(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】保持装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20241128BHJP
H05B 3/03 20060101ALI20241128BHJP
H05B 3/74 20060101ALN20241128BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H05B3/03
H05B3/74
(21)【出願番号】P 2020131510
(22)【出願日】2020-08-03
【審査請求日】2023-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岐部 太一
【審査官】柴垣 俊男
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-170508(JP,A)
【文献】特開2017-228361(JP,A)
【文献】特開2019-153708(JP,A)
【文献】特開2020-004946(JP,A)
【文献】国際公開第2018/143288(WO,A1)
【文献】特表2015-515713(JP,A)
【文献】特表2017-512385(JP,A)
【文献】特開2019-220645(JP,A)
【文献】特開2020-004809(JP,A)
【文献】特開2020-115583(JP,A)
【文献】特許第6129451(JP,B1)
【文献】国際公開第2018/016384(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H05B 3/03
H05B 3/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に略直交する表面及び裏面を含む板状の母材と、
前記母材が前記第1の方向視で仮想的な複数の第1区域に分けられた際に、前記第1区域毎に1つずつ割り当てられるように前記母材の内部に設置される複数の第1ヒータと、
前記第1ヒータにおける一方の端部に電気的に接続される第1ヒータ用電源側ドライバ電極と、
前記第1ヒータにおける他方の端部に電気的に接続される第1ヒータ用グランド側ドライバ電極と、
前記母材が前記第1の方向視で、前記第1区域よりも面積が大きくかつ総数が少ない仮想的な複数の第2区域に分けられた際に、前記第2区域毎に1つずつ割り当てられるように前記母材の内部に設置される複数の第2ヒータと、
前記第2ヒータにおける一方の端部に電気的に接続される第2ヒータ用電源側ドライバ電極と、
前記第2ヒータにおける他方の端部に電気的に接続される第2ヒータ用グランド側ドライバ電極と、を有する板状部材を備える保持装置であって、
前記第1ヒータ用電源側ドライバ電極及び前記第1ヒータ用グランド側ドライバ電極の何れかと、前記第2ヒータ用電源側ドライバ電極及び前記第2ヒータ用グランド側ドライバ電極の何れかとが、前記第1の方向に略直交する第1の仮想平面上に配置され、
前記第1ヒータ用グランド側ドライバ電極は、複数の前記第1ヒータにおける他方の前記端部にそれぞれ電気的に接続された第1ヒータ用グランド側コモンドライバ電極からなり、かつ
前記第1ヒータ用グランド側コモンドライバ電極が、前記第1の仮想平面上に配置され
、前記第1ヒータ用電源側ドライバ電極が、前記第1の仮想平面とは異なる高さに配置された第2の仮想平面に配置されることを特徴とする保持装置。
【請求項2】
前記第1ヒータ用電源側ドライバ電極は、複数の前記第1ヒータにおける一方の前記端部にそれぞれ電気的に接続される互いに独立した複数のものからなり、かつ
互いに独立した複数の前記第1ヒータ用電源側ドライバ電極が、前記第1の仮想平面上に配置される請求項1に記載の保持装置。
【請求項3】
前記第1の仮想平面は、前記第2ヒータよりも前記裏面側に配される請求項1または請求項2に記載の保持装置。
【請求項4】
前記第1の方向において前記母材の裏面に配置され、温度調節機能を有するベース部材を備える請求項1から請求項3の何れか一項に記載の保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体を製造する際にウェハを保持する保持装置として、静電チャックが用いられる。静電チャックは、チャック電極を内部に含むセラミックス製の板状部材を備えており、そのチャック電極に電圧を印加させた際に生じる静電引力を利用して、ウェハを板状部材の表面(吸着面)に吸着させている。なお、静電チャックは、板状部材の裏面側に接合される金属製のベース部材を備えている。
【0003】
また、この種の静電チャックには、吸着面に吸着されたウェハの温度を調節するための加熱装置が設けられている。加熱装置は、多数のヒータを備えており、それらのヒータは、板状基板に設定された複数の加熱領域に対して1つずつ割り当てられるように板状部材内に配置されている。各ヒータは独立しており、各ヒータの発熱量を適宜、調節することによって、吸着面上のウェハの温度を調節することができる。
【0004】
特に、近年では、より精度の高いウェハの温度調節等を行うことを目的として、板状部材の内部に、多数のヒータを厚み方向に2層に分けて配置した静電チャックが知られている(特許文献1参照)。このような静電チャックは、吸着面の近くに配置される複数の第1ヒータと、吸着面の反対側の面の近く配置される複数の第2ヒータとを備えている。第1ヒータ用の加熱領域は、第2ヒータ用の加熱領域と比べて細分化されている。そのため、第1ヒータの個数は、第2ヒータの個数よりも多くなっている。
【0005】
なお、板状部材内には、第1ヒータに電力を供給するためのドライバ電極と、第2ヒータに電力を供給するためのドライバ電極とが設けられている。第1ヒータ用のドライバ電極としては、第1ヒータ用の電源側ドライバ電極と、第1ヒータ用のグランド側ドライバ電極とを備えている。また、第2ヒータ用のドライバ電極としては、第2ヒータ用の電源側ドライバ電極と、第2ヒータ用のグランド側ドライバ電極とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したような多数のヒータを、板状部材内で複数の第1ヒータからなる層と、複数の第2ヒータからなる層との2層に分けて配置した場合、各層のヒータに電力を供給するためのドライバ電極(電源側ドライバ電極、グランド側ドライバ電極)も、板状部材内において、各層のヒータに対応させつつ、複数の層に分けて配置する必要があった。
【0008】
特に、第1ヒータは、第2ヒータと比べて使用される個数が多いため、第1ヒータ用のドライバ電極(特に、電源用ドライバ電極)の個数も、第2ヒータ用と比べて多くなっている。そのような第1ヒータ用の2種類のドライバ電極(電源用ドライバ電極、グランド側ドライバ電極)を、同一平面上に配置させることは、スペース的に難しく、第1ヒータ用のドライバ電極は、少なくとも2層に分ける必要があった。
【0009】
このように、多数のヒータを2層に分けて配置した場合、板状部材内において、各種のドライバ電極も複数の層に分けて配置する必要があり、静電チャック(保持装置)の板状部材の厚みが大きくなる原因となっていた。
【0010】
本発明の目的は、板状部材内に2層に分けられた複数の第1ヒータと複数の第2ヒータとを備えつつ、板状部材の厚みが抑制された保持装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
<1> 第1の方向に略直交する表面及び裏面を含む板状の母材と、前記母材が前記第1の方向視で仮想的な複数の第1区域に分けられた際に、前記第1区域毎に1つずつ割り当てられるように前記母材の内部に設置される複数の第1ヒータと、前記第1ヒータにおける一方の端部に電気的に接続される第1ヒータ用電源側ドライバ電極と、前記第1ヒータにおける他方の端部に電気的に接続される第1ヒータ用グランド側ドライバ電極と、前記母材が前記第1の方向視で、前記第1区域よりも面積が大きくかつ総数が少ない仮想的な複数の第2区域に分けられた際に、前記第2区域毎に1つずつ割り当てられるように前記母材の内部に設置される複数の第2ヒータと、前記第2ヒータにおける一方の端部に電気的に接続される第2ヒータ用電源側ドライバ電極と、前記第2ヒータにおける他方の端部に電気的に接続される第2ヒータ用グランド側ドライバ電極と、を有する板状部材を備える保持装置であって、前記第1ヒータ用電源側ドライバ電極及び前記第1ヒータ用グランド側ドライバ電極の何れかと、前記第2ヒータ用電源側ドライバ電極及び前記第2ヒータ用グランド側ドライバ電極の何れかとが、前記第1の方向に略直交する第1の仮想平面上に配置されることを特徴とする保持装置。
