(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】モータ制御装置および電動パワーステアリング装置
(51)【国際特許分類】
H02P 6/14 20160101AFI20241128BHJP
H02P 29/00 20160101ALI20241128BHJP
H02P 29/028 20160101ALI20241128BHJP
【FI】
H02P6/14
H02P29/00
H02P29/028
(21)【出願番号】P 2023568813
(86)(22)【出願日】2021-12-21
(86)【国際出願番号】 JP2021047287
(87)【国際公開番号】W WO2023119410
(87)【国際公開日】2023-06-29
【審査請求日】2023-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】324003048
【氏名又は名称】三菱電機モビリティ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】船越 政行
(72)【発明者】
【氏名】國光 威宏
(72)【発明者】
【氏名】小河 賢二
(72)【発明者】
【氏名】上月 宏之
(72)【発明者】
【氏名】八木原 崇
(72)【発明者】
【氏名】木村 琢也
(72)【発明者】
【氏名】荻原 憲人
(72)【発明者】
【氏名】松下 正樹
【審査官】谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-161994(JP,A)
【文献】特開2016-001953(JP,A)
【文献】特開2021-035075(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 6/14
H02P 29/00
H02P 29/028
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータに駆動電流を出力するモータ駆動回路と、
前記駆動電流を検出する駆動電流検出器と、
主制御ユニットと、
補助制御ユニットと、を備え、
前記モータ駆動回路は、前記主制御ユニットまたは前記補助制御ユニットから出力される駆動信号に基づいて駆動され、
前記主制御ユニットは、
前記駆動電流検出器から入力される電流検出信号に基づいて第1制御信号を生成する第1制御信号生成部と、
前記第1制御信号に基づいて前記駆動信号を生成する第1駆動信号生成部と、
前記駆動信号の前記モータ駆動回路への出力状態を切替える第1切替器と、を有し、
前記補助制御ユニットは、
前記駆動電流検出器から入力される電流検出信号に基づいて第2制御信号を生成する第2制御信号生成部と、
前記第2制御信号に基づいて前記駆動信号を生成する第2駆動信号生成部と、
前記駆動信号の前記モータ駆動回路への出力状態を切替える第2切替器と、を有
し、
前記モータ駆動回路は、複数のスイッチング素子を含み、それぞれの前記スイッチング素子を通じた前記駆動電流の前記モータへの供給および停止を切り替えることで、前記モータを駆動させるモータ制御装置であって、
前記第1制御信号生成部の動作状態を監視し、前記第1制御信号生成部で異常が発生していると判定すると、第1異常信号を前記第1切替器および前記第2制御信号生成部に出力する第1制御信号生成監視部と、
前記第2制御信号生成部の動作状態を監視し、前記第2制御信号生成部で異常が発生していると判定すると、第2異常信号を前記第2切替器および前記第1制御信号生成部に出力する第2制御信号生成監視部と、
前記第1駆動信号生成部の動作状態を監視し、前記第1駆動信号生成部で異常が発生していると判定すると、第1駆動異常信号を前記第1切替器および前記第2制御信号生成部に出力する第1駆動信号生成監視部と、
前記第2駆動信号生成部の動作状態を監視し、前記第2駆動信号生成部で異常が発生していると判定すると、第2駆動異常信号を前記第2切替器および前記第1制御信号生成部に出力する第2駆動信号生成監視部と、をさらに備え、
前記主制御ユニットおよび前記補助制御ユニットのうち正常な制御ユニットから前記モータ駆動回路に前記駆動信号を出力する、モータ制御装置。
【請求項2】
前記第1制御信号生成部および前記第1駆動信号生成部に作動電力を供給する第1電源と、
前記第2制御信号生成部および前記第2駆動信号生成部に作動電力を供給する第2電源と、
前記第1電源の動作状態を監視し、前記第1電源に異常が発生していると判定すると、第1電源異常信号を前記第1切替器および前記第2制御信号生成部に出力する第1電源監視部と、
前記第2電源の動作状態を監視し、前記第2電源に異常が発生していると判定すると、第2電源異常信号を前記第2切替器および前記第1制御信号生成部に出力する第2電源監視部と、をさらに備え、
前記主制御ユニットおよび前記補助制御ユニットのうち、正常な制御ユニットから前記モータ駆動回路に前記駆動信号を出力する、請求項
1に記載のモータ制御装置。
【請求項3】
前記主制御ユニットに設けられ、前記駆動電流検出器の動作状態を監視し、前記駆動電流検出器に異常が発生していると判定すると、第1電流検出異常信号を前記第1切替器および前記第2制御信号生成部に出力する第1検出器監視部と、
前記補助制御ユニットに設けられ、前記駆動電流検出器の動作状態を監視し、前記駆動電流検出器に異常が発生していると判定すると、第2電流検出異常信号を前記第2切替器および前記第1制御信号生成部に出力する第2検出器監視部と、をさらに備える、請求項1
または2に記載のモータ制御装置。
【請求項4】
前記主制御ユニットは、前記第2切替器が前記駆動信号を前記モータ駆動回路に出力していない場合にのみ、前記第1切替器を通じて前記駆動信号を前記モータ駆動回路に出力し、
前記補助制御ユニットは、前記第1切替器が前記駆動信号を前記モータ駆動回路に出力していない場合にのみ、前記第2切替器を通じて前記駆動信号を前記モータ駆動回路に出力する、請求項1から
3のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
【請求項5】
前記モータの入力端子の状態をモータ端子状態として検出するモータ端子状態検出部をさらに備え、
前記第2制御信号生成部は、前記モータ端子状態を参照することにより前記補助制御ユニットにおける故障の発生を判定する、請求項1から
4のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
【請求項6】
前記第2制御信号生成部は、前記第1制御信号生成部よりも計算能力が低い、請求項1から
5のいずれか1項に記載のモータ制御装置。
【請求項7】
請求項1から
6のいずれか1項に記載のモータ制御装置と、
運転者によるステアリングの操舵トルクを補助するアシストトルクを発生させる前記モータと、を備えた、電動パワーステアリング装置。
【請求項8】
前記操舵トルクを検出する操舵トルク検出部と、
前記操舵トルク検出部によって検出されたトルク検出信号を、第1トルク変換信号に変換して、前記第1制御信号生成部に入力する第1操舵トルク入力I/Fと、
前記第1操舵トルク入力I/Fにおける異常の発生の有無を判定する第1操舵トルク入力I/F監視部と、
前記操舵トルク検出部によって検出されたトルク検出信号を、第2トルク変換信号に変換して、前記第2制御信号生成部に入力する第2操舵トルク入力I/Fと、
前記第2操舵トルク入力I/Fにおける異常の発生の有無を判定する第2操舵トルク入力I/F監視部と、をさらに備え、
前記第1操舵トルク入力I/F監視部が前記第1操舵トルク入力I/Fにおいて異常が発生したと判定した場合、前記第1切替器は、前記第1制御信号に基づく前記駆動信号の前記モータ駆動回路への出力を遮断し、
前記第2操舵トルク入力I/F監視部が前記第2操舵トルク入力I/Fにおいて異常が発生したと判定した場合、前記第2切替器は、前記第2制御信号に基づく前記駆動信号の前記モータ駆動回路への出力を遮断する、請求項
7に記載の電動パワーステアリング装置。
【請求項9】
前記モータの回転角を検出する回転角検出部と、
前記回転角検出部によって検出された回転検出信号を、第1回転変換信号に変換して、前記第1制御信号生成部に入力する第1回転角入力I/Fと、
前記第1回転角入力I/Fにおける異常の発生の有無を判定する第1回転角入力I/F監視部と、
前記回転角検出部によって検出された回転検出信号を、第2回転変換信号に変換して、前記第2制御信号生成部に入力する第2回転角入力I/Fと、
前記第2回転角入力I/Fにおける異常の発生の有無を判定する第2回転角入力I/F監視部と、をさらに備え、
前記第1回転角入力I/F監視部が前記第1回転角入力I/Fにおいて異常が発生したと判定した場合、前記第1切替器は、前記第1制御信号に基づく前記駆動信号の前記モータ駆動回路への出力を遮断し、
前記第2回転角入力I/F監視部が前記第2回転角入力I/Fにおいて異常が発生したと判定した場合、前記第2切替器は、前記第2制御信号に基づく前記駆動信号の前記モータ駆動回路への出力を遮断する、請求項
7または8に記載の電動パワーステアリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、モータ制御装置および電動パワーステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、主制御ユニットおよび補助制御ユニットを有するモータ制御装置を備えた電動パワーステアリング装置が開示されている。このように、二重の冗長制御系を採用することで、一方の制御ユニットに異常が発生しても、モータの制御を続行することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のモータ制御装置においては、主制御ユニットと補助制御ユニットでプリドライバを共用しているため、このプリドライバに異常が発生するとモータを適切に制御できなくなる可能性があった。
【0005】
本開示は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、異常の発生に対する堅牢性をより高めたモータ制御装置および電動パワーステアリング装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るモータ制御装置の一つの態様は、モータに駆動電流を出力するモータ駆動回路と、前記駆動電流を検出する駆動電流検出器と、主制御ユニットと、補助制御ユニットと、を備え、前記モータ駆動回路は、前記主制御ユニットまたは前記補助制御ユニットから出力される駆動信号に基づいて駆動され、前記主制御ユニットは、前記駆動電流検出器から入力される電流検出信号に基づいて第1制御信号を生成する第1制御信号生成部と、前記第1制御信号に基づいて前記駆動信号を生成する第1駆動信号生成部と、前記駆動信号の前記モータ駆動回路への出力状態を切替える第1切替器と、を有し、前記補助制御ユニットは、前記駆動電流検出器から入力される電流検出信号に基づいて第2制御信号を生成する第2制御信号生成部と、前記第2制御信号に基づいて前記駆動信号を生成する第2駆動信号生成部と、前記駆動信号の前記モータ駆動回路への出力状態を切替える第2切替器と、を有する。
【0007】
本開示に係る電動パワーステアリング装置の一つの態様は、上記モータ制御装置と、運転者によるステアリングの操舵トルクを補助するアシストトルクを発生させる前記モータと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、異常の発生に対する堅牢性をより高めたモータ制御装置および電動パワーステアリング装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係るモータ制御装置の全体構成を示すブロック図である。
【
図2】実施の形態2に係るモータ制御装置の全体構成を示すブロック図である。
【
図3】実施の形態3に係るモータ制御装置の全体構成を示すブロック図である。
【
図4】実施の形態4に係るモータ制御装置の全体構成を示すブロック図である。
【
図5】実施の形態5に係るモータ制御装置の全体構成を示すブロック図である。
【
図6】実施の形態7に係るモータ制御装置の全体構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施の形態について説明する。なお、本開示の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
【0011】
実施の形態1.
