(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】半結晶性コポリアミド、それを含む成形材料およびそれらの使用、ならびにそれらから製造される成形体
(51)【国際特許分類】
C08G 69/26 20060101AFI20241128BHJP
C08L 77/06 20060101ALI20241128BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20241128BHJP
【FI】
C08G69/26
C08L77/06
C08K3/013
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020132942
(22)【出願日】2020-08-05
【審査請求日】2023-07-14
(32)【優先日】2019-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518071372
【氏名又は名称】エムス-パテント アクツィエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】ハーダー フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】シューベルト クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】エブリング ロニー
【審査官】菅原 愛
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03012994(US,A)
【文献】特開2018-178117(JP,A)
【文献】特開昭49-055796(JP,A)
【文献】特開2018-062651(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 69/26
C08L 77/06
C08K 3/013
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記モノマー(a1)~(a5)から形成される半結晶性コポリアミド:
(a1)1,6-ヘキサンジアミン 23~37.5モル%;
(a2)1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン 12.5~22モル%;
(a3)モノマー(a1)および(a2)とは異なる、2~35個の炭素原子を有する少なくとも1つのジアミン 0~5モル%;
(a4)1,6-ヘキサン二酸 45~50モル%;および
(a5)モノマー(a4)とは異なる、2~44個の炭素原子を有する少なくとも1つのジカルボン酸 0~5モル%;
ただし、モノマー(a1)、(a2)および(a3)の割合は、使用するジアミンの合計に
相当し、合計で50モル%となり;ならびに
モノマー(a4)および(a5)の割合は、使用するジカルボン酸の合計に
相当し、合計で50モル%となり;ならびに
モノマー(a1)~(a5)は、合計で100モル%となる。
【請求項2】
・コポリアミド中のモノマー(a1)の割合が、23~35モル%の範囲
内であり;および/または
・コポリアミド中のモノマー(a2)の割合が、14~22モル%の範囲
内であり;および/または
・コポリアミド中のモノマー(a3)の割合は、0~2.5モル%の範囲内であり、
ただし、モノマー(a1)、(a2)および(a3)の割合は、使用するジアミンの合計に
相当し、合計で50モル%となる、
ことを特徴とする請求項1に記載のコポリアミド。
【請求項3】
・コポリアミド中のモノマー(a4)の割合が、47.5~50モル%の範囲内であり;および/または
・コポリアミド中のモノマー(a5)の割合が、0~2.5モル%の範囲内であり、
ただし、モノマー(a4)および(a5)の割合は、使用するジカルボン酸の合計に
相当し、合計で50モル%となる、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のコポリアミド。
【請求項4】
少なくとも1つのモノマー(a3)が
、エチレンジアミン、ブタンジアミン、ペンタンジアミン、メチルペンタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、メチルオクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,4-シクロヘキサンジアミン、1,3-シクロヘキサンジアミン、ビス-4-アミノ-3-メチル-シクロヘキシル)メタン、ビス-(4-アミノ-シクロヘキシル)メタン、イソホロンジアミン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミンビス(アミノシクロヘキシル)プロパンおよびそのアルキル誘導体、ノルボルナンジアミンおよびビス(アミノメチル)ノルボルナンからなる群から選択され;ならびに/あるいは
少なくとも1つのモノマー(a5)が、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、1,9-ノナン二酸、1,10-デカン二酸、1,11-ウンデカン二酸、1,12-ドデカン二酸、1,13-トリデカン二酸、1,14-テトラデカン二酸、1,15-ペンタデカン酸、1,16-ヘキサデカン二酸、1,17-ヘプタデカン二酸、1,18-オクタデカン二酸、アラキジン酸、日本酸、ベヘン酸、シクロヘキサン二酸、フェニルインダンジカルボン酸、フェニレンジオオキシ二酢酸、および35または44個の炭素原子を有する二量体脂肪酸からなる群から選択される、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のコポリアミド。
【請求項5】
前記コポリアミドにおける、20℃で、100mlのm-クレゾール中に0.5g用いて測定された相対粘度が、1.45~2.1
0である、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のコポリアミド。
【請求項6】
前記コポリアミドが、以下の特性のうちの少なくとも1つを有することを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のコポリアミド:
・ガラス転移温度が、50~200℃の範囲
内であり;および/または
・融点が、180~260℃の範囲
内であり;および/または
・結晶化温度が、130~200℃の範囲
内であり;および/または
・結晶化速度が、12~50J/g 分の範囲