【0012】
<2> 前記第1ヒータ用グランド側ドライバ電極は、複数の前記第1ヒータにおける他方の前記端部にそれぞれ電気的に接続された第1ヒータ用グランド側コモンドライバ電極からなり、かつ前記第1ヒータ用グランド側コモンドライバ電極が、前記第1の仮想平面上に配置される前記<1>に記載の保持装置。
【0013】
<3> 前記第1ヒータ用電源側ドライバ電極は、複数の前記第1ヒータにおける一方の前記端部にそれぞれ電気的に接続される互いに独立した複数のものからなり、かつ互いに独立した複数の前記第1ヒータ用電源側ドライバ電極が、前記第1の仮想平面上に配置される前記<1>に記載の保持装置。
【0014】
<4> 前記第1の仮想平面は、前記第2ヒータよりも前記裏面側に配される前記<1>から<3>の何れか1つに記載の保持装置。
【0015】
<5> 前記第1の方向において前記母材の裏面に配置され、温度調節機能を有するベース部材を備える前記<1>から<4>の何れか1つに記載の保持装置。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、板状部材内に2層に分けられた複数の第1ヒータと複数の第2ヒータとを備えつつ、板状部材の厚みが抑制された保持装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態1に係る静電チャックの外観構成を模式的に表した斜視図
【
図2】実施形態1に係る静電チャックの断面構成を模式的に表した説明図
【
図3】板状部材に仮想的に形成される複数の第1区域と、その第1区域に配置される第1ヒータを示す説明図
【
図4】板状部材に仮想的に形成される複数の第2区域と、その第2区域に配置される第2ヒータを示す説明図
【
図5】第1ヒータ用のドライバ電極と、第2ヒータ用のドライバ電極との配置関係を模式的に表した説明図
【
図6】実施形態2に係る静電チャックの板状部材内に配置される第1ヒータ用のドライバ電極と第2ヒータ用のドライバ電極との位置関係を模式的に表した説明図
【
図7】実施形態3に係る静電チャックの板状部材内に配置される第1ヒータ用のドライバ電極と第2ヒータ用のドライバ電極との位置関係を模式的に表した説明図
【
図8】実施形態4に係る静電チャックの板状部材内に配置される第1ヒータ用のドライバ電極と第2ヒータ用のドライバ電極との位置関係を模式的に表した説明図
【
図9】実施形態5に係る静電チャックの板状部材内に配置される第1ヒータ用のドライバ電極と第2ヒータ用のドライバ電極との位置関係を模式的に表した説明図
【
図10】実施形態6に係る静電チャックの板状部材内に配置される第1ヒータ用のドライバ電極と第2ヒータ用のドライバ電極との位置関係を模式的に表した説明図
【
図11】実施形態7に係る静電チャックの板状部材内に配置される第1ヒータ用のドライバ電極と第2ヒータ用のドライバ電極との位置関係を模式的に表した説明図
【
図12】実施形態8に係る静電チャックの板状部材内に配置される第1ヒータ用のドライバ電極と第2ヒータ用のドライバ電極との位置関係を模式的に表した説明図
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態1>
以下、本発明の実施形態1に係る保持装置を、
図1~
図5を参照しつつ説明する。本実施形態では、保持装置の一例として静電チャック100を例示する。
図1は、実施形態1に係る静電チャック100の外観構成を模式的に表した斜視図であり、
図2は、実施形態1に係る静電チャック100の断面構成を模式的に表した説明図である。
図2には、上下方向(第1の方向、厚み方向)で切断した静電チャック100の断面構成が示されている。
【0019】
静電チャック100は、対象物(例えば、ウェハW)を静電引力により吸着して保持する装置であり、例えば、半導体製造装置の真空チャンバー内でウェハWを固定するために使用される。静電チャック100は、主として、板状部材10と、ベース部材20とを備えている。板状部材10及びベース部材20は、接合部30を介して上下方向(第1の方向)に並べて配置される。
【0020】
板状部材10は、上下方向(第1の方向)に略直交する方向に延びた略円形平面状の表面(吸着面)S1と、その表面S1の反対側にある裏面S2とを有する。表面S1は、ウェハWを吸着する際に載せられる吸着面として機能する。板状部材10は、セラミックス(例えば、アルミナ、窒化アルミナ等)からなり、表面S1及び裏面S2を含む板状の母材11を備えている。板状部材10(母材11)の直径は、例えば50mm~500mm程度(通常は200mm~350mm程度)であり、板状部材10(母材11)の厚みは、例えば1mm~20mm程度である。
【0021】
図2に示されるように、板状部材10(母材11)の内部には、導電性材料(例えば、タングステン、モリブデン、白金等)により形成されたチャック電極40が配置されている。チャック電極40は、上下方向から見た際(第1の方向視で)、略円形状をなしている。チャック電極40に電源(不図示)から電圧が印加されると、静電引力が発生し、この静電引力によってウェハWが、板状部材10の表面S1に吸着固定される。
【0022】
板状部材10は、表面(吸着面)S1の温度分布を制御(即ち、表面S1に保持されたウェハWの温度分布の制御)するための第1ヒータ群51及び第2ヒータ群52を備えている。第1ヒータ群51、第2ヒータ群52等については、後述する。
【0023】
ベース部材20は、板状部材10と同径の、又は板状部材10より径が大きい円形平面の板状部材であり、例えば金属(アルミニウム、アルミニウム合金等)により構成されている。ベース部材20は、板状部材10の裏面S2と、ベース部材20の表面S3との間に配置された接合部30によって、板状部材10に接合されている。ベース部材20の直径は、例えば220mm~550mm程度(通常は220mm~350mm程度)であり、ベース部材20の厚みは、例えば20mm~40mm程度である。
【0024】
接合部30は、例えば、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂等の接着剤によって構成されている。接合部30の厚みは、例えば、0.1mm~1mm程度である。
【0025】
ベース部材20の内部には冷媒流路21が形成されている。冷媒流路21に冷媒(例えば、フッ素系不活性液体、水等)が流されると、ベース部材20が冷却され、接合部30を介したベース部材20と板状部材10との間の伝熱(熱引き)により、板状部材10が冷却され、板状部材10の表面S1で保持されたウェハWが冷却される。これにより、ウェハWの温度分布の制御が実現される。なお、ベース部材20の内部に冷媒流路21を備えず、ベース部材20の外部から冷却することで、ベース部材20に温度調節機能を持たせてもよい。
【0026】
次いで、第1ヒータ群51、第2ヒータ群52等について詳細に説明する。第1ヒータ群51は、複数の第1ヒータ500を備えている。第2ヒータ群52は、複数の第2ヒータ600を備えている。なお、第2ヒータ600の総数は、第1ヒータ500の総数よりも少ない。
【0027】
板状部材10内に配置された第1ヒータ500及び第2ヒータ600は、上下方向(第1の方向)において、互いに異なる高さに配置されている。本実施形態の場合、第1ヒータ500は、第2ヒータ600よりも上側(板状部材10の表面S1側)に配置されている。
【0028】
第1ヒータ500は、タングステン、モリブデン、白金等の導電性材料によって形成されたパターンであり、板状部材10(母材11)の内部に配置されている。
【0029】
図3は、板状部材10に仮想的に形成される複数の第1区域H1と、その第1区域H1に配置される第1ヒータ500を示す説明図である。
