IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 鹿島建設株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ブロックの設置方法 図1
  • 特許-ブロックの設置方法 図2
  • 特許-ブロックの設置方法 図3
  • 特許-ブロックの設置方法 図4
  • 特許-ブロックの設置方法 図5
  • 特許-ブロックの設置方法 図6
  • 特許-ブロックの設置方法 図7
  • 特許-ブロックの設置方法 図8
  • 特許-ブロックの設置方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】ブロックの設置方法
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/46 20060101AFI20241128BHJP
   E04G 21/22 20060101ALI20241128BHJP
   E02B 7/02 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
B66C13/46 A
E04G21/22
E02B7/02 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021125140
(22)【出願日】2021-07-30
(65)【公開番号】P2023020016
(43)【公開日】2023-02-09
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青野 隆
(72)【発明者】
【氏名】増村 浩一
(72)【発明者】
【氏名】是永 明日香
(72)【発明者】
【氏名】高橋 正樹
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-214904(JP,A)
【文献】特開平10-226488(JP,A)
【文献】特開2021-018110(JP,A)
【文献】中国実用新案第209242522(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2013/0041500(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/00-15/06
E04G 21/22
E02B 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置装置を用いて複数のブロックを順に設置する設置方法であって、
前記設置装置は、
走行体と、
前記走行体に旋回可能に支持された旋回体と、
前記旋回体に起伏可能に支持されたブームと、
前記ブームに起伏可能に支持されたアームと、
前記アームの先端に支持され、前記ブロックを把持する把持機構と、
前記ブロックを撮像する撮像部と、
前記旋回体の旋回角度を検出する旋回角度検出部と、を備え、
設置方法は、
未設置ブロックを前記把持機構により把持する把持工程と、
前記未設置ブロックと設置済ブロックとを前記撮像部により撮像して取得された画像情報に基づいて、前記未設置ブロックと前記設置済ブロックの位置情報を取得する情報取得工程と、
前記情報取得工程にて取得された前記未設置ブロックと前記設置済ブロックの位置情報に基づいて、前記旋回体の旋回、前記ブームの起伏、及び前記アームの起伏を行って前記未設置ブロックを移動させる移動工程と、を備え
前記情報取得工程は、
前記未設置ブロックを前記把持機構により把持する前に、前記設置済ブロックを前記撮像部により撮像して取得された画像情報と、前記旋回角度検出部により検出された前記旋回角度と、に基づいて前記設置済ブロックの位置情報を取得する第1情報取得工程と、
前記第1情報取得工程後に、前記未設置ブロックを前記撮像部により撮像して取得された画像情報と、前記旋回角度検出部により検出された前記旋回角度と、に基づいて前記未設置ブロックの位置情報を取得する第2情報取得工程と、を備え、
前記移動工程では、前記第1情報取得工程にて取得された前記設置済ブロックの位置情報と、前記第2情報取得工程にて取得された前記未設置ブロックの位置情報と、に基づいて、前記旋回体を旋回させる、
ブロックの設置方法。
【請求項2】
前記未設置ブロック及び前記設置済ブロックにマーカが付されており、
前記情報取得工程では、前記撮像部により撮像された画像上における前記マーカの大きさ及び位置を求めることにより、前記未設置ブロック及び前記設置済ブロックの位置情報を取得する、
請求項1に記載のブロックの設置方法。
【請求項3】
設置装置を用いて複数のブロックを順に設置する設置方法であって、
前記設置装置は、
走行体と、
前記走行体に旋回可能に支持された旋回体と、
前記旋回体に起伏可能に支持されたブームと、
前記ブームに起伏可能に支持されたアームと、
前記アームの先端に支持され、前記ブロックを把持する把持機構と、
前記ブロックを撮像する撮像部と、を備え、
前記把持機構は、前記アームの先端に回転可能に支持されており、
設置方法は、
未設置ブロックを前記把持機構により把持する把持工程と、
前記未設置ブロックと設置済ブロックとを前記撮像部により撮像して取得された画像情報に基づいて、前記未設置ブロックと前記設置済ブロックの位置情報を取得する情報取得工程と、
前記情報取得工程にて取得された前記未設置ブロックと前記設置済ブロックの位置情報に基づいて、前記旋回体の旋回、前記ブームの起伏、及び前記アームの起伏を行って前記未設置ブロックを移動させる移動工程と、を備え、
前記情報取得工程では、前記画像情報に基づいて、前記未設置ブロックと前記設置済ブロックの方向情報を更に取得し、
前記移動工程では、前記情報取得工程にて取得された前記未設置ブロックと前記設置済ブロックの方向情報に基づいて、前記把持機構を回転させて前記未設置ブロックの方向を変更する、
ロックの設置方法。
【請求項4】
設置装置を用いて複数のブロックを順に設置する設置方法であって、
前記設置装置は、
走行体と、
前記走行体に旋回可能に支持された旋回体と、
前記旋回体に起伏可能に支持されたブームと、
前記ブームに起伏可能に支持されたアームと、
前記アームの先端に支持され、前記ブロックを把持する把持機構と、
前記ブロックを撮像する撮像部と、
未設置ブロックの設置を制御するコントローラと、を備え、
前記把持機構は、前記アームの先端に回転可能に支持されており、
設置方法は、
前記未設置ブロックを前記把持機構により把持する把持工程と、
前記未設置ブロックと設置済ブロックとを前記撮像部により撮像して取得された画像情報に基づいて、前記未設置ブロックと前記設置済ブロックの位置情報を取得する情報取得工程と、
前記情報取得工程にて取得された前記未設置ブロックと前記設置済ブロックの位置情報に基づいて、前記旋回体の旋回、前記ブームの起伏、及び前記アームの起伏を行って前記未設置ブロックを移動させる移動工程と、を備え、
前記情報取得工程では、前記画像情報に基づいて、前記未設置ブロックと前記設置済ブロックの方向情報を更に取得し、
前記コントローラは、前記移動工程では、前記情報取得工程にて取得された前記未設置ブロックと前記設置済ブロックの位置情報に基づいて、前記旋回体の旋回、前記ブームの起伏、及び前記アームの起伏を制御して前記未設置ブロックを移動させるとともに、前記情報取得工程にて取得された前記未設置ブロックと前記設置済ブロックの方向情報に基づいて、前記把持機構の回転を制御して前記未設置ブロックの方向を変更する、
