(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】シリコーンポリマーおよびそれを含む組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 83/14 20060101AFI20241128BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20241128BHJP
C08K 3/22 20060101ALI20241128BHJP
C08K 3/38 20060101ALI20241128BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20241128BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20241128BHJP
A61K 8/26 20060101ALI20241128BHJP
A61K 8/89 20060101ALI20241128BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20241128BHJP
C09D 11/102 20140101ALI20241128BHJP
C09K 5/06 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
C08L83/14
C08K3/013
C08K3/22
C08K3/38
A61K8/02
A61K8/19
A61K8/26
A61K8/89
A61Q19/00
C09D11/102
C09K5/06
(21)【出願番号】P 2020550659
(86)(22)【出願日】2019-03-14
(86)【国際出願番号】 US2019022251
(87)【国際公開番号】W WO2019182860
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2022-01-31
(32)【優先日】2018-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508229301
【氏名又は名称】モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Momentive Performance Materials Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】アップクッタン,ヴィヌ・クリシュナン
(72)【発明者】
【氏名】ダッタ,プラナベシュ
(72)【発明者】
【氏名】ナイク,サンディープ
(72)【発明者】
【氏名】ザクセナ,アヌブハヴ
(72)【発明者】
【氏名】高梨 正則
【審査官】三宅 澄也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-118940(JP,A)
【文献】特開平02-000290(JP,A)
【文献】特開平03-217420(JP,A)
【文献】国際公開第2005/010077(WO,A1)
【文献】特開平08-005838(JP,A)
【文献】国際公開第2017/213809(WO,A1)
【文献】特開2012-082305(JP,A)
【文献】特開2017-156685(JP,A)
【文献】特表2016-534161(JP,A)
【文献】国際公開第2009/060958(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G
C09D
C09K
C08L
C08K
A61K
A61Q
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)式(I)
M
1
aM
2
bM
3
cD
1
dD
2
eD
3
fT
1
gT
2
hT
3
iQ
j.
のシリコーンポリマー、
ここで
M
1=R
1R
2R
3SiO
1/2
M
2=R
4R
5R
6SiO
1/2
M
3=R
7R
8R
9SiO
1/2
D
1=R
10R
11SiO
2/2
D
2=R
12R
13SiO
2/2
D
3=R
14R
15SiO
2/2
T
1=R
16SiO
3/2
T
2=R
17SiO
3/2
T
3=R
18SiO
3/2
Q=SiO
4/2
ここでR
1、R
2、R
3、R
5、R
6、R
8、R
9、R
10、R
11、R
13、R
15、R
16は、水素、C1-C60の脂肪族または芳香族基、またはC1-C60のアルコキシ基から独立して選択され、
R
4、R
12、R
17は、C1-C10のアルキル、C1-C10のアルコキシ、またはR
19-A-R
20-から独立して選択され、ここでAは、
【化1】
【化2】
から選択され、R
4、R
12、R
17の少なくとも一つは、R
19-A-R
20-であり、R
19は、-H、CH
2=CH-(CH
2)
l-、CH
2=CH-(CH
2)
l-O-から選択され、ここでlは0-10である、から選択され、そしてR
20は
、-O-(CH
2)
m-、または-O-C(O)-(CH
2)
m-から選択され、そしてmは2-10である、から選択され、
R
7、R
14、R
18は、水素、またはO
R
22
、または酸素、窒素、硫
黄を含むラジカル、またはオルガノシラン基を含むラジカルから独立して選択され、
ここでOR
22
はC1-C60アルコキシ基であり、そして
下付き文字a、b、c、d、e、f、g、h、i、jはゼロまたは正であって、2≦a+b+c+d+e+f+g+h+i+j≦1000、b+e+h>0およびc+f+i≧0の制限を受け、ここでシリコーンポリマー(A)は環状シロキサンではなく、
B)熱伝導性充填剤、
C)任意選択で抗酸化剤、
D)任意選択で抑制剤、
E)任意選択で揮発性希釈剤、
F)任意選択でカップリング剤、を含む組成物。
【請求項2】
R
19はCH
2=CH
2-(CH
2)
l-O-であり、そしてlは0または1である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
R
1、R
2、R
3、R
5、R
6、R
8、R
9、R
10、R
11、R
13、R
15、R
16はメチルである、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
ポリマーは約400g/モルから約100000g/モルの数平均分子量(M
n)を有する、請求項1から
3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
熱伝導性充填剤は、アルミナ、マグネシア、セリア、ハフニア、酸化ランタン、酸化ネオジム、サマリア、酸化プラセオジム、トリア、ウラニア、イットリア、酸化亜鉛、ジルコニア、酸窒化シリコンアルミニウム、ホウケイ酸ガラス、チタン酸バリウム、炭化ケイ素、シリカ、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化ジルコニウム、ホウ化ジルコニウム、二ホウ化チタン、十二ホウ化アルミニウム、バライト、硫酸バリウム、アスベスト、バライト、珪藻土、長石、石膏、ホルマイト、カオリン、雲母、霞石閃長岩、パーライト、フィロフィライト、スメクタイト、タルク、バーミキュライト、ゼオライト、カルサイト、炭酸カルシウム、ウォラストナイト、メタケイ酸カルシウム、粘土、ケイ酸アルミニウム、タルク、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、水和アルミナ、水和酸化アルミニウム、シリカ、二酸化ケイ素、二酸化チタン、ガラス繊維、ガラスフレーク、粘土、剥離粘土、または他の高アスペクト比の繊維、ロッド、またはフレーク、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、マグネシア、チタニア、炭酸カルシウム、タルク、雲母、ウォラストナイト、アルミナ、窒化アルミニウム、グラファイト、グラフェン、アルミニウム粉末、銅粉末、ブロンズ粉末、真ちゅう粉末、炭素の繊維またはウィスカ、グラファイト、炭化ケイ素、窒化ケイ素、アルミナ、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、カーボンナノチューブ、窒化ホウ素ナノシート、酸化亜鉛ナノチューブ、またはそれらの2つ以上の組み合わせから選択される、請求項1から
4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
熱伝導性充填剤は約0.01μmから約500μmの平均粒子サイズを有する、請求項
5に記載の組成物。
【請求項7】
熱伝導性充填剤は、複数の充填材料から選択される、請求項1から
6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
熱伝導性充填剤は、約0.01から約0.9μmの平均粒子サイズを有する第1の充填剤、約1μmから約10μmの平均粒子サイズを有する第2の充填剤、約15μmから約150μmの平均粒子サイズを有する第3の充填剤、および任意選択で、約100μmから約400μmの平均粒子サイズを有する第4の充填剤から選択される、請求項1から
6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
熱伝導性充填剤は、(i)第1の充填剤、および(ii)第2の充填剤を含み、ここで第1の充填剤および/または第2の充填剤のうちの少なくとも1つは、粒子サイズおよび/または形態に関して互いに異なる複数の充填剤タイプを含む、請求項1から
6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
約10体積%から約90体積%の第1の充填剤および約90体積%から約10体積%の第2の充填剤を含む、請求項
9に記載の組成物。
【請求項11】
第1および第2の充填剤は、金属酸化物充填剤および非酸化物充填剤から独立して選択される、請求項
10に記載の組成物。
【請求項12】
非酸化物充填剤は、金属ホウ化物、金属炭化物、金属窒化物、金属ケイ化物、カーボンブラック、グラファイト、膨張グラファイト、炭素繊維、またはグラファイト繊維、あるいはそれらの2つ以上の組み合わせから選択される、請求項
11に記載の組成物。
【請求項13】
複数の充填剤タイプは、独立して、約0.3ミクロンから約350ミクロンの平均粒子サイズを有し、複数の充填剤タイプは、互いに異なる平均粒子サイズを有する、請求項
10に記載の組成物。
【請求項14】
複数の充填剤タイプは、互いに異なる形態を有し、形態は、球状、板状、凝集体、球状凝集体、およびグラファイト状から選択される、請求項
10に記載の組成物。
【請求項15】
第1の充填剤は酸化アルミニウムから選択され、そして第2の充填剤は窒化ホウ素から選択される、請求項
10に記載の組成物。
【請求項16】
酸化アルミニウムは、複数の充填剤タイプを含む、請求項
15に記載の組成物。
【請求項17】
複数の充填剤タイプは、互いに異なる平均粒子サイズを有する、請求項
16に記載の組成物。
【請求項18】
複数の充填剤タイプは、互いに異なる形態を有する、請求項
16に記載の組成物。
【請求項19】
酸化アルミニウムおよび窒化ホウ素はそれぞれ複数の充填剤タイプを含む、請求項
15に記載の組成物。
【請求項20】
組成物は30℃から120℃の相変化温度を有する、請求項1から
19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
組成物は、2から18W/m.Kの範囲の熱伝導率を有する、請求項1から
20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
組成物は、200℃まで1500時間の熱安定性を有する、請求項1から
21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
サーマルグリース、接着剤、サーマルゲル、ポッティング材料、またはギャップ充填材料の形態の請求項1から
22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
物品の表面の少なくとも一部に配置された請求項1から
23のいずれか一項に記載の組成物を含む物品。
【請求項25】
物品は複数の層を含み、組成物は該層の少なくとも2つの間の表面に配置されている、請求項
24に記載の物品。
【請求項26】
物品は、電子物品、自動車物品、家庭用物品、スマートアプライアンス物品、通信物品、ヘルスケア物品、パーソナルケア物品、農産物、成形物品、組積造表面、繊維材料、在宅介護材料である、請求項
24または
25に記載の物品。
【請求項27】
