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特許7594945画像生成装置、プログラム、画像生成方法および画像表示システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】画像生成装置、プログラム、画像生成方法および画像表示システム
(51)【国際特許分類】
   G06T 19/00 20110101AFI20241128BHJP
   G09G 5/36 20060101ALI20241128BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20241128BHJP
   G02B 27/02 20060101ALI20241128BHJP
   H04N 13/344 20180101ALI20241128BHJP
   H04N 13/122 20180101ALI20241128BHJP
【FI】
G06T19/00 A
G09G5/36 500
G09G5/00 510V
G09G5/00 555D
G09G5/00 530H
G02B27/02 Z
H04N13/344
H04N13/122
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021037685
(22)【出願日】2021-03-09
(65)【公開番号】P2022137945
(43)【公開日】2022-09-22
【審査請求日】2024-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】310021766
【氏名又は名称】株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【弁理士】
【氏名又は名称】三木 友由
(74)【代理人】
【識別番号】100134256
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 武司
(72)【発明者】
【氏名】池田 貴一
【審査官】鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/045872(WO,A1)
【文献】特開2020-052143(JP,A)
【文献】特開2010-057069(JP,A)
【文献】特開2019-106628(JP,A)
【文献】特開2021-015156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 19/00
G09G 5/00
G09G 5/36
G02B 27/02
H04N 13/344
H04N 13/122
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歪みが与えられていないソース画像を生成するソース画像生成部と、
前記ソース画像に基づいて、ヘッドマウントディスプレイにおいて表示されるHMD画像を生成するHMD画像生成部と、
前記ソース画像に基づいて、前記HMD画像を平板型ディスプレイにおいてミラーリングするためのミラーリング画像を生成するミラーリング画像生成部と、
を備え
前記ソース画像は、前記ヘッドマウントディスプレイの右目用画像及び左目用画像を含み、
前記ミラーリング画像生成部は、前記右目用画像及び前記左目用画像の一方の画像の一部分を用いて、前記ミラーリング画像を生成し、
前記HMD画像生成部は、前記画像の一部分にリプロジェクション処理を施すことにより前記HMD画像を生成し、
前記ミラーリング画像生成部は、前記リプロジェクション処理が反映された前記HMD画像に関する前記ヘッドマウントディスプレイの視野角に対応するテクスチャを参照することにより、3次元表示態様の前記ミラーリング画像を生成することを特徴とする画像生成装置。
【請求項2】
前記ミラーリング画像生成部は、前記平板型ディスプレイの画面サイズに対応するパネルに前記一方の画像の前記一部分を貼り付けることにより、2次元表示態様の前記ミラーリング画像を生成する、請求項に記載の画像生成装置。
【請求項3】
プロセッサを、
歪みが与えられていないソース画像を生成するソース画像生成部と、
前記ソース画像に基づいて、ヘッドマウントディスプレイにおいて表示されるHMD画像を生成するHMD画像生成部と、
前記ソース画像に基づいて、前記HMD画像を平板型ディスプレイにおいてミラーリングするためのミラーリング画像を生成するミラーリング画像生成部と、
として機能させ
前記ソース画像は、前記ヘッドマウントディスプレイの右目用画像及び左目用画像を含み、
前記ミラーリング画像生成部は、前記右目用画像及び前記左目用画像の一方の画像の一部分を用いて、前記ミラーリング画像を生成し、
