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特許7594838ハイブリッドエネルギー装置、システム、及びそのための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】ハイブリッドエネルギー装置、システム、及びそのための方法
(51)【国際特許分類】
   H10K 39/10 20230101AFI20241128BHJP
   H02S 40/32 20140101ALI20241128BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20241128BHJP
   H02S 40/38 20140101ALI20241128BHJP
   H01M 10/0565 20100101ALI20241128BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20241128BHJP
   H01M 50/202 20210101ALI20241128BHJP
   H01G 4/33 20060101ALN20241128BHJP
   H01G 4/30 20060101ALN20241128BHJP
【FI】
H10K39/10
H02S40/32
H01M4/66 A
H02S40/38
H01M10/0565
H01M50/204 301
H01M50/202 301
H01G4/33 102
H01G4/30 540
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2021560096
(86)(22)【出願日】2020-04-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-17
(86)【国際出願番号】 CA2020050482
(87)【国際公開番号】W WO2020206554
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】62/831,828
(32)【優先日】2019-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519339998
【氏名又は名称】10644137 カナダ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】パーレバニネザッド,マジッド
(72)【発明者】
【氏名】シェルヴィッツ,サム
【審査官】吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0099369(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0200311(US,A1)
【文献】特開2006-332469(JP,A)
【文献】特開2016-096277(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109004090(CN,A)
【文献】国際公開第2009/098996(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0017552(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 30/00-99/00
H01L 31/04-31/20
H02S 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層エネルギー装置であって、
透明又は半透明の基板と、
前記基板に結合された太陽電池層であって、前記基板を通して光を受け取って、受け取った前記光のエネルギーを第1の電気エネルギーに変換するための複数の太陽電池を備える太陽電池層と、
前記太陽電池層に結合されたエネルギー貯蔵層であって第2の電気エネルギーを貯蔵するための1つ又は複数のエネルギー貯蔵ユニットを備えるエネルギー貯蔵層と、
太陽電池層に電気的に接続される太陽電池入力変換器と、前記エネルギー貯蔵層に電気的に接続されるバッテリ入力変換器と、第1の電気エネルギーと第2の電気エネルギーを受けて第3の電気エネルギーに変換するように構成される出力変換器と、を備える変換器層と、を備え、
前記太陽電池入力変換器、バッテリ入力変換器、及び前記出力変換器は、第1のフェライトループ、第2のフェライトループ、及び第3のフェライトループを備えるフェライトコアに結合され、前記第1のフェライトループ及び前記第2のフェライトループの各々が、前記第3のフェライトループの一部を共有し、
前記太陽電池入力変換器は、前記第1のフェライトループの周りに巻かれるコイルを備え、前記バッテリ入力変換器は、前記第2のフェライトループの周りに巻かれるコイルを備え、前記出力変換器は、前記第3のフェライトループの周りに巻かれるコイルを備える、
多層エネルギー装置。
【請求項2】
前記基板は、ガラスの層を含む、請求項1に記載の多層エネルギー装置。
【請求項3】
前記基板は、可撓性の透明又は半透明の材料を含む、請求項1に記載の多層エネルギー装置。
【請求項4】
前記基板は、透明又は半透明のプラスチック材料を含む、請求項1に記載の多層エネルギー装置。
【請求項5】
前記基板は、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリ(エーテルスルホン)(PES)のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の多層エネルギー装置。
【請求項6】
前記太陽電池層は、前記基板に印刷又は堆積される、請求項1~5のいずれか一項に記載の多層エネルギー装置。
【請求項7】
前記エネルギー貯蔵層は、前記太陽電池層に印刷又は堆積される、請求項1~6のいずれか一項に記載の多層エネルギー装置。
【請求項8】
前記太陽電池層は、
前記基板に結合され第1の導電性副層と、
前記第1の導電性副層に結合された酸化亜鉛(ZnO)の副層と、