物品は、発光デバイス、コンピューターデバイス、スタックダイ、携帯電話、タブレット、フリップチップパッケージ、ハイブリッドメモリキューブ、タッチスクリーン、Wi-Fiデバイス、自動車技術hifiシステム、シリコン貫通電極デバイス、およびオーディオシステム、太陽熱暖房のヒートパイプと水タンクの間の接合部中、燃料電池および風力タービン中、コンピュータチップの製造中、ゲーム機、データ転送デバイス、ライトデバイス中、電池、ハウジング中、クーラー、熱交換装置、ワイヤー、ケーブル、暖房ワイヤー、冷蔵庫、食器洗い機、エアコン、アキュムレータ、変圧器、レーザー、機能性衣類、カーシート、医療機器、防火具、電気モーター、飛行機、および列車、3D印刷材料のフィラメントとして、ドラッグデリバリーシステム、経皮パッチ、創傷治癒パッチ、創傷被覆材パッチ、瘢痕縮小用パッチ、経皮イオントフォレーシス、組織工学用支持骨格、抗菌装置、創傷管理装置、眼科用デバイス、バイオインサート、プロテーゼ、ボディインプラント、塗料、構造コーティング、組積造コーティング、または海洋コーティング、シードコーティング、スーパースプレッダーまたは徐放性肥料を含む、請求項
24から
26のいずれか一項に記載の物品。
【請求項28】
圧力下での分配またはステンシル印刷またはスクリーン印刷またはジェット印刷または3D印刷を含む、請求項
24から
27のいずれか一項に記載の物品を調製する方法。
【請求項29】
組成物が0.01mmから15cmの厚さを有する、請求項
24から
27のいずれか一項に記載の物品を調製する方法。
【請求項30】
請求項1から
23のいずれか一項に記載の組成物を含むパーソナルケア製品。
【請求項31】
制汗剤/デオドラント、シェービング製品、スキンローション、保湿剤、化粧液、バス製品、クレンジング製品、シャンプー、コンディショナー、組み合わせたシャンプー/コンディショナー、ムース、スタイリングジェル、ヘアスプレー、ヘアダイ、ヘアカラー製品、ヘアブリーチ、ウェーブ製品、ヘアストレートナー、ネイルポリッシュ、ネイルポリッシュリムーバー、ネイルクリームまたはローション、キューティクルソフトナー、日焼け止め、防虫剤、アンチエイジング製品、リップスティック、ファンデーション、フェイスパウダー、アイライナー、アイシャドウ、頬紅、メイクアップ、マスカラ、保湿製剤、ファンデーション、ボディおよびハンド用製剤、スキンケア製剤、顔および首用製剤、トニック、ドレッシング、ヘアグルーミングエイド、エアロゾル固定剤、フレグランス製剤、アフターシェーブ、メイクアップ製剤、ソフトフォーカスアプリケーション、昼夜のスキンケア製剤、無着色の毛髪用製剤、日焼け用製剤、合成および非合成の固形石鹸、ハンドリキッド、鼻パック、パーソナルケア用不織布アプリケーション、ベビーローション、ベビーシャンプー、ベビーコンディショナー、シェービング用製剤、キュウリスライス、スキンパッド、メイク落とし、洗顔料、コールドクリーム、日焼け止め製品、スプリッツァー、ペーストマスクおよびマッド、フェイスマスク、コロンおよび化粧水、ヘアキューティクルコート、シャワージェル、フェイスおよびボディウォッシュ、パーソナルケアリンスオフ製品、ジェル、フォームバス、スクラブクレンザー、収斂剤、ネイルコンディショナー、アイシャドウスティック、フェイスまたはアイ用パウダー、リップクリーム、リップグロス、ヘアケアポンプスプレー、ヘアフリズコントロールジェル、ヘアリーブインコンディショナー、ヘアポマード、毛髪もつれ解消製品、毛髪固定剤、ヘアブリーチ製品、スキンローション、プレシェーブおよびプレエレクトリックシェーブ、無水クリームおよびローション、油/水エマルジョン、水/油エマルジョン、耐水性クリームまたはローション、抗にきび製剤、マウスウォッシュ、マッサージオイル、歯磨き粉、透明なジェルまたはスティック、軟膏ベース、局所創傷治癒製品、エアロゾルタルク、バリアスプレー、ビタミンおよびアンチエイジング製剤、ハーブ抽出物製剤、バスソルト、バスおよびボディミルク、ヘアスタイリングエイド、髪・目・爪および肌用ソフト固形アプリケーション、徐放性パーソナルケア製品、ヘアコンディショニングミスト、スキンケアモイスチャライジングミスト、スキンワイプ、毛穴スキンワイプ、毛穴クリーナー、傷痕軽減剤、皮膚角質除去剤、皮膚落屑促進剤、スキンタオルまたは布、除毛剤、またはパーソナルケア潤滑剤の形の請求項
30に記載のパーソナルケア製品。
【請求項32】
a)式(I)
M
1
aM
2
bM
3
cD
1
dD
2
eD
3
fT
1
gT
2
hT
3
iQ
j.
のシリコーンポリマーを提供すること、
ここで
M
1=R
1R
2R
3SiO
1/2
M
2=R
4R
5R
6SiO
1/2
M
3=R
7R
8R
9SiO
1/2
D
1=R
10R
11SiO
2/2
D
2=R
12R
13SiO
2/2
D
3=R
14R
15SiO
2/2
T
1=R
16SiO
3/2
T
2=R
17SiO
3/2
T
3=R
18SiO
3/2
Q=SiO
4/2
ここでR
1、R
2、R
3、R
5、R
6、R
8、R
9、R
10、R
11、R
13、R
15、R
16は、水素、C1-C60の脂肪族または芳香族基、またはC1-C60のアルコキシ基から独立して選択され、
R
4、R
12、R
17は、C1-C10のアルキル、C1-C10のアルコキシ、またはR
19-A-R
20-から独立して選択され、ここでAは、
【化5】
【化6】
から選択され、R
4、R
12、R
17の少なくとも一つは、R
19-A-R
20-であり、R
19は、-H、
CH
2
=CH-(CH
2
)
l
-、CH
2
=CH-(CH
2
)
l
-O-から選択され、
ここでlは0-10であり、そしてR
20は、
-O-(CH
2
)
m
-、または-O-C(O)-(CH
2
)
m
-から選択され、そしてmは2-10である、から選択され、
R
7、R
14、R
18は、水素、またはO
R
22
、または酸素、窒素、硫
黄を含むラジカル、またはオルガノシラン基を含むラジカルから独立して選択され、
ここでOR
22
はC1-C60アルコキシ基であり、そして
下付き文字a、b、c、d、e、f、g、h、i、jはゼロまたは正であって2≦a+b+c+d+e+f+g+h+i+j≦1000、b+e+h>0およびc+f+i≧0の制限を受ける、
b)任意にて、抑制剤、抗酸化剤、カップリング剤、またはそれらの組み合わせを(a)に加えること、
c)該混合物に熱伝導充填剤を加えること、
e)任意にて、該熱充填剤を加える前または後に揮発性希釈剤を加えること、
を含む、請求項1から
23のいずれか一項に記載の組成物を調製するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広範囲の温度で熱可塑性およびエラストマー特性を示し、そしてその物理的特性と熱伝導性組成が改善された可逆的な相変化挙動を示す、不飽和環状部分を含む官能化シロキサンポリマーを含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の電子デバイスがより速く、より小さく、そしてより薄くなるにつれて、高度な熱伝導性材料の適用は、たとえば、トランジスタ、ICチップ、エンジン制御ユニット、マイクロプロセッサなどのさまざまな発熱部品のインターフェイスでますます重要になっている。このような材料は、大気に熱を放散することにより、高密度で高度に統合された電子デバイスがスムーズに動作することを可能にする。電子部品から熱を効果的に放散するために、様々な熱伝導性シリコーン組成物が長年にわたって使用されてきた。これらの熱伝導性シリコーン組成物のほとんどは、バインダーとしてのオルガノポリシロキサンと熱伝導性無機充填剤で構成されている。
【0003】
より良い熱性能のために、サーマルグリースは、高熱伝導率用途のために広く使用されている。電力の出力が増加すると、サーマルグリースは極端な熱サイクルにさらされ、サーマルインターフェイス材料(TIM)が乾燥したり、インターフェイスからTIMがポンプアウトしたりして、熱管理が弱まることにつながる。この問題に対処するために、最近、軟質熱可塑性ワックスに基づく相変化サーマルインターフェイス材料が検討されている。有機系材料はそのような用途で広く使用されているが、熱安定性が低いために制限されている。したがって、低融点の熱安定性軟質ワックス状材料が必要とされている。シリコーンポリマーは、より高い熱安定性を有することが知られているが、一般にエラストマー特性を有する。
【0004】
シリコーン熱可塑性組成物を作製するための1つの一般的な方法は、シロキサンポリマーを熱可塑性ポリマーと配合することによるか、または充填剤を使用することによる。ただし、このような技術では、乏しい保管安定性および相分離の問題を有することになり得る。固体シリコーンを製造するために使用される他の技術は、第3級(T)および第4級(Q)シリコーン基を組み込むことによる、または架橋によるシリコーン樹脂によるものであるが、この技術は熱硬化性となることになる。どちらの方法も、一般的に、後処理および適用の方法における問題により損なわれる。軟質熱可塑性シリコーンは、シリコーンの単純な有機修飾または共重合によって製造し得た。米国特許公開公報第2003/0096919号、米国特許第4,725,658号、米国特許第7,579,425号は、軟質熱可塑性シリコーンを製造するための、脂肪酸、1-オレフィンの形態の長鎖炭化水素のシリコーン鎖への組み込みを記載している。CN201410102937および米国特許公開公報第2008/0302064号は、長鎖脂肪族パラフィンワックス、脂肪族炭化水素を有するシリコーンコポリマー、およびポリオレフィンを使用する相変化シリコーン組成物のコンセプトを示している。
【発明の概要】
【0005】
熱伝導率が改善されたオルガノシロキサンコポリマー組成物が提供される。組成物は、より低い充填剤の充填にて改善された熱伝導率を提供する。熱伝導性組成物を作製する方法が開示される。
【0006】
特に、組成物中に存在する官能化シロキサンポリマーには、シリコーンポリマーまたは樹脂にアリーレンエーテルをグラフトして、ポリマーマトリックスに結晶セグメントを付与することが含まれる。アリーレンエーテル基は、シロキサン鎖のペンダントまたは鎖/マトリックスの末端に配置され得る。ポリマーは、硬化性または非硬化性であり得、そしてシロキサン主鎖への末端またはペンダントに反応性/硬化性基を含み得る。
【0007】
本発明の一形態では、官能化シロキサンポリマーは、改善された熱伝導率を示す。ポリマーは、熱充填剤と組み合わせたときの熱伝導性組成物の製造での使用を見出し得る。組成物は、ポリマーから形成された材料の後硬化特性が著しく影響されないように、大量の熱充填剤を組み込むことなく、増強された熱伝導率を示し得る。
【0008】
本発明の一態様では、官能化シロキサンポリマー組成物は、相変化特性を有し、そして広範囲の温度にわたって可逆的な熱可塑性エラストマー特性を示す。
【0009】
本発明の一態様では、相変化熱伝導性組成物として提供され、ここで相変化特性は、広範囲の温度にわたる官能化シロキサンポリマーの可逆的な熱可塑性エラストマー特性によって提供される。組成物の相変化の性質は、例えば、ポリマーの分子量、様々なシロキサン単位(すなわち、M、D、T、およびQ単位)の比、アリーレンエーテル基の濃度などを含むポリマーの態様を制御することによって調整することができる。
一態様では、
(A)式(I)
M1
aM2
bM3
cD1
dD2
eD3
fT1
gT2
hT3
iQj
のシリコーンポリマー、
ここで
M1=R1R2R3SiO1/2
M2=R4R5R6SiO1/2
M3=R7R8R9SiO1/2
D1=R10R11SiO2/2
D2=R12R13SiO2/2
D3=R14R15SiO2/2
T1=R16SiO3/2
T2=R17SiO3/2
T3=R18SiO3/2
Q=SiO4/2
ここでR1、R2、R3、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13、R15、R16は、水素、C1-C60脂肪族または芳香族基、またはC1-C60アルコキシ基から独立して選択され、
R4、R12、R17は、C1-C10アルキル、C1-C10アルコキシ、またはR19-A-R20-から独立して選択され、ここでAは、芳香族基、官能化芳香族基、縮合芳香族基であってヘテロ原子を任意に含むもの、不飽和脂環式基、不飽和複素環基、またはそれらの2つ以上の組み合わせから選択される不飽和環状部分を含む基から選択され、R19は、-H、C1-C10アルキルまたはアリルまたはアリールまたはビニルであって任意にヘテロ原子を含むもの、アクリレート、またはメタクリレートから選択され、そしてR20は二価の有機基から選択され、
R7、R14、R18は、水素またはOR22または不飽和一価ラジカルまたは酸素、窒素、硫黄などのヘテロ原子を含むラジカルまたはオルガノシラン基を含むラジカルから独立して選択され、そして下付き文字a、b、c、d、e、f、g、h、i、jはゼロまたは正であって2≦a+b+c+d+e+f+g+h+i+j≦1000、b+e+h>0およびc+f+i≧0の制限を受ける、
