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特許7594960半導体装置、表示装置、及び半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】半導体装置、表示装置、及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20241128BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20241128BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
H01L29/78 626C
G09F9/30 338
G09F9/30 348A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021056354
(22)【出願日】2021-03-30
(65)【公開番号】P2022153698
(43)【公開日】2022-10-13
【審査請求日】2024-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】523290528
【氏名又は名称】JDI Design and Development 合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100189430
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100190805
【弁理士】
【氏名又は名称】傍島 正朗
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 厚
【審査官】田内 幸治
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-121734(JP,A)
【文献】特開2004-168897(JP,A)
【文献】特開2008-270763(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0214449(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/30-9/46
H01L 21/336
29/786
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性樹脂、及び前記絶縁性樹脂中に分散される複数の第一フィラーを含み、第一主面、及び前記第一主面の裏側の第二主面を有する導電性樹脂層と、
前記第一主面に配置され、半導体素子を含む素子層とを備え、
前記複数の第一フィラーの各々は、繊維状の導電性フィラーであり、
前記導電性樹脂層は、
前記第一主面を含み、前記導電性樹脂層の厚さの30%の厚さを有する第一表層部と、
前記第二主面を含み、前記導電性樹脂層の厚さの30%の厚さを有する第二表層部と、
前記第一表層部及び前記第二表層部の間に配置される中層部とを有し、
前記複数の第一フィラーのうち、前記第一表層部に配置される第一フィラーは、前記中層部に配置される第一フィラーより前記第一主面に対する配向角度が小さい
半導体装置。
【請求項2】
前記第一表層部に配置される第一フィラーの前記第一主面に対する配向角度は、10°以下である
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記複数の第一フィラーは、カーボンファイバー、カーボンナノファイバー、及び針状金属酸化物の少なくとも一つを含む
請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記複数の第一フィラーは、カーボンナノチューブを含む
請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記導電性樹脂層は、複数の第二フィラーをさらに含み、
前記複数の第二フィラーの各々は、粒状の導電性フィラーである
請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記複数の第二フィラーは、カーボンブラック、金属粒子、及び金属酸化物粒子の少なくとも一つを含む
請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記導電性樹脂層と前記素子層との間に配置される金属層をさらに備える
請求項1~6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記導電性樹脂層と電気的に接続され、電位が印加される電極をさらに備える
請求項1~7のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記電極は、前記第二主面に配置される導電性シートを含む
請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記半導体素子は、薄膜トランジスタである
請求項1~9のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の半導体装置と、
前記素子層上に配置され、画像を表示する表示層とを備える
表示装置。
【請求項12】
