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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】柄杓じょうろ
(51)【国際特許分類】
   A01G 25/14 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
A01G25/14 G
A01G25/14 F
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023083487
(22)【出願日】2023-04-28
(65)【公開番号】P2024159366
(43)【公開日】2024-11-08
【審査請求日】2023-05-30
(73)【特許権者】
【識別番号】521142450
【氏名又は名称】福永 辰己
(72)【発明者】
【氏名】福永 辰己
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特許第7241997(JP,B2)
【文献】実開昭51-152592(JP,U)
【文献】登録実用新案第3114037(JP,U)
【文献】特開2020-025514(JP,A)
【文献】特開2019-176808(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 25/14
A47J 47/16 - 47/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項7】
前記内容器及び/又は前記外容器は、一部が剛体で一部が柔軟な素材で構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の柄杓じょうろ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主に農業や園芸の道具として散水の際に使用される柄杓じょうろの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、散水をするのはじょうろや柄杓によることが多いが、その散水性能における問題を解決するため、本願発明者により[図21]に示す特許文献1柄杓じょうろが発明された。
【0003】
しかしながら、この柄杓じょうろには以下の問題があった。
この柄杓じょうろにおいて、心棒が水平状態で取り付けられていると、実用に際しては非常に使いづらい。それは小口が小さいあるいは深い水桶などでは柄杓じょうろで上手く水を汲むことが難しいからである。また、もし水を汲むことができたとしても、汲んだ水がこぼれないようにしながらの水汲み後の移動の際には、水平に設置された心棒では移動しにくい。さらに散水の際に容器を水平に保ちながら低い位置から散水するためには、腰をかがめるなどしなければならず散水姿勢に制限が加えられるような問題があった。
【0004】
本発明は、柄杓じょうろにて上手く水汲みをして、水汲み後に移動し易くて、自然な体の姿勢にて楽に散水をすることができる柄杓じょうろを提供することを目的とする。
【先行技術文献】
【文献】特許第7241997号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上の従来技術によれば以下のような問題があった。
(イ)、従来技術において、水平に設置された心棒の場合には、上手く水汲みすることが難しい。
(ロ)、従来技術において、水平に設置された心棒の場合には、もし水汲みができても、水汲み後の移動がしにくく、また散水の際には散水姿勢に制限が出て上手く散水することが難しい。
本発明は以上の問題点を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、給水するための内容器と、該内容器の外側に設けられた散水用の外容器と、前記内容器の両端に固定されると共に前記外容器を回転可能に支持する心棒と、前記外容器に固定されたパイプ状の前部グリップと、該前部グリップの内部を経由して前記心棒が固定される後部グリップとを備え、前記外容器には多孔部が設けられている柄杓じょうろにおいて、前記外容器に内接する球を想定した場合、前記心棒は、前記球の中心点を貫通し前記内容器及び前記外容器の上部水平面又は前記内容器に給水した場合の給水の水平面に対して角度をもって取り付けられている柄杓じょうろであることを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、前記心棒を軸として前記内容器および/又は外容器を回転させた場合に互いに接触しないようにした請求項1記載の柄杓じょうろであることを特徴とする。