B)熱伝導性充填剤、
C)任意選択で抗酸化剤、
D)任意選択で抑制剤、
E)任意選択で揮発性希釈剤、
F)任意選択でカップリング剤、を含む組成物が提供される。
【0010】
一実施形態では、Aは、式-A1-R21-A2-の基から選択され、ここでA1およびA2は、C6からC12のアリール基、C12-C36の縮合芳香環基、C5-C36の不飽和脂環式基、およびC5-C36の不飽和複素環式基から独立して選択され、そしてR21は、直接結合、-(CH2)n-、-C(CH3)2-、-O-、-S-、-S(O)2-、-C(O)-、C(O)-NH-、-NH-C(O)-NH-、C(O)-O-、-CH=N-、または-CH=N-N=CH-から選択され、ここでnは1-10である。
【0011】
一実施形態では、Aは、
【化1】
から独立して選択される。
【0012】
一実施形態では、R
4、R
12およびR
17におけるAは、
【化2】
である。
【0013】
一実施形態では、R19はCH2=CH2-(CH2)l-O-であり、そしてlは0または1である。
【0014】
一実施形態では、R1、R2、R3、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13、R15、R16はメチルである。
【0015】
一実施形態では、R
4、R
12およびR
17におけるAは、
【化3】
である。
【0016】
一実施形態では、R19は、-H、CH2=CH2-(CH2)l-、CH2=CH2-(CH2)l-O-から選択され、ここでlは0-10であり、そしてR20は、C2-C10二価アルキル基、-O-(CH2)m-、または-O-C(O)-(CH2)m-から選択され、ここでmは2-10である。
【0017】
前述の実施形態による一実施形態では、A含有基はシロキサン鎖にペンダントである。
【0018】
一実施形態では、本発明における不飽和一価ラジカルは、式(I)から(V)の群から選択することができる:
【化4】
ここでR
23、R
28、R
31、R
32、R
35、R
36、R
42は、-H、-OH、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、および脂肪族/芳香族一価炭化水素であって1から60個の炭素原子を有するものから独立して選択され、R
22、R
24、R
25、R
26、R
27、R
29、R
30、R
33、R
34、R
37、R
38、R
39、R
40、R
41、R
43、R
44、R
45、R
46は、水素または脂肪族/芳香族一価炭化水素であって1から60個の炭素原子を含むものから独立して選択され、下付き文字nはゼロまたは正の整数であって0から6の範囲の値を有し、下付き文字oは正の整数であって1から6の範囲の値を有する。
【0019】
前述の実施形態のいずれかの組成物の一実施形態では、ポリマーは、約400g/モルから約100000g/モルの数平均分子量(Mn)を有する。
【0020】
前述の実施形態のいずれかによる組成物の一実施形態では、充填剤は、アルミナ、マグネシア、セリア、ハフニア、酸化ランタン、酸化ネオジム、サマリア、酸化プラセオジム、トリア、ウラニア、イットリア、酸化亜鉛、ジルコニア、酸窒化シリコンアルミニウム、ホウケイ酸ガラス、チタン酸バリウム、炭化ケイ素、シリカ、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化ジルコニウム、ホウ化ジルコニウム、二ホウ化チタン、十二ホウ化アルミニウム、バライト、硫酸バリウム、アスベスト、バライト、珪藻土、長石、石膏、ホルマイト、カオリン、雲母、霞石閃長岩、パーライト、フィロフィライト、スメクタイト、タルク、バーミキュライト、ゼオライト、カルサイト、炭酸カルシウム、ウォラストナイト、メタケイ酸カルシウム、粘土、ケイ酸アルミニウム、タルク、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、水和アルミナ、水和酸化アルミニウム、シリカ、二酸化ケイ素、二酸化チタン、ガラス繊維、ガラスフレーク、粘土、剥離粘土、またはその他の高アスペクト比の繊維、ロッド、またはフレーク、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、マグネシア、チタニア、炭酸カルシウム、タルク、雲母、ウォラストナイト、アルミナ、窒化アルミニウム、グラファイト、グラフェン、アルミニウム粉末、銅粉末、ブロンズ粉末、真ちゅう粉末、炭素の繊維またはウィスカ、グラファイト、炭化ケイ素、窒化ケイ素、アルミナ、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、カーボンナノチューブ、窒化ホウ素ナノシート、酸化亜鉛ナノチューブ、またはそれらの2つ以上の組み合わせから選択される。
【0021】
前述の実施形態のいずれかによる組成物の一実施形態では、充填材料は、約0.01μmから約500μmの平均粒子サイズを有する。
【0022】
前述の実施形態のいずれかによる組成物の一実施形態では、充填材料は、複数の充填材料から選択される。
【0023】
前述の実施形態のいずれかによる組成物の一実施形態では、充填材料は、約0.01から約0.9μmの平均粒子サイズを有する第1の充填剤、約1μmから約10μmの平均粒子サイズを有する第2の充填剤、約15μmから約150μmの平均粒子サイズを有する第3の充填剤、および任意選択で、約100μmから約400μmの平均粒子サイズを有する第4の充填剤から選択される。
【0024】
前述の実施形態のいずれかによる組成物の一実施形態では、組成物は約10体積%から約90体積%の第1の充填剤および約90体積%から約10体積%の第2の充填剤を含む。
【0025】
前述の実施形態のいずれかによる組成物の一実施形態では、充填剤は、(i)第1の充填剤、および(ii)第2の充填剤を含み、ここで第1の充填剤および/または第2の充填剤のうちの少なくとも1つは、粒子サイズおよび/または形態に関して互いに異なる複数の充填剤タイプを含む。
【0026】
一実施形態では、第1および第2の充填剤は、金属酸化物充填剤および非酸化物充填剤から独立して選択される。
【0027】
一実施形態では、非酸化物充填剤は、金属ホウ化物、金属炭化物、金属窒化物、金属ケイ化物、カーボンブラック、グラファイト、膨張グラファイト、炭素繊維、またはグラファイト繊維、あるいはそれらの2つ以上の組み合わせから選択される。
【0028】
一実施形態では、複数の充填剤タイプは、独立して、約0.3ミクロンから約350ミクロンの平均粒子サイズを有し、複数の充填剤タイプは互いに異なる平均粒子サイズを有する。
【0029】
一実施形態では、複数の充填剤タイプは、互いに異なる形態を有し、形態は、球状、板状、凝集体、球状凝集体、およびグラファイト状から選択される。
【0030】
一実施形態では、第1の充填剤は酸化アルミニウムから選択され、そして第2の充填剤は窒化ホウ素から選択される。一実施形態では、酸化アルミニウムは、複数の充填剤タイプを含む。一実施形態では、複数の充填剤タイプは、互いに異なる平均粒子サイズを有する。一実施形態では、複数の充填剤タイプは、互いに異なる形態を有する。一実施形態では、酸化アルミニウムおよび窒化ホウ素はそれぞれ、複数の充填剤タイプを含む。
【0031】
前述の実施形態のいずれかによる組成物の一実施形態では、組成物は30℃から120℃の相変化温度を有する。
【0032】
前述の実施形態のいずれかによる組成物の一実施形態では、組成物は、2から18W/m.Kの範囲の熱伝導率を有する。
【0033】
前述の実施形態のいずれかによる組成物の一実施形態では、組成物は、200℃まで1500時間の熱安定性を有する。
【0034】
前述の実施形態のいずれかによる組成物の一実施形態では、組成物は、サーマルグリース、接着剤、サーマルゲル、ポッティング材料、またはギャップ充填材料の形態である。
【0035】
別の態様では、物品の表面の少なくとも一部に配置された、前述の実施形態いずれかの組成物を含む物品が提供される。
【0036】
一実施形態では、物品は複数の層を含み、組成物は該層の少なくとも2つの間の表面に配置されている。
【0037】
前述の実施形態のいずれかの物品の一実施形態では、物品は、電子物品、自動車物品、家庭用物品、スマートアプライアンス物品、通信物品、ヘルスケア物品、パーソナルケア物品、農産物、成形物品、組積造表面、繊維材料、在宅介護材料である。
【0038】
前述の実施形態のいずれかによる物品の一実施形態では、物品は、発光デバイス、コンピューターデバイス、スタックダイ、携帯電話、タブレット、フリップチップパッケージ、ハイブリッドメモリキューブ、タッチスクリーン、Wi-Fiデバイス、自動車技術hifiシステム、シリコン貫通電極デバイス、およびオーディオシステム、太陽熱暖房のヒートパイプと水タンクの間の接合部中、燃料電池および風力タービン中、コンピュータチップの製造中、ゲーム機、データ転送デバイス、ライトデバイス中、電池、ハウジング中、クーラー、熱交換装置、ワイヤー、ケーブル、暖房ワイヤー、冷蔵庫、食器洗い機、エアコン、アキュムレータ、変圧器、レーザー、機能性衣類、カーシート、医療機器、防火具、電気モーター、飛行機、および列車、3D印刷材料のフィラメントとして、ドラッグデリバリーシステム、経皮パッチ、創傷治癒パッチ、創傷被覆材パッチ、瘢痕縮小用パッチ、経皮イオントフォレーシス、組織工学用支持骨格、抗菌装置、創傷管理装置、眼科用デバイス、バイオインサート、プロテーゼ、ボディインプラント、塗料、構造コーティング、組積造コーティング、または海洋コーティング、シードコーティング、スーパースプレッダーまたは徐放性肥料を含む。
【0039】
さらに別の態様では、前述の実施形態のいずれかの物品を調製する方法も提供され、これは、圧力下での分配またはステンシル印刷またはスクリーン印刷またはジェット印刷または3D印刷を含む。
【0040】
一実施形態では、前記組成物の厚さは、0.01mmから15cmである。
【0041】
さらなる態様では、前述の実施形態のいずれかの組成物を含むパーソナルケア製品が提供される。
【0042】
一実施形態では、パーソナルケア製品は、制汗剤/デオドラント、シェービング製品、スキンローション、保湿剤、化粧液、バス製品、クレンジング製品、シャンプー、コンディショナー、組み合わせたシャンプー/コンディショナー、ムース、スタイリングジェル、ヘアスプレー、ヘアダイ、ヘアカラー製品、ヘアブリーチ、ウェーブ製品、ヘアストレートナー、ネイルポリッシュ、ネイルポリッシュリムーバー、ネイルクリームまたはローション、キューティクルソフトナー、日焼け止め、防虫剤、アンチエイジング製品、リップスティック、ファンデーション、フェイスパウダー、アイライナー、アイシャドウ、頬紅、メイクアップ、マスカラ、保湿製剤、ファンデーション、ボディおよびハンド用製剤、スキンケア製剤、顔および首用製剤、トニック、ドレッシング、ヘアグルーミングエイド、エアロゾル固定剤、フレグランス製剤、アフターシェーブ、メイクアップ製剤、ソフトフォーカスアプリケーション、昼夜のスキンケア製剤、無着色の毛髪用製剤、日焼け用製剤、合成および非合成の固形石鹸、ハンドリキッド、鼻パック、パーソナルケア用不織布アプリケーション、ベビーローション、ベビーシャンプー、ベビーコンディショナー、シェービング用製剤、キュウリスライス、スキンパッド、メイク落とし、洗顔料、コールドクリーム、日焼け止め製品、スプリッツァー、ペーストマスクおよびマッド、フェイスマスク、コロンおよび化粧水、ヘアキューティクルコート、シャワージェル、フェイスおよびボディウォッシュ、パーソナルケアリンスオフ製品、ジェル、フォームバス、スクラブクレンザー、収斂剤、ネイルコンディショナー、アイシャドウスティック、フェイスまたはアイ用パウダー、リップクリーム、リップグロス、ヘアケアポンプスプレー、ヘアフリズコントロールジェル、ヘアリーブインコンディショナー、ヘアポマード、毛髪もつれ解消製品、毛髪固定剤、ヘアブリーチ製品、スキンローション、プレシェーブおよびプレエレクトリックシェーブ、無水クリームおよびローション、油/水エマルジョン、水/油エマルジョン、耐水性クリームまたはローション、抗にきび製剤、マウスウォッシュ、マッサージオイル、歯磨き粉、透明なジェルまたはスティック、軟膏ベース、局所創傷治癒製品、エアロゾルタルク、バリアスプレー、ビタミンおよびアンチエイジング製剤、ハーブ抽出物製剤、バスソルト、バスおよびボディミルク、ヘアスタイリングエイド、髪・目・爪および肌用ソフト固形アプリケーション、徐放性パーソナルケア製品、ヘアコンディショニングミスト、スキンケアモイスチャライジングミスト、スキンワイプ、毛穴スキンワイプ、毛穴クリーナー、傷痕軽減剤、皮膚角質除去剤、皮膚落屑促進剤、スキンタオルまたは布、除毛剤、またはパーソナルケア潤滑剤の形である。
さらに別の態様では、
a)式(I)
M1
aM2
bM3
cD1
dD2
eD3
fT1
gT2
hT3
iQj.