前記HMD画像生成部は、前記画像の一部分にリプロジェクション処理を施すことにより前記HMD画像を生成し、
前記ミラーリング画像生成部は、前記リプロジェクション処理が反映された前記HMD画像に関する前記ヘッドマウントディスプレイの視野角に対応するテクスチャを参照することにより、3次元表示態様の前記ミラーリング画像を生成することを特徴とするプログラム。
【請求項4】
歪みが与えられていないソース画像を生成するステップと、
前記ソース画像に基づいて、ヘッドマウントディスプレイにおいて表示されるHMD画像と、前記HMD画像を平板型ディスプレイにおいてミラーリングするためのミラーリング画像とを生成するステップと、
を含み、
前記ソース画像は、前記ヘッドマウントディスプレイの右目用画像及び左目用画像を含み、
前記生成するステップは、前記右目用画像及び前記左目用画像の一方の画像の一部分を用いて、前記ミラーリング画像を生成するステップを含み、
前記生成するステップは、前記画像の一部分にリプロジェクション処理を施すことにより前記HMD画像を生成するステップを含み、
前記生成するステップは、前記リプロジェクション処理が反映された前記HMD画像に関する前記ヘッドマウントディスプレイの視野角に対応するテクスチャを参照することにより、3次元表示態様の前記ミラーリング画像を生成するステップを含むことを特徴とする画像生成方法。
【請求項5】
歪みが与えられていないソース画像を生成するソース画像生成部と、
前記ソース画像に基づいて、ヘッドマウントディスプレイにおいて表示されるHMD画像を生成するHMD画像生成部と、
前記ソース画像に基づいて、前記HMD画像を平板型ディスプレイにおいてミラーリングするためのミラーリング画像を生成するミラーリング画像生成部と、
前記HMD画像を前記ヘッドマウントディスプレイに供給するHMD画像供給部と、
前記ミラーリング画像を前記平板型ディスプレイに供給するミラーリング画像供給部と、
を備える画像生成装置と、
前記供給されたHMD画像を表示する前記ヘッドマウントディスプレイと、
前記供給されたミラーリング画像を表示する前記平板型ディスプレイと、
を備え
前記ソース画像は、前記ヘッドマウントディスプレイの右目用画像及び左目用画像を含み、
前記ミラーリング画像生成部は、前記右目用画像及び前記左目用画像の一方の画像の一部分を用いて、前記ミラーリング画像を生成し、
記HMD画像生成部は、前記画像の一部分にリプロジェクション処理を施すことにより前記HMD画像を生成し、
前記ミラーリング画像生成部は、前記リプロジェクション処理が反映された前記HMD画像に関する前記ヘッドマウントディスプレイの視野角に対応するテクスチャを参照することにより、3次元表示態様の前記ミラーリング画像を生成することを特徴とする画像表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像生成技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲーム機に接続されたヘッドマウントディスプレイを頭部に装着して、ヘッドマウントディスプレイに表示された画面を見ながら、コントローラなどを操作してゲームプレイすることが行われている。ヘッドマウントディスプレイを装着すると、ヘッドマウントディスプレイに表示される映像以外はユーザは見ないため、映像世界への没入感が高まり、ゲームのエンタテインメント性を一層高める効果がある。また、ヘッドマウントディスプレイに仮想現実(Virtual Reality)の映像を表示させ、ヘッドマウントディスプレイを装着したユーザが頭部を回転させると、360度見渡せる全周囲の仮想空間が表示されるようにすると、さらに映像への没入感が高まり、ゲームなどのアプリケーションの操作性も向上する。
【0003】
一方で、近年、ヘッドマウントディスプレイが表示している画面を他の表示装置との間で共有するためのミラーリングが提案されている。ミラーリングとは、送信装置が表示している画面の情報として、画像データを、ネットワークを介して受信装置へ伝送することで、表示している画面を送信装置と受信装置とで共有する技術である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヘッドマウントディスプレイを用いて画像を提供するための新しいシステムが開発されている。これに伴い、この新しいシステムにおいて高品質のミラーリング画像を提供するためのミラーリング技術が求められている。
【0005】
