(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】洗浄システム
(51)【国際特許分類】
A47L 15/24 20060101AFI20241128BHJP
B65G 1/04 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
A47L15/24
B65G1/04 561
(21)【出願番号】P 2020218838
(22)【出願日】2020-12-28
【審査請求日】2023-11-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】堀 史幸
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 友裕
(72)【発明者】
【氏名】木全 祐也
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-081736(JP,A)
【文献】特表2003-513690(JP,A)
【文献】国際公開第2018/034252(WO,A1)
【文献】特開平08-299247(JP,A)
【文献】特開平03-041922(JP,A)
【文献】特開2004-058942(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 15/24
B65G 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄室に収容される被洗浄物を洗浄する洗浄機と、前記洗浄機に前記被洗浄物を収容したラックを搬入する搬入装置と、前記洗浄機から搬出される前記ラックを収容するワゴンに前記ラックを搬入するリフト装置と、前記洗浄機から前記リフト装置に前記ラックを搬出する搬出装置と、を備えた洗浄システムであって、
前記洗浄機は、前記洗浄室を開閉可能なドア
であって、前記搬入装置から前記ラックが搬入される前記洗浄機の前方側において前記洗浄室を開閉する前部と、前記リフト装置に前記ラックを搬出する前記洗浄機の一方の側方側において前記洗浄室を開閉する一方の側部と、一方の前記側方と反対側の前記洗浄機の他方の側方側において前記洗浄室を開閉する他方の前記側部と、を含む前記ドアを有しており、
前記ドアは、前記洗浄室を閉じる位置と、前記洗浄室を開く位置と、の間において上下方向に移動可能に設けられており、
前記搬入装置は、前記洗浄機の前方に配置され、前記ラックを第1方向に沿って前記洗浄機に搬送し、
前記リフト装置は、前記洗浄機の一方の
前記側方に配置され、前記第1方向に直交する第2方向に沿って前記洗浄機から搬出された前記ラックを受け取り、
前記搬入装置は、前記洗浄機の前記ドアの
前記前部の
移動経路上に位置する障害物を検出する第1検出部と、前記洗浄機の前記ドアの他方
の前記側部の
移動経路上に位置する障害物を検出する第2検出部と、を有する、洗浄システム。
【請求項2】
前記第1検出部及び前記第2検出部は、光電センサであり、
前記第2検出部は、照射する光の光軸が下方に向かって傾斜するように前記光を照射する、請求項1に記載の洗浄システム。
【請求項3】
前記搬出装置は、
前記ラックを前記第2方向に押し出すアームと、
前記アームを駆動する駆動部と、
前記アームと駆動部とを連結する連結部と、を有し、
前記駆動部は、上下方向に沿って延在する出力軸を有し、
前記連結部は、前記駆動部の前記出力軸が挿入される中空部を有しており、
前記連結部において、前記中空部に位置する前記出力軸の上部が閉塞されている、請求項1又は2に記載の洗浄システム。
【請求項4】
前記連結部において、前記中空部に位置する前記出力軸の上部が閉塞部材によって閉塞されている、請求項3に記載の洗浄システム。
【請求項5】
前記連結部の下端部は、前記出力軸の基端よりも下方に位置している、請求項3又は4に記載の洗浄システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
食器洗浄機に食器が収容された食器ラックを搬入する食器搬入装置と、食器を洗浄する食器洗浄機と、上下方向に配列されると共に食器ラックを収容可能な棚部を有するワゴンと、食器洗浄機によって洗浄された食器をワゴンにおける棚部に搬入するリフト装置と、食器ラックを食器洗浄機から押し出してリフト装置に搬出させる搬出装置と、を備えた洗浄システムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
