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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】カードリーダー
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/00 20060101AFI20241128BHJP
   G06K 7/08 20060101ALI20241128BHJP
   B42D 25/305 20140101ALN20241128BHJP
【FI】
G06K7/00 069
G06K7/08 040
G06K7/00 026
B42D25/305 100
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020078031
(22)【出願日】2020-04-27
(65)【公開番号】P2021174279
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000177346
【氏名又は名称】三和ニューテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126712
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 督生
(72)【発明者】
【氏名】黒木 周二
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-173947(JP,A)
【文献】特開2001-202480(JP,A)
【文献】特開2010-009617(JP,A)
【文献】特開2016-110415(JP,A)
【文献】特開2020-052613(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/00
G06K 7/08
B42D 25/305
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入された決済用カードを搬送する搬送機構と、
前記決済用カードに備わる磁気記憶領域から個人情報を読み出す磁気読み出し部と、
前記決済用カードに備わるICチップの電気端子に導通する電極を備える電極ホルダーと、
前記電極ホルダーでの導通を介して、前記ICチップから個人情報を読み出すICチップ読み出し部と、
前記決済用カードの搬送および判定に係るセンサー群と、
前記搬送機構、前記磁気読み出し部、前記ICチップ読み出し部および前記センサー群を格納する筐体と、を備え、
前記センサー群は、前記決済用カードの磁気記憶領域に沿って配置され、
前記決済用カードは、前記磁気記憶領域以外の領域において、透明もしくは半透明である透明領域を有し、
前記磁気記憶領域は、磁性体が塗布されていることにより、透明もしくは半透明ではなく、
前記センサー群のそれぞれは、光学機構を使用しており、少なくとも前記磁気記憶領域においては、光学機構に基づいた透過と非透過を識別でき、
前記搬送機構は、前記決済用カードを搬送するローラーを備え、
前記ローラーの設置ラインと、前記センサー群の設置ラインとは、前記決済用カードの搬送方向において、異なる位置であり、
前記電極ホルダーは、通常状態においては、前記決済用カードが搬送される搬送領域の上方に位置し、
前記決済用カードが前記搬送機構により搬送されて前記筐体の奥側に移動するのに従い前記電極ホルダーを押し下げていき、
前記電極ホルダーが前記決済用カードと略平行の状態となり、
下げられた前記電極ホルダーの前記電極が前記ICチップの前記電気端子と導通することによって、前記電極ホルダーと接続する前記ICチップ読み出し部が、前記ICチップから個人情報を読み出す、カードリーダー。
【請求項2】
前記センサー群は、少なくとも第1センサー、第2センサーおよび第3センサーを含み、
前記第1センサー、前記第2センサーおよび前記第3センサーのそれぞれは、前記決済用カードが前記搬送機構によって搬送される際に、前記決済用カードの前記磁気記憶領域により遮蔽される位置に備わる、請求項1記載のカードリーダー。
【請求項3】
前記第1センサーは、第1発光部およびこれと対になる第1受光部を有し、
前記第2センサーは、第2発光部およびこれと対になる第2受光部を有し、
前記第3センサーは、第3発光部およびこれと対になる第3受光部を有し、
前記第1発光部は、前記第1受光部に向けて光を出力し、
前記第1受光部は、前記磁気記憶領域が介在しない場合には、前記第1発光部からの光を受光可能であり、
前記第1受光部は、前記磁気記憶領域が介在する場合には、前記第1発光部からの光を受光不可能であり、
前記第2発光部は、前記第2受光部に向けて光を出力し、
前記第2受光部は、前記磁気記憶領域が介在しない場合には、前記第2発光部からの光を受光可能であり、
前記第2受光部は、前記磁気記憶領域が介在する場合には、前記第2発光部からの光を受光不可能であり、
前記第3発光部は、前記第3受光部に向けて光を出力し、
前記第3受光部は、前記磁気記憶領域が介在しない場合には、前記第3発光部からの光を受光可能であり、
前記第3受光部は、前記磁気記憶領域が介在する場合には、前記第3発光部からの光を受光不可能である、請求項2記載のカードリーダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICチップと磁気記憶との両方を備える決済用カードを取り込んで読み込むカードリーダーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のキャッシュレス社会の進展により、様々な場所で現金による支払ではなく現金以外での支払いが増えてきている。中には、情報携帯端末のコードを用いた支払処理や決済が行われることも増えてきているが、現金以外での支払い処理としては、クレジットカードが多く使われている。従来から、クレジットカードは非常に普及しており、現金の代わりとしての支払処理やいわゆる分割払いの手段としての支払処理としても、様々な場面で使われている。
【0003】
クレジットカードは過去から多く普及しており、従来のような高額の商品購入だけでなく近年では、小規模商店やスーパーマーケットなど日常の場面でも使用される。また、ガソリンスタンド、機械式駐車場、ホテルの清算処理などのような人員削減が必要となってきている場面では、機械式精算機においてクレジットカードで支払い処理が行われるようになってきている。
【0004】
例えば、ガソリンスタンドは、人員削減やコスト削減などの必要性から、機械式精算機が設置されており、利用者はこの機械式精算機で支払い処理を行うことが増えてきている。このような機械式精算機では、利用者は、クレジットカードを用いて支払いを行う。
【0005】
また、機械式駐車場などは、そもそも無人となっており、出入り口などに機械式精算機が設置されている。利用者は、やはりこの機械式精算機で支払い処理を行う。このとき、クレジットカードを用いることも多い。
【0006】
あるいは、ホテルのチェックインやチェックアウトも自動精算機が用いられるようになってきている。チェックインやチェックアウトの手続きと合わせて、宿泊費用の清算が、この自動精算機で行われる。あるいは、チェックインの手続きだけは対面で行われて、宿泊費用の清算だけがこの自動精算機で行われることもある。
【0007】
この自動精算機での清算処理(あるいはチェックインやチェックアウトなど)も、やはりクレジットカードで行われる。
【0008】
このように、様々な場面でクレジットカードを用いた支払処理が一般的になってきている。上述したような場面だけでなく、一般的な商店や小型の商店でも、クレジットカードを用いた支払処理が行われるようになってきている。特に、外国においては、治安面や通貨への信頼性などの懸念から、日常生活の様々な場面で、クレジットカードでの支払い処理が行われている。
【0009】
一方で、クレジットカードそのものも技術的・処理システム的に進歩してきている。一つには、偽造や他人による使用を防止するために、所有者の識別子を複雑化・暗号化して、セキュリティを強化している。
【0010】
