(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
A01G 9/14 20060101AFI20241128BHJP
A01G 31/04 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
A01G9/14 W
A01G31/04 A
(21)【出願番号】P 2020206119
(22)【出願日】2020-12-11
【審査請求日】2023-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】坂井 義明
(72)【発明者】
【氏名】山本 和彦
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-017396(JP,A)
【文献】特開2017-084161(JP,A)
【文献】特開2020-078978(JP,A)
【文献】特開2017-163927(JP,A)
【文献】特開2019-175343(JP,A)
【文献】特開2016-131546(JP,A)
【文献】特開2019-205363(JP,A)
【文献】国際公開第2012/063455(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2005/0072935(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/14
A01G 31/04
A01G 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウス内に植物栽培用の互いに平行に配置された複数の列状の栽培ベッドを備えた植物栽培設備内において、隣り合った前記列状の栽培ベッド間に形成された作業用通路を走行し、隣り合った作業通路内に移行するために、栽培ベッドが形成されていない移動用通路内を、前記作業用通路の長手方向に対して、略垂直方向に走行する作業車両であって、
前記栽培ベッドに植えられている植物に励起光を照射する励起光源と、
前記励起光源から照射された前記励起光によって、植物が励起されて、放出される光を受光し、画像データを生成する撮像手段と、
前記撮像手段によって生成された画像データに基づいて、作業用通路に位置しているか、移動用通路に位置しているかを判定する制御手段とを備え、
さらに、
前記作業用通路に沿って車体を走行可能とする第1の移動用車輪と、前記移動用通路内において、前記作業用通路の長手方向に対し略垂直な方向へ車体を走行可能とする第2の移動用車輪とを備え、前記第1の移動用車輪と前記第2の移動用車輪とを選択的に駆動することが可能に構成され、
前記撮像手段は、650nm以上の光のみを透過するフィルタを備えて、植物によって反射された励起光をカットするよう構成されたことにより、植物の葉から放出されたクロロフィル蛍光を多く検出するほど大なる面積の白色領域を有する画像データを生成するよう構成され、
前記制御手段は、前記白色領域が所定面積以下の画像データが生成されたことを条件として、前記作業用通路から前記移動用通路に車体が移動したことを判定可能に構成され、さらに、
前記移動用通路を走行中においては、生成された前記画像データが白色領域を有することを判定すると、車体が栽培ベッドに接近しすぎていると判定し、前記第2の移動用車輪の回転制御により、車体を栽培ベッドから離れる側に操舵するよう構成されたことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記第1の移動用車輪及び前記第2の移動用車輪を昇降可能に構成し、前記第2の移動用車輪が地面から離間する上昇位置にあるときは、前記第1の移動用車輪の駆動により作業用通路を走行し、さらに、
前記制御手段が、
前記第1の移動用車輪及び前記第2の移動用車輪の昇降を制御するよう構成されており、また、前記作業用通路から前記移動用通路に車体が移動したと判定したときに、
前記第1の移動用車輪の駆動を停止し、
前記第2の移動用車輪を下降させて接地させるとともに、前記第1の移動用車輪を上昇させて地面から離間させ、前記第2の移動用車輪を駆動するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物を栽培するハウス内に設けられた複数の栽培ベッド間を走行する作業車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、植物を栽培するハウス内に設けられた複数の栽培ベッド間を走行する作業車両であって、栽培ベッドを検出するレーザーセンサなどの専用のセンサが設けられ、栽培ベッド間を直進し、栽培ベッドの端部で旋回し、隣接する栽培ベッド間を走行する作業車両が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、植物を栽培するハウス内に設けられた複数の栽培ベッド間を走行する作業車両で、栽培ベッドで栽培されている植物を撮像する撮像装置を備えた作業車両が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-163927号公報