上記を鑑み、本発明の目的は、ヘッドマウントディスプレイを用いて画像を提供するための新しいシステムにおいて、高品質のミラーリング画像を提供するためのミラーリング技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の画像生成装置は、歪みが与えられていないソース画像を生成するソース画像生成部と、前記ソース画像に基づいて、ヘッドマウントディスプレイにおいて表示されるHMD画像を生成するHMD画像生成部と、前記ソース画像に基づいて、前記HMD画像を平板型ディスプレイにおいてミラーリングするためのミラーリング画像を生成するミラーリング画像生成部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明のある態様のプログラムは、プロセッサを、歪みが与えられていないソース画像を生成するソース画像生成部と、前記ソース画像に基づいて、ヘッドマウントディスプレイにおいて表示されるHMD画像を生成するHMD画像生成部と、前記ソース画像に基づいて、前記HMD画像を平板型ディスプレイにおいてミラーリングするためのミラーリング画像を生成するミラーリング画像生成部と、として機能させることを特徴とする。
【0008】
本発明のある態様の画像生成方法は、歪みが与えられていないソース画像を生成するステップと、前記ソース画像に基づいて、ヘッドマウントディスプレイにおいて表示されるHMD画像と、前記HMD画像を平板型ディスプレイにおいてミラーリングするためのミラーリング画像とを生成するステップと、を含むことを特徴とする。
【0009】
本発明のある態様の画像表示システムは、歪みが与えられていないソース画像を生成するソース画像生成部と、前記ソース画像に基づいて、ヘッドマウントディスプレイにおいて表示されるHMD画像を生成するHMD画像生成部と、前記ソース画像に基づいて、前記HMD画像を平板型ディスプレイにおいてミラーリングするためのミラーリング画像を生成するミラーリング画像生成部と、前記HMD画像を前記ヘッドマウントディスプレイに供給するHMD画像供給部と、前記ミラーリング画像を前記平板型ディスプレイに供給するミラーリング画像供給部と、を備える画像生成装置と、前記供給されたHMD画像を表示する前記ヘッドマウントディスプレイと、前記供給されたミラーリング画像を表示する前記平板型ディスプレイと、を備えることを特徴とする。
【0010】
なお、以上の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、プログラム、プログラムを記録した一時的なまたは一時的でない記憶媒体、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ヘッドマウントディスプレイを用いて画像を提供するための新しいシステムにおいて、高品質のミラーリング画像を提供するためのミラーリング技術を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】ヘッドマウントディスプレイの外観図である。
図2】画像生成システムの構成図である。
図3】本実施形態のミラーリングシステムを説明するための図である。
図4図2のレンダリング装置の構成図である。
図5図5(a)及び図5(b)はそれぞれ3次元表示におけるヘッドマウンドディスプレイ用画像及びミラーリング画像の例である。
図6図6(a)及び(b)はそれぞれ2次元表示におけるヘッドマウンドディスプレイ用画像及びミラーリング画像の例である。
図7】レンダリング装置における処理の流れを示すフローチャートである。
図8】比較例のミラーリングシステムを説明するための図である。
図9】変形例のミラーリングシステムを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態)
図1は、ヘッドマウントディスプレイ100の外観図である。ヘッドマウントディスプレイ100は、ユーザの頭部に装着してディスプレイに表示される静止画や動画などを鑑賞し、ヘッドホンから出力される音声や音楽などを聴くための表示装置である。
【0014】
ヘッドマウントディスプレイ100に内蔵または外付けされたジャイロセンサや加速度センサなどによりヘッドマウントディスプレイ100を装着したユーザの頭部の位置情報と頭部の回転角や傾きなどの姿勢(orientation)情報を計測することができる。
【0015】
ヘッドマウントディスプレイ100には、さらに、ユーザの目を撮影するカメラが設けられてもよい。ヘッドマウントディスプレイ100に搭載されたカメラにより、ユーザの凝視方向、瞳孔の動き、瞬きなどを検出することができる。
【0016】
ヘッドマウントディスプレイ100は、「ウェアラブルディスプレイ」の一例である。ここでは、ヘッドマウントディスプレイ100に表示される画像の生成方法を説明する。なお、本実施の形態の画像生成方法は、狭義のヘッドマウントディスプレイ100に限らず、めがね、めがね型ディスプレイ、めがね型カメラ、ヘッドフォン、ヘッドセット(マイクつきヘッドフォン)、イヤホン、イヤリング、耳かけカメラ、帽子、カメラつき帽子、ヘアバンドなどを装着した場合にも適用することができる。