従来のクレジットカードは、所有者の識別子を磁気記憶領域に記憶していた。しかしながら、クレジットカードの盗難やスキミングで、磁気記憶領域に記憶されている所有者の識別子などの個人情報が盗難されてしまう問題が生じていた。こういった問題から、磁気記憶領域に記憶される識別子などの個人情報のセキュリティ耐性を強化したり、磁気記憶領域からの読み取りを困難にしたりするなどの技術的な改良がくわえられてきている。
【0011】
加えて、磁気記憶領域に個人情報を記憶するだけでなく、クレジットカードにICチップを搭載して、このICチップに識別子などの個人情報を記憶するようになってきている。このため、近年に発行されているクレジットカードの大半は、ICチップのみ、ICチップと磁気記憶領域の両方のいずれかのパターンで構成されている。
【0012】
このように、ICチップや磁気記憶領域のいずれかあるいは両方を備えることで、クレジットカードによる支払処理を行う場合には、ICチップからの個人情報の読み取りと、磁気記憶領域からの個人情報の読み取りの両方が必要となってきている。また、支払処理の迅速化と安全確保の観点から、磁気記憶領域からの読み取りでもICチップからの読み取りでも、正確に個人情報を読み取ることが求められている。また、偽造カードへの対応や、クレジットカードの不正使用への対応も求められている。
【0013】
また、クレジットカードによる支払処理が広まるにつれて、利用者におけるリスク管理の必要性も高まっている。例えば、クレジットカードを用いて清算機械で支払い処理をする際に、クレジットカードの個人情報が盗み取られたり漏洩したりしないような対応が求められている。
【0014】
加えて、クレジットカードなどでの清算が増加するに従い、従来のクレジットカード会社のみでなく、店舗や小売業者がクレジットカード会社との共同によりオリジナルのクレジットカードを発行することも増えている。例えば、ショッピングセンターやガソリンスタンドなどが、顧客の囲い込みを目的としてオリジナルのクレジットカードを発行することも多い。
【0015】
このような環境で、様々なクレジットカードを確実に対応して、クレジットカードからの個人情報の読み取りを行うカードリーダーが求められている。クレジットカードのカードリーダーについて、いくつかの技術が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【文献】特開2012-118893号公報
【文献】特開2014-228906号公報
【文献】特開2015-130181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
特許文献1は、磁気クレジットカードによるクレジット決済を行い、クレジット決済金額を含むクレジット決済内容が印字されたレシートを発行する決済端末10であて、前記磁気クレジットカードに磁気的に記録されているクレジットカード番号から、前記レシートに前記クレジット決済内容を印字する言語を決定する制御部3と、該制御部3にて決定された言語にて前記クレジット決済内容が印字されたレシートを発行するプリンタ部1とを有することを特徴とする決済端末を、開示する。
【0018】
特許文献1は、磁気クレジットカードの個人情報から、利用者に最適な言語を選択して利用者に提供できる技術を開示している。
【0019】
しかしながら、特許文献1は、多種多様なクレジットカードの読み取りに対応する技術や課題について開示をしていない。
【0020】
上述したように、現在では、ICチップと磁気記憶領域の両方に対応して個人情報を読み取ることが求められている。また、様々な場面で使用され、対面型で使用されたり、清算機械に組み込まれて使用されたりすることが求められている。
【0021】
これに対して、特許文献1は、多種多様なクレジットカードの読み取りに対応できず、決裁処理の前提であるクレジットカードの読み取り処理に時間を要したり、エラーを生じさせて対応が困難となったりするなどの問題を有している。
【0022】
特許文献2は、SAMチップによってICカードの認証を行うICカードリーダライタにおいて、ICカードの挿入及び排出を行うカード挿入口と、挿入されたICカードの情報の読み取り及び書き込みを行うIC接点部と、SAMチップを搭載するSAMチップ搭載部とを有し、カード挿入口を介してSAMチップを装填可能とした。SAMチップ搭載部は、カード挿入口から挿入されSAMチップが搭載されたICカードと同一形状のSAMチップホルダを維持する機構を有し、SAMチップホルダーは、ICカードの搬送機構によってSAMチップ搭載部へ搬送されるICカードリーダーライターを開示する。
【0023】
特許文献2は、ICチップの決済用カードを読み取ることができる。しかしながら、ICカードと同一形状のホルダを維持する機構によって読み取ることで、装置が大型になってしまう。さらに、ICカードリーダーライターのメンテンナンス性が悪い問題もある。小型ではないことや、構造が複雑になっているからである。
【0024】
また、多種多様なクレジットカードに対応することの必要性や解決などについて、開示をしていない。このためクレジットカードからの読み出しにおいて、エラーが生じる可能性を有している。
【0025】
特許文献3は、決済に用いられるカードが正当な者によって保有されているか否かの認証に用いられる認証情報が入力されるセキュア入力部及びセキュア入力部による入力に関連して、読取り部により読取られた媒体の認証に必要な認証情報のセキュア入力部による入力を可能とする表示を行うセキュア表示部を備えた耐タンパ性を有するセキュアな第2の情報処理部3は、決済アプリケーション及びその他の業務アプリケーションを実行する非セキュアな第1の情報処理部2と結合可能である決済端末装置を、開示する。
【0026】
特許文献3も、特許文献1、2と同様に、多種多様なクレジットカードに対応することの必要性や解決などについて、開示をしていない。このためクレジットカードからの読み出しにおいて、エラーが生じる可能性を有している。
【0027】
上述したように、顧客の囲い込みなどを目的とした、商店や小売業などからの独自のクレジットカード発行が増えている。また、クレジットカード会社であっても、顧客層や地域性などに応じたオリジナルのクレジットカードの発行が増えている。これらのクレジットカードは、オリジナリティを出すために、デザインなどに様々な工夫を行うことがある。この工夫によって、多種多様なクレジットカードが増加する。
【0028】
この多種多様なデザインなどは、クレジットカードにおいて個人情報が記憶されている磁気記憶領域やICチップからの読み出し、あるいはクレジットカードの挿入認識などの難しさを生じさせる。特許文献1~3などの従来技術は、このような多種多様なクレジットカードへの対応を考慮していない問題がある。考慮していないことで、クレジットカードの挿入確認や読み出しを正確に行えないといった問題も生じている。
【0029】
以上の課題に鑑み、多種多様な決済用カードの挿入確認や読み出しをより正確に行えるカードリーダーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0030】
上記課題に鑑み、本発明のカードリーダーは、挿入された決済用カードを搬送する搬送機構と、
決済用カードに備わる磁気記憶領域から個人情報を読み出す磁気読み出し部と、
決済用カードに備わるICチップの電気端子に導通する電極を備える電極ホルダーと、
電極ホルダーでの導通を介して、ICチップから個人情報を読み出すICチップ読み出し部と、
決済用カードの搬送および判定に係るセンサー群と、
搬送機構、磁気読み出し部、ICチップ読み出し部およびセンサー群を格納する筐体と、を備え、
センサー群は、決済用カードの磁気記憶領域に沿って配置され、
決済用カードは、磁気記憶領域以外の領域において、透明もしくは半透明である透明領域を有し、
磁気記憶領域は、磁性体が塗布されていることにより、透明もしくは半透明ではなく、
センサー群のそれぞれは、光学機構を使用しており、少なくとも磁気記憶領域においては、光学機構に基づいた透過と非透過を識別でき、
搬送機構は、決済用カードを搬送するローラーを備え、
ローラーの設置ラインと、センサー群の設置ラインとは、決済用カードの搬送方向において、異なる位置であり、
電極ホルダーは、通常状態においては、決済用カードが搬送される搬送領域の上方に位置し、
