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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】静的平衡調節システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/08 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
A47C27/08 F
A47C27/08 A
A47C27/08 B
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023537664
(86)(22)【出願日】2021-12-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-26
(86)【国際出願番号】 CN2021140386
(87)【国際公開番号】W WO2022135456
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-06-20
(31)【優先権主張番号】202011560261.0
(32)【優先日】2020-12-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】508256455
【氏名又は名称】闊脳有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100143720
【弁理士】
【氏名又は名称】米田 耕一郎
(72)【発明者】
【氏名】鄭美麗
【審査官】大橋 俊之
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3208766(JP,U)
【文献】特開2004-249088(JP,A)
【文献】登録実用新案第3177133(JP,U)
【文献】登録実用新案第3216326(JP,U)
【文献】登録実用新案第3226850(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 27/08
A47G 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
静的平衡調節システムであって、
第一袋体(10)と、
第二袋(10)と、
調整弁(20)
第一自己充填弁(40)と
第二自己充填弁(40)と、を含み、
記第一袋(10)および前記第二袋体(10)は、それぞれ、内部空間に外部圧力(30)を受ける弾性復帰装置(11)を有し、
記調整弁(20)が前記第一袋(10)と前記第二袋体(10)とに繋がっていて、前記調整弁(20)は、前記第一袋(10)と前記第二袋体とがそれぞれ外部圧力(30)を受けたときに前記調整弁(20)に向かって発生する空気圧に対抗するための調整可能であって予め調整された逆止抵抗力を提供し
さらに、
第一自己充填弁(40)および第二自己充填弁(40)は、それぞれ、第一室と、第二室と、を有し、
前記第一室は大気に通じる第一開口(41)を有するとともに、前記第一開口(41)は、第一気密部材(42)で閉じられており、前記第一気密部材(42)は、大気側から当該第一室に向かう気流は当該第一気密部材(42)の弾性力を超えた場合にのみ通し、前記第一室から大気側に向かう気流は必ず封じるように前記第一開口(41)を閉じており、
さらに、前記第一室と前記第二室とは仕切り板で仕切られていて、前記仕切り板は前記第一室と前記第二室とを通じさせる第二開口(41)を有していて、前記第二開口(41)は、第二気密部材(42)で閉じられており、前記第二気密部材(42)は、前記第一室から前記第二室に向かう気流は通すがその逆は閉じるように前記第二開口(41)を閉じており、
前記第一自己充填弁(40)の前記第一室は前記第一袋体(10)に連通し、
前記第一自己充填弁(40)の前記第二室は前記調整弁(20)に連通し、
前記第二自己充填弁(40)の前記第一室は前記第二袋体(10)に連通し、
前記第二自己充填弁(40)の前記第二室は前記調整弁(20)に連通し、
記外部圧力(30)が前記第一袋(10)およびその前記弾性復帰装置(11)と前記第二袋体(10)およびその前記弾性復帰装置(11)とをそれぞれ押したきに、内部空間の大きさが変化する前記第一袋体(10)および前記第二袋(10)と、密度と弾性とが変化する弾性復帰装置(11)と、を選択して用いることにより
