IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイリスオーヤマ株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】検出デバイスおよび検出システム
(51)【国際特許分類】
   G01S 17/87 20200101AFI20241128BHJP
   G01S 17/04 20200101ALI20241128BHJP
   G01S 17/58 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
G01S17/87
G01S17/04
G01S17/58
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020186977
(22)【出願日】2020-11-10
(65)【公開番号】P2022076565
(43)【公開日】2022-05-20
【審査請求日】2023-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】稲村 公孝
(72)【発明者】
【氏名】香川 修志
(72)【発明者】
【氏名】小林 瑞樹
(72)【発明者】
【氏名】狩野 敬太
(72)【発明者】
【氏名】大久保 恒良
【審査官】藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-106329(JP,A)
【文献】特開平10-079012(JP,A)
【文献】特表2020-518046(JP,A)
【文献】特開2012-212407(JP,A)
【文献】特開2009-282806(JP,A)
【文献】特開2011-047772(JP,A)
【文献】中国実用新案第206248039(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48- 7/51
G01S 17/00-17/95
G01C 3/00- 3/32
G01P 13/04
G06M 7/00
G01V 8/00
G08G 1/015
G08G 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出領域を第1方向に沿って通過する検出対象の有無および移動方向を検出する検出デバイスであって、
前記第1方向と直角である第2方向に対して、前記第1方向および前記第2方向と直角である第3方向に見て、第1角度をなす方向に光を発する発光部および前記検出対象によって反射された光を受光する受光部を有する第1センサと、
前記第2方向に対して、前記第3方向に見て、前記第1角度とは異なる大きさである第2角度をなす方向に光を発する発光部および前記検出対象によって反射された光を受光する受光部を有する第2センサと、
を備え
前記第1センサを支持する第1支持部と、
前記第2センサを支持する第2支持部と、
前記第1支持部および前記第2支持部を、前記第1方向および前記第2方向に対して交差する方向に延びる第1中心軸周りに互いに相対回動可能に接続する第1接続部と、
をさらに備える、検出デバイス。
【請求項2】
前記第1センサおよび前記第2センサの各々の前記発光部は、前記第2方向に対して、前記第1方向に見て第3角度をなす方向に光を発する、請求項に記載の検出デバイス。
【請求項3】
前記第1センサおよび前記第2センサの出力信号を処理する演算部と、
前記演算部が収容された筐体と、
前記第1支持部および前記第2支持部を、前記第2方向に延びる第2中心軸周りに回動可能に前記筐体に接続する第2接続部と、
をさらに備える、請求項に記載の検出デバイス。
【請求項4】
検出領域を挟んで前記第2方向の両側に分かれて配置された、請求項1ないしのいずれかに記載の2つの検出デバイスを備える検出システムであって、
前記2つの検出デバイスは、前記検出領域に対して前記第3方向の一方側に偏って配置されており、
前記2つの検出デバイスの前記第1センサおよび前記第2センサの前記発光部は、前記各検出デバイスから前記第2方向に進行するほど前記第3方向の他方側に向かって傾斜した方向に光を発する、検出システム。
【請求項5】
2つの検出デバイスを備える検出システムであって、
前記各検出デバイスは、検出領域を第1方向に沿って通過する検出対象の有無および移動方向を検出する検出デバイスであって、
前記第1方向と直角である第2方向に対して、前記第1方向および前記第2方向と直角である第3方向に見て、第1角度をなす方向に光を発する発光部および前記検出対象によって反射された光を受光する受光部を有する第1センサと、
前記第2方向に対して、前記第3方向に見て、前記第1角度とは異なる大きさである第2角度をなす方向に光を発する発光部および前記検出対象によって反射された光を受光する受光部を有する第2センサと、
を備え、
前記2つの検出デバイスは、前記検出領域を挟んで前記第2方向の両側に分かれて配置されており、且つ、前記検出領域に対して前記第3方向の一方側に偏って配置されており、
前記2つの検出デバイスの前記第1センサおよび前記第2センサの前記発光部は、前記各検出デバイスから前記第2方向に進行するほど前記第3方向の他方側に向かって傾斜した方向に光を発する、検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出デバイスおよび検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
検出対象の有無を検出するために光学的手段を用いる検出デバイスが、種々に提案されている。特許文献1には、従来の検出デバイスの一例が開示されている。同文献に開示された検出デバイスは、レーザ光を利用した2つの飛行時間測距センサを有する。2つの飛行時間測距センサは、検出対象である通行人の進行方向に互いに離間して配置されており、各々のレーザ光が進行方向と直角である照射方向に発せられる。2つの飛行時間測距センサの検出結果に基づいて、通行人の有無や通行人の移動方向を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2020-518046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、2人の通行人がレーザ光の照射方向に並んで通過する場合、1人の通行人が通過したのか、2人またはそれ以上の通行人が通過したのかが、上記の検出デバイスでは検出することができない。このため、検出デバイスの検出結果に基づいて、通過した通行人の人数をカウントすると、検出された人数に誤差が生じるおそれがある。
【0005】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、より正確に検出対象を検出することが可能な検出デバイスおよび検出システムを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の側面によって提供される検出デバイスは、検出領域を第1方向に沿って通過する検出対象の有無および移動方向を検出する検出デバイスであって、前記第1方向と直角である第2方向に対して、前記第1方向および前記第2方向と直角である第3方向に見て、第1角度をなす方向に光を発する発光部および前記検出対象によって反射された光を受光する受光部を有する第1センサと、前記第2方向に対して、前記第3方向に見て、前記第1角度とは異なる大きさである第2角度をなす方向に光を発する発光部および前記検出対象によって反射された光を受光する受光部を有する第2センサと、を備える。
【0007】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1センサを支持する第1支持部と、前記第2センサを支持する第2支持部と、前記第1支持部および前記第2支持部を、前記第1方向および前記第2方向に対して交差する方向に延びる第1中心軸周りに互いに相対回動可能に接続する第1接続部と、をさらに備える。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1センサおよび前記第2センサの各々の前記発光部は、前記第2方向に対して、前記第1方向に見て第3角度をなす方向に光を発する。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記第1センサおよび前記第2センサの出力信号を処理する演算部と、前記演算部が収容された筐体と、前記第1支持部および前記第2支持部を、前記第2方向に延びる第2中心軸周りに回動可能に前記筐体に接続する第2接続部と、をさらに備える。
【0010】
本発明の第2の側面によって提供される検出システムは、検出領域を挟んで前記第2方向の両側に分かれて配置された、本発明の第1の側面によって提供される2つの検出デバイスを備える検出システムであって、前記2つの検出デバイスは、前記検出領域に対して前記第3方向の一方側に偏って配置されており、前記2つの検出デバイスの前記第1センサおよび前記第2センサの前記発光部は、前記各検出デバイスから前記第2方向に進行するほど前記第3方向の他方側に向かって傾斜した方向に光を発する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、より正確に検出対象を検出することができる。
