(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
F24C 15/16 20060101AFI20241128BHJP
F24C 1/00 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
F24C15/16 C
F24C1/00 360A
(21)【出願番号】P 2021054432
(22)【出願日】2021-03-27
【審査請求日】2024-02-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【氏名又は名称】永井 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100147625
【氏名又は名称】澤田 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100190333
【氏名又は名称】木村 群司
(72)【発明者】
【氏名】田中 克幸
(72)【発明者】
【氏名】米倉 祐志
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-261654(JP,A)
【文献】特開2021-011974(JP,A)
【文献】実開昭52-070567(JP,U)
【文献】国際公開第2020/048687(WO,A1)
【文献】特開2000-228916(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 15/16
F24C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食材を入れたトレイを上下に多段状に収容可能として前記トレイに入れた食材を加熱調理するための調理庫と、
前記調理庫内の一方の側部に設けられて前記調理庫内を加熱するヒータと、
前記調理庫内の一方の側部に設けられて前記調理庫内の空気を対流させる対流ファンと、
前記調理庫内で少なくとも前記調理庫の上下の壁部との間に上側通風路と下側通風路が形成されるように、前記ヒータと前記対流ファンとが配設される熱風生成室と前記食材を入れたトレイが収容される食材収容室とを通風可能に仕切る仕切板とを備え、
前記ヒータと前記対流ファンとを作動させることにより前記熱風生成室にて生成される熱風を前記上側及び下側通風路から前記食材収容室に送出することにより、前記調理庫内に収容したトレイ内の食材を加熱調理する加熱調理器であって、
前記調理庫の上壁部には下方に突出する上側突起部と、前記調理庫の下壁部には上方に突出する下側突起部とが設けられ、
前記仕切板の上端部には前記上側突起部が挿通される上側孔部と、前記仕切板の下端部には前記下側突起部が挿通される下側孔部とが設けられ、
前記仕切板の上側孔部に前記上側突起部を差し込み、前記上側孔部に前記上側突起部を挿通した状態にて前記仕切板を下方に移動させて前記下側孔部に前記下側突起部を挿通するようにして、前記仕切板は前記調理庫内に着脱可能に取り付けられ、
前記仕切板の下部には前記下側突起部に係止して前記上側及び下側通風路の高さを調節するための係止部を設けたことを特徴とする加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スチームコンベクションオーブン等の調理庫内を対流する熱風によって食材を加熱調理する加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、調理庫内を対流する熱風によって食材を加熱調理する加熱調理器が開示されている。この加熱調理器は、上下に多段状に収容されたトレイに入れた食材を加熱調理するための調理庫と、調理庫内の左側部に設けられて調理庫内を加熱するヒータと、調理庫内の左側部に設けられて調理庫内の空気を対流させる対流ファンとを備えている。調理庫内の左側部には仕切板が設けられており、仕切板は調理庫内をヒータと対流ファンとが配置される熱風生成室と、トレイが上下に多段状に収容される食材収容室とを通風可能に仕切っている。
【0003】
仕切板には上下及び左右の中央部にて対流ファンの空気の吸込部と対向する位置に吸込口が形成され、仕切板の上下及び前後の端部と調理庫の上下及び前後の壁部との間には通風路が形成されている。ヒータと対流ファンとを作動させて調理庫内の空気を対流させると、食材収容室内の空気は吸込口を通って熱風生成室に吸い込まれ、熱風生成室に吸い込まれた空気はヒータによって加熱されて熱風となり、上部及び前後の通風路から食材収容室に送出され、食材収容室のトレイに入れた食材は対流する熱風によって加熱調理される。
【0004】
この加熱調理器においては、加熱調理後に仕切板を洗浄可能とするために、仕切板は調理庫に着脱可能に取り付けられている。調理庫の上壁部の左側部には下方に突出する上側突起部と、調理庫の下壁部の左側部には上方に突出する下側突起部とが設けられ、仕切板の上端部には上側突起部が挿通される上側孔部と、仕切板の下端部には下側突起部が挿通される下側孔部とが設けられている。調理庫の上側突起部を仕切板の上側孔部に差し込むように仕切板を斜め上方に持ち上げた後で垂直に起立させ、調理庫の上側突起部を仕切板の上側孔部に挿通した状態にて仕切板を下方に移動させて調理庫の下側突起部を仕切板の下側孔部に挿通するようにして、仕切板は調理庫内の左側部に着脱可能に取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1に記載の加熱調理器においては、仕切板の上下及び前後の端部と調理庫の上下及び前後の壁部との間には通風路が形成されており、熱風生成室でヒータと対流ファンによって生成された熱風は上下及び前後の通風路から食材収容室に送出される。調理庫の食材収容室には食材を入れたトレイが上下に多段状に収容されており、トレイ内の食材は各通風路から送出される熱風によって加熱調理され、特に、調理庫内の上部に収容されたトレイ内の食材は上側の通風路から送出される熱風により加熱調理され、調理庫内の下部に収容されたトレイ内の食材は下側の通風路から送出される熱風により加熱調理される。
【0007】
