(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】印刷部のニップ監視装置およびオフセット輪転印刷機
(51)【国際特許分類】
B41F 33/00 20060101AFI20241128BHJP
B41F 7/02 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
B41F33/00 620
B41F7/02 454
(21)【出願番号】P 2020165656
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2023-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森尾 充成
(72)【発明者】
【氏名】水野 彰彦
(72)【発明者】
【氏名】西山 浩司
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 稔
【審査官】早川 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-046254(JP,A)
【文献】特開2008-212826(JP,A)
【文献】特開2002-113843(JP,A)
【文献】特開2017-024245(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 5/00-13/70
31/00-35/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インキ供給源から版胴およびブランケット胴までのインキ供給経路にゴムローラが配置されるインキ供給装置と、
印刷機の稼働日数に基づいて前記ゴムローラの変形によるニップ調整作業の実施を促すニップ調整アラームを出力するアラーム制御部と、
前記アラーム制御部が出力する前記ニップ調整アラームを表示する表示装置と、
を備
え、
前記アラーム制御部は、ウェブの幅が前記版胴の幅より短いウェブを使用して印刷を行う回数が予め設定された使用回数判定値を超えると、前記ニップ調整アラームを出力する、
印刷部のニップ監視装置。
【請求項2】
インキ供給源から版胴およびブランケット胴までのインキ供給経路にゴムローラが配置されるインキ供給装置と、
印刷機の稼働日数に基づいて前記ゴムローラの変形によるニップ調整作業の実施を促すニップ調整アラームを出力するアラーム制御部と、
前記アラーム制御部が出力する前記ニップ調整アラームを表示する表示装置と、
を備
え、
前記アラーム制御部は、ウェブの幅が前記版胴の幅より短いウェブを使用して印刷を行う回数が予め設定された使用回数判定値を超えておらず、また、前記ゴムローラを駆動するモータのトルクが予め設定されたトルク判定値より低くならなくても、印刷開始時と印刷終了時の前記インキ供給装置によるインキ供給量の変化量が予め設定されたインキ供給量判定値を超えると、前記ニップ調整アラームを出力する、
印刷部のニップ監視装置。
【請求項3】
インキ供給源から版胴およびブランケット胴までのインキ供給経路にゴムローラが配置されるインキ供給装置と、
印刷機の稼働日数に基づいて前記ゴムローラの変形によるニップ調整作業の実施を促すニップ調整アラームを出力するアラーム制御部と、
前記アラーム制御部が出力する前記ニップ調整アラームを表示する表示装置と、
を備
え、
前記アラーム制御部は、ウェブの幅が前記版胴の幅より短いウェブを使用して印刷を行う回数が予め設定された使用回数判定値を超えておらず、また、前記ゴムローラを駆動するモータのトルクが予め設定されたトルク判定値より低くならなくても、印刷開始時と印刷終了時の湿し装置による湿し供給量の変化量が予め設定された湿し供給量判定値を超えると、前記ニップ調整アラームを出力する、
印刷部のニップ監視装置。
【請求項4】
インキ供給源から版胴およびブランケット胴までのインキ供給経路にゴムローラが配置されるインキ供給装置と、
印刷機の稼働日数に基づいて前記ゴムローラの変形によるニップ調整作業の実施を促すニップ調整アラームを出力するアラーム制御部と、
前記アラーム制御部が出力する前記ニップ調整アラームを表示する表示装置と、
を備
え、
前記アラーム制御部は、ウェブの幅が前記版胴の幅より短いウェブを使用して印刷を行う回数が予め設定された使用回数判定値を超えておらず、また、前記ゴムローラを駆動するモータのトルクが予め設定されたトルク判定値より低くならなくても、紙面検査装置による紙面異常検出回数が予め設定された異常検出回数判定値を超えると、前記ニップ調整アラームを出力する、
印刷部のニップ監視装置。
【請求項5】
インキ供給源から版胴およびブランケット胴までのインキ供給経路にゴムローラが配置されるインキ供給装置と、
印刷機の稼働日数に基づいて前記ゴムローラの変形によるニップ調整作業の実施を促すニップ調整アラームを出力するアラーム制御部と、
前記アラーム制御部が出力する前記ニップ調整アラームを表示する表示装置と、
を備
え、
前記アラーム制御部は、ニップの調整時期を知らせる前記ニップ調整アラームと、前記ゴムローラの交換時期を知らせるローラ交換アラームとを出力する、
印刷部のニップ監視装置。
【請求項6】
前記アラーム制御部は、前記ニップ調整アラームの出力回数が予め設定されたアラーム回数判定値を超えると、前記ローラ交換アラームを出力する、
請求項5に記載の印刷部のニップ監視装置。
【請求項7】
前記アラーム制御部は、前記稼働日数が予め設定された日数判定値を超えると、前記ニップ調整アラームを出力する、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の印刷部のニップ監視装置。
【請求項8】
前記稼働日数は、前記版胴と前記ブランケット胴が対接する胴入り時間であって、前記アラーム制御部は、前記胴入り時間が予め設定された時間判定値を超えると、前記ニップ調整アラームを出力する、
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の印刷部のニップ監視装置。
【請求項9】
前記アラーム制御部は、前記インキ供給装置の連結回数が予め設定された連結回数判定値を超えると、前記ニップ調整アラームを出力する、
請求項1から
請求項8のいずれか一項に記載の印刷部のニップ監視装置。
【請求項10】
前記アラーム制御部は、前記ゴムローラを駆動するモータのトルクが予め設定されたトルク判定値より低くなると、前記ニップ調整アラームを出力する、
請求項1から
請求項9のいずれか一項に記載の印刷部のニップ監視装置。
【請求項11】
前記アラーム制御部は、印刷開始時と印刷終了時の前記インキ供給装置によるインキ供給量の変化量が予め設定されたインキ供給量判定値を超えると、前記ニップ調整アラームを出力する、
請求項1から
請求項10のいずれか一項に記載の印刷部のニップ監視装置。
【請求項12】
前記版胴に対して湿し水を供給する湿し装置が設けられ、前記アラーム制御部は、印刷開始時と印刷終了時の前記湿し装置による湿し供給量の変化量が予め設定された湿し供給量判定値を超えると、前記ニップ調整アラームを出力する、
請求項1から
請求項11のいずれか一項に記載の印刷部のニップ監視装置。
【請求項13】
印刷後におけるウェブの印刷状態を検査する紙面検査装置が設けられ、前記アラーム制御部は、前記紙面検査装置による紙面異常検出回数が予め設定された異常検出回数判定値を超えると、前記ニップ調整アラームを出力する、
請求項1から
請求項12のいずれか一項に記載の印刷部のニップ監視装置。
【請求項14】
ウェブを供給する給紙装置と、
前記給紙装置から供給された前記ウェブの張力を調整するインフィード装置と、
前記インフィード装置から供給された前記ウェブに印刷を行う印刷装置と、
前記印刷装置により印刷された前記ウェブを縦折りして横裁断した後に横折りして折帖を形成する折機と、
請求項1から
請求項13のいずれか一項に記載の印刷部のニップ監視装置と、
を備えるオフセット輪転印刷機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、印刷部に配置される各ゴムローラにおけるニップを監視する印刷部のニップ監視装置、印刷部を備えるオフセット輪転印刷機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、新聞用オフセット輪転印刷機は、給紙装置とインフィード装置と印刷装置とウェブパス装置と折機とから構成される。印刷装置は、インキ供給装置と版胴とブランケット胴を有する。インキ供給装置は、インキ供給源と、複数のインキローラとを有する。インキ供給源のインキが複数のインキローラを介して版胴の刷版に供給され、刷版に付着したインキがブランケット胴に転写され、ブランケット胴のインキが絵柄としてウェブに転写される。
【0003】
複数のインキローラは、ゴムローラにより構成される。複数のインキローラの間で適正量のインキを受け渡すには、インキローラ間のニップを適正値に調整する必要がある。このような新聞用オフセット輪転印刷機の印刷装置としては、例えば、下記特許文献1に記載されたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インキローラとして用いられるゴムローラは、長期間使用すると、インキや紙粉等の影響による摩耗、発熱、溶剤によるゴムの変質などにより変形して劣化する。ゴムローラが変形すると、外径が小さくなってローラ間のニップが減少する。このとき、ローラ間のニップを適正値に調整する必要がある。従来、ローラ間のニップの調整は、主に、定期メンテナンスの実施時に行っていた。しかし、ゴムローラの変形は、印刷装置の使用頻度に応じて変動する。そのため、ローラ間のニップの調整を定期的に実施すると、まだニップ調整が不要のない印刷装置に対してニップ調整を実施してしまったり、すでにニップ調整が必要な印刷装置に対してニップ調整を実施しなかったりする事態が発生する。このようン事態を防止するため、定期メンテナンスの間隔を短くしている。そのため、定期メンテナンスを実施するための作業者が増加してしまい、作業コストが上昇してしまうという課題がある。
【0006】
本開示は、上述した課題を解決するものであり、インキローラ間のニップ調整作業の作業効率の向上を図る印刷部のニップ監視装置およびオフセット輪転印刷機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本開示の印刷部のニップ監視装置は、インキ供給源から版胴およびブランケット胴までのインキ供給経路にゴムローラが配置されるインキ供給装置と、印刷機の稼働日数に基づいて前記ゴムローラの変形によるニップ調整作業の実施を促すニップ調整アラームを出力するアラーム制御部と、前記アラーム制御部が出力する前記ニップ調整アラームを表示する表示装置と、を備える。