【0012】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係る検出システムを示すシステム構成図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る検出システムを示す概略レイアウト図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る検出システムの検出デバイスを示すブロック図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る検出システムの検出デバイスを示す概略平面図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る検出システムの検出デバイスを示す斜視図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る検出システムの検出デバイスを示す斜視図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る検出システムの検出デバイスを示す平面図である。
図8】本発明の第1実施形態に係る検出システムの検出デバイスを示す正面図である。
図9】本発明の第1実施形態に係る検出システムの検出デバイスを示す底面図である。
図10】本発明の第1実施形態に係る検出システムの検出デバイスを示す概略平面図である。
図11】本発明の第1実施形態に係る検出システムの検出デバイスを示す概略正面図である。
図12】(a)は本発明の第1実施形態に係る検出システムの検出デバイスの検出例であり、(b)~(f)は概略平面図である。
図13】(a)は本発明の第1実施形態に係る検出システムの検出デバイスの他の検出例であり、(b)~(g)は概略平面図である。
図14】(a)は本発明の第1実施形態に係る検出システムの検出デバイスの他の検出例であり、(b)~(g)は概略平面図である。
図15】(a)は本発明の第1実施形態に係る検出システムの検出デバイスの他の検出例であり、(b)~(f)は概略平面図である。
図16】(a)は本発明の第1実施形態に係る検出システムの検出デバイスの他の検出例であり、(b)~(g)は概略平面図である。
図17】(a)は本発明の第1実施形態に係る検出システムの検出デバイスの他の検出例であり、(b)~(g)は概略平面図である。
図18】本発明の第1実施形態に係る検出システムの照明器具を示すブロック図である。
図19】本発明の第1実施形態に係る検出システムの制御装置を示すブロック図である。
図20】本発明の第1実施形態に係る検出システムの端末を示すブロック図である。
図21】本発明の第1実施形態に係る検出システムのシーケンスダイアグラムである。
図22】本発明の第1実施形態に係る検出システムの検出結果に基づく算出例である。
図23】本発明の第1実施形態に係る検出システムのシーケンスダイアグラムである。
図24】本発明の第1実施形態に係る検出システムの検出デバイスの第1変形例を示す概略平面図である。
図25】本発明の第1実施形態に係る検出システムの検出デバイスの第2変形例を示す概略平面図である。
図26】本発明の第2実施形態に係る検出システムを示すシステム構成図である。
図27】本発明の第3実施形態に係る検出システムを示すシステム構成図である。
図28】本発明の第4実施形態に係る検出デバイスを示す平面図である。
図29】本発明の第4実施形態に係る検出デバイスを示す底面図である。
図30】本発明の第4実施形態に係る検出システムを示す概略平面図である。
図31】本発明の第4実施形態に係る検出システムの検出例である。
図32】本発明の第5実施形態に係る検出システムの検出デバイスを示す正面図である。
図33】本発明の第6実施形態に係る検出システムの検出デバイスを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0015】
本開示における「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、単にラベルとして用いたものであり、かならずしもそれらの対象物に順列を付することを意図していない。
【0016】
<第1実施形態>
図1図25は、本発明の第1実施形態に係る検出システムを示している。本実施形態の検出システムA1は、複数の照明器具L、検出デバイスSd、制御装置Ctおよび端末Mdを備えている。
【0017】
図1は、検出システムA1を示すシステム構成図である。図2は、検出システムA1を示す概略レイアウト図である。図3は、検出システムA1の検出デバイスSdを示すブロック図であり、図4は、概略平面図であり、図5および図6は、斜視図であり、図7は、平面図であり、図8は、正面図であり、図9は、底面図である。図10は、検出デバイスSdを示す概略平面図であり、図11は、概略正面図である。図12図17は、検出システムA1の検出デバイスSdの検出例、および概略平面図である。図18は、検出システムA1の照明器具を示すブロック図である。図19は、検出システムA1の制御装置を示すブロック図である。図20は、検出システムA1の端末を示すブロック図である。図21は、検出システムA1のシーケンスダイアグラムである。図22は、検出システムA1の検出結果に基づく算出例である。図23は、検出システムA1のシーケンスダイアグラムである。
【0018】
〔検出デバイスSd〕
検出デバイスSdは、図4に示すように、検出領域Arを本発明の第1方向に相当するy方向に沿って通過する検出対象Obの有無および移動方向を検出するデバイスであり、検出領域Arに対して本発明の第2方向に相当するx方向の片側に配置されている。y方向(第1方向)に沿って通過する検出対象Obの移動方向とは、たとえば図10において検出対象Obがy方向の一方側(たとえば図中上側)に向かって通過するのか、あるいはy方向の他方側(たとえば図中下側)に向かって通過するのか、を指す概念である。検出領域Arや検出対象Obの具体的な構成は何ら限定されない。本実施形態においては、出入口Etに検出領域Arが設定されており、検出対象Obとして出入口Etの通過者を検出する。図3図10に示すように、本実施形態の検出デバイスSdは、第1センサ41、第2センサ42、演算部43、無線通信部44、電源部45、第1支持部46、第2支持部47、第1接続部481、第2接続部482および筐体49を備える。
【0019】
第1センサ41および第2センサ42は、検出対象Obとの距離を光学的手法で検出する機能を果たすセンサである。第1センサ41および第2センサ42は、互いの構成が共通していても良いし、互いに異なる構成であってもよい。以下の説明においては、第1センサ41および第2センサ42の検出機能を果たす内部構成が共通である場合を例に説明する。
【0020】
第1センサ41は、図4に示すように、発光部411および受光部412を有する。発光部411は、図10に示すように、x方向に対して、本発明の第3方向であるz方向に見て、第1角度α1をなす方向に沿って光R1を出射する。第1角度α1の大きさは特に限定されず、図示された例においては、第1角度α1が0である場合、すなわち発光部411からの光R1は、x方向に沿って出射されている。光R1は、広がり角度が極力抑えられた指向性が高い光が好ましい。発光部411に用いられる発光素子は、LEDなどの半導体素子が用いられる。また、これらの発光素子からの光の指向性を高めるためのレンズ等を適宜備えていてもよい。受光部412は、発光部411から発せられた光が検出対象Obによって反射された場合に、この反射光を受光することにより、受光信号を出力するものである。受光部412としては、光電変換機能を果たす様々な構成が採用可能であり、たとえばフォトダイオードやフォトトランジスタ等が挙げられる。
【0021】
本実施形態の発光部411および受光部412は、LiDAR(Light Detection And Ranging)が採用されている。発光部411は、レーザ光をパルス状に照射可能であり、たとえばイットリウムを主原料とする半導体から波長600~900nmのレーザ光を出射する。受光部412は、たとえばケイ素とインジウムガリウム砒素を用いたフォトダイオードによって構成される。発光部411からの発振周波数は、20~100Hzの範囲で行う。このような発振周波数の検出デバイスSdによれば、検出対象Obの進入角度を検出しやすくなる。
【0022】
第2センサ42は、図4に示すように、発光部421および受光部422を有している。発光部421および受光部422の内部構造は、上述の発光部411および受光部412と同じ構成である。発光部421は、図10に示すように、z方向に見て、x方向に対して第2角度α2をなす方向に沿って光R2を出射する。第2角度α2は、第1角度α1と異なる大きさであり、その具体的な大きさは特に限定されない。図示された例においては、第2角度α2は0°よりも大きい大きさである。このため、受光部412からの光R2は、x方向において図中左方から右方に向かうほど、y方向において図中下方(上述の他方側)に位置する方向に出射されている。すなわち、光R1と光R2とは、x方向に進行するほど、互いのy方向における距離が大となる関係である。なお、本実施形態とは異なり、第1センサ41と第2センサ42とが、y方向において互いに離間して配置され、光R1と光R2とがx方向に進行するほど互いのy方向における距離が小となるように、第1角度α1および第2角度α2が設定されていてもよい。
【0023】