【0017】
図2は、本実施の形態に係る画像転送システムの構成図である。ヘッドマウントディスプレイ100は、一例として、映像・音声をデジタル信号で伝送する通信インタフェースの標準規格であるHDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)や映像出力インタフェースの規格であるDisplayPortなどのインタフェースを介してレンダリング装置200に接続される。レンダリング装置200には平板型ディスプレイ302が接続される。本実施形態のレンダリング装置200は、画像生成装置の一例である。
【0018】
本実施の形態では、ヘッドマウントディスプレイ100とレンダリング装置200の間のデータ伝送路300はHDMI伝送路またはDisplayPort伝送路である。HDMI規格またはDisplayPort規格では、画像フレームに紐付けてセカンダリデータパケットを伝送することができ、セカンダリデータパケットにフレームに関連するメタデータを含めることができる。HDMI2.1規格には動的HDR(High Dynamic Range)と呼ばれる機能があり、映像の動的メタデータ(Dynamic Metadata)を参照してシーンに応じてフレーム毎に輝度や色の深度を最適に調整した映像を生成することができる。HDMI2.1規格では動的メタデータは、シーンの最大輝度、平均輝度、最小輝度など動的HDRに必要な情報を映像に同期させて伝送することができる。ヘッドマウントディスプレイ100とレンダリング装置200の通信インタフェースは、メタデータを映像と同期させて伝送できるものであれば、HDMIやDisplayPortに限られない。
【0019】
本実施形態のレンダリング装置200はゲーム機である。レンダリング装置200は、さらにネットワークを介してサーバに接続されてもよい。その場合、サーバは、複数のユーザがネットワークを介して参加できるゲームなどのオンラインアプリケーションをレンダリング装置200に提供してもよい。
【0020】
レンダリング装置200は基本的に、コンテンツのプログラムを処理し、表示画像を生成してヘッドマウントディスプレイ100や平板型ディスプレイ302に送信する。コンテンツのプログラムやデータは、ゲームなどのコンテンツのアプリケーションソフトウェア、およびライセンス情報を記録したROM媒体(不図示)からメディアドライブ(不図示)によって読み出される。このROM媒体は、光ディスクや光磁気ディスク、ブルーレイディスクなどの読出専用の記録メディアである。ある態様においてレンダリング装置200は、ヘッドマウントディスプレイ100を装着したユーザの頭部の位置や姿勢に基づき視点の位置や視線の方向を特定し、それに応じた視野となるようにコンテンツの表示画像を所定のレートで生成する。
【0021】
ヘッドマウントディスプレイ100は当該表示画像のデータを受信し、コンテンツの画像として表示する。ヘッドマウントディスプレイ100に表示される映像は、予めカメラで撮影された映像の他、ゲーム映像のようなコンピュータグラフィックスによる映像や、ネットワーク経由で配信される遠隔地のライブ映像であってもよい。また、ヘッドマウントディスプレイ100に表示される画像は、VR画像、AR(拡張現実)画像MR画像等であってもよい。
【0022】
平板型ディスプレイ302は、画像を出力するディスプレイおよび音声を出力するスピーカーを有するテレビでよく、具体的には液晶テレビ、有機ELテレビ、プラズマテレビ、PCディスプレイ等のいずれでもよい。あるいは、平板型ディスプレイ302は、タブレット端末や携帯端末のディスプレイおよびスピーカーであってもよい。
【0023】
ここで、図9の比較例を用いて、ヘッドマウントディスプレイ100に表示された画像を平板型ディスプレイ302に表示することによって共有するためのミラーリング技術について、想定される手法を説明する。図9のミラーリングシステムは、レンダリング装置400と、ヘッドマウントディスプレイ100と、平板型ディスプレイ302と、出力制御装置500と、を含む。出力制御装置500は、レンダリング装置400とは別体に設けられてレンダリング装置400に接続される。出力制御装置500は、レンダリング装置400が出力したデータを処理する。出力制御装置500は、処理したデータをヘッドマウントディスプレイ用の出力ポート500a及びミラーリング画像用の出力ポート500bを介してヘッドマウントディスプレイ100と平板型ディスプレイ302とにそれぞれ中継する。
【0024】