絶縁性樹脂、及び前記絶縁性樹脂中に分散される複数の第一フィラーを含み、第一主面、及び前記第一主面の裏側の第二主面を有する導電性樹脂層と、前記導電性樹脂層の前記第一主面側に配置され、半導体素子を含む素子層とを備える半導体装置の製造方法であって、
ダイヘッドを用いたダイコーティングによって前記導電性樹脂層を形成する工程と、
前記素子層を形成する工程とを含み、
前記ダイヘッドは、ギャップの寸法が100μm以上500μm以下である開口部を有し、
前記複数の第一フィラーの各々は、繊維状の導電性フィラーであり、
前記導電性樹脂層は、
前記導電性樹脂層の前記第一主面を含み、前記導電性樹脂層の厚さの30%の厚さを有する第一表層部と、
前記導電性樹脂層の前記第二主面を含み、前記導電性樹脂層の厚さの30%の厚さを有する第二表層部と、
前記第一表層部及び前記第二表層部の間に配置される中層部とを有し、
前記複数の第一フィラーのうち、前記第一表層部に配置される第一フィラーは、前記中層部に配置される第一フィラーより前記第一主面に対する配向角度が小さい
半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置、表示装置、及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、樹脂で形成されるフレキシブルな(つまり、可撓性を有する)基板である樹脂層と、半導体素子とを備える半導体装置が提案されている(例えば、特許文献1)。また、このような半導体装置と、複数の画素を含む表示素子層とを備えるフレキシブルな表示装置が提案されている。
【0003】
特許文献1に記載された半導体装置においては、樹脂層が、導電性フィラー(言い換えると、微細導電体)を含む。これにより、半導体素子に印加される電界を遮蔽することで、半導体素子の特性の低下を防ごうとしている。特許文献1には、繊維状の形状を有する導電性フィラーが例示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-121734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、樹脂層が、繊維状の導電性フィラーを含む場合、樹脂層の主面から、導電性フィラーの端部が突き出ることがある。これにより、樹脂層の主面の平滑性が低下する。平滑性が低い基板の主面に、半導体素子を構成する絶縁膜、半導体膜、及び導電膜を積層する場合に、半導体素子を構成する各層の平滑性が低下し、半導体素子の特性が低下し得る。
【0006】
本開示は、上記の問題を解決するためになされたものであり、繊維状の導電性フィラーを含み、主面の平滑性が高い導電性樹脂層を備える半導体装置などを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の一態様に係る半導体装置は、絶縁性樹脂、及び前記絶縁性樹脂中に分散される複数の第一フィラーを含み、第一主面、及び前記第一主面の裏側の第二主面を有する導電性樹脂層と、前記第一主面に配置され、半導体素子を含む素子層とを備え、前記複数の第一フィラーの各々は、繊維状の導電性フィラーであり、前記導電性樹脂層は、前記第一主面を含み、前記導電性樹脂層の厚さの30%の厚さを有する第一表層部と、前記第二主面を含み、前記導電性樹脂層の厚さの30%の厚さを有する第二表層部と、前記第一表層部及び前記第二表層部の間に配置される中層部とを有し、前記複数の第一フィラーのうち、前記第一表層部に配置される第一フィラーは、前記中層部に配置される第一フィラーより前記第一主面に対する配向角度が小さい。
【0008】
また、上記目的を達成するために、本開示の一態様に係る表示装置は、前記半導体装置と、前記素子層上に配置され、画像を表示する表示層とを備える。
【0009】
また、上記目的を達成するために、本開示の一態様に係る半導体装置の製造方法は、絶縁性樹脂、及び前記絶縁性樹脂中に分散される複数の第一フィラーを含み、第一主面、及び前記第一主面の裏側の第二主面を有する導電性樹脂層と、前記導電性樹脂層の前記第一主面側に配置され、半導体素子を含む素子層とを備える半導体装置の製造方法であって、ダイヘッドを用いたダイコーティングによって前記導電性樹脂層を形成する工程と、前記素子層を形成する工程とを含み、前記ダイヘッドは、ギャップの寸法が100μm以上500μm以下である開口部を有し、前記複数の第一フィラーの各々は、繊維状の導電性フィラーであり、前記導電性樹脂層は、前記導電性樹脂層の前記第一主面を含み、前記導電性樹脂層の厚さの30%の厚さを有する第一表層部と、前記導電性樹脂層の前記第二主面を含み、前記導電性樹脂層の厚さの30%の厚さを有する第二表層部と、前記第一表層部及び前記第二表層部の間に配置される中層部とを有し、前記複数の第一フィラーのうち、前記第一表層部に配置される第一フィラーは、前記中層部に配置される第一フィラーより前記第一主面に対する配向角度が小さい。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、繊維状の導電性フィラーを含み、主面の平滑性が高い導電性樹脂層を備える半導体装置などを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施の形態1に係る表示装置の全体構成の一例を示す模式的な断面図である。
図2図2は、実施の形態1に係る素子層の一例を示す模式的な断面図である。
