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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】被収納物管理システム
(51)【国際特許分類】
   A61J 7/00 20060101AFI20241128BHJP
   A61J 7/04 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
A61J7/00 L
A61J7/04 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021124656
(22)【出願日】2021-07-29
(65)【公開番号】P2023019715
(43)【公開日】2023-02-09
【審査請求日】2024-05-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100202304
【弁理士】
【氏名又は名称】塙 和也
(72)【発明者】
【氏名】今井 涼介
(72)【発明者】
【氏名】高橋 寛子
【審査官】村上 勝見
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-024639(JP,A)
【文献】特開2017-064323(JP,A)
【文献】特開2019-187603(JP,A)
【文献】登録実用新案第3197075(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2010/0206765(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 7/00
A61J 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被収納物管理システムにおいて、
接点を含む配線が設けられた基板と、
各々が開口を有するとともに被収納物を収納する複数の収納ポケットが設けられた収納部と、
各収納ポケットの前記開口周縁に設けられ、前記収納ポケットに前記被収納物が収納されていない場合に前記接点を導通させる導通部とを備え、
前記収納部は、前記基板に着脱自在に取り付けられているとともに、折り畳み可能である、被収納物管理システム。
【請求項2】
前記収納部に、前記収納部が折り畳まれた際に、前記収納ポケットからの前記被収納物の脱落を規制する規制部材が設けられている、請求項1に記載の被収納物管理システム。
【請求項3】
前記基板は、前記配線が設けられた絶縁体シートと、前記絶縁体シートに取り付けられ、前記配線を覆う基板本体とを有する、請求項1または2に記載の被収納物管理システム。
【請求項4】
前記基板は、前記配線が設けられた基板本体を有する、請求項1または2に記載の被収納物管理システム。
【請求項5】
前記基板本体は、剛性をもつ板状の部材である、請求項3または4に記載の被収納物管理システム。
【請求項6】
前記収納部は、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂または塩化ビニル系樹脂を含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の被収納物管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、被収納物管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
服薬管理を目的とした服薬管理カレンダーが知られている。例えば、特許文献1は、赤外線センサを利用してポケットから薬が取り出されたか否かを検出し、投薬の有無や時刻を管理する投薬管理装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-143891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような投薬管理装置では、一度に収納できる薬の数が限られている。このため、投薬管理装置に収納された薬が無くなった場合、例えば薬剤師が患者宅を訪問し、新しい薬を投薬管理装置に収納する。または、例えば薬剤師が、新しい薬が収納された投薬管理装置を患者宅に持って行き、薬が無くなった投薬管理装置と、新しい薬が収納された投薬管理装置とを交換する。これらの場合、投薬管理装置への薬の補充、または投薬管理装置の交換が手間になっている。
【0005】
また、薬を収納するポケットの数を多くした場合、投薬管理装置が大型化し、所望の場所への投薬管理装置の設置が困難になる可能性がある。
【0006】
このため、簡便な構造により、薬を容易に補充できる装置が求められている。
【0007】