のシリコーンポリマーを提供すること、
ここで
M1=R1R2R3SiO1/2
M2=R4R5R6SiO1/2
M3=R7R8R9SiO1/2
D1=R10R11SiO2/2
D2=R12R13SiO2/2
D3=R14R15SiO2/2
T1=R16SiO3/2
T2=R17SiO3/2
T3=R18SiO3/2
Q=SiO4/2
ここでR1、R2、R3、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13、R15、R16は、水素、C1-C60脂肪族または芳香族基、またはC1-C60アルコキシ基から独立して選択され、
R4、R12、R17は、C1-C10アルキル、C1-C10アルコキシ、またはR19-A-R20-から独立して選択され、ここでAは、芳香族基、縮合芳香族基、不飽和脂環式基、不飽和複素環式基、またはそれらの2つ以上の組み合わせから選択される不飽和環状部分を含む基から選択され、R19は、-H、C1-C10アルキル、アリル、ビニル、アルコキシ、アリルオキシ、ビニルオキシ、アクリレート、またはメタクリレートから選択され、そしてR20は二価の有機基から選択され、
R7、R14、R18は、水素またはOR22または不飽和一価ラジカル、または酸素、窒素、硫黄などのヘテロ原子を含むラジカル、またはオルガノシラン基を含むラジカルから独立して選択され、そして
下付き文字a、b、c、d、e、f、g、h、i、jはゼロまたは正であって2≦a+b+c+d+e+f+g+h+i+j≦1000、b+e+h>0およびc+f+i≧0の制限を受け、
b)任意選択で、抑制剤、抗酸化剤、およびカップリング剤またはそれらの組み合わせを(a)に加えること、
c)該混合物に熱伝導性充填剤を加えること、
e)任意選択で、該熱充填剤を加える前または後に揮発性希釈剤を加えること、を含む請求項1の組成物を調製するための方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0043】
ここで、例示的な実施形態を参照し、その例を添付の図面に示す。他の実施形態を利用することができ、構造的および機能的変更を行うことができることを理解されたい。さらに、様々な実施形態の特徴を組み合わせたり、変更したりすることができる。したがって、以下の説明は、例示としてのみ提示されており、例示された実施形態に対して行われ得る様々な代替および修正を決して限定するものではない。この開示において、多くの特定の詳細は、主題の開示の十分な理解を提供する。本開示の態様は、本明細書に記載されるすべての態様などを必ずしも含まない他の実施形態で実施できることを理解されたい。
【0044】
本明細書で使用される場合、「例」および「例示」という用語は、実例または例示を意味する。「例」または「例示」という言葉は、重要なまたは好ましい態様または実施形態を示すものではない。「または」という言葉は、文脈上別段の示唆がない限り、排他的ではなく包括的であることを意図している。一例として、「AはBまたはCを使用する」という句は、任意の包括的順列を含む(例えば、AはBを使用する;AはCを使用する;またはAはBおよびCの両方を使用する)。別の問題として、冠詞「a」および「an」は、文脈が別段の示唆をしない限り、一般に「1つまたは複数」を意味することを意図している。
【0045】
官能化シリコーンポリマーが提供される。官能化シリコーンポリマーおよび熱伝導性充填剤を含む組成物も提供される。特に、官能化シロキサンポリマーが提供される。シロキサンポリマーは、不飽和環状部分を含む有機基を含む。本シロキサンポリマーは、比較的低い充填剤濃度で良好な熱安定性および熱伝導率を示すことが見出されている。
【0046】
組成物に使用されるシリコーンポリマーは、式(I)
M1
aM2
bM3
cD1
dD2
eD3
fT1
gT2
hT3
iQj.
のポリマーであり、
ここで
M1=R1R2R3SiO1/2
M2=R4R5R6SiO1/2
M3=R7R8R9SiO1/2
D1=R10R11SiO2/2
D2=R12R13SiO2/2
D3=R14R15SiO2/2
T1=R16SiO3/2
T2=R17SiO3/2
T3=R18SiO3/2
Q=SiO4/2
ここでR1、R2、R3、R5、R6、R8、R9、R10、R11、R13、R15、R16は、水素、C1-C60脂肪族または芳香族基、またはC1-C60アルコキシ基から独立して選択され、
R4、R12、R17は、C1-C10アルキル、C1-C10アルコキシ、またはR19-A-R20-から独立して選択され、ここでAは、芳香族基、縮合芳香族基、不飽和脂環式基、不飽和複素環式基、またはそれらの2つ以上の組み合わせから選択される不飽和環状部分を含む基から選択され、R19は、-H、C1-C10アルキル、アリル、ビニル、アルコキシ、アリルオキシ、ビニルオキシ、アクリレート、またはメタクリレートから選択され、そしてR20は二価の有機基から選択され、
R7、R14、R18は、水素、OR22、不飽和一価ラジカル、酸素、窒素、硫黄などのヘテロ原子を含むラジカル、またはオルガノシラン基を含むラジカルから独立して選択され、そして
下付き文字a、b、c、d、e、f、g、h、i、およびjは、ゼロまたは正であって、2≦a+b+c+d+e+f+g+h+i+j≦1000、b+e+h>0、およびc+f+i≧0の制限を受ける。
【0047】
本明細書で使用される場合、不飽和脂環式基は、1つ以上の不飽和結合を含む脂肪族環状基を指す。実施形態では、不飽和脂環式基は、少なくとも1つのC=C結合を含む。実施形態では、不飽和脂環式基は、1つ以上のC=C結合を含むC4-C36脂環式基から選択される。不飽和脂環式基は、単一環、縮合環系、または二環式環系を含み得る。不飽和脂環式化合物の非限定的な例には、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエンなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0048】
本明細書で使用される場合、不飽和複素環式基は、環構造内に少なくとも1つの不飽和結合および少なくとも1つのヘテロ原子を含む環状基を指す。不飽和基は、C=Cまたは炭素原子とヘテロ原子の間の不飽和結合であり得る。
【0049】
R19は、-H、CH2=CH2-(CH2)l-、CH2=CH2-(CH2)l-O-から選択され、ここでlは0-10であり、そしてR20は、C2-C10二価アルキル基、-O-(CH2)m-、または-O-C(O)-(CH2)m-から選択され、そしてmは2-10である。一実施形態では、R19は、CH2=CH2-(CH2)l-O-であり、ここでlは0である。一実施形態では、R19はCH2=CH2-(CH2)l-O-であり、ここでlは1である。
【0050】
実施形態では、Aは、二価のC6からC12のアリール基、二価のC12からC36の縮合芳香族基、二価のC4-C36不飽和脂環式基、および二価のC4-C36不飽和複素環式基から独立して選択される。
【0051】
一実施形態では、Aは、式-A1-R21-A2-の基から選択され、ここでA1およびA2は、C6からC12のアリール基、C12-C36の縮合芳香環、C5-C36の不飽和脂環式基、およびC5-C36の不飽和複素環式基から独立して選択され、そしてR21は、直接結合、-(CH2)n-、-C(CH3)2-、-O-、-S-、-S(O)2-、-C(O)-、C(O)-NH-、-NH-C(O)-NH-、C(O)-O-、-CH=N-、または-CH=N-N=CH-から選択され、ここでnは1-10である。実施形態では、nは1-6、または1-2である。
【0052】
A基に適した基の例としては、
【化5】
が含まれるがこれらに限定されない。
【0053】
一実施形態では、R
1、R
2、R
3、R
5、R
6、R
8、R
9、R
10、R
11、R
13、R
15、R
16はC1-C4アルキルであり、Aは、
【化6】
であり、R
19は、-H、CH
2=CH
2-(CH
2)
l-、CH
2=CH
2-(CH
2)
l-O-から選択され、ここでlは0-10であり、そしてR
20は、C2-C10二価アルキル基、-O-(CH
2)
m-、または-O-C(O)-(CH
2)
m-から選択され、そしてmは2-10である。一実施形態では、R
19は、CH
2=CH
2-(CH
2)
l-O-であり、ここでlは0である。一実施形態では、R
19は、CH
2=CH
2-(CH
2)
l-O-であり、ここでlは1である。
【0054】
一実施形態では、R
1、R
2、R
3、R
5、R
6、R
8、R
9、R
10、R
11、R
13、R
15、R
16はC1-C4アルキルであり、Aは、
【化7】
であり、R
19は、-H、CH
2=CH
2-(CH
2)
l-、CH
2=CH
2-(CH
2)
l-O-から選択され、ここでlは0-10であり、そしてR
20は、C2-C10二価アルキル基、-O-(CH
2)
m-、または-O-C(O)-(CH
2)
m-から選択され、そしてmは2-10である。一実施形態では、R
19は、CH
2=CH
2-(CH
2)
l-O-であり、ここでlは0である。一実施形態では、R
19は、CH
2=CH
2-(CH
2)
l-O-であり、ここでlは1である。
【0055】
一実施形態では、Aは、(A-i)-(A-xiii)のいずれか1つから選択され、そしてR19は、-H、CH2=CH2-(CH2)l-、CH2=CH2-(CH2)l-O-であり、ここでlは0-10であり、そしてR20は、C2-C10二価アルキル基、-O-(CH2)m-、または-O-C(O)-(CH2)m-から選択され、そしてmは2-10である。一実施形態では、Aは、(A-i)-(A-xiii)のいずれから選択され、そしてR19は、CH2=CH2-(CH2)l-O-から選択され、ここでlは0であり、そしてR20は-O-(CH2)m-から選択され、ここでmは2である。一実施形態では、Aは、(A-i)-(A-xiii)のいずれかから選択され、そしてR19は、CH2=CH2-(CH2)l-O-から選択され、ここでlは0であり、そしてR20は、-O-(CH2)m-から選択され、ここでmは3である。一実施形態では、Aは、(A-i)-(A-xiii)のいずれかから選択され、そしてR19は、CH2=CH2-(CH2)l-O-から選択され、ここでlは1であり、そしてR20は、-O-(CH2)m-から選択され、ここでmは2である。一実施形態では、Aは、(A-i)-(A-xiii)のいずれかから選択され、そしてR19は、CH2=CH2-(CH2)l-O-から選択され、ここでlは1であり、そしてR20は、-O-(CH2)m-から選択され、ここでmは3である。
