(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】移動机
(51)【国際特許分類】
A47B 3/08 20060101AFI20241128BHJP
A47B 91/06 20060101ALI20241128BHJP
A47B 13/00 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
A47B3/08 C
A47B91/06
A47B13/00 Z
(21)【出願番号】P 2020205789
(22)【出願日】2020-12-11
【審査請求日】2023-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】301078858
【氏名又は名称】アイリスチトセ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】落合 広樹
(72)【発明者】
【氏名】井上 里美
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-259918(JP,A)
【文献】特開2019-092615(JP,A)
【文献】特開2017-140224(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0099943(US,A1)
【文献】独国実用新案第202018003146(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 3/08
A47B 91/06
A47B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面および下面を有する天板と、
前記天板を支持する支持部と、
前記天板および前記支持部の移動を可能とする移動可能状態と、当該移動が不可である移動不可状態と、を有するキャスタと、
前記天板の前記下面に配置され、且つ前記キャスタの前記移動可能状態と前記移動不可状態とを切り替える操作部と、を備え、
前記操作部は、前記キャスタを前記移動可能状態に保持する状態保持機構を有
し、
前記天板は、前記上面が水平方向に沿った状態である水平状態と、前記上面が水平方向に対して交差した方向に沿って起立した起立状態と、をとるように回転可能であり、
前記天板が前記水平状態であり、且つ前記キャスタが前記操作部によって前記移動可能状態に保持されている場合に、前記天板を前記水平状態から前記起立状態に向けて回転させると、前記状態保持機構による保持が解除される、移動机。
【請求項2】
前記操作部は、前記天板の前記下面に取り付けられたホルダと、前記ホルダに対して相対移動可能なハンドルと、を有し、
前記ハンドルは、前記移動可能状態に対応する移動可能位置と、前記移動不可状態に対応する移動不可位置と、の間を移動可能であり、
前記状態保持機構は、前記ハンドルを前記移動可能位置に保持する、請求項1に記載の移動机。
【請求項3】
前記天板を前記起立状態としたとき、前記キャスタが前記移動可能位置となる、請求項2に記載の移動机。
【請求項4】
前記操作部に接続された第1伝達部材と、
前記第1伝達部材が連結され、且つ前記第1伝達部材の移動に伴って回転する連結部材と、
前記連結部材に連結され、且つ前記連結部材の回転によって昇降する第2伝達部材と、
を備え、
前記第2伝達部材の昇降に伴って、前記キャスタが前記支持部から下方に突出して接地面に接する前記移動可能状態と、前記支持部が接地面に接する前記移動不可状態と、をとる、請求項1
ないし3のいずれかに記載の移動机。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動机に関する。
【背景技術】
【0002】
天板、支持部およびキャスタを備え、キャスタによる移動が可能な移動可能状態と当該移動が不可である移動不可状態とが切り替え可能な移動机が、種々に提案されている(たとえば、特許文献1)。同文献に開示された移動机は、ボタンを有する操作部を備える。操作部のボタンを押下している間は、移動可能状態が維持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
移動机を移動可能状態とする目的は、たとえば移動机の使用レイアウトを変更することや、不使用である移動机を退避させること、等である。これらの場合、上述の移動机においては、操作部のボタンを押下し続けた状態で、移動机を移動させることが強いられる。このため、移動机の移動がスムーズに行えなかったり、移動机を移動させている最中に、移動不可状態となってしまったりする等の問題があった。
【0005】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、より容易に移動させることが可能な移動机を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によって提供される移動机は、上面および下面を有する天板と、前記天板を支持する支持部と、前記天板および前記支持部の移動を可能とする移動可能状態と、当該移動が不可である移動不可状態と、を有するキャスタと、前記天板の前記下面に配置され、且つ前記キャスタの前記移動可能状態と前記移動不可状態とを切り替える操作部と、を備え、前記操作部は、前記キャスタを前記移動可能状態に保持する状態保持機構を有する。