決済用カードが搬送機構により搬送されて筐体の奥側に移動するのに従い電極ホルダーを押し下げていき、
電極ホルダーが決済用カードと略平行の状態となり、
下げられた電極ホルダーの電極がICチップの電気端子と導通することによって、電極ホルダーと接続するICチップ読み出し部が、ICチップから個人情報を読み出す。
【発明の効果】
【0031】
本発明のカードリーダーは、磁気記憶領域以外において、透明もしくは半透明の領域がある決済用カードであっても、挿入後の搬送での決済用カードの検出エラーを防止することができる。また、挿入後の決済用カードの、搬送開始、搬送完了などの動作エラーを防止できる。
【0032】
また、内部に挿入されて搬送された決済用カードの適式判断におけるエラーも防止できる。透明もしくは半透明の領域のある決済用カードであっても、搬送後に適式な決済用カードであるかを判定できることで、磁気記憶領域やICチップからの個人情報の読み出しを、確実に行うことができる。
【0033】
これらの結果、決済用カードにおける読み出し処理や決済処理の正確な処理や早い処理が可能となる。さらには、決済用カードでの決済処理に対する信頼性が高まり、決済用カードの普及が促進される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の実施の形態1における決済用カードの平面図である。
図2】本発明の実施の形態1におけるカードリーダーの平面図である。
図3】本発明の実施の形態1における決済用カードが挿入された状態のカードリーダーの平面図である。
図4】本発明の実施の形態1における決済用カードが挿入された状態のカードリーダーの内部側面図である。
図5】本発明の実施の形態1における決済用カードが筐体内部に搬送された状態を示すカードリーダーの側面図である。
図6】本発明の実施の形態1における決済用カードが奥まで搬送された状態を示すカードリーダーの側面図である。
図7】本発明の実施の形態1における決済用カードが排出される状態を示すカードリーダーの側面図である。
図8】本発明の実施の形態1におけるカードリーダーの斜視図である。
図9】本発明の実施の形態3におけるICチップと電極ホルダーとの相対関係を示す模式図である。
図10】本発明の実施の形態3におけるカードリーダーの側面図である。
図11図10の状態を上から見たカードリーダーの模式図である。
図12】本発明の実施の形態3におけるカードリーダーの側面図である。
図13】本発明の実施の形態3におけるカードリーダーの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の第1の発明に係るカードリーダーは、挿入された決済用カードを搬送する搬送機構と、
決済用カードに備わる磁気記憶領域から個人情報を読み出す磁気読み出し部と、
決済用カードに備わるICチップから個人情報を読み出すICチップ読み出し部と、
決済用カードの搬送および判定に係るセンサー群と、
搬送機構、磁気読み出し部、ICチップ読み出し部およびセンサー群を格納する筐体と、を備え、
センサー群は、決済用カードの磁気記憶領域に沿って配置されている。
【0036】
この構成により、種々のデザインでの決済用カードであっても、センサー群が決済用カードの搬送や適否に関わる検出を確実に行うことができる。
【0037】
本発明の第2の発明に係るカードリーダーでは、第1の発明に加えて、決済用カードは、磁気記憶領域以外の領域において、透明もしくは半透明である透明領域を有している。
【0038】
この構成により、スケルトンスタイルなどのように、透明領域のある決済用カードであっても、センサー群が決済用カードの搬送や適否に関わる検出を確実に行うことができる。
【0039】
本発明の第3の発明に係るカードリーダーでは、第1の発明に加えて、磁気記憶領域は、磁性体が塗布されていることにより、透明もしくは半透明ではない。
【0040】
この構成により、磁気記憶領域の移動範囲と重なる位置に配置されるセンサー群は、決済用カード100の搬送に合わせて、確実に遮蔽されうる。
【0041】
本発明の第4の発明に係るカードリーダーでは、第3の発明に加えて、センサー群のそれぞれは、光学機構を使用しており、少なくとも磁気記憶領域においては、光学機構に基づいた透過と非透過を識別できる。
【0042】
この構成により、センサー群は、決済用カードの挿入、搬送などに必要となる検出を行える。
【0043】
本発明の第5の発明に係るカードリーダーでは、第1から第4のいずれかの発明に加えて、センサー群は、少なくとも第1センサー、第2センサーおよび第3センサーを含み、
第1センサー、第2センサーおよび第3センサーのそれぞれは、決済用カードが搬送機構によって搬送される際に、決済用カードの磁気記憶領域により遮蔽される位置に備わる。
【0044】
この構成により、第1センサー~第3センサーのそれぞれは、決済用カードの磁気記憶領域による遮蔽で、決済用カードの到達を検出できる。
【0045】
本発明の第6の発明に係るカードリーダーでは、第5の発明に加えて、第1センサーは、第1発光部およびこれと対になる第1受光部を有し、
第2センサーは、第2発光部およびこれと対になる第2受光部を有し、
第3センサーは、第3発光部およびこれと対になる第3受光部を有し、
第1発光部は、第1受光部に向けて光を出力し、
第1受光部は、磁気記憶領域が介在しない場合には、第1発光部からの光を受光可能であり、
第1受光部は、磁気記憶領域が介在する場合には、第1発光部からの光を受光不可能であり、
第2発光部は、第2受光部に向けて光を出力し、
第2受光部は、磁気記憶領域が介在しない場合には、第2発光部からの光を受光可能であり、
第2受光部は、磁気記憶領域が介在する場合には、第2発光部からの光を受光不可能であり、
第3発光部は、第3受光部に向けて光を出力し、
第3受光部は、磁気記憶領域が介在しない場合には、第3発光部からの光を受光可能であり、
第3受光部は、磁気記憶領域が介在する場合には、第3発光部からの光を受光不可能である。
【0046】
この構成により、光学機構を用いて、決済用カードの存否を検出することができる。結果として、決済用カードの到達状況を検出できる。
【0047】
本発明の第7の発明に係るカードリーダーでは、第5または第6の発明に加えて、筐体内部に挿入された決済用カードは、搬送機構によって搬送され、
決済用カードの搬送中に伴う、決済用カードに備わる磁気記憶領域の移動により、第1発光部と第1受光部との間、第2発光部と第2受光部との間、第3発光部と第3受光部との間のそれぞれが、磁気記憶領域により遮蔽される/遮蔽されないが生じる。
【0048】
この構成により、光学機構によるセンサーの検出反応を実現できる。
【0049】
本発明の第8の発明に係るカードリーダーでは、第7の発明に加えて、第1センサーは、
第1受光部が第1発光部からの光を受光可能な場合、決済用カードが第1センサーの位置に到達してないと判断し、
第1受光部が第1発光部からの光を受光不可能な場合、決済用カードが第1センサーの位置に到達していると判断し、
第2センサーは、
第2受光部が第2発光部からの光を受光可能な場合、決済用カードが第2センサーの位置に到達してないと判断し、
第2受光部が第2発光部からの光を受光不可能な場合、決済用カードが第2センサーの位置に到達していると判断し、
第3センサーは、
第3受光部が第3発光部からの光を受光可能な場合、決済用カードが第3センサーの位置に到達してないと判断し、
第3受光部が第3発光部からの光を受光不可能な場合、決済用カードが第3センサーの位置に到達していると判断し、
第1センサー、第2センサーおよび第3センサーのそれぞれは、決済用カードの搬送に伴って磁気記憶領域による遮蔽となる位置に備わる。
【0050】
この構成により、第1センサー~第3センサーのそれぞれは、光学機構を用いて、決済用カードが自身の位置まで到達しているかどうかを検出できる。
【0051】
本発明の第9の発明に係るカードリーダーでは、第5の発明に加えて、筐体は、決済用カードが挿入される挿入口を備え、
挿入口から筐体の奥側に向けて、第1センサー、第2センサーおよび第3センサーの順番で、それぞれが位置する。
【0052】
この構成により、それぞれの役割に対応する検出を行える。
