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特許7594992担体分離装置、担体の分離方法および処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】担体分離装置、担体の分離方法および処理システム
(51)【国際特許分類】
   B01D 29/00 20060101AFI20241128BHJP
   B01D 24/38 20060101ALI20241128BHJP
   B01D 29/88 20060101ALI20241128BHJP
   C02F 3/28 20230101ALI20241128BHJP
【FI】
B01D23/02 A
B01D23/20
C02F3/28 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021175827
(22)【出願日】2021-10-27
(65)【公開番号】P2023065172
(43)【公開日】2023-05-12
【審査請求日】2024-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】591030651
【氏名又は名称】水ing株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】松林 未理
(72)【発明者】
【氏名】蒲池 一将
(72)【発明者】
【氏名】加納 一憲
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/104572(WO,A1)
【文献】特開2003-190713(JP,A)
【文献】特開2001-232386(JP,A)
【文献】特開2009-125696(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 29/00-075、88-94
B01D 35/00-04
C02F 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理水から担体を分離するための担体分離装置であって、
前記担体分離装置は、分離槽と、前記分離槽の内部に内槽と外槽とを区画形成する区画部と、前記区画部に設けられ、担体を分離するとともに処理水を前記内槽から前記外槽に透過させるスクリーンと、担体を含む処理水を前記内槽内に流入させる流入部と、担体を分離した処理水を前記外槽内から流出させる流出部と、を備え、
前記区画部は、処理水の旋回流を内槽内に発生させるための、曲面形状の第1旋回流形成部分と前記第1旋回流形成部分に対向する第2旋回流形成部分とを備える旋回流形成部と、前記旋回流の側方に位置し、前記スクリーンが配置された側壁部とを含み、
前記担体分離装置は、処理水に夾雑物が含まれるときに夾雑物を前記内槽から排出し、さらに前記分離槽から排出する夾雑物排出機構を備え、
前記旋回流形成部および前記側壁部で形成される前記内槽内の空間を旋回流形成空間とするとき、前記夾雑物排出機構は、前記第1旋回流形成部分の上端より上方でまたは前記スクリーンの上端より上方で開口して、夾雑物を前記旋回流形成空間から排出するための第1排出部と、前記第1排出部により排出された夾雑物をさらに前記分離槽の外部へ排出するための第2排出部とを有することを特徴とする、担体分離装置。
【請求項2】
前記内槽内の下方に形成された、担体を当該内槽から排出させる担体排出部と、を備える、請求項1に記載の担体分離装置。
【請求項3】
記旋回流形成部は、旋回流を形成する表面が前記流入部の延在方向に交差する方向に延び、
記第2排出部は、前記第1排出部と接続し、前記第1排出部から前記分離槽の外部へ延在する流路部を有する、請求項1又は2に記載の担体分離装置。
【請求項4】
前記第2排出部の前記流路部は、前記流路部の途中に、前記第1排出部から前記分離槽の外部へ向かって流路が収束する収束部を有する、請求項3に記載の担体分離装置。
【請求項5】
前記収束部が、前記第1排出部から前記分離槽の外部へ向かって、下方に沿う方向に延在する、請求項4に記載の担体分離装置。
【請求項6】
前記収束部が、前記第1排出部から前記分離槽の外部へ向かって、横方向に沿う方向に延在する、請求項4に記載の担体分離装置。
【請求項7】
前記第1排出部は、前記側壁部の前記スクリーンの上端より上方に位置し、前記内槽から前記外槽へ開口する開口部であり、
前記第2排出部は、前記流出部の前記外槽内へ開口する位置よりも上方で前記外槽内に開口する、請求項1又は2に記載の担体分離装置。
【請求項8】
前記外槽の下方側を区画する外槽底部が、凹部を有し、
前記夾雑物排出機構が、前記凹部の底で開口する第3排出部をさらに有する、請求項7に記載の担体分離装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の担体分離装置を用いて、処理水から担体を分離するための担体の分離方法であって、