【0007】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記操作部は、前記天板の前記下面に取り付けられたホルダと、前記ホルダに対して相対移動可能なハンドルと、を有し、前記ハンドルは、前記移動可能状態に対応する移動可能位置と、前記移動不可状態に対応する移動不可位置と、の間を移動可能であり、前記状態保持機構は、前記ハンドルを前記移動可能位置に保持する。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記操作部に接続された第1伝達部材と、前記第1伝達部材が連結され、且つ前記第1伝達部材の移動に伴って回転する連結部材と、前記連結部材に連結され、且つ前記連結部材の回転によって昇降する第2伝達部材と、を備え、前記第2伝達部材の昇降に伴って、前記キャスタが前記支持部から下方に突出して接地面に接する前記移動可能状態と、前記支持部が接地面に接する前記移動不可状態と、をとる。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記天板は、前記上面が水平方向に沿った状態である水平状態と、前記上面が水平方向に対して交差した方向に沿って起立した起立状態と、をとるように回転可能であり、前記天板が前記水平状態であり、且つ前記キャスタが前記操作部によって前記移動可能状態に保持されている場合に、前記天板を前記水平状態から前記起立状態に向けて回転させると、前記状態保持機構による保持が解除される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、移動机をより容易に移動させることができる。
【0011】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る移動机を示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る移動机を示す斜視図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る移動机の移動可能状態を示す側面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る移動机の移動不可状態を示す側面図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る移動机を示す断面図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係る移動机を示す要部拡大断面図である。
【
図7】本発明の第1実施形態に係る移動机を示す要部拡大断面図である。
【
図8】本発明の第1実施形態に係る移動机を示す要部拡大断面図である。
【
図9】本発明の第1実施形態に係る移動机を示す要部拡大断面図である。
【
図10】本発明の第1実施形態に係る移動机のガイドベースを示す斜視図である。
【
図11】本発明の第1実施形態に係る移動机のガイドベースを示す平面図である。
【
図15】本発明の第1実施形態に係る移動机の連結部材を示す、(a),(b)は斜視図であり、(c)は正面図であり、(d)は側面図である。
【
図16】本発明の第1実施形態に係る移動机のキャスタユニットを示す、(a)は斜視図であり、(b)は平面図であり、(c)は正面図であり、(d)は底面図である。
【
図17】本発明の第1実施形態に係る移動机の使用例を示す側面図である。
【
図18】本発明の第1実施形態に係る移動机の使用例を示す側面図である。
【
図19】本発明の第1実施形態に係る移動机の使用例を示す側面図である。
【
図20】本発明の第1実施形態に係る移動机の使用例を示す側面図である。
【
図21】本発明の第1実施形態に係る移動机の使用例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0014】
本開示における「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、単に識別のために便宜上用いたものであり、それらの対象物に順列を付することを意図していない。
【0015】
<第1実施形態>
図1~
図21は、本発明の第1実施形態に係る移動机を示している。本実施形態の移動机A1は、天板1、支持部2、キャスタユニット3、操作部4、第1伝達部材5、第2伝達部材6および連結部材7を備えている。
【0016】
なお、本実施形態においては、キャスタユニット3、操作部4、第1伝達部材5、第2伝達部材6および連結部材7が、x方向の両側に一対ずつ設けられている。これにより、後述の移動可能状態と移動不可状態とを切り替える操作が、x方向の両側のいずれの側においても可能とされている。また、一対の操作部4は、図示しない連結ロッド等を有しており、一方の操作部4の操作により、他方の操作部4においても同様の操作がなされる構成とされている。なお、本実施形態と異なり、操作部4が、x方向の片側だけに設けられ、この操作部4の操作によって、一対ずつのキャスタユニット3、第1伝達部材5、第2伝達部材6および連結部材7が操作される構成であってもよい。
【0017】
図1および
図2は、移動机A1を示す斜視図である。
図3は、移動机A1の移動可能状態を示す側面図である。
図4は、移動机A1の移動不可状態を示す側面図である。
図5は、移動机A1を示す断面図である。
図6~
図9は、移動机A1を示す要部拡大断面図である。
図10および
図11は、移動机A1のガイドベース43を示す斜視図である。
図12は、
図11のXII-XII線に沿う断面図である。
図13は、