【0056】
実施形態では、R
7、R
14、R
18は、本発明における不飽和一価ラジカルから選択され、式(I)から(V)の群から選択されることができ、
【化8】
ここでR
23、R
28、R
31、R
32、R
35、R
36、R
42は、-H、-OH、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、および脂肪族/芳香族一価炭化水素であって1から60個の炭素原子を有するものから独立して選択され、R
22、R
24、R
25、R
26、R
27、R
29、R
30、R
33、R
34、R
37、R
38、R
39、R
40、R
41、R
43、R
44、R
45、R
46は、水素または脂肪族/芳香族一価炭化水素であって1から60個の炭素原子を有するものから独立して選択され、下付き文字nはゼロまたは正の整数であって0から6の範囲の値を有し、下付き文字oは正の整数であって1から6の範囲の値を有する。
【0057】
本ポリマーは、触媒の存在下での適切な不飽和化合物およびシリルヒドリドのヒドロシリル化を介して形成することができる。R4、R12、R17基を提供する不飽和化合物は、式R19-A-R19’のものであり得、ここでAは上記のとおりであり、そしてR19およびR19’は、アリル、ビニル、アリルオキシ、ビニルオキシ、アクリレート、またはメタクリレートから独立して選択される。実施形態では、R19およびR19’は、CH2=CH2-(CH2)a-、CH2=CH2-(CH2)a-O-、CH2=CH2-(CH2)a-C(O)-O-から独立して選択され、ここでaは0-10である。シリルヒドリドは、例えば、末端シリルヒドリド官能基を有するシロキサン、またはシロキサンの主鎖内にSi-H含有基を有するシロキサンであり得る。
【0058】
有用な触媒には、反応性SiH含有部分または置換基と炭素-炭素二重結合などの炭素-炭素結合との間のヒドロシリル化反応を触媒することができる化合物または分子が含まれる。また、1以上の実施形態では、これらの触媒は、反応媒体内に溶解し得る。触媒の種類には、第VIII族金属を含む化合物を含む遷移金属化合物が含まれる。例示的な第VIII族金属には、パラジウム、ロジウム、ゲルマニウム、および白金が含まれる。例示的な触媒化合物には、クロロ白金酸、元素白金、クロロ白金酸六水和物、sym-ジビニルテトラメチルジシロキサンとのクロロ白金酸の錯体、ジクロロ-ビス(トリフェニルホスフィン)白金(II)、シス-ジクロロ-ビス(アセトニトリル)白金(II)、ジカルボニルジクロロ白金(II)、塩化白金、および酸化白金、0価白金金属錯体、例えば、Karstedt触媒、[Cp*Ru(MeCN)3]PF6、[PtCl2(シクロオクタジエン)]、担体に支持された固体白金(例えば、アルミナ、シリカまたはカーボンブラック)、白金-ビニルシロキサン錯体(例えば、Ptn(ViMe2SiOSiMe2Vi)cおよびPt[(MeViSiO)4]d))、白金-ホスフィン錯体(例えば、Pt(PPh3)4およびPt(PBU3)4))、および白金-ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(Oph)3]4およびPt[P(Obu)3]4))、ここでMeはメチルを表し、Buはブチルを表し、「Vi」はビニルを表し、そしてPhはフェニルを表し、そしてcおよびdは整数を表す。他には、RhCl(PPh3)3、RhCl3、Rh/Al2O3、RuCl3、IrCl3、FeCl3、AlCl3、PdCl2.2H2O、NiCl2、TiCl4などが含まれる。
【0059】
ポリマーの特性または状態は、ポリマーのさまざまな側面を制御することによって制御または調整することができる。特に、ポリマーは、重合度、シリコーン鎖長、および分子量を制御することによって、液体、ガム、または固体として提供され得る。
【0060】
一実施形態では、シリコーンポリマーは、約400から約100000、約500から約50000、さらには約600から約25000の数平均分子量を有する。分子量はGPCによって決定されることができる。
【0061】
ポリマーは、それらを様々な用途で有用にする特性を示す。ポリマーは、可逆的な熱可塑性挙動を示し得る。ポリマーは、広範囲の温度にわたって塑性特性とエラストマー特性の両方を備えている。ポリマーの相変化温度は約20℃から約120℃である。ポリマーの特性または状態は、ポリマーのさまざまな側面を制御することによって制御または調整することができる。特に、ポリマーは、重合度、シリコーン鎖長、および分子量を制御することによって、液体、ガム、または固体として提供され得る。特性、例えば、融解/相変化挙動は、シリコーンセグメント(例えば、mおよびx単位のサイズまたは数)および二価の不飽和環状基A)によって調整または選択され得る。
【0062】
ポリマーは、シリコーン組成物を形成するために使用され得る。一実施形態では、シリコーン組成物は、シリコーンポリマーおよび熱伝導性充填材料を含む熱伝導性組成物として提供される。熱伝導性充填剤(B)の充填材料は、金属酸化物または非酸化物充填剤から選択することができる。適切な非酸化物充填剤の例には、金属ホウ化物、金属炭化物、金属窒化物、金属ケイ化物、カーボンブラック、グラファイト、膨張グラファイト、炭素繊維、またはグラファイト繊維、あるいはそれらの2つ以上の組み合わせが含まれる。熱伝導性充填剤の例には、これらに限定されないが、アルミナ、マグネシア、セリア、ハフニア、酸化ランタン、酸化ネオジム、サマリア、酸化プラセオジミウム、トリア、ウラニア、イットリア、酸化亜鉛、ジルコニア、酸窒化シリコンアルミニウム、ホウケイ酸ガラス、チタン酸バリウム、炭化ケイ素、シリカ、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化ジルコニウム、ホウ化ジルコニウム、二ホウ化チタン、十二ホウ化アルミニウム、バライト、硫酸バリウム、アスベスト、バライト、ダイアトマイト、長石、石膏、ホルマイト、カオリン、雲母、霞石閃長岩、パーライト、フィロフィライト、スメクタイト、タルク、バーミキュライト、ゼオライト、カルサイト、炭酸カルシウム、ウォラストナイト、メタケイ酸塩、粘土、ケイ酸アルミニウム、タルク、マグネシウムアルミニウムシリケート、水和アルミナ、水和酸化アルミニウム、シリカ、二酸化ケイ素、二酸化チタン、ガラス繊維、ガラスフレーク、粘土、剥離粘土、または他の高アスペクト比の繊維、ロッド、またはフレーク、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、マグネシア、チタニア、炭酸カルシウム、タルク、雲母、ウォラストナイト、アルミナ、窒化アルミニウム、グラファイト、膨張グラファイト、金属粉末、例えば、アルミニウム、銅、青銅、真ちゅうなど、炭素の繊維またはウィスカ、グラファイト、炭化ケイ素、窒化ケイ素、アルミナ、窒化アルミニウム、酸化亜鉛、カーボンナノチューブ、窒化ホウ素ナノシート、酸化亜鉛ナノチューブなどのナノスケール繊維、およびそれらの2つ以上の混合物が含まれる。一実施形態では、熱伝導性充填剤は、低い電気伝導率を有するか、または電気的に絶縁性である。
【0063】
充填材料の粒子サイズは、特定の目的または意図された用途のために所望されるように選択され得る。実施形態では、充填材料は、約0.01μmから約500μm;約0.1から約250μm;約1から約100μm;約5から約75μm;さらには約10から約50μmの平均粒子サイズを有する。組成物は、異なる平均粒子サイズの無機充填剤の組み合わせを含み得ることが理解されよう。そのような組み合わせは、特定の目的または意図された用途のために所望されるように選択され得る。一実施形態では、組成物は、約0.01から約0.1μmの平均粒子サイズを有する第1の有機充填剤;約1μmから約25μmの平均粒子サイズを有する第2の充填剤;および任意選択で、約50μmから約100μmの平均粒子サイズを有する第3の充填剤を含む。第1、第2、および第3の充填剤は、充填剤の化学的構成に関して、互いに同じであっても異なっていてもよい。
【0064】
組成物において、シリコーンポリマーは、組成物の総体積に基づき約20体積%から約75体積%の量で存在し得る。一実施形態では、充填剤の充填は約25体積%から約70体積%、約35体積%から約65体積%、さらには約40体積%から約60体積%である。組成物は、組成物の総体積に基づいて約25体積%から約80体積%の総充填剤濃度、すなわち、組成物中のすべての充填剤の濃度を有し得る。一実施形態では、充填剤の充填量は約30体積%から約75体積%、約35体積%から約65体積%、さらには約40体積%から約60体積%である。ここでは、特許請求の範囲のように、数値を組み合わせて、新しい非特定の範囲を形成することができる。
【0065】
熱伝導性充填剤(B)は、充填剤の組み合わせを含み、ここで少なくとも1つの充填材料が複数の充填剤タイプとして提供される。本明細書で使用される場合、「充填剤タイプ」は、特定の特性を有する充填材料のカテゴリーを指す。充填剤タイプを規定する特性の例には、例えば、充填剤の形態、充填剤の粒子サイズ、または充填剤の形態および粒子サイズが含まれる。異なる充填剤タイプの異なる実施形態の例には、以下が含まれる:
・第1の粒子サイズを有する第1の充填剤タイプ、および第2の粒子サイズを有する第2の充填剤タイプ、ここで第1および第2の充填剤タイプは同じ形態を有している、
・第1の形態を有する第1の充填剤タイプ、および第2の形態を有する第2の充填剤タイプ、ここで第1および第2の充填剤タイプは同じ粒子サイズを有している、
・第1の形態を有する第1の充填剤タイプ、および第2の形態を有する第2の充填剤タイプ、ここで第1および第2の充填剤タイプは異なる粒子サイズを有している。
上記の実施形態では、第1および第2の充填剤は、単一のタイプの充填剤でもよく、またはそれ自体が複数の充填剤タイプを備えていてもよい。
【0066】
一実施形態では、第1の充填剤および第2の充填剤はそれぞれ、充填材料の各々の複数の充填剤タイプによって提供される。組成物は、第1の充填剤および第2の充填剤の任意の組み合わせを含み得、ここで(i)第1の充填剤は、以下によって提供され:
・第1の粒子サイズを有する第1の充填剤タイプ、および第2の粒子サイズを有する第2の充填剤タイプ、ここで第1および第2の充填剤タイプは同じ形態を有しており、
・第1の形態を有する第1の充填剤タイプ、および第2の形態を有する第2の充填剤タイプ、ここで第1および第2の充填剤タイプは同じ粒子サイズを有しており、または
・第1の形態を有する第1の充填剤タイプ、および第2の形態を有する第2の充填剤タイプ、ここで第1および第2の充填剤タイプは異なる粒子サイズを有しており、および