図3には、母材11(板状部材10)を上下方向から見た際に(第1の方向視で)、略円形状の母材11(板状部材10)が、仮想的な複数の第1区域H1で分けられた状態が示されている。そして、複数の第1ヒータ500は、第1区域H1毎に1つずつ割り当てられるように、母材11の内部に設置される。説明の便宜上、
図3には、一部の第1ヒータ500のみが示されている。本実施形態の場合、全ての第1区域H1に対して、1つずつ第1ヒータ500が割り当てられている。なお、第1区域H1は、第1ヒータ500により加熱される加熱領域に対応している。
図2に示されるように、複数の第1ヒータ500は、母材11の内部において、後述するように、仮想的な平面(仮想平面Y1)上に配置されるように、互いに間隔を保ちつつ配置されている。第1区域H1は、後述する第2ヒータ600が配置される第2区域H2よりも細分化されており、個々の面積が第2区域H2よりも小さい。
【0030】
第1ヒータ500は、ライン状の発熱部510と、その一方の端部に配置される電源側パッド部511と、他方の端部に配置されるグランド側パッド部512とを有する(
図3参照)。
【0031】
板状部材10は、第1ヒータ群51に対する給電機構として、2種類のドライバ電極61,62を備えている。具体的には、電源側ドライバ電極(第1ヒータ用電源側ドライバ電極)61と、グランド側ドライバ電極(第1ヒータ用グランド側ドライバ電極)62とを備えている。電源側ドライバ電極61は、第1ヒータ500の電源側パッド部511に対して電気的に接続され、グランド側ドライバ電極62は、第1ヒータ500のグランド側パッド部512に対して電気的に接続される。
【0032】
電源側ドライバ電極61及びグランド側ドライバ電極62は、それぞれ、面方向に略平行に配置される扁平状の導電性パターンであり、タングステン、モリブデン、白金等の導電性材料によって形成される。そのような電源側ドライバ電極61及びグランド側ドライバ電極62は、板状部材10(母材11)の内部に配置されている。電源側ドライバ電極61及びグランド側ドライバ電極62は、それぞれ面方向(第1の方向に略直交する方向)に延びている。なお、電源側ドライバ電極61及びグランド側ドライバ電極62の各断面積は、第1ヒータ500の断面積の10倍以上に設定される。
【0033】
複数の第1ヒータ500における各電源側パッド部511には、互いに異なる電源側ドライバ電極61が1つずつ電気的に接続されている。また、複数の第1ヒータ500における各グランド側パッド部512には、共通化されたグランド側ドライバ電極62が電気的に接続されている。なお、共通化されたグランド側ドライバ電極62を、特にグランド側コモンドライバ電極(第1ヒータ用グランド側コモンドライバ電極)62と称する。
【0034】
ここで、
図2を参照しつつ、第1ヒータ500として、3つの第1ヒータ500a,500b,500cを例に挙げて、第1ヒータ500における給電機構を詳細に説明する。第1ヒータ500aの電源側パッド部には、ビア部71aが接続され、そのビア部71aを介して、第1ヒータ500aと電源側ドライバ電極61aとが導通している。また、第1ヒータ500aのグランド側パッド部には、ビア部が接続され、そのビア部を介して、第1ヒータ500aとグランド側コモンドライバ電極62とが導通している。
【0035】
第1ヒータ500bの電源側パッド部には、ビア部71bが接続され、そのビア部71bを介して、第1ヒータ500bと電源側ドライバ電極61bとが導通している。また、第1ヒータ500bのグランド側パッド部には、ビア部が接続され、そのビア部を介して、第1ヒータ500bとグランド側コモンドライバ電極62とが導通している。
【0036】
第1ヒータ500cの電源側パッド部には、ビア部71cが接続され、そのビア部71cを介して、第1ヒータ500bと電源側ドライバ電極61cとが導通している。また、第1ヒータ500bのグランド側パッド部には、ビア部72cが接続され、そのビア部72cを介して、第1ヒータ500cとグランド側コモンドライバ電極62とが導通している。
【0037】
ビア部71a等やビア部72c等は、それぞれ母材11内において上下方向に延びる棒状の部材であり、タングステン、モリブデン、白金等の導電性材料によって形成される。
【0038】
また、
図2に示されるように、静電チャック100には、ベース部材20の裏面S4から板状部材10の裏面S2に至る複数の端子用孔部110が形成されている。端子用孔部110は、第1ヒータ群51用であり、複数設けられている。端子用孔部110は、複数の電源側ドライバ電極61に対して、それぞれ1つずつ割り当てられている。また、端子用孔部110の1つは、グランド側ドライバ電極62に割り当てられている。
図2には、説明の便宜上、端子用孔部110として、電源側ドライバ電極61bに割り当てられた端子用孔部110bと、グランド側ドライバ電極62に割り当てられた端子用孔部110gとが示されている。端子用孔部110は、ベース部材20を上下方向に貫通する貫通孔22と、接合部30を上下方向に貫通する孔32とが、互いに連通することにより構成された一体の孔である。なお、後述するように、
図2には、第2ヒータ群52用の端子用孔部120も形成されている。
【0039】
各端子用孔部110には、柱状の給電端子130が収容されている。また、板状部材10の裏面S2のうち、各端子用孔部110内に露出する領域には、電極パッド(端子)140が設けられている。各給電端子130は、例えば、ろう付け等により電極パッド140に接合されている。各電極パッド140は、給電側ビア150を介して、電源側ドライバ電極61又はグランド側コモンドライバ電極62に接合されている。なお、電極パッド(端子)140、給電側ビア150及び給電端子130は、何れもタングステン、モリブデン、白金等の導電性材料により構成されている。
【0040】
例えば、電源側ドライバ電極61bは、給電側ビア150b及び電極パッド140を介して、端子用孔部110b内に収容された給電端子130に導通している。なお、他の電源側ドライバ電極61a等も、同様に、図示されない給電側ビア及び電極パッドを介して、図示されない端子用孔部内に収容された給電端子に導通している。また、グランド側コモンドライバ電極62は、給電側ビア150c及び電極パッド140を介して、端子用孔部110g内に収容された給電端子130に導通している。なお、給電端子130のうち、グランド側コモンドライバ電極62と導通されるものを、コモン給電端子130Cと称する。
【0041】
つまり、複数の第1ヒータ500における各電源側パッド部511は、それぞれ互いに異なる給電端子130に電気的に接続され、複数の第1ヒータ500における各グランド側パッド部512は、何れも、共通のコモン給電端子130Cに電気的に共通接続されている。
【0042】
複数の第1ヒータ500の各電源側パッド部511に接続される各給電端子130に、複数の電源回路(不図示)のプラス側が個別に接続され、複数の第1ヒータ500の各グランド側パッド部512に接続されるコモン給電端子130Cに、複数の電源回路のマイナス側が接続されている。これにより、複数の電源回路からの電圧が、複数の第1ヒータ500に個別に印加される。各第1ヒータ500に電圧が印加されると、各第1ヒータ500が発熱して板状部材10が加熱される。なお、各第1ヒータ500の発熱量は、各電源回路からの電圧レベルに応じて互いに独立に調整可能である。
【0043】
第2ヒータ群52は、上述したように、複数の第2ヒータ600を備えており、また、第2ヒータ600の総数は、第1ヒータ500の総数よりも少ない。このような第2ヒータ600は、第1ヒータ500と同様の導電性材料がパターニングされたものからなり、板状部材10(母材11)の内部に配置されている。第2ヒータ群52は、母材11内において、第1ヒータ群51よりも、裏面S2側に配置されている。
【0044】
図4は、板状部材10に仮想的に形成される複数の第2区域H2と、その第2区域H2に配置される第2ヒータ600を示す説明図である。
図4には、母材11(板状部材10)を上下方向から見た際に(第1の方向視で)、略円形状の母材11(板状部材10)が、仮想的な複数の第2区域H2で分けられた状態が示されている。第2区域H2の面積は、第1区域H1の面積よりも大きく、また、第2区域H2の総数は、第1区域H1の総数よりも少ない。そして、複数の第2ヒータ600は、第2区域H2毎に1つずつ割り当てられるように、母材11の内部に設置される。説明の便宜上、