【0008】
さらに、請求項3に記載の発明は、前記内容器は前記外容器に内接する球の範囲内である請求項2記載の柄杓じょうろであることを特徴とする。
【0009】
さらに、請求項4に記載の発明は、前記内容器および前記外容器は、略同一形状である請求項2又は3記載の柄杓じょうろであることを特徴とする。
【0010】
さらに、請求項5に記載の発明は、前記内容器および前記外容器は、互いに異なる形状である請求項1又は2又は3記載の柄杓じょうろであることを特徴とする。
【0011】
さらに、請求項6に記載の発明は、前記内容器および前記外容器は、上部小口の形状が略同一形状である請求項5記載の柄杓じょうろであることを特徴とする。
【0012】
さらに、請求項7に記載の発明は、前記内容器及び/又は前記外容器は、一部が剛体で一部が柔軟な素材で構成されている請求項1又は2記載の柄杓じょうろであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のうち請求項1記載の発明によれば、給水するための内容器と、該内容器の外側に設けられた散水用の外容器と、前記内容器の両端に固定されると共に前記外容器を回転可能に支持する心棒と、前記外容器に固定されたパイプ状の前部グリップと、該前部グリップの内部を経由して前記心棒が固定される後部グリップとを備え、前記外容器には多孔部を設けられている柄杓じょうろにおいて、前記外容器に内接する球を想定した場合、前記心棒は、前記球の中心点を貫通し前記内容器及び前記外容器の上部水平面又は前記内容器に給水した場合の給水の水平面に対して角度をもって取り付けられているため、深い水桶などからの水汲みがし易く、水汲み後の移動がし易く、散水が自然で楽な姿勢にてできる効果がある。
【0014】
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1記載の効果に加え、前記心棒を軸として前記内容器および/又は外容器を回転させた場合に互いに接触しないようにしてあるため、スムーズに散水ができる効果がある。
【0015】
また、請求項3に記載の発明によれば、請求項2記載の効果に加え、前記内容器は前記外容器に内接する球の範囲内であるようにしたため、外容器の形状が内容器に拘束されず軽量コンパクトで無駄がなく美しいデザインを実現できる効果がある。
【0016】
また、請求項4に記載の発明によれば、請求項2又は3記載の効果に加え、前記内容器および前記外容器を略同一形状としたことで、水汲みの際に無駄な水を汲むことを軽減する効果及び散水において落下水量をコントロールできる効果がある。
【0017】
また、請求項5に記載の発明によれば、請求項1又は2又は3記載の効果に加え、前記内容器および前記外容器を互いに異なる形状としたことで、より広い範囲に短時間に散水でき、またより狭い範囲に無駄なく長時間かけて散水できる効果がある。また前記外容器の底面を平面にできることで、多孔部の製作がし易いため質の高い散水水滴を得られる効果がある。
【0018】
また、請求項6に記載の発明によれば、請求項5記載の効果に加え、前記内容器および前記外容器の上端小口の形状を略同一形状としたことで、水汲みの際に無駄な水を汲むことを軽減する効果がある。また、コンパクトで美しい内外容器をデザインできる効果がある。
【0019】
また、請求項7に記載の発明によれば、請求項1又は2記載の効果に加え、前記内容器及び/又は外容器は、一部が剛体で一部が柔軟な素材で構成されるため、内外容器の大きさがかさばらないので保管や運搬が楽にできる効果がある。また形状を自由に変形できるので水桶などの底に溜まった水かさの低い水を汲みやすい効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】 実施例1 水汲み完了状態図及び各部の名称
図2】 実施例1 片手による内外容器回転抑制状態図及び説明
図3】 実施例1 散水開始済み状態図(90度)
図4】 実施例1 散水全開状態図(152度)
図5】 実施例1 正面図及び断面線及び各部の名称と説明
図6】 実施例1 背面図及び各部の名称
図7】 実施例1 左側面図及び各部の名称と説明
図8】 実施例1 右側面図及び断面線
図9】 実施例1 平面図
図10】 実施例1 底面図
図11】 実施例1 [図5]に示すA-A’線断面図及び各部の名称と説明
図12】 実施例1 [図8]に示すB-B’線断面図及び説明