前記外部圧力(30)が前記第一袋体(10)およびその前記弾性復帰装置(11)と前記第二袋体(10)およびその前記弾性復帰装置(11)とをそれぞれ押したときに前記第一袋体(10)およびその前記弾性復帰装置(11)と前記第二袋体(10)およびその前記弾性復帰装置(11)との変化に応じた反発力をそれぞれ発生し、つ、前記調整弁(20)の調整設定により発生する平衡力を組み合わせ、前記第一袋体(10)と前記第二袋(10)とにそれぞれサポート力を具備させ
記外部圧力(30)、前記第一袋体(10)および前記第二袋(10)、前記調整弁(20)の間で静的平衡作用を構成することで、前記第一袋体(10)および前記第二袋(10)のサポート力が調整され、かつ、前記第一袋体(10)および前記第二袋(10)の内部空間のサイズが自動的に調整され、これにより、前記第一袋体(10)および前記第二袋体(10)の厚み形状が自動的に決まって成形され
ことを特徴とする静的平衡調節システム。
【請求項2】
請求項1に記載の静的平衡調節システムにおいて、
前記弾性復帰装置(11)が、発泡材料、フォーム、ゴム、バネ、板バネのいずれかである、
ことを特徴とする静的平衡調節システム。
【請求項3】
請求項1に記載の静的平衡調節システムにおいて、
前記調整弁(20)が、弁口(21)と、弁片(22)と、弾性部材(23)と、押圧体(24)とを含み、前記弁口(21)が前記調整弁(20)内部に設けられ、かつ前記袋体(10)に連通され、前記弁片(22)が前記弁口(21)に密着してこれを封止するために用いられ、前記弾性部材(23)が弾性的に前記弁片(22)に当接され、前記押圧体(24)が前記調整弁(20)の一側に設置され、前記弾性部材(23)を押圧するために用いられる、
ことを特徴とする静的平衡調節システム。
【請求項4】
請求項3に記載の静的平衡調節システムにおいて、
前記弾性部材(23)がバネである、
ことを特徴とする静的平衡調節システム。
【請求項5】
請求項3に記載の静的平衡調節システムにおいて、
前記押圧体(24)が可動的に前記調整弁(20)に螺着される、
ことを特徴とする静的平衡調節システム。
【請求項6】
請求項3に記載の静的平衡調節システムにおいて、
前記押圧体(24)が押動可能に前記調整弁(20)に設置される、
ことを特徴とする静的平衡調節システム。
【請求項7】
請求項1に記載の静的平衡調節システムにおいて、
前記第一袋体(10)および前記第二袋体(10)に加えて、さらに、内部空間に外部圧力(30)を受ける弾性復帰装置(11)を有する第三袋体(10)が配置されていて、
前記第一袋体(10)と前記第二袋体(10)と前記第三袋体(10)とは互いに独立していて、
前記第三袋体(10)が内外を連通するエアダクト(12)を備え、前記第三袋体(10)が押されたときにその内部の空気を前記エアダクト(12)から適量逃がす
ことを特徴とする静的平衡調節システム。
【請求項8】
請求項1に記載の静的平衡調節システムにおいて、
記第一袋体(10)と前記第二袋(10)とが、枕体(60)に並べて設置され、前記枕体(60)が枕カバー内に装入されて枕製品が構成される
ことを特徴とする静的平衡調節システム
【請求項9】
請求項1に記載の静的平衡調節システムにおいて、
前記第一袋体(10)および前記第二袋体(10)に加えて、さらに、内部空間に外部圧力(30)を受ける弾性復帰装置(11)を有する第三袋体(10)が配置されていて、
さらに、前記第一自己充填弁(40)および前記第二自己充填弁(40)に加えて第三自己充填弁(40)が設けられ、
前記第三自己充填弁(40)は、前記第一自己充填弁(40)および前記第二自己充填弁(40)と同じく、第一室と、第二室と、を有し、
前記第一室は大気に通じる第一開口(41)を有するとともに、前記第一開口(41)は、第一気密部材(42)で閉じられており、前記第一気密部材(42)は、大気側から当該第一室に向かう気流は当該第一気密部材(42)の弾性力を超えた場合にのみ通し、前記第一室から大気側に向かう気流は必ず封じるように前記第一開口(41)を閉じており、
さらに、前記第一室と前記第二室とは仕切り板で仕切られていて、前記仕切り板は前記第一室と前記第二室とを通じさせる第二開口(41)を有していて、前記第二開口(41)は、第二気密部材(42)で閉じられており、前記第二気密部材(42)は、前記第一室から前記第二室に向かう気流は通すがその逆は閉じるように前記第二開口(41)を閉じており、
このとき、前記第三袋体(10)は、前記第三自己充填弁(40)を介して、前記第一袋体(10)と前記第二袋体(10)とが共通して繋がる一つの前記調整弁(20)とは別体の他の前記調整弁(20)に繋がっている
