(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
F24H 9/02 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
F24H9/02 301Z
(21)【出願番号】P 2021081321
(22)【出願日】2021-05-12
【審査請求日】2023-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】弓削 良祐
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-125781(JP,A)
【文献】実開昭50-093957(JP,U)
【文献】実開昭63-037964(JP,U)
【文献】米国特許第05377662(US,A)
【文献】欧州特許出願公開第03462105(EP,A1)
【文献】特開2002-057469(JP,A)
【文献】特開2012-255594(JP,A)
【文献】特開平08-018248(JP,A)
【文献】特開平10-164675(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも前面に開口部を有する箱体と、箱体の開口部を覆い固定される前板とを備える燃焼装置であって、
前板の周縁における少なくとも上部には、内方に延設される内向きフランジが形成され、
箱体の開口部における上部には、前板方向に突出する舌片が設けられ、
前板の内向きフランジには、箱体の開口部に対して正しい位置に前板が配置された状態で、前記舌片の上部に上端が当接して前板の下方向の移動を規制し、かつ、前記舌片の左右部分の少なくとも一方に側端が当接して前板の左右方向の移動を規制する切り欠きが設けられ
、
前板の下部は、箱体の底面でビス締結することにより固定され、
箱体の底面には、ビス締結用のネジ孔を設けた凸部が形成され、
前板の下面には、前記ネジ孔と対応する透孔を設けた突片が形成され、
前記凸部の前面は、下方へ向かうにつれて後方へ傾斜した傾斜面を有し、
前記突片は、下方へ向かうにつれて後方へ傾斜するように形成されている燃焼装置。
【請求項2】
少なくとも前面に開口部を有する箱体と、箱体の開口部を覆い固定される前板とを備える燃焼装置であって、
前板の周縁における少なくとも上部には、内方に延設される内向きフランジが形成され、
箱体の開口部における上部には、前板方向に突出する舌片が設けられ、
前板の内向きフランジには、箱体の開口部に対して正しい位置に前板が配置された状態で、前記舌片の上部に上端が当接して前板の下方向の移動を規制し、かつ、前記舌片の左右部分の少なくとも一方に側端が当接して前板の左右方向の移動を規制する切り欠きが設けられ、
前板の上部は、箱体の天面に設けられたパッチン錠により固定され、
前板の下部は、箱体の底面でビス締結することにより固定される燃焼装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の燃焼装置において、
箱体の開口部の上部には、前記舌片が形成された補強部材が設けられている燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも前面に開口部を有する箱体と、箱体の開口部を覆い固定される前板とを備える燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の燃焼装置として、例えば、給湯装置では、箱体の開口部の周壁および前板の周縁には、外方に延設された外向きのフランジが形成されているものがある。これら外向きフランジを利用して前板が箱体の開口部に対して上下および左右の位置に位置決めされ、フランジの上部と下部とに給湯装置の正面側からビスを締結することで、前板が箱体の開口部に取り付けられている(例えば、特許文献1の
図1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した従来の給湯装置では、前板の周縁に外向きフランジが形成されているが、給湯装置の正面のデザイン性を高めるために前板から外向きフランジを極力無くすことが望ましい。しかしながら、前板から外向きフランジを無くすと、従来のように外向きフランジを利用した前板の位置決めができなくなり、給湯装置の組立時やメンテナンス時に前板を取り付けたり取り外したりする作業性が悪くなるという問題が生じる。
【0005】