本開示はこのような点を考慮してなされたものであり、簡便な構造により、薬を容易に補充することが可能な、被収納物管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施の形態による被収納物管理システムは、接点を含む配線が設けられた基板と、各々が開口を有するとともに被収納物を収納する複数の収納ポケットが設けられた収納部と、各収納ポケットの前記開口周縁に設けられ、前記収納ポケットに前記被収納物が収納されていない場合に前記接点を導通させる導通部とを備え、前記収納部は、前記基板に着脱自在に取り付けられているとともに、折り畳み可能である、被収納物管理システムである。
【0009】
一実施の形態による被収納物管理システムにおいて、前記収納部に、前記収納部が折り畳まれた際に、前記収納ポケットからの前記被収納物の脱落を規制する規制部材が設けられてもよい。
【0010】
一実施の形態による被収納物管理システムにおいて、前記基板は、前記配線が設けられた絶縁体シートと、前記絶縁体シートに取り付けられ、前記配線を覆う基板本体とを有してもよい。
【0011】
一実施の形態による被収納物管理システムにおいて、前記基板は、前記配線が設けられた基板本体を有してもよい。
【0012】
一実施の形態による被収納物管理システムにおいて、前記基板本体は、剛性をもつ板状の部材であってもよい。
【0013】
一実施の形態による被収納物管理システムにおいて、前記収納部は、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂または塩化ビニル系樹脂を含んでもよい。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、簡便な構造により、薬を容易に補充できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本実施の形態による服薬管理カレンダーの構成を示す平面図である。
図2A図2Aは、本実施の形態による服薬管理カレンダーを示す断面図(図1のIIA-IIA線断面図)であって薬袋が収納された状態を示す断面図である。
図2B図2Bは、本実施の形態による服薬管理カレンダーを示す断面図(図2Aに対応する断面図)であって薬袋が取り出された状態を示す断面図である。
図3図3は、本実施の形態による服薬管理カレンダーの基板の接点の一例を示す拡大平面図である。
図4図4は、本実施の形態による服薬管理カレンダーの基板の配線の一例を示す平面図である。
図5図5(a)-(e)は、本実施の形態による服薬管理カレンダーの収納部の作用を示す図である。
図6図6は、本実施の形態による服薬管理カレンダーの変形例を示す断面図(図2Aに対応する断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本開示の一実施の形態について説明する。図1乃至図5は一実施の形態を示す図である。以下に示す各図は、模式的に示した図である。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、技術思想を逸脱しない範囲において適宜変更して実施できる。なお、以下に示す各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。また、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値および材料名は、実施の形態としての一例であり、これに限定されることなく、適宜選択して使用できる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行、直交または垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含めて解釈することとする。
【0017】
本実施の形態による被収納物管理システムは、患者の服薬状況の管理を目的とする、いわゆる服薬管理カレンダー10であってもよい。図1に示すように、被収納物管理システムとしての服薬管理カレンダー10は、基板10Aと、各々が開口11aを有する複数の収納ポケット11が設けられた収納部50と、各収納ポケット11の開口11a周縁に設けられた導通部13とを備えている。
【0018】
このうち、収納部50は、基板10Aの表面(図1の表側の面)に取り付けられている。この収納部50は、後述するように、基板10Aに着脱自在に取り付けられているとともに、折り畳み可能である。
【0019】
収納部50の表面には、月曜日から日曜日までの各曜日を表示する第1表示部2と、「朝ご飯後」、「昼ご飯後」、「夜ご飯後」および「寝る前」といった服薬時を表示する第2表示部3とが設けられている。なお、第1表示部2が、一週間分の曜日を表示しているが、これに限られない。例えば、第1表示部2が、二週間分以上の曜日を表示していてもよい。また、第2表示部3が、1日4回の服薬時を表示しているが、これに限られない。例えば、第2表示部3が、「朝ご飯後」および「夜ご飯後」といった、1日2回の服薬時を表示していてもよい。
