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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】発光装置及び発光装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/62 20100101AFI20241128BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20241128BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20241128BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
H01L33/62
H01L33/50
H01L23/30 F
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020140558
(22)【出願日】2020-08-24
(65)【公開番号】P2022036385
(43)【公開日】2022-03-08
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田渕 健司
(72)【発明者】
【氏名】山下 裕介
(72)【発明者】
【氏名】呉 子優
【審査官】佐藤 美紗子
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-026276(JP,A)
【文献】特開平08-213660(JP,A)
【文献】特開2013-239644(JP,A)
【文献】特開平09-181359(JP,A)
【文献】特開2002-100701(JP,A)
【文献】米国特許第06345903(US,B1)
【文献】特開2014-216329(JP,A)
【文献】特開2000-124507(JP,A)
【文献】特開2011-198798(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長方形の上面形状を有し且つ対向する側面の各々に上面から下面にまで至る第1の切欠き及び第2の切欠きをそれぞれ有する絶縁性の基板と、
前記基板の上面において前記第1の切欠きの上端部を塞ぐように形成された第1の配線と、
前記第1の配線とは離間しておりかつ前記基板の上面において前記第2の切欠きの上端部を塞ぐように形成された第2の配線と、
前記基板の下面の前記第1の切欠きの周縁部から前記第1の切欠きの内面及び前記第1の配線の裏面まで連続的に形成された第1の電極と、
前記基板の下面の前記第2の切欠きの周縁部から前記第2の切欠きの内面及び前記第2の配線の裏面まで連続的に形成された第2の電極と、
前記第1の配線及び前記第2の配線によって給電可能に前記基板上に配された発光素子と、を含み、
前記第1の切欠き及び前記第2の切欠きの各々は、上方に向かって窄んだ形状を有し、
前記第1の電極の下面及び前記第2の電極の下面の各々は、前記第1の切欠き及び前記第2の切欠きの各々の内部にある端部が下方に垂れ下がっていることを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記第1の切欠き及び前記第2の切欠き内の前記第1の電極及び前記第2の電極の下面には金が露出しており、前記第1の電極及び前記第2の電極の前記端部の側面には金よりもはんだの濡れ性が低い金属が露出していることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記発光装置は、前記発光素子を封止するように形成された封止部材を含み、
前記封止部材は、前記発光素子から放射される光を吸収して前記発光素子から放射される光と異なる波長の光を放出する蛍光体粒子を含有していることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1つに記載の発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置及び発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)等の発光素子を光源として用いた小型の発光装置としてチップLEDといわれる表面実装型LEDが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、発光ダイオード素子を搭載するエポキシ樹脂基板の側面及び下面に電極を設けかつ、当該エポキシ樹脂基板に半円状のスルーホールを設けたチップ型発光ダイオードが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-181359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示されたチップ型発光ダイオードにおいて、例えば、用いるエポキシ樹脂基板の厚い場合、発光ダイオード素子の搭載位置が高くなることによりチップ型発光ダイオードの重心位置が高くなる。このような重心位置が高いチップ型発光ダイオードは、実装基板にチップ型発光ダイオードを実装する際のリフロー時に実装基板上でチップ型発光ダイオードが立ち上がるマンハッタン現象(又はツームストーン現象)やチップ型発光ダイオードの転倒が発生し、実装不良となる可能性がある。
【0006】
本発明は、上記点に鑑みてなされたものであり、実装基板への実装時に実装不良を抑えるチップLED型の発光装置及びその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る発光装置は、長方形の上面形状を有し且つ対向する側面の各々に上面から下面にまで至る第1の切欠き及び第2の切欠きをそれぞれ有する絶縁性の基板と、前記基板の上面において前記第1の切欠きの上端部を塞ぐように形成された第1の配線と、前記第1の配線とは離間しておりかつ前記基板の上面において前記第2の切欠きの上端部を塞ぐように形成された第2の配線と、前記基板の下面の前記第1の切欠きの周縁部から前記第1の切欠きの内面及び前記第1の配線の裏面まで連続的に形成された第1の電極と、前記基板の下面の前記第2の切欠きの周縁部から前記第2の切欠きの内面及び前記第2の配線の裏面まで連続的に形成された第2の電極と、前記第1の配線及び前記第2の配線によって給電可能に前記基板上に配された発光素子と、を含み、前記第1の切欠き及び前記第2の切欠きの各々は、上方に向かって窄んだ形状を有していることを特徴としている。
【0008】