ことを特徴とする静的平衡調節システム。
【請求項10】
請求項3に記載の静的平衡調節システムにおいて、
前記調整弁(20)の弁口(21)周囲に凹面(211)が設けられ、前記弁片(22)に前記凹面(211)に対応する凸面(221)が設けられ、前記凹面(211)と前記凸面(221)が相互に密着され、前記弁片(22)の下側に、前記弁口(21)を閉塞せず、前記弁口(21)に接触せずに、前記弁口(21)に貫入される位置決め柱体(222)が設けられる、
ことを特徴とする静的平衡調節システム
【請求項11】
請求項9に記載の静的平衡調節システムにおいて、
二つまたは二つ以上の前記調整弁(20)が一つのケース(50)に収容されている
ことを特徴とする静的平衡調節システム。
【請求項12】
請求項1に記載の静的平衡調節システムにおいて、
前記第一袋(10)および前記第二袋体(10)が受動体であり、前記外部圧力(30)は、能動体が前記第一袋体(10)および前記第二袋(10)に対して能動的に加えて発生する力であ
ことを特徴とする静的平衡調節システム。
【請求項13】
請求項1に記載の静的平衡調節システムにおいて、
前記第一袋体(10)および前記第二袋(10)が能動体として受動体に向かって移動し、密着することで発生する相対的な反力が前記外部圧力(30)となる
ことを特徴とする静的平衡調節システム。
【請求項14】
請求項1に記載の静的平衡調節システムにおいて、
記第一袋(10)および前記第二袋体(20)の少なくとも一方は、複数層の重畳結合状であり、結合箇所が通孔(13)を備え、複数層の内部空気が前記通孔(13)を介して相互に流通可能であり、サポート高さを増加するために用いるほか、前記外部圧力(30)が消失したとき、前記複層に同時に気体を充填し開かせることができ
ことを特徴とする静的平衡調節システム。
【請求項15】
静的平衡調節方法であって、
第一袋体(10)と、
第二袋(10)と、
調整弁(20)
第一自己充填弁(40)と
第二自己充填弁(40)と、を含み、
記第一袋(10)および前記第二袋体(10)は、それぞれ、内部空間に外部圧力(30)を受ける弾性復帰装置(11)を有し、
前記調整弁(20)が前記第一袋(10)と前記第二袋体(10)とに繋がっていて、前記少なくとも1つの調整弁(20)は、前記第一袋(10)と前記第二袋体とがそれぞれ外部圧力(30)を受けたときに前記調整弁(20)に向かって発生する空気圧に対抗するための調整可能であって予め調整された逆止抵抗力を提供し、
さらに、
第一自己充填弁(40)および第二自己充填弁(40)は、それぞれ、第一室と、第二室と、を有し、
前記第一室は大気に通じる第一開口(41)を有するとともに、前記第一開口(41)は、第一気密部材(42)で閉じられており、前記第一気密部材(42)は、大気側から当該第一室に向かう気流は当該第一気密部材(42)の弾性力を超えた場合にのみ通し、前記第一室から大気側に向かう気流は必ず封じるように前記第一開口(41)を閉じており、
さらに、前記第一室と前記第二室とは仕切り板で仕切られていて、前記仕切り板は前記第一室と前記第二室とを通じさせる第二開口(41)を有していて、前記第二開口(41)は、第二気密部材(42)で閉じられており、前記第二気密部材(42)は、前記第一室から前記第二室に向かう気流は通すがその逆は閉じるように前記第二開口(41)を閉じており、
前記第一自己充填弁(40)の前記第一室は前記第一袋体(10)に連通し、
前記第一自己充填弁(40)の前記第二室は前記調整弁(20)に連通し、
前記第二自己充填弁(40)の前記第一室は前記第二袋体(10)に連通し、
前記第二自己充填弁(40)の前記第二室は前記調整弁(20)に連通し、
記外部圧力(30)が前記第一袋(10)およびその前記弾性復帰装置(11)と前記第二袋体(10)およびその前記弾性復帰装置(11)とをそれぞれ押したきに、内部空間の大きさが変化する前記第一袋体(10)および前記第二袋(10)と、密度と弾性とが変化する弾性復帰装置(11)と、を選択して用いることにより
前記外部圧力(30)が前記第一袋体(10)およびその前記弾性復帰装置(11)と前記第二袋体(10)およびその前記弾性復帰装置(11)とをそれぞれ押したときに前記第一袋体(10)およびその前記弾性復帰装置(11)と前記第二袋体(10)およびその前記弾性復帰装置(11)との変化に応じた反発力をそれぞれ発生し、つ、前記調整弁(20)の調整設定により発生する平衡力を組み合わせ、前記第一袋体(10)と前記第二袋(10)とにそれぞれサポート力を具備させ
