(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】茶道ロボット
(51)【国際特許分類】
A47J 31/00 20060101AFI20241128BHJP
A47J 31/44 20060101ALI20241128BHJP
A47J 31/60 20060101ALI20241128BHJP
A47B 31/00 20060101ALI20241128BHJP
A47B 31/02 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
A47J31/00 101
A47J31/44 100
A47J31/60
A47B31/00 Z
A47B31/02 A
(21)【出願番号】P 2024181913
(22)【出願日】2024-10-17
【審査請求日】2024-10-17
(31)【優先権主張番号】202311624796.3
(32)【優先日】2023-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202311626318.6
(32)【優先日】2023-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202311625923.1
(32)【優先日】2023-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524383074
【氏名又は名称】東茗知能科技(東莞)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100230086
【氏名又は名称】譚 粟元
(72)【発明者】
【氏名】許 永偉
(72)【発明者】
【氏名】李 建枢
(72)【発明者】
【氏名】劉 暁▲カン▼
【審査官】川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】特表2022-502273(JP,A)
【文献】実開平5-24567(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0273498(US,A1)
【文献】韓国公開特許第2003-0040586(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第103598782(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106388586(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第114176393(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第114983134(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第116725444(CN,A)
【文献】中国実用新案第220045231(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/00-31/60
A47G 19/00-19/34
A47B 31/00-31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板が形成された茶盤と、
前記茶盤の前記天板に設けられた茶入れ装置と、
前記茶盤に内臓された二軸移動装置と、
前記二軸移動装置に設けられた移動台と、
前記移動台に設けられた電磁石と、
底に磁石が固定され前記茶盤の前記天板に載置された茶碗と、を備え、
前記茶入れ装置は、
茶葉を投入可能な開口が形成された茶入れ室と、
茶供給ポンプ及び第1排水ポンプが内臓され、前記茶入れ室の下方に設けられた第1ポンプ室と、
前記第1ポンプ室の下方に設けられた貯茶室と、
出茶ポンプ及び第2排水ポンプが内臓され、前記貯茶室の下方に設けられた第2ポンプ室と、
前記第2ポンプ室の底に形成された出茶口と、
熱湯を前記茶入れ室に供給する熱湯供給部と、を有し、
前記茶供給ポンプ及び前記第1排水ポンプは、これらの入力ポートが前記茶入れ室と接続され、
前記茶供給ポンプの出力ポートは、前記貯茶室と接続され、
前記出茶ポンプ及び前記第2排水ポンプは、これらの入力ポートが前記貯茶室と接続され、
前記出茶ポンプの出力ポートは、前記出茶口と接続されている、
茶道ロボット。
【請求項2】