【文献】特開2019-17396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された作業車両においては、専用のセンサで、栽培ベッド間の作業用通路内を走行しているか、隣接する栽培ベッド間の作業用通路に移動する移動用通路内を走行しているか判定し、走行場所に応じて、センサの検出範囲を変化させるように構成されており、センサの検出範囲の制御が複雑であるため、栽培ベッド間の作業用通路から、隣接した作業用通路に移動する移動用通路に、作業車両を円滑に移動させることが困難であった。
【0006】
一方、特許文献2に開示されて作業車両にあっては、作業者が作業車両上に搭乗し、作業車両がハウス内のどこを走行しているかを判断するように構成されており、作業車両がどこを走行しているかを自動的に判別することはできず、作業者の負担が過大であり、栽培ベッド間から、隣接した栽培ベッド間へ作業車両を円滑に移動させることが困難であった。
【0007】
したがって、本発明は、栽培ベッド間の作業用通路から、隣り合った作業用通路に移動する移動用通路に円滑に移動することができる作業車両を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のかかる目的は、
ハウス内に植物栽培用の互いに平行に配置された複数の列状の栽培ベッドを備えた植物栽培設備内において、隣り合った前記列状の栽培ベッド間に形成された作業用通路を走行し、隣り合った作業通路内に移行するために、栽培ベッドが形成されていない移動用通路内を、前記作業用通路の長手方向に対して、略垂直方向に走行する作業車両であって、
前記栽培ベッドに植えられている植物に励起光を照射する励起光源と、
前記励起光源から照射された前記励起光によって、植物が励起されて、放出される光を受光し、画像データを生成する撮像手段と、
前記撮像手段によって生成された画像データに基づいて、作業用通路に位置しているか、移動用通路に位置しているかを判定する制御手段と
を備えたことを特徴とする作業車両によって達成される。
【0009】
植物が吸収した光エネルギーのうち、光合成に用いられなかった余剰の光エネルギーは、励起光を植物に照射したときに、植物から赤色光として発せられることが知られており、この光はクロロフィル蛍光と呼ばれ、クロロフィル蛍光を検出することによって、植物の光合成の状態(ストレス状態)を定量的に評価することができることが知られている。
本発明によれば、作業車両は、植物に励起光を照射する励起光源と、励起光によって、励起されて、植物から放出されるクロロフィル蛍光を受光し、画像データを生成する撮像手段と、撮像手段によって生成された画像データに基づいて、作業車両が、作業通路に位置しているか、移動用通路に位置しているかを判定する制御手段とを備え、励起光源から励起光を放出するように構成されているから、作業車両が、植物が植えられた栽培ベッド間に設けられた作業用通路に位置しているときは、植物が励起光によって励起されて、クロロフィル蛍光が放出され、一方、作業車両が、栽培ベッドが設けられていない移動用通路に位置しているときは、植物がないから、励起光を放出しても、クロロフィル蛍光は放出されず、したがって、撮像手段によって生成された画像データに基づいて、作業車両が、作業用通路内に位置しているか、移動用通路内に位置しているかを正確に判定することができ、検出範囲の制御が複雑な専用のセンサを設けて、作業車両が栽培ベッド間の作業用通路内に位置しているか、移動用通路内に位置しているかを検出する必要がなく、作業車両を円滑に栽培ベッド間の作業用通路から、隣接した作業用通路に移動する移動用通路に円滑に移動させることが可能になる。
【0010】
さらに、本発明によれば、励起光源から励起光を植物に照射し、植物から放出されたクロロフィル蛍光を、撮像手段によって検出して、画像データを生成することができるから、同時に、植物の光合成の状態(ストレス状態)を定量的に評価することが可能になる
本発明の好ましい実施態様においては、作業車両が、作業用通路に沿って、走行可能な前後方向移動用車輪と、移動用通路内を、作業用通路の長手方向に対して、略垂直な方向に走行可能な横方向移動用車輪とを備え、前後方向移動用車輪と横方向移動用車輪とを選択的に駆動することが可能で、制御手段が、作業車両が作業用通路から移動用通路に移行したと判定したときに、前後方向移動用車輪の駆動を停止し、横方向移動用車輪を駆動するように構成されている。
【0011】
本発明の好ましい実施態様によれば、移動用通路内を、作業用通路と略垂直方向に走行するように構成された作業車両が、作業用通路から移動用通路に移行したときに、前後方向移動用車輪の駆動を停止し、横方向移動用車輪を駆動するように構成されているから、作業車両を次の作業用通路に向けて、円滑に移動させることが可能になる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、栽培ベッド間の作業用通路から、隣り合った作業用通路に移動する移動用通路に円滑に移動することができる作業車両を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、植物栽培設備の構成を示す略平面図である。
【
図2】
図2は、各栽培ベッド近傍の略正面図である。
【
図3】
図3は、栽培ベッドの端部領域の略拡大平面図である。
