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特許7594908自動車の駐車を安全にするためのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】自動車の駐車を安全にするためのシステム
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/06 20060101AFI20241128BHJP
   B60T 7/12 20060101ALI20241128BHJP
   B62D 6/00 20060101ALI20241128BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
B60W30/06
B60T7/12 A
B62D6/00
G08G1/16 C
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020525848
(86)(22)【出願日】2018-11-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-01-28
(86)【国際出願番号】 FR2018052770
(87)【国際公開番号】W WO2019092373
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-09-09
(31)【優先権主張番号】1760529
(32)【優先日】2017-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517271212
【氏名又は名称】ヒタチ アステモ フランス
【氏名又は名称原語表記】Hitachi Astemo France
【住所又は居所原語表記】126 Rue de Stalingrad, 93700 Drancy, France
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビッテ、レナート
(72)【発明者】
【氏名】ウルウィック、アレクサンデル
【審査官】鶴江 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-216790(JP,A)
【文献】特開2007-237838(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0199236(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
B60T 7/12-8/1769
B60T 8/32-8/96
B62D 6/00- 6/10
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車エリア(Z)に駐車される自動車車両の駐車を安全にするためのシステムであって、前記自動車車両が軸に沿って延び、前記自動車車両が、前記自動車車両のステアリングを保証する少なくとも1つの車軸(6)と、「ステアリング・ホイール」として指定される前記車軸に装備しているホイールと、ドライバーの行為なしに前記ステアリング・ホイールの配向を変更するための手段とを含み、前記安全にするためのシステムは、
制御ユニット(UC)と、
前記自動車車両の駐車状態を検出するための手段と、
前記駐車エリアの傾斜を検出するための手段と、
前記自動車車両の前記軸に対する前記ステアリング・ホイールの配向を決定するための手段と、
前記駐車エリアを構成する要素の構成を決定するための駐車エリア決定手段、前記自動車車両のための安全な障害物を形成することができない要素を除外するためのソート手段、及び前記ソート手段により除外されなかった残りの要素から、前記自動車車両のための安全な障害物を形成することができる少なくとも1つの要素を選択するための選択手段と
を含み、前記安全な障害物は、前記自動車車両を停止することが可能であり、
前記制御ユニット(UC)が、必要とされる制動レベルを低減するために前記ステアリング・ホイールの配向を決定し、及び/又は前記自動車車両の不要な移動の場合、前記自動車車両を危険が減少した構成に入れ、並びに、前記制御ユニット(UC)によって決定された配向に従って前記ステアリング・ホイールを配向させるための命令を、ドライバーの行為なしに前記ステアリング・ホイールの配向を変更するための前記手段に送るための手段を含み、
前記制御ユニットが、前記自動車車両の下流の前記自動車車両の軌道が、安全な障害物として選択された前記要素と交差するように、前記ステアリング・ホイールを配向させるように構成され、
前記ソート手段が、前記自動車車両のための安全な固定された障害物を形成することができない要素を除外するように構成され、前記選択手段が、前記ソート手段により除外されなかった残りの要素から、前記自動車車両のための安全な固定された障害物を形成することができる少なくとも1つの要素を選択するように構成された、安全にするためのシステム。
【請求項2】
前記駐車エリアを構成する前記要素の構成を決定するための前記手段が、少なくとも1つの物体検出センサー及び/又はカメラを含む、請求項1に記載の安全にするためのシステム。
【請求項3】
前記物体検出センサーがレーダー及び/又はソナーを含む、請求項2に記載の安全にするためのシステム。
【請求項4】
前記制御ユニットが、前記カメラによって与えられた画像にパターン認識ソフトウェアを適用する計算器を含む、請求項2又は3に記載の安全にするためのシステム。
【請求項5】
前記制御ユニットの前記パターン認識ソフトウェアが、前記駐車エリアを構成する要素の構成を決定するためにファジー論理を使用する、請求項4に記載の安全にするためのシステム。