また、本発明に係る発光装置の製造方法は、絶縁性の基板及び前記基板の上面及び下面に形成された銅箔層を有する基板構造体を用意する工程と、前記基板構造体の上面において1の配列方向に沿って複数列配列された複数の矩形領域の各々の前記1の配列方向と垂直な方向において対向する二辺の一方及び他方に前記基板構造体の下面から前記基板の上面に形成された銅箔層の裏面に至る第1の切欠き及び第2の切欠きを前記基板構造体の下面からレーザを照射することでそれぞれ形成する切欠き形成工程と、前記基板の前記上面及び前記基板の前記下面から前記第1の切欠き及び前記第2の切欠きのそれぞれの内面に第1の銅層を無電解めっきによって形成する無電解めっき工程と、前記基板の前記上面及び前記基板の前記下面の前記第1の銅層の各々を覆うように第2の銅層を電解めっきによって形成する第1の電解めっき工程と、前記基板の上面において前記銅箔層、前記第1の銅層及び前記第2の銅層をそれぞれエッチングして前記複数の矩形領域の各々の上面において互いに離間した第1の配線及び第2の配線のパターンを形成し、かつ前記基板の下面において、前記銅箔層、前記第1の銅層及び前記第2の銅層をそれぞれエッチングして、前記複数の矩形領域の各々の下面において互いに離間した第1の電極及び第2の電極のパターンを形成するパターニング工程と、前記銅箔層、前記第1の銅層及び前記第2の銅層の各々を覆うようにニッケル層及び金層を電解めっきによって形成する第2の電解めっき工程と、前記基板構造体を前記第1の切欠き及び前記第2の切欠きをそれぞれ通る前記1の配列方向に沿った複数のダイシングラインにそって切断して個片化するダイシング工程と、を含むことを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例に係る発光装置の斜視図である。
図2】本発明の実施例に係る発光装置の上面図である。
図3】本発明の実施例に係る発光装置の下面図である。
図4】本発明の実施例に係る発光装置の側面図である。
図5】本発明の実施例に係る発光装置の搭載基板のレイアウトを示す図である。
図6】本発明の実施例に係る発光装置の切欠きの側面視の拡大図である。
図7】本発明の実施例に係る発光装置の切欠きの断面の拡大図である。
図8】本発明の実施例に係る発光装置の製造フローを示す図である。
図9】本発明の実施例に係る発光装置の製造時の1ステップにおける断面図である。
図10】本発明の実施例に係る発光装置の製造時の1ステップにおける断面図である。
図11】本発明の実施例に係る発光装置の製造時の1ステップにおける断面図である。
図12】本発明の実施例に係る発光装置の製造時の1ステップにおける断面図である。
図13】本発明の実施例に係る発光装置の製造時の1ステップにおける断面図である。
図14】本発明の実施例に係る発光装置の製造時の1ステップにおける断面図である。
図15】本発明の実施例に係る発光装置の製造時の1ステップにおける断面図である。
図16】本発明の実施例に係る発光装置の製造時の1ステップにおける断面図である。
図17】本発明の実施例に係る発光装置の製造時の1ステップにおける断面図である。
図18】本発明の実施例に係る発光装置の製造時の1ステップにおける断面図である。
図19】本発明の実施例に係る発光装置の製造時の1ステップにおける断面図である。
図20】本発明の実施例に係る発光装置の製造時の1ステップにおける側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の実施例について詳細に説明する。尚、以下の説明及び添付図面においては、実質的に同一又は等価な部分には同一の参照符号を付している。尚、以下の説明において、「材料1/材料2」との記載は、材料1の上に材料2が積層された積層構造を示す。また、「材料1-材料2」は材料1及び2による合金を示し、「材料1-材料2-材料3」又は「材料1材料2材料3」との記載は、材料1及至3による合金を示す。
【実施例
【0011】
図1は、発光装置100の模式的な斜視図を示している。また、図2は、発光装置100の上面図を示している。また、図3は、発光装置100の下面図を示している。
【0012】
発光装置100は、基板構造体10と、基板構造体10上に載置された発光素子30と、基板構造体10の上面上に基板構造体10の上面及び発光素子30を覆うように形成された封止部材40と、を有する。
【0013】
基板構造体10は、基板11と、基板11の上面に形成された第1の配線21及び第2の配線22と、基板10の下面に形成された第1の電極23及び第2の電極24と、を含む。
【0014】
基板11は、例えば、ガラス繊維にエポキシ樹脂をしみ込ませ熱硬化処理を施したガラスエポキシからなる長方形の上面形状を有する板状の絶縁性基板である。また、基板11には、図2及び図3に示すように、短辺の各々に基板11の上面から下面にまで貫通している第1の切欠き12及び第2の切欠き13が形成されている。言い換えれば、発光装置100は、長方形の上面形状を有し且つ対向する側面の各々に上面から下面にまで至る第1の切欠き12及び第2の切欠き13をそれぞれ有する絶縁性の基板11を含む。
【0015】
第1の切欠き12及び第2の切欠き13は、それぞれ短辺の端部から短辺と垂直方向に伸長する直線部分すなわち矩形部分と当該矩形部分の1の辺を直径としており当該矩形部分と連続して形成されている半円部分からなる砲弾型の平面形状を有している。言い換えれば、第1の切欠き12及び第2の切欠き13は、基板11から半円柱及び当該半円柱の直径を1の辺とする直方体を切り取った部分となっている。第1の切欠き12及び第2の切欠き13は、上記砲弾形状の先端部が互いに対向する様に形成されている。
【0016】
また、基板11の上面には、互いに離間した第1の配線21及び第2の配線22が形成されている。第1の配線21及び第2の配線22の各々は、基板11の短辺の各々の端部まで伸長するように形成されている。また、第1の配線21及び第2の配線22は、基板11の第1の切欠き12及び第2の切欠き13の部分においても基板11の上面を含む面に沿って延在している。すなわち、発光装置100は、基板11の上面において第1の切欠き12の上端部を塞ぐように形成された第1の配線21と、第1の配線21とは離間しておりかつ基板11の上面において第2の切欠き13の上端部を塞ぐように形成された第2の配線22と、を含む。
【0017】
また、基板11の下面には、互いに離間した第1の電極23及び第2の電極24が形成されている。図2及び図3に示すように、第1の電極23は、基板11の下面から第1の切欠き12の内面にまで延在している。また、第2の電極24は、基板11の下面から第2の切欠き13の内面にまで延在している。
【0018】