前記茶入れ装置は、
回転することにより前記開口を開閉可能に設けられた蓋と、
前記蓋を回転駆動させる第1駆動部と、
前記第1駆動部の回転を前記蓋の回転軸に伝達するリンクと、さらに有し、
前記蓋には、一端が前記熱湯供給部と接続された供給管が内臓され、
前記供給管には、前記熱湯供給部からの熱湯を前記茶入れ室に供給する複数の供給孔が形成されている、
請求項1に記載の茶道ロボット。
【請求項3】
前記熱湯供給部は、上下方向に沿って前記第2ポンプ室、前記貯茶室及び第1ポンプ室と重なるように設けられ、
前記第1駆動部は、前記熱湯供給部の真上に位置する、
請求項2に記載の茶道ロボット。
【請求項4】
前記貯茶室には、前記貯茶室を加熱するヒータと、前記貯茶室の温度を検出する温度センサとが装着されている、
請求項1に記載の茶道ロボット。
【請求項5】
前記茶盤の側面にヒンジ接続された載置部と、
前記載置部に固定された荷重センサと、
前記載置部を回転駆動させて前記載置部の収納状態と前記載置部の展開状態とを切り替えるように前記茶盤に内臓された第2駆動部と、をさらに備える、
請求項1に記載の茶道ロボット。
【請求項6】
前記茶盤の前記載置部が接続された前記側面に設けられた操作パネルをさらに備える、
請求項5に記載の茶道ロボット。
【請求項7】
前記茶盤の長手方向の一端側に位置するとともに前記茶入れ装置と隣接するように前記茶盤の前記天板に設けられた茶碗洗浄装置をさらに備る、
請求項1に記載の茶道ロボット。
【請求項8】
前記茶碗洗浄装置の全部及び前記茶入れ装置の一部が収容されるように前記茶盤の前記天板に設けられた収容ケースをさらに備え、
前記収容ケースは、前記茶碗洗浄装置の全部を収容するための第1収容室と、前記茶入れ装置の一部を収容するための第2収容室と、を有し、
前記第1収容室及び前記第2収容室は、幅方向に沿って配列されている。
請求項7に記載の茶道ロボット。
【請求項9】
前記茶盤の長手方向の他端に臨む前記収容ケースの側壁には、前記茶碗が出入可能な茶供給用出入口が形成され、
前記茶供給用出入口は、前記第2収容室の内外を連通している、
請求項8に記載の茶道ロボット。
【請求項10】
前記収容ケースの前記側壁には、前記茶碗が出入可能な回収用出入口が形成され、
前記回収用出入口は、前記第1収容室の内外を連通している、
請求項9に記載の茶道ロボット。
【請求項11】
前記収容ケースには、前記第1収容室と前記第2収容室とを連通する連通口が形成され、
前記収容ケースは、
前記回収用出入口を開閉可能に設けられた第1開閉扉と、
前記連通口を開閉可能に設けられた第2開閉扉と、を有する、
請求項10に記載の茶道ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茶道ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1(CN106388586A)には、茶入れ装置が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1のような茶入れ装置では、お茶を茶碗に入れることができるが、お茶が入った茶碗を自動搬送することができないという不具合があった。
【0004】
そこで、本発明は、お茶が入った茶碗を自動搬送することができる茶道ロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のある様態によれば、天板が形成された茶盤と、前記茶盤の前記天板に設けられた茶入れ装置と、前記茶盤に内臓された二軸移動装置と、前記二軸移動装置に設けられた移動台と、前記移動台に設けられた電磁石と、底に磁石が固定され前記茶盤の前記天板に載置された茶碗と、を備え、前記茶入れ装置は、茶葉を投入可能な開口が形成された茶入れ室と、茶供給ポンプ及び第1排水ポンプが内臓され、前記茶入れ室の下方に設けられた第1ポンプ室と、前記第1ポンプ室の下方に設けられた貯茶室と、出茶ポンプ及び第2排水ポンプが内臓され、前記貯茶室の下方に設けられた第2ポンプ室と、前記第2ポンプ室の底に形成された出茶口と、熱湯を前記茶入れ室に供給する熱湯供給部と、を有し、前記茶供給ポンプ及び前記第1排水ポンプは、これらの入力ポートが前記茶入れ室と接続され、前記茶供給ポンプの出力ポートは、前記貯茶室と接続され、前記出茶ポンプ及び前記第2排水ポンプは、これらの入力ポートが前記貯茶室と接続され、前記出茶ポンプの出力ポートは、前記出茶口と接続されている茶道ロボットが提供される。
【発明の効果】