【0053】
本発明の第10の発明に係るカードリーダーでは、第5から第9のいずれかの発明に加えて、第1センサーは、挿入口から挿入された決済用カードを検出して、搬送機構による決済用カードの筐体用内部への搬送の起動に関わり、
第2センサーは、筐体内部から決済用カードを排出する際の、決済用カードの位置検出に関わり、
第3センサーは、第1センサーと共に、筐体内部に搬送された決済用カードの適正判定に係る。
【0054】
この構成により、決済用カードに基づく読み出し処理を確実に行える。
【0055】
本発明の第11の発明に係るカードリーダーでは、第1から第10のいずれかの発明に加えて、搬送機構は、決済用カードを搬送するローラーを備え、
ローラーの設置ラインと、センサー群の設置ラインとは、決済用カードの搬送方向において、異なる位置である。
【0056】
この構成により、決済用カードの搬送によって落下等する汚れが、センサー群に付着するなどを防止できる。結果として、センサー群の動作エラーなどを防止できる。
【0057】
本発明の第12の発明に係るカードリーダーでは、第1から第11のいずれかの発明に加えて、磁気読み出し部は、決済用カードが搬送される搬送過程で、磁気領域から個人情報を読み出す。
【0058】
この構成により、カードリーダーは、決済処理に必要となる個人情報の読み出しを、磁気記憶領域からも確実に行える。
【0059】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0060】
(実施の形態1)
【0061】
(決済用カード)
図1は、本発明の実施の形態1における決済用カードの平面図である。決済用カード100は、クレジットカード、デビッドカード、プリペイドカードなど、様々な仕組みにより決済を行うために使用されるカードである。小売店などの店舗、ガソリンスタンドや駐車場のような決済が必要な場所など、様々な場所での支払い決済に使用される。
【0062】
図1の決済用カード100は、個人情報を記憶する磁気記憶領域101と個人情報を記憶するICチップ102を備える。磁気記憶領域101は、磁性体が塗布されており、色味を有している。一方で、磁気記憶領域101以外の領域において透明もしくは半透明である透明領域106を有している。勿論、ICチップ102の部分は、透明あるいは半透明でもよいし非透明でもよい。
【0063】
すなわち、磁気記憶領域101(およびICチップ102)以外の部分において、その一部あるいは全部において透明あるいは半透明である決済用カード100が使用されることがある。すなわち、決済用カード100の大部分が、透明もしくは半透明である透明領域106となっている決済用カード100が、使用されることもある。
【0064】
このような透明領域106を有する決済用カード100は、顧客を囲い込みたい発行事業体が、デザインとして採用することにより流通している。透明領域106が備わる決済用カード100は、デザイン的な差別化や顧客吸引力を有しており、顧客囲い込みの一つの魅力として発行されることがある。このような透明領域106を有する決済用カード100が発行されて流通されていることで、決済処理において使用されることがある。
【0065】
図1のような透明領域106を有する決済用カード100は、磁気記憶領域101(およびICチップ102)以外においては透明もしくは半透明であるので、カードリーダー内部において、光を用いたセンサーが使用困難となる問題がある。カードリーダーは、挿入された決済用カード100の搬送開始の検出や、決済用カード100の適否判断などを行う際に、光学センサーを用いることが多い。光学センサーは、例えば、発光部と受光部とを備える。発光部からの光を受光部が受光できるかできないかなどの違いによって、検出や判断を行うことができる。
【0066】
この光の透過あるいは非透過は、決済用カード100により光が遮蔽される必要がある。光学センサーは、カードリーダー内部に備わり、カードリーダー内部を決済用カード100が移動することで、光学センサーによる光の遮蔽や透過などが変化する。
【0067】
しかしながら、透明領域106においては、移動があって光学センサーと重複する位置に決済用カード100が到達しても、光学センサーでの光の遮蔽が生じない。このため、光学センサーによる検出や判定を行うことができない。
【0068】
あるいは、光学センサーは、発光部からの光の反射の有無を用いて、決済用カード100の位置などを検出することもある。移動した光学センサーと重複する位置に決済用カード100が到達すると、発光部からの光が反射して戻る。逆に、決済用カード100が光学センサーと重複する位置にない場合には、発光部からの光は反射しない。
【0069】
このような反射の有無で、決済用カード100の有無、位置検出や判定を行うこともある。
【0070】
しかしながら、光の反射を利用する場合でも、透明領域106においては決済用カード100が光学センサーと重複しても反射が生じない。このため、光学センサーによる決済用カード100の検出や判定を行うことができない。
【0071】
(全体概要)
【0072】
図2は、本発明の実施の形態1におけるカードリーダーの平面図である。カードリーダー1内部の状態が分かるように、カードリーダー1を上から見た状態を示している。
【0073】
カードリーダー1は、筐体2、搬送機構3、磁気読み出し部5、電極ホルダー6、ICチップ読み出し部7、センサー群9を備える。また、決済用カード100が搬送される搬送領域4、搬送領域4に挿入するための挿入口45、電極ホルダー6と共に使用される検知部8を、備える。
【0074】
筐体2は、搬送機構3、磁気読み出し部5、電極ホルダー6、センサー群9などの決済用カード100からの読み出しに必要となる各要素を格納する。また、カードリーダー1としての使用を可能とする外形を作る。筐体2は、カードリーダー1が独立して使用される場合に対応した形状や外形であってもよいし、カードリーダー1が決済用装置に組み込まれる場合に対応した形状や外形であってもよい。
【0075】
また、図2では、筐体2内部の要素が分かるように示しているが、実際の筐体2は、内部を格納できるように全体を覆う態様を有している。すなわち、全体を格納するケースとしての役割を、筐体2は持っている。
【0076】
筐体2には、決済用カード100の挿入と排出の出入り口となる挿入口45が備わっている。図2では、この挿入口45から決済用カード100が挿入される状態が示されている。挿入口45から挿入された決済用カード100は、搬送領域4内部を搬送される。
【0077】
搬送機構3は、挿入された決済用カード100を搬送領域4において搬送する。このとき、搬送機構3は、ローラー31を有している。ローラー31は、モーター32によって回転駆動して、この回転駆動によって、搬送領域4において決済用カード100を搬送する。この搬送においては、決済用カード100を奥側(挿入口45と逆側)に、搬送する。反対に、決済用カード100が挿入口45から外部に排出される際には、搬送機構3は、決済用カード100を、奥側から挿入口45に向けて搬送する。搬送領域4は、決済用カード100が搬送される領域である。決済用カード100の形状や厚みに合わせた形態を有していればよい。
【0078】
磁気読み出し部5は、決済用カード100の磁気記憶領域101から個人情報を読み出す。磁気記憶領域101は、磁気により個人情報を記憶する。磁気記憶領域101は、決済用カード100の一部に一定の長さと面積をもって備わっている。図1に示されるように、磁気記憶領域101は、決済用カード100の長手方向に沿って備わっている。これは、決済用カードにおける規格などで決まっている。
【0079】
磁気読み出し部5は、この磁気記憶領域101に合わせた位置に備わり、磁気記憶領域101に記憶されている個人情報を読み出す。決済用カード100が挿入されて奥側に向けて挿入される際に、磁気読み出し部5が磁気記憶領域101に接触する。搬送に合わせて接触および接触状態での決済用カード100の移動に合わせて、接触状態を継続する。この接触状態の継続により、磁気読み出し部5は、磁気記憶領域101から個人情報を読み出す。
【0080】