【請求項6】
前記自動車車両の駐車状態を検出するための前記手段が、駐車ブレーキの活動化を検出するための手段を含み、前記自動車車両の前記不要な移動が不十分な制動レベルに対応する、請求項1から5までの一項に記載の安全にするためのシステム。
【請求項7】
前記自動車車両のための安全な障害物を形成することができない要素を除外するための前記ソート手段が、要素サイズ、前記自動車車両からの前記要素の距離、及び前記要素の耐久性のうちの少なくとも1つに基づいて要素をフィルタで除外するように構成された、請求項1から6までの一項に記載の安全にするためのシステム。
【請求項8】
前記選択手段により、安全な固定された障害物が選択されない場合、前記ソート手段が、前記自動車車両のための安全な固定されていない障害物を形成することができない要素を除外するように構成され、前記選択手段が、前記ソート手段により除外されなかった残りの要素から、前記自動車車両のための安全な固定されていない障害物を形成することができる少なくとも1つの要素を選択するように構成され、前記安全な固定されていない障害物は、駐車された前記自動車車両に対して動くことができる、請求項1から7までの一項に記載の安全にするためのシステム。
【請求項9】
前記駐車エリア決定手段は、前記安全な固定されていない障害物の持続を監視するように構成された、請求項8に記載の安全にするためのシステム。
【請求項10】
車両の配向を保証する少なくとも1つの車軸(6)と、ドライバーの行為なしにステアリング・ホイールの配向を変更するための手段(16)と、請求項1から9までの一項に記載の安全にするためのシステムとを含む、自動車車両。
【請求項11】
駐車エリアに駐車される自動車車両を安全にするための方法であって、前記自動車車両が、前記自動車車両の配向を保証する少なくとも1つの車軸と、前記車軸に装備しているステアリング・ホイールと、ドライバーの行為なしに前記自動車車両の前記ステアリング・ホイールの前記車軸の配向を変更するための手段とを含み、前記方法は、
a)駐車状態を検出するための手段が、前記自動車車両の駐車状態を検出するステップと、
b)傾斜を検出するための手段が、前記駐車エリアの傾斜を検出するステップと、
c)構成を決定するための手段が、前記駐車エリアを構成する要素の構成を決定するステップと、
d)ソート手段が、前記自動車車両のための安全な固定された障害物を形成することができない要素を除外するために、前記駐車エリアを構成する前記要素をソートするステップであって、安全な固定された障害物は、前記自動車車両を停止することが可能である、前記ソートするステップと、
e)選択するための手段が、前記ソートするステップd)において除外されなかった残りの要素から、前記自動車車両のための安全な固定された障害物を形成することができる少なくとも1つの要素を選択するステップと、
f)配向を決定するための手段が、必要とされる制動レベルの減少を保証し、及び/又は前記自動車車両の下流の前記自動車車両の軌道が、安全な固定された障害物として選択された前記要素と交差することを保証する、前記ステアリング・ホイールの配向を決定するステップと、
g)前記配向を決定するための手段が、ステップf)において決定された配向に従って前記ステアリング・ホイールを配向させるための命令を、ドライバーの行為なしに前記ステアリング・ホイールの配向を変更するための前記手段に対して生成するステップと
を含む、安全にするための方法。
【請求項12】
ステップf)において、前記配向を決定するための手段が、前記傾斜と前記ステアリング・ホイールの配向との間の角度を比較し、前記傾斜と前記ステアリング・ホイールの配向との間の前記角度が最大角度に達するように移動角を決定する、請求項11に記載の安全にするための方法。
【請求項13】
前記駐車エリアが、一方の側が車線によって、及び別の側が通行禁止エリアによって境界付けられている場合、ステップe)中に、要素が選択されない場合、ステップf)中に、前記自動車車両の下流の前記自動車車両の軌道が通行禁止レーンに配向させられるように前記ステアリング・ホイールを配向させるための命令が、ドライバーの行為なしに前記ステアリング・ホイールの配向を変更するための前記手段に対して生成される、請求項11又は12に記載の安全にするための方法。
【請求項14】
前記自動車車両の下流のみの前記駐車エリアの前記要素を決定するステップc)中に、前記ソート手段が、傾斜に対する前記自動車車両の配向を決定するステップを含む、請求項11から13までの一項に記載の安全にするための方法。
【請求項15】
ステップa)中に、駐車ブレーキの活動化が検出される、請求項11から14までの一項に記載の安全にするための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の駐車を安全にするためのシステム、そのような安全にするシステムを含む車両、及び車両の駐車を安全にするための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たいていの現在の自動車車両において、静止した車両を停止させておくことを目的とする駐車ブレーキ機能は、ディスク・ブレーキ、又は後輪に位置するドラム・ブレーキによって保証される。
【0003】
フロント・エンドにはディスク・ブレーキを装備し、リア・エンドにはドラム・ブレーキを装備することが一般的である。この構成では、駐車ブレーキ機能はドラム・ブレーキによって実行される。
【0004】
駐車ブレーキを適用することは、たいていの場合、ブレーキ・ケーブルを介してドラム・ブレーキ中に位置する機構に接続された、乗員室中に配設されたレバーを引くことによって達成される。機構は、ドラムに対してブレーキ・シューを適用するか又はディスクにライニングを適用するために、ブレーキ・シューをドラム・ブレーキから遠ざける傾向がある。