記外部圧力(30)、前記第一袋体(10)および前記第二袋(10)、前記調整弁(20)の間で静的平衡作用を構成することで、前記第一袋体(10)および前記第二袋(10)のサポート力を調整し、かつ、前記第一袋体(10)および前記第二袋(10)の内部空間のサイズを自動的に調整し、これにより、前記第一袋体(10)および前記第二袋体(10)の厚み形状が自動的に決まって成形され
ことを特徴とする静的平衡調節方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調節システム及び方法に関し、特に、袋体の技術分野の静的平衡調節システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な空気充填・排気が可能なエアバッグやエアクッションなどは、クッションや枕、マットレスなど多くの商品分野に使用されており、通常その構造には弁体が接続され、弁体内に設けられたエアチャンバの弁口を開閉することにより、弁体がエアバッグやエアクッション内の空気の出入りを制御できる構造になっている。
【0003】
しかしながら、一般にエアバッグやエアクッションの使用時、人体の頭部や体などが当該エアバッグやエアクッションに圧力を加えたとき、弁体はせいぜい排気の機能を発揮できるのみであり、エアバッグやエアクッションにかかるさまざまな圧力の大きさ(例えば、頭部や体の重量)に対応して、異なる大きさの反力でエアバッグやエアクッションの空気圧に対抗することはできず、エアバッグやエアクッションのサポート力(即ち、硬軟度)、高さを個人のニーズに合わせて調整することはできない。また、応用可能な商品範囲が狭く、実用性に乏しい。
【0004】
このため、現在のエアバッグ、エアクッションの構造、昨日はまだ理想的とは言えない状態である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、「静的平衡」を利用して袋体のサポート力(即ち、硬軟度)、高さを調整できる、静的平衡調節システムを提供することにある。
【0006】
本発明の別の目的は、「静的平衡」を利用して袋体のサポート力(即ち、硬軟度)、高さを調整できる、静的平衡調節方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下この発明について説明する。請求項1に記載する静的平衡調節システムは、少なくとも1つの袋体と、少なくとも1つの調整弁と、を含み、当該袋体が、内部空間に外部圧力を受ける弾性復帰装置を備え、当該少なくとも1つの調整弁が、当該袋体に連通され、当該袋体が外部圧力を受けることで当該調整弁に向かって発生する空気圧に対抗するための調整可能な逆止抵抗力を提供し、当該外部圧力が当該袋体、当該弾性復帰装置を押し下げたとき、内部空間の大きさが異なる袋体と、異なる密度と弾性の弾性復帰装置を選択して用いることにより、異なる負圧と反発力を発生させ、かつ当該調整弁の調整設定により発生する平衡力を組み合わせ、当該袋体に負圧差のサポート力を具備させ、当該外部圧力、当該袋体、当該調整弁の間で静的平衡作用を構成することで、当該袋体のサポート力、高さを調整可能とし、かつ当該袋体がサポート力、高さを調整した後、負圧の作用により自動的に位置決め・成形される。
【0008】
請求項2に記載する静的平衡調節システムは、請求項1における弾性復帰装置が、発泡材料、フォーム、ゴム、バネ、板バネのいずれかである。
【0009】
請求項3に記載する静的平衡調節システムは、請求項1における調整弁が、弁口と、弁片と、弾性部材と、押圧体とを含み、当該弁口が当該調整弁内部に設けられ、かつ当該袋体に連通され、当該弁片が当該弁口に密着してこれを封止するために用いられ、当該弾性部材が弾性的に当該弁片に当接され、当該押圧体が当該調整弁の一側に設置され、当該弾性部材を押圧するために用いられる。
【0010】
請求項4に記載する静的平衡調節システムは、請求項3における弾性部材がバネである。
【0011】
請求項5に記載する静的平衡調節システムは、請求項3における押圧体が可動的に当該調整弁に螺着される。
【0012】
請求項6に記載する静的平衡調節システムは、請求項3における押圧体が押動可能に当該調整弁に設置される。
【0013】
請求項7に記載する静的平衡調節システムは、請求項1における袋体が自己充填弁に連通され、当該自己充填弁に複数の開孔が設けられ、当該自己充填弁内の当該複数の開孔間に気密部材が設置され、当該気密部材が弾性材料から選択され、当該気密部材が当該開孔を弾性的に封止する。