図1に示すように、実施の形態1に係るモータ制御装置100は、主制御ユニットA1と、補助制御ユニットA2と、モータ駆動回路5と、電流検出部7と、電流入力I/F8と、を備えている。本明細書において「I/F」とは、インターフェースの略である。
モータ制御装置100は、第1制御系(主制御ユニットA1)および第2制御系(補助制御ユニットA2)を含む、二重の冗長制御系として構成されている。モータ制御装置100は、自動車に搭載される電動パワーステアリング装置の一部である。モータ制御装置100は、電動パワーステアリング装置が備えるモータ6を制御する。モータ6は、不図示の操舵系に接続されている。
【0012】
図1に示すように、主制御ユニットA1は、第1マイクロコンピュータ1a、第1プリドライバ2a、第1信号遮断スイッチ3a、および第1スイッチ制御部4aを備える。補助制御ユニットA2は、第2マイクロコンピュータ1b、第2プリドライバ2b、第2信号遮断スイッチ3b、および第2スイッチ制御部4bを備える。第1マイクロコンピュータ1aは第1制御信号生成部に相当し、第2マイクロコンピュータ1bは第2制御信号生成部に相当する。第1プリドライバ2aは第1駆動信号生成部に相当し、第2プリドライバ2bは第2駆動信号生成部に相当する。
【0013】
モータ駆動回路5は、6つのスイッチングトランジスタQ1~Q6および3つのシャント抵抗器R1~R3を備えている。スイッチングトランジスタQ1~Q6は、スイッチング素子の一種である。なお、スイッチングトランジスタ以外のスイッチング素子を用いてもよい。モータ駆動回路5は、これら複数のスイッチングトランジスタQ1~Q6を通じた駆動電流のモータ6への供給および停止を切り替えることで、モータ6を駆動させるように構成されている。
【0014】
モータ6は、3つの入力端子(U相入力端子、V相入力端子およびW相入力端子)を備えている。モータ駆動回路5は、モータ6の3つの入力端子に、それぞれ三相駆動電流(U相駆動電流、V相駆動電流およびW相駆動電流)を入力する。これにより、モータ6は駆動される。すなわち、本実施の形態におけるモータ6は三相直流電動機である。
【0015】
モータ6は、自動車において運転者の操舵を補助するアシストトルクの発生源である。すなわち、モータ6は、運転者が自動車のステアリングを操作する際に、より小さな操舵トルクで操作できるように補助する、アシストトルクを発生させる。
【0016】
第1マイクロコンピュータ1aは、予め記憶された制御プログラムに基づいて、モータ6を制御するための6つのゲート制御信号を生成する。第1マイクロコンピュータ1aは、制御プログラムを記憶する記憶部、前記制御プログラムに基づいて演算を実行する演算部、などが一体化されたチップである。第1マイクロコンピュータ1aは、6つの出力端と3つの入力端とを少なくとも備えている。なお、各構成要素における出力端および入力端の数は、適宜変更可能である。他の構成要素に接続されていない出力端または入力端が存在していてもよい。
【0017】
第1マイクロコンピュータ1aが備える6つの出力端は、第1プリドライバ2aに接続されている。第1マイクロコンピュータ1aは、6つの出力端を通して、6つのゲート制御信号を第1プリドライバ2aに出力する。第1マイクロコンピュータ1aが備える3つの入力端は、電流入力I/F8に接続されている。第1マイクロコンピュータ1aには、3つの入力端を通して、電流入力I/F8から三相(U相、V相およびW相)に対応した電流検出信号が入力される。
【0018】
ここで、上述した6つのゲート制御信号は、モータ駆動回路5における6つのスイッチングトランジスタQ1~Q6に対応する。以下では、スイッチングトランジスタQ1に対応する制御信号をゲート制御信号S1、スイッチングトランジスタQ2に対応する制御信号をゲート制御信号S2、スイッチングトランジスタQ3に対応する制御信号をゲート制御信号S3、スイッチングトランジスタQ4に対応する制御信号をゲート制御信号S4、スイッチングトランジスタQ5に対応する制御信号をゲート制御信号S5、スイッチングトランジスタQ6に対応する制御信号をゲート制御信号S6という。
【0019】
第1プリドライバ2aは、6つのゲート制御信号S1~S6に基づいて、6つのゲート信号Sg1~Sg6を生成するゲートドライバである。第1プリドライバ2aは、1つのIC(Integrated Circuit)であってもよい。第1マイクロコンピュータ1aが生成するゲート制御信号S1~S6の電圧は、スイッチングトランジスタQ1~Q6を作動させるためには不充分である。このため、第1プリドライバ2aは、スイッチングトランジスタQ1~Q6を作動させるために充分な電圧を有するゲート信号Sg1~Sg6を、ゲート制御信号S1~S6に基づいて生成する。各ゲート信号Sg1~Sg6は、各ゲート制御信号S1~S6に対応している。
【0020】
図1に示すように、第1プリドライバ2aは、6つの入力端と6つの出力端とを備えている。6つの入力端は、第1マイクロコンピュータ1aにおける6つの出力端に各々接続されており、各々にゲート制御信号S1~S6を受け入れる。6つの出力端は、第1信号遮断スイッチ3aに接続されており、対応するゲート信号Sg1~Sg6を第1信号遮断スイッチ3aに出力する。
【0021】
第1信号遮断スイッチ3aは、各ゲート信号Sg1~Sg6に対応する、6つの開閉スイッチを備える。また、第1信号遮断スイッチ3aは、各開閉スイッチに対応する、6つの入力端および6つの出力端を備える。さらに、第1信号遮断スイッチ3aは、1つの制御入力端を備える。第1信号遮断スイッチ3aにおける6つの入力端は、第1プリドライバ2aにおける6つの出力端に各々接続されており、各々にゲート信号Sg1~Sg6が入力される。
【0022】
第1信号遮断スイッチ3aにおける6つの出力端は、モータ駆動回路5に接続されている。第1信号遮断スイッチ3aは、6つの出力端を通して、6つのゲート信号Sg1~Sg6をモータ駆動回路5に出力する。第1信号遮断スイッチ3aにおける1つの制御入力端は、第1スイッチ制御部4aに接続されている。この制御入力端を通して、第1スイッチ制御部4aは第1信号遮断スイッチ3aに第1切替信号を入力する。
【0023】
第1信号遮断スイッチ3aは、第1切替信号に基づいて、6つの開閉スイッチの開状態/閉状態を切り替える。このように、第1信号遮断スイッチ3aは、第1切替信号に基づいて、主制御ユニットA1からモータ駆動回路5に向けたゲート信号Sg1~Sg6の出力状態(出力/非出力)を切り替える切替スイッチである。
【0024】
第1スイッチ制御部4aは、第1信号遮断スイッチ3a用の第1切替信号を生成する信号生成回路であり、1つの出力端を備えている。第1スイッチ制御部4aは、第1切替信号を第1信号遮断スイッチ3aの制御入力端に出力する。
【0025】
第2マイクロコンピュータ1bは、予め記憶された制御プログラムに基づいて、モータ6を制御するための6つのゲート制御信号S1~S6を生成する。第2マイクロコンピュータ1bは、制御プログラムを記憶する記憶部、前記制御プログラムに基づいて演算を実行する演算部、などが一体化されたチップである。第2マイクロコンピュータ1bの制御プログラムは、第1マイクロコンピュータ1aの制御プログラムと同一である。第2マイクロコンピュータ1bは、6つの出力端と3つの入力端とを少なくとも備えている。
【0026】
第2マイクロコンピュータ1bが備える6つの出力端は、第2プリドライバ2bに接続されている。第2マイクロコンピュータ1bは、6つの出力端を通して、6つのゲート制御信号S1~S6を第2プリドライバ2bに出力する。第2マイクロコンピュータ1bが備える3つの入力端は、電流入力I/F8に接続されている。第2マイクロコンピュータ1bには、3つの入力端を通して、電流入力I/F8から三相(U相、V相およびW相)に対応した電流検出信号が入力される。
【0027】
第2プリドライバ2bは、6つのゲート制御信号S1~S6に基づいて6つのゲート信号Sg1~Sg6を生成するゲートドライバである。第2プリドライバ2bは、1つのICであってもよい。第2マイクロコンピュータ1bが生成するゲート制御信号S1~S6の電圧は、スイッチングトランジスタQ1~Q6を作動させるためには不充分である。このため、第2プリドライバ2bは、スイッチングトランジスタQ1~Q6を作動させるために充分な電圧を有するゲート信号Sg1~Sg6を、ゲート制御信号S1~S6に基づいて生成する。
【0028】
第2プリドライバ2bは、6つの入力端と6つの出力端とを備えている。6つの入力端は、第2マイクロコンピュータ1bにおける6つの出力端に各々接続されており、各々にゲート制御信号S1~S6を受け入れる。6つの出力端は、第2信号遮断スイッチ3bに接続されており、対応する6つのゲート信号Sg1~Sg6を第2信号遮断スイッチ3bに出力する。
【0029】
第2信号遮断スイッチ3bは、各ゲート信号Sg1~Sg6に対応する、6つの開閉スイッチを備える。また、第2信号遮断スイッチ3bは、各開閉スイッチに対応する、6つの入力端および6つの出力端を備える。さらに、第2信号遮断スイッチ3bは、1つの制御入力端を備える。第2信号遮断スイッチ3bにおける6つの入力端は、第2プリドライバ2bにおける6つの出力端に各々接続されており、各々にゲート制御信号S1~S6が入力される。
【0030】
第2信号遮断スイッチ3bにおける6つの出力端は、モータ駆動回路5に接続されている。第2信号遮断スイッチ3bは、6つの出力端を通して、6つのゲート信号Sg1~Sg6をモータ駆動回路5に出力する。第2信号遮断スイッチ3bにおける1つの制御入力端は、第2スイッチ制御部4bに接続されている。この制御入力端を通して、第2スイッチ制御部4bは第2信号遮断スイッチ3bに第2切替信号を入力する。
【0031】
第2信号遮断スイッチ3bは、第2切替信号に基づいて、6つの開閉スイッチの開状態/閉状態を切り替える。このように、第2信号遮断スイッチ3bは、第2切替信号に基づいて、補助制御ユニットA2からモータ駆動回路5に向けたゲート信号Sg1~Sg6の出力状態(出力/非出力)を切り替える切替スイッチである。
【0032】
第2スイッチ制御部4bは、第2信号遮断スイッチ3b用の第2切替信号を生成する信号生成回路であり、1つの出力端を備えている。第2スイッチ制御部4bは、第2切替信号を第2信号遮断スイッチ3bの制御入力端に出力する。
【0033】
第2信号遮断スイッチ3bにおける6つの出力端は、第1信号遮断スイッチ3aにおいて対応する出力端に、それぞれ接続されている。すなわち、主制御ユニットA1および補助制御ユニットA2は、そのいずれからもモータ駆動回路5にゲート信号Sg1~Sg6を入力できるように、モータ駆動回路5に接続されている。
【0034】
主制御ユニットA1が稼働している場合は、第1信号遮断スイッチ3aからモータ駆動回路5に6つのゲート信号Sg1~Sg6が入力される。補助制御ユニットA2が稼働している場合は、第2信号遮断スイッチ3bからモータ駆動回路5に6つのゲート信号Sg1~Sg6が入力される。
【0035】
モータ駆動回路5は三相インバータであり、U相、V相およびW相にそれぞれ対応した3つのスイッチングレグを備えている。以下では、U相に対応するスイッチングレグをU相レグといい、V相に対応するスイッチングレグをV相レグといい、W相に対応するスイッチングレグをW相レグという。モータ駆動回路5は、主制御ユニットA1あるいは補助制御ユニットA2から入力される、6つのゲート信号Sg1~Sg6に基づいて制御される。モータ駆動回路5は、自動車のバッテリ9から給電される所定電圧(一般的に12V)の直流電力を、U相、V相およびW相からなる三相交流電力に変換して、モータ6に出力する。
【0036】
U相レグは、上アームを構成するスイッチングトランジスタQ1と、下アームを構成するスイッチングトランジスタQ2と、シャント抵抗器R1と、を備えている。
【0037】
スイッチングトランジスタQ1は、MOSトランジスタであり、ゲート端子、ソース端子およびドレイン端子を備えている。スイッチングトランジスタQ1のゲート端子は、第1信号遮断スイッチ3aの出力端および第2信号遮断スイッチ3bの出力端に接続されている。スイッチングトランジスタQ1のゲート端子には、第1信号遮断スイッチ3aあるいは第2信号遮断スイッチ3bからゲート信号Sg1が入力される。
【0038】
スイッチングトランジスタQ1のソース端子は、スイッチングトランジスタQ2のドレイン端子およびモータ6のU相入力端に接続されている。スイッチングトランジスタQ1のドレイン端子は、外部のバッテリ9に接続されている。
【0039】
スイッチングトランジスタQ2は、MOSトランジスタであり、ゲート端子、ソース端子およびドレイン端子を備えている。スイッチングトランジスタQ2のゲート端子は、第1信号遮断スイッチ3aの出力端および第2信号遮断スイッチ3bの出力端に接続されている。スイッチングトランジスタQ2のゲート端子には、第1信号遮断スイッチ3aあるいは第2信号遮断スイッチ3bからゲート信号Sg2が入力される。
【0040】
スイッチングトランジスタQ2のソース端子は、シャント抵抗器R1の一端および電流検出部7に接続されている。スイッチングトランジスタQ2のドレイン端子は、スイッチングトランジスタQ1のソース端子およびモータ6のU相入力端に接続されている。
【0041】
シャント抵抗器R1は、上アーム用のスイッチングトランジスタQ1および下アーム用のスイッチングトランジスタQ2に直列接続されている。シャント抵抗器R1は、一端がスイッチングトランジスタQ2のソース端子および電流検出部7に接続され、他端がGND(基準電位)に接続されている。シャント抵抗器R1では、U相駆動電流に応じた電圧降下が生じる。電流検出部7は、シャント抵抗器R1における電圧降下に基づいて、U相駆動電流に応じたU相検出電圧を取得する。