【0008】
また、本開示のオフセット輪転印刷機は、ウェブを供給する給紙装置と、前記給紙装置から供給された前記ウェブの張力を調整するインフィード装置と、前記インフィード装置から供給された前記ウェブに印刷を行う印刷装置と、前記印刷装置により印刷された前記ウェブを縦折りして横裁断した後に横折りして折帖を形成する折機と、前記印刷部のニップ監視装置と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示の印刷部のニップ監視装置およびオフセット輪転印刷機によれば、インキローラ間のニップ調整作業の作業効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本実施形態の新聞用オフセット輪転印刷機における制御ブロックを表す概略構成図である。
【
図2】
図2は、本実施形態の印刷部のニップ監視装置における制御ブロックを表す概略構成図である。
【
図3】
図3は、ウェブの種類を説明するための概略図である。
【
図4】
図4は、本実施形態の印刷部のニップ監視方法を表すフローチャートである。
【
図5】
図5は、本実施形態の第1変形例印刷部のニップ監視方法を表すフローチャートである。
【
図6】
図6は、本実施形態の第2変形例の印刷部のニップ監視方法を表すフローチャートである。
【
図7】
図7は、本実施形態の第3変形例の刷部のニップ監視方法を表すフローチャートである。
【
図8】
図8は、本実施形態の第4変形例の印刷部のニップ監視方法を表すフローチャートである。
【
図9】
図9は、本実施形態の第5変形例の印刷部のニップ監視方法を表すフローチャートである。
【
図10】
図10は、本実施形態の第6変形例の印刷部のニップ監視方法を表すフローチャートである。
【
図11】
図11は、本実施形態の第7変形例の印刷部のニップ監視方法を表すフローチャートである。
【
図12】
図12は、本実施形態の第8変形例の印刷部のニップ監視方法を表すフローチャートである。
【
図13】
図13は、本実施形態の第9変形例の印刷部のニップ監視方法を表すフローチャートである。
【
図14】
図14は、本実施形態の第10変形例の印刷部のニップ監視方法を表すフローチャートである。
【
図15】
図15は、本実施形態の第11変形例の印刷部のニップ監視方法を表すフローチャートである。
【
図16】
図16は、本実施形態の第12変形例の印刷部のニップ監視方法を表すフローチャートである。
【
図17】
図17は、本実施形態の第13変形例の印刷部のニップ監視方法を表すフローチャートである。
【
図18】
図18は、本実施形態の新聞用オフセット輪転印刷機を表す概略構成図である。
【
図19】
図19は、新聞用オフセット輪転印刷機における印刷ユニットを表す概略構成図である。
【
図20】
図20は、印刷ユニットにおけるローラ配列を表す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を参照して、本開示の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。また、実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【0012】
[新聞用オフセット輪転印刷機]
図18は、本実施形態の新聞用オフセット輪転印刷機を表す概略構成図である。本実施形態の新聞用オフセット輪転印刷機は、印刷装置の版胴のサイズが4頁幅×1頁周長に設定された4×1輪転印刷機であるが、版胴のサイズが4頁幅×2頁周長に設定された4×2輪転印刷機であってもよい。
【0013】
本実施形態の印刷機は、
図18に示すように、新聞用オフセット輪転印刷機10である。新聞用オフセット輪転印刷機10は、給紙装置Rと、インフィード装置Iと、印刷装置Uと、ウェブパス装置Dと、折機Fとを備える。
【0014】
給紙装置Rは、複数(本実施形態では、7台)の給紙ユニットR1~R7を有する。インフィード装置Iは、複数(本実施形態では、7台)のインフィードユニットI1~I7を有する。印刷装置Uは、複数(本実施形態では、6台)の印刷ユニットU1~U6を有する。ウェブパス装置Dは、複数(本実施形態では、2台)のウェブパスユニットD1,D2を有する。折機Fは、複数(本実施形態では、2台)の折ユニットF1,F2を有する。
【0015】
給紙装置Rにおいて、給紙ユニットR1~R7は、ほぼ同様の構成をなし、ウェブ(印刷媒体)Wがロール状に巻かれた3つの巻取紙を保持する保持アームを有する。保持アームを回動することで、巻取紙を給紙位置に回動することができる。インフィード装置Iにおいて、インフィードユニットI1~I7は、ほぼ同様の構成をなし、印刷装置Uの各印刷ユニットU1~U6に送り込むウェブWの張力を調整することで、印刷装置Uを走行するウェブWの張力を適正値に安定して維持する。なお、給紙装置Rからインフィード装置IまでのウェブWの張力は、給紙ユニットR1~R7に設けられた図示しないブレーキ装置により行われる。
【0016】
印刷装置Uにおいて、印刷ユニットU1~U6は、両面4色印刷を行うことができる多色刷印刷ユニットである。但し、各印刷ユニットU1~U6は、上下に分割することで、両面2色印刷を行うことができる印刷ユニットU11~U62とすることができる。印刷ユニットU11~U62は、ほぼ同様の構成をなし、インキ供給装置、版胴、ブランケット胴などを有する。
【0017】
ウェブパス装置Dにおいて、ウェブパスユニットD1は、印刷ユニットU1~U3に対して設けられ、ウェブパスユニットD2は、印刷ユニットU4~U6に対して設けられる。ウェブパスユニットD1,D2は、ほぼ同様の構成をなし、ウェブWを縦方向(ウェブWの搬送方向)に沿ってその幅方向の中央部で裁断するスリッタ、縦裁断したウェブWの搬送経路を設定するターンバー、ウェブWにおける天地長手方向における絵柄位置を調整するコンペンセータなどを有する。
【0018】
印刷ユニットU1~U3で印刷が施された各ウェブWは、ウェブパスユニットD1にて、スリッタにより縦裁断され、ターンバーにより搬送経路が変更され、コンペンセータにより絵柄位置が調整されてから所定の順番に重ね合わされる。また、印刷ユニットU4~U6で印刷が施された各ウェブWは、ウェブパスユニットD2にて、スリッタにより縦裁断され、ターンバーにより搬送経路が変更され、コンペンセータにより絵柄位置が調整されてから所定の順番に重ね合わされる。また、印刷ユニットU4~U6で印刷が施された各ウェブWが、ウェブパスユニットD1を経由し、印刷ユニットU1~U3で印刷が施された各ウェブWの上に入るパターンもある。
【0019】
折機Fにて、2つの折ユニットF1,F2は、操作側と駆動側に配設される。ウェブパスユニットD1から複数のウェブW1が重ねられて導入されると、折ユニットF1は、ウェブW1を縦折りし、所定の長さで横裁断し、横折りして折帖を形成し、新聞として排紙する。また、ウェブパスユニットD2から複数のウェブW2が重ねられて導入されると、折ユニットF2は、ウェブW2を縦折りし、所定の長さで横裁断し、横折りして折帖を形成し、新聞として排紙する。なお、本実施形態では折ユニットF1,F2を2つ設けているが、折ユニットF2を設けずに、折ユニットF1の1台にてウェブW1とウェブW2を重ねて縦折りし、所定の長さで横裁断し、横折りして折帖を形成し、新聞として排紙してもよい。
【0020】
[印刷ユニット]
図19は、新聞用オフセット輪転印刷機における印刷ユニットを表す概略構成図である。
【0021】
印刷ユニットU1は、
図19に示すように、4色印刷が可能となるように、H型のタワーユニットをなす。印刷ユニットU1は、ウェブWの搬送方向(
図19)にて、下から上に向かう方向)に沿って、墨、藍、紅、黄ごとの4つのスタック21,22,23,24が配置されて構成され、スタック21,22,23,24は、それぞれ左右対称となるローラ配列である。
【0022】
スタック21,22,23,24は、左右に対向してブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bがウェブWの搬送経路を挟んで対接する。ブランケット胴31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34bは、版胴41a,41b,42a,42b,43a,43b,44a,44bが対接する。スタック21,22,23,24は、版胴41a,41b,42a,42b,43a,43b,44a,44bに対して、インキ供給装置51a,51b,52a,52b,53a,53b,54a,54bが設けられる。また、スタック21,22,23,24は、版胴41a,41b,42a,42b,43a,43b,44a,44bに対して、湿し装置61a,61b,62a,62b,63a,63b,64a,64bが設けられる。
【0023】
なお、他の印刷ユニットU2~U6もほぼ同様の構成である。
【0024】
[スタック]
図20は、印刷ユニットにおけるローラ配列を表す概略図である。
【0025】
スタック24は、
図20に示すように、ウェブWの搬送方向最下流側に配置され、黄色のインキを印刷可能である。スタック24は、鉛直方向における上方向に沿ったウェブWの搬送経路に対して、左側が表面印刷を行う表面印刷ユニットであり、右側が裏面印刷を行う裏面印刷ユニットである。
【0026】
スタック24は、ブランケット胴34a,34bと、版胴44a,44bと、インキ供給装置54a,54bと、湿し装置64a,64bを有する。インキ供給装置54a,54bは、インキ元ローラ71a,71bと、インキつぼを構成するインキキー72a,72bと、インキ受渡しローラ73a,73bと、インキ練りローラ74a,74bと、インキ往復ローラ75a,75bと、インキ練りローラ76a,76bと、インキ往復ローラ77a,77bと、2つのインキ着けローラ78a,78b,79a,79bとから構成される。なお、インキ供給源としてインキキー72a,72bに代えて、インキポンプを設けてもよい。また、湿し装置64a,64bは、水ライダローラ81a,81bと、水往復ローラ82a,82bと、水着けローラ83a,83bと、スプレーノズル84a,84bとから構成される。なお、各種ローラの構成や配置、本数などは、上述したものに限定されることはなく、必要に応じて変更してもよい。
【0027】