【0014】
請求項8に記載する静的平衡調節システムは、請求項1における袋体が、枕体内に複数並べて設置することができ、当該枕体が枕カバー内に装入されて枕製品が構成され、そのうち、中央の袋体が両側の袋体と互いに連通されず、独立して動作する袋体を形成し、当該中央の袋体が内外を連通するエアダクトを備え、当該中央の空間が押し下げられたときにその内部の空気を適量逃がすために用いられる。
【0015】
請求項9に記載する静的平衡調節システムは、請求項7における自己充填弁内に、仕切り板を介して別の気密部材が設置され、当該袋体が自己充填して空気を吸い戻すとき、別の気密部材の気密作用により、当該袋体が当該調整弁及びその管路の気体を吸い込むことがないように構成される。
【0016】
請求項10に記載する静的平衡調節システムは、請求項3における調整弁の弁口周囲に凹面が設けられ、当該弁片に当該凹面に対応する凸面が設けられ、当該凹面と当該凸面が相互に密着され、当該弁片の下側に、当該弁口を閉塞せず、当該弁口に接触せずに、当該弁口に貫入される位置決め柱体が設けられる。
【0017】
請求項11に記載する静的平衡調節システムは、請求項1における袋体、当該調整弁が2セット以上であってもよく、かつケースにより当該調整弁が収容される。
【0018】
請求項12に記載する静的平衡調節システムは、請求項1における外部圧力が、当該袋体が受動体であり、能動体が当該袋体に対して能動的に加えて発生する力である。
【0019】
請求項13に記載する静的平衡調節システムは、請求項1における外部圧力が、当該袋体が能動体として受動体に向かって移動し、密着することで発生する相対的な反力である。
【0020】
請求項14に記載する静的平衡調節システムは、請求項1における袋体が複数層の重畳結合状であり、当該結合箇所が通孔を備え、複数層の重畳状の袋体の内部空気が当該通孔を介して相互に流通可能であり、サポート高さを増加するために用いるほか、当該外部圧力が消失したとき、複数層の重畳状の当該袋体に同時に気体を充填し、複数層の重畳状の当該袋体内の当該弾性復帰装置に同時に負圧、反発力を発生させて当該袋体を開かせることができる。
【0021】
請求項15に記載する静的平衡調整方法は、
a. 袋体の内部空間に外部圧力を受ける弾性復帰装置が設置され、調整弁が当該袋体に連通され、当該袋体が外部圧力を受けることで当該調整弁に向かって発生する空気圧に対抗するための調整可能な逆止抵抗力を提供する工程と、
b. 当該外部圧力が当該袋体、当該弾性復帰装置を押し下げたとき、内部空間の大きさが異なる袋体と、異なる密度と弾性の弾性復帰装置を選択して用いることにより、異なる負圧と反発力を発生させ、当該調整弁の調整設定により発生する平衡力を組み合わせ、当該袋体に負圧差のサポート力を具備させ、当該外部圧力、当該袋体、当該調整弁の間で静的平衡作用を構成することで、当該袋体のサポート力、高さを調整可能とし、かつ当該袋体がサポート力、高さを調整した後、負圧の作用により自動的に位置決め・成形される工程と、を含む。
【発明の効果】
【0022】
上述の方法により、本発明はエアバッグ、エアクッションが受けるさまざまな大きさの圧力(頭部や身体の重量など)に対応し、エアバッグやエアクッションにかかるさまざまな圧力の大きさ(例えば、頭部や体の重量)に対応して、異なる大きさの反力でエアバッグやエアクッションの空気圧に対抗し、エアバッグやエアクッションのサポート力(即ち、硬軟度)、高さを個人のニーズに合わせて調整することができ、実用性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明のシステムブロック図である。
図2】本発明の実施例1の断面図である。
図3】本発明の使用状態を示す実施例の断面図である。
図4】本発明の使用状態を示す実施例の断面図である。
図5】本発明の使用状態を示す実施例の断面図である。
図6】本発明の押圧体を回して異なる移動度合いを形成することで、当該弾性部材を押圧して異なる変形度合いを生じさせることができる使用状態を示す実施例の断面図である。
図7】本発明の押圧体を回して異なる移動度合いを形成することで、当該弾性部材を押圧して異なる変形度合いを生じさせることができる使用状態を示す実施例の断面図である。
図8】本発明の一体として統合した調整弁と自己充填弁を示す断面図である。
図9】本発明の実施例2の断面図である。
図10】本発明の実施例3の断面図である。
図11】本発明の実施例4の立体分解図である。