【0020】
上述したように、収納部50には、複数の収納ポケット11が設けられている。各収納ポケット11は、収納部50の表面に設けられている。各収納ポケット11は、被収納物としての薬袋12を収納するためのポケットである(図1および図2A参照)。図1に示すように、収納ポケット11は、曜日を表示する第1表示部2および服薬時を表示する第2表示部3に対応する位置に配置されている。これにより、一週間の曜日毎に、「朝ご飯後」、「昼ご飯後」、「夜ご飯後」および「寝る前」の4回の服薬を管理できるように構成されている。
【0021】
また、収納部50には、各収納ポケット11に対応する位置に貫通孔50Bが形成されている。この貫通孔50Bは、収納部50が基板10Aに取り付けられた際に、後述する基板本体15Bの貫通孔10Bと対向するように形成されている。このため、収納部50が基板10Aに取り付けられた際に、後述する配線15の接点15xが、貫通孔50Bおよび貫通孔10Bを介して、各収納ポケット11側へ露出する。
【0022】
また、図1乃至図2Bに示すように、各収納ポケット11の表面側に、開口21aを有する追加収納ポケット21が設けられていてもよい。なお、追加収納ポケット21には、例えばカード状ラベル22(図2Aおよび図2B参照)等の追加被収納物が収納されてもよい。また、追加被収納物としては、カード状ラベル22に限らず、他の内容物、例えば服薬管理が不要な一般的漢方薬等が、追加収納ポケット21内に収納されてもよい。
【0023】
ここで、各収納ポケット11が設けられた収納部50は、比較的薄手のプラスチックシート製である。このため、各収納ポケット11内に収納される薬袋12の量が嵩張ると、プラスチックシート製の収納ポケット11が伸びた状態(すなわち、変形した状態)で保形する可能性がある。このように、収納ポケット11が伸びた状態で保形した場合、収納ポケット11内から薬袋12を取り出した後に、収納ポケット11の開口が閉まらないことも考えられる。この場合、収納ポケット11の開口11a周縁に設けられた導通部13が後述するように基板10A側へ移動できず、後述する接点15xが導通できなくなる可能性がある。
【0024】
これに対して本実施の形態では、収納ポケット11に加えて、各収納ポケット11の表面側に追加収納ポケット21が設けられている。これにより、収納ポケット11内から薬袋12を取り出した後に、追加収納ポケット21内に収容されたカード状ラベル22により、収納ポケット11を基板10A側へ押し付けることができる。このため、収納ポケット11内から薬袋12を取り出した後に、収納ポケット11の開口11aを確実に閉じることができる。なお、追加収納ポケット21は、収納ポケット11と同様のプラスチックシート製であってもよい。
【0025】
このような収納部50は、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂または塩化ビニル系樹脂を含んでいてもよい。例えば、収納部50は、ポリエチレン、塩化ビニル、ポリプロピレンまたはポリエチレンテレフタレートを含んでいてもよい。
【0026】
次に、基板10Aについて説明する。図1に示すように、服薬管理カレンダー10の基板10Aは、服薬管理カレンダー10の全体形状と同一の矩形形状を有している。
【0027】
図2Aおよび図2Bに示すように、基板10Aには、接点15xを含む配線15が設けられている。本実施の形態では、基板10Aは、配線15が設けられた絶縁体シート15Aと、絶縁体シート15Aに取り付けられ、配線15を覆う基板本体15Bとを有している。配線15は、導電性を有するインクなどの塗料を絶縁体シート15Aの面上に印刷することにより形成されている。そして、基板本体15Bが、配線15が印刷された絶縁体シート15Aに貼り付けられている。
【0028】
配線15は、接点15xおよび接点15x近傍の領域を除いて、基板本体15Bにより覆われている。具体的には、基板本体15Bが、各収納ポケット11に対応する位置に形成された貫通孔10Bを有しており、配線15の接点15xが、貫通孔10Bを介して、基板本体15Bの表面側へ露出している。なお、配線15および接点15xの詳細については後述する。
【0029】
また、基板10Aの絶縁体シート15Aの裏面(すなわち、基板本体15Bと反対側の面)には、磁性体として機能する金属板17が貼り付けられている。これにより、収納ポケット11に薬袋12が収納されていない場合に、後述するように例えば磁石である導通部13が、金属板17に吸い付けられる。そして、導通部13が接点15xに接触することにより、接点15xが導通するように構成されている。なお、金属板17の代わりに、導電材料を練り込んだ合成樹脂材が、磁性体として絶縁体シート15Aの裏面に設けられていてもよい。なお、図2Aにおいては、説明の便宜上、金属板17が導通部13に吸着されておらず、導通部13と金属板17との間に空間が存在している状態を示している。一方、実際には、導通部13の磁力(吸着力)次第では、金属板17が導通部13に吸着され得る。なお、この場合においても、導通部13と接点15xとの間には絶縁体の薬袋12が存在しているため、接点15xが導通することはない。