演算部43は、第1センサ41および第2センサ42からの信号を処理するものである。図3に示すように、本実施形態の演算部43は、第1マイコン431、第2マイコン432およびメインマイコン433を有する。第1マイコン431には、たとえばUART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)によって第1センサ41が接続されており、第2マイコン432には、UARTによって第2センサ42が接続されている。第1マイコン431および第2マイコン432は、たとえばGPIO(General-purpose input/output)によってメインマイコン433に接続されている。なお、演算部43の具体的な構成は、何ら限定されず、たとえば第1マイコン431、第2マイコン432およびメインマイコン433の機能を果たす、統合されたマイコンを有する構成であってもよい。
【0024】
図10に示す状態においては、出入口Etに設定された検出領域Arには、検出対象Obである通過者は存在しておらず、第1センサ41および第2センサ42は、たとえば所定距離離れた壁(図示略)を検知している。一方、検出領域Arを通過者が通過すると、第1センサ41および第2センサ42が、この通過者を検出対象Obとして検出する。
【0025】
第1マイコン431は、第1センサ41からの信号に基づいて検出対象Obが通過者等の人体であるか否かを判断する。人体を検出した場合、第1マイコン431は、人検知信号をメインマイコン433に送信する。第2マイコン432は、第2センサ42からの信号に基づいて検出対象Obが通過者等の人体であるか否かを判断する。人体を検出した場合、第2マイコン432は、人検知信号をメインマイコン433に送信する。
【0026】
なお、図11に示すように、検出デバイスSdが店舗の出入口Etに設置される場合、床Flから検出デバイスSdまでの高さH(第1センサ41および第2センサ42からのレーザ光までの高さ)は、80~120cmが好ましい。1つの出入口Etに2つの検出デバイスSdを互いに異なる高さに設置し、一方を成人用、他方を子供用に用いてもよい。また、カートなどを利用する店舗の出入口に設置する場合、この高さHを110cmから120cmとする。設置する場所によっては、外光の影響を受けやすくなるため検出デバイスSdの第1センサ41および第2センサにひさしやブラインドを設けて誤作動を防ぐことができる。なお、図示された例においては、光R1および光R2は、y方向に見て、x方向に沿って進行するように設定されているが、光R1および光R2とx方向とがなす角度はこれに限定されない。
【0027】
図3に示す無線通信部44は、対応する照明器具Lと後述の第2プロトコルを用いた無線通信を行うためのものである。本実施形態においては、検出デバイスSdが固有の機器IDを有する。機器IDの具体例は何ら限定されず、たとえばMAC(Media Access Control)アドレスが用いられる。なお、機器IDは、無線通信部44に記憶されていてもよいし、たとえば演算部43のメモリ(図示略)に記憶されていてもよい。
【0028】
電源部45は、第1センサ41、第2センサ42、演算部43および無線通信部44等に動作に必要な電力を供給するためのものである。電源部45は、たとえば商用の交流100Vまたは200V電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータとしての機能や、変圧機能等を有するもの、あるいは充電可能なバッテリーである。
【0029】
図5図9は、検出デバイスSdの具体的構成例の一例を示している。これらの図に示された検出デバイスSdは、上述の第1センサ41、第2センサ42に加えて、第1支持部46、第2支持部47、第1接続部481、第2接続部482および筐体49を有する。なお、これらの図においては、演算部43、無線通信部44および電源部45の図示を省略している。
【0030】
第1支持部46は、第1センサ41を支持する部位である。第1支持部46の具体的構成は何ら限定されず、本実施形態においては取付板部461、対向板部462および固定板部463を有する。取付板部461は、x方向と交差する姿勢とされた板状部位である。取付板部461には、たとえばねじ等を用いて第1センサ41が取り付けられている。なお、取付板部461への第1センサ41の取り付け手法は何ら限定されない。対向板部462は、取付板部461のz方向下端に繋がっており、z方向に交差する姿勢とされた板状部位である。固定板部463は、取付板部461および対向板部462の各々のy方向端部に繋がっており、y方向と交差する姿勢とされた板状部位である。
【0031】
第2支持部47は、第2センサ42を支持する部位である。第2支持部47の具体的構成は何ら限定されず、本実施形態においては取付板部471および対向板部472を有する。取付板部471は、x方向と交差する姿勢とされた板状部位である。取付板部471は、取付板部461とはz方向において反対側に延びている。取付板部471には、たとえばねじ等を用いて第2センサ42が取り付けられている。なお、取付板部471への第2センサ42の取り付け手法は何ら限定されない。対向板部472は、取付板部471のz方向上端に繋がっており、z方向に交差する姿勢とされた板状部位である。対向板部462と対向板部472とは、互いに平行な状態で積層されている。
【0032】
第1接続部481は、第1支持部46および第2支持部47を第1中心軸O1周りに互いに相対回動可能に接続するものである。第1中心軸O1は、y方向およびx方向に対して交差する方向に延びる回動軸である。第1中心軸O1の向きは何ら限定されず、z方向に並行であってもよいし、図示されたようにz方向に対して傾いていてもよい。本実施形態においては、第1接続部481は、第1支持部46の対向板部462と第2支持部47の対向板部472とを互いに固定しうるボルトおよびナットによって構成されている。なお、第1接続部481の具体的構成は何ら限定されず、第1支持部46と第2支持部47とを第1中心軸O1周りに相対回動可能に接続する構成であればよい。第1接続部481が設けられていることにより、第1角度α1と第2角度α2とを互いに異なる大きさに任意に調整可能となっている。
【0033】
筐体49は、演算部43、無線通信部44および電源部45等を収容するものである。筐体49の材質や形状および大きさは、何ら限定されない。筐体49の材質としては、金属や樹脂が挙げられ、無線通信部44の通信をより適切に行うには、樹脂が好ましい。本実施形態においては、筐体49は、y方向を厚さ方向とする扁平な直方体形状である。
【0034】
図示された例においては、筐体49には、連結部491および固定部492が取り付けられている。連結部491は、たとえば金属板に切断加工および折り曲げ加工を施すことにより形成されており、第1支持部46および第2支持部47を筐体49に連結するためのものである。連結部491は、たとえば筐体49に対してz方向に移動可能な構成であってもよい。図示された例においては、連結部491は、y方向に直角である板状部位を有する形状である。固定部492は、たとえば金属板に切断加工および折り曲げ加工を施すことにより形成されており、筐体49をたとえば壁面等に固定するためのものである。なお、筐体49は、連結部491および固定部492を用いて固定や連結される構成に限定されず、連結部491や固定部492の機能を果たす部分が筐体49自体に形成された構成であってもよい。
【0035】
第2接続部482は、第1支持部46および第2支持部47を第2中心軸O2周りに回動可能に筐体49に接続するものである。第2中心軸O2は、x方向に延びる回動軸である。本実施形態においては、第2接続部482は、第1支持部46の固定板部463と連結部491の板状部位とを互いに固定しうるボルトおよびナットによって構成されている。第2接続部482が設けられていることにより、第3角度βが任意に調整可能となっている。また、本実施形態においては、補助接続部483が設けられている。第2接続部482は、任意の大きさの第3角度βとなるように、第1支持部46および第2支持部47を設定した状態で、対向板部462を連結部491に固定するためのものであり、たとえばボルトおよびナットによって構成されている。なお、第2接続部482の具体的構成は何ら限定されず、第1支持部46および第2支持部47を第2中心軸O2周りに回動可能に筐体49に接続する構成であればよい。
【0036】
ここで、検出デバイスSdにおける検出対象Obの検出原理について、図12図17を参照して以下に説明する。
【0037】
メインマイコン433は、第1マイコン431および第2マイコン432からの人検知信号を受けて、通過者のy方向における移動方向を判断する。たとえば、図12(a)は、同図(b)~(f)に示す順で、一人の通過者が通過した場合に、検出対象Obとしてこの通過者を検出した場合の第1センサ41および第2センサ42からの距離検出信号を示している。なお、図12図17の説明においては、理解の便宜上、検出対象Obとしての通過者を、通過者Obとして記載する。同図(b)の時刻t1においては、通過者Obが、検出領域Arに対していまだy方向の他方側(図中下側)に位置しており、同図(a)の第1センサ41および第2センサ42の距離検出信号は、いずれも検出領域Ar外にある壁等の背景部分までの距離に相当する距離d0である。同図(c)の時刻t2においては、通過者Obが検出領域Arに進入し、光R2を遮る。これにより、第2センサ42の距離検出信号が、第2センサ42から通過者Obまでの距離に相当する距離d1(距離d0よりも短い距離)となる。同図(d)の時刻t3においては、通過者Obが光R2および光R1の双方を遮る位置に到達している。これにより、第1センサ41の距離検出信号が、第1センサ41から通過者Obまでの距離に相当する距離d1となる。同図(e)の時刻t4においては、通過者Obがy方向の一方側にさらに進行し、光R2を遮らない位置に到達している。これにより、第2センサ42の距離検出信号が、時刻t1と同じ距離d0に復帰する。同図(f)の時刻t5においては、通過者Obが光R1および光R2のいずれも遮らない位置に到達している。これにより、第1センサ41の距離検出信号が時刻t1,t2と同じ距離d0復帰する。以上の検出に基づいて、第1マイコン431および第2マイコン432からメインマイコン433に人検知信号が送信される。それぞれの人検知信号には、人を検知した時刻がタイムスタンプとして含まれている。メインマイコン433は、第1センサ41および第2センサ42が同一の通過者Obを検出したこと、およびその検出の時刻差に基づいて、通過者Obの人数は一人であり、通過者Obの移動方向がy方向の他方側から一方側であると判断する。