前記ZnOの副層に結合されたポリ(エチレンイミン)及びエトキシル化ポリエチレンイミン(PEIE)の副層と、
前記PEIEの副層に結合された有機太陽電池の副層と、
前記太陽電池の副層に結合された三酸化モリブデン(MoO)の副層と、
前記MoOの副層に結合された第2の導電性副層と、
を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の多層エネルギー装置。
【請求項9】
前記第1の導電性副層は、酸化インジウムスズ(ITO)を含む、請求項8に記載の多層エネルギー装置。
【請求項10】
前記第2の導電性副層は、銀(Ag)又はアルミニウム(Al)を含む、請求項8又は9に記載の多層エネルギー装置。
【請求項11】
前記太陽電池の副層は、ポリマー太陽電池を含む、請求項8~10のいずれか一項に記載の多層エネルギー装置。
【請求項12】
前記太陽電池の副層は、バルクヘテロ接合(BHJ)の副層を含む、請求項8~10のいずれか一項に記載の多層エネルギー装置。
【請求項13】
前記エネルギー貯蔵層は、1つ又は複数のバッテリセル及び、1つ又は複数の半導体コンデンサのうちの少なくとも1つを備える、請求項8~12のいずれか一項に記載の多層エネルギー装置。
【請求項14】
1つ又は複数の前記バッテリセルの各バッテリセルは、
第1の集電体副層と、
前記第1の集電体副層に結合されたアノード副層と、
前記アノード副層に結合された固体電解質副層と、
前記固体電解質副層に結合されたカソード副層と、
前記カソード副層に結合された第2の集電体副層と、
を備える、請求項13に記載の多層エネルギー装置。
【請求項15】
前記第1の集電体副層及び前記第2の集電体副層のうちの少なくとも1つが、アルミニウムを含む、請求項14に記載の多層エネルギー装置。
【請求項16】
前記固体電解質副層は、Al及び第1の半相互貫入ポリマーネットワーク(半IPN)骨格材料とともにLiBFを含む、請求項14又は15のいずれか一項に記載の多層エネルギー装置。
【請求項17】
前記固体電解質副層は、85/15重量比(w/w)の比率で、セバコニトリル(SBN)中の1モル濃度(1リットルあたり1モル)のLiBF及び第1の半IPN骨格材料で作られ、60/40w/wの比率で約300モル濃度のAlと混合される、請求項14又は15のいずれか一項に記載の多層エネルギー装置。
【請求項18】
前記アノード副層は、第1の炭素材料及び第2の半IPN骨格材料とともに活性化LiTi12(LTO)を含む、請求項14~17のいずれか一項に記載の多層エネルギー装置。
【請求項19】
前記カソード副層は、第2の炭素材料及び第3の半IPN骨格材料とともに活性化LiCoO(LCO)を含む、請求項14~18のいずれか一項に記載の多層エネルギー装置。
【請求項20】
前記第1の炭素材料及び/又は前記第2の炭素材料は、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)及び炭素粉末のうちの少なくとも1つを含む、請求項18に従属する請求項19に記載の多層エネルギー装置。
【請求項21】
前記活性化LTOは、SWCNTコーティングされた、請求項20に記載の多層エネルギー装置。
【請求項22】
前記半IPN骨格材料は、紫外線(UV)硬化型ポリマーを含む、請求項17~21のいずれか一項に記載の多層エネルギー装置。
【請求項23】
前記UV硬化型ポリマーは、1.0重量パーセント(wt%)の2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン(HMPP)を組み込んだエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート(ETPTA)と、ポリ(フッ化ビニリデン-コ-ヘキサフルオロプロピレン)(PVdF-HFP)とを含み、HFPは6モルパーセント(mol%)であり、ETPTA/PVdF-HFPは75/25重量比(w/w)の比率である、請求項22に記載の多層エネルギー装置。
【請求項24】
1つ又は複数の前記半導体コンデンサの各半導体コンデンサは、(n+1)個のヒ化ガリウム(GaAs)の副層と交互に配置されたn個のヒ化アルミニウムガリウム(AlGaAs)の副層を備え、n>0は整数であり、各AlGaAsの副層は2つの隣接するGaAsの副層の間に挟まれている、請求項13~23のいずれか一項に記載の多層エネルギー装置。
【請求項25】
前記変換器層は、前記太陽電池入力変換器、前記バッテリ入力変換器、及び前記出力変換器を有する多入力電子電力変換器を備える、請求項1~24のいずれか一項に記載の多層エネルギー装置。
【請求項26】
前記フェライトコアは、強磁性又はフェリ磁性の磁心である、請求項25に記載の多層エネルギー装置。
【請求項27】
前記フェライトコアは、2つの配線層の間に挟まれ前記配線層の各配線層は、ベース上に導電性配線を備え、2つの前記配線層の前記導電性配線は、前記配線層上の1つ又は複数のビアを通して相互接続されて、前記フェライトコアの周りに巻きつく前記コイルを形成する、請求項26に記載の多層エネルギー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年4月10日に申請された、米国仮特許出願第62/831,828号の優先権の利益を主張するものであり、その内容は全体として参照により本明細書に援用される。
【0002】
開示の分野
本開示は、エネルギー装置、システム、及びそのための方法に関し、より詳細には、さまざまな用途に電気エネルギーを提供するための太陽電池及びバッテリなどのハイブリッドエネルギー源を統合する装置及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
太陽エネルギーは、さまざまな用途向けのクリーンで実用的なエネルギー源である。例えば、太陽電池パネルは、太陽エネルギーを収集し、収集した太陽エネルギーをさまざまな電気装置を動かすための電力に変換するために、屋上などの日当たりの良い場所に配備することができる。さまざまな形態、スタイル、及び大きさの太陽電池パネルが、太陽電池タイル、電話充電器、住宅設備、産業機器などのさまざまなデバイスのエネルギー源構成要素として広く使用されてきた。