洗浄システムでは、食器洗浄機のドアの開閉が自動で行われる。この構成では、ドアに障害物が挟まれないように、ドアの軌道上に位置する障害物を検出する必要がある。障害物を検出する検出部を各装置に設けると、構成が複雑化する。
【0005】
そこで、本発明の目的は、簡易な構成で洗浄機のドアの軌道上に位置する障害物を検出することができる洗浄システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る洗浄システムは、洗浄室に収容される被洗浄物を洗浄する洗浄機と、洗浄機に被洗浄物を収容したラックを搬入する搬入装置と、洗浄機から搬出されるラックを収容するワゴンにラックを搬入するリフト装置と、洗浄機からリフト装置にラックを搬出する搬出装置と、を備えた洗浄システムであって、洗浄機は、洗浄室を開閉可能なドアを有しており、搬入装置は、洗浄機の前方に配置され、ラックを第1方向に沿って洗浄機に搬送し、リフト装置は、洗浄機の一方の側方に配置され、第1方向に直交する第2方向に沿って洗浄機から搬出されたラックを受け取り、搬入装置は、洗浄機のドアの前部の軌道上に位置する障害物を検出する第1検出部と、洗浄機のドアの他方の側方側の側部の軌道上に位置する障害物を検出する第2検出部と、を有する。
【0007】
本発明に係る洗浄システムでは、搬入装置は、洗浄機の前方に配置され、リフト装置は、洗浄機の一方の側方に配置されている。この構成において、搬入装置は、洗浄機のドアの前部の軌道上に位置する障害物を検出する第1検出部と、洗浄機のドアの他方の側方側の側部の軌道上に位置する障害物を検出する第2検出部と、を有する。このように、第1検出部及び第2検出部を搬入装置に設けるため、構成の簡易化を図れる。したがって、簡易な構成で洗浄機のドアの軌道上に位置する障害物を検出することができる。
【0008】
一実施形態においては、第1検出部及び第2検出部は、光電センサであり、第2検出部は、照射する光の光軸が下方に向かって傾斜するように光を照射してもよい。この構成では、第2検出部と対向する位置に障害物以外の反射物が存在するような場合に、当該反射物を障害物として誤検出することを抑制できる。
【0009】
一実施形態においては、搬出装置は、ラックを第2方向に押し出すアームと、アームを駆動する駆動部と、アームと駆動部とを連結する連結部と、を有し、駆動部は、上下方向に沿って延在する出力軸を有し、連結部は、駆動部の出力軸が挿入される中空部を有しており、連結部において、中空部に位置する出力軸の上部が閉塞されていてもよい。この構成では、洗浄機の水が出力軸に付着することを防止できる。そのため、出力軸を介して水が駆動部に浸入し、駆動部が破損することを防止できる。
【0010】
一実施形態においては、連結部において、中空部に位置する出力軸の上部が閉塞部材によって閉塞されていてもよい。この構成では、閉塞部材によって、洗浄機の水が出力軸に付着することを防止できる。
【0011】
一実施形態においては、連結部の下端部は、出力軸の基端よりも下方に位置していてもよい。この構成では、出力軸に水が付着することをより一層防止することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、簡易な構成で洗浄機のドアの軌道上に位置する障害物を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る洗浄システムの全体を示した斜視図である。
【
図2】
図2(A)は、キャリーテーブルの正面図であり、
図2(B)は、キャリーテーブルの平面図である。
【
図3】
図3は、キャリーテーブル及び食器洗浄機を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、キャリーテーブル及び食器洗浄機を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、キャリーテーブル及び食器洗浄機を示す図である。
【
図6】
図6は、キャリーテーブル及び食器洗浄機を示す斜視図である。
【
図7】
図7は、キャリーテーブル及び食器洗浄機の上面図である。
【
図8】
図3は、食器洗浄機の概略構成を示す断面図である。
【
図9】
図9(A)は、リフト装置をワゴン側から見た側面図であり、
図9(B)は、リフト装置を食器洗浄機側から見た側面図である。
【
図11】
図11(A)は、搬出装置の平面図であり、
図11(B)は、搬出装置の斜視図である。
【
図17】