【0042】
V相レグは、上アームを構成するスイッチングトランジスタQ3と、下アームを構成するスイッチングトランジスタQ4と、シャント抵抗器R2と、を備えている。
【0043】
スイッチングトランジスタQ3は、MOSトランジスタであり、ゲート端子、ソース端子およびドレイン端子を備えている。スイッチングトランジスタQ3のゲート端子は、第1信号遮断スイッチ3aの出力端および第2信号遮断スイッチ3bの出力端に接続されている。スイッチングトランジスタQ3のゲート端子には、第1信号遮断スイッチ3aあるいは第2信号遮断スイッチ3bからゲート信号Sg3が入力される。
【0044】
スイッチングトランジスタQ3のソース端子は、スイッチングトランジスタQ4のドレイン端子およびモータ6のV相入力端に接続されている。スイッチングトランジスタQ3のドレイン端子は、外部のバッテリ9に接続されている。
【0045】
スイッチングトランジスタQ4は、MOSトランジスタであり、ゲート端子、ソース端子およびドレイン端子を備えている。スイッチングトランジスタQ4のゲート端子は、第1信号遮断スイッチ3aの出力端および第2信号遮断スイッチ3bの出力端に接続されている。スイッチングトランジスタQ4のゲート端子には、第1信号遮断スイッチ3aあるいは第2信号遮断スイッチ3bからゲート信号Sg4が入力される。
【0046】
スイッチングトランジスタQ4のソース端子は、シャント抵抗器R2の一端および電流検出部7に接続されている。スイッチングトランジスタQ4のドレイン端子は、スイッチングトランジスタQ3のソース端子およびモータ6のV相入力端に接続されている。
【0047】
シャント抵抗器R2は、上アーム用のスイッチングトランジスタQ3および下アーム用のスイッチングトランジスタQ4に直列接続されている。シャント抵抗器R2は、一端がスイッチングトランジスタQ4のソース端子および電流検出部7に接続され、他端がGND(基準電位)に接続されている。シャント抵抗器R2では、V相駆動電流に応じた電圧降下が生じる。電流検出部7は、シャント抵抗器R2における電圧降下に基づいて、V相駆動電流に応じたV相検出電圧を取得する。
【0048】
W相レグは、上アームを構成するスイッチングトランジスタQ5と、下アームを構成するスイッチングトランジスタQ6と、シャント抵抗器R3と、を備えている。
【0049】
スイッチングトランジスタQ5は、MOSトランジスタであり、ゲート端子、ソース端子およびドレイン端子を備えている。スイッチングトランジスタQ5のゲート端子は、第1信号遮断スイッチ3aの出力端および第2信号遮断スイッチ3bの出力端に接続されている。スイッチングトランジスタQ5のゲート端子には、第1信号遮断スイッチ3aあるいは第2信号遮断スイッチ3bからゲート信号Sg5が入力される。
【0050】
スイッチングトランジスタQ5のソース端子は、スイッチングトランジスタQ6のドレイン端子およびモータ6のW相入力端に接続されている。スイッチングトランジスタQ5のドレイン端子は、外部のバッテリ9に接続されている。
【0051】
スイッチングトランジスタQ6は、MOSトランジスタであり、ゲート端子、ソース端子およびドレイン端子を備えている。スイッチングトランジスタQ6のゲート端子は、第1信号遮断スイッチ3aの出力端および第2信号遮断スイッチ3bの出力端に接続されている。スイッチングトランジスタQ6のゲート端子には、第1信号遮断スイッチ3aあるいは第2信号遮断スイッチ3bからゲート信号Sg6が入力される。
【0052】
スイッチングトランジスタQ6のソース端子は、シャント抵抗器R3の一端および電流検出部7に接続されている。スイッチングトランジスタQ6のドレイン端子は、スイッチングトランジスタQ5のソース端子およびモータ6のW相入力端に接続されている。
【0053】
シャント抵抗器R3は、上アーム用のスイッチングトランジスタQ5および下アーム用のスイッチングトランジスタQ6に直列接続されている。シャント抵抗器R3は、一端がスイッチングトランジスタQ6のソース端子および電流検出部7に接続され、他端がGND(基準電位)に接続されている。シャント抵抗器R3では、W相駆動電流に応じた電圧降下が生じる。電流検出部7は、シャント抵抗器R3における電圧降下に基づいて、W相駆動電流に応じたW相検出電圧を取得する。
【0054】
電流検出部7は、U相検出電圧、V相検出電圧およびW相検出電圧に基づいて、U相駆動電流、V相駆動電流およびW相駆動電流を検出する、検出回路である。本明細書では、電流検出部7によって検出された各相の駆動電流を総称して、「検出電流」という。電流検出部7は、3つの入力端と3つの出力端とを備えている。電流検出部7における3つの入力端は、3つのシャント抵抗器R1~R3の一端に各々接続されており、U相検出電圧、V相検出電圧およびW相検出電圧が各々入力される。電流検出部7における3つの出力端は、電流入力I/F8に各々接続されている。
【0055】
電流入力I/F8は、電流検出部7とマイクロコンピュータ1a,1bとの間に設けられており、3つの入力端と3つの出力端とを備えている。電流入力I/F8における3つの入力端は、電流検出部7における3つの出力端に各々接続されている。電流入力I/F8の3つの入力端にはそれぞれ、電流検出部7から、U相駆動電流、V相駆動電流およびW相駆動電流に関する検出電流が入力される。
【0056】
電流入力I/F8は、U相駆動電流、V相駆動電流およびW相駆動電流の各検出電流にそれぞれ対応する、U相変換電流信号、V相変換電流信号およびW相変換電流信号を生成する。本明細書では、電流入力I/F8によって生成される上記信号を総称して「電流検出信号」という。すなわち、電流入力I/F8は、電流検出部7によって検出されたアナログ値である検出電流に基づいて、デジタル信号である電流検出信号を生成する、インターフェース回路である。
電流入力I/F8における3つの出力端は、マイクロコンピュータ1a,1bにおける3つの入力端に各々接続されている。電流入力I/F8は、3つの出力端を通じて、U相変換電流信号、V相変換電流信号およびW相変換電流信号を、マイクロコンピュータ1a,1bに出力する。
【0057】
図1には示していないが、バッテリ9には、電圧変換を行うための電源回路が接続されている。主制御ユニットA1、補助制御ユニットA2、電流検出部7、および電流入力I/F8には、上記電源回路から供給される電源電圧(例えば5V)によって動作する。
【0058】
第1信号遮断スイッチ3aおよび第1スイッチ制御部4aは第1切替器100bを構成し、第2信号遮断スイッチ3bおよび第2スイッチ制御部4bは第2切替器100cを構成している。さらに、電流検出部7および電流入力I/F8は、駆動電流検出器100aを構成している。
【0059】
続いて、このように構成された実施の形態1に係るモータ制御装置100および電動パワーステアリング装置の動作について説明する。
【0060】
主制御ユニットA1において、第1マイクロコンピュータ1aは、モータ6に流すU相駆動電流、V相駆動電流およびW相駆動電流の目標値(目標電流)を演算する。また、電流検出部7は、モータ6に実際に流れるU相駆動電流、V相駆動電流およびW相駆動電流を検出電流として検出し、電流入力I/F8を介して第1マイクロコンピュータ1aに出力する。そして、第1マイクロコンピュータ1aは、上記目標電流と検出電流が一致するようにゲート制御信号S1~S6を生成して第1プリドライバ2aに出力する。
【0061】
そして、第1プリドライバ2aは、上記ゲート制御信号S1~S6に基づいてゲート信号Sg1~Sg6を生成し、第1信号遮断スイッチ3aを介してモータ駆動回路5に出力する。モータ駆動回路5は、ゲート信号Sg1~Sg6に基づいてU相駆動電流、V相駆動電流およびW相駆動電流をモータ6に供給することにより、モータ6を回転駆動させる。
【0062】
補助制御ユニットA2において、第2マイクロコンピュータ1bは、モータ6に流すU相駆動電流、V相駆動電流およびW相駆動電流の目標値(目標電流)を演算する。また、電流検出部7は、モータ6に実際に流れるU相駆動電流、V相駆動電流およびW相駆動電流を検出電流として検出し、電流入力I/F8を介して第2マイクロコンピュータ1bに出力する。そして、第2マイクロコンピュータ1bは、上記目標電流と検出電流が一致するようにゲート制御信号S1~S6を生成して第2プリドライバ2bに出力する。
【0063】
そして、第2プリドライバ2bは、ゲート制御信号S1~S6に基づいてゲート信号Sg1~Sg6を生成し、第2信号遮断スイッチ3bを介してモータ駆動回路5に出力する。モータ駆動回路5は、上記ゲート信号Sg1~Sg6に基づいてU相駆動電流、V相駆動電流およびW相駆動電流をモータ6に供給することにより、モータ6を回転駆動させる。
【0064】
ここで、主制御ユニットA1における第1信号遮断スイッチ3aは、第1スイッチ制御部4aから入力される第1切替信号によってゲート信号Sg1~Sg6の出力状態(出力/非出力)が制御される。また、補助制御ユニットA2における第2信号遮断スイッチ3bは、第2スイッチ制御部4bから入力される第2切替信号によってゲート信号Sg1~Sg6の出力状態(出力/非出力)が制御される。
【0065】
主制御ユニットA1における第1信号遮断スイッチ3aは、補助制御ユニットA2における第2信号遮断スイッチ3bがゲート信号Sg1~Sg6をモータ駆動回路5に出力している場合、ゲート信号Sg1~Sg6のモータ駆動回路5への出力を遮断し、補助制御ユニットA2によるモータ6の制御を妨げないようにする。
【0066】
一方、補助制御ユニットA2における第2信号遮断スイッチ3bは、主制御ユニットA1における第1信号遮断スイッチ3aがゲート信号Sg1~Sg6をモータ駆動回路5に出力している場合、ゲート信号Sg1~Sg6のモータ駆動回路5への出力を遮断し、主制御ユニットA1によるモータ6の制御を妨げないようにする。
【0067】
すなわち、モータ駆動回路5は、主制御ユニットA1または補助制御ユニットA2のいずれか一方から入力されるゲート信号Sg1~Sg6に基づいてU相駆動電流、V相駆動電流およびW相駆動電流を生成することによりモータ6を回転駆動させる。
【0068】
以上説明したように、実施の形態1に係るモータ制御装置100は、モータ6に駆動電流を出力するモータ駆動回路5と、駆動電流を検出する駆動電流検出器100aと、主制御ユニットA1と、補助制御ユニットA2と、を備え、モータ駆動回路5は、主制御ユニットA1または補助制御ユニットA2から出力される駆動信号(ゲート信号Sg1~Sg6)に基づいて駆動され、主制御ユニットA1は、駆動電流検出器100aから入力される電流検出信号(U相変換電流信号、V相変換電流信号およびW相変換電流信号)に基づいて第1制御信号(ゲート制御信号S1~S6)を生成する第1制御信号生成部(第1マイクロコンピュータ1a)と、第1制御信号に基づいて駆動信号を生成する第1駆動信号生成部(第1プリドライバ2a)と、駆動信号のモータ駆動回路5への出力状態を切替える第1切替器100bと、を有し、補助制御ユニットA2は、駆動電流検出器100aから入力される電流検出信号(U相変換電流信号、V相変換電流信号およびW相変換電流信号)に基づいて第2制御信号(ゲート制御信号S1~S6)を生成する第2制御信号生成部(第2マイクロコンピュータ1b)と、第2制御信号に基づいて駆動信号(ゲート信号Sg1~Sg6)を生成する第2駆動信号生成部(第2プリドライバ2b)と、駆動信号のモータ駆動回路5への出力状態を切替える第2切替器100cと、を有する。
【0069】
このようなモータ制御装置100によれば、制御ユニットA1、A2毎に駆動信号生成部および切替器が設けられている。したがって、制御ユニットA1、A2にそれぞれ設けられた駆動信号生成部のうち、一方に異常が発生したとしても、他方の駆動信号生成部を用いて、モータ6の制御を続行することができる。これにより、異常の発生に対する堅牢性を高めたモータ制御装置100を提供することができる。特に、本願発明者らが検討したところ、モータ制御装置における異常の発生要因として、プリドライバの故障が大きな割合を占めた。したがって、駆動信号生成部としてプリドライバを用いた場合に、本実施の形態におけるモータ制御装置100の構成が優れた効果を発揮する。本実施の形態のモータ制御装置100およびパワーステアリング装置によれば、例えば、自動車安全水準(ASIL:Automotive Safety Integrity Level)におけるC水準を満たすことも可能である。
【0070】
また、実施の形態1によれば、主制御ユニットA1には第1プリドライバ2a、第1信号遮断スイッチ3a、および第1スイッチ制御部4aが設けられ、補助制御ユニットA2には第2プリドライバ2b、第2信号遮断スイッチ3b、および第2スイッチ制御部4bが設けられている。この構成によれば、主制御ユニットA1がモータ6を駆動させている場合、第2信号遮断スイッチ3bを用いて補助制御ユニットA2からの出力を遮断できる。したがって、主制御ユニットA1によるモータ6の駆動が妨げられることを回避できる。また、補助制御ユニットA2からの出力が主制御ユニットA1に回り込むことに起因する、駆動信号の電圧不足および遅延の発生を抑制できる。同様に、補助制御ユニットA2がモータ6を駆動させている場合、第1信号遮断スイッチ3aを用いて主制御ユニットA1からの出力を遮断できる。したがって、補助制御ユニットA2によるモータ6の駆動が妨げられることを回避できる。また、主制御ユニットA1からの出力が補助制御ユニットA2に回り込むことに起因する、駆動信号の電圧不足および遅延の発生を抑制できる。
【0071】
実施の形態2.