図13】 実施例2 略半球と略円柱の組み合わせ型図及び各部の名称
図14】 実施例2 [図13]の内外容器が回転可能であることを示す断面図
図15】 実施例3 略半球と略植木鉢形状の組み合わせ型図及び各部の名称
図16】 実施例3 [図15]の内外容器が回転可能であることを示す断面図
図17】 実施例4 略円錐と略円柱の組み合わせ型図及び各部の名称
図18】 実施例4 [図17]の内外容器が回転可能であることを示す断面図
図19】 実施例5 布製型図及び各部の名称
図20】 実施例5 [図19]の内外容器が回転可能であることを示す断面図
図21】 従来技術 [特許文献1]の図面
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態を実施例1の[図1]~[図12]に基づいて説明する。また[図13]~[図20]では、実施例2~実施例5について説明する。
本散水作業のプロセス、すなわち▲1▼水汲み→▲2▼水汲み完了後の移動→▲3▼散水の開始→▲4▼散水の全開▲5▼散水の中断→▲6▼散水の終了に沿って説明する。
【0022】
(イ)、▲1▼水汲みは柄杓で水汲みを行う要領と同様で、本発明より十分にサイズの大きい桶やバケツに溜められた水9を汲むことが前提である。[図1]及び[図2]あるいは[図5]及び[図7]に示すとおり、水汲みをうまくやるには内容器A1と外容器A2の相対回転角度を定位置に対して0度付近、すなわち前部グリップ6と後部グリップ7の相対回転角度を定位置に対して0度付近である水汲み状態にしなければならない。例えば[図3]及び[図4]のような状態では水汲みは難しい。ただし前記定位置とは、[図7]内外容器の上部水平面21のように、内外容器の上部が水平になり、2容器の上部小口がほぼ重なった状態をいう。また前記0度付近とは、外容器A2の上部と内容器A1の上部小口とがずれた量が上下1cm程度であり、それならば水汲みに問題はない。
【0023】
(ロ)、実施例1においては、内外容器は、大小2つの球の一部からなっている。
外容器に内接する球を想定した場合、それらの球の中心点は、いずれも外容器Aに内接する球の中心点25と同一であり、内容器A1は外容器A2に内接する球の範囲内であるので、内外容器は互いに接触することなく回転できる。また心棒5は外容器Aに内接する球の中心点25を貫通させられているため、たとえ心棒がどれほど傾いて取り付けられていようとも内外容器は互いに接触することなく回転できる。従って実施例1では、[図7]の心棒の取り付け角22に示す通り、心棒5に傾斜を持たせたために、[図11]に示す前部グリップと外容器の固定部12は外容器A2の略半球部分から上にはみ出した形態となり、その部分は主に外容器Aの回転部ステー4として形成される。一方[図11]に示す心棒5の心棒の前部と内容器の固定部8の先端側は、水を汲んだ場合汲んだ水の中に位置することになる。これは従来技術の柄杓じょうろに比べ、心棒5の先端部分が内外容器の上部小口付近にないために水汲みがし易い効果がある。実施例2~5に示すとおり実施例1以外の内外容器の組み合わせでも回転可能な設定はできる。
【0024】
(ハ)、実施例1においては、内外容器ともに略半球状とすることにより、[図12]に示す内外容器の隙間部A17を小さく一定にできる。そうすることで内容器の表面積を小さくでき、発明全体を軽量コンパクトにすることができてデザイン的に美しく水汲みがし易い。また実施例1では、内外容器の隙間部A17が小さく一定なので、散水の水量をコントロールできる効果がある。また水汲みの際に不可避な無駄水の汲み取りを軽減する効果がある。
【0025】
(ニ)、両手で作業する、すなわち[図1]の状態を作るのは容易である。片手で作業する場合でも[図2]のように持つ手の親指だけでも前部グリップ6にかければ、水汲みができる。またその状態で、もう一方の手を前記片手の前方に添えて持つこともできる。
【0026】
(ホ)、水汲みのために本発明を水9の溜まった桶などに一旦沈めるがその際、水9は内容器A1に入るだけではなく、[図12]に示す内外容器の隙間部A17からも入ろうとする。そこから入った水9は結果として外容器A2に溜まることになるので、直後多孔を通過して落下してしまう。これは散水効率から言えば損失になるので、内外容器の隙間部A17を極力小さくすることが大事である。その観点で言えば、内容器と外容器が互いに異なる形状を持つ設定においても、内外容器の上部小口は略同一形状とした方が良い。実施例2~5においても内外容器の上部小口が略同一形状なので水汲みの際に不可避な無駄水の汲み取りを軽減する効果がある。