【0038】
次に、図13(a)は、同図(b)~(f)に示す順で、二人の通過者Ob1,Ob2が通過した場合の第1センサ41および第2センサ42からの距離検出信号を示している。これらの図においては、通過者Ob1と通過者Ob2とは、x方向に並んでおり、y方向における位置がほぼ同じ状態で、ほぼ同じ速度で通過している。同図(b)の時刻t1においては、通過者Ob1,Ob2が、検出領域Arに対していまだy方向の他方側(図中下側)に位置しており、同図(a)の第1センサ41および第2センサ42の距離検出信号は、いずれも検出領域Ar外にある壁等の背景部分までの距離d0である。同図(c)の時刻t2においては、通過者Ob1、Ob2が検出領域Arに進入し、まず通過者Ob1が光R2を遮る。これにより、第2センサ42の距離検出信号が、第2センサ42から通過者Ob1までの距離d1(距離d0よりも短い距離)となる。同図(d)の時刻t3においては、通過者Ob1よび通過者Ob2の双方が光R2を遮る位置に到達している。これにより、第2センサ42の距離検出信号が、第2センサ42から通過者Ob2までの距離d2(距離d1よりも短い距離)となる。同図(e)の時刻t4においては、通過者Ob2が光R2および光R1の双方を遮る位置に到達している。これにより、第1センサ41の距離検出信号が、第1センサ41から通過者Ob2までの距離d2となる。同図(f)の時刻t5においては、通過者Ob1,Ob2がy方向の一方側にさらに進行し、双方が光R2を遮らない位置に到達している。これにより、第2センサ42の距離検出信号が、時刻t1と同じ距離d0に復帰する。同図(g)の時刻t6においては、通過者Ob1,Ob2が光R1および光R2のいずれも遮らない位置に到達している。これにより、第1センサ41の距離検出信号が時刻t1~t3と同じ距離d0に復帰する。以上の検出に基づいて、メインマイコン433は、第2センサ42の距離検出信号が距離d1と距離d2とを含むことから、光R2の照射方向と交差する方向に二人の通過者Ob1,b2が並んで通過したと判断する。また、第1センサ41の距離検出信号が距離d2を含み、距離d1を含まないことから、通過者Ob1,Ob2は、光R1の照射方向に沿って並んでいたと判断する。そして、通過者Ob1,Ob2の移動方向がy方向の他方側から一方側であると判断する。
【0039】
次に、図14(a)は、同図(b)~(f)に示す順で、二人の通過者Ob1,Ob2が通過した場合の第1センサ41および第2センサ42からの距離検出信号を示している。これらの図においては、通過者Ob1,Ob2は、光R2の照射方向に沿って並んでいる。すなわち、通過者Ob1と通過者Ob2とは、x方向離れており、通過者Ob2のy方向における位置が通過者Ob1のy方向における位置よりも一方側(図中上側)である。通過者Ob1,ob2は、この位置関係を維持した状態で、ほぼ同じ速度で通過している。同図(b)の時刻t1においては、通過者Ob1,Ob2が、検出領域Arに対していまだy方向の他方側(図中下側)に位置しており、同図(a)の第1センサ41および第2センサ42の距離検出信号は、いずれも検出領域Ar外にある壁等の背景部分までの距離d0である。同図(c)の時刻t2においては、通過者Ob1、Ob2が検出領域Arに進入し、通過者Ob1,Ob2の双方が光R2を遮る。これにより、第2センサ42の距離検出信号が、第2センサ42から通過者Ob2までの距離d2(距離d0よりも短い距離)となる。同図(d)の時刻t3においては、通過者Ob2が光R1を遮る位置に到達している。これにより、第1センサ41の距離検出信号が、第1センサ41から通過者Ob2までの距離d2になる。なお、通過者Ob1,Ob2は、依然として光R2を遮っている。同図(e)の時刻t4においては、通過者Ob1よび通過者Ob2の双方が光R2を遮らない位置に到達している。これにより、第2センサ42の距離検出信号は、距離d0に復帰する。ただし、通過者Ob1,Ob2は、いまだ光R1を遮っている。同図(f)の時刻t5においては、通過者Ob2が光R1を遮らない位置に到達し、通過者Ob1のみが光R1を遮っている。これにより、第1センサ41の距離検出信号は、第1センサ41から通過者Ob1までの距離d1(距離d0よりも短く、距離d2よりも長い)となる。同図(g)の時刻t6においては、通過者Ob1,Ob2が光R1および光R2のいずれも遮らない位置に到達している。これにより、第1センサ41の距離検出信号が距離d0に復帰する。以上の検出に基づいて、メインマイコン433は、第1センサ41の距離検出信号が距離d1と距離d2とを含むことから、光R1の照射方向と交差する方向に二人の通過者Ob1,b2が並んで通過したと判断する。また、第2センサ42の距離検出信号が距離d2を含み、距離d1を含まないことから、通過者Ob1,Ob2は、光R2の照射方向に沿って並んでいたと判断する。そして、通過者Ob1,Ob2の移動方向がy方向の他方側から一方側であると判断する。
【0040】
次に、図15(a)は、同図(b)~(f)に示す順で、一人の通過者が通過した場合の第1センサ41および第2センサ42からの距離検出信号を示している。同図(b)の時刻t1においては、通過者Obが、検出領域Arに対していまだy方向の一方側(図中上側)に位置しており、同図(a)の第1センサ41および第2センサ42の距離検出信号は、いずれも検出領域Ar外にある壁等の背景部分までの距離に相当する距離d0である。同図(c)の時刻t2においては、通過者Obが検出領域Arに進入し、光R1を遮る。これにより、第1センサ41の距離検出信号が、第1センサ41から通過者Obまでの距離に相当する距離d1(距離d0よりも短い距離)となる。同図(d)の時刻t3においては、通過者Obが光R2および光R1の双方を遮る位置に到達している。これにより、第2センサ42の距離検出信号が、第2センサ42から通過者Obまでの距離に相当する距離d1となる。同図(e)の時刻t4においては、通過者Obがy方向の他方側にさらに進行し、光R1を遮らない位置に到達している。これにより、第1センサ41の距離検出信号が、時刻t1と同じ距離d0に復帰する。同図(f)の時刻t5においては、通過者Obが光R1および光R2のいずれも遮らない位置に到達している。これにより、第2センサ42の距離検出信号が時刻t1,t2と同じ距離d0復帰する。以上の検出に基づいて、メインマイコン433は、第1センサ41および第2センサ42が同一の通過者Obを検出したこと、およびその検出の時刻差に基づいて、通過者Obの人数は一人であり、通過者Obの移動方向がy方向の一方側から他方側であると判断する。
【0041】
次に、図16(a)は、同図(b)~(f)に示す順で、二人の通過者Ob1,Ob2が通過した場合の第1センサ41および第2センサ42からの距離検出信号を示している。これらの図においては、通過者Ob1と通過者Ob2とは、x方向に並んでおり、y方向における位置がほぼ同じ状態で、ほぼ同じ速度で通過している。同図(b)の時刻t1においては、通過者Ob1,Ob2が、検出領域Arに対していまだy方向の一方側(図中下側)に位置しており、同図(a)の第1センサ41および第2センサ42の距離検出信号は、いずれも検出領域Ar外にある壁等の背景部分までの距離d0である。同図(c)の時刻t2においては、通過者Ob1、Ob2が検出領域Arに進入し、通過者Ob1,Ob2の双方が光R1を遮る。これにより、第1センサ41の距離検出信号が、第1センサ41から通過者Ob2までの距離d2(距離d0よりも短い距離)となる。同図(d)の時刻t3においては、通過者Ob2が光R2を遮る位置に到達している。これにより、第2センサ42の距離検出信号が、第2センサ42から通過者Ob2までの距離d2になる。なお、通過者Ob1,Ob2は、依然として光R1を遮っている。同図(e)の時刻t4においては、通過者Ob1および通過者Ob2の双方が光R1を遮らない位置に到達している。これにより、第1センサ41の距離検出信号は、距離d0に復帰する。ただし、通過者Ob1,Ob2は、いまだ光R2を遮っている。同図(f)の時刻t5においては、通過者Ob2が光R2を遮らない位置に到達し、通過者Ob1のみが光R2を遮っている。これにより、第2センサ42の距離検出信号は、第2センサ42から通過者Ob1までの距離d1(距離d0よりも短く、距離d2よりも長い)となる。同図(g)の時刻t6においては、通過者Ob1,Ob2が光R1および光R2のいずれも遮らない位置に到達している。これにより、第2センサ42の距離検出信号が距離d0に復帰する。以上の検出に基づいて、メインマイコン433は、第2センサ42の距離検出信号が距離d1と距離d2とを含むことから、光R2の照射方向と交差する方向に二人の通過者Ob1,b2が並んで通過したと判断する。また、第1センサ41の距離検出信号が距離d2を含み、距離d1を含まないことから、通過者Ob1,Ob2は、光R1の照射方向に沿って並んでいたと判断する。そして、通過者Ob1,Ob2の移動方向がy方向の一方側から他方側であると判断する。