図9のミラーリングシステムでは、まず、レンダリング装置400は、コンテンツに関するソース画像として左目用画像L及び右目用画像Rを生成する。レンダリング装置400は、ヘッドマウントディスプレイ100の接眼レンズによる歪みに合わせた歪み補正を左目用画像L及び右目用画像Rに施すことによりヘッドマウントディスプレイ100用の双眼画像Cを生成する。双眼画像Cは、画像を立体視させることを想定したものであり、表示パネルに対応する画像平面を2分割してなる左右の領域に、左目用画像Lと右目用画像Rからなる一対の視差画像をそれぞれ配置した構成を有する。ここで、ヘッドマウントディスプレイ100ではユーザの眼前と周囲に視野角の広い映像を表示させるために曲率の高い光学レンズを採用し、ユーザがレンズを介してディスプレイパネルを覗き込む構成になっている。曲率の高いレンズを用いるとレンズの歪曲収差によって映像が歪んでしまう。そこで、曲率の高いレンズを通して見たときに正しく見えるように、レンダリングされた画像に対して予め歪み処理を施し、歪み処理後の画像をヘッドマウントディスプレイに伝送してディスプレイパネルに表示し、ユーザが曲率の高いレンズを通して見ると正常に見えるようにする。レンダリング装置400は、この双眼画像Cを出力制御装置500に供給する。
【0025】
出力制御装置500は、この双眼画像Cをヘッドマウンドディスプレイ用画像(以下、HMD画像)CとしてHMD画像用出力ポート500aを介してヘッドマウントディスプレイ100にそのまま供給する。また、出力制御装置500は、双眼画像Cのうち左目用部分、右目用部分のどちらかの画像に、上記歪み補正と逆の補正を施し、その補正を施した画像の中央部分を切り取ることによって平板型ディスプレイ302用のミラーリング画像Mを生成する。出力制御装置500は、このミラーリング画像Mをミラーリング画像用出力ポート500bを介して平板型ディスプレイ302に供給する。このようにして、ヘッドマウントディスプレイ100にHMD画像Cが表示され、平板型ディスプレイ302にミラーリング画像Mが表示され、図9のミラーリングシステムにおいてミラーリングが実現される。しかし、図9のミラーリングシステムでは、歪み補正と逆の補正を施す必要があるため、ミラーリング画像Mが劣化してしまうという問題がある。
【0026】
一方、図3の新しいミラーリングシステムが開発されている。図3のミラーリングシステムは、レンダリング装置200と、ヘッドマウントディスプレイ100と、平板型ディスプレイ302と、を含む。図3のシステムでは、図9のシステムのようにレンダリング装置400とヘッドマウントディスプレイ100及び平板型ディスプレイ302との間に出力制御装置500が設けられていない。図3のシステムでは、ソース画像を生成して、ソース画像に必要な処理を施してHMD画像及びミラーリング画像を生成して、ヘッドマウントディスプレイ100及び平板型ディスプレイ302にそれぞれ供給する各々の機能が同一の装置内で実現されている。
【0027】
図3のシステムにおけるミラーリングの手法の概要を説明する。レンダリング装置200は、コンテンツに関するソース画像として左目用画像L及び右目用画像Rを生成する。レンダリング装置200は、ソース画像に基づいて、ヘッドマウントディスプレイ100の接眼レンズによる歪みに合わせた歪み補正やヘッドマウントディスプレイ100の最新の位置情報及び姿勢情報に基づくリプロジェクション処理等を左目用画像L及び右目用画像Rに施すことにより双眼画像Cを生成する。レンダリング装置200は、生成した双眼画像CをHMD画像としてHMD画像用出力ポート200aを介してヘッドマウントディスプレイ100に供給する。
【0028】
また、レンダリング装置200は、ソース画像に基づいて、左目用画像L及び右目用画像Rの一方の画像(本実施形態では右目用画像R)に後述の処理を施すことにより、ミラーリング画像Mを生成する。レンダリング装置200は、生成したミラーリング画像Mとしてミラーリング画像用出力ポート200bを介して平板型ディスプレイ302に供給する。このようにして、ヘッドマウントディスプレイ100にHMD画像Cが表示され、平板型ディスプレイ302にミラーリング画像Mが表示され、図3のミラーリングシステムにおいてミラーリングが実現される。
【0029】
本実施形態によると、ソース画像を歪み補正することによりミラーリング画像Mを生成しており、図9のミラーリングシステムのように歪み補正と逆の補正を施していないため、ミラーリング画像Mの劣化を抑制することが可能となる。その結果、高品質のミラーリング画像を提供することが可能となる。以下、本実施形態のミラーリングの手法を詳細に説明する。
【0030】