インキ供給装置54a,54bは、インキつぼ方式であって、1つのインキ元ローラ71a,71bに対して複数のインキキー72a,72bが幅方向に沿って配置されて構成される。インキ元ローラ71a,71bおよびインキキー72a,72bは、予め設定された所定の流動性(粘度)を有するインキを貯留することができると共に、インキキー72a,72bを開放することで、所定量のインキを送り出すことができる。インキ元ローラ71a,71bは、表面が平滑で、インキキーとの隙間だけインキ皮膜が形成され、所定膜厚のインキを保持することができる。この場合、複数のインキキー72a,72bのうちのいずれかを作動することで、インキ元ローラ71a,71bの軸方向における所定の領域だけにインキを供給することができる。また、インキキー72a,72bは、幅方向に複数(本実施形態では、32)配置されており、図示しない開閉装置によりインキ開度を個別に調整することができる。また、図示しないインキポンプの場合も、インキポンプには幅方向に複数分割されたインキ吐出機構が組み込まれており、各インキ吐出機構の作動や吐出量を個別に制御することで、インキキー72a,72bと同様にインキ元ローラ71a,71bの軸方向における所定の領域だけにインキを供給することができる。
【0028】
インキ受渡しローラ73a,73bは、インキ元ローラ71a,71bからのインキが受け渡される。インキ練りローラ74a,74bは、インキ受渡しローラ73a,73bから受け渡されたインキを練るものである。インキ往復ローラ75a,75bは、インキ練りローラ74a,74bにより練られたインキを幅方向に広げるものである。インキ練りローラ76a,76bは、インキ往復ローラ75a,75bから受け渡されたインキを練るものである。インキ往復ローラ77a,77bは、インキ練りローラ76a,76bにより練られたインキを幅方向に広げるものである。インキ着けローラ78a,78b,79a,79bは、インキ往復ローラ77a,77bにより幅方向に広げられたインキを受け取って版胴44a,44bに供給するものである。
【0029】
水ライダローラ81a,81bは、ローラ間で受け渡される湿し水を練るものである。水往復ローラ82a,82bは、隣接するローラ間で受け渡される湿し水を幅方向に広げるものである。水着けローラ83a,83bは、水往復ローラ82a,82bにより幅方向に広げられた湿し水を受け取って版胴44a,44bに供給するものである。
【0030】
版胴44a,44bは、表面に図示しない刷版が巻き付けられる金属ローラである。版胴44a,44bは、水着けローラ83a,83bの湿し水が刷版の非画線部に受け渡された後、インキ着けローラ78a,78b,79a,79bのインキが刷版の画線部に受け渡される。ブランケット胴34a,34bは、表面に図示しないブランケット(ゴム)が巻き付けられるゴムローラであり、版胴44a,44bから受け渡されたインキをウェブWに転写するものである。
【0031】
そのため、インキキー72a,72bが所定開度に設定され、インキ元ローラ71a,71bが所定の速度で回転すると、調量されたインキがインキ元ローラ71a,71bを通してインキ受渡しローラ73a,73bに供給される。この場合、インキキー72a,72bの開度は、刷版の絵柄の画線率に応じて設定される。インキポンプの場合は、刷版の絵柄の画線率に応じてインキの突出量が設定される。インキ受渡しローラ73a,73bに供給されたインキは、インキ練りローラ74a,74b、インキ往復ローラ75a,75b、インキ練りローラ76a,76b、インキ往復ローラ77a,77bを介してインキ着けローラ78a,78b,79a,79bに供給される。一方、水ライダローラ81a,81bは、湿し水を水往復ローラ82a,82bを介して水着けローラ83a,83bに供給する。
【0032】
水着けローラ83a,83bは、版胴44a,44bの刷版の非画線部のみに湿し水を転写する。インキ着けローラ78a,78b,79a,79bは、版胴44a,44bの刷版の画線部のみにインキを転写する。そして、版胴44a,44bが回転することで、刷版の画線部にあるインキがブランケット胴34a,34bに受け渡される。ブランケット胴34a,34bの間のニップ部にウェブWが通過するときに、その印圧により各ブランケット胴34a,34bのインキ(絵柄)がウェブWの表裏に転写され、ウェブWへの両面印刷が行われる。
【0033】
ところで、インキ供給装置54a,54bは、インキ元ローラ71a,71b、インキ受渡しローラ73a,73b、インキ練りローラ74a,74b、インキ往復ローラ75a,75b、インキ練りローラ76a,76b、インキ往復ローラ77a,77b、インキ着けローラ78a,78b,79a,79bを有する。インキ練りローラ74a,74b,76a,76bとインキ着けローラ78a,78b,79a,79bは、ゴムローラである。また、湿し装置64a,64bは、水ライダローラ81a,81b、水往復ローラ82a,82b、水着けローラ83a,83b、スプレーノズル84a,84bを有する。水ライダローラ81a,81b、水着けローラ83a,83bは、ゴムローラである。ゴムローラは、長期間使用すると、インキや紙粉等の影響による摩耗、発熱、溶剤によるゴムの変質などにより変形して劣化する。ゴムローラが変形すると、外径が小さくなってローラ間のニップが減少するため、ニップの調整が必要となる。ここで、ニップとは、ローラ同士が所定の圧力で対接したとき、ローラ間における周方向の接触幅である。
【0034】
そこで、本実施形態では、インキ練りローラ74a,74b,76a,76bやインキ着けローラ78a,78b,79a,79b、水ライダローラ81a,81bや水着けローラ83a,83bなどのゴムローラの他のローラとのニップを監視し、ニップの調整時期とゴムローラの交換時期を作業者に知らせる印刷部のニップ監視装置を提供する。
【0035】
[新聞用オフセット輪転印刷機の制御ブロック]
図1は、本実施形態の新聞用オフセット輪転印刷機における制御ブロックを表す概略構成図である。
【0036】
図1に示すように、新聞用オフセット輪転印刷機10は、給紙装置Rと、インフィード装置Iと、印刷装置Uと、ウェブパス装置Dと、折機Fとを備える。新聞用オフセット輪転印刷機10は、印刷機制御部110により作動制御可能である。印刷機制御部110は、給紙制御部111と、インフィード制御部112と、印刷制御部113と、ウェブパス制御部114と、折機制御部115とを備える。給紙制御部111、インフィード制御部112、印刷制御部113、ウェブパス制御部114、折機制御部115は、それぞれ給紙装置R、インフィード装置I、印刷装置U、ウェブパス装置D、折機Fを作動制御可能である。そして、印刷機制御部110は、ニップ監視装置100が接続される。
【0037】
[印刷部のニップ監視装置]
図2は、本実施形態の印刷部のニップ監視装置における制御ブロックを表す概略構成図である。
【0038】
図2に示すように、ニップ監視装置100は、印刷部としての印刷ユニットU1~U6を構成するスタック21,22,23,24の各ローラにおけるニップの調整時期やゴムローラの交換時期を監視する。ニップ監視装置100は、アラーム制御部101と、アラーム記憶部102と、モニタ(表示装置)103と、スピーカ(表示装置)104とを備える。
【0039】
アラーム制御部101は、印刷機制御部110から稼働日数、胴入り時間、C巻およびD巻の使用回数、インキクラッチの連結回数、モータトルク、インキ供給量変化量、湿し供給量変化量、紙面異常検出回数が入力される。
【0040】
稼働日数とは、印刷装置Uの各ローラにおけるニップ調整を行ってから、または、印刷装置Uの各ローラを交換してから現在までの新聞用オフセット輪転印刷機10の稼働日数の合計である。なお、稼働日数を稼働時間の合計としてもよい。稼働日数は、印刷機制御部110からアラーム制御部101に入力される。胴入り時間とは、印刷装置Uの各ローラにおけるニップ調整を行ってから、または、印刷装置Uの各ローラを交換してから現在までの胴入り時間の合計である。胴入り時間は、印刷制御部113からアラーム制御部101に入力される。印刷装置Uにより印刷を行う場合、紙通し作業および紙張り作業などを実施した後に胴入り作業を行い、印刷を開始する。そして、印刷が終了すると、銅抜き作業を行い、必要に応じてインキ洗浄作業を行う。胴入り時間とは、胴入り作業から銅抜き作業までの時間である。また、胴入り作業とは、ブランケット胴を移動して外周面をウェブの表裏に接触させると共に版胴に対接させるものである。胴抜き作業とは、ブランケット胴を移動して外周面をウェブの表裏から離間させると共に版胴から離間対接させるものである。
【0041】
C巻およびD巻の使用回数とは、印刷装置Uの各ローラにおけるニップ調整を行ってから、または、印刷装置Uの各ローラを交換してから現在まで、給紙装置RがC巻およびD巻を使用した回数である。C巻およびD巻の使用回数は、給紙制御部111からアラーム制御部101に入力される。
図3は、ウェブの種類を説明するための概略図である。
図3に示すように、版胴41aは、幅方向に4枚の刷版を装着可能であり、一度に4頁印刷可能である。4頁幅の版胴41aに対して同じ幅のウェブWが巻き取られた巻取紙をA巻と称する。また、4頁幅の版胴に対して3頁幅のウェブWが巻き取られた巻取紙をC巻と称する。4頁幅の版胴に対して2頁幅のウェブWが巻き取られた巻取紙をD巻と称する。なお、C巻およびD巻の巻取紙は、4頁幅の版胴に対して幅方向の一方側(操作側)や他方側(駆動側)にずれて搬送される場合がある。
【0042】
図2に戻り、インキクラッチの連結回数とは、印刷装置Uの各ローラにおけるニップ調整を行ってから、または、印刷装置Uの各ローラを交換してから現在まで、使用されたスタック(インキ供給装置)の数の合計である。インキクラッチの連結回数は、印刷制御部113からアラーム制御部101に入力される。印刷ユニットU1~U6は、一般的に、4つのスタック21,22,23,24を有する。ところが、印刷ユニットU1が白黒の新聞を印刷するとき、スタック21だけを使用し、スタック22,23,24を使用しない。駆動モータとインキ供給装置とは、駆動力伝達経路にインキクラッチが設けられている。このとき、スタック21のインキクラッチだけを連結状態とし、スタック22,23,24のインキクラッチを連結状態とせずに切断状態とする。この場合、スタック21のインキクラッチだけを連結状態するため、インキクラッチの連結回数は、1回となる。インキクラッチの連結回数は、上述した期間のインキクラッチの連結回数の合計である。
【0043】
