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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】振動発生装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   B06B 1/06 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
B06B1/06 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020037755
(22)【出願日】2020-03-05
(65)【公開番号】P2021137735
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004370
【氏名又は名称】弁理士法人片山特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 文久
(72)【発明者】
【氏名】松井 幸弘
(72)【発明者】
【氏名】浜田 浩
【審査官】上野 力
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/139217(WO,A1)
【文献】特開2018-194967(JP,A)
【文献】特開2019-016111(JP,A)
【文献】特開2015-114817(JP,A)
【文献】特開2016-133906(JP,A)
【文献】国際公開第2018/127651(WO,A1)
【文献】特開2019-207488(JP,A)
【文献】特開2017-152575(JP,A)
【文献】国際公開第2011/027909(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B06B 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の主面と、前記第1の主面とは反対側の第2の主面を有する振動体と、
前記第2の主面に接合された圧電アクチュエータと、
前記圧電アクチュエータに超音波帯域の周波数の駆動信号を供給する駆動装置と
を具備し、
前記第1の主面には、複数の凹凸が等間隔で形成されて
前記複数の凹凸の凹部間または凸部間の幅が1mm以上10mm以下である
振動発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載の振動発生装置であって、
前記複数の凹凸は、深さが0.01mm以上0.1mm以下である
振動発生装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の振動発生装置であって、
前記複数の凹凸は、前記第1の主面に平行な第1の方向に沿って延伸する複数の凹部と、前記第1の方向に沿って延伸する複数の凸部が交互に形成されている
振動発生装置。
【請求項4】
請求項3に記載の振動発生装置であって、
前記複数の凹凸はさらに、前記第1の主面に平行であって、前記第1の方向とは異なる第2の方向に沿って延伸する複数の凹部と、前記第2の方向に沿って延伸する複数の凸部が交互に形成されている
振動発生装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の振動発生装置であって、
前記複数の凹凸は、前記第1の方向に垂直な面での断面形状が正弦波形状を有する
振動発生装置。
【請求項6】
請求項1から5のうちいずれか1項に記載の振動発生装置であって、
前記振動体は、ガラス又は曲げ弾性率が3.0GPa以上の樹脂材料からなる
振動発生装置。
【請求項7】
請求項1から5のうちいずれか1項に記載の振動発生装置であって、
前記振動体は、基材と、前記基材の表面に貼付されたフィルムからなり、
前記凹凸は前記フィルムの表面に形成されている
振動発生装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の振動発生装置であって、
前記振動体は光透過性を有する
振動発生装置。
【請求項9】
請求項1から8のうちいずれか1項に記載の振動発生装置であって、
前記超音波帯域の周波数は60kHz以上である
振動発生装置。
【請求項10】
第1の主面と、前記第1の主面とは反対側の第2の主面を有する振動体と、前記第2の主面に接合された圧電アクチュエータと、前記圧電アクチュエータに超音波帯域の周波数の駆動信号を供給する駆動装置とを具備し、前記第1の主面には、複数の凹凸が等間隔で形成されて、前記複数の凹凸の凹部間または凸部間の幅が1mm以上10mm以下である振動発生装置