図11のXIII-XIII線に沿う断面図である。
図14は、
図11のXIV-XIV線に沿う断面図である。
図15は、移動机A1の連結部材7を示す、(a),(b)は斜視図であり、(c)は正面図であり、(d)は側面図である。
図16は、移動机A1のキャスタユニット3を示す、(a)は斜視図であり、(b)は平面図であり、(c)は正面図であり、(d)は底面図である。
図17~
図21は、移動机A1の使用例を示す側面図である。これらの図において、z方向は、移動机A1の一般的な使用状態における鉛直方向に相当する。x方向およびy方向は、z方向に対してそれぞれが直交する方向である。
【0018】
図3および
図5は、移動可能状態の移動机A1を示しており、
図4は、移動不可状態の移動机A1を示している。ここで、移動可能状態とは、天板1および支持部2等が、キャスタユニット3(キャスタ31)の転動機能によって、接地面FL上を移動可能な状態をいう。一方、移動不可状態とは、キャスタユニット3(キャスタ31)が接地面FLから離れることにより、移動机A1の移動が不可能である状態をいう。
【0019】
〔天板1〕
天板1は、移動机A1の使用者が、所望の物体を載置するためのものである。天板1は、
図1~
図5に示すように、上面11および下面12を有する。上面11は、z方向の上方を向く面であり、下面12は、z方向の下方を向く面である。天板1の材質は何ら限定されず、木材、樹脂、金属、さらにこれらの複合材等が適宜用いられる。天板1の形状は何ら限定されず、矩形状、多角形状、楕円形状等が適宜選択され、本実施形態においては、x方向を長手方向とする長矩形状である。
【0020】
本実施形態においては、天板1には、一対の天板ベース15が取り付けられている。一対の天板ベース15は、各々がたとえば金属板を加工することにより形成されており、天板1のx方向両端に分かれて、下面12に取り付けられている。一対の天板ベース15は、支持部2等との取り付けを実現するためのものである。
【0021】
図6に示すように、天板ベース15は、主板部151、回転軸152およびガイドスリット153,154を有する。主板部151は、天板ベース15の本体をなす部位であり、図示された例においては、y方向の中央部分のz方向寸法が大きく、y方向の両端部分のz方向寸法が小さい形状である。回転軸152は、x方向に延びる回転軸を構成しており、天板ベース15および天板1が支持部2に対して回転軸152周りに回転可能とされている。
【0022】
ガイドスリット153は、回転軸152を中心とする円弧形状の貫通部分である。ガイドスリット153は、後述の支持部2の支持ベース21のピン211を基準として天板ベース15の回転をガイドするためのものである。ガイドスリット154は、後述の回転軸72を中心とする円弧形状の貫通部分である。ガイドスリット154は、後述の第2伝達部材6の第1連結軸62をガイドするためのものである。
【0023】
〔支持部2〕
支持部2は、天板1を支持するためのものである。
図1~
図5に示すように、支持部2は、一対の支持ベース21、一対の上脚部22および一対の下脚部23を有する。一対の支持ベース21、一対の上脚部22および一対の下脚部23は、x方向の両側に分かれて配置されている。
【0024】
図2および
図3に示すように、支持ベース21は、天板ベース15に取り付けられるものである。言い換えると、支持ベース21は、天板ベース15を回転軸152周りに回転可能に支持している。支持ベース21の材質は何ら限定されず、たとえば樹脂、金属等からなる。支持ベース21は、ピン211を有する。ピン211は、x方向の外側に突出した部分であり、天板ベース15のガイドスリット153に挿通されている。また、ピン211は、ガイドスリット153からx方向の外側に突出している。
【0025】
上脚部22は、両端がz方向の上方と下方とに離間した形状であり、上側部分が支持ベース21に取り付けられている。上脚部22の材質は何ら限定されず、たとえば樹脂、金属等からなる。上脚部22の形状は何ら限定されず、本実施形態においては、筒状である。図示された例においては、上脚部22のxy平面に沿う断面形状は、y方向を長手方向とする扁平な形状である。
【0026】
下脚部23は、上脚部22のz方向下端に取り付けられており、y方向に長く延びる形状である。本実施形態においては、下脚部23は、本体部231、スイング軸232、一対のガイド部233および一対のアジャスタ24を有する。
【0027】
本体部231は、下脚部23の外形をなす部分であり、本実施形態においては、y方向に長く延びる中空形状の部材である。
図2に示すように、本体部231は、z方向の下方に開口している。本体部231の材質は何ら限定されず、たとえば樹脂、金属等からなる。
【0028】
スイング軸232は、下脚部23の内面からx方向に延びる軸である。スイング軸232は、後述のスイング部材69のスイング軸となる部材である。スイング軸232は、上脚部22のz方向下端の直下付近に配置されている。
【0029】
一対のガイド部233は、キャスタユニット3の昇降動をガイドするためものである。一対のガイド部233は、y方向に離れた位置において本体部231に固定されている。
図7に示すように、本実施形態においては、ガイド部233は、ガイドスリット2331を有する。ガイドスリット2331は、ガイド部233をx方向に貫通した部分であり、
図5における斜め左下方(z方向下方であってy方向前方(図中左方))と斜め右上方(z方向上方であってy方向後方(図中右方))とに延びる直線形状である。