調理庫の上壁部及び下壁部との間に上側の通風路と下側の通風路を形成する仕切板は、調理庫の上側突起部と下側突起部に差し込んで取り付けられているので、上側の通風路が広く形成され、下側の通風路が狭く形成されやすい。このため、食材収容室内の最上段のトレイに入れた食材には熱風が多く供給され、最下段のトレイに入れた食材には熱風が少なく供給され、食材収容室のトレイの上下の高さ位置によって焼き加減に違いが生じるおそれがあった。本発明は、調理庫内に上下に多段状に収容したトレイ内の食材が上下の高さ位置によって焼き加減の違いを生じにくくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、食材を入れたトレイを上下に多段状に収容可能としてトレイに入れた食材を加熱調理するための調理庫と、調理庫内の一方の側部に設けられて調理庫内を加熱するヒータと、調理庫内の一方の側部に設けられて調理庫内の空気を対流させる対流ファンと、調理庫内で少なくとも調理庫の上下の壁部との間に上側通風路と下側通風路が形成されるように、ヒータと対流ファンとが配設される熱風生成室と食材を入れたトレイが収容される食材収容室とを通風可能に仕切る仕切板とを備え、ヒータと対流ファンとを作動させることにより熱風生成室にて生成される熱風を上側及び下側通風路から食材収容室に送出することにより、調理庫内に収容したトレイ内の食材を加熱調理する加熱調理器であって、調理庫の上壁部には下方に突出する上側突起部と、調理庫の下壁部には上方に突出する下側突起部とが設けられ、仕切板の上端部には上側突起部が挿通される上側孔部と、仕切板の下端部には下側突起部が挿通される下側孔部とが設けられ、仕切板の上側孔部に上側突起部を差し込み、上側孔部に上側突起部を挿通した状態にて仕切板を下方に移動させて下側孔部に下側突起部を挿通するようにして、仕切板は調理庫内に着脱可能に取り付けられ、仕切板の下部には下側突起部に係止して上側及び下側通風路の高さを調節するための係止部を設けたことを特徴とする加熱調理器を提供するものである。
【0009】
上記のように構成した加熱調理器においては、調理庫の上壁部には下方に突出する上側突起部と、調理庫の下壁部には上方に突出する下側突起部とが設けられ、仕切板の上端部には上側突起部が挿通される上側孔部と、仕切板の下端部には下側突起部が挿通される下側孔部とが設けられている。仕切板の上側孔部に上側突起部を差し込み、上側孔部に上側突起部を挿通した状態にて仕切板を下方に移動させて下側孔部に下側突起部を挿通するようにして、仕切板は調理庫内の一方の側部に着脱可能に取り付けられている。仕切板を調理庫の上側突起部に差し込んでから下側突起部に挿通するようにして調理庫に取り付けたときには、調理庫の上壁部と仕切板の上端と間に形成される上側通風路が広くなり、調理庫の下壁部と調理庫の下端との間に形成される下側通風路が狭くなり、調理庫内の最上段に収容されたトレイに入れた食材に送られる熱風が多く、調理庫内の最下段に収容されたトレイに入れた食材に送られる熱風が少なく、調理庫内のトレイを収容する上下位置によって食材の焼き加減が異なるおそれがある。
【0010】
この加熱調理器においては、仕切板の下部には下側突起部に係止して上側及び下側通風路の高さを調節するための係止部が設けられているので、係止部を調理庫の下側突起部に係止させることで、調理庫の下壁部と仕切板の下端との間に形成される下側通風路を係止部を設けていないときよりも広くし、調理庫の上壁部と仕切板の上端と間に形成される上側通風路を係止部を設けていないときよりも狭くすることができ、調理庫内のトレイを収容する上下位置によって食材の焼き加減を異なりにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の加熱調理器の実施形態の正面図である。
【
図3】前後方向の中央部における縦方向断面図である。
【
図5】支持フレームを取り外したときのA-A断面図である。
【
図7】支持フレームの前部を下方から見た拡大斜視図である。
【
図9】仕切板と支持フレームとを取り外したときのA-A断面図である。
【
図10】ハウジングの左パネルを取り外して機械室が見えるようにした左側面図である。
【
図11】加熱調理器の主として洗浄水が流れる部分の概略図である。
【
図13】仕切板の下部に切欠部を形成した実施形態の
図5に相当する断面図である。
【
図15】仕切板の下部にのみ吹出口を形成した実施形態の
図4に相当する断面図である。
【
図17】仕切板の上部に上側の通風路に送出する熱風の風量を規制する規制板を設けた実施形態の
図3に相当する断面図である。
【
図18】仕切板の上部にのみ吹出口を形成した実施形態の
図4に相当する断面図である。
【
図20】熱風生成室側にショートサイクル防止用の箱形のガイドを設けた実施形態の
図3に相当する断面図であるである。
【
図21】従来の加熱調理器の下部の前後方向に沿った縦方向断面図である。
【
図22】加熱調理器の下部の前後方向に沿った縦方向断面図である。
【
図23】他の実施形態のパッキンを示す
図22に相当する縦方向断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明の加熱調理器の一実施形態を添付図面を参照して説明する。本発明の加熱調理器は、スチームコンベクションオーブンと呼ばれるもので、蒸気を含んだ熱風を調理庫20内で対流させて食材を加熱調理するものである。また、この加熱調理器は、調理庫20内を洗浄水によって自動で洗浄する洗浄機能付きの加熱調理器である。
図1に示したように、加熱調理器10は、ハウジング11内の左側部に機械室12と、ハウジング11内の機械室12を除いた部分に食材を加熱調理するための調理庫20とを備えている。
図2に示したように、調理庫20の前面部には食材を出し入れする開口部20aが設けられており、開口部20aにはこれを開閉する扉13が設けられている。調理庫20の開口部20aの周縁部にはパッキン14が設けられており、パッキン14は調理庫20の開口部20aの周縁部と閉塞させた状態の扉13との間をシールしている。
【0013】
図3に示したように、調理庫20は、食材を収容して加熱調理するためのものであり、調理庫20の左側部を除く部分を食材を収容する食材収容室21とし、調理庫20の左側部を食材収容室21に送り出す熱風を生成する熱風生成室22としている。調理庫20内の左右方向の中央部より左側となる左側部には仕切板23が着脱可能に設けられており、調理庫20内は仕切板23によって食材収容室21と熱風生成室22とに通風可能に仕切られている。また、調理庫20の食材収容室21には左右両側部にトレイTを上下に多段状に支持する左右一対の支持フレーム30が着脱可能に設けられており、食材を入れるトレイTは左右一対の支持フレーム30によって食材収容室21内に上下に10段(多段)で収容可能となっている。