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたものであり、装置正面のデザイン性を高めながらも、前板を取り付けたり取り外したりする作業性を良好にすることができる燃焼装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る燃焼装置は、
少なくとも前面に開口部を有する箱体と、箱体の開口部を覆い固定される前板とを備える燃焼装置であって、
前板の周縁における少なくとも上部には、内方に延設される内向きフランジが形成され、
箱体の開口部における上部には、前板方向に突出する舌片が設けられ、
前板の内向きフランジには、箱体の開口部に対して正しい位置に前板が配置された状態で、前記舌片の上部に上端が当接して前板の下方向の移動を規制し、かつ、前記舌片の左右部分の少なくとも一方に側端が当接して前板の左右方向の移動を規制する切り欠きが設けられ、
前板の下部は、箱体の底面でビス締結することにより固定され、
箱体の底面には、ビス締結用のネジ孔を設けた凸部が形成され、
前板の下面には、前記ネジ孔と対応する透孔を設けた突片が形成され、
前記凸部の前面は、下方へ向かうにつれて後方へ傾斜した傾斜面を有し、
前記突片は、下方へ向かうにつれて後方へ傾斜するように形成されている構成とする。
【0007】
前記構成によれば、前板を箱体の開口部を覆うように配置して、前板の内向きフランジにおける切り欠きを箱体の開口部の舌片に載置させて舌片の上部に切り欠きの上端が当接することにより、前板の下方向の移動が規制されて箱体の開口部に対して前板が上下方向に位置決めされる。また、前記舌片の左右部分の少なくとも一方に前記切り欠きの側端が当接することにより、前板の左右方向の移動が規制されるから、箱体の開口部に対して前板が左右方向に位置決めされる。従って、ビス締結しなくても、前板を箱体の開口部に対して上下および左右の位置に合致した正しい位置に簡単に取り付けることができる。また、箱体の底面におけるネジ孔を設けた凸部の前面は、下方へ向かうにつれて後方へ傾斜した傾斜面となっており、前板の下面における透孔を設けた突片は、下方へ向かうにつれて後方へ傾斜するように折り曲げ形成されているため、透孔およびネジ孔にビスを締結する等の際、工具の差し込みに燃焼装置が邪魔にならず、燃焼装置の下方の広い空間から工具を斜め上に向けて差し込んでビス締結等の作業を容易に行うことができる。よって、装置の組立時やメンテナンス時の作業性が向上する。
また、前板の周縁の上部では、フランジを内方に延設する内向きフランジとすることにより、装置正面のデザイン性を向上することができる。前板の下部では、前板のビス締結を凸部および突片によって箱体の底面で行うようにし、且つ、ビスを斜めに締結することにより、ビスを目立たなくすることができ、装置正面のデザイン性を損なうこともない。
以上より、装置正面のデザイン性を高めながらも、前板を取り付けたり取り外したりする作業性を良好にすることができる。
【0008】
また、本発明に係る燃焼装置は、
少なくとも前面に開口部を有する箱体と、箱体の開口部を覆い固定される前板とを備える燃焼装置であって、
前板の周縁における少なくとも上部には、内方に延設される内向きフランジが形成され、
箱体の開口部における上部には、前板方向に突出する舌片が設けられ、
前板の内向きフランジには、箱体の開口部に対して正しい位置に前板が配置された状態で、前記舌片の上部に上端が当接して前板の下方向の移動を規制し、かつ、前記舌片の左右部分の少なくとも一方に側端が当接して前板の左右方向の移動を規制する切り欠きが設けられ、
前板の上部は、箱体の天面に設けられたパッチン錠により固定され、
前板の下部は、箱体の底面でビス締結することにより固定される構成とすることができる。
【0009】
この構成によれば、パッチン錠によって、箱体の開口部に対して正しい位置に配置した前板を箱体の開口部に簡単に固定することができる。従って、ビス締結だけで前板の取り付けを行う場合と比べ、前板の取り付け工数を削減することができる。また、前板の上部をパッチン錠で固定することで、前板が倒れてこないように保持することができ、前板の下部でのビスの取り付けや取り外しの作業を容易に行うことができる。従って、装置の組立時やメンテナンス時の作業性が向上する。また、前板のビス締結を箱体の底面で行うことにより、ビスを目立たなくすることができ、装置正面のデザイン性を損なうこともない。
【0010】
前記燃焼装置において、
箱体の開口部の上部には、前記舌片が形成された補強部材が設けられている構成とすることができる。
【0011】