図17は、搬出装置のハウジングの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。以下の説明においては、
図1で規定する方向(上下方向、前後方向、左右方向)を説明に用いる。
【0015】
図1に示されるように、洗浄システム1は、キャリーテーブル(搬入装置)3と、食器洗浄機(洗浄機)4と、リフト装置5と、ワゴン6と、搬出装置90と、を備えている。洗浄システム1では、キャリーテーブル3及び食器洗浄機4が前後方向に並べて配置され、食器洗浄機4、リフト装置5及びワゴン6が、左右方向に並べて配置されている。すなわち、本実施形態の洗浄システム1では、食器(被洗浄物)が収容される食器ラックRが前側から後側に向かって移動した後、右側から左側に向かって移動するように、平面視においてキャリーテーブル3、食器洗浄機4、リフト装置5及びワゴン6がL字状に配置されている。
【0016】
キャリーテーブル3は、食器ラックRを食器洗浄機4に搬送する。キャリーテーブル3は、食器洗浄機4の前部に配置されている。キャリーテーブル3は、食器ラックRをキャリーテーブル3から食器洗浄機4に向けて、前後方向(第1方向)に沿って搬送する。
図1及び
図2に示されるように、キャリーテーブル3は、基台10と、基台10を支持する四つの脚部19と、搬送機構11と、センサ14と、コントローラ12と、を有している。
【0017】
基台10は、食器ラックRが載置されるテーブルである。基台10は、食器ラックRが載置される載置面10Aを有している。基台10には、載置面10Aから突出すると共に食器ラックRの搬送方向に沿って延在する、食器ラックRを摺動させる摺動部16が設けられている。摺動部16は、載置面10Aにねじ等によって固定された、例えば、ポリアセタール樹脂により形成されたプレート状の部材によって構成されている。摺動部16は、食器ラックRに対する摺動性を良好にする部材であれば材料を問わず、ポリアセタール樹脂以外の材料によっても形成が可能である。
【0018】
搬送機構11は、食器ラックRを基台10上で移動させる。搬送機構11は、アーム部材11Aと、支持部11Bと、チェーン11Cと、スプロケット11D,11Dと、駆動部11Eと、を有している。搬送機構11は、ハウジング17に収容されている。ハウジング17は、キャリーテーブル3を正面から見たとき、基台10の後方に配置されており、基台10の載置面10Aよりも上方に突出して設けられている。
【0019】
アーム部材11Aは、食器ラックRを押し出す部材であって、載置面10A上を回動可能となるように、支持部11Bに支持されている。支持部11Bは、チェーン11Cに平行に配置されたガイドレール(図示せず)に沿って前後方向に移動可能に設けられると共に、チェーン11Cの一部に固定的に連結されている。チェーン11C,11Cは、二つのスプロケット11D,11Dに巻回されている。駆動部11Eは、例えばギアモータである。駆動部11Eの回転軸には、一方のスプロケット11Dが軸支されている。
【0020】
アーム部材11Aは、アーム部材11Aの先端が食器洗浄機4側(後側)に向く状態とキャリーテーブル3の手前側(左側)に向く状態との間で回動可能となるように、ねじりバネ(図示せず)を介して支持部11Bに固定されている。ねじりバネは、平面視において半時計回り(左回り)に回動する方向にアーム部材11Aを付勢している。すなわち、ねじりバネは、ハウジング17から進出する方向にアーム部材11Aを付勢している。アーム部材11Aは、ねじりバネの作用によってシャッタ(図示せず)等の規制部材に接触しない限り、ハウジング17の外側である載置面10A上の進出領域に進出するようになっている。アーム部材11Aは、平面視において載置面10Aに重複する進出領域と、載置面10Aから退避した退避領域との間で移動可能に設けられており、食器ラックRの押し出しをしないときには、退避領域に退避されている。
【0021】
アーム部材11Aは、駆動部11Eによって駆動されるスプロケット11D及びチェーン11Cに連動することによって、キャリーテーブル3を正面から見たときの左右方向に回動する。アーム部材11Aは、食器ラックRを搬送するときに、ハウジング17内から載置面10A上に進出し、待機状態においてはハウジング17内に退避する。より詳細には、アーム部材11Aは、載置面10A上の食器ラックRの食器洗浄機4側への回動がセンサ14によって検知されたタイミング、又は、操作部18においてスタートボタンB1が押下されたタイミングで載置面10A上に進出する。