【0005】
駐車制動の適用はまた、後輪の各ブレーキにおいて電気アクチュエータを実装することによって自動的に実行され得る。たとえば、ダッシュボード上に位置するボタンを押すことによって、アクチュエータは、ドラム・ブレーキの場合はドラムに、又はディスク・ブレーキの場合はシューのライニングにシューを適用させる。
【0006】
これらのシステムは十分である。しかしながら、ドライバーと乗客の両方、また車両の周りに居ることがある人々の安全を改善することが試みられる。駐車ブレーキ機能が適切に保証されないことは、不十分な制動適用又は技術的失敗から生じ得る。不十分な制動適用は、駐車ブレーキを適切に適用するためのレバーへの不十分な力の適用から生じ得る。ディスク・ブレーキの場合、ブレーキがオーバーヒートしたとき、冷えると、ディスクへのライニングの適用力が減少する。
【0007】
これは、車両が坂道に駐車されるときに問題を引き起こし得る。ブレーキの不十分な適用の場合、又はブレーキ解放の場合、車両は、もはや停止させられず、傾斜に沿って移動し、人々及び/又は車両に当たる危険がある。さらに、ドライバー及び/又は乗客が車両中に残っている場合、彼らも負傷し得る。ドライバーが、特に感じられる驚き及び/又はパニックの要素により、車両を停止させることができるであろうことは明らかではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、極めて多数の状況において極めて高い安全レベルを提供する、車両の駐車を安全にするためのシステム、及び車両の駐車を安全にするための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は、たとえば、駐車ブレーキの不十分な適用による、車両の偶発的な移動を予期して、たとえば、必要とされる制動レベルを低減するように、又は車両をより危険性の低い方向に案内するように、外部環境を評価するための手段と、外部環境に応じて車両のホイールを配向させるための手段とを含む、車両の駐車を安全にするためのシステムによって達成される。
【0010】
一例では、ホイールは、車道の外側へ配向させられるか、又は駐車エリアを境界付け、車両を停止させるための障害物を形成することができる要素に向かって配向させられる。
【0011】
別の例では、ホイールは、車両の停止を保証するために必要とされる制動力を低減するように配向させられる。たとえば、車道の傾斜に対して最大角度を有する方向に沿ってホイールを配向させることによってである。したがって、必要とされるよりも高い制動レベルもより容易に適用され、ブレーキ解放の危険を低減し得る。1つの代替によれば、ブレーキの寿命が延長されること、又はブレーキ・サイズが縮小されることを可能にする、ブレーキの適用レベルを適応させることが企図され得る。
【0012】
言い換えれば、車両を囲む環境が決定され、車両は、高められた安全を提供する構成に入れられる。
【0013】
したがって、本発明の1つの主題は、駐車エリアに駐車される自動車車両の駐車を安全にするためのシステムであって、前記車両が軸に沿って延び、車両が、自動車車両のステアリングを保証する少なくとも1つの車軸と、「ステアリング・ホイール」として指定される前記車軸に装備しているホイールと、ドライバーの行為なしにステアリング・ホイールの配向を変更するための手段とを含み、本システムは、
制御ユニットと、
自動車車両の駐車状態を検出するための手段と、
駐車エリアの傾斜を検出するための手段と、
車両の軸に対するステアリング・ホイールの配向を決定するための手段と、
駐車エリアを構成する要素の構成を決定するための手段、車両のための安全な障害物を形成することができない要素を除外するためのソート手段、及び除外されなかった残りの要素から、車両のための安全な障害物を形成することができる少なくとも1つの要素を選択するための手段と
を含み、
制御ユニットが、必要とされる制動レベルを低減するためにステアリング・ホイールの配向を決定し、及び/又は車両の不要な移動の場合、車両を危険が減少した構成に入れ、並びに、制御ユニットによって決定された配向に従ってステアリング・ホイールを配向させるための命令を、ドライバーの行為なしにステアリング・ホイールの配向を変更するための手段に送るための手段を含み、
制御ユニットが、車両の下流の車両の軌道が、安全な障害物として選択された前記要素と交差するように、ステアリング・ホイールを配向させるように構成された、安全にするためのシステムである。
【0014】
たとえば、駐車エリアを構成する要素の構成を決定するための手段は、少なくとも1つの物体検出センサー及び/又はカメラを含む。物体検出センサーは、たとえばレーダー及び/又はソナーを含む。
【0015】
制御ユニットは、カメラによって与えられた画像にパターン認識ソフトウェアを適用する計算器を含むことができる。
【0016】
自動車車両の駐車状態を検出するための手段は、駐車ブレーキの活動化を検出するための手段を含むことができる。車両の不要な移動は不十分な制動レベルに対応し得る。
【0017】
本発明の別の主題は、車両の配向を保証する少なくとも1つの車軸と、ドライバーの行為なしにステアリング・ホイールの配向を変更するための手段と、先行する記述のうちの1つに記載の安全にするシステムとを含む、自動車車両である。
【0018】
本発明の別の目的は、駐車エリアに駐車される車両を安全にするための方法であって、前記車両が、車両の配向を保証する少なくとも1つの車軸と、ドライバーの行為なしにステアリング・ホイールの配向を変更するための手段とを含み、本方法は、
