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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】絶縁型DC/DCコンバータ
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
H02M3/28 M
H02M3/28 W
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021114997
(22)【出願日】2021-07-12
(65)【公開番号】P2023011250
(43)【公開日】2023-01-24
【審査請求日】2024-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000004606
【氏名又は名称】ニチコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石谷 博人
【審査官】尾家 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-085785(JP,A)
【文献】特開2007-242533(JP,A)
【文献】特開2000-269051(JP,A)
【文献】特開2004-282931(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00- 3/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次側に入力される直流電圧V1を直流電圧V2に変換して2次側から出力する絶縁型DC/DCコンバータであって、
同一のコアに巻かれた各1本の1次巻線および2次巻線を含む、2N個(ただし、Nは正の整数)の同一のトランスと、
前記直流電圧V1が入力される入力部、および交流電圧を出力する出力部を有するフルブリッジ回路部と、
2N個の前記トランスと前記出力部との接続状態を、2N個の前記トランスに含まれる2N本の前記1次巻線の全部を並列接続したものが前記出力部に接続される並列接続状態と、2N個の前記トランスに含まれる2N本の前記1次巻線の全部を直列接続したものが前記出力部に接続される直列接続状態とに切り替える接続状態切替部と、
前記接続状態切替部を制御する制御部と、
を備え
前記1次巻線の巻数をNp、前記2次巻線の巻数のNs、前記フルブリッジ回路部を構成するスイッチング素子の最大時比率をDmax、前記スイッチング素子の最小時比率をDminとしたとき、前記制御部は、
V2≧{Ns/(2N×Np)}×Dmax×V1の関係が成立するときは、前記接続状態が前記並列接続状態となるように前記接続状態切替部を制御し、
V2≦(Ns/Np)×Dmin×V1の関係が成立するときは、前記接続状態が前記直列接続状態となるように前記接続状態切替部を制御し、
(Ns/Np)×Dmin×V1<V2<{Ns/(2N×Np)}×Dmax×V1の関係が成立するときは、前記接続状態が前記並列接続状態または前記直列接続状態となるように前記接続状態切替部を制御する
ことを特徴とする絶縁型DC/DCコンバータ。
【請求項2】
前記制御部は、(Ns/Np)×Dmin×V1<V2<{Ns/(2N×Np)}×Dmax×V1の関係が成立したとき、直前の前記接続状態を維持するように前記接続状態切替部を制御する
ことを特徴とする請求項に記載の絶縁型DC/DCコンバータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1次側に入力される直流電圧V1を直流電圧V2に変換して2次側から出力する絶縁型DC/DCコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、身近なところで絶縁型DC/DCコンバータが使用されるケースが増えてきている。例えば、絶縁型DC/DCコンバータは、電気自動車(EV)およびプラグインハイブリッド車(PHEV)を充電するためのV2H(Vehicle to Home)システムや、安価な深夜電力または太陽電池で得られた電力を蓄電池に蓄えておくよう構成された蓄電システム等で使用されている。
【0003】
絶縁型DC/DCコンバータは、一般に、高効率であることに加え、低騒音であること、および出力可能な電圧の範囲が広いことが好ましいとされている。