を具備する電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動による触覚提示に係る振動発生装置及び電子機器及に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンやカーナビゲーション等のタッチパネルでは、入力がなされたことを振動により通知する技術(フォースフィードバック)が用いられている。また、近年では通知だけではなく、パネルの振動にさまざまなバリエーションをもたせることで表示物の感触を表現したり、操作位置を認識させたりするような触覚技術が検討されている。
【0003】
触覚技術として、圧電アクチュエータをパネルへ貼り付け、超音波帯域の振動を生じさせることによりパネル表面に定在波を発生させることができる。その表面を指などで触れるとユーザは触感を感じることができる。そして信号パターンを変えることで、様々なバリエーションの触感を表現することができる。
【0004】
しかしながら、このような触感を発生させているパネル表面に指を触れる際、指とパネルの接触による異音(以下、接触音)が派生する場合がある。これに対し、特許文献1には、発生音に対し、その周波数より高い周波数の抑圧音を発生させることで、二音抑圧効果により聴感上指の接触音を小さく感じさせる方法が提案されている。また、特許文献2には、パネル表面の表面粗さを粗くすることで指の接触音を低減する方法が提示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-194967号公報
【文献】特開2019-16111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、接触音の発生自体は抑制されていない。また、特許文献2に記載の技術では、表面の凹凸の連続性については言及されていない。
【0007】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、接触音の発生を防止しながら、触覚を提示することが可能な振動発生装置及び電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る振動発生装置は、振動体と、圧電アクチュエータと、駆動装置とを具備する。
上記振動体は、第1の主面と、上記第1の主面とは反対側の第2の主面を有する。
上記圧電アクチュエータは、上記第2の主面に接合されている。
上記駆動装置は、上記圧電アクチュエータに超音波帯域の周波数の駆動信号を供給する。
上記第1の主面には、複数の凹凸が等間隔で形成されている。
上記複数の凹凸の凹部間または凸部間の幅が1mm以上10mm以下である。
【0009】
この構成によれば、振動体の第1の主面に凹凸が等間隔で形成されていることにより、第1の主面に触れるユーザの指と第1の主面の接触が継続せず、ユーザの指に触覚を提示しながら接触音の発生を防止することが可能である。
【0010】
上記複数の凹凸は、深さが0.01mm以上0.1mm以下であってもよい。
【0011】
上記複数の凹凸は、上記第1の主面に平行な第1の方向に沿って延伸する複数の凹部と、上記第1の方向に沿って延伸する複数の凸部が交互に形成されていてもよい。
【0012】
上記複数の凹凸はさらに、上記第1の主面に平行であって、上記第1の方向とは異なる第2の方向に沿って延伸する複数の凹部と、上記第2の方向に沿って延伸する複数の凸部が交互に形成されていてもよい。
【0013】
上記複数の凹凸は、上記第1の方向に垂直な面での断面形状が正弦波形状を有するものであってもよい。
【0014】
上記振動体は、ガラス又は曲げ弾性率が3.0GPa以上の樹脂材料からなるものであってもよい。
【0015】
上記振動体は、基材と、上記基材の表面に貼付されたフィルムからなり、
上記凹凸は前記フィルムの表面に形成されていてもよい。
【0016】
上記振動体は光透過性を有するものであってもよい。
上記超音波帯域の周波数は60kHz以上であってもよい。
【0017】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る電子機器は、振動発生装置を具備する。
上記振動発生装置は、1の主面と、上記第1の主面とは反対側の第2の主面を有する振動体と、上記第2の主面に接合された圧電アクチュエータと、上記圧電アクチュエータに超音波帯域の周波数の駆動信号を供給する駆動装置とを具備し、上記第1の主面には、複数の凹凸が等間隔で形成されて、上記複数の凹凸の凹部間または凸部間の幅が1mm以上10mm以下である