電極ホルダー6は、ICチップ102の電気端子103に導通する電極61を備える。電極ホルダー6は、筐体2内部に備わる。また、通常状態においては、電極ホルダー6は、決済用カード100が搬送される搬送領域4とは、その高さ方向で異なる位置に備わる。
【0081】
後述するように、決済用カード100が搬送されて奥側に移動するのに従い、電極ホルダー6を押し下げていく。下げられた電極ホルダー6は、ICチップ102の電気端子103と導通して、IC電極ホルダー6と接続するICチップ読み出し部7が、ICチップ102から個人情報を読み出す。
【0082】
センサー群9は、決済用カード100の搬送および判定を行う。センサー群9は、複数のセンサーを備える。この複数のセンサーは、挿入口45から挿入された決済用カードを検出して搬送機構3による搬送を開始することを検出したり、決済用カード100の適否を検出したりする。
【0083】
センサー群9は、筐体2内部において、決済用カード100の磁気記憶領域101に沿って配置されている。すなわち、決済用カード100が筐体2内部の搬送領域4を搬送される際において、磁気記憶領域101に遮蔽される位置に配置されている。
【0084】
ここで、図2では一例として、センサー群9は、第1センサー91、第2センサー92、第3センサー93を有する。第1センサー91、第2センサー92、第3センサー93は、決済用カード100が搬送される場合に、磁気記憶領域101に沿った位置にある。すなわち、図3に示されるように、決済用カード100が搬送されることにより、磁気記憶領域101に、第1センサー91、第2センサー92、第2センサー93のそれぞれは、磁気記憶領域101に遮蔽される位置に備わっている。
【0085】
図3は、本発明の実施の形態1における決済用カードが挿入された状態のカードリーダーの正面図である。決済用カード100の全体が搬送領域4を搬送されて、筐体2内部に入っている状態が、図3に示されている。決済用カード100が搬送領域4に入っていることで、磁気記憶領域101は、第1センサー91、第2センサー92および第3センサー93を隠した状態となっている(遮蔽した状態となっている)。
【0086】
ここで、決済用カード100は、透明領域106を有している。このため、磁気記憶領域101以外(またICチップ102以外)の少なくとも一部において、少なくとも透明もしくは半透明である。このため、仮に透明もしくは半透明の部分が第1センサー91~第3センサー93と重なるは位置であると、上述のように、第1センサー91~第3センサー93のそれぞれが、光学機構による検出等を行えない問題がある。
【0087】
これに対して、図2図3のように、決済用カード100が筐体2内部に挿入されてもセンサー群9に含まれる第1センサー91~第3センサー93のそれぞれは、磁気記憶領域101に重なる位置に備わる。磁気記憶領域101は、磁性体が塗布されているので、決済用カード100のデザインなどに関わらず、非透明である(透明や半透明ではない)。いわゆる、透明素材で作られたスケルトンデザインの決済用カードであっても、磁気記憶領域101は、非透明である。
【0088】
このため、スケルトンデザインなどの決済用カードであっても、磁気記憶領域101にセンサー群9が重複する配置であることで、センサー群9が光学機構での検出ができなくなることが無い。
【0089】
センサー群9は、光学機構を使用している。図2図3などでは、第1センサー91、第2センサー92、第3センサー93を含む。図2から図3の状態変化で分かる通り、第1センサー91、第2センサー92、第3センサー93のそれぞれは、決済用カード100が搬送機構3によって搬送される際に、磁気記憶領域101により遮蔽される位置に備わっている。
【0090】
ここで、第1センサー91、第2センサー92、第3センサー93のそれぞれは、光学機構を有している。この光学機構は、光の発光と受光、あるいは光の反射と非反射を用いる。このような光学機構によって、第1センサー91、第2センサー92、第3センサー93のそれぞれは、少なくとも磁気記憶領域101においては透過や非透過を識別できる。この識別は、言い換えると、識別に基づいて決済用カード100の、センサーのそれぞれの位置での存在の有無(到達の有無)を、検出することができる。
【0091】
このように、筐体2内部に挿入されて搬送された決済用カード100は、決済に必要となる個人情報の読み出しなどが行われる。搬送の過程で、磁気読み出し部5と磁気記憶領域101とが接触しながら決済用カード100が移動する。この移動しながらの接触により、磁気読み出し部5は、磁気記憶領域101に記憶されている個人情報を、読み出す。
【0092】
また、決済用カード100が搬送領域4を奥側まで搬送されることで、電極ホルダー6が押し下げられる。電極ホルダー6は、ICチップ102の電気端子103と導通する電極が備わっている。この電気端子103と電極との接触による導通で、電極ホルダー6と接続するICチップ読み出し部7は、ICチップから個人情報を読み出せる。
【0093】
このように、カードリーダー1は、磁気記憶領域101およびICチップ102のいずれからでも、決済に必要となる個人情報を読み出すことができる。挿入される決済用カード100が磁気記憶領域101のみしか備えていない場合でも、磁気記憶領域101から決済に必要となる個人情報を読み出せる。勿論、磁気記憶領域101とICチップ102の両方を備える決済用カード100から、個人情報を読み出すことも確実に行える。
【0094】
(カード検出の動作説明)
決済用カード100が挿入口45から挿入されて、センサー群9により必要な検出をされる動作について説明する。図4図6を用いて説明する。図4図6では、種々の決済用カード100が用いられる。この決済用カード100は、上述したスケルトンデザインのように、透明領域106がある決済用カード100でもよい。この場合でも磁気記憶領域101は、非透明である。
【0095】
図4は、本発明の実施の形態1における決済用カードが挿入された状態のカードリーダーの内部側面図である。カードリーダー1の内部要素が分かるように、透視された状態で示している。図4は、決済用カード100が、手作業などによって挿入口45から挿入された段階での状態を示している。挿入口45から搬送領域4の前方にまで、決済用カード100が押し込まれている。
【0096】
この押し込まれている状態で、決済用カード100は、第1センサー91に決済用カード100が到達している。第1センサー91は、第1発光部911とこれに対になる第1受光部912を備える。第1発光部911と第1受光部912とは、決済用カード100をはさんで設置されている。すなわち、図4の状態での上下の位置関係において、決済用カードの下側と上側との位置関係に、第1発光部911と第1受光部912とが設置されている。
【0097】
第1発光部911は、第1受光部912に向けて光を出力する。第1受光部912は、第1発光部911と第1受光部912との間に遮蔽物が無ければ、第1発光部911からの光を受光できる。遮蔽物がある場合には、第1受光部912は、第1発光部911からの光を受光できない。
【0098】
決済用カード100が挿入されると、図4のように、第1センサー91にまで到達する。すなわち、決済用カード100が、第1発光部911と第1受光部912との間を遮蔽する。このとき、決済用カード100が透明領域106を備えるとしても、規格で決まった位置には、非透明の磁気記憶領域101が備わっている。第1発光部911と第1受光部912とは、磁気記憶領域101によって遮蔽される。
【0099】
このように、第1受光部912は、磁気記憶領域101が間に介在しない場合には、第1発光部911からの光を受光可能である。逆に、第1受光部912は、磁気記憶領域101が間に介在する場合には、第1発光部911からの光を受光不可能である。
【0100】
第1センサー91は、第1受光部912が第1発光部911からの光を受光できる場合には、決済用カード100が、第1センサー91まで到達していないと判定できる。逆に、第1センサー91は、第1受光部912が第1発光部911からの光を受光できる場合には、決済用カード100が、第1センサー91まで到達していると判定できる。
【0101】
図4は、この状態であって、第1センサー91は、決済用カード100が自身の位置にまで到達していることを判定できる。
【0102】
