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特許7594860飲料用缶の製造方法、飲料用缶、および、印刷装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】飲料用缶の製造方法、飲料用缶、および、印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/00 20060101AFI20241128BHJP
   B65D 1/16 20060101ALI20241128BHJP
   B65D 8/04 20060101ALI20241128BHJP
   B65D 25/14 20060101ALI20241128BHJP
   B65D 25/20 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
B65D1/00 120
B65D1/16
B65D8/04 G
B65D25/14 A
B65D25/20 Q
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020012872
(22)【出願日】2020-01-29
(65)【公開番号】P2021116127
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】521469760
【氏名又は名称】アルテミラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100113310
【弁理士】
【氏名又は名称】水戸 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(72)【発明者】
【氏名】小島 真一
(72)【発明者】
【氏名】増田 和久
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0251523(US,A1)
【文献】特開2020-001724(JP,A)
【文献】特開2012-232771(JP,A)
【文献】特開平11-124142(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/00
B65D 1/16
B65D 8/04
B65D 25/14
B65D 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部および他端部を有する円筒部と、当該円筒部の一端部に位置する底部であって当該円筒部の当該他端部側に向かって進むに従い外径が次第に大きくなる外周面を有する底部と、を備える飲料用缶の製造方法であり、
前記底部の前記外周面にインクを付着させて当該外周面上に保護層となる画像を形成する保護層形成工程を備え、
前記保護層形成工程では、
前記底部の前記外周面上に、図柄の画像と、当該底部の当該外周面のうちの当該図柄の画像を除いた領域に位置する、背景となる画像と、を形成する、
飲料用缶の製造方法であり、
前記保護層形成工程では、
前記底部の前記外周面に形成される前記図柄の画像である底部図柄画像と、前記円筒部の外周面に形成される画像である円筒部画像に含まれる図柄の画像である円筒部図柄画像とが連続するように、当該底部図柄画像を形成する、
飲料用缶の製造方法
【請求項2】
記保護層形成工程では、
前記円筒部の前記外周面に形成される前記円筒部画像に含まれる背景画像の色と、前記底部の前記外周面に形成される、前記背景となる前記画像である外周面背景画像の色とが同じとなるように、当該外周面背景画像を形成する、
請求項1に記載の飲料用缶の製造方法。
【請求項3】
前記円筒部の前記外周面にインクを用いて前記円筒部画像を形成する際に、前記底部の前記外周面にインクを付着させて前記保護層となる画像を形成する請求項1に記載の飲料用缶の製造方法。
【請求項4】
前記円筒部の前記外周面に対して前記円筒部画像を形成する画像形成手段を用いて、前記底部の前記外周面にインクを付着させて、前記保護層となる画像を形成する請求項1に記載の飲料用缶の製造方法。
【請求項5】
前記円筒部の前記外周面に前記円筒部画像を形成する画像形成工程をさらに備え、
前記画像形成工程における前記円筒部画像の形成、および、前記保護層形成工程における前記外周面へのインクの付着が、共通のインクジェットヘッドにより行われる請求項1に記載の飲料用缶の製造方法。
【請求項6】
インクジェットヘッドから前記円筒部の外周面にインクが吐出されることで当該外周面に前記円筒部画像が形成され、インクジェットヘッドから前記底部の前記外周面にインクが吐出されることで前記保護層となる画像が形成され、
前記インクジェットヘッドから前記円筒部の前記外周面にインクを吐出する際のインク吐出条件と、前記インクジェットヘッドから前記底部の前記外周面にインクを吐出する際の吐出条件とが異なる請求項1に記載の飲料用缶の製造方法。
【請求項7】
前記インクジェットヘッドから前記円筒部の前記外周面にインクを吐出する際の一滴当たりのインク量と、前記インクジェットヘッドから前記底部の前記外周面にインクを吐出する際の一滴当たりのインク量とが異なる請求項6に記載の飲料用缶の製造方法。
【請求項8】
前記円筒部の前記外周面には、複数の色のインクにより構成された前記円筒部画像が形成され、
前記保護層形成工程では、前記複数の色のうちの一部の色のインクを、前記底部の前記外周面に付着させて、前記保護層となる画像を形成する請求項1に記載の飲料用缶の製造方法。
【請求項9】
前記円筒部の前記外周面への前記円筒部画像の形成を行う画像形成工程をさらに備え、
前記画像形成工程では、前記円筒部の前記外周面に有色の下地層を形成し、次いで、当該有色の下地層の上にインクを付着させて、当該下地層の上に画像を形成し、
前記飲料用缶は、金属製であり、
前記保護層形成工程では、前記底部の前記外周面に位置する、金属の地の上にインクを付着させて、当該底部の当該外周面に前記保護層となる画像を形成する請求項1に記載の飲料用缶の製造方法。
【請求項10】
前記円筒部の前記外周面に対して、一のインク付着方式を用いてインクを付着させて、当該外周面上に前記円筒部画像を形成する画像形成工程をさらに備え、
前記保護層形成工程では、前記一のインク付着方式とは異なる他のインク付着方式を用いて、前記底部の前記外周面にインクを付着させて、前記保護層となる画像を形成する請求項1に記載の飲料用缶の製造方法。
【請求項11】
前記画像形成工程では、前記円筒部の前記外周面に対して、版式を用いてインクを付着させて、当該外周面上に前記円筒部画像を形成し、
前記保護層形成工程では、インクジェットヘッド方式を用いて、前記底部の前記外周面にインクを付着させて、前記保護層となる画像を形成する請求項10に記載の飲料用缶の製造方法。
【請求項12】
一端部および他端部を有する円筒部と、
前記円筒部の前記一端部に位置する底部と、
を備え、
前記底部は、前記円筒部の前記他端部側に向かって進むに従い外径が次第に大きくなる外周面を有し、
前記底部の前記外周面には、インクが付着し当該インクが硬化することにより形成された画像よりなる保護層が設けられ、
前記底部の前記外周面には、前記保護層を構成する画像として、図柄の画像と、当該底部の当該外周面のうちの当該図柄の画像を除いた領域に位置する、背景となる画像とが設けられ
前記円筒部の外周面には、図柄の画像が設けられ、
前記円筒部の前記外周面から前記底部の前記外周面にかけて、連続した図柄が形成されている、
飲料用缶。
【請求項13】
前記円筒部の前記外周面には、背景となる画像である円筒部背景画像が設けられ、