【0030】
図3~
図5に示すように、一対のアジャスタ24は、本体部231のy方向両端寄りに設けられている。アジャスタ24は、
図4に示す移動不可状態において、接地面FLに当接することにより、キャスタユニット3(キャスタ31)を接地面FLから離すものである。また、アジャスタ24は、本体部231に対して螺合によって取り付けられることにより、移動不可状態の移動机A1の高さや傾きを調整する機能を果たしてもよい。なお、下脚部23は、アジャスタ24を有する構成に限定されず、たとえば本体部231の一部が、接地面FLに当接する構成であってもよい。
【0031】
なお、本実施形態においては、幕板19が設けられている。幕板19は、天板1と支持部2とに接続されたロッドによって支持されている。幕板19は、移動机A1の使用者が着座した際に、使用者の足元を隠すものである。後述の天板1の回転に伴って、幕板19は、支持部2から離れた状態と、支持部2に接近した状態とをとる。なお、幕板19を備えない構成であってもよい。
【0032】
また、移動机A1は、
図1~
図5に示すように、操作レバー16を有する。操作レバー16は、天板ベース15のz方向下方に設けられている。操作レバー16は、操作されていない場合に、支持ベース21に設けられた凹部(図示略)に係合しており、天板1を後述の水平状態に維持する。一方、操作レバー16は、y方向の後方端をz方向の上方に持ち上げるように操作された場合に、支持ベース21の上述の凹部との係合が解除され、天板1が回転して後述の起立状態となることを許容する。
【0033】
〔キャスタユニット3〕
キャスタユニット3は、移動机A1を移動させる転動機能を果たすものである。本実施形態においては、一対のキャスタユニット3が、支持部2の一対の下脚部23の本体部231に個別に収容されている。
図16に示すように、本実施形態のキャスタユニット3は、一対のキャスタ31、ケース32、当接軸33および一対の摺動軸34を有する。
【0034】
一対のキャスタ31は、y方向両側に離れて配置されている。キャスタ31は、転動機能を果たす主要部品であり、z方向に直交する回転軸周りに車輪が回転する。また、この回転軸は、z方向周りに回転可能とされている。なお、キャスタ31の具体的な構成は何ら限定されず、従来公知の種々のキャスタを適宜採用可能である。
【0035】
ケース32は、一対のキャスタ31を支持するものである。ケース32は、y方向に長く延びる中空部材である。ケース32は、たとえば金属からなる。
【0036】
当接軸33は、x方向に延びる軸であり、ケース32の内部に固定されている。
図5および
図7に示すように、当接軸33は、上脚部22のz方向下端の直下付近に配置されており、後述のスイング部材69が当接する軸である。
【0037】
図16に示すように、一対の摺動軸34は、各々がx方向に延びる軸であり、y方向に互いに離れている。一対の摺動軸34は、ケース32の内部に固定されている。
図5および
図7に示すように、一対の摺動軸34は、一対のガイド部233のガイドスリット2331に個別に挿通されている。
【0038】
〔操作部4〕
操作部4は、移動机A1の移動可能状態と移動不可状態とを切り替えるためのものである。
図1~
図5および
図8に示すように、操作部4は、天板1の下面12に配置されている。本実施形態の操作部4は、ハンドル41、ピンユニット42、ガイドベース43およびカバー44を有する。
図8は、操作部4の略中心を通るyz平面における要部拡大断面図であり、
図9は、
図8のIX-IX線に沿う要部拡大断面図である。
【0039】
ハンドル41は、移動机A1の使用者が操作する部材である。ハンドル41は、ガイドベース43に対してy方向にスライド可能に支持されている。ハンドル41は、y方向の後端部分(図中右端部分)がz方向下方に突出した形状である。操作部4の操作時には、この突出部分に使用者の指が掛けられる。
【0040】
図示された例においては、ハンドル41は、第1凹部411および第2凹部412を有する。第1凹部411は、z方向上方に開口しており、z方向下方に凹んだ部位である。第1凹部411は、yz断面の形状が略一定であり、x方向に沿って延びている。第2凹部412は、第1凹部411に対してy方向の前方(図中左方)に位置している。第2凹部412は、z方向上方に開口しており、z方向下方に凹んでいる。第2凹部412には、後述の第1伝達部材5のロッド部51の係止部511が係合する。
【0041】
ピンユニット42は、ハンドル41のスライド動作を、ガイドベース43によって規制するためのものである。ピンユニット42は、一部がハンドル41の第1凹部411に収容されており、第1凹部411内をx方向にスライド可能である。図示された例においては、ピンユニット42は、ピン421、支持部材422およびばね423を有する。
【0042】
ピン421は、ガイドベース43に係合することにより、ハンドル41の規制を実現するものであり、z方向に延びる短い棒状部材である。支持部材422は、ピン421を支持しており、x方向に延びた形状である。ばね423は、ピン421をガイドベース43に押し付けるための弾性力を付勢するためのものであり、ハンドル41の第1凹部411と支持部材422との間に介在している。図示された状態において、ばね423は、自然長に対して圧縮された状態である。
【0043】
ガイドベース43は、ハンドル41のスライド動作の規制を具体的に決定する部材である。ガイドベース43は、下面12に固定されており、たとえば金属、樹脂等からなる。本実施形態においては、ピンユニット42とガイドベース43とによって、本発明の状態保持機構が構成されている。