【発明の効果】
【0018】
以上のように本発明によれば、接触音の発生を防止しながら、触覚を提示することが可能な振動発生装置及び電子機器を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る振動発生装置の模式図である。
図2】上記振動発生装置の斜視図である。
図3】上記振動発生装置の側面図である。
図4】上記振動発生装置が備える振動体の斜視図である。
図5】上記振動体の平面図である。
図6】上記振動体の側面図である。
図7】比較例に係る振動体の音圧特性を示すグラフである。
図8】比較例に係る振動体の振動変位量を示すグラフである。
図9】本発明の実施形態に係る振動発生装置が備える振動体の音圧特性を示すグラフである。
図10】上記振動体の振動変位量を示すグラフである。
図11】本発明の実施形態に係る、他の構成を有する振動体の平面図である。
図12】本発明の実施形態に係る、他の構成を有する振動体の平面図である。
図13】本発明の実施形態に係る、他の構成を有する振動体の側面図である。
図14】本発明の実施形態に係る、他の構成を有する振動体の側面図である。
図15】本発明の実施形態に係る、他の構成を有する振動体の側面図である。
図16】本発明の実施形態に係る、2方向に沿って凹凸が設けられた振動体の斜視図である。
図17】上記振動体の平面図である。
図18】本発明の実施形態に係る、他の構成を有する振動体の平面図である。
図19】本発明の実施形態に係る、他の構成を有する振動体の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態に係る振動発生装置について説明する。なお、以下の各図においてX方向、Y方向及びZ方向を相互に直交する3方向とする。
【0021】
[振動発生装置の構成]
図1は、本実施形態に係る振動発生装置100の模式図である。同図に示すように、振動発生装置100は、振動体101、圧電アクチュエータ102及び駆動装置103を備える。図2は振動発生装置100の斜視図であり、図3は振動発生装置100の側面図である。なお、図2及び図3では駆動装置103の図示は省略する。
【0022】
振動体101は、振動体101に触れるユーザに触覚を提示する。振動体101はガラス又は樹脂材料からなる板状の部材とすることができ、例えば、液晶パネルや電子機器の筐体等である。振動体101が樹脂材料からなる場合、曲げ弾性率が3.0GPa以上の樹脂材料が好適である。振動体101の形状やサイズは特に限定されない。図2及び図3に示すように、振動体101の一方の主面を第1の主面101aとし、第1の主面101aの反対側の主面を第2の主面とする。第1の主面101aには後述する凹凸が形成されている。
【0023】
圧電アクチュエータ102は、振動体101の第2の主面101bに接合され、振動を生じる。圧電アクチュエータ102は、正極、負極及び圧電材料層を備え、正極と負極の間に電圧を印加すると、逆圧電効果により圧電材料層に変形が生じ、振動が発生する。図1において、正極に接続された正極端子102aと、負極に接続された負極端子102bを示す。
【0024】
正極端子102aには正極配線104が接続され、負極端子102bには負極配線105が接続されている。図1に示すように正極配線104及び負極配線105は、駆動装置103に接続され、駆動装置103から駆動信号が供給されると圧電アクチュエータ102に振動が生じる。
【0025】
圧電アクチュエータ102は正極と負極を圧電材料層を介して交互に積層した積層構造を有するものであってもよく、他の構造を有するものであってもよい。圧電アクチュエータ102はエポキシ樹脂等によって第2の主面101bに接合されたものとすることができる。また、圧電アクチュエータ102は2つ以上が第2の主面に接合されてもよい。
【0026】
図3に示すように、振動発生装置100では、ユーザの指Fが第1の主面101aに接触して用いられる。この際、第2の主面101bに接合された圧電アクチュエータ102が振動を発生させることにより、ユーザは指Fに触感を感知することができる。
【0027】
駆動装置103は、例えばアンプであり、正極配線104及び負極配線105を介して圧電アクチュエータ102と接続され、圧電アクチュエータ102に駆動信号を供給する。駆動信号の周波数は特に限定されないが、60kHz以上が好適である。
【0028】
[振動体について]
振動体101の第1の主面101aには規則的な凹凸が形成されている。図4は、振動体101の斜視図であり、第1の主面101aに形成された凹凸101cを示す図である。なお、図1乃至図3では凹凸101cは図示を省略している。図5は、第1の主面101aを示す平面図である。図6は、振動体101の断面図であり、図4及び図5に示すA-A線での断面図である。