【0022】
アーム部材11Aは、食器洗浄機4に向けて食器ラックRを押し出す。アーム部材11Aの先端、すなわち、食器ラックRに当接する部分には、ベアリング(図示せず)が設けられもよい。アーム部材11Aは、食器ラックRを食器洗浄機4にまで搬送すると(すなわち、食器ラックRを押し出す押出位置に到達すると)、ハウジング17の内部の退避領域の一部である待機位置に戻る。
【0023】
コントローラ12は、キャリーテーブル3を含む、洗浄システム1の動作全般を制御する。コントローラ12は、外部との信号の入出力等を行う入出力インタフェイス、処理を行うためのプログラム及び情報等が記憶されたROM(Read Only Memory)、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等の記憶媒体、CPU(Central Processing Unit)、及び通信回路等を有する。コントローラ12は、CPUが出力する信号に基づいて、入力データをRAMに記憶し、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムを実行することで各種処理を実行する。コントローラ12は、例えば、キャリーテーブル3の動作、食器洗浄機4におけるドア23の開閉動作、搬出装置90の動作、リフト装置5の動作等を制御する。コントローラ12は、例えば、ハウジング17内に収容されている。
【0024】
ハウジング17には、搬送機構11の動作を開始させるスタートボタンB1及び搬送機構11の動作を停止させる停止ボタンB2が配置されている。ハウジング17の上部には、操作部18が配置されている。
【0025】
図3及び
図4に示されるように、キャリーテーブル3は、第1センサ(第1検出部)19Aと、第2センサ(第2検出部)19Bと、を有している。第1センサ19A及び第2センサ19Bのそれぞれは、例えば、光電センサである。
【0026】
第1センサ19Aは、食器洗浄機4のドア23の閉位置と開位置との間において、ドア23のキャリーテーブル3側の前部23A(後述)の軌道上(移動経路上)に位置する障害物を検出する。すなわち、第1センサ19Aは、食器洗浄機4の洗浄室21のキャリーテーブル3側の開口に位置する障害物を検出する。障害物は、例えば、食器ラックR等である。
【0027】
第1センサ19Aは、
図3に示されるように、ハウジング17において、食器ラックRの搬送方向の下流側(ハウジング17の左端側)に配置されている。第1センサ19Aは、
図5に示されるように、基台10の載置面10Aよりも上方に配置されている。詳細には、第1センサ19Aは、載置面10Aに食器ラックRが載置されている状態において、食器ラックRの上端の高さ位置よりも上方に位置するように、ハウジング17に配置されている。第1センサ19Aは、食器ラックRの上端の高さ位置よりも少し(数十mm程度)高い位置に配置されていることが好ましい。更に詳細には、第1センサ19Aは、第1センサ19Aの検出面が前方に向かってわずかに斜め下方に向くように取り付けられており、食器ラックRの前上端よりも上方の高さ位置を検出することが可能となっている。
【0028】
第1センサ19Aは、障害物を検出すると、検出信号をコントローラ12に出力する。なお、第1センサ19Aは、ハウジング17の側面に配置されていてもよいし、ハウジング17内に配置されていてもよい。ハウジング17内に配置される場合、第1センサ19Aは、ハウジング17の側面に設けられた開口部、透過部材等を介して、障害物を検出する。
【0029】
図4に示されるように、第2センサ19Bは、食器洗浄機4のドア23の側部23C(後述)の軌道上に位置する障害物を検出する。すなわち、第2センサ19Bは、食器洗浄機4の洗浄室21の側方の開口に位置する障害物を検出する。第2センサ19Bは、
図6に示されるように、ハウジング17において、食器ラックRの搬送方向の下流側(ハウジング17の左端側)の側部に配置されている。
図10に示されるように、第2センサ19Bは、照射する光(紫外線)の光軸が下方に傾斜するように(搬出装置90側に向かうように)光を照射する。第2センサ19Bは、障害物を検出すると、検出信号をコントローラ12に出力する。
【0030】
コントローラ12は、第1センサ19A及び第2センサ19Bの少なくとも一方において障害物が検出された場合、駆動機構7の駆動モータ60の作動を停止させる。コントローラ12は、ドア23が閉位置に向かって移動中、すなわちドア23が下降中(駆動モータ60の作動中)に第1センサ19A及び第2センサ19Bの少なくとも一方から検出信号を受け取った場合には、駆動モータ60の作動を停止させる。