図4には、一部の第2ヒータ600のみが示されている。なお、第2区域H2は、第2ヒータ600により加熱される加熱領域に対応している。
図2に示されるように、複数の第2ヒータ600は、母材11の内部において、仮想的な平面(仮想平面Y2)上に配置されるように、互いに間隔を保ちつつ配置される。
【0045】
第2ヒータ600は、ライン状の発熱部610と、その一方の端部に配置される電源側パッド部611と、他方の端部に配置されるグランド側パッド部612とを有する。
【0046】
板状部材10は、第2ヒータ群52に対する給電機構として、2種類のドライバ電極161,162を備えている。具体的には、電源側ドライバ電極(第2ヒータ用電源側ドライバ電極)161と、グランド側ドライバ電極(第2ヒータ用グランド側ドライバ電極)162とを備えている。電源側ドライバ電極161は、第2ヒータ600の電源側パッド部611に対して電気的に接続され、グランド側ドライバ電極162は、第2ヒータ600のグランド側パッド部612に対して電気的に接続される。
【0047】
電源側ドライバ電極161及びグランド側ドライバ電極162は、それぞれ、面方向に略平行に配置される扁平状の導電性パターンであり、タングステン、モリブデン、白金等の導電性材料によって形成される。電源側ドライバ電極161及びグランド側ドライバ電極162は、板状部材10(母材11)の内部に配置されている。なお、電源側ドライバ電極161及びグランド側ドライバ電極162の各断面積は、第2ヒータ600の断面積の10倍以上に設定される。
【0048】
複数の第2ヒータ600における各電源側パッド部611には、互いに異なる電源側ドライバ電極161が1つずつ電気的に接続されている。また、複数の第2ヒータ600における各グランド側パッド部612には、共通化されたグランド側ドライバ電極162が電気的に接続されている。なお、共通化されたグランド側ドライバ電極162を、特にグランド側コモンドライバ電極(第2ヒータ用グランド側コモンドライバ電極)162と称する。
【0049】
ここで、
図2を参照しつつ、第2ヒータ600として、2つの第2ヒータ600a,600bを例に挙げて、第2ヒータ600における給電機構を詳細に説明する。第2ヒータ600aの電源側パッド部には、ビア部171aが接続され、そのビア部171aを介して、第2ヒータ600aと電源側ドライバ電極161aとが導通している。また、第2ヒータ600aのグランド側パッド部には、ビア部172aが接続され、そのビア部172aを介して、第2ヒータ600aとグランド側コモンドライバ電極162とが導通している。
【0050】
第2ヒータ600bの電源側パッド部には、ビア部171bが接続され、そのビア部171bを介して、第2ヒータ600bと電源側ドライバ電極161bとが導通している。また、第2ヒータ600bのグランド側パッド部には、ビア部が接続され、そのビア部を介して、第2ヒータ600bとグランド側コモンドライバ電極162とが導通している。
【0051】
ビア部171a等やビア部172a等は、それぞれ母材11内において上下方向に延びる棒状の部材であり、タングステン、モリブデン、白金等の導電性材料によって形成される。
【0052】
また、
図2に示されるように、静電チャック100には、ベース部材20の裏面S4から板状部材10の裏面S2に至る複数の端子用孔部120が形成されている。端子用孔部120は、第2ヒータ群52用であり、複数設けられている。端子用孔部120は、複数の電源側ドライバ電極161に対して、それぞれ1つずつ割り当てられている。また、端子用孔部120の1つは、グランド側コモンドライバ電極162に割り当てられている。
図2には、説明の便宜上、端子用孔部120として、電源側ドライバ電極161aに割り当てられた端子用孔部120aと、グランド側コモンドライバ電極162に割り当てられた端子用孔部120gとが示されている。端子用孔部120は、ベース部材20を上下方向に貫通する貫通孔122と、接合部30を上下方向に貫通する孔132とが、互いに連通することにより構成された一体の孔である。
【0053】
各端子用孔部120には、柱状の給電端子230が収容されている。また、板状部材10の裏面S2のうち、各端子用孔部120内に露出する領域には、電極パッド(端子)240が設けられている。各給電端子230は、例えば、ろう付け等により電極パッド240に接合されている。各電極パッド240は、給電側ビア250を介して、電源側ドライバ電極161又はグランド側コモンドライバ電極162に接合されている。なお、電極パッド240、給電側ビア250及び給電端子230は、何れもタングステン、モリブデン、白金等の導電性材料により構成されている。
【0054】
例えば、電源側ドライバ電極161aは、給電側ビア250a及び電極パッド(端子)240を介して、端子用孔部120a内に収容された給電端子230に導通している。なお、他の電源側ドライバ電極161b等も、同様に、図示されない給電側ビア及び電極パッドを介して、図示されない端子用孔部内に収容された給電端子に導通している。また、グランド側コモンドライバ電極162は、給電側ビア250g及び電極パッド240を介して、端子用孔部120g内に収容された給電端子230に導通している。なお、給電端子230のうち、グランド側コモンドライバ電極162と導通されるものを、コモン給電端子230Cと称する。
【0055】
つまり、複数の第2ヒータ600における各電源側パッド部611は、それぞれ互いに異なる給電端子230に電気的に接続され、複数の第2ヒータ600における各グランド側パッド部は、何れも、共通のコモン給電端子230Cに電気的に共通接続されている。
【0056】
複数の第2ヒータ600の各電源側パッド部に接続される各給電端子230に、複数の電源回路(不図示)のプラス側が個別に接続され、複数の第2ヒータ600の各グランド側パッド部に接続されるコモン給電端子230Cに、複数の電源回路のマイナス側が接続されている。これにより、複数の電源回路からの電圧が、複数の第2ヒータ600に個別に印加される。各第2ヒータ600に電圧が印加されると、各第2ヒータ600が発熱して板状部材10が加熱される。なお、各第2ヒータ600の発熱量は、各電源回路からの電圧レベルに応じて互いに独立に調整可能である。
【0057】
このような第1ヒータ群51(第1ヒータ500)及び第2ヒータ群52(第2ヒータ600)を備えた板状部材10は、第1区域H1、及び第2区域H2の各温度を独立して制御することができる。なお、静電チャック100は、公知の製造方法によって製造可能である。
【0058】
次いで、
図2及び
図5を参照しつつ、板状部材10(母材11)内における第1ヒータ500用のドライバ電極61,62と、第2ヒータ600用のドライバ電極161,162との配置関係について説明する。
図5は、第1ヒータ500用のドライバ電極61,62と、第2ヒータ600用のドライバ電極161,162との配置関係を模式的に表した説明図である。ここでは、第1ヒータ500として、3つの第1ヒータ500a,500b,500cを例示し、かつ第2ヒータ600として、2つの第2ヒータ600a,600bを例示する。
【0059】
図2及び
図5に示されるように、本実施形態の静電チャック100では、板状部材10内において、第1ヒータ500用のグランド側コモンドライバ電極(第1ヒータ用グランド側コモンドライバ電極)62と、第2ヒータ600用のグランド側コモンドライバ電極162(第2ヒータ用グランド側コモンドライバ電極162)とが、板状部材10の厚み方向(第1の方向)に略直交する第1の仮想平面X1上に配置されている。この第1の仮想平面X1は、第2ヒータ600よりも下側(板状部材10の裏面S2側)に配置されている。
【0060】