次に、実施の形態2に係るモータ制御装置100および電動パワーステアリング装置について説明する。本実施の形態に係るモータ制御装置100および電動パワーステアリング装置は、基本的な構成は実施の形態1と同様であるため、異なる点を中心に説明する。なお、実施の形態1と同様の構成要素については、同様の符号を付して、その説明を省略する。
【0072】
図2に示すように、実施の形態2に係るモータ制御装置100は、主制御ユニットB1と補助制御ユニットB2とを備える。主制御ユニットB1は、実施の形態1の第1マイクロコンピュータ1aに代えて第1マイクロコンピュータ1a2を備え、第1スイッチ制御部4aに代えて第1スイッチ制御部4a2を備える。補助制御ユニットB2は、実施の形態1の第2マイクロコンピュータ1bに代えて第2マイクロコンピュータ1b2を備え、第2スイッチ制御部4bに代えて第2スイッチ制御部4b2を備える。
【0073】
また、主制御ユニットB1は、実施の形態1における主制御ユニットA1に対して、第1マイクロコンピュータ監視部10aが付加されている。補助制御ユニットB2は、実施の形態1の補助制御ユニットA2に対して、第2マイクロコンピュータ監視部10bが付加されている。
【0074】
第1マイクロコンピュータ1a2は、実施の形態1の第1マイクロコンピュータ1aにおける6つの出力端および3つの入力端に加え、2つの出力端および1つの入力端を備える。第1マイクロコンピュータ1a2における1本の出力端は、第1マイクロコンピュータ監視部10aと接続されている。第1マイクロコンピュータ1a2は、この出力端を通じて、第1マイクロコンピュータ1a2の動作状態を示す信号(第1動作状態信号)を、第1マイクロコンピュータ監視部10aに出力する。
【0075】
また、第1マイクロコンピュータ1a2における1本の出力端は、第1スイッチ制御部4a2と接続されている。第1マイクロコンピュータ1a2は、この出力端を通じて、第1スイッチ制御部4a2に第1出力指示信号を出力する。第1出力指示信号は、第1信号遮断スイッチ3aを導通状態に設定する第1切替信号を、第1スイッチ制御部4a2に出力させる信号である。
【0076】
さらに、第1マイクロコンピュータ1a2における1つの入力端は、第2マイクロコンピュータ監視部10bに接続されている。第1マイクロコンピュータ1a2には、この入力端を通じて、第2マイクロコンピュータ監視部10bから第2異常信号が入力される。第1マイクロコンピュータ1a2は、第2異常信号に基づいて、第2マイクロコンピュータ1b2の異常を認識する。
【0077】
第2マイクロコンピュータ1b2は、実施の形態1の第2マイクロコンピュータ1bにおける6つの出力端および3つの入力端に加え、2つの出力端および1つの入力端を備える。第2マイクロコンピュータ1b2における1本の出力端は、第2マイクロコンピュータ監視部10bと接続されている。第2マイクロコンピュータ1b2は、この出力端を通じて、第2マイクロコンピュータ1b2の動作状態を示す信号(第2動作状態信号)を、第2マイクロコンピュータ監視部10bに出力する。
【0078】
第2マイクロコンピュータ1b2における1本の出力端は、第2スイッチ制御部4b2と接続されている。第2マイクロコンピュータ1b2は、この出力端を通じて、第2スイッチ制御部4b2に第2出力指示信号を出力する。第2出力指示信号は、第2信号遮断スイッチ3bを導通状態に設定する第2切替信号を、第2スイッチ制御部4b2に出力させる信号である。
【0079】
さらに、第2マイクロコンピュータ1b2における1つの入力端は、第1マイクロコンピュータ監視部10aに接続されている。第2マイクロコンピュータ1b2には、この入力端を通じて、第1マイクロコンピュータ監視部10aから第1異常信号が入力される。第2マイクロコンピュータ1b2は、第1異常信号に基づいて、第1マイクロコンピュータ1a2の異常を認識する。
【0080】
第1マイクロコンピュータ監視部10aは、1つの入力端と1つの出力端とを備えている。第1マイクロコンピュータ監視部10aの入力端は第1マイクロコンピュータ1a2における1つの出力端に接続されている。第1マイクロコンピュータ監視部10aの出力端は、第1スイッチ制御部4a2および第2マイクロコンピュータ1b2に接続されている。
【0081】
第1マイクロコンピュータ監視部10aは、第1マイクロコンピュータ1a2から入力される第1動作状態信号に基づいて第1マイクロコンピュータ1a2の動作状態を監視する。第1マイクロコンピュータ監視部10aは、第1マイクロコンピュータ1a2が異常な動作状態にあることを判定すると、当該異常を示す第1異常信号を、第1スイッチ制御部4a2および第2マイクロコンピュータ1b2に出力する。
【0082】
図2では、第1マイクロコンピュータ監視部10aを第1マイクロコンピュータ1a2とは別体の構成要素として記載している。ただし、第1マイクロコンピュータ監視部10aは、第1マイクロコンピュータ1a2の内部構成要素であってもよい。すなわち、第1マイクロコンピュータ監視部10aは、第1マイクロコンピュータ1a2が予め記憶している制御プログラムによって実現される機能構成要素であってもよい。
【0083】
第2マイクロコンピュータ監視部10bは、1つの入力端と1つの出力端とを備えている。第2マイクロコンピュータ監視部10bの入力端は第2マイクロコンピュータ1b2に接続され、第2マイクロコンピュータ監視部10bの出力端は第2スイッチ制御部4b2および第1マイクロコンピュータ1a2に接続されている。
【0084】
第2マイクロコンピュータ監視部10bは、第2マイクロコンピュータ1b2から入力される第2動作状態信号に基づいて第2マイクロコンピュータ1b2の動作状態を監視する。第2マイクロコンピュータ監視部10bは、第2マイクロコンピュータ1b2が異常な動作状態にあることを判定すると、当該異常を示す第2異常信号を、第2スイッチ制御部4b2および第1マイクロコンピュータ1a2に出力する。
【0085】
図2では、第2マイクロコンピュータ監視部10bを第2マイクロコンピュータ1b2とは別体の構成要素として記載している。ただし、第2マイクロコンピュータ監視部10bは、第2マイクロコンピュータ1b2の内部構成要素であってもよい。すなわち、第2マイクロコンピュータ監視部10bは、第2マイクロコンピュータ1b2が予め記憶している制御プログラムによって実現される機能構成要素であってもよい。
【0086】
第1スイッチ制御部4a2は、2つの入力端と1つの出力端とを備える。第1スイッチ制御部4a2の1つの入力端は、第1マイクロコンピュータ監視部10aに接続されている。また、第1スイッチ制御部4a2の1つの入力端は、第1マイクロコンピュータ1a2に接続されている。さらに、第1スイッチ制御部4a2の出力端は、第1信号遮断スイッチ3aにおける制御入力端に接続されている。
【0087】
第1スイッチ制御部4a2は、第1マイクロコンピュータ監視部10aから入力される第1異常信号および第1マイクロコンピュータ1a2から入力される第1出力指示信号に基づいて第1切替信号を生成し、当該第1切替信号を第1信号遮断スイッチ3aに出力する。
【0088】
第2スイッチ制御部4b2は、2つの入力端と1つの出力端とを備える。第2スイッチ制御部4b2の1つの入力端は、第2マイクロコンピュータ監視部10bに接続されている。また、第2スイッチ制御部4b2の1つの入力端は、第2マイクロコンピュータ1b2に接続されている。さらに、第2スイッチ制御部4b2の出力端は、第2信号遮断スイッチ3bにおける制御入力端に接続されている。
【0089】
第2スイッチ制御部4b2は、第2マイクロコンピュータ監視部10bから入力される第2異常信号および第2マイクロコンピュータ1b2から入力される第2出力指示信号に基づいて第2切替信号を生成し、当該第2切替信号を第2信号遮断スイッチ3bに出力する。
【0090】
実施の形態2に係るモータ制御装置100および電動パワーステアリング装置において、主制御ユニットB1における第1マイクロコンピュータ監視部10aは、第1マイクロコンピュータ1a2の異常を検出した場合に、第1異常信号を第1スイッチ制御部4a2および第2マイクロコンピュータ1b2に出力する。
【0091】
この結果、主制御ユニットB1における第1スイッチ制御部4a2は、ゲート制御信号S1~S6を非出力とする第1切替信号を、第1信号遮断スイッチ3aに出力し、ゲート信号Sg1~Sg6のモータ駆動回路5への出力を遮断させる。
【0092】
このとき、第2マイクロコンピュータ1b2は、ゲート信号Sg1~Sg6のモータ駆動回路5への出力を指示する第2出力指示信号を、第2スイッチ制御部4b2に出力する。そして、第2スイッチ制御部4b2は、第2プリドライバ2bから入力されるゲート信号Sg1~Sg6をモータ駆動回路5へ出力させるように、第2切替信号を第2信号遮断スイッチ3bに出力する。この結果、主制御ユニットB1に代わって補助制御ユニットB2からモータ駆動回路5にゲート信号Sg1~Sg6が出力される。
【0093】
一方、第2マイクロコンピュータ監視部10bは、第2マイクロコンピュータ1b2の異常を検出した場合、第2異常信号を第2スイッチ制御部4b2および第1マイクロコンピュータ1a2に出力する。そして、第2スイッチ制御部4b2は、ゲート制御信号S1~S6を非出力とする第2切替信号を第2信号遮断スイッチ3bに出力し、ゲート信号Sg1~Sg6のモータ駆動回路5への出力を遮断させる。
【0094】
このとき、第1マイクロコンピュータ1a2は、ゲート信号Sg1~Sg6のモータ駆動回路5への出力を指示する第1出力指示信号を、第1スイッチ制御部4a2に出力する。そして、第1スイッチ制御部4a2は、第1プリドライバ2aから入力されるゲート信号Sg1~Sg6をモータ駆動回路5へ出力させるように、第1切替信号を第1信号遮断スイッチ3aに出力する。この結果、補助制御ユニットB2に代わって主制御ユニットB1からモータ駆動回路5にゲート信号Sg1~Sg6が出力される。
【0095】
以上説明したように、実施の形態2に係るモータ制御装置100は、第1制御信号生成部(第1マイクロコンピュータ1a2)の動作状態を監視し、第1制御信号生成部で異常が発生していると判定すると、第1異常信号を第1切替器100bおよび第2制御信号生成部(第2マイクロコンピュータ1b2)に出力する第1制御信号生成監視部(第1マイクロコンピュータ監視部10a)と、第2制御信号生成部の動作状態を監視し、第2制御信号生成部で異常が発生していると判定すると、第2異常信号を第2切替器100cおよび第1制御信号生成部に出力する第2制御信号生成監視部(第2マイクロコンピュータ監視部10b)と、をさらに備え、主制御ユニットB1および補助制御ユニットB2のうち正常な制御ユニットからモータ駆動回路5に駆動信号(ゲート信号Sg1~Sg6)を出力する。
【0096】
このような構成によれば、主制御ユニットB1および補助制御ユニットB2のうち、正常な制御ユニットからモータ駆動回路5に駆動信号が出力される。したがって、異常の発生に対する堅牢性をより高めることができる。
【0097】
実施の形態3.