前記円筒部の前記外周面に設けられている前記円筒部背景画像の色と、前記底部の前記外周面に設けられている、前記背景となる前記画像の色とが同じとなっている、
請求項12に記載の飲料用缶。
【請求項14】
前記保護層には、前記飲料用缶の周方向に沿う文字列が形成されている請求項12に記載の飲料用缶。
【請求項15】
一端部および他端部を有する円筒部と、当該円筒部の当該一端部に位置する底部であって当該円筒部の当該他端部側に向かって進むに従い外径が次第に大きくなる外周面を有する底部と、を備える飲料用缶への印刷を行う印刷装置であって、
前記底部の前記外周面にインクを付着させて当該外周面上に保護層となる画像を形成する保護層形成手段
を備え、
前記保護層形成手段は、
前記底部の前記外周面上に、図柄の画像と、当該底部の当該外周面のうちの当該図柄の画像を除いた領域に位置する、背景となる画像と、を形成する、
印刷装置であり、
前記保護層形成手段は、
前記底部の前記外周面に形成される前記図柄の画像である底部図柄画像と、前記円筒部の外周面に形成される画像である円筒部画像に含まれる図柄の画像である円筒部図柄画像とが連続するように、当該底部図柄画像を形成する、
印刷装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料用缶の製造方法、飲料用缶、および、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、材料を筒状の素缶体に成形する基本成形工程と、基本成形工程で成形した素缶体の外周面に印刷処理を行う印刷工程とを備えた缶体の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-183613号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
飲料用缶では、通常、円筒部の外周面に対して印刷が行われ、また、この印刷により形成された画像の上の保護層が形成される。これにより、円筒部の外周面には、画像および保護層が形成される。
これに対し、底部については、画像および保護層が形成されず、露出したままの状態となる。また、飲料用缶に対して化成処理が施されることも多いが、この化成処理のために用いる液は、底部の外周面上に留まりにくく、底部の外周面に対する化成処理の効果は小さくなりやすい。
本発明の目的は、飲料用缶の底部が有する外周面の保護を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が適用される飲料用缶の製造方法は、一端部および他端部を有する円筒部と、当該円筒部の一端部に位置する底部であって当該円筒部の当該他端部側に向かって進むに従い外径が次第に大きくなる外周面を有する底部と、を備える飲料用缶の製造方法であり、前記底部の前記外周面にインクを付着させて当該外周面上に保護層を形成する保護層形成工程を備える飲料用缶の製造方法である。
【0006】
ここで、前記円筒部の外周面にインクを用いて画像を形成する際に、前記底部の前記外周面にインクを付着させて前記保護層を形成することを特徴とすることができる。
また、前記円筒部の外周面に対して画像を形成する画像形成手段を用いて、前記底部の前記外周面にインクを付着させて、前記保護層を形成することを特徴とすることができる。
また、前記円筒部の外周面に画像を形成する画像形成工程をさらに備え、前記画像形成工程における画像の形成、および、前記保護層形成工程における前記外周面へのインクの付着が、共通のインクジェットヘッドにより行われることを特徴とすることができる。
また、インクジェットヘッドから前記円筒部の外周面にインクが吐出されることで当該外周面に画像が形成され、インクジェットヘッドから前記底部の前記外周面にインクが吐出されることで前記保護層が形成され、前記インクジェットヘッドから前記円筒部の前記外周面にインクを吐出する際のインク吐出条件と、前記インクジェットヘッドから前記底部の前記外周面にインクを吐出する際の吐出条件とが異なることを特徴とすることができる。
また、前記インクジェットヘッドから前記円筒部の前記外周面にインクを吐出する際の一滴当たりのインク量と、前記インクジェットヘッドから前記底部の前記外周面にインクを吐出する際の一滴当たりのインク量とが異なることを特徴とすることができる。
【0007】
また、前記底部の前記外周面に前記インクを付着させることにより、当該外周面上に画像が形成され、前記底部の前記外周面に形成される画像である底部画像に含まれる図柄と、前記円筒部の外周面に形成される画像である円筒部画像に含まれる図柄とが連続するように、当該底部画像を形成することを特徴とすることができる。
また、前記円筒部の外周面には、複数の色のインクにより構成された画像が形成され、前記保護層形成工程では、前記複数の色のうちの一部の色のインクを、前記底部の前記外周面に付着させて、前記保護層を形成することを特徴とすることができる。
また、前記円筒部の外周面への画像の形成を行う画像形成工程をさらに備え、前記画像形成工程では、前記円筒部の前記外周面に有色の下地層を形成し、次いで、当該有色の下地層の上にインクを付着させて、当該下地層の上に画像を形成し、前記飲料用缶は、金属製であり、前記保護層形成工程では、前記底部の前記外周面に位置する、金属の地の上にインクを付着させて、当該底部の当該外周面に保護層を形成することを特徴とすることができる。
また、前記円筒部の外周面に対して、一のインク付着方式を用いてインクを付着させて、当該外周面上に画像を形成する画像形成工程をさらに備え、前記保護層形成工程では、前記一のインク付着方式とは異なる他のインク付着方式を用いて、前記底部の前記外周面にインクを付着させて、前記保護層を形成することを特徴とすることができる。
また、前記画像形成工程では、前記円筒部の前記外周面に対して、版式を用いてインクを付着させて、当該外周面上に画像を形成し、前記保護層形成工程では、インクジェットヘッド方式を用いて、前記底部の前記外周面にインクを付着させて、前記保護層を形成することを特徴とすることができる。
【0008】
また、本発明を飲料用缶として捉えた場合、本発明が適用される飲料用缶は、一端部および他端部を有する円筒部と、前記円筒部の前記一端部に位置する底部と、を備え、前記底部は、前記円筒部の前記他端部側に向かって進むに従い外径が次第に大きくなる外周面を有し、前記底部の前記外周面には、インクが付着し当該インクが硬化することにより形成された保護層が設けられている飲料用缶である。
【0009】
ここで、前記保護層には、図柄が形成されていることを特徴とすることができる。
また、前記円筒部の外周面から前記底部の前記外周面にかけて、連続した図柄が形成されていることを特徴とすることができる。
また、前記保護層には、前記飲料用缶の周方向に沿う文字列が形成されていることを特徴とすることができる。
【0010】
他の観点から捉えると、本発明が適用される飲料用缶は、一端部および他端部を有する円筒部と、前記円筒部の前記一端部に位置する底部と、を備え、前記底部は、前記円筒部の前記他端部側に向かって進むに従い外径が次第に大きくなる外周面を有し、前記底部の前記外周面には、色材を含んだ保護層が設けられている飲料用缶である。
【0011】
また、本発明を印刷装置として捉えた場合、本発明が適用される印刷装置は、一端部および他端部を有する円筒部と、当該円筒部の当該一端部に位置する底部であって当該円筒部の当該他端部側に向かって進むに従い外径が次第に大きくなる外周面を有する底部と、を備える飲料用缶への印刷を行う印刷装置であって、前記底部の前記外周面にインクを付着させて当該外周面上に保護層を形成する保護層形成手段を備える印刷装置である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、飲料用缶の底部が有する外周面の保護を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】(A)、(B)は、飲料用缶を説明する図である。