(ii)第2の充填剤は以下によって提供され:
・第1の粒子サイズを有する第2の充填剤タイプ、および第2の粒子サイズを有する第2の充填剤タイプ、ここで第1および第2の充填剤タイプは同じ形態を有しており、
・第1の形態を有する第2の充填剤タイプ、および第2の形態を有する第2の充填剤タイプ、ここで第1および第2の充填剤タイプは同じ粒子サイズを有しており、または
・第1の形態を有する第2の充填剤タイプ、および第2の形態を有する第2の充填剤タイプ、ここで第1および第2の充填剤タイプは異なる粒子サイズを有している。
したがって、例えば、一実施形態では、(a)(i)第1の粒子サイズを有する第1の充填剤タイプ、および(ii)第2の粒子サイズを有する第2の充填剤タイプによって提供される第1の充填剤、および(b)(i)第1の粒子サイズを有する第1の充填剤タイプ、および(ii)第2の粒子サイズを有する第2の充填剤タイプによって提供される第2の充填剤が提供され得る。別の実施形態では、組成物は、(a)(i)第1の粒子サイズを有する第1の充填剤タイプ、および(ii)第2の粒子サイズを有する第2の充填剤タイプによって提供される第1の充填剤、ここで第1および第2の充填剤タイプは同じ形態を有しており、ならびに(b)(i)第1の形態の第1の充填剤タイプ、および(ii)第2の形態の第2の充填剤タイプによって提供される第2の充填剤を含み得る。
【0067】
上記の説明は第1の充填剤および第2の充填剤に言及しているが、組成物は2つの充填剤に限定されないことが理解されよう。組成物は、2つ、3つ、4つ、5つなど、またはそれ以上の充填剤を含み得、ここで充填剤の少なくとも1つは、その充填剤材料の複数の充填剤タイプによって提供される。任意選択で、充填剤のそれぞれは、それぞれの充填材料の複数の充填剤タイプによって提供され得る。
【0068】
一実施形態では、組成物は、金属酸化物から選択される第1の充填剤を含み、そして第2の充填剤は、非酸化物充填剤(例えば、窒化物、炭化物、ケイ化物など)から選択される。一実施形態では、金属酸化物充填剤は、異なる粒子サイズの複数の充填剤タイプとして提供され、そして非酸化物充填剤は、単一の充填剤タイプ(たとえば、特定の形態および粒子サイズの充填剤)として提供される。別の実施形態では、(a)金属酸化物充填剤は、第1の粒子サイズの第1の充填剤タイプおよび第2の粒子サイズの第2の充填剤タイプを含み、そして(b)非酸化物充填剤は、(i)第1の形態の第1の充填剤タイプ、および(ii)第2の形態の第2の充填剤タイプを含む。
【0069】
それぞれの充填剤の形態は、所望されるように選択することができる。一実施形態では、充填剤の形態は、球状、板状、凝集体、球状凝集体、およびグラファイト状から選択することができる。
【0070】
一実施形態では、第1および第2の熱伝導性充填材料は、0.3から約350ミクロンの粒子サイズを有する。一実施形態では、熱伝導性充填剤は、約0.5から150ミクロン;約1から約100ミクロン;約10から90ミクロン;約20から75ミクロン;さらに約40から60ミクロンの粒子サイズを有する。
【0071】
組成物は、組成物の総体積に基づいて、約25体積%から約80体積%の総充填剤濃度、すなわち、組成物中のすべての充填剤の濃度を有し得る。一実施形態では、充填剤の充填は、約30体積%から約75体積%、約35体積%から約65体積%、さらには約40体積%から約60体積%である。ここでは、特許請求の範囲のように、数値を組み合わせて新しい非特定の範囲を形成することができる。
【0072】
組成物は、約10体積%から90体積%の第1の充填剤および90体積%から10体積%の第2の充填剤;約30体積%から70体積%の第1の充填剤および70体積%から30体積%の第2の充填剤;さらには約40体積%から約60体積%の第1の充填剤および約60体積%から約40体積%の第2の充填剤を含み得る。
【0073】
第1および/または第2の充填剤に寄与する異なる充填剤タイプに関して、異なる充填剤タイプの濃度は、所望されるように選択できる。一実施形態では、第1の充填剤は、第1の充填剤の総量に基づいて、約5体積%から約95体積%の量の第1の充填剤タイプおよび約95体積%から約5体積%の量の第2の充填剤タイプ;第1の充填剤の総量に基づいて、約10体積%から約80体積%の量の第1の充填剤タイプ、および約20体積%から約90体積%の量の第2の充填剤タイプ;第1の充填剤の総量に基づいて、約30体積%から約60体積%の量の第1の充填剤タイプ、および約70体積%から約40体積%の量の第2の充填剤タイプを含む。一実施形態では、第1の充填剤は、第1の充填剤の総量に基づいて、約20体積%から約40体積%の量の第1の充填剤タイプ、および約80体積%から約60体積%の量の第2の充填剤タイプを含む。
【0074】
一実施形態では、熱伝導性充填剤は窒化ホウ素を含む。適切な窒化ホウ素材料の例には、窒化ホウ素粒子、窒化ホウ素凝集物、またはそれらの混合物が含まれる。窒化ホウ素粒子は一般に板状形態を示す。一実施形態では、窒化ホウ素粒子は、0.3から約350ミクロンの粒子サイズを有する板状物であり得る。一実施形態では、板状窒化ホウ素粒子は、約0.5から150ミクロン;約1から約100ミクロン;約10から90ミクロン;約20から75ミクロン;さらには約40から60ミクロンの粒子サイズを有する。別の実施形態では、熱伝導性プラスチック組成物は、窒化ホウ素凝集物を含む。凝集物は、約5から約500ミクロンの平均粒子サイズおよび約0.25から約50m2/グラムの表面積を有することができる。一実施形態では、板状窒化ホウ素粒子は、約10から400ミクロン;約20から約300ミクロン、約30から200ミクロン;約40から150ミクロン;さらには約50から100ミクロンの粒子サイズを有する。粒子サイズは、分析対象の粒子(BNなど)が必要な透過率を満たすように調整された量で導入されるHoriba LA300粒子サイズ分布アナライザーを使用して測定できる。2%Rhodapex CO-436を数滴加えて粉末の分散を改善し、3秒間の超音波処理後にレーザー回折を使用して粒子サイズを測定できる。測定から得られた粒子サイズ分布は、体積ベースでプロットすることができ、D90は、分布の90パーセンタイルを表す。
【0075】
一実施形態では、充填剤は、例えば、シラン添加剤などの官能化添加剤で官能化することができる。一実施形態では、シラン添加剤は、アルコキシシラン、アルクアクリルオキシシラン、ビニルシラン、ハロシラン(例えば、クロロシラン)、メルカプトシラン、ブロック化メルカプトシラン、チオカルボキシレートシラン、またはそれらの2つ以上の組み合わせから選択することができる。一実施形態では、充填剤は、約1から約5重量%のシラン;約1.5から約4重量%;さらに約2.7から約3.7重量%の充填剤を含むことができる。
【0076】
一実施形態では、組成物は、金属酸化物から選択される第1の充填剤、および非酸化物充填剤から選択される第2の充填剤を含み、ここで第1の充填剤および/または第2の充填剤は、複数の充填剤タイプを含む。一実施形態では、第1の充填剤は、第1のタイプの金属酸化物および第2のタイプの金属酸化物を含む金属酸化物であり、これらは、化学組成に関して同じまたは異なる金属酸化物であり得、そして第2の充填剤は、単一のタイプの非酸化物充填剤を含み、以下のいずれか(単独または組み合わせて)を使用することができる:
・第1のタイプの金属酸化物は第1の粒子サイズを有し、そして第2のタイプの金属酸化物は第1の粒子サイズとは異なる第2の粒子サイズを有し、
・第1および第2のタイプの金属酸化物は、独立して、約0.3から約350ミクロンの粒子サイズを有し、ここで第1および第2のタイプの金属酸化物は、異なる粒子サイズを有し、
・第1のタイプの金属酸化物は第1の形態を有し、そして第2のタイプの金属酸化物は第1の形態とは異なる第2の形態を有し、
・金属酸化物充填剤は、アルミナ、マグネシア、セリア、ハフニア、酸化ランタン、酸化ネオジム、サマリア、酸化プラセオジム、トリア、ウラニア、イットリア、酸化亜鉛、および/またはジルコニアから選択され、
・非金属酸化物充填剤は、炭化ケイ素、シリカ、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化ジルコニウム、またはホウ化ジルコニウムから選択され、
・第1の充填剤はアルミナであり、そして第2の充填剤は窒化ホウ素であり、
・第2の充填剤は、球状、板状、凝集体、または球状凝集体から選択される窒化ホウ素である。
【0077】
一実施形態では、組成物は、金属酸化物から選択される第1の充填剤、および非酸化物充填剤から選択される第2の充填剤を含み、ここで第1の充填剤および第2の充填剤はそれぞれ複数の充填剤タイプを含む。一実施形態では、第1の充填剤は、第1のタイプの金属酸化物および第2のタイプの金属酸化物を含む金属酸化物であり、ここで第1および第2のタイプの金属酸化物は、同じまたは異なる化学組成または式を有することができ(しかし、少なくとも粒子サイズおよび/または形態に関して異なる)、そして第2の充填剤は、単一のタイプの非酸化物充填剤を含み、ここで以下のいずれかを互いに組み合わせて使用することができる:
・第1のタイプの金属酸化物は第1の粒子サイズを有し、そして第2のタイプの金属酸化物は第1の粒子サイズとは異なる第2の粒子サイズを有し、
・第1および第2のタイプの金属酸化物は、独立して約0.3から約350ミクロンの粒子サイズを有し、ここで第1および第2のタイプの金属酸化物は、異なる粒子サイズを有し、
・第1のタイプの金属酸化物は第1の形態を有し、そして第2のタイプの金属酸化物は第1の形態とは異なる第2の形態を有し、
・第1のタイプの金属酸化物は第1の粒子サイズを有し、そして第2のタイプの金属酸化物は第1の粒子サイズとは異なる第2の粒子サイズを有し、
・金属酸化物充填剤は、アルミナ、マグネシア、セリア、ハフニア、酸化ランタン、酸化ネオジム、サマリア、酸化プラセオジム、トリア、ウラニア、イットリア、酸化亜鉛、および/またはジルコニアから選択され、
・非金属酸化物充填剤は、炭化ケイ素、シリカ、炭化ホウ素、炭化チタン、炭化ジルコニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタン、窒化ジルコニウム、またはホウ化ジルコニウムから選択され、
・第1の充填剤はアルミナであり、そして第2の充填剤は窒化ホウ素であり、
・第2の充填剤は、板状窒化ホウ素および窒化ホウ素凝集物を含む。
【0078】