次に、実施の形態3に係るモータ制御装置100および電動パワーステアリング装置について説明する。本実施の形態に係るモータ制御装置100および電動パワーステアリング装置は、基本的な構成は実施の形態1と同様であるため、異なる点を中心に説明する。なお、実施の形態1と同様の構成要素については、同様の符号を付して、その説明を省略する。
【0098】
図3に示すように、実施の形態3に係るモータ制御装置100は、主制御ユニットC1と補助制御ユニットC2とを備える。主制御ユニットC1は、実施の形態1の第1マイクロコンピュータ1aに代えて第1マイクロコンピュータ1a3を備え、第1プリドライバ2aに代えて第1プリドライバ2a3を備え、第1スイッチ制御部4aに代えて第1スイッチ制御部4a3を備える。補助制御ユニットC2は、実施の形態1の第2マイクロコンピュータ1bに代えて第2マイクロコンピュータ1b3を備え、第2プリドライバ2bに代えて第2プリドライバ2b3を備え、また第2スイッチ制御部4bに代えて第2スイッチ制御部4b3を備える。
【0099】
主制御ユニットC1は、実施の形態1の主制御ユニットA1に対して、第1電源11a、第1電源監視部12aおよび第1プリドライバ監視部13a(第1駆動信号生成監視部)が付加されている。補助制御ユニットC2は、実施の形態1の補助制御ユニットA2に対して、第2電源11b、第2電源監視部12bおよび第2プリドライバ監視部13b(第2駆動信号生成監視部)が付加されている。
【0100】
第1電源11aは、実施の形態1において言及した電源回路に相当する。第1電源11aは、1つの入力端および1つの出力端を備えている。第1電源11aの入力端はバッテリ9のプラス電極に接続され、第1電源11aの出力端は少なくとも第1電源監視部12a、第1マイクロコンピュータ1a3、および第1プリドライバ2a3に接続されている。第1電源11aは、少なくとも第1電源監視部12a、第1マイクロコンピュータ1a3、および第1プリドライバ2a3に第1作動電力を供給する。その他の構成要素に対して、第1電源11aが電力を供給してもよい。
【0101】
第1電源監視部12aは、1つの入力端および1つの出力端を備えている。第1電源監視部12aの入力端は第1電源11aに接続され、12aの出力端は第1スイッチ制御部4a3および第2マイクロコンピュータ1b3に接続されている。
【0102】
第1電源監視部12aは、第1電源11aから入力される第1作動電力に基づいて第1電源11aの動作状態を監視する。第1電源監視部12aは、第1電源11aに異常が発生していると判定すると、第1電源異常信号を第1スイッチ制御部4a3および第2マイクロコンピュータ1b3に出力する。
【0103】
第1プリドライバ監視部13aは、1つの入力端および1つの出力端を備えている。第1プリドライバ監視部13aの入力端は第1プリドライバ2a3に接続され、第1プリドライバ監視部13aの出力端は第1スイッチ制御部4a3および第2マイクロコンピュータ1b3に接続されている。
【0104】
第1プリドライバ監視部13aは、第1プリドライバ2a3から出力される第1プリドライバ状態信号に基づいて第1プリドライバ2a3の動作状態を監視する。第1プリドライバ監視部13aは、第1プリドライバ2a3に異常が発生している判定すると、第1駆動異常信号を第1スイッチ制御部4a3および第2マイクロコンピュータ1b3に出力する。
【0105】
第2電源11bは、第1電源11aと同様に電源回路に相当する。第2電源11bは、1つの入力端および1つの出力端を備えている。第2電源11bの入力端はバッテリ9のプラス電極に接続され、第2電源11bの出力端は少なくとも第2電源監視部12b、第2マイクロコンピュータ1b3、および第2プリドライバ2b3に接続されている。第2電源11bは、少なくとも第2電源監視部12b、第2マイクロコンピュータ1b3、および第2プリドライバ2b3に第2作動電力を供給する。その他の構成要素に対して、第2電源11bが電力を供給してもよい。
【0106】
第2電源監視部12bは、1つの入力端および1つの出力端を備えている。第2電源監視部12bの入力端は第2電源11bに接続され、第2電源監視部12bの出力端は第2スイッチ制御部4b3および第1マイクロコンピュータ1a3 に接続されている。
【0107】
第2電源監視部12bは、第2電源11bから入力される第2作動電力に基づいて第2電源11bの動作状態を監視する。第2電源監視部12bは、第2電源11bに異常が発生していると判定すると、第2電源異常信号を第2スイッチ制御部4b3および第1マイクロコンピュータ1a3に出力する。
【0108】
第2プリドライバ監視部13bは、1つの入力端および1つの出力端を備えている。第2プリドライバ監視部13bの入力端は第2プリドライバ2b3に接続され、第2プリドライバ監視部13bの出力端は第2スイッチ制御部4b3および第1マイクロコンピュータ1a3に接続されている。
【0109】
第2プリドライバ監視部13bは、第2プリドライバ2b3から出力される第2プリドライバ状態信号に基づいて第2プリドライバ2b3の動作状態を監視する。第2プリドライバ監視部13bは、第2プリドライバ2b3に異常が発生していると判定すると、第2駆動異常信号を第2スイッチ制御部4b3および第1マイクロコンピュータ1a3に出力する。
【0110】
第1マイクロコンピュータ1a3は、実施の形態1の第1マイクロコンピュータ1aにおける6つの出力端および3つの入力端に加え、1つの出力端、4つの入力端、および第1電流入力I/F監視部14aを備える。
【0111】
第1マイクロコンピュータ1a3の出力端は、第1スイッチ制御部4a3および第2マイクロコンピュータ1b3と接続されている。第1マイクロコンピュータ1a3は、この出力端を通じて、第1電流入力I/F監視部14aが生成した第1電流入力I/F異常信号を、第1スイッチ制御部4a3および第2マイクロコンピュータ1b3に出力する。
【0112】
第1マイクロコンピュータ1a3における1つの入力端は、第1電源11aに接続されている。この入力端を通じて、第1マイクロコンピュータ1a3には、第1電源11aから第1作動電力が入力される。第1マイクロコンピュータ1a3は、第1作動電力に基づいて作動する。
【0113】
第1マイクロコンピュータ1a3における1つの入力端は、第2電源監視部12bに接続されている。第1マイクロコンピュータ1a3には、この入力端を通じて、第2電源異常信号が入力される。
第1マイクロコンピュータ1a3における1つの入力端は、第2プリドライバ監視部13bに接続されている。第1マイクロコンピュータ1a3には、この入力端を通じて、第2駆動異常信号が入力される。
第1マイクロコンピュータ1a3における1つの入力端は、第2マイクロコンピュータ1b3に接続されている。第1マイクロコンピュータ1a3には、この入力端を通じて、第2電流入力I/F異常信号が入力される。
【0114】
第1電流入力I/F監視部14aは、第1マイクロコンピュータ1a3の内部に設けられた機能構成要素である。第1電流入力I/F監視部14aは、電流入力I/F8から第1マイクロコンピュータ1a3に入力されるU相変換電流信号、V相変換電流信号およびW相変換電流信号に基づいて、電流入力I/F8の動作状態を監視する。第1電流入力I/F監視部14aは、電流入力I/F8に異常が発生したことを判定すると、当該異常を示す第1電流入力I/F異常信号を、第1スイッチ制御部4a3および第2マイクロコンピュータ1b3に出力する。
【0115】
一方、第2マイクロコンピュータ1b3は、実施の形態1の第2マイクロコンピュータ1bにおける6つの出力端および3つの入力端に加え、1つの出力端、4つの入力端、および第2電流入力I/F監視部14bを備える。
【0116】
第2マイクロコンピュータ1b3の出力端は、第2スイッチ制御部4b3および第1マイクロコンピュータ1a3と接続されている。第2マイクロコンピュータ1b3は、この出力端を通じて、第2電流入力I/F監視部14bが生成した第2電流入力I/F異常信号を、第2スイッチ制御部4b3および第1マイクロコンピュータ1a3に出力する。
【0117】
第2マイクロコンピュータ1b3における1つの入力端は、第2電源11bに接続されている。この入力端を通じて、第2マイクロコンピュータ1b3には、第2電源11bから第2作動電力が入力される。第2マイクロコンピュータ1b3は、第2作動電力に基づいて作動する。
【0118】
第2マイクロコンピュータ1b3における1つの入力端は、第1電源監視部12aに接続されている。第2マイクロコンピュータ1b3には、この入力端を通じて、第1電源異常信号が入力される。
第2マイクロコンピュータ1b3における1つの入力端は、第1プリドライバ監視部13aに接続されている。第2マイクロコンピュータ1b3には、この入力端を通じて、第1駆動異常信号が入力される。
第2マイクロコンピュータ1b3における1つの入力端は、第1マイクロコンピュータ1a3に接続されている。第2マイクロコンピュータ1b3には、この入力端を通じて、第1電流入力I/F異常信号が入力される。
【0119】
第2電流入力I/F監視部14bは、第2マイクロコンピュータ1b3の内部に設けられた機能構成要素である。第2電流入力I/F監視部14bは、電流入力I/F8から第2マイクロコンピュータ1b3に入力されるU相変換電流信号、V相変換電流信号およびW相変換電流信号に基づいて電流入力I/F8の動作状態を監視する。第2電流入力I/F監視部14bは、電流入力I/F8に異常が発生したことを判定すると、当該異常を示す第2電流入力I/F異常信号を、第2スイッチ制御部4b3および第1マイクロコンピュータ1a3に出力する。
【0120】
第1プリドライバ2a3は、実施の形態1の第1プリドライバ2aにおける6つの入力端および6つの出力端に加え、1つの出力端および2つの入力端を備える。第1プリドライバ2a3の1つの出力端は、第1プリドライバ監視部13aに接続されている。第1プリドライバ2a3は、この出力端を通じて、第1プリドライバ2a3の動作状態を示す第1プリドライバ状態信号を、第1プリドライバ監視部13aに出力する。
【0121】
この第1プリドライバ2a3における1つの入力端は、バッテリ9のプラス電極に接続されており、当該プラス電極の電圧(正極電圧)が入力される。第1プリドライバ2a3における1つの入力端は、第1電源11aに接続されており、第1作動電力が入力される。
【0122】
第1プリドライバ2a3は、ゲート制御信号S1~S6に基づいてゲート信号Sg1~Sg6を生成する機能に加え、正極電圧および第1作動電力に基づいて第1プリドライバ状態信号を生成する機能を備える。
【0123】
第2プリドライバ2b3は、実施の形態1の第2プリドライバ2bにおける6つの入力端および6つの出力端に加え、1つの出力端および2つの入力端を備える。第2プリドライバ2b3の1つの出力端は、第2プリドライバ監視部13bに接続され、第2プリドライバ2b3の動作状態を示す第2プリドライバ状態信号を第2プリドライバ監視部13bに出力する。
【0124】
第2プリドライバ2b3における1つの入力端は、バッテリ9のプラス電極に接続されており、当該プラス電極の電圧(正極電圧)が入力される。また、第2プリドライバ2b3における1つの入力端は、第2電源11bの出力端に接続されており、第2作動電力が入力される。
【0125】
第2プリドライバ2b3は、ゲート制御信号S1~S6からゲート信号Sg1~Sg6を生成する機能に加え、正極電圧および第2作動電力に基づいて第2プリドライバ状態信号を生成する機能を備える。
【0126】
第1スイッチ制御部4a3は、3つの入力端と1つの出力端とを備える。
第1スイッチ制御部4a3の1つの入力端は、第1電源監視部12aに接続されており、第1電源異常信号が入力される。
第1スイッチ制御部4a3の1つの入力端は、第1プリドライバ監視部13aに接続されており、第1駆動異常信号が入力される。
第1スイッチ制御部4a3の1つの入力端は、第1マイクロコンピュータ1a3に接続され、第1電流入力I/F監視部14aから出力された第1電流入力I/F異常信号が入力される。
【0127】
第1スイッチ制御部4a3は、第1電源異常信号、第1駆動異常信号および第1電流入力I/F異常信号に基づいて第1切替信号を生成し、当該第1切替信号を第1信号遮断スイッチ3aに出力する。すなわち、第1スイッチ制御部4a3は、第1電源異常信号、第1駆動異常信号および第1電流入力I/F異常信号のいずれか1つが入力された場合、第1信号遮断スイッチ3aからモータ駆動回路5に向けたゲート信号Sg1~Sg6の出力を遮断させる。
【0128】
第2スイッチ制御部4b3は、3つの入力端と1つの出力端とを備える。
第2スイッチ制御部4b3の1つの入力端は、第2電源監視部12bに接続されており、第2電源異常信号が入力される。
第2スイッチ制御部4b3の1つの入力端は、第2プリドライバ監視部13bに接続されており、第2駆動異常信号が入力される。