図4は、図2のレンダリング装置200の構成図である。レンダリング装置200は、入力データ取得部201と、情報処理部202と、ソース画像生成部203と、ソース画像加工部204と、第1及び第2通信部205a及び205bと、画像の生成に必要なデータを格納するデータ記憶部206と、を含む。図4は機能に着目したブロック図を描いており、これらの機能ブロックはハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現することができる。
【0031】
第1及び第2通信部205a及び205bは、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)やUSB(Universal Serial Bus)など所定のプロトコルにより通信を確立する。第1通信部205aは、HMD画像用出力ポート200aを介してヘッドマウントディスプレイ100と通信可能に構成される。第1通信部205aは、ヘッドマウントディスプレイ100からヘッドマウントディスプレイ100の位置情報及び姿勢情報を受信する。第1通信部205aは、ヘッドマウントディスプレイ100にHMD画像Cを供給可能に構成される。本実施形態の第1通信部205aは、HMD画像供給部の一例である。第2通信部205bは、ミラーリング画像用出力ポート500bを介して平板型ディスプレイ302と通信可能に構成される。第2通信部205bは、平板型ディスプレイ302にミラーリング画像Mを供給可能に構成される。本実施形態の第2通信部205bは、ミラーリング画像供給部の一例である。
【0032】
入力データ取得部201は、入力データを取得する。入力データは、入力装置(不図示)を介して入力されたユーザ操作の内容を示す操作情報や、第1通信部205aを介して取得したユーザの頭部の位置情報及び姿勢情報等を含む。ここで、ユーザ操作とは、実行するアプリケーションの選択、処理の開始/終了、コマンド入力など、一般的な情報処理でなされるものでよい。入力データ取得部201は、取得した入力データを情報処理部202に供給する。
【0033】
情報処理部202は、ゲームなど実行するアプリケーションに応じた情報処理を行う。情報処理部202は、例えば、入力データに基づいて、ゲームを進捗させたり対応する処理を実施したりする。情報処理部202は、情報処理の結果をソース画像生成部203に供給する。
【0034】
ソース画像生成部203は、情報処理の結果に基づいて、データ記憶部206から必要なデータを読み出すことにより、出力すべきゲーム画像などのソース画像を生成する。例えば、ソース画像生成部203は、ユーザの頭部の位置や姿勢に対応する視点から見た仮想世界に関する左目用画像L及び右目用画像Rをソース画像として生成する。ソース画像生成部203は、このようにして、歪みが与えられていないソース画像を生成する。ソース画像生成部203は、ソース画像を画像加工部204に供給する。
【0035】
画像加工部204は、ソース画像に必要に応じた加工を施すことにより、HMD画像C及びミラーリング画像Mを生成する。ソース画像加工部204は、HMD画像Cを生成するHMD画像生成部204aと、ミラーリング画像Mを生成するミラーリング画像生成部204bと、を含む。
【0036】
HMD画像生成部204aは、ソース画像としての左目用画像L及び右目用画像Rを左右の視差画像として描画したうえで、必要な処理を施して左右に配置した双眼画像Cを生成する。この必要な処理としては、レンズを考慮した歪み補正、ヘッドマウントディスプレイ100の最新の位置情報及び姿勢情報に基づくリプロジェクション処理、メニュー画面等の重畳処理等を含み、各々一般的な手法を適用することができる。HMD画像生成部204aは、生成した双眼画像CをHMD画像Cとして第1通信部205aを介してヘッドマウントディスプレイ100に供給する。
【0037】
ミラーリング画像生成部204bは、ソース画像としての左目用画像L及び右目用画像Rの一方の画像(本実施形態では右目用画像R)の一部分(例えば中央部分)を用いて、ミラーリング画像Mを生成する。ミラーリング画像生成部204bは、ミラーリング画像Mを第2通信部205bを介して平板型ディスプレイ302に供給する。以下、ミラーリング画像生成部204bにおけるミラーリング画像の生成手法について説明する。
【0038】
