(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】色分離レンズアレイを具備するイメージセンサ、撮像装置、及びそれを含む電子装置
(51)【国際特許分類】
G01J 1/02 20060101AFI20241128BHJP
G01J 1/04 20060101ALI20241128BHJP
G02B 5/18 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
G01J1/02 Q
G01J1/04 B
G02B5/18
(21)【出願番号】P 2020177408
(22)【出願日】2020-10-22
【審査請求日】2023-09-07
(31)【優先権主張番号】10-2019-0132386
(32)【優先日】2019-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0146233
(32)【優先日】2019-11-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0116388
(32)【優先日】2020-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】尹 鉐 皓
(72)【発明者】
【氏名】盧 淑 英
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-109801(JP,A)
【文献】国際公開第2009/153937(WO,A1)
【文献】米国特許第5737113(US,A)
【文献】国際公開第97/016756(WO,A1)
【文献】特開昭62-123404(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0034500(US,A1)
【文献】特開2009-252978(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 1/00- 4/04
G01J 7/00-11/00
H01L 27/14
G02B 3/00
G02B 5/18
H04N 23/00-23/959
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を感知する第1光感知セルと、第1方向において前記第1光感知セルに隣り合う第2光感知セルと、前記第1方向と異なる第2方向において前記第1光感知セルに隣り合う第3光感知セルと、前記第2方向において前記第2光感知セルに隣り合う第4光感知セルを含むセンサ基板と、
前記センサ基板上に配置された透明なスペーサ層と、
前記スペーサ層上に配置された色分離レンズアレイと、を含み、
前記色分離レンズアレイは、鉛直方向に沿い、前記第1光感知セルに対向して配置され、第1パターンを有する第1領域、鉛直方向に沿い、前記第2光感知セルに対向して配置され、前記第1パターンと異なる第2パターンを有する第2領域、鉛直方向に沿い、前記第3光感知セルに対向して配置され、前記第1パターン及び第2パターンと異なる第3パターンを有する第3領域、及び鉛直方向に沿い、前記第4光感知セルに対向して配置され、前記第1パターンないし第3パターンと異なる第4パターンを有する第4領域を含み、
前記第3領域は、前記第1領域と隣接して配置され、前記第2領域の対角線方向に配置され、前記第4領域は、前記第2領域と隣接して配置され、前記第1領域の対角線方向に配置され、
前記第1パターンは、前記色分離レンズアレイに入射する入射光のうち、前記第1領域に入射する前記入射光に対し、第1波長の光を前記第1光感知セルに集光させ、前記第1波長と異なる第2波長の光の少なくとも一部を前記第2光感知セルに集光させ、前記第1波長及び前記第2波長と異なる第3波長の光の少なくとも一部を前記第3光感知セルに集光させ、
前記第2パターンは、前記第2領域に入射する前記入射光に対し、前記第2波長の光を前記第2光感知セルに集光させ、前記第1波長の光の少なくとも一部を前記第1光感知セルと前記第4光感知セルに集光させ、前記第3波長の光の少なくとも一部を前記第3光感知セルに集光させ、
前記第3パターンは、前記第3領域に入射する前記入射光に対し、前記第3波長の光を前記第3光感知セルに集光させ、前記第1波長の光の少なくとも一部を前記第1光感知セルと前記第4光感知セルに集光させ、前記第2波長の光の少なくとも一部を前記第2光感知セルに集光させ、
前記第4パターンは、前記第4領域に入射する前記入射光に対し、前記第1波長の光を前記第4光感知セルに集光させ、前記第2波長の光の少なくとも一部を前記第2光感知セルに集光させ、前記第3波長の光の少なくとも一部を前記第3光感知セルに集光させ、
前記第1パターン及び前記第4パターンは、2回対称であり、前記第2パターン及び前記第3パターンは、4回対称であり、前記第4パターンは、前記第1パターンに対して90°回転された形態を有する、イメージセンサ。
【請求項2】
前記スペーサ層は、前記色分離レンズアレイが色分離する前記入射光の波長帯域の中心波長において、前記色分離レンズアレイの焦点距離に該当する厚みを有する、請求項1に記載のイメージセンサ。
【請求項3】
前記スペーサ層の理論厚をhtとし、隣り合う前記第1光感知セルと前記第2光感知セルとの間のピッチをpとし、前記スペーサ層の屈折率をnとし、前記色分離レンズアレイが色分離する前記入射光の波長帯域の中心波長をλ0とするとき、前記スペーサ層の理論厚は、
【数1】
であり、
前記スペーサ層の実際厚hは、ht-p≦h≦ht+pである、請求項1に記載のイメージセンサ。
【請求項4】
前記第1パターンと前記第2パターンは、前記色分離レンズアレイを通過した直後の位置において、前記第1波長の光が前記第1光感知セルの中心部に対応する位置において、2Nπの位相分布を形成し、前記第2光感知セルの中心部に対応する位置においては、(2N-1)πの位相分布を形成するようにし、Nは、0より大きい整数である、請求項1~3のいずれかに記載のイメージセンサ。
【請求項5】
前記第1パターンと前記第2パターンは、前記色分離レンズアレイを通過した直後の位置において、前記第2波長の光が前記第1光感知セルの中心部に対応する位置において、(2M-1)πの位相分布を形成し、前記第2光感知セルの中心部に対応する位置においては、2Mπの位相分布を形成するようにし、Mは、0より大きい整数である、請求項4に記載のイメージセンサ。
【請求項6】
前記第1領域は、第1屈折率を有し、前記第1パターンを形成する第1誘電体、及び第1屈折率より小さい第2屈折率を有し、前記第1誘電体間に充填された第2誘電体を含み、
前記第1領域のいかなる垂直断面においても、前記第1誘電体が存在するように、前記第1パターンが形成された、請求項1~5のいずれかに記載のイメージセンサ。
【請求項7】
前記第2領域は、第1屈折率を有し、前記第2パターンを形成する第1誘電体、及び前記第1屈折率より小さい第2屈折率を有し、前記第1誘電体間に充填された第2誘電体を含み、
前記第2領域のいかなる垂直断面においても、前記第1誘電体が存在するように、前記第2パターンが形成された、請求項1~5のいずれかに記載のイメージセンサ。
【請求項8】
前記第1ないし第4パターンは、デジタル化されたバイナリ形態を有する、
請求項1~7のいずれかに記載のイメージセンサ。
【請求項9】
前記第1パターンないし前記第4パターンは、前記色分離レンズアレイを通過した直後の位置において、前記第1波長の光が、前記第1光感知セル及び第4光感知セルの中心部に対応する位置において、2Nπの位相分布を形成し、前記第2光感知セル及び第3光感知セルの中心部に対応する位置においては、(2N-1)πの位相分布を形成するようにし、Nは、0より大きい整数である、
請求項8に記載のイメージセンサ。
【請求項10】
前記第1パターンないし前記第4パターンは、前記色分離レンズアレイを通過した直後の位置において、前記第2波長の光が、前記第1光感知セルの中心部、及び前記第4光感知セルの中心部に対応する位置において、(2M-1)πの位相分布を形成し、前記第2光感知セルの中心部に対応する位置において、2Mπの位相分布を形成し、前記第3光感知セルの中心部に対応する位置において、(2M-2)πより大きく、(2M-1)πより小さい位相分布を形成するようにし、Mは、0より大きい整数である、
請求項9に記載のイメージセンサ。
【請求項11】
前記第1パターンないし前記第4パターンは、前記色分離レンズアレイを通過した直後の位置において、前記第3波長の光が、前記第1光感知セルの中心部、及び前記第4光感知セルの中心部に対応する位置において、(2L-1)πの位相分布を形成し、前記第2光感知セルの中心部に対応する位置において、(2L-2)πより大きく、(2L-1)πより小さい位相分布を形成し、前記第3光感知セルの中心部に対応する位置において、2Lπの位相分布を形成するようにし、Lは、0より大きい整数である、
請求項10に記載のイメージセンサ。
【請求項12】
前記第1パターンないし前記第4パターンは、前記色分離レンズアレイの前記第1領域に入射する入射光のうち、前記第1波長の光は、前記第1領域に対応する前記第1光感知セルの中心部に向けて進めさせ、前記第2波長の光は、前記第1領域に対応する前記第1光感知セル周辺の前記第2光感知セルの中心部に向けて進めさせ、前記第3波長の光は、前記第1領域に対応する前記第1光感知セル周辺の前記第3光感知セルの中心部に向けて進めさせる、
請求項1~11のいずれかに記載のイメージセンサ。
【請求項13】
前記第1パターンないし前記第4パターンは、前記色分離レンズアレイの前記第2領域に入射する入射光のうち、前記第2波長の光は、前記第2領域に対応する前記第2光感知セルの中心部に向けて進めさせ、前記第1波長の光は、前記第2領域に対応する前記第2光感知セル周辺の前記第1光感知セル及び第4光感知セルの中心部に向けて進めさせ、前記第3波長の光は、前記第2領域に対応する前記第2光感知セル周辺の前記第3光感知セルの中心部に向けて進めさせる、
請求項1~11のいずれかに記載のイメージセンサ。
【請求項14】
前記第1パターンないし前記第4パターンは、前記色分離レンズアレイの前記第3領域に入射する入射光のうち、前記第3波長の光は、前記第3領域に対応する前記第3光感知セルの中心部に向けて進めさせ、前記第1波長の光は、前記第3領域に対応する前記第3光感知セル周辺の前記第1光感知セル及び第4光感知セルの中心部に向けて進めさせ、前記第2波長の光は、前記第3領域に対応する前記第3光感知セル周辺の前記第2光感知セルの中心部に向けて進めさせる、
請求項1~11のいずれかに記載のイメージセンサ。
【請求項15】
前記第1パターンないし前記第4パターンは、前記色分離レンズアレイの前記第4領域に入射する入射光のうち、前記第1波長の光は、前記第4領域に対応する前記第4光感知セルの中心部に向けて進めさせ、前記第2波長の光は、前記第4領域に対応する前記第4光感知セル周辺の前記第2光感知セルの中心部に向けて進めさせ、前記第3波長の光は、前記第4領域に対応する前記第4光感知セル周辺の前記第3光感知セルの中心部に向けて進めさせる、
請求項1~11のいずれかに記載のイメージセンサ。
【請求項16】
前記第1波長の光は、緑色光であり、前記第2波長の光は、青色光であり、前記第3波長の光は、赤色光である、
請求項1~15のいずれかに記載のイメージセンサ。
【請求項17】
前記色分離レンズアレイは、互いに隣接する前記第1領域、前記第2領域、前記第3領域及び前記第4領域を含む複数の単位パターンアレイを含み、前記複数の単位パターンアレイは、二次元的に反復配列されている、
請求項1~16のいずれかに記載のイメージセンサ。
【請求項18】
前記色分離レンズアレイは、前記センサ基板エッジに対して突出配置され、鉛直方向に、前記センサ基板のいかなる光感知セルとも対向しない複数の第1領域、複数の第2領域、複数の第3領域、及び複数の第4領域をさらに含む、
請求項1に記載のイメージセンサ。