モータトルクとは、印刷装置Uのゴムローラを含む各ローラを駆動する駆動モータにおける現在のトルクである。モータトルクは、印刷制御部113からアラーム制御部101に入力される。例えば、印刷ユニットU1は、4つのスタック21,22,23,24から構成される。スタック21,22,23,24は、両面印刷が可能であり、2つの版胴を介して各ローラなどを駆動回転するための1つまたは2つの駆動モータを有する。モータトルクとは、この各駆動モータのトルクであり、検出値である。モータトルクは、印刷運転中だけでなく、ローラ洗浄やインキ巻き運転などのメンテナンス、準備作業中も含む輪転機の運転全般で検出可能である。なお、モータトルクは、印刷部数や潤滑油やフレームの温度等によって変化する場合がある。
【0044】
インキ供給量変化量とは、印刷装置Uの各ローラにおけるニップ調整を行ってから、または、印刷装置Uの各ローラを交換してから現在までのインキ供給量の変化量の合計である。インキ供給量変化量は、印刷制御部113からアラーム制御部101に入力される。印刷装置Uは、印刷開始時にインキ供給量(例えば、キー開度)のプリセット値が設定される。印刷中、作業者は、印刷状態に応じてインキ供給量を調整する。そのため、印刷開始時におけるインキ供給量(プリセット値)と印刷終了時のインキ供給量とが相違する。インキ供給量変化量とは、印刷開始時と印刷終了時とのインキ供給量の変化量(差)の合計である。
【0045】
湿し供給量変化量とは、印刷装置Uの各ローラにおけるニップ調整を行ってから、または、印刷装置Uの各ローラを交換してから現在までの湿し供給量の変化量の合計である。湿し供給量変化量は、印刷制御部113からアラーム制御部101に入力される。印刷装置Uは、印刷開始時に湿し供給量のプリセット値が設定される。印刷中、作業者は、印刷状態に応じて湿し供給量を調整する。そのため、印刷開始時における湿し供給量と印刷終了時の湿し供給量とが相違する。湿し供給量変化量とは、印刷開始時と印刷終了時との湿し供給量の変化量(差)の合計である。
【0046】
紙面異常検出回数とは、印刷装置Uの各ローラにおけるニップ調整を行ってから、または、印刷装置Uの各ローラを交換してから現在までの紙面異常検出回数の合計である。紙面異常検出回数は、印刷機制御部110からアラーム制御部101に入力される。新聞用オフセット輪転印刷機10は、図示しないが、紙面検査装置が設けられている。紙面検査装置は、印刷後のウェブWの印刷状態の異常を検出する。印刷状態の異常とは、例えば、濃度異常、紙面や余白部の汚れなどである。
【0047】
アラーム制御部101は、新聞用オフセット輪転印刷機10の稼働日数に基づいて印刷装置Uにおけるゴムローラの変形(摩耗や変質等)によるニップ調整アラームを出力する。すなわち、アラーム制御部101は、印刷装置Uにおけるゴムローラの長期使用による変形が進行する中で、印刷装置Uのニップ調整が必要であるかを判定し、ニップ調整が必要であると判定すると、ニップ調整アラームを出力する。また、アラーム制御部101は、印刷装置Uのゴムローラの交換が必要であるかを判定し、ゴムローラの交換が必要であると判定すると、ローラ交換アラームを出力する。アラーム制御部101は、ニップ調整やゴムローラの交換が必要であると判定したとき、ニップ調整アラームおよびローラ交換アラームとして、モニタ103にニップ調整やローラ交換が必要であることを表示し、スピーカ104からニップ調整アラームやローラ交換が必要であることを発する。
【0048】
アラーム記憶部102は、ニップ調整アラームやローラ交換アラームの出力の判定に用いる各種の判定値が記憶される。
【0049】
[部品交換時期アラームの出力方法]
図4は、本実施形態の印刷部のニップ監視方法を表すフローチャートである。
【0050】
ニップ監視方法において、
図2および
図4に示すように、ステップS11にて、アラーム制御部101は、新聞用オフセット輪転印刷機10による印刷作業が実施されているかどうかを判定する。ここで、印刷作業が実施されていないと判定(No)されると、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、印刷作業が実施されていると判定(Yes)されると、ステップS12に移行する。ステップS12にて、アラーム制御部101は、稼働日数が予め設定された日数判定値を超えているかどうかを判定する。ここで、稼働日数とは、印刷装置Uの各ローラにおけるニップ調整を行ってから、または、印刷装置Uの各ローラを交換してから現在までの新聞用オフセット輪転印刷機10の稼働日数の合計である。また、日数判定値とは、ローラの変形によりニップ調整が必要となる稼働日数であり、事前に実験やシミュレーションなどにより設定しておく。そして、日数判定値は、アラーム記憶部102に記憶される。
【0051】
なお、新聞用オフセット輪転印刷機10の稼働日数に代えて印刷装置Uにおける胴入り時間としてもよい。すなわち、ステップS12にて、アラーム制御部101は、胴入り時間が予め設定された時間判定値を超えているかどうかを判定する。ここで、胴入り時間とは、印刷装置Uの各ローラにおけるニップ調整を行ってから、または、印刷装置Uの各ローラを交換してから現在までの印刷装置Uにおける胴入り時間の合計である。また、時間判定値とは、ローラの変形によりニップ調整が必要となる胴入り時間であり、事前に実験やシミュレーションなどにより設定しておく。そして、時間判定値は、アラーム記憶部102に記憶される。
【0052】
ここで、稼働日数(胴入り時間)が日数判定値(時間判定値)を超えていないと判定(No)されると、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、稼働日数(胴入り時間)が日数判定値(時間判定値)を超えていると判定(Yes)されると、ステップS13に移行する。
【0053】
ステップS13にて、アラーム制御部101は、C巻およびD巻の使用回数が予め設定された使用回数判定値を超えているかどうかを判定する。ここで、C巻およびD巻の使用回数とは、印刷装置Uの各ローラにおけるニップ調整を行ってから、または、印刷装置Uの各ローラを交換してから現在まで、給紙装置RがC巻およびD巻を使用した回数である。また、使用回数判定値とは、ローラの変形によりニップ調整が必要となるC巻およびD巻の使用回数であり、事前に実験やシミュレーションなどにより設定しておく。そして、使用回数判定値は、アラーム記憶部102に記憶される。
【0054】
印刷装置UがC巻やD巻のウェブWに対して印刷を行う場合、版胴の3面または2面に画線部を有する刷版を装着し、残りの1面または2面に非画線部だけの刷版を装着したり、刷版を装着しなかったりする。そして、インキ供給装置は、画線部を有する刷版の領域だけにインキや湿し水を供給し、その他の領域にはインキや湿し水を供給しない。すると、インキや湿し水が供給されないゴムローラの一部領域で、すでに付着しているインキが乾燥し、ゴムローラの一部の領域で劣化が進行する。すなわち、C巻やD巻のウェブWを用いて印刷を行った場合、ゴムローラが劣化しやすいことから、A巻のウェブWを用いて印刷を行った場合に比べて、ニップ調整やローラ交換の頻度が高くなる。
【0055】
ここで、C巻およびD巻の使用回数が使用回数判定値を超えていないと判定(No)されると、ゴムローラの変形の度合いが大きくなく、まだニップ調整を実施する時期に到達していないと推定され、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、C巻およびD巻の使用回数が使用回数判定値を超えていると判定(Yes)されると、ゴムローラの変形の度合いが大きくなり、すでにニップ調整を実施する時期に到達したと推定され、ステップS14にて、アラーム制御部101は、ニップ調整アラームを出力する。そして、ステップS15にて、アラームカウンタに1を加算する。
【0056】
ステップS16にて、アラーム制御部101は、アラームカウント値が予め設定されたアラーム回数判定値を超えているかどうかを判定する。ここで、アラームカウント値とは、ニップ調整アラームが出力された回数である。また、アラーム回数判定値とは、ローラの変形により交換が必要となるアラーム回数であり、事前に実験やシミュレーションなどにより設定しておく。そして、フラーム回数判定値は、アラーム記憶部102に記憶される。
【0057】
ここで、アラームカウント値がアラーム回数判定値を超えていないと判定(No)されると、まだローラを交換する時期に到達していないと推定され、また、ニップ調整アラームが出力されたことで、作業者はニップ調整を実行したと推定し、ステップS17にて、積算していた稼働日数とC巻およびD巻の使用回数をリセットする。一方、アラームカウント値がアラーム回数判定値を超えていると判定(Yes)されると、すでにゴムローラの交換を実施する時期に到達したと推定され、ステップS18にて、アラーム制御部101は、ローラ交換アラームを出力し、アラームカウント値をリセットする。
【0058】
なお、上述の説明にて、アラーム制御部101は、稼働日数、胴入り時間、C巻およびD巻の使用回数に基づいてニップ調整アラームおよびローラ交換時期アラームを出力したが、この構成に限定されるものではない。
図5から
図17は、本実施形態の変形例の印刷部のニップ監視方法を表すフローチャートである。
【0059】
ニップ監視方法の第1変形例において、
図2および
図5に示すように、ステップS21およびステップS22は、上述したステップS11およびステップS12と同様であり、説明は省略する。
【0060】
ステップS23にて、アラーム制御部101は、インキクラッチ連結回数が予め設定された連結回数判定値を超えているかどうかを判定する。ここで、インキクラッチの連結回数とは、印刷装置Uの各ローラにおけるニップ調整を行ってから、または、印刷装置Uの各ローラを交換してから現在まで、使用されたスタックの数の合計である。また、連結回数判定値とは、ローラの変形によりニップ調整が必要となるインキクラッチの連結回数であり、事前に実験やシミュレーションなどにより設定しておく。そして、連結回数判定値は、アラーム記憶部102に記憶される。
【0061】
インキクラッチの連結回数は、使用されたスタックの数の合計であり、印刷装置Uにおけるゴムローラの使用回数である。インキクラッチの連結回数が増加する、つまり、ゴムローラの使用回数が増加すると、ニップ調整やローラ交換の頻度が高くなる。
【0062】
ここで、インキクラッチ連結回数が連結回数判定値を超えていないと判定(No)されると、ゴムローラの変形の度合いが大きくなく、まだニップ調整を実施する時期に到達していないと推定され、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、インキクラッチ連結回数が連結回数判定値を超えていると判定(Yes)されると、ゴムローラの変形の度合いが大きくなり、すでにニップ調整を実施する時期に到達したと推定され、ステップS24にて、アラーム制御部101は、ニップ調整アラームを出力する。そして、ステップS25にて、アラームカウンタに1を加算する。