担体を含む処理水を前記流入部から前記内槽内に流入させて、前記スクリーンで担体を分離して担体が分離された処理水を前記外槽に流入させ、次いで、前記外槽内の処理水を前記流出部から流出させる工程を含み、
前記流入部から流入する処理水が夾雑物を含むとき、夾雑物を、前記夾雑物排出機構の前記第1排出部を介して前記旋回流形成空間から排出し、さらに前記第2排出部を介して前記分離槽から排出する工程を含むことを特徴とする担体の分離方法。
【請求項10】
被処理水を処理するための処理システムであって、
前記処理システムは、被処理水を微生物を保持する担体で処理する反応槽と、
請求項1~8のいずれかに記載の担体分離装置であって、前記内槽内の下方に形成された、担体を当該内槽から排出させる担体排出部を備える担体分離装置と、
前記反応槽と前記担体排出部とを連結する連結部と、
を備える処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、担体分離装置、担体の分離方法および処理システムに関し、特に担体を含む処理水を処理する能力の向上に資する技術を提案する。
【背景技術】
【0002】
有機物を含有する廃水(有機性廃水)の処理方法として、有機性廃水を、非生物担体を保持する反応槽に通水して該担体に付着した嫌気性微生物により生物学的に処理する嫌気性処理法が、広く用いられている。特に、当該嫌気性処理法では、反応槽内にグラニュール汚泥や上記の担体を存在させ、有機性廃水を上向流通水させることで、高負荷高速処理を行うことができる。
【0003】
ところで、流動性の非生物担体を用いる方法では、担体に微生物が付着して担体の表面に生物膜が形成され、生物膜内部でガスが発生する反応が進行し、発生したガスが担体に付着する結果、担体の見かけ比重が小さくなって担体が反応槽内で浮上し、担体が分離された処理水と共に流出してしまうという問題がある。このような問題は、比重が大きく、沈降速度の大きい担体を用いることにより軽減することは可能である。しかし、比重が過度に大きく、沈降速度が過度に大きい担体では、被処理水との接触効率が悪く十分な処理効率が得られず、また、沈降した担体の堆積層に固形物が蓄積して流路が目詰まりするといった問題があり、一方で、このような問題のない担体を用いた場合、上述の発生ガスによる担体の浮上、流出を避けることは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-110820号公報
【文献】特開2014-237102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような問題に対して、例えば特許文献1、2に記載の装置では、反応槽内から流出した担体を反応槽の外部の別の槽(処理水槽)に溜め、そこで分離させた担体を循環配管等で再度反応槽に戻すことを可能とした装置が提案されている。当該装置では、反応槽の外部に、処理水槽だけでなく、担体から分離された気泡(メタンガス)を処理するための付帯設備も別途必要になっていた。したがって当該装置では、有機性廃水の処理装置として構成要素が多くなってしまったり、また設置面積が大きくなってしまうという問題があり、処理水中の固体を容易に分離する観点で十分ではなかった。
【0006】
これに対して、本発明者らは、反応槽の外部の装置として、処理水中の担体を装置内に設けたスクリーンで分離する担体分離装置であって、装置の内部で旋回流を発生させることが可能な構成とした装置を提案している。当該担体分離装置では、装置の構造を簡素にしても、スクリーンへの担体の目詰まりを防止しつつ担体を含む処理水から担体を容易に分離することができる。
しかし、反応槽で処理し担体を含む処理水には、担体よりも処理水内で浮遊しやすい夾雑物も含まれることがある。そして、処理水がこのように浮遊性の夾雑物を含む状態で担体分離装置の内部に流入すると、処理水が旋回流を形成しても夾雑物が旋回流に巻き込まれず担体分離装置の槽内の上方で漂ったり、また、溜まった夾雑物がスクリーンに付着したりしていた。そのような状況では、スクリーンによる担体の分離効率が低下し、処理水の処理に支障が生じ得た。
【0007】
そこで、本発明は、担体を含む処理水が浮遊性の夾雑物を含む場合であっても、処理水から担体を効率よく分離することが可能な担体分離装置、担体の分離方法および、廃水処理を効率的に行うことが可能な処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の担体分離装置は、処理水から担体を分離するための担体分離装置であって、
前記担体分離装置は、分離槽と、前記分離槽の内部に内槽と外槽とを区画形成する区画部と、前記区画部に設けられ、担体を分離するとともに処理水を前記内槽から前記外槽に透過させるスクリーンと、担体を含む処理水を前記内槽内に流入させる流入部と、担体を分離した処理水を前記外槽内から流出させる流出部と、を備え、
前記区画部は、処理水の旋回流を内槽内に発生させるための、曲面形状の旋回流形成部と、前記旋回流の側方に位置し、前記スクリーンが配置された側壁部とを含み、