図2】(A)、(B)は、円筒部への画像形成、底部への保護層の形成が行われた後の飲料用缶の外観および断面構造を示した図である。
図3】化成処理を説明する図である。
図4】飲料用缶への印刷を行う印刷装置を示した図である。
図5】塗料塗布装置を示した図である。
図6図4の矢印IVで示す方向から、印刷部、第1保護層形成部を見た場合の図である。
図7】(A)~(E)は、飲料用缶の断面構造の変化を示した図である。
図8】印刷部の他の構成例であって、印刷部を上方から見た場合の他の構成例を示した図である。
図9】飲料用缶の他の構成例を示した図である。
図10】印刷部の他の構成例であって、印刷部を上方から見た場合の他の構成例を示した図である。
図11】印刷装置の他の構成例を示した図である。
図12】インクジェットヘッドの他の配置例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1(A)、(B)は、本実施形態に係る飲料用缶10を説明する図である。図1(A)は、飲料用缶10の正面図であり、図1(B)は、図1(A)の矢印IB方向から飲料用缶10を見た場合の図である。
この図1(A)、(B)では、後述する円筒部画像、保護層が形成される前の状態を示している。言い換えると、図1(A)、(B)では、印刷等が施される前の素缶の状態を示している。
【0015】
飲料用缶10には、図1(A)、(B)に示すように、円筒状に形成された円筒部11が設けられている。この円筒部11は、図1(A)に示すように、一端部11Aおよび他端部11Bを有する。
円筒部11の一端部11Aには、底部13が設けられ、本実施形態では、円筒部11の一端部11Aが、この底部13により塞がれている。
本実施形態では、円筒部11と底部13とが一体となっている。言い換えると、本実施形態の飲料用缶10は、複数の部材を組み付けたものではなく、1つの基材を変形させて形成したものなっている。
【0016】
図1(A)に示すように、円筒部11の他端部11Bには、円形の開口11Cが形成されている。
本実施形態では、円筒部11の他端部11Bに位置するこの開口11Cを通じて、飲料用缶10の内部に、内容物である飲料が充填される。
その後、この開口11Cは、不図示の缶蓋により塞がれる。これにより、飲料が充填された飲料缶が完成する。
【0017】
充填される飲料としては、例えば、ビール等のアルコール系飲料や、清涼飲料などの非アルコール系飲料が挙げられる。
ここで、本実施形態において、飲料用缶10とは、飲料が充填される前の空缶をいい、飲料缶とは、内容物である飲料が充填された後の缶をいう。
【0018】
本実施形態の飲料用缶10は、金属製であり、金属材料により形成される。具体的には、飲料用缶10は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金等により形成される。
また、飲料用缶10は、例えば、平板状の板材(基材)を、ドロー&アイアニング(DI)成形や、ストレッチドロー成形することにより形成される。
【0019】
ここで、底部13とは、図1(B)に示すように、円筒部11の一端部11A(図1(A)参照)側から飲料用缶10を見た場合に(図1(A)の矢印IBで示す方向から飲料用缶10を見た場合に)、この飲料用缶10を見る者に対向する部分を指す。
言い換えると、底部13とは、円筒部11の一端部11A側から飲料用缶10を見た場合に、この一端部11A側から見える部分を指す。
この底部13は、図1(A)に示すように、外周面13Xを有する。この外周面13Xは、円筒部11の他端部11B側に向かって進むに従い外径が次第に大きくなる。
【0020】
また、本実施形態では、図1(B)に示すように、底部13に、円環状の突出部13Cが設けられている。
この突出部13Cは、円筒部11の他端部11B(図1(A)参照)側から離れる方向に向かって突出している。また、本実施形態では、図1(B)に示すように、この突出部13Cの径D1が、円筒部11の外径D2よりも小さくなっている。
【0021】
本実施形態では、この突出部13C(の頂部)と円筒部11との間に、この突出部13Cと円筒部11の外周面11Xとを接続する、上記の外周面13Xが位置する。
さらに、図1(A)に示すように、底部13のうち、円環状の突出部13Cよりも内側には、円筒部11の他端部11B側に向かって凹む凹部13Eが設けられている。
【0022】
図2(A)、(B)は、円筒部11への画像形成、底部13への保護層の形成が行われた後の飲料用缶10の外観および断面構造を示した図である。
具体的には、図2(A)にて、飲料用缶10の外観を示している。また、図2(B)では、図2(A)の符号IIBで示す部分の断面構造を示している。
【0023】
本実施形態では、図2(B)に示すように、円筒部11の外周面11X上に、画像層11Fが設けられている。さらに、画像層11Fの上には、この画像層11Fを保護する透明の保護層11Gが設けられている。
さらに、本実施形態では、底部13の外周面13X上に、インクが付着しこのインクが硬化することにより形成された保護層13Gが設けられている。
【0024】
言い換えると、底部13の外周面13Xには、色材を含んだ保護層13Gが設けられている。ここで、色材としては、染料や顔料が一例に挙げられる。
なお、色材は必須ではなく、透明のインクを、底部13の外周面13Xに付着させて、底部13の外周面13Xに、透明の保護層13Gを形成してもよい。保護層13Gの形成の詳細については、後述する。
【0025】
本実施形態では、保護層13Gは有色であり、この保護層13Gにより、図2(A)に示すように、底部13の外周面13Xに、画像が形成された状態となっている。
本実施形態では、円筒部11の外周面11Xのみならず、底部13の外周面13Xにも画像が形成され、円筒部11の外周面11X、および、底部13の外周面13Xの両者に、画像が形成されている。
【0026】
さらに、本実施形態では、円筒部11の外周面11Xに形成された画像、および、底部13の外周面13Xに形成された画像の各々に、図2(A)に示すように、図柄15が含まれている。
本実施形態では、図2(A)の符号2Cで示すように、林檎を表す図柄15が、円筒部11の外周面11X(図2(B)参照)から底部13の外周面13Xにかけて連続した状態で形成されている。
【0027】
言い換えると、本実施形態では、円筒部11の外周面11Xに形成される画像(以下、「円筒部画像」と称する)に含まれる図柄15と、底部13の外周面13Xに形成される画像(以下、「底部画像」と称する)に含まれる図柄15とが連続するように、円筒部画像および底部画像が形成されている。
【0028】
ここで、「画像を形成する」とは、単なる着色なども含む概念であり、円筒部11の外周面11Xや、底部13の外周面13Xに対して、インクを載せることをいう。
ここで、画像を形成するにあたっては、飲料用缶10の外面の全域にインクを付着させることに限らず、飲料用缶10の外面の一部にインクを付着させてもよい。
【0029】
また、「図柄15」とは、模様、文字、文字列、絵、図形などが該当し、他の要素と区別できるものは、図柄15に該当する。言い換えると、「図柄15」とは、飲料用缶10の外面に形成される画像を構成する一要素を指す。