【0004】
例えば、図1図3は、参照符号10を使用して集合的に表記されたいくつかの従来技術の太陽エネルギーハーベスティングシステムを示す。図1に示された太陽エネルギーハーベスティングシステム10で、太陽電池パネル12、又はより具体的には太陽光発電(PV)パネルが、太陽エネルギーを電気に変換し、それを電子電力変換器14に出力するために使用される。電子電力変換器14は、受け取った電気を、負荷16に電力を供給するために使用可能な形態に変換する。
【0005】
電子電力変換器14は、スイッチ18を介して交流(AC)ユーティリティグリッド20に同様に接続される。それゆえ、スイッチ18が閉じているとき、電子電力変換器14は、それに電気的に接続されたさまざまなデバイス(図示せず)に電力を供給するために、又は電子電力変換器14の出力が不十分なときACユーティリティグリッド20を使用して負荷16に電力を供給するために、ACユーティリティグリッド20に電力を出力することができる。
【0006】
システム10に信頼性を提供するためにエネルギー貯蔵を使用することができる。図2に示されるように、この実施例の従来技術のシステム10は、別の電子電力変換器24を介して負荷16及びACユーティリティグリッド20に接続するバッテリアセンブリなどのエネルギー貯蔵22をさらに備える。バッテリアセンブリ22を使用して、システム10は、PVパネル12からの太陽エネルギー出力の断続的な性質を補償し、システムの信頼性を改善することができる。
【0007】
図3は、図2に示されたものに類似しているが、負荷16、及びACユーティリティグリッド20の代わりに直流(DC)ユーティリティグリッド26に接続された、従来技術の太陽エネルギーハーベスティングシステム10を示す。
【0008】
従来技術の太陽エネルギーハーベスティングシステムは、以下のような欠点及び/又は課題を有する。
・日光の断続性に起因する太陽エネルギー発生の不信頼性。
・太陽放射照度は日中に変化するので、太陽エネルギーハーベスティングシステムの動作点(例えば、電圧、及び/又は電流など)に広範囲の変動があり、それによりシステムの全体効率が著しく低下する。
・システムは、通常、システムに弾力性を提供するためにユーティリティ電力グリッドを必要とし、すなわち、太陽エネルギーが不十分であるか、又は利用できないときに、さまざまな負荷に電力を供給するためにユーティリティ電力グリッドを必要とする。
【0009】
これらの欠点及び/又は課題に起因して、従来技術の太陽エネルギーハーベスティングシステムは、太陽電池タイル、ソーラ充電器などの、多くの新たに出現した用途に最適な解決策を提供することができない。したがって、最適以下であるか、又はさらに最適化されない性能を持つ従来技術の太陽エネルギーハーベスティングシステムは、太陽エネルギーシステムのそうでなければ速い発展に悪影響を与えることになる。それゆえ、信頼性の高い太陽エネルギーハーベスティングソリューションに対する要望がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
概要
本開示の実施形態は、太陽電池、バッテリセル、及びいくつかの実施形態で電子回路を、効率的且つ信頼性の高い方式で統合し、高効率で信頼性の高いエネルギー装置又はモジュールをもたらす、ハイブリッドエネルギー装置又はモジュールに関する。
【0011】
本開示の1つの態様によれば、透明又は半透明の基板と、基板に結合された太陽電池層であって、基板を通して光を受け取って、受け取った光のエネルギーを第1の電気エネルギーに変換するための複数の太陽電池を備える、太陽電池層と、太陽電池層に結合されたエネルギー貯蔵層であって、第2の電気エネルギーを貯蔵するための1つ又は複数のエネルギー貯蔵ユニットを備える、エネルギー貯蔵層と、エネルギー貯蔵層に結合された変換器層であって、太陽電池層及びエネルギー貯蔵層から第1の電気エネルギー及び第2の電気エネルギーを受け取り、電力変換器の出力を通して第3の電気エネルギーを出力するための、太陽電池層及びエネルギー貯蔵層に電気的に接続された1つ又は複数の電力変換器を備える、変換器層とを備える多層エネルギー装置が提供される。
【0012】
いくつかの実施形態で、基板は、ガラスの層を含む。
【0013】
いくつかの実施形態で、基板は、可撓性の透明又は半透明の材料を含む。
【0014】
いくつかの実施形態で、基板は、透明又は半透明のプラスチック材料を含む。
【0015】
いくつかの実施形態で、基板は、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリエーテルスルホン(PES)のうちの少なくとも1つを含む。
【0016】
いくつかの実施形態で、太陽電池層は、基板に印刷又は堆積される。
【0017】
いくつかの実施形態で、エネルギー貯蔵層は、太陽電池層に印刷又は堆積される。
【0018】
いくつかの実施形態で、太陽電池層は、基板に結合されたアノード副層と、アノード副層に結合された酸化亜鉛(ZnO)の副層と、ZnOの副層に結合されたポリエチレンイミン及びエトキシル化ポリエチレンイミン(PEIE)の副層と、PEIEの副層に結合された有機太陽電池の副層と、太陽電池の副層に結合された三酸化モリブデン(MoO)の副層と、MoOの副層に結合されたカソード副層とを備える。
【0019】
いくつかの実施形態で、アノード副層は、酸化インジウムスズ(ITO)を含む。
【0020】
いくつかの実施形態で、カソード副層は、銀(Ag)又はアルミニウム(Al)を含む。
【0021】
いくつかの実施形態で、太陽電池の副層は、ポリマー太陽電池を含む。
【0022】
いくつかの実施形態で、太陽電池の副層は、バルクヘテロ接合(BHJ)の副層を含む。
【0023】
いくつかの実施形態で、エネルギー貯蔵層は、1つ又は複数のバッテリセル及び1つ又は複数の半導体コンデンサのうちの少なくとも1つを備える。
【0024】
いくつかの実施形態で、1つ又は複数のバッテリセルの各バッテリセルは、第1の集電体副層と、第1の集電体副層に結合されたアノード副層と、アノード副層に結合された固体電解質副層と、固体電解質副層に結合されたカソード副層と、カソード副層に結合された第2の集電体副層とを備える。