【0044】
図10~
図14に示すように、本実施形態のガイドベース43は、主面431、一対の側面432およびガイド溝433を有する。主面431は、z方向に対して直角である平坦な面であり、z方向下方を向いている。主面431の形状は何ら限定されず、図示された例においては、矩形状である。一対の側面432は、主面431のx方向両端に繋がっている。側面432は、x方向に対して直角であり、y方向に長く延びた面である。
図9に示すように、一対の側面432は、ハンドル41と係合することにより、ハンドル41をy方向にスライドさせる際の軌道をなしている。
【0045】
ガイド溝433は、主面431からz方向上方に凹んだ部位であり、ピンユニット42のピン421が係合する部位である。ピン421がガイド溝433に係合することにより、ガイドベース43に対するピンユニット42の移動が軌道Rtに沿ったものに規制される。この規制により、ハンドル41のスライド動作が規制される。
【0046】
図10~
図14に示すように、ガイド溝433は、第1部434、第2部435、第3部436および第4部437を有する。なお、
図11においてガイド溝433に付されたグレースケールは、濃色の部分ほどz方向の上方に位置しており、淡色の部分ほどz方向の下方に位置している。すなわち、濃色の部分ほど主面431からの深さが深く、淡色の部分ほど主面431からの深さが浅い。この着色は、他の図面においても同様である。
【0047】
第1部434は、ガイド溝433のうちy方向において最も前方(図中左方)に位置する部位である。第1部434は、y方向の前方ほど深さが深く、y方向の後方ほど深さが浅い。第1部434は、y方向の前方においてx方向の寸法が縮小した部位を有する。当該部位の近傍を、第1位置4341と定義する。第1位置4341は、後述のようにピン421が位置することにより、移動机A1が移動不可状態をとりうる位置である。
【0048】
第2部435は、第1部434のy方向における後端に対してy方向後方に繋がる部位である。第2部435は、その全体が、第1部434のy方向後端よりも深い部位である。第2部435のy方向の後端部位を、第2位置4351と定義する。
【0049】
第3部436は、第2部435に対して、x方向の内方(
図11における図中上方)に繋がっている。第3部436のうち第2部435に隣接する部分は、第2部435よりもわずかに深さが深い。また、第3部436は、x方向において第2部435から離れるほど深さが浅くなる形状である。第3部436は、第2位置4351に対してy方向の前方に位置する部位を有する。当該部位を、第3位置4361と定義する。第3位置4361は、後述のようにピン421が位置することにより、移動机A1が移動可能状態をとりうる位置である。
【0050】
第4部437は、第3部436に対して、x方向において第2部435とは反対側に繋がっている。また、第4部437は、y方向に長く延びており、y方向の前端が第1部434に繋がっている。第4部437のy方向の後端部分は、この部分に繋がる第3部436の部分の深さよりも若干深い。また、第4部437は、y方向の前方に向かうほど深さが浅くなっている。第4部437のy方向の前端部分の深さは、この部分に繋がる第1部434の部分の深さよりも浅い。第4部437のy方向の後端部位は、第3位置4361よりもy方向の後方に位置しており、当該部位を第4位置4371と定義する。
【0051】
ガイド溝433が以上に述べた構成により、ピン421は、第1位置4341を起点としてy方向の後方に向かって移動を開始した場合、第1部434内を進行して第2部435に進入する。第1部434と第2部435との深さ関係から、ピン421は、第2部435から第1部434へは、直接には復帰できない。ピン421がy方向の後方に移動する場合、第2位置4351に到達すると、移動机A1の自重によって即座にピン421がy方向の前方に移動し、第2部435内を第3部436に向かって進行する。そして、ピン421が第3部436に進入すると、ピン421は、第3位置4361で一旦停止する。次に、ピン421がy方向の後方に再び移動しようとすると、ピン421は、第3部436から第4部437に移動する。そして、ピン421が第4部437に進入すると、ピン421は、第4位置4371を経由して、移動机A1の自重によって即座に、第4部437内をy方向の前方に向かって進行する。そして、ピン421が第1部434に進入すると、ピン421は、第1位置4341に到達する。このように、ピン421の移動がガイド溝433の各部によって規制されることにより、ピン421は、軌道Rtに沿って、図示された矢印の方向に移動する構成とされている。
【0052】
カバー44は、ガイドベース43の大部分とハンドル41の一部とを覆っており、係合等によってガイドベース43に取り付けられている。カバー44は、ハンドル41をガイドベース43に沿ってy方向にスライド可能に支持している。カバー44の材質は何ら限定されず、たとえば樹脂からなる。
【0053】
〔第1伝達部材5〕
第1伝達部材5は、操作部4の操作を伝達するためのものである。
図3~
図6および
図8に示すように、本実施形態の第1伝達部材5は、ロッド部51および連結軸52を有する。
【0054】
ロッド部51は、y方向に長く延びる棒状部材であり、たとえば金属からなる。ロッド部51は、係止部511を有する。係止部511は、ロッド部51のy方向の後端部分がz方向の下方に折り曲げられた部分である。