第1の電極23は基板11の短辺の第1の配線21が形成されている辺の端部まで伸長するように形成されておりかつ、第1の切欠き12内の内面である側面及び第1の配線21に塞がれている上端まで連続的に形成されている。具体的には、第1の電極23は、第1の切欠き12の側面及び第1の電極21の下面を覆うように形成されている。すなわち、第1の電極23は、基板11の下面から第1の切欠き12の内面及び上端面、すなわち第1の配線21の下面に至るまで連続的に形成されることで第1の配線21と電気的に接続されている。
【0019】
同様に、第2の電極24は基板11の短辺の第2の配線22が形成されている辺の端部まで伸長するように形成されておりかつ、第2の切欠き13の内面である側面及び第2の配線22に塞がれている上端まで連続的に形成されている。具体的には、第2の電極24は、第2の切欠き13の側面及び第2の電極22の下面を覆うように形成されている。すなわち、第2の電極24は、基板11の下面から第2の切欠き13の内面及び上端面、すなわち第2の配線22の下面に至るまで連続的に形成されることで第2の配線22と電気的に接続されている。
【0020】
すなわち、発光装置100は、基板11の下面の第1の切欠き12の周縁部から第1の切欠き12の内面及び第1の配線21の裏面まで連続的に形成された第1の電極23と、基板11の下面の第2の切欠き13の周縁部から第2の切欠き13の内面及び第2の配線22の裏面まで連続的に形成された第2の電極24と、を含む。
【0021】
上記より、基板11の第1の切欠き12及び第2の切欠き13は、基板11の上面側においては第1の配線21及び第2の配線22によって覆われており、基板11の下面側においては開口されている。
【0022】
また、図3に示すように、基板11の下面の第1の電極23及び第2の電極24の離間している間には、カソード電極を示すソルダーレジスト膜REが形成されている。
【0023】
発光素子30は、第1の配線21の上面上に載置されている。なお、発光素子30は、図示しない接着剤によって固着されている。発光素子30は、例えば、サファイア等の成長基板上に窒化ガリウム系の半導体層が形成された青色の光を放射する半導体発光素子である。半導体層は、例えば、成長基板の側からn型の窒化ガリウム層(n-GaN)、窒化インジウムガリウム(InGaN)系の量子井戸型の発光層、p型の窒化ガリウム層(p-GaN)の順に形成されている。また、n-GaN層及びp-GaN層にはそれぞれ電極パッドが設けられており、n-GaN層に設けられた電極パッドが発光素子30のカソード電極として機能し、p-GaNに設けられた電極パッドがアノード電極として機能する。これにより、発光素子30に電極パッドを介して電流を供給することにより、発光層から青色の光が放射される。なお、発光素子30からの光は、発光素子30のp-GaN層の側の面から放射される。すなわち、発光素子30の上面が光取り出し面として機能する。
【0024】
ボンディングワイヤBWは、発光素子30の電極パッドの各々と第1の配線21及び第2の配線22とを電気的に接続する。ボンディングワイヤBWの一方は、一端が発光素子30のカソード電極の電極パッドに接合され、他端が第1の配線21に接合されている。また、ボンディングワイヤBWの他方は、一端が発光素子30のアノード電極の電極パッドに接合され、他端が第2の配線22に接合されている。
【0025】
すなわち、基板構造体10の第1の配線21及び第2の配線22の側が素子載置面として機能し、第1の配線21及び第2の配線22がそれぞれ発光素子30のカソード電極及びアノード電極と電気的に接合される。また、第1の配線21及び第2の配線22の各々は、第1の電極23及び第2の電極24と電気的に接合されている。従って、基板構造体10の第1の電極23及び第2の電極24の側が実装基板への実装面として機能し、第1の電極23及び第2の電極24の各々が実装基板と電気的に接合される外部電極として機能する。言い換えれば、発光装置100は、第1の配線21及び第2の配線22によって給電可能に基板11上に配された発光素子30を含む。
【0026】
封止部材40は、発光素子30及びボンディングワイヤBWを封止するように形成されている。封止部材40は、例えば、蛍光体粒子が分散された樹脂材料である。蛍光体粒子は、例えば、発光素子30が放射する青色の光を吸収し、黄色の光を放出するオルトシリケート系の波長変換部材である。樹脂材料は、例えば、発光素子30が放射する青色の光及び蛍光体粒子が放出する黄色の光を透光するシリコーン樹脂等の透光部材である。すなわち、封止部材40の上面である光取り出し面からは、青色と黄色が混色された白色の光が放射される。言い換えれば、発光装置100は、発光素子30を封止するように形成された封止部材40を含み、封止部材40は、発光素子30から放射される光を吸収して発光素子30から放射される光と異なる波長の光を放出する蛍光体粒子を含有している。
【0027】
また、基板構造体10は、短辺の各々の側面において第1の配線21並びに第1の電極23及び第2の配線22並びに第2の電極24がそれぞれ露出するような構造を有している。これにより、発光装置100を製造した後又は製造過程中において、各々の配線又は電極に測定探針を接触させることにより、発光素子30の電気的な接続状態を確認することが可能となる。
【0028】
次に、図4を用いて発光装置100における第1の配線21並びに第2の配線22及び第1の電極23並びに第2の電極24の例示的な構成について説明する。
【0029】
図4は、発光装置100の側面図を示している。ここでは、第1の配線21及び第1の電極23が形成されている側からの側面図を用いて説明する。なお、第1の配線21と第2の配線22と、及び第1の電極23と第2の電極24とはそれぞれ同様の構成であり、第2の配線22と第2の電極24の積層構造については説明を省略する。
【0030】
基板11は、厚さ200umのガラスエポキシ樹脂である。
【0031】
第1の配線21は、基板11の上面上に第1の切欠き12を塞ぐように、基板11の上面から順に第1の金属層M1、第2の金属層M2、第3の金属層M3、第4の金属層M4、第5の金属層M5が積層されている。
【0032】
第1の金属層M1は、例えば、銅(Cu)箔からなる金属層である。第1の金属層M1は、18umの厚さを有するCu箔を基板11に圧着して形成されている。
【0033】
第2の金属層M2は、例えば、Cuからなる金属層である。第2の金属層M2は、例えば、0.3~0.5umの層厚で第1の金属層M1の上面上に無電解Cuめっきによって形成されている。
【0034】
第3の金属層M3は、例えば、Cuからなる金属層である。第3の金属層M3は、15~25umの層厚で第2の金属層M2の上面上に電界Cuめっきによって形成されている。
【0035】