前記担体分離装置は、処理水に夾雑物が含まれるときに夾雑物を前記内槽から排出し、さらに前記分離槽から排出する夾雑物排出機構を備え、
前記旋回流形成部および前記側壁部で形成される前記内槽内の空間を旋回流形成空間とするとき、前記夾雑物排出機構は、前記旋回流形成空間の上下方向上部でまたは当該上下方向上部より上方で開口して、夾雑物を前記内槽から排出するための第1排出部と、前記第1排出部により排出された夾雑物をさらに前記分離槽の内部から排出するための第2排出部とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明の担体の分離方法は、上記の担体分離装置を用いて、処理水から担体を分離するための担体の分離方法であって、
担体を含む処理水を前記流入部から前記内槽内に流入させて、前記スクリーンで担体を分離して担体が分離された処理水を前記外槽に流入させ、次いで、前記外槽内の処理水を前記流出部から流出させる工程を含み、
前記流入部から流入する処理水が夾雑物を含むとき、夾雑物を、前記夾雑物排出機構の前記第1排出部を介して前記内槽から排出し、さらに前記第2排出部を介して前記分離槽から排出する工程を含むことを特徴とする。
【0010】
本発明の処理システムは、被処理水を処理するための処理システムであって、
前記処理システムは、被処理水を微生物を保持する担体で処理する反応槽と、
上記の担体分離装置であって、前記内槽内の上下方向下方に形成された、担体を当該内槽から排出させる担体排出部を備える担体分離装置と、
前記反応槽と前記担体排出部とを連結する連結部と、
を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、担体を含む処理水が浮遊性の夾雑物を含む場合であっても、処理水から担体を効率よく分離することが可能な担体分離装置、担体の分離方法および、廃水処理を効率的に行うことが可能な処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る担体分離装置を備える処理システムを示す模式図である。
図2図1の担体分離装置を模式的に示す透視斜視図である。
図3図1の担体分離装置を、当該担体分離装置の一部の構成を除いた状態で模式的に示す透視斜視図である。
図4図1の担体分離装置の内槽を模式的に示す透視斜視図である。
図5図1の担体分離装置を模式的に示す透視正面図である。
図6図1の担体分離装置を模式的に示す透視平面図である。
図7図1の担体分離装置を用いて処理水から担体を分離している状態を模式的に示す透視斜視図である。
図8図1の担体分離装置の第1の変形例を模式的に示す透視平面図である。
図9図2の担体分離装置の第2の変形例を模式的に示す透視平面図である。
【0013】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本実施形態の担体分離装置1は、例えば図1に示すような処理システム4において用いることができる装置であって、担体を含む処理水から担体を分離するためのものである。
具体的には、本実施形態の担体分離装置1を備えることができる処理システム4は、食品工場等の製造廃水、化学工場等の有機性廃水、一般下水等の、有機物を含む有機性廃水を、嫌気性微生物と接触させて嫌気性処理を行うことができる処理システム4であり、有機性廃水を、非生物担体を保持する反応槽41に通水して該担体に付着した嫌気性微生物により生物学的に処理する。そして、本実施形態の担体分離装置1は、上記のような処理システム4中の反応槽41で処理した処理水について、処理水中に担体が含まれ得ることから、処理水から担体を分離するために用いることができる。
なお、本実施形態の担体分離装置1は、図1に示すような嫌気性処理をするための処理システム4への適用に限定されず、処理水から担体や固体を分離するための用途において本実施形態の担体分離装置を用いることができる。また、当該処理システムの説明は、後述の本実施形態の処理システムに詳説する。
【0014】
そして、本実施形態の担体分離装置1は、図2に示すように、分離槽10と、分離槽10の内部に内槽12と外槽11とを区画形成する区画部13と、区画部13に設けられ、担体を分離するとともに処理水を内槽12から外槽11に透過させるスクリーン14と、担体を含む処理水を内槽12内に流入させる流入部15と、担体を分離した処理水を外槽11内から流出させる流出部16と、を備えている。また、本実施形態の担体分離装置1において、区画部13は、処理水の旋回流を内槽12内に発生させるための、曲面形状の旋回流形成部132と、旋回流の側方に位置し、スクリーン14が配置された側壁部131とを含み、担体分離装置1は、処理水に夾雑物が含まれるときに夾雑物を内槽12から排出しさらに分離槽10から排出する夾雑物排出機構18を備える。さらに、本実施形態の担体分離装置1は、旋回流形成部132および側壁部131で形成される内槽12内の空間を旋回流形成空間S1とするとき、夾雑物排出機構18は、旋回流形成空間S1の上下方向上部でまたは上下方向上部より上方で開口して、夾雑物を内槽12から排出するための第1排出部181と、第1排出部181により排出された夾雑物をさらに分離槽10の内部から排出するための第2排出部182とを有する。