【0014】
図3~
図5に示したように、調理庫20の上壁部には仕切板23が配設される位置に仕切板23を取り付けるための前後一対の上側突起部20b(
図3では後側の上側突起部20bだけが示されている)が下方に突出して設けられ、調理庫20の下壁部には仕切板23が配設される位置に仕切板23を取り付けるための前後一対の下側突起部20c(
図3では後側の下側突起部20cだけが示されている)が上方に突出して設けられている。この実施形態の下側突起部20cは段付きの突起形状をしている。
【0015】
図3に示したように、調理庫20の上壁部には食材収容室21の右側部に右側の支持フレーム30を取り付けるための前後一対の上側突起部20d(
図3では後側の上側突起部20dだけが示されている)が下方に突出して設けられ、調理庫20の下壁部には食材収容室21の右側部に右側の支持フレーム30を取り付けるための前後一対の下側突起部20e(
図3では後側の下側突起部20eだけが示されている)が上方に突出して設けられている。
図4及び
図5に示したように、調理庫20の上壁部には食材収容室21の左側部に左側の支持フレーム30を取り付けるための前後一対の上側突起部20fが下方に突出して設けられ、調理庫20の下壁部には食材収容室21の左側部に左側の支持フレーム30を取り付けるための前後一対の下側突起部20gが上方に突出して設けられている。この実施形態の下側突起部20e,20gは段付きの突起形状をしている。上側突起部20b,20d,20fは下側突起部20c,20e,20gの直上の位置に配置されている。
【0016】
図3及び
図5に示したように、仕切板23は、食材収容室21と熱風生成室22とを通風可能に仕切っており、熱風生成室22に配設された対流ファン25の吸込部を覆うファンカバーの機能を有している。仕切板23の上端部及び下端部には食材収容室21側に屈曲して形成した取付部23a,23bが設けられており、上側の取付部23aには調理庫20の上側突起部20bが挿通される上側孔部23cが形成され、下側の取付部23bには下側突起部20cが挿通される下側孔部23dが形成されている。仕切板23の上側孔部23cには調理庫20の上側突起部20bが挿通され、仕切板23の下側孔部23dには調理庫20の下側突起部20cが挿通されている。
【0017】
仕切板23を調理庫20内に取り付けるときには、仕切板23を斜め上方に持ち上げて、仕切板23の上側孔部23cに調理庫20の上側突起部20bを差し込み、仕切板23の上端が調理庫20の上壁部に接近または当接するまで仕切板23を持ち上げながら鉛直に起立させる。仕切板23の上側孔部23cに上側突起部20bを挿通した状態にて仕切板23を下方に移動させて下側孔部23dに調理庫20の下側突起部20cを挿通させることで、仕切板23は調理庫20の上側突起部20bと下側突起部20cに係合して調理庫20の左側部に取り付けられる。
【0018】
図4及び
図5に示したように、仕切板23の上下及び左右の中央部には後述する対流ファン25の吸込部に対向する位置に吸込口23eが形成されており、食材収容室21内の空気は吸込口23eを通って熱風生成室22に送られる。仕切板23は上側孔部23cと下側孔部23dに調理庫20の上側突起部20bと下側突起部20cとを差し込むことによって調理庫20の左側部に着脱可能に取り付けられており、仕切板23と調理庫20の壁部(上壁部、下壁部、前壁部及び後壁部)との間には隙間よりなる通風路23fが形成されている。また、仕切板23の吸込口23eの上下及び前後の周囲には複数の長孔よりなる吹出口23gが形成されており、これらの吹出口23gは前後及び上下に並べて配置されている。吹出口23gは上下に延びる長孔によって形成されており、吹出口23gの下端に後述する洗浄水が残りにくくなっている。熱風生成室22内の空気(熱風)は通風路23f及び吹出口23gを通って食材収容室21に送られる。
【0019】
上述したように、仕切板23の上側孔部23cに調理庫20の上側突起部20bを差し込むように仕切板23を持ち上げた後で、仕切板23は下側孔部23dに調理庫20の下側突起部20cを差し込むように仕切板23を下方に移動させるようにして、仕切板23は調理庫20の左側部に着脱可能に取り付けられている。仕切板23の下端を下側突起部20cの段部に載置されるまで仕切板23を下方に移動させると、仕切板23の下端と調理庫20の下壁部との間に形成される下側の通風路23fは仕切板23の上端と調理庫20の上壁部との間に形成される上側の通風路23fよりも大幅に狭くなる。下側の通風路23fと上側の通風路23fとの通風量が大幅に異なると、食材収容室21に収容されたトレイTの上下位置によって食材の焼き加減が異なるおそれがある。
【0020】
図5に示したように、この実施形態の加熱調理器10においては、上下の通風路23fの通風量が大幅に異ならないように、仕切板23の下部には調理庫20の下側突起部20cに係止する係止部23hが設けられている。係止部23hは板金部材をL字形に屈曲させたものであり、係止部23hの鉛直部が仕切板23の下部に固定され、係止部23hの水平部が下側突起部20cの上側に延出して下側突起部20cの先端部に係止している。仕切板23の水平部が下側突起部20cの先端部に係止しているので、仕切板23の下端が調理庫20の下側突起部20cの段部から離間した状態となり、上側及び下側の通風路23fの高さが互いに調節され、上側及び下側の通風路23fの通風量が同程度となり、食材収容室21に収容されたトレイTの上下位置によって食材の焼き加減が異なりにくくなる。
【0021】
図2及び
図3に示したように、支持フレーム30は、食材を入れたトレイTを上下10段に並べて支持するものであり、調理庫20の食材収容室21に左右一対で配設されている。左右の支持フレーム30は、右側の支持フレーム30の下部に芯温センサ44を保持するホルダ45が設けられている以外は左右対称の形状であるので、以後の説明では特段の説明がない限り右側の支持フレーム30について説明し、左側の支持フレーム30に対応する箇所ついては必要に応じて括弧書きにて説明する。
【0022】