【0025】
いくつかの実施形態で、第1の集電体副層及び第2の集電体副層のうちの少なくとも1つが、アルミニウムを含む。
【0026】
いくつかの実施形態で、固体電解質副層は、Al及び第1の半相互貫入ポリマーネットワーク(半IPN)骨格材料とともにLiBF4を含む。
【0027】
いくつかの実施形態で、固体電解質副層は、85/15重量比(w/w)の比率で、セバコニトリル(SBN)中の1モル濃度(1リットルあたり1モル)のLiBF及び第1の半IPN骨格材料で作られ、60/40w/wの比率で約300モル濃度のAlと混合される。
【0028】
いくつかの実施形態で、アノード副層は、第1の炭素材料及び第2の半IPN骨格材料とともに活性化LiTi12(LTO)を含む。
【0029】
いくつかの実施形態で、カソード副層は、第2の炭素材料及び第3の半IPN骨格材料とともに活性化LiCoO(LCO)を含む。
【0030】
いくつかの実施形態で、第1の炭素及び/又は第2の炭素は、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)及び炭素粉末のうちの少なくとも1つを含む。
【0031】
いくつかの実施形態で、活性化LTOは、SWCNTコーティングされたLTOである。
【0032】
いくつかの実施形態で、活性化LCOは、SWCNTコーティングされたLCOである。
【0033】
いくつかの実施形態で、半IPN骨格材料は、紫外線(UV)硬化型ポリマーを含む。
【0034】
いくつかの実施形態で、UV硬化型ポリマーは、1.0重量パーセント(wt%)の2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン(HMPP)を組み込んだエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート(ETPTA)と、ポリ(フッ化ビニリデン-コ-ヘキサフルオロプロピレン)(PVdF-HFP)とを含み、HFPは6モルパーセント(mol%)であり、ETPTA/PVdF-HFPは75/25重量比(w/w)の比率である。
【0035】
いくつかの実施形態で、1つ又は複数の半導体コンデンサの各コンデンサは、(n+1)個のヒ化ガリウム(GaAs)の副層と交互に配置されたn個のヒ化アルミニウムガリウム(AlGaAs)の副層を備え、n>0は整数であり、各AlGaAs副層は2つの隣接するGaAs副層の間に挟まれている。
【0036】
いくつかの実施形態で、変換器層は、太陽電池入力変換器、バッテリ入力変換器、及び出力変換器を有する多入力電子電力変換器を備える。
【0037】
いくつかの実施形態で、太陽電池入力変換器、バッテリ入力変換器、及び出力変換器のうちの少なくとも1つが、強磁性又はフェリ磁性の磁心の周りに巻きつくコイルを備える。
【0038】
いくつかの実施形態で、太陽電池入力変換器、バッテリ入力変換器、及び出力変換器のうちの少なくとも1つが、フェライト材料で作られ、2つの配線層の間に挟まれた磁心層を備え、各配線層は、ベース上に導電性配線を備え、2つの配線層の配線は、配線層上の1つ又は複数のビアを通して相互接続されて、フェライト磁心の周りに巻きつくコイルを形成する。
【0039】
図面の簡単な説明
ここで、本開示の実施形態について、異なる図の同一の参照符号が同一の要素を指示する、以下の図を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】負荷及び/又は交流(AC)ユーティリティグリッドに接続する従来技術の、太陽エネルギーを収穫するための太陽電池パネルを有する太陽エネルギーハーベスティングシステムを示す概略図である。
図2】負荷に接続し、及び/又はACユーティリティグリッドに接続する従来技術の、太陽電池パネル及びエネルギー貯蔵を有する太陽エネルギーハーベスティングシステムを示す概略図である。
図3】負荷及び/又は直流(DC)ユーティリティグリッドに接続する従来技術の、太陽電池パネル及びエネルギー貯蔵を有する太陽エネルギーハーベスティングシステムを示す概略図である。
図4】本開示のいくつかの実施形態による、ハイブリッドエネルギーデバイスを有し、負荷及び/又はACユーティリティグリッドに接続する太陽エネルギーハーベスティングシステムを示す。
図5】本開示のいくつかの実施形態による、ハイブリッドエネルギーデバイスを有し、負荷及び/又はDCユーティリティグリッドに接続する太陽エネルギーハーベスティングシステムを示す。
図6A】本開示のいくつかの実施形態による、図4及び図5に示される太陽エネルギーハーベスティングシステムの、エネルギー貯蔵としてバッテリセルの層を備えるハイブリッドエネルギーデバイスの物理構造を示す概略図である。
図6B】本開示のいくつかの実施形態による、図4及び図5に示される太陽エネルギーハーベスティングシステムの、エネルギー貯蔵として超コンデンサの層を備えるハイブリッドエネルギーデバイスの物理構造を示す概略図である。
図7A】本開示のいくつかの実施形態による、図6A及び図6Bに示されるハイブリッドエネルギーデバイスの太陽電池層及びガラスで作られている基板を示す概略図である。
図7B】本開示のいくつかの実施形態による、図6A及び図6Bに示されるハイブリッドエネルギーデバイスの太陽電池層及び透明又は半透明のプラスチックで作られている基板を示す概略図である。
図8】複数の太陽電池を形成するために基板上に大規模に印刷された、図7Bに示される太陽電池層の複数の副層を示す概略図である。
図9図6A及び図6Bに示されるハイブリッドエネルギーデバイスの太陽電池層及びエネルギー貯蔵層を基板上に印刷することを示す概念図である。
図10図6Bに示される超コンデンサの構造を示す。
図11A図6Aに示されるハイブリッドエネルギーデバイスのエネルギー貯蔵層のバッテリセルの構造を示す概略図である。
図11B】Liイオンバッテリセルの形態で図11Aに示されるバッテリセルの構造を示す概略図である。
図12】直列に互いに重なり合って印刷され、それらの間に共通の集電体副層を共有する2つのバッテリセルを示す概略図である。
