施の形態に限定されるものではなく、種々変形が可能である。なお、本明細書中に記載された効果は、あくまで例示である。本発明の効果は、本明細書中に記載された効果に限定されるものではない。本発明が、本明細書中に記載された効果以外の効果を持っていてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10