ロックの設置方法。
【請求項5】
前記未設置ブロック及び前記設置済ブロックにマーカが付されており、
前記情報取得工程では、前記撮像部により撮像された画像上における前記マーカの歪を求めることにより、前記未設置ブロック及び前記設置済ブロックの方向情報を取得する、
請求項3または4に記載のブロックの設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロックの設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
砂防ダム等のコンクリート構造物の構築において、複数のプレキャスト製のブロックを順に設置することがある。砂防ダム等は、山間の急峻な傾斜地に構築されることが多く、作業員が施工現場に到達できないことがあるため、特許文献1では、クレーン等の設置装置を遠隔操作して複数のブロックを順に吊下搬送し設置することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-131944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数のブロックを順に設置する際には、新たに設置される未設置ブロックを、設置済ブロックに対して正確な位置に設置しないと誤差が累積していまい複数のブロックを正確な位置に設置できない場合がある。
【0005】
しかし、現状では、作業者は、未設置ブロックの位置と、設置済ブロックの位置と、を遠方から目視で確認しながら設置装置を操作しているのが一般的である。遠方からの目視による確認では、未設置ブロックの位置と設置済ブロックの位置を正確に把握することができないため、新たに設置される未設置ブロックを、設置済ブロックに対して正確な位置に設置することができない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数のブロックを正確な位置に設置することを目的とする。
【0007】
本発明は、設置装置を用いて複数のブロックを順に設置する設置方法であって、設置装置は、走行体と、走行体に旋回可能に支持された旋回体と、旋回体に起伏可能に支持されたブームと、ブームに起伏可能に支持されたアームと、アームの先端に支持され、ブロックを把持する把持機構と、ブロックを撮像する撮像部と、旋回体の旋回角度を検出する旋回角度検出部と、を備え、設置方法は、未設置ブロックを把持機構により把持する把持工程と、未設置ブロックと設置済ブロックとを撮像部により撮像して取得された画像情報に基づいて、未設置ブロックと設置済ブロックの位置情報を取得する情報取得工程と、情報取得工程にて取得された未設置ブロックと設置済ブロックの位置情報に基づいて、旋回体の旋回、ブームの起伏、及びアームの起伏を行って未設置ブロックを移動させる移動工程と、を備え、情報取得工程は、未設置ブロックを把持機構により把持する前に、設置済ブロックを撮像部により撮像して取得された画像情報と、旋回角度検出部により検出された旋回角度と、に基づいて設置済ブロックの位置情報を取得する第1情報取得工程と、第1情報取得工程後に、未設置ブロックを撮像部により撮像して取得された画像情報と、旋回角度検出部により検出された旋回角度と、に基づいて未設置ブロックの位置情報を取得する第2情報取得工程と、を備え、移動工程では、第1情報取得工程にて取得された設置済ブロックの位置情報と、第2情報取得工程にて取得された未設置ブロックの位置情報と、に基づいて、旋回体を旋回させる。
また、本発明は、設置装置を用いて複数のブロックを順に設置する設置方法であって、設置装置は、走行体と、走行体に旋回可能に支持された旋回体と、旋回体に起伏可能に支持されたブームと、ブームに起伏可能に支持されたアームと、アームの先端に支持され、ブロックを把持する把持機構と、ブロックを撮像する撮像部と、を備え、把持機構は、アームの先端に回転可能に支持されており、設置方法は、未設置ブロックを把持機構により把持する把持工程と、未設置ブロックと設置済ブロックとを撮像部により撮像して取得された画像情報に基づいて、未設置ブロックと設置済ブロックの位置情報を取得する情報取得工程と、情報取得工程にて取得された未設置ブロックと設置済ブロックの位置情報に基づいて、旋回体の旋回、ブームの起伏、及びアームの起伏を行って未設置ブロックを移動させる移動工程と、を備え、情報取得工程では、画像情報に基づいて、未設置ブロックと設置済ブロックの方向情報を更に取得し、移動工程では、情報取得工程にて取得された未設置ブロックと設置済ブロックの方向情報に基づいて、把持機構を回転させて未設置ブロックの方向を変更する。
また、本発明は、設置装置を用いて複数のブロックを順に設置する設置方法であって、設置装置は、走行体と、走行体に旋回可能に支持された旋回体と、旋回体に起伏可能に支持されたブームと、ブームに起伏可能に支持されたアームと、アームの先端に支持され、ブロックを把持する把持機構と、ブロックを撮像する撮像部と、未設置ブロックの設置を制御するコントローラと、を備え、把持機構は、アームの先端に回転可能に支持されており、設置方法は、未設置ブロックを把持機構により把持する把持工程と、未設置ブロックと設置済ブロックとを撮像部により撮像して取得された画像情報に基づいて、未設置ブロックと設置済ブロックの位置情報を取得する情報取得工程と、情報取得工程にて取得された未設置ブロックと設置済ブロックの位置情報に基づいて、旋回体の旋回、ブームの起伏、及びアームの起伏を行って未設置ブロックを移動させる移動工程と、を備え、情報取得工程では、画像情報に基づいて、未設置ブロックと設置済ブロックの方向情報を更に取得し、コントローラは、移動工程では、情報取得工程にて取得された未設置ブロックと設置済ブロックの位置情報に基づいて、旋回体の旋回、ブームの起伏、及びアームの起伏を制御して未設置ブロックを移動させるとともに、情報取得工程にて取得された未設置ブロックと設置済ブロックの方向情報に基づいて、把持機構の回転を制御して未設置ブロックの方向を変更する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数のブロックを正確な位置に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】複数のブロックを設置している状態を示す概略図であり、図1(a)は、設置済のブロックを設置装置とは反対側から見た正面図であり、図1(b)は、設置済のブロックの配列方向に設置済のブロック及び設置装置を見た側面図である。
図2】複数のブロックを設置している状態を示す概略図であり、鉛直上方から設置済みのブロック及び設置装置を見た平面図である。
図3】本発明の第1実施形態において用いられる設置装置のブロック図である。
図4】画像情報に基づいてブロックの位置情報及び方向情報を取得する方法を説明するための図である。
図5】モニタに表示される画像の一例である。
図6】モニタに表示される画像の別の一例である。
図7】本発明の第2実施形態において用いられる設置装置のブロック図である。
図8】本発明の第3実施形態において用いられる設置装置のブロック図である。
図9】本発明の第3実施形態において用いられる設置装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係るブロックの設置方法について、図面を参照して説明する。
【0011】
<第1実施形態>