【請求項19】
前記センサ基板と前記スペーサ層との間に配置されたものであり、複数のカラーフィルタを含むカラーフィルタ層をさらに含む、
請求項1~18のいずれかに記載のイメージセンサ。
【請求項20】
前記第1パターンないし前記第4パターンは、前記色分離レンズアレイに入射する入射光に対し、前記入射光に含まれた互いに異なる第1波長の光、第2波長の光、及び第3波長の光を分離させ、前記第1光感知セル及び第4光感知セルに前記第1波長の光を集光させ、前記第2光感知セルに前記第2波長の光を集光させ、前記第3光感知セルに前記第3波長の光を集光させる、
請求項1に記載のイメージセンサ。
【請求項21】
物体から反射された光を集束して光学像を形成する対物レンズと、
前記対物レンズによって形成された光学像を電気的な映像信号に変換する、
請求項1ないし20のうちいずれか1項に記載のイメージセンサと、を含む撮像装置。
【請求項22】
請求項21に記載の撮像装置を含む電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色分離レンズアレイを具備するイメージセンサ、及び該イメージセンサを含む電子装置に係り、さらに詳細には、入射光を波長別に分離させて集光することができる色分離レンズアレイを具備するイメージセンサ、撮像装置、及び該イメージセンサを含む電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
イメージセンサは、一般的に、カラーフィルタを利用して入射光の色を感知する。ところで、該カラーフィルタは、当該色の光を除いた残りの色の光を吸収するために、光利用効率が低下してしまう。例えば、RGBカラーフィルタを使用する場合、入射光の1/3のみを透過させ、残り2/3は、吸収してしまうことになるので、光利用効率が約33%ほどに過ぎない。従って、カラーディスプレイ装置やカラーイメージセンサの場合、ほとんどの光損失がカラーフィルタで発生することになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする課題は、入射光を波長別に分離させて集光することができる色分離レンズアレイを利用し、光利用効率が向上されたイメージセンサを提供することである。
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、また、該イメージセンサを含む撮像装置および電子装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態によるイメージセンサは、光を感知する第1光感知セルと第2光感知セルとを含むセンサ基板と、前記センサ基板上に配置された透明なスペーサ層と、前記スペーサ層上に配置された色分離レンズアレイと、を含み、前記色分離レンズアレイは、鉛直方向に沿い、前記第1光感知セルに対向して配置され、第1パターンを有する第1領域、及び鉛直方向に沿い、前記第2光感知セルに対向して配置され、前記第1パターンと異なる第2パターンを有する第2領域を含み、前記第1パターンと前記第2パターンは、前記色分離レンズアレイに入射する入射光に対し、前記入射光に含まれた互いに異なる第1波長の光と、第2波長の光とを分離させ、前記第1光感知セルに第1波長の光を集光させ、前記第2光感知セルに第2波長の光を集光させることができる。
【0006】
前記スペーサ層は、前記色分離レンズアレイが色分離する入射光の波長帯域の中心波長において、前記色分離レンズアレイの焦点距離に該当する厚みを有することができる。
【0007】
前記スペーサ層の理論厚をhtとし、隣り合う前記第1光感知セルと前記第2光感知セルとの間のピッチをpとし、前記スペーサ層の屈折率をnとし、前記色分離レンズアレイが色分離する入射光の波長帯域の中心波長をλ0とするとき、前記スペーサ層の理論厚は、
【0008】
【0009】
であり、
前記スペーサ層の実際厚hは、ht-p≦h≦ht+pでもある。
【0010】
前記第1パターンと前記第2パターンは、前記色分離レンズアレイを通過した直後の位置において、第1波長の光が前記第1光感知セルの中心部に対応する位置において、2Nπの位相分布を形成し、前記第2光感知セルの中心部に対応する位置においては、(2N-1)πの位相分布を形成するようにすることができる。ここで、Nは、0より大きい整数である。
【0011】
前記第1パターンと前記第2パターンは、前記色分離レンズアレイを通過した直後の位置において、第2波長の光が前記第1光感知セルの中心部に対応する位置において、(2M-1)πの位相分布を形成し、前記第2光感知セルの中心部に対応する位置においては、2Mπの位相分布を形成するようにすることができる。ここで、Mは、0より大きい整数である。
【0012】
前記第1領域は、第1屈折率を有し、第1パターンを形成する第1誘電体、及び第1屈折率より小さい第2屈折率を有し、前記第1誘電体間に充填された第2誘電体を含み、前記第1領域のいかなる垂直断面においても、前記第1誘電体が存在するようにも第1パターンが形成される。
【0013】
前記第2領域は、第1屈折率を有し、第2パターンを形成する第1誘電体、及び第1屈折率より小さい第2屈折率を有し、前記第1誘電体間に充填された第2誘電体を含み、前記第2領域のいかなる垂直断面においても、前記第1誘電体が存在するようにも第2パターンが形成される。
【0014】
前記センサ基板は、第3光感知セル及び第4光感知セルをさらに含み、前記色分離レンズアレイは、鉛直方向に沿い、前記第3光感知セルに対向して配置され、前記第1パターン及び第2パターンと異なる第3パターンを有する第3領域、及び鉛直方向に沿い、前記第4光感知セルに対向して配置され、前記第1パターンないし第3パターンと異なる第4パターンを有する第4領域をさらに含んでもよい。
【0015】
前記第3領域は、前記第1領域と隣接して配置され、前記第2領域の対角線方向に配置され、前記第4領域は、前記第2領域と隣接して配置され、前記第1領域の対角線方向に配置され、前記第1パターンないし前記第4パターンは、前記色分離レンズアレイに入射する入射光に対し、前記入射光に含まれた互いに異なる第1波長の光、第2波長の光、及び第3波長の光を分離させ、第1光感知セル及び第4光感知セルに第1波長の光を集光させ、第2光感知セルに第2波長の光を集光させ、第3光感知セルに第3波長の光を集光させることができる。
【0016】
前記第1パターンないし前記第4パターンは、前記色分離レンズアレイを通過した直後の位置において、第1波長の光が、前記第1光感知セル及び第4光感知セルの中心部に対応する位置において、2Nπの位相分布を形成し、前記第2光感知セル及び第3光感知セルの中心部に対応する位置においては、(2N-1)πの位相分布を形成するようにすることができる。
【0017】
前記第1パターンないし前記第4パターンは、前記色分離レンズアレイを通過した直後の位置において、第2波長の光が、前記第1光感知セルの中心部、及び前記第4光感知セルの中心部に対応する位置において、(2M-1)πの位相分布を形成し、前記第2光感知セルの中心部に対応する位置において、2Mπの位相分布を形成し、前記第3光感知セルの中心部に対応する位置において、(2M-2)πより大きく、(2M-1)πより小さい位相分布を形成するようにすることができる。
【0018】
前記第1パターンないし前記第4パターンは、前記色分離レンズアレイを通過した直後の位置において、第3波長の光が、前記第1光感知セルの中心部、及び前記第4光感知セルの中心部に対応する位置において、(2L-1)πの位相分布を形成し、前記第2光感知セルの中心部に対応する位置において、(2L-2)πより大きく、(2L-1)πより小さい位相分布を形成し、前記第3光感知セルの中心部に対応する位置において、2Lπの位相分布を形成するようにすることができる。ここで、Lは、0より大きい整数である。
【0019】
前記第1パターンないし前記第4パターンは、前記色分離レンズアレイの第1領域に入射する入射光のうち、第1波長の光は、前記第1領域に対応する第1光感知セルの中心部に向けて進めさせ、第2波長の光は、前記第1領域に対応する第1光感知セル周辺の第2光感知セルの中心部に向けて進めさせ、第3波長の光は、前記第1領域に対応する第1光感知セル周辺の第3光感知セルの中心部に向けて進めさせることができる。
【0020】
前記第1パターンないし前記第4パターンは、前記色分離レンズアレイの第2領域に入射する入射光のうち、第2波長の光は、前記第2領域に対応する第2光感知セルの中心部に向けて進めさせ、第1波長の光は、前記第2領域に対応する第2光感知セル周辺の第1光感知セル及び第4光感知セルの中心部に向けて進めさせ、第3波長の光は、前記第2領域に対応する第2光感知セル周辺の第3光感知セルの中心部に向けて進めさせることができる。
【0021】
前記第1パターンないし前記第4パターンは、前記色分離レンズアレイの第3領域に入射する入射光のうち、第3波長の光は、前記第3領域に対応する第3光感知セルの中心部に向けて進めさせ、第1波長の光は、前記第3領域に対応する第3光感知セル周辺の第1光感知セル及び第4光感知セルの中心部に向けて進めさせ、第2波長の光は、前記第3領域に対応する第3光感知セル周辺の第2光感知セルの中心部に向けて進めさせることができる。
【0022】
前記第1パターンないし前記第4パターンは、前記色分離レンズアレイの第4領域に入射する入射光のうち、第1波長の光は、前記第4領域に対応する第4光感知セルの中心部に向けて進めさせ、第2波長の光は、前記第4領域に対応する第4光感知セル周辺の第2光感知セルの中心部に向けて進めさせ、第3波長の光は、前記第4領域に対応する第4光感知セル周辺の第3光感知セルの中心部に向けて進めさせることができる。
【0023】
例えば、前記第1波長の光は、緑色光であり、前記第2波長の光は、青色光であり、前記第3波長の光は、赤色光でもある。
【0024】
前記第1パターン及び前記第4パターンは2回対称であり、前記第2パターン及び前記第3パターンは、4回対称であり、前記第4パターンは、前記第1パターンに対して90°回転された形態を有することができる。
【0025】
前記色分離レンズアレイは、互いに隣接する第1領域、第2領域、第3領域及び第4領域を含む複数の単位パターンアレイを含み、前記複数の単位パターンアレイは、二次元的にも反復配列される。
【0026】
前記色分離レンズアレイは、前記センサ基板エッジに対して突出配置され、鉛直方向に、前記センサ基板のいかなる光感知セルとも対向しない複数の第1領域、複数の第2領域、複数の第3領域、及び複数の第4領域をさらに含んでもよい。
【0027】
前記イメージセンサは、前記センサ基板と前記スペーサ層との間に配置されたものとして、複数のカラーフィルタを含むカラーフィルタ層をさらに含んでもよい。
【0028】
他の実施形態によるイメージセンサは、光を感知する第1光感知セルないし第4光感知セルを含むセンサ基板と、前記センサ基板上に配置された透明なスペーサ層と、前記スペーサ層上に配置された色分離レンズアレイと、を含み、前記色分離レンズアレイは、鉛直方向に沿い、前記第1光感知セルに対向して配置され、第1パターンを有する第1領域、鉛直方向に沿い、前記第2光感知セルに対向して配置され、前記第1パターンと異なる第2パターンを有する第2領域、鉛直方向に沿い、前記第3光感知セルに対向して配置され、前記第1パターン及び第2パターンと異なる第3パターンを有する第3領域、及び鉛直方向に沿い、前記第4光感知セルに対向して配置され、前記第1パターンないし第3パターンと異なる第4パターンを有する第4領域を含み、前記第3領域は、前記第1領域と隣接して配置され、前記第2領域の対角線方向に配置され、前記第4領域は、前記第2領域と隣接して配置され、前記第1領域の対角線方向に配置され、前記第1パターン及び前記第4パターンは、2回対称であり、前記第2パターン及び前記第3パターンは、4回対称であり、前記第4パターンは、前記第1パターンに対して90°回転された形態を有することができる。