【0006】
この発明によれば、お茶が入った茶碗を自動搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態に係る茶道ロボット(載置部が収納された状態)を示す第1斜視図である。
【
図2】茶道ロボット(載置部が収納された状態)を示す第2斜視図である。
【
図3】茶道ロボット(載置部が展開された状態)を示す斜視図である。
【
図4】茶道ロボットの各構成を示す分解斜視図である。
【
図6】茶碗洗浄装置の各構成を示す第1斜視図である。
【
図7】茶碗洗浄装置の各構成を示す第2斜視図である。
【
図10】茶入れ装置(外ケースを取り外した状態)の内部の各構成を示す第1斜視図である。
【
図11】茶入れ装置(外ケースを取り外した状態)の内部の各構成を示す第2斜視図である。
【
図12】茶入れ装置の内部の各構成を示す斜視図である。
【
図13】貯茶室の内部の各構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態(以下、本実施形態と称する)について説明する。本明細書においては、全体を通じて、同一の要素には同一の符号を付する。
【0009】
(茶道ロボットの構成)
まず、
図1から
図14を参照しながら本実施形態に係る茶道ロボットの構成について詳細に説明する。
【0010】
図1から
図14に示すように、本実施形態に係る茶道ロボットは、茶盤1と、茶盤1に内臓された二軸移動装置4と、二軸移動装置4に設けられた移動台5と、移動台5に設けられた電磁石6と、底に磁石31が固定され茶盤1に載置された茶碗30と、茶盤1の側面としてのフロント側面にヒンジ接続された載置部23と、載置部23に固定された荷重センサ24と、載置部23を回転駆動させるように茶盤1に内臓された第2駆動部としての第2モータ25と、茶盤1のフロント側面に設けられた操作パネル21と、茶盤1に設けられた茶入れ装置3と、茶盤1の長手方向(以下、単に長手方向ともいう)の一端側に位置するとともに茶入れ装置3と隣接するように茶盤1に設けられた茶碗洗浄装置2と、茶碗洗浄装置2の全部及び茶入れ装置3の一部が収容されるように茶盤1に設けられた収容ケースCと、茶道ロボットの各動作を制御するコントローラ(図示しない)と、茶碗30及び移動台5の現在位置を検出する各センサ(図示しない)と、を備える。
【0011】
図1から
図5に示すように、茶盤1は、平面視において、略矩形状に形成されている。また、
図4に示すように、茶盤1は、茶盤ケース(符号省略)及び茶盤ケースの開口部を閉止する天板(符号省略)を有する。なお、天板は、非磁性材料から構成されている。
【0012】
図4及び
図5に示すように、二軸移動装置4は、茶盤1(具体的には、茶盤ケース)に内臓されている。二軸移動装置4は、長手方向移動機構(符号省略)及び幅方向移動機構(符号省略)を有する。長手方向移動機構は、幅方向移動機構を長手方向に沿って移動させる機構である。一方、幅方向移動機構は、移動台を長手方向と直交する茶盤1の幅方向(以下、単に幅方向ともいう)に沿って移動させる機構である。なお、長手方向移動機構及び幅方向移動機構は、いずれも、例えば、駆動モータ、駆動ローラ、従動ローラ、駆動ローラ、従動ローラの両方に掛けられたベルト及び直進ガイド部材等を有して構成されている。移動台5は、直進ガイド部材によりガイドされた被ガイド部材に固定されている。電磁石6は、移動台5の上面に固定されている。なお、本実施形態では、電磁石6の上面は、天板の下面と接している。
【0013】
なお、本実施形態では、長手方向移動機構及び幅方向移動機構は、いずれも、駆動モータ、駆動ローラ、従動ローラ、駆動ローラ、従動ローラの両方に掛けられたベルト及び直進ガイド部材等を有して構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、駆動モータ、ガイド部材、送りねじ及びナット等を有して構成されてもよい。
【0014】
図1から
図3に示すように、茶碗30は、茶盤1の天板の上面に載置されている。そして、
図14に示すように、茶碗30の底には、磁石31が固定されている。本実施形態では、磁石31と電磁石6とは、天板の両面を挟持している。そして、電気が電磁石6に供給された場合に、磁石31と電磁石6とは、互いに吸着し合うため、電磁石6が固定された移動台5の移動に伴い、磁石31が固定された茶碗30は、移動台5と一体になって、茶盤1の天板上を移動する。一方、電気が電磁石6に供給されない場合に、磁石31と電磁石6とは、互いに吸着し合わなくなるため、茶碗30を持ち上げることができる。
