(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】表皮取付用計測器
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20241128BHJP
A01K 29/00 20060101ALI20241128BHJP
A61B 5/0245 20060101ALI20241128BHJP
A61B 5/257 20210101ALI20241128BHJP
A61B 5/01 20060101ALI20241128BHJP
G01K 13/20 20210101ALI20241128BHJP
【FI】
A61B5/00 L
A01K29/00 C
A61B5/0245 Z
A61B5/257
A61B5/01 100
G01K13/20 341Z
(21)【出願番号】P 2022155794
(22)【出願日】2022-09-29
【審査請求日】2024-04-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519238107
【氏名又は名称】岡田製作所合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147393
【氏名又は名称】堀江 一基
(74)【代理人】
【識別番号】100140866
【氏名又は名称】佐藤 武史
(72)【発明者】
【氏名】岡田 英之
【審査官】▲高▼原 悠佑
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-251706(JP,A)
【文献】特開2010-188032(JP,A)
【文献】特開2007-209428(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0319133(US,A1)
【文献】特開2010-234047(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00ー5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物の表皮に取り付けられる表皮取付用計測器であって、
少なくとも動物に関する情報を計測するセンサを有し、電気を供給され動作する基板と、
前記基板に取り付けられ、発電した電気を前記基板に供給するソーラパネルと、を備え、
前記ソーラパネルは、光を受光する受光面の裏面に直接、前記基板が取り付けられており、柔軟性を有し、
前記ソーラパネルの裏面において、前記基板の周囲を覆うように配置され、弾性を有する弾性部材と、
前記弾性部材及び前記基板の前記ソーラパネルとは反対側の表皮側に配置され、表皮に付着する付着部材と、を更に備え、
前記弾性部材はドーナツ形状であって、前記弾性部材から前記基板が露出している表皮取付用計測器。
【請求項2】
前記付着部材は、前記弾性部材及び前記基板に跨がって前記弾性部材及び前記基板の裏面に直接接触するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の表皮取付用計測器。
【請求項3】
前記弾性部材は、前記ソーラパネルの裏面から前記基板の裏面までの寸法の厚さで形成されている請求項2に記載の表皮取付用計測器。
【請求項4】
前記付着部材は、不透水性の素材で形成され、前記弾性部材及び前記基板の裏面全面を覆うように配置されていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の表皮取付用計測器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表皮取付用計測器に関し、詳しくは、動物の表皮に取り付けられる表皮取付用計測器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、動物に取り付けて動物に関する情報(例えば、体温、脈拍等)を取得する計測器が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、耳標タグと、前記耳標タグの脱落を防止する留め具と、を有し、前記耳標タグ及び前記留め具の少なくとも1つに太陽電池が搭載され、前記太陽電池によって発電した電力によって、動物の体温を計測するための第1の温度センサを動作させる体温計測用耳標が提案されている。
特許文献1の技術によれば、動物に取り付けられているので正確な体温を計測でき、また、電池交換が不要なので、動物に付けたままとし、任意のタイミングで、動物の体温を取得することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、耳標タグが必要であり、耳標タグが取り付けられない動物(例えば、人等)に用いることはできない。
【0006】
本発明は、より簡便に、動物に取り付けることを可能としつつ、少なくとも動物に関する情報を取得することが可能な表皮取付用計測器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 動物の表皮に取り付けられる表皮取付用計測器であって、
少なくとも動物に関する情報を計測するセンサを有する基板と、
前記基板に取り付けられ、発電した電気を前記基板に供給するソーラパネルと、を備え、
前記ソーラパネルは、光を受光する受光面の裏面に、前記基板が取り付けられており、柔軟性を有することを特徴とする表皮取付用計測器。