内である。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の少なくとも1つのコポリアミドを含むポリアミド成形
材料。
【請求項8】
以下のものからなる請求項7に記載のポリアミド成形
材料:
I)請求項1~
6のいずれか一項に記載の少なくとも1つのコポリアミド 22~70重量%;
II)少なくとも1つの充填剤 30~70重量%;および
III)少なくとも1つの添加剤 0~8重量%、
ただし、成分(III)は、成分(II)と異なり、成分(I)~(III)の割合は、合計で100重量%となる。
【請求項9】
前記ポリアミド成形
材料から製造される成形体が、以下の特性のうちの少なくとも1つを有することを特徴とする、請求項7または8に記載のポリアミド成形
材料:
・ISO527に従って測定された弾性率が、少なくとも5000MP
aであり;および/または
・DIN EN 2813(2015)に従って、60
°の乾燥状態で測定された光沢値が、70~100GUであり;および/または
・DIN EN 2813(2015)に従って60°のコンディショニング状態で測定された光沢値が、60~100GUである。
【請求項10】
請求項1~6のいずれか一項に記載のコポリアミドから、または請求項7~9のいずれか一項に記載のポリアミド成形
材料から製造可能な成形体。
【請求項11】
前記成形体が、自動車の客室またはトランクにおいて、家庭用、機械工学において、電気機器、電子機器、家庭用電化製品、家具において、機能を有するまたは有さないラッカー塗装されていない可視部品からなる群から選択される、
ことを特徴とする請求項10に記載の成形体。
【請求項12】
自動車の客室またはトランクにおいて、家庭用、機械工学において、電気機器、電子機器、家庭用電化製品、家具において、機能を有するまたは機能を有さないラッカー塗装されていない可視部品を製造するための、請求項1~6のいずれか一項に記載のコポリアミド、または請求項7~9のいずれか一項に記載のポリアミド成形
材料の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半結晶性(semi-crystalline)コポリアミドと、それから製造され、半結晶性コポリアミドに加えて、少なくとも1つの充填剤(フィラー)、および任意に添加剤を含む成形化合物(moulding compound)とに関する。本発明は、同様に、それから製造される成形体(moulding)に関する。
【0002】
複数のポリアミド成形化合物が従来技術から知られており、成形化合物の組成は、それらの所望の特性プロファイルに適合される。特に強化ポリアミド成形化合物では、有利な機械的特性に加えて、それから製造される成形体における光沢および平滑な表面が可能にされるべきである。成形化合物の技術的加工特性は、このプロセスにおいて損なわれるべきではない。しかし、ガラス繊維強化射出成形品(molded product)では、成形部品(molded part)の表面は、凹凸やガラス繊維効果により、くすんでざらつくことが多い。しかしながら、ボディの設計に関連することが多い可視成形部品では、この効果は通常望ましくない。
【0003】
射出成形部品の表面品質は、特にコポリアミドの結晶化挙動に影響される。ここで、射出成形ツール(工具)(tool)の高温は、表面品質を明らかに改善することができるが、離型(demoulding)温度に達するまで冷却時間を延長することもできる。
【0004】
少なくとも50モル%の1,3-もしくは1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンから形成されるポリアミドまたはポリエステルアミドが、GB 922,677から知られている。それらは、繊維、フィルム、または成形体の製造に使用される。
【0005】
透明ポリアミドは、GB 1 433 144から知られており、そこから良好な機械的特性を失うことなく、比較的高温で成形体を製造することができる。ここで、それらは、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンおよび脂肪族ジアミンの混合物と、芳香族および脂肪族ジカルボン酸の混合物とから形成される非晶質(amorphous)ポリアミドである。これらの成形化合物から製造される成形体の表面特性については、本明細書では取り扱わない。
【0006】
ホモポリアミド(PA6またはPA66)と、80重量%を超えるホモポリアミドのモノマー、20重量%未満の1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサンおよび1,6-ヘキサンジアミンから形成されるコポリアミドとのブレンドから構成される繊維は、GB 2 351 898から知られている。カルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジカルボン酸の両方が用いられる。これらの繊維は、繊維(textile)材料の製造に特に適している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高い剛性に加えて、非常に良好な視覚的特性を有する成形体の製造を可能にする成形化合物を製造するためのコポリアミドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1に記載の特徴を有する半結晶性コポリアミド、請求項7に記載の特徴を有するポリアミド成形化合物、および請求項10に記載の特徴を有する成形体によって達成される。本発明による使用は、請求項12に記載されている。
【0009】
本発明によれば、下記モノマー(a1)~(a5)から形成される半結晶性コポリアミドが提供される:
(a1)1,6-ヘキサンジアミン 23~37.5モル%;
(a2)1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン 12.5~22モル%;
(a3)モノマー(a1)および(a2)とは異なる、2~35個の炭素原子を有する少なくとも1つのジアミン 0~5モル%;
(a4)1,6-ヘキサン二酸(hexanedioic acid) 45~50モル%;
(a5)モノマー(a4)とは異なる、2~44個の炭素原子を有する少なくとも1つのジカルボン酸、0~5モル%;
モノマー(a1)、(a2)および(a3)の割合は、使用するジアミンの合計に相当し、合計で50モル%となる(add up to 50 mol%)。モノマー(a4)および(a5)の割合は、使用するジカルボン酸の合計に相当し、合計で50モル%となる。モノマー(a1)~(a5)は、合計で100モル%となる。