まず、図1から図7を参照して、本発明の第1実施形態に係る設置方法について説明する。ここでは、複数のブロック1を水平方向及び鉛直方向に順に並べて砂防ダムを構築する場合について説明するが、本発明は、砂防ダム以外の構造物、例えば、側溝やL型擁壁等を構築する場合にも適用可能である。
【0012】
図1及び図2は、複数のブロック1を予め定められた位置に設置装置100を用いて設置している状態を示す概略図である。図1及び図2に示すように、複数のブロック1は、水平方向に順に並べて設置される。また、設置されたブロック1の上に、重層してブロック1は水平方向に順に並べて設置される。ブロック1は、運搬車両2(例えば、クローラダンプ)を用いて順次施工現場に搬入される。図1(a)は、設置済のブロック1を設置装置100とは反対側から見た正面図であり、図1(b)は、設置済のブロック1の配列方向に設置済のブロック及び設置装置を見た側面図である。図2は、鉛直上方から設置済みのブロック1及び設置装置100を見た平面図である。
【0013】
砂防ダムは、山間の急峻な傾斜地に構築されることが多く、自然災害のリスクもあり作業員が施工現場に到達できないことがある。設置装置100は、遠隔操作可能に構成されており、作業員は、施工現場とは別の場所(例えば、施工現場から離れて設けられた事務所)から設置装置100を操作することができる。以下では、設置装置100が施工現場における水平面に配置されていると仮定する。
【0014】
設置装置100は、走行可能な走行体10と、略鉛直な旋回軸A1を中心に旋回可能に走行体10に支持された旋回体20と、略水平な起伏軸A2を中心に起伏可能に旋回体20に支持されたブーム30と、略水平な起伏軸A3を中心に起伏可能にブーム30の先端に支持されたアーム40と、略水平な揺動軸A4を中心に揺動自在にアーム40の先端に支持された把持機構50と、を備える。ブロック1は、把持機構50によって把持される。
【0015】
本実施形態では、ブロック1には、ブロック1の重心を通る貫通孔1aが予め形成されている。把持機構50は、貫通孔1aの内側からブロック1を把持可能に構成されている。具体的には、把持機構50は、基部51と、基部51に設けられた複数の爪52と、を備えている。複数の爪52は、所定の中心軸A5の周りに互いに間隔を空けて配置されており、中心軸A5を中心とする放射方向(以下、「径方向」と称する)に移動可能である。複数の爪52をブロック1の貫通孔1aに挿入した状態で径方向外側に移動させると、複数の爪52は、貫通孔1aの内周面に押付けられ、ブロック1は、把持機構50により把持される。複数の爪52を径方向内側に移動させると、複数の爪52は、貫通孔1aの内周面から離れ、把持機構50によるブロック1の把持が解除される。
【0016】
なお、把持機構50は、貫通孔1aの内側からブロック1を把持する形態に限られない。例えば、把持機構50は、複数の爪52でブロック1を挟んで把持する形態であってもよい。この場合には、ブロック1に貫通孔1aが形成されていなくてもよい。
【0017】
把持機構50は、回転機構60を介してアーム40の先端に支持されている。回転機構60は、アーム40の先端に設けられたブラケット61と、ブラケット61に回転自在に設けられた回転部材62と、を備えている。把持機構50の基部51は、中心軸A5が回転部材62の回転軸と略一致するように回転部材62に取り付けられている。つまり、回転部材62が回転すると、把持機構50が中心軸A5を中心に回転する。
【0018】
このように、把持機構50は、アーム40の先端に回転可能に支持されている。したがって、把持機構50により把持されたブロック1の方向(向き)を把持機構50の回転により変えることができる。
【0019】
ブラケット61は、揺動軸A4を中心に重力により揺動自在である。把持機構50は、ブラケット61の揺動が静止した状態で中心軸A5が鉛直になるように回転部材62に取り付けられている。そのため、貫通孔1aが鉛直になるようにブロック1が置かれている場合に、貫通孔1aに爪52を容易に挿入することができる。したがって、ブロック1を容易に把持することができる。
【0020】
また、把持機構50は、ブロック1を把持した状態で中心軸A5が鉛直になるように回転部材62に取り付けられている。そのため、把持機構50により把持されたブロック1を、貫通孔1aが鉛直になるように所望の位置に容易に置くことができる。
【0021】
図3は、設置装置100のブロック図である。図3に示すように、設置装置100は、走行体10を走行させる走行体駆動部11と、旋回体20を旋回させる旋回体駆動部21と、ブーム30を起伏させるブーム駆動部31と、アーム40を起伏させるアーム駆動部41と、回転機構60の回転部材62を回転させる回転部材駆動部53と、把持機構50の爪52を移動させる爪駆動部54と、を備える。走行体駆動部11及び旋回体駆動部21は、例えば油圧モータである。ブーム駆動部31及びアーム駆動部41は、例えば油圧シリンダである。回転部材駆動部53は、例えば油圧モータである。爪駆動部54は、例えば、油圧シリンダである。
【0022】
設置装置100は、走行体駆動部11、旋回体駆動部21、ブーム駆動部31、アーム駆動部41、回転部材駆動部53及び爪駆動部54に制御信号を出力するコントローラ70を更に備えている。コントローラ70は、例えば制御プログラム等を実行するCPU(Central Processing Unit)と、CPUにより実行される制御プログラムを記憶するROM(Read-Only Memory)と、CPUの演算結果等を記憶するRAM(Random Access Memory)と、を備えるマイクロコンピュータである。コントローラ70は、1つのマイクロコンピュータによって構成されていてもよいし、複数のマイクロコンピュータによって構成されていてもよい。
【0023】
コントローラ70は、施工現場とは別の場所に設けられた操作機器81と無線通信可能に構成される。作業者による操作機器81の操作により、操作機器81からコントローラ70に操作信号が出力され、コントローラ70から走行体駆動部11、旋回体駆動部21、ブーム駆動部31、アーム駆動部41、回転部材駆動部53及び爪駆動部54に制御信号が出力される。したがって、山間の急峻な傾斜地等の作業員が到達できない施工現場においても、設置装置100を遠隔操作することができ、設置装置100を用いてブロック1を設置することができる。
【0024】
設置装置100の遠隔操作によるブロック1の設置においては、設置済のブロック1(以下、「設置済ブロック1f」と称する)の位置と、未設置のブロック1(以下「未設置ブロック1g」と称する)の位置と、を目視により正確に把握することは難しい。位置を正確に把握できない状態では、新たに設置される未設置ブロックを、設置済ブロックに対して正確な位置に設置できず、誤差が累積していまい複数のブロックを正確な位置に設置できない。このような理由から、未設置ブロック1gと設置済ブロック1fの位置を把握することが求められている。
【0025】
位置を把握する方法として、全世界測位システム(Global Navigation Satellite System:GNSS)を用いることが考えられる。しかしながら、全世界測位システムでは、人工衛星からの信号を受信する必要がある。山間の施工現場では人工衛星からの信号が届かないことがあり、全世界測位システムを用いても未設置ブロック1gと設置済ブロック1fの位置を把握することができないおそれがある。
【0026】