【0063】
ステップS26にて、アラーム制御部101は、アラームカウント値がアラーム回数判定値を超えているかどうかを判定する。ここで、アラームカウント値がアラーム回数判定値を超えていないと判定(No)されると、ステップS27にて、積算していた稼働日数とインキクラッチの連結回数をリセットする。一方、アラームカウント値がアラーム回数判定値を超えていると判定(Yes)されると、ステップS28にて、アラーム制御部101は、ローラ交換アラームを出力し、アラームカウント値をリセットする。
【0064】
ニップ監視方法の第2変形例において、
図2および
図6に示すように、ステップS31およびステップS32は、上述したステップS11およびステップS12と同様であり、説明は省略する。
【0065】
ステップS33にて、アラーム制御部101は、現在のモータトルクが予め設定されたトルク判定値より低いかどうかを判定する。ここで、モータトルクとは、印刷装置Uの駆動モータにおける現在のトルク検出値である。また、トルク判定値とは、ローラの変形によりニップ調整が必要となるまで低下したモータトルクであり、事前に実験やシミュレーションなどにより設定しておく。そして、トルク判定値は、アラーム記憶部102に記憶される。
【0066】
駆動モータは、版胴を介してインキ供給装置の各ローラを駆動回転する。ローラ間のニップが低下すると、駆動モータが版胴を介してインキ供給装置の各ローラを所定速度で駆動回転するためのトルクが低下する。そのため、駆動モータのトルクが低下すると、ニップ調整やローラ交換の頻度が高くなる。
【0067】
ここで、モータトルクがトルク判定値より低くないと判定(No)されると、ゴムローラの変形の度合いが大きくなく、まだニップ調整を実施する時期に到達していないと推定され、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、モータトルクがトルク回数判定値より低いと判定(Yes)されると、ゴムローラの変形の度合いが大きくなり、すでにニップ調整を実施する時期に到達したと推定され、ステップS34にて、アラーム制御部101は、ニップ調整アラームを出力する。そして、ステップS35にて、アラームカウンタに1を加算する。
【0068】
ステップS36にて、アラーム制御部101は、アラームカウント値がアラーム回数判定値を超えているかどうかを判定する。ここで、アラームカウント値がアラーム回数判定値を超えていないと判定(No)されると、ステップS37にて、積算していた稼働日数をリセットする。一方、アラームカウント値がアラーム回数判定値を超えていると判定(Yes)されると、ステップS38にて、アラーム制御部101は、ローラ交換アラームを出力し、アラームカウント値をリセットする。
【0069】
ニップ監視方法の第3変形例において、
図2および
図7に示すように、ステップS41およびステップS42は、上述したステップS11およびステップS12と同様であり、説明は省略する。
【0070】
ステップS43にて、アラーム制御部101は、インキ供給量変化量が予め設定されたインキ供給量判定値を超えているかどうかを判定する。ここで、インキ供給量変化量とは、印刷装置Uの各ローラにおけるニップ調整を行ってから、または、印刷装置Uの各ローラを交換してから現在までのインキ供給量の変化量の合計である。また、インキ供給量判定値とは、ローラの変形によりニップ調整が必要となるまで低下したインキ供給量の変化量であり、事前に実験やシミュレーションなどにより設定しておく。そして、インキ供給量判定値は、アラーム記憶部102に記憶される。
【0071】
ローラ間のニップが低下すると、所定のインキ量を供給することができないことから、作業者は、インキ元ローラからのインキ供給量を増加させる。そのため、インキ元ローラからのインキ供給量が増加すると、ニップ調整やローラ交換の頻度が高くなる。
【0072】
ここで、インキ供給量変化量がインキ供給量判定値を超えていないと判定(No)されると、ゴムローラの変形の耗度合いが大きくなく、まだニップ調整を実施する時期に到達していないと推定され、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、インキ供給量変化量がインキ供給量判定値を超えていると判定(Yes)されると、ゴムローラの変形の度合いが大きくなり、すでにニップ調整を実施する時期に到達したと推定され、ステップS44にて、アラーム制御部101は、ニップ調整アラームを出力する。そして、ステップS45にて、アラームカウンタに1を加算する。
【0073】
ステップS46にて、アラーム制御部101は、アラームカウント値がアラーム回数判定値を超えているかどうかを判定する。ここで、アラームカウント値がアラーム回数判定値を超えていないと判定(No)されると、ステップS47にて、積算していた稼働日数とインキ供給量変化量をリセットする。一方、アラームカウント値がアラーム回数判定値を超えていると判定(Yes)されると、ステップS48にて、アラーム制御部101は、ローラ交換アラームを出力し、アラームカウント値をリセットする。
【0074】
ニップ監視方法の第4変形例において、
図2および
図8に示すように、ステップS51およびステップS52は、上述したステップS11およびステップS12と同様であり、説明は省略する。
【0075】
ステップS53にて、アラーム制御部101は、湿し供給量変化量が予め設定された湿し供給量判定値を超えているかどうかを判定する。ここで、湿し供給量変化量とは、印刷装置Uの各ローラにおけるニップ調整を行ってから、または、印刷装置Uの各ローラを交換してから現在までの湿し供給量の変化量の合計である。また、湿し供給量判定値とは、ローラの変形によりニップ調整が必要となるまで低下した湿し供給量の変化量であり、事前に実験やシミュレーションなどにより設定しておく。そして、湿し供給量判定値は、アラーム記憶部102に記憶される。
【0076】
ローラ間のニップが低下すると、所定の湿し量を供給することができないことから、作業者は、スプレーノズルからの湿し供給量を増加させる。そのため、スプレーノズルからの湿し供給量が増加すると、ニップ調整やローラ交換の頻度が高くなる。
【0077】
ここで、湿し供給量変化量が湿し供給量判定値を超えていないと判定(No)されると、ゴムローラの変形の度合いが大きくなく、まだニップ調整を実施する時期に到達していないと推定され、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、湿し供給量変化量が湿し供給量判定値を超えていると判定(Yes)されると、ゴムローラの変形の度合いが大きくなり、すでにニップ調整を実施する時期に到達したと推定され、ステップS54にて、アラーム制御部101は、ニップ調整アラームを出力する。そして、ステップS55にて、アラームカウンタに1を加算する。
【0078】
ステップS56にて、アラーム制御部101は、アラームカウント値がアラーム回数判定値を超えているかどうかを判定する。ここで、アラームカウント値がアラーム回数判定値を超えていないと判定(No)されると、ステップS57にて、積算していた稼働日数と湿し供給量変化量をリセットする。一方、アラームカウント値がアラーム回数判定値を超えていると判定(Yes)されると、ステップS58にて、アラーム制御部101は、ローラ交換アラームを出力し、アラームカウント値をリセットする。
【0079】
ニップ監視方法の第5変形例において、
図2および
図9に示すように、ステップS61およびステップS62は、上述したステップS11およびステップS12と同様であり、説明は省略する。
【0080】
ステップS63にて、アラーム制御部101は、紙面異常検出回数が予め設定された異常検出回数判定値を超えているかどうかを判定する。ここで、紙面異常検出回数とは、印刷装置Uの各ローラにおけるニップ調整を行ってから、または、印刷装置Uの各ローラを交換してから現在までの紙面異常検出回数の合計である。また、異常検出回数とは、ローラの変形によりニップ調整が必要となるまで低下した異常検出回数であり、事前に実験やシミュレーションなどにより設定しておく。そして、異常検出回数判定値は、アラーム記憶部102に記憶される。
【0081】
ローラ間のニップが低下すると、印刷後のウェブWの紙面異常が発生しやすいことから、ニップ調整やローラ交換の頻度が高くなる。
【0082】
ここで、紙面異常検出回数が異常検出回数判定値を超えていないと判定(No)されると、ゴムローラの変形の度合いが大きくなく、まだニップ調整を実施する時期に到達していないと推定され、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、紙面異常検出回数が異常検出回数判定値を超えていると判定(Yes)されると、ゴムローラの変形の度合いが大きくなり、すでにニップ調整を実施する時期に到達したと推定され、ステップS64にて、アラーム制御部101は、ニップ調整アラームを出力する。そして、ステップS65にて、アラームカウンタに1を加算する。
【0083】
ステップS66にて、アラーム制御部101は、アラームカウント値がアラーム回数判定値を超えているかどうかを判定する。ここで、アラームカウント値がアラーム回数判定値を超えていないと判定(No)されると、ステップS57にて、積算していた稼働日数と紙面異常検出回数をリセットする。一方、アラームカウント値がアラーム回数判定値を超えていると判定(Yes)されると、ステップS68にて、アラーム制御部101は、ローラ交換アラームを出力し、アラームカウント値をリセットする。
【0084】
以下に説明するニップ監視方法の第6変形例から第12変形例は、本実施形態と第1変形例から第5変形例の組合せであり、詳細な説明は省略する。
【0085】
ニップ監視方法の第6変形例において、
図2および
図10に示すように、ステップS71にて、アラーム制御部101は、新聞用オフセット輪転印刷機10による印刷作業が実施されているかどうかを判定する。ここで、印刷作業が実施されていないと判定(No)されると、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、印刷作業が実施されていると判定(Yes)されると、ステップS72に移行する。ステップS72にて、アラーム制御部101は、稼働日数(胴入り時間)が日数判定値(時間判定値)を超えているかどうかを判定する。ここで、稼働日数(胴入り時間)が日数判定値(時間判定値)を超えていないと判定(No)されると、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、稼働日数(胴入り時間)が日数判定値(時間判定値)を超えていると判定(Yes)されると、ステップS73に移行する。