第2スイッチ制御部4b3の1つの入力端は、第2マイクロコンピュータ1b3に接続され、第2電流入力I/F監視部14bから出力された第2電流入力I/F異常信号が入力される。
【0129】
第2スイッチ制御部4b3は、第2電源異常信号、第2駆動異常信号および第2電流入力I/F異常信号に基づいて第2切替信号を生成し、当該第2切替信号を第2信号遮断スイッチ3bに出力する。すなわち、第2スイッチ制御部4b3は、第2電源異常信号、第2駆動異常信号および第2電流入力I/F異常信号のいずれか1つが入力された場合、第2信号遮断スイッチ3bからモータ駆動回路5に向けたゲート信号Sg1~Sg6の出力を遮断させる。
【0130】
第1電流入力I/F監視部14aは第1検出器監視部に相当し、第2電流入力I/F監視部14bは第2検出器監視部に相当する。第1電流入力I/F監視部14aが出力する第1電流入力I/F異常信号は、第1電流検出異常信号に相当する。第2電流入力I/F監視部14bが出力する第2電流入力I/F異常信号は、第2電流検出異常信号に相当する。
【0131】
このように構成された実施の形態3に係るモータ制御装置100および電動パワーステアリング装置において、第1スイッチ制御部4a3は、第1電源11a、第1プリドライバ2a3、および電流入力I/F8のいずれか1つで異常が発生した場合に、第1切替信号を第1信号遮断スイッチ3aに出力する。これにより、第1信号遮断スイッチ3aからモータ駆動回路5に向けたゲート信号Sg1~Sg6の出力を遮断させる。
【0132】
一方、第2スイッチ制御部4b3は、第2電源11b、第2プリドライバ2b3、および電流入力I/F8のいずれか1つで異常が発生した場合に、第2切替信号を第2信号遮断スイッチ3bに出力する。これにより、第2信号遮断スイッチ3bからモータ駆動回路5に向けたゲート信号Sg1~Sg6の出力を遮断させる。
【0133】
以上説明したように、本実施の形態に係るモータ制御装置100は、第1駆動信号生成部(第1プリドライバ2a3)の動作状態を監視し、第1駆動信号生成部で異常が発生していると判定すると、第1駆動異常信号を第1切替器100bおよび第2制御信号生成部(第2マイクロコンピュータ1b3)に出力する第1駆動信号生成監視部(第1プリドライバ監視部13a)と、第2駆動信号生成部(第2プリドライバ2b3)の動作状態を監視し、第2駆動信号生成部で異常が発生していると判定すると、第2駆動異常信号を第2切替器100cおよび第1制御信号生成部(第1マイクロコンピュータ1a3)に出力する第2駆動信号生成監視部(第2プリドライバ監視部13b)と、をさらに備え、主制御ユニットC1および補助制御ユニットC2のうち、正常な制御ユニットからモータ駆動回路5に駆動信号を出力する。この構成によれば、第1駆動信号生成部および第2駆動信号生成部の動作状態を監視することで、これらの駆動信号生成部の異常に対する堅牢性を高めることができる。
【0134】
また、本実施の形態に係るモータ制御装置100は、第1制御信号生成部(第1マイクロコンピュータ1a3)および第1駆動信号生成部(第1プリドライバ2a3)に作動電力を供給する第1電源11aと、第2制御信号生成部(第2マイクロコンピュータ1b3)および第2駆動信号生成部(第2プリドライバ2b3)に作動電力を供給する第2電源11bと、第1電源11aの動作状態を監視し、第1電源11aに異常が発生していると判定すると、第1電源異常信号を第1切替器100bおよび第2制御信号生成部に出力する第1電源監視部12aと、第2電源11bの動作状態を監視し、第2電源11bに異常が発生していると判定すると、第2電源異常信号を第2切替器100cおよび第1制御信号生成部に出力する第2電源監視部12bと、をさらに備え、主制御ユニットC1および補助制御ユニットC2のうち、正常な制御ユニットからモータ駆動回路5に駆動信号を出力する。この構成によれば、第1電源11aおよび第2電源11bの動作状態を監視することで、これらの電源11a、11bの異常に対する堅牢性を高めることができる。
【0135】
また、本実施の形態に係るモータ制御装置100は、主制御ユニットC1に設けられ、駆動電流検出器100aの動作状態を監視し、駆動電流検出器100aに異常が発生していると判定すると、第1電流検出異常信号を第1切替器100bおよび第2制御信号生成部に出力する第1検出器監視部(第1電流入力I/F監視部14a)と、補助制御ユニットC2に設けられ、駆動電流検出器100aの動作状態を監視し、駆動電流検出器100aに異常が発生していると判定すると、第2電流検出異常信号を第2切替器100cおよび第1制御信号生成部に出力する第2検出器監視部(第2電流入力I/F監視部14b)と、をさらに備える。
【0136】
このような実施の形態3によれば、実施の形態2において説明した効果に加え、主制御ユニットC1および補助制御ユニットC2における異常の検出率を高めることが可能である。また、実施の形態3によれば、電流入力I/F8における異常の発生をも検出することができる。したがって、より的確な制御ユニットの切替を実現することが可能であり、異常の発生に対する堅牢性をさらに高めることができる。
【0137】
実施の形態4.
次に、実施の形態4に係るモータ制御装置100および電動パワーステアリング装置について説明する。本実施の形態に係るモータ制御装置100および電動パワーステアリング装置は、基本的な構成は実施の形態3と同様であるため、異なる点を中心に説明する。なお、実施の形態3と同様の構成要素については、同様の符号を付して、その説明を省略する。
【0138】
実施の形態4に係るモータ制御装置100は、
図4に示すように主制御ユニットD1と補助制御ユニットD2とを備える。主制御ユニットD1は、実施の形態3の第1マイクロコンピュータ1a3に代えて第1マイクロコンピュータ1a4を備える。また、補助制御ユニットD2は、実施の形態3の第2マイクロコンピュータ1b3に代えて第2マイクロコンピュータ1b4を備える。
【0139】
第1マイクロコンピュータ1a4は、実施の形態3の第1マイクロコンピュータ1a3に対して、1つの入力端が付加されている。当該入力端は第2スイッチ制御部4b3の出力端に接続されている。第1マイクロコンピュータ1a4は、第2スイッチ制御部4b3から入力される第2切替信号に基づいて第2スイッチ制御部4b3の動作状態を認知する。
【0140】
第2マイクロコンピュータ1b4は、実施の形態3の第2マイクロコンピュータ1b3に対して、1つの入力端が付加されている。当該入力端は第1スイッチ制御部4a3の出力端に接続されている。第2マイクロコンピュータ1b4は、第1スイッチ制御部4a3から入力される第1切替信号に基づいて第1スイッチ制御部4a3の動作状態を認知する。
【0141】
ここで、実施の形態3においては、例えば第2マイクロコンピュータ1b3が第1電源11aの異常を誤って判定したとき、主制御ユニットC1および補助制御ユニットC2の両方からモータ駆動回路5にゲート信号Sg1~Sg6が入力される可能性が考えられる。
【0142】
このような問題に対して、実施の形態4に係る第1マイクロコンピュータ1a4には、第2スイッチ制御部4b3から第2切替信号が入力される。このため、補助制御ユニットD2がモータ駆動回路5にゲート信号Sg1~Sg6を出力している状態において、主制御ユニットD1はモータ駆動回路5にゲート信号Sg1~Sg6を出力しない。
【0143】
また、第2マイクロコンピュータ1b4には、第1スイッチ制御部4a3から第1切替信号が入力される。このため、主制御ユニットD1がモータ駆動回路5にゲート信号Sg1~Sg6を出力している状態において、補助制御ユニットD2はモータ駆動回路5にSg1~Sg6を出力しない。
【0144】
以上説明したように、本実施の形態では、主制御ユニットD1は、第2切替器100cが駆動信号(ゲート信号Sg1~Sg6)をモータ駆動回路5に出力していない場合にのみ、第1切替器100bを通じて駆動信号をモータ駆動回路5に出力し、補助制御ユニットD2は、第1切替器100bが駆動信号をモータ駆動回路5に出力していない場合にのみ、第2切替器100cを通じて駆動信号を前記モータ駆動回路5に出力する。この構成により、主制御ユニットD1および補助制御ユニットD2の両方からゲート信号Sg1~Sg6がモータ駆動回路5に出力されることを回避できる。
【0145】
実施の形態5.
次に、実施の形態5に係るモータ制御装置100および電動パワーステアリング装置について説明する。本実施の形態に係るモータ制御装置100および電動パワーステアリング装置は、基本的な構成は実施の形態1と同様であるため、異なる点を中心に説明する。なお、実施の形態1と同様の構成要素については、同様の符号を付して、その説明を省略する。
【0146】
図5に示すように、実施の形態5に係るモータ制御装置100は、主制御ユニットA1と補助制御ユニットE2とを備える。補助制御ユニットE2は、実施の形態1の第2マイクロコンピュータ1bに代えて、第2マイクロコンピュータ1b5を備える。
【0147】
また、実施の形態5に係るモータ制御装置100は、実施の形態1に係るモータ制御装置100に対して、モータ端子状態検出部15が付加されている。このモータ端子状態検出部15は、3つの入力端と1つの出力端とを備えている。
モータ端子状態検出部15の各入力端は、U相スイッチングレグ、V相スイッチングレグ、およびW相スイッチングレグに、それぞれ接続されている。また、モータ端子状態検出部15の出力端は、第2マイクロコンピュータ1b5に接続されている。
【0148】
モータ端子状態検出部15は、モータ6が有する3つの入力端子、すなわち、U相入力端子、V相入力端子、およびW相入力端子の状態(モータ端子状態)を検出し、当該モータ端子状態を端子状態検出信号として第2マイクロコンピュータ1b5に出力する。
第2マイクロコンピュータ1b5は、主制御ユニットA1からモータ駆動回路5へのゲート信号Sg1~Sg6の供給が遮断している状態かつ補助制御ユニットE2からモータ駆動回路5へのゲート信号Sg1~Sg6の供給が行われている状態に以下の動作を行う。すなわち、モータ駆動回路5を構成する全てのスイッチングトランジスタQ1~Q6をOFF状態(非通電状態)とするゲート制御信号S1~S6、あるいは、スイッチングトランジスタQ1~Q6を個別に順次通電させるゲート制御信号S1~S6を、第2プリドライバ2bに出力する。
【0149】
そして、第2マイクロコンピュータ1b5は、このような状態においてモータ端子状態検出部15から入力される端子状態検出信号を参照することにより、補助制御ユニットE2の潜在故障つまり第2プリドライバ2b、第2信号遮断スイッチ3b、第2スイッチ制御部4bの潜在故障を診断する。
【0150】
例えば、第2マイクロコンピュータ1b5が、全てのスイッチングトランジスタQ1~Q6をOFF状態(非通電状態)とするゲート制御信号S1~S6を第2プリドライバ2bに出力した状態において、端子状態検出信号がスイッチングトランジスタQ1~Q6の何れかがON状態(通電状態)であることを示している場合を考える。この場合、第2マイクロコンピュータ1b5は、第2プリドライバ2b、第2信号遮断スイッチ3b、および第2スイッチ制御部4bのいずれかに潜在故障が発生していると判定する。
【0151】
また、第2マイクロコンピュータ1b5が、スイッチングトランジスタQ1~Q6を個別に順次通電させるゲート制御信号S1~S6を第2プリドライバ2bに出力した状態において、端子状態検出信号がゲート制御信号S1~S6とは異なるスイッチングトランジスタQ1~Q6が通電状態であることを示している場合を考える。この場合、第2マイクロコンピュータ1b5は、第2プリドライバ2b、第2信号遮断スイッチ3b、および第2スイッチ制御部4bのいずれかに潜在故障が発生していると判定する。
【0152】
なお、このような潜在故障の判定は、主制御ユニットA1あるいは補助制御ユニットE2がモータ6を制御している状態では行い得ない。したがって、この判定は、主制御ユニットA1および補助制御ユニットE2の両方がモータ6を制御していない状態、つまり電動パワーステアリング装置によるステアリング操作に対するアシストが行われていない状態において行われる。
【0153】
以上説明したように、本実施の形態に係るモータ制御装置100は、モータ6の入力端子の状態をモータ端子状態として検出するモータ端子状態検出部15をさらに備え、第2制御信号生成部(第2マイクロコンピュータ1b5)は、モータ端子状態(モータ端子状態検出部15が出力した端子状態検出信号)を参照することにより補助制御ユニットE2における故障の発生を判定する。このような構成によれば、補助制御ユニットE2の潜在故障を診断することができるので、モータ制御装置100および電動パワーステアリング装置の信頼性を、より向上させることが可能である。
【0154】
実施の形態6.