【0042】
次に、図17(a)は、同図(b)~(f)に示す順で、二人の通過者Ob1,Ob2が通過した場合の第1センサ41および第2センサ42からの距離検出信号を示している。これらの図においては、通過者Ob1,Ob2は、光R2の照射方向に沿って並んでいる。すなわち、通過者Ob1と通過者Ob2とは、x方向離れており、通過者Ob2のy方向における位置が通過者Ob1のy方向における位置よりも一方側(図中上側)である。通過者Ob1,ob2は、この位置関係を維持した状態で、ほぼ同じ速度で通過している。同図(b)の時刻t1においては、通過者Ob1,Ob2が、検出領域Arに対していまだy方向の一方側(図中上側)に位置しており、同図(a)の第1センサ41および第2センサ42の距離検出信号は、いずれも検出領域Ar外にある壁等の背景部分までの距離d0である。同図(c)の時刻t2においては、通過者Ob1、Ob2が検出領域Arに進入し、まず通過者Ob1が光R1を遮る。これにより、第1センサ41の距離検出信号が、第1センサ41から通過者Ob1までの距離d1(距離d0よりも短い距離)となる。同図(d)の時刻t3においては、通過者Ob1よび通過者Ob2の双方が光R1を遮る位置に到達している。これにより、第1センサ41の距離検出信号が、第1センサ41から通過者Ob2までの距離d2(距離d1よりも短い距離)となる。同図(e)の時刻t4においては、通過者Obが光R2および光R1の双方を遮る位置に到達している。これにより、第2センサ42の距離検出信号が、第2センサ42から通過者Ob2までの距離d2となる。同図(f)の時刻t5においては、通過者Ob1,Ob2がy方向の他方側にさらに進行し、双方が光R1を遮らない位置に到達している。これにより、第1センサ41の距離検出信号が、距離d0に復帰する。同図(g)の時刻t6においては、通過者Ob1,Ob2が光R1および光R2のいずれも遮らない位置に到達している。これにより、第2センサ42の距離検出信号が距離d0に復帰する。以上の検出に基づいて、メインマイコン433は、第1センサ41の距離検出信号が距離d1と距離d2とを含むことから、光R1の照射方向と交差する方向に二人の通過者Ob1,b2が並んで通過したと判断する。また、第2センサ42の距離検出信号が距離d2を含み、距離d1を含まないことから、通過者Ob1,Ob2は、光R2の照射方向に沿って並んでいたと判断する。そして、通過者Ob1,Ob2の移動方向がy方向の一方側から他方側であると判断する。
【0043】
以上に説明した判断処理により、メインマイコン433は、検出対象Obとしての通過者の人数および移動方向を判断し、これらの通過者が特定空間である店舗への入店者か退店者であるかに対応させて人数増減情報を生成する。そして、メインマイコン433は、機器ID、人数増減情報やタイムスタンプ等を含む検出データを生成する。
【0044】
なお、図2においては、複数の検出デバイスSdである検出デバイスSd1~Sd4が複数の出入口Et1~Et4に個別に配置されている。図1に示す検出デバイスSdnは、検出デバイスSd1~Sd4を一般化して示したものである。
【0045】
〔照明器具L〕
複数の照明器具Lは、たとえば屋内の照明に用いられ、天井、壁面、床面等の種々の箇所に設置される。また、照明器具Lは、屋外の照明に用いられる構成であってもよい。照明器具Lの具体的な形態は何ら限定されず、直管形蛍光灯の代替照明や高天井照明、シーリングライト、ダウンライト、ベースライト、スポットライト等の種々の形態を適宜採用可能である。以降の説明においては、照明器具Lは、特定空間としての屋内の店舗の照明として用いられる構成を例に説明する。また、照明器具Lの一般的な構成を述べる場合に照明器具Lと称するとともに、複数の照明器具Lを区別する場合に照明器具L1、・・・照明器具Ln等の符号を適宜用いる場合がある。複数の照明器具L1~Lnは、それぞれの構成が同一であってもよいし、互いの一部が共通していてもよいし、互いに異なる構成であってもよい。以降の説明においては、特段の記載がない限り、複数の照明器具L1~Lnが同一の構成である場合を例に説明する。
【0046】
図18は、照明器具Lのブロック図である。照明器具Lは、光源部11、制御部12、記憶部13、無線通信モジュール14および電源部15を備える。
【0047】
光源部11は、照明器具L1において発光機能を果たす部位である。光源部11の具体的構成は何ら限定されず、たとえば、基板と当該基板に列をなして搭載された複数のLEDとからなる。また、照明器具L1は、光源部11からの光を透過させる透明または半透明のカバー(図示略)を適宜有する。
【0048】
制御部12は、制御装置Ctからの指示等に基づいて、照明器具Lの各部を制御するためのものである。制御部12の具体的構成は特に限定されず、たとえばCPUからなる。記憶部13は、制御部12の制御に必要な情報を記憶するためのものであり、たとえば半導体メモリからなる。なお、記憶部13は、照明器具Lの筐体(図示略)に内蔵されるものに限定されず、照明器具Lの筐体の外部から着脱可能に設けられるものであってもよい。
【0049】
無線通信モジュール14は、制御装置Ctや複数の照明器具Lおよび検出デバイスSdと無線通信を行うためのものであり、無線信号を送信および受信するモジュールである。無線通信モジュール14は、たとえば、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)通信によって制御部12と接続されているが、これに限定されない。無線通信モジュール14は、第1無線通信部141および第2無線通信部142を有する。
【0050】
無線通信モジュール14の機能を例示すると、制御装置Ctからの信号を受信し、受信した信号に含まれるデータ(たとえば照明制御信号)を制御部12に送信する。また、照明制御信号を受信したことを示すアクノリッジ信号を制御装置Ctに送信する。また、照明器具Lの動作状況を示すステータス情報信号を制御装置Ctに送信してもよい。
【0051】
本実施形態においては、複数の照明器具Lの各々が有する固有の灯具IDが、無線通信モジュール14に記憶されている。灯具IDの情報形式は特に限定されず、たとえばMAC(Media Access Control)アドレスが用いられる。なお、灯具IDは、第1無線通信部141および第2無線通信部142のいずれか、もしくはこれら以外の無線通信モジュール14の構成要素に記憶されていてもよいし、たとえば記憶部13に記憶されていてもよい。
【0052】
第1無線通信部141は、制御装置Ctおよび他の照明器具Lと第1プロトコルを用いた無線通信を行うためのものである。第1プロトコルを用いた無線通信の通信周波数は何ら限定されず、たとえ920MHz帯、2.4GHz帯、5GHz帯等が例示される。また、第1プロトコルの具体例は特に限定されず、たとえば、BLE(Bluetooth Low Energy)を含むBluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)などが例示される。本実施形態においては、第1無線通信部141を有する複数の照明器具Lと制御装置Ctとが、メッシュネットワークである通信ネットワークCn1を構築している。第1プロトコルは、後述のように複数の照明器具L間で各種データの転送に用いられるため、それらのデータ転送に必要となる転送速度や、信頼性を確保した上で、メッシュネットワークを構築できるプロトコルが選択される。
【0053】
第2無線通信部142は、検出デバイスSdと第2プロトコルを用いた無線通信を行うためのものである。第2プロトコルを用いた無線通信の通信周波数は何ら限定されず、たとえ920MHz帯、2.4GHz帯、5GHz帯等が例示される。また、第2プロトコルの具体例は特に限定されず、たとえば、BLE(Bluetooth Low Energy)を含むBluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)などが例示される。図示された例においては、第2無線通信部142は、SPI(Serial Peripheral Interface)通信によって第1無線通信部141と接続されているが、これに限定されない。本実施形態においては、図1に示すように、第2無線通信部142を有する照明器具Lと対応する検出デバイスSdとが、通信ネットワークCn2を構築している。第2プロトコルは、検出デバイスSd等とのデータの転送に用いられ、たとえばBLE、Wi-Fiなどが選択される。
【0054】
第1プロトコルと第2プロトコルとは、互いの通信が干渉しないように通信周波数が異なるものを選択することが好ましい。また、第1無線通信部141による無線通信と第2無線通信部142による無線通信とは、互いの通信タイミングを異ならせることが好ましい。なお、第2プロトコルを用いた無線通信は、たとえば、第1プロトコルを用いた無線通信よりも通信距離が短いものを選択してもよい。
【0055】