図8に示すように、係止部511は、操作部4のハンドル41の第1凹部411に係合している。これにより、操作部4と第1伝達部材5とが接続されている。連結軸52は、ロッド部51のy方向の前方端部に設けられている。連結軸52は、x方向に延びる短い棒状部材である。
【0055】
〔第2伝達部材6〕
第2伝達部材6は、操作部4の操作を伝達するためのものである。
図3~
図7に示すように、本実施形態の第2伝達部材6は、ロッド部61、第1連結軸62、第2連結軸63およびスイング部材69を有する。
【0056】
ロッド部61は、z方向の上方と下方とに離れた両端を有する部材であり、本実施形態においては、支持部2の支持ベース21に収納されている。ロッド部61は、たとえば金属製の棒状部材である。第1連結軸62は、ロッド部61のz方向上端部分に取り付けられており、x方向に延びる短い棒状部材である。第2連結軸63は、z方向の下端部分に取り付けられており、x方向に延びる短い棒状部材である。
【0057】
スイング部材69は、第2連結軸63によってロッド部61の下端部分に回転可能に連結されている。また、スイング部材69は、支持部2の下脚部23のスイング軸232が挿通されており、スイング軸232周りに回転可能である。スイング部材69のうちスイング軸232を挟んで第2連結軸63とは反対側の部分は、キャスタユニット3の当接軸33に当接する部分である。スイング部材69は、スイング軸232を挟んでy方向の前方部分(第2連結軸63側の部分)が、y方向の後方部分(当接軸33側の部分)よりも長い。
【0058】
〔連結部材7〕
連結部材7は、操作部4の操作を伝達するためのものであり、第1伝達部材5と第2伝達部材6とを連結している。
図3~
図6および
図15に示すように、本実施形態の連結部材7は、主部71および回転軸72を有する。主部71は、連結部材7の大部分を形成する部位であり、図示された例においては、板状の部材によって構成されている。連結部材7の材質は何ら限定されず、たとえば、金属、樹脂等である。回転軸72は、主部71に固定されており、x方向に延びる短い棒状部材である。連結部材7は、回転軸72周りに回転可能に天板ベース15に支持されている。また、x方向の両側に位置する一対の連結部材7の回転軸72同士は、図示しない連結ロッドによって、互いに一体的に回転可能とされていてもよい。これにより、一対の操作部4の操作が相互に反映される。
【0059】
図15に示すように主部71は、連結孔73,74および嘴部75を有する。連結孔73は、回転軸72から離れた主部71の端部に設けられている。
図6に示すように、連結孔73には、第1伝達部材5の連結軸52が挿通されている。連結孔74は、回転軸72に対して連結孔73よりも近い位置に設けられており、回転軸72と嘴部75との間に位置している。連結孔74は、x方向に沿って視てガイドスリット154と重なる位置に設けられている。第2伝達部材6の第1連結軸62は、連結孔74およびガイドスリット154を貫通している。
【0060】
嘴部75は、主部71の一部が屈曲形状に突出した部位である。嘴部75は、回転軸72に対して連結孔74を挟んで反対側に設けられている。図示された例においては、嘴部75は、主部71の一部がx方向に視て反時計回りに屈曲して延びた形状である。嘴部75は、第1端縁751および第2端縁752を有する。第1端縁751および第2端縁752は、嘴部75の先端部分の両端縁であり、嘴部75の先端に向かうほど互いの距離が小となっている。第1端縁751および第2端縁752は、それぞれが僅かに凹んだ凹曲線形状である。
【0061】
【0062】
図4は、移動不可状態の移動机A1を示している。たとえば椅子に座った使用者の事務作業等に用いられる場合、移動机A1は移動不可状態とされ、接地面FLに対して容易には移動しない状態とされる。この状態においては、操作部4のハンドル41がy方向の前方に位置している。すなわち、ガイド溝433においてピン421が第1位置4341に位置している。このハンドル41の位置が、本発明の移動不可位置である。ハンドル41が移動不可位置にあると、第1伝達部材5のロッド部51がy方向の前方寄りに位置しており、連結部材7が反時計回りの側に回転した位置にある。このため、第2伝達部材6のロッド部61がz方向の下方側に位置しており、スイング部材69が反時計回りの側に回転した位置にある。このスイング部材69は、当接軸33に対してz方向の上方に離れる姿勢であるため、当接軸33には、スイング部材69から下方に押さえつけられる力が作用しない。この結果、下脚部23(支持部2)に対してキャスタユニット3が図中斜め上側に位置する。すなわち、ガイド部233のガイドスリット2331において摺動軸34が斜め上方端に位置している。この状態においては、一対の下脚部23に設けられた一対ずつのアジャスタ24(すなわち4つのアジャスタ24)が、移動机A1の重量の大部分を受けて、接地面FLに接する。したがって、キャスタユニット3のキャスタ31が接地面FLから離れ、移動机A1が移動不可状態となっている。
【0063】
図4の移動不可状態から移動可能状態とするには、操作部4のハンドル41をy方向の後方にスライドさせる。この際、使用者は、たとえば天板1の端部に親指を掛け、ハンドル41に人差し指、中指、薬指等を掛けて、ハンドル41をy方向の後方に引っ張る。これにより、