【0015】
茶盤1(具体的には、茶盤ケース)のフロント側面には、載置部23がヒンジ接続されている。載置部23の載置面には、茶葉の重量を検出する荷重センサ24が固定されている。そして、茶盤1(具体的には、茶盤ケース)に内臓された第2モータ25は、載置部23を回転駆動させることにより、載置部23を
図1に示す収納状態と
図3に示す展開状態との間に切り替えることができる。また、茶盤1(具体的には、茶盤ケース)のフロント側面には、茶道ロボットを操作するための操作パネル21も設けられている。一方、茶盤1(具体的には、茶盤ケース)のサイド側面には、お茶の継ぎ足しを行うための操作ボタン20が設けられている。
【0016】
図1から
図4、
図6及び
図7に示すように、茶碗洗浄装置2は、幅方向に沿って順に配列された洗浄ヘッド7、吸水部8及び熱風機9を有する。なお、熱風機9は、吸水部8と茶入れ装置3との間に位置する。
【0017】
洗浄ヘッド7は、茶碗30をカバー可能に設けられた一対の洗浄カバー(符号省略)と、回転することにより洗浄カバーによりカバーされた茶碗30の内外を洗浄可能にそれぞれ一対の洗浄カバー内に設けられた一対の洗浄ブラシ(符号省略)と、洗浄水を洗浄カバー内に供給するように洗浄カバーに設けられた給水機構(符号省略)と、一対の洗浄ブラシをそれぞれ回転駆動させるようにそれぞれ一対の洗浄カバーに固定された一対のモータ(符号省略)と、一対の洗浄カバーを昇降可能な昇降機構(符号省略)と、を有して構成されている。本実施形態では、一対の洗浄カバーは、有底筒体をなし、長手方向に沿って配列されている。なお、昇降機構は、例えば、駆動モータ、ガイド部材、送りねじ及びナット等を有して構成されている。
【0018】
吸水部8は、搬送された茶碗30のうちの水を吸引可能な一対の吸水ノズル(符号省略)と、一対の吸水ノズルを昇降可能な昇降機構(符号省略)と、を有して構成されている。本実施形態では、一対の吸水ノズルは、長手方向に沿って配列されている。
【0019】
熱風機9は、搬送された茶碗30に熱風を与えて茶碗30の内外を乾燥させる。本実施形態では、熱風機9は、長手方向に沿って延在するように設けられている。
【0020】
図8から
図13に示すように、茶入れ装置3は、茶葉(例えば、メッシュ袋に入れられた茶葉)を投入可能な開口が形成された茶入れ室11と、茶供給ポンプ15及び第1排水ポンプ16が内臓され、茶入れ室11の下方に設けられた第1ポンプ室13と、第1ポンプ室13の下方に設けられた貯茶室12と、出茶ポンプ17及び第2排水ポンプ18が内臓され、前記貯茶室の下方に設けられた第2ポンプ室14と、第2ポンプ室14の底に形成された出茶口19と、熱湯を茶入れ室11に供給する熱湯供給部10と、茶入れ室11、第1ポンプ室13、貯茶室12及び第2ポンプ室14が収容された外ケース(符号省略)と、回転することにより開口を開閉可能に外ケースにヒンジ接続された蓋32と、蓋32を回転駆動させる第1駆動部としての第1モータ36と、第1モータ36の回転を蓋32の回転軸に伝達するリンク35と、を有する。
【0021】
本実施形態では、第2ポンプ室14、貯茶室12、第1ポンプ室13及び茶入れ室11は、下から上に順に積層されている。これにより、上下方向における茶入れ装置3の寸法を小さくすることができる。
【0022】
図8及び
図9に示すように、蓋32には、一端が熱湯供給部10と接続された略環状の供給管33が内臓されている。略環状の供給管33には、熱湯供給部10からの熱湯を茶入れ室11に供給する複数の供給孔34が形成されている。
【0023】
図10及び
図11に示すように、熱湯供給部10は、上下方向に沿って第2ポンプ室14、貯茶室12及び第1ポンプ室13と重なるように設けられている。第1モータ36は、熱湯供給部10の真上に位置する。また、第1モータ36は、その駆動軸が蓋32の回転軸と平行となるように蓋32と熱湯供給部10との間に設けられている。
【0024】
図12に示すように、茶供給ポンプ15及び第1排水ポンプ16は、これらの入力ポートが茶入れ室11と接続されている。茶供給ポンプ15の出力ポートは、貯茶室12と接続されている。出茶ポンプ17及び第2排水ポンプ18は、これらの入力ポートが貯茶室12と接続されている。出茶ポンプ17の出力ポートは、出茶口19と接続されている。なお、第1排水ポンプ16及び第2排水ポンプ18は、これらの出力ポートが排水流路(図示しない)と接続されている。