【0086】
ステップS73にて、アラーム制御部101は、C巻およびD巻の使用回数が使用回数判定値を超えているかどうかを判定する。ここで、C巻およびD巻の使用回数が使用回数判定値を超えていないと判定(No)されると、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、C巻およびD巻の使用回数が使用回数判定値を超えていると判定(Yes)されると、ステップS74に移行する。ステップS74にて、アラーム制御部101は、インキクラッチ連結回数が連結回数判定値を超えているかどうかを判定する。ここで、インキクラッチ連結回数が連結回数判定値を超えていないと判定(No)されると、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、インキクラッチ連結回数が連結回数判定値を超えていると判定(Yes)されると、ステップS75にて、アラーム制御部101は、ニップ調整アラームを出力する。そして、ステップS76にて、アラームカウンタに1を加算する。
【0087】
ステップS77にて、アラーム制御部101は、アラームカウント値がアラーム回数判定値を超えているかどうかを判定する。ここで、アラームカウント値がアラーム回数判定値を超えていないと判定(No)されると、ステップS78にて、積算していた稼働日数とC巻およびD巻の使用回数とインキクラッチの連結回数をリセットする。一方、アラームカウント値がアラーム回数判定値を超えていると判定(Yes)されると、ステップS79にて、アラーム制御部101は、ローラ交換アラームを出力し、アラームカウント値をリセットする。
【0088】
ニップ監視方法の第7変形例において、
図2および
図11に示すように、ステップS81にて、アラーム制御部101は、新聞用オフセット輪転印刷機10による印刷作業が実施されているかどうかを判定する。ここで、印刷作業が実施されていないと判定(No)されると、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、印刷作業が実施されていると判定(Yes)されると、ステップS82に移行する。ステップS82にて、アラーム制御部101は、稼働日数(胴入り時間)が日数判定値(時間判定値)を超えているかどうかを判定する。ここで、稼働日数(胴入り時間)が日数判定値(時間判定値)を超えていないと判定(No)されると、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、稼働日数(胴入り時間)が日数判定値(時間判定値)を超えていると判定(Yes)されると、ステップS83に移行する。
【0089】
ステップS83にて、アラーム制御部101は、C巻およびD巻の使用回数が使用回数判定値を超えているかどうかを判定する。ここで、C巻およびD巻の使用回数が使用回数判定値を超えていないと判定(No)されると、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、C巻およびD巻の使用回数が使用回数判定値を超えていると判定(Yes)されると、ステップS84に移行する。ステップS84にて、アラーム制御部101は、現在のモータトルクがトルク判定値より低いかどうかを判定する。ここで、モータトルクがトルク判定値より低くないと判定(No)されると、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、モータトルクがトルク回数判定値より低いと判定(Yes)されると、ステップS85にて、アラーム制御部101は、ニップ調整アラームを出力する。そして、ステップS86にて、アラームカウンタに1を加算する。
【0090】
ステップS87にて、アラーム制御部101は、アラームカウント値がアラーム回数判定値を超えているかどうかを判定する。ここで、アラームカウント値がアラーム回数判定値を超えていないと判定(No)されると、ステップS88にて、積算していた稼働日数とC巻およびD巻の使用回数をリセットする。一方、アラームカウント値がアラーム回数判定値を超えていると判定(Yes)されると、ステップS89にて、アラーム制御部101は、ローラ交換アラームを出力し、アラームカウント値をリセットする。
【0091】
ニップ監視方法の第8変形例において、
図2および
図12に示すように、ステップS91にて、アラーム制御部101は、新聞用オフセット輪転印刷機10による印刷作業が実施されているかどうかを判定する。ここで、印刷作業が実施されていないと判定(No)されると、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、印刷作業が実施されていると判定(Yes)されると、ステップS92に移行する。ステップS92にて、アラーム制御部101は、稼働日数(胴入り時間)が日数判定値(時間判定値)を超えているかどうかを判定する。ここで、稼働日数(胴入り時間)が日数判定値(時間判定値)を超えていないと判定(No)されると、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、稼働日数(胴入り時間)が日数判定値(時間判定値)を超えていると判定(Yes)されると、ステップS93に移行する。
【0092】
ステップS93にて、アラーム制御部101は、C巻およびD巻の使用回数が使用回数判定値を超えているかどうかを判定する。ここで、C巻およびD巻の使用回数が使用回数判定値を超えていないと判定(No)されると、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、C巻およびD巻の使用回数が使用回数判定値を超えていると判定(Yes)されると、ステップS94に移行する。ステップS94にて、アラーム制御部101は、インキ供給量変化量がインキ供給量判定値を超えているかどうかを判定する。ここで、インキ供給量変化量がインキ供給量判定値を超えていないと判定(No)されると、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、インキ供給量変化量がインキ供給量判定値を超えていると判定(Yes)されると、ステップS95にて、アラーム制御部101は、ニップ調整アラームを出力する。そして、ステップS96にて、アラームカウンタに1を加算する。
【0093】
ステップS97にて、アラーム制御部101は、アラームカウント値がアラーム回数判定値を超えているかどうかを判定する。ここで、アラームカウント値がアラーム回数判定値を超えていないと判定(No)されると、ステップS98にて、積算していた稼働日数とC巻およびD巻の使用回数とインキ供給量変化量をリセットする。一方、アラームカウント値がアラーム回数判定値を超えていると判定(Yes)されると、ステップS99にて、アラーム制御部101は、ローラ交換アラームを出力し、アラームカウント値をリセットする。
【0094】
ニップ監視方法の第9変形例において、
図2および
図13に示すように、ステップS101にて、アラーム制御部101は、新聞用オフセット輪転印刷機10による印刷作業が実施されているかどうかを判定する。ここで、印刷作業が実施されていないと判定(No)されると、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、印刷作業が実施されていると判定(Yes)されると、ステップS102に移行する。ステップS102にて、アラーム制御部101は、稼働日数(胴入り時間)が日数判定値(時間判定値)を超えているかどうかを判定する。ここで、稼働日数(胴入り時間)が日数判定値(時間判定値)を超えていないと判定(No)されると、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、稼働日数(胴入り時間)が日数判定値(時間判定値)を超えていると判定(Yes)されると、ステップS103に移行する。
【0095】
ステップS103にて、アラーム制御部101は、C巻およびD巻の使用回数が使用回数判定値を超えているかどうかを判定する。ここで、C巻およびD巻の使用回数が使用回数判定値を超えていないと判定(No)されると、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、C巻およびD巻の使用回数が使用回数判定値を超えていると判定(Yes)されると、ステップS104に移行する。ステップS104にて、アラーム制御部101は、湿し供給量変化量が湿し供給量判定値を超えているかどうかを判定する。ここで、湿し供給量変化量が湿し供給量判定値を超えていないと判定(No)されると、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、湿し供給量変化量が湿し供給量判定値を超えていると判定(Yes)されると、ステップS105にて、アラーム制御部101は、ニップ調整アラームを出力する。そして、ステップS106にて、アラームカウンタに1を加算する。
【0096】
ステップS107にて、アラーム制御部101は、アラームカウント値がアラーム回数判定値を超えているかどうかを判定する。ここで、アラームカウント値がアラーム回数判定値を超えていないと判定(No)されると、ステップS108にて、積算していた稼働日数とC巻およびD巻の使用回数と湿し供給量変化量をリセットする。一方、アラームカウント値がアラーム回数判定値を超えていると判定(Yes)されると、ステップS109にて、アラーム制御部101は、ローラ交換アラームを出力し、アラームカウント値をリセットする。
【0097】
ニップ監視方法の第10変形例において、
図2および
図14に示すように、ステップS111にて、アラーム制御部101は、新聞用オフセット輪転印刷機10による印刷作業が実施されているかどうかを判定する。ここで、印刷作業が実施されていないと判定(No)されると、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、印刷作業が実施されていると判定(Yes)されると、ステップS112に移行する。ステップS112にて、アラーム制御部101は、稼働日数(胴入り時間)が日数判定値(時間判定値)を超えているかどうかを判定する。ここで、稼働日数(胴入り時間)が日数判定値(時間判定値)を超えていないと判定(No)されると、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、稼働日数(胴入り時間)が日数判定値(時間判定値)を超えていると判定(Yes)されると、ステップS113に移行する。