図13】ステンシルプリンタデバイスとしてコールドマニュアルラミネータを使用することによってバッテリセルを作るためのステンシル印刷技術を示す。
図14】何も処理溶剤なしで図13に示されるステンシル印刷技術を使用する、アルミニウム集電体副層の上へのアノード副層の製造プロセスを示す。
図15図6A及び図6Bに示されるハイブリッドエネルギーデバイスの詳細を示す概略図である。
図16A】AC用途向けの統合電子電力変換器を有する太陽エネルギーハーベスティングシステムのブロック図である。
図16B】DC用途向けの統合電子電力変換器を有する太陽エネルギーハーベスティングシステムのブロック図である。
図17A図16A及び図16Bに示される、太陽電池入力変換器、バッテリ入力変換器、及び出力変換器を備える統合電子電力変換器の機能的構造を示す概略図である。
図17B図17Aに示される太陽電池入力変換器、バッテリ入力変換器、及び出力変換器の機能的構造を示す概略図である。
図17C図16A及び図16Bに示される統合電子電力変換器の回路図である。
図18A】本開示のいくつかの実施形態による、図16A及び図16Bに示される統合電子電力変換器の物理的実装を示す概略図である。
図18B】切断線A-Aに沿った、図18Aに示される統合電子電力変換器の横断面図である。
図18C】本開示のいくつかの実施形態による、図18Aに示される統合電子電力変換器の一部の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
詳細な説明
ここで図4に目を向けると、本開示のいくつかの実施形態による太陽エネルギーハーベスティングシステムが示され、参照符号100を使用して全体として識別される。示されるように、太陽エネルギーハーベスティングシステム100は、負荷104に電力を供給するためのハイブリッドエネルギーデバイス102を備える。
【0042】
ハイブリッドエネルギーデバイス102は、スイッチ108を介して交流(AC)ユーティリティグリッド106に同様に接続される。それゆえ、スイッチ108が閉じているとき、ハイブリッドエネルギーデバイス102は、それに電気的に接続されたさまざまなデバイス(図示せず)に電力を供給するために、又はハイブリッドエネルギーデバイス102の出力が不十分なときACユーティリティグリッド106を使用して負荷104に電力を供給するために、ACユーティリティグリッド106に電力を出力することができる。
【0043】
これらの実施形態におけるハイブリッドエネルギーデバイス102は、太陽エネルギーを収穫するための複数の太陽電池を有し、第1のエネルギー源として機能する、太陽光発電(PV)パネルなどの一組の太陽電池112を備え、第2のエネルギー源としてエネルギー貯蔵114を備える。太陽電池112及びエネルギー貯蔵114は、多入力電子電力変換器116に電力を出力する。多入力電子電力変換器116は、受け取った電力を、負荷104に電力を供給し、及び/又はACユーティリティグリッド106に出力するための(例えば、適切な電圧、電流、周波数、及び/又は位相などを有する)適切な形態に変換し、太陽電池112の出力を使用してエネルギー貯蔵114を充電する。そのうえ、多入力電子電力変換器116は、異なる構成要素間の電力流を制御する。
【0044】
図5は、本開示のいくつかの実施形態による太陽エネルギーハーベスティングシステム100を示す。これらの実施形態における太陽エネルギーハーベスティングシステム100は、ハイブリッドエネルギーデバイス102が直流(DC)ユーティリティグリッド118に接続されていることを除いて図4に示されるものに類似している。多入力電子電力変換器116は、異なる構成要素間の電力流を同様に制御する。
【0045】
太陽電池112、エネルギー貯蔵114、及び多入力電子電力変換器116を含む、図4及び図5に示されるハイブリッドエネルギーデバイス102は、基板に印刷、堆積、又は別な方法で結合された集積デバイスであり、異なる実施形態で異なる実装を有し得る。図6A及び図6Bは、異なる実施形態でさまざまなエネルギー貯蔵114を備えたハイブリッドエネルギーデバイス102の物理構造を示す概略図である。
【0046】
図6Aに示される実施形態で、ハイブリッドエネルギーデバイス102は、ガラス、透明又は半透明のプラスチック、及び/又は透明又は半透明のポリマーなどの1つ又は複数の適切な透明又は半透明の材料で作られた基板132を備える。太陽電池112の層(「太陽電池層」とも表記される)が、基板132に印刷、堆積、又は別な方法で結合される。したがって、透明基板132は、太陽電池層112が周囲の光又は入射光に曝されることを可能にし、太陽電池層112及びそれに結合される他の層に支持及び保護を提供する。
【0047】
これらの実施形態で、エネルギー貯蔵114(「エネルギー貯蔵層」とも表記される)は、太陽電池層112に印刷、堆積、又は別な方法で結合されたバッテリセル136の層を備える。エネルギー貯蔵層114に結合された多入力電子電力変換器116の回路構成の層(「回路層」と表記される)。太陽電池層112、エネルギー貯蔵層114、及び回路層116は、図4又は図5に従って電気的に接続されている(図示せず)。
【0048】
図6Bに示される実施形態におけるハイブリッドエネルギーデバイス102は、これらの実施形態で、エネルギー貯蔵層114が1つ又は複数のコンデンサ138又は超コンデンサ(すなわち、静電容量の大きいコンデンサ)を備えることを除いて、図6Aに示されるものに類似している。
【0049】
図7Aは、ガラスなどの適切な硬い透明又は半透明の材料で作られた基板132上の太陽電池層112を示す概略図である。示されるように、太陽電池層112は、基板132から名前を挙げて、基板132に印刷、堆積、又は別な方法で結合された酸化インジウムスズ(ITO)などの適切な材料で作られたアノード副層142、酸化亜鉛(ZnO)144の副層、ポリ(エチレンイミン)及びエトキシル化ポリ(エチレンイミン)(すなわち、PEIE)146の副層、バルクヘテロ接合(BHJ)の副層などのポリマー太陽電池の副層などの有機太陽電池148の副層、三酸化モリブデン(MoO)150の副層、並びに銀(Ag)又はアルミニウム(Al)などの適切な材料で作られたカソード副層152などの複数の副層を備える。アノード142及びカソード152は、エネルギー貯蔵層114(すなわち、バッテリセル136又はコンデンサ138の層)及び/又は統合変換器層116などの上層に電気的に接続されている。