図12】本発明の実施例4の立体図である。
図13】本発明の自己充填弁の別の構造を示す断面図である。
図14】本発明の調整弁の別の構造を示す断面図である。
図15】本発明の実施例5の立体分解図である。
図16】本発明の実施例5の立体図である。
図17】本発明の実施例5における袋体、調整弁、自己充填弁の配置図である。
図18】本発明の外部圧力の使用例を示す概略図1である。
図19】本発明の外部圧力の使用例を示す概略図2である。
図20】本発明の複数層の重畳状の袋体の構造を示す概略図である。
図21】本発明の複数層の重畳結合状の袋体の構造を示す概略図である。
図22図22は本発明の弾性復帰装置の別の構造の実施例図を示す断面図である。
図23図23は本発明の弾性復帰装置のさらに別の構造の実施例図を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1図2図3図4に示すように、本発明の静的平衡調節システムは、袋体10と、調整弁20を含む。以下で詳細に説明する。当該袋体10は内部空間に外部圧力30を受けるための弾性復帰装置11を備えている。
【0025】
当該調整弁20は当該袋体10に連通され、当該袋体10が外部圧力30を受けることで当該調整弁20に向かって発生する空気圧に対抗するための調整可能な逆止抵抗力を提供する。
【0026】
一実施例において、当該弾性復帰装置11は発泡材料、フォーム、ゴム、綿材(綿花など)、合成綿などのいずれかであり、反発力を生み出すために用いられる。
【0027】
一実施例において、当該調整弁20が、弁口21と、弁片22と、弾性部材23と、押圧体24を含み、そのうち、当該弁口21が当該調整弁20内部に設けられ、かつ当該袋体10に連通され、当該弁片22が当該弁口21に密着してこれを封止するために用いられ、当該弾性部材23が弾性的に当該弁片22に当接され、当該押圧体24が当該調整弁20の一側に設置され、当該弾性部材23を押圧するために用いられる。
【0028】
一実施例において、当該弾性部材23がバネから選択される。
【0029】
図3図4に示すように、当該外部圧力30が当該袋体10、当該弾性復帰装置11を押し下げたとき(本実施例では外部圧力30として頭部が当該袋体10、当該弾性復帰装置11を押し下げている)、内部空間の大きさが異なる袋体10と、異なる密度と弾性の弾性復帰装置11を選択して用いることにより、異なる負圧と反発力を発生させ、かつ当該調整弁20の調整設定により発生する平衡力を組み合わせ、当該袋体10に負圧差のサポート力を具備させ、当該外部圧力30、当該袋体10、当該調整弁20の間で静的平衡作用を構成することで、当該袋体10のサポート力、高さを調整可能とし、かつ当該袋体10がサポート力、高さを調整した後、負圧の作用により自動的に位置決め・成形される。
【0030】
当該外部圧力30が当該袋体10、当該弾性復帰装置11を押し下げると(例えば、頭部が袋体10に載せられたとき)、当該弁口21が空気圧を発生して弁片22を押し開き、空気の一部が当該調整弁20に設けられた通孔を介して当該調整弁20から排出された後、当該弾性部材23、当該弁片22を介して当該弁口21が弾性的に封止され、当該袋体10が外部圧力30を受けることで当該調整弁20に向かって発生する空気圧に対抗するための対応する逆止抵抗力が提供され、袋体10のサポートと平衡の作用が達成される。
【0031】
図2に示すように、一実施例において、当該袋体10が自己充填弁40に連通され、当該自己充填弁40に複数の開孔41が設けられ、当該自己充填弁40内の当該複数の開孔41間に気密部材42が設置され、当該気密部材42が弾性材料から選択され、当該気密部材42が当該開孔41を弾性的に封止する。
【0032】
図5に示すように、外部圧力30が当該袋体10、当該弾性復帰装置11を押し下げていないとき(頭部が袋体10から離れているときなど)、弾性復帰装置11が負圧、反発力を発生して当該袋体10を開き、袋体10の空気圧が自己充填弁40の気密部材42を吸い戻し、気密部材42が袋体10の空気圧による吸い戻し作用により弾性的に変形して開孔41が自動的に開かれ、外部の空気が吸入されて開孔41から自己充填弁40に進入した後、袋体10内に進入し、袋体10に自動的に再度空気を充填させて元の状態を回復させることができ、弾性復帰装置11の弾性疲労による変形を回避できる。
【0033】
当該袋体10を再度使用するとき、袋体10の高さは、調整弁20で調整・設定された逆止抵抗力に基づき静的平衡作用が発生し、高さあるいは硬さの記憶保持が存在する状態が維持される。