【0031】
図5及び
図7に示されるように、キャリーテーブル3のハウジング17には、食器ラックRの搬送方向の下流側(ハウジング17の左端側)、すなわち食器洗浄機4側の端部で、かつ、上部に切欠部17Aが設けられている。切欠部17Aは、キャリーテーブル3を正面から見て、ハウジング17を矩形状に切り欠いた形状を呈している。切欠部17Aには、食器洗浄機4のドア23が閉められたときに、ハンドル8Aが位置する。
【0032】
図1に示されるように、食器洗浄機4は、キャリーテーブル3の後側に、キャリーテーブル3に隣接して配置されている。食器洗浄機4は、食器ラックRに収容されている食器を洗浄する。
図1及び
図8に示されるように、食器洗浄機4は、ステンレス製のパネルで覆われた洗浄機本体20を有している。洗浄機本体20は、洗浄室21が形成された上側部分20Aと、機械室22が形成された下側部分20Bとに仕切られている。
【0033】
洗浄機本体20の上側部分20Aには、洗浄室21の開閉を行うための箱型のドア23が設けられている。ドア23は、前部23Aと、一対の側部23B,23Cを含む。ドア23の側部23Bは、後段にて詳述する連結部材64に連結されている。連結部材64は、コントローラ12によって制御される駆動モータ60によって駆動される。ドア23は、駆動モータ60による駆動によって、上下方向において最下高さ位置に位置して、洗浄室21を閉じる閉位置(
図5に示す位置)と、上下方向において最高高さ位置に位置して、洗浄室21を開く開位置(
図1に示す位置)と、の間で移動する。
【0034】
ドア23には、前方において水平方向に延在するハンドル8Aが設けられている。ハンドル8Aの両端には左右一対の回動アーム8B,8Bの先端が固定され、回動アーム8B,8Bはドア23の側面に沿って斜めに配置されている。回動アーム8B,8Bには、ドア23の側面に沿って配置されたリンク部8Cの一端が回動自在に連結され、リンク部8Cの他端はドア23に連結されており、ハンドル8Aの回動運動に対してドア23が上下運動可能となっている。
図5に示されるように、ハンドル8Aは、ドア23の閉位置において、キャリーテーブル3上の食器ラックR(食器ラックRに収納された食器)と接触しない高さ位置となる。これにより、キャリーテーブル3において、食器洗浄機4の洗浄中に、食器ラックRを食器洗浄機4側に待機させておくことができる。
【0035】
洗浄室21内には、食器ラックRが載置されるラックレール70が着脱自在に配置されている。キャリーテーブル3から食器洗浄機4に搬出される食器ラックRは、ラックレール70上に押し出される。洗浄室21の上部には、放射状に延びる3本のアームからなる上側洗浄ノズル26Aと、2本のアームからなる上側すすぎノズル27Aとがそれぞれ回転自在に配置されている。同様に、洗浄室21の下部には、放射状に延びる3本のアームからなる下側洗浄ノズル26Bと、2本のアームからなる下側すすぎノズル27Bとがそれぞれ回転自在に配置されている。食器ラックRに並べられた食器は、上側洗浄ノズル26A及び下側洗浄ノズル26Bによって上下から洗浄水が噴射され、上側すすぎノズル27A及び下側すすぎノズル27Bによって上下からすすぎ水が噴射される。
【0036】
洗浄水タンク28には、洗浄水吸込口を介して洗浄ポンプ29が接続されている。洗浄ポンプ29の吐出口には、洗浄水吐出管30が接続されている。洗浄水吐出管30は、第1洗浄水吐出管30Aと第2洗浄水吐出管30Bとに分岐して、第1洗浄水吐出管30Aは上側洗浄ノズル26Aに接続され、第2洗浄水吐出管30Bは下側洗浄ノズル26Bに接続されている。
【0037】
機械室22内には、外部から給水管(図示せず)を介してすすぎ水が供給されるすすぎ水タンク31が配置されている。すすぎ水タンク31には、すすぎ水吸込管32を介してすすぎポンプ33が接続されている。すすぎポンプ33の吐出口には、すすぎ水吐出管34が接続されている。すすぎ水吐出管34は、第1すすぎ水吐出管34Aと第2すすぎ水吐出管34Bとに分岐して、第1すすぎ水吐出管34Aは上側すすぎノズル27Aに接続され、第2すすぎ水吐出管34Bは下側すすぎノズル27Bに接続されている。第1すすぎ水吐出管34Aは、第1洗浄水吐出管30A内に配置されている。すなわち、第1洗浄水吐出管30A及び第1すすぎ水吐出管34Aは、二重管構造を成している。