本実施形態では、コントローラ70は、未設置ブロック1gと設置済ブロック1fとの撮像により得られた画像情報に基づいて、旋回体20に対する未設置ブロック1gと設置済ブロック1fの位置情報を取得可能に構成される。そのため、遠方からの目視によらずに、また全世界測位システムによらずに、未設置ブロック1gと設置済ブロック1fの位置の把握が可能になる。したがって、設置装置100の遠隔操作によっても未設置ブロック1gを設置済ブロック1fに対して正確な位置に設置することができる。
【0027】
また、本実施形態では、コントローラ70は、旋回体20に対するブーム30の起伏角度θ2及びブーム30に対するアーム40の起伏角度θ3に基づいて、旋回体20に対する把持機構50の位置情報を取得可能に構成される。そのため、遠方からの目視によらずに、また全世界測位システムによらずに、未設置ブロック1gと把持機構50の位置の把握が可能になる。したがって、設置装置100の遠隔操作によっても把持機構50を未設置ブロック1gの近傍に容易に移動させることができ、未設置ブロック1gを容易に把持することができる。
【0028】
図1乃至図3に示すように、設置装置100は、ブロック1を撮像するカメラ(撮像部)90を備えている。カメラ90は、旋回体20に取り付けられている。カメラ90を用いて撮像される画像は、動画であってもよいし静止画であってもよい。本実施形態では、カメラ90の動画または静止画を利用することで、例えば、光波測距・レーザ測距を利用したトータルステーションを利用する場合と比較して、後述する位置情報を迅速に取得できる。
【0029】
設置装置100は、起伏角度θ2を検出するブーム起伏角度検出部32と、起伏角度θ3を検出するアーム起伏角度検出部42と、を備えている。ブーム起伏角度検出部32は、例えばブーム駆動部31の駆動量に基づいて角度を算出するセンサである。アーム起伏角度検出部42は、例えばアーム駆動部41の駆動量に基づいて角度を算出するセンサである。ブーム起伏角度検出部32及びアーム起伏角度検出部42は、角度計であってもよい。
【0030】
コントローラ70は、機能的には、画像情報取得部71と、角度情報取得部72と、ブロック位置情報・方向情報取得部73と、ブロック状態判別部74と、把持機構位置情報取得部75と、目標位置情報・目標方向情報取得部76と、通信部77と、信号出力部78と、を備えている。画像情報取得部71、角度情報取得部72、ブロック位置情報・方向情報取得部73、ブロック状態判別部74、把持機構位置情報取得部75、目標位置情報・目標方向情報取得部76、通信部77及び信号出力部78は、コントローラ70の機能を仮想的なユニットとしたものである。
【0031】
画像情報取得部71は、カメラ90を用いた撮像により取得される画像を画像情報として取得する。角度情報取得部72は、ブーム起伏角度検出部32及びアーム起伏角度検出部42により検出される起伏角度θ2及び起伏角度θ3を角度情報として取得する。
【0032】
ブロック位置情報・方向情報取得部73は、画像情報取得部71により取得された画像情報に基づいて、カメラ90の座標系におけるブロック1の位置情報及び方向情報を取得する。カメラ90の座標系とは、例えば、図1及び図2に示すように、カメラ90の光軸OA上の点を原点とし、光軸OAをX軸とし、光軸OAに直交する2軸をY軸及びZ軸とする座標系である。画像情報に基づいたカメラ90の座標系におけるブロック1の位置情報及び方向情報の取得について、図4を参照して簡単に説明する。
【0033】
図4(a)は、ブロック1の斜視図である。図4(a)に示すように、本実施形態では、ブロック1の側面1bにAR(Augmented Reality)マーカ3が予め付されている。ブロック位置情報・方向情報取得部73は、カメラ90により撮像された画像からARマーカ3を識別して、ブロック1の位置情報及び方向情報を取得する。ここでは、ARマーカ3の中心位置を、ブロック1の位置とし、ブロック1の側面1bに直交する方向をブロック1の方向とする。なお、図4(a)に示す例では、ARマーカ3は、正方形に描かれているが、正方形に限られない。
【0034】
図4(b)は、ブロック1のARマーカ3がカメラ90に対して正対している状態の概略図であり、図4(c)は、図4(b)に示される状態においてカメラ90により撮像される画像を示す図である。ARマーカ3がカメラ90に対して正対している状態とは、具体的には、ARマーカ3の中心がカメラ90の光軸OA上に位置しかつブロック1の側面1bがカメラ90の光軸OAと直交している状態である。図4(d)は、ブロック1の側面1bがカメラ90に対して正対していない状態の概略図であり、図4(e)は、図4(d)に示される状態においてカメラ90により撮像される画像を示す図である。
【0035】
図4(b)に示すようにブロック1のARマーカ3がカメラ90に対して正対している場合には、画像上におけるARマーカ3は、図4(c)に示すように、正方形となる。図4(d)に示すようにブロック1のARマーカ3がカメラ90に対して正対していない場合には、画像上におけるARマーカ3は、図4(e)に示すように、歪む。つまり、カメラ90に対するブロック1の方向と、画像上におけるARマーカ3の歪みと、の間には一定の関係があり、画像上におけるARマーカ3の歪みを求めることにより、カメラ90の座標系におけるブロック1の方向情報を取得することが可能となる。
【0036】
また、画像上におけるARマーカ3は、ブロック1がカメラ90から離れているほど、小さくなる。画像上におけるARマーカ3は、図4(d)に示すようにブロック1がカメラ90の光軸OAから離れているほど、図4(e)に示すように画像の中心から離れる。つまり、カメラ90に対するブロック1の位置と、画像上におけるARマーカ3の大きさ及び位置と、の間には一定の関係があり、画像上におけるARマーカ3の大きさ及び位置を求めることにより、カメラ90の座標系におけるブロック1の位置情報を取得することが可能となる。
【0037】
ブロック位置情報・方向情報取得部73(図3参照)は、画像上におけるARマーカ3の大きさ、位置及び歪みと、ブロック1の位置及び方向と、の関係を利用して、カメラ90の座標系におけるブロック1の位置情報及び方向情報を取得する。具体的には、画像処理により、画像上におけるARマーカ3の大きさ、位置及び歪みを求め、求められた大きさ、位置及び歪みに基づいて、カメラ90の座標系におけるブロック1の位置情報及び方向情報を取得する。
【0038】
なお、ブロック位置情報・方向情報取得部73は、ARマーカ3を用いてブロック1の位置情報及び方向情報を取得する形態に限られない。例えば、ブロック位置情報・方向情報取得部73は、画像上におけるブロック1の輪郭を画像処理により求め、輪郭に基づいて、ブロック1の位置情報及び方向情報を取得してもよい。
【0039】
ブロック位置情報・方向情報取得部73により取得された位置情報及び方向情報だけでは、カメラ90により撮像されたブロック1が未設置ブロック1gであるか設置済ブロック1fであるかを判別できない。そこで、ブロック状態判別部74が、カメラ90により撮像されたブロック1が未設置ブロック1gであるか設置済ブロック1fであるかを判別する。
【0040】
未設置ブロック1gは、把持機構50により把持された状態では、設置済ブロック1fよりも把持機構50の近くに位置することになる。ブロック状態判別部74は、ブロック1と把持機構50との距離を利用して、カメラ90により撮像されたブロック1が未設置ブロック1gであるか設置済ブロック1fであるかを判別する。具体的には、ブロック1の位置情報と把持機構50の位置情報とに基づいてブロック1と把持機構50との距離を算出する。算出された距離が所定の閾値未満であるときには当該ブロック1が把持機構50により把持された未設置ブロック1gであると判別し、ブロック1と把持機構50との距離が所定の閾値以上であるときには当該ブロック1が設置済ブロック1fであると判別する。