無線通信モジュール14は、たとえば第1無線通信部141によって制御装置Ctから検出デバイスSdのデータ取得を要求する要求信号を受信した場合、当該要求信号を第1プロトコルから第2プロトコルに変換することによって転送信号を生成し、この転送信号を第2無線通信部142から検出デバイスSdに送信する。また、検出デバイスSdから送信された検出データを第2無線通信部142が受信した場合、当該検出データを第1プロトコルに変換することによって転送データを生成し、制御装置Ctに送信する。具体的な例を挙げると、無線通信モジュール14は、検出デバイスSdからの検出データが第2プロトコルを用いた通信であることを通信データ中のプロトコルフラグから検出する。次いで、第2プロトコルに応じた手順で所定の処理を行って第2無線通信部142によって受信する。そして、検出データを第1プロトコルを用いた通信のデータ形式に変換することで転送データを生成し、通信ネットワークCn1で隣接する照明器具Lに転送する。
【0056】
電源部15は、光源部11、制御部12および無線通信モジュール14等に動作に必要な電力を供給するためのものである。電源部15は、たとえば商用の交流100Vまたは200V電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータとしての機能や、変圧機能等を有する。
【0057】
〔制御装置Ct〕
制御装置Ctは、複数の照明器具L1~Lnの点灯制御や複数の検出デバイスSdの検出データに基づいた処理、および端末Mdへの表示指令を行うものである。制御装置Ctは、本実施形態の場合には、複数の照明器具L1~Lnや複数の検出デバイスSdが設置されている部屋(店舗)と同じ部屋に設置されていてもよいし、同じ建物の別の部屋や別のフロアに設置されていてもよいし、別の建物に設置されていてもよい。制御装置Ctと複数の照明器具L1~Lnとがある程度離れている場合、制御装置Ctと複数の照明器具L1~Lnとは、無線通信だけでなく、有線通信と無線通信とを利用して互いに通信する構成であってもよい。なお、検出システムA1は、少なくとも1つの制御装置Ctを備えていればよく、他の構成において複数の制御装置Ctを備えていてもよい。なお、本実施形態の制御装置Ctは、複数の照明器具Lと端末Mdとの双方に通信可能である。
【0058】
図19は、制御装置Ctのブロック図である。本実施形態においては、制御装置Ctは、表示部21、制御部22、記憶部23、無線通信部24および電源部25を備える。
【0059】
表示部21は、後述する検出システムA1の制御においては、必ずしも必要ではないが、制御装置Ctの初期設定やメンテナンス等に用いられる。表示部21は、たとえば液晶ディスプレイ等であり、さらにタッチパネル機能を有してもよい。また、表示部21がタッチパネルとして機能することに代えて、制御装置Ctは、たとえばキーボードやマウス等の操作デバイスを別途備えていてもよい。
【0060】
制御部22は、複数の照明器具L1~Lnの点灯制御や複数の検出デバイスSdの検出データに基づいた処理、および端末Mdへの表示指令を行う主要な構成要素であり、制御装置Ctの各部を制御するためのものである。たとえば、制御部22は、無線通信部24が端末Mdから受信した指示信号に基づいて、対象とする照明器具Lへ制御信号を送信するように、無線通信部24に制御信号を伝達する。制御部22の具体的構成は特に限定されず、たとえばCPUからなる。記憶部23は、制御部22の制御に必要なプログラムや設定条件等の情報を記憶するためのものであり、たとえば半導体メモリやハードディスクドライブ等からなる。
【0061】
無線通信部24は、複数の照明器具L1~Lnの無線通信モジュール14の第1無線通信部141および端末Mdと無線通信を行うためのものである。無線通信部24の周波数帯や準拠する無線通信の規格は、上述の第1プロトコルを用いた無線通信である。無線通信部24は、たとえば、制御部22から複数の照明器具L1~Lnへの制御信号を送信する。また、複数の検出デバイスSdへの検出要求信号を送信してもよい。あるいは、端末Mdから送信されるユーザによる指示信号を受信する。受信した指示信号は、制御部22に伝達される。なお、制御装置Ctは、無線通信部24に加えて、インターネットに接続する有線または無線の通信回路を有していてもよい。
【0062】
電源部25は、表示部21、制御部22および無線通信部24等に動作に必要な電力を供給するためのものである。電源部25は、たとえば商用の交流100Vまたは200V電力を直流電力に変換するAC/DCコンバータとしての機能や、変圧機能等を有する。
【0063】
制御装置Ctは、複数の照明器具Lの灯具IDや複数の検出デバイスSdの機器IDを保有しており、これらがたとえば記憶部23に記憶されている。制御装置Ctが保有する灯具IDや機器IDは、照明器具Lが保有する灯具IDとしてのMACアドレスや検出デバイスSdが保有する機器IDとしてのMACアドレスでもよいし、これらのMACアドレスと対応付けされた別の灯具IDや機器IDであってもよい。
【0064】
本実施形態においては、制御装置Ctは、検出デバイスSdからの検出データに基づいて、特定空間としての店舗における滞在人数をカウントする。そして、この滞在人数やこの滞在人数に基づいた店舗の混雑状況に対応する情報を端末Mdに表示する指令を送信する。あるいは、複数の照明器具Lを、店舗の混雑状況に対応する照明状態とする照明制御指令を送信する。
【0065】
なお、検出システムA1内に時計ユニット(図示略)を別途配置してもよい。この時計ユニットは、FM電波を受信し、通信ネットワークCn1を介して時間情報を制御装置Ctに送信する。制御装置Ctから各照明器具Lや検出デバイスSdに送信されるデータには、この時間情報を付与する。各照明器具Lや各検出デバイスSdは受信した時計情報をもとにそれぞれの時刻をカウントする。これにより、検出システムA1を構成する機器や装置の時刻をより正確に合わせることができる。
【0066】
〔端末Md〕
端末Mdは、検出システムA1においてユーザが操作する端末である。端末Mdは、ユーザの操作を実現可能な情報処理能力等を有するものであれば特に限定されず、たとえばタブレット、スマートフォン、PC、ノート型PC等である。なお、検出システムA1を構成する複数の照明器具Lが広範な領域に設置されている場合、検出システムA1は、複数の端末Mdを備えていてもよい。
【0067】
また、表示部31は、制御装置Ctからの表示要求信号にしたがって検出デバイスSdの検出データに基づく情報を表示するものである。本実施形態においては、端末Mdは、制御装置Ctからの表示要求信号にしたがって店舗の人数増減に関する情報を表示する。なお、制御装置Ctからの表示司令に基づいて、端末Mdの表示部31に表示される構成に代えて、たとえば、端末Mdに有線通信または無線通信で接続された別体の表示装置(図示略)に表示させてもよい。この表示装置の設置場所は特に限定されず、図2に示された例においては、たとえば店舗外側における出入口Et1の近傍に配置されてもよい。また、表示装置は、端末Mdを介することなく制御装置Ctと有線通信または無線通信等によって接続された構成であってもよい。
【0068】
図20は、端末Mdのブロック図である。本実施形態においては、端末Mdは、表示部31、制御部32、記憶部33、無線通信部35および電源部36を備える。
【0069】
表示部31は、端末Mdの操作等に必要な情報や画像、さらには制御装置Ctからの表示要求信号にしたがって店舗の人数増減に関する情報を表示するためのものである。表示部31は、たとえば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイであり、本実施形態においてはタッチパネル機能を有している。なお、表示部31がタッチパネルとして機能することに代えて、端末Mdは、たとえばキーボードやマウス等の操作デバイスを別途備えていてもよい。
【0070】
制御部32は、端末Mdの各部を制御するためのものである。制御部32の具体的構成は特に限定されず、たとえばCPUからなる。記憶部33は、制御部32の制御に必要なプログラムや設定条件等の情報を記憶するためのものであり、たとえば半導体メモリやハードディスクドライブ等からなる。また、制御部32は、たとえば制御装置Ctからの表示要求信号にしたがって店舗の人数増減に関する情報を表示部31に表示させる。
【0071】
無線通信部35は、制御装置Ctへ複数の照明器具L1~Lnの点灯/消灯等の指示信号を送信したり、制御装置Ctから複数の照明器具L1~Lnのステータス情報信号等を受信したりする。また、無線通信部35は、制御装置Ctから検出デバイスSdの検出データに基づく表示データの表示要求信号を受信する。無線通信部35の周波数帯や準拠する無線通信の規格は、上述の第1無線通信部141、無線通信部24と同様であってもよいし異なっていてもよく、たとえばWi-Fi(登録商標)が選択される。なお、無線通信部35は、端末Mdとしてのタブレット等に内蔵された無線通信モジュールであってもよいし、USB端子等に接続された外付けの無線通信モジュールであってもよい。本実施形態においては、端末Mdと制御装置Ctとによって、通信ネットワークCn3が構築されている。なお、通信ネットワークCn3は、通信ネットワークCn1と同じ第1プロトコルを用いた無線通信を行うものであってもよい。
【0072】
電源部36は、表示部31、制御部32および無線通信部35等に動作に必要な電力を供給するためのものである。電源部36は、たとえば充電可能なバッテリーである。
【0073】
次に、検出システムA1も動作例について、以下に説明する。図21および図23は、検出システムA1の動作例を示すシーケンスダイアグラムである。
【0074】