【
図4】
図4は、作業車両の略正面図であり、作業車両が移動領域内を走行している状態が示されている。
【
図5】
図5は、本実施態様にかかる作業車両の制御系、駆動系、検出系および表示系を示すブロックダイアグラムである。
【
図6】
図6は、作業車両の略正面図であり、作業車両が作業領域内を走行している状態が示されている。
【
図7】
図7は、底面から見た作業車両を示す図である。
【
図8】作業領域を走行する作業車両と、そのときの画像を示す図である。
【
図9】作業領域から移動領域に移動したときの作業車両と、そのときの画像を示す図である。
【
図10】移動領域を走行中の作業車両と、そのときの画像の一例を示す図である。
【
図11】次の栽培ベッド(作業領域)の入り口に到達してときの作業車両を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面に基づいて、本発明の好ましい実施態様につき、詳細に説明を加える。
【0015】
本発明の好ましい実施態様にかかる作業車両は、植物を栽培するハウス内に設けられた複数の栽培ベッド間を走行するように構成され、
図1は、植物栽培設備の構成を示す略平面図である。
【0016】
図1に示されるように、植物栽培設備は、温度、湿度などの室内環境が管理され、植物が栽培される栽培室1と、出荷室2を備えている。
【0017】
図1に示されるように、栽培室1内には、作業車両3などが通過可能なメイン通路4が設けられ、メイン通路4の両側には、植物を栽培する多数の栽培ベッド5が設けられた一対の栽培ユニット6A、6Bが配置されている。栽培ベッド5は、メイン通路4に対して、略直交方向に配置され、互いに略平行に設けられており、栽培ベッド5の間には、メイン通路4から垂直方向に延び、作業車両3などが通過可能なサブ通路6が設けられている。したがって、作業車両3を、サブ通路6内を移動させつつ、栽培ベッド5に栽培されている植物に対し、種々の作業を行うことができる。
【0018】
出荷室2には、各栽培ベッド5に養液を供給する養液供給装置11と、収穫された植物を重量や大きさあるいは等級別に選別する選別装置12を備え、選別装置12は、収穫物を搬送して選別する選別コンベア13と、選別コンベア13の両側の側方に設けられた各階級毎の収穫物収容部14を有している。作業者は、出入り口15を介して、栽培室1と出荷室2とを行き来することができる。
【0019】
【0020】
図2に示されるように、栽培ベッド5の上方には、ワイヤ16が栽培ベッド5を横切る方向に延び、ワイヤ16には、フック17を介して、誘因紐18が上下方向に垂下されており、各栽培ベッド5で栽培される植物は、誘因紐18に沿って成長するように構成されている。
【0021】
図3は、栽培ベッド5の端部領域の略拡大平面図である。
【0022】
図3に示されるように、隣り合った栽培ベッド5の間に設けられたサブ通路6には、レール7が敷設されており、作業車両3はレール7上を走行しつつ、栽培ベッド5に栽培されている植物に対し、種々の作業を行うことができるように構成され、レール7が敷設されている領域によって作業領域30が構成されている。
【0023】
本実施態様において、作業車両3は、隣り合った栽培ベッド5の間の作業領域30内においては、レール7上を自立走行可能で、かつ、ある作業領域30から隣り合った作業領域30に移動するための移動領域32内を自立的に走行可能に構成されている。
【0024】
本実施態様にかかる作業車両3は、クロロフィル蛍光を検出して、植物のストレス状態を計測するように構成されている。
【0025】
ここに、クロロフィル蛍光とは、植物の葉に励起光を照射した際に、植物の葉に含まれた葉緑素が吸収した光エネルギーのうちで、光合成に用いられなかった余剰の光エネルギーが、赤色光として植物から発せられるものをいい、クロロフィル蛍光を検出することによって、植物の光合成の状態(ストレス状態)を定量的に評価することが可能になる。
【0026】
すなわち、クロロフィル蛍光の光量が小さいときは、光合成が盛んで、植物のストレスが低いことが認められ、一方で、クロロフィル蛍光の光量が大きいときは、光合成が不良で、植物のストレス状態が高いことが認められる。
【0027】
【0028】
図4に示されるように、本実施態様にかかる作業車両3は、走行台車20と、走行台車20上に載置された作業車両本体22を有しており、走行台車20には、作業領域30内をサブ通路6の長手方向に沿って走行する際に、レール7の面に接して、回転駆動される車輪21が設けられている。
【0029】
図4に示されるように、作業車両本体22は、移動領域32内を走行する際に用いられる車輪23と、600nm未満の励起光を放出する複数の青色LED光源24と、CCDカメラ25とを備えた光学ユニット26を備えている。複数の青色LED光源24およびCCDカメラ25は、レール7の長手方向に対して、光学ユニット26の一方の側に設けられている。
【0030】
走行台車20の上面には、光学ユニット26の下面に当接し、光学ユニット26を常時上方に付勢するスプリング(図示せず)を備えたパンタグラフ27が固定され、パンタグラフ27の両側の走行台車20には、作業車両本体22の車輪23が通過可能な開口部(図示せず)が設けられている。走行台車20には、スプリングの付勢力に抗して、パンタグラフ27を圧縮するシリンダ28が設けられており、シリンダ28が駆動されると、スプリングにから加わる付勢力に抗して、パンタグラフ27が圧縮されて、縮められ、