【0041】
把持機構50の位置情報は、把持機構位置情報取得部75により取得される。ここでは、複数の爪52における下端の中心位置を、把持機構50の位置とする。
【0042】
把持機構位置情報取得部75は、角度情報取得部72により取得された角度情報に基づいて、カメラ90の座標系における把持機構50の位置情報を取得する。具体的には、図1及び図2に示すように、カメラ90に対する起伏軸A2の位置、ブーム30及びアーム40の長さ、並びに、揺動軸A4に対する把持機構50の位置は既知である。そこで、把持機構位置情報取得部75は、これらの既知の値と、ブーム30の起伏角度θ2及びアーム40の起伏角度θ3と、に基づいて、カメラ90の座標系における把持機構50の位置を算出する。
【0043】
なお、把持機構位置情報取得部75は、ブーム30の起伏角度θ2及びアーム40の起伏角度θ3に基づいて、把持機構50の位置情報を取得する形態に限られない。例えば、把持機構50にARマーカ(不図示)を予め付しておき、カメラ90を用いて把持機構50のARマーカを撮像し、取得された画像情報に基づいて把持機構50の位置情報を取得してもよい。この場合には、ブーム起伏角度検出部32及びアーム起伏角度検出部42は不要になる。
【0044】
また、設置装置100は、旋回体20の傾斜(鉛直に対する旋回軸A1の傾斜)を計測する不図示の機体傾斜計を備えている。そのため、設置装置100が配置される面が傾斜していても、機体傾斜計により検出される角度を利用して旋回体20の傾斜を把握することができ、ブーム30及びアーム40の操作量を補正することができる。
【0045】
図3に示すように、目標位置情報・目標方向情報取得部76は、ブロック位置情報・方向情報取得部73により取得されたブロック1の位置情報及び方向情報と、ブロック状態判別部74による判別結果と、に基づいて、未設置ブロック1gの目標位置情報及び目標方向情報を取得する。具体的には、ブロック位置情報・方向情報取得部73により取得されたブロック1の位置情報及び方向情報から、ブロック状態判別部74により設置済ブロック1fと判別されたブロック1の位置情報及び方向情報を設置済ブロック1fの位置情報及び方向情報として選出する。砂防ダムの設計時に決定される複数のブロック1の配置と、設置済ブロック1fの位置情報及び方向情報と、に基づいて、未設置ブロック1gの目標位置及び目標方向を算出する。
【0046】
通信部77は、画像情報、角度情報、ブロック1の位置情報及び方向情報、未設置ブロック1gの目標位置情報及び目標方向情報、並びに把持機構50の位置情報を、モニタ82に出力する。モニタ82は、操作機器81を操作する作業員が見ることのできる位置に設置される。
【0047】
図5は、モニタ82に表示される画像の一例である。図6は、モニタ82に表示される画像の別の一例である。図5では、4つの設置済ブロック1fの近傍に未設置ブロック1gを設置するときにモニタ82に表示される例が示されている。図6では、運搬車両2に搭載された未設置ブロック1gを把持機構50により把持するときにモニタ82に表示される例が示されている。
【0048】
図5に示すように、モニタ82は、カメラ90により撮像された画像を表示すると共に、ブロック1の位置及び方向、未設置ブロック1gの目標位置及び目標方向を表示する。図5において、「(Xf1、Yf1、Zf1)」、・・・、「(Xf4、Yf4、Zf4)」は、設置済ブロック1fにおけるARマーカ3の中心位置を示し、「(Xg、Yg、Zg)」は、未設置ブロック1gにおけるARマーカ3の中心位置を示し、「(Xt、Yt、Zt)」は、未設置ブロック1gにおけるARマーカ3の目標中心位置を示す。矢印は、設置済ブロック1f及び未設置ブロック1gの方向、並びに未設置ブロック1gの目標方向を示す。設置済ブロック1f及び未設置ブロック1gの方向、並びに未設置ブロック1gの目標方向は、数値で表示されてもよい。設置済ブロック1fと二点鎖線とによって囲われたスペースは、未設置ブロック1gの設置目標スペースを示す。
【0049】
このように、モニタ82は、未設置ブロック1gの位置及び方向と、未設置ブロック1gの目標位置及び目標方向と、を表示する。未設置ブロック1gの目標位置及び目標方向は、設置済ブロック1fの位置及び方向に基づいて表示されるため、設置済ブロック1fが設計位置に対してずれて設置されている場合にも、作業者は、設置済ブロック1fを基準に未設置ブロック1gを移動させることができる。したがって、未設置ブロック1gを設置済ブロック1fに対して正確な位置に設置することができる。
【0050】
図6に示すように、モニタ82は、未設置ブロック1gにおける貫通孔1aの開口中心位置と、複数の爪52における下端の中心位置と、を更に表示する。貫通孔1aの開口中心位置は、ブロック位置情報・方向情報取得部73により、ブロック1の既知の形状と、ARマーカ3の中心位置と、に基づいて算出される。図6において、「(Xo、Yo、Zo)」は、未設置ブロック1gにおける貫通孔1aの開口中心位置を示し、「(Xc、Yc、Zc)」は、把持機構50における爪52の下端の中心位置を示す。
【0051】
このように、モニタ82は、未設置ブロック1gにおける貫通孔1aの開口中心位置と、複数の爪52における下端の中心位置と、を表示する。そのため、作業者は、モニタ82で未設置ブロック1gにおける貫通孔1aの開口中心位置と、複数の爪52における下端の中心位置と、を確認しながら操作機器81を操作して把持機構50を移動させることができる。したがって、把持機構50の爪52を容易に未設置ブロック1gの複数の爪52における下端の中心位置に挿入することができ、未設置ブロック1gを容易に把持することができる。
【0052】
次に、設置装置100を用いたブロック1の設置方法について説明する。ここでは、複数のブロック1の一部が既に所定の位置に設置されているものとして説明する。
【0053】
まず、運搬車両2に搭載された未設置ブロック1gを把持機構50により把持する(把持工程)。具体的には、未設置ブロック1gがカメラ90の視野に入るように旋回体20を旋回させて未設置ブロック1gをカメラ90により撮像する。これにより、未設置ブロック1gにおける貫通孔1aの開口中心位置情報が取得され、モニタ82に、貫通孔1aの開口中心位置が表示される。貫通孔1aの開口中心位置と把持機構50の複数の爪52における下端の中心位置とが一致するようにモニタ82を確認しながら把持機構50を移動させ、把持機構50を降下させて複数の爪52を貫通孔1aに挿入する。その後、複数の爪52を径方向外側に移動させ、複数の爪52を貫通孔1aの内周面に押付ける。以上により、ブロック1が把持機構50により把持される。
【0054】
次に、未設置ブロック1gと設置済ブロック1fの位置情報及び方向情報を取得する(情報取得工程)。具体的には、設置済ブロック1fがカメラ90の視野に入るように旋回体20を旋回させて、把持機構50により把持された未設置ブロック1gと、設置済ブロック1fと、をカメラ90により撮像する。カメラ90により取得された画像情報に基づいて、未設置ブロック1gと設置済ブロック1fの位置情報及び方向情報が取得される。また、設置済ブロック1fの位置情報及び方向情報に基づいて、未設置ブロック1gの目標位置情報及び目標方向情報が取得される。モニタ82には、未設置ブロック1gと設置済ブロック1fの位置及び方向と、未設置ブロック1gの目標位置及び目標方向が表示される。