図3図3は、実施の形態1に係る導電性樹脂層の模式的な断面図である。
図4図4は、実施の形態1に係る導電性樹脂層の第一主面に平行な平面と交差する各第一フィラーの配向角度を示す模式図である。
図5図5は、実施の形態1に係る表示装置の製造方法の流れを示すフローチャートである。
図6図6は、実施の形態1に係る半導体装置の製造方法の流れを示すフローチャートである。
図7図7は、実施の形態1に係る導電性樹脂層を形成する工程を示す模式図である。
図8図8は、実施の形態1に係るダイヘッドのスロット内におけるワニス及び第一フィラーの状態を示す模式図である。
図9図9は、実施の形態2に係る導電性樹脂層の模式的な断面図である。
図10図10は、実施の形態3に係る表示装置の全体構成の一例を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示における一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、工程、並びに、工程の順序などは、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示における最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0013】
また、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、各図において縮尺等は必ずしも一致していない。なお、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0014】
また、本明細書において、「上方」及び「下方」という用語は、絶対的な空間認識における上方向(鉛直上方)及び下方向(鉛直下方)を指すものではなく、積層構成における積層順を基に相対的な位置関係により規定される用語として用いる。また、「上方」及び「下方」という用語は、2つの構成要素が互いに間隔をあけて配置されて2つの構成要素の間に別の構成要素が存在する場合のみならず、2つの構成要素が互いに接する状態で配置される場合にも適用される。
【0015】
(実施の形態1)
実施の形態1に係る半導体装置、表示装置、及びそれらの製造方法について説明する。
【0016】
[1-1.全体構成]
まず、本実施の形態に係る表示装置の全体構成について図1を用いて説明する。図1は、本実施の形態に係る表示装置1の全体構成の一例を示す模式的な断面図である。図1には、表示装置1において画像が表示される表示面72に垂直な断面の一部が示されている。なお、図1以降の各図には、X軸、Y軸、及びZ軸が示されている。X軸、Y軸、及びZ軸は、右手系の直交座標系を示す。
【0017】
表示装置1は、例えば有機EL(Electro-Luminescence)表示装置であり、図1に示されるように半導体装置10と、表示層70とを備える。
【0018】
表示層70は、画像を表示する層であり、画像が表示される表示面72を有する。表示層70は、例えば、マトリクス状に配置された複数の画素を含む。複数の画素の各々は、表示素子を含む。表示素子は、例えば、有機EL素子である。有機EL素子は、素子層50側から順に、例えばアノード電極、有機電界発光層、及びカソード電極を有する。本実施の形態では、アノード電極は、素子層50に含まれるソース電極に接続されている。カソード電極には、例えば配線などを通じて、各画素に共通のカソード電位が供給される。
【0019】
半導体装置10は、導電性樹脂層30と、素子層50とを備える。本実施の形態では、半導体装置10は、導電性シート20と、導電性接着層22とをさらに備える。
【0020】
導電性樹脂層30は、半導体装置10の基板として機能する層である。導電性樹脂層30は、第一主面S1及び第一主面S1の裏側の第二主面S2を有する。本実施の形態では、導電性樹脂層30は、フレキシブルな層である。これにより、フレキシブルな表示装置1の実現が可能となる。導電性樹脂層30は、導電性を有することで、第二主面S2側からの電界を遮蔽する。また、導電性樹脂層30は実効的に等電位領域となり、導電性樹脂層30の電位の均一化が可能となる。これにより、素子層50に含まれる半導体素子の特性の低下を抑制できる。導電性樹脂層30の詳細構成については後述する。
【0021】
導電性シート20は、導電性樹脂層30の第二主面S2に配置され、導電性を有する金属シートである。本実施の形態では、導電性シート20は、導電性接着層22を介して導電性樹脂層30の第二主面S2に配置される。本明細書では、このように、導電性シート20が、第二主面S2に他の部材を介して配置される場合にも、導電性シート20が第二主面S2に配置されると表現する。導電性シート20は、導電性樹脂層30と電気的に接続され、電位が印加される電極の一例である。導電性シート20には、例えば、グランド電位、又は、後述するゲート電極56に印加されるゲート電位が供給される。
【0022】
導電性接着層22は、導電性樹脂層30と、導電性シート20との間に配置される導電性の層である。導電性接着層22は、導電性シート20を導電性樹脂層30の第二主面S2に接合し、かつ、導電性シート20と導電性樹脂層30とを電気的に接続する。導電性接着層22として、導電性接着剤を用いることができる。
【0023】