【0029】
他の実施形態による撮像装置は、物体から反射された光を集束して光学像を形成する対物レンズと、前記対物レンズによって形成された光学像を電気的な映像信号に変換する前述のイメージセンサと、を含んでもよい。
【0030】
また、さらに他の実施形態による電子装置は、前述の撮像装置を含んでもよい。
【発明の効果】
【0031】
本発明の色分離レンズアレイは、入射光を吸収したり遮断したりせず、波長別に分離させて集光することができるために、イメージセンサの光利用効率を向上させることができる。また、開示された色分離レンズアレイを採用したイメージセンサは、イメージセンサにおいて一般的に採択されているベイヤーパターン(Bayer pattern)方式を維持することができ、既存のイメージセンサの画素構造と、イメージ処理アルゴリズムとを活用することができる。また、本発明の色分離レンズアレイを採用したイメージセンサは、光を画素に集光させるための別途のマイクロレンズを必要としない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】一実施形態によるイメージセンサのブロック図である。
【
図2A】イメージセンサの画素アレイの1画素配列を例示的に図示する図面である。
【
図2B】イメージセンサの画素アレイの他の画素配列を例示的に図示する図面である。
【
図2C】イメージセンサの画素アレイのさらに他の画素配列を例示的に図示する図面である。
【
図3】一実施形態による色分離レンズアレイの概略的な構造と動作とを示す概念図である。
【
図4】ベイヤーパターン方式のイメージセンサに適用されうる色分離レンズアレイの単位パターンアレイを例示的に示す平面図である。
【
図5】
図4に図示された単位パターンアレイを、A-A’ラインに沿って切開した垂直断面を例示的に示す断面図である。
【
図6】
図4に図示された単位パターンアレイを、B-B’ラインに沿って切開した垂直断面を例示的に示す断面図である。
【
図7】
図4に図示された単位パターンアレイを複数個含む色分離レンズアレイの配列を例示的に示す平面図である。
【
図8A】一実施形態によるイメージセンサの画素アレイを、1断面において示す図面である。
【
図8B】一実施形態によるイメージセンサの画素アレイを、他の断面において示す図面である。
【
図9A】
図4に図示された単位パターンアレイにおける第1領域を例示的に示す。
【
図9B】該第1領域に対応するイメージセンサの画素、及びその周辺画素を例示的に示す図面である。
【
図10A】
図4に図示された単位パターンアレイにおける第2領域を例示的に示す図面である。
【
図10B】該第2領域に対応するイメージセンサの画素、及びその周辺画素を例示的に示す図面である。
【
図11A】
図4に図示された単位パターンアレイにおける第3領域を例示的に示す図面である。
【
図11B】該第3領域に対応するイメージセンサの画素、及びその周辺画素を例示的に示す図面である。
【
図12A】
図4に図示された単位パターンアレイにおける第4領域を例示的に示す図面である。
【
図12B】該第4領域に対応するイメージセンサの画素、及びその周辺画素を例示的に示す。
【
図13A】色分離レンズアレイを通過した青色光の位相分布を示す図面である。
【
図13B】対面する光感知セルにおける青色光フォーカシング分布を電算模写した図面である。
【
図13C】青色画素に対応する色分離レンズアレイの第2領域とその周辺とに入射した青色光の進行方向を例示的に示す図面である。
【
図13D】青色光に対し、色分離レンズアレイと等価的に作用するマイクロレンズアレイを例示的に示す図面である。
【
図14A】色分離レンズアレイを通過した緑色光の位相分布を示す図面である。
【
図14B】対面する光感知セルにおける緑色光フォーカシング分布を電算模写した図面である。
【
図14C】緑色画素に対応する色分離レンズアレイの第1領域とその周辺とに入射した緑色光の進行方向を例示的に示す図面である。
【
図14D】緑色光に対し、色分離レンズアレイと等価的に作用するマイクロレンズアレイを例示的に示す図面である。
【
図15A】色分離レンズアレイを通過した赤色光の位相分布を示す図面である。
【
図15B】対面する光感知セルにおける赤色光フォーカシング分布を電算模写した図面である。
【
図15C】赤色画素に対応する色分離レンズアレイの第3領域とその周辺とに入射した赤色光の進行方向を例示的に示す図面である。
【
図15D】赤色光に対し、色分離レンズアレイと等価的に作用するマイクロレンズアレイを例示的に示す図面である。
【
図16A】光感知セルのピッチが0.7μmである場合、色分離レンズアレイとセンサ基板との距離による色分離レンズアレイの効率変化を例示的に示すグラフである。
【
図16B】光感知セルのピッチが0.7μmである場合、色分離レンズアレイとセンサ基板との距離による色分離レンズアレイの効率変化を例示的に示すグラフである。
【
図16C】光感知セルのピッチが0.7μmである場合、色分離レンズアレイとセンサ基板との距離による色分離レンズアレイの効率変化を例示的に示すグラフである。
【
図16D】光感知セルのピッチが0.7μmである場合、色分離レンズアレイとセンサ基板との距離による色分離レンズアレイの効率変化を例示的に示すグラフである。
【
図16E】光感知セルのピッチが0.7μmである場合、色分離レンズアレイとセンサ基板との距離による色分離レンズアレイの効率変化を例示的に示すグラフである。
【
図17A】光感知セルのピッチが0.8μmである場合、色分離レンズアレイとセンサ基板との距離による色分離レンズアレイの効率変化を例示的に示すグラフである。
【
図17B】光感知セルのピッチが0.8μmである場合、色分離レンズアレイとセンサ基板との距離による色分離レンズアレイの効率変化を例示的に示すグラフである。
【
図17C】光感知セルのピッチが0.8μmである場合、色分離レンズアレイとセンサ基板との距離による色分離レンズアレイの効率変化を例示的に示すグラフである。
【
図17D】光感知セルのピッチが0.8μmである場合、色分離レンズアレイとセンサ基板との距離による色分離レンズアレイの効率変化を例示的に示すグラフである。
【
図17E】光感知セルのピッチが0.8μmである場合、色分離レンズアレイとセンサ基板との距離による色分離レンズアレイの効率変化を例示的に示すグラフである。
【
図18A】光感知セルのピッチが1.0μmである場合、色分離レンズアレイとセンサ基板との距離による色分離レンズアレイの効率変化を例示的に示すグラフである。
【
図18B】光感知セルのピッチが1.0μmである場合、色分離レンズアレイとセンサ基板との距離による色分離レンズアレイの効率変化を例示的に示すグラフである。
【
図18C】光感知セルのピッチが1.0μmである場合、色分離レンズアレイとセンサ基板との距離による色分離レンズアレイの効率変化を例示的に示すグラフである。
【
図18D】光感知セルのピッチが1.0μmである場合、色分離レンズアレイとセンサ基板との距離による色分離レンズアレイの効率変化を例示的に示すグラフである。
【
図18E】光感知セルのピッチが1.0μmである場合、色分離レンズアレイとセンサ基板との距離による色分離レンズアレイの効率変化を例示的に示すグラフである。
【
図19】
図8A及び
図8Bに図示されたイメージセンサの青色画素、緑色画素、赤色画素にそれぞれ入射する光のスペクトル分布を例示的に示すグラフである。
【
図20】他の実施形態による色分離レンズアレイの単位パターンアレイの形態を例示的に示す平面図である。
【
図21】他の実施形態による色分離レンズアレイの単位パターンアレイの形態を例示的に示す平面図である。
【
図22A】他の実施形態によるイメージセンサの画素アレイを、1断面において示す概略的な断面図である。
【
図22B】他の実施形態によるイメージセンサの画素アレイを、他の断面において示す概略的な断面図である。
【
図23】他の実施形態による色分離レンズアレイを例示的に示す平面図である。
【
図24】
図23に図示された色分離レンズアレイを含むイメージセンサの画素アレイの概略的な構造を示す断面図である。
【
図25】一実施形態によるイメージセンサを含む電子装置を概略的に図示したブロック図である。
【
図26】一実施形態によるイメージセンサが適用された電子装置の1例を示す図面である。
【
図27】一実施形態によるイメージセンサが適用された電子装置の他の例を示す図面である。
【
図28】一実施形態によるイメージセンサが適用された電子装置のさらに他の例を示す図面である。
【
図29】一実施形態によるイメージセンサが適用された電子装置のさらに他の例を示す図面である。
【
図30】一実施形態によるイメージセンサが適用された電子装置のさらに他の例を示す図面である。
【
図31】一実施形態によるイメージセンサが適用された電子装置のさらに他の例を示す図面である。
【
図32】一実施形態によるイメージセンサが適用された電子装置のさらに他の例を示す図面である。
【
図33】一実施形態によるイメージセンサが適用された電子装置のさらに他の例を示す図面である。
【
図34】一実施形態によるイメージセンサが適用された電子装置のさらに他の例を示す図面である。
【
図35】一実施形態によるイメージセンサが適用された電子装置のさらに他の例を示す図面である。
【
図36】一実施形態によるイメージセンサが適用された電子装置のさらに他の例を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付された図面を参照し、色分離レンズアレイを具備するイメージセンサ、及びそれを含む電子装置について詳細に説明する。説明される実施形態は、ただ例示的なものに過ぎず、そのような実施形態から、多様な変形が可能である。以下の図面において、同一参照符号は、同一構成要素を指し、図面上において、各構成要素の大きさは、説明の明瞭さと便宜さとから誇張されてもいる。
【0034】
以下において、「上部」または「上」と記載された表現は、接触し、すぐ上下左右にあるものだけではなく、非接触でもって、上下左右にあるものを含んでもよい。
【0035】
第1、第2のような用語は、多様な構成要素の説明に使用されうるが、1つの構成要素を、他の構成要素から区別する目的にだけ使用される。そのような用語は、構成要素の物質または構造が異なるということを限定するものではない。
【0036】
単数の表現は、文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。また、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、それは、特別に反対となる記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいということを意味する。
【0037】
また、明細書に記載された「…部」、「モジュール」というような用語は、機能や動作を処理する単位を意味し、それは、ハードウェアまたはソフトウェアによっても具現され、ハードウェアとソフトウェアとの結合によっても具現される。
【0038】
「前記」の用語、及びそれと類似した指示用語の使用は、単数及び複数のいずれにも該当する。
【0039】
方法を構成する段階は、説明された順に行わなければならないという明白な言及がなければ、適切な順序によっても遂行される。また、全ての例示的な用語(「例えば」など)の使用は、単に技術的思想について詳細に説明するためのものであり、特許請求の範囲によって限定されない以上、そのような用語により、権利範囲が限定されるものではない。
【0040】
図1は、一実施形態によるイメージセンサの概略的なブロック図である。
図1を参照すれば、イメージセンサ(1000)は、画素アレイ1100、タイミングコントローラ1010、ロウデコーダ1020及び出力回路1030を含んでもよい。イメージセンサは、CCD(charge coupled device)イメージセンサまたはCMOS(complementary metal oxide semiconductor)イメージセンサでもある。