【0050】
図7Bは、ポリエチレンテレフタレート(PETとも表記される)、及び/又はポリ(エーテルスルホン)(PES)などの透明又は半透明のプラスチック材料などの可撓性の透明又は半透明の材料で作られた基板132上の太陽電池層112を示す概略図である。太陽電池層112は、図7Aに示されるものと同じである。
【0051】
剛性基板は、剛性構造の太陽電池につながるのに対して、可撓性基板は、可撓性の太陽電池構造をもたらす。当業者は、可撓性基板が以下のような多くの利点を提供することを理解するはずである。
1)太陽電池を作るためのロールツーロールコーティング技術及びバッテリを作るためのステンシル印刷技術などの大規模製造技術における使用が容易であること、並びに
2)可撓性太陽電池により、そのすべての層の単純化された製造プロセスが可能になること。
【0052】
いくつかの実施形態で、太陽電池層112、エネルギー貯蔵層114(すなわち、バッテリセル136又はコンデンサ138の層)、及び統合変換器層116は、大規模に印刷することができる。
【0053】
図8は、複数の太陽電池を形成するために基板132上に大規模に印刷された、太陽電池層112の上述の副層142~152を示す概略図である。最初に、アノード(ITO)副層142が、マトリックス形式などの適切なパターンで複数のITOブロックとしてPET基板132上に印刷される。次に、複数のZnO副層144がITO副層の上に印刷され、各ZnOブロック144は、隣接する列のITOブロック142などの複数の隣接したITOブロック142に結合され、それによって並列接続構造を形成する。次に、PEIE、BHJ、及びMoO副層146、148、及び150は、互いに重なり合って複数のブロックとして順次印刷される。PEIE、BHJ、及びMoO副層146、148、及び150の各セットは、アノード副層142に印刷された太陽電池(アノード及びカソード副層を勘定に入れない)を形成する。
【0054】
カソード(Ag又はAl)副層152は、最終的に、複数のブロックとして太陽電池上に印刷され、各カソードブロックは、それらが直列に接続されるように、隣接する太陽電池のアノード層142まで延びる。
【0055】
図9は、太陽電池層112のZnO、PEIE、及びBHJ副層144、146、及び148などのいくつかの副層を基板132上に印刷することを示す概念図である。これらの実施形態で、MoO及びAg副層150及び152は、熱蒸発器を使用することによって堆積される。
【0056】
図9に示されるように、基板132は、プラットフォーム172の平らな表面に配置される。スロットダイヘッド174を備えた印刷装置(図示せず)が、副層/層を印刷するために使用される。スロットダイヘッド174は、それぞれの「インク」が充填されたインクカートリッジ176を備え、基板132(又は印刷層)上を移動して(矢印178で指示される)、インクカートリッジ176からの材料をそこに堆積させて、太陽電池112又はエネルギー貯蔵セル(バッテリセル136及び/又はコンデンサ138、図示せず)を形成する。具体的には、太陽電池は、最初に基板132上に印刷されて太陽電池層112を形成し、次にエネルギー貯蔵層114(すなわち、バッテリセル136及び/又はコンデンサ138)は、太陽電池層112上に印刷される。次に、多入力電子電力変換器116(印刷回路基板の形態)は、エネルギー貯蔵層114に結合される。
【0057】
ここでは、「インク」は、副層/層を製造するための前駆体として使用される、溶液、ゲル、又は粉末などの適切な形態の副層/層材料を意味する。例えば、太陽電池層112のZnO副層144を形成するために、ブタノールに溶解したZnOのインクをスロットダイコーティングによって堆積させることができる。各副層のスロットダイ製造中に、熱処理が通常、溶媒を蒸発させるため、又は粉末を融解させて製造された副層を凝固させるために使用される。
【0058】
図6Bに示される実施形態で、超コンデンサ138は、エネルギー貯蔵層114として使用される。図10は、超コンデンサ138の構造を示す。示されるように、エネルギー貯蔵層114又は超コンデンサ138は、n個のAlGaAsの副層(n>0は整数)及び(n+1)個のGaAsの副層などの、複数のヒ化ガリウム(GaAs)/ヒ化アルミニウムガリウム(AlGaAs)副層を備え、各AlGaAs副層は、2つの隣接するGaAs副層の間に挟まれ、それによって複数の半導体コンデンサを形成する。
【0059】
各GaAs又はAlGaAs副層は、DCスパッタリング、高周波(RF)スパッタリング、及び/又は熱蒸発などの適切な技術を使用することによって堆積させることができる。
【0060】
図11Aは、図6Aに示される実施形態におけるエネルギー貯蔵層114のバッテリセル136の構造を示す概略図である。示されるように、各バッテリセル136は、それぞれアノード副層204及びカソード副層208に結合された一対の集電体副層202及び210と、アノード及びカソード副層204及び208の間に挟まれた固体電解質副層206とを含む、複数の副層を備える。
【0061】
電流は、集電体副層202、アノード副層204、固体電解質副層206、カソード副層208、及び集電体副層210を通って流れる。アノード副層204は、外部回路に電子を放出し、電気化学反応中に酸化する負極又は還元電極である。カソード副層208は、外部回路から電子を獲得し、電気化学反応中に還元される正極又は酸化電極である。
【0062】
固体電解質副層206は、バッテリセル136のカソード208とアノード204との間のイオン輸送機構を提供する媒体である。イオン伝導のために塩、酸、又はアルカリを溶解させている溶媒を含み、通常可燃性である液体形態の電解質と比較して、固体電解質はより安全であり、結果として得られるバッテリアセンブリは、必要とされる安全監視及び/又は安全防止部品及び/又はサブシステムがより少ないので、よりコンパクトになる可能性がある。固体電解質を使用するバッテリは、同様に、エネルギー密度及び電力密度の改善をもたらす。