【0030】
さらに、基板10Aの基板本体15Bには、収納部50を基板10Aに着脱自在に取り付けるための被取付部15c(図1参照)が設けられている。この被取付部15cは、例えば、基板本体15Bの表面(すなわち、絶縁体シート15Aと反対側の面)に貼り付けられていてもよい。また、図示された例においては、被取付部15cは、基板本体15Bの四隅に配置されており、基板本体15Bには、合計4つの被取付部15cが設けられている。被取付部15cは、例えば、磁性体として機能する金属板であってもよい。この場合、収納部50の後述する取付部51が被取付部15cに吸い付けられることによって、収納部50が、磁力により基板10Aに着脱自在に取り付けられていてもよい。
【0031】
このような基板10Aの絶縁体シート15Aは、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)からなるプラスチックシート製であってもよい。また、基板本体15Bは、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリプロピレン(PP)からなる柔軟性をもつシート状の部材であってもよい。また、基板本体15Bは、例えば塩化ビニルからなる厚手のプラスチックシート製であってもよい。これらの場合、服薬管理カレンダー10全体が可撓性を持つ。これにより、服薬管理カレンダー10を持ち運ぶ場合に、服薬管理カレンダー10を丸めた状態で持ち運びができる。なお、基板本体15Bが、例えばアクリル樹脂からなる剛性をもつ板状の部材であってもよい。
【0032】
次に、図3および図4により、配線15について説明する。ここでは、まず、図3により、配線15の接点15xについて説明する。
【0033】
図3は、一の収納ポケット11に対応する接点15xの一例を示す図である。具体的には、図3は、図1における破線領域40を示す図であり、接点15xを図2Aにおける矢印A方向から見た図である。なお、図3において、図面を明瞭にするために、収納ポケット11、導通部13および追加収納ポケット21については、その輪郭のみを破線で示している。
【0034】
図3に示すように、収納部50の貫通孔50B内および基板本体15Bの貫通孔10B内の領域に、配線15の接点15xが形成されている。図3に示す例では、接点15xは櫛歯状又は島状に形成された2つの接点部分15xa、15xbにより構成されている。
【0035】
次に、図4により、配線15について説明する。図4は、基板10Aの絶縁体シート15Aを示す平面図である。
【0036】
配線15は、絶縁体シート15Aの表面(すなわち、収納部50側の面)上に形成されている。この配線15は、第1配線15aと、第2配線(グランド(GND)配線)15gとを含んでいる。第1配線15aは、後述する回路モジュール31から、各収納ポケット11に対応する位置に設けられた接点15xの一方の接点部分15xaまで伸びている。第2配線15gは、接点15xの他方の接点部分15xbに接続されている。なお、図4では、各接点15xと導通部13との位置関係を明確にするために、導通部13が破線で示されている。
【0037】
また、図4示すように、絶縁体シート15A上には、電子回路を備える回路モジュール31が設けられている。回路モジュール31は、時計機能を備える日時記憶回路32と、外部との無線通信のための通信モジュール33とを備えている。通信モジュール33は、例えばNFCタグ、LTE通信モジュール、Bluetoothモジュールなどにより構成されていてもよい。この回路モジュール31の端子と、上述した第1配線15aおよび第2配線15gとは、例えば熱圧着により電気的に接続されている。
【0038】
ここで、収納ポケット11から薬袋12が取り出され、スイッチがオン状態になると、その信号が、配線15を通じて回路モジュール31に送られる。日時記憶回路32は、スイッチがオンになった日時、すなわち、薬袋12が取り出された日時(以下、「取出し日時」と呼ぶ。)を記憶する。通信モジュール33は、外部の端末装置45と無線通信可能であり、端末装置45からの要求に応じて、日時記憶回路32に記憶されている取出し日時を端末装置45へ送信する。このようにして、薬袋12の取出し日時を端末装置45で管理できる。なお、端末装置45は、図4に示すような携帯端末の他、タブレット型端末や通常のPCなどであってもよい。また、端末装置45が取得した取出し日時の情報を図示しないサーバなどに送信し、複数の患者の服薬状況を統括的に管理してもよい。なお、通信モジュール33が、取出し日時の情報をクラウド上の図示しないサーバに直接送信してもよい。