図5は、本発明の実施の形態1における決済用カードが筐体内部に搬送された状態を示すカードリーダーの側面図である。図4の状態から、搬送機構3によって決済用カード100が、途中まで搬送された後の状態を示している。すなわち、第2センサー92まで決済用カード100が到達している状態である。
【0103】
第2センサー92は、第2発光部921とこれに対になる第2受光部922とを備える。第2発光部921とこれに対になる第2受光部922を備える。第2発光部921と第2受光部922とは、決済用カード100をはさんで設置されている。すなわち、図4図5の状態での上下の位置関係において、決済用カードの下側と上側との位置関係に、第2発光部921と第2受光部922とが設置されている。
【0104】
第2発光部921は、第2受光部922に向けて光を出力する。第2受光部922は、第2発光部921と第2受光部922との間に遮蔽物が無ければ、第2発光部921からの光を受光できる。遮蔽物がある場合には、第2受光部922は、第2発光部921からの光を受光できない。
【0105】
決済用カード100が挿入されると、図5のように、第2センサー92にまで到達する。すなわち、決済用カード100が、第2発光部921と第2受光部922との間を遮蔽する。このとき、決済用カード100が透明領域106を備えるとしても、規格で決まった位置には、非透明の磁気記憶領域101が備わっている。第2発光部921と第2受光部922とは、磁気記憶領域101によって遮蔽される。
【0106】
このように、第2受光部922は、磁気記憶領域101が間に介在しない場合には、第2発光部921からの光を受光可能である。逆に、第2受光部922は、磁気記憶領域101が間に介在する場合には、第2発光部921からの光を受光不可能である。
【0107】
第2センサー92は、第2受光部922が第2発光部921からの光を受光できる場合には、決済用カード100が、第2センサー92まで到達していないと判定できる。逆に、第2センサー92は、第2受光部922が第2発光部921からの光を受光できる場合には、決済用カード100が、第2センサー92まで到達していると判定できる。すなわち、図5の状態を、第2センサー92が検出できる。
【0108】
図6は、本発明の実施の形態1における決済用カードが奥まで搬送された状態を示すカードリーダーの側面図である。図5の状態から、搬送機構3によって決済用カード100が、奥まで搬送された後の状態を示している。すなわち、第3センサー93まで決済用カード100が到達している状態である。
【0109】
第3センサー93は、第3発光部931とこれに対になる第3受光部932とを備える。第3発光部931とこれに対になる第3受光部932を備える。第3発光部931と第3受光部932とは、決済用カード100をはさんで設置されている。すなわち、図6の状態での上下の位置関係において、決済用カードの下側と上側との位置関係に、第3発光部931と第3受光部932とが設置されている。
【0110】
第3発光部931は、第3受光部932に向けて光を出力する。第3受光部932は、第3発光部931と第3受光部932との間に遮蔽物が無ければ、第3発光部931からの光を受光できる。遮蔽物がある場合には、第3受光部932は、第3発光部931からの光を受光できない。
【0111】
決済用カード100が挿入されると、図6のように、第3センサー93にまで到達する。すなわち、決済用カード100が、第3発光部931と第3受光部932との間を遮蔽する。このとき、決済用カード100が透明領域106を備えるとしても、規格で決まった位置には、非透明の磁気記憶領域101が備わっている。第3発光部931と第3受光部932とは、磁気記憶領域101によって遮蔽される。
【0112】
このように、第3受光部932は、磁気記憶領域101が間に介在しない場合には、第3発光部931からの光を受光可能である。逆に、第3受光部932は、磁気記憶領域101が間に介在する場合には、第3発光部931からの光を受光不可能である。
【0113】
第3センサー93は、第3受光部932が第3発光部931からの光を受光できる場合には、決済用カード100が、第3センサー93まで到達していないと判定できる。逆に、第3センサー93は、第3受光部932が第3発光部931からの光を受光できる場合には、決済用カード100が、第3センサー93まで到達していると判定できる。すなわち、図6の状態を、第3センサー93が検出できる。
【0114】
このように、第1センサー91~第3センサー93のそれぞれは、決済用カード100が搬送領域4を搬送される際に、磁気記憶領域101と重複する。この重複により、決済用カード100のデザインなどにより、決済用カード100が透明領域106を有する場合でも、第1センサー91~第3センサー93のそれぞれは、光学機構により決済用カード100の到達を検出できる。
【0115】
これは、決済用カード100が挿入口45から挿入されて搬送される方向での到達を検出できること、奥まで搬送された決済用カード100が排出される方向での到達を検出できることの両方を含んでいる。
【0116】
図7は、本発明の実施の形態1における決済用カードが排出される状態を示すカードリーダーの側面図である。図7は、図6の後、決済用カード100からの読み出しが終了して、決済用カード100が排出される状態を示している。搬送機構3は、個人情報の読み出しや決済処理が終わると、決済用カード100を排出する。図7は、この排出途中段階を示している。
【0117】
図7では、決済用カード100が、第2センサー92を通過した後が示されている。この状態では、第3センサー93および第2センサー92では、受光部での発光部からの受光が可能である。磁気記憶領域101により発光部と受光部との間が遮蔽されていないからである。このため、第2センサー92は、第2センサー92の位置まで決済用カード100が戻ったことを検出できる。
【0118】
以上のように、第1受光部912が第1発光部911からの光を受光可能な場合、決済用カード100が第1センサー91の位置に到達していないと判断され、第1受光部912が第1発光部911からの光を受光可能な場合、決済用カード100が第1センサー91の位置に到達している判断される。
【0119】
同様に、第2受光部922が第2発光部921からの光を受光可能な場合、決済用カード100が第2センサー92の位置に到達していないと判断され、第2受光部922が第2発光部921からの光を受光可能な場合、決済用カード100が第2センサー92の位置に到達している判断される。
【0120】
同様に、第3受光部932が第3発光部931からの光を受光可能な場合、決済用カード100が第3センサー93の位置に到達していないと判断され、第3受光部932が第3発光部931からの光を受光可能な場合、決済用カード100が第3センサー93の位置に到達している判断される。これらは、決済用カード100の磁気記憶領域101によって、発光部と受光部との間が遮蔽される/遮蔽されないが生じるからである。
【0121】
(センサーとカード搬送などの制御)
図には、示していないが、第1センサー91~第3センサー93までの検出結果を受けて、種々の制御を行う制御部が、カードリーダー1に備わっている。制御部は、搬送機構3、磁気読み出し部5、ICチップ読み出し部7などを制御する。制御部による制御と、第1センター91~第3センサー93での検出とは連動している。
【0122】
この連動により、第1センサー91~第3センサー93での決済用カード検出を起点として、制御部は、種々の動作処理を制御できる。
【0123】
まず、決済用カード100は、図8のように挿入口45から挿入される。図8は、本発明の実施の形態1におけるカードリーダーの斜視図である。決済用カード100が、挿入口45から挿入されている状態を示している。図8は、図4と同じ状態である。すなわち、挿入口45から、決済用カード100が手作業などで挿入されて、第1センサー91の場所まで到達している状態である。
【0124】
筐体2は、図8に示されるように挿入口45を備える。挿入口45は、決済用カード100の挿入を受け付ける要素である。図6などに示されるように、挿入口45から、筐体2の奥側に向けて、第1センサー91、第2センサー92、第3センサー93の順番で、それぞれが位置する。この順番により、決済用カード100の挿入から搬送に至る過程で、決済用カード100は、第1センサー91、第2センサー92、第3センサー93の順番で遮蔽していく。