この構成によれば、箱体の開口部において舌片の形成を容易に行うことができる。また、補強部材によって箱体の開口部の上部での前板の取り付け強度が強化され、前板を箱体に安定して保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態による給湯装置を正面視した状態を示す正面図であり、同図(a)は前板を取り付けた状態の正面図、同図(b)は前板を取り外した状態の正面図である。
【
図2】実施形態による給湯装置の前板を示す図であり、同図(a)は前板の裏面を示す裏面図、同図(b)は前板の側面を示す側面図である。
【
図3】実施形態による給湯装置における箱体および前板の上部を示す斜視図である。
【
図4】実施形態による給湯装置の前面側を側面視した状態の上部および下部を拡大した拡大側面図である。
【
図5】実施形態による給湯装置の天面側を斜め上から見た斜視図である。
【
図6】実施形態による給湯装置の底面側を斜め下から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1(a)(b)に示すように、実施形態の燃焼装置は、給湯装置1であって、前面に開口部20を有する箱体2と、箱体2の開口部20を覆い固定される前板3とを備える。箱体2内には、
図1(b)に示すように、下方から順に、送風機11と、燃焼室12と、熱交換室13と、排気室14とが配設され、排気室14の上面には排気筒15が接続されている。なお、本明細書では、
図1(a)(b)に示す正面視で、給湯装置1の奥行方向を前後方向、前後方向と横方向に交差する方向を左右方向、前後方向と高さ方向に交差する方向を上下方向という。
【0014】
燃焼室12内には、燃焼排気を生成するバーナ12aが配設されている。バーナ12aには、燃料ガスを供給するガス供給管16が接続されている。熱交換室13内には、複数の伝熱フィン13bと、各伝熱フィン13bに貫挿される伝熱管13cとを備える熱交換器13aが収容されている。伝熱管13cの一端側は給水管17が接続され、伝熱管13cの他端側は出湯管18が接続されている。給湯装置1が運転されると、送風機11を作動させると共にバーナ12aを燃焼させて、給水管17から熱交換器13a内に供給される水がバーナ12aの燃焼排気により加熱されて出湯管18を通じてシャワーやカランなどの給湯端末に湯が供給される。熱交換器13aを通過した燃焼排気は、排気室14から排気筒15を通って装置外に排出される。なお、本発明では、熱交換器13aで加熱する流体は、水の代わりに他の流体を用いてもよい。
【0015】
次に、給湯装置1の箱体2と前板3について説明する。
箱体2は、
図1(b)に示すように、天面21a、後面21b、左右側面21c,21dおよび底面21eを有する矩形箱状に形成され、前面に開口部20が設けられた構成を有する。箱体2の天面21a、左右側面21c,21dおよび底面21eは、開口部20の周壁を構成する。この箱体2は、天面21aと左右側面21c,21dとを構成する略逆U字状の板金と、後面21bと底面21eとを構成する略L字状の板金とを接合して形成されている。箱体2の天面21aには、天面21aの前端を開放させて切り取った略U字状の切れ込み部22(
図5を参照)が形成され、この切れ込み部22から排気筒15を天面21aの上方に突出させている。
【0016】
箱体2の開口部20の周壁には、略全周にわたって内方に延設された箱体側内向きフランジ23が形成されている。箱体側内向きフランジ23は、箱体2の天面21a、左右側面21c,21dおよび底面21eの各前端部を内側に折り曲げて延在させることにより形成されている。
【0017】
図3にも示すように、箱体2の開口部20の上部には、補強部材24が設けられている。補強部材24は、略L字形に折り曲げられた横長の板金により形成され、切れ込み部22の前側部分および切れ込み部22によって開放された開口部20の上部を塞ぐように天面21aの内側面にネジ等で取り付けられている。従って、開口部20の上部の中央部分は、天面21aの切れ込み部22によって開放されているが、補強部材24の前面部分によって上部の箱体側内向きフランジ23の一部を構成する。
【0018】
また、箱体2の開口部20の上部には、前面の前板3方向に突出する舌片25が設けられている。この舌片25は、前板3と係合して、前板3を箱体2の開口部20に対して正しい位置に配置させる係合部材となる。舌片25は、開口部20の上部における箱体側内向きフランジ23の下端から前方に突出されており、上部の箱体側内向きフランジ23の左右位置にそれぞれ配設されている。舌片25は、水平方向に延在する平板部材により形成されている。舌片25は、上下の延在面である上面部25aおよび下面部25bと、左右の側端部である右端部25cおよび左端部25dとを有し、先端部には斜め上方を向くように折り曲げられた引っ掛り部25eを形成した形状を有する。この舌片25における上面部25aが舌片25の上部であり、右端部25cおよび左端部25dが舌片25の左右部分である。