【0039】
次に、導通部13について説明する。
【0040】
再度図2Aおよび図2Bを参照すると、各収納ポケット11の内側には、上述した導通部13が設けられている。上述したように、導通部13は、各収納ポケット11の開口11a周縁に設けられている。そして、導通部13は、貫通孔50Bおよび貫通孔10Bの位置、すなわち、接点15xが露出している領域と対向するように、収納ポケット11の内側に取り付けられている。この導通部13は、収納ポケット11に薬袋(被収納物)12が収納されていない場合に接点15xを導通させる役割を果たす。すなわち、導通部13は、収納ポケット11から薬袋12が取り出されたとき、薬袋12の取り出しを検知する要素である。導通部13は、例えば磁石であってもよい。
【0041】
また、導通部13は、導通部13の内側の面、すなわち、基板本体15B側の面に形成された導電面13xを有している。この導電面13xは、接点15xの2つの接点部分15xa、15xb(図3参照)を導通させるための面として機能する。導電面13xは、例えば磁石等から構成される導通部13の面に、導電性の塗料を塗布することにより形成されてもよい。なお、導通部13の表面に、金属板などを貼り付けることにより、導電面13xが形成されてもよい。なお、導通部13を構成する磁石が十分な導電性をもつ場合、金属板あるいは導電性塗料等からなる導電面13xは必ずしも設ける必要はない。
【0042】
ところで、上述したように、収納部50は、基板10Aに着脱自在に取り付けられている。これにより、薬袋12を容易に補充できる。すなわち、収納ポケット11に収納された全ての薬袋12が無くなった場合に、収納ポケット11に新たな薬袋12が収納された別の収納部50を基板10Aに取り付けることにより、薬袋12を容易に補充できるように構成されている。
【0043】
再度図1を参照すると、収納部50には、収納部50を基板10Aに着脱自在に取り付けるための取付部51が設けられている。本実施の形態では、取付部51は、収納部50の表面に設けられている。図示された例においては、取付部51は、収納部50の四隅に配置されており、収納部50には、合計4つの取付部51が設けられている。この取付部51は、例えば磁石であってもよい。この場合、取付部51が、基板本体15Bに設けられた被取付部15cに吸い付けられることによって、収納部50が、磁力により基板10Aに着脱自在に取り付けられていてもよい。なお、図示された例においては、取付部51は、平面視円形状を有しているが、これに限られず、取付部51は、所望の平面形状を有していてもよい。
【0044】
また、上述したように、収納部50は、折り畳み可能である。これにより、収納ポケット11に新しい薬袋12が収納された収納部50を、折り畳んだ状態で配送(例えば、郵送)できる。このため、収納部50が嵩張ることを抑制でき、配送コストを低減できる。
【0045】
また、収納部50に、収納部50が折り畳まれた際に、収納ポケット11からの薬袋12の脱落を規制する規制部材52が設けられている。本実施の形態では、上述した取付部51が、規制部材52として機能する。すなわち、規制部材52(取付部51)は、収納部50の表面に設けられている。本実施の形態では、収納部50を折り畳んだ際に、後述するように、規制部材52(取付部51)同士が吸着する。これにより、後述するように、収納部50によって薬袋12が挟み込まれ、収納ポケット11からの薬袋12の脱落が規制される。なお、規制部材52は、収納部50の裏面に設けられていてもよい。
【0046】
なお、図示はしないが、規制部材52が、取付部51とは異なる部材によって構成されていてもよい。また、規制部材52が、収納部50の幅方向に沿って延びる棒状の部材(例えば、磁石)によって構成されていてもよい。この場合、収納ポケット11からの薬袋12の脱落をより効果的に規制できる。
【0047】
このような収納部50は、例えば、4つ折りにされてもよい。また、収納部50は、4つ折りにした際に、例えば、A4サイズ程度の大きさになるように構成されていることが好ましい。これにより、収納ポケット11に新しい薬袋12が収納された収納部50を、例えば郵送によって容易に患者宅に届けることができる。
【0048】
収納部50を折り畳む場合、まず、図5(a)に示すように、全ての収納ポケット11に薬袋12が収納された収納部50を準備する。なお、薬袋12は、例えば薬局等において、薬剤師によって収納ポケット11へ収納される。
【0049】
次に、図5(b)に示すように、例えば、収納部50を長手方向に2つ折りにする。この際、収納部50の四隅に設けられた規制部材52同士が吸着する。
【0050】