一実施形態では、組成物は、約0.3から約350ミクロンの粒子サイズの第1の充填剤タイプ、および約0.3から約350ミクロンの粒子サイズを有する第2の充填剤タイプを含む第1の充填剤を含み、ここで第1の充填剤の第2の充填剤タイプは、第1の充填剤タイプとは異なる粒子サイズを有する。一実施形態では、組成物は、約0.3から約350ミクロンの粒子サイズを有する第1の充填剤タイプ、および約0.3から約15ミクロンの粒子サイズを有する第2の充填剤タイプを有する第1の充填剤を含む。一実施形態では、組成物は、約45から約350ミクロンの粒子サイズを有する第1の充填剤タイプ、および約0.3から約5ミクロンの粒子サイズを有する第2の充填剤タイプを有する第1の充填剤を含む。一実施形態では、組成物は、約5から約70ミクロンの粒子サイズを有する第1の充填剤タイプ、および約0.5から約15ミクロンの粒子サイズを有する第2の充填剤タイプを有する第1の充填剤を含む。一実施形態では、第1の充填剤はアルミナを含む。
【0079】
組成物は、付加または縮合硬化触媒をさらに含み得る。本組成物は硬化可能であり、縮合硬化機構または熱硬化機構のいずれかによって硬化させることができる。一実施形態では、組成物は縮合硬化性である。縮合硬化性組成物について、組成物は、縮合硬化を促進するための任意の適切な成分を含み得る。組成物は、任意選択で、完全にまたは部分的に加水分解されたトップコート材料の縮合を促進する縮合触媒を含み得る。触媒は、シロキサンの硬化を促進するのに適した触媒であり得る。有利には、縮合触媒を使用することができる。適切な縮合触媒には、ジブチルスズジラウレートおよびジオクチルスズジラウレートなどのジアルキルスズジカルボキシレート、第三級アミン、オクタン酸第一スズおよび酢酸第一スズなどのカルボン酸の第一スズ塩などが含まれるが、これらに限定されない。他の有用な触媒には、ジルコニウム含有、アルミニウム含有、およびビスマス含有錯体、例えば、King Industries, Inc.から供給されるK-KAT(登録商標)XC6212、K-KAT(登録商標)5218およびK-KAT(登録商標)348、チタンキレート、例えば、DuPont companyから入手可能なTYZOR(登録商標)タイプ、Kenrich Petrochemical, Inc.から入手可能なKRタイプ、および他の有機金属触媒、例えば、Al、Zn、Co、Ni、Feなどの金属を含むものが含まれる。
【0080】
一般に、触媒は、組成物の物理的特性に影響を与えたり損なったりしない量であるが、硬化反応を触媒するのに十分な量で添加されるべきである。一実施形態では、触媒は、1ppmから約75ppm;約10ppmから約70ppm;さらに約20ppmから約60ppmの範囲の量で提供される。ここで、明細書および特許請求の範囲の他の場所にて、数値を組み合わせて、新しい非開示の範囲を形成することができる。触媒の「ppm」値は、組成物の総重量固体あたりの触媒の総モルとして定義することができる。
【0081】
本組成物は硬化可能であり、縮合硬化機構または熱硬化機構のいずれかによって硬化させることができる。一実施形態では、組成物は縮合硬化性である。縮合硬化性組成物について、組成物は、縮合硬化を促進するための任意の適切な成分を含み得る。組成物は、任意選択で、完全にまたは部分的に加水分解されたトップコート材料の縮合を促進する縮合触媒を含み得る。触媒は、シロキサンの硬化を促進するのに適した触媒であり得る。有利には、縮合触媒を使用することができる。適切な縮合触媒には、ジブチルスズジラウレートおよびジオクチルスズジラウレートなどのジアルキルスズジカルボキシレート、第三級アミン、オクタン酸第一スズおよび酢酸第一スズなどのカルボン酸の第一スズ塩などが含まれるが、これらに限定されない。他の有用な触媒には、ジルコニウム含有、アルミニウム含有、およびビスマス含有錯体、例えば、King Industries, Inc.から供給されるK-KAT(登録商標)XC6212、K-KAT(登録商標)5218およびK-KAT(登録商標)348、チタンキレート、例えば、DuPont companyから入手可能なTYZOR(登録商標)タイプ、Kenrich Petrochemical, Inc.から入手可能なKRタイプ、および他の有機金属触媒、例えば、Al、Zn、Co、Ni、Feなどの金属を含むものが含まれる。
【0082】
一実施形態では、組成物は熱硬化性であり、熱硬化触媒を含む。一実施形態では、熱硬化触媒は、アルキルアンモニウムカルボキシレートから選択される。アルキルアンモニウムカルボキシレートは、ジ-、トリ-、またはテトラ-アンモニウムカルボキシレートであり得る。一実施形態では、触媒は、式[(C4H9)4N]+[OC(O)-R]-のテトラブチルアンモニウムカルボキシレートから選択され、ここでRは、水素、約1から約8個の炭素原子を含むアルキル基、および約6から20個の炭素原子を含む芳香族基からなる群から選択される。実施形態では、Rは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、およびイソブチルなど、約1から4個の炭素原子を含む基である。例示的な触媒は、テトラ-n-ブチルアンモニウムアセテート(TBAA)、テトラ-n-ブチルアンモニウムホルメート、テトラ-n-ブチルアンモニウムベンゾエート、テトラ-n-ブチルアンモニウム-2-エチルヘキサノエート、テトラ-n-ブチルアンモニウム-p-エチルベンゾエート、およびテトラ-n-ブチルアンモニウムプロピオネート、またはそれらの2つ以上の組み合わせである。特に適切な触媒は、テトラ-n-ブチルアンモニウムアセテートおよびテトラ-n-ブチルアンモニウムホルメート、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラメチルアンモニウムベンゾエート、テトラヘキシルアンモニウムアセテート、ジメチルアニリウムホルメート、ジメチルアンモニウムアセテート、テトラメチルアンモニウムカルボキシレート、テトラメチルアンモニウム-2-エチルヘキサノエート、ベンジルトリメチルアンモニウムアセテート、テトラエチルアンモニウムアセテート、テトライソプロピルアンモニウムアセテート、トリエタノール-メチルアンモニウムアセテート、ジエタノールジメチルアンモニウムアセテート、モノエタノールトリメチルアンモニウムアセテート、エチルトリフェニルホスホニウムアセテートである。
【0083】
一般に、触媒は、コーティングの物理的特性に影響を与えたり損なったりしない量であるが、硬化反応を触媒するのに十分な量で添加されるべきである。一実施形態では、触媒は、1ppmから約75ppm;約10ppmから約70ppm;さらに約20ppmから約60ppmの範囲の量で提供される。ここで、明細書および特許請求の範囲の他の場所にて、数値を組み合わせて、新しい非開示の範囲を形成することができる。触媒の「ppm」値は、コーティングの総重量固体あたりの触媒の総モルとして定義することができる。
【0084】
現在の相変化熱伝導性組成物は、任意の成分としてカップリング剤を含み得る。一実施形態では、前述の実施形態のいずれかの組成物が提供され、ここで充填剤は、アルコキシシラン、アルコキシシロキサン、アルコキシ環状シロキサン、アルコキシオルガノシロキサン、アルコキシ環状オルガノシロキサン、アルクアクリルオキシシラン、ビニルシラン、ハロシラン(例えば、クロロシラン)、メルカプトシラン、ブロック化メルカプトシラン、チオカルボキシレートシラン、チタン酸塩、ジルコン酸塩、またはそれらの2つ以上の組み合わせから選択されるカップリング剤で処理される。
【0085】
組成物において、カップリング剤は、組成物の総重量に基づいて最大20重量%の量で存在し得る。一実施形態では、カップリング剤の充填は、約0.1重量%から約10重量%、または約0.5重量%から約8重量%である。
【0086】
現在の相変化熱伝導性組成物は、任意の成分として揮発性希釈剤を含み得る。さらに別の実施形態では、揮発性希釈剤は、脂肪族炭化水素、環状炭化水素、芳香族炭化水素、環状シロキサン、直鎖シロキサン、またはそれらの2つ以上の組み合わせから選択される。揮発性希釈剤は、直鎖、分岐または架橋構造を有し得る。揮発性希釈剤は飽和または不飽和であり得る。揮発性希釈剤の例は、炭素鎖長が5から14の炭化水素、パラフィン油、イソパラフィン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、C6-C14直鎖および内部オレフィン、ペトローリアムエーテル、ハロゲン化炭化水素、ヘテロ原子含有炭化水素、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロテトラシロキサンシロキサン、ヘキサメチルジシロキサンおよびそれらである。
【0087】
組成物において、揮発性希釈剤は、組成物の総重量に基づいて最大30重量%の量で存在する。一実施形態では、希釈剤は、約0.1重量%から約20重量%、約0.5重量%から約10重量%で存在する。
【0088】
現在の相変化熱伝導性組成物は、任意の成分として抗酸化剤を含み得る。さらに別の実施形態では、抗酸化剤は、ポスフェートタイプ、フェノールタイプの抗酸化剤、チオエーテルタイプの抗酸化剤、アミンタイプの抗酸化剤、またはそれらの2つ以上の組み合わせから選択される。
【0089】
組成物において、抗酸化剤は、組成物の総重量に基づいて最大10重量%の量で存在する。一実施形態では、抗酸化剤の充填は、約0.05重量%から約10重量%、約0.1重量%から約5重量%である。
【0090】
本ポリマーおよび組成物は、それらを様々な用途に適するようにすることができる望ましい特性を示すことが見出さている。ポリマーは、高い熱安定性、屈折率、および熱伝導率を有する。無機充填剤と組み合わせると優れた濡れ性を示し、充填剤がポリマーに容易に分散する。これらの特性により、優れた熱伝導率を備えた組成物を提供することができる。組成物は相変化特性を示す。組成物は室温(約20℃から約25℃)で固体である。組成物はまた、それが広げられ得る約25℃から約100℃の範囲の軟化温度によって特徴付けられる。
【0091】
実施形態では、本発明の組成物はまた、チキソトロピー剤またはレオロジー改質剤としての使用を見出すことができる。本明細書で使用される「チキソトロピー剤」は、それが含まれる組成物のチキソトロピーを増加させ、ずり流動化を促進し、低減された射出力の使用を可能にするものである。
【0092】
組成物は、様々な用途で使用することができ、例えば、基材への印刷、分配、および/または噴霧を含む様々な方法によって適用することができる。
【0093】