ステップS1においては、検出デバイスSdn(本実施形態においては、n=1,2,3,4)は、隣接する出入口Etn(検出領域Ar)を通過する通過者を第1センサ41および第2センサ42によって検出し、上述した処理によって特定空間である店舗への入店者および退店者の人数に相当する人数増減情報、機器ID、および測定した時間情報を示すタイムスタンプを含む検出データDdnを作成する。そして、検出データDdnを第2プトロコルに変換し、通信ネットワークCn2によって照明器具Lnに送信する。なお、検出デバイスSdnによる検出データDdnの送信は、検出対象Obとしての通過者を検出するたびに行ってもよいし、制御装置Ctからの要求信号に応じて行ってもよい。あるいは、上述したFM電波を利用した検出システムA1における時刻合わせによって各検出デバイスSdの時刻情報を設定し、所定の時間間隔等で検出データDdnを送信する構成であってもよい。
【0075】
ステップS2においては、検出デバイスSdnからの検出データDdnを照明器具Lnが受信する。照明器具Lnは、検出データDdnを第1プロトコルに変換し、転送データDtnを生成する。そして、転送データDtnを通信ネットワークCn1によって隣接する照明器具Lに転送する。
【0076】
ステップS3においては、通信ネットワークCn1において複数の照明器具L間を転送された転送データDtnを、照明器具L1が受信する。照明器具L1は、転送データDtnを制御装置Ctに送信する。
【0077】
ステップS4においては、転送データDtnを受信した制御装置Ctが、転送データDtnに含まれる人数増減情報、機器ID、および測定した時間情報を示すタイムスタンプを取得する。制御装置Ctの記憶部23には、たとえば図22に示すテーブルが記憶されている。転送データDtnに含まれるタイムスタンプによって、検出デバイスSd1~検出デバイスSd4に対応する出入口Et1~Et4における入店者および退店者の数である人数増減情報が当該テーブルに入力される。これにより、ある時刻(たとえば12:00)における店舗全体の増減人数(表中において+7名)を算出し、その時点での店舗全体の滞在人数(表中において47名)を把握する。このような人数増減情報の取得を順次行うことにより、時々刻々における店舗全体滞在人数を把握することができる。そして、制御装置Ctは、ステップS4によって得られた店舗滞在人数に基づいた表示データを生成し、当該表示データを端末Mdに送信する。
【0078】
ステップS5においては、表示データを受信した端末Mdが、表示データに基づいた内容を表示部31に表示させる。表示部31の表示内容としては、その時点での店舗全体滞在人数や、店舗全体滞在人数に基づく入店制限情報等が挙げられる。入店制限情報は、たとえば店舗全体滞在人数が50名未満である場合に「入店できます」とのメッセージ、店舗全体滞在人数が50名以上75名未満である場合に「店内が込み合っています」とのメッセージ、店舗全体滞在人数が75名以上である場合に「入店をお控えください」とのメッセージ、が適宜設定される。店舗内の密集および密接を防ぎ、混雑具合によっては窓を開放し、店舗内の密閉を防ぐタイミングを知ることができる。
【0079】
さらに、検出システムA1は、端末Mdにおける表示処理に加えて、以下の処理を行ってもよい。図23に示すように、ステップS6において、制御装置Ctは、店舗全体滞在人数に応じて、各照明器具Lの発光色の色温度を指定する色温度コマンドを作成する。そして、色温度コマンドを第1プロトコルに変換して、通信ネットワークCn1を介して複数の照明器具Lに送信する。色温度の設定は、たとえば店舗全体滞在人数が50名未満である場合に適正な人数に対応する色温度:5000K(昼白色)、店舗全体滞在人数が50名以上75名未満である場合に混んでいる人数に対応する色温度:3500K(温白色)、店舗全体滞在人数が75名以上である場合に入店を規制する人数に対応する色温度:2700K(電球色)、が適宜設定される。なお、制御装置Ctは、色温度を指定するコマンドに代えて、照明器具Lの明るさを指定するコマンドや、点灯、消灯、点滅等の点灯状態を変更するコマンドを作成してもよい。
【0080】
ステップS7において、通信ネットワークCn1を介して制御装置Ctに最も近い照明器具L1が色温度コマンドを受信する。この照明器具L1では、色温度コマンドの指定内容が自器具の灯具IDを対象とするものである場合、制御部12が光源部11の色温度を指定の色温度に変更制御する。また、通信ネットワークCn1を介して、色温度コマンドを他の照明器具Lに転送する。
【0081】
ステップS8において、照明器具L1からの通信ネットワークCn1を介して転送された色温度コマンドを受信した照明器具Lnは、照明器具L1と同様に、自器具が対象である場合に、光源部11の色温度を変更制御する。以上の処理により、複数の照明器具Lのうち指定された照明器具Lの発光色が指定された色温度に設定される。
【0082】
次に、検出デバイスSdおよび検出システムA1の作用について説明する。
【0083】
本実施形態によれば、図12および図15を参照して説明したように、一人の通過者Obが通過する場合に、通過者Obの人数や移動方向を検出可能であることに加えて、図13図14図16および図17を参照して説明したように、二人の通過者Obが並んで通過する場合であっても、第1センサ41および第2センサ42の距離検出信号に基づいて判断することにより、通過者Obの人数および移動方向を検出することが可能である。したがって、より正確に検出対象を検出することができる。
【0084】
また、図5図9に示したように、第1センサ41を支持する第1支持部46と第2センサ42を支持する第2支持部47とが第1中心軸O1周りに相対動可能な状態で第1接続部481によって接続されている。これにより、第1角度α1と第2角度α2とのそれぞれの角度をより容易に設定することができる。
【0085】
また、第1支持部46および第2支持部47は、筐体49に対して第2中心軸O2周りに回動可能な状態で第2接続部482によって接続されている。これにより、第1センサ41(光R1)および第2センサ42(光R2)の第3角度βを任意に設定することができる。
【0086】
検出システムA1によれば、特定空間に滞在する人数をより正確に把握可能であり、滞在人数に応じた表示内容をいわゆるリアルタイムで端末Mdに表示することが可能である。したがって、端末Mdの表示によって、特定空間の滞在人数をより迅速且つ正確に報知することができる。たとえば、特定空間として店舗を採用した場合、店舗外の人々に店舗内の混雑状況をより迅速且つ正確に知らせることができる。
【0087】
図24図31は、本発明の変形例および他の実施形態を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0088】
<第1実施形態 第1変形例>
図24は、検出デバイスSdの第1変形例を示している。本変形例においては、第1角度α1が、0より大きい角度に設定されている。ただし、第1角度α1は、第2角度α2とは異なる角度であり、第2角度α2よりも小さい。
【0089】
本変形例においては、光R1および光R2が、x方向に進行するほどy方向の他方側(図中下側)に位置するように、x方向に対して傾斜している。また、光R1と光R2とのy方向における距離は、x方向に進行するほど大である。
【0090】
このような変形例によっても、より正確に通過者Obを検出することができる。また、本変形例から理解されるように、第1角度α1と第2角度α2とは、互いに異なる角度に設定されていれば、図12図17を参照して説明した検出処理を行うことが可能である。
【0091】
<第1実施形態 第2変形例>
図25は、検出デバイスSdの第2変形例を示している。本変形例においては、第1角度α1が、0とは異なる角度に設定されており、第2角度α2とはy方向において反対側に開いた角度とされている。この場合、第1角度α1および第2角度α2のそれぞれの絶対値が同じであっても、互いの向きが異なる(正負が異なる)と捉えられ、互いに異なる角度の一例である。
【0092】
このような変形例によっても、より正確に通過者Obを検出することができる。また、本変形例から理解されるように、第1角度α1と第2角度α2とは、y方向において互いに異なる側に開いた角度に設定されていてもよい。
【0093】
<第2実施形態>
図26は、本発明の第2実施形態に係る検出システムを示している。本実施形態の検出システムA2は、複数の照明器具L1~L9、検出デバイスSd1~Sd3、制御装置Ctおよび端末Mdを備えている。
【0094】
本実施形態の照明器具L1,L2,L3は、各々がゲートモジュールとして機能する。ゲートモジュールは、メッシュネットワークである通信ネットワークCn1内において、一部の照明器具Lとともに小さなネットワーク(クラスタ)を構成するモジュールとして機能する。そして、複数のクラスタ間の無線通信は、ゲートモジュール同士によってなされる。ゲートモジュールとして機能する照明器具L1,L2,L3は、たとえば上述した構成の照明器具Lの無線通信モジュール14の設定プログラム等を適宜変更することによって構築可能である。
【0095】
図示された例においては、互いに近い位置に設置された照明器具L1,L4,L7によってクラスタCn11が構築されている。また、互いに近い位置に設置された照明器具L2,L5,L8によってクラスタCn12が構築されている。また、互いに近い位置に設置された照明器具L3,L6,L9によってクラスタCn13が構築されている。
【0096】
たとえば、制御装置Ctからの制御データは、通信ネットワークCn1において、制御装置Ctから照明器具L1,L2,L3にそれぞれ送信される。照明器具L1は、受信したデータを照明器具L4および照明器具L7に転送する。同様に、照明器具L2は、受信したデータを照明器具L5および照明器具L8に転送し、照明器具L3は、受信したデータを照明器具L6および照明器具L9に転送する。