a)車両の駐車状態を検出するステップと、
b)駐車エリアの傾斜を検出するステップと、
c)駐車エリアを構成する要素の構成を決定するステップと、
d)車両のための安全な障害物を形成することができない要素を除外するために、駐車エリアを構成する要素をソートするステップと、
e)除外されなかった残りの要素から、車両のための障害物を形成することができる少なくとも1つの要素を選択するステップと、
f)必要とされる制動レベルの減少を保証し、及び/又は車両の下流の車両の軌道が、障害物として選択された前記要素と交差することを保証する、ステアリング・ホイールの配向を決定するステップと、
g)ステップf)において決定された配向に従ってステアリング・ホイールを配向させるための命令を、ドライバーの行為なしにステアリング・ホイールの配向を変更するための手段に対して生成するステップと
を含む、安全にするための方法である。
【0019】
ステップf)は、傾斜とステアリング・ホイールの配向との間に形成された角度を比較し、傾斜とステアリング・ホイールの配向との間の最大角度に達するために必要とされる移動角度を決定することができる。
【0020】
駐車エリアが、一方の側が車線によって、別の側が通行禁止エリアによって境界付けられている場合、ステップe)中に、要素が選択されない場合、ステップf)中に、車両の下流の車両の軌道が通行禁止レーンに配向させられるようにステアリング・ホイールを配向させるための命令が、ドライバーの行為なしにステアリング・ホイールの配向を変更するための手段に対して生成され得る。
【0021】
安全にする方法はまた、車両の下流のみの駐車エリアの要素を決定するステップc)中に、傾斜に対する前記車両の配向を決定するステップを含むことができる。
【0022】
有利には、ステップa)中に、駐車ブレーキの活動化が検出される。
【0023】
本発明は、以下の説明及び添付の図面に基づいてより良く理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】駐車エリアに駐車される自動車車両の側面から見た概略図である。
図2A】非安全構成における図1の車両の上面から見た概略図である。
図2B】本発明による安全構成における図1の車両の上面から見た概略図である。
図3】本発明による、安全にするシステムの例示的な実装形態のフローチャートである。
図4】別の例による、駐車エリアに駐車される自動車車両の上面から見た概略図である。
図5】本発明による、安全にするシステムの別の例示的な実装形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1及び図2A図2Bにおいて、それぞれ坂道4に駐車された自動車車両2の側面及び上面から見た概略図が見られ得る。
【0026】
この例では、車両2は前車軸6と後車軸8とを含む。各前車軸及び後車軸は、それぞれ2つのホイール10、12を含む。車両は軸Xに沿って延びる。
【0027】
この例では、前車軸6が車両のステアリングを保証する、すなわち、少なくとも前車軸ホイールの配向が車両ステアリングを制御するために使用されると考えられる。車軸6のホイールは「ステアリング・ホイール」として指定される。
【0028】
前車軸6のホイールは、ハンドホイール14に対するドライバーの行為によって、又は、電気モーター16など、アクチュエータによって配向させられ得る。
【0029】
車両は各ホイールにブレーキを含む。たとえば、前車軸のホイール上には、ディスク・ブレーキがあり、後車軸のホイール上には、ドラム・ブレーキがある。ブレーキは、ブレーキ・ペダルに対するドライバーの行為によって活動化され得る。
【0030】
車両は駐車ブレーキ・システムを含む。駐車ブレーキ・システムは、ブレーキ・ペダルに対する行為なしに一時的に、ブレーキ適用を保持することを保証するための手段、少なくとも後車軸8のブレーキを含む。駐車ブレーキ機能は、乗員室中に位置するブレーキ・レバーを引き、同じく乗員室中に位置するボタンを押すことによって後方ブレーキを適用させるか、又はブレーキ上に位置するモーター若しくはケーブルに引く力を加えるモーターかのいずれかによって、後輪に装備しているブレーキに接続されたケーブルに引きを加えることによって活動化され得る。
【0031】
車両はまた、駐車状態において車両を安全にするためのシステムSを含む。安全にするシステムは、車両が駐車される駐車エリアZの環境の構成を決定するための手段を含む。
【0032】
安全にするシステムの目的は、自動車車両の駐車安全を最大にすることである。
【0033】
第1の実施例によれば、安全にするシステムSは、制御ユニットUCと、たとえば傾斜センサー又はチルト・センサーによってエリアZの傾斜及び場合によってはこの傾斜の値が決定されることを可能にするための手段18とを含む。有利には、手段18は、一般的に自動車車両に装備している他のシステムによって使用されるセンサー及び/又はデバイス、典型的には軌道制御システムの傾斜センサー、たとえばESP(登録商標)(電子安定性制御:Electronic Stability Control)及び/又は適応走行制御のカメラを実装する。
【0034】
安全にするシステムはまた、車両の軸に対するステアリング・ホイールの配向を決定するための手段、エリアZをマッピングするための手段20を含む。安全にするシステムSはまた、有利には、この傾斜に対する車両の配向、すなわち車両の前が傾斜の下流にあるのか又は上流にあるのかを決定するための手段を含む。
【0035】
手段20を用いて、車両の環境を形成する要素を検出することが試みられる。
【0036】
これらの要素のうちのいくつかは、車両のための障害物を形成する可能性があり、ブレーキ行為によって保証される駐車ブレーキ機能が不十分である場合、車両は障害物に対して接触して停止させられる可能性がある。