次に、実施の形態6に係るモータ制御装置100および電動パワーステアリング装置について説明する。本実施の形態に係るモータ制御装置100および電動パワーステアリング装置は、基本的な構成は実施の形態1と同様であるため、異なる点を中心に説明する。なお、実施の形態1と同様の構成要素については、同様の符号を付して、その説明を省略する。
【0155】
実施の形態6に係るモータ制御装置100は、実施の形態1における第1マイクロコンピュータ1aおよび第2マイクロコンピュータ1bのうち、第2マイクロコンピュータ1bの計算能力を第1マイクロコンピュータ1aの計算能力よりも低くしたものである。
【0156】
すなわち、実施の形態6に係るモータ制御装置100では、同等な計算能力のマイクロコンピュータ(大規模集積回路)を2つ用いるのではなく、計算能力が第1マイクロコンピュータ1aとして採用する大規模集積回路よりも低い大規模集積回路を第2マイクロコンピュータ1bとして採用する。
【0157】
実施の形態1の補助制御ユニットA2は、主制御ユニットA1において異常が発生したときにのみ動作する。したがって、第2マイクロコンピュータ1bとして第1マイクロコンピュータ1aよりも計算能力が低い大規模集積回路を用いても、モータ制御装置100として十分に機能する。
【0158】
このような実施の形態6によれば、第2マイクロコンピュータ1bとして第1マイクロコンピュータ1aよりも計算能力の低い安価な大規模集積回路を採用するので、補助制御ユニットA2をより安価にすることが可能である。したがって、実施の形態6によれば、モータ制御装置100および電動パワーステアリング装置のコストを実施の形態1よりも低減することができる。
【0159】
実施の形態7.
次に、実施の形態7に係るモータ制御装置100および電動パワーステアリング装置について説明する。本実施の形態に係るモータ制御装置100および電動パワーステアリング装置は、基本的な構成は実施の形態1と同様であるため、異なる点を中心に説明する。なお、実施の形態1と同様の構成要素については、同様の符号を付して、その説明を省略する。
【0160】
図6に示すように、実施の形態7に係るモータ制御装置100は、主制御ユニットF1と補助制御ユニットF2とを備える。主制御ユニットF1は、実施の形態1の第1マイクロコンピュータ1aに代えて第1マイクロコンピュータ1a6を備え、第1スイッチ制御部4aに代えて第1スイッチ制御部4a6を備える。補助制御ユニットF2は、実施の形態1の第2マイクロコンピュータ1bに代えて第2マイクロコンピュータ1b6を備え、第2スイッチ制御部4bに代えて第2スイッチ制御部4b6を備える。
【0161】
また、主制御ユニットF1は、実施の形態1の主制御ユニットA1に対して、第1操舵トルク入力I/F17aおよび第1回転角入力I/F20aが付加されている。補助制御ユニットF2は、実施の形態1の補助制御ユニットA2に対して、第2操舵トルク入力I/F17bおよび第2回転角入力I/F20bが付加されている。
【0162】
さらに、実施の形態7に係る電動パワーステアリング装置は、
図6に示すように、操舵トルク検出部16および回転角検出部19を備える。
【0163】
操舵トルク検出部16は、第1操舵トルク入力I/F17aおよび第2操舵トルク入力I/F17bに接続されている。操舵トルク検出部16は、運転者が操作するステアリングのトルクを操舵トルクとして検出し、当該操舵トルクを示すトルク検出信号を、第1操舵トルク入力I/F17aおよび第2操舵トルク入力I/F17bに出力する。
【0164】
第1操舵トルク入力I/F17aは、1つの入力端と1つの出力端とを備えている。第1操舵トルク入力I/F17aの入力端は操舵トルク検出部16に接続され、第1操舵トルク入力I/F17aの出力端は第1マイクロコンピュータ1a6に接続されている。第1操舵トルク入力I/F17aは、操舵トルク検出部16から入力されるトルク検出信号を、第1マイクロコンピュータ1a6への入力に適した第1トルク変換信号に信号変換して、第1マイクロコンピュータ1a6に出力する。
【0165】
第2操舵トルク入力I/F17bは、1つの入力端と1つの出力端とを備えている。第2操舵トルク入力I/F17bの入力端は操舵トルク検出部16に接続され、第2操舵トルク入力I/F17bの出力端は第2マイクロコンピュータ1b6に接続されている。第2操舵トルク入力I/F17bは、操舵トルク検出部16から入力されるトルク検出信号を第2マイクロコンピュータ1b6への入力に適した第2トルク変換信号に信号変換して、第2マイクロコンピュータ1b6に出力する。
【0166】
回転角検出部19は、第1回転角入力I/F20aおよび第2回転角入力I/F20bに接続された出力端を備えている。回転角検出部19は、モータ6の回転角を検出し、当該回転角を示す回転検出信号を第1回転角入力I/F20aおよび第2回転角入力I/F20bに出力する。
【0167】
第1回転角入力I/F20aは、1つの入力端と1つの出力端とを備えている。第1回転角入力I/F20aの入力端は回転角検出部19に接続され、第1回転角入力I/F20aの出力端は第1マイクロコンピュータ1a6に接続されている。第1回転角入力I/F20aは、回転角検出部19から入力される回転検出信号を、第1マイクロコンピュータ1a6への入力に適した第1回転変換信号に信号変換して第1マイクロコンピュータ1a6に出力する。
【0168】
第2回転角入力I/F20bは、1つの入力端と1つの出力端とを備えている。第2回転角入力I/F20bの入力端は回転角検出部19に接続され、第2回転角入力I/F20bの出力端は第2マイクロコンピュータ1b6に接続されている。第2回転角入力I/F20bは、回転角検出部19から入力される回転検出信号を、第2マイクロコンピュータ1b6への入力に適した第2回転変換信号に信号変換して第2マイクロコンピュータ1b6に出力する。
【0169】
第1マイクロコンピュータ1a6は、実施の形態1の第1マイクロコンピュータ1aにおける6つの出力端および3つの入力端に加え、5つの入力端、2つの出力端、第1操舵トルク入力I/F監視部18a、および第1回転角入力I/F監視部21aを備える。
【0170】
第1マイクロコンピュータ1a6の1つの入力端は、第1操舵トルク入力I/F17aに接続されており、当該第1操舵トルク入力I/F17aから第1トルク変換信号が入力される。
第1マイクロコンピュータ1a6の1つの入力端は、第1回転角入力I/F20aに接続されており、当該第1回転角入力I/F20aから第1回転変換信号が入力される。
【0171】
第1マイクロコンピュータ1a6の1つの入力端は、第2操舵トルク入力I/F監視部18bに接続されており、当該第2操舵トルク入力I/F監視部18bから第2操舵トルク入力I/F異常信号が入力される。
第1マイクロコンピュータ1a6の1つの入力端は、第2回転角入力I/F監視部21bに接続されており、当該第2回転角入力I/F監視部21bから第2回転角入力I/F異常信号が入力される。
第1マイクロコンピュータ1a6の1つの入力端は、第2スイッチ制御部4b6に接続されており、当該第2スイッチ制御部4b6から第2切替信号が入力される。
【0172】
第1マイクロコンピュータ1a6の1つの出力端は、第1スイッチ制御部4a6および第2マイクロコンピュータ1b6と接続されており、第1操舵トルク入力I/F監視部18aから出力される第1操舵トルク入力I/F異常信号を、第1スイッチ制御部4a6および第2マイクロコンピュータ1b6に出力する。
【0173】
第1マイクロコンピュータ1a6の1つの出力端は、第1スイッチ制御部4a6および第2マイクロコンピュータ1b6と接続されており、第1回転角入力I/F監視部21aから出力される第1回転角入力I/F異常信号を第1スイッチ制御部4a6および第2マイクロコンピュータ1b6に出力する。
【0174】
第1操舵トルク入力I/F監視部18aは、第1マイクロコンピュータ1a6内に設けられた機能構成要素である。第1操舵トルク入力I/F監視部18aは、1つの入力端と1つの出力端とを備える。第1操舵トルク入力I/F監視部18aは、第1操舵トルク入力I/F17aから入力される第1トルク変換信号に基づいて第1操舵トルク入力I/F17aの動作状態を監視する。第1操舵トルク入力I/F監視部18aは、第1操舵トルク入力I/F17aで異常が発生したことを判定すると、当該異常を示す第1操舵トルク入力I/F異常信号を、第1スイッチ制御部4a6および第2マイクロコンピュータ1b6に出力する。
【0175】
第1回転角入力I/F監視部21aは、第1マイクロコンピュータ1a6内に設けられた機能構成要素である。第1回転角入力I/F監視部21aは、1つの入力端と1つの出力端とを備える。第1回転角入力I/F監視部21aは、第1回転角入力I/F20aから入力される第1回転変換信号に基づいて第1回転角入力I/F20aの動作状態を監視する。第1回転角入力I/F監視部21aは、第1回転角入力I/F20aの異常を判定すると、当該異常を示す第1転角入力I/F異常信号を、第1スイッチ制御部4a6および第2マイクロコンピュータ1b6に出力する。
【0176】
第2マイクロコンピュータ1b6は、実施の形態1の第2マイクロコンピュータ1bにおける6つの出力端および3つの入力端に加え、5つの入力端、2つの出力端、第2操舵トルク入力I/F監視部18b、および第2回転角入力I/F監視部21bを備える。
【0177】
第2マイクロコンピュータ1b6の1つの入力端は、第2操舵トルク入力I/F17bの出力端に接続されており、当該第2操舵トルク入力I/F17bから第2トルク変換信号が入力される。
第2マイクロコンピュータ1b6の1つの入力端は、第2回転角入力I/F20bの出力端に接続されており、当該第2回転角入力I/F20bから第2回転変換信号が入力される。
【0178】
第2マイクロコンピュータ1b6の1つの入力端は、第1マイクロコンピュータ1a6における第1操舵トルク入力I/F監視部18aに接続されており、当該第1操舵トルク入力I/F監視部18aから第1操舵トルク入力I/F異常信号が入力される。
第2マイクロコンピュータ1b6の1つの入力端は、第1マイクロコンピュータ1a6における第1回転角入力I/F監視部21aに接続されており、当該第1回転角入力I/F監視部21aから第1回転角入力I/F異常信号が入力される。
第2マイクロコンピュータ1b6の1つの入力端は、第1マイクロコンピュータ1a6における第1スイッチ制御部4a6の出力端に接続されており、当該第1スイッチ制御部4a6から第1切替信号が入力される。
【0179】
第2マイクロコンピュータ1b6の1つの出力端は、第2スイッチ制御部4b6および第1マイクロコンピュータ1a6と接続されており、第2操舵トルク入力I/F監視部18bから出力される第2操舵トルク入力I/F異常信号を、第2スイッチ制御部4b6および第1マイクロコンピュータ1a6に出力する。
【0180】
第2マイクロコンピュータ1b6の1つの出力端は、第2スイッチ制御部4b6および第1マイクロコンピュータ1a6と接続されており、第2回転角入力I/F監視部21bから出力される第2回転角入力I/F異常信号を、第2スイッチ制御部4b6および第1マイクロコンピュータ1a6に出力する。
【0181】
第2操舵トルク入力I/F監視部18bは、第2マイクロコンピュータ1b6内に設けられた機能構成要素である。第2操舵トルク入力I/F監視部18bは、1つの入力端と1つの出力端とを備える。第2操舵トルク入力I/F監視部18bは、第2操舵トルク入力I/F17bから入力される第2トルク変換信号に基づいて、第2操舵トルク入力I/F17bの動作状態を監視する。第2操舵トルク入力I/F監視部18bは、第2操舵トルク入力I/F17bで異常が発生したことを判定すると、当該異常を示す第2操舵トルク入力I/F異常信号を、第2スイッチ制御部4b6および第1マイクロコンピュータ1a6に出力する。