第2ヒータ600用の2種類のドライバ電極161,162のうち、一方のドライバ電極162である、グランド側コモンドライバ電極162を第1の仮想平面X1上に配置しても、その仮想平面X1上には、他のドライバ電極を配置することが可能なスペース(余白)が存在している。そのため、本実施形態では、そのようなスペースに、第1ヒータ500用のグランド側コモンドライバ電極62を配置することによって、第2ヒータ600用のグランド側コモンドライバ電極162を配置する厚み方向(第1の方向)の位置と、第1ヒータ500用のグランド側コモンドライバ電極62を配置する厚み方向(第1の方向)の位置とが同じになる。そのため、本実施形態の静電チャック100では、板状部材10の厚みが抑制される。この板状部材10の厚みが抑制されることで、ウェハWの吸着面(表面)S1とベース部材20との間の距離が短くなり、板状部材10の表面10で保持されたウェハWが迅速に冷却される。これにより、ウェハWの温度分布の制御が効果的に実現される。
【0061】
板状部材10は、公知の方法を利用して作製することができる。例えば、セラミックスグリーンシートを複数枚作製し、所定のセラミックスグリーンシート上に、グランド側コモンドライバ電極62及びグランド側コモンドライバ電極162となる各パターンを、メタライズペーストを用いた印刷等により形成する。また、第1ヒータ500、第2ヒータ600、ドライバ電極61、161等となる各パターンも、対応するセラミックスグリーンシート上に形成される。そして、各パターン等が形成された複数枚のセラミックスシートを積層して熱圧着し、切断等の加工を行うことにより、セラミックスグリーンシートの積層体を作製する。得られた積層体を焼成することにより、グランド側コモンドライバ電極62とグランド側コモンドライバ電極162が、同一平面上(仮想平面X1上)に形成された板状部材10が得られる。なお、必要に応じて、板状部材10の反り修正や表面の研磨加工等を行ってもよい。
【0062】
また、グランド側コモンドライバ電極62とグランド側コモンドライバ電極162は、第1の仮想平面X1において、それぞれ共通化されているため、それぞれのドライバ電極62,162の面積を大きく形成することができる。そのため、グランド側コモンドライバ電極62とグランド側コモンドライバ電極162のドライバ電極自体の発熱を抑制することができ、ドライバ電極が温度特異点となることを抑制することができる。したがって、本実施形態では、板状部材10の表面S1において、特に均一な温度分布が得られ易くなっている。
【0063】
また、第1ヒータ500用のグランド側コモンドライバ電極62、及び第2ヒータ600用のグランド側コモンドライバ電極162が配置される第1の仮想平面X1が、第2ヒータ600よりも下側にあると、グランド側コモンドライバ電極162と、コモン給電端子230Cに接合された電極パッド(端子)240との間の電気的な接続(引き回し)が、第2ヒータ600と干渉する虞がなく、しかも、第2ヒータ600の形状を設計する際の自由度が高くなり、好ましい。
【0064】
なお、第1ヒータ500aの電源側ドライバ電極61a、第1ヒータ500bの電源側ドライバ電極61b、及び第1ヒータ500cの電源側ドライバ電極61cは、板状部材10内において、第1ヒータ500と第2ヒータ600との間であり、かつ厚み方向(第1の方向)に略直交する第2の仮想平面X2上に配置される。また、第2ヒータ600aの電源側ドライバ電極161a、及び第2ヒータ600bの電源側ドライバ電極161bは、板状部材10内において、第2ヒータ600と第1の仮想平面X1との間に配置され、かつ厚み方向(第1の方向)に略直交する第3の仮想平面X3上に配置される。
【0065】
また、複数の第1ヒータ500(500a,500b,500c等)は、第2の仮想平面X2よりも上側(板状部材10の表面S1側)に配される仮想平面Y1上に配置され、複数の第2ヒータ600(600a,600b等)は、第2の仮想平面X2と第3の仮想平面X3との間に配される仮想平面Y2上に配置されている。
【0066】
<実施形態2>
次いで、本発明の実施形態2を、
図6を参照しつつ説明する。
図6は、実施形態2に係る静電チャックの板状部材内に配置される第1ヒータ500A用のドライバ電極61A,62Aと、第2ヒータ600A用のドライバ電極161A,162Aとの位置関係を模式的に表した説明図である。
【0067】
ここでは、第1ヒータ500Aとして、3つの第1ヒータ500Aa,500Ab,500Acを例示し、かつ第2ヒータ600Aとして、2つの第2ヒータ600Aa,600Abを例示する。
【0068】
図6に示されるように、本実施形態の静電チャックでは、板状部材内において、第1ヒータ500A用のグランド側コモンドライバ電極(第1ヒータ用グランド側コモンドライバ電極)62Aと、第2ヒータ600A用の複数のグランド側ドライバ電極162A(162Aa,162Ab)とが、板状部材の厚み方向(第1の方向)に略直交する第1の仮想平面XA1上に配置されている。この第1の仮想平面XA1は、第2ヒータ600Aよりも下側(板状部材の裏面側)に配置されている。
【0069】
本実施形態の場合、第2ヒータ600Aのグランド側ドライバ電極162Aは、共通化されておらず、第2ヒータ600Aaに対してグランド側ドライバ電極162Aaが割り当てられ、第2ヒータ600Abに対してグランド側ドライバ電極162Abが割り当てられている。このような複数のグランド側ドライバ電極162Aa,162Abが、第1の仮想平面XA1上に配置されている。
【0070】
第2ヒータ600A用の2種類のドライバ電極161A,162Aのうち、一方のドライバ電極162Aである、グランド側ドライバ電極162A(162Aa,162Ab)を第1の仮想平面XA1上に配置しても、その仮想平面XA1上には、他のドライバ電極を配置することが可能なスペース(余白)が存在している。そのため、本実施形態では、そのようなスペースに、第1ヒータ500A用のグランド側コモンドライバ電極62Aを配置することによって、第2ヒータ600A用のグランド側ドライバ電極162Aを配置する厚み方向(第1の方向)の位置と、第1ヒータ500A用のグランド側コモンドライバ電極62Aを配置する厚み方向(第1の方向)の位置とが同じになる。そのため、本実施形態の静電チャックでは、板状部材の厚みが抑制される。
【0071】
また、第1ヒータ500A用のグランド側コモンドライバ電極62A、及び第2ヒータ600A用の複数のグランド側ドライバ電極162Aが配置される第1の仮想平面XA1が、第2ヒータ600Aよりも下側にあると、複数のグランド側ドライバ電極162Aと、コモン給電端子に接合された電極パッド(端子)との間の電気的な接続(引き回し)が、第2ヒータ600Aと干渉する虞がなく、しかも、第2ヒータ600Aの形状を設計する際の自由度が高くなり、好ましい。
【0072】
なお、第1ヒータ500Aaの電源側ドライバ電極61Aa、第1ヒータ500Abの電源側ドライバ電極61Ab、及び第1ヒータ500Acの電源側ドライバ電極61Acは、板状部材内において、第1ヒータ500Aと第2ヒータ600Aとの間であり、かつ厚み方向(第1の方向)に略直交する第2の仮想平面XA2上に配置される。また、第2ヒータ600Aaの電源側ドライバ電極161Aa、及び第2ヒータ600Abの電源側ドライバ電極161Abは、板状部材内において、第2ヒータ600Aと第1の仮想平面XA1との間に配置され、かつ厚み方向(第1の方向)に略直交する第3の仮想平面XA3上に配置される。
【0073】
また、複数の第1ヒータ500A(500Aa,500Ab,500Ac等)は、第2の仮想平面XA2よりも上側(板状部材の表面側)に配される仮想平面YA1上に配置され、複数の第2ヒータ600A(600Aa,600Ab等)は、第2の仮想平面XA2と第3の仮想平面XA3との間に配される仮想平面YA2上に配置されている。
【0074】
<実施形態3>
次いで、本発明の実施形態3を、
図7を参照しつつ説明する。
図7は、実施形態3に係る静電チャックの板状部材内に配置される第1ヒータ500B用のドライバ電極61B,62Bと、第2ヒータ600B用のドライバ電極161B,162Bとの位置関係を模式的に表した説明図である。
【0075】
ここでは、第1ヒータ500Bとして、3つの第1ヒータ500Ba,500Bb,500Bcを例示し、かつ第2ヒータ600Bとして、2つの第2ヒータ600Ba,600Bbを例示する。
【0076】