図3に示すように、ピン421が、第1位置4341から離脱して、軌道Rtに沿って第1部434から第2部435に進入し、第2位置4351へと移動する。これに伴い、第1伝達部材5がy方向の後方に引かれ、連結部材7が回転軸72を中心として時計回りに回転する。そして、第2伝達部材6のロッド部61がz方向の上方に上昇し、スイング部材69がスイング軸232を中心として時計回りに回転する。このため、スイング部材69の後方端部が当接軸33にz方向上方から当接する。当接軸33がスイング部材69によってz方向の下方に押されることにより、キャスタユニット3が下脚部23に対してz方向の下方に移動する。この際、摺動軸34がガイド部233のガイドスリット2331に沿って、斜め左下方に移動する。そして、アジャスタ24よりもキャスタ31がz方向の下方に突出すると、アジャスタ24が接地面FLから離脱し、キャスタ31が移動机A1のほぼすべての重量を受けて、接地面FLに接する。これにより、キャスタ31の転動機能が発揮可能となり、移動机A1が移動可能状態となる。
【0064】
一旦、キャスタ31が接地面FLに設置すると、移動机A1の重量を受けることから、キャスタユニット3を下脚部23に対してz方向の上方に押し上げる力が作用する。この反作用の力が、第2伝達部材6、連結部材7および第1伝達部材5を介して、ハンドル41をy方向の前方にスライドさせる力として伝達される。ピン421が第2位置4351にある状態において、ハンドル41をy方向の前方にスライドさせる力が作用するため、ピン421は、第3位置4361に移動し、第3位置4361に保持される。このようなピン421とガイド溝433との関係によってピン421が第3位置4361に保持される状態が、本発明の状態保持機構の機能が発揮された状態である。
【0065】
さらに、移動机A1を移動不可状態とする場合、ハンドル41を再びy方向の後方に若干スライドさせる。すると、
図4に示すように、ピン421が、第3位置4361から第4位置4371へと移動する。そして、ハンドル41をスライドさせる手を離すと、上述したキャスタ31が移動机A1の重量を受けることの反作用力によって、ハンドル41が、y方向の前方にスライドする。このため、ピン421は、第4位置4371を離脱して、軌道Rtに沿って第4部437から第1部434へと移動し、第1位置4341に到達する。これにより、
図4に示す移動不可状態となる。
【0066】
次に、天板を回転させることによる状態変化について説明する。まず、移動机A1が
図4に示す移動不可状態であって、天板1の上面11が水平方向(x方向およびy方向)に沿った水平状態におく。次いで、操作レバー16を操作して天板1のy方向の後端を上方に持ち上げる。すると、
図17に示すように、天板1および天板ベース15が回転軸152を中心として支持ベース21(支持部2)に対して回転する。これにより、天板1の上面11が水平方向に対して交差した方向(z方向により近い方向)に沿って起立した起立状態となる。この際、ガイドスリット154の下端に第1連結軸62が位置する状態で、天板ベース15とともに、連結部材7が回転軸152を中心として回転する。このため、第1連結軸62がz方向の上方に移動し、ロッド部61がz方向の上方に持ち上げられる。これにより、
図3を参照して説明した操作部4のハンドル41をy方向の後方にスライドさせた場合と同様に、キャスタユニット3のキャスタ31がアジャスタ24からz方向の下方に突出する。この結果、キャスタユニット3のキャスタ31の転動機能が発揮可能となり、移動机A1が移動可能状態となる。
図17に示す矢印とは反対向きに天板1を回転させると、天板1は、起立状態から水平状態となる。これに伴い、キャスタユニット3のキャスタ31がz方向の上方に移動し、アジャスタ24が接地面FLに接触する。これにより、移動机A1が再び移動不可状態となる。
【0067】
次に、移動机A1が、
図3に示す移動可能状態であって、天板1が水平状態である場合に天板1を回転させる使用例を説明する。この状態から天板1を回転させると、連結部材7の嘴部75がピン211に押し付けられ、
図18に示すように、連結部材7が回転軸72を中心として天板ベース15に対して回転軸72を中心としてx方向に沿って視て時計回りに若干回転する挙動を示す。これにより、ロッド部51がy方向の後方に若干押され、ハンドル41がy方向の若干後方にスライドする。このため、ピン421が第3位置4361から第4位置4371に移動する。このピン421の移動により、第3位置4361に保持された状態(状態保持機構による保持)が解除される。さらに、天板1を回転させると、
図19に示すように、天板1が起立状態となる。この状態においては、
図17に示した状態と同様に、ロッド部61がz方向の上方に持ち上げられており、キャスタユニット3のキャスタ31の転動機能が発揮可能であり、移動可能状態となる。この際、ピン211は、連結部材7の嘴部75を超えており、
図3に示す状態における位置とは嘴部75を挟んで反対側に位置している。
【0068】
次に、この状態から、天板1を水平状態に戻す場合、
図20に示すように、天板1のy方向の後端を下降させ、天板1を回転させる。これにより、ロッド部61が下降し始める。さらに、天板1を回転させると、
図21に示すように連結部材7は、嘴部75にピン211がz方向の下方から当接する格好となり、天板ベース15に対してx方向に沿って視て時計回りに回転する。ただし、この回転によって嘴部75へのピン211の当接が解除されると、天板1の回転に伴って連結部材7は、天板ベース15に対して反時計回りに回転する。さらに天板1を回転させると、