素子層50は、導電性樹脂層30の第一主面S1に配置され、半導体素子を含む層である。本実施の形態に係る素子層50について、図2を用いて説明する。図2は、本実施の形態に係る素子層50の一例を示す模式的な断面図である。図2に示されるように、素子層50は、絶縁膜51と、層間絶縁膜52及び53と、半導体層54と、ゲート絶縁膜55と、ゲート電極56と、保護膜57と、ソース電極58と、ドレイン電極59とを有する。素子層50は、半導体素子を含む。半導体素子の構成は特に限定されないが、本実施の形態では、半導体素子は、薄膜トランジスタである。
【0024】
絶縁膜51は、導電性樹脂層30の第一主面S1に設けられる。絶縁膜51として、例えば、無機絶縁材料を用いることができる。絶縁膜51は、例えば、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)、及びリン(P)がドープされたSiOのうちの少なくとも一種を含む単層膜又は多層膜により構成される。絶縁膜51の厚さは、例えば、200nm以上1000nm以下である。また、絶縁膜51と導電性樹脂層30との間に、有機絶縁膜が設けられてもよい。
【0025】
半導体層54は、絶縁膜51上にパターン形成されている。この半導体層54は、ゲート電極56と対向する領域にチャネル領域を含む。半導体層54は、例えば、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、スズ(Sn)、チタン(Ti)、及びニオブ(Nb)などのうちの少なくとも一種の元素の酸化物を主成分として含む酸化物半導体から構成されている。具体的には、酸化インジウム錫亜鉛(ITZO)、酸化インジウムガリウム亜鉛(IGZO:InGaZnO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化インジウムガリウム(IGO)、酸化インジウム錫(ITO)、及び酸化インジウム(InO)などが挙げられる。あるいは、半導体層54は、低温多結晶シリコン(LTPS)又は非結晶シリコン(a-Si)などから構成されていても構わない。
【0026】
ゲート絶縁膜55は、例えば酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)、及び酸化アルミニウム(AlO)などのうちの一種よりなる単層膜、又はそれらのうちの二種以上よりなる多層膜から構成されている。
【0027】
ゲート電極56は、印加されるゲート電位によって半導体層54中のキャリア密度を制御すると共に、電位を供給する配線としての機能を有する電極である。このゲート電極56の構成材料は、例えば、チタン(Ti)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、ネオジウム(Nd)及び銅(Cu)のうちの一種を含む単体及び合金が挙げられる。又は、それらのうちの少なくとも一種を含む化合物及び二種以上を含む多層膜であってもよい。また、例えばITOなどの透明導電膜が用いられても構わない。
【0028】
保護膜57は、例えば窒化シリコン(SiN)、酸化アルミニウムなどにより構成され、水蒸気バリア膜又は水素バリア膜として機能するものである。
【0029】
層間絶縁膜52及び53は、例えば、アクリル系樹脂、PI(ポリイミド)、ノボラック系樹脂などの有機材料により構成されている。層間絶縁膜52には、例えばシリコン酸化膜、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化膜及び酸化アルミニウムなどの無機材料が用いられてもよい。
【0030】
ソース電極58及びドレイン電極59は、それぞれ、薄膜トランジスタのソース及びドレインとして機能するものであり、例えば、ゲート電極56の構成材料として列挙したものと同様の金属又は透明導電膜を含む。ソース電極58及びドレイン電極59としては、電気伝導性の良い材料が選択されてもよい。
【0031】
[1-2.導電性樹脂層の詳細構成]
本実施の形態に係る導電性樹脂層30の詳細構成について、図3を用いて説明する。図3は、本実施の形態に係る導電性樹脂層30の模式的な断面図である。図3に示されるように、導電性樹脂層30は、絶縁性樹脂32と、複数の第一フィラー34とを含む。導電性樹脂層30の厚さは、特に限定されない。本実施の形態では、導電性樹脂層30の厚さは、5μm以上20μm以下である。
【0032】
絶縁性樹脂32は、導電性樹脂層30の主成分であり、導電性樹脂層30の形状を維持している。本実施の形態では、絶縁性樹脂32としてPI(ポリイミド)が用いられるが、絶縁性樹脂32として用いられる材料は、絶縁性の樹脂材料であれば特に限定されない。絶縁性樹脂32として、PIの他に、例えば、ポリアミド、ポリアミドイミド、アクリル系樹脂などの樹脂材料を用いることができる。なお、絶縁性樹脂32として、特に、PI又はポリアミドを用いてもよい。PI及びポリアミドは、熱耐性が高いため、素子層50の製造工程で、例えば300℃~500℃程度に加熱しても変性などを抑えられる。したがって、導電性樹脂層30上に直接、素子層50を形成することができる。PI及びポリアミド以外の樹脂材料を絶縁性樹脂32として用いる場合には、別の基板を用意し、この基板上に素子層50を形成した後に、形成された素子層50を導電性樹脂層30に転写してもよい。
【0033】