【0041】
画素アレイ1100は、複数のロウ(row)及びカラム(column)に沿い二次元配列された画素を含む。ロウデコーダ1020は、タイミングコントローラ1010から出力されたロウアドレス信号に応答し、画素アレイ1100のロウのうち一つを選択する。出力回路1030は、選択されたロウに沿って配列された複数の画素から、カラム単位で光感知信号を出力する。そのために、出力回路1030は、カラムデコーダとアナログ・デジタル変換器(ADC:analog to digital converter)を含んでもよい。例えば、出力回路1030は、カラムデコーダと画素アレイ1100との間において、カラム別にそれぞれ配置された複数のアナログ・デジタル変換器、またはカラムデコーダの出力端に配置された1つのアナログ・デジタル変換器を含んでもよい。タイミングコントローラ1010、ロウデコーダ1020及び出力回路1030は、1つのチップ、またはそれぞれ別個のチップにも具現される。出力回路1030を介して出力された映像信号を処理するためのプロセッサが、タイミングコントローラ1010、ロウデコーダ1020及び出力回路1030と共に1つのチップにも具現される。
【0042】
画素アレイ1100は、互いに異なる波長の光を感知する複数の画素を含んでもよい。該画素は、
図2Aないし
図2Cのように多様な方式によっても配列される。
【0043】
まず、
図2Aは、イメージセンサ1000において一般的に採択されているベイヤーパターン(Bayer pattern)を示す。
図2Aを参照すれば、1つの単位画素は、4つの四分領域(quadrant region)を含み、第1四分面ないし第4四分面が、それぞれ青色画素B、緑色画素G、赤色画素R、緑色画素Gにもなる。そのような単位画素が、第1方向(X方向)及び第2方向(Y方向)に沿って二次元的に反復配列される。言い換えれば、2×2アレイ形態の単位画素内において、一方対角線方向に、2個の緑色画素Gが配置され、他方対角線方向に、それぞれ1個の青色画素Bと、1個の赤色画素Rとが配置される。全体的な画素配列を見れば、複数の緑色画素Gと、複数の青色画素Bとが第1方向に沿って交互に配列される第1行と、複数の赤色画素Rと複数の緑色画素Gとが第1方向に沿って交互に配列される第2行とが反復して配列される。
【0044】
しかし、画素アレイ1100の配列方式は、ベイヤーパターンだけに限定されるものではなく、ベイヤーパターン以外にも、多様な配列方式が可能である。例えば、
図2Bを参照すれば、マゼンタ(magenta)画素M、シアン(cyan)画素C、イエロー(yellow)画素Y及び緑色画素Gが1つの単位画素を構成するCYGM方式の配列も可能である。また、
図2Cを参照すれば、緑色画素G、赤色画素R、青色画素B及び白色画素Wが1つの単位画素を構成するRGBW方式の配列も可能である。また、図示されていないが、単位画素が3×2アレイ形態を有することもできる。それ以外にも、画素アレイ1100の画素は、イメージセンサ1000の色特性により、多様な方式によっても配列される。以下では、便宜上、イメージセンサ1000の画素アレイ1100が、ベイヤーパターンを有するとして説明するが、以下において説明する実施形態の原理は、ベイヤーパターンではなく、他形態の画素配列にも適用されうる。
【0045】
一実施形態によれば、イメージセンサ1000の画素アレイ1100は、それぞれの画素に、それに該当する色の光を集光させるように構成された色分離レンズアレイを含んでもよい。
図3は、一実施形態による色分離レンズアレイの概略的な構造と動作とを示す概念図である。
図3を参照すれば、色分離レンズアレイ130の単位パターンアレイは、それぞれ互いに区分される第1パターンないし第4パターンを有する第1領域131ないし第4領域134を含んでもよい。例えば、第1領域131は、第1パターンを有し、第2領域132は、第1パターンと異なる形態にパターニングされた第2パターンを有し、第3領域133は、第1パターン及び第2パターンと異なる形態にパターニングされた第3パターンを有し、第4領域134は、第1パターンないし第3パターンと異なる形態にパターニングされた第4パターンを有することができる。
【0046】
第1領域131ないし第4領域134は、例えば、2×2の形態で、同一平面にも配列される。従って、第1領域131と第2領域132は、第1方向に沿って互いに隣接して配置され、第3領域133及び第4領域134も、第1方向に沿って互いに隣接して配置される。そして、第1領域131と第3領域133は、第1方向に垂直の第2方向に沿って互いに隣接して配置され、第3領域133及び第4領域134も、第2方向に沿って互いに隣接して配置される。第1領域131と第4領域134は、対角線方向に沿って配列され、第2領域132と第3領域133は、他の対角線方向に沿って配列される。
【0047】
一実施形態によれば、色分離レンズアレイ130に入射する入射光のうち、第1波長の光λ1は、第1領域131と鉛直方向に沿って対向する第1ターゲット領域R1に集光され、第2波長の光λ2は、第2領域132と鉛直方向に沿って対向する第2ターゲット領域R2に集光され、第3波長の光λ3は、第3領域133と鉛直方向に沿って対向する第3ターゲット領域R3に集光され、第4波長の光λ4は、第4領域134と鉛直方向に沿って対向する第4ターゲット領域R4に集光されるように、第1パターンないし第4パターンが決定されうる。そのような第1領域131ないし第4領域134の具体的なパターンは、色分離レンズアレイ130が適用されるイメージセンサの画素配列及び色特性により、多様にも設計される。
【0048】
図3に図示された色分離レンズアレイ130を、
図2Aに図示されたベイヤーパターン方式のイメージセンサに適用する場合、第1領域131と第4領域134は、緑色画素Gに対向して配置され、第2領域132は、青色画素Bに対向して配置され、第3領域133は、赤色画素Rに対向して配置されうる。そして、第1波長の光λ1と第4波長の光λ4は、緑色光であり、第2波長の光λ2は、青色光であり、第3波長の光λ3は、赤色光でもある。
【0049】
図4は、ベイヤーパターン方式のイメージセンサに適用されうる色分離レンズアレイの単位パターンアレイを例示的に示す平面図である。
図4を参照すれば、緑色画素Gに対向する第1領域131は、第1パターンを形成する第1誘電体131a、及び第1誘電体131a間に充填された第2誘電体131bを含む。青色画素Bに対向する第2領域132は、第2パターンを形成する第1誘電体132a、及び第1誘電体132a間に充填された第2誘電体132bを含み、赤色画素Rに対向する第3領域133は、第3パターンを形成する第1誘電体133a、及び第1誘電体133a間に充填された第2誘電体133bを含み、緑色画素Gに対向する第4領域134は、第4パターンを形成する第1誘電体134a、及び第1誘電体134a間に充填された第2誘電体134bを含む。
【0050】
第1領域131と第2領域132は、二つとも緑色画素に対向しており、同一形態を有するが、その回転方向は、異なりうる。例えば、
図4のように、第4領域134のパターンは、第1領域131のパターンが90°回転された形態を有することができる。そのような違いは、隣接した画素の配置によっても決定される。
図4の場合、第1領域131に対向する緑色画素Gの左右には、青色画素Bが配置され、第4領域134に対向する緑色画素Gの左右には、赤色画素Rが配置される違いにおいて、そのように同一であるにしても、異なる回転方向に配置されたパターンが形成されうる。
【0051】
第1誘電体131a,132a,133a,134aは、いずれも同一材料によってもなり、第2誘電体131b,132b,133b,134bも、いずれも同一材料によってもなる。例えば、第1誘電体131a,132a,133a,134aは、TiO
2、GaN、SiN
3、ZnS、ZnSe、Si
3N
4のように、高屈折率を有しながら、可視光帯域において、吸収率が低い誘電体材料によってもなり、第2誘電体131b,132b,133b,134bは、空気、SiO
2、シラノール系ガラス(SOG:siloxane-based spin on glass)のように、低屈折率を有しながら、可視光帯域において、吸収率が低い誘電体材料によってもなる。第2誘電体131b,132b,133b,134bが空気によってなる場合、
図4に図示された色分離レンズアレイ130は、第1誘電体131a,132a,133a,134aをエッチングし、簡単に形成されうる。
【0052】
図5は、
図4に図示された単位パターンアレイを、A-A’ライン(X方向)に沿って切開した垂直断面を例示的に示す断面図であり、
図6は、
図4に図示された単位パターンアレイを、B-B’ライン(Y方向)に沿って切開した垂直断面を例示的に示す断面図である。
図5及び
図6を参照すれば、第1誘電体131a,132a,133a,134aと第2誘電体131b,132b,133b,134bは、鉛直方向において、互いに平行に延在しうる。
図5及び
図6に図示された垂直断面の形態は、例示的なものであり、A-A’ライン及びB-B’ラインの位置により、第1領域131ないし第4領域134の垂直断面の形態が異なりうる。例えば、A-A’ラインがY方向に沿って移動することにより、
図5に図示された垂直断面の形態が変化することになり、B-B’ラインがX方向に沿って移動することにより、
図6に図示された垂直断面の形態が変化することになる。そのような垂直断面形態の変化と関係なく、第1領域131ないし第4領域134の全ての垂直断面において、第1誘電体131a,132a,133a,134aと第2誘電体131b,132b,133b,134bとが共に存在しうる。
【0053】
図7は、
図4に図示された単位パターンアレイを複数個含む色分離レンズアレイの配列を例示的に示す平面図である。
図7に図示されているように、色分離レンズアレイ130は、
図4に図示された2×2の単位パターンアレイが反復して二次元配列された形態を有することができる
以下においては、前述の色分離レンズアレイ130が、イメージセンサ1000の画素アレイ1100に適用された例についてさらに詳細に説明する。
【0054】
図8A及び
図8Bは、一実施形態によるイメージセンサの画素アレイを、それぞれ異なる断面において示す図面である。
図8A及び
図8Bを参照すれば、イメージセンサ1000の画素アレイ1100は、光をセンシングする複数の光感知セル111,112,113,114を含むセンサ基板110、センサ基板110上に配置された透明なスペーサ層120、及びスペーサ層120上に配置された色分離レンズアレイ130を含む。
【0055】
センサ基板110は、光を電気的信号に変換する第1光感知セル111、第2光感知セル112、第3光感知セル113及び第4光感知セル114を含んでもよい。第1光感知セル111、第2光感知セル112、第3光感知セル113及び第4光感知セル114は、交互にも配列される。例えば、
図8Aに図示されているように、第1光感知セル111と第2光感知セル112とが、第1方向(X方向)に沿って交互に配列される。また、Y方向の位置が異なる断面においては、
図8Bに図示されているように、第3光感知セル113と第4光感知セル114とが交互に配列されうる。そのような領域区分は、入射光を画素単位に区分してセンシングするためのものであり、例えば、第1光感知セル111と第4光感知セル114は、第1画素に該当する第1波長の光をセンシングし、第2光感知セル112は、第2画素に該当する第2波長の光をセンシングし、第3光感知セル113は、第3画素に該当する第3波長の光をセンシングすることができる。以下において、第1波長の光は、緑色光、第2波長の光は、青色光、第3波長の光は、赤色光に例示し、第1画素、第2画素、第3画素は、それぞれ緑色画素G、青色画素B、赤色画素Rでもあるが、必ずしも、それに限定されるものではない。セル間境界には、図示されていないが、セル分離のための分離膜がさらに形成されうる。