【0004】
低騒音は、スイッチング素子のスイッチング周波数を可聴域外に設定することで達成することができる。また、出力可能な電圧の範囲は、特許文献1に記載された構成、すなわち、1本の1次巻線および2本の2次巻線を有するトランスと、制御回路の制御下で上記2本の2次巻線の接続関係を並列接続または直列接続とする切替器とを備えた構成により広げることができる。なお、出力可能な電圧の範囲は、スイッチング周波数の増減によっても広げることができるが、この手法は、耳障りな騒音の悪化を招くおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5540872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、特許文献1に記載された構成によれば、出力可能な電圧の範囲を広げることができる。しかしながら、この構成に含まれる2本の2次巻線を有するトランスは、2次巻線が1本だけの一般的なトランスよりも銅損が大きいため、大電流を流すのに適していない。また、2本の2次巻線を有するトランスは、入手性が悪く、高コストな特注品となることも多い。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、一般的なトランスを使用しながら幅広い出力電圧範囲を実現することが可能な絶縁型DC/DCコンバータを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る絶縁型DC/DCコンバータは、1次側に入力される直流電圧V1を直流電圧V2に変換して2次側から出力するものであって、同一のコアに巻かれた各1本の1次巻線および2次巻線を含む、2N個(ただし、Nは正の整数)の同一のトランスと、直流電圧V1が入力される入力部、および交流電圧を出力する出力部を有するフルブリッジ回路部と、2N個のトランスと出力部との接続状態を、2N個のトランスに含まれる2N本の1次巻線の全部を並列接続したものが出力部に接続される並列接続状態と、2N個のトランスに含まれる2N本の1次巻線の全部を直列接続したものが出力部に接続される直列接続状態とに切り替える接続状態切替部と、接続状態切替部を制御する制御部とを備えたことを特徴とする。
【0009】
この構成では、コアが共通化されていない独立した2N個のトランスを使用する。したがって、この構成によれば、トランスの銅損が低減され、トランスに比較的大きな電流を流すことが可能となる。また、この構成によれば、並列接続状態および直列接続状態を併用することにより、幅広い出力電圧範囲を実現することができる。
【0010】
1次巻線の巻数をNp、2次巻線の巻数のNs、フルブリッジ回路部を構成するスイッチング素子の最大時比率をDmax、スイッチング素子の最小時比率をDminとしたとき、制御部は、例えば、
・V2≧{Ns/(2N×Np)}×Dmax×V1の関係が成立するときは、接続状態が並列接続状態となるように接続状態切替部を制御し、
・V2≦(Ns/Np)×Dmin×V1の関係が成立するときは、接続状態が直列接続状態となるように接続状態切替部を制御し、
・(Ns/Np)×Dmin×V1<V2<{Ns/(2N×Np)}×Dmax×V1の関係が成立するときは、接続状態が並列接続状態または直列接続状態となるように接続状態切替部を制御する
よう構成されていてもよい。
【0011】
また、制御部は、(Ns/Np)×Dmin×V1<V2<{Ns/(2N×Np)}×Dmax×V1の関係が成立したとき、直前の接続状態を維持するように接続状態切替部を制御してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、一般的なトランスを使用しながら幅広い出力電圧範囲を実現することが可能な絶縁型DC/DCコンバータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施例に係る絶縁型DC/DCコンバータの回路図である。
図2】第1実施例における接続状態切替部の具体例を示す回路図である。
図3】第1実施例における出力電圧範囲を示す図である。
図4】本発明の第2実施例に係る絶縁型DC/DCコンバータの回路図である。
図5】第2実施例における接続状態切替部の具体例を示す回路図である。
図6】本発明の第3実施例に係る絶縁型DC/DCコンバータの回路図である。