【0008】
(1)の発明によれば、表皮取付用計測器は、動物の表皮に取り付けられ、基板と、ソーラパネルと、を備える。
基板は、少なくとも動物に関する情報を計測するセンサを有する。
ソーラパネルは、基板に取り付けられ、発電した電気を基板に供給する。
そして、ソーラパネルは、光を受光する受光面の裏面に、基板が取り付けられており、柔軟性を有する。
【0009】
これにより、少なくとも動物に関する情報を計測するセンサを有する基板を、ソーラパネルの裏面に直接取り付けることで、表皮取付用計測器をコンパクトに形成できるので、動物の表皮に取り付ける位置の自由度が向上する。
したがって、より簡便に、動物に取り付けることを可能としつつ、少なくとも動物に関する情報を取得することが可能な表皮取付用計測器を提供できる。
【0010】
ここで、動物の表皮の表面の形状は、平坦ではなく、様々な起伏があり、また、動物が動作すると、この動作に応じて変形する場合もある。
(1)の発明によれば、ソーラパネルが柔軟性を有するので、動物の表皮の表面の形状に追随してソーラパネルが変形可能となり、動物の表皮への密着性が向上するので、表皮取付用計測器が外れにくくなり、センサにより計測した動物に関する情報の精度が向上する。
【0011】
(2) 前記ソーラパネルの裏面において、前記基板の周囲を覆うように配置され、弾性を有する弾性部材を、更に備えることを特徴とする(1)に記載の表皮取付用計測器。
【0012】
(2)の発明によれば、基板の周囲を覆うように弾性部材を配置したので、外部からの基板への衝撃を緩和できる。また、動物の表皮の表面の形状の変化を弾性部材でも吸収できるので、動物の表皮の表面の形状に対する追随性がより向上し、表皮取付用計測器がより外れにくくなり、センサにより計測した動物に関する情報の精度がより向上する。
【0013】
(3) 前記弾性部材及び前記基板の表皮側に配置される面に配置され、不透水性の素材で形成され、表皮に付着する付着部材を、更に備え、
前記付着部材は、前記弾性部材及び前記基板に跨がって配置されていることを特徴とする(2)に記載の表皮取付用計測器。
【0014】
(3)の発明によれば、不透水性の素材で形成された付着部材を、弾性部材及び基板の表皮側に配置される面に、弾性部材及び基板に跨がって配置したので、動物の表皮への密着性が向上するとともに、表皮から発する水分(汗等)により、基板が損傷するのを防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、より簡便に、動物に取り付けることを可能としつつ、少なくとも動物に関する情報を取得することが可能な表皮取付用計測器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る表皮取付用計測器の使用状態を説明する図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る表皮取付用計測器の平面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る表皮取付用計測器の
図1に示すAA断面を説明する図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る表皮取付用計測器の基板の機能構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明において、同一の構成には、同一の符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。
図1は、本発明の実施形態に係る表皮取付用計測器の使用状態を説明する図である。
表皮取付用計測器1は、動物(例えば、人H等)の表皮に取り付けられ、ソーラパネルにより太陽光で発電し、少なくとも当該動物に関する情報(例えば、体温、脈拍、心拍等)を計測する。
図1に示す例では、表皮取付用計測器1は、人Hの首筋の表皮に取り付けられている。表皮取付用計測器1は、任意の大きさや厚さで形成できるが、例えば、平面視で40mm角で、厚さが3mm程度であることが望ましい。
以下の説明において、表皮取付用計測器1を表皮に取り付けた場合に、表皮側の面を裏面、裏面の反対側の面を表面ともいう。
【0018】
なお、表皮取付用計測器1は、人に限らず、例えば、表皮に取り付けることで、体温等の情報が計測できれば、マウス、家畜、愛玩動物等の任意の動物に適用することが可能である。また、表皮取付用計測器1は、動物に関する情報(例えば、体温、脈拍、心拍等)のみならず、気温、気圧等の表皮取付用計測器1の周囲の環境情報を計測してもよい。
【0019】
図2は、本発明の実施形態に係る表皮取付用計測器の平面図である。
図3は、本発明の実施形態に係る表皮取付用計測器の
図1に示すAA断面を説明する図である。
表皮取付用計測器1は、ソーラパネル10と、基板20と、弾性部材30と、付着部材40と、を備える。
【0020】
ソーラパネル10は、柔軟性を有する平板形状で形成され、表面10a側の受光面で受光し、発電した電気をその裏面10bに取り付けられた基板20に供給する。ソーラパネル10は、公知(例えば、特許文献1参照)のフレキシブル太陽電池で構成され、例えば、アモルファスシリコン太陽電池や、色素増感太陽電池、有機薄膜太陽電池、ペロブスカイト太陽電池等の有機系太陽電池で構成することができる。
【0021】