【0055】
次に、情報取得工程にて取得された位置情報に基づいて、旋回体20の旋回、ブーム30の起伏、アーム40の起伏及び把持機構50の回転を行って、未設置ブロック1gを移動させると共に未設置ブロック1gの方向を変更する(移動工程)。具体的には、モニタ82に表示される未設置ブロック1gの位置及び方向と、未設置ブロック1gの目標位置及び目標方向と、が一致するように、把持機構50を移動させると共に把持機構50を回転させる。未設置ブロック1gの位置及び方向と、未設置ブロック1gの目標位置及び目標方向と、が一致したところで、把持機構50による未設置ブロック1gの把持を解除する。
【0056】
次に、ブロック1が並べられる方向に走行体10を移動させ、再び把持工程を行う。把持工程、情報取得工程及び移動工程を繰り返すことにより、複数のブロック1が順に設置される。
【0057】
なお、走行体10を移動は、ブロック1を1つ設置する毎に行ってもよいし、ブロック1を2つ以上設置する毎に行ってもよい。
【0058】
以上の実施形態によれば、以下に示す作用効果を奏する。
【0059】
本実施形態では、カメラ90を用いて未設置ブロック1gと設置済ブロック1fを撮像することにより取得された画像情報に基づいて、未設置ブロック1gと設置済ブロック1fの位置情報及び方向情報を取得する。そのため、遠方からの目視によらずに、また全世界測位システムによらずに、未設置ブロック1gと設置済ブロック1fの位置及び方向の把握が可能になる。したがって、設置装置100の遠隔操作によっても未設置ブロック1gを設置済ブロック1fに対して正確な位置に設置することができる。
【0060】
なお、未設置ブロック1gの方向を設置済ブロック1fの方向に合わせなくてもよい場合には、把持機構50は、アーム40の先端に回転可能に支持されていなくてもよく、また、コントローラ70は、未設置ブロック1gと設置済ブロック1fの方向情報を取得しなくてもよい。
【0061】
カメラ90は、旋回体20とは別の場所、例えば、走行体10や不図示の台車に設けられていてもよい。本実施形態のようにカメラ90が旋回体20に設けられている場合には、旋回体20の旋回に伴ってカメラ90の視野が変化する。そのため、運搬車両2に搭載された未設置ブロック1gを把持するために旋回体20を旋回させたときにも、カメラ90を使用して未設置ブロック1gを撮像することができる。カメラ90が走行体10に設けられている場合には、カメラ90の視野は、旋回体20が旋回しても変化しない。そのため、未設置ブロック1gと設置済ブロック1fとの両方をカメラ90が撮像できる位置で走行体10を停止しておくことにより、旋回体20の旋回に関わらず、未設置ブロック1gと設置済ブロック1fの位置及び方向を把握することができる。カメラ90が台車に設けられている場合には、カメラ90の視野は、走行体10が移動し旋回体20が旋回しても変化しない。そのため、未設置ブロック1gと設置済ブロック1fとの両方をカメラ90が撮像できる位置で台車を停止しておくことにより、走行体10の移動及び旋回体20の旋回に関わらず、未設置ブロック1gと設置済ブロック1fの位置及び方向を把握することができる。
【0062】
上記実施形態では、把持機構50は、揺動軸A4を中心に重力により揺動自在であるが、設置装置100は、揺動軸A4を中心に把持機構50を揺動させる駆動部(例えば油圧シリンダ)を備えていてもよい。この場合には、中心軸A5を鉛直に対して傾けた状態で把持機構50を保持することができ、貫通孔1aを鉛直に対して傾けた状態でブロック1を設置することができる。
【0063】
把持機構50が駆動部により揺動する場合には、設置装置100は、アーム40に対する把持機構50の揺動角度を検出する揺動角度検出部を備えていることが好ましい。また、把持機構位置情報取得部75は、揺動角度検出部により検出される検出角度に基づいて把持機構50の位置情報を取得するように構成されていることが好ましい。
【0064】
<第2実施形態>
【0065】
次に、本発明の第2実施形態について、図7を参照して説明する。図7は、本実施形態において用いられる設置装置200のブロック図である。
【0066】
第1実施形態では、把持機構50により未設置ブロック1gを把持した後、設置済ブロック1fがカメラ90の視野に入るように旋回体20を旋回させ、設置済ブロック1fの位置情報を取得する。そのため、作業員は、設置済ブロック1fがカメラ90の視野に入るまでは、設置済ブロック1fの位置を把握することができず、旋回体20を慎重に旋回させる必要がある。
【0067】
第2実施形態では、コントローラ270は、設置済ブロック1fがカメラ90の視野に入っていない状態でも設置済ブロック1fの位置をモニタ82に表示可能に構成される。そのため、作業員は、設置済ブロック1fがカメラ90の視野に入っていなくても、設置済ブロック1fの位置を把握することができる。したがって、旋回体20を容易に旋回させることができる。
【0068】
以下では、第1実施形態との相違点を主に説明し、第1実施形態で説明した構成と同一の構成又は相当する構成については、図中に第1実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。また、設置装置200の正面図、側面図及び平面図は、図1及び図2に示される設置装置100の正面図、側面図及び平面図と略同じであるため、図示を省略する。
【0069】
図7に示すように、設置装置200は、走行体10に対する旋回体20の旋回角度θ1(図2参照)を検出する旋回角度検出部222を備えている。旋回角度検出部222は、例えば旋回体駆動部21の駆動量に基づいて角度を算出するセンサである。旋回角度検出部222は、角度計であってもよい。
【0070】
角度情報取得部72は、旋回角度検出部222により検出される旋回角度θ1を角度情報として取得する。
【0071】
ブロック位置情報・方向情報取得部73は、画像情報取得部71により取得された画像情報と、角度情報取得部72により取得された角度情報と、に基づいて、走行体10の座標系におけるブロック1の位置情報及び方向情報を取得する。走行体10の座標系とは、例えば、旋回軸A1上の点を原点とし、旋回軸A1をZ軸とし、旋回軸A1に直交する2軸をX軸及びY軸とする座標系である。
【0072】
走行体10(図2)に対するカメラ90の位置は、旋回角度θ1から算出可能である。そこで、ブロック位置情報・方向情報取得部73は、カメラ90の座標系におけるブロック1の位置情報及び方向情報と、旋回角度θ1の情報と、に基づいて、走行体10の座標系におけるブロック1の位置情報及び方向情報を取得する。
【0073】
走行体10の座標系における設置済ブロック1fの位置及び方向は、旋回体20が旋回しても変化しない。そこで、コントローラ270は、設置済ブロック1fの位置情報及び方向情報を記憶する。具体的には、コントローラ270は、機能的には、記憶部279を更に備えている。記憶部279は、設置済ブロック1fがカメラ90の視野から外れたときに、ブロック位置情報・方向情報取得部73により取得された設置済ブロック1fの位置情報及び方向情報を記憶する。
【0074】
通信部77は、記憶部279に記憶された設置済ブロック1fの位置情報及び方向情報をモニタ82に出力する。モニタ82は、設置済ブロック1fの位置及び方向を表示する。なお、設置済ブロック1fがカメラ90の視野から外れたときには、設置済ブロック1fの画像はモニタ82に表示されなくなるため、設置済ブロック1fの位置及び方向の数値は、例えば数値としてモニタ82に表示される。