図7】第3実施例における接続状態切替部の具体例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る絶縁型DC/DCコンバータの実施例について説明する。
【0015】
[第1実施例]
図1に、本発明の第1実施例に係る絶縁型DC/DCコンバータ10Aを示す。本実施例に係る絶縁型DC/DCコンバータ10Aは、入力端11,11から入力される直流電圧V1を直流電圧V2に変換して出力端12,12から出力するものであって、フルブリッジ回路部13と、接続状態切替部14Aと、制御部15Aと、記憶部16と、2個の同一のトランスT1,T2とを主に備えている。この他、絶縁型DC/DCコンバータ10Aは、整流・平滑回路としてのダイオードD1a,D1b,D2a,D2b、コイルL1,L2およびコンデンサC1も備えている。
【0016】
なお、本明細書では、直流電圧V1を入力電圧と、直流電圧V2を出力電圧と呼ぶことがある。また、本明細書では、トランスT1,T2から見て入力端11,11側を1次側と、トランスT1,T2から見て出力端12,12側を2次側と呼ぶことがある。
【0017】
フルブリッジ回路部13は、4個のスイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4で構成されている。これらのうち、スイッチング素子Q1,Q2は第1レグを構成し、スイッチング素子Q3,Q4は第2レグを構成している。第1レグおよび第2レグは、いずれも入力端11,11に並列接続されている。ここで、スイッチング素子Q1,Q3のドレイン、およびスイッチング素子Q2,Q4のソースは、入力電圧V1が入力される部分であるから、「入力部」と呼ぶことができる。また、第1レグを構成するスイッチング素子Q1,Q2の接続点17、および第2レグを構成するスイッチング素子Q3,Q4の接続点18は、交流電圧を出力する部分であるから、「出力部」と呼ぶことができる。
【0018】
2個のトランスT1,T2は、それぞれ同一のコアに巻かれた各1本の1次巻線Tpおよび2次巻線Tsを含んでいる。1次巻線Tpの巻数はNpであり、2次巻線Tsの巻数はNsである。巻数Np,Nsは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0019】
記憶部16は、巻数Np,Nsを記憶している。
【0020】
接続状態切替部14Aは、2個のトランスT1,T2と出力部17,18との接続状態を、トランスT1,T2に含まれる2本の1次巻線Tpを並列接続したものが出力部17,18に接続される並列接続状態と、トランスT1,T2に含まれる2本の1次巻線Tpを直列接続したものが出力部17,18に接続される直列接続状態とに切り替えることができる。
【0021】
この切り替えを実現するために、接続状態切替部14Aは、2個の双投型の切替器SW1,SW2を含んでいる(図2参照)。切替器SW1,SW2は、それぞれ第1固定接点a、第2固定接点bおよび可動接点cを有している。
【0022】
切替器SW2の第1固定接点aは、トランスT1の1次巻線Tpの第1端(●あり)および出力部17に接続され、切替器SW1の第1固定接点aおよび切替器SW2の第2固定接点bは、トランスT1の1次巻線Tpの第2端(●なし)に接続されている。また、切替器SW2の可動接点cは、トランスT2の1次巻線Tpの第1端(●あり)に接続され、切替器SW1の可動接点cは、トランスT2の1次巻線Tpの第2端(●なし)および出力部18に接続されている。
【0023】
制御部15Aは、切替器SW1,SW2の可動接点cを第1固定接点aおよび第2固定接点bのいずれかに接続させる。具体的には、制御部15Aは、表1に示す通り、トランスT1,T2と出力部17,18との接続状態を並列接続状態とする場合は、切替器SW1,SW2の可動接点cを第1固定接点aに接続させ、トランスT1,T2と出力部17,18との接続状態を直列接続状態とする場合は、切替器SW1,SW2の可動接点cを第2固定接点bに接続させる。
【表1】
【0024】