【0034】
図6図7に示すように、一実施例において、当該押圧体24が可動的に当該調整弁20に螺着される。
【0035】
当該押圧体24を回して異なる移動度合いを形成することで、当該弾性部材23を押圧して異なる変形度合いを生じさせ、当該弁片22を異なる大きさの逆止抵抗力で袋体10の空気圧に抵抗させることができ、個人のニーズに応じて当該袋体10のサポート力、高さを調整する機能が達成され、つまり当該袋体10の硬さを調整することができる。
【0036】
かつ、当該袋体10はサポート力、高さの調整後、負圧の作用により自動的に位置決め・成形される。例えば、横になって頭部を当該袋体10上に置いたとき、個人のニーズに応じて当該袋体10のサポート力、高さの作用を調整する効果に加え、当該袋体10が自動的に位置決め・成形された後、頭部によりフィットして快適性を高めることができる。
【0037】
図8に示すように、一実施例において、当該調整弁20と、当該自己充填弁40が統合され、一体の形状を構成する。
【0038】
図9に示すように、一実施例において、当該押圧体24は押動可能に当該調整弁20に設置される。
【0039】
当該押圧体24を回して異なる移動度合いを形成することで、当該弾性部材23を押圧して異なる変形度合いを生じさせ、当該弁片22を異なる大きさの逆止抵抗力で袋体10の空気圧に抵抗させることができる。
【0040】
当該調整弁20と当該押圧体24の接触箇所には、さらに波型または山型の凹凸状の嵌合構造を設け、当該押圧体24の調整・移動後に自動的に位置決めできるようにしてもよい。
【0041】
図10に示すように、一実施例において、当該押動可能な押圧体24の当該調整弁20と、当該自己充填弁40が統合され、一体の形状を構成する。
【0042】
図11図12に示すように、一実施例において、当該袋体10は3つを配列して枕体60内に設置してもよく、当該枕体60が枕カバー体61内に装入され、枕製品を構成するために用いられる。
【0043】
そのうち、中央の袋体10は両側の袋体10と互いに連通されず、独立して動作する袋体を形成し、当該中央の袋体10は内外を連通するエアダクト12を備え、当該中央の空間12が押し下げられたときにその内部の空気を適量逃がすために用いられる。
【0044】
これにより、頭部を枕体60に載せたとき、中央が低く、両側が高い態様を成すことができ、より頭部にフィットして人間工学的に適したサポート力と安定性が得られ、頭部のリラックス効果を高めることができる。
【0045】
このほか、当該調整弁20は2つの独立した袋体10を連通しており、独立した各袋体10のそれぞれに独立した自己充填弁40が配置される。
【0046】
これに基づき、この構造を枕に応用することで、枕に複数のそれぞれ独立した静的調整ゾーンを形成することができ、独立した各袋体10と調整弁20が調整の動作を行うときは、それぞれが独立して動作し、独立した各袋体10内の空気の流れが互いに影響し合うことがなく、つまり、枕は、頭部によって押し下げられる区域のみに調整動作があり、頭部が接触しない他の区域には調整動作がない。これにより、独立した各袋体10の調整精度が向上し、枕のフィット感や快適性も向上される。
【0047】
図13に示すように、一実施例において、当該自己充填弁40内に仕切り板を介して別の気密部材42が設置され、当該袋体が自己充填して空気を吸い戻すとき、別の気密部材42の気密作用により、当該袋体が当該調整弁及び20その管路の気体を吸い込むことがなく、袋体10が自己充填して空気を吸い戻すときの空気の流れがより安定し、かつ袋体10の調整もより安定する。
【0048】
図14に示すように、一実施例において、当該調整弁20の弁口21の周囲に凹面211が設けられ、当該弁片22に当該凹面211に対応する凸面221が設けられ、当該凹面211、当該凸面221が相互に密着されて接触面積が増加し、位置決め力が増進される。当該弁片22が当該弁口21の位置から離脱しにくくするために、当該弁片22の下側に、当該弁口21を閉塞せず、当該弁口21に接触せずに、当該弁口21に貫入される位置決め柱体222が設けられる。
【0049】
これにより、当該弁片22は、弁口21を封止するとき、あるいは空気圧で弁口21を押し開くときを問わず、いずれも位置規制されて当該弁口21の位置に確実に位置決めされ、当該弁片22による当該弁口21の開閉精度を向上させることができる。
【0050】