【0037】
たとえば、手段20は、エリアZを構成し、車両を囲む要素を検出及び/又は閲覧することができるセンサー22を含む。たとえば、センサーは、1つ又は複数の電磁波レーダーと、超音波を実装する1つ又は複数のソナーと、1つ又は複数のカメラとを含む。
【0038】
これらのセンサー22は、たとえば駐車支援又は速度制御などのために使用される、たとえばリア・ビュー・レーダー又はリア・ビュー・カメラ機能を実行するために、すでに車両に装備していることがある。
【0039】
駐車を安全にするシステムは、既存のセンサーの全部又は一部を使用する。代替的に、駐車を安全にするシステムはいくつかの専用センサーを含み、他の機能のために実装されるセンサーを使用する。
【0040】
このセンサー共有は、一般に安全にするシステムを使用する前に駐車支援が使用されるので適用可能である。
【0041】
環境のマッピングされた要素は、1つ又は複数の道路縁石28、1つ又は複数の障壁30、1つ又は複数の木32、1つ又は複数の街灯、1つ又は複数の交通標識、周囲に駐車された1つ又は複数の車両34、車線36、通行禁止レーン37などであり得るがこれらには限定されない。
【0042】
異なるセンサーによって測定された信号は、これらの信号を処理し、エリアの「画像」を確立することができる計算器を含む制御ユニットに送信される。
【0043】
たとえば、レーダー又はソナーは、障害物の存在と、車両からのそれらの距離とを検出する。カメラはこれらの障害物の画像を収集する。パターン認識ソフトウェアが、有利には、それがどの物体であるかを決定するために実装される。たとえば、制御ユニットは、車道中に又は車道の周りに位置する可能性が最も高い物体のパターンのデータベースを含む。有利には、パターン認識はファジー論理を使用する。
【0044】
制御ユニットは、有利には、それぞれが環境タイプに関連する、いくつかのデータベースを含む。たとえば、車両に装備しているナビゲーション・システムの全地球測位システム(GPS:Global Positioning System)の座標(すなわちGPS座標)によって決定された車両位置のデータから、制御ユニットは、車両が都市に駐車されているのか又は田園地帯に駐車されているのか、たとえば田園地帯の場合、それが窪地エリアであるのか山岳エリアであるのかを決定することができる。極めて有利には、制御ユニットはまた、それ自体の結論を他の方法で撮影されたエリアの写真に相関させるために、「Google Map(登録商標)」又はその他など、インターネット上でアクセス可能なデータベースへのアクセスを有することができる。
【0045】
制御ユニットは、有利には、車両が駐車されるときのホイール配向を規定する、駐車に適用される地域法を掲載するデータベースを含み、これは、たとえばカナダ及びアメリカ合衆国のいくつかの州においてそうである。
【0046】
さらに、制御ユニットは、環境を形成するどの要素が、車両を停止することができる支点又は障害物を形成する可能性があるかを決定することができる。たとえば、要素をソートするためにいくつかの条件が計算器に入力され得る。
【0047】
非限定的で非網羅的な例として、条件は以下であり得る。
- 要素サイズ、たとえば、地面に固定されていない発育不良の木、又は廃棄物容器は潜在的障害物から除外される。
- 車両からの要素の距離。
- 要素の耐久性。たとえば、要素が駐車されている車両である場合、車両は、移動される可能性が高く、したがって耐久性障害物を形成する可能性が高くないので、計算器はこの要素を潜在的障害物として除外し得る。
【0048】
さらに、1つ又は複数の潜在的障害物が識別された後、計算器は、障害物を区別するために1つ又は複数のソート動作を行うことができる。たとえば、計算器は、車両を停止するために最高の安全を提供する1つ又は複数のものを選定することができ、たとえば道路縁石は安全障壁よりも好ましいことがある。
【0049】
計算器はまた、車両への損傷のリスクを考慮に入れつつ、たとえば障害物形成要素と接触する可能性がある車両の部分を考慮に入れて、同等の安全レベルを提供する障害物にフィルタを適用することができる。たとえば、計算器は、バンパーのための当接物を形成し、それに衝突する可能性がある1つ又は複数のスタッドよりも、タイヤのための当接物を形成する道路縁石を選好し得る。
【0050】
次に、図3のフローチャートを使用して、本発明による安全にするシステムの例示的な実装形態について説明する。
【0051】
ドライバーは、たとえば駐車支援を使用して、エリアZに彼/彼女の車両を駐車している。たとえば、エリアZは傾斜している。
【0052】
第1のステップ100中、ドライバー又は車両は、ブレーキ・レバーを引くか、又はボタンを押すか、又は何らかの他の手段を作動させることによって、駐車ブレーキ機能を活動化する。少なくとも後車軸のホイールのブレーキが適用され、車両の停止を保証する。ステアリング・ホイールは典型的には軸Xに平行である(図2A)。
【0053】
ステップ200において、制御ユニットUCは、たとえば、ブレーキ・レバー上のセンサーによって、駐車ブレーキ機能の活動化を検出し、次いで環境決定プロセスをトリガする。制御ユニットは、車両が長時間駐車されることを「知っている」。制御ユニットUCはまた、又は代替的に、イグニッションがオフに切り替えられたかどうか、及び/又はドアがロックされたかどうか、及び/又は、一般に少なくともドライバーのシートに装備している存在センサーによって、ドライバーがもはや彼/彼女のシートにいないかどうかを検出することができる。
【0054】