また、制御部15Aは、フルブリッジ回路部13を構成するスイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4のオン/オフを制御する。具体的には、制御部15Aは、トランスT1,T2の1次巻線Tpに第1端(●あり)から第2端(●なし)へ向かう電流を生じさせる場合は、スイッチング素子Q1,Q4をオンさせるとともに残りのスイッチング素子Q2,Q3をオフさせる。また、制御部15Aは、トランスT1,T2の1次巻線Tpに第2端(●なし)から第1端(●あり)へ向かう電流を生じさせる場合は、スイッチング素子Q2,Q3をオンさせるとともに残りのスイッチング素子Q1,Q4をオフさせる。この制御において、制御部15Aは、スイッチング素子Q1,Q2,Q3,Q4の時比率をDmin~Dmaxの範囲で変化させることができる。
【0025】
トランスT1,T2と出力部17,18との接続状態が並列接続状態であり、かつ時比率がDmaxであるとき、出力電圧V2は、次式で表すことができる。

V2=(Ns/Np)×Dmax×V1

トランスT1,T2と出力部17,18との接続状態が並列接続状態であり、かつ時比率をDminであるとき、出力電圧V2は、次式で表すことができる。

V2=(Ns/Np)×Dmin×V1

トランスT1,T2と出力部17,18との接続状態が直列接続状態であり、かつ時比率がDmaxであるとき、出力電圧V2は、次式で表すことができる。

V2=(Ns/2Np)×Dmax×V1

また、トランスT1,T2と出力部17,18との接続状態が直列接続状態であり、かつ時比率がDminであるとき、出力電圧V2は、次式で表すことができる。

V2=(Ns/2Np)×Dmin×V1
【0026】
これらをまとめたのが図3である。同図に示すように、本実施例に係る絶縁型DC/DCコンバータ10Aは、トランスT1,T2と出力部17,18との接続状態が並列接続状態であるときに、(Ns/Np)×Dmin×V1~(Ns/Np)×Dmax×V1の範囲の出力電圧V2を出力することができ、トランスT1,T2と出力部17,18との接続状態が直列接続状態であるときに、(Ns/2Np)×Dmin×V1~(Ns/2Np)×Dmax×V1の範囲の出力電圧V2を出力することができる。
【0027】
言い換えると、制御部15Aは、出力すべき出力電圧V2が(Ns/2Np)×Dmax×V1以上であるときは、並列接続状態となるように接続状態切替部14Aの切替器SW1,SW2を制御し、出力すべき出力電圧V2が(Ns/Np)×Dmin×V1以下であるときは、直列接続状態となるように接続状態切替部14Aの切替器SW1,SW2を制御し、出力すべき出力電圧V2が(Ns/Np)×Dmin×V1~(Ns/2Np)×Dmax×V1の範囲内にあるときは、並列接続状態または直列接続状態となるように接続状態切替部14Aの切替器SW1,SW2を制御する。
【0028】
並列接続状態および直列接続状態のどちらでも所望の出力電圧V2を出力することができる場合、制御部15Aは、直前の接続状態を維持するように接続状態切替部14Aの切替器SW1,SW2を制御する。例えば、並列接続状態にせざるを得ない状況からどちらの接続状態でも構わない状況に遷移した場合、制御部15Aは、並列接続状態を維持するように接続状態切替部14Aの切替器SW1,SW2を制御する。これにより、切替器SW1,SW2の作動回数を減らすことができ、切替器SW1,SW2の長寿命化を図ることができる。
【0029】
制御部15Aは、図1には図示していない電圧計によって検出された入力電圧V1と、記憶部16に記憶された巻数Np,Nsを参照しながら、上記の制御を行う。また、制御部15Aは、フィードバック制御のために、図1には図示していない電圧計によって検出された出力電圧V2を参照してもよい。
【0030】
以上のように、本実施例に係る絶縁型DC/DCコンバータ10Aによれば、トランスT1,T2と出力部17,18との接続状態を並列接続状態および直列接続状態のいずれかとすることにより、幅広い出力電圧範囲(Ns/2Np)×Dmin×V1~(Ns/Np)×Dmax×V1を実現することができる。また、本実施例に係る絶縁型DC/DCコンバータ10Aによれば、コアが共通化されていない独立した2個のトランスT1,T2を使用することにより、銅損を低減することもできる。
【0031】
[第2実施例]
図4に、本発明の第2実施例に係る絶縁型DC/DCコンバータ10Bを示す。本実施例に係る絶縁型DC/DCコンバータ10Bは、接続状態切替部14Aの代わりに接続状態切替部14Bを備えている点と、制御部15Aの代わりに制御部15Bを備えている点と、4個の同一のトランスT1,T2,T3,T4を備えている点とにおいて絶縁型DC/DCコンバータ10Aと相違しているが、他の点においては絶縁型DC/DCコンバータ10Aと共通している。