【0025】
図13に示すように、貯茶室12には、貯茶室12を加熱するヒータ28(具体的には、加熱用セラミックス)と、貯茶室12の温度を検出する温度センサ29とが装着されている。
【0026】
図1から
図4に示すように、収容ケースCは、茶碗洗浄装置2の全部を収容するための第1収容室(符号省略)と、茶入れ装置3の一部(具体的には、茶入れ装置3の下半部)を収容するための第2収容室(符号省略)と、を有する。そして、第1収容室及び第2収容室は、幅方向に沿って配列されている。これにより、茶碗洗浄装置2及び茶入れ装置3は、幅方向に沿って配列されている。
【0027】
収容ケースCにおける第2収容室の上板には、茶入れ装置3の一部を挿入するための挿入孔(符号省略/特に
図4参照)が形成されている。そして、茶入れ装置3の一部が挿入孔に挿入された状態では、第2ポンプ室14の底と茶盤1の天板との間には、茶碗30の高さよりも大きい間隙が形成されている。これにより、二軸移動装置4は、茶碗30を第2ポンプ室14の真下に搬送させることができる。
【0028】
茶盤1の長手方向の他端に臨む収容ケースCの側壁(符号省略)には、茶碗30が出入可能な茶供給用出入口(符号省略)及び回収用出入口(符号省略)が形成されている。茶供給用出入口は、第2収容室の内外を連通している。また、茶供給用出入口及び第2ポンプ室14は、平面視において、長手方向に沿って配列されている。これにより、二軸移動装置4は、茶碗30を長手方向に沿って移動させるだけで、茶供給用出入口を経由して収容ケースCの外に容易に搬送することができる。回収用出入口は、第1収容室の内外を連通している。回収用出入口及び洗浄ヘッド7は、平面視において、長手方向に沿って配列されている。これにより、二軸移動装置4は、茶碗30を長手方向に沿って移動させるだけで、回収用出入口を経由して茶碗洗浄装置2の洗浄位置(洗浄カバーの真下)に容易に搬送することができる。また、収容ケースCには、第1収容室と第2収容室とを連通する連通口(図示しない)が形成されている。
【0029】
収容ケースCは、摺動することにより回収用出入口を開閉可能に設けられた第1開閉扉26と、摺動することにより連通口を開閉可能に設けられた第2開閉扉27と、を有する。第1開閉扉26には、幅方向に沿って延在する第1ラック(符号省略/特に
図6及び
図7参照)が固定されている。一方、第2開閉扉27には、長手方向に沿って延在する第2ラック(符号省略/特に
図6及び
図7参照)が固定されている。
【0030】
収容ケースCには、第1開閉扉26を駆動摺動させる第1駆動モータ(符号省略/特に
図6及び
図7参照)及び第2開閉扉27を駆動摺動させる第2駆動モータ(符号省略/特に
図6及び
図7参照)が設けられている。第1駆動モータの回転軸及び第2駆動モータの回転軸には、それぞれ第1ラックと噛合する第1ピニオン及び第2ラックと噛合する第2ピニオン(符号省略/特に
図6及び
図7参照)が固定されている。
【0031】
コントローラは、記憶部及びタイマーを含む。記憶部には、お茶の銘柄、重量、熱湯量、湯温及び茶作り時間が関連付けられたテーブル等が記憶されている。また、記憶部は、コントローラにおいて実行される各処理プログラム及び各アルゴリズムを記憶している。タイマーは、後述する洗茶時間及び茶作り時間を検出する。
【0032】
(茶道ロボットの動作)
次に、茶道ロボットによる各動作について説明する。なお、茶道ロボットによる各動作は、操作ボタン20及び操作パネル21への操作により実行される。
【0033】
(茶碗搬送動作)
まず、茶碗搬送動作について説明する。コントローラは、二軸移動装置4及び電磁石6を制御して茶碗30の搬送を実現する。具体的には、各センサは、搬送されるべき茶碗30及び移動台5の位置を検出する。そして、操作ボタン20又は操作パネル21が操作されると、コントローラは、各センサにより検出された茶碗30及び移動台5の位置に基づいて、二軸移動装置4を制御することにより、移動台5を茶碗30の真下に移動させる。そして、コントローラは、電流を電磁石6に供給することにより、移動台5に固定された電磁石6と茶碗30の磁石31とを互いに吸着させる。そして、電磁石6と磁石31とが吸着された状態において、コントローラは、二軸移動装置4を制御することにより、移動台5と一体になった茶碗30を所定の位置に搬送させることができる。そして、茶碗30が所定の位置に搬送された後、コントローラは、電磁石6への電流の供給を停止させる。すると、電磁石6と磁石31との吸着が解除されて、ユーザ等は、茶碗30を容易に持ち上げることができる。