複数の第一フィラー34の各々は、繊維状の導電性フィラーであり、絶縁性樹脂32中に分散されている。複数の第一フィラー34は、例えば静電気などに起因して導電性樹脂層30の第二主面S2側に発生した電界を遮蔽するとともに、導電性樹脂層30を実効的に等電位領域化するためのものである。例えば、半導体装置10にバイアス温度ストレス試験を行う場合に、素子層50が有するゲート電極56と、導電性シート20との間に電界が発生する。この時、導電性樹脂層30の母材を成す絶縁性樹脂32の分極により電荷分布の偏りが生じる。その電荷分布が、ゲート電極56と、導電性シート20との間に印加される電界によって経時的に変化すると、素子層50のバックチャネル側の電位が変化し、薄膜トランジスタの閾値電圧(Vth)の経時的なシフトが生じて、半導体装置10の信頼性が低下する。本実施の形態では、導電性の第一フィラー34を導電性樹脂層30が含むため、導電性樹脂層30における電荷分布の偏りを抑制して均一化できる。これにより、素子層50の薄膜トランジスタの閾値電圧(Vth)の経時的なシフトを抑制でき、半導体装置10の信頼性低下を抑制できる。
【0034】
複数の第一フィラー34を含む導電性樹脂層30の表面抵抗率は、例えば10Ω/sq以下である。表面抵抗率が10Ω/sq以下の導電性樹脂層30を用いることにより、導電性樹脂層30の第一主面S1における帯電を抑制できるため、素子層50に含まれる半導体素子への静電気に起因した電界の影響を十分に抑えることができる。
【0035】
複数の第一フィラー34の各々は、例えば繊維状の導電体である。ここで、繊維状とは、長さが、断面の最大寸法の5倍以上の形状を意味する。第一フィラー34の長さは、例えば、1μm以上である。また、第一フィラー34の長軸方向に垂直な断面の寸法は、例えば、0.4nm以上100nm以下である。第一フィラー34は、例えばカーボンファイバー、カーボンナノファイバー、及び針状金属酸化物の少なくとも一つを含む。針状金属酸化物は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、酸化亜鉛(ZnO)などの導電性金属酸化物により構成されている。本実施の形態では、複数の第一フィラー34は、カーボンナノチューブを含む。複数の第一フィラー34に含まれるカーボンナノチューブは、単層、又は多層のナノチューブである。カーボンナノチューブは、低抵抗であり、かつ、破断しにくい。このため、例えば、導電性樹脂層30がフレキシブルである場合に、導電性樹脂層30が変形したとしても、第一フィラー34の破断を抑制できる。また、本実施の形態では、複数の第一フィラー34の添加量は、例えば、0.1vol%程度である。
【0036】
複数の第一フィラー34を含む導電性樹脂層30には、例えば、導電性接着層22及び導電性シート20を介してグランド電位が供給されている。
【0037】
図2に示されるように導電性樹脂層30は、第一主面S1を含み、導電性樹脂層30の厚さの30%の厚さを有する第一表層部30aと、第二主面S2を含み、導電性樹脂層30の厚さの30%の厚さを有する第二表層部30bと、第一表層部30a及び第二表層部30bの間に配置される中層部30cとを有する。複数の第一フィラー34のうち、第一表層部30aに配置される第一フィラー34は、中層部30cに配置される第一フィラー34より第一主面S1に対する配向角度が小さい。つまり、第一表層部30aに配置されるすべての第一フィラー34の第一主面S1に対する配向角度の平均値は、中層部30cに配置されるすべての第一フィラー34の配向角度の平均値よりも小さい。
【0038】
ここで、第一フィラー34の第一主面S1に対する配向角度について説明する。第一フィラー34の配向角度とは、導電性樹脂層30における第一フィラー34の配向状態を示す角度である。本開示においては導電性樹脂層30の第一主面S1に対し平行な方向を0°、第一主面S1に対し垂直な方向を90°としたときに、第一主面S1に対する第一フィラー34の長軸方向のなす角度(≦90°)のことをいう。
【0039】
配向角度は、例えば以下のように測定できる。まず図3に示されるような導電性樹脂層30の第一主面S1に垂直な断面の電子顕微鏡写真から得られた画像について、画像解析ソフトを用いて画像処理分析を行う。これにより、画像から繊維状の部分のみを抽出して、抽出された繊維状の部分を直線で近似する。続いて、画像解析ソフトの針状分離計測機能を用いて、繊維状の第一フィラー34を分離する。分離された各第一フィラー34の長軸方向を解析することで、第一主面S1に対する第一フィラー34の配向角度を算出する。
【0040】
配向角度の算出は、導電性樹脂層30の第一主面S1から第二主面S2に向けて、深さ方向に沿って行う。深さ方向に等間隔の画像領域に切り分けて、その領域内のすべての繊維状導電性フィラーの平均値をその深さの配向角度とする。例えば、図3の第一主面S1に平行な平面P1と交差する各第一フィラー34の配向角度について、図4を用いて説明する。図4は、本実施の形態に係る導電性樹脂層30の第一主面S1に平行な平面P1と交差する各第一フィラー34の配向角度を示す模式図である。図4に示されるように、各第一フィラー34の第一主面S1に対する配向角度は、第一主面S1と平行な平面に対する各第一フィラー34の長軸方向のなす角度θ1~θ4と算出される。
【0041】