【0032】
4個のトランスT1,T2,T3,T4は、それぞれ同一のコアに巻かれた各1本の1次巻線Tpおよび2次巻線Tsを含んでいる。第1実施例と同様、1次巻線Tpの巻数はNpであり、2次巻線Tsの巻数はNsである。
【0033】
接続状態切替部14Bは、4個のトランスT1,T2,T3,T4と出力部17,18との接続状態を、トランスT1,T2,T3,T4に含まれる4本の1次巻線Tpを並列接続したものが出力部17,18に接続される並列接続状態と、トランスT1,T2,T3,T4に含まれる4本の1次巻線Tpを直列接続したものが出力部17,18に接続される直列接続状態とに切り替えることができる。
【0034】
この切り替えを実現するために、接続状態切替部14Bは、6個の双投型の切替器SW1,SW2,SW3,SW4,SWa,SWbを含んでいる(図5参照)。切替器SW1,SW2,SW3,SW4,SWa,SWbは、それぞれ第1固定接点a、第2固定接点bおよび可動接点cを有している。
【0035】
切替器SW2の第1固定接点aは、トランスT1の1次巻線Tpの第1端(●あり)および出力部17に接続され、切替器SW1の第1固定接点aおよび切替器SW2の第2固定接点bは、トランスT1の1次巻線Tpの第2端(●なし)に接続されている。また、切替器SW2の可動接点cは、トランスT2の1次巻線Tpの第1端(●あり)に接続され、切替器SW1の可動接点cは、トランスT2の1次巻線Tpの第2端(●なし)に接続されている。
【0036】
切替器SW4の第1固定接点aは、トランスT3の1次巻線Tpの第1端(●あり)に接続され、切替器SW3の第1固定接点aおよび切替器SW4の第2固定接点bは、トランスT3の1次巻線Tpの第2端(●なし)に接続されている。また、切替器SW4の可動接点cは、トランスT4の1次巻線Tpの第1端(●あり)に接続され、切替器SW3の可動接点cは、トランスT4の1次巻線Tpの第2端(●なし)および出力部18に接続されている。
【0037】
切替器SWbの第1固定接点aは、出力部17に接続され、切替器SWaの第1固定接点aおよび切替器SWbの第2固定接点bは、トランスT2の1次巻線Tpの第2端(●なし)に接続されている。また、切替器SWbの可動接点cは、トランスT3の1次巻線Tpの第1端(●あり)に接続され、切替器SWaの可動接点cは、出力部18に接続されている。
【0038】
制御部15Bは、切替器SW1,SW2,SW3,SW4,SWa,SWbの可動接点cを第1固定接点aおよび第2固定接点bのいずれかに接続させる。具体的には、制御部15Bは、表2に示す通り、トランスT1,T2,T3,T4と出力部17,18との接続状態を並列接続状態とする場合は、切替器SW1,SW2,SW3,SW4,SWa,SWbの可動接点cを第1固定接点aに接続させ、トランスT1,T2,T3,T4と出力部17,18との接続状態を直列接続状態とする場合は、切替器SW1,SW2,SW3,SW4,SWa,SWbの可動接点cを第2固定接点bに接続させる。
【表2】
【0039】
本実施例に係る絶縁型DC/DCコンバータ10Bは、トランスT1,T2,T3,T4と出力部17,18との接続状態が並列接続状態であるときに、(Ns/Np)×Dmin×V1~(Ns/Np)×Dmax×V1の範囲の出力電圧V2を出力することができ、トランスT1,T2,T3,T4と出力部17,18との接続状態が直列接続状態であるときに、(Ns/4Np)×Dmin×V1~(Ns/4Np)×Dmax×V1の範囲の出力電圧V2を出力することができる。
【0040】
[第3実施例]
図6に、本発明の第3実施例に係る絶縁型DC/DCコンバータ10Cを示す。本実施例に係る絶縁型DC/DCコンバータ10Cは、接続状態切替部14Aの代わりに接続状態切替部14Cを備えている点と、制御部15Aの代わりに制御部15Cを備えている点と、8個の同一のトランスT1,T2,T3,T4,T5,T6,T7,T8を備えている点とにおいて絶縁型DC/DCコンバータ10Aと相違しているが、他の点においては絶縁型DC/DCコンバータ10Aと共通している。
【0041】