図15図16図17に示すように、一実施例において、当該袋体10と、当該調整弁20は2セット以上であってもよく、かつケース50により当該調整弁20が収容され、美観効果を備えている。
【0051】
本発明は2つの調整弁20を含み、そのうち1つの調整弁20が2つの独立した袋体10と、2つの独立した自己充填弁40を連通し、2つの袋体10が両側に設置され、もう1つの調整弁20が1つの独立した袋体10と、1つの独立した自己充填弁40を連通し、当該袋体10が中央に設置される。
【0052】
これにより、異なる調整弁20を使用することで異なる独立した袋体10を個別に制御でき、枕製品に応用した場合、頭部が載せられると、各袋体10がそれぞれが受けた圧力に基づいて、それぞれが独立したサポート力(即ち、硬さ)、高さの調整を行うことができ、袋体10の調整精度を向上させると同時に、枕のフィット性と快適性を高めることもできる。
【0053】
図18に示すように、一実施例において、当該外部圧力30は、当該袋体10が受動体であり、人体等の能動体が当該袋体10に対して能動的に加えて発生する力である(例えば当該袋体10を椅子や枕、クッション等の製品に応用したときに人体が載せられるなど)。
【0054】
図19に示すように、一実施例において、当該外部圧力30は、当該袋体10が能動体として、人体などの受動体に向かって移動し、密着することで発生する相対的な反力である(例えば、当該袋体10を頚椎コルセットや膝当てなどの製品に応用し、人体の胴体や器官にフィットさせるなど)。
【0055】
図20に示すように、一実施例において、当該袋体10は複数層の重畳状であり、各袋体10がいずれも当該調整弁20に連通され、サポート高さを増加するために用いるほか、当該外部圧力が消失したとき、複数層の重畳状の当該袋体10に同時に気体を充填し、複数層の重畳状の袋体10内の弾性復帰装置に同時に負圧、反発力を発生させて当該袋体10を開かせることができ、元の高さ、形状を迅速に回復することができる。
【0056】
図21に示すように、一実施例において、当該袋体10は複数層の重畳結合状であり、結合箇所がホットプレスや熱融着などの技術的手段により気密性が達成され、当該結合箇所が通孔13を備え、複数層の重畳状の袋体10の内部空気が当該通孔13を介して相互に流通可能であり、サポート高さを増加するために用いるほか、当該外部圧力30が消失したとき、複数層の重畳状の袋体10に同時に気体を充填し、複数層の重畳状の袋体内の弾性復帰装置11に同時に負圧、反発力を発生させて当該袋体10を開かせることができ、元の高さ、形状を迅速に回復することができる。
【0057】
図22に示すように、一実施例において、当該弾性復帰装置11はバネであり、反発力を発生させるために用いられる。
【0058】
図23に示すように、一実施例において、当該弾性復帰装置11は板バネであり、反発力を発生させるために用いられる。
【0059】
図1に示すように、本発明の静的平衡調整方法は、a. 袋体10の内部空間に外部圧力を受ける弾性復帰装置11が設置され、調整弁20が当該袋体10に連通され、当該袋体10が外部圧力30を受けることで当該調整弁20に向かって発生する空気圧に対抗するための調整可能な逆止抵抗力を提供する工程と、b. 当該外部圧力30が当該袋体10と、当該弾性復帰装置11を押し下げたとき、内部空間の大きさが異なる袋体10と、異なる密度と弾性の弾性復帰装置11を選択して用いることにより、異なる負圧と反発力を発生させる工程と、c. 当該調整弁20の調整設定により発生する平衡力を組み合わせ、当該袋体10に負圧差のサポート力を具備させ、当該外部圧力、当該袋体10、当該調整弁20の間で静的平衡作用を構成することで、当該袋体10のサポート力、高さを調整可能とし、かつ当該袋体10がサポート力、高さを調整した後、負圧の作用により自動的に位置決め・成形される工程と、を含む。
【0060】
以上、本発明で挙げた実施例は、説明のためのものであり、これを以て本発明の意味を限定するものではなく、記載された特許出願の範囲に基づいた各種の設計転換は、すべて本発明の特許範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
袋体10
弾性復帰装置11
エアダクト12
通孔13
調整弁20
弁口21
凹面211
弁片22
凸面221
位置決め柱体222
弾性部材23
押圧体24
外部圧力30
自己充填弁40
開孔41
気密部材42
弾性体43
ケース50
枕体60
枕カバー体61
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23