【0010】
用語の定義
・ポリアミドおよびそのモノマーの表記法および略語
本発明の意味において、用語「ポリアミド」(略語PA)は、総称として理解される;それは、ホモポリアミドおよびコポリアミドを含む。ポリアミドおよびそのモノマーについて選択した表記法と略語は、ISO規格16396-1(2015、(D))に記載されているものに対応する。ここで使用される略語は、モノマーのIUPAC名の同義語として以下で使用される。特に、以下の略語が、本願におけるモノマーに対して使用される:1,3-BACは、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(1,3-シクロヘキサンジメタンアミンとも呼ばれる、CAS番号2579-20-6)を表す;1,4-BACは、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(1,4-シクロヘキサンジメタンアミンとも呼ばれる、CAS番号2549-93-1)を表す;IDPは、イソホロンジアミン(3-(アミノメチル)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサンアミン、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、またはシクロヘキサンメタンアミン、5-アミノ-1,3,5,5-トリメチルとも呼ばれる、CAS番号2855-13-2)を表す;MACMは、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン(3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタンとも呼ばれる、CAS番号6854-37-5)を表す;PACMは、ビス(4-アミノ-シクロヘキシル)メタン(4,4’-ジアミノ-シクロヘキシル)メタンとも呼ばれる、CAS番号1761-71-3)を表す;6は、1、6-ヘキサンジアミン(CAS番号124-09-4)を表す;Tは、テレフタル酸(CAS番号100-21-0)を表す;Iは、イソフタル酸(CAS番号121-95-5)を表す、6は、1,6-ヘキサン二酸(CAS番号124-04-9)を表す。
【0011】
・半結晶性コポリアミド
本発明の意味において、半結晶性コポリアミドとは、融点を有するコポリアミド、および/またはISO11357-3(2013)に準拠した示差走査熱量測定(DSC)における加熱速度20K/分での融解熱が4J/gを超えることが好ましいコポリアミドである。
【0012】
・化合物に関する総論
本特許請求の範囲および明細書における「含む(containing)」および「含む(comprising)」という用語は、さらなる成分(構成要素)が除外されないことを意味する。本発明の枠組み内では、「からなる(consist of)」という用語は、「含む(containing)」または「含む(comprising)」という用語の好ましい実施形態として理解されるべきである。グループ(群)が、少なくとも特定の数の成分を「含む(contain)」または「含む(comprise)」と定義される場合、これはまた、好ましくはこれらの成分「からなる(consist of)」グループが開示されるように理解されるべきである。
【0013】
・量の表示(indication)に関する総論
コポリアミドに含まれるジアミンおよびジカルボン酸の量表示は、それぞれ合計で50モル%となる。コポリアミドに含まれる全てのモノマーは、合計で100モル%となる。コポリアミド中に含まれる全ての成分モノマーの合計が100重量%になるという厳密な規定を満たすならば、個々のモノマーについての量の表示の一定の範囲は、個々の成分の各々について任意の量を、特定の範囲内で選択できると理解すべきである。
【0014】
全てのジアミンのモル量の合計が、全てのジカルボン酸のモル量の合計に実質的に等しいことは、半結晶性コポリアミドのジカルボン酸およびジアミンの量の表示に適用される。ここで実質的に等しいとは、ジカルボン酸またはジアミンの最大余剰が3%であることを意味する。すなわち、ジカルボン酸対ジアミンのモル比は、1.03:1~1:1.03である。ジカルボン酸またはジアミンの最大余剰は2%が好ましい。すなわち、ジカルボン酸対ジアミンのモル比は、1.02:1~1:1.02になる。余剰分は、モノマーの損失のバランスおよび/またはポリアミドの相対粘度、したがってモル質量の調節に役立つ。
【0015】
ここで、モノマーに関する量の表示は、重縮合に使用されるこれらのモノマーの対応するモル比がまた、重縮合により製造されるコポリアミド中に再び見出されるように理解されるべきである。
【0016】
本発明に係るポリアミド成形化合物は、成分(I)および(II)、ならびに任意選択的に(III)を含むか、またはこれらからなる;ここで、成分(I)、(II)および(III)は、合計で100重量%となる規定が適用される。成分(I)、(II)および(III)の各成分に対する量の表示の一定の範囲は、全ての成分(I)~(III)の合計が100重量%となるという厳しい規定を満たすならば、個々の成分の各々について任意の量を、特定の範囲内で選択できると理解されるべきである。
【0017】
半結晶性コポリアミド
半結晶性コポリアミド中のモノマー(a1)の割合は、好ましくは23~36モル%の範囲内、特に好ましくは25~34モル%の範囲内、より特に好ましくは27.5~32.5モル%の範囲内である。半結晶性コポリアミド中のモノマー(a2)の割合は、好ましくは14~22モル%の範囲内、特に好ましくは16~20モル%の範囲内、より特に好ましくは17.5~20モル%の範囲内である。半結晶性コポリアミド中のモノマー(a3)の割合は、好ましくは0~2.5モル%の範囲内である。モノマー(a1)、(a2)および(a3)の割合は、使用するジアミンの合計に相当し、合計で50モル%となる。
【0018】
半結晶性コポリアミド中のモノマー(a4)の割合は、47.5~50モル%の範囲内であることが好ましい。コポリアミド中のモノマー(a5)の割合は、0~2.5モル%の範囲内であることが好ましい。モノマー(a4)および(a5)の割合は、使用するジカルボン酸の合計に相当し、合計で50モル%となる。
【0019】