【0029】
これらの図に示すように、第1の主面101aには、複数の凹部101dと複数の凸部101eが設けられている。各凹部101dは、第1の主面101aに垂直な方向(Z方向)から見て第1の主面101aに平行な一方向(X方向)に沿って延伸し、各凸部101eは凹部101dが延伸する方向(X方向)に沿って延伸する。
【0030】
第1の主面101aにおいては複数の凹部101dと複数の凸部101eが交互に設けられ、凹凸101cが形成されている。図6に示すように凹凸101cは、凹部101d及び凸部101eの延伸方向に垂直な面(Y-Z平面)での断面形状が正弦波形状となるものとすることができる。
【0031】
凹部101dと凸部101eの間隔は凹凸の全体にわたって等間隔であり、図6に示すように、凹部101d及び凸部101eの延伸方向(X方向)に垂直な方向(Y方向)における凸部101eのピーク間の距離を幅Wとすると、幅Wは1mm以上10mm以下が好適である。また、振動体101の厚み方向(Z方向)における凹部101dと凸部101eの高低差を深さDとすると、深さDは0.01mm以上0.1mm以下が好適である。なお、図4及び図6では、図示の便宜上、凹凸101cの深さ方向(Z方向)を10倍に拡大して図示している。
【0032】
このように、ユーザの指Fが触れる第1の主面101aに凹凸101cを形成することにより、指Fと第1の主面101aの間で発生する異音(接触音)を抑制することが可能となる。図7は、比較として、凹凸が設けられていない振動体の音圧特性を示すグラフであり、図8はこの振動体に指が接触した場合の振動体の振動変位量を示すグラフである。
【0033】
図7及び図8に示すように、振動体への指の接触時に、圧電アクチュエータへの入力周波数の1/2と1/4の周波数に振動のピークがあり、1/4周波数のピークが可聴域であるため、接触音として聞こえる。
【0034】
一方、図9は、本実施形態に係る、凹凸101cが設けられた振動体100の音圧特性を示すグラフであり、図10はこの振動体に指Fが接触した場合の振動体の振動変位量を示すグラフである。図9及び図10に示すように、振動体100では、1/4周波数のピークを消失させることができ、接触音を低減させることが可能である。これは、凹凸101cを設けることにより、第1の主面101aに触れる指Fと第1の主面101aの接触が継続しないことによるものである。
【0035】
さらに、振動体101では、上記のように、一定間隔で凹部101d及び凸部101eを設けるものであり、振動体101が光透過性を有する場合、振動体101の光透過性を損なうことなく、凹凸101cを形成することが可能である。例えば、振動体表面を粗面化等する場合には、振動体は磨りガラス状となり、光透過性を維持することは困難であるが、振動体101では光透過性を維持することができる。
【0036】
ここで、上記のように幅Wは1mm以上10mm以下が好適であるが、幅Wが1mm未満であると、振動体101を介した視認性が低下し、10mmを超えると指Fに凹凸101cが接触しないおそれがあるためである。また、深さDは0.01mm以上0.1mm以下が好適であるが、深さDが0.01mm未満であると凹凸101cを設けたことによる効果が得られず、0.1mmを超えると、非振動時であっても凹凸101cにより触覚に影響が生じるためである。
【0037】
なお、上記説明では、凹部101d及び凸部101eは振動体101の短手方向(X方向)に平行としたが、これに限られない。図11及び図12は、凹凸101cの他の構成を示す平面図である。図11に示すように、凹部101d及び凸部101eは振動体101の長手方向(Y方向)に平行であってもよい。また、図12に示すように、凹部101d及び凸部101eは振動体101の短手方向(X方項)及び長手方向(Y方向)のどちらとも平行ではなく、斜め方向に延伸するものであってもよい。
【0038】
また、凹凸101cは断面形状が正弦波形状となるものに限られない。図13乃至図15は、凹凸101cの他の構成を示す断面図である。図13に示すように、凹凸101cは、凹部101d及び凸部101eの延伸方向に垂直な面(Y-Z平面)での断面形状が矩形波形状となるものとすることができる。
【0039】
また、図14に示すように、凹凸101cは凹部101d及び凸部101eの延伸方向に垂直な面(Y-Z平面)での断面形状が三角波形状となるものとすることができる。さらに、図15に示すように、凹凸101cは1方向に延伸する溝によって形成されるものとすることもできる。なお、溝の断面形状は図15に示すように三角形状に限られず、四角形状あるいは半円形状等であってもよい。