図4に示されるように、走行台車20の車輪21が引き上げられ、地面から浮き上がって、離間する。その結果、作業車両本体22の車輪23が開口部を介して、地面に接地し、作業車両本体22の車輪23が駆動されると、作業車両本体22の車輪23が回転し、作業車両3が移動領域32内を移動する。
【0031】
一方、シリンダ28の駆動が停止されると、
図5に示されるように、パンタグラフ27はスプリングの付勢力によって伸長し、作業車両本体22の車輪23が引き上げられて、地面から浮き上がり、その結果、走行台車20の車輪21がレール7に当接する。したがって、車輪21を駆動すると、車輪21が回転し、走行台車20がレール7上を移動し、作業車両3が作業領域30内を移動する。
【0032】
本実施態様においては、移動領域32内においては、作業車両3は、サブ通路6の長手方向とサブ通路6に敷設されたレール7が延びる方向に対して、略垂直な方向に移動するように構成され、作業車両本体22の車輪23は、サブ通路6の長手方向とレール7が延びる方向に略垂直な面内を回転するように構成されている。
【0033】
上述のように、本実施態様にかかる作業車両3は、クロロフィル蛍光を検出して、植物のストレス状態を計測するように構成されており、複数の青色LED光源24から、植物の葉に波長が600nm未満の青色光を照射して、植物の葉に含まれている葉緑素を励起し、植物の葉から放出されたクロロフィル蛍光をCCDカメラ25によって検出するように構成されている。
【0034】
図4には図示されていないが、光学ユニット26のCCDカメラ25のレンズの前には、650nm以上の波長の光を選択的に通過させるフィルタが設けられている。植物のクロロフィル蛍光を検出するためには、植物の葉に、600nm未満の波長を有する青色の励起光を照射し、葉緑素を励起することが必要である。したがって、クロロフィル蛍光をCCDカメラ25によって精度よく検出するには、励起光である600nm未満の光をカットし、CCDカメラ25が励起光を検出しないようにすることが必要で、本実施態様においては、光学ユニット27のCCDカメラ25のレンズの前には、650nm以上の波長の光を選択的に通過させるフィルタが設けられている。
【0035】
図5は、本実施態様にかかる作業車両3の制御系、駆動系、検出系および表示系を示すブロックダイアグラムである。
【0036】
図5に示されるように、本実施態様にかかる作業車両3の制御系は、作業車両3全体を制御するコントローラ40と、制御プログラムが格納されたROM41と、各種データを格納可能なRAM42と、タイマー43を備えている。
【0037】
図4ないし
図7に示されるように、本実施態様にかかる作業車両3の駆動系は、走行台車20の車輪21を駆動する第一のモータ45と、作業車両本体22の車輪23のうち右の車輪を駆動する第二のモータ46と、作業車両本体22の車輪23のうち左の車輪を駆動する第三のモータ47と、シリンダ28を駆動する第四のモータ48と、複数の青色LED光源25をオンオフさせる複数のスイッチ49を備えている。
【0038】
ここに、
図6は、作業車両の略正面図であり、作業車両が作業領域内を走行している状態が示されており、
図7は、底面から見た作業車両を示す図である。
【0039】
図5に示されるように、本実施態様にかかる作業車両3の検出系は、光学ユニット26に設けられたCCDカメラ25と、レール7を検出する一対のレールセンサ29を備え、レールセンサ29は、作業車両3の走行方向に対して、作業車両3の前部と後部に設けられている。本実施態様にかかる作業車両3の表示系は、CCDカメラ25が検出した画像を表示するディスプレイ50を備えている。
【0040】
以上のように構成された本実施態様にかかる作業車両3は、以下のようにして、植物の葉から放出されたクロロフィル蛍光を検出するように構成されている。
【0041】
クロロフィル蛍光の検出は夜間に行われ、まず、走行台車20の車輪21がレール7の外側に当接し、車輪の内側の車軸21aがレール上に当接するように、作業車両3が作業領域30内のサブ通路6内にセットされる。
【0042】
この時点では、コントローラ40からシリンダ28に駆動信号は出力されず、
図6に示されるように、パンタグラフ27はそのスプリング力によって伸長し、作業車両本体22の車輪23が引き上げられて、走行台車20の車輪21のみがレール7の面に接している。
【0043】
次いで、コントローラ40から駆動信号が第一のモータ45に出力され、走行台車20の車輪21が回転駆動されて、作業車両3は作業領域30のサブ通路6内に敷設されたレール7上を走行する。
【0044】
本実施態様においては、第一のモータ45に駆動信号を出力されるのと同時に、コントローラ40によって、タイマー43がオンされる。
【0045】
タイマー43の計測時間に基づいて、第一の所定時間T1が経過したと判定すると、コントローラ40は、第一のモータ45に駆動停止信号を出力して、車輪21の回転が停止され、作業車両3が作業領域30内に停止される。
【0046】