図4に示す移動不可状態となる。この際、ハンドル41は、移動不可位置にあり、ピン421は、第1位置4341に位置する。
【0069】
次に、移動机A1の作用について説明する。
【0070】
本実施形態によれば、
図8および
図9に示すピンユニット42とガイドベース43とによって構成される状態保持機構により、
図3に示すようにハンドル41が移動可能位置に保持される。これにより、使用者が操作部4から手を離した後も、移動机A1の移動可能状態が保持可能である。したがって、移動可能状態の移動机A1を移動させるにあたり、移動机A1を移動させるのに適した箇所を使用者が把持等することが可能であり、移動机A1をより容易に移動させることができる。
【0071】
図8~
図14に示すように、状態保持機構は、ピンユニット42のピン421がガイドベース43のガイド溝433の第3位置4361に保持されることによって移動可能状態を保持する機能が実現されている。ガイド溝433によるピン421の保持は、ガイド溝433の幾何的な形状と、ピン421およびガイドベース43の機械的な当接によってなされている。このため、ハンドル41をより正確な位置に保持可能であり、移動机A1に意図しない外力が作用した場合であっても、移動可能状態の保持をより確実に継続することができる。
【0072】
操作部4は、y方向の前後方向に長く延びる第1伝達部材5によって連結部材7に連結されており、操作部4は、天板1の下面12のx方向後端付近に配置されている。このため、移動机A1を移動可能状態と移動不可状態との相互に状態を切り替える際に、使用者は、手元近くに位置する操作部4を操作することにより、第1伝達部材5および連結部材7を介して第2伝達部材6のロッド部61を昇降させることができる。したがって、移動机A1の操作性を向上させることができる。
【0073】
図3、
図4および
図17を参照して説明したように、天板1を水平状態と起立状態とに相互に状態を切り替えることにより、移動机A1の移動不可状態と移動可能状態とを切り替えることが可能である。特に、天板1を起立状態とする場合、移動机A1を使用しないことが想定され、移動机A1を所定の場所に移動させる可能性が高い。天板1を起立状態とすることで移動机A1を移動可能状態とする構成は、移動机A1の使用実態に沿っており、利便性を向上させることができる。
【0074】
また、
図3、
図4および
図18~
図21を参照して説明したように、移動机A1が
図3に示す移動可能状態であって、ハンドル41が状態保持機構により保持されている場合に、天板1を水平状態から起立状態へと回転させると、
図18に示すピン211と連結部材7の嘴部75との当接により、状態保持機構によるハンドル41の状態保持が解除される。これにより、状態保持が継続されたまま天板1が起立状態となった場合に、状態保持機構を構成するピンユニット42およびガイドベース43に過度な荷重が負荷されることを回避することが可能である。これにより、操作部4の損傷等を抑制することができる。
【0075】
移動机A1においては、アジャスタ24が接地面FLに接触することにより、キャスタ31の転動機能を阻止する手法が採用されている。たとえば、キャスタ31自体に、キャスタ31の転動機能を停止させるロック機構を有する場合、転動を阻止できるものの、支持部2の設置高さや傾きを調整することは不可能である。このようなことでは、移動机の設置が不安定となるおそれがある。移動机A1によれば、アジャスタ24によって移動机A1の重量を受け止めることが可能であり、移動机A1の高さや傾きを自在に調整できるという利点がある。
【0076】
操作部4が天板1の下面12に設置されており、天板1のy方向の後端付近に配置されている。このため、天板1のy方向の後端に親指を掛け、ハンドル41に人差し指、中指、薬指等を掛けて、ハンドル41をy方向の後方に引っ張る、といった操作手法が可能である。これにより、操作部4をより容易に操作することができる。
【0077】
本発明に係る移動机は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る移動机の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0078】
A1 :移動机
1 :天板
2 :支持部
3 :キャスタユニット
4 :操作部
5 :第1伝達部材
6 :第2伝達部材
7 :連結部材
11 :上面
12 :下面
15 :天板ベース
16 :操作レバー
19 :幕板
21 :支持ベース
22 :上脚部
23 :下脚部
24 :アジャスタ
31 :キャスタ
32 :ケース
33 :当接軸
34 :摺動軸
41 :ハンドル
42 :ピンユニット
43 :ガイドベース
44 :カバー
51 :ロッド部
52 :連結軸
61 :ロッド部
62 :第1連結軸
63 :第2連結軸
69 :スイング部材
71 :主部
72 :回転軸
73,74:連結孔
75 :嘴部
151 :主板部
152 :回転軸
153,154:ガイドスリット
211 :ピン
231 :本体部
232 :スイング軸
233 :ガイド部
411 :第1凹部
412 :第2凹部
421 :ピン
422 :支持部材
423 :ばね
431 :主面
432 :側面
433 :ガイド溝
434 :第1部
435 :第2部
436 :第3部
437 :第4部
511 :係止部
751 :第1端縁
752 :第2端縁
2331 :ガイドスリット
4341 :第1位置
4351 :第2位置
4361 :第3位置
4371 :第4位置
FL :接地面
Rt :軌道