【0019】
舌片25は、補強部材24の下端部に形成されており、補強部材24を天面21aに取り付けることにより舌片25を開口部20の前方に突出させている。これにより、箱体2の開口部20において舌片25の形成を容易に行うことができる。なお、舌片25は、補強部材24に形成したものに限らず、上部の箱体側内向きフランジ23の下端部に形成したものでもよい。また、舌片25は、平板部材を水平方向に延在するものに限らず、平板部材を垂直方向に延在するもの等、各種の突部等であってもよい。
【0020】
前板3は、
図2(a)(b)に示すように、箱体2の外形と合致する矩形状の前面部31と、前面部31の上辺、左右側辺および下辺をそれぞれ後方に折り曲げて形成した折り曲げ部32とを有する矩形浅底箱状に形成された構成を有する。前板3の周縁は、折り曲げ部32の後端部によって構成される。この前板3の周縁には、上辺部および左右側辺部の各後端部を内側に折り曲げて延在させることにより、内方に延設された前板側内向きフランジ33が形成されている。これにより、給湯装置1の正面視では、前板3の周縁にフランジが露出されなくなり、装置正面のデザイン性が高められる。
【0021】
図3にも示すように、上部の前板側内向きフランジ33には、下端の左右位置にそれぞれ切り欠き34が設けられている。これら切り欠き34は、箱体2の開口部20に設けられた舌片25と係合する係合部となる。すなわち、各切り欠き34は、箱体2の開口部20に対して正しい位置に前板3を配置したとき、箱体2の開口部20の上部に設けられた舌片25に対して、舌片25の上面部25aに当接して前板3の下方向の移動が規制され、かつ、舌片25の左右端部25c,25dの一方に当接して前板3の左右方向の移動が規制されるように設けられている。
【0022】
切り欠き34は、上部の前板側内向きフランジ33の下端における左右の角部をそれぞれ切り欠いて、水平な上端部34aと垂直な側端部34bとを有し、上部の前板側内向きフランジ33の側端側を開放するように形成されている。これにより、前板3を箱体2の開口部20に対面させて前板3を横移動させ、切り欠き34を箱体2の開口部20の舌片25に係合させ易くすることができる。なお、切り欠き34は、側端部34bを垂直に形成するが、下方に向かうにつれて上部の前板側内向きフランジ33の中央側寄りに傾斜した側端部34bとし末広がり状の切り欠き34としてもよい。また、切り欠き34は、上部の前板側内向きフランジ33の側端側を開放させずに、四角形状に切り欠いた形状としてもよい。
【0023】
また、箱体2と前板3は、
図4および
図5に示すように、箱体2の天面21aには、前側位置にパッチン錠51が左右対称に一対設けられ、前板3の上面の折り曲げ部32には、箱体2のパッチン錠51を引っ掛けるフック52が左右対称に一対設けられている。パッチン錠51やフック52は、ネジ止め等で取り付けることができる。また、箱体2と前板3は、
図4および
図6に示すように、箱体2の底面21eには、前側位置にビス57の締結用のネジ孔54(
図1(b)参照)を設けた凸部53が下方へ突出して左右対称に一対形成され、前板3の下面には、折り曲げ部32の後端部に箱体2のネジ孔54と対応する透孔56(
図2(a)参照)を設けた突片55が下方へ突出して左右対称に一対形成されている。箱体2におけるネジ孔54を設けた凸部53の前面は、下方へ向かうにつれて後方へ傾斜した傾斜面となっており、前板3における透孔56を設けた突片55は、下方へ向かうにつれて後方へ傾斜するように折り曲げ形成されている(
図4参照)。従って、透孔56およびネジ孔54にビス57を締結する際、工具の差し込みに給湯装置1が邪魔にならず、給湯装置1の下方の広い空間から工具を斜め上に向けて差し込んでビス締結作業を容易に行うことができる。
【0024】
以上の構成より、前板3を箱体2の開口部20に取り付ける際は、前板3を箱体2の開口部20を覆うように配置して、前板3の上部の前板側内向きフランジ33における切り欠き34を箱体2の開口部20の上部における舌片25に載置させる。これにより、前板3の切り欠き34の上端部34aが箱体2の舌片25の上面部25aに当接することにより、前板3の下方向の移動が規制されて箱体2の開口部20に対して前板3が上下方向に位置決めされる。また、前板3の切り欠き34の側端部34bが箱体2の舌片25における左右端25c,25dの一方に当接することにより、前板3の左右方向の移動が規制され、箱体2の開口部20に対して前板3が左右方向に位置決めされる。従って、ビス締結しなくても、前板3を箱体2の開口部20に対して上下および左右の位置に合致した正しい位置に簡単に取り付けることができる。