本実施態様においては、植物が栽培ベッド5に、一定間隔で栽培されており、第一の所定時間T1は、栽培されている植物に、作業車両3が正対する位置から、その栽培ベッド3に植えられている次の植物に正対する位置までの所定の距離Lを、作業車両3が移動する時間に等しく設定され、作業車両3がレール7にセットされたレール7の端部から、栽培ベッド5に栽培されている最初の植物に正対する位置までの距離もまた、所定の距離Lに等しくなるように設定されている。
【0047】
したがって、作業車両3が停止されたとき、作業車両3は栽培ベッド5に栽培されている植物に正対する位置に位置している。
【0048】
作業車両3が植物に正対する位置に達して、停止されると、コントローラ40によって、タイマー43がリセットされ、再びオンされるとともに、複数の青色LED光源24がオンされて、波長が600nm未満の青色光が放出され、植物の葉に照射される。
【0049】
その結果、植物の葉に含まれる葉緑素が励起され、植物の葉から波長が650nm以上の赤色のクロロフィル蛍光が放出される。植物の葉から放出されたクロロフィル蛍光は、CCDカメラ25の前に配置されたフィルタ(図示せず)に入射する。上述のように、フィルタは、650nm未満の波長の光をカットし、650nm以上の光のみを選択的に通過させる性質を有しているから、植物によって反射された励起光はカットされて、クロロフィル蛍光のみがCCDカメラ25によって検出され、画像データが生成される。
【0050】
CCDカメラ25によって生成された画像データはコントローラ40に入力され、コントローラ40は、CCDカメラ25から入力された画像データをRAM42に格納するとともに、入力された画像データに基づいて、ディスプレイ50にクロロフィル蛍光の画像を表示する。
【0051】
その結果、ディスプレイ50に表示されたクロロフィル蛍光の画像に基づいて、植物の光合成の状態(ストレス状態)を定量的に評価することが可能になる。
【0052】
具体的には、ディスプレイ50に表示されたクロロフィル蛍光の画像中の明るい領域の面積が小さく、クロロフィル蛍光の光量が小さいと認められるときは、光合成が盛んで、植物のストレスが低いと判定され、一方、ディスプレイ50に表示されたクロロフィル蛍光の画像中の明るい領域の面積が大きく、クロロフィル蛍光の光量が大きいと認められるときは、光合成が不良で、植物のストレス状態が高いと判定される。
【0053】
こうして、画像データがRAM42に格納され、タイマー43の計測時間に基づいて、第二の所定時間T2が経過したと判定すると、コントローラ40は複数の青色LED光源24をオフして、励起光の照射を終了するとともに、タイマー43をリセットする。
【0054】
ここに、第二の所定時間T2は、複数の青色LED光源24をオンして、植物に波長が600nm未満の青色光を植物の葉に照射し、植物に含まれた葉緑素から発せられたクロロフィル蛍光を、CCDカメラ25によって検出し、画像データを生成して、RAM42に格納するとともに、ディスプレイ50にクロロフィル蛍光の画像を表示し、植物の光合成の状態(ストレス状態)を定量的に評価するのに十分な時間である。
【0055】
次いで、コントローラ40は、タイマー43をオンするとともに、第一のモータ45に駆動信号を出力する。
【0056】
その結果、走行車台20の車輪21が回転し、作業車両3がレール7上を走行する。
【0057】
タイマー43の計測時間に基づいて、第一の所定時間T1が経過したと判定すると、コントローラ40は、第一のモータ45に駆動停止信号を出力して、作業車両3を停止させる。したがって、作業車両3は、栽培ベッド5に次に栽培されている植物に正対する位置で、作業車両3を停止される。
【0058】
作業車両3が植物に正対する位置に達して、停止されると、コントローラ40によって、タイマー43がリセットされるとともに、複数の青色LED光源24がオンされて、波長が600nm未満の青色光が植物の葉に照射される。
【0059】
その結果、植物の葉に含まれる葉緑素が励起され、植物の葉から波長が650nm以上の赤色のクロロフィル蛍光が放出され、植物の葉から放出されたクロロフィル蛍光は、CCDカメラ25の前に配置されたフィルタに入射し、650nm未満の波長の光がカットされて、650nm以上のクロロフィル蛍光のみがCCDカメラ25に入射し、画像データが生成される。
【0060】
生成された画像データはコントローラ40に送られ、コントローラ40は画像データを受けると、その画像データをRAM42に格納するとともに、入力された画像データに基づいて、ディスプレイ50にクロロフィル蛍光の画像を表示する。
【0061】
こうして、画像データがRAM42に格納され、ディスプレイ50にクロロフィル蛍光の画像が表示され、タイマー43が計測した経過時間が第二の所定時間T2になったと判定すると、コントローラ40は、複数の青色LED光源24をオフするとともに、第一のモータ45に駆動信号を出力し、タイマー43をオンする。
【0062】
その結果、車輪21が回転駆動されて、作業車両3がレール7上を走行する。
【0063】
同様のステップが繰り返され、CCDカメラ25によって生成された画像データに基づいて、ディスプレイ50に表示された画像中の明るい領域が所定面積以下であると、コントローラ40が検出すると、コントローラ40は、作業車両3が、栽培ベッド5の間の作業領域30から移動領域32内に移行したと判定する。