【0182】
第2回転角入力I/F監視部21bは、第2マイクロコンピュータ1b6内に設けられた機能構成要素である。第2回転角入力I/F監視部21bは、1つの入力端と1つの出力端とを備える。第2回転角入力I/F監視部21bは、第2回転角入力I/F20bから入力される第2回転変換信号に基づいて、第2回転角入力I/F20bの動作状態を監視する。第2回転角入力I/F監視部21bは、第2回転角入力I/F20bで異常が発生したことを判定すると、当該異常を示す第2転角入力I/F異常信号を、第2スイッチ制御部4b6および第1マイクロコンピュータ1a6に出力する。
【0183】
続いて、実施の形態7に係るモータ制御装置100および電動パワーステアリング装置の動作について説明する。
【0184】
主制御ユニットF1において、第1マイクロコンピュータ1a6は、第1操舵トルク入力I/F17aから入力される第1トルク変換信号、電流入力I/F8から入力されるU相変換電流信号、V相変換電流信号およびW相変換電流信号、並びに第1回転角入力I/F20aから入力される第1回転変換信号に基づいて、ゲート制御信号S1~S6を生成する。
【0185】
すなわち、主制御ユニットF1における第1マイクロコンピュータ1a6は、操舵トルク検出部16が検出する操舵トルク、電流検出部7が検出するU相駆動電流、V相駆動電流およびW相駆動電流、また回転角検出部19が検出する回転角に基づいて、モータ6をフィードバック制御する。
【0186】
より具体的には、第1マイクロコンピュータ1a6は、第1トルク変換信号から目標電流を演算し、また電流入力I/F8から入力されるU相変換電流信号、V相変換電流信号およびW相変換電流信号に基づいてU相駆動電流、V相駆動電流およびW相駆動電流を取得する。
【0187】
第1マイクロコンピュータ1a6は、モータ6の回転角を示す第1回転変換信号と、モータ6に通電されるU相駆動電流、V相駆動電流およびW相駆動電流と、を用いることにより、駆動電流検出値を演算する。さらに、第1マイクロコンピュータ1a6は、目標電流と駆動電流検出値との偏差が「ゼロ」となるようにゲート制御信号S1~S6を生成する。
【0188】
補助制御ユニットF2が主制御ユニットF1に代わってモータ6を制御する場合、第2マイクロコンピュータ1b6は、第2操舵トルク入力I/F17bから入力される第2トルク変換信号、電流入力I/F8から入力されるU相変換電流信号、V相変換電流信号およびW相変換電流信号、並びに、第2回転角入力I/F20bから入力される第2回転変換信号に基づいて、ゲート制御信号S1~S6を生成する。
【0189】
すなわち、補助制御ユニットF2における第2マイクロコンピュータ1b6は、主制御ユニットF1における第1マイクロコンピュータ1a6と同様に、操舵トルク検出部16が検出する操舵トルク、電流検出部7が検出するU相駆動電流、V相駆動電流およびW相駆動電流、並びに、回転角検出部19が検出する回転角に基づいて、モータ6をフィードバック制御する。
【0190】
より具体的には、第2マイクロコンピュータ1b6は、第2トルク変換信号から目標電流を演算し、また電流入力I/F8から入力されるU相変換電流信号、V相変換電流信号およびW相変換電流信号に基づいて、U相駆動電流、V相駆動電流およびW相駆動電流を取得する。
【0191】
第2マイクロコンピュータ1b6は、モータ6の回転角を示す第2回転変換信号と、モータ6に通電されるU相駆動電流、V相駆動電流およびW相駆動電流と、を用いることにより、駆動電流検出値を演算する。そして、第2マイクロコンピュータ1b6は、目標電流と駆動電流検出値との偏差が「ゼロ」となるように、ゲート制御信号S1~S6を生成する。
【0192】
ここで、主制御ユニットF1における第1スイッチ制御部4a6は、第1操舵トルク入力I/F17aおよび第1回転角入力I/F20aのうち少なくとも一方で異常が発生した場合に、第1信号遮断スイッチ3aを遮断状態に設定するように、第1切替信号を生成する。これに伴い、第1信号遮断スイッチ3aが遮断状態であることを示す信号が第2マイクロコンピュータ1b6に入力される。これをトリガーとして、補助制御ユニットF2における第2スイッチ制御部4b6は、第2信号遮断スイッチ3bを導通状態に設定する第2切替信号を、主制御ユニットF1における第1マイクロコンピュータ1a6に出力する。
【0193】
補助制御ユニットF2における第2スイッチ制御部4b6は、第2操舵トルク入力I/F17bおよび第2回転角入力I/F20bのうち少なくとも一方で異常が発生した場合に、第2信号遮断スイッチ3bを遮断状態に設定するように、第2切替信号を生成する。これに伴い、第2信号遮断スイッチ3bが遮断状態であることを示す信号が第1マイクロコンピュータ1a6に入力される。これをトリガーとして、主制御ユニットF1における第1スイッチ制御部4a6は、第1信号遮断スイッチ3aを導通状態に設定する第1切替信号を、補助制御ユニットF2における第2マイクロコンピュータ1b6に出力する。
【0194】
すなわち、主制御ユニットF1における第1マイクロコンピュータ1a6は、補助制御ユニットF2からモータ駆動回路5へのゲート信号Sg1~Sg6の出力状態(出力/非出力)を認知している。また、補助制御ユニットF2における第2マイクロコンピュータ1b6は、主制御ユニットF1からモータ駆動回路5へのゲート信号Sg1~Sg6の出力状態(出力/非出力)を認知している。
【0195】
このような実施の形態7によれば、操舵トルク、U相駆動電流、V相駆動電流およびW相駆動電流、並びに、モータ6の回転角に基づいて、モータ6をフィードバック制御する。これにより、モータ6を高精度に制御することが可能である。したがって、実施の形態7によれば、運転者がステアリングに作用させる操舵トルクに対して、より適切なアシストを実現することが可能である。
【0196】
また、実施の形態7に係る電動パワーステアリング装置は、運転者によるステアリングの操舵トルクを検出する操舵トルク検出部16と、操舵トルク検出部16によって検出されたトルク検出信号を、第1トルク変換信号に変換して、第1制御信号生成部に入力する第1操舵トルク入力I/F17aと、第1操舵トルク入力I/F17aにおける異常の発生の有無を判定する第1操舵トルク入力I/F監視部18aと、操舵トルク検出部16によって検出されたトルク検出信号を、第2トルク変換信号に変換して、第2制御信号生成部に入力する第2操舵トルク入力I/F17bと、第2操舵トルク入力I/F17bにおける異常の発生の有無を判定する第2操舵トルク入力I/F監視部18bと、をさらに備え、第1操舵トルク入力I/F監視部18aが第1操舵トルク入力I/F17aにおいて異常が発生したと判定した場合、第1切替器100bは、第1制御信号に基づく駆動信号のモータ駆動回路5への出力を遮断し、第2操舵トルク入力I/F監視部18bが第2操舵トルク入力I/F17bにおいて異常が発生したと判定した場合、第2切替器100cは、第2制御信号に基づく駆動信号のモータ駆動回路5への出力を遮断する。
【0197】
また、実施の形態7に係る電動パワーステアリング装置は、モータ6の回転角を検出する回転角検出部19と、回転角検出部19によって検出された回転検出信号を、第1回転変換信号に変換して、第1制御信号生成部に入力する第1回転角入力I/F20aと、第1回転角入力I/F20aにおける異常の発生の有無を判定する第1回転角入力I/F監視部21aと、回転角検出部19によって検出された回転検出信号を、第2回転変換信号に変換して、第2制御信号生成部に入力する第2回転角入力I/F20bと、第2回転角入力I/F20bにおける異常の発生の有無を判定する第2回転角入力I/F監視部21bと、をさらに備え、第1回転角入力I/F監視部21aが第1回転角入力I/F20aにおいて異常が発生したと判定した場合、第1切替器100bは、第1制御信号に基づく駆動信号のモータ駆動回路5への出力を遮断し、第2回転角入力I/F監視部21bが第2回転角入力I/F20bにおいて異常が発生したと判定した場合、第2切替器100cは、第2制御信号に基づく駆動信号のモータ駆動回路5への出力を遮断する。
【0198】
本実施の形態では、第1操舵トルク入力I/F17aあるいは第1回転角入力I/F20aでの異常の発生に基づいて第1信号遮断スイッチ3aを制御するとともに、第2操舵トルク入力I/F17bあるいは第2回転角入力I/F20bでの異常の発生に基づいて、第2信号遮断スイッチ3bを制御する。主制御ユニットF1における第1マイクロコンピュータ1a6が補助制御ユニットF2におけるゲート信号Sg1~Sg6の出力状態(出力/非出力)を認知するとともに、補助制御ユニットF2における第2マイクロコンピュータ1b6が主制御ユニットF1におけるゲート信号Sg1~Sg6の出力状態(出力/非出力)を認知するので、異常の発生に対する堅牢性をさらに高めることができる。
【0199】
なお、本開示の技術的範囲は前記実施の形態に限定されず、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、モータ制御装置100は、電動パワーステアリング装置以外のモータの制御に用いられてもよい。
【0200】
また、第1制御信号生成部および第2制御信号生成部は、マイクロコンピュータでなくてもよい。例えば、第1制御信号生成部および第2制御信号生成部はそれぞれ、記憶部、演算部等が別体として基板上に実装された構成であってもよい。
また、第1駆動信号生成部および第2駆動信号生成部は、プリドライバとしての1つのICでなくてもよく、複数の要素が基板上に実装された構成であってもよい。
【0201】
また、駆動電流検出器100aは電流検出部7および電流入力I/F8以外の構成により実現されてもよい。
また、第1切替器100bは第1信号遮断スイッチ3aおよび第1スイッチ制御部4a以外の構成により実現されてもよい。同様に、第2切替器100cは第2信号遮断スイッチ3bおよび第2スイッチ制御部4b以外の構成により実現されてもよい。
また、モータ6は三相直流電動機でなくてもよい。
【0202】
また、上記した実施の形態あるいは変形例を、適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0203】
1a、1a2、1a3、1a4、1a6…第1マイクロコンピュータ(第1制御信号生成部) 1b、1b2、1b3、1b4、1b5、1b6…第2マイクロコンピュータ(第2制御信号生成部) 2a、2a3…第1プリドライバ(第1駆動信号生成部) 2b、2b3…第2プリドライバ(第2駆動信号生成部) 5…モータ駆動回路 6…モータ 11a…第1電源 11b…第2電源 12a…第1電源監視部 12b…第2電源監視部 13a…第1プリドライバ監視部(第1駆動信号生成監視部) 13b…第2プリドライバ監視部(第2駆動信号生成監視部) 14a…第1電流入力I/F監視部(第1検出器監視部) 14b…第2電流入力I/F監視部(第2検出器監視部) 15…モータ端子状態検出部 16…操舵トルク検出部 17a…第1操舵トルク入力I/F 17b…第2操舵トルク入力I/F 18a…第1操舵トルク入力I/F監視部 18b…第2操舵トルク入力I/F監視部 19…回転角検出部 20a…第1回転角入力I/F 20b…第2回転角入力I/F 21a…第1回転角入力I/F監視部 21b…第2回転角入力I/F監視部 100…モータ制御装置 100a…駆動電流検出器 100b…第1切替器 100c…第2切替器 A1~D1、F1…主制御ユニット A2~F2…補助制御ユニット