【0038】
機械室22内には、食器洗浄機4の動作全般を制御するコントローラ35が内蔵された電装ボックス(図示せず)などが収容されている。コントローラ35は、洗浄が終了したことを示す終了信号を、キャリーテーブル3のコントローラ12に出力する。
【0039】
食器洗浄機4は、熱交換ユニット36を備えている。熱交換ユニット36は、洗浄機本体20の洗浄室21から排出された水蒸気を凝縮して、水蒸気の包含量が減少した空気を外部に排出する。食器洗浄機4は、洗浄機本体20を支持する四つの脚部37を備えている。
【0040】
図1に示されるように、リフト装置5は、食器洗浄機4の左隣り(一方の側方)に、食器洗浄機4に隣接して配置されている。リフト装置5は、食器洗浄機4から搬出された食器ラックRを、ワゴン6の所定位置に移載する。
図9(A)及び
図9(B)に示されるように、リフト装置5は、本体40と、リフト41と、駆動機構7と、を備えている。本体40は、フレーム40Aと、前後方向において互いに対向して配置されている一対の側部42A,42Bを有している。一対の側部42A,42Bは、パネル状の部材である。本体40は、一対の側部42A,42Bの対向方向に直交する水平方向の両側が開口している。本体40には、食器洗浄機4側の開口の上側の一部を覆う側部42Cが設けられている。リフト装置5は、本体40を支持する四つの脚部47を備えている。
【0041】
リフト41は、図示しない駆動機構によって、上下方向に移動する。駆動機構は、例えば、駆動モータ、スプロケット、チェーン等を含んで構成されている。リフト41は、食器ラックRをワゴン6に搬出するベルト43A,43Bを有している。リフト41は、食器洗浄機4による洗浄が完了した際、食器洗浄機4のラックレール70(
図3参照)と同じ高さ位置で待機している。リフト41は、食器洗浄機4から食器ラックRが搬出されて、食器ラックRの一部がリフト41上に位置したことがセンサ44で検知されると、ベルト43A,43Bを作動させて食器ラックRを取り入れる。
【0042】
リフト41は、食器ラックRを取り入れると、ワゴン6において食器ラックRが収容されていない棚部(段)に食器ラックRを移載する。リフト41は、ベルト43A,43Bを作動させて、食器ラックRをワゴン6に送り出す。ワゴン6の各棚部における空き状況は、リフト装置5の、例えば、天板及び底板に設けられたセンサ(図示せず)又はリフト41に設けられたセンサ(図示せず)によって検知される。
【0043】
駆動機構7は、食器洗浄機4のドア23を閉位置及び開位置に駆動させる。駆動機構7は、駆動モータ60と、一対のスプロケット(図示せず)と、チェーン(図示せず)と、スライダ63と、連結部材64と、を有している。駆動機構7は、リフト装置5の背面側に設けられている。
【0044】
駆動モータ60は、例えば、ギアモータである。駆動モータ60は、例えば、リフト装置5の上部に配置されている。駆動モータ60の動作は、キャリーテーブル3のコントローラ12によって制御される。スプロケットには、駆動モータ60の出力軸が接続されている。スプロケットは、スプロケットの回転に応じて、チェーンを介して従動して回転する。チェーンは、一対のスプロケットに掛け渡されている。
【0045】
スライダ63は、チェーンに接続されている。スライダ63は、チェーンの移動に応じて上下方向に移動する。スライダ63は、上下方向に沿って延在しているガイドレール65に接続されており、ガイドレール65に沿って移動する。連結部材64は、スライダ63とドア23とを連結している。連結部材64は、前後方向に沿って延在している。連結部材64の一端部は、スライダ63に固定されており、連結部材64の他端部は、軸ピン(図示せず)を介してドア23の側部23Bに連結されている。連結部材64には、支持部材(図示せず)が設けられている。支持部材は、連結部材64とドア23の下端部とに接続されており、ドア23が上昇するときにドア23を下方から支持する。
【0046】
図1に示されるように、ワゴン6は、リフト装置5の左隣りに、リフト装置5に隣接して配置されている。ワゴン6は、複数(本実施形態では4個)の食器ラックRを収納可能である。ワゴン6は、リフト装置5によって食器ラックRが収容される。ワゴン6は、リフト装置5に着脱可能に設けられている。
【0047】