また、円筒部画像に含まれる図柄15と、底部画像に含まれる図柄15とが連続するとは、円筒部画像から底部画像にかけて図柄15が形成されている状態を指す。言い換えると、図柄15が、円筒部11の外周面11Xと底部13の外周面13Xとを跨いで形成されている状態を指す。
【0030】
また、本実施形態では、底部13の外周面13Xに形成された保護層13G(図2(B)参照)に、図2(A)の符号2Dで示すように、図柄15の他の一例としての文字列が形成されている。
この文字列は、飲料用缶10の周方向に沿って配置されている。言い換えると、文字列を構成する各文字が、飲料用缶10の周方向に並んでいる。
【0031】
さらに、本実施形態では、図2(B)に示すように、円筒部11の外周面11Xに、白色(有色)の下地層11Eが形成され、そして、この下地層11Eの上に、円筒部画像が形成されている。
なお、下地層11Eは、白色に限らず、他の色としてもよい。下地層11Eを形成すると、飲料用缶10の金属の地の影響が小さくなり、円筒部画像の発色性が向上する。
【0032】
一方、図2(B)に示すように、底部13の外周面13Xには、下地層11Eが形成されておらず、金属の地の上に、保護層13Gが形成されている。
このように、金属の地の上に、保護層13Gが形成されると、この保護層13Gは、金属光沢を有するようになる。言い換えると、この保護層13Gはメタリック調となる。
【0033】
本実施形態では、円筒部11の部分では、下地層11Eによって金属の地が遮蔽され、また、底部13の部分では、下地層11Eが形成されず、保護層13Gは、メタリック調となる。
この場合は、飲料用缶10の外周面上に、色調が異なる部分が存在するようになり、従来にはない外観を有する飲料用缶10の提供を行える。
なお、金属の地が遮蔽されるとは、金属の地が完全に遮蔽される状態に限るものではなく、金属の地の影響が小さくなる状態となることも含む。
【0034】
図3は、化成処理を説明する図である。
本実施形態では、下地層11Eの形成、円筒部画像の形成、および、保護層13Gの形成の前に、飲料用缶10に対して化成処理を行う。
この化成処理を行う際には、図3に示すように、底部13を上向きにした状態で、スプレー等により、化成処理のための液を飲料用缶10に付着させる。
【0035】
この場合、底部13の径方向における中央部に位置する凹部13Eには、液が溜まりやすく、凹部13Eでは、化成処理の効果が大きくなる。これに対し、底部13の外周面13Xは、液が流れやすく化成処理の効果が小さくなる。
このため、本実施形態では、底部13の外周面13Xに対してインクを付着させる。これにより、この外周面13Xに保護層13G(図2(B)参照)が形成され、底部13の外周面13Xの保護がより強固なものとする。
【0036】
図4は、飲料用缶10への印刷を行う印刷装置100を示した図である。
本実施形態では、この印刷装置100により、円筒部画像の形成、底部13の外周面13Xへの保護層13Gの形成を行う。
印刷装置100には、飲料用缶10が供給される缶体供給部510が設けられている。この缶体供給部510では、飲料用缶10を支持する支持部材20に対する飲料用缶10の取り付けが行われる。
具体的には、支持部材20は円筒状に形成され、円筒状の飲料用缶10に対してこの支持部材20が挿入されることで、支持部材20に対する飲料用缶10の取り付けが行われる。
【0037】
印刷装置100には、飲料用缶10を支持しながら移動する移動体の一例としての複数の移動ユニット550が設けられている。
本実施形態では、この移動ユニット550に、飲料用缶10を支持する上記支持部材20が取り付けられ、飲料用缶10は、この移動ユニット550とともに移動する。
【0038】
ここで、本実施形態では、この支持部材20に供給される飲料用缶10は、すでに、下地層11E(図2(B)参照)が形成された状態となっている。
より具体的には、本実施形態では、印刷装置100とは別に、図5(塗料塗布装置を示した図)に示す、塗料塗布装置900が設けられている。
本実施形態では、印刷装置100による印刷が行われる前の段階で、この塗料塗布装置900により、円筒部11の外周面11Xへの下地層11Eの形成が行われる。
【0039】
ここで、下地層11Eとしては、例えば、上記の通り、白色の下地層11Eが形成される。白色の下地層11Eを形成すると、この下地層11Eの上に形成される円筒部画像の発色性が向上する。
なお、下地層11Eを構成する材料としては、従来から用いられているものを用いればよく、下地層11Eを構成する材料は、特に限定されるものではない。
【0040】
ここで、塗料塗布装置900には、円筒又は円柱状に形成され、円筒部11の外周面11Xに接触する接触部材901が設けられている。
接触部材901は、接触部材901の対向位置に飲料用缶10が供給された後に、矢印5Aで示すように、この飲料用缶10に向かって移動し、飲料用缶10の円筒部11に接触する。
【0041】
また、塗料塗布装置900には、下地層11Eの元となる塗料を収容する塗料収容部902が設けられている。
さらに、塗料塗布装置900には、円筒又は円柱状に形成され、塗料収容部902内の塗料を接触部材901に供給する供給部材903が設けられている。
【0042】
塗料塗布装置900では、飲料用缶10が周方向に回転する。また、接触部材901の外周面には、供給部材903によって塗料が供給されている。これにより、本実施形態では、円筒部11の外周面11Xの全域に塗料が付着し、この全域に、下地層11Eが形成される。
なお、接触部材901は、底部13の外周面13Xには接触せず、底部13の外周面13Xには下地層11Eは形成されない。
【0043】
図4に戻り、印刷装置100についてさらに説明する。
缶体供給部510の下流側には、印刷部700が設けられている。
印刷部700は、インクジェット印刷方式を用い、上流側から移動してきた飲料用缶10に対して画像(円筒部画像)を形成する。
【0044】
インクジェット印刷方式による画像形成とは、インクジェットヘッドからインクを吐出させて、飲料用缶10にこのインクを付着させることにより行う印刷を指す。
より具体的には、インクジェットヘッドには、インクを吐出する吐出口が複数設けられ、インクジェット印刷方式による画像形成では、この複数の吐出口からインクを吐出することにより印刷を行う。
インクジェット印刷方式による画像形成では、公知の方式を用いることができる。具体的には、例えば、ピエゾ方式、サーマル(バブル)方式、コンティニュアス方式などを用いることができる。
【0045】
印刷部700の下流側には、保護層形成手段の一例としての第1保護層形成部800が設けられている。
この第1保護層形成部800は、底部13の外周面13X(図1(A)参照)にインクを付着させて、外周面13X上に、上記の保護層13Gを形成する。
【0046】
第1保護層形成部800の下流側には、光照射手段の一例としての光照射部750が設けられている。
光照射部750は、光源を備え、印刷部700による画像形成、第1保護層形成部800による保護層13Gの形成が行われた後の飲料用缶10に光を照射する。
これにより、円筒部11の外周面11Xに形成された円筒部画像、および、底部13の外周面13Xに形成された保護層13Gが硬化する。
【0047】
印刷部700では、紫外線硬化型のインクを用いて円筒部画像を形成する。付言すると、印刷部700では、活性放射線硬化型インクを用いて円筒部画像を形成する。
また、第1保護層形成部800でも、紫外線硬化型のインクを用いて保護層13Gを形成する。
光照射部750では、円筒部11の外周面11Xに形成された円筒部画像、および、底部13の外周面13Xに形成された保護層13Gに対して紫外線を照射する。これにより、円筒部画像および保護層13Gが硬化する。