少なくとも1つのモノマー(a3)は、エチレンジアミン、ブタンジアミン、ペンタンジアミン、メチルペンタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、メチルオクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,4-シクロヘキサンジアミン、1,3-シクロヘキサンジアミン、ビス-(4-アミノ-3-メチル-シクロヘキシル)メタン、ビス-(4-アミノ-シクロヘキシル)メタン、イソホロンジアミン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミンビス(アミノシクロヘキシル)プロパンおよびそのアルキル誘導体、ノルボルナンジアミン、およびビス(アミノメチル)ノルボルナンからなる群から選択されることが好ましい。
【0020】
少なくとも1つのモノマー(a3)が選択されるさらなる好ましい群は、ペンタンジアミン、メチルペンタンジアミン、メチルオクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ビス-(4-アミノ-3-メチル-シクロヘキシル)メタン、ビス-(4-アミノ-シクロヘキシル)メタン、イソホロンジアミン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、m-キシリレンジアミンおよびp-キシリレンジアミンからなる。
【0021】
少なくとも1つのモノマー(a3)は、ペンタンジアミン、メチルペンタンジアミン、メチルオクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ビス-(4-アミノ-3-メチル-シクロヘキシル)メタン、ビス-(4-アミノ-シクロヘキシル)メタンおよびイソホロンジアミンからなる群より選択されることが特に好ましい。
【0022】
モノマー(a3)としては、ビス-(4-アミノ-3-メチル-シクロヘキシル)メタン、ビス-(4-アミノ-シクロヘキシル)メタンおよび/またはイソホロンジアミンがより特に好ましく用いられる。
【0023】
少なくとも1つのモノマー(a5)は、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、1,9-ノナン二酸、1,10-デカン二酸、1,11-ウンデカン二酸、1,12-ドデカン二酸、1,13-トリデカン酸、1,14-テトラデカン二酸、1,15-ペンタデカン酸、1,16-ヘキサデカン二酸、1,17-ヘプタデカン二酸、1,18-オクタデカン二酸、アラキジン酸、日本酸、ベヘン酸、シクロヘキサン二酸、フェニルインダンジカルボン酸(phenylindanedicarboxylic acid)、フェニレンジオオキシ二酢酸(phenylenediooxydiacetic acid)、および36または44個の炭素原子を有する二量体脂肪酸からなる群から選択されることが好ましい。
【0024】
少なくとも1つのモノマー(a5)が選択されるさらなる好ましい群は、イソフタル酸、テレフタル酸、1,10-デカン二酸、1,12-ドデカン二酸、1,14-テトラデカン二酸、および1,16-ヘキサデカン二酸からなる。
【0025】
少なくとも1つのモノマー(a5)は、イソフタル酸、テレフタル酸、1,10-デカン二酸および1,12-ドデカン二酸からなる群から選択されることが特に好ましい。
【0026】
モノマー(a5)としては、イソフタル酸および/またはテレフタル酸がより特に好ましく用いられる。
【0027】
半結晶性コポリアミド(成分A)は、ラクタムおよびアミノ酸のいずれも含まないことが好ましい。
【0028】
半結晶性コポリアミドは、20°Cで100mlのm-クレゾール中に0.5g用いて測定した相対粘度が1.45~2.10であることが好ましく、1.50~2.05であることが特に好ましく、1.55~1.98であることがより特に好ましい。
【0029】
半結晶性コポリアミドのガラス転移温度は、50~200℃の範囲内であることが好ましく、60~190℃の範囲内であることがより好ましく、65~90℃の範囲内であることが特に好ましい。
【0030】
半結晶性コポリアミドの融点は、好ましくは180~260℃の範囲内、より好ましくは205~245℃の範囲内、特に好ましくは210~235℃の範囲内である。
【0031】
半結晶性コポリアミドの結晶化温度は、好ましくは130~200℃の範囲内、より好ましくは140~200℃の範囲内である。
【0032】
さらなる好ましい実施形態においては、半結晶性コポリアミドの結晶化速度が、好ましくは12~50J/g minの範囲内、特に好ましくは15~47J/g minの範囲内、より特に好ましくは23~45J/g minの範囲内である。
【0033】
本発明に係るコポリアミドは、好ましくは1つ以上、特に好ましくは全て、先に命名された特性(相対粘度、ガラス転移温度、融点、結晶化温度、結晶化速度)を有することができる。
【0034】
ポリアミド成形化合物
本発明に係るポリアミド成形化合物は、先に定義したような半結晶性コポリアミドを含む。なお、本明細書において、ポリアミド成形化合物とは、ポリアミド成形材料と言い換えることができる。
【0035】
本発明に係るポリアミド成形化合物は、以下のものを含む、または以下のものからなることが好ましい:
I)先に定義したような少なくとも1つのコポリアミド 22~70重量%
II)少なくとも1つの充填剤 30~70重量%、および
III)少なくとも1つの添加剤 0~8重量%。
【0036】
ここで、成分(III)は、成分(II)とは異なり、成分(I)~(III)の量の割合は、合計で100重量%となる。
【0037】
ポリアミド成形化合物中の成分(I)の割合は、ポリアミド成形化合物の全重量に対して、29~64.9重量%の範囲内であることが好ましく、36~59.8重量%の範囲内であることが特に好ましい。
【0038】
ポリアミド成形化合物中の成分(II)の割合は、ポリアミド成形化合物の全重量に対して、35~65重量%の範囲内であることが好ましく、40~60重量%の範囲内であることが特に好ましい。
【0039】
成形化合物中の成分(III)の割合は、ポリアミド成形化合物の全重量に対して、0.1~6重量%の範囲内であることが好ましく、0.2~4重量%の範囲内であることが特に好ましい。
【0040】
射出成形または押出成形による成形部品への熱可塑性プロセスにおけるポリアミド成形化合物の挙動は、成形化合物の一連の熱特性に影響される。
【0041】
サイクルタイムは射出成形プロセスの経済性に大きな影響を及ぼす。成形部品が変形またはエジェクタマークなしで離型できるほど十分に安定するまで、ツール内の成形化合物の冷却時間は制限される。理想的には、成形化合物も、ツールにおける冷却時間中に完全に結晶化されるべきである。離型後の結晶化の遅延は、収縮と変形をもたらす。高速結晶化成形化合物は、結晶化速度が速く、サイクルタイムが短いという特徴がある。
【0042】