【0025】
また、箱体2の舌片25は、先端部に斜め上方を向くように折り曲げられた引っ掛り部25eが形成されているので、この引っ掛り部25eによって前板3の切り欠き34との係合が外れにくくなり、前板3の取り付け作業を容易に行える。また、箱体2の開口部20の上部には、補強部材24が設けられ、この補強部材24に前板3を係合させる舌片25を形成するので、補強部材24によって箱体2の開口部20の上部での前板3の取り付け強度が強化され、前板3を箱体2に安定して保持することができる。
【0026】
そして、前記位置決め状態で、箱体2の天面21aのパッチン錠51を前板3の上面のフック52に引っ掛けて締め付け、次いで、前板3の下部の突片55を箱体2の底面21eの凸部53に重ね合わせて、透孔56とネジ孔54にビス57を締結することにより、前板3が箱体2に固定される。これにて、箱体2の開口部20への前板3の取り付けが完了する。
【0027】
前板3を箱体2から取り外す際は、下部のビス57を取り外し、上部のパッチン錠51を解錠することで、簡単に前板3を取り外すことができる。このとき、前板3の下部のビス57を取り外しても前板3の上部がパッチン錠51で固定されているので、前板3の落下を防止でき、また、次にパッチン錠51を解錠しても箱体2の舌片25に前板3の切り欠き34が係合しているので、前板3の落下を防止できる。
【0028】
以上のように、前板3を箱体2の開口部20に取り付ける際、前板3のフランジを内方に延設する内向きフランジとしても、前板3の切り欠き34が箱体2の舌片25に係合することで、箱体2の開口部20に対して前板3を上下および左右の位置に簡単に位置決めして取り付けることができる。また、パッチン錠51によって、箱体2の開口部20に対して正しい位置に位置決めされた前板3を箱体2の開口部20に簡単に固定することができる。従って、ビス締結だけにより前板3の取り付けを行う場合と比べ、前板3の取り付け工数を削減することができる。また、前板3の上部をパッチン錠51で固定することで、前板3が倒れてこないように保持することができ、前板3の下部でのビス57の取り付けや取り外しの作業を容易に行うことができる。従って、装置の組立時やメンテナンス時の作業性が向上する。
【0029】
また、前板3のフランジを内方に延設する内向きフランジ(前板側内向きフランジ33)とすることにより、給湯装置1の正面視では、前板3の周縁にフランジが露出されなくなり、装置正面のデザイン性を向上することができる。また、前板3のビス締結を凸部53および突片55によって箱体2の底面21eで行うようにし、且つ、ビス57を斜めに締結することにより、ビス57を目立たなくすることができ、装置正面のデザイン性を損なうこともない。
【0030】
よって、実施形態の給湯装置1によれば、装置正面のデザイン性を高めながらも、前板3を取り付けたり取り外したりする作業性を向上することができる。
【0031】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されず、特許請求の範囲内で様々な変更を行うことができる。例えば、舌片25および切り欠き34は、2つに限らず、1つまたは3つ以上の複数設けるようにしてもよい。更には、前板3を左右方向に位置決めする舌片25と上下方向に位置決めする舌片25とを別々に設けてもよい。また、本発明は、給湯装置に限らず、暖房装置、温水供給装置等の各種の燃焼装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0032】
1 給湯装置(燃焼装置)
2 箱体
3 前板
11 送風機
12 燃焼室
12a バーナ
13 熱交換室
13a 熱交換器
13b 伝熱フィン
13c 伝熱管
14 排気室
15 排気筒
16 ガス供給管
17 給水管
18 出湯管
20 開口部
21a 天面
21b 後面
21c,21d 左右側面
21e 底面
22 切れ込み部
23 箱体側内向きフランジ
24 補強部材
25 舌片
25a 上面部(上部)
25b 下面部
25c 右端部
25d 左端部
25e 引っ掛り部
31 前面部
32 折り曲げ部
33 前板側内向きフランジ
34 切り欠き
34a 上端部
34b 側端部
51 パッチン錠
52 フック
53 凸部
54 ネジ孔
55 突片
56 透孔
57 ビス