このとき、図5(c)に示すように、規制部材52によって互いに重ね合わされた収納部50間の距離T1は、薬袋12の厚みT2(図2A参照)よりも小さいことが好ましい。これにより、互いに重ね合わされた収納部50によって薬袋12が挟まれ、薬袋12が収納ポケット11から脱落することを抑制できる。なお、上述したように、規制部材52は、収納部50の裏面に設けられていてもよい。この場合、互いに重ね合わされた収納部50間の距離T1を非常に小さくでき、薬袋12が収納ポケット11から脱落することを効果的に抑制できる。なお、図5(c)は、図5(b)に示す収納部50を図5(b)における矢印B方向から見た図である。
【0051】
次に、図5(d)-(e)に示すように、収納部50を幅方向に2つ折りにする。このようにして、収納部50が4つ折りにされる。なお、図5(e)は、図5(d)に示す収納部50を図5(d)における矢印C方向から見た図である。また、図示はしないが、収納部50は、幅方向に2つ折りにされた後に、長手方向に2つ折りにされてもよい。
【0052】
次に、このような構成からなる服薬管理カレンダー10の使用方法について説明する。
【0053】
図1乃至図2Bに示す服薬管理カレンダー10において、薬を服用する患者は、服薬日時に対応する薬袋12を収納ポケット11から取出し服用する。なお、患者に対する投薬を管理する管理者が、薬袋12を収納ポケット11から取出し、患者に服用させてもよい。
【0054】
この際、まず、図2Aに示すように、収納ポケット11に薬袋12が収納されている状態では、薬袋12により収納ポケット11が膨らむ。また、導通部13と接点15xとの間には絶縁体である薬袋12が介在し、導通部13が接点15xから離れている。これにより、2つの接点部分15xa、15xbが導通することはない。このため、接点15xはオフ状態となっている。このとき、図2Aに示すように追加収納ポケット21内、すなわち追加収納ポケット21と収納ポケット11との間には、カード状ラベル22が収納されていてもよい。
【0055】
次に、図2Bに示すように、薬袋12が収納ポケット11から取り出された後は、導通部13と接点15xとの間に介在するものが無くなる。
【0056】
同時に、薬袋12により膨らんだ収納ポケット11が、元の形状まで戻るように、基板10A側へ移行する。このとき追加収納ポケット21内にカード状ラベル22が収納されている場合、カード状ラベル22が収納された追加収納ポケット21側から収納ポケット11側へ、押し付け力が効果的に働く。これにより、薬袋12によって膨らんだ収納ポケット11が元の形状まで戻される。このため、収納ポケット11が基板10A側へ確実に移行し、収納ポケット11の開口11aが閉じられる。
【0057】
また、収納ポケット11が基板10A側へ移行することにより、収納ポケット11に取り付けられている導通部13も基板10A側へ移行する。これにより、導通部13の導電面13xと接点15xとが接触する。このため、導通部13の導電面13xが接点部分15xaと接点部分15xbとを導通させ、スイッチがオン状態となる。このようにして、収納ポケット11から薬袋12が取り出されたことを検知できる。
【0058】
その後、全ての薬袋12が取り出される。
【0059】
ここで、本実施の形態では、収納部50は、基板10Aに着脱自在に取り付けられている。このため、全ての薬袋12が取り出された後、収納部50を交換することにより、薬袋12を容易に補充できる。
【0060】
この場合、まず、例えば薬局等において、新たな薬袋12が、薬剤師によって収納ポケット11へ収納される。次に、収納ポケット11に新たな薬袋12が収納された収納部50が、例えば4つ折りにされた状態で、患者宅に配送される。その後、患者または患者に対する投薬を管理する管理者が、患者宅に配送された収納部50を、基板10Aに取り付ける。これにより、薬袋12を容易に補充できる。
【0061】
このように本実施の形態によれば、服薬管理カレンダー10が、接点15xを含む配線15が設けられた基板10Aと、各々が開口11aを有するとともに薬袋12を収納する複数の収納ポケット11が設けられた収納部50と、各収納ポケット11の開口11a周縁に設けられ、収納ポケット11に薬袋12が収納されていない場合に接点15xを導通させる導通部13とを備えている。また、収納部50が、基板10Aに着脱自在に取り付けられているとともに、折り畳み可能である。これにより、薬袋12を容易に補充できる。また、収納部50を交換することにより、薬袋12を補充できるため、服薬管理カレンダー10への薬袋12の補充、または服薬管理カレンダー10の交換に、手間が掛かることもない。とりわけ、収納部50が折り畳み可能であることにより、収納ポケット11に新しい薬袋12が収納された収納部50を、折り畳んだ状態で配送できる。これにより、収納部50が嵩張ることを抑制でき、配送コストを低減できる。
【0062】
また、収納部50を交換することにより、薬袋12を補充できるため、収納ポケット11の数を従来の服薬管理カレンダー10よりも多くする必要もない。このため、服薬管理カレンダー10が大型化することもない。