図10に示されるように、ワゴン6は、互いに対向して配置されている一対の側部50A,50Bと、一対の側部50A,50Bの上端部に設けられている上部51と、一対の側部50A,50Bの下端部に設けられている底部52と、を有している。一対の側部50A,50Bは、パネル状の部材により形成されている。ワゴン6は、一対の側部50A,50B、上部51及び底部52によって、食器ラックRを収容する収容空間が形成されている。ワゴン6は、一対の側部50A,50Bの対向方向に直交する水平方向の両側が開口している。
【0048】
一対の側部50A,50Bのそれぞれの内面には、互いに対向する位置に、一対の支持レール53A,53Bが設けられている。一対の支持レール53A,53Bは、食器ラックRを支持する。一対の支持レール53A,53Bは、ワゴン6において食器ラックRを収容する棚部を構成している。支持レール53A,53Bは、上下方向において所定の間隔をあけて複数配置されている。一方の側部50Aの外面には、作業者によって把持可能な操作ハンドル54A,54Bが設けられている。底部52には、ワゴン6がリフト装置5から取り外されたときにワゴン6を移動自在とする4個のローラ55A,55B,55C,55Dと、ワゴン6がリフト装置5に取り付けられたときにワゴン6を設置(固定)する設置機構56A,56Bと、が設けられている。
【0049】
図11(A)及び
図11(B)に示されるように、搬出装置90は、食器洗浄機4からリフト装置5に食器ラックRを搬出する。搬出装置90は、食器ラックRを食器洗浄機4からリフト装置5に向けて、左右方向(第1方向に直交する第2方向)に沿って搬送する。
図11(A)に示されるように、搬出装置90は、食器洗浄機4に右側側面の前方に設けられている。
図11(B)に示されるように、搬出装置90は、アーム91と、モータ(駆動部)93と、規制部94と、回転体95と、センサ96と、ハブ(連結部)97と、を有している。モータ93は、コントローラ12によって動作が制御される。
【0050】
アーム91は、一方向に延在する回動軸91Aを回動中心に回動することで食器ラックRを押し出し、食器洗浄機4からリフト装置5に食器ラックRを搬出させる。アーム91は、回動軸を中心に回転可能に設けられると共に、食器ラックRに接触可能に設けられた第1ベアリング92A及び第2ベアリング92Bを有している。モータ93は、出力軸93Aを中心にアーム91を回動させる。規制部94は、アーム91の回動範囲を規制する。
【0051】
回転体95は、アーム91と一体的に回動可能に設けられると共に、切欠部が形成された円盤状の部材である。回転体95は、鉄部材又は磁性を有するステンレス鋼により形成されている。センサ96は、切欠部と重複する第1状態及び切欠部と重複しない第2状態を区別して検知する、鉄板近接センサである。
【0052】
ハブ97は、アーム91とモータ93の出力軸93Aとを連結している。
図12及び
図13に示されるように、ハブ97は、中空部97Aを有する筒状の部材である。ハブ97は、中空部97Aにモータ93の出力軸93Aが挿入されている。ハブ97の下端部97Bは、出力軸93Aの基端よりも下方に位置している。ハブ97において、中空部97Aに位置する出力軸93Aの上部が閉塞されていている。本実施形態では、ハブ97の上端部には、閉塞部材97Cが設けられている。閉塞部材97Cは、ハブ97の開口を閉塞している。閉塞部材97Cは、例えばステンレス板である。閉塞部材97Cは、ハブ97に溶接されている。これにより、ハブ97の中空部97Aに位置する出力軸93Aの上方の空間Sは密閉される。
【0053】
図14、
図15及び
図16に示されるように、搬出装置90は、アーム91とモータ93とを上方から覆うカバー98と、モータ93を収容するハウジング99と、を有している。ハウジング99は、直方体形状を呈している。ハウジング99は、第1カバー99Aと、第2カバー99Bと、第3カバー99Cと、を含んでいる。
図17に示されるように、第2カバー99B及び第3カバー99Cは、第1カバー99Aに対して着脱可能に設けられている。第2カバー99B及び第3カバー99Cは、第1カバー99Aに例えばネジで固定される。
【0054】
以上説明したように、本実施形態に係る洗浄システム1では、キャリーテーブル3は、食器洗浄機4の前方に配置され、リフト装置5は、食器洗浄機4の一方の側方に配置されている。この構成において、キャリーテーブル3は、食器洗浄機4のドア23の前部23Aの軌道上に位置する障害物を検出する第1センサ19Aと、食器洗浄機4のドア23の側部23Cの軌道上に位置する障害物を検出する第2センサ19Bと、を有する。このように、第1センサ19A及び第2センサ19Bをキャリーテーブル3に設けるため、構成の簡易化を図れる。したがって、簡易な構成で洗浄機のドア23の軌道上に位置する障害物を検出することができる。