【0027】
(ヘ)、▲2▼水汲み完了後の移動は本発明を手で持ち、散水対象物の真上まで移動する作業である。[図1]に示す状態を保ちながら歩いて移動するのが普通である。本発明をなるべく水平状態にして移動しなければ水9が溢れて良くないが、心棒5が傾斜を持って設定されているので心棒が水平に設定されている場合よりも楽に持つことができまた楽に移動ができる。
【0028】
(ト)、また内外容器が心棒5を回転中心にして自由に回れるということのメリットがある。もし外容器A2だけ、すなわち前部グリップ6だけを持った場合、水9を入れて移動する際には、歩くことによって本発明が揺れても自動的に水9を入れた内容器A1が遠心力に従い水9を溢さない方向に回転できるからである。
【0029】
(チ)、▲3▼散水の開始は[図3]に示す。散水の開始をするためには、両手にしろ、片手にしろ内容器A1と外容器A2の相対回転角度を[図3]のようにして、それを保つような持ち方をしなければならない。矢印90度回転23のように水9の入った内容器A1を回転させれば、水9は直ちに内容器A1から溢れ出し、その下にある外容器A2に移動することになる。
本発明のどの部分同士が一体化されるのかを主に[図11]にて説明するが、内容器A1は心棒5及び後部グリップ7と一体なので、内容器A1の回転は後部グリップ7の回転と同一となる。内容器A1の水9が溢れれば水9はすぐに外容器A2の底相当部分の多孔部A3を通過して散水の開始と言えるが、内容器A1が外容器A2の多孔部A3にラップしている部分に関しては、水9が落下し難いので[図3]のとおりそのラップ部分を不完全な水9の落下として破線で示した。一方内容器A1と多孔部A3とがラップしない部分では水9の落下を妨げるものはないので[図4]のとおり実線で示した。
【0030】
(リ)、また[図1]~[図4]あるいは[図5]~[図12]に示す多孔部A3の表示範囲、その中で特に[図2]に示す多孔部Aの範囲20の設定は任意であるから、[図4]に示す矢印152度回転24の度を表す数字は多孔部A3の設定により変動する。
また孔のサイズ及びピッチも任意なので目的に応じた設定をすることができる。
【0031】
(ヌ)、[図12]に示す内外容器の隙間部A17の大小如何によるが、内外容器の隙間部A17が極めて小さい場合は、内容器A1の回転角度、すなわち後部グリップ7の回転角度によって、落下水量をコントロールすることができる。
【0032】
(ル)、▲4▼散水の全開は、[図4]に示す。矢印152度回転24のように水9の入った内容器A1を回転させると、内容器A1と外容器A2の多孔部A3にラップが生じないため、水9の落下を妨げる要素はなくなり散水全開状態となる。散水全開状態を保つためには、両手にしろ、片手にしろ内容器A1と外容器A2の相対回転角度を[図4]のようにして、それを保つような持ち方をしなければならない。
【0033】
(ヲ)、▲5▼散水の中断は、[図3]及び[図4]の散水状態になったものを、また元の[図1]及び[図2]の水汲み状態にグリップを逆回転させることによってなされる。力学的には片手のみで後部グリップ7を持ち、その手を逆回転させることで中断が可能である。なぜなら外容器A2に移動した水9の重みで、外容器A2は定位置に止まろうとするからである。内容器A1を回転させる力よりもその水9の重みが大きいからである。実際の散水作業の中断では、両手で前後グリップをそれぞれ持って逆回転させるのが確実である。
【0034】
(ワ)、▲6▼散水の終了は、本発明を持つこと以外は何もしなくても良い。持つ手が重みを感じなくなり、同時に水9の落下がなくなるので、散水が終了したとわかる。普通散水の作業は繰り返すので、この時点で本発明を次の水汲みができる状態、すなわち[図1]及び[図2]の状態に戻すのが通常である。
【0035】
(カ)、以下に一旦、実施例1の[図1]~[図12]の詳細を説明する。
図1]~[図12]のうち、[図1]~[図4]を見取り図として、実施例1の全体像と実施状況をわかり易くした。[図5]~[図10]に実施例1の6面図を示した。[図11]及び[図12]に実施例1の縦と横の断面図を示した。特に[図11]では、実施例1のA-A’線断面と同時に、どの部分同士が一体化されているのか、どの部分で分割されているのかを説明した。それにより実施例1では本発明が2つの一体物で構成されていることを示した。これら2つの一体物は一本の真っ直ぐな心棒5を回転中心にして回る。従ってそれら摺動部分には摩擦抵抗が生じるので、製造材料にもよるが、オイルやグリースなどの潤滑剤をそこに使って、回転をスムーズにするのが望ましい。また[図11]には、軸方向のスペーサー20を示し、[図5]に示す心棒先端の留め具18と合わせてこれを使うことにより、軸方向の動きを制限したので内外容器の隙間部A17が常時一定となることを示した。また実施例2~5においても、軸方向のスペーサーを設定した。実施例によりそのサイズや形状は異なるがその効果は実施例1と同等である。