【0056】
スペーサ層120は、センサ基板110上に、色分離レンズアレイ130を支持しながら、センサ基板110と色分離レンズアレイ130との間隔を一定に維持させる役割を行う。スペーサ層120は、可視光に対し、透明な材料、例えば、SiO2、シラノール系ガラス(SOG)のように、色分離レンズアレイ130の第1誘電体131a,132a,133a,134aの屈折率より低い屈折率を有しながら、可視光帯域において、吸収率が低い誘電体材料によってもなる。スペーサ層120は、第2誘電体131b,132b,133b,134bと同一材料によってもなる。
【0057】
色分離レンズアレイ130は、
図8Aに図示されているように、第1方向(X方向)に沿って交互に配列された第1領域131及び第2領域132、及びY方向の位置が異なる断面において、
図8Bに図示されているように、第1方向(X方向)に沿って交互に配列された第3領域133と第4領域134とを含んでもよい。第1領域131は、スペーサ層120を挟み、第1光感知セル111と対向して配置され、第2領域132は、スペーサ層120を挟み、第2光感知セル112と対向して配置され、第3領域133は、スペーサ層120を挟み、第3光感知セル113と対向して配置され、第4領域134は、スペーサ層120を挟み、第4光感知セル114と対向して配置されうる。それにより、例えば、色分離レンズアレイ130に入射する入射光のうち緑色光は、第1領域131と鉛直方向に沿って対向する第1光感知セル111、及び第4領域134と鉛直方向に沿って対向する第4光感知セル114に集光され、青色光は、第2領域132と鉛直方向に沿って対向する第2光感知セル112に集光され、赤色光は、第3領域133と鉛直方向に沿って対向する第3光感知セル113に集光されうる。
【0058】
ベイヤーパターン方式のイメージセンサに適用される色分離レンズアレイ130において、第1領域131ないし第4領域134の第1パターンないし第4パターンは、所定規則を有することができる。例えば、
図9Aは、
図4に図示された単位パターンアレイにおける第1領域131のパターンを例示的に示し、
図9Bは、それに対応するイメージセンサの画素、及びその周辺画素を例示的に示す。
図9Bを参照すれば、第1領域131に対応する緑色画素Gの左右方向に、青色画素Bが配置され、上下方向には、赤色画素Rが配置される。第1領域131に対応する緑色画素Gの対角線方向には、第4領域134に対応する緑色画素が配置されるが、
図9Bには、表示されていない。従って、第1領域131を左右方向に進んで第1領域131を透過した透過光のうちの青色光と、第1領域131を上下方向に進んで第1領域131を透過した透過光のうちの赤色光と、同一な光学的な効果を得るために、第1領域131の第1パターンは、2回対称(2-fold symmetry)でもある。例えば、
図9Aに図示されているように、第1領域131の第1パターンは、Y方向に沿う第1軸Iに対称であると共に、X方向に沿う第2軸IIにも対称である。
【0059】
図10Aは、
図4に図示された単位パターンアレイにおける第2領域132の形態を例示的に示し、
図10Bは、それに対応するイメージセンサの画素、及びその周辺画素を例示的に示す。
図10Bを参照すれば、第2領域132に対応する青色画素Bの左右方向及び上下方向に、緑色画素Gが配置される。そして、2個の交差する対角線方向に、赤色画素Rが配置される。従って、第2領域132を左右方向及び上下方向に進んで第2領域132を透過した透過光のうちの緑色光と、第2領域132を対角線方向に進んで第2領域132を透過した透過光のうちの赤色光と、同一な光学的な効果を得るために、第2領域132の第2パターンは、4回対称(4-fold symmetry)でもある。例えば、
図10Aに図示されているように、第2領域132の第2パターンは、Y方向に沿う第1軸Iに対称であり、X方向に沿う第2軸IIに対称であり、対角線方向に沿う第3軸III及び第4軸IVにも対称である。
【0060】
図11Aは、
図4に図示された単位パターンアレイにおける第3領域133の形態を例示的に示し、
図11Bは、それに対応するイメージセンサの画素、及びその周辺画素を例示的に示す。
図11Bを参照すれば、第3領域133に対応する赤色画素Rの左右方向及び上下方向に、緑色画素Gが配置される。そして、2個の交差する対角線方向に、青色画素Bが配置される。従って、第3領域133を左右方向及び上下方向に進んで第3領域133を透過した透過光のうちの緑色光と、第3領域133を対角線方向に進んで第3領域133を透過した透過光のうちの青色光と、同一な光学的な効果を得るために、第3領域133の第3パターンは、4回対称でもある。例えば、
図11Aに図示されているように、第3領域133の第3パターンは、Y方向に沿う第1軸Iに対称であり、X方向に沿う第2軸IIに対称であり、対角線方向に沿う第3軸III及び第4軸IVにも対称である。
【0061】
図12Aは、
図4に図示された単位パターンアレイにおける第4領域134の形態を例示的に示し、
図12Bは、それに対応するイメージセンサの画素、及びその周辺画素を例示的に示す。
図12Bを参照すれば、第4領域134に対応する緑色画素Gの左右方向に、赤色画素Rが配置され、上下方向には、青色画素Bが配置される。対角線方向には、第1領域131に対応する緑色画素が配置され、
図12Bには、表示されていない。従って、第4領域134を左右方向に進んで第4領域134を透過した透過光のうちの赤色光と、第4領域134を上下方向に進んで第4領域134を透過した透過光のうちの青色光と、同一な光学的な効果を得るために、第4領域134の第4パターンは、2回対称でもある。例えば、
図12Aに図示されているように、第4領域134の第4パターンは、Y方向に沿う第1軸Iに対称であると共に、X方向に沿う第2軸IIにも対称である。また、
図12Bに図示された画素配置は、
図9Bに図示された画素配置に対して90°回転された状態である。従って、第4領域134の第4パターンは、第1領域131の第1パターンに対して90°回転されたところと同一形態を有することができる。
【0062】
ベイヤーパターン方式のイメージセンサに適用される色分離レンズアレイ130において、第1領域131ないし第4領域134の第1パターンないし第4パターンの他の規則として、色分離レンズアレイ130を透過した青色光、緑色光及び赤色光が所定ターゲット位相分布を有するように、第1領域131ないし第4領域134の第1パターンないし第4パターンが設計されうる。例えば、色分離レンズアレイ130を透過した青色光が、第2領域132に対応する青色画素Bの位置に集光される位相を形成し、第2領域132に隣接した第1領域131及び第4領域134に対応する位置には進まない位相を形成するように、第1領域131ないし第4領域134の第1パターンないし第4パターンが定められうる。
【0063】
また、色分離レンズアレイ130を透過した緑色光が、第1領域131と第4領域134とに対応する緑色画素Gの位置に集光される位相を形成し、第1領域131と第4領域134とに隣接した第2領域132と第3領域133とに対応する位置には進まない位相を形成するように、第1領域131ないし第4領域134の第1パターンないし第4パターンが定められうる。
【0064】
また、色分離レンズアレイ130を透過した赤色光が、第3領域133に対応する赤色画素Rに集光される位相を形成し、第3領域133に隣接した第1領域131と第4領域134とに対応する位置には進まない位相を形成するように、第1領域131ないし第4領域134の第1パターンないし第4パターンが定められうる。
【0065】
例えば、色分離レンズアレイ130が具現するターゲット位相分布は、色分離レンズアレイ130を透過した位置において、青色光の位相が、第2光感知セル112に対応する第2領域132の中心部において、2Mπであり、第1光感知セル111に対応する第1領域131の中心部、及び第4光感知セル114に対応する第4領域134の中心部においては、(2M-1)πであり、第3光感知セル113に対応する第3領域133の中心部においては、(2M-2)πより大きく、(2M-1)πより小さくなる分布でもある。ここで、Mは、0より大きい整数である。言い換えれば、色分離レンズアレイ130を透過した直後の位置において、青色光の位相は、第2領域132の中心部において最大になり、第2領域132の中心部から遠くなるほど、同心円状にだんだんと小さくなり、第3領域133の中心部において、局所的に最小になる。例えば、M=1である場合、色分離レンズアレイ130を透過した位置において、青色光の位相は、第2領域132の中心部において、2πであり、第1領域131の中心部と、第4領域134の中心部とにおいて、πであり、第3領域133の中心部において、約0.2πないし0.7πにもなる。
【0066】
また、色分離レンズアレイ130を透過した位置において、緑色光の位相は、第1光感知セル111に対応する第1領域131の中心部と、第4光感知セル114に対応する第4領域134の中心部とにおいて、2Nπであり、第2光感知セル112に対応する第2領域132の中心部と、第3光感知セル113に対応する第3領域133の中心部とにおいては、(2N-1)πでもある。ここで、Nは、0より大きい整数である。言い換えれば、色分離レンズアレイ130を透過した直後の位置において、緑色光の位相が、第1領域131の中心部と、第4領域134の中心部とにおいて最大になり、第1領域131の中心部と、第4領域134の中心部とから遠くなるほど、同心円状にだんだんと小さくなり、第2領域132の中心部と、第3領域133の中心部とにおいて、最小にもなる。例えば、N=1である場合、色分離レンズアレイ130を透過した位置において、緑色光の位相は、第1領域131の中心部と、第4領域134の中心部とにおいて、2πであり、第2領域132の中心部と、第3領域133の中心部とにおいて、πにもなる。
【0067】
また、色分離レンズアレイ130を透過した位置において、赤色光の位相は、第3光感知セル113に対応する第3領域133の中心部において、2Lπであり、第1光感知セル111に対応する第1領域131の中心部と、第4光感知セル114に対応する第4領域134の中心部とにおいては、(2L-1)πであり、第2光感知セル112に対応する第2領域132の中心部においては、(2L-2)πより大きく、(2L-1)πより小さくもなる。ここで、Lは、0より大きい整数である。言い換えれば、色分離レンズアレイ130を透過した直後の位置において、赤色光の位相は、第3領域133の中心部において最大になり、第3領域133の中心部から遠くなるほど、同心円状にだんだんと小さくなり、第2領域132の中心部において、局所的に最小になる。例えば、L=1である場合、色分離レンズアレイ130を透過した位置において、赤色光の位相は、第3領域133の中心部において、2πであり、第1領域131の中心部と、第4領域134の中心部とにおいて、πであり、第2領域132の中心部において、約0.2πないし0.7πにもなる。
【0068】
前述のように、ターゲット位相分布は、色分離レンズアレイ130を透過した直後の位置、言い換えれば、色分離レンズアレイ130の下部表面、またはスペーサ層120の上部表面における光の位相分布を意味する。色分離レンズアレイ130を通過した光がそのような位相分布を有せば、第1波長ないし第4波長の光がそれぞれに該当する第1光感知セル111ないし第4光感知セル114に集まることになる。言い換えれば、色分離レンズアレイ130を透過した光は、波長によって分岐され、それぞれ互いに異なる方向に進んで集光される光学的効果を得ることができる。
【0069】