【0125】
挿入口45から挿入された決済用カード100が第1センサー91に到達している。既述したように、第1受光部912が第1発光部911からの光を受光できないことで、第1センサー91は、決済用カード100が第1センサー91の位置に到達していることを検出できる。カードリーダー1は、挿入口45から手作業などで決済用カード100が挿入されると、第1センサー91の位置まで決済用カード100が到達する構成を持っている。このため、第1センサー91が、決済用カード100の到達を検出するということは、カードリーダー1に決済用カード100が挿入されたことを検出することである。
【0126】
第1センサー91は、決済用カード100を検出することで、搬送機構3による決済用カード100の筐体2内部への(搬送領域4内部への)搬送の起動に関わる。第1センサー91は、決済用カード100の第1センサー91への位置への到達を検出する。第1センサー91は、この検出結果を、制御部へ出力する。
【0127】
制御部は、検出結果を受けて、搬送機構3を起動して搬送開始させる。搬送機構3は、モーター32とローラー31を駆動させることで、決済用カード100を奥側に向けて搬送する。第1センサー91の位置まで到達していると、ローラー31が、決済用カード100に接触圧力を加えて、決済用カード100を搬送する。このように、第1センサー91は、磁気記憶領域101により、決済用カード100が透明領域106を有している場合でも、確実に決済用カード100を検出できる。これにより、挿入された決済用カード100の搬送開始が確実に行える。
【0128】
第2センサー92は、筐体2内部から決済用カード100が排出される際の、決済用カード100の位置検出に関わる。図7のように決済用カード100からの読み出し処理が終わると、決済用カード100は排出方向に搬送される。第2センサー92は、この排出方向に搬送される決済用カード100が第2センサー92を通過すると、これを制御部に出力する。
【0129】
制御部は、搬送機構3による排出搬送を継続させて、第1センサー91までの最終的な排出搬送のタイミングを演算する。演算結果に応じて、決済用カード100の排出を完了させる。制御部は、第2センサー92を通過してどれだけの送り量(例えば、時間あるいはモーター32の回転数などに基づく)に基づいて、決済用カード100の排出量を決定する。第2センサー92を通過することを検出できることで、排出量を制御した排出動作を実現できることに繋がっている。
【0130】
第3センサー93は、第1センサー91と共に決済用カード100の適正判定に関わる。第1センサー91が、決済用カード100の到達を検出してから、第3センサー93が決済用カード100の到達を検出するまでの搬送時間を、制御部は、演算できる。搬送機構3は、モーター32などを用いるので、モーター32の回転数などから、両方のセンサーの通過必要時間を演算できる。これにより、決済用カード100の長さを算出できる。この算出された長さに基づいて、決済用カード100が、規格に対応したものであるかを、判定できる。
【0131】
あるいは、第3センサー93が決済用カード100の到達を検出したタイミングで、第1センサー91が決済用カード100の存在を検出している状態であれば、挿入された決済用カード100は、規格に対応した適切なものであると判定できる。逆に、第3センサー93が決済用カード100の到達を検出したタイミングで、第1センサー91が決済用カード100を検出していない場合には、決済用カード100の長さが規格に対して不足している。この場合には、挿入された決済用カード100は規格に対応しない不適切なものであると判定できる。
【0132】
このように、第1センサー91~第3センサー93のそれぞれは、カードリーダー1における処理において必要な役割を持っている。これらの必要な役割を有する第1センサー91~第3センサー93のそれぞれは、透明領域106を有する決済用カード100であっても、磁気記憶領域101に遮蔽される位置に並んでいる。この配置によって、第1センサー91~第3センサー93のそれぞれは、光学機構による検出動作を確実に行うことができる。
【0133】
以上のように、実施の形態1におけるカードリーダー1は、デザインにより透明領域106のある決済用カード100でも、確実に読み出し処理および決済処理を実現できる。
【0134】
(実施の形態2)
【0135】
実施の形態2について説明する。
【0136】
図3に示されるように、カードリーダー1は、センサー群9と搬送機構3を備える。搬送機構3は、ローラー31を備える。ローラー31は、決済用カード100に接触しながら回転して、決済用カード100を搬送する。すなわち、決済用カード100に回転圧力を直接的に付与して、決済用カード100を搬送する(筐体2内部への移動および筐体2から外部への排出と両方)。
【0137】
このとき、ローラー31は、決済用カード100が挿入されるたびに搬送動作を行う。決済用カード100には、汚れが付着していたり、決済用カード100が挿入される際に挿入口45から汚れが搬送領域4内部に入ったりすることがある。このような状態で、ローラー31は、決済用カード100に直接的に接触して回転動作を行う。このため、決済用カード100に付着している汚れや、取りこまれた汚れを、決済用カード100表面からこすり落とすようなことも生じる。
【0138】
このため、ローラー31の周辺には、汚れが落ちたり着いたりしてしまうこともあり得る。
【0139】
図3に示されるように、ローラー31の設置ラインと、センサー群9の設置ラインとは、決済用カード100の搬送方向において異なる位置にある、すなわち、搬送方向に見て、ローラー31を延伸させる線(ライン)と、センサー群9を繋ぐ線(ライン)とは、異なる位置にある。これにより、センサー群9に、ローラー31により落とされる汚れが付着しにくくなるメリットがある。
【0140】
ローラー31が、仮に決済用カード100に付着した汚れを落としたとしても、センサー群9とは異なる位置関係で落とす。これにより、センサー群9に汚れが付着したり近づいたりしにくくなる。センサー群9が備える第1センサー91、第2センサー92、第3センサー93は、実施の形態1で説明したように光学機構を用いることが多い。汚れは、光学機構の動作に好ましくない。
【0141】
ローラー31の設置ラインとセンサー群9の設置ラインとが異なる位置であることは、センサー群9での検出動作の精度維持に効果を奏する。
【0142】
(実施の形態3)
【0143】
次に、実施の形態3について説明する。
【0144】
(磁気読み出し部)
磁気読み出し部5は、決済用カード100が搬送される搬送過程で、磁気記憶領域101から個人情報を読み出す。
【0145】
磁気読み出し部5は、磁気記憶領域101に合わせた位置に備わり、磁気記憶領域101に記憶されている個人情報を読み出す。決済用カード100が挿入されて奥側に向けて搬送される際に、磁気読み出し部5が磁気記憶領域101に接触する。搬送に合わせて接触および接触状態での決済用カード100の移動に合わせて、接触状態を継続する。この接触状態の継続により、磁気読み出し部5は、磁気記憶領域101から個人情報を読み出す。
【0146】
(ICチップ読み出し部)
図9は、本発明の実施の形態3におけるICチップと電極ホルダーとの相対関係を示す模式図である。ICチップ102は、電気端子103を備える。これに対応して、電極ホルダー6は、電極61を備える。電極61が電気端子103と接触することで、電極61と電気端子103とが導通する。この導通によって、電極ホルダー6を介して、ICチップ読み出し部7は、ICチップ102から個人情報を読み出すことができる。
【0147】
このとき、ICチップ読み出し部7そのものあるいはこれに繋がる電子要素(例えば、プロセッサ等)からの指示信号により、電極61を介して、ICチップ102に記憶されている個人情報を読み出す。
【0148】
この読み出しにより、決済用カード100による決済を実行することができるようになる。
【0149】