第4の金属層M4は、例えば、ニッケル(Ni)からなる金属層である。第4の金属層M4は、第3の金属層M3の上面及び第1の金属層M1、第2の金属層M2並びに第3の金属層M3の基板11の短辺に露出している側面を除く側面を覆うように形成されている。第4の金属層M4は、3~15umの層厚で電界Niめっきによって形成されている。
【0036】
第5の金属層M5は、例えば、金(Au)からなる金属層である。第5の金属層M5は、0.1~0.4umの層厚で第4の金属層M4の上面及び基板11の短辺に露出している側面を除く側面を覆うように電界めっきによって形成されている。
【0037】
すなわち、第2の金属層M2、第3の金属層M3、第4の金属層M4及び第5の金属層M5の合計の層厚は、第1の金属層M1の厚さよりも大きくなるように形成されている。
【0038】
また、第1の電極23は、基板11の下面において、第1の切欠き12の周縁部に第1の切欠き12を開口するように第6の金属層M6が形成されている。また、第6の金属層M6の下面から第1の切欠き12の内面及び第1の切欠き12の上端面である第1の金属層M1の下面まで第7の金属層M7、第8の金属層M8、第9の金属層M9及び第10の金属層M10が連続的に積層されている。
【0039】
第6の金属層M6は、例えば、Cu箔からなる金属層である。第6の金属層M6は、18umの厚さを有するCu箔を基板11に圧着して形成されている。
【0040】
第7の金属層M7は、例えば、Cuからなる金属層である。第7の金属層M7は、例えば、0.3~0.5umの層厚で無電解Cuめっきによって第6の金属層M6の下面から第1の切欠き12の内面及び上端面に至るまで連続的に形成されている。
【0041】
第8の金属層M8は、例えば、Cuからなる金属層である。第8の金属層M8は、15~25umの層厚で第7の金属層M7の下面に電界Cuめっきによって形成されている。
【0042】
第9の金属層M9は、例えば、Niからなる金属層である。第9の金属層M9は、第8の金属層M8の下面及び第6の金属層M6、第7の金属層M7並びに第8の金属層M8の基板11の短辺に露出している側面を除く側面を覆うように形成されている。第9の金属層M9は、3~15umの層厚で電界Niめっきによって形成されている。
【0043】
第10の金属層M10は、例えば、Auからなる金属層である。第10の金属層M10は、0.1~0.4umの層厚で第9の金属層M9の下面に電界めっきによって形成されている。
【0044】
上記の通り、第6~第10の金属層M6~M10の各々は、第1~第5の金属層M1~M5の各々と同様の金属層である。すなわち、第7の金属層M7、第8の金属層M8、第9の金属層M9及び第10の金属層M10の合計の層厚は、第6の金属層M6の厚さよりも大きくなるように形成されている。また、上記の通り、第7の金属層M7は、無電解Cuめっきによって形成されている。これにより、第1の切欠き12の側面である絶縁性の基板11の表面に第7の金属層M7を形成することができる。
【0045】
また、基板11の下面に第1の切欠き12を開口するように形成された第1の切欠き12の内面及び第1の配線21の第1の金属層M1の下面にかけて連続的に第7の金属層M7、第8の金属層M8、第9の金属層M9及び第10の金属層M10が積層されている。すなわち、基板11の下面の側から第1の切欠き12の内面を介して第1の金属層M1の下面に至るまで第1の電極23の第7~第10の金属層M7~M10が連続的に形成されることにより、第1の導通配線25と第1の電極23とが電気的に接続されている。
【0046】
また、発光装置100は、基板11と第1の配線21及び第1の電極23(及び第2の配線22及び第2の電極24)を含む基板構造体10の厚みが発光装置100の厚みの1/2以下となるように製造される。また、加えて、発光素子30の重心位置となる中心が、発光装置100の厚みの1/2の高さ程度となるように製造される。これにより、発光装置100の重心位置を下げることが可能となる。例えば、Cuの比重は8.5g・cm-3、Niの比重は8.9g・cm-3、Auの比重は19.3g・cm-3、シリケイト蛍光体(Sr0.45Ba0.551.93SiO:Eu0.07の比重は5.03g・cm-3、シリコーン樹脂とエポキシ樹脂の比重は1.0g・cm-3前後、グラスファイバの比重は1.5g・cm-3前後である。また、第1及び第2の配線と第1及び第2の電極の体積を発光装置100の高さの1/2より上部の封止部材40に含まれるシリケイト蛍光体粒子の総体積より大きくしている。すなわち、発光装置100の高さの1/2以下に比重の大きい材質を配置することで、発光装置100の重心位置を発光装置100の高さの1/2以下に低くできる。
【0047】
また、第3の金属層M3及び第8の金属層M8である電解Cuめっき層は、上記の通り、層厚が15~25umであり、通常よりも厚い層厚で形成されている。これにより、それぞれの配線、電極及び導通配線の厚さも厚くなっている。これにより、発光装置100におけるそれぞれの配線、電極及び導通配線の重量比率を大きくすることができ、発光装置100の重心位置をさらに下げることが可能となる。特に、前記の導通配線の重量比率を、第8の金属層M8である電解Cuめっき層を厚い層厚として形成することで大きくしている。このように、当該導通配線の重量比率を大きくすることで、発光装置100の長辺方向の両端部(短辺に開口した切り欠き部12、13に形成された導通配線部)を重くできる。例えば、第6の金属層M6から第10の金属層M10まで積層した金属層厚が同一な場合において、第6の金属層M6の層厚を薄くし、第8の金属層M8を厚くすることで、導通部配線の重量比を高くすることができる。例えば、第6の金属層M6の層厚を基準に第8の金属層M8の層厚が0.7倍以上が良く、望ましくは1倍以上が良い。
【0048】
上記のように、発光装置100の重心位置を低くすることにより、発光装置100は、実装基板に実装する際のリフロー時において、実装基板上で発光装置100が立ち上がるマンハッタン現象や発光装置100の転倒を抑えることが可能となる。
【0049】
また、発光装置100の長辺方向の両端部を重くすることにより、発光装置100の短辺を支点とした慣性モーメントを大きくでき、実装基板に実装する際のリフロー時において、実装基板上で発光装置100が立ち上がるマンハッタン現象を抑えることが可能となる。
【0050】
また、第3の金属層M3及び第8の金属層M8の層厚を厚くすることにより、基板構造体10の機械的強度、特に曲げ強度を向上させることができ、製造中における基板構造体10の反りを抑制することが可能となる。また、基板構造体10の反りを抑制することにより、それぞれの配線、電極又は導通配線のクラックの発生も抑えることが可能となる。
【0051】