基板20は、ソーラパネル10の裏面10bに直接取り付けられており、少なくとも動物に関する情報を計測するセンサを有する。基板20は、例えば、平面視で15mm角で、厚さが2mm程度の大きさで形成される。基板20は、平面視で、ソーラパネル10より小さい面積で形成し、ソーラパネル10の裏面の略中央に配置するのが望ましい。
【0022】
図4は、本発明の実施形態に係る表皮取付用計測器の基板の機能構成を説明する図である。
基板20は、ソーラパネル10と電気的に接続され、例えば、制御部21と、センサ22と、蓄電部23と、通信部24と、を含む。
【0023】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit),RAM(Random Access Memory),ROM(Read Only Memory)等を備え、その他の構成を制御し、基板20を動作させる。制御部21は、例えば、ソーラパネル10から供給された電気で駆動し、ソーラパネル10から供給された電気により、センサ22で計測された情報を取得し、取得した情報を記憶手段(上記RAM等)に記憶したり、通信部24により、近距離無線通信で、別装置である端末100に取得した情報を送信する。制御部21は、予め設定された所定間隔(例えば、1時間間隔、24時間間隔等)で、センサ22で計測された情報を取得する。また、制御部21は、ソーラパネル10から供給された電気を直接使用してもよいし、ソーラパネル10から供給された電気を蓄電部23に蓄え、蓄電部23に蓄えた電気を使用してもよい。
【0024】
表皮取付用計測器1とは別装置である端末100は、例えば、パーソナルコンピュータやスマートフォンやタブレットやスマートウオッチや専用の受信装置等の通信可能な任意のデバイスで構成される。ユーザは、端末100により、表皮取付用計測器1から各種情報を受信し、ディスプレイ等の表示手段に表示することで、各種情報を視認することができる。なお、表皮取付用計測器1は、表示手段を備え、この表示手段に各種情報を表示してもよい。この場合、表皮取付用計測器1は、通信部24を省略してもよい。
【0025】
センサ22は、少なくとも動物(例えば、
図1に示す人H等)に関する情報を計測する。具体的には、センサ22は、体温を計測する体温センセ、脈拍を計測する脈拍センサ、心拍を計測する脈拍センサ、動物の歩数を計測する歩数計センサ等である。また、センサ22は、動物に関する情報以外の情報として、例えば、環境情報(気温、気圧等)を計測するセンサを含んでもよい。センサ22は、互いに異なる情報を計測する複数のセンサ(センサ1,2,3・・・)を含んでもよいし、1つのセンサ(例えば、体温センサ)のみであってもよい。
【0026】
図3に戻って、弾性部材30は、ソーラパネル10の裏面10bにおいて、基板20の周囲を全体的に覆うように配置され、弾性を有する。弾性部材30は、平面視でドーナツ形状に形成され、ソーラパネル10の裏面10bから基板20の裏面までの寸法の厚さで形成されている。弾性部材30は、例えば、シリコンで形成されているが、ゲル状の素材やゴム製の素材で形成してもよい。
【0027】
付着部材40は、弾性部材30及び基板20の表皮側に配置される面(
図3に示す裏面側)に配置され、不透水性の素材で形成され、表皮に付着する。付着部材40は、弾性部材30及び基板20に跨がって、弾性部材30及び基板20の裏面全面を覆うように配置されている。付着部材40は、例えば、両面テープで構成されている。なお、表皮取付用計測器1は、付着部材40を省略し、弾性部材30の裏面側の粘着力により、表皮に付着させてもよいし、弾性部材30や基板20の裏面において部分的に、接着材や粘着材を配置し、これらの接着力や粘着力により、表皮に付着させてもよい。
【0028】
以上、本実施形態の表皮取付用計測器1によれば、少なくとも動物に関する情報を計測するセンサ22を有する基板20を、ソーラパネル10の裏面に直接取り付けることで、表皮取付用計測器1をコンパクトに形成できるので、動物の表皮に取り付ける位置の自由度が向上する。
したがって、より簡便に、動物に取り付けることを可能としつつ、少なくとも動物に関する情報を取得することが可能となる。
【0029】
また、表皮取付用計測器1によれば、ソーラパネル10が柔軟性を有するので、動物の表皮の表面の形状に追随してソーラパネル10が変形可能となり、動物の表皮への密着性が向上するので、表皮取付用計測器1が外れにくくなり、センサ22により計測した動物に関する情報の精度が向上する。
【0030】
また、表皮取付用計測器1によれば、基板の周囲を覆うように弾性部材30を配置したので、外部からの基板20への衝撃を緩和できる。また、動物の表皮の表面の形状の変化を弾性部材30でも吸収できるので、動物の表皮の表面の形状に対する追随性がより向上し、表皮取付用計測器1がより外れにくくなり、センサ22により計測した動物に関する情報の精度がより向上する。
【0031】
また、表皮取付用計測器1によれば、不透水性の素材で形成された付着部材40を、弾性部材30及び基板20の表皮側に配置される面に、弾性部材30及び基板20に跨がって配置したので、動物の表皮への密着性が向上するとともに、表皮から発する水分(汗等)により、基板20が損傷するのを防止することが可能となる。
【0032】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0033】
1 表皮取付用計測器
10 ソーラパネル
10a 表面
10b 裏面
20 基板
21 制御部
22 センサ
23 蓄電部
24 通信部
30 弾性部材
40 付着部材