【0036】
(ヨ)、[図11]には実施例1を示した。内外容器は、大小2つの球の一部からなっている。それらの球の中心点は、いずれも外容器Aに内接する球の中心点25と同一であり、内容器A1は外容器A2に内接する球の範囲内であるので、内外容器は互いに接触することなく回転できる。また心棒5は[図7]の内外容器の上部水平面21に対して心棒の取り付け角22を持たせて取り付けられて、さらに外容器Aに内接する球の中心点25を貫通させられているので内外容器は互いに接触することなく回転できることを示した。外容器A2は内容器A1に比べ、そのサイズは基本的に大きい。しかしながら内容器A1から外容器A2へ水9を溢すそばから水9は休みなく落下するので、外容器A2は内容器A1と同等の水量を溜められないという特徴がある。
【0037】
(タ)、[図13]には実施例2を示した。実施例2は前記実施例1と概ね同様である。ただし実施例1とは外容器B27の形状の定義が異なる。内外容器は互いに異なる形状である。また多孔部B28の定義が異なる。しかしその他の構成は実施例1と同等である。さらに、[図14]にはその心棒長手方向の断面図を示し、外容器Bに内接する球の断面線33を描き、その球の範囲内に内容器B26があれば、内外容器が互いに接触することなく回転できることを示した。また同時に心棒5は外容器Bに内接する球の中心点30を貫通するかぎり、心棒5が内外容器にいかなる角度を持って取り付けられていても内外容器が互いに接触することなく回転できることを示した。
【0038】
(レ)、[図15]には実施例3を示した。実施例3は前記実施例2と概ね同様である。ただし実施例2とは外容器C35の形状の定義が異なる。内外容器は互いに異なる形状である。また多孔C36の定義が異なる。しかしその他の構成は実施例2と同等である。
図16]には実施例2と同様、内外容器が互いに接触することなく回転できることを示した。
【0039】
(ソ)、[図17]には実施例4を示した。[図18]には内容器が略円錐で外容器が略円柱の場合にも内外容器が互いに接触することなく回転できることを示した。以上の実施例では、外容器に内接する想定球の範囲内に内容器があれば、また心棒5が球の中心を貫通していれば、心棒5が斜めに取り付けられていても内外容器の回転は可能なので、内外容器の形状を自由に選択することができる。それにより外容器の形状が内容器に拘束されず、特に内容器の底部の形状に対し外容器の底部の形状を変更することができる。外容器の底面の形状や底面積は水の落下に係る性能を決定するので大事な部分である。実施例3のように散水範囲を狭い範囲に設定すれば、散水のときには無駄なく長時間散水できる。また実施例2~4では、実施例1に比べて内外容器の隙間が広がるので、粉体やペレット状の肥料などの散布物によっては隙間の詰まりを防ぐことができる。実施例2~5では、平面状の多孔部を持つことができる点が特徴である。
【0040】
(ツ)、[図19]には実施例5を示した。これが実施例1~4と大きく異なる点は、内外容器が剛体と布のような柔軟な素材の両方で構成されていることである。グリップや心棒また内外容器をうまく回転させるためにはそれら全てが剛体で構成される必要がある。ただしそれは水汲み状態において、[図19]の外容器E上端金具51の最下点より上の部分に限られる。それより下の部分の主に水を溜める機能を果たす部分は剛体である必要はない。自由に形を変えることができても問題はない。場合によってはそれがメリットにもなり得るのである。布や透明なビニールなどで構成されて、もし互いに接触することがあっても内外容器の回転は可能である。すなわち内容器E52に汲んだ水が、内容器E52の回転により外容器E53に移動することで内容器E52の形状が変形可能となるためである。無論互いに接触することがなければ問題ないことは言うまでもない。水が自由に形を変えるがごとく、内外容器の一部も自由に形を変えることができる点が実施例1~4とは異なる点であり特徴である。
【0041】