【0075】
このように、モニタ82には、カメラ90の視野から外れた設置済ブロック1fの位置及び方向が表示される。そのため、作業者は、設置済ブロック1fがカメラ90の視野に入っていなくても、設置済ブロック1fの位置を把握することができる。したがって、未設置ブロック1gを把持機構50により把持した後、旋回体20を容易に旋回させることができる。
【0076】
設置装置200を用いたブロック1の設置方法では、まず、設置済ブロック1fの位置情報及び方向情報を取得する(第1情報取得工程)。具体的には、運搬車両2に搭載された未設置ブロック1gを把持機構50により把持する前に、設置済ブロック1fをカメラ90により撮像する。撮像に得られた画像情報と、旋回角度検出部22により検出された旋回角度θ1と、に基づいて、設置済ブロック1fの位置情報及び方向情報を取得する。
【0077】
次に、未設置ブロック1gがカメラ90の視野に入るように旋回体20を旋回させる。このとき、設置済ブロック1fがカメラ90の視野から外れると、取得された設置済ブロック1fの位置情報及び方向情報は、記憶部279により記憶され、設置済ブロック1fの位置及び方向は、モニタ82に表示され続ける。
【0078】
次に、未設置ブロック1gをカメラ90により撮像し、把持機構50により未設置ブロック1gを把持する。このとき、撮像に得られた画像情報と、旋回角度検出部22により検出された旋回角度θ1と、に基づいて、未設置ブロック1gの位置情報及び方向情報を取得する(第2情報取得工程)。
【0079】
次に、旋回体20の旋回、ブーム30の起伏、アーム40の起伏及び把持機構50の回転を行って、未設置ブロック1gを移動させると共に未設置ブロック1gの方向を変更する(移動工程)。設置済ブロック1fがカメラ90の視野に入るまでは、作業員は、第1情報取得工程にて取得された設置済ブロック1fの位置情報と、第2情報取得工程にて取得された未設置ブロック1gの位置情報と、に基づいて、旋回体20を旋回させる。設置済ブロック1fがカメラ90の視野に入った後は、第1実施形態における設置方法と同じであるため、ここではその詳細を省略する。
【0080】
以上の実施形態によれば、設置済ブロック1fの位置情報及び方向情報を記憶する。そのため、設置済ブロック1fがカメラ90の視野から外れたときにも、設置済ブロック1fの位置及び方向の把握が可能になる。したがって、未設置ブロック1gを把持機構50により把持した後、旋回体20を容易に旋回させることができる。
【0081】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について、図8を参照して説明する。図8は、本実施形態において用いられる設置装置300のブロック図である。
【0082】
第1及び第2実施形態では、作業員がモニタ82を確認しながら旋回体駆動部21等の駆動量・駆動方向を決定し、未設置ブロック1gの設置を制御する。本実施形態では、コントローラ370が旋回体駆動部21等の駆動量・駆動方向を決定し、未設置ブロック1gの設置を制御する。この点において、本実施形態は、第1及び第2実施形態と相違する。
【0083】
以下では、第1及び第2実施形態との相違点を主に説明し、第1及び第2実施形態で説明した構成と同一の構成又は相当する構成については、図中に第1及び第2実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。また、設置装置300の正面図、側面図及び平面図は、図1及び図2に示される設置装置100の正面図、側面図及び平面図と略同じであるため、図示を省略する。
【0084】
図8に示すように、設置装置300のコントローラ370は、機能的には、駆動量・駆動方向決定部377を備えている。コントローラ370の制御モードは、運搬車両2に搭載された未設置ブロック1gを把持機構50により把持するブロック把持モードと、把持機構50により把持された未設置ブロック1gを移動させるブロック移動モードと、に切換え可能である。
【0085】
ブロック把持モードからブロック移動モードへは、把持機構50の爪52が未設置ブロック1gの貫通孔1aに挿入され複数の爪52が径方向外側に移動したときに切り替えられる。把持機構50の爪52が未設置ブロック1gの貫通孔1aに挿入されたか否かは、把持機構位置情報取得部75により取得される把持機構50の位置情報と、ブロック位置情報・方向情報取得部73により取得される未設置ブロック1gの位置情報と、に基づいて判断可能である。複数の爪52が径方向外側に移動したか否かは、信号出力部78により出力される信号に基づいて判断可能である。
【0086】
設置装置300は、把持機構50と未設置ブロック1gとの距離を検出する不図示のブロック距離計を更に備えている。ブロック距離計は、例えばレーザ距離計である。ブロック距離計により検出される距離に基づいて、把持機構50の爪52が未設置ブロック1gの貫通孔1aに一定長さ以上挿入されているか否かが判断される。把持機構50の爪52が未設置ブロック1gの貫通孔1aに一定長さ以上挿入されたと判断した場合には、挿入作業の停止指令が出力される。その後、把持信号が出力され、把持機構50の爪52が径方向外側に移動して未設置ブロック1gが把持される。
【0087】
ブロック移動モードからブロック把持モードへは、把持機構50により把持された未設置ブロック1gが目標位置に移動し複数の爪52が径方向内側に移動したときに切り替えられる。把持機構50により把持された未設置ブロック1gが目標位置に移動したか否かは、ブロック位置情報・方向情報取得部73により取得される未設置ブロック1gの位置情報と、目標位置情報・目標方向情報取得部76により取得される未設置ブロック1gの目標位置情報と、に基づいて判断可能である。複数の爪52が径方向内側に移動したか否かは、信号出力部78により出力される信号に基づいて判断可能である。
【0088】
ブロック移動モードとブロック把持モードの切り替えは、作業員によって行われてもよい。
【0089】
駆動量・駆動方向決定部377は、ブロック把持モードでは、ブロック位置情報・方向情報取得部73により取得された未設置ブロック1gの位置情報と、把持機構位置情報取得部75により取得された位置情報と、に基づいて、旋回体駆動部21、ブーム駆動部31、アーム駆動部41、及び爪駆動部54の駆動量及び駆動方向を決定する。具体的には、把持機構50の複数の爪52における下端の中心位置が、未設置ブロック1gにおける貫通孔1aの開口中心位置に近づくように、旋回体駆動部21、ブーム駆動部31及びアーム駆動部41の駆動量及び駆動方向を決定する。複数の爪52における下端の中心位置が貫通孔1aの開口中心位置と略一致している状態では、複数の爪52における下端の中心位置が鉛直下方に変位するように、ブーム駆動部31及びアーム駆動部41の駆動量及び駆動方向を決定する。複数の爪52における下端の中心位置が貫通孔1aの開口中心位置から鉛直下方に位置している状態では、複数の爪52が径方向外側に移動するように、爪駆動部54の駆動量及び駆動方向を決定する。
【0090】
把持機構50の複数の爪52における下端の中心位置を、未設置ブロック1gにおける貫通孔1aの開口中心位置に近づける方法について、図9を参照して詳述する。図9は、設置装置300の模式図であり、把持機構50の爪52における下端の中心位置が未設置ブロック1gにおける貫通孔1aの開口中心位置P0に位置している状態を実線で示す。