融点が低いと、質量温度が低くなる可能性があるため、エネルギーを節約できる。同時に、それに関連する成形化合物の熱劣化および変色を防止する。
【0043】
しかしながら、同時に、結晶化の温度および速度はそれほど高くなくてもよく、成形化合物は、コールドツールの表面に接触すると直ちに凝固する(solidify)。成形化合物の早期凝固を伴わない有効な保持圧力が、表面の正確な離型に必要である。本発明に係る成形化合物は、通常の壁厚を有するポリアミド成形化合物の熱伝導率によって規定される最小冷却時間内に、良好な結晶化度を有する非常に良好な表面を達成する。
【0044】
さらに、高い弾性率で表される高剛性の成形体が望まれる。
【0045】
高光沢表面の場合、通常、ツール温度はガラス転移温度よりも高くなければならない。ただし、ツールの温度が高すぎると、冷却時間が不必要に長くなり、成形部品表面に固着(sticking)や除去マークが発生する可能性がある。
【0046】
また、ツール温度が190~200℃の場合には、水を熱媒体としての熱伝達オイルで置き換えなければならないことに留意しなければならない。その場合、高価な建設措置がさらに必要となる。ツール温度制御のための追加コストおよび長いサイクルタイムの両方は、成形化合物から製造される部品のコストを増加させるため、成形化合物にとって不利となる。
【0047】
本発明に従って製造される成形体は、ISO527に準拠して測定される弾性率が、少なくとも5000Mpaであることが好ましく、少なくとも8000Mpaであることがより好ましく、少なくとも12000MPaであることが特に好ましい。
【0048】
本発明に従って製造される成形体は、60°での乾燥状態において、DIN EN 2813(2015)に準拠して測定される表面光沢値が、70~100GUであることが好ましい。
【0049】
本発明に従って製造される成形体は、60°でのコンディショニング状態において、DIN EN 2813(2015)に準拠して測定される表面光沢値が、60~100GUであることが好ましい。
【0050】
本発明に従って製造される成形体は、先に命名された特性(弾性率および光沢値)の好ましくは1つ以上、特に好ましくは全てを有することができる。
【0051】
成分(II)
充填剤(成分(II))という用語は、繊維状または針状の充填剤、粒子状の充填剤、およびそれらの混合物を含む。
【0052】
充填剤は、好ましくは、コーティングまたは表面処理することができ、すなわち、それらは、適切な仕上げ剤または結合剤システム(system)を備えることができ、あるいは他の方法で(otherwise)表面活性化することができる。ウレタン、シラン、エポキシド、ポリアミド、ポリヒドロキシエーテル、アクリレート、それらのそれぞれの組合せまたはそれらの混合物に基づくシステムを、例えば、この目的のために使用することができる。平滑化剤または結合剤システムは、静電防止剤または鋳型潤滑剤(離型剤)などの他の補助剤を含むこともできる。
【0053】
繊維状または針状充填剤は、好ましくは、ガラス繊維、炭素繊維、玄武岩繊維、スラグ繊維、金属繊維、ウィスカー、鉱物繊維、ウォラストナイト、すりガラス繊維、すり炭素繊維(ground carbon fiber)、すり鉱物繊維(ground mineral fiber)、およびそれらの混合物からなる群から選択される。繊維状または針状充填剤は、特に好ましくは、ガラス繊維、炭素繊維、玄武岩繊維、およびそれらの混合物からなる群から選択される。繊維または針状充填剤としては、ガラス繊維のみを用いることがより特に好ましい。
【0054】
ガラス繊維または炭素繊維には、安定繊維(stable fiber(ステープルファイバー))または連続繊維(ロービング)を用いることができる。
【0055】
ガラス繊維または炭素繊維は、円形(round)、卵形(oval)、楕円形(elliptical)、角形(angular)または矩形(rectangular)の断面を有する。非円形断面を有する繊維(「扁平繊維(flat fiber)」)、特に、卵形、楕円形、角形または矩形を有する繊維も使用することができる。
【0056】
ガラス繊維の外観は、延伸または螺旋状とすることができる。
【0057】
A-、C-、D-、E-、E-CR-、L-、LD-、M-、NE-、S-、R-、AR-ガラスまたはそれらの任意の所望の混合物などの全てのガラスタイプからのガラス繊維を使用することができる。E-ガラスからのガラス繊維またはE-ガラスとの混合物からのガラス繊維またはE-ガラス繊維との混合物が好ましい。
【0058】
短ガラス繊維(ステープルガラス繊維)の繊維長は、好ましくは1~25mm、より好ましくは1.5~20mm、特に好ましくは2~12mm、より特に好ましくは2~8mmである。
【0059】
ガラス繊維の直径は、好ましくは5~20μm、より好ましくは5~15μm、特に好ましくは6~12μmである。
【0060】
ガラス繊維を引抜成形プロセスで連続繊維(ロービング)として用いる場合には、直径が20μm以下(最大20μm)であることが好ましく、18μm以下であることがより好ましく、10~17μmであることが特に好ましい。
【0061】
炭素繊維の直径は、3~12μmであることが好ましく、4~10μmであることがより好ましく、4~9μmであることが特に好ましい。
【0062】
扁平繊維の場合、アスペクト比、すなわち、副(secondary)断面軸に対する主(main)断面軸の比は、1.5~8、好ましくは2~6、特に好ましくは3~5である。
【0063】
扁平繊維からは、扁平ガラス繊維が特に好ましい。
【0064】
扁平ガラス繊維の断面軸の長さは、3~30μmである。副断面軸の長さは、好ましくは3~20μm、特に好ましくは4~10μm、主断面軸の長さは、好ましくは6~40μm、特に好ましくは12~30μmである。
【0065】