【0048】
なお、円筒部画像の形成、保護層13Gの形成に用いるインクは、紫外線硬化型のインクに限定されず、熱硬化型のインクなど、他の種類のインクを用いてもよい。
また、円筒部画像の形成、保護層13Gの形成には、従来から用いられている既存のインクを使用すればよく(飲料用缶10の印刷に従来から使用されている公知インクを用いればよく)、円筒部画像の形成、保護層13Gの形成に用いるインクは、特に限定されるものではない。
【0049】
円筒部画像の形成、保護層13Gの形成に用いるインクの一例としては、例えば、顔料を含むインクを挙げることができる。ここで顔料(色量)としては、各種の有機顔料や無機顔料が用いられる。また、インクの展色剤(ビヒクル)としては、熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂等の樹脂を主成分とすることができる。熱硬化性樹脂としては、例えば、アルキッド型又はポリエステル型の樹脂等が用いられる。また紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線ラジカル重合型、紫外線カチオン重合型の樹脂等が用いられる。さらに、インクには添加剤が含有されていてもよい。添加剤としては、艶消し剤、ワックス類(天然系、石油系、合成系)、乾燥剤、分散剤、湿潤剤、架橋剤、ゲル化剤、増粘剤、皮張り防止剤、安定剤、消泡剤、光重合開始剤等が挙げられる。
【0050】
さらに、本実施形態では、第2保護層形成部770が設けられている。
第2保護層形成部770は、飲料用缶10の移動方向において、第1保護層形成部800の下流側に配置されている。
第2保護層形成部770は、円筒部画像の上に、この円筒部画像を覆う透明な層を形成する。これにより、本実施形態では、円筒部11の最外層に、透明な保護層11G(図2(B)参照)が形成される。
【0051】
第2保護層形成部770は、図5にて示した塗料塗布装置900と同様に構成されている。
第2保護層形成部770には、円筒又は円柱状に形成され、円筒部11の外周面11Xに接触する接触部材771が設けられている。
接触部材771は、接触部材771の対向位置に飲料用缶10が供給された後に、この飲料用缶10に向かって移動し、円筒部11に接触する。より具体的には、接触部材771は、図中矢印4Aで示すように移動して、円筒部11に接触する。
【0052】
また、第2保護層形成部770には、塗料を収容する塗料収容部772が設けられている。さらに、円筒又は円柱状に形成され、塗料収容部772内の塗料を接触部材771に供給する供給部材773が設けられている。
第2保護層形成部770では、飲料用缶10が周方向に回転する。また、接触部材771の外周面には、供給部材773によって塗料が供給されている。
【0053】
これにより、本実施形態では、円筒部11の外周面11Xの全域に塗料が付着する。これにより、円筒部11に、透明な保護層11G(図2(B)参照)が形成される。
なお、上記と同様、接触部材771は、底部13の外周面13Xには接触せず、底部13の外周面13Xには、保護層11G(透明な塗料による保護層)は形成されない。
【0054】
第2保護層形成部770の下流側には、支持部材20からの飲料用缶10の取り外しが行われる取り外し部780が設けられている。
本実施形態では、この取り外し部780にて、支持部材20からの飲料用缶10の取り外しが行われ、この飲料用缶10が、印刷装置100の外部に排出される。
本実施形態では、印刷装置100の外部に排出された飲料用缶10は、加熱装置(不図示)により加熱される。これにより、円筒部11の最外層に形成された上記の保護層11G(透明な保護層11G)が硬化する。
【0055】
印刷装置100には、上記の通り、移動体の一例としての複数の移動ユニット550が設けられている。
本実施形態では、この移動ユニット550により飲料用缶10が支持され、飲料用缶10は、この移動ユニット550とともに移動する。
【0056】
本実施形態では、移動ユニット550を移動させる移動手段として機能する移動機構560が設けられている。移動機構560には、移動ユニット550の案内を行う環状の案内部材561が設けられている。
移動ユニット550の各々は、案内部材561により案内され、予め定められた環状の移動経路850に沿って周回移動を行う。
【0057】
また、案内部材561の内部には、電磁石(不図示)が設けられている。さらに、移動ユニット550には、永久磁石(不図示)が設置されている。本実施形態では、リニア機構が用いられて、移動ユニット550の移動が行われる。
なお、移動ユニット550は、リニア機構に限らず、他の機構により移動させてもよい。例えば、移動ユニット550にモータを設け、移動ユニット550が自律的に移動する構成であってもよい。
【0058】
移動ユニット550は、予め定められた環状の移動経路850に沿って移動する。
移動経路850は、その軸中心800Cが水平方向に沿うように配置されている。言い換えると、移動経路850は、水平方向に沿った軸中心800Cの周りに配置されている。ここで、この軸中心800Cは、図4の紙面に対して直交する方向に延びている。
そして、この場合、本実施形態では、移動ユニット550は、図中、紙面に対して直交する方向に沿って延びるこの軸中心800Cを中心に、周回移動を行う。
【0059】
なお、本実施形態では、環状の移動経路850が、水平方向に沿った軸中心800Cの周りに配置されている場合を一例に説明したが、これに限らず、環状の移動経路850が、鉛直方向に沿った軸中心の周りに配置されるようにしてもよい。
また、本実施形態では、印刷部700から第1保護層形成部800に至る、移動ユニット550の移動経路が直線状となっていたが、これに限らず、この移動経路を、円弧など、曲線状に形成してもよい。
【0060】
印刷部700について詳細に説明する。
印刷部700には、図中左右方向に並んで配置された複数のインクジェットヘッド19が設けられている。この複数のインクジェットヘッド19が設けられている部分は、円筒部11の外周面11Xへの画像形成を行う画像形成手段として捉えることができる。
【0061】
具体的には、印刷部700には、シアンのインクを吐出する第1インクジェットヘッド19C、マゼンタのインクを吐出する第2インクジェットヘッド19M、イエローのインクを吐出する第3インクジェットヘッド19Y、黒のインクを吐出する第4インクジェットヘッド19Kが設けられている。
以下の説明において、第1インクジェットヘッド19C~第4インクジェットヘッド19Kを特に区別しない場合には、単に、「インクジェットヘッド19」と称する。
【0062】
ここで、第1インクジェットヘッド19C~第4インクジェットヘッド19Kの4つのインクジェットヘッド19は、紫外線硬化型のインクを用いて、円筒部11の外周面11Xへの画像形成を行う。
また、本実施形態では、飲料用缶10は寝た状態で移動し(飲料用缶10の軸方向が水平となる状態で飲料用缶10が移動し)、飲料用缶10の外周面の一部が、鉛直方向における上方を向く。本実施形態では、この外周面の上方から、下方に向けてインクを吐出し、円筒部11の外周面11Xへの画像形成を行う。
【0063】
さらに、本実施形態では、この4つのインクジェットヘッド19は、飲料用缶10の移動方向に並んだ状態で配置されている。また、4つのインクジェットヘッド19の各々は、飲料用缶10の移動方向と直交(交差)する方向に沿うように配置されている。