【0034】
(茶碗洗浄動作)
次に、茶碗洗浄動作について説明する。操作パネル21が操作されると、コントローラは、茶碗30を茶碗洗浄装置2(具体的には、洗浄ヘッド7の真下)に搬送させた後、茶碗30が洗浄カバーにより覆われるように昇降機構を下降させるように制御する。そして、コントローラは、給水機構及びモータを制御することにより、洗浄水を洗浄カバー内に供給させながら洗浄ブラシを回転駆動させて茶碗30の内外を洗浄する。そして、コントローラは、洗浄カバーを上昇させてから茶碗30を吸水部8の真下に搬送させた後、吸水ノズルが茶碗30内に入り込むように昇降機構を下降させるように制御する。そして、コントローラは、吸水ノズルを制御することにより、茶碗30内の洗浄水を吸引する。そして、コントローラは、吸水ノズルを上昇させてから茶碗30を熱風機9の真下に搬送させた後、茶碗30の内外が乾燥されるように熱風機9を制御する。なお、茶碗洗浄動作が実行された際に、コントローラは、第1駆動モータの回転軸及び第2駆動モータを制御することにより、第1開閉扉26及び第2開閉扉27を閉止させる。これにより、洗浄水等の液体を茶碗洗浄装置2内に閉じ込むことができるため、茶道ロボット全体の清潔感を保つことができる。
【0035】
(茶入れ動作)
次に、茶入れ動作について説明する。載置部23に載置された茶葉の重量を荷重センサ24により検出することで、操作パネル21に表示された、お茶の銘柄に応じた茶葉の重量を容易に取得することができる。そして、所定の重量の茶葉を茶入れ装置3の茶入れ室11に投入して操作パネル21が操作されると、コントローラは、第1モータ36を制御することにより、リンク35に接続された蓋32を開放状態から閉止状態に回転駆動させる。そして、コントローラは、操作パネル21への操作及びあらかじめ記憶部に記憶されたテーブルに応じて熱湯供給部10を制御することにより、所定湯温の熱湯を供給管33を介して茶入れ室11に供給して茶葉を洗浄する。そして、タイマーにより検出された洗茶時間が所定の洗茶時間を超えると、コントローラは、第1排水ポンプ16を動作させるように制御することにより、洗茶水としての熱湯を茶入れ室11から排出する。なお、この際に、コントローラは、茶供給ポンプ15を動作させないように制御する。そして、コントローラは、熱湯供給部10を再度制御することにより、所定量及び所定湯温の熱湯を供給管33を介して茶入れ室11に供給して茶作りを行う。そして、タイマーにより検出された茶作り時間が所定の茶作り時間(具体的には、お茶の銘柄及び茶葉の重量に応じた茶作り時間、又は、ユーザが設定した時間)を超えると、コントローラは、茶供給ポンプ15を動作させるように制御することにより、茶入れ室11内のお茶(すなわち、出来上がったお茶)を貯茶室12に供給して貯蔵する。そして、茶碗30が出茶口19の真下に位置すると、コントローラは、出茶ポンプ17を動作させるように制御することにより、貯茶室12内のお茶を出茶口19を介して茶碗30に供給する。この際に、コントローラは、第2排水ポンプ18を動作させないように制御する。
【0036】
(茶入れ装置洗浄動作)
次に、茶入れ装置洗浄動作について説明する。操作パネル21が操作されると、コントローラは、熱湯供給部10を制御することにより、洗浄水(加熱されても加熱されなくてもよいもの)を供給管33を介して茶入れ室11に供給して茶入れ室11を洗浄する。そして、コントローラは、茶供給ポンプ15を動作させるように制御することにより、茶入れ室11内の洗浄水を貯茶室12に供給して洗浄する。なお、この際に、コントローラは、第1排水ポンプ16を動作させないように制御する。そして、コントローラは、第2排水ポンプ18を動作させるように制御することにより、貯茶室12内の洗浄水を出茶口19を介することなく、外部へ排出する。この際に、コントローラは、出茶ポンプ17を動作させないように制御する。このように、茶入れ装置洗浄動作を実行することで、洗浄水を無駄にすることなく、茶入れ装置3のうちの茶入れ室11及び貯茶室12の両方を効率的に水洗浄することができる。また、茶入れ動作による洗茶水及び茶入れ装置洗浄動作による洗浄水の供給は、いずれも熱湯供給部10により行われるため、装置全体の簡易化を図ることができる。
【0037】
(本実施形態による作用効果)