【0064】
すなわち、作業車両3が作業領域30内の栽培ベッド5の間のサブ通路6内に位置しているときは、サブ通路6の両側の栽培ベッド5内には植物が植えられており、複数の青色LED光源24から600nm未満の青色光を放出させれば、植物の葉緑素が励起されて、650nm未満のクロロフィル蛍光が植物の葉から放出されるから、CCDカメラ25によって撮像された画像データに基づいて、ディスプレイ50に表示されたクロロフィル蛍光の画像には比較的大面積の明るい領域が含まれている。
【0065】
これに対して、作業車両3が作業領域30から移動領域32内に移動したときは、周囲には、植物は植えられていないから、複数の青色LED光源24から600nm未満の青色光を放出しても、植物からクロロフィル蛍光は放出されず、CCDカメラ25によって、クロロフィル蛍光を検出することはできない。
【0066】
したがって、CCD25が検出した蛍光に基づいて、ディスプレイ50に画像を表示しようとしても、ディスプレイ50に表示された画像は真っ暗になるはずであるから、ディスプレイ50に表示された画像に基づいて、作業車両3が、作業領域3内に位置しているか、移動領域32内に位置しているかを判定することが可能になる。
【0067】
ただし、配電盤などから放出された光の波長が650nm以上であるときは、その光はCCDカメラ25の前に配置されたフィルタによってカットされず、CCDカメラ25に検出されることがあり得るので、作業車両3が作業領域30から移動領域32に移行しても、CCDカメラ25によって撮像され、ディスプレイ50に表示された画像が真っ暗ではないことがあり得る。しかしながら、CCDカメラ25が配電盤などから放出された光を検出した結果、画像中に生成される明るい領域の面積は小さいから、複数の青色LED光源24から600nm未満の青色光を放出したときにCCDカメラ25によって生成された明るい領域の面積が所定面積以下であるときは、作業車両3が移動領域32に位置していると判定することによって、作業車両3が作業領域30から移動領域32に移行したことを検出することができる。
【0068】
こうして、作業車両3が作業領域30から移動領域32に移行したと判定したときは、コントローラ40は、シリンダ28に駆動信号を出力し、パンタグラフ27を縮めて、光学ユニット26を下降させ、作業車両本体22に設けられた車輪23を地面に接地させるとともに、走行車体20の車輪21を地面から離間させる。
【0069】
図4には、パンタグラフ27が縮められて、光学ユニット26が下降され、作業車両本体22に設けられた車輪23が地面に接地し、走行車体20の車輪21が浮き上がって、地面から離間されている状態にある作業車両3が示されている。
【0070】
一方、
図8と
図9には、前述の作業車両3が作業領域30から移動領域32内に移動したときの画像Gが示されている。
図8は、作業車両3が植物Bに対向しているときの画像Gを示しており、画像Gの明るい領域gが植物Bを示している。
図9は、作業車両3が移動通路32に移動したときの画像に植物Bに対応する明るい領域が無いので、移動通路32と判定する。なお、
図8と
図9は、便宜上、画像Gは吹き出しを付けて拡大表示している。また、作業車両3から植物に向かって青色LED光源Kを照射していることを示している。
【0071】
次いで、コントローラ40は、作業車両本体22の車輪23のうち右の車輪を駆動する第二のモータ46と、作業車両本体22の車輪23のうち左の車輪を駆動する第三のモータ47に駆動信号を出力し、作業車両本体22の左右の車輪23を等速で回転させ、同時に、コントローラ40は、タイマー43をオンする。
【0072】
上述のように、作業車両本体22の左右の車輪23は、サブ通路6の長手方向とレール7が延びる方向に垂直な面内を回転するように構成されているから、作業車両本体22の左右の車輪23を等速で回転させると、作業車両3は、サブ通路6の長手方向およびレール7が延びる方向と垂直な方向(以下、「横方向」という。)に移動する。
【0073】
本実施態様においては、栽培ベッド5はメイン通路4に対して、垂直な方向に延びており、互いに平行に、隣り合った栽培ベッド5の間隔が一定になるように配置されている。
【0074】
したがって、作業車両3の横方向の移動速度をVとし、隣り合った栽培ベッド5の間隔をIとしたとき、タイマー43の計測時間に基づいて、第三の所定時間T3が経過したと判定すると、コントローラ40は、第二のモータ46および第三のモータ47に駆動停止信号を出力して、車輪23の回転を停止させ、作業車両3を移動領域32内に停止させる。ここに、T3=I/Vである。
【0075】
したがって、移動領域32内で停止された作業車両3は、すでに、栽培ベッド5の植物から放出されたクロロフィル蛍光を検出したサブ通路6に隣接するサブ通路6内に敷設されたレール7の端部に対向した位置に位置している。
【0076】
そこで、コントローラ40は、シリンダ28に駆動停止信号を出力して、駆動を停止させて、パンタグラフ27をそのスプリング力によって伸長させ、作業車両本体22の車輪23を地面から引き上げて、離間させるとともに、走行台車20に設けられた車輪21を接地させ、第一のモータ45に駆動信号を出力して、走行台車20に設けられた車輪21を回転させる。