図5は、発光装置100の製造過程中における製造基板SUBに形成された基板構造体10に対応する素子載置領域R1のレイアウトを示す図である。なお、図5は、基板構造体10の上面図を示している。また、図中の一点鎖線は、製造基板SUBを基板構造体10に個片化して発光装置100を製造する際のダイシングラインを示している。
【0052】
基板構造体10に対応する素子載置領域R1は、図5に示すように、ガラスエポキシからなる製造基板SUBに1の配列方向(図中Y方向)に沿って複数列、格子状に配列されるように形成されている。具体的には、例えば、素子載置領域R1は、Y方向すなわち、基板構造体10の短辺に沿った方向においては、隙間無く配列されている。また、素子載置領域R1は、基板構造体10の長辺に沿った方向(図中X方向)においては、互いに所定の間隔の間隙を有しつつ配列されている。
【0053】
図5に示すように、素子載置領域R1の基板構造体10の短辺に対応する領域には、第1の切欠き12及び第2の切欠き13がそれぞれ形成されている。また、上記の通り、素子載置領域R1の基板構造体10の短辺の各々に矩形部分と半円部分からなる砲弾型の形状を有する第1の切欠き12及び第2の切欠き13が形成されている。また、第1の切欠き12及び第2の切欠き13は、直線部が基板構造体10の短辺の端部となるダイシングラインから一部突出するように形成されている。すなわち、素子載置領域R1の基板構造体10の短辺に対応する辺を形成する複数のダイシングラインの各々は、砲弾型の形状を有する第1の切欠き12又は第2の切欠き13の矩形部分の各々を通る。
【0054】
上記の通り、砲弾型の形状を有する第1の切欠き12及び第2の切欠き13の矩形部分をダイシングラインから突出するように形成することにより、ダイシング位置にずれが生じた場合であっても発光装置100の短辺の側の側面に露出される第1の配線21及び第1の電極23又は第2の配線22及び第2の電極24の露出面積及び形状に差異を生じさせず発光装置100を製造することが可能となる。仮に、第1の切欠き12及び第2の切欠き13が下面図において半円形状であった際にダイシング位置にずれが生じた場合、発光装置の短辺の各々の側面に露出される各々の配線、電極及び導通配線の露出面積及び形状に差異を生じることがある。これにより、実装基板に実装する際のリフロー時において、発光装置の短辺の各々にかかる溶融はんだの表面張力に差異が生じ、マンハッタン現象または発光装置の転倒が発生する可能性がある。
【0055】
すなわち、発光装置100の第1の切欠き12及び第2の切欠き13を含む短辺の側の側面に露出される第1の配線21及び第1の電極23又は第2の配線22及び第2の電極24の露出面積及び形状に差異を生じさせず形成されることにより、マンハッタン現象または発光装置の転倒を抑制することが可能となる。
【0056】
図6は、発光装置100の側面の第1の切欠き12の拡大図を示す。また、図7は、図5のA-A断面である切欠き12の断面の拡大図を示す。なお、図6においては、図4と同様に、第1の配線21及び第1の電極23が形成されている側からの側面を示している。第1の配線21と第2の配線22と、及び第1の電極23と第2の電極24とはそれぞれ同様の構成である。また、図7においては、発光装置100の個片化の後の断面であり、図中破線で示している部分は個片化の際に除去される部分を示している。
【0057】
上述の通り、基板11の短辺の側の側面には、基板11の上面から下面にまで至る第1の切欠き12が形成されている。また、第1の切欠き12の上面の側は、基板11の上面にCu箔が圧着されて形成された第1の金属層M1によって塞がれている。また、第1の切欠き12の下面の側は、基板11の下面にCu箔が圧着されて形成された第6の金属層M6が切欠き12を開口するように形成されている。また、第1の切欠き12は、基板11の下面の側の第1の金属層M6に開口された領域から後述するレーザ光を照射することによって形成されている。これにより、側面視において第1の切欠き12の基板11の上面の側の幅は、下面の側の幅よりも小さい台形状の側面形状に形成されている。言い換えれば、第1の切欠き12及び第2の切欠き13の各々は、上方に向かって窄んだ形状を有している。
【0058】
第7の金属層M7は、無電解Cuめっきによって形成されている。上記の通り、無電解Cuめっきを用いることにより、切欠き12の側面である絶縁性の基板11の表面に第7の金属層M7を形成することができる。また、無電解Cuめっきによる第7の金属層M7の形成時において、第7の金属層M7はめっき浴内で自己触媒的にCuが析出されて形成される。すなわち、図6及び図7に示すように、第1の切欠き12の上端面である第1の金属層M1の下面及び第6の金属層M6の周囲に形成される第7の金属層M7の膜厚は、第1の切欠き12の側面に形成される第7の金属層M7の膜厚よりも厚く形成される。また、第7の金属層M7は、めっきによって切欠き12の側面形状に対応するような曲線で形成された側面形状を有する。また、側面視における第7の金属層M7の天面の表面は、下向きに凹の表面形状を有するように形成されている。
【0059】
また、第8の金属層M8、第9の金属層M9及び第10の金属層M10は、それぞれ電解めっきによって形成されている。また、電界めっきによる各々の金属層の形成時において、めっき浴内で製造基板SUBに電圧を印可した際に第1の切欠き12の上端面、特に当該第1の切欠き12の上端面と第1の切欠き12の側面との端部の電界強度が高くなる。これにより、図6及び図7に示すように、第1の切欠き12内の天面及び天面の端部に形成される第8~第10の金属層M8~M10は、製造基板SUBの下面に形成される第8~第10の金属層M8~M10よりも厚く形成される。また、図示していないが、同様の理由により、第1の切欠き12内の天面及び天面の端部に形成される第8~第10の金属層M8~M10は、第1の配線21の第3~第5の金属層M3~M5よりも厚く形成される。すなわち、発光装置100におけるそれぞれの配線、電極及び導通配線の重量比率を大きくすることができ、発光装置100の重心位置をさらに下げると同時に第1の切り欠き部12と第2の切り欠き部13の重量比を重くすることが可能となる。言い換えれば、発光装置100の重心位置を下げ、また発光装置100の長辺方向の重量比を重心位置から離間して、マンハッタン現象に抗する慣性モーメントを大きくできる。
【0060】
また、図7に示すように、第1の切欠き12の断面における各々の金属層は、側面視における各々の金属層の厚さ及び形状と同様に形成されている。また、上述のように、第1の切欠き12の内面のダイシングラインから突出している部分並びに当該突出部分の各々の金属層の側面が発光装置100の個片化の際にダイシングによって除去される。すなわち、発光装置100の短辺の側面において、各々の配線及び電極の各々の金属層の断面が露出する構造となっている。