本実施形態では、この4つのインクジェットヘッド19の下方を飲料用缶10が通過していく過程で、円筒部11に対して上方からインクが吐出される。これにより、円筒部11の外周面11Xに、円筒部画像が形成される。
【0064】
より具体的には、本実施形態では、移動ユニット550が、複数設けられたインクジェットヘッド19の各々の設置箇所にて停止する。そして、各インクジェットヘッド19では、円筒部11へのインクの吐出が行われ、円筒部11の外周面11Xに円筒部画像が形成される。
なお、各インクジェットヘッド19にて画像形成が行われる際、飲料用缶10は、周方向に回転する。
【0065】
より具体的には、本実施形態では、移動ユニット550の各々に設けられたモータなどの駆動源によって、飲料用缶10は、周方向に回転する。
なお、駆動源は、移動ユニット550に設けるのに限らず、例えば、印刷装置100の本体側に設け、この本体側に設けられた駆動源から、移動ユニット550に駆動力が伝達される構成としてもよい。
【0066】
また、本実施形態では、印刷部700に、4つのインクジェットヘッド19が設けられている場合を例示したが、コーポレートカラーなどの特色のインクを吐出するインクジェットヘッド19を追加してもよい。
また、飲料用缶10の移動方向において、印刷部700よりも上流側に、上記の下地層11E(図2(B)参照)を形成するためのインクジェットヘッド19を設けてもよい。
下地層11Eは、印刷装置100に飲料用缶10を投入する前の段階に限らず、印刷装置100に、下地層11Eを形成するためのインクジェットヘッド19を設け、このインクジェットヘッド19で、下地層11Eを形成してもよい。
【0067】
第1保護層形成部800には、印刷部700と同様、4つのインクジェットヘッド12が設けられている。
即ち、シアンのインクを吐出する第1インクジェットヘッド12C、マゼンタのインクを吐出する第2インクジェットヘッド12M、イエローのインクを吐出する第3インクジェットヘッド12Y、黒のインクを吐出する第4インクジェットヘッド12Kが設けられている。
【0068】
ここで、第1インクジェットヘッド12C~第4インクジェットヘッド12Kの4つのインクジェットヘッド12は、紫外線硬化型のインクを、底部13の外周面13Xに向けて吐出し、この外周面13X上に保護層13G(図2(B)参照)を形成する。
また、本実施形態では、底部13の外周面13Xの上方から、下方に向けてインクを吐出し、底部13の外周面13Xへの保護層13Gの形成を行う。
【0069】
さらに、本実施形態では、この4つのインクジェットヘッド12は、飲料用缶10の移動方向に並んだ状態で配置されている。また、4つのインクジェットヘッド12の各々は、飲料用缶10の移動方向と直交(交差)する方向に沿うように配置されている。
本実施形態では、この4つのインクジェットヘッド12の下方を飲料用缶10が通過していく過程で、底部13の外周面13Xに対し、上方からインクが吐出される。これにより、底部13の外周面13Xに保護層13Gが形成される。
【0070】
より具体的には、本実施形態では、移動ユニット550が、複数設けられたインクジェットヘッド12の各々の設置箇所にて停止する。
そして、各インクジェットヘッド12では、底部13の外周面13Xへのインクの吐出が行われ、底部13の外周面13Xに保護層13Gが形成される。なお、各インクジェットヘッド12からインクの吐出が行われる際、飲料用缶10は、周方向に回転する。
【0071】
ここで、本実施形態では、第1保護層形成部800に、4つのインクジェットヘッド12が設けられている場合を説明したが、上記と同様、コーポレートカラーなどの特色のインクを吐出するインクジェットヘッド12を追加してもよい。
【0072】
また、第1保護層形成部800には、下地層(例えば、白色の下地層)を形成するためのインクジェットヘッド12をさらに設けてもよい。
底部13の外周面13Xにも下地層を形成すると、この外周面13Xに形成される保護層13Gの発色性が向上する。ここで、下地層の色は、白に限らず、他の色であってもよい。
なお、下地層を形成するためのインクジェットヘッド12を設置する場合は、上記の4つのインクジェットヘッド12よりも上流側に、下地層を形成するためのこのインクジェットヘッド12を設ける。
【0073】
移動体の一例としての移動ユニット550の各々は、予め定められた移動速度で移動を行う。
また、移動ユニット550の各々は、缶体供給部510、印刷部700、第1保護層形成部800、光照射部750、第2保護層形成部770、取り外し部780の各々にて停止する。
また、印刷部700、第1保護層形成部800、光照射部750、第2保護層形成部770などでは、移動ユニット550上の飲料用缶10は、予め定められた回転速度で周方向への回転を行う。
【0074】
図6は、図4の矢印VIで示す方向から、印刷部700、第1保護層形成部800を見た場合の図である。
本実施形態では、上記のように、印刷部700に、第1インクジェットヘッド19C~第4インクジェットヘッド19Kの4つのインクジェットヘッド19が設けられている。
また、第1保護層形成部800に、第1インクジェットヘッド12C~第4インクジェットヘッド12Kの4つのインクジェットヘッド12が設けられている。
【0075】
本実施形態では、上記のとおり、印刷部700にて、円筒部11の外周面11X上に、円筒部画像が形成される。
より、具体的には、4つのインクジェットヘッド19が用いられて、円筒部11の外周面11Xに、複数の色のインクにより構成された円筒部画像が形成される。
【0076】
また、本実施形態では、第1保護層形成部800にて、底部13の外周面13Xへの保護層13Gの形成が行われる。
より具体的には、第1保護層形成部800では、底部13の外周面13Xに対し、4つのインクジェットヘッド12に含まれる1以上のインクジェットヘッド12が用いられて、保護層13Gの形成が行われる。
より具体的には、この1以上のインクジェットヘッド12から吐出されたインクが硬化することで、硬化したインクにより構成される保護層13Gが形成される。
【0077】
本実施形態では、印刷部700にて、円筒部11の外周面11Xに対して、複数の色のインクにより構成された円筒部画像が形成される。
一方で、第1保護層形成部800では、複数のインクジェットヘッド12を用いることは必須ではなく、例えば、1つのインクジェットヘッド12を用いて、底部13の外周面13Xへの保護層13Gの形成を行ってもよい。
【0078】
言い換えると、本実施形態では、印刷部700では、複数の色を用いて画像形成を行うが、第1保護層形成部800では、この複数の色のうちの一部の色のインクを、底部13の外周面13Xに付着させて、保護層13Gを形成してもよい。
言い換えると、印刷部700では、複数のインクジェットヘッド19を用いて画像形成を行うが、第1保護層形成部800では、印刷部700にて用いるインクジェットヘッド19の数よりも少ない数のインクジェットヘッド12を用いて、保護層13Gを形成してもよい。
【0079】
より具体的には、本実施形態では、例えば、印刷部700では、シアン、イエロー、マゼンタ、黒の4色のインクを用いて画像形成を行い、第1保護層形成部800では、例えば、イエローのインクのみを用いて保護層13Gを形成してもよい。
この場合、4色のインクを用いて保護層13Gを形成する場合に比べ、インクの使用量が削減される。
また、その他に、第1保護層形成部800では、印刷部700にて使用するインクジェットヘッド19と同数のインクジェットヘッド12を用いて、保護層13Gを形成してもよい。
【0080】
また、その他に、円筒部画像、保護層13Gを形成するにあたっては、図2(A)に示すように、円筒部画像における背景色と、保護層13Gにおける背景色とを同じとしてもよい。