8個のトランスT1,T2,T3,T4,T5,T6,T7,T8は、それぞれ同一のコアに巻かれた各1本の1次巻線Tpおよび2次巻線Tsを含んでいる。第1実施例と同様、1次巻線Tpの巻数はNpであり、2次巻線Tsの巻数はNsである。
【0042】
接続状態切替部14Cは、8個のトランスT1,T2,T3,T4,T5,T6,T7,T8と出力部17,18との接続状態を、トランスT1,T2,T3,T4,T5,T6,T7,T8に含まれる8本の1次巻線Tpを並列接続したものが出力部17,18に接続される並列接続状態と、トランスT1,T2,T3,T4,T5,T6,T7,T8に含まれる8本の1次巻線Tpを直列接続したものが出力部17,18に接続される直列接続状態とに切り替えることができる。
【0043】
この切り替えを実現するために、接続状態切替部14Cは、14個の双投型の切替器SW1,SW2,SW3,SW4,SW5,SW6,SW7,SW8,SWa,SWb,SWc,SWd,SWe,SWfを含んでいる(図7参照)。切替器SW1,SW2,SW3,SW4,SW5,SW6,SW7,SW8,SWa,SWb,SWc,SWd,SWe,SWfは、それぞれ第1固定接点a、第2固定接点bおよび可動接点cを有している。
【0044】
切替器SW2の第1固定接点aは、トランスT1の1次巻線Tpの第1端(●あり)および出力部17に接続され、切替器SW1の第1固定接点aおよび切替器SW2の第2固定接点bは、トランスT1の1次巻線Tpの第2端(●なし)に接続されている。また、切替器SW2の可動接点cは、トランスT2の1次巻線Tpの第1端(●あり)に接続され、切替器SW1の可動接点cは、トランスT2の1次巻線Tpの第2端(●なし)に接続されている。
【0045】
切替器SW4の第1固定接点aは、トランスT3の1次巻線Tpの第1端(●あり)に接続され、切替器SW3の第1固定接点aおよび切替器SW4の第2固定接点bは、トランスT3の1次巻線Tpの第2端(●なし)に接続されている。また、切替器SW4の可動接点cは、トランスT4の1次巻線Tpの第1端(●あり)に接続され、切替器SW3の可動接点cは、トランスT4の1次巻線Tpの第2端(●なし)に接続されている。
【0046】
切替器SWbの第1固定接点aは、出力部17に接続され、切替器SWaの第1固定接点aおよび切替器SWbの第2固定接点bは、トランスT2の1次巻線Tpの第2端(●なし)に接続されている。また、切替器SWbの可動接点cは、トランスT3の1次巻線Tpの第1端(●あり)に接続され、切替器SWaの可動接点cは、トランスT4の1次巻線Tpの第2端(●なし)に接続されている。
【0047】
切替器SW6の第1固定接点aは、トランスT5の1次巻線Tpの第1端(●あり)に接続され、切替器SW5の第1固定接点aおよび切替器SW6の第2固定接点bは、トランスT5の1次巻線Tpの第2端(●なし)に接続されている。また、切替器SW6の可動接点cは、トランスT6の1次巻線Tpの第1端(●あり)に接続され、切替器SW5の可動接点cは、トランスT6の1次巻線Tpの第2端(●なし)に接続されている。
【0048】
切替器SW8の第1固定接点aは、トランスT7の1次巻線Tpの第1端(●あり)に接続され、切替器SW7の第1固定接点aおよび切替器SW8の第2固定接点bは、トランスT7の1次巻線Tpの第2端(●なし)に接続されている。また、切替器SW8の可動接点cは、トランスT8の1次巻線Tpの第1端(●あり)に接続され、切替器SW7の可動接点cは、トランスT8の1次巻線Tpの第2端(●なし)および出力部18に接続されている。
【0049】
切替器SWdの第1固定接点aは、トランスT5の1次巻線Tpの第1端(●あり)に接続され、切替器SWcの第1固定接点aおよび切替器SWdの第2固定接点bは、トランスT6の1次巻線Tpの第2端(●なし)に接続されている。また、切替器SWdの可動接点cは、トランスT7の1次巻線Tpの第1端(●あり)に接続され、切替器SWcの可動接点cは、出力部18に接続されている。
【0050】
切替器SWfの第1固定接点aは、出力部17に接続され、切替器SWeの第1固定接点aおよび切替器SWfの第2固定接点bは、トランスT4の1次巻線Tpの第2端(●なし)に接続されている。また、切替器SWfの可動接点cは、トランスT5の1次巻線Tpの第1端(●あり)に接続され、切替器SWeの可動接点cは、出力部18に接続されている。
【0051】