【0061】
また、側面形状と同様に、第1の切欠き12内の天面に形成された各々の金属層の断面形状は、下向きに凹の形状で形成されている。すなわち、第1の切欠き12に形成された第1の電極23の天面は、発光装置100の短辺であるダイシング切断面の側の端部において、下方に垂れさがるように形成されている。言い換えれば、第1の電極23及び第2の電極24の下面は側面に垂直な方向における端部でありかつ外側に向いた端部において下方に垂れ下がっている。
【0062】
このような第1の切欠き12に形成された第1の電極の天面の端部の形状により、実装基板に発光装置100を実装する際に、はんだ等の接合部材が第1の電極23の天面の端部を乗り越えて発光装置100の短辺の側面への這い上がりを起こしにくくことが可能となる。
【0063】
また、第6~第10の金属層M6~M10のうち、実装基板との実装時に用いられるはんだ等の接合部材との濡れ広がり性が良好な金属層は、Auである第10の金属層M10のみである。第6~第9の金属層M6~M9であるCu及びNiは、露出されている金属層の表面の各々が酸化膜に覆われており、当該酸化膜ははんだとの濡れ広がり性がAuよりも乏しい。よって、第1の切欠き12に形成された第1の電極の天面の端部が下方に垂れさがるような形状を有することにより、はんだの濡れ広がり性の良好な第10の金属層M10であるAu層のダイシング切断面に露出される高さを低くすることができる。言い換えれば、第1の切欠き12及び第2の切欠き13内の第1の電極23及び前記第2の電極24の下面には金が露出しており、第1の電極23及び第2の電極24の端部の側面には金よりもはんだの濡れ性が低い金属が露出している。
【0064】
すなわち、第1の電極23の天面の端部が上記のような形状で形成されることにより、実装基板への実装時にはんだ等の接合部材の発光装置100の短辺の側面への這い上がりを抑えることが可能となる。加えて、実装基板への実装時に発光装置100の短辺の側にかかる表面張力を低い位置にすることが可能となる。これにより、発光装置100は、実装基板に実装する際のリフロー時において、マンハッタン現象を抑えることが可能となる。
【0065】
また、上記のように、第1の切欠き12は、側面が上方に向かって窄んだ形状を有する。これにより、実装基板に発光装置100を実装する時、はんだ等の接合部材が第1の切欠き12の内部に這い上がりを起こす際に、這い上がり上端の高さが上がるにつれて当該這い上がり上端におけるはんだと第1の切欠き12の接触長さが短くなる。従って、はんだの第1の切欠き12内部への這い上がりが発生した際に、這い上がり上端部に発生する表面張力を低減することが可能となる。従って、発光装置100は、実装基板に実装する際のリフロー時において、マンハッタン現象をさらに抑えることが可能となる。
【0066】
次に、図8及び図9~20を用いて、本願の実施例に係る発光装置100の製造手順について説明する。
【0067】
図8は、本発明の実施例に係る発光装置100の製造フローを示す図である。また、図9~20は、図8に示す製造手順の各ステップにおける発光装置100の断面図を示す。図9~19においては、図5に示した1の配列方向(図中Y方向)の第1の配線21及び第1の電極23を通るダイシングラインの断面を用いて説明する。
また、図20においては、発光装置100が個片化された後の発光装置100の第1の配線21及び第1の電極23が形成されている側の側面視を示す。なお、第1の配線21と第2の配線22と、及び第1の電極23と第2の電極24とはそれぞれ同様の構成である。また、ここでは、各ステップにおいて、第1の配線21及び第2の配線23が形成される過程について説明するが、第2の配線22及び第2の電極24においても同様の処理がなされる。なお、本実施例の発光装置100の製造工程においては、複数の発光装置100が相互に繋がった状態で製造し、最後に個片化して発光装置100とするが、図9~20においては、隣り合う2つの発光装置100を図示して説明する。
【0068】
まず、基板構造体10を用意する工程として、図9に示すように、上面及び下面に第1の金属層M1及び第6の金属層M6であるCu箔が圧着されたガラスエポキシからなる基板11を用意する(ステップS101)。すなわち、発光装置100の製造方法は、絶縁性の基板11及び基板11の上面及び下面に形成された第1の金属層M1及び第6の金属層M6を有する基板構造体10を用意する工程を含む。
【0069】
次に、図10に示すように、基板11の下面の第1の切欠き12を形成する領域の第6の金属層M6を除去する(ステップS102)。第6の金属層M6の除去は、フォトリソグラフィによって行われる。図示していないが、本ステップにおいては、基板11の下面へのフォトレジストの塗布、当該フォトレジストにそれぞれの第1の切欠き12の領域を除去する露光及び当該領域のフォトレジストの除去、フォトレジスト開口部分の第6の金属層M6のエッチング及びフォトレジストの除去工程を含む。
【0070】
次に、図11に示すように、基板11の下面の側からレーザを照射して第1の切欠き12を形成する(ステップS103)。レーザは、例えば、イットリウムアルミニウムガーネット(Yttrium Aluminum Garnet:YAG)等のレーザ光である。レーザを基板11に照射し、基板11であるガラスエポキシを蒸発させて第1の切欠き12を形成する。なお、第1の金属層M1及び第6の金属層M6であるCu箔は、当該レーザで除去されない。すなわち、第1の切欠き12の基板11の上面の側は第1の金属層M1で塞がれておりかつ第1の切欠き12の上端は当該第1の金属層M1が露出されている。また、第1の切欠き12は、基板11の下面の側から基板11が除去されるように形成される。第1の切欠き12は、基板11の除去が進行するにつれて基板11の上面に形成された第1の金属層M1の放熱効果によって図6及び図7に示すような台形状の断面形状で形成される。なお、ガラスエポキシを蒸発させるレーザ種はYAGに限定されない。具体的には、用いるレーザ種は、ガラスエポキシの樹脂及びガラスの結合を分解可能で、Cu箔の金属結合を破壊しない照射エネルギを有するレーザであればよい。上記のステップS103及びS104が切欠き形成工程として処理される。
【0071】
言い換えれば、発光装置100の製造方法は、基板構造体10の上面において1の配列方向に沿って複数列配列された複数の矩形領域の各々の前記1の配列方向と垂直な方向において対向する二辺の一方及び他方に基板構造体10の下面から基板11上面に形成されたCu箔層の下面に至る第1の切欠き12及び第2の切欠き13を基板構造体10の下面からレーザを照射することでそれぞれ形成する切欠き形成工程を含む。