図7に示されるように、本実施形態の静電チャックでは、板状部材内において、第1ヒータ500B用の複数の電源側ドライバ電極61B(61Ba,61Bb,61Bc)と、第2ヒータ600B用の複数のグランド側ドライバ電極162B(162Ba,162Bb)とが、板状部材の厚み方向(第1の方向)に略直交する第1の仮想平面XB1上に配置されている。この第1の仮想平面XB1は、第2ヒータ600Bよりも下側(板状部材の裏面側)に配置されている。
【0077】
本実施形態の場合、第2ヒータ600Bのグランド側ドライバ電極162Bは、共通化されておらず、第2ヒータ600Baに対してグランド側ドライバ電極162Baが割り当てられ、第2ヒータ600Bbに対してグランド側ドライバ電極162Bbが割り当てられている。このような複数のグランド側ドライバ電極162Ba,162Bbが、第1の仮想平面XB1上に配置されている。
【0078】
第2ヒータ600B用の2種類のドライバ電極161B,162Bのうち、一方のドライバ電極162Bである、グランド側ドライバ電極162B(162Ba,162Bb)を第1の仮想平面XB1上に配置しても、その仮想平面XB1上には、他のドライバ電極を配置することが可能なスペース(余白)が存在している。そのため、本実施形態では、そのようなスペースに、第1ヒータ500B用の複数の電源側ドライバ電極61B(61Ba,61Bb,61Bc)を配置することによって、第2ヒータ600B用のグランド側ドライバ電極162Bを配置する厚み方向(第1の方向)の位置と、第1ヒータ500B用の電源側ドライバ電極61Bを配置する厚み方向(第1の方向)の位置とが同じになる。そのため、本実施形態の静電チャックでは、板状部材の厚みが抑制される。
【0079】
また、第1ヒータ500B用の複数の電源側ドライバ電極61B(61Ba,61Bb,61Bc)と、第2ヒータ600B用の複数のグランド側ドライバ電極162B(162Ba,162Bb)とが配置される第1の仮想平面XB1が、第2ヒータ600Bよりも下側にあると、複数のグランド側ドライバ電極162Bと、コモン給電端子に接合された電極パッド(端子)との間の電気的な接続(引き回し)が、第2ヒータ600Bと干渉する虞がなく、しかも、第2ヒータ600Bの形状を設計する際の自由度が高くなり、好ましい。
【0080】
なお、第1ヒータ500Bの共通化されたグランド側コモンドライバ電極62B(第1ヒータ用グランド側コモンドライバ電極62B)は、板状部材内において、第1ヒータ500Bと第2ヒータ600Bとの間であり、かつ厚み方向(第1の方向)に略直交する第2の仮想平面XB2上に配置される。また、第2ヒータ600Baの電源側ドライバ電極161Ba、及び第2ヒータ600Bbの電源側ドライバ電極161Bbは、板状部材内において、第2ヒータ600Bと第1の仮想平面XB1との間に配置され、かつ厚み方向(第1の方向)に略直交する第3の仮想平面XB3上に配置される。
【0081】
また、複数の第1ヒータ500B(500Ba,500Bb,500Bc等)は、第2の仮想平面XB2よりも上側(板状部材の表面側)に配される仮想平面YB1上に配置され、複数の第2ヒータ600B(600Ba,600Bb等)は、第2の仮想平面XB2と第3の仮想平面XB3との間に配される仮想平面YB2上に配置されている。
【0082】
<実施形態4>
次いで、本発明の実施形態4を、
図8を参照しつつ説明する。
図8は、実施形態4に係る静電チャックの板状部材内に配置される第1ヒータ500C用のドライバ電極61C,62Cと、第2ヒータ600C用のドライバ電極161C,162Cとの位置関係を模式的に表した説明図である。
【0083】
ここでは、第1ヒータ500Cとして、3つの第1ヒータ500Ca,500Cb,500Ccを例示し、かつ第2ヒータ600Cとして、2つの第2ヒータ600Ca,600Cbを例示する。
【0084】
図8に示されるように、本実施形態の静電チャックでは、板状部材内において、第1ヒータ500C用の複数のグランド側ドライバ電極62C(62Ca,62Cb,62Cc)と、第2ヒータ600C用の複数のグランド側ドライバ電極162C(162Ca,162Cb)とが、板状部材の厚み方向(第1の方向)に略直交する第1の仮想平面XC1上に配置されている。この第1の仮想平面XC1は、第2ヒータ600Cよりも下側(板状部材の裏面側)に配置されている。
【0085】
本実施形態の場合、第2ヒータ600Cのグランド側ドライバ電極162Cは、共通化されておらず、第2ヒータ600Caに対してグランド側ドライバ電極162Caが割り当てられ、第2ヒータ600Cbに対してグランド側ドライバ電極162Cbが割り当てられている。また、第1ヒータ500Cのグランド側ドライバ電極62Cも、共通化されておらず、第1ヒータ500Caに対してグランド側ドライバ電極62Caが割り当てられ、第1ヒータ500Cbに対してグランド側ドライバ電極62Cbが割り当てられ、第1ヒータ500Ccに対してグランド側ドライバ電極61Ccが割り当てられている。このような第2ヒータ600C用の複数のグランド側ドライバ電極162Ba,162Bbが、第1の仮想平面XC1上に配置されている。
【0086】
第2ヒータ600C用の2種類のドライバ電極161C,162Cのうち、一方のドライバ電極162Cである、グランド側ドライバ電極162C(162Ca,162Cb)を第1の仮想平面XC1上に配置しても、その仮想平面XC1上には、他のドライバ電極を配置することが可能なスペースが存在している。そのため、本実施形態では、そのようなスペースに、第1ヒータ500C用の複数のグランド側ドライバ電極62C(62Ca,62Cb,62Cc)を配置することによって、第2ヒータ600C用のグランド側ドライバ電極162Cを配置する厚み方向(第1の方向)の位置と、第1ヒータ500C用のグランド側ドライバ電極62Cを配置する厚み方向(第1の方向)の位置とが同じになる。そのため、本実施形態の静電チャックでは、板状部材の厚みが抑制される。
【0087】
また、第1ヒータ500C用の複数のグランド側ドライバ電極62C(62Ca,62Cb,62Cc)と、第2ヒータ600C用の複数のグランド側ドライバ電極162C(162Ca,162Cb)とが配置される第1の仮想平面XC1が、第2ヒータ600Cよりも下側にあると、複数のグランド側ドライバ電極162Cと、コモン給電端子に接合された電極パッド(端子)との間の電気的な接続(引き回し)が、第2ヒータ600Cと干渉する虞がなく、しかも、第2ヒータ600Cの形状を設計する際の自由度が高くなり、好ましい。
【0088】
なお、第1ヒータ500Caの電源側ドライバ電極61Ca、第1ヒータ500Cbの電源側ドライバ電極61Cb、及び第1ヒータ500Ccの電源側ドライバ電極61Ccは、板状部材内において、第1ヒータ500Cと第2ヒータ600Cとの間であり、かつ厚み方向(第1の方向)に略直交する第2の仮想平面XC2上に配置される。また、第2ヒータ600Caの電源側ドライバ電極161Ca、及び第2ヒータ600Cbの電源側ドライバ電極161Cbは、板状部材内において、第2ヒータ600Cと第1の仮想平面XC1との間に配置され、かつ厚み方向(第1の方向)に略直交する第3の仮想平面XC3上に配置される。
【0089】
また、複数の第1ヒータ500C(500Ca,500Cb,500Cc等)は、第2の仮想平面XC2よりも上側(板状部材の表面側)に配される仮想平面YC1上に配置され、複数の第2ヒータ600C(600Ca,600Cb等)は、第2の仮想平面XC2と第3の仮想平面XC3との間に配される仮想平面YB2上に配置されている。
【0090】
<実施形態5>
次いで、本発明の実施形態5を、
図9を参照しつつ説明する。
図9は、実施形態5に係る静電チャックの板状部材内に配置される第1ヒータ500D用のドライバ電極61D,62Dと、第2ヒータ600D用のドライバ電極161D,162Dとの位置関係を模式的に表した説明図である。
【0091】
ここでは、第1ヒータ500Dとして、3つの第1ヒータ500Da,500Db,500Dcを例示し、かつ第2ヒータ600Dとして、2つの第2ヒータ600Da,600Dbを例示する。
【0092】