電極ホルダー6は、決済用カード100が搬送される前では、搬送領域4において決済用カード100の搬送される高さと異なる高さにある。この状態から、決済用カード100が奥側に搬送されるに従い、決済用カード100に押し下げられて電極ホルダー6がICチップ102に接触するようになる。図10図13を用いて説明する。
【0150】
図10は、本発明の実施の形態3におけるカードリーダーの側面図である。内部の要素が分かるように示している。図10は、決済用カード100が挿入されて搬送領域4を搬送され始めている状態を示している。図11は、図10の状態を上から見たカードリーダーの模式図である。図10のように、決済用カード100が挿入されて搬送開始された状態を示している。
【0151】
図12は、本発明の実施の形態3におけるカードリーダーの側面図である。内部の要素が分かるように示している。図12は、図10の後で、決済用カード100の搬送がかなり奥側まで進んでいる状態を示している。また、決済用カード100が、電極ホルダー6を押し下げ始めている状態を示している。
【0152】
図13は、本発明の実施の形態3におけるカードリーダーの側面図である。内部の要素が分かるように示している。図13は、図11の後で、決済用カード100の搬送が奥側まで到達して、電極ホルダー6を押し下げて、電極ホルダー6がICチップ102と導通している状態を示している。
【0153】
図10図13のように、決済用カード100が挿入されて搬送領域4を奥側に搬送されていくに従い、決済用カード100が電極ホルダー6を押し下げていく。押し下げられて、電極ホルダー6は次第に搬送領域4の空間まで下がってくる。この下がることによって、電極ホルダー6の底面(決済用カード100た対向する面)にある電極61が、ICチップ102の電気端子103に近づくようになる。さらに進むと、電極61と電気端子103とが接触する。接触圧力が十分となると、導通する。この導通により、ICチップ読み出し部7は、ICチップ102から個人情報を読み出すことができる。
【0154】
決済用カード100が挿入された図10の状態では、決済用カード100はまだ電極ホルダー6の位置に到達していないので、電極ホルダー6は、搬送領域4の上側の位置にある。この位置のままでは、電極ホルダー6は、決済用カード100との接触はない。図11にも示されるが、決済用カード100が、まだ挿入されただけの状態なので、決済用カード100は、電極ホルダー6の位置変化に影響を及ぼさない。
【0155】
次に、図12の状態に進む。決済用カード100が搬送機構3によりさらに搬送される。搬送領域4を、決済用カード100が搬送される。電極ホルダー6は、決済用カード100の先端を受ける構造部分を有する。この構造部分が決済用カード100を受ける。こうして、図12のように、電極ホルダー6が下に下がり始める。搬送により、決済用カード100は、そのまま電極ホルダー6を移動させる。
【0156】
さらに決済用カード100の搬送が進むと、図13のような状態となる。電極ホルダー6がさらに押し下げられる。結果として、電極ホルダー6が、決済用カード100にまで下がり、さらに筐体2内部の奥側に移動する。すなわち、電極ホルダー6は、下降しつつ前方の検知部8に向けた方向にも移動する。下がりつつ押し出される状態である。
【0157】
このように押し下げれていくと、電極ホルダー6は、その底面に備える電極61を、ICチップの電気端子103に近づけて接触させる。次第に、電極ホルダー6は、決済用カード100と略平行の状態となっていく。図13では、この略平行状態を示している。
【0158】
電極ホルダー6が決済用カード100と略平行の状態となることで、電極ホルダー6の底面に備わる電極61も、ICチップの表面と略平行になる。この略平行状態となることで、電極61は、ICチップ102の電気端子103に略平行に接触する。この略平行の接触により、電極61と電気端子103とは、確実に導通状態となる。
【0159】
この状態で、電極ホルダー6は、第1位置41に到達する。第1位置41には、検知部8が備わっている。電極ホルダー6は、押し出されることにより、この検知部8の位置にまで到達する。
【0160】
検知部8は、第1位置41に、電極ホルダー6が到達したかどうかを検知できる。検知部8は、電極ホルダー6が検知部6のある第1位置41に到達していない場合には、未検知として判断する。到達している場合には、検知として判断する。図13では、電極ホルダー6が、検知部8に到達している。検知部8は、電極ホルダー6が到達していることを検出できる。また、この状態は、図13に示すように、電極ホルダー6が必要な位置にまで押し下げられている。この状態により、電極ホルダー6の電極61は、ICチップ102の電気端子103と接触して導通状態にある。
【0161】
検知部8は、電極ホルダー6が第1位置41に到達した検知結果を、ICチップ読み出し部7に通知する。あるいはICチップ読み出し部7を制御する電子要素などに通知する。電極ホルダー6が第1位置41に到達していることは、上述の通り、電極ホルダー6の電極61とICチップ102の電気端子103とが導通のための接触をしている状態である。
【0162】
電極ホルダー6が、押し下げられる過程で、電極ホルダー6の底面がICチップ102に近づいていく。この近付いていく過程で、電極61はICチップ102の電気端子103に対応する位置において接触するように構成されている。これは、電極ホルダー6の位置と、移動経路によって実現できる。ここで、電極ホルダー6が第1位置41にまで到達する状態は、電気端子103に電極61が確実に導通する状態で接触している状態である。
【0163】
検知部8が、電極ホルダー6が第1位置41に到達していることを検知することは、電極ホルダー6の電極61が、ICチップ102から読み出し可能となった状態を示している。この検知結果がICチップ読み出し部7に通知されることで、ICチップ読み出し部7は、ICチップ102から個人情報を読み出すことができるようになる。
【0164】
電極61と電気端子103とが導通しているので、ICチップ読み出し部7は、この導通を介して、ICチップ102から個人情報を読み出すことができる。このように、ICチップ102からも個人情報を読み出して、決済用カード100による決済処理ができる。
【0165】
(信号線)
検知部8からの検知結果を電気的に出力する出力信号線と、ICチップ読み出し部7からの読み出し結果を電気的に出力する読み出し信号線とは、物理的に別体であることも好適である。
【0166】
検知部8およびICチップ読み出し部7は、それぞれ検知結果や読み出し結果を、電気的信号で処理する。また電気的信号を出力する。それぞれ、カードリーダー1の制御部であったり、決裁処理装置の制御部であったりに対して、電気信号を出力する。この電気信号を出力する電気信号線のそれぞれが、別体であることが好適である。
【0167】
これらの電気信号線が別体であることで、仮に読み出しエラーが生じた場合に、検知部8での検知エラーに原因があるのか、電極ホルダーの検知部8への移動に原因があるのか、ICチップ読み出し部7での読み出しに原因があるのか(あるいは電極61と電気端子103との導通に問題があるのか)を、区別できる。例えば、カードリーダー1の制御部や決済装置の制御部が、これを区別できるようになる。
【0168】
この区別ができることで、読み出しエラーが生じた場合の対応が容易に判断できる。この容易な判断により、読み出しエラー時に対応すべき処理が行える。
【0169】
なお、実施の形態1~3で説明したカードリーダーは、一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲を排除するものではない。
【符号の説明】
【0170】
1 カードリーダー
2 筐体
3 搬送機構
31 ローラー
4 搬送領域
41 第1位置
42 第2位置
45 挿入口
5 磁気読み出し部
6 電極ホルダー
61 電極
63 凸部
7 ICチップ読み出し部
8 検知部
83 凹部
9 センサー群
91 第1センサー
92 第2センサー
93 第3センサー
100 決済用カード
101 磁気記憶領域
102 ICチップ
103 電気端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13