本実施の形態では、第一表層部30aに配置される第一フィラー34の第一主面S1に対する配向角度は、中層部30cに配置される第一フィラー34の第一主面S1に対する配向角度より小さい。このため、第一主面S1に第一フィラー34が交差することを低減できる。したがって、第一主面S1から第一フィラー34が突出することを低減できるため、第一主面S1の平滑性を高めることができる。また、本実施の形態では、第一表層部30aに配置される第一フィラー34の第一主面S1に対する配向角度が小さいため、第一主面S1に対する配向角度が大きい場合より、第一主面S1の表面導電性を均一化できる。したがって、素子層50の導電性樹脂層30側から素子層50に印加される電界を均一に遮蔽できる。これにより、導電性樹脂層30にグランド電位などの定電位を印加することで、導電性樹脂層30から素子層50に作用する電界の分布及び強度を安定化できる。したがって、素子層50に含まれる半導体素子の動作状態を安定化できる。本実施の形態では、導電性樹脂層30の第一主面S1及び第二主面S2における表面抵抗率を1×10Ω/sq以下とすることができる。これにより、導電性樹脂層30の帯電を十分に低減できる。
【0042】
また、本実施の形態では、第一表層部30aに配置される第一フィラー34の第一主面S1に対する配向角度は、0°近傍である。言い換えると、第一表層部30aに配置される第一フィラー34の第一主面S1に対する配向角度は、10°以下である。これにより、第一主面S1の平滑性をさらに高めることができる。また、第一主面S1の表面導電性をさらに均一化できる。
【0043】
なお、本実施の形態では、第二表層部30bに配置される第一フィラー34の第一主面S1に対する配向角度は、中層部30cに配置される第一フィラー34の第一主面S1に対する配向角度より小さい。つまり、第二表層部30bに配置されるすべての第一フィラー34の第一主面S1に対する配向角度の平均値は、中層部30cに配置されるすべての第一フィラー34の配向角度の平均値よりも小さい。このため、第二主面S2の表面導電性も、第一主面S1の表面導電性と同様に、均一化できる。
【0044】
また、中層部30cに配置される第一フィラー34の第一主面S1に対する配向角度が大きいため、第一フィラー34が導電性樹脂層30の厚さ方向に延在する。したがって、導電性樹脂層30の中層部30cにおいて、厚さ方向における導電性を高めることができる。これにより、第二主面S2に導電性シート20及び導電性接着層22を介して印加された電位を、第二表層部30bから、第一表層部30aへ、効率よく供給できる。
【0045】
[1-3.表示装置の製造方法]
次に、本実施の形態に係る表示装置1の製造方法について図5を用いて説明する。図5は、本実施の形態に係る表示装置1の製造方法の流れを示すフローチャートである。
【0046】
図5に示されるように、まず、半導体装置10を製造する(S10)。ここで、半導体装置10の製造方法について図6を用いて説明する。図6は、本実施の形態に係る半導体装置10の製造方法の流れを示すフローチャートである。
【0047】
図6に示されるように、導電性樹脂層30を形成する(S12)。本実施の形態に係る導電性樹脂層30の形成方法について、図7を用いて説明する。図7は、本実施の形態に係る導電性樹脂層30を形成する工程を示す模式図である。図7に示されるように、本実施の形態では、ダイヘッド90を用いたダイコーティングによって導電性樹脂層30を形成する。具体的には、ガラスなどで形成された支持基板98を準備する。続いて、支持基板98の上面に、ダイヘッド90を用いてダイコーティングを行う。ダイヘッド90は、スロット94とスロット94の端部である開口部92とを有する。スロット94は、絶縁性樹脂32及び複数の第一フィラー34を含むワニス30Mで満たされている。ダイヘッド90は、スロット94及び開口部92を介して、ワニス30Mを支持基板98の上面に吐出する。この際、スロット94の長軸方向(図7のY軸方向)に垂直で、支持基板98の上面に平行な方向(図7のX軸方向)に、ダイヘッド90又は支持基板98を移動させる。これにより、支持基板98の上面にワニス30Mを塗布できる。本実施の形態では、開口部92のギャップの寸法G0は、100μm以上500μm以下である。
【0048】
ここで、ダイヘッド90のスロット94内におけるワニス30M及び第一フィラー34の状態について図8を用いて説明する。図8は、本実施の形態に係るダイヘッド90のスロット94内におけるワニス30M及び第一フィラー34の状態を示す模式図である。
【0049】
図8に示される破線の矢印は、スロット94内におけるワニス30Mの流速を示し、破線の矢印が長い方が流速が大きいことを意味する。つまり、スロット94のX軸方向の中央で最も流速が大きくなり、スロット94の内壁面94Wに近づくにしたがって流速が小さくなる。このように、スロット94内のワニス30Mの流れは、剪断流である。この場合、ワニス30Mに含まれる複数の第一フィラー34のうち、内壁面94W近傍に位置する第一フィラー34は、剪断流の影響でワニス30Mの流れの方向(つまり、図8のZ軸方向)に配向する。一方、スロット94内のX軸方向中央近傍に位置する第一フィラー34は、ランダムな方向、又は、流れの向きに垂直に近い方向に配向する。各第一フィラー34は、このような配向状態を維持したまま支持基板98の上面に配置される。これにより、支持基板98の上面に塗布されたワニス30Mのうち上面近傍の部分(つまり、支持基板98の上面から最も離れている部分)及び下面近傍の部分(つまり、支持基板98の上面近傍の部分)に配置される第一フィラー34は、ワニス30Mの上面及び下面に対して平行に近い方向に配向する。一方、支持基板98の上面に塗布されたワニス30Mの上下方向(つまり、Z軸方向)の中央近傍に配置される第一フィラー34は、ランダムな方向、又は、ワニス30Mの上面及び下面に垂直に近い方向に配向する。