そのように、当該波長の光が当該光感知セルに集光されるために、所定伝播距離要件が定められ、それにより、スペーサ層120の厚みhが定められうる。スペーサ層120の厚みhは、分岐対象である波長λ、画素サイズ及び光感知セルの配置周期pによっても異なる。スペーサ層120の厚みhは、分岐対象である可視光線波長帯域の中心波長λよりも大きくなり、隣接する光感知セル中心間の距離である光感知セル配置周期pと比較すれば、1p~3pの範囲でもある。具体的には、スペーサ層120の厚みhは、500nmないし5μmの範囲でもある。スペーサ層120の厚みhを設定するさらに細部的な事項については、
図16Aないし
図16E、
図17Aないし
図17E、及び
図18Aないし
図18Eを参照してさらに後述する。
【0070】
図13A及び
図13Bは、色分離レンズアレイを通過した青色光の位相分布、及び対面する光感知セルにおける青色光フォーカシング分布を電算模写した図面であり、
図13Cは、青色画素Bに対応する色分離レンズアレイの第2領域とその周辺とに入射した青色光の進行方向を例示的に示し、
図13Dは、青色光に対し、色分離レンズアレイと等価的に作用するマイクロレンズアレイを例示的に示す。
【0071】
図13Aに例示された位相分布について述べれば、青色画素Bに対応する領域の中心部における位相は、大体のところ2πであり、隣接した緑色画素Gに対応する領域の中心部における位相は、大体のところπの値を示し、対角線方向の赤色画素Rに対応する領域の中心部における位相は、大体のところπより小さい値(例えば、約0.2πないし0.7π)を示す。そのような位相分布は、
図13Bのような青色光のフォーカシング分布を示すことができる。該青色光は、青色画素Bに対応する領域にほとんど集光され、他の画素に対応する領域には、青色光がほとんど逹しない。
【0072】
結果として、青色画素Bに対応する第2領域132とその周辺とに入射した青色光は、色分離レンズアレイ130を透過した後、
図13Cに図示されているように進むことになる。例えば、色分離レンズアレイ130の第2領域132と、第2領域132を取り囲む他の領域の一部とに入射する入射光のうち青色光は、第2領域132直下部の第2光感知セル112の中心部に集光される。言い換えれば、1つの青色画素Bには、その青色画素Bに対応する第2領域132から来る青色光、第2領域132と横方向に隣接する2個の第1領域131から来る青色光、第2領域132と縦方向に隣接する2個の第4領域134から来る青色光、及び第2領域132と対角方向に隣接する4個の第3領域133から来る青色光が入射する。
【0073】
従って、
図13Dに図示されているように、色分離レンズアレイ130は、青色光については、第2光感知セル112を中心に配列された複数のマイクロレンズML1アレイと等価的な役割を行うことができる。それぞれの等価的なマイクロレンズML1は、それに対応する第2光感知セル112より大きいために、第2光感知セル112の領域に入射する青色光だけではなく、第2光感知セル112を取り囲む他の領域に入射する青色光も、第2光感知セル112に集光させることができる。例えば、それぞれのマイクロレンズML1は、それに対応する第2光感知セル112より4倍ほど大きく、それぞれのマイクロレンズML1の四辺は、第2光感知セル112の四辺と平行でもある。
【0074】
図14A及び
図14Bは、色分離レンズアレイを通過した緑色光の位相分布、及び対面する光感知セルにおける緑色光フォーカシング分布を電算模写した図面であり、
図14Cは、緑色画素に対応する色分離レンズアレイの第1領域及び第4領域と、その周辺とに入射した緑色光の進行方向を例示的に示し、
図14Dは、緑色光に対し、色分離レンズアレイと等価的に作用するマイクロレンズアレイを例示的に示す。
【0075】
図14Aに例示された位相分布について述べれば、緑色画素Gに対応する領域の中心部における位相は、大体のところ2πであり、隣接した青色画素Bと赤色画素Rとに対応する領域の中心部における位相は、大体のところπの値を示す。そのような位相分布は、
図14Bのような緑色光のフォーカシング分布を示すことができる。該緑色光は、2つの緑色画素Gに対応する領域に分けられて集光されており、他の画素に対応する領域には、緑色光がほとんど逹しない。
【0076】
結果として、緑色画素Gに対応する第1領域131及び第4領域134と、その周辺とに入射した緑色光は、色分離レンズアレイ130を透過した後、
図14Cに図示されているように進むことになる。例えば、色分離レンズアレイ130の第1領域131及び第1領域131を取り囲む他の領域の一部に入射する入射光のうち緑色光は、第1領域131直下部の第1光感知セル111の中心部に集光される。また、図示されていないが、色分離レンズアレイ130の第4領域134、及び第4領域134を取り囲む他の領域の一部に入射する入射光のうち緑色光は、第4領域134直下部の第4光感知セル114の中心部に集光される。言い換えれば、1つの緑色画素Gには、その緑色画素Gに対応する第1領域131または第4領域134から来る緑色光、第1領域131または第4領域134と縦横方向に隣接する2個の第2領域132と、2個の第3領域133とから来る緑色光が入射する。
【0077】
従って、
図14Dに図示されているように、色分離レンズアレイ130は、緑色光については、第1光感知セル111と第4光感知セル114とを中心に配列された複数のマイクロレンズML2アレイと等価的な役割を行うことができる。それぞれの等価的なマイクロレンズML2は、それに対応する第1光感知セル111や第4光感知セル114より大きいために、第1光感知セル111と第4光感知セル114との領域に入射する緑色光だけではなく、第1光感知セル111と第4光感知セル114とを取り囲む他の領域に入射する緑色光も、第1光感知セル111と第4光感知セル114とに集光させることができる。例えば、それぞれのマイクロレンズML2は、それに対応する第1光感知セル111または第4光感知セル114より2倍ほど大きく、それに対応する第1光感知セル111と第4光感知セル114とに対し、対角線方向に隣接するように配置されうる。
【0078】
図15A及び
図15Bは、色分離レンズアレイを通過した赤色光の位相分布、及び対面する光感知セルにおける赤色光のフォーカシング分布を電算模写した図面であり、
図15Cは、赤色画素に対応する色分離レンズアレイの第3領域とその周辺とに入射した赤色光の進行方向を例示的に示し、
図15Dは、赤色画素Rに対して色分離レンズアレイと等価的に作用するマイクロレンズアレイを例示的に示す。
【0079】
図15Aに例示された位相分布について述べれば、赤色画素Rに対応する領域の中心部における位相は、大体のところ2πであり、隣接した緑色画素Gに対応する領域の中心部における位相は、大体のところπの値を示し、対角線方向の青色画素Bに対応する領域の中心部における位相は、大体のところπより小さい値(例えば、約0.2πないし0.7π)を示す。そのような位相分布は、
図15Bのような赤色光のフォーカシング分布を示すことができる。該赤色光は、赤色画素Rに対応する領域に集光されており、他の画素に対応する領域には、赤色光がほとんど逹しない。
【0080】
結果として、赤色画素Rに対応する第3領域133とその周辺とに入射した光は、色分離レンズアレイ130を透過した後、
図15Cに図示されているように進むことになる。例えば、色分離レンズアレイ130の第3領域133と、第3領域133を取り囲む他の領域の一部とに入射する入射光のうち赤色光は、第3領域133直下部の第3光感知セル113の中心部に集光される。言い換えれば、1つの赤色画素Rには、その赤色画素Rに対応する第3領域133から来る赤色光、第3領域133と横方向に隣接する2個の第4領域134から来る赤色光、第3領域133と縦方向に隣接する2個の第1領域131から来る赤色光、及び第3領域133と対角線方向に隣接する4個の第2領域132から来る赤色光が入射する。
【0081】
従って、
図15Dに図示されているように、色分離レンズアレイ130は、赤色光については、第3光感知セル113を中心に配列された複数のマイクロレンズML3アレイと等価的な役割を行うことができる。それぞれの等価的なマイクロレンズML3は、それに対応する第3光感知セル113より大きいために、第3光感知セル113の領域に入射する赤色光だけではなく、第3光感知セル113を取り囲む他の領域に入射する赤色光も、第3光感知セル113に集光させることができる。例えば、それぞれのマイクロレンズML3は、それに対応する第3光感知セル113より4倍ほど大きく、それぞれのマイクロレンズML3の四辺は、第3光感知セル113の四辺と平行でもある。
【0082】
図13C、
図13D、
図14C、
図14D、
図15C及び
図15Dに図示された結果を異なって表現すれば、色分離レンズアレイ130の第1領域131に入射する入射光のうち緑色光は、第1領域131に対応する第1光感知セル111の中心部に向けて進み、青色光は、第1領域131に対応する第1光感知セル111周辺の第2光感知セル112の中心部に向けて進み、赤色光は、第1領域131に対応する第1光感知セル111周辺の第3光感知セル113の中心部に向けて進む。また、色分離レンズアレイ130の第2領域132に入射する入射光のうち青色光は、第2領域132に対応する第2光感知セル112の中心部に向けて進み、緑色光は、第2領域132に対応する第2光感知セル112周辺の第1光感知セル111及び第4光感知セル114の中心部に向けて進み、赤色光は、第2領域132に対応する第2光感知セル112周辺の第3光感知セル113の中心部に向けて進む。同様に、色分離レンズアレイ130の第3領域133に入射する入射光のうち赤色光は、第3領域133に対応する第3光感知セル113の中心部に向けて進み、緑色光は、第3領域133に対応する第3光感知セル113周辺の第1光感知セル111及び第4光感知セル114の中心部に向けて進み、青色光は、第3領域133に対応する第3光感知セル113周辺の第2光感知セル112の中心部に向けて進むことになる。最後に、色分離レンズアレイ130の第4領域134に入射する入射光のうち緑色光は、第4領域134に対応する第4光感知セル114の中心部に向けて進み、青色光は、第4領域134に対応する第4光感知セル114周辺の第2光感知セル112の中心部に向けて進み、赤色光は、第4領域134に対応する第4光感知セル114周辺の第3光感知セル113の中心部に向けて進むことになる。
【0083】
そのような色分離と集光は、スペーサ層120の厚みを適切に設定し、さらに効果的にもなされる。例えば、スペーサ層120の理論厚はht、λ0の波長に対するスペーサ層120の屈折率をnとし、光感知セルのピッチをpとするとき、次の数式1を満足することができる。
【0084】
【0085】
ここで、スペーサ層120の理論厚htは、λ0の波長を有する光が、色分離レンズアレイ130により、光感知セル111,112,113,114の上部表面上に集光される焦点距離を意味する。言い換えれば、λ0の波長を有する光は、色分離レンズアレイ130を経ながら、色分離レンズアレイ130の下部表面から、htほど離れた距離にもフォーカシングされる。
【0086】
数式1に記載されているように、スペーサ層120の理論厚htは、光感知セル111,112,113,114のピッチpと、スペーサ層120の屈折率nによっても異なる。例えば、可視光線帯域の中心波長λ0を540nm、光感知セル111,112,113,114のピッチpを0.8μm、540nmの波長におけるスペーサ層120の屈折率nを1.46と仮定すれば、スペーサ層120の理論厚ht、言い換えれば、色分離レンズアレイ130の下部表面と、センサ基板110の上部表面との距離は、約1.64μmでもある。しかし、スペーサ層120の実際厚は、数式1に記載された理論厚htだけに制限される必要はない。例えば、色分離レンズアレイ130の効率を考慮し、数式1の理論厚htを基準に、所定範囲内において、スペーサ層120の実際厚が選択されうる。
【0087】
図16Aないし