【0091】
駆動量・駆動方向決定部377は、まず、正ゴールを算出し、その後、サブゴールを算出する。正ゴールは、未設置ブロック1gにおける貫通孔1aの開口中心位置P0に把持機構50の爪52における下端の中心位置が到達しているときの揺動軸A4の地点及び起伏角度θ2、θ3であり、図9において実線で示されるブーム30及びアーム40の姿勢である。サブゴールは、ブーム30の起伏のみで把持機構50の爪52における下端が未設置ブロック1gの貫通孔1aに入ることが可能な地点であり、図9において二点鎖線で示されるブーム30及びアーム40の姿勢である。
【0092】
揺動軸A4の正ゴールは、未設置ブロック1gにおける貫通孔1aの開口中心位置P0に基づいて算出される。具体的には、把持機構50は、中心軸A5が鉛直になるようにアーム40の先端に支持されており、把持機構50の爪52における下端と、揺動軸A4と、の間の距離L5は既知である。そのため、未設置ブロック1gにおける貫通孔1aの開口中心位置P0から鉛直上方に距離L5だけ離れた地点が、揺動軸A4の正ゴールとなる。なお、未設置ブロック1gにおける貫通孔1aの開口中心位置P0は、ブロック位置情報・方向情報取得部73により、ブロック1の既知の形状と、ARマーカ3の中心位置と、に基づいて算出される。
【0093】
起伏角度θ2、θ3の正ゴールは、揺動軸A4の正ゴールと、未設置ブロック1gにおける貫通孔1aの開口中心位置P0に対する起伏軸A2の位置と、に基づいて算出される。具体的には、揺動軸A4と起伏軸A3との距離L4は既知であり、起伏軸A3と起伏軸A2との距離L3は既知である。そのため、起伏軸A2を中心とし半径が距離L3の円と、揺動軸A4の正ゴールを中心とし半径が距離L4の円と、の交点が、起伏軸A3の正ゴールである。図9において、円弧Cは、起伏軸A2を中心とし半径が距離L3の円の一部を示している。起伏軸A3の正ゴールと起伏軸A2とを結ぶ線分と、水平面と、の間の角度が起伏角度θ2の正ゴールとなり、起伏軸A3の正ゴールと起伏軸A2とを結ぶ線分と、起伏軸A3の正ゴールと揺動軸A4の正ゴールとを結ぶ線分と、の間の角度が起伏角度θ3の正ゴールとなる。なお、カメラ90に対する起伏軸A2の位置が既知であるため、未設置ブロック1gにおける貫通孔1aの開口中心位置P0に対する起伏軸A2の位置は、ブロック位置情報・方向情報取得部73により算出される未設置ブロック1gにおける貫通孔1aの開口中心位置P0から算出可能である。
【0094】
サブゴールは、ブーム30の起伏のみで、把持機構50の爪52における下端が未設置ブロック1gの貫通孔1aに入ることが可能な地点である。そのため、駆動量・駆動方向決定部377は、起伏角度θ3を起伏角度θ3の正ゴールと同じ角度とし起伏角度θ2を起伏角度θ2の正ゴールとは異なる角度としたブーム30及びアーム40の姿勢をサブゴールとして算出する。
【0095】
駆動量・駆動方向決定部377は、算出されたサブゴールにブーム30及びアーム40が近づくように、旋回体駆動部21、ブーム駆動部31及びアーム駆動部41の駆動量及び駆動方向を決定する。信号出力部78は、駆動量・駆動方向決定部377により決定された駆動量及び駆動方向に基づいて信号を出力する。これにより、旋回体駆動部21、ブーム駆動部31及びアーム駆動部41が駆動し、ブーム30及びアーム40がサブゴールに到達する。サブゴールの許容範囲内にブーム30及びアーム40が到達しない場合には、旋回体20の旋回、ブーム30の起伏及びアーム40の起伏の微調整をそれぞれ自動で繰り返す。
【0096】
その後、駆動量・駆動方向決定部377は、算出された正ゴールにブーム30が近づくように、ブーム駆動部31の駆動量及び駆動方向を決定する。信号出力部78は、駆動量・駆動方向決定部377により決定された駆動量及び駆動方向に基づいて信号を出力する。これにより、ブーム駆動部31が駆動し、ブーム30が正ゴールに到達する。このとき、起伏角度θ3は起伏角度θ3の正ゴールと同じ角度とされているため、ブーム30が正ゴールに到達するすると、アーム40は正ゴールに到達し、把持機構50の爪52における下端が未設置ブロック1gにおける貫通孔1aの開口中心位置P0に到達する。
【0097】
駆動量・駆動方向決定部377は、把持機構50の爪52が未設置ブロック1gにおける貫通孔1aに挿入されるように、ブーム駆動部31の駆動量及び駆動方向を決定する。信号出力部78は、駆動量・駆動方向決定部377により決定された駆動量及び駆動方向に基づいて信号を出力する。これにより、ブーム駆動部31が駆動し、ブーム30が把持機構50の爪52が未設置ブロック1gにおける貫通孔1aに挿入される。
【0098】
以上により、未設置ブロック1gにおける貫通孔1aへの把持機構50の爪52の挿入が完了する。
【0099】
駆動量・駆動方向決定部377は、ブロック移動モードでは、ブロック位置情報・方向情報取得部73により取得された未設置ブロック1gの位置情報及び方向情報と、目標位置情報・目標方向情報取得部76により取得された目標位置情報及び目標方向情報と、に基づいて、旋回体駆動部21、ブーム駆動部31、アーム駆動部41、回転部材駆動部53及び爪駆動部54の駆動量及び駆動方向を決定する。具体的には、未設置ブロック1gにおけるARマーカ3の中心位置及び方向が、目標位置及び目標方向に近づくように、旋回体駆動部21、ブーム駆動部31、アーム駆動部41及び回転部材駆動部53の駆動量及び駆動方向を決定する。未設置ブロック1gにおけるARマーカ3の中心位置及び方向が目標位置及び目標方向と略一致している状態では、複数の爪52が径方向内側に移動するように、爪駆動部54の駆動量及び駆動方向を決定する。
【0100】
なお、駆動量・駆動方向決定部377は、ブロック移動モードにおいても、正ゴール及びサブゴールを算出し、まず、サブゴールにブーム30及びアーム40を到達させ、その後、ブーム30の起伏のみで正ゴールにブーム30及びアーム40を到達させてもよい。ブロック移動モードにおいて、正ゴールは、未設置ブロック1gが砂防ダムの設計時に決定される位置に到達しているときの揺動軸A4の地点及び起伏角度θ2、θ3である。ブロック移動モードにおいて、サブゴールは、未設置ブロック1gが砂防ダムの設計時に決定される位置にブーム30の起伏のみで到達することが可能な地点である。
【0101】
このように、本実施形態では、コントローラ370が、旋回体20の旋回、ブーム30の起伏、アーム40の起伏、把持機構50の回転及び把持機構50による未設置ブロック1gの把持を制御して未設置ブロック1gを設置する。そのため、作業員の操作によらずに未設置ブロック1gを設置済ブロック1fに対して正確な位置に設置することができる。
【0102】
上記実施形態では、未設置ブロック1gの把持及びその解除と、未設置ブロック1gの移動と、をコントローラ370が自動的に行うが、未設置ブロック1gの移動のみをコントローラ370が自動的に行い、未設置ブロック1gの把持とその解除を作業員の操作により行ってもよい。
【0103】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0104】
100,200,300・・・設置装置
1・・・ブロック
1f・・・設置済ブロック
1g・・・未設置ブロック
10・・・走行体
20・・・旋回体
30・・・ブーム
40・・・アーム
50・・・把持機構
90・・・カメラ(撮像部)
370・・・コントローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9