図6に示したように、支持フレーム30は主として金属製の線材を屈曲加工したものであり、調理庫20の前部に配設される2本の前側支柱31,32と、調理庫20の後部に配設される1本の後側支柱33とを備えている。後側支柱33は、前側支柱31,32よりも食材収容室21の内側に配置され、収容されるトレイTの後端部に係止可能となっている。前後の支柱31~33の上端部及び下端部には上下の連結バー34,35が設けられており、上下の連結バー34,35は前後の支柱31~33の上端部と下端部に固定されている。また、上下の連結バー34,35の間には上下に延びる3本の間柱36~38が設けられており、3本の間柱36~38は上下の連結バー34,35に固定されている。
【0023】
2本の前側支柱31,32の上端部及び下端部には上側及び下側固定板39,40が設けられており、前側支柱31,32は上側及び下側固定板39,40によって調理庫20の上壁部及び下壁部に着脱可能に取り付けられている。
図7は支持フレーム30の前部を下方から見た斜視図であり、
図6及び
図7に示したように、上側及び下側固定板39,40には嵌合孔39a,40aが形成されており、上側突起部20d(20f)及び下側突起部20e(20g)は各嵌合孔39a,40aに嵌合されている。上側及び下側固定板39,40には嵌合孔39a,40aの前側に板ばね39b,40bが設けられており、板ばね39b,40bは上側突起部20d(20f)及び下側突起部20e(20g)に係合している。
【0024】
図6及び
図7に示したように、上側及び下側固定板39,40には2つの貫通孔が形成されており、2本の前側支柱31,32の上端及び下端は上側及び下側固定板39,40の各貫通孔に挿通された状態で溶接によって固定されている。2本の前側支柱31,32の上端及び下端は上側及び下側固定板39,40の各貫通孔に挿通された状態で溶接により固定されているので、2本の前側支柱31,32は上側及び下側固定板39,40に対して位置合わせが容易となる。また、2本の前側支柱31,32は、上側及び下側固定板39,40の垂直屈曲部分に対しても溶接によって固定されている。後側支柱33の上端部及び下端部には環状に屈曲させた環状部33a,33bが形成されており、環状部33a,33bは調理庫20の後部の上側突起部20d(20f)と下側突起部20e(20g)に回動可能かつ着脱可能に係合している。
【0025】
図6に示したように、前側支柱31,32と後側支柱33との間には上下に離間する10箇所の位置にトレイTの左右の側縁を支持するレール41が配設されている。レール41はトレイTの左右の側縁の下側を支持する下側レール42と、トレイTの左右の側縁の上側に配置される上側レール43とを備えている。下側レール42は前後に延出してトレイTの左右の側縁を載せるレール部42aを備え、レール部42aは間柱37,38の位置で外側に屈曲し、間柱37,38及び後側支柱33に固定されている。
図6及び
図8に示したように、レール部42aの前端部は前側支柱31よりも前側に配置され、レール部42aの前端部には外側の斜め下方に延出した先端部をさらに後方に延出するように屈曲させた逃がし部42bが形成されている。逃がし部42bの先端部は前側支柱31に固定されている。上側レール43は前後に延出し、前側支柱31,32、間柱37,38及び後側支柱33に固定されている。上側レール43は、トレイTの上側に配置され、トレイTが加熱調理中に熱によって上側に反るのを防ぐ機能を有している。
【0026】
この種の支持フレーム30おいて、レール部42aの前端部を外側に水平に延出した先端部をさらに後方に延出するように屈曲させたものでは、トレイTをレール部42aに沿って前後に移動させるときに、レール部42aの前端部から外側に水平に延出させた部分が前後に移動するトレイTの左右の側縁によって削られて摩耗するおそれがある。これに対し、逃がし部42bはレール部42aの前端部分で外側の斜め下方に延出しているために、前後に移動するトレイTの左右の側縁に接触せず、逃がし部42bが前後に移動させたトレイTの側縁によって削られて摩耗しないようになる。
【0027】
図8に示したように、食材収容室21の左右両側部に配置された左右一対の支持フレーム30の逃がし部42bは前側から見た形状がハ字形となっている。トレイTを下側レール42のレール部42aに支持させたときに、左右の各下側レール42には食材収容室21の中央側に傾く荷重が付与されるようになり、トレイTが左右の下側レール42から外れにくくなる。さらに、
図6に示したように、レール部42aの後端部が後側支柱33に直接固定されているのに対し、レール部42aの前端部は外側の斜め下方に延びる逃がし部42bを介して前側支柱31に固定されているので、レール部42aに食材を入れたトレイTを支持させたときに、下側レール42の前側が僅かに下方に傾くようになる。これによって、食材収容室21内で支持フレーム30に支持されたトレイTを前側に引き出すことなく、トレイTに入れた食材の焼き加減を確認することができるようになる。
【0028】
図6に示したように、右側の支持フレーム30には、前側支柱31の下部に芯温センサ44を保管するためのホルダ45が設けられている。ホルダ45は、芯温センサ44の持手部44aを保持する下側ホルダ46と、芯温センサ44の棒状の温度検知部44bを保持する上側ホルダ47とを備えている。下側ホルダ46は、金属製線材を曲げ加工したものであり、前側支柱31から前方に突き出るように設けられ、芯温センサ44の持手部44aを前側から出し入れ可能に保持する前側に開口した保持部46aと、保持部46aの前端から前側支柱31側となる斜め後下方に延びる脚部46bとを備えている。
【0029】
上側ホルダ47は、金属製線材を食材収容室21の中央側に開くコ字形に曲げ加工して、前側支柱31との間に斜め前下方に開口する下方に開口する開口部が形成されるようにしたものである。上側ホルダ47は、芯温センサ44の持手部44aを下側ホルダ46に保持させたときに、温度検知部44bの先端部を保持できる高さ位置で前側支柱31に固定されている。
【0030】
上側ホルダ47の開口部に芯温センサ44の温度検知部44bの先端を差し込んで保持させた後で、下側ホルダ46の保持部46aに芯温センサ44の持手部44aを保持させることにより、芯温センサ44はホルダ45に保持される。このとき、芯温センサ44の電気配線44cは持手部44aから垂れ下がるが、下側レール42の前端部(特に逃がし部42b)が前側支柱31よりも前側に突出しているので、電気配線44cは右側の支持フレーム30より食材収容室21の中央側に垂れ下がらないようになり、トレイTの出し入れをする際に電気配線44cが邪魔にならない。
【0031】
図3及び