粒子状充填剤は、ドロマイト、ケイ酸塩、石英、タルカン、マイカ、カオリン、パーライト、シリカ、沈降性(precipitate)または発熱性の二酸化ケイ素、珪藻土、二酸化チタン、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、粉砕(ground)または沈降炭酸カルシウム、チョーク、カルシウム、石灰石ダスト、スレート粉、長石、炭酸バリウム、硫酸バリウム、合成ケイ酸シート(sheet silicate)、天然ケイ酸シート、永久磁性もしくは磁化可能な金属または合金、ガラスフレーク、ガラス球、中空ガラス球、中空球状ケイ酸塩充填剤、およびそれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。粒子状充填剤は、ケイ酸塩、石英、タルカン、マイカ、カオリン、パーライト、シリカ、沈降性または発熱性の二酸化ケイ素、珪藻土、二酸化チタン、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、粉砕または沈降炭酸カルシウム、チョーク、カルシウム、石灰石ダスト、スレート粉、長石、炭酸バリウム、硫酸バリウム、合成ケイ酸シート、天然ケイ酸シート、ガラスフレーク、ガラス球、中空ガラス球、中空球状ケイ酸塩充填剤、およびそれらの混合物からなる群から選択されることが特に好ましい。粒子状充填剤は、ケイ酸塩、タルカン、マイカ、カオリン、二酸化チタン、粉砕または沈降炭酸カルシウム、チョーク、石灰石ダスト、スレート粉、合成ケイ酸シート、天然ケイ酸シート、ガラスフレーク、ガラス球、中空ガラス球、およびそれらの混合物からなる群から選択されることがより特に好ましい。
【0066】
本発明に係るポリアミド成形化合物中の充填剤(成分(II))としては、少なくとも1つの繊維状もしくは針状充填剤、または、少なくとも1つの繊維状もしくは針状充填剤と少なくとも1つの粒子状充填剤との混合物を用いることが好ましい。
【0067】
少なくとも1つの繊維状または針状充填剤と少なくとも1つの粒子状充填剤との混合物を使用する場合、粒子状充填剤の割合は、充填剤の総量の半分以下(最大半分)、好ましくは3分の1以下、特に好ましくは4分の1以下を占める。
【0068】
本発明に係るポリアミド成形化合物中の充填剤としては、繊維状または針状充填剤のみを使用することが特に好ましい。
【0069】
成分(III)
本発明の好ましい実施形態によれば、少なくとも1つの添加剤(成分(III))は、無機および有機安定剤、特に酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、特にUV安定剤、UV吸収剤、またはUV遮断剤、鋳型潤滑剤、染料、マーキング剤、顔料、ブラックカーボン、グラファイト、グラフェン、ポリアミドオリゴマー、カーボンナノチューブ、フォトクロミック剤、静電防止剤、離型手段、抗ブロッキング剤、鎖延長添加剤、鎖短縮添加剤、光増白剤、IR吸収剤、NIR吸収剤、非ハロゲン防炎剤、金属顔料、金属フレーク、金属被覆粒子、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0070】
ポリアミドオリゴマーの数平均モル質量は、好ましくは1000~6000g/モル、特に好ましくは2500~4500g/モルであり、トリプル検出器を備えたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される。
【0071】
少なくとも1つの添加剤は、マスターバッチ形式で添加することもできる。マスターバッチのベースポリマーとして、ポリアミドを用いることが好ましい。このポリアミドは、好ましくはPA6、PA66、PA12、PA1012、PA1212、PA6/12、PA6/66、PA6/69およびそれらの混合物からなる群から選択されるか、またはコポリアミド(A)自体からなる。
【0072】
成形体
本発明によれば、前述のコポリアミドまたは成形化合物から製造することができる成形体が同様に提供される。本発明に係る成形体は、本発明に係るコポリアミドまたはポリアミド成形化合物から、射出成形法などの通常の加工技術により製造することができる。
【0073】
好ましい実施形態は、成形体が、自動車の客室またはトランクにおいて、家庭用、機械工学において、電気機器(device)、電子機器、家庭用電化製品、家具、特にファンブレード、ギアスティック、ロッカースイッチ、ボタン、回転制御装置(rotary control)、ストラップ、シート調節用操作要素、ステアリングコラム上の操作要素、操作レバー、操作要素、引き出し、アクセサリー用ホルダー、飲料ホルダー、ラゲッジフック、カバー、ライトスイッチ、カミソリヘッド、シザー部品、ねじ付きロッド(threaded rod)、特にインスリンポンプ、ハウジング、および装飾要素用の、機能を有するまたは有さないラッカー塗装されていない可視部品(non-lacquered visible part)からなる群から選択されることを提供する。
【0074】
使用
本発明はさらに、自動車の客室またはトランクにおいて、家庭用、機械工学において、電気機器、電子機器、家庭用電化製品、家具、特にファンブレード、ギアスティック、ロッカースイッチ、ボタン、回転制御装置、ストラップ、シート調節用操作要素、ステアリングコラム上の操作要素、操作レバー、操作要素、引き出し、アクセサリー用ホルダー、飲料ホルダー、ラゲッジフック、カバー、ライトスイッチ、カミソリヘッド、シザー部品、ねじ付きロッド、特にインスリンポンプ、ハウジング、および装飾要素用の、機能を有するまたは有さないラッカー塗装されていない可視部品を製造するための、本発明に係る上記のポリアミド成形化合物の使用に関する。
【0075】
本発明に係る主題は、本明細書に示される特定の実施形態に限定されることなく、以下の実施例を参照してより詳細に説明される。
【0076】
実施例と比較例
測定方法
【0077】
相対粘度
ISO307(2007)に従って20℃で相対粘度を測定した。この目的のために、0.5gのポリマーペレットを100mlのm-クレゾールに量り入れた(weigh into);RV=t/t0に従った相対粘度(RV)の計算は、規格のセクション11に基づいて行われた。
【0078】
ガラス転移温度(Tg)、結晶化熱、融解熱、および融点
測定は、SO11357-3(2013)に従ってペレットで行われた。示差走査熱量測定(DSC)を20K/分の加熱速度で3つの加熱ステップの各々で行った。冷却は最初の加熱後20K/分で行った。試料は第2の加熱後にドライアイス中で急冷した(quench)。ガラス転移温度(Tg)は、第3の加熱で、融点は第2の加熱で測定された。結晶化温度および結晶化速度は最初の加熱後の冷却で測定された。
ピーク最高温度は融点で規定される。ここではガラス転移温度(Tg)として規定される、ガラス転移範囲の中心を「ハーフハイト(half height)」法を用いて測定した。
【0079】
60°での光沢値
測定角度60°での光沢値は、DIN EN ISO2813(2015)に従って、23℃で、寸法60×60×2mmのプレートで、光沢計(ATP Messtechnik GmbH,ドイツ)により測定した。表示はグロスユニット(GU)である。
【0080】
弾性率
弾性率の測定は、ISO527(2012)に準拠し、23℃、引張速度1mm/分で、規格:ISO/CD3167(2003)に従って製造されたISO引張ロッド(タイプA1、質量170×20/10×4)を用いて行った。