【0063】
図11Bは、Liイオンバッテリセルの形態でバッテリセル136の構造を示す概略図である。この実施形態で、集電体副層202及び210は、アルミニウム箔の薄層であり、アノード副層204は、炭素(単層カーボンナノチューブ(SWCNT)及び炭素粉末を含む、以下により詳細に説明する)及び半相互貫入ポリマーネットワーク(SIPN又は半IPN)骨格とともに活性化LiTi12(すなわち、LTO)を含み、カソード副層208は、炭素(SWCNT及び炭素粉末を含む、以下により詳細に説明する)及び半IPN骨格とともに活性化LiCoO(すなわち、酸化リチウムコバルト又はLCO)を含み、固体電解質副層206は、Al及び半IPN骨格とともにLiBFを含む。
【0064】
半IPN骨格は、光開始剤として1.0重量パーセント(wt%)の2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン(HMPP)を組み込んだエトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート(すなわち、ETPTA)と、ポリ(フッ化ビニリデン-コ-ヘキサフルオロプロピレン)(すなわち、PVdF-HFP)から構成される紫外線(UV)硬化型ポリマーであり、HFP含有量は6モルパーセント(mol%)であり、ETPTA/PVdF-HFPは75/25重量比(w/w)の比率である。半IPN骨格は、電極及び電解質の他の材料のバインダとして機能する。
【0065】
LCO及びLTOの導電率を高めるために、電極活性LCO又はLTO粉末(例えば、ナノ粒子)をSWCNTでコーティングする。具体的には、LCO又はLTO粉末をSWCNT懸濁溶液に添加し(LCO/SWCNTは99.75/0.25w/wの比率、LTO/SWCNTは99.35/0.65w/wの比率)、混合する。次に、混合溶液を濾過して固体を得、それをすすいで乾燥させて、SWCNTコーティングされたLCO(すなわち、活性化LCO)又はSWCNTコーティングされたLTO(すなわち、活性化LTO)を得る。
【0066】
次に、SWCNTコーティングされたLCOナノ粒子をカーボンブラック(すなわち、炭素粉末)及び半IPN骨格(55/6/39w/w/wの比率)と混合することによって、カソード副層208を作るための電極ペーストを形成する。次に、SWCNTコーティングされたLTOナノ粒子をカーボンブラック(すなわち、炭素粉末)及び半IPN骨格(30/7/63w/w/wの比率)と混合することによって、アノード副層204を作るための電極ペーストを形成する。ここでは、電極の導電率を高めるためにカーボンブラックを使用している。
【0067】
固体電解質副層206は、セバコニトリル(SBN)中の1モル濃度(1リットルあたり1モル、M)のLiBF及び半IPN骨格を85/15w/wの比率で含み、その凝集体は次に、60/40w/wの比率でAl(約300モル濃度)と混合される。Alは、電極の短絡を防止するためのスペーサとして使用される。
【0068】
図12は、直列に互いに重なり合って印刷され、それらの間に共通の集電体副層(202/210と表記される)を共有する2つのバッテリセル136を示す概略図である。各バッテリセル136は、αボルト(V)の出力電圧を有し、2つのバッテリセル136の合成電圧は、2αVである。
【0069】
図13は、ステンシルプリンタデバイスとしてコールドマニュアルラミネータを使用することによってバッテリセル136を作るためのステンシル印刷技術を示す。具体的には、一対のローラ222が、矢印224で指示されるように回転して、矢印228で指示されるようにローラ222に供給される製作すべきハイブリッドエネルギーデバイス(参照符号102’を使用して識別され、基板132及びその上に印刷された太陽電池層112を有する)に圧力を加える。供給ハイブリッドエネルギーデバイス102’は、その上に銅マスク(図示せず)が重ねられて準備される。次に、副層204~208のそれぞれの副層の上述の材料を有するゲル又はペーストが、マスクされたハイブリッドエネルギーデバイス102’に塗布される。ローラ222を通過した後、ゲルの薄層230(厚さ約100μm)が、マスクされたハイブリッドエネルギーデバイス102’上にこのように印刷又はコーティングされる。
【0070】
図14は、何も処理溶剤なしで上述のステンシル印刷技術を使用する、アルミニウム集電体副層202の上へのアノード副層204の製造プロセスを示す。示されるように、アルミニウム集電体副層202(図示せず)を有する供給ハイブリッドエネルギーデバイス102’にLTOアノードペースト252が塗布され、回転ローラ222は、それを通過するアノードペースト252に圧力を加えて、薄いLTO膜204を形成し、このLTO膜204は、次に、およそ2000mW・cm-2の照射ピーク強度を持つHg UVランプ256からのUV照射254に30秒間曝されて固化し、印刷されたLTOアノード副層204を形成する。
【0071】
次に、ハイブリッドエネルギーデバイス102’を上述のような類似のステンシル印刷及びUV硬化プロセスでマスクし、電解質ペーストで塗布し、ローラ222を通して供給して、アノード副層204上に固体電解質副層206を印刷することができる。次に、カソード副層208は、ハイブリッドエネルギーデバイス102’の固体電解質副層206上にカソードペーストを印刷して、UV照射によって硬化させることによって製造することができる。印刷されたカソード副層208の上にAl集電体副層210が置かれた後、シームレスに統合された全固体バッテリセル層136が得られ、それは、モノフルセル、すなわち、単一のバッテリセルを備える完全なバッテリセル層136であり得る。
【0072】
上述のプロセスを繰り返して、別のバッテリセル層136を上に印刷し、印刷されたバイポーラバッテリセル136を生じさせることができる。
【0073】