図9に示したように、調理庫20の熱風生成室22にはヒータ24と対流ファン25が設けられている。ヒータ24は、調理庫20内を加熱するものであり、調理庫20の左側壁にて略環状に巻回されている。対流ファン25は、調理庫20内の空気を対流させるものであり、調理庫20の左側壁にて略環状に巻回されたヒータ24の内側に取り付けられている。この実施形態の対流ファン25は、シロッコファンよりなる遠心ファンが採用されている。対流ファン25を作動させると、食材収容室21の空気は仕切板23の吸込口23eを通って熱風生成室22に吸い込まれ、吸い込まれた空気は熱風生成室22にて遠心方向外向きに吹き出され、吹き出された空気は上下及び前後の通風路23f及び吹出口23gを通って食材収容室21に戻される。また、ヒータ24とともに対流ファン25を作動させたときには、食材収容室21から熱風生成室22に吸い込まれた空気は対流ファン25の外側に配置されるヒータ24に吹き付けられて高温の熱風となり、高温の熱風は上下及び前後の通風路23fを通って食材収容室21に戻される。
図9に示したように、調理庫20の熱風生成室22には温度センサ26が設けられている。温度センサ26は、調理庫20内の温度を検出するものであり、調理庫20の左側壁にてヒータ24の外側に配設されている。
【0032】
図10に示したように、ハウジング11の機械室12には調理庫20内に蒸気を供給する蒸気発生装置50が設けられている。蒸気発生装置50は、誘導加熱によって水を加熱して蒸気を発生させるものであり、機械室12に設けたタンク15の上側に立設している。なお、タンク15は、蒸気発生装置50から排水を流すのに用いられるだけでなく、調理庫20から排水を流すのに用いられ、調理庫20から排出される空気の温度を検出することで調理庫20の蒸気量を測定するのにも用いられるとともに、後述する洗浄プログラムを実行するときに洗浄水を貯えるのに用いられている。蒸気発生装置50は、所定の水位の水を貯えた筒形の蒸気発生容器51と、蒸気発生容器51内の水を加熱する加熱体52(
図11に示した)と、蒸気発生容器51の外周に巻回されて加熱体を発熱させる誘導加熱コイル53と、蒸気発生容器51内で発生した蒸気を調理庫20に送出する蒸気送出筒54と、蒸気発生容器の下部に設けられて蒸気発生容器51内の水を排水する排水弁55(
図11に示した)とを備えている。蒸気送出筒54は
図4、
図5及び
図9に示した調理庫20の左側壁に形成された蒸気導入口20hに接続されており、蒸気発生容器51内で発生した蒸気は蒸気送出筒54を通って蒸気導入口20hから調理庫20内に送られる。
【0033】
図11に示したように、調理庫20の下壁部には排水口20iが形成されており、調理庫20の上壁部には洗浄ノズル60が設けられており、排水口20iと洗浄ノズル60とは洗浄水通路によって接続されている。洗浄ノズル60は略円柱形をして、食材収容室21の略中央部にて排水口20iの鉛直方向の上側に配置されている。排水口20iには洗浄水等の液体を通過させるとともに落下した食材等の固形物が通過するのを防ぐ排水目皿20jが設けられており、調理庫20の洗浄水等の液体は排水目皿20jによってタンク15に通過可能となっている。
【0034】
排水口20iは第1排水管16によってタンク15に接続されており、調理庫20内の洗浄水は排水口20iから第1排水管16を通ってタンク15に送られる。タンク15と洗浄ノズル60とは洗浄水送出管61によって接続されており、タンク15内の洗浄水は洗浄水送出管61を通って洗浄ノズル60に送られる。洗浄水送出管61にはポンプ62が介装されており、調理庫20からタンク15内に送られた洗浄水はポンプ62によって洗浄水送出管61を通って洗浄ノズル60に送られる。
【0035】
タンク15には水道等の給水源から洗浄用の水(洗浄水)を供給する給水管63が接続されており、給水管63には給水弁63aと流量計63bが介装されている。給水源の水は給水弁63aを開放させることによって給水管63を通ってタンク15内に供給される。給水弁63aを開放したときに給水管63を通過する水の流量は流量計63bによって計測される。
【0036】
洗浄水送出管61には洗浄水が流れる方向のポンプ62より上流側に第2排水管17が接続されており、第2排水管17には排水弁17aが介装されている。タンク15内の洗浄水を含めた水は排水弁17aを開放することによって第2排水管17を通ってハウジング11の外側に排出される。また、洗浄水をタンク15と調理庫20とを循環させるときには、排水弁17aを閉止させた状態で給水弁63aを流量計63bの検出流量に応じた開放時間で開放させると、タンク15には所定量の洗浄水が貯えられる。タンク15に貯えられた洗浄水はポンプ62の作動によって洗浄水送出管61を通って洗浄ノズル60に送られ、送られた洗浄水は洗浄ノズル60から調理庫20内に噴射される。調理庫20内に噴射された洗浄水は調理庫20の下壁部の排水口20iから第1排水管16を通ってタンク15に戻される。このように、洗浄水はポンプ62の作動によってタンク15と調理庫20とを循環する。
【0037】
タンク15にはオーバーフロー管18が接続されており、タンク15内で過剰な水位の洗浄水はオーバーフロー管18から排出される。オーバーフロー管18の導出端部は第2排水管17の排水弁17aより下流側に接続されており、タンク15から溢れ出た洗浄水等の水はオーバーフロー管18と第2排水管17とを通ってハウジング11の外側に排出される。タンク15には排気筒19が立設しており、調理庫20内の空気は排水口20iから第1排水管16を通ってタンク15に送られ、タンク15に送られた空気は排気筒19を通ってハウジング11の外側に排出される。
【0038】
図12に示したように、加熱調理器10は制御装置70を備えており、制御装置70は、排水弁17a、ヒータ24、対流ファン25、温度センサ26、蒸気発生装置50、ポンプ62、給水弁63a及び流量計63bに接続されている。制御装置70はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータはバスを介してそれぞれ接続されたCPU、RAM、ROM及びタイマ(いずれも図示省略)を備えている。制御装置70は、後述する各制御プログラムを実行するときに上記の各構成部品の作動を制御している。
【0039】