本実施形態に係る茶道ロボットは、天板が形成された茶盤1と、茶盤1の天板に設けられた茶入れ装置3と、茶盤に内臓された二軸移動装置4と、二軸移動装置4に設けられた移動台5と、移動台5に設けられた電磁石6と、底に磁石31が固定され茶盤1の天板に載置された茶碗30と、を備え、茶入れ装置3は、茶葉を投入可能な開口が形成された茶入れ室11と、茶供給ポンプ15及び第1排水ポンプ16が内臓され、茶入れ室11の下方に設けられた第1ポンプ室13と、第1ポンプ室13の下方に設けられた貯茶室12と、出茶ポンプ17及び第2排水ポンプ18が内臓され、貯茶室12の下方に設けられた第2ポンプ室14と、第2ポンプ室14の底に形成された出茶口19と、熱湯を茶入れ室11に供給する熱湯供給部10と、を有し、茶供給ポンプ15及び第1排水ポンプ16は、これらの入力ポートが茶入れ室11と接続され、茶供給ポンプ15の出力ポートは、貯茶室12と接続され、出茶ポンプ17及び第2排水ポンプ18は、これらの入力ポートが貯茶室12と接続され、出茶ポンプ17の出力ポートは、出茶口19と接続されている。
【0038】
この構成によれば、茶盤1に内臓された二軸移動装置4、移動台5及び電磁石6から構成された搬送機構(すなわち、茶盤1の天板の下方に位置する搬送機構)を用いて、茶盤1の天板の上方に位置する茶碗30を搬送することができるため、茶碗30及び搬送機構を茶盤1の天板の上下に隔離させることができ、お茶溢しによる搬送機構の汚れ又は故障を回避することができる。また、茶盤1の天板を不透明な部材から構成することにより、茶盤1に内臓された搬送機構を視認不可にすることができるため、茶道ロボットの外観性を向上させることができる。
【0039】
また、茶入れ装置3は、茶葉を投入可能な開口が形成された茶入れ室11と、茶供給ポンプ15及び第1排水ポンプ16が内臓され、茶入れ室11の下方に設けられた第1ポンプ室13と、第1ポンプ室13の下方に設けられた貯茶室12と、出茶ポンプ17及び第2排水ポンプ18が内臓され、貯茶室12の下方に設けられた第2ポンプ室14と、第2ポンプ室14の底に形成された出茶口19と、熱湯を茶入れ室11に供給する熱湯供給部10と、を有し、茶供給ポンプ15及び第1排水ポンプ16は、これらの入力ポートが茶入れ室11と接続され、茶供給ポンプ15の出力ポートは、貯茶室12と接続され、出茶ポンプ17及び第2排水ポンプ18は、これらの入力ポートが貯茶室12と接続され、出茶ポンプ17の出力ポートは、出茶口19と接続されているため、茶入れ室11に位置する茶葉と貯茶室12に位置するお茶(すなわち、茶液)とを分離することができ、お茶の濃さを一定に維持することができる。さらに、茶供給ポンプ15及び第1排水ポンプ16は、これらの入力ポートが茶入れ室11と接続され、茶供給ポンプ15の出力ポートは、貯茶室12と接続されているため、茶入れ室12にて洗茶工程を行うことができる。そして、洗茶液を第1排水ポンプ16を介して排水流路に排出することができる。くわえて、出茶ポンプ17及び第2排水ポンプ18は、これらの入力ポートが貯茶室12と接続され、出茶ポンプ17の出力ポートは、出茶口19と接続されているため、茶入れ室11及び貯茶室12の両方を自動水洗浄することができる。
【0040】
また、本実施形態では、茶入れ装置3は、回転することにより開口を開閉可能に設けられた蓋32と、蓋32を回転駆動させる第1モータ36と、第1モータ36の回転を蓋32の回転軸に伝達するリンク35と、さらに有し、蓋32には、一端が熱湯供給部10と接続された供給管33が内臓され、供給管33には、熱湯供給部10からの熱湯を茶入れ室11に供給する複数の供給孔34が形成されている。
【0041】
この構成によれば、蓋32の開閉の自動化を容易に実現することができる。また、供給管33を蓋32に形成することにより、熱湯供給部10から茶入れ室11への熱湯の供給を容易に行うことができる。
【0042】
また、本実施形態では、熱湯供給部10は、上下方向に沿って第2ポンプ室14、貯茶室12及び第1ポンプ室13と重なるように設けられ、第1モータ36は、熱湯供給部10の真上に位置する。
【0043】
この構成によれば、茶入れ装置3の全体のコンパクト化を図ることができる。
【0044】
また、本実施形態では、貯茶室12には、貯茶室12を加熱するヒータ28と、貯茶室12の温度を検出する温度センサ29とが装着されている。
【0045】
この構成によれば、貯茶室12に貯蔵されたお茶の温度を所定の温度(例えば、お茶の銘柄に適した温度)に維持することができる。
【0046】
また、本実施形態では、茶盤1の側面にヒンジ接続された載置部23と、載置部23に固定された荷重センサ24と、載置部23を回転駆動させて載置部23の収納状態と載置部23の展開状態とを切り替えるように茶盤1に内臓された第2モータ25と、をさらに備える。