【0063】
また、本実施の形態によれば、収納部50に、収納部50が折り畳まれた際に、収納ポケット11からの薬袋12の脱落を規制する規制部材52が設けられている。これにより、収納部50を配送する際に、収納ポケット11からの薬袋12の脱落を抑制できる。
【0064】
また、本実施の形態によれば、基板10Aが、配線15が設けられた絶縁体シート15Aと、絶縁体シート15Aに取り付けられ、配線15を覆う基板本体15Bとを有している。このように配線15が基板本体15Bによって覆われていることにより、配線15が損傷を受けることを抑制できる。
【0065】
なお、上記実施の形態において、基板10Aが、配線15が設けられた絶縁体シート15Aと、絶縁体シート15Aに取り付けられ、配線15を覆う基板本体15Bとを有している例を示したが、これに限られない。例えば、図6に示すように、基板10Aが、配線15が設けられた基板本体15Bを有していてもよい。
【0066】
本変形例では、図6に示すように、配線15は、基板本体15Bの表面(すなわち、収納部50側の面)に形成されている。この場合、配線15は、接点15xおよび接点15x近傍の領域を除いて、隠蔽層15dによって覆われていることが好ましい。これにより、服薬管理カレンダー10において、収納部50を基板10Aから取り外した際に、配線15が露出することを抑制できる。このため、収納部50を基板10Aから取り外した際に、服薬管理カレンダー10の意匠性の低下を抑制できる。なお、隠蔽層15dは、絶縁性を有するインクなどの塗料を基板本体15Bの面上に印刷することにより形成されていてもよい。
【0067】
また、本変形例では、基板本体15Bは、剛性をもつ板状の部材であることが好ましい。これにより、例えば、基板本体15Bが折り曲げられることを抑制できる。このため、基板本体15Bに設けられた配線15の破断を抑制できる。
【0068】
なお、本変形例では、金属板17は、基板本体15Bの裏面側に設けられている。
【0069】
本変形例によれば、基板10Aが、配線15が設けられた基板本体15Bを有している。これにより、基板10Aを低コストで作製できる。
【0070】
また、上記実施の形態において、収納部50に設けられた取付部51が磁石であり、基板本体15Bに設けられた被取付部15cが、磁性体として機能する金属板である例を示したが、これに限られない。例えば、収納部50に設けられた取付部51が磁性体として機能する金属板であり、基板本体15Bに設けられた被取付部15cが、磁石であってもよい。また、収納部50は、両面テープまたは面ファスナー等を用いて、基板10Aに着脱自在に取り付けられていてもよい。さらに、例えば、収納部50に貫通孔を形成し、基板10Aに、当該貫通孔に係合する突起等を形成してもよい。そして、突起等と貫通孔とを係合させることにより、収納部50が基板10Aに着脱自在に取り付けられていてもよい。
【0071】
また、上記実施の形態において、規制部材52が磁石である例を示したが、これに限られない。例えば、規制部材52が、両面テープまたは面ファスナー等であってもよい。この場合においても、互いに重ね合わされた収納部50によって薬袋12を挟むことができ、薬袋12が収納ポケット11から脱落することを抑制できる。
【0072】
また、上記実施の形態において、導通部13が磁石であり、絶縁体シート15Aの裏面側に金属板17を設けた例を示したが、これに限られない。例えば、図示はしないが、導通部13が磁性体として機能する金属板であり、絶縁体シート15Aの裏面側または基板本体15Bの裏面側に磁石を設けてもよい。
【0073】
また、上記実施の形態において、追加収納ポケット21内にカード状ラベル22を収納した例を示したが、これに限られない。例えば、図示はしないが、追加収納ポケット21内に必ずしもカード状ラベル22を収納する必要はなく、追加収納ポケット21内を空にしておいてもよい。
【0074】
さらに、上記実施の形態において、各収納ポケット11の表面側に、開口21aを有する追加収納ポケット21が設けられている例を示したが、これに限られない。例えば、図示はしないが、各収納ポケット11の表面側に、開口21aを有する追加収納ポケット21が設けられていなくてもよい。
【0075】
上記実施の形態および各変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記実施の形態および各変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0076】
10 服薬管理カレンダー
10A 基板
11 収納ポケット
11a 開口
12 被収納物
13 導通部
15 配線
15x 接点
15A 絶縁体シート
15B 基板本体
50 収納部
52 規制部材
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6