【0077】
図10および
図11には、移動領域32を走行して次の栽培ベッド5に移動する作業車両3の一実施態様が示されている。本実施態様においては、CCDカメラを進行方向後方に向け、青色LED光源24により光が照射されながら、作業車両3が走行する。
図10に示されるように、走行途中で画像Gに明るい領域g、すなわち、植物Bを判定すると、作業車両3が栽培ベッド5側に接近しすぎていると判定し、モータ46とモータ47を適宜制御し、作業車両3が栽培ベッド5から離れる側に操舵されながら走行する。
【0078】
図11に示されるように、作業車両3の移動領域走行方向で前後一対にレール7を検出するセンサs1,s2を設け、進行方向前側のセンサs1がレール7を検出して、更に走行し、レール7を検出しなくなると、目標とするレール7の入り口に到達したと判定して作業車両3が停止するようにしてもよい。このとき、進行方向後側のセンサs2がレール7を検出すると、レール7の入り口位置からずれていると判定し、両方のセンサs1とs2がレール7を検出しない位置まで作業車両3を移動して位置を調節する。
【0079】
ここに、走行台車20に設けられた車輪21は、サブ通路6の長手方向およびレール7が延びる方向に平行な面内で回転されるように構成されているから、作業車両3は隣り合ったサブ通路6のレール7の端部に向かって、前進する。
【0080】
レール7の端部に達して、作業車両3がレール7に乗り上げると、コントローラ40はタイマー43をオンさせる。
【0081】
タイマー43の計測時間に基づいて、第一の所定時間T1が経過したと判定すると、コントローラ40は、第一のモータ45に駆動停止信号を出力して、車輪21の回転を停止させ、作業車両3を停止させる。
【0082】
本実施態様においては、植物が栽培ベッド5に、一定間隔で栽培されており、第一の所定時間T1は、作業車両3がレール7にセットされたレール7の端部から、栽培ベッド5に栽培されている植物に正対する位置まで、作業車両3が移動する時間に設定されているから、作業車両3が停止されたとき、作業車両3は栽培ベッド5に栽培されている植物に正対する位置に位置している。
【0083】
作業車両3が植物に正対する位置に達して、停止されると、コントローラ40によって、タイマー43がリセットされ、再びオンされるとともに、複数の青色LED光源24がオンされて、波長が600nm未満の青色光が植物の葉に照射される。
【0084】
その結果、植物の葉に含まれる葉緑素が励起され、植物の葉から波長が650nm以上の赤色のクロロフィル蛍光が放出される。植物の葉から放出されたクロロフィル蛍光は、CCDカメラ25の前に配置されたフィルタ(図示せず)に入射し、650nm未満の波長の光をカットされ、クロロフィル蛍光のみがCCDカメラ25によって検出され、画像データが生成される。
【0085】
CCDカメラ25によって生成された画像データはコントローラ40に入力され、コントローラ40は、CCDカメラ25から入力された画像データをRAM42に格納するとともに、入力された画像データに基づいて、ディスプレイ50にクロロフィル蛍光の画像を表示する。
【0086】
その結果、植物の光合成の状態(ストレス状態)を定量的に評価することが可能になり、クロロフィル蛍光の光量が小さいときは、光合成が盛んで、植物のストレスが低いと判定され、一方、クロロフィル蛍光の光量が大きいときは、光合成が不良で、植物のストレス状態が高いと判定される。
【0087】
こうして、画像データがRAM42に格納され、タイマー43の計測時間に基づいて、第二の所定時間T2が経過したと判定すると、コントローラ40はタイマー43をリセットする。
【0088】
次いで、コントローラ40は、タイマー43をオンするとともに、第一のモータ45に駆動信号を出力し、その結果、走行車台20の車輪21が回転し、作業車両3がレール7上を走行する。
【0089】
タイマー43の計測時間に基づいて、第一の所定時間T1が経過したと判定すると、コントローラ40は、第一のモータ45に駆動停止信号を出力して、作業車両3を、栽培ベッド5に栽培されている植物に正対する位置で停止させる。
【0090】
作業車両3が植物に正対する位置で停止されると、コントローラ40によって、タイマー43がリセットされるとともに、複数の青色LED光源24がオンされて、波長が600nm未満の青色光が植物の葉に照射される。
【0091】
その結果、植物の葉に含まれる葉緑素が励起され、植物の葉から波長が650nm以上の赤色のクロロフィル蛍光が放出され、フィルタによって、650nm未満の波長の光がカットされて、650nm以上のクロロフィル蛍光のみがCCDカメラ25に入射し、画像データが生成される。
【0092】
生成された画像データはコントローラ40に送られ、コントローラ40は画像データを受けると、その画像データをRAM42に格納するとともに、入力された画像データに基づいて、ディスプレイ50にクロロフィル蛍光の画像を表示する。
【0093】
こうして、画像データがRAM42に格納され、ディスプレイ50にクロロフィル蛍光の画像が表示されると、コントローラ40は、第一のモータ45に駆動信号を出力するとともに、タイマー43をオンする。