【0098】
ステップS113にて、アラーム制御部101は、C巻およびD巻の使用回数が使用回数判定値を超えているかどうかを判定する。ここで、C巻およびD巻の使用回数が使用回数判定値を超えていないと判定(No)されると、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、C巻およびD巻の使用回数が使用回数判定値を超えていると判定(Yes)されると、ステップS114に移行する。ステップS114にて、アラーム制御部101は、紙面異常検出回数が異常検出回数判定値を超えているかどうかを判定する。ここで、紙面異常検出回数が異常検出回数判定値を超えていないと判定(No)されると、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、紙面異常検出回数が異常検出回数判定値を超えていると判定(Yes)されると、ステップS115にて、アラーム制御部101は、ニップ調整アラームを出力する。そして、ステップS116にて、アラームカウンタに1を加算する。
【0099】
ステップS117にて、アラーム制御部101は、アラームカウント値がアラーム回数判定値を超えているかどうかを判定する。ここで、アラームカウント値がアラーム回数判定値を超えていないと判定(No)されると、ステップS118にて、積算していた稼働日数とC巻およびD巻の使用回数と紙面異常検出回数をリセットする。一方、アラームカウント値がアラーム回数判定値を超えていると判定(Yes)されると、ステップS119にて、アラーム制御部101は、ローラ交換アラームを出力し、アラームカウント値をリセットする。
【0100】
ニップ監視方法の第11変形例において、
図2および
図15に示すように、ステップS121にて、アラーム制御部101は、新聞用オフセット輪転印刷機10による印刷作業が実施されているかどうかを判定する。ここで、印刷作業が実施されていないと判定(No)されると、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、印刷作業が実施されていると判定(Yes)されると、ステップS122に移行する。ステップS122にて、アラーム制御部101は、稼働日数(胴入り時間)が日数判定値(時間判定値)を超えているかどうかを判定する。ここで、稼働日数(胴入り時間)が日数判定値(時間判定値)を超えていないと判定(No)されると、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、稼働日数(胴入り時間)が日数判定値(時間判定値)を超えていると判定(Yes)されると、ステップS123に移行する。
【0101】
ステップS123にて、アラーム制御部101は、C巻およびD巻の使用回数が使用回数判定値を超えているかどうかを判定する。ここで、C巻およびD巻の使用回数が使用回数判定値を超えていないと判定(No)されると、ステップS125に移行する。一方、C巻およびD巻の使用回数が使用回数判定値を超えていると判定(Yes)されると、ステップS124に移行する。ステップS124にて、アラーム制御部101は、現在のモータトルクがトルク判定値より低いかどうかを判定する。ここで、モータトルクがトルク判定値より低くないと判定(No)されると、ステップS125に移行する。一方、モータトルクがトルク回数判定値より低いと判定(Yes)されると、ステップS126にて、アラーム制御部101は、ニップ調整アラームを出力する。
【0102】
また、ステップS125にて、アラーム制御部101は、インキ供給量変化量がインキ供給量判定値を超えているかどうかを判定する。ここで、インキ供給量変化量がインキ供給量判定値を超えていないと判定(No)されると、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、インキ供給量変化量がインキ供給量判定値を超えていると判定(Yes)されると、ステップS126にて、アラーム制御部101は、ニップ調整アラームを出力する。すなわち、C巻およびD巻の使用回数が使用回数判定値を超えておらず、または、モータトルクがトルク判定値より低くない場合であっても、インキ供給量変化量がインキ供給量判定値を超えていると、ニップ調整アラームを出力する。そして、ステップS127にて、アラームカウンタに1を加算する。
【0103】
ステップS128にて、アラーム制御部101は、アラームカウント値がアラーム回数判定値を超えているかどうかを判定する。ここで、アラームカウント値がアラーム回数判定値を超えていないと判定(No)されると、ステップS129にて、積算していた稼働日数とC巻およびD巻の使用回数とインキ供給量変化量をリセットする。一方、アラームカウント値がアラーム回数判定値を超えていると判定(Yes)されると、ステップS130にて、アラーム制御部101は、ローラ交換アラームを出力し、アラームカウント値をリセットする。
【0104】
ニップ監視方法の第12変形例において、
図2および
図16に示すように、ステップS131にて、アラーム制御部101は、新聞用オフセット輪転印刷機10による印刷作業が実施されているかどうかを判定する。ここで、印刷作業が実施されていないと判定(No)されると、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、印刷作業が実施されていると判定(Yes)されると、ステップS132に移行する。ステップS132にて、アラーム制御部101は、稼働日数(胴入り時間)が日数判定値(時間判定値)を超えているかどうかを判定する。ここで、稼働日数(胴入り時間)が日数判定値(時間判定値)を超えていないと判定(No)されると、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、稼働日数(胴入り時間)が日数判定値(時間判定値)を超えていると判定(Yes)されると、ステップS133に移行する。
【0105】
ステップS133にて、アラーム制御部101は、C巻およびD巻の使用回数が使用回数判定値を超えているかどうかを判定する。ここで、C巻およびD巻の使用回数が使用回数判定値を超えていないと判定(No)されると、ステップS135に移行する。一方、C巻およびD巻の使用回数が使用回数判定値を超えていると判定(Yes)されると、ステップS134に移行する。ステップS134にて、アラーム制御部101は、現在のモータトルクがトルク判定値より低いかどうかを判定する。ここで、モータトルクがトルク判定値より低くないと判定(No)されると、ステップS135に移行する。一方、モータトルクがトルク回数判定値より低いと判定(Yes)されると、ステップS136にて、アラーム制御部101は、ニップ調整アラームを出力する。
【0106】
また、ステップS135にて、アラーム制御部101は、湿し供給量変化量が湿し供給量判定値を超えているかどうかを判定する。ここで、湿し供給量変化量が湿し供給量判定値を超えていないと判定(No)されると、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、湿し供給量変化量が湿し供給量判定値を超えていると判定(Yes)されると、ステップS136にて、アラーム制御部101は、ニップ調整アラームを出力する。すなわち、C巻およびD巻の使用回数が使用回数判定値を超えておらず、または、モータトルクがトルク判定値より低くない場合であっても、湿し供給量変化量が湿し供給量判定値を超えていると、ニップ調整アラームを出力する。そして、ステップS137にて、アラームカウンタに1を加算する。
【0107】
ステップS138にて、アラーム制御部101は、アラームカウント値がアラーム回数判定値を超えているかどうかを判定する。ここで、アラームカウント値がアラーム回数判定値を超えていないと判定(No)されると、ステップS139にて、積算していた稼働日数とC巻およびD巻の使用回数と湿し供給量変化量をリセットする。一方、アラームカウント値がアラーム回数判定値を超えていると判定(Yes)されると、ステップS140にて、アラーム制御部101は、ローラ交換アラームを出力し、アラームカウント値をリセットする。
【0108】
ニップ監視方法の第13変形例において、
図2および
図17に示すように、ステップS141にて、アラーム制御部101は、新聞用オフセット輪転印刷機10による印刷作業が実施されているかどうかを判定する。ここで、印刷作業が実施されていないと判定(No)されると、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、印刷作業が実施されていると判定(Yes)されると、ステップS142に移行する。ステップS142にて、アラーム制御部101は、稼働日数(胴入り時間)が日数判定値(時間判定値)を超えているかどうかを判定する。ここで、稼働日数(胴入り時間)が日数判定値(時間判定値)を超えていないと判定(No)されると、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、稼働日数(胴入り時間)が日数判定値(時間判定値)を超えていると判定(Yes)されると、ステップS143に移行する。
【0109】
ステップS143にて、アラーム制御部101は、C巻およびD巻の使用回数が使用回数判定値を超えているかどうかを判定する。ここで、C巻およびD巻の使用回数が使用回数判定値を超えていないと判定(No)されると、ステップS145に移行する。一方、C巻およびD巻の使用回数が使用回数判定値を超えていると判定(Yes)されると、ステップS144に移行する。ステップS144にて、アラーム制御部101は、現在のモータトルクがトルク判定値より低いかどうかを判定する。ここで、モータトルクがトルク判定値より低くないと判定(No)されると、ステップS145に移行する。一方、モータトルクがトルク回数判定値より低いと判定(Yes)されると、ステップS146にて、アラーム制御部101は、ニップ調整アラームを出力する。
【0110】