制御装置70は、ROMに調理庫20内の食材を加熱調理するための調理プログラムを備えている。調理プログラムは、ヒータ24と対流ファン25を作動させて対流する熱風により食材を加熱調理するホットエアーモード調理プログラムと、対流ファン25と蒸気発生装置50を作動させて対流する蒸気を含んだ熱風により食材を加熱調理するスチームモード調理プログラムと、ヒータ24と対流ファン25と蒸気発生装置50を作動させて対流する蒸気を含んだ高温の熱風により食材を加熱調理するコンビモード調理プログラムとの3種類の調理プログラムを備えている。なお、ROMには調理庫20内の設定温度、蒸気量及び調理時間が予め設定された調理プログラムが記憶されているとともに、調理プログラムの調理庫20の設定温度、蒸気量及び調理時間をユーザが設定可能としている。
【0040】
調理プログラムのホットエアーモード調理プログラムを実行したときには、ヒータ24と対流ファン25との作動により、調理庫20内の空気は熱風になって対流し、調理庫20の食材収容室21に収容した食材は対流する熱風によって加熱調理される。具体的には、ヒータ24と対流ファン25とを作動させると、調理庫20の食材収容室21内の空気は吸込口23eを通って熱風生成室22に送られ、熱風生成室22に送られた空気はヒータ24を通過するときに加熱されて熱風となり、熱風生成室22で生成された熱風は上下及び前後の通風路23fと吹出口23gを通って食材収容室21に送られる。食材収容室21に送られた熱風は吸込口23eから熱風生成室22に送られ、食材収容室21内にて支持フレーム30に10段で支持されたトレイTに入れた食材は、食材収容室21と熱風生成室22とを対流する熱風によって加熱調理される。
【0041】
また、調理プログラムのコンビモード調理プログラムを実行したときには、ヒータ24と対流ファン25との作動により、調理庫20内の空気は熱風になって対流するとともに、調理庫20内には蒸気発生装置50から蒸気が供給されることで、調理庫20内を対流する熱風は蒸気を含むようになり、調理庫20内に収容した食材は蒸気を含んで対流する熱風によって加熱調理される。具体的には、ヒータ24と対流ファン25と蒸気発生装置50を作動させると、調理庫20の食材収容室21内の空気は吸込口23eを通って熱風生成室22に送られ、熱風生成室22に送られた空気はヒータ24を通過するときに加熱されて熱風となるとともに蒸気発生装置50から送出される蒸気を含むようになり、熱風生成室22で生成された蒸気を含んだ熱風は上下及び前後の通風路23fと吹出口23gを通って食材収容室21に送られる。食材収容室21に送られた蒸気を含んだ熱風は吸込口23eから熱風生成室22に送られ、食材収容室21内にて支持フレーム30に10段で支持されたトレイTに入れた食材は、食材収容室21と熱風生成室22とを対流する蒸気を含んだ熱風によって加熱調理される。
【0042】
制御装置70は、ROMに調理庫20内を洗浄水により自動で洗浄する洗浄プログラムを備えている。洗浄プログラムは調理庫20内を蒸気によって予め洗浄する蒸気予洗浄運転と、調理庫20内を高温の洗浄水によって洗浄する4回(1回以上)の洗浄運転とを有した第1洗浄プログラムと、蒸気予洗浄運転を有さずに調理庫20内を高温の洗浄水によって洗浄する4回(1回以上)の洗浄運転を有した第2洗浄プログラムを備え、第1及び第2洗浄プログラムを選択可能としている。
【0043】
第1洗浄プログラムの蒸気予洗浄運転は、蒸気発生装置50により調理庫20内に蒸気を供給して調理庫20内を蒸気によって予め洗浄するものである。蒸気予洗浄運転により、調理庫20内に付着している油分の汚れ(油汚れ)は、蒸気によって浮きあがるようになって、蒸気予洗浄運転後の洗浄運転による高温の洗浄水によって洗い流されやすくなる。
【0044】
第1及び第2洗浄プログラムの洗浄運転は、ポンプ62を作動させることによってタンク15内の洗浄水を洗浄ノズル60に送出し、送出した洗浄水を洗浄ノズル60から調理庫20内に噴射させ、噴射させた洗浄水をヒータ24と対流ファン25を作動させることによって対流する熱風によって加熱した状態で調理庫20内に飛散させ、飛散させた高温の洗浄水を排水口20iからタンク15に戻すようにし、タンク15との間を循環する高温の洗浄水によって調理庫20内を洗浄する処理である。第1及び第2洗浄プログラムは、この実施形態では4回の洗浄運転を実行するように制御されており、1回目の洗浄運転は洗剤を含んだ高温の洗浄水を調理庫20内に飛散させて洗浄するものであり、2回目以後の洗浄運転は高温の洗浄水を調理庫20内に飛散させて調理庫20内に残る洗剤を含んだ洗浄水を洗い流す濯ぎ洗浄をするものである。
【0045】
上記のように構成した加熱調理器10は、食材を入れたトレイTを上下に10段で(多段状に)収容可能としてトレイTに入れた食材を加熱調理するための調理庫20と、調理庫20内の一方の側部として左側部に設けられて調理庫20内を加熱するヒータ24と、調理庫20内の左側部に設けられて調理庫20内の空気を対流させる対流ファン25と、調理庫20内で少なくとも調理庫20の上下の壁部との間に上側の通風路23fと下側の通風路23fが形成されるように、ヒータ24と対流ファン25とが配設された熱風生成室22と食材を入れたトレイTが収容される食材収容室21とを通風可能に仕切る仕切板23とを備えている。
【0046】
この加熱調理器10においては、ヒータ24と対流ファン25とを作動させることにより、食材収容室21内の空気が吸込口23eを通って熱風生成室22に吸い込まれ、吸い込まれた空気は熱風生成室22にヒータ24によって加熱されて熱風となり、生成された熱風は少なくとも上側及び下側の通風路23fから、この実施形態では、さらに、前後の通風路23fと吹出口23gから食材収容室21に送出され、調理庫20内に収容したトレイT内の食材は食材収容室21と熱風生成室22とを対流する熱風によって加熱調理される。調理庫20内は食材を加熱調理したときに飛散する油等で汚れるために、調理庫20内の仕切板23と支持フレーム30とを調理庫20に着脱可能に取り付けるようにして、調理庫20の内部、仕切板23及び支持フレーム30の洗浄性を高めるようにしている。
【0047】
調理庫20内に仕切板23を着脱可能に取り付けるために、調理庫20の上壁部には下方に突出する上側突起部20bと、調理庫20の下壁部には上方に突出する下側突起部20cとが設けられ、仕切板23の上端部には上側突起部20bが挿通される上側孔部23cと、仕切板23の下端部には下側突起部20cが挿通される下側孔部23dとが設けられている。仕切板23の上側孔部23cに上側突起部20bを差し込み、上側孔部23cに上側突起部20bを挿通した状態にて仕切板23を下方に移動させて下側孔部23dに下側突起部20cを挿通するようにして、仕切板23は調理庫20内の左側部に着脱可能に取り付けられている。