ステップ300中、好ましくは、それは、エリアZが傾斜しているかどうか、場合によっては傾斜センサー又はインクリノメータによるエリアZの傾斜の値、及び有利には、傾斜に対する車両の配向を決定する。たとえば、車両の軸が傾斜と整合している場合、それは、ブレーキ解放の場合、車両が後方に移動するのか又は前方に移動するのかを決定する。制御ユニットは、したがって、有利には、車両に対して障害物を形成する可能性がある要素が車両のどちら側に検出されるべきかを決定している。傾斜の決定は、車両が停止させられたとき又は車両が停止する前に行われる。
【0055】
ステップ400中、制御ユニットは、エリアを構成する要素に関する情報を収集するために、レーダー、ソナー、リア・ビュー・カメラなど、上記に記載した異なる手段を活動化する。好ましくは、これらは、障害物が探索される側、すなわち車両の下流側の車両に配置された手段のみである。このようにしてセンサーを選択することによって、このステップのための電力消費が低減される。代替的に、収集は、車両を駐車するときに実行される。
【0056】
ステップ500中、異なる収集手段によって収集されたデータは計算器に送信され、計算器は、データを処理し、要素の性質と車両に対する要素のロケーションとを決定するためにデータを一緒にまとめ、それにより車両環境の知識を取得する。
【0057】
ステップ600中、計算器は、車両のための障害物を形成することができる可能な要素を選択する。このために計算器は、上記で説明したように、たとえば近接度、ロバストネス、危険性条件を適用することによって、1つ又は複数のフィルタFiを適用することができる。このステップの最後に、ブレーキが解放されるようになった場合、又は制動力が不十分であった場合、要素は、車両のための安全な障害物を形成することができるものとして識別される。傾斜値及び車両タイプ、たとえばそれの質量が、要素を選択するために考慮に入れられ得る。
【0058】
たとえば、ポール、十分に高い舗装は安全な障害物と考えられ得る。たとえば、地面の標示、影、やぶ、駐車エリアの周りに位置する人、移動する障壁又は車などの移動する障害物は、安全な障害物を形成すると考えられ得ない。しかしながら、たとえば、車両の存在がその後検査されるという条件で、車両は許容できる障害物と考えられ得ると説明される。
【0059】
ステップ700中、制御ユニットは、ブレーキが解放された場合、車両移動が、車両が障害物として指定された要素に向けられるようなものであるように、たとえばハンドホイールを回転することによって、ステアリング・ホイールを配向させる命令を電気アクチュエータに送る。したがって、ブレーキの作動が不十分である場合、車両は急に停止させられ、それの考えられる乗員及び/又は車両の周りの人、たとえば歩行者及び運転者の安全が保証される。
【0060】
たとえば、障害物として選定された要素が、車両の前方を向いている車両の左側に沿って延びる道路縁石である場合、ステアリング・ホイールは、反時計方向に、ある角度θだけ回転される(図2B)。
【0061】
障害物として選定された要素が、車両の下流に位置する壁である場合、ステアリング・ホイールは回転されない。
【0062】
ステップ300とステップ400とは逆にされ得る。ステップ400の前にステップ300を実行することによって、制御ユニットは、車両が平坦な面又は極めて小さい傾斜エリアにある場合、他のステップを実行しないことを決定することができる。さらに、傾斜に対する車両の配向を決定することによって、収集されるべき及び処理されるべきデータの量が低減され得る。
【0063】
ステップ500とステップ600とは同時に又は連続的に行われ得る。たとえば、要素の各識別において、計算器は、要素を潜在的障害物として、又は障害物を形成することができない要素として分類する。別の例によれば、計算器は、道路縁石、木、スタッドなど、すべての要素を識別し、次いで、それらが障害物を形成することができるか否かに応じて要素をソートする。
【0064】
上記で説明した例では、車両のステアリング・ホイールは、車両が障害物にもたれ、停止されるように配向させられる。
【0065】
別の例では、たとえば、安全な障害物を形成することができる要素が検出されない場合、制御ユニットは、ステアリング・ホイールを交通エリアの外側に配向させるための命令を送り、それにより、制動適用レベルが不十分である場合、車両は車線に入らない。別の例では、安全な障害物を形成することができる要素が検出された場合でも、制御ユニットは、この構成が最も安全であると考えるので、制御ユニットは、ステアリング・ホイールを交通エリアの外側に配向させるための命令を送ることを決定することができる。
【0066】
別の例では、安全な障害物を形成することができる要素が検出されない場合、駐車された車両が可能な障害物を形成することが決定され得る。この場合、車両の存在を定期的に検査することが企図され得る。車両がもはや駐車されない場合、又は先の車両に代わった車両が非常に小さい場合、制御ユニットは、別の潜在的障害物を選定することを決定することができる。
【0067】
図4では、車両が駐車されるエリアZの別の構成が見られ得る。矢印Fは傾斜方向を示す。
【0068】
車線36は、傾斜方向において車両の右側に位置し、車両の左側の部分38は、舗装なしの歩行者レーンであり、車線と同じ平面内にある。傾斜方向における車両の前側には中央縁石40がある。この構成では、制御ユニットは、ステアリング・ホイールを、車両のための可能な障害物を形成するために中央縁石40に向かって配向させ、歩行者レーン38に向かっては配向させないことを決定することができ、このレーン上を移動している歩行者を傷つける危険を低減する。
【0069】