まず、3次元表示態様におけるミラーリング画像Mを生成する場合について説明する。ミラーリング画像生成部204bは、HMD画像生成部204aにおけるリプロジェクション処理が反映されたHMD画像Cに関するヘッドマウントディスプレイ100の視野角(UV座標値)を求める。UV座標値は、テクスチャ属性を参照するためのパラメータ座標である。ミラーリング画像生成部204bは、求めたUV座標値を用いて視野角に対応するテクスチャを参照することで、右目用画像Rの一部分に対応する複数のテクスチャ画像を生成する。ミラーリング画像生成部204bは、その複数のテクスチャ画像を重畳することによって3次元表示態様のミラーリング画像Mを生成する。このように、HMD画像生成部204aにおける処理後の双眼画像Cにおける視野角と同じ視野角を用いることにより、リプロジェクション処理後のHMD画像Cの視野に合わせるようにミラーリング画像Mを生成することが可能となる。したがって、ヘッドマウントディスプレイ100のトラッキングの影響が抑制された高品質の3次元表示態様のミラーリング画像Mを提供することが可能となる。また、処理後の双眼画像Cにおけるヘッドマウントディスプレイ100の視野角を用いて平板型ディスプレイ302のディスプレイの横幅を合わせ、テクスチャを選ぶことができる。さらに、画質をソース画像のテクスチャに依存させることが可能となる。
【0039】
次に、2次元表示態様のミラーリング画像Mを生成する場合について説明する。ミラーリング画像生成部204bは、平板型ディスプレイ302の画面サイズに対応する16:9のパネル(仮想スクリーン)に右目用画像Rの一部分をテクスチャとして貼り付けることにより、2次元表示態様のミラーリング画像Mを生成する。これにより、ヘッドマウントディスプレイ100のトラッキング(頭の動き)に関係なく、右目用画像Rの一部分がそのまま表示される。したがって、ヘッドマウントディスプレイ100のトラッキングの影響が抑制された高品質の2次元表示態様のミラーリング画像Mを提供することが可能となる。ここで、2次元表示態様のミラーリング画像Mは、仮想空間内に2次元平面の映像を映し出す際に用いられ、例えば、仮想の映画スクリーンを仮想空間内に表示する際に、2次元表示態様のミラーリング画像Mが利用される。
【0040】
このようにヘッドマウントディスプレイ100及び平板型ディスプレイ302にそれぞれHMD用画像及びミラーリング画像が供給されることにより、ヘッドマウントディスプレイ100及び平板型ディスプレイ302にこれらの画像がそれぞれ表示される。図5(a)及び(b)は3次元表示におけるHMD画像C及びミラーリング画像Mの例である。図6(a)及び(b)は2次元表示におけるHMD画像C及びミラーリング画像Mの例である。
【0041】
以下、図7を参照して、本実施形態のHMD画像C及びミラーリング画像Mをヘッドマウントディスプレイ100及び平板型ディスプレイ302にそれぞれ表示させるための処理S10について説明する。ステップS11で、ソース画像生成部203は、歪みが与えられていないソース画像を生成する。ステップS12で、画像加工部204は、ソース画像に基づいて、HMD画像Cとミラーリング画像Mとを生成する。ステップS13で、第1通信部205aがHMD画像Cをヘッドマウントディスプレイ100に供給するとともに、第2通信部205bがミラーリング画像Mを平板型ディスプレイ302に供給する。S13の後、処理S10は終了する。
【0042】
(変形例)
以下、実施形態の変形例について説明する。
【0043】
実施形態では、ミラーリング画像Mは、右目用画像Rの一部分を用いて生成されたが、これに限定されない。例えば、ミラーリング画像Mは、HMD画像生成部204aによって生成された双眼画像Cと同等のものであってもよい(図8参照)。この場合、ミラーリング画像生成部204bは、HMD画像生成部204aと同様の処理を行うことにより双眼画像Cを生成し、これをミラーリング画像Mとして平板型ディスプレイ302に供給してもよい。本構成によると、ヘッドマウントディスプレイ100に供給されるHMD画像C(双眼画像C)を平板型ディスプレイ302で確認することができるため、開発者がデバッグを行うことが容易になる。
【0044】
本実施形態では、レンダリング装置200はゲーム機であるが、これに限定されない。レンダリング装置200は、さらにネットワークを介してヘッドマウントディスプレイ100及び平板型ディスプレイ302に接続されたサーバ等であってもよい。
【0045】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。そのような変形例を説明する。
【符号の説明】
【0046】
100 ヘッドマウントディスプレイ、200 レンダリング装置、200a HMD画像用出力ポート、200b ミラーリング画像用出力ポート200b、201 入力データ取得部、202 情報処理部、203 ソース画像生成部、204 ソース画像加工部、204a HMD画像生成部、204b ミラーリング画像生成部、205 通信部、206 データ記憶部、300 データ伝送路、302 平板型ディスプレイ。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
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図9