(ネ)、実施例2~5では、底相当面が平面なので多孔部及び多孔板の製造が容易である。また別体化させることによって多孔部をさらに容易にまた高品質に製造できるメリットがある。場合によっては、多孔部に規格品を使う選択肢もあるからコスト削減を図ることができる。またそのことが将来、散水の目的に応じて複数の多孔部種類を用意し、作業者が差し替えて使えるようにする展開も考えられるメリットがある。
【0042】
(ナ)、実施例1~5の全てにおいて、内外容器の上部小口を略同一形状にした。上部小口以外の形状は互いに異なる形状においても同様である。本発明では、水汲みに際しての無駄な水汲みの軽減は大事な要素である。内外容器の隙間部を最小化し、無駄な水汲みを軽減すれば散水の効率が上がるからである。
【0043】
(ラ)、外容器に内接する想定球の範囲内に内容器がないと回転ができないため、内容器の形状は球あるいは略半球が最も容積効率が高い。外容器に内接する球の形状に近い内容器、すなわち球あるいは略半球が最大効率の内容器形状となる。水汲み量は外容器には無関係であり、内容器の容量で決まる。5実施例の内3例が略半球の内容器を採用したのはそれが理由である。
なお、各実施例の内外容器の上部切り口を水平として上部水平面と表したが、形状はこれに限られるものではなく、傾斜を持たせた形状など自由なデザインが可能である。要は、取り付けられる心棒が内容器に給水した場合の給水の水平面に対して角度をもって取り付けられていればよい。
また、実施例では外容器や内容器の球の一部の中心点が外容器に内接する球の中心点と一致する例を説明したが、必ずしも一致しなくても良い場合もある。要は内容器が外容器に内接する球の範囲内であれば回転可能であるからである。
【0044】
本発明の実施態様を述べると以下の通りである。
(ム)、▲1▼前記内容器及び前記外容器において、前記内容器は前記外容器に内接する球の範囲内であるようにし、前記心棒は前記球の中心点を貫通するように設定されたことを特徴とする柄杓じょうろ。
(ウ)、▲2▼前記外容器は、一部に平面を有することを特徴とする柄杓じょうろ。
(イ)、▲3▼前記内容器は略半球状からなり、前記外容器は略円柱状からなることを特徴とする柄杓じょうろ。
(ノ)、▲4▼前記内容器は略半球状からなり、前記外容器は略植木鉢形状からなることを特徴とする柄杓じょうろ。
(オ)、▲5▼前記内容器は略円錐状からなり、前記外容器は略円柱状からなることを特徴とする柄杓じょうろ。
(ク)、▲6▼剛体からなる内容器上端金具に固定された自由に変形できる素材からなる内容器と剛体からなる外容器上端金具に固定された自由に変形できる素材からなる外容器と、当該外容器の底相当部には多孔板を固定したことを特徴とする柄杓じょうろ。
【符号の説明】
【0045】
1 内容器A
2 外容器A
3 多孔部A
4 外容器Aの回転部ステー
5 心棒
6 前部グリップ
7 後部グリップ
8 心棒の前部と内容器の固定部
9 水
10 左手
11 右手
12 前部グリップと外容器の固定部
13 心棒の後部と後部グリップの固定部
14 外容器と心棒の隙間部
15 心棒と前部グリップの隙間部
16 前後部グリップの隙間部
17 内外容器の隙間部A
18 心棒先端の留め具
19 外容器と心棒先端の留め具の隙間部
20 軸方向のスペーサー
21 内外容器の上部水平面
22 心棒の取り付け角
23 矢印90度回転
24 矢印152度回転
25 外容器Aに内接する球の中心点
26 内容器B
27 外容器B
28 多孔部B
29 内外容器の隙間部B
30 外容器Bに内接する球の中心点
31 心棒を軸に180度回転した外容器B
32 心棒を軸に180度回転した内容器B
33 外容器Bに内接する球の断面線
34 内容器C
35 外容器C
36 多孔部C
37 内外容器の隙間部C
38 外容器Cに内接する球の中心点
39 心棒を軸に180度回転した外容器C
40 心棒を軸に180度回転した内容器C
41 外容器Cに内接する球の断面線
42 内容器D
43 外容器D
44 多孔部D
45 内外容器の隙間部D
46 外容器Dに内接する球の中心点
47 心棒を軸に180度回転した外容器D
48 心棒を軸に180度回転した内容器D
49 外容器Dに内接する球の断面線
50 内容器E上端金具
51 外容器E上端金具
52 内容器E
53 外容器E
54 多孔板
55 内外容器上端金具の隙間部E
56 外容器E上端金具に内接する球の中心点
57 心棒を軸に180度回転した外容器E
58 心棒を軸に180度回転した内容器E
59 外容器E上端金具に内接する球の断面線
60 外容器Aに内接する球の断面線
図1
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