【0081】
モル質量測定
モル質量の測定は、屈折率、粘度および光散乱(7°および90°)のトリプル検出器を備えた、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて行われた。
試料を、測定のためにヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)(1ml中に約5mgのポリマー)で溶解し、充填前に使い捨て(disposable)シリンジフィルターによってバイアルで濾過する。
ユニット:Malvern OMNISEC GPC-システム
ソフトウェア:Malvern OMNISEC バージョン 10.41
カラム:Malvern HFIP3000+HFIP6000M
300×7.8mm、粒径10μm
溶離液:0.1Mトリフルオロ酢酸カリウムを含むHFIP
カラム温度:40℃
検出器温度:40℃
流量1.0ml/分
【0082】
分子量(数平均Mnおよび重量平均Mw)は、トリプル検出法を用いて測定する。GPCシステムのキャリブレーションは、単分散PMMA標準を用いて行われる。それぞれ3回の測定を行う。分子量の算術平均を示す。
【0083】
溶媒HFIPは、、ドイツのFluorochemからHPLC品質で入手し、トリフルオロ酢酸カリウムは、スイスのSigma-Aldrichから入手した。
【0084】
使い捨てフィルターは、スイスのChemie BrunschwigからSFPTFE0250022NBC(PTFEメンブレン、孔径0.45μm、フィルター直径25mm)という名称で入手できる。
【0085】
処理(disposal)フィルターは、ドイツのVWR International GmbHから入手できる。
【0086】
試験片の製造
含水率が0.1重量%未満のペレットを用いて試験片を製造した。
【0087】
試験片は、Arburg社の射出成形機、モデルAllrounder 420 C 1000-250で製造した。このプロセスでは、フィード(feed)からノズルまでのシリンダー温度の上昇と下降を用いた。
【0088】
ISO引張ロッド
シリンダー温度:260/265/270/275/280/275℃
ツール温度:110℃
【0089】
プレート60×60×2mm
シリンダー温度:270/275/280/285/290/285℃
ツール温度:110℃
【0090】
研磨ツールを、プレートの製造に用いた。
特記のない限り、試験片は乾燥状態で使用した;この目的のために、それらを、乾燥環境、すなわちシリカゲル上で、室温で射出成形後少なくとも48時間保管した。
【0091】
コンディショニング状態における表面光沢測定のための60×60×2mmプレートを、ISO1110に従って7日間、70℃および62%相対湿度で保管した。
【0092】
出発物質
実施例および比較例で使用したモノマーを表1に示し、使用したポリアミド成形化合物の成分(II)および(III)を表2に示す。
【0093】
【0094】
【0095】
コポリアミドの一般的な製造規則
本発明に係るコポリアミドの製造は、提示容器(presentation vessel)および反応容器を有する公知の撹拌可能な圧力式オートクレーブにおいて、それ自体が公知の方法で行われる。
【0096】
提示容器に脱イオン水を提示し、モノマーおよび可能な添加剤を添加する。不活性化(inertization)を、窒素ガスを用いて複数回行う。均一な溶液を得るために、採用された圧力で撹拌しながら、180~230℃に加熱する。この溶液を、スクリーンを通して反応容器内にポンプで注入し、最大30バールの圧力で250~300℃の所望の反応温度まで加熱する。この調製物を、圧力相(phase)で、2~4時間反応温度に維持する。次の膨張相では、1~2時間以内に圧力を大気圧まで減圧し、温度を少し下げることができる。次の脱気相では、調製物を温度250~300℃、大気圧で0.5~6時間維持する。溶融ポリマーはストランド状に排出され、水浴中で10~80℃に冷却され、ペレット化される。ペレットを60~120℃で窒素下または真空中(in vacuum)で含水率0.1重量%未満に乾燥する。
【0097】
重縮合反応を促進するのに適した触媒は、H3PO2、H3PO3、H3PO4などのリンを含む酸、それらの塩または有機誘導体である。触媒は、ポリアミドに対して、好ましくは0.01~0.5重量%の範囲内、特に好ましくは0.03~0.1重量%の範囲内で混合される。
【0098】
脱気中の泡形成を回避するのに適した消泡剤は、シリコーンまたはシリコーン誘導体を含み、ポリアミドに対して、好ましくは0.01~1.0重量%、特に好ましくは0.01~0.10重量%の量で使用される水性10%エマルジョンである。
【0099】
相対粘度、したがってモル質量の設定は、それ自体公知の方法、例えば、鎖調節剤としての単官能アミンもしくはカルボン酸、および/または二官能ジアミンもしくはジカルボン酸を介して行うことができる。本発明に係るコポリアミドのための好ましい単官能性鎖調節剤は、安息香酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸(butylic acid)、吉草酸(valericanic acid)、カプリン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、2-エチルヘキサン酸、シクロヘキサン酸、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、2-エチルヘキシルアミン、n-オクチルアミン、n-ノニルアミン、n-ドデシルアミン、n-テトラデシルアミン、n-ヘキサジジルアミン(n-hexadidcylamine)、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン、3-(シクロヘキシルアミノ)プロピルアミン、メチルシクロヘキシルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、2-フェニルエチルアミン、アニリン、またはトリアセトンジアミンである。鎖調節剤は単独で使用してもよいし、組み合わせて使用してもよい。他の単官能化合物も、アミノ基または酸基、例えば、無水物、イソシアネート、酸ハロゲン化物、アミド、またはエステルなどと反応することができる鎖調節剤として使用することができる。単官能性鎖調節剤の典型的な使用量は、コポリアミド1kg当たり10~200mmolである。
【0100】
実施例2に係るコポリアミドの製造