制御部15Cは、切替器SW1,SW2,SW3,SW4,SW5,SW6,SW7,SW8,SWa,SWb,SWc,SWd,SWe,SWfの可動接点cを第1固定接点aおよび第2固定接点bのいずれかに接続させる。具体的には、制御部15Cは、表3に示す通り、トランスT1,T2,T3,T4,T5,T6,T7,T8と出力部17,18との接続状態を並列接続状態とする場合は、切替器SW1,SW2,SW3,SW4,SW5,SW6,SW7,SW8,SWa,SWb,SWc,SWd,SWe,SWfの可動接点cを第1固定接点aに接続させ、トランスT1,T2,T3,T4,T5,T6,T7,T8と出力部17,18との接続状態を直列接続状態とする場合は、切替器SW1,SW2,SW3,SW4,SW5,SW6,SW7,SW8,SWa,SWb,SWc,SWd,SWe,SWfの可動接点cを第2固定接点bに接続させる。
【表3】
【0052】
本実施例に係る絶縁型DC/DCコンバータ10Cは、トランスT1,T2,T3,T4,T5,T6,T7,T8と出力部17,18との接続状態が並列接続状態であるときに、(Ns/Np)×Dmin×V1~(Ns/Np)×Dmax×V1の範囲の出力電圧V2を出力することができ、トランスT1,T2,T3,T4と出力部17,18との接続状態が直列接続状態であるときに、(Ns/8Np)×Dmin×V1~(Ns/8Np)×Dmax×V1の範囲の出力電圧V2を出力することができる。
【0053】
[変形例]
以上、本発明に係る絶縁型DC/DCコンバータの実施例について説明してきたが、本発明の構成はこれらに限定されるものではない。
【0054】
例えば、本発明に係る絶縁型DC/DCコンバータは、2N個(ただし、Nは正の整数)の同一のトランスを備えていてもよい。この場合、絶縁型DC/DCコンバータは、トランスT1,T2,・・・,T2Nと出力部17,18との接続状態が並列接続状態であるときに、(Ns/Np)×Dmin×V1~(Ns/Np)×Dmax×V1の範囲の出力電圧V2を出力することができ、トランスT1,T2,・・・,T2Nと出力部17,18との接続状態が直列接続状態であるときに、{Ns/(2N×Np)}×Dmin×V1~{Ns/(2N×Np)}×Dmax×V1の範囲の出力電圧V2を出力することができる。なお、トランスの数が変われば、当然ながら接続状態切替部および制御部の構成も変わる。
【0055】
なお、本発明に係る絶縁型DC/DCコンバータは、2個(ただし、Nは正の整数)の同一のトランスを備えることが特に好ましい。この場合、絶縁型DC/DCコンバータは、トランスT1,T2,・・・,T2と出力部17,18との接続状態が並列接続状態であるときに、(Ns/Np)×Dmin×V1~(Ns/Np)×Dmax×V1の範囲の出力電圧V2を出力することができ、トランスT1,T2,・・・,T2と出力部17,18との接続状態が直列接続状態であるときに、{Ns/(2×Np)}×Dmin×V1~{Ns/(2×Np)}×Dmax×V1の範囲の出力電圧V2を出力することができる。この構成によれば、並列接続状態時に各トランスT1,T2,・・・,T2に流れる電流を等しくすることができるとともに、直列接続状態時に各トランスT1,T2,・・・,T2に生じる電圧を等しくすることができるので、設計が容易となる。
【0056】
また、本発明に係る絶縁型DC/DCコンバータの制御部は、接続状態を並列接続状態としても直列接続状態としても所望の出力電圧V2を出力することができる場合に、任意のルールに従って接続状態を選択するように構成されていてもよい。例えば、制御部は、このような場合に、並列接続状態を必ず選択するよう構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0057】
10A,10B,10C 絶縁型DC/DCコンバータ
11 入力端
12 出力端
13 フルブリッジ回路部
14A,14B,14C 接続状態切替部
15A,15B,15C 制御部
16 記憶部
17 出力部
18 出力部
SW1,SW2,SW3,SW4,SW5,SW6,SW7,SW8 切替器
SWa,SWb,SWc,SWd,SWe,SWf 切替器
T1,T2,T3,T4,T5,T6,T7,T8 トランス
Tp 1次巻線
Ts 2次巻線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7