ここで、背景色とは、図柄15を除いた領域に形成される画像の色を指す。
図2(A)に示す例では、図柄15の各々には、図柄15毎に予め定められた色が付されているが、図柄15を除いた背景の部分2T(円筒部画像における背景の部分)、2S(保護層13Gにおける背景の部分)は、同一の色となっている。
【0081】
ここで、本実施形態では、インクジェットヘッド19,12のうちの、インク吐出口(不図示)が形成されている領域の全長の方が、飲料用缶10の全長よりも小さい。この場合、1つのインクジェットヘッド19,12で、飲料用缶10の軸方向における全域に対する画像形成を行うことが難しくなる。
このため、本実施形態では、図6に示すように、円筒部11の外周面11Xに円筒部画像を形成するためのインクジェットヘッド19とは別に、底部13の外周面13Xに保護層13Gを形成するためのインクジェットヘッド12を設けている。
【0082】
本実施形態では、飲料用缶10の軸方向における位置を比べた場合に、印刷部700に設置されたインクジェットヘッド19の各々の位置と、第1保護層形成部800に設けられたインクジェットヘッド12の各々の位置とがずれている。
より具体的には、本実施形態では、第1保護層形成部800に設けられたインクジェットヘッド12の方が、印刷部700に設けられたインクジェットヘッド19よりも、飲料用缶10の底部13に近い側に配置されている。
【0083】
図7は、飲料用缶10の断面構造の変化を示した図である。図7では、素缶の段階からの断面構造の変化を示している。また、図7では、図2(A)の符号IIBで示す部分の断面構造の変化を示している。
本実施形態では、まず、化成処理を経た後の飲料用缶10の外周面に対して、上記の通り、円筒又は円柱状に形成された接触部材901(図5参照)を押し当てる。
これにより、図7(A)に示すように、円筒部11の外周面11Xに、白色の下地層11Eが形成される。この例では、印刷装置100に飲料用缶10を投入する前の段階で、円筒部11の外周面11Xに、下地層11Eが形成される。
【0084】
次いで、本実施形態では、印刷部700によって、図7(B)に示すように、下地層11Eの上に、円筒部画像が形成される。
次いで、本実施形態では、第1保護層形成部800によって、図7(C)に示すように、底部13の外周面13Xに、保護層13Gが形成される。
なお、本実施形態では、円筒部画像の形成が先に行われ、保護層13Gの形成が後に行われる場合を説明したが、形成の順序はこれに限られず、保護層13Gの形成を先に行い、円筒部画像の形成を後に行ってもよい。
【0085】
次いで、本実施形態では、第2保護層形成部770によって、図7(D)に示すように、円筒部11の最外層に、透明の保護層11Gが形成される。
これにより、図2(A)、(B)にて示した状態の飲料用缶10が形成される。
なお、本実施形態では、上記の通り、底部13の外周面13Xには、透明の保護層11Gは形成されない。
【0086】
その後、本実施形態では、いわゆるネック加工が行われ、図7(E)に示すように、円筒部11の他端部11Bに、縮径部10Xが形成される。
ここで、「縮径部10X」とは、円筒部11の軸方向における中央部側から円筒部11の開口縁11Z側に向かって進むに従い円筒部11の外径が次第に小さくなる部分を指す。
本実施形態では、印刷装置100とは別に設けられた装置によって、飲料用缶10に対する加工が行われ、縮径部10Xが形成される。
【0087】
図8は、印刷部700の他の構成例であって、印刷部700を上方から見た場合の他の構成例を示した図である。
この構成例では、上記と同様、インクジェットヘッド19のうちの、インク吐出口(不図示)が形成されている領域の全長が、飲料用缶10の全長よりも小さくなっている。
さらに、この構成例では、インクジェットヘッド19が、飲料用缶10の底部13側に寄せられて配置されている。
【0088】
そして、この構成例では、円筒部11の外周面11Xに対して、このインクジェットヘッド19を用いて円筒部画像を形成する際に、このインクジェットヘッド19から、底部13の外周面13Xにもインクを吐出して、この外周面13Xに保護層13Gを形成する。
言い換えると、この構成例では、共通のインクジェットヘッド19を用いて、外周面11Xへの円筒部画像の形成、および、外周面13Xへの保護層13Gの形成を行う。
この構成例では、保護層13Gの形成のための専用のインクジェットヘッドが設けられない形となり、インクジェットヘッドの設置数が小さくなる。
【0089】
また、この構成例では、飲料用缶10が最終的に完成した状態となると、図9(飲料用缶10の他の構成例を示した図)に示すように、縮径部10Xに円筒部画像が形成されずに、縮径部10Xの少なくとも一部に、下地層11Eが現れるようになる。
付言すると、この構成例では、縮径部10Xに下地層11Eが現れ、縮径部10Xに、白色の無地の画像が形成された状態となる。この場合、従来にはない外観の飲料用缶10の提供を行える。
なお、下地層11Eの形成は必須ではなく、下地層11Eを形成しない場合には、縮径部10Xに、金属の地が現れる。この場合も、従来にはない外観の飲料用缶10の提供を行える。
【0090】
図10は、印刷部700の他の構成例であって、印刷部700を上方から見た場合の他の構成例を示した図である。
この構成例では、上記にて示した実施形態に比べ、インクジェットヘッド19が長くなっており、この構成例では、1つのインクジェットヘッド19で、円筒部11の外周面11Xおよび底部13の外周面13Xへのインクの吐出を行える。
【0091】
この構成例では、図8にて示した構成例と同様、共通のインクジェットヘッド19を用い、外周面11Xに円筒部画像を形成する際に、外周面13Xにインクを付着させて保護層13Gを形成する。
この構成例では、円筒部11のうちの縮径部10Xとなる部分の対向位置にも、インクジェットヘッド19が設けられ、この構成例では、図8にて示した構成例とは異なり、縮径部10Xとなる部分への円筒部画像の形成も行える。
【0092】
付言すると、図10にて示すこの構成例では、図8にて示した構成例と同様、外周面11Xに対して画像を形成する画像形成手段であるインクジェットヘッド19を用いて、外周面13Xへの保護層13Gの形成を行える。
より具体的には、この構成例では、外周面11Xへの画像形成に用いられる4つのインクジェットヘッド19に含まれる1以上のインクジェットヘッド19を用いて、外周面13Xへの保護層13Gの形成を行う。
【0093】
ここで、外周面13Xへのインクの付着にあたっては(保護層13Gの形成にあたっては)、4つ設けられたインクジェットヘッド19の全てを使う必要はなく、少なくとも1つのインクジェットヘッド19を用いればよい。
言い換えると、外周面13Xへのインクの付着にあたっては、複数の色のうちの一部の色のインクを、外周面13Xに付着させて保護層13Gを形成すればよい。
【0094】
具体的には、本実施形態では、外周面11Xには、例えば、4色のインクにより構成された画像が形成されるが、この4色を全て用いることは必須ではなく、例えば、1色のみを用いて保護層13Gを形成してもよい。
また、上記と同様、保護層13Gを形成するにあたっては、この保護層13Gにおける背景色と、円筒部11に形成される円筒部画像の背景色とを同じとしてもよい。
【0095】
また、外周面13Xへのインクの吐出にあたっては、外周面11Xに向けてインクジェットヘッド19からインクを吐出した後又は吐出する前に、このインクジェットヘッド19から、外周面13Xへのインクの吐出を行ってもよい。