実施例2の本発明に係るコポリアミドPA66/1,3-BAC6の製造について以下に説明する:
【0101】
1.80kgの脱イオン水を20l圧力オートクレーブの提示容器に入れ、3.68kgの1,6-ヘキサン二酸を撹拌した。1.63kgの1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1.63kgの1,6-ヘキサンジアミン、消泡剤として1,2gのAntifoam RD10重量%エマルジョン、最後に、連鎖制御剤(chain controller)として、15gの安息香酸を添加した。次いで、手順を以下のように実施した:
・210℃までの加熱を、10回(10×)の不活性化後に行った。均一な溶液を、スクリーンを通して210℃で反応容器にポンプで注入した。
・調製物を撹拌しながら290℃に加熱し、20barの圧力相に2時間保持した。圧力を1.5時間以内に大気圧まで緩和し、その後290℃で1時間脱気した。
・溶融ポリマーを排出し、水浴(20℃)中で冷却し、ペレット化した。ペレットを真空(30mbar)中、100℃で含水率0.1重量%未満まで乾燥した。
生成物の相対粘度は、1.74であった;ガラス転移温度は72℃、融点は220℃であった。
【0102】
本発明に係るポリアミド成形化合物の一般的な製造規則
本発明に係るポリアミド成形化合物を製造するために、成分(I)、(II)、および任意に(III)を、一軸もしくは二軸押出機またはスクリュー混練機などの従来の配合機で混合する。ここで、これらの成分は、個別に計量されるか、または重量測定もしくは体積測定のトロリーを介して、乾燥ブレンドの形で、フィードまたはサイドフィーダにそれぞれ供給される。
【0103】
添加剤(成分(III))を使用する場合は、直接またはマスターバッチの形で導入できる。マスターバッチの担体材料は、ポリアミドまたはポリオレフィンであることが好ましい。これに対しては、ポリアミドの中でも、コポリアミド(I)が特に適している。
【0104】
コポリアミドの乾燥ペレット、および任意に添加剤(III)を、乾燥ブレンド調製のために、密閉容器中で混合する。この混合物を、ウォブルミキサー、タンブルミキサー、またはタンブル乾燥機を用いて10~40分間均質化する。均質化は、吸湿を避けるために、乾燥した保護ガスの下で行うことができる。
【0105】
調合(compounding)は、シリンダー温度を250~310℃に設定して行い、第1シリンダーの温度を90℃未満に設定できる。脱気はノズルの前で行うことができる。これは、真空または大気によって行うことができる。溶融物(melt)をストランド状に排出し、水浴中で10~80℃に冷却した後、ペレット化する。あるいは、溶融物は、切断装置を有する多孔板(perforated plate)を介して水浴に圧入することもでき、切断されたペレットを後処理経路中で分離することができる(水中ペレット化)。ペレットを60~120℃で窒素下または真空中で含水率0.1重量%未満に乾燥する。
【0106】
実施例18に係るポリアミド成形化合物の製造
実施例2のコポリアミドの乾燥ペレットと、添加剤(IIIM)とを混合して、乾燥ブレンドを形成し、実際には、表6の実施例18に示される比率であった。この混合物を、タンブルミキサーを用いて、約20分間均質化した。
【0107】
ポリアミド成形化合物は、Werner&PfleidererタイプZSK25の二軸押出機で製造した。ここで、乾燥ブレンドは、計量スケールを介してフィードに量り入れた。ガラス繊維(II-1)を、ノズルの前に、計量スケールおよびサイドフィーダの6つのハウジングゾーン(side feeder 6 housing zones)によって溶融物中に搬送した。
【0108】
第1ハウジングの温度は50℃に設定した;残りのハウジングの温度は260~280℃に設定した。速度は250r.p.m、スループットは15kg/hとした。脱気は行わなかった。溶融ストランドを水浴中で冷却し、切断し、得られたペレットを、真空(30mbar)中で、100℃で24時間乾燥させ、含水率を0.1重量%未満にした。
【0109】
実験結果
本発明に係るコポリアミドの相対粘度(RV)、ガラス転移温度、融点、結晶化温度、および結晶化速度を測定した。対応する値は、表3の本発明に係る実施例1~5、表4の本発明に係る実施例6~12、および表5の比較例13~16に示されている。
【0110】
実施例および比較例において製造または使用される全てのコポリマーは、消泡剤としてのAntifoam RD10重量%エマルジョン(シリコーンエマルジョン、メーカー:Dow Corning S.A.,ベルギー)、および鎖調節剤としての安息香酸を含む。
【0111】
実施例17~32の本発明に係る成形化合物について、表面光沢値および弾性率に関して試験した。これらの試験結果を表6および表7に示す。
【0112】
比較例33~37の本発明によらない成形化合物について、同じ測定条件で、表面光沢および弾性率に関して等しく試験した。比較例の結果を表8に示す。
【0113】
【0114】
【0115】
【0116】
【0117】
【0118】
【0119】
結果の考察
実施例1~12の本発明に係るコポリアミドと、比較例13~16の本発明によらないコポリアミドとを比較すると、本発明に係るコポリアミドの方が融点および結晶化温度が低いことが分かる。
【0120】
実施例1~12のガラス繊維を充填した本発明に係るコポリアミドからの、実施例17~23および26~32の本発明に係るポリアミド成形化合物のプレートは、実際に乾燥状態およびコンディショニング状態の両方において、比較例33、34および36の比較材料のプレートよりも一貫して良好な光沢値を示す。
【0121】
鉱物のみ、またはガラス繊維と鉱物の混合物で充填した、実施例24および25のポリアミド成形化合物からのプレートは、最良の光沢結果を示す。
【0122】
ガラス繊維を充填した比較例35のPA1,3-BAC6の場合には、ツール温度が高いと射出マーク(ejection mark)が顕著になり、サイクルタイムが長くなりすぎるため、ツール温度80℃でしか光沢値の試験用プレートを射出できなかった。乾燥状態では、確かに光沢値は高い値に達するが、この過程では後結晶化(post-crystallization)が起こるため、コンディショニングにより大幅に低下する。
【0123】
ガラス繊維を充填した比較例36のPA66からのプレートは、表面品質が十分ではないため、可視部品に適していないことを示している。
【0124】
少なくとも5000MPaの弾性率を達成することができるために、本発明に係るポリアミド成形化合物は、比較例37のポリアミド成形化合物から分かるように、充填剤を含まなければならない。