【0050】
続いて、支持基板98の上面に塗布されたワニス30Mの硬化処理を行う。硬化処理は、例えば、乾燥工程、及び焼成工程を含む。乾燥工程として、例えば、減圧乾燥を用いることができる。焼成工程においては、例えば、乾燥されたワニス30Mを400℃以上に加熱する。これにより、支持基板98の上面に、絶縁性樹脂32及び複数の第一フィラー34を含む導電性樹脂層30を形成できる。ここで、複数の第一フィラー34の各々の配向状態は、ワニス30Mの塗布直後と同様である。したがって、上記の導電性樹脂層30の形成工程によって、複数の第一フィラー34のうち、第一表層部30a及び第二表層部30bに配置される第一フィラー34は、中層部30cに配置される第一フィラー34より第一主面S1に対する配向角度が小さくなる。
【0051】
続いて、図6に戻り、導電性樹脂層30の形成工程に続いて、素子層50を形成する(S14)。具体的には、導電性樹脂層30の第一主面S1に、絶縁膜51、半導体層54、ゲート絶縁膜55、ゲート電極56、保護膜57、層間絶縁膜52、ソース電極58及びドレイン電極59、並びに、層間絶縁膜53を、この順に形成する。具体的には、例えば以下のようにしてこれらを形成する。
【0052】
まず、導電性樹脂層30の第一主面S1全面に、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition;化学気相成長)法を用いて無機絶縁材料を含む絶縁膜51を形成する。次に、絶縁膜51上に上述した材料(例えば酸化物半導体)よりなる半導体層54を、例えばスパッタ法などにより成膜した後、例えばフォトリソグラフィ及びエッチングにより、所定の形状にパターニングする。続いて、上述した材料よりなるゲート絶縁膜55を、例えばCVD法などを用いて成膜する。この後、ゲート絶縁膜55上に、上述した材料からなるゲート電極56を、パターン形成した後、ゲート電極56をマスクとしてゲート絶縁膜55をエッチングすることでゲート絶縁膜55をパターニングする。続いて、保護膜57及び層間絶縁膜52を形成した後、半導体層54の一部に対向する領域に、コンタクトホールを形成する。この後、層間絶縁膜52上に、コンタクトホールを埋め込むように、上述した金属材料よりなるソース電極58及びドレイン電極59を形成する。その後、ソース電極58及びドレイン電極59を覆うように層間絶縁膜53を形成する。以上のように、素子層50を形成できる。
【0053】
以上のように、半導体装置10を製造することができる。
【0054】
続いて、図5に戻り、素子層50上に、表示層70を形成する(S30)。例えば、表示層70が有機EL素子を含む場合には、素子層50上に、アノード電極、有機電界発光層、及びカソード電極を含む表示層70を形成する。
【0055】
このようにして表示層70を形成した後、導電性樹脂層30から支持基板98を剥離する。支持基板98の剥離は、例えば、支持基板98の下面側からレーザ光Lを照射する方法、所謂LLO(Laser Lift Off)により行う。
【0056】
最後に、導電性樹脂層30の第二主面S2に導電性シート20を形成する(S50)。具体的には、導電性シート20を導電性接着層22を用いて導電性樹脂層30の第二主面S2に接合する。これにより、図1に示されるような表示装置1を製造できる。
【0057】
なお、導電性シート20を形成する工程は、半導体装置10を製造する工程の一部であってもよい。つまり、半導体装置10の製造方法は、導電性シート20を形成する工程を含んでもよい。
【0058】
(実施の形態2)
実施の形態2に係る半導体装置及び表示装置について説明する。本実施の形態に係る半導体装置及び表示装置は、導電性樹脂層に粒状の第二フィラーが含まれる点において、実施の形態1に係る半導体装置10及び表示装置1と相違し、その他の点において一致する。以下、本実施の形態に係る半導体装置及び表示装置について、実施の形態1に係る半導体装置10及び表示装置1との相違点を中心に図9を用いて説明する。
【0059】
図9は、本実施の形態に係る導電性樹脂層130の模式的な断面図である。図9に示されるように、導電性樹脂層130は、実施の形態1と同様に、絶縁性樹脂32、及び複数の第一フィラー34を含み、第一主面S1及び第二主面S2を有する。また、導電性樹脂層130は、第一主面S1を含み、導電性樹脂層130の厚さの30%の厚さを有する第一表層部130aと、第二主面S2を含み、導電性樹脂層130の厚さの30%の厚さを有する第二表層部130bと、第一表層部130a及び第二表層部130bの間に配置される中層部130cとを有する。複数の第一フィラー34のうち、第一表層部130a及び第二表層部130bに配置される第一フィラー34は、中層部130cに配置される第一フィラー34より第一主面S1に対する配向角度が小さい。
【0060】