【0040】
さらに、凹凸101cは、凹部101d及び凸部101eが2方向に延伸するものであってもよい。図16は、凹部101d及び凸部101eが2方向に延伸する振動体101の斜視図であり、図17は、第1の主面101aを示す平面図である。図16及び図17に示すB-B線での断面図は、図6と同一となる。
【0041】
図16及び図17に示すように、第1の主面101aには、複数の凹部101dと複数の凸部101eが設けられている。各凹部101dは、第1の主面101aに垂直な方向(Z方向)から見て第1の主面101aに平行な2方向(X方向及びY方向)に沿って延伸し、各凸部101eは凹部101dが延伸する方向(X方向及びY方向)に沿って延伸する。
【0042】
第1の主面101aにおいては複数の凹部101dと複数の凸部101eが交互に設けられ、凹凸101cが形成されている。図6に示すように凹凸101cは、凹部101d及び凸部101eの延伸方向に垂直な面(Y-Z平面及びX-Z平面)での断面形状が正弦波形状となるものとすることができる。
【0043】
凹部101dと凸部101eの間隔は凹凸の全体にわたって等間隔であり、図6に示すように、Y方向における凸部101eのピーク間の距離である幅Wは1mm以上10mm以下が好適である。また、X方向においても凸部101eのピーク間距離である幅Wは1mm以上10mm以下が好適である。幅Wが1mm未満であると、振動体101を介した視認性が低下し、10mmを超えると指Fが凹凸101cに接触しないおそれがあるためである。
【0044】
さらに、振動体101の厚み方向(Z方向)における凹部101dと凸部101eの高低差である深さDは0.01mm以上0.1mm以下が好適である。深さDが0.01mm未満であると凹凸101cを設けたことによる効果が得られず、0.1mmを超えると、非振動時であっても凹凸101cにより触覚に影響が生じるためである。なお、図16では、図示の便宜上、凹凸101cの深さ方向(Z方向)を10倍に拡大して図示している。
【0045】
このように、凹部101d及び凸部101eが第1の主面101aに平行な2方向(X方向及びY方向)に沿って延伸した凹凸101cを形成することにより、指Fと第1の主面101aの間で発生する異音(接触音)をさらに抑制することが可能となる。
【0046】
振動体101において2方向の凹凸101cを設けることにより、1方向の凹凸101cを設けた場合と同様に、1/4周波数のピークを消失させることができ(図9及び図10参照)、接触音を低減させることが可能である。さらに、振動体101では、上記のように、一定間隔で凹部101d及び凸部101eを設けるものであり、振動体101が光透過性を有する場合、振動体101の光透過性を損なうことなく、凹凸101cを形成することが可能である。
【0047】
なお、上記説明では、凹部101d及び凸部101eは振動体101の短手方向(X方向)及び長手方向(Y方向)に平行としたが、これに限られない。図18及び図19は、凹凸101cの他の構成を示す平面図である。図18に示すように、凹部101d及び凸部101eは振動体101の短手方向(X方向)及び長手方向(Y方向)に平行ではなく、斜め方向に延伸するものであってもよい。また、図19に示すように、凹部101d及び凸部101eが延伸する2方向は直交するものでなくてもよい。
【0048】
さらに、凹凸101cの断面形状も正弦波形状に限られず、図13及び図14に示すように矩形波形状や三角波形状であってもよく、図15に示すように溝によって形成されるものとすることも可能である。溝の断面形状も図15に示すように三角形状に限られず、四角形状あるいは半円形状等であってもよい。
【0049】
また振動体101は、ガラスや樹脂材料からなり、凹凸101cが設けられたものとしたがこれに限られない。例えば、ガラスや曲げ弾性率が3.0GPa以上の樹脂材料からなり、平滑な表面を有する基材に凹凸101cが設けられたフィルムを貼付したものであってもよい。
【0050】
振動発生装置100は以上のような構成を有する。振動発生装置100は、スマートフォンや触覚機能デバイス等の各種電子機器に搭載することが可能である。
【符号の説明】
【0051】
100…振動発生装置
101…振動体
101a…第1の主面
101b…第2の主面
101c…凹凸
101d…凹部
101e…凸部
102…圧電アクチュエータ
103…駆動装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19