図16Eは、光感知セル111,112,113,114のピッチが0.7μmである場合、色分離レンズアレイ130とセンサ基板110との距離による色分離レンズアレイ130の効率変化を例示的に示すグラフである。
図16Aは、色分離レンズアレイ130の単位パターンアレイを構成する第1領域131ないし第4領域134から第2光感知セル112に入射する青色光に係わる色分離レンズアレイ130の集光効率を示し、
図16Bは、単位パターンアレイを構成する第1領域131ないし第4領域134から第1光感知セル111と第4光感知セル114とに入射する緑色光に係わる色分離レンズアレイ130の集光効率を示し、
図16Cは、単位パターンアレイを構成する第1領域131ないし第4領域134から第3光感知セル113に入射する赤色光に係わる色分離レンズアレイ130の集光効率を示す。
【0088】
図16A及び
図16Cの場合、1つの光感知セルに対し、4個の領域が配置されるので、理論上、最大値が4である。
図16Bの場合には、2個の光感知セルに対し、4個の領域が配置されるので、理論上、最大値が2である。
図16Aないし
図16Cのグラフにおいて、色分離レンズアレイ130の集光効率が最も高い距離が、数式1を満足する理論厚h
tになる。
図16Aないし
図16Cに図示されているように、理論厚h
tは、波長によって少しずつ異なる。
【0089】
図16Dは、可視光線に対する肉眼の敏感度特性を考慮した色分離レンズアレイの効率変化を例示的に示すグラフである。例えば、肉眼は、一般的に、緑色光に対して敏感度が最も高く、青色光に対して敏感度が最も低い。従って、
図16Aのグラフに、最も低い加重値を付与し、
図16Cのグラフに、青色光より高い加重値を付与し、
図16Bに最も高い加重値を付与した後で合算した値を平均することにより、
図16Dのグラフを得ることができる。
図16Eは、
図16Dのグラフを規準(正規)化した結果を示すグラフである。
【0090】
図16D及び
図16Eのグラフを参照すれば、光感知セル111,112,113,114のピッチが0.7μmである場合、肉眼の敏感度特性を考慮した可視光線全体に対する色分離レンズアレイ130の効率は、約1.2μmの距離で最も高い。また、色分離レンズアレイ130の効率は、約0.5μmの距離において、最大効率の約80%ほどになり、約1.9μmの距離において、最大効率の約95%ほどになる。
【0091】
図17Aないし
図17Eは、光感知セル111,112,113,114のピッチが0.8μmである場合、色分離レンズアレイ130とセンサ基板110との距離による色分離レンズアレイ130の効率変化を例示的に示すグラフである。
図17Aないし
図17Eを参照すれば、光感知セル111,112,113,114のピッチが0.8μmである場合、肉眼の敏感度特性を考慮した可視光線全体に対する色分離レンズアレイ130の効率は、約1.64μmの距離で最も高い。また、色分離レンズアレイ130の効率は、約0.8μmの距離において、最大効率の約85%ほどになり、約2.5μmの距離において、最大効率の約93%ほどになる。
【0092】
図18Aないし
図18Eは、光感知セル111,112,113,114のピッチが1.0μmである場合、色分離レンズアレイ130とセンサ基板110との距離による色分離レンズアレイ130の効率変化を例示的に示すグラフである。
図18Aないし
図18Eを参照すれば、光感知セル111,112,113,114のピッチが1.0μmである場合、肉眼の敏感度特性を考慮した可視光線全体に対する色分離レンズアレイ130の効率は、約2.6μmの距離で最も高い。また、色分離レンズアレイ130の効率は、約1.6μmの距離において、最大効率の約87%ほどになり、約3.6μmの距離において、最大効率の約94%ほどになる。
【0093】
結果として、スペーサ層120の実際厚hが、数式1の理論厚htに比べ、光感知セル111,112,113,114のピッチpほど、大きかったり小さかったりしても、色分離レンズアレイ130は、最大効率の80%以上、90%以上または95%以上の高い効率を有するということが分かる。前述の結果を考慮するとき、スペーサ層120の実際厚hは、ht-p≦h≦ht+pの範囲内からも選択される。
【0094】
前述の色分離レンズアレイ130は、入射光を吸収したり遮断したりせずに波長別に分岐し、分岐された光を特定領域に集光させることができるために、イメージセンサの光利用効率を向上させることができる。また、色分離レンズアレイ130は、向上された色分離性能を有するために、色分離レンズアレイ130を採用したイメージセンサは、優秀な色純度を有することができる。また、色分離レンズアレイ130を採用したイメージセンサは、イメージセンサで一般的に採択されているベイヤーパターン方式を維持することができ、既存の画素構造と同一イメージ処理アルゴリズムを活用することができる。さらに、色分離レンズアレイ130は、入射光を集光するレンズの役割も行うことができるために、色分離レンズアレイ130を採用したイメージセンサは、光をそれぞれの画素に集光させるための別途のマイクロレンズを必要としない。
【0095】
図19は、
図8A及び
図8Bに図示されたイメージセンサの青色画素、緑色画素、赤色画素にそれぞれ入射する光のスペクトル分布を例示的に示すグラフである。該青色画素は、第2光感知セル112に対応し、該緑色画素は、第1光感知セル111と第4光感知セル114とに対応し、該赤色画素は、第3光感知セル113に対応しうる。
【0096】
図19において、太線は、色分離レンズアレイ130を使用する場合、青色画素、緑色画素、赤色画素にそれぞれ入射する光のスペクトル分布を示す。太い実線は、青色画素に入射する光のスペクトル分布であり、太い点線は、緑色画素に入射する光のスペクトル分布であり、太い鎖線は、赤色画素に入射する光のスペクトル分布である。比較のために、色分離レンズアレイ130の代わりに、一般的なカラーフィルタを使用する場合、青色画素、緑色画素、赤色画素にそれぞれ入射する光のスペクトル分布が、
図19において、細線で表示されている。細い実線は、青色画素に入射する光のスペクトル分布であり、細い点線は、緑色画素に入射する光のスペクトル分布であり、細い鎖線は、赤色画素に入射する光のスペクトル分布である。
図19を参照すれば、太線で表示された光の強度が、細線で表示された光の強度よりもさらに大きいということが分かる。従って、色分離レンズアレイ130を使用することにより、イメージセンサ1000の光利用効率が向上するのである。
【0097】
前述の位相分布及び性能を満足する色分離レンズアレイ130のパターンは、多様な方式のコンピュータシミュレーションを介して自動化された設計が可能である。例えば、遺伝子アルゴリズム(genetic algorithm)、粒子群集最適化(particle swarm optimization)アルゴリズム、蟻集団最適化(ant colony optimization)のような自然模写アルゴリズム(nature-inspired algorithm)を利用するか、あるいはアジョイント最適化(adjoint optimization)アルゴリズムに基づいた逆説系方式を介し、第1領域131ないし第4領域134のパターンを最適化することができる。
【0098】
色分離レンズアレイ130設計のために、色分離スペクトル、光効率、信号対ノイズ比のような評価要素で、複数の候補色分離レンズアレイの性能を評価しながら、第1領域131ないし第4領域134の第1パターンないし第4パターンを最適化することができる。例えば、それぞれの評価要素に係わる目標数値をあらかじめ決定した後、複数の評価要素に係わる目標数値との差の和を最小化させる方式で、第1領域131ないし第4領域134の第1パターンないし第4パターンを最適化することができる。または、それぞれの評価要素別に性能を指標化し、性能を示す値が最大になるように、第1領域131ないし第4領域134の第1パターンないし第4パターンを最適化することができる。
【0099】
図4に図示された色分離レンズアレイ130は、ただ1つの例であり、色分離レンズアレイ130の第1領域131ないし第4領域134の大きさ・厚み、色分離レンズアレイ130が適用されるイメージセンサの色特性、画素ピッチ、色分離レンズアレイ130とイメージセンサとの距離、入射光の入射角などにより、前述の最適化設計を介し、多様な形態の色分離レンズアレイ130を得ることができる。例えば、
図20は、ベイヤーパターン方式のイメージセンサに適用されうる他の実施形態による色分離レンズアレイの単位パターンアレイの形態を例示的に示す平面図であり、
図21は、ベイヤーパターン方式のイメージセンサに適用されうるさらに他の実施形態による色分離レンズアレイの単位パターンアレイの形態を例示的に示す平面図である。
【0100】
図4に図示された第1領域131ないし第4領域134それぞれは、14×14の長方形配列にデジタル化されたバイナリ形態に最適化され、
図20に図示された第1領域131ないし第4領域134のそれぞれは、16×16の長方形配列にデジタル化されたバイナリ形態に最適化された。従って、
図4に図示された色分離レンズアレイ130の単位パターンアレイは、28×28の長方形配列によってなる形態を有し、
図20に図示された色分離レンズの単位パターンアレイは、32×32の長方形配列によってなる形態を有する。その場合、
図5及び
図6に図示された第1領域131ないし第4領域134の垂直断面の形態は、A-A’ラインがY方向に沿って移動することにより、またはB-B’ラインがX方向に沿って移動することにより、不連続的に変化することになる。
【0101】
それと異なり、
図21に図示された第1領域131ないし第4領域134それぞれは、デジタル化されていない連続的な曲線形態にも最適化される。その場合、
図5及び
図6に図示された第1領域131ないし第4領域134の垂直断面の形態は、A-A’ラインがY方向に沿って移動することにより、またはB-B’ラインがX方向に沿って移動することにより、連続して変化することになる。
【0102】
図22A及び
図22Bは、他の実施形態によるイメージセンサの画素アレイを、それぞれ異なる断面において示す概略的な断面図である。
図22A及び
図22Bを参照すれば、画素アレイ1100aは、入射光の強度を電気的な信号に変換する複数の光感知セル111,112,113,114を含むセンサ基板110、センサ基板110上に配置されたカラーフィルタ層105、カラーフィルタ層105上に配置されたスペーサ層120、及びスペーサ層120上に配置された色分離レンズアレイ130を含む。
【0103】
カラーフィルタ層105は、第1光感知セル111上と第4光感知セル114上とに配置された第1カラーフィルタCF1、第2光感知セル112上に配置された第2カラーフィルタCF2、及び第3光感知セル113上に配置された第3カラーフィルタCF3を含んでもよい。例えば、第1カラーフィルタCF1は、入射光のうち緑色光のみを透過させ、残りを吸収する緑色カラーフィルタであり、第2カラーフィルタCF2は、入射光のうち青色光のみを透過させ、残りを吸収する青色カラーフィルタであり、第3カラーフィルタCF3は、入射光のうち赤色光のみを透過させ、残りを吸収する赤色カラーフィルタでもある。そのようなカラーフィルタCF1,CF2,CF3を使用することにより、イメージセンサ1000は、さらに高い色純度を達成することができる。色分離レンズアレイ130により、すでに相当程度に色分離された光が、それぞれカラーフィルタCF1,CF2,CF3に入射するので、カラーフィルタ層105による光損失は、大きくない。色分離レンズアレイ130による色分離が十分であるならば、カラーフィルタ層105は、省略されてもよく、第1カラーフィルタCF1ないし第3カラーフィルタCF3のうち一部だけが省略されてもよい。
【0104】