第2の実施例では、安全にするシステムは、制御ユニットUCと、エリアZが傾斜しているかどうか、及び場合によっては傾斜値を決定するための手段22と、この傾斜に対する車両の配向を決定するための手段と、車両軸に対するステアリング・ホイールの配向を決定するための手段と、ドライバーの行為なしにステアリング・ホイールの配向を変更するための手段とを含む。
【0070】
第1の実施例において実装される検出手段は第2の実施例のために適用可能であり、繰り返さない。
【0071】
第1の実施例のステップ100、200及び300も第2の実施例に適用可能である。
【0072】
ステップ300の後、制御ユニットは、駐車ブレーキ機能を与えるためにブレーキに適用されるべき制動力を低減するステアリング・ホイールの配向を決定し、有利には、駐車ブレーキ機能を与えるために適用されるべき制動力をできる限り低減する。このために、傾斜及び車両の配向の知識から、それは、ステアリング・ホイールに適用されるべきステアリング角を決定することができる。
【0073】
好ましくは、ステップ300に続くステップ中に、制御ユニットは、ステアリング・ホイールが傾斜に対して最大角度を形成するようにステアリング・ホイールを配向させるための命令をアクチュエータに送る。「最大角度」とは、ステアリング・ホイールの可能なステアリング角度による最大の到達可能な角度を意味する。
【0074】
本発明によって、たとえば、駐車状況において必要とされる制動適用レベルが低減されるので、ブレーキ・サイズを縮小することが企図され得る。
【0075】
有利には、制御ユニットは、軌道制御機能を管理する制動システムの制御ユニット、たとえばアンチロック制動システム(ABS:anti-lock braking system)、ESPシステム、駆動輪空転防止装置(ASR:anti-slip regulation)である。
【0076】
第1及び第2の実施例は互いに組み合わせられ得る。実際、たとえば、同じ安全レベルを与える障害物を形成することができる両方の要素が検出された場合、制御ユニットは、必要とされる制動レベルを低減する、傾斜に対するステアリング・ホイールの配向に応じて、要素のうちの1つを選定することができる。
【0077】
たとえば、制御ユニットが車両の前に下流壁を検出し、傾斜方向における車両の左側に道路縁石を検出した場合、ステアリング・ホイールの配向は傾斜に対して角度を形成し、ステアリング・ホイールが傾斜と整合している構成に対して必要とされる制動力を部分的に低減するので、制御ユニットは道路縁石を選好する。
【0078】
次に、図5のフローチャートを使用して、本発明による安全にするシステムの別の例示的な実装形態について説明する。
【0079】
ドライバーは、たとえば駐車支援を使用して、エリアZに彼/彼女の車両を駐車している。たとえば、エリアZは傾斜している。
【0080】
第1のステップ1000中、ドライバー又は車両は、ブレーキ・レバーを引くか、又はボタンを押すか、又は何らかの他の手段を作動させることによって、駐車ブレーキ機能を活動化する。この手段によって、後車軸のホイールのブレーキが適用され、車両の停止を保証する。ステアリング・ホイールは典型的には軸Xに平行である(図2A)。
【0081】
ステップ2000において、制御ユニットUCは、たとえば、ブレーキ・レバー上のセンサーによって、駐車ブレーキ機能の活動化を検出し、それによって環境決定プロセスをトリガする。制御ユニットは、車両が長時間駐車されることを「知っている」。制御ユニットUCはまた、又は代替的に、イグニッションがオフに切り替えられたかどうか、及び/又はドアがロックされたかどうか、及び/又は、一般に少なくともドライバーのシートに装備している存在センサーによって、ドライバーがもはやドライバーのシートにいないかを検出することができる。
【0082】
ステップ3000中、好ましくは、それは、エリアZが傾斜しているかどうか、場合によっては傾斜センサー又はインクリノメータによるエリアZの傾斜の値、及び有利には、傾斜に対する車両の配向を決定する。たとえば、車両の軸が傾斜と整合している場合、それは、ブレーキ解放の場合、車両が後方に移動するのか又は前方に移動するのかを決定する。制御ユニットは、したがって、有利には、車両に対して障害物を形成する可能性がある要素が車両のどちら側に検出されるべきかを決定している。傾斜の決定は、車両が停止されたとき又は車両が停止する前に行われる。
【0083】
ステップ4000中、制御ユニットは、エリアを構成する要素に関する情報を収集するために、レーダー、ソナー、リア・ビュー・カメラなど、上記に記載した異なる手段を活動化する。好ましくは、これらは、障害物が探索される側、すなわち車両の下流側の車両に配置された手段のみである。このようにしてセンサーを選択することによって、このステップのための電力消費が低減される。代替的に、収集は、車両を駐車するときに実行される。
【0084】
ステップ5000中、異なる収集手段によって収集されたデータは計算器に送信され、計算器は、一方、要素の性質と車両に対する要素のロケーションとを決定し、それにより車両環境の知識を取得するために、データを処理し、それらを一緒にまとめる。
【0085】
ステップ6000中、計算器は、車両のための安全な障害物を形成することができる可能な固定された要素を、環境の異なる要素から選択する。このために計算器は、たとえば、近接度、ロバストネス、危険性条件などを適用することによって、上記で説明したような、1つ又は複数のフィルタFiを適用することができる。このステップの最後に、ブレーキが解放されるようになった場合、固定された要素は、車両のための障害物を形成することができるものとして識別される。傾斜値及び車両タイプ、たとえばそれの質量が、要素を選択するために考慮に入れられ得る。
【0086】