言い換えると、外周面11Xに向けてインクを吐出する吐出タイミングと、外周面13Xに向けてインクを吐出するタイミングとを異ならせてもよい。
【0096】
次に、インクを吐出する際の吐出条件について説明する。
インクジェットヘッド19のみを用いて、または、インクジェットヘッド19,12を用いて、円筒部画像および保護層13Gを形成するにあたっては、インクジェットヘッドから外周面11Xにインクを吐出する際のインク吐出条件と、インクジェットヘッドから外周面13Xにインクを吐出する際の吐出条件とを異ならせてもよい。
【0097】
具体的には、本実施形態では、図6に示したように、保護層13Gを形成するための専用のインクジェットヘッド12を用いたり、図8、10に示したように、共通のインクジェットヘッド19を用いたりして、円筒部画像、保護層13Gを形成する。
円筒部画像、保護層13Gのこの形成にあたっては、インクジェットヘッドから外周面11Xにインクを吐出する際のインク吐出条件と、インクジェットヘッドから外周面13Xにインクを吐出する際の吐出条件とを異ならせてもよい。
【0098】
より具体的には、例えば、インクジェットヘッドから外周面11Xにインクを吐出する際の一滴当たりのインク量と、インクジェットヘッドから外周面13Xにインクを吐出する際の一滴当たりのインク量とを異ならせてもよい。
より具体的には、例えば、インクジェットヘッドから外周面11Xにインクを吐出する際の一滴当たりのインク量よりも、インクジェットヘッドから外周面13Xにインクを吐出する際の一滴当たりのインク量の方を多くしてもよい。
また、これとは逆に、インクジェットヘッドから外周面11Xにインクを吐出する際の一滴当たりのインク量よりも、インクジェットヘッドから外周面13Xにインクを吐出する際の一滴当たりのインク量の方を少なくしてもよい。
【0099】
図11は、印刷装置100の他の構成例を示した図である。
この印刷装置100では、上記と同様、印刷部700が設けられているが、この印刷部700では、円筒部11の外周面11Xに対して、版式を用いてインクを付着させて、この外周面11X上に円筒部画像を形成する。
言い換えると、この印刷装置100では、版式の印刷方式を用いて、円筒部11の外周面11Xに円筒部画像を形成する。
【0100】
具体的には、この構成例における、印刷部700には、複数の版胴451が設けられている。版胴451の表面には、円筒部画像に対応した凸部(不図示)が設けられている。また、印刷部700には、この版胴451の凸部にインクを供給する複数のインク供給ユニット452が設けられている。
さらに、印刷部700には、版胴451からのインクが転写されるとともに、このインクを円筒部11の外周面11Xに転写するブランケット453が設けられている。
【0101】
印刷部700では、ブランケット453の対向位置にて飲料用缶10が停止する。さらに、飲料用缶10は、周方向への回転を行う。
また、印刷部700では、インク供給ユニット452の各々から、対応する版胴451の表面にインクを供給する。そして、版胴451の表面に付着したインク(版胴451の凸部に付着したインク)を、ブランケット453に転写する。
【0102】
さらに、ブランケット453に転写されたインクを、回転している飲料用缶10の円筒部11に転写する。これにより円筒部11の外周面11Xに、円筒部画像が形成される。言い換えると、版式による円筒部画像が形成される。
ここで、版式による画像形成とは、版を用いた画像形成を指す。より具体的には、版式による画像形成とは、版にインクを付着させた後、版に付着したこのインクを飲料用缶10に対して転写することにより飲料用缶10へ画像形成を行うことを指す。
【0103】
なお、この転写は、版を飲料用缶10に直接接触させて行ってもよいし、版と飲料用缶10との間に、ブランケット453などの中間転写体を配置し、この中間転写体を介して、飲料用缶10に対する転写を行ってもよい。
ここで、版式による印刷としては、例えば、凸版印刷、凹版印刷、平版印刷、孔版印刷を挙げることができ、版式による印刷では、これらの何れを用いてもよい。なお、本実施形態では、凸版印刷を用いて、飲料用缶10への画像形成を行っている。
一方で、この印刷装置100における、第1保護層形成部800(保護層13Gを形成する工程では)では、上記と同様、インクジェットヘッド方式を用いて、外周面13Xにインクを付着させて、保護層13Gを形成する。
【0104】
図11に示す印刷装置100では、外周面11Xにインクを付着させる際の方式と、外周面13Xにインクを付着させる際の方式とが異なっている。
より具体的には、印刷部700(画像形成工程)では、外周面11Xに対し、一のインク付着方式である版式を用いて、インクを付着させる。
【0105】
これに対し、第1保護層形成部800(保護層形成工程)では、この一のインク付着方式とは異なる他のインク付着方式である、インクジェット方式を用いて、外周面13Xにインクを付着させる。
このように、外周面11Xへのインクの付着、外周面13Xへのインクの付着にあたっては、互いに異なる方式を用いて、外周面11Xへのインクの付着、外周面13Xへのインクの付着を行ってもよい。
【0106】
なお、図11にて示した構成例では、1つの印刷装置100に、版式により円筒部画像を形成する機能部、インクジェット方式により保護層13Gを形成する機能部の2つの機能部が設けられているが、この2つの機能部は、それぞれ別の装置に設けてもよい。
この場合は、例えば、版式による印刷を行う機能を有する一方の装置にて、版式による円筒部画像の形成が行われる。次いで、インクジェット方式による印刷を行う機能を有する装置にて、保護層13Gの形成が行われる。
なお、形成の順序はこれに限らず、保護層13Gの形成を先に行い、円筒部画像の形成を後に行ってもよい。
【0107】
(その他)
上記では、インクジェット方式を用いて、保護層13Gを形成する場合を説明したが、これに限らず、版式など、他の方式を用いて、外周面13Xにインクを付着させて保護層13Gを形成してもよい。
また、上記では、外周面13Xに保護層13Gを形成するインクジェットヘッド19,12が、飲料用缶10の軸方向に沿って配置されている場合を一例に説明した。
ところで、インクジェットヘッド19,12の配置態様は、これに限らず、図12(インクジェットヘッドの他の配置例を示した図)に示すように配置してもよい。
【0108】
図12にて示すこの配置例では、インクジェットヘッド19,12のうちのインク吐出口が形成されている面130が、飲料用缶10の中心軸Gに対して傾斜するように、インクジェットヘッド19,12が設けられている。
この場合、インクジェットヘッド19,12を、底部13の外周面13Xにより近づけることができ、外周面13Xに形成される画像を、より高精細な画像とすることができる。
【0109】
なお、面130を中心軸Gに対して傾斜させるには、例えば、飲料用缶10の中心軸Gが水平方向に対して傾斜するように飲料用缶10を傾斜させる。又は、面130が水平方向に対して傾斜するようにインクジェットヘッド19,12を傾斜させる。
また、その他に、飲料用缶10、インクジェットヘッド19,12の双方を、水平方向に対して傾斜させてもよい。
【符号の説明】
【0110】
10…飲料用缶、11…円筒部、11A…一端部、11B…他端部、11E…下地層、
11X…外周面、13…底部、13G…保護層、13X…外周面、15…図柄、19…インクジェットヘッド、100…印刷装置、800…第1保護層形成部
図1
図2
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図11
図12