図9に示されるように、本実施形態の静電チャックでは、板状部材内において、第1ヒータ500D用のグランド側コモンドライバ電極(第1ヒータ用グランド側コモンドライバ電極)62Dと、第2ヒータ600D用のグランド側コモンドライバ電極(第2ヒータ用グランド側コモンドライバ電極)162Dとが、板状部材の厚み方向(第1の方向)に略直交する第1の仮想平面XD1上に配置されている。本実施形態において、第1の仮想平面XD1は、上記実施形態1等とは異なり、第1ヒータ500Dと第2ヒータ600Dとの間に配置されている。
【0093】
第2ヒータ600D用の2種類のドライバ電極161D,162Dのうち、一方のドライバ電極162Dである、グランド側コモンドライバ電極162Dを第1の仮想平面XD1上に配置しても、その仮想平面XD1上には、他のドライバ電極を配置することが可能なスペースが存在している。そのため、本実施形態では、そのようなスペースに、第1ヒータ500D用のグランド側コモンドライバ電極62Dを配置することによって、第2ヒータ600D用のグランド側コモンドライバ電極162Dを配置する厚み方向(第1の方向)の位置と、第1ヒータ500D用のグランド側コモンドライバ電極62Dを配置する厚み方向(第1の方向)の位置とが同じになる。そのため、本実施形態の静電チャックでは、板状部材の厚みが抑制される。
【0094】
また、第1ヒータ500D用のグランド側コモンドライバ電極62Dと、第2ヒータ600D用のグランド側コモンドライバ電極162Dとが配置される第1の仮想平面XD1が、第2ヒータ600Dの上側に配置すると、静電チャックの板状部材は、第2ヒータ600Dを、より裏面S2側に配置可能な構成となる。そのため、第1ヒータ500Dと、第2ヒータ600Dとの間の距離が長くなり、各第2ヒータ600Dから発せられた熱が、板状部材の表面側に向かって均一に拡散し易くなるため、板状部材の表面において、均一な温度分布が得られ易くなる。
【0095】
また、グランド側コモンドライバ電極62Dとグランド側コモンドライバ電極162Dは、第1の仮想平面XD1において、それぞれ共通化されているため、それぞれのドライバ電極62D,162Dの面積を大きく形成することができる。そのため、グランド側コモンドライバ電極62Dとグランド側コモンドライバ電極162Dのドライバ電極自体の発明を抑制することができ、ドライバ電極が温度特異点となることを抑制することができる。したがって、本実施形態では、板状部材の表面において、特に均一な温度分布が得られ易くなっている。
【0096】
なお、第1ヒータ500Daの電源側ドライバ電極61Da、第1ヒータ500Dbの電源側ドライバ電極61Db、及び第1ヒータ500Dcの電源側ドライバ電極61Dcは、板状部材内において、第1ヒータ500Cと、第1の仮想平面XD1との間であり、かつ厚み方向(第1の方向)に略直交する第2の仮想平面XD2上に配置される。また、第2ヒータ600Daの電源側ドライバ電極161Da、及び第2ヒータ600Dbの電源側ドライバ電極161Dbは、板状部材内において、第2ヒータ600Dよりも下側(板状部材の裏面側)に配置され、かつ厚み方向(第1の方向)に略直交する第3の仮想平面XD3上に配置される。
【0097】
また、複数の第1ヒータ500D(500Da,500Db,500Dc等)は、第2の仮想平面XD2よりも上側(板状部材の表面側)に配される仮想平面YD1上に配置され、複数の第2ヒータ600D(600Da,600Db等)は、第1の仮想平面XD1と第3の仮想平面XD3との間に配される仮想平面YD2上に配置されている。
【0098】
<実施形態6>
次いで、本発明の実施形態6を、
図10を参照しつつ説明する。
図10は、実施形態6に係る静電チャックの板状部材内に配置される第1ヒータ500E用のドライバ電極61E,62Eと、第2ヒータ600E用のドライバ電極161E,162Eとの位置関係を模式的に表した説明図である。
【0099】
ここでは、第1ヒータ500Eとして、3つの第1ヒータ500Ea,500Eb,500Ecを例示し、かつ第2ヒータ600Eとして、2つの第2ヒータ600Ea,600Ebを例示する。
【0100】
図10に示されるように、本実施形態の静電チャックでは、板状部材内において、第1ヒータ500E用の複数の電源側ドライバ電極61E(61Ea,61Eb,61Ec)と、第2ヒータ600E用の複数の電源側ドライバ電極161E(161Ea,161Eb)とが、板状部材の厚み方向(第1の方向)に略直交する第1の仮想平面XE1上に配置されている。この第1の仮想平面XE1は、第2ヒータ600Eよりも下側(板状部材の裏面側)に配置されている。
【0101】
本実施形態の場合、第2ヒータ600Eのグランド側ドライバ電極162Eは、共通化されておらず、第2ヒータ600Eaに対してグランド側ドライバ電極162Eaが割り当てられ、第2ヒータ600Ebに対してグランド側ドライバ電極162Ebが割り当てられている。また、第1ヒータ500Eのグランド側ドライバ電極62Eも、共通化されておらず、第1ヒータ500Eaに対してグランド側ドライバ電極62Eaが割り当てられ、第1ヒータ500Ebに対してグランド側ドライバ電極62Ebが割り当てられ、第1ヒータ500Ecに対してグランド側ドライバ電極61Ecが割り当てられている。
【0102】
第2ヒータ600E用の2種類のドライバ電極161E,162Eのうち、一方のドライバ電極161Eである、電源側ドライバ電極161E(161Ea,161Eb)を第1の仮想平面XE1上に配置しても、その仮想平面XE1上には、他のドライバ電極を配置することが可能なスペースが存在している。そのため、本実施形態では、そのようなスペースに、第1ヒータ500E用の複数の電源側ドライバ電極61E(61Ea,61Eb,61Ec)を配置することによって、第2ヒータ600E用の電源側ドライバ電極161Eを配置する厚み方向(第1の方向)の位置と、第1ヒータ500E用の電源側ドライバ電極61Eを配置する厚み方向(第1の方向)の位置とが同じになる。そのため、本実施形態の静電チャックでは、板状部材の厚みが抑制される。
【0103】
また、第1ヒータ500E用の複数の電源側ドライバ電極61E(61Ea,61Eb,61Ec)と、第2ヒータ600E用の複数の電源側ドライバ電極161E(161Ea,161Eb)とが配置される第1の仮想平面XE1が、第2ヒータ600Eよりも下側にあると、複数の電源側ドライバ電極161Eと、各給電端子に接合された各電極パッド(端子)との間の電気的な接続(引き回し)が、第2ヒータ600Eと干渉する虞がなく、しかも、第2ヒータ600Eの形状を設計する際の自由度が高くなり、好ましい。
【0104】
なお、第1ヒータ500Eaのグランド側ドライバ電極62Ea、第1ヒータ500Ebのグランド側ドライバ電極62Eb、及び第1ヒータ500Ecのグランド側ドライバ電極62Ecは、板状部材内において、第1ヒータ500Cと第2ヒータ600Cとの間であり、かつ厚み方向(第1の方向)に略直交する第2の仮想平面XE2上に配置される。また、第2ヒータ600Eaのグランド側ドライバ電極162Ea、及び第2ヒータ600Ebのグランド側ドライバ電極162Ebは、板状部材内において、第2ヒータ600Eと第1の仮想平面XE1との間に配置され、かつ厚み方向(第1の方向)に略直交する第3の仮想平面XE3上に配置される。
【0105】
また、複数の第1ヒータ500E(500Ea,500Eb,500Ec等)は、第2の仮想平面XE2よりも上側(板状部材の表面側)に配される仮想平面YE1上に配置され、複数の第2ヒータ600E(600Ea,600Eb等)は、第2の仮想平面XE2と第3の仮想平面XE3との間に配される仮想平面YE2上に配置されている。
【0106】
<実施形態7>
次いで、本発明の実施形態7を、
図11を参照しつつ説明する。
図11は、実施形態7に係る静電チャックの板状部材内に配置される第1ヒータ500F用のドライバ電極61F,62Fと、第2ヒータ600F用のドライバ電極161F,162Fとの位置関係を模式的に表した説明図である。
【0107】
ここでは、第1ヒータ500Fとして、3つの第1ヒータ500Fa,500Fb,500Fcを例示し、かつ第2ヒータ600Fとして、2つの第2ヒータ600Fa,600Fbを例示する。
【0108】