【0048】
仕切板23を調理庫20の上側突起部20bに差し込んでから下側突起部20cに挿通するようにして調理庫20に取り付けたときには、調理庫20の上壁部と仕切板23の上端と間に形成される上側の通風路23fが広くなり、調理庫20の下壁部と仕切板の下端との間に形成される下側の通風路23fが狭くなり、調理庫20内にて最上段に収容されたトレイTに入れた食材に送られる熱風が多く、調理庫20内にて最下段に収容されたトレイTに入れた食材に送られる熱風が少なく、調理庫20内のトレイTを収容する上下位置によって食材の焼き加減が異なるおそれがある。
【0049】
この加熱調理器10においては、仕切板23の下部には調理庫20の下側突起部20cに係止して上側及び下側の通風路23fの高さを調節するための係止部23hが設けられている。これにより、係止部23hを調理庫20の下側突起部20cに係止させることで、調理庫20の下壁部と仕切板23の下端との間に形成される下側の通風路23fを係止部23hを設けていないときよりも広くし、調理庫20の上壁部と仕切板23の上端と間に形成される上側の通風路23fを係止部23hを設けていないときよりも狭くすることができ、調理庫20内のトレイTを収容する上下位置によって焼き加減が異なりにくくすることができる。
【0050】
上記の実施形態においては、仕切板23の下部には調理庫20の下側突起部20cに係止する係止部23hが設けられており、上側及び下側の通風路23fの高さを調節するようにしている。下側の通風路23fから送出される熱風の通風量を増やす他の手段として、
図13及び
図14に示した実施形態では、仕切板23の下部に切欠部23iが形成され、下側の通風路23fから送出される熱風の通風量を増加させることで、上側及び下側の通風路23fの通風量を同じ程度に調節している。仕切板23の下部に切欠部23iを形成した実施形態では、上述した洗浄プログラムを実行したときに、排水口20iの上側に溜まる洗剤を調理庫20の庫内全体に飛散させることができ、洗浄機能を高めることができるようになる。また、仕切板23の下部の切欠部23iには、上辺部に食材収容室21側に延出するガイド23jが設けられている。切欠部23iの上辺部に食材収容室21側に延出するガイド23jを設けたことで、熱風生成室22から切欠部23iを通過する熱風が直ぐ上側の吸込口23eに流れて庫内全体を対流しない、所謂ショートサイクルとなるのを防ぐことができる。さらに、切欠部23iに手を掛けて仕切板23を持ち上げるときに、ガイド23jによって仕切板23を持ち上げる手に当たる面積を大きくすることができ、仕切板23の切欠部23iに手を掛けやすくすることができる。
【0051】
また、最下段のトレイTに熱風を多く送出する他の手段として、
図15及び
図16に示した実施形態では、下側の通風路23fの通風量を増加させる代わりに、仕切板23には最も下側のトレイTと対向する位置にのみ吹出口23gが形成され、仕切板23の熱風生成室22側の下部には吹出口23gに熱風を案内するガイド23jが設けられている。熱風生成室22で生成された熱風は上下及び前後の通風路23fから送出されるとともに、ガイド23jによって最下段のトレイTに対向する位置に形成された吹出口23gから最下段のトレイTに吹き出され、特に、最下段のトレイTに入れた食材に熱風を多く送ることができる。これによって、下側の通風路23fから送出される熱風の通風量が少なくても、吹出口23gから最下段のトレイTに熱風を多く送出することができ、調理庫20内のトレイTを収容する上下位置によって食材の焼き加減を異なりにくくすることができる。
【0052】
また、調理庫20内のトレイTを収容する上下位置によって焼き加減が異なりにくくする代わりの手段として、
図17に示した実施形態では、仕切板23の熱風生成室22側の上部に上側の通風路23fに送られる熱風を規制する規制板23kが設けられている。熱風生成室22で生成された熱風は上下及び前後の通風路23fから送出されるが、上側の通風路23fから送出される熱風は規制板23kによって風量が規制されているので、最上段のトレイTに熱風が多く送られないようになり、調理庫20内のトレイTを収容する上下位置によって食材の焼き加減を異なりにくくすることができる。
【0053】
上述した実施形態においては、仕切板23の上下及び前後の中央部には吸込口23eが形成され、仕切板23の上下及び前後の端部と調理庫20の上下及び前後の壁部との間に通風路23fが形成され、仕切板23の吸込口23eの上下及び前後には吹出口23gが形成されている。食材収容室21内の空気は吸込口23eから熱風生成室22に吸い込まれ、吸い込まれた空気は熱風生成室22内でヒータ24により加熱されて熱風となり、生成された熱風は上下及び前後の通風路23f及び吹出口23gから食材収容室21に送出され、食材収容室21内にて上下に10段で収容されたトレイT内の食材は食材収容室21と熱風生成室22とを対流する熱風によって加熱調理される。
【0054】
この加熱調理器10においては、吸込口23eと同じ高さ位置の上から3段目~8段目のトレイTには食材収容室21から吸込口23eを通って熱風生成室22に吸い込まれる熱風により加熱されやすく、最上段と最下段のトレイTには熱風生成室22から上側及び下側の通風路23fを通過する熱風により加熱されやすい。これに対し、吹出口23gは上から2段目~9段目と同じ高さ位置に形成されているものの、吸込口23eから吸い込まれる熱風の量や、上側及び下側の通風路23fを通過する熱風の量よりも少なく、特に2段目のトレイTには多くの熱風が送出されず、食材収容室21内にて10段で収容したトレイTの高さ位置により焼き加減が異なるおそれがある。
【0055】
上から2段目のトレイTに熱風が送出されにくいことに起因してトレイTの収容位置により焼き加減が異なる問題に対しては、
図18及び
図19に示した実施形態では、仕切板23には上から2段目に対向する位置にのみ吹出口23gが形成され、仕切板23の熱風生成室22側の下部に吹出口23gに熱風を案内するガイド23lが設けられている。熱風生成室22で生成された熱風は上下及び前後の通風路23fから送出されるとともに、ガイド23lによって上から2段目のトレイTに対向する位置に形成された吹出口23gから上から2段目のトレイTに吹き出され、特に、上から2段目のトレイTに入れた食材に熱風を多く送ることができる。これによって、上から2段目のトレイTにも吹出口23gから熱風を多く送出することができ、調理庫20内のトレイTを収容する上下位置によって焼き加減が異なりにくくすることができる。