たとえば、ポール、十分に高い舗装は、たとえば、安全な固定された障害物と考えられ得る。たとえば、地面の標示、影、やぶ、駐車エリアの周りに位置する人、移動する障壁又は車などの移動する障害物は、安全な固定された障害物を形成することができるとは考えられない。
【0087】
ステップ6000において固定された障害物が識別された場合、ステップ7000中、制御ユニットは、ブレーキが解放された場合、車両移動が、車両が安全な障害物として決定された要素に向けられるようなものであるように、たとえばハンドホイールを回転することによって、ステアリング・ホイールを配向させる命令を電気アクチュエータに送る。したがって、ブレーキの作動が不十分である場合、車両は急に停止させられ、それの考えられる乗員及び車両の周りの人、たとえば歩行者及び運転者の安全が保証される。
【0088】
たとえば、安全な障害物として選定された要素が、車両の前方を向いている車両の左側に沿って延びる道路縁石である場合、ステアリング・ホイールは、反時計方向に、ある角度θだけ回転される(図2B)。
【0089】
安全な障害物として選定された要素が、車両の下流に位置する壁である場合、ステアリング・ホイールは回転されない。
【0090】
安全な固定された障害物が識別されない場合、ステップ8000において、制御ユニットは、移動される可能性がある安全な障害物、たとえば静止した車両を分析する。そのような安全な障害物が識別された場合、ホイールは、ブレーキの解放の場合、車両がこの障害物に向けられるように配向させられる(ステップ9000)。極めて有利には、この障害物の持続を監視するステップ10000は、たとえば、安全な障害物と考えられた車両が離れた場合、たとえば、状況を分析し、必要な場合、ホイール配向を変更するための異なるシステムを定期的に再活動化することによって行われる。
【0091】
安全な障害物が識別されない場合又は安全な障害物がもはや存在しない場合、制御ユニットは、たとえばホイールを最大まで回転することによって、必要とされる制動レベルを低減するようにホイールを配向させる命令を送る(ステップ11000)。
【0092】
極めて有利には、制御ユニットによって与えられる命令は、駐車エリアの規制、たとえば、いくつかの国又は州ではホイールを車道の外側にステアリングする義務を考慮に入れる。好ましくは、制御ユニットは、少なくとも、法律に従っているホイール配向を選好する。
【0093】
立法データベースは、有利には、適用可能な法律を決定するために、車両が位置する場所(国又は州)を検出するためにGPSと結合される。
【0094】
ステップ3000とステップ4000とは逆にされ得る。ステップ4000の前にステップ3000を実行することによって、制御ユニットは、車両が平坦な面又は極めて小さい傾斜エリアにある場合、他のステップを実行しないこと、又は次いでステップ11000を直接適用することを決定することができる。さらに、傾斜に対する車両の配向を決定することによって、収集され、処理されるべきデータの量が低減され得る。
【0095】
ステップ5000とステップ6000とは同時に又は連続的に行われ得る。たとえば、要素の各識別において、計算器は、要素を潜在的障害物、又は障害物を形成することができない要素のいずれかとして分類する。別の例によれば、計算器は、道路縁石、木、スタッドなど、すべての要素を識別し、次いで、それらが障害物を形成することができるか否かに応じて要素をソートする。
【0096】
適用されるのがステップ11000(必要とされる制動レベルを低減するためのホイールの配向)である場合、安全な障害物が所定の位置に置かれるかどうか、たとえば傾斜方向において車両の下流に駐車するために来る車両を検出するために環境の監視を実行することが企図可能である。そのような安全な障害物が現れた場合、ホイールの配向は変更され得る。本発明は、車両をステアリングすることができる2つの車軸及び/又は3つ以上の車軸を含む車両にも適用可能であり、配向変更は1つ又は複数の車軸に適用可能であることが理解されよう。
【0097】
上記の例では、車両を安全にする前の駐車ブレーキの活動化について説明した。別の例によれば、たとえば、車両が水平な駐車エリアにあり、ドライバーが駐車ブレーキを活動化する必要があると考えていないので、この活動化は行われないことがある。安全にするシステムは、しかしながら、予防手段として活動化され得る。たとえば、車両を安全にする前に、システムは、車両が駐車されるか否かを決定するためにいくつかの情報を比較することができる。たとえば、イグニッションがオフに切り替えられ、及び/又はドアがロックされ、及び/又はドライバーがもはや彼/彼女のシートにいないが、とはいえ駐車ブレーキが活動化されていないことをシステムが検出した場合、システムは、車両が駐車状態にあると決定し、安全にするプロシージャを開始することができる。
【0098】
安全にするシステムは、ドライバーが、安全にするシステムによって決定されたものとは異なり得る、彼/彼女が最も安全であると考える方向に車両のホイールを配向させることが可能であるように、彼/彼女によって非活動化され得る。
【符号の説明】
【0099】
2 自動車車両
4 傾斜した車道
6 前車軸
8 後車軸
10 前輪
12 後輪
14 ハンドホイール
16 電気モーター
18 傾斜の方向及び向きを決定するための手段
20 駐車エリアの構成を決定するための手段
22 検出及び/又は閲覧センサー
28 道路縁石
30 障壁
32 木
34 車両
36 車線
37 非車線
38 歩行者レーン
40 中央縁石
F 傾斜方向
S 安全にするシステム
X 自動車車両の軸
Z 駐車エリア
UC 制御ユニット
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5