また、ステップS145にて、アラーム制御部101は、紙面異常検出回数が異常検出回数判定値を超えているかどうかを判定する。ここで、紙面異常検出回数が異常検出回数判定値を超えていないと判定(No)されると、何もしないでこのルーチンを抜ける。一方、紙面異常検出回数が異常検出回数判定値を超えていると判定(Yes)されると、ステップS146にて、アラーム制御部101は、ニップ調整アラームを出力する。すなわち、C巻およびD巻の使用回数が使用回数判定値を超えておらず、または、モータトルクがトルク判定値より低くない場合であっても、紙面異常検出回数が異常検出回数判定値を超えているとニップ調整アラームを出力する。そして、ステップS147にて、アラームカウンタに1を加算する。
【0111】
ステップS148にて、アラーム制御部101は、アラームカウント値がアラーム回数判定値を超えているかどうかを判定する。ここで、アラームカウント値がアラーム回数判定値を超えていないと判定(No)されると、ステップS149にて、積算していた稼働日数とC巻およびD巻の使用回数と紙面異常検出回数をリセットする。一方、アラームカウント値がアラーム回数判定値を超えていると判定(Yes)されると、ステップS150にて、アラーム制御部101は、ローラ交換アラームを出力し、アラームカウント値をリセットする。
【0112】
[本実施形態の作用効果]
第1の態様に係る印刷部のニップ監視装置は、インキ供給源から版胴およびブランケット胴までのインキ供給経路にゴムローラが配置されるインキ供給装置と、印刷機の稼働日数に基づいてゴムローラの変形によるニップ調整作業の実施を促すニップ調整アラームを出力するアラーム制御部101と、アラーム制御部101が出力するニップ調整アラームを表示する表示装置としての、モニタ103およびスピーカ104とを備える。
【0113】
第1の態様に係る印刷部のニップ監視装置は、印刷機の稼働日数に基づいてゴムローラの変形によるニップ調整作業の実施を促すニップ調整アラームを出力する。例えば、長期使用によりゴムローラが摩耗などにより変形すると、ローラ間のニップが減少し、ニップ調整が必要となる。そのため、印刷機の稼働日数からゴムローラの変形量(摩耗量)を推定することで、ニップ調整時期を高精度に推定することができ、ニップ調整時期を的確に推定してアラームを出力することができる。その結果、インキローラ間のニップ調整作業の作業効率の向上を図ることができる。
【0114】
第2の態様に係る印刷部のニップ監視装置は、アラーム制御部101は、稼働日数が予め設定された日数判定値を超えるとニップ調整アラームを出力する。これにより、ゴムローラの変形からニップ調整時期を高精度に推定することで、ニップ調整時期を的確に推定してアラームを出力することができる。
【0115】
第3の態様に係る印刷部のニップ監視装置は、稼働日数を版胴とブランケット胴が対接する胴入り時間とし、アラーム制御部101は、胴入り時間が予め設定された時間判定値を超えるとニップ調整アラームを出力する。これにより、実際に、ゴムローラの変形が発生する胴入り時間に基づいてニップ調整アラームの出力判定を実施することで、ニップ調整時期を高精度に推定することができる。
【0116】
第4の態様に係る印刷部のニップ監視装置は、アラーム制御部101は、ウェブWの幅が版胴の幅より短いウェブWを使用して印刷を行う回数が予め設定された使用回数判定値を超えるとニップ調整アラームを出力する。これにより、版胴の幅より幅の短いウェブWを使用して印刷を行うと、ゴムローラのインキが供給されない一部の領域が劣化しやすいことから、このようなウェブWの使用回数に基づいてニップ調整アラームの出力判定を実施することで、ニップ調整時期を高精度に推定することができる。
【0117】
第5の態様に係る印刷部のニップ監視装置は、アラーム制御部101は、インキ供給装置の連結回数が予め設定された連結回数判定値を超えるとニップ調整アラームを出力する。これにより、印刷形態に応じて使用しないインキ供給装置が発生することから、インキ供給装置の連結回数に基づいてニップ調整アラームの出力判定を実施することで、ニップ調整時期を高精度に推定することができる。
【0118】
第6の態様に係る印刷部のニップ監視装置は、アラーム制御部101は、ゴムローラを駆動するモータのトルクが予め設定されたトルク判定値より低くなるとニップ調整アラームを出力する。これにより、ゴムローラが摩耗などにより変形して外径が小さくなると、ゴムローラを駆動回転するモータのトルクが低下することから、モータのトルクに基づいてニップ調整アラームの出力判定を実施することで、ニップ調整時期を高精度に推定することができる。
【0119】
第7の態様に係る印刷部のニップ監視装置は、アラーム制御部101は、印刷開始時と印刷終了時のインキ供給装置によるインキ供給量の変化量が予め設定されたインキ供給量判定値を超えるとニップ調整アラームを出力する。これにより、ニップが低下すると、インキ供給量を増加する必要があることから、インキ供給量の変化量に基づいてニップ調整アラームの出力判定を実施することで、ニップ調整時期を高精度に推定することができる。
【0120】
第8の態様に係る印刷部のニップ監視装置は、版胴に対して湿し水を供給する湿し装置が設けられ、アラーム制御部101は、印刷開始時と印刷終了時の湿し装置による湿し供給量の変化量が予め設定された湿し供給量判定値を超えるとニップ調整アラームを出力する。これにより、ニップが低下すると、湿し供給量を増加する必要があることから、湿し供給量の変化量に基づいてニップ調整アラームの出力判定を実施することで、ニップ調整時期を高精度に推定することができる。
【0121】
第9の態様に係る印刷部のニップ監視装置は、印刷後におけるウェブWの印刷状態を検査する紙面検査装置が設けられ、アラーム制御部101は、紙面検査装置による紙面異常検出回数が予め設定された異常検出回数判定値を超えるとニップ調整アラームを出力する。これにより、紙面異常検出回数の増加は、ゴムローラの摩耗などによる変形が原因であることが多いことから、紙面異常検出回数に基づいてニップ調整アラームの出力判定を実施することで、ニップ調整時期を高精度に推定することができる。
【0122】
第10の態様に係る印刷部のニップ監視装置は、アラーム制御部101は、ウェブWの幅が版胴の幅より短いウェブWを使用して印刷を行う回数が予め設定された使用回数判定値を超えておらず、また、ゴムローラを駆動するモータのトルクが予め設定されたトルク判定値より低くならなくても、印刷開始時と印刷終了時のインキ供給装置によるインキ供給量の変化量が予め設定されたインキ供給量判定値を超えるとニップ調整アラームを出力する。これにより、ニップ調整時期を的確に推定してアラームを出力することができる。
【0123】
第11の態様に係る印刷部のニップ監視装置は、アラーム制御部101は、ウェブWの幅が版胴の幅より短いウェブWを使用して印刷を行う回数が予め設定された使用回数判定値を超えておらず、また、ゴムローラを駆動するモータのトルクが予め設定されたトルク判定値より低くならなくても、印刷開始時と印刷終了時の湿し装置による湿し供給量の変化量が予め設定された湿し供給量判定値を超えるとニップ調整アラームを出力する。これにより、ニップ調整時期を的確に推定してアラームを出力することができる。
【0124】
第12の態様に係る印刷部のニップ監視装置は、アラーム制御部101は、ウェブWの幅が版胴の幅より短いウェブWを使用して印刷を行う回数が予め設定された使用回数判定値を超えておらず、また、ゴムローラを駆動するモータのトルクが予め設定されたトルク判定値より低くならなくても、紙面検査装置による紙面異常検出回数が予め設定された異常検出回数判定値を超えるとニップ調整アラームを出力する。これにより、ニップ調整時期を的確に推定してアラームを出力することができる。
【0125】
第13の態様に係る印刷部のニップ監視装置は、アラーム制御部101は、ニップの調整時期を知らせるニップ調整アラームと、ゴムローラの交換時期を知らせるローラ交換アラームとを出力する。これにより、ニップ調整アラームによりニップを調整して印刷品質の低下を抑制することができ、ローラ交換アラームによりゴムローラの交換作業を円滑に行うことができる。
【0126】
第14の態様に係る印刷部のニップ監視装置は、アラーム制御部101は、ニップ調整アラームの出力回数が予め設定されたアラーム回数判定値を超えるとローラ交換アラームを出力する。これにより、ニップ調整アラームとローラ交換アラームを適正な時期に出力することができる。
【0127】
第15の態様に係るオフセット輪転印刷機は、ウェブWを供給する給紙装置Rと、給紙装置Rから供給されたウェブWの張力を調整するインフィード装置Iと、インフィード装置Iから供給されたウェブWに印刷を行う印刷装置Uと、印刷装置Uにより印刷されたウェブWを縦折りして横裁断した後に横折りして折帖を形成する折機Fと、ニップ監視装置100とを備える。これにより、印刷機の稼働日数からゴムローラの変形量(摩耗量)を推定することで、ニップ調整時期を高精度に推定することができ、ニップ調整時期を的確に推定してアラームを出力することができる。その結果、インキローラ間のニップ調整作業の作業効率の向上を図ることができる。
【0128】
なお、上述した実施形態では、オフセット輪転印刷機を新聞用オフセット輪転印刷機10に適用して説明したが、この印刷機に限定されるものではない。例えば、商業用オフセット輪転印刷機などに適用してもよい。
【符号の説明】
【0129】
R 給紙装置
R1~R7 給紙ユニット
I インフィード装置
I1~I7 インフィードユニット
U 印刷装置
U1~U6,U11~U62 印刷ユニット
D ウェブパス装置
D1,D2 ウェブパスユニット
F 折機
F1,F2 折ユニット
10 新聞用オフセット輪転印刷機(オフセット輪転印刷機)
21,22,23,24 スタック
31a,31b,32a,32b,33a,33b,34a,34b ブランケット胴
41a,41b,42a,42b,43a,43b,44a,44b 版胴
51a,51b,52a,52b,53a,53b,54a,54b インキ供給装置
61a,61b,62a,62b,63a,63b,64a,64b 湿し装置
71a,71b インキ元ローラ
72a,72b インキキー(インキ供給源)
73a,73b インキ受渡しローラ
74a,74b インキ練りローラ(ゴムローラ)
75a,75b インキ往復ローラ
76a,76b インキ練りローラ(ゴムローラ)
77a,77b インキ往復ローラ
78a,78b,79a,79b インキ着けローラ(ゴムローラ)
81a,81b 水ライダローラ
82a,82b 水往復ローラ
83a,83b 水着けローラ
84a,84b スプレーノズル
100 ニップ監視装置
101 アラーム制御部
102 アラーム記憶部
103 モニタ(表示装置)
104 スピーカ(表示装置)
110 印刷機制御部
111 給紙制御部
112 インフィード制御部
113 印刷制御部
114 ウェブパス制御部
115 折機制御部
W ウェブ