【0097】
照明器具L7は、受信したデータを第2プロトコルの方式に変換し、通信ネットワークCn2を介して検出デバイスSd1に送信する。同様に、照明器具L8は、受信したデータを第2プロトコルの方式に変換し、通信ネットワークCn2を介して検出デバイスSd2に送信し、照明器具L9は、受信したデータを第2プロトコルの方式に変換し、通信ネットワークCn2を介して検出デバイスSd3に送信する。また、照明器具L7は、検出デバイスSd1からの検出データDd1を第1プロトコルの方式に変換し、クラスタCn11に送信する。照明器具L8は、検出デバイスSd2からの検出データDd2を第1プロトコルの方式に変換し、クラスタCn12に送信する。照明器具L9は、検出デバイスSd3からの検出データDd1を第1プロトコルの方式に変換し、クラスタCn13に送信する。クラスタCn11~Cn13に送信された検出データDdnは、クラスタCn11~Cn13および通信ネットワークCn1において転送され、制御装置Ctによって受信される。
【0098】
本実施形態によっても、上述した実施形態と同様の効果を奏することができる。また、ゲートモジュールとして機能する照明器具L1,L2,L3を備えることによって、クラスタCn11,Cn12,Cn13を構築可能であり、メッシュネットワークである通信ネットワークCn1の通信効率をより高めることができる。
【0099】
<第3実施形態>
図27は、本発明の第3実施形態に係る検出システムを示している。本実施形態の検出システムA3は、外部記憶装置Edを備えている。
【0100】
外部記憶装置Edは、通信ネットワークCn1の外部に設置されており、たとえばサーバ、商用クラウド等である。外部記憶装置Edと制御装置Ctとの通信は、たとえば商用インターネット回線や専用回線等が利用される。外部記憶装置Edは、検出システムA3を構成する複数の照明器具Lや複数の検出デバイスSdが設置された店舗等の特定空間から離れた場所において、外部使用者Euが随時アクセス可能とされている。制御装置Ctは、たとえば収集した測定データを外部記憶装置Edに保存してもよい。
【0101】
外部使用者Euは、外部記憶装置Edに保存された滞在人数等の情報をそのまま、または任意に加工して、種々に利用可能である。たとえば、外部使用者Euは、これらのデータをデジタルサイネージなどの電光掲示板、大型スクリーン(いずれも図示略)に表示してもよい。あるいは、図示されたように、外部記憶装置Edに表示装置Dpを接続し、この表示装置Dpに滞在人数等の情報を表示してもよい。
【0102】
本実施形態によっても、上述した実施形態と同様の効果を奏する。また、本実施形態から理解されるように、外部記憶装置Edに一旦保存された情報を端末Md以外のデバイスにさらに表示する構成であってもよい。
【0103】
<第4実施形態>
図28図31は、本発明の第4実施形態に係る検出システムを示している。本実施形態における検出デバイスSdは、図28図30に示すように、2つの第1センサ41A,41Bと、2つの第2センサ42A,42Bとを有する。
【0104】
図28および図29に示すように、第1センサ41Aと第1センサ41Bとは、たとえば同一のセンサ筐体内において、y方向に並んで配置されている。第1センサ41Aと第1センサ41Bとの具体的構成は、たとえば上述した第1センサ41と同様の構成である。また、第2センサ42Aと第2センサ42Bとは、たとえば同一のセンサ筐体内において、y方向に並んで配置されている。第2センサ42Aと第2センサ42Bとの具体的構成は、たとえば上述した第2センサ42と同様の構成である。
【0105】
本実施形態においては、図3に示した構成例と同様に、演算部43が第1マイコン431および第2マイコン432を有する構成としてもよい。1つの第1マイコン431が第1センサ41Aおよび第1センサ41Bに対応し、1つの第2マイコン432が第2センサ42Aと第2センサ42Bとに対応する構成であってもよい。あるいは、演算部43が、2つの第1マイコン431と2つの第2マイコン432とを有することにより、第1センサ41Aおよび第1センサ41Bのそれぞれに、個別の第1マイコン431が対応し、第2センサ42Aおよび第2センサ42Bのそれぞれに、個別の第2マイコン432が対応する構成であってもよい。
【0106】
本実施形態の検出デバイスSdを用いた場合、図31に例示するような距離検出信号が得られる。第1センサ41Aの距離検出信号と第1センサ41Bの距離検出信号とは、互いの形状がほぼ共通しており、y方向における設置位置に応じて、互いの波形が時間T軸でずれた関係となっている。また、第2センサ42Aの距離検出信号と第2センサ42Bの距離検出信号とは、互いの形状がほぼ共通しており、y方向における設置位置に応じて、互いの波形が時間T軸でずれた関係となっている。これらの距離検出信号をメインマイコン433が処理することにより、検出対象Obとしての通過者の人数や移動方向を検出することができる。
【0107】
本実施形態によっても、上述の実施形態と同様の効果を奏する。また、2つの第1センサ41A,41Bと2つの第2センサ42A,42Bとを備えることにより、検出対象Obの検出精度をさらに高めることができる。
【0108】
<第5実施形態>
図32は、本発明の第5実施形態を示している。本実施形態の検出デバイスSdは、光R1および光R2が、y方向に見て、x方向となす角度が種々に設定可能である構成を示している。このような構成は、図5図9を参照して説明した検出デバイスSdにおいて、第1支持部46および第2支持部47を第2中心軸O2周りに適宜回動させることにより、第3角度βを角度β1や角度β2に設定することで実現可能である。第3角度βを角度β1に設定した場合、検出デバイスSdから斜め下方に見下ろす領域が、実質的な検出領域Arとなる。一方、第3角度βを角度β2に設定した場合、検出デバイスSdから斜め上方に見上げる領域が、実質的な検出領域Arとなる。
【0109】
本実施形態によっても、上述の実施形態と同様の効果を奏する。また、第3角度βが適宜設定可能であることにより、たとえば、出入口Etのz方向下方にカート置き場等の障害物がある場合に、検出デバイスSdの設置位置をz方向において床面から2m程度に設定し、第3角度βを角度β1のように斜め下向きに傾斜させることにより、適切に検出可能である。あるいは、出入口Etのz方向上方に看板等の障害物がある場合に、検出デバイスSdの設置位置をz方向において床面から30cm程度に設定し、第3角度βを角度β2のように斜め上向きに傾斜させることにより、適切に検出可能である。
【0110】
<第6実施形態>
図33は、本発明の第6実施形態を示している。本実施形態においては、1つの検出領域Arに対応する2つの検出デバイスSdが備えられている。2つの検出デバイスSdは、検出領域Arを挟んでx方向の両側に分かれて配置されている。また、2つの検出デバイスSdは、検出領域Arに対してz方向の一方側(図中上側)に偏って配置されている。各検出デバイスSdからの光R1および光R2は、各検出デバイスSdからx方向に進行するほどz方向の他方側(図中下側)に向かって傾斜した方向に出射されている。2つの検出デバイスSdからの光R1,R2は、検出領域Ar内において互いに交差する設定が好ましい。
【0111】
本実施形態によっても、上述の実施形態と同様の効果を奏する。また、検出領域Arがx方向に広い領域である場合であっても、検出不可となる領域を低減し、検出精度を高めることができる。
【0112】
本発明に係る検出デバイスおよび検出システムは、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る検出デバイスおよび検出システムの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0113】
A1,A2,A3:検出システム
Sd,Sd1,Sd2,Sd3,Sd4,Sdn:検出デバイス
11 :光源部
12 :制御部
13 :記憶部
14 :無線通信モジュール
15 :電源部
21 :表示部
22 :制御部
23 :記憶部
24 :無線通信部
25 :電源部
31 :表示部
32 :制御部
33 :記憶部
35 :無線通信部
36 :電源部
41,41A,41B:第1センサ
42,42A,42B:第2センサ
43 :演算部
44 :無線通信部
45 :電源部
46 :第1支持部
47 :第2支持部
49 :筐体
141 :第1無線通信部
142 :第2無線通信部
411,421:発光部
412,422:受光部
431 :第1マイコン
432 :第2マイコン
433 :メインマイコン
461 :取付板部
462 :対向板部
463 :固定板部
471 :取付板部
472 :対向板部
481 :第1接続部
482 :第2接続部
483 :補助接続部
491 :連結部
492 :固定部
Ar :検出領域
Cn1,Cn2,Cn3:通信ネットワーク
Ct :制御装置
Dp :表示装置
Ed :外部記憶装置
Et :出入口
Eu :外部使用者
Fl :床
H :高さ
L :照明器具
Md :端末
O1 :第1中心軸
O2 :第2中心軸
Ob,Ob1,Ob2:通過者(検出対象)
R1,R2:光
d0,d1,d2:距離
α1 :第1角度
α2 :第2角度
β :第3角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33