【0055】
本実施形態に係るキャリーテーブル3では、第1センサ19A及び第2センサ19Bは、光電センサである。第2センサ19Bは、照射する光の光軸が下方に向かって傾斜するように光を照射する。この構成では、第2センサ19Bと対向する位置に障害物以外の反射物が存在するような場合に、当該反射物を障害物として誤検出することを抑制できる。
【0056】
本実施形態に係る洗浄システム1では、搬出装置90は、食器ラックRを左右方向に押し出すアーム91と、アーム91を駆動するモータ93と、アーム91とモータ93とを連結するハブ97と、を有している。モータ93は、上下方向に沿って延在する出力軸93Aを有している。ハブ97は、モータ93の出力軸93Aが挿入される中空部97Aを有し、中空部97Aの両端部が開口している筒状を呈している。ハブ97の上部の開口が閉塞部材97Cによって閉塞されている。この構成では、食器洗浄機4の水が出力軸93Aに付着することを閉塞部材97Cによって防止することができる。そのため、出力軸93Aを介して水がモータ93に浸入し、モータ93が破損することを防止できる。
【0057】
本実施形態に係る搬出装置90では、ハブ97の下端部97Bは、出力軸93Aの基端よりも下方に位置している。この構成では、出力軸93Aに水が付着することをより一層防止することができる。
【0058】
本実施形態に係るキャリーテーブル3では、ハウジング17に、食器洗浄機4のハンドル8Aを位置させる切欠部17Aが設けられている。このように、ハンドル8Aがハウジング17に接触しない構造としている。これにより、食器洗浄機4にハンドル8Aが設けられている構成において、キャリーテーブル3と食器洗浄機4とを近づけて配置することができる。そのため、省スペース化を図ることができる。
【0059】
本実施形態に係る搬出装置90では、モータ93を収容するハウジング99を有している。ハウジング99は、第1カバー99Aと、第2カバー99Bと、第3カバー99Cと、を含んでいる。第2カバー99B及び第3カバー99Cは、第1カバー99Aに対して着脱可能に設けられている。これにより、モータ93をハウジング99で保護することができる。また、第2カバー99B及び第3カバー99Cが、第1カバー99Aに対して着脱可能に設けられているため、作業に応じて、取り外すカバーを変更できる。例えば、第2カバー99Bは、搬出装置90を設置する際に、配線作業を行うときに取り外す。第3カバー99Cは、搬出装置90の組み立て時やメンテナンス時に取り外す。
【0060】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0061】
上記実施形態では、洗浄システム1がワゴン6を1台備えている形態を一例に説明した。しかし、洗浄システム1は、複数台のワゴン6を備えていてもよい。
【0062】
上記実施形態では、食器ラックRに収容されている食器が被洗浄物である形態を一例に説明した。しかし、被洗浄物は、これに限定されない。
【0063】
上記実施形態では、駆動機構7がリフト装置5に設けられている形態を一例に説明した。しかし、駆動機構7は、食器洗浄機4に設けられていてもよい。
【0064】
上記実施形態では、ハブ97の上端部に閉塞部材97Cが設けられている形態を一例に説明した。しかし、ハブ97の構造(形状)によって、中空部97Aに位置する出力軸93Aの上部が閉塞されていてもよい。
【0065】
上記実施形態では、搬出装置90のハブ97の下端が、モータ93の出力軸93Aの基端よりも下方に位置する形態を一例に説明した。しかし、搬出装置90のハブ97の下端が、モータ93の出力軸93Aの基端よりも上方に位置していてもよい。この場合、ハブ97の下端部にゴムやストラマー等の軟質材で形成された部材を、ハブ97の下端部の周囲を囲うように設ける。これにより、モータ93の出力軸93Aに水が付着することを防止できる。
【符号の説明】
【0066】
1…洗浄システム、3…キャリーテーブル(搬入装置)、4…食器洗浄機(洗浄機)、5…リフト装置、6…ワゴン、19A…第1センサ(第1検出部)、19B…第2センサ(第2検出部)、21…洗浄室、23…ドア、23A…前部、23C…側部、90…搬出装置、91…アーム、93…モータ(駆動部)、93A…出力軸、97…ハブ(連結部)、97A…中空部、97B…下端部、97C…閉塞部材。