本実施の形態では、導電性樹脂層130は、複数の第二フィラー36をさらに含む。複数の第二フィラー36の各々は、粒状の導電性フィラーである。ここで、粒状とは、長さが、断面の最大寸法の3倍以下の形状を意味する。本実施の形態では、複数の第二フィラー36の各々は、略球状の形状を有する。第二フィラー36の直径(又は寸法)は、例えば、0.4nm以上100nm以下である。第二フィラー36は、カーボンブラック、金属粒子、及び金属酸化物粒子の少なくとも一つを含む。
【0061】
第一表層部130a及び第二表層部130bに配置される第一フィラー34と他の第一フィラー34とは、配向方向が比較的揃っているため、第一フィラー34と他の第一フィラー34との接触が比較的少ない。しかしながら、本実施の形態では、導電性樹脂層130が粒状の第二フィラー36を含むため、第一フィラー34が、他の第一フィラー34と、第二フィラー36を介して電気的に接続され得る。したがって、本実施の形態では、導電性樹脂層30が複数の第二フィラー36を含むことで、層内の導電性をさらに高めることができる。
【0062】
また、導電性樹脂層130が粒状の第二フィラー36を含むことで、複数の第一フィラー34の配向角度の均一性を若干低下させることができる。これにより、第一フィラー34と他の第一フィラー34との接触する確率を高めることができる。したがって、導電性樹脂層130の導電性をさらに高めることができる。
【0063】
(実施の形態3)
実施の形態3に係る半導体装置及び表示装置について説明する。本実施の形態に係る半導体装置及び表示装置は、さらに、金属層を備える点において、実施の形態1に係る半導体装置10及び表示装置1と相違し、その他の点において一致する。以下、本実施の形態に係る半導体装置及び表示装置について、実施の形態1に係る半導体装置10及び表示装置1との相違点を中心に図10を用いて説明する。
【0064】
図10は、本実施の形態に係る表示装置201の全体構成の一例を示す模式的な断面図である。図10には、表示装置201において画像が表示される表示面72に垂直な断面の一部が示されている。
【0065】
図10に示されるように、本実施の形態に係る表示装置201は、半導体装置210と、表示層70とを備える。半導体装置210は、実施の形態1に係る半導体装置10と同様に、導電性樹脂層30と、素子層50と、導電性シート20と、導電性接着層22とを備える。本実施の形態では、半導体装置210は、金属層80をさらに備える。
【0066】
金属層80は、導電性樹脂層30と素子層50との間に配置され、金属材料からなる層である。金属層80は、導電性樹脂層30の第一主面S1に配置される。金属層80を構成する材料として、例えば、チタン(Ti)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、ネオジウム(Nd)及び銅(Cu)のうちの一種を含む単体及び合金が挙げられる。又は、金属層80は、それらのうちの少なくとも一種を含む化合物及び二種以上を含む多層膜であってもよい。また、金属層80は、例えばITOなどの透明導電膜であってもよい。金属層80の厚さは、例えば、100nm以上200nm以下である。
【0067】
金属層80は、例えば、スパッタ法などにより、導電性樹脂層30の第一主面S1に形成される。この際、導電性樹脂層30の第一主面S1において金属層80と第一フィラー34とが接触し、金属層80が導電性樹脂層30表面に連続した等電位面を形成する。また、第一フィラー34に起因する凹凸が形成されていても、第一主面S1の凹凸を金属層80を構成する金属粒子によって平滑化することができる。したがって、等電位面を成す金属層80の平滑性が高い上面に素子層50を形成することができる。これにより、素子層50に含まれる各層のバックチャネル側の電位を均一化するとともに平滑性を高めることができるため、素子層50に含まれる薄膜トランジスタなどの半導体素子の特性の低下を抑制できる。
【0068】
(その他の実施の形態)
以上、本開示に係る半導体装置などについて、実施の形態に基づいて説明したが、本開示に係る表示装置などは、上記実施の形態に限定されるものではない。実施の形態における任意の構成要素を組み合わせて実現される別の実施の形態や、実施の形態に対して本開示の主旨を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例や、本実施の形態に係る処理回路などを内蔵した各種機器も本開示に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本開示は、例えばフレキシブルな有機ELフラットパネルディスプレイに有用である。
【符号の説明】
【0070】
1、201 表示装置
10、210 半導体装置
20 導電性シート
22 導電性接着層
30、130 導電性樹脂層
30a、130a 第一表層部
30b、130b 第二表層部
30c、130c 中層部
30M ワニス
32 絶縁性樹脂
34 第一フィラー
36 第二フィラー
50 素子層
51 絶縁膜
52、53 層間絶縁膜
54 半導体層
55 ゲート絶縁膜
56 ゲート電極
57 保護膜
58 ソース電極
59 ドレイン電極
70 表示層
72 表示面
80 金属層
90 ダイヘッド
92 開口部
94 スロット
94W 内壁面
98 支持基板
P1 平面
S1 第一主面
S2 第二主面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10