【0047】
この構成によれば、茶葉の重量を検出する機能を容易に実現することができる。また、荷重センサ24の使用時に載置部23を茶盤1に内臓された第2モータ25により展開状態となるように回転駆動させ、荷重センサ24の未使用時に載置部23を茶盤1に内臓された第2モータ25により収納状態となるように回転駆動させることができるため、茶盤1の美観性をより向上させることができる。
【0048】
また、本実施形態では、茶道ロボットは、茶盤1の載置部23が接続された側面に設けられた操作パネル21をさらに備える。
【0049】
この構成によれば、荷重センサ24による茶葉の重量の検出及び操作パネル21への操作を茶盤1の同一側から行うことができるため、茶道ロボットの操作性を向上させることができる。
【0050】
また、本実施形態では、茶道ロボットは、茶盤1の長手方向の一端側に位置するとともに茶入れ装置3と隣接するように茶盤1の天板に設けられた茶碗洗浄装置2をさらに備る。
【0051】
この構成によれば、茶碗洗浄装置2を茶入れ装置3と隣接するように茶盤1の天板に設けることで、茶碗洗浄装置2及び茶入れ装置3をまとめて茶盤1の天板上の長手方向の一端側に配置することができるため、茶碗洗浄装置2から茶入れ装置3への茶碗30の搬送を行いやすくなるとともに茶盤1の天板の一端側以外の領域を有効活用することができる。
【0052】
また、本実施形態では、茶道ロボットは、茶碗洗浄装置2の全部及び茶入れ装置3の一部が収容されるように茶盤1の天板に設けられた収容ケースCをさらに備え、収容ケースCは、茶碗洗浄装置2の全部を収容するための第1収容室と、茶入れ装置3の一部を収容するための第2収容室と、を有し、第1収容室及び第2収容室は、幅方向に沿って配列されている。
【0053】
この構成によれば、茶盤1の幅方向の領域を活用することで、茶碗洗浄装置2及び茶入れ装置3のレイアウトの合理化を図ることができる。
【0054】
また、本実施形態では、茶盤1の長手方向の他端に臨む収容ケースCの側壁には、茶碗30が出入可能な茶供給用出入口が形成され、茶供給用出入口は、第2収容室の内外を連通している。
【0055】
この構成によれば、第2収容室の内外連通は、茶供給用出入口により実現されるため、茶碗30は、第2収容室を出入することができる。
【0056】
また、本実施形態では、収容ケースCの側壁には、茶碗30が出入可能な回収用出入口が形成され、回収用出入口は、第1収容室の内外を連通している。
【0057】
この構成によれば、第1収容室の内外連通は、回収用出入口により実現されるため、茶碗30は、第1収容室を出入することができる。
【0058】
また、本実施形態では、収容ケースCには、第1収容室と第2収容室とを連通する連通口が形成され、収容ケースCは、回収用出入口を開閉可能に設けられた第1開閉扉26と、連通口を開閉可能に設けられた第2開閉扉27と、を有する。
【0059】
この構成によれば、茶碗洗浄時に、回収用出入口及び連通口をそれぞれ第1開閉扉26及び第2開閉扉27により閉止することで、洗浄水等の液体を茶碗洗浄装置2内に閉じ込むことができるため、茶道ロボット全体の清潔感を保つことができる。また、茶碗非洗浄時に、回収用出入口及び連通口をそれぞれ第1開閉扉26及び第2開閉扉27により閉止することで、茶碗洗浄装置2は、茶碗30を収容する密閉の収容庫として機能することができるため、茶碗30を収容する収容庫を別途茶盤1の天板の上に設ける必要がない。
【0060】
以上、本実施形態について説明したが、上述した実施形態は、本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上述した実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0061】
1 茶盤
3 茶入れ装置
4 二軸移動装置
5 移動台
6 電磁石
10 熱湯供給部
11 茶入れ室
12 貯茶室
13 第1ポンプ室
14 第2ポンプ室
15 茶供給ポンプ
16 第1排水ポンプ
17 出茶ポンプ
18 第2排水ポンプ
19 出茶口
30 茶碗
【要約】
本発明は、茶盤と、茶盤の天板に設けられた茶入れ装置と、茶盤に内臓された二軸移動装置と、二軸移動装置に設けられた移動台と、移動台に設けられた電磁石と、底に磁石が固定され茶盤の天板に載置された茶碗と、を備える。
【選択図】
図1