【0094】
その結果、車輪21が回転駆動されて、作業車両3がレール7上を走行する。
【0095】
同様のステップが繰り返され、CCDカメラ25によって生成され、ディスプレイ50に表示された画像中の明るい領域が所定の面積以下であるときは、コントローラ40は作業車両3が作業領域30から移動領域32に移行したと判定し、シリンダ28に駆動信号を出力し、パンタグラフ27を縮めて、光学ユニット26を下降させ、作業車両本体22に設けられた車輪23が地面に接地させるとともに、走行車体20の車輪21を地面から離間させる。
【0096】
次いで、コントローラ40は、作業車両本体22の車輪23のうち右の車輪を駆動する第二のモータ46と、作業車両本体22の車輪23のうち左の車輪を駆動する第三のモータ47に駆動信号を出力し、作業車両本体22の左右の車輪23を等速で回転させる。同時に、コントローラ40はタイマー43をオンさせる。
【0097】
その結果、作業車両3は、サブ通路6の長手方向とレール7が延びる方向と垂直な横方向に移動する。
【0098】
タイマー43の計測時間に基づいて、第三の所定時間T3(T3=I/V)が経過したと判定すると、コントローラ40は、第二のモータ46および第三のモータ47に駆動停止信号を出力して、車輪23の回転を停止させ、作業車両3を移動領域32内に停止させる。
【0099】
その結果、作業車両3は、すでに、栽培ベッド5の植物から放出されたクロロフィル蛍光を検出したサブ通路6に隣接するサブ通路6に敷設されたレール7に対向した位置で停止させる。
【0100】
そこで、コントローラ40は、シリンダ28に駆動停止信号を出力して、駆動を停止させて、パンタグラフ27をそのスプリング力によって伸長させ、作業車両本体22の車輪23を地面から引き上げて、離間させるとともに、走行台車20に設けられた車輪21を接地させ、第一のモータ45に駆動信号を出力して、走行台車20に設けられた車輪21を回転させる。
【0101】
したがって、作業車両3は隣り合ったサブ通路6のレール7の端部に向かって、前進し、レール7の端部に達して、作業車両3がレール7に乗り上げると、コントローラ40はタイマー43をオンさせる。
【0102】
タイマー43の計測時間に基づいて、第一の所定時間T1が経過したと判定すると、コントローラ40は、第一のモータ45に駆動停止信号を出力して、車輪21の回転を停止させ、作業車両3を停止させる。
【0103】
以下、上述したのと同様にして、クロロフィル蛍光が測定されて、植物の光合成の状態(ストレス状態)を定量的に評価するとともに、CCD25が生成した画像中の明るい領域の面積が所定面積以下になったときに、作業車両3が作業領域30から移動領域32に移行したと判定して、走行台車20の車輪21を地面から離間させるとともに、作業車両本体22の車輪23を接地させて、横方向に回転させ、作業車両3が隣り合ったサブ通路6に敷設されたレール7の端部に対向する位置に達すると、作業車両3を停止させて、作業車両本体22の車輪23を地面から離間させ、走行台車20に設けられた車輪21を回転させて、作業車両3を対向するレール7の端部に向けて前進させ、レール7に乗り上げさせて、レール7上を走行させるというステップを繰り返す。
【0104】
本実施態様によれば、栽培ベッド5に植えられている植物に励起光を照射して、植物の葉に含まれている葉緑素を励起し、植物から放出されたクロロフィル蛍光を検出することによって、植物の光合成の状態(ストレス状態)を定量的に評価することができ、加えて、クロロフィル蛍光を検出して、作業車両3が作業領域30から移動領域32に移動したか否かを判定し、移動領域32に移動したと認められたときは、作業車両本体22に取り付けられた横方向移動用の車輪23を回転させて、横方向に移動させ、作業車両3を次に作業を実行する隣り合ったサブ通路6に敷設されているレール7の端部に対向する位置に移動すると、作業車両本体22に取り付けられた車輪23の駆動を停止して、走行車台20に取り付けられた縦方向移動用の車輪21を地面に接地させ、回転駆動させることによって、作業車両3を次に作業を実行する作業領域30のレール7上を走行させるように構成されているから、作業車両3を、栽培ベッド間の作業通路30から、隣り合った作業通路30に移動するための移動通路32に円滑に移動させることが可能になる。
【0105】
本発明は、以上の実施態様に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0106】
1 栽培室
2 出荷室
3 作業車両
4 メイン通路
5 栽培ベッド
6A、6B 栽培ユニット
6 サブ通路
7 レール
11 養液供給装置
12 選別装置
13 選別コンベア
14 収穫物収容部
15 出入り口
16 ワイヤ
17 フック
18 誘因紐
20 走行台車
21 車輪
22 作業車両本体
23 車輪
24 青色LED光源
25 CCDカメラ
26 光学ユニット
27 パンタグラフ
28 シリンダ
29 レールセンサ
30 作業領域
32 移動領域
40 コントローラ
41 ROM
42 RAM
43 タイマー
45 第一のモータ45
46 第二のモータ
47 第三のモータ
48 第四のモータ48
49 スイッチ
50 ディスプレイ