以上で説明した色分離レンズアレイ130の具体的なパターンは、ただ例示的なものであり、それらの多様な変形が可能である。例えば、色分離レンズアレイ130の第1領域131ないし第4領域134の異なるパターン形態により、可視光線以外の波長帯域の分離も可能である。また、色分離レンズアレイ130の単位パターンアレイを構成する色分離パターンの個数も、色分離レンズアレイ130の適用例により、多様にも変更される。イメージセンサの画素配列は、ベイヤーパターンを例示して説明したが、それに限定されるものではなく、
図2B及び
図2Cに図示された画素配列にも、適用されうる。そのような画素配列に適切なパターンは、色分離レンズアレイ130の領域を採択し、各領域別に、前述の最適化方式を介しても決定される。
【0105】
図23は、他の実施形態による色分離レンズアレイを例示的に示す平面図である。
図23を参照すれば、色分離レンズアレイ140は、太線で表示された複数の二次元配列された単位パターンアレイを含んでもよい。それぞれの単位パターンアレイは、第1領域141、第2領域142、第3領域143及び第4領域144を含む2×2の形態にも配列される。色分離レンズアレイ140の全体構成を見るとき、1行内において、第1領域141と第2領域142とが横方向に沿って交互に配列され、他行内において、第3領域143と第4領域144とが横方向に沿って交互に配列される。また、1列内において、第1領域141と第3領域143とが縦方向に沿って交互に配列され、他列内において、第2領域142と第4領域144とが縦方向に沿って交互に配列される。
【0106】
また、色分離レンズアレイ140は、いかなる単位パターンアレイにも属さない複数の第1領域141ないし第4領域144をさらに含んでもよい。いかなる単位パターンアレイにも属さない第1領域141ないし第4領域144は、色分離レンズアレイ140のエッジに沿っても配列される。言い換えれば、色分離レンズアレイ140の左側エッジに1列を構成する複数の第2領域142と複数の第4領域144とが追加して配列され、右側エッジに1列を構成する複数の第1領域141と複数の第3領域143とが追加して配列され、上部側エッジに1行を構成する複数の第3領域143と複数の第4領域144とが追加して配列され、下部側エッジに1行を構成する複数の第1領域141と複数の第2領域142とが追加して配列されうる。
【0107】
図24は、
図23に図示された色分離レンズアレイ140を、C-C’ラインに沿って切開した垂直断面である。
図24を参照すれば、色分離レンズアレイ140は、センサ基板110のエッジに対して水平方向に突出配置され、鉛直方向に、センサ基板110のいかなる光感知セルとも対向しない複数の第1領域141と複数の第2領域142とを含んでもよい。たとえ
図24に、いずれも図示されていないにしても、
図23において、いかなる単位パターンアレイにも属さない複数の第1領域141ないし第4領域144は、いずれもセンサ基板110のエッジに対して水平方向に突出配置され、鉛直方向に、いかなる光感知セルとも対向しない。
【0108】
図13Aないし
図13D、
図14Aないし
図14D、及び
図15Aないし
図15Dで説明したように、光感知セルは、鉛直に対応する色分離レンズアレイ140の領域だけではなく、その領域周辺にある複数の他の領域からも光を提供される。従って、色分離レンズアレイ140のエッジに沿って追加された第1領域141ないし第4領域144がない場合、センサ基板110のエッジに沿って配列された光感知セルに入射する光の光量が少なくなり、色純度も低下してしまう。色分離レンズアレイ140のエッジに沿い、追加して第1領域141ないし第4領域144を配列することにより、センサ基板110のエッジに沿って配列された光感知セルにも、センサ基板110の内側に配列された光感知セルと同一に、光が提供されうる。
【0109】
前述の実施形態によるイメージセンサは、カラーフィルタによる光損失がほとんどないために、画素の大きさが小さくなるにしても、画素に十分な量の光を提供することができる。従って、数億個以上の画素を有する超高解像度マイクロ高感度イメージセンサの作製が可能である。そのような超高解像度マイクロ高感度イメージセンサは、多様な高性能光学装置または高性能電子装置にも採用される。例えば、そのような電子装置は、例えば、スマートフォン、携帯電話、ハンドフォン、PDA(personal digital assistant)、ラップトップ(laptop)、PC(personal computer)、多様な携帯用機器、家電製品、保安カメラ、医療用カメラ、自動車、事物インターネット(IoT:Internet of Things)、その他モバイルまたは非モバイルのコンピュータ装置でもあるが、それらに制限されるものではない。
【0110】
図25は、一実施形態によるイメージセンサを含む電子装置を概略的に図示したブロック図である。該電子装置は、イメージセンサ1000、プロセッサ2200、メモリ2300、ディスプレイ2400及びバス2500を含む。イメージセンサ1000は、プロセッサ2200の制御により、外部の被写体に対する映像情報を獲得し、プロセッサ2200に提供する。プロセッサ2200は、イメージセンサ1000から提供された映像情報を、バス2500を介してメモリ2300に保存し、メモリ2300に保存された映像情報をディスプレイ2400に出力し、ユーザに表示することができる。また、プロセッサ2200は、イメージセンサ1000から提供された映像情報について、多様な映像処理を行うこともできる。
【0111】
図26ないし
図36は、一実施形態によるイメージセンサが適用された電子装置の多様な例を示す。
【0112】
一実施形態によるイメージセンサは、映像撮影機能を具備している多様なマルチメディア装置に適用されうる。例えば、該イメージセンサは、
図26に図示されたカメラ2000に適用されうる。カメラ2000は、デジタルカメラまたはデジタルカムコーダでもある。
【0113】
図27を参照すれば、カメラ2000は、撮像部2100、イメージセンサ1000及びプロセッサ2200を含んでもよい。
【0114】
撮像部2100は、被写体OBJから反射された光を集束し、光学像を形成する。撮像部2100は、対物レンズ2010、レンズ駆動部2120、絞り2130及び絞り駆動部2140を含んでもよい。
図27には、便宜上、1枚のレンズだけが代表して表示されたが、実際には、対物レンズ2010は、大きさと形態とがそれぞれ異なる複数レンズを含んでもよい。レンズ駆動部2120は、プロセッサ2200と焦点検出に係わる情報を通信することができ、プロセッサ2200から提供された制御信号により、対物レンズ2010の位置を調節することができる。レンズ駆動部2120は、対物レンズ2010を移動させ、対物レンズ2010と被写体OBJとの距離を調節したり、対物レンズ2010内の個別レンズの位置を調節したりすることができる。レンズ駆動部2120が対物レンズ2010を駆動させることにより、被写体OBJに対する焦点が調節されうる。そのようなカメラ2000は、自動焦点(AF)機能を具備することができる。
【0115】
絞り駆動部2140は、プロセッサ2200と、光量に係わる情報を通信することができ、プロセッサ2200から提供された制御信号により、絞り2130を調節することができる。例えば、絞り駆動部2140は、対物レンズ2010を介してカメラ2000内部に入る光の量により、絞り2130の口径を増減させることができ、絞り2130の開放時間を調節することができる。
【0116】
イメージセンサ1000は、入射される光の強度を基に、電気的なイメージ信号を生成することができる。イメージセンサ1000は、画素アレイ1100、タイミングコントローラ(T/C)1010及び出力回路1030を含んでもよい。たとえ
図27には、図示されていないにしても、イメージセンサ1000は、
図1に図示されたロウデコーダをさらに含んでもよい。対物レンズ2010及び絞り2130を透過した光は、画素アレイ1100の受光面に、被写体OBJの像を結像させることができる。画素アレイ1100は、光学信号を電気信号に変換するCCDまたはCMOSでもある。画素アレイ1100は、自動焦点(AF)機能または距離測定機能を遂行するためのさらなる画素を含んでもよい。また、画素アレイ1100は、前述の色分離レンズアレイを含んでもよい。
【0117】
プロセッサ2200は、カメラ2000の全般的な動作を制御することができ、映像処理機能を具備することができる。例えば、プロセッサ2200は、レンズ駆動部2120、絞り駆動部2140、タイミングコントローラ1010などに、各構成要素の動作のための制御信号を提供することができる。
【0118】
一実施形態によるイメージセンサは、
図28に図示されたモバイルフォンまたはスマートフォン3000、
図29に図示されたタブレットまたはスマートタブレット3100、
図30に図示されたノート型パソコン3200、
図31に図示されたテレビまたはスマートテレビ3300などにも適用される。例えば、スマートフォン3000またはスマートタブレット3100は、高解像度イメージセンサがそれぞれ搭載された複数の高解像度カメラを含んでもよい。該高解像度カメラを利用し、映像内被写体の深さ情報を抽出したり、映像のアウトフォーカシングを調節したり、映像内被写体を自動的に識別したりすることができる。
【0119】
また、イメージセンサは、
図32に図示されたスマート冷蔵庫3400、
図33に図示された保安カメラ3500、
図34に図示されたロボット3600、
図35に図示された医療用カメラ3700などにも適用される。例えば、スマート冷蔵庫3400は、イメージセンサを利用し、冷蔵庫内にある飲食物を自動的に認識し、特定飲食物の存在いかん、入庫または出庫された飲食物の種類などを、スマートフォンを介してユーザに知らせることができる。保安カメラ3500は、超高解像度映像を提供することができ、高感度を利用し、暗い環境においても、映像内の事物または人を認識することができるようにする。ロボット3600は、人が直接近付くことができない災害現場または産業現場に投入され、高解像度映像を提供することができる。医療用カメラ3700は、診断または手術のための高解像度映像を提供することができ、視野を動的に調節することができる。
【0120】
また、イメージセンサは、
図36に図示されているように、車両3800にも適用される。車両3800は、多様な位置に配置された複数の車両用カメラ3810,3820,3830,3840を含んでもよく、それぞれの車両用カメラ3810,3820,3830,3840は、本実施形態によるイメージセンサを含んでもよい。車両3800は、複数の車両用カメラ3810,3820,3830,3840を利用し、車両3800の内部または周辺に係わる多様な情報を運転手に提供することができ、映像内の事物または人を自動的に認識し、自律走行に必要な情報を提供することができる。
【0121】
前述の色分離レンズアレイを具備するイメージセンサ、及びそれを含む電子装置が、たとえ図面に図示された実施形態を参照して説明されたにしても、それは、例示的なものに過ぎず、当該分野において当業者であるならば、それらから多様な変形、及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解するであろう。従って、開示された実施形態は、限定的な観点ではなく、説明的な観点から考慮されなければならない。権利範囲は、前述の説明ではなく、特許請求の範囲に示されており、それと同等な範囲内にある全ての差異は、権利範囲に含まれたものであると解釈されなければならないのである。
【符号の説明】
【0122】
105 カラーフィルタ
110 センサ基板
111,112,113,114 光感知セル
120 スペーサ層
130,140 色分離レンズアレイ
131,141 第1領域
132,142 第2領域
133,143 第3領域
134,144 第4領域
1000 イメージセンサ
1010 タイミングコントローラ
1020 ロウデコーダ
1030 出力回路
1100 画素アレイ