図11に示されるように、本実施形態の静電チャックでは、板状部材内において、第1ヒータ500F用のグランド側コモンドライバ電極(第1ヒータ用グランド側コモンドライバ電極)62Fと、第2ヒータ600F用の複数の電源側ドライバ電極161F(161Fa,161Fb)とが、板状部材の厚み方向(第1の方向)に略直交する第1の仮想平面XF1上に配置されている。この第1の仮想平面XF1は、第2ヒータ600Fよりも下側(板状部材の裏面側)に配置されている。
【0109】
第2ヒータ600F用の2種類のドライバ電極161F,162Fのうち、一方のドライバ電極161Fである、電源側ドライバ電極161F(161Fa,161Fb)を第1の仮想平面XF1上に配置しても、その仮想平面XF1上には、他のドライバ電極を配置することが可能なスペースが存在している。そのため、本実施形態では、そのようなスペースに、第1ヒータ500F用のグランド側コモンドライバ電極62Fを配置することによって、第2ヒータ600F用の電源側ドライバ電極161Fを配置する厚み方向(第1の方向)の位置と、第1ヒータ500F用のグランド側コモンドライバ電極62Fを配置する厚み方向(第1の方向)の位置とが同じになる。そのため、本実施形態の静電チャックでは、板状部材の厚みが抑制される。
【0110】
また、第1ヒータ500F用のグランド側コモンドライバ電極(第1ヒータ用グランド側コモンドライバ電極)62Fと、第2ヒータ600F用の複数の電源側ドライバ電極161F(161Fa,161Fb)とが配置される第1の仮想平面XF1が、第2ヒータ600Fよりも下側にあると、複数の電源側ドライバ電極161Fと、各給電端子に接合された各電極パッド(端子)との間の電気的な接続(引き回し)が、第2ヒータ600Fと干渉する虞がなく、しかも、第2ヒータ600Fの形状を設計する際の自由度が高くなり、好ましい。
【0111】
なお、第1ヒータ500Faの電源側ドライバ電極61Fa、第1ヒータ500Fbの電源側ドライバ電極61Fb、及び第1ヒータ500Fcの電源側ドライバ電極61Fcは、板状部材内において、第1ヒータ500Fと第2ヒータ600Fとの間であり、かつ厚み方向(第1の方向)に略直交する第2の仮想平面XF2上に配置される。また、第2ヒータ600Fの共通化されたグランド側コモンドライバ電極162Fは、板状部材内において、第2ヒータ600Fと第1の仮想平面XF1との間に配置され、かつ厚み方向(第1の方向)に略直交する第3の仮想平面XF3上に配置される。
【0112】
また、複数の第1ヒータ500F(500Fa,500Fb,500Fc等)は、第2の仮想平面XF2よりも上側(板状部材の表面側)に配される仮想平面YF1上に配置され、複数の第2ヒータ600F(600Fa,600Fb等)は、第2の仮想平面XF2と第3の仮想平面XF3との間に配される仮想平面YF2上に配置されている。
【0113】
<実施形態8>
次いで、本発明の実施形態8を、
図12を参照しつつ説明する。
図12は、実施形態8に係る静電チャックの板状部材内に配置される第1ヒータ500G用のドライバ電極61G,62Gと、第2ヒータ600G用のドライバ電極161G,162Gとの位置関係を模式的に表した説明図である。
【0114】
ここでは、第1ヒータ500Gとして、3つの第1ヒータ500Ga,500Gb,500Gcを例示し、かつ第2ヒータ600Gとして、2つの第2ヒータ600Ga,600Gbを例示する。
【0115】
図12に示されるように、本実施形態の静電チャックでは、板状部材内において、第1ヒータ500G用のグランド側コモンドライバ電極(第1ヒータ用グランド側コモンドライバ電極)62Gと、第2ヒータ600G用の複数の電源側ドライバ電極161G(161Ga,161Gb)及び複数のグランド側ドライバ電極162G(162Ga,162Gb)とが、板状部材の厚み方向(第1の方向)に略直交する第1の仮想平面XG1上に配置されている。この第1の仮想平面XG1は、第2ヒータ600Gよりも下側(板状部材の裏面側)に配置されている。
【0116】
本実施形態の場合、第2ヒータ600Gのグランド側ドライバ電極162Gは、共通化されておらず、第2ヒータ600Gaに対してグランド側ドライバ電極162Gaが割り当てられ、第2ヒータ600Gbに対してグランド側ドライバ電極162Gbが割り当てられている。このような複数のグランド側ドライバ電極162Ga,162Gbが、複数の電源側ドライバ電極161G(161Ga,161Gb)と共に、第1の仮想平面XG1上に配置されている。
【0117】
第2ヒータ600G用の2種類のドライバ電極161G,162Gが、同時に第1の仮想平面XG1上に配置されても、第2ヒータ600Gは、第1ヒータ500Gと比べて、総数が少ないため、その仮想平面XG1上には、他のドライバ電極を配置することが可能なスペースが存在している。そのため、本実施形態では、そのようなスペースに、第1ヒータ500G用のグランド側コモンドライバ電極62Gを配置することによって、第2ヒータ600G用の2種類のドライバ電極161G,162Gを配置する厚み方向(第1の方向)の位置と、第1ヒータ500G用のグランド側コモンドライバ電極62Gを配置する厚み方向(第1の方向)の位置とが同じになる。そのため、本実施形態の静電チャックでは、板状部材の厚みが抑制される。
【0118】
また、第1ヒータ500G用のグランド側コモンドライバ電極62Gと、第2ヒータ600G用の複数の電源側ドライバ電極161G(161Ga,161Gb)及び複数のグランド側ドライバ電極162G(162Ga,162Gb)とが配置される第1の仮想平面XG1が、第2ヒータ600Gよりも下側にあると、複数の電源側ドライバ電極161Fと、各給電端子に接合された各電極パッド(端子)との間の電気的な接続(引き回し)、及び複数のグランド側ドライバ電極162Gと、コモン給電端子に接合された電極パッド(端子)との間の電気的な接続(引きまわし)が、第2ヒータ600Gと干渉する虞がなく、しかも、第2ヒータ600Gの形状を設計する際の自由度が高くなり、好ましい。
【0119】
なお、第1ヒータ500Gaの電源側ドライバ電極61Ga、第1ヒータ500Gbの電源側ドライバ電極61Gb、及び第1ヒータ500Gcの電源側ドライバ電極61Gcは、板状部材内において、第1ヒータ500Gと第2ヒータ600Gとの間であり、かつ厚み方向(第1の方向)に略直交する第2の仮想平面XG2上に配置される。
【0120】
また、複数の第1ヒータ500G(500Ga,500Gb,500Gc等)は、第2の仮想平面XG2よりも上側(板状部材の表面側)に配される仮想平面YG1上に配置され、複数の第2ヒータ600G(600Ga,600Gb等)は、第2の仮想平面XG2と第1の仮想平面XG1との間に配される仮想平面YG2上に配置されている。
【0121】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0122】
(1)上記各実施形態の保持装置は、板状部材と共に、ベース部材を備えるものであったが、本発明は、ベース部材を備えていない保持装置に適用されてもよい。ベース部材を備える保持装置であれば、板状部材の厚みを抑えることで、ベース部材からウェハまでの距離が小さくなり板状部材を冷却し易くなるので、板状部材表面の温度調整の精度の向上が期待できるが、ベース部材を備えていない保持装置の場合でも、板状部材の厚みを抑えることが可能であるから、コスト削減等の観点で有利である。
【0123】
(2)他の実施形態の保持装置において、ベース部材の代わりに、筒状のシャフトを備えてもよい。その場合でも、板状部材の厚みを抑えることができ、コスト削減等の観点で有利である。
【0124】
(3)上記各実施形態の保持装置は、チャック電極を備えるものであったが、本発明は、例えば、チャック電極を備えていない保持装置に適用されてもよい。
【符号の説明】
【0125】
100…静電チャック(保持装置)、10…板状部材、11…母材、20…ベース部材、30…接合部、51…第1ヒータ群、52…第2ヒータ群、61…第1ヒータ用電源側ドライバ電極、62…第1ヒータ用グランド側ドライバ電極、161…第2ヒータ用電源側ドライバ電極、162…第2ヒータ用グランド側ドライバ電極、500…第1ヒータ、600…第2ヒータ、S1…表面(吸着面)、S2…裏面、H1…第1区域、H2…第2区域、X1…第1の仮想平面