上記に記載されたものは、本明細書の例を含む。もちろん、本明細書を説明する目的で構成要素または方法論の考えられるすべての組み合わせを説明することは不可能であるが、当業者は、本明細書のさらに多くの組み合わせおよび順列が可能であることを理解することができる。したがって、本明細書は、添付の特許請求の範囲の精神および範囲内にあるそのようなすべての変更、修正、および変形を包含することを意図している。さらに、「含む(includes)」という用語が詳細な説明または特許請求の範囲のいずれかで使用される限り、そのような用語は、「含む(comprising)」という用語は、「含む(comprising)」が請求項における移行語として使用される場合に解釈されるのと同様の方法で包括的であることを意図する。
【実施例】
【0094】
例
【0095】
バルク熱伝導率(T/C)は、例に別段の記載がない限り、ホットディスクTPS 500 S機器を使用するトランジェント法によって決定される。単分散ポリスチレン標準を参照した数平均分子量(Mn)および多分散度指数(PDI)は、溶媒脱ガス装置、Agilent Mixed-BLS(10um)カラム、ELSDおよびRID検出器を備えたAgilent1260Infinityゲル浸透クロマトグラフィーシステムを使用して決定した。融点は、TA Instrument Inc.(Q1000)の示差走査熱量測定(DSC)により、窒素雰囲気下で10℃分-1の加熱速度で測定された。
【0096】
合成例
【0097】
例1:末端アリルオキシエーテル基を有するジフェニルスルホン官能化ポリオルガノシロキサン(A1)
【0098】
3つ口フラスコに、10gの4,4’-ジアリルオキシジフェニルスルホン、トルエン(50mL)および白金触媒(10ppm)を入れた。得られた混合物を、窒素雰囲気下で撹拌しながら90℃に加熱し、末端ジメチルハイドロジェンシロキシ単位を有しそして約10個の縮合ジメチルシロキシ単位からなる12.7gのポリジメチルシロキサンを加えた。反応混合物の進行を1H NMRでモニターした。反応の完了後、得られた混合物を真空ストリッピングして、140℃の油浴に3時間置くことにより揮発性物質を除去し、アリーレンエーテル置換シロキサンポリマーをワックス状固体として得た(GPC:Mn=2200g/モル;PDI=1.3)。ポリマーは、0.195W/m.KのT/C、および79.5℃のピーク融点を有する。
【0099】
例2:末端アリルオキシエーテル基を有するジフェニルスルホン官能化ポリオルガノシロキサン(A2)
【0100】
3つ口フラスコに、10gの4,4’-ジアリルオキシジフェニルスルホン、トルエン(50mL)および白金触媒(10ppm)を入れた。得られた混合物を、窒素雰囲気下で撹拌して90℃に加熱しながら、末端トリメチル単位を有し、そして約20個の縮合ジメチルシロキシ単位からなる18gのポリジメチルシロキサンを加えた。反応混合物の進行を1H NMRでモニターした。反応の完了後、得られた混合物を真空ストリッピングして、140℃の油浴に3時間置くことにより揮発性物質を除去し、これにより、アリーレンエーテル置換シロキサンポリマーを57℃のピーク融点を有するワックス状固体(GPC:Mn=3000g/モル;PDI=1.4)として得た。
【0101】
例3:Q構造を有するビフェニル官能化ポリオルガノシロキサン(A3)
【0102】
3つ口フラスコに、35.5gの4-(アリルオキシ)-1,1’-ビフェニル、トルエン(90mL)および白金触媒(15ppm)を入れた。得られた混合物を、窒素雰囲気下で撹拌しながら72℃に加熱し、約4Q単位および約8単位のジメチルハイドロジェンシロキシを有する15gのポリジメチルシロキサンを加えた。反応混合物の進行を1H NMRでモニターした。反応の完了後、得られた混合物を真空ストリッピングして140℃の油浴に3時間置くことにより揮発性物質を除去し、アリーレンエーテル置換シロキサン樹脂を白色固体として得た(GPC:Mn=1800g/モル;PDI=1.0)。ポリマーは、0.212W/m.KのT/C、および78.4℃のピーク融点を有していた。
【0103】
例4:末端メチル基を有するビフェニル官能化ポリオルガノシロキサン(A4)
【0104】
3つ口フラスコに、55.2gの4-(アリルオキシ)-1,1’-ビフェニル、トルエン(90mL)および白金触媒(15ppm)を入れた。得られた混合物を、窒素雰囲気下で撹拌しながら72℃に加熱し、末端トリメチルシロキシ単位、約23メチルハイドロジェンシロキシ単位を有し、約16個の縮合ジメチルシロキシ単位からなるポリジメチルシロキサン30gを加えた。反応混合物の進行を1H NMRでモニターした。反応の完了後、得られた混合物を真空ストリッピングして、140℃の油浴に3時間置くことにより揮発性物質を除去し、アリーレンエーテル置換シロキサンポリマーを白色固体として得た(GPC:Mn=6400g/モル;PDI=1.9)。ポリマーは、0.194W/m.KのT/Cおよび55.1℃のピーク融点を有していた。
【0105】
例5:T構造を有するビフェニル官能化オルガノシロキサン(A5)
【0106】
三口フラスコに、39.4gの4-(アリルオキシ)-1,1’-ビフェニル、トルエン(90mL)および白金触媒(15ppm)を入れた。得られた混合物を、窒素雰囲気下で撹拌しながら72℃に加熱し、20gの3-((ジメチルシリル)オキシ)-1,1,5,5-テトラメチル-3-フェニルトリシロキサンを加えた。反応混合物の進行を1H NMRでモニターした。反応の完了後、得られた混合物を真空ストリッピングして、140℃の油浴に3時間置くことにより揮発性物質を除去し、アリーレンエーテル置換シロキサン樹脂を白色のワックス状固体として得た(GPC:Mn=800g/モル;PDI=1.0)。ポリマーは0.181W/m.KのT/C、および29.3℃のピーク融点を有していた。
【0107】
例6:末端アリルオキシビフェニルエーテル基を有するポリオルガノシロキサン(A6)
【0108】
3つ口フラスコに、7.8gの4,4’-(ビスアリルオキシ)-1,1’-ビフェニル、トルエン(90mL)および白金触媒(15ppm)を入れた。得られた混合物を、窒素雰囲気下で撹拌しながら75℃に加熱し、末端ジメチルハイドロジェンシロキシ単位を有し、約100個の縮合ジメチルシロキシ単位からなる100gのポリジメチルシロキサンを加えた。反応混合物の進行を1H NMRでモニターした。反応の完了後、得られた混合物を真空ストリッピングして、140℃の油浴に3時間置くことにより揮発性物質を除去し、アリーレンエーテル置換シロキサンポリマーを、96℃のピーク融点を有する軟質ワックス状材料として得た(GPC:Mn=14600g/モルl;PDI=1.5)。
【0109】
例6a:末端ビフェニルエーテル基を有するビフェニル官能化ポリオルガノシロキサン(A6a)
【0110】
三口フラスコに、26.8gの4-(アリルオキシ)-1,1’-ビフェニル、トルエン(90mL)および白金触媒(15ppm)を入れた。得られた混合物を窒素雰囲気下で撹拌しながら72℃に加熱し、末端ジメチルハイドロジェンシロキシ単位、約8メチルハイドロジェンシロキシ単位を有し、約48の縮合ジメチルシロキシ単位からなるポリジメチルシロキサン50gを加えた。反応混合物の進行を1H NMRでモニターした。反応の完了後、得られた混合物を真空ストリッピングして、140℃の油浴に3時間置くことにより揮発性物質を除去し、アリーレンエーテル置換シロキサンポリマーをガム状物質として得た(GPC:Mn=4500g/モル;PDI=2.0)。ポリマーは、0.192W/m.KのT/Cおよび24.7℃のピーク融点を有していた。
【0111】
組成物
【0112】
0.2-12ミクロンの範囲の平均粒子サイズの酸化アルミニウム充填剤はSumitomoから購入され、そして10-120ミクロンのそれらはShowa Denkoから購入された。5-350ミクロンの範囲のサイズおよび形態の窒化ホウ素(BN)は、Momentive PerformanceMaterialsから調達した。
【0113】
相変化熱界面シリコーン組成物は、表1に示すように、合成例(A1からA6a)で得られたポリマー、抗酸化剤、抑制剤、カップリング剤、および充填剤を混合することによって調製された。充填剤以外の成分を混合し、150℃まで加熱してポリマーを溶融し、充填剤を添加して完全に配合した。組成物を室温に冷却し、バルク熱伝導率を測定した。対照試験(例10)では、ポリマーとしてアルキル化シリコーンワックス(B1)を使用する。
【表1】
【0114】
相変化熱伝導性組成物、ポリオルガノシロキサン(A1からA6a)および板状の球状アルミナおよび凝集形態の窒化ホウ素の組み合わせの熱伝導率の結果を表2に記す。
【表2】
【0115】
相変化シリコーン組成物3の熱転移は、表3に記されているように、粘度対温度を試験することによって精査された。粘度は、TA Instruments Inc.(DHR-3)レオメーターによって、せん断速度2.5s
-1で平行板形状を使用して測定される。
【表3】
【0116】
印刷可能または分配可能な組成物
【0117】
例22:印刷可能または分配可能な組成物は、例9の組成物に2%の溶媒を配合することによって作製された。スピンドルs64を使用したブルックフィールド粘度計(LVDV-1 Prime)で測定した場合、10rpmで52Pa.sの粘度が観察された。
【0118】
組成物の垂直方向の熱安定性
【0119】
例23:約0.25mmの厚さの2x2cmサイズの組成物をアルミニウムプレートに適用した。試験片を特定の温度に維持されたオーブンに90°の角度で96時間置いた。組成物がその条件下で移動または流動しない場合、試験は合格と見なされる。組成物は、100、120、150、および200℃での試験に合格した。対照サンプル(例10)は、100℃で不合格となった。
【0120】
開放型焼成による組成物の熱安定性
【0121】
組成物を容器内で150℃のオーブンに保持し、一定の期間後に硬度を試験した。組成物の硬度は、ASTM D2240タイプのデュロメータ(タイプE)を使用して測定された。組成物の初期硬度の変化が20%未満の場合、試験は合格と見なされる。
【0122】
例24:例12の組成物は、150℃に設定された状態で1000時間保たれ、初期硬度28(ショアE)に対して硬度26(ショアE)を有していた。
【0123】
データに示されるように、本ポリマーは、組成物の熱伝導率の増加を可能にする。データに示されているように、充填材料の量がわずかに増加しただけでも、熱伝導率が比較的大幅に増加し得る。
【0124】
上記の説明は多くの詳細を含むが、これらの詳細は、本発明の範囲に対する制限として解釈されるべきではなく、単にその好ましい実施形態の例示として解釈されるべきである。当業者は、本明細書に添付された特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲および精神の範囲内にある他の多くの可能な変形を想定することができる。