【0056】
また、上述した実施形態においては、仕切板23は対流ファン25に対して10mm程度の隙間を介して配置され、仕切板23が回転する対流ファン25に対して接触するのを防ぐようにしている。この場合には、対流ファン25から遠心方向外側に吹き出された空気が直ぐに吸込部から吸い込まれるおそれがあり、調理庫20の庫内全体に熱風が対流しない、所謂ショートサイクルとなるおそれがある。
図20に示した実施形態では、仕切板23の熱風生成室22側に浅い箱状のガイド23mが設けられている。浅い箱状のガイド23mは仕切板23から対流ファン25の吸込側の端面位置まで立ち上がり、ガイド23mの対流ファン25と対向する位置には対流ファン25の直径よりも少し大きな円形の開口部23nが形成されている。仕切板23の熱風生成室22側にガイド23mを設けたことで、対流ファン25から吹き出された空気が直ぐに吸込部から吸い込まれにくくなり、対流ファン25により吹き出された空気が熱風となって庫内全体を対流しやすくなる。
【0057】
また、この加熱調理器10においては、調理庫20の前面の開口部20aの周縁部には内側に凹む溝20kが形成されており、この溝20kには扉13との間をシールするパッキン14が設けられている。
図21に示したように、この種の従来の加熱調理器においては、パッキン80は、溝20kに嵌合される基部81と、基部81に一体的に形成されて扉13との間で変形してシールする緩衝部82とを備えている。基部81及び緩衝部82には中空部81a,82aが形成されており、基部81の中空部81aは溝20k内に収納されやすくする機能を有し、緩衝部82の中空部82aは扉13から押圧力を受けたときに調理庫20の前後方向に潰れやすくする機能を有している。パッキン80は基部81及び緩衝部82に中空部81a,82aが形成されているので、パッキン80の上下及び左右の各辺部を直線状に押出成形により形成して、上下及び左右の各辺部を四隅部で接着によって長方形の枠形状に連結している。
【0058】
この種の加熱調理庫では、パッキン80は高温の調理庫20の開口部20aと扉13をシールするために耐熱性のシリコンゴムやフッ素ゴムが用いられている。しかし、シリコンゴムは高温の調理庫20に対して十分な耐熱性を有してなく、また、フッ素ゴムはコストが高く、シールするのに十分な柔軟性を有してなく、さらに各辺部を連結させるときに接着させにくかった。これに対し、
図22に示したように、この実施形態の加熱調理器10においては、パッキン14は、長手方向と直交する方向の断面形状が略U字形に成型された緩衝部14aと、緩衝部14aを溝20kに固定するための固定チューブ14bとを備えている。
【0059】
パッキン14の緩衝部14aは、長手方向と直交する方向の断面形状が調理庫20側に開いた略U字形に形成されたものであり、開口側となる両端部が溝20k内に嵌合されている。緩衝部14aは、上下及び左右の各辺部が連続するようにフッ素ゴムを射出成型によって一体的に成型されており、上下及び左右の各辺部が接着によることなく連結されている。緩衝部14aの開口側の先端部は他の部分よりも厚みが厚く形成されており、緩衝部14aは内側に固定チューブ14bを挟んだ状態で溝20kに嵌め込まれたときに溝20kから抜けにくくなっている。
【0060】
固定チューブ14bは溝20kの幅より少し小さな外径の円筒形をしたシリコンチューブを溝20kの各辺の長さで切断したものである。固定チューブ14bは溝20k内で圧縮された状態で収容され、緩衝部14aの開口側の両端部を溝20kの側壁に押し付けることにより、緩衝部14aを溝20kに固定している。固定チューブ14bは溝20k内に収容されていて調理庫20の熱の影響を受けにくいので、フッ素ゴムより耐熱温度が低いシリコンゴムを用いることができる。また、緩衝部14aと溝20kとの間にはシリコンコーキングが注入されており、緩衝部14aはシリコンコーキングによって溝20kから外れないようになっている。このように、溝20k内に耐熱温度が低くてもコストの低いシリコンゴムよりなる固定チューブ14bとシリコンコーキングを用いているので、パッキン14のコストを低廉に抑えることができるようになった。
【0061】
図23に示したように、他の実施形態の加熱調理器10においては、溝20kの調理庫20の開口部20a側の端縁から溝20kの内側に突出する抜け止め用の突条20lが設けられ、パッキン14の緩衝部14aには該開口部20a側に突条20lと係合される係合段部14cが形成されている。また、パッキン14の該開口部20aの反対側には溝20kの外側に突出する抜け止め用のフランジ部14dが形成され、開口部20aの周縁部にて溝20kの外側にはフランジ部14dを調理庫20に押し付けて固定するための固定板20mがねじによって取り付けられている。また、フランジ部14dは先端側の厚みが厚くなるように形成され、固定板20mは開口部20aに近づくほど調理庫20側に近づくように傾斜しているので、パッキン14は溝20kから抜けにくくなっている。なお、上述した実施形態と同様に、緩衝部14aと溝20kとの間にはシリコンコーキングを注入し、緩衝部14aをシリコンコーキングによって溝20kから外れないようにしてもよい。
【0062】
上記の各実施形態の加熱調理器10においては、ヒータ24は電気式のヒータであるが、これに限られるものでなく、燃料ガスと燃焼用空気とを混合した混合ガスを燃焼させた燃焼ガスによって調理庫20内を加熱するガス燃焼式のヒータであってもよい。
【0063】
上記の実施形態の加熱調理器10においては、調理庫20内の一方の側部として左側部にヒータ24と対流ファン25を配設した熱風生成室22とし、残る部分を食材収容室21としているが、これに限られるものでなく、調理庫20内の一方の側部として右側部または後部にヒータ24と対流ファン25を配設した熱風生成室22とし、残る部分を食材収容室21としていたものであってもよい。
【符号の説明】
【0064】
10…加熱調理器、20…調理庫、20b…上側突起部、20c…下側突起部、23…仕切板、23c…上側孔部、23d…下側孔部、23e…吸込口、23f…上側通風路、下側通風路(上側の通風路、下側の通風路)、23h…係止部、24…ヒータ、25…対流ファン。