いくつかの実施形態で、図9に示されるスロットダイヘッド174を備えた上述の印刷装置は、バッテリセル136の副層を印刷するために使用することができる。これらの実施形態で、スロットダイコーティングを使用して固体バッテリセル136のすべての副層を印刷するために、特定のヘッド174を使用することができる。しかしながら、ステンシル印刷(図13を参照)は、高粘度のインクでより容易に使用される。そのうえ、本明細書に開示されるバッテリを製造するために薄い(すなわち、nmスケール)層をコーティングする必要がない。バッテリセル136の副層は、ステンシル印刷を使用することによって容易に達成され得るマイクロメートルの範囲の比較的大きい厚さを有し得る。
【0074】
図15は、ハイブリッドエネルギーデバイス102の詳細を示す。この実施例で、エネルギー貯蔵層114は、上述のような複数の半導体コンデンサを形成する複数のGaAs/AlGaAs副層138を備える超コンデンサ層である。
【0075】
いくつかの実施形態で、多入力電子電力変換器116は、バッテリセル136(図6A及び図6Bを参照)の層に印刷、堆積、又は別な方法で統合され得る、統合電子電力変換器であり得る。統合電子電力変換器のブロック図は、図16A及び図16Bに示されており、それらは、それぞれAC用途及びDC用途向けの統合電子電力変換器116を有する太陽エネルギーハーベスティングシステム100を示す。
【0076】
図17Aは、統合電子電力変換器116のブロック図である。示されるように、統合電子電力変換器116は、太陽電池入力282において太陽電池層112の出力を受け取り、太陽電池入力282を、出力変換器288に出力するための第1の中間形(電圧、電流、周波数、及び/又は位相など)に変換する太陽電池入力変換器284を備える。統合電子電力変換器116は、同様に、バッテリ入力290においてエネルギー貯蔵層114の出力を受け取り、バッテリ入力290を、出力変換器288に出力するための第2の中間形(電圧、電流、周波数、及び/又は位相など)に変換するバッテリ入力変換器286を備える。出力変換器288は、太陽電池入力変換器284及びバッテリ入力変換器286からの電気的出力を受け取って合成し、合成電気エネルギーを、負荷及び/又はユーティリティグリッド(図示せず)に出力(292)するための適切な形態(電圧、電流、周波数、及び/又は位相など)に変換する。
【0077】
これらの実施形態で、太陽電池入力変換器284、バッテリ入力変換器286、及び出力変換器288は、高周波回路であり、図17Bに示されるような類似の機能構造を有する。見られるように、変換器284、286、及び288の各変換器は、電気入力を受け取るための電力回路312を備える。電力回路312は、電気を出力するための駆動回路314に結合されている。電気出力を制御するため、及び太陽電池入力282とバッテリ入力290との間のバランスをとるために、制御及び検知モジュール316が駆動回路314に結合されている。
【0078】
図17Cは、統合電子電力変換器116の回路図である。示されるように、太陽電池入力変換器284、バッテリ入力変換器286、及び出力変換器288は、強磁性又はフェリ磁性の磁心を備えた変圧器322を通して電気的に結合されている。
【0079】
図18A図18Cに示されるように、いくつかの実施形態における統合電子電力変換器116は、複数の可撓性印刷回路基板(PCB)330上の印刷された回路によって形成され得る。
【0080】
これらの実施形態で、統合電子電力変換器116は、集積回路(IC)チップとして実装され、フェライト材料で作られた磁心層334を備え、それによってフェライト磁心を形成している。フェライト磁心334は、2つのシリコンベースの配線層330の間に挟まれている。図18Cは、統合電子電力変換器116の一部の概略斜視図である。図解を容易にするために、統合電子電力変換器116の構造は、フェライト磁心334と配線層330との間に隙間を空けて示されている。しかしながら、当業者は、そのような隙間は図解のためだけのものであり、実際の統合電子電力変換器116ではフェライト磁心334と配線層330との間に何も隙間がない場合があることを理解するはずである。例えば、フェライト磁心334は、配線層330のいずれかに、印刷、堆積、又は別な方法で統合され得る。
【0081】
フェライト磁心334は、それぞれ、太陽電池入力、バッテリ入力、及び出力変換器284、286、及び288のインダクタLの磁心として機能するための3つのフェライトループ336A、336B、及び336Cを備える。
【0082】
332A、332B、及び33Cを含む導電性配線332は、配線層330上に分配され、太陽電池入力、バッテリ入力、及び出力変換器284、286、及び288を接続する。図18B及び図18Cに示されるように、対向する配線層330上の導電性配線332は、ビア342(配線層330上の導通孔)を通して接続され、フェライト磁心334の周りに巻きついている。
【0083】
いくつかの実施形態で、統合電子電力変換器116は、図18A図18Cに示され、上述されたものに類似した方式で構造化された、可撓性PCBで作られた2つの配線層330及び磁心層334を有する回路基板として実装される。332A、332B、及び33Cを含む導電性配線332は、可撓性PCB 330上のエッチングされた導電層で作られている。対向する可撓性PCB 330上の導電性配線332は、ビア342を通して接続され、フェライト磁心334の周りに巻きついている。
【0084】
上の実施形態では、太陽電池層112は、ZnO副層144及びPEIE副層146を備えるが、いくつかの代替実施形態では、太陽電池層112は、ZnO副層144又はPEIE副層146のみを備え得る。しかしながら、これらの実施形態における太陽電池層112の性能は、低下する可能性がある。
【0085】
実施形態について添付図面を参照して上で説明してきたが、当業者は、添付の特許請求の範囲によって定められるその範囲から逸脱することなく、変形及び修正を行うことができることを理解するはずである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図17A
図17B
図17C
図18A
図18B
図18C