【0072】
次に、無電解めっき工程として図12に示すように、第1の切欠き12が形成された基板11に第2の金属層M2及び第7の金属層M7を形成する(ステップS104)。第2の金属層M2及び第7の金属層M7は、無電解Cuめっきによって形成される。第2の金属層M2は第1の金属層M1の上面に形成され、第7の金属層M7は第6の金属層M6の下面、第1の切欠き12の内面及び第1の切欠き12の上端に露出した第1の金属層M1の下面に連続的に形成される。言い換えれば、発光装置100の製造方法は、基板11の上面及び基板11の前記下面から第1の切欠き12及び第2の切欠き13のそれぞれの内面に第2の金属層M2及び第7の金属層M7を無電解めっきによって形成する無電解めっき工程を含む。
【0073】
次に、第1の電解めっき工程として、図13に示すように、第2の金属層M2及び第7の金属層M7が形成された基板11に第3の金属層M3及び第8の金属層M8を形成する(ステップS105)。第3の金属層M3及び第8の金属層M8は、電解Cuめっきによって形成される。第3の金属層M3は第2の金属層M2の上面に形成され、第8の金属層M8は第1の切欠き12の内面及び天面に形成された第7の金属層M7の下面及び側面に沿って連続的に形成される。言い換えれば、発光装置100の製造方法は、基板11の上面及び基板11の下面の第2の金属層M2及び第7の金属層M7の各々を覆うように第3の金属層M3及び第8の金属層M8を電解めっきによって形成する第1の電解めっき工程を含む。
【0074】
次に、パターニング工程として、図14に示すように、第1~第3の金属層M1~M3及び第6~第8の金属層M6~M8をそれぞれ第1の配線21及び第1の電極23のパターンに形成する(ステップS106)。第1の配線21及び第1の電極23の形状の形成は、フォトリソグラフィによって行われる。ステップS102の方法と同様に、電極パターンに露光及び除去されたフォトレジストを第3の金属層M3上面及び第8の金属層M8の下面に形成し、エッチングによって各々の配線及び電極のパターンを形成する。この際、第1の切欠き12の内面及び天面に形成された第8の金属層M8の側面及び天面にもフォトレジストが形成されており、エッチングされないようにしている。言い換えれば、発光装置100の製造方法は、基板11の上面において第1の金属層M1、第2の金属層M2及び第3の金属層M3をそれぞれエッチングして複数の矩形領域の各々の上面において互いに離間した第1の配線21及び第2の配線22のパターンを形成し、かつ基板11の下面において、第6の金属層M6、第7の金属層M7及び第8の金属層M8をそれぞれエッチングして、複数の矩形領域の各々の下面において互いに離間した第1の電極23及び第2の電極24のパターンを形成するパターニング工程を含む。
【0075】
次に、図15に示すように、第1の配線21及び第1の電極23のパターンに形成された金属層の各々を覆うように第4の金属層M4及び第9の金属層M9を形成する(ステップS107)。第4の金属層M4及び第9の金属層M9は、それぞれ電解Niめっきによって形成される。第4の金属層M4は第3の金属層M3の上面及び第1~第3の金属層M1~M3の側面を覆うように形成され、第9の金属層M9は第8の金属層M8の下面及び第6~第8の金属層M6~M8の側面を覆うように形成される。なお、第3の金属層M3は、電解Niめっきによって形成される故、ステップS106で露出させた絶縁性の基板11の表面には形成されない。言い換えれば、発光装置100の製造方法は、第1の金属層M1、第2の金属層M2並びに第3の金属層M3及び第6の金属層M6、第7の金属層M7並びに第8の金属層M8の各々を覆うように第4の金属層M4並びに第5の金属層M5及び第9の金属層M9並びに第10の金属層M10を電解めっきによって形成する第2の電解めっき工程を含む。
【0076】
次に、図16に示すように、基板11の上面及び下面に形成した第4の金属層M4及び第9の金属層M9の各々を覆うように第5の金属層M5及び第10の金属層M10を形成する(ステップS108)。これにより、基板11の上面に第1の配線21が形成され、基板11の下面及び基板11の第1の切欠き12の内面及び天面に第1の電極23が連続的に形成される。なお、上記のステップS107及びS108が第2の電解めっき工程として処理される。
【0077】
また、ステップS105、S107及びS108で形成された第8~第10の金属層M8~M10は、上述の通り、めっき浴内で電界強度で差異が生じる。これにより、図6及び図7で示したように、第1の切欠き12の天面及び天面の端部に形成される第8~第10の金属層M8~M10は、基板11の上面及び下面に形成される第3~第5の金属層M3~M5及び第8~第10の金属層M8~M10よりも厚く形成される。
【0078】
なお、上記の通り、ステップS102~S108においては、第1の配線21及び第1の電極23が形成される過程について説明したが、各ステップは図示されない第2の配線22及び第2の電極24においても同様の処理がなされて形成されている。
【0079】
次に、図17に示すように、第5の金属層M5及び第10の金属層M10を形成した基板11をダイボンド装置にセットし、第1の配線21の上面上に発光素子30を載置する(ステップS109)。発光素子30は、第1の配線21の上面上に図示しない接着剤が塗布され、当該接着剤上に発光素子30を載置した後に接着剤が加熱硬化される。これにより、発光素子30は、第1の配線21の上面上に固着される。
【0080】
次に、図18に示すように、発光素子30を載置した基板11をワイヤボンディング装置にセットし、発光素子30の電極パッドと第1の配線21及び第2の配線22の各々とボンディングワイヤBWで接続する(ステップS110)。具体的には、発光素子30のカソード電極の電極パッドと第1の配線21とが接続され、発光素子30のアノード電極の電極パッドと第2の配線22とが接続される。なお、ボンディングワイヤBWによる接続は、発光素子30の各々の電極パッド上に圧着ボールを形成する順ボンディングの態様でもよいし、電極パッド上にワイヤバンプを形成した後圧着ボールをボンディングパッドに形成して当該ワイヤバンプに接続する逆ボンディングの態様でもよい。これにより、発光素子30のカソード電極と第1の配線21及び第1の電極23とが電気的に接続され、発光素子30のアノード電極と第2の配線22及び第2の電極24とが電気的に接続される。
【0081】
次に、図19に示すように、基板11の上面及び発光素子30を覆うように封止部材40を形成する(ステップS111)。封止部材40の形成は、基板11をモールド装置の金型にセットし、基板11の発光素子30を載置する面と金型のキャビティとの間に蛍光体粒子を分散させた液体樹脂を注入させた後に液体樹脂を加熱硬化させるトランスファモールドの態様である。
【0082】
次に、ダイシング工程として、図20に示すように、封止部材40を形成した基板11をダイサー装置にセットし、前後左右に繋がっている発光装置100を切断して個片化する(ステップS112)。これにより、発光装置100は、個々の単位にダイシングされ、複数の発光装置100が製造される。なお、本ステップに至るまで発光装置100の短辺の側の側面は形成されておらず、切欠き12の断面は、図7において破線で示された領域が接続された状態である。すなわち、本ステップによるダイシングによって発光装置100の側面が形成され、図7に示すように各々の配線、電極及び導通配線の各々の金属層が発光装置100の短辺の側の側面から露出される。また、上述の通り、これら配線、電極及び導通配線の各々の切断面は、封止部材40の結着状態の確認又は発光装置100の電気特性及び光学特性を測定するための電極探針を接触する電極として用いることができる。言い換えれば、発光装置100の製造方法は、基板構造体10を第1の切欠き12及び第2の切欠き13をそれぞれ通る1の配列方向に沿った複数のダイシングラインにそって切断して個片化するダイシング工程を含む。
【0083】
本実施例によれば、発光装置100は、絶縁性のガラスエポキシからなり長方形の上面形状を有する基板11を有する。また、基板11は短辺の側に上面から下面に至る第1の切欠き12及び第2の切欠き13が設けられている。また、第1の切欠き12及び第2の切欠き13は、側面視において基板11の上面の側の幅が基板11の下面の側の幅よりも小さい台形状の側面形状を有する。また、基板11の上面には第1の切欠き12及び第2の切欠き13の各々を塞ぐように形成された第1の配線21及び第2の配線22が形成されている。また、基板11の下面から第1の切欠き12及び第2の切欠き13の各々の内面及び天面に至るまで連続的に第1の電極23及び第2の電極24が形成されている。
【0084】
また、第1の配線21及び第2の配線23は、積層された第1~第5の金属層M1~M5からなり、第2~第5の金属層M2~M5の合計の層厚は第1の金属層M1よりも厚く形成されている。
【0085】
また、第1の電極23及び第2の電極24は、基板11の下面の第1及び第2の切欠き12及び13の周縁部に第1及び第2の切欠き12及び13を開口するように形成された第6の金属層M6を含む。また、第1の電極23及び第2の電極24は、第6の金属層M6の下面から第1及び第2の切欠き12及び13の内面及び天面である第1の金属層の下面まで連続的に形成された第7~第10の金属層M7~10をさらに含む。また、第7~第10の金属層M7~M10の合計の層厚は第6の金属層M6よりも厚く形成されている。また、第1及び第2の切欠き12及び13の天面に形成された第7~第10の金属層M7~10は、基板11の下面に形成された第7~第10の金属層M7~10よりも厚く形成されている。
【0086】
発光装置100は、上記の構成を有することにより、各々の配線及び電極の発光装置100における重量比率を大きくすることができ、発光装置100の重心位置を低くすることが可能となる。
【0087】
また、第1及び第2の切欠き12及び13に形成された第1及び第2の電極23及び24の天面の各々は、下方に凹の形状の表面形状を有しており、当該天面は、発光装置100の側面端部において下方に垂れ下がっている表面形状を有している。
【0088】
発光装置100は、上記の構成を有することにより、実装基板への実装時に第1及び第2の電極23及び24の天面の端部から発光装置100の側面へのはんだ等の接合部材の這い上がりの発生を抑えることが可能となる。また、当該天面の端部の発光装置100の側面における高さを低くすることができ、発光装置100の側面のはんだ等の接合部材の表面張力がかかる高さを低くすることが可能となる。
【0089】
これらの特徴により、本実施例に係る発光装置100は、実装基板に実装する際のリフロー時に実装基板上で発光装置100が立ち上がるマンハッタン現象(又はツームストーン現象)や発光装置100の転倒を抑えることが可能となる。すなわち、発光装置100は、実装基板への実装時に実装不良を抑えるチップLED型の発光装置及びその製造方法を提供することが可能となる。
【0090】
なお、本実施例においては、発光素子30が窒化物半導体を主材料とする青色LEDである場合について説明した。しかし、発光素子30はこれに限定されず、その他の色の光を放射する種々のLEDやレーザの半導体発光層に適用可能である。
【0091】
また、本実施例においては、発光素子30の半導体層の各々に電極パッドを設け、それぞれの電極パッドと第1及び第2の配線21及び23とをボンディングワイヤBWで電気的に接続する場合について説明した。しかし、発光素子30の電気的接続方法はこれに限定されない。例えば、導電性の支持基板上にn型半導体層、発光層及びp型半導体層を積層し、発光素子の上面と下面に電極を設けた発光素子を用いてもよい。この場合、発光素子の上面のアノード電極と第2の配線22とをボンディングワイヤBWで電気的に接続し、発光素子の下面のカソード電極と第1の配線21とを導電性の接着剤を介して電気的に接続してもよい。
【0092】
また、例えば、発光素子の下面にカソード電極及びアノード電極を設けたフリップチップ型の発光素子を用いてもよい。この場合、発光素子を第1の配線21及び第2の配線22の各々の上面上に載架するように配し、発光素子の下面のカソード電極及びアノード電極の各々を導電性の接着剤を介して第1の配線21及び第2の配線22に接合する。
【0093】
また、本実施例においては、青色の光を放射する発光素子30と、当該青色の光を黄色の光に波長変換する蛍光体粒子を含む封止部材と、を有する発光装置100について説明した。しかし、発光素子の放射する光と蛍光体粒子の波長変換する光の組み合わせはこれに限定されない。発光装置の所望する光の色及び波長に合わせて任意に組み合わせればよい。また、封止部材においても、蛍光体粒子を含まない透光性の樹脂材料であってもよい。
【符号の説明】
【0094】
100 発光装置
10 基板構造体
11 基板
12 第1の切欠き
13 第2の切欠き
21 第1の配線
22 第2の配線
23 第1の電極
24 第2の電極
25 第1の導通配線
26 第2の導通配線
30 発光素子
40 封止部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9
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