【0015】
本実施形態の担体分離装置1はこのような構成を有することにより、担体を含む処理水で旋回流を発生させることで、スクリーン14への担体の目詰まりを防止するとともに、担体を含む処理水から担体を容易に分離することができる。また、担体分離装置1は夾雑物排出機構18を備えることにより、内槽12内に溜まった夾雑物がスクリーン14に付着してスクリーン14による担体の分離効率が低下するのを防止することができる。よって、本実施形態の担体分離装置1によれば、担体を含む処理水が浮遊性の夾雑物を含む場合であっても、処理水から担体を効率よく分離することができる。
【0016】
より詳細には、本実施形態の担体分離装置1は、区画部13によって分離槽10の内部に内槽12と外槽11とが区画形成され、また、スクリーン14が区画部13に設けられることから、処理水中の担体を分離することができる。
この際、本実施形態の担体分離装置1は、内槽12を区画形成する区画部13として曲面状の旋回流形成部132を有していることから、図7に示すように、担体を含む処理水が内槽12内に流入した後、内槽12内に処理水の旋回流を発生させることができ、それにより、処理水中の担体を処理水の旋回時の遠心力によって旋回流の外側(外周側)に偏在させやすくすることができる。そして、本担体分離装置1において、当該旋回流の側方に位置する側壁部131にスクリーン14が配置されていることから、旋回流の外側に偏在し得る担体がスクリーン14へ付着し目詰まりしにくくなり、処理水が、担体が分離された状態でスクリーン14を透過しやすくなる。なお、旋回流が生じることによって、内槽12内での担体の水面への浮き上がりも防止することができる。
したがって、本実施形態の担体分離装置1では、担体を含む処理水で旋回流を発生させることで、スクリーン14への担体の目詰まりを防止するとともに、担体を含む処理水から担体を容易に分離することができる。
【0017】
ところで、担体を含む処理水には、担体よりも処理水内で浮遊しやすい夾雑物が含まれることがある。そして、処理水がこのような夾雑物を含むと、処理水が旋回流を形成しても夾雑物が旋回流に巻き込まれず内槽内の上方で漂ったり、また、溜まった夾雑物がスクリーンに付着する恐れがある。
それに対して、本実施形態の担体分離装置1においては、処理水が浮遊性の夾雑物を含む状態で内槽12内に流入しても、夾雑物排出機構18が備える第1排出部181が、旋回流形成空間S1の上下方向上部でまたは当該上下方向上部より上方で開口するので、処理水により形成される旋回流の上方に漂う傾向のある夾雑物を第1排出部181を介して内槽12から排出することができる。
また、夾雑物排出機構18が第2排出部182を備えるので、第1排出部181により排出された夾雑物をさらに分離槽10の内部から排出することができる。
したがって、本実施形態の担体分離装置1は夾雑物排出機構18を備えるので、内槽12内に溜まり得る夾雑物がスクリーン14に付着することを防止して、担体の分離効率が低下するのを防ぐことができる。
そして、本実施形態の担体分離装置1は、上記のように、構成要素が多くないので簡易で複雑でない構造であり省スペースな装置とすることができ、清掃などのメンテナンスも容易に行うことができる。
【0018】
ここで、本実施形態において、処理水とは、上述のような有機物を含む有機性廃水を例えば嫌気性処理して得られる廃水(処理途中の廃液を含んでいてもよい)であり、例えばメタン発酵水である。処理水には浮遊汚泥や担体から剥離した生物膜が含まれ、系外に排出しないと反応槽41内に過剰に蓄積し、担体の流動性が低下することで処理が悪化する恐れがある。担体分離装置1に流入する処理水は、微生物を保持する担体を含むものであり、処理水の組成や濃度には特に限定されない。
【0019】
担体としては、微生物を担持して、担体表面で微生物を繁殖させることができるものであれば特に制限無く用いることができる。
担体の形状は、球状、円柱状、直方体、中空状などいずれの形状でもよいが、微生物の担持量、繁殖した微生物と有機性廃水との接触効率、嫌気性反応槽内での担体の保持量などを考慮して、特に球状が好ましい。
担体の寸法は、平均値(球状粒子の場合には中位径d50、他の形状の場合には最大寸法と最小寸法との算術平均値)で0.1mm以上20mm以下が好ましく、2mm以上10mm以下が好ましい。
担体は、微生物が付着しやすい細孔を有する多孔質担体であることが好ましく、細孔径は1μm以上100μm以下が好ましく、5μm以上50μm以下であることがより好ましい。
また、担体は、嫌気性反応槽内にて良好に流動させる観点から、未使用の担体を充填した直径80mmの円筒カラムに清水を上向流で上昇線速度(LV)を1m/h以上20m/h以下で通水した場合の膨張率(投入時担体高さに対する通水時担体高さ)が、105%以上150%以下、LV2m/h以上15m/h以下で通水した場合の膨張率110%以上130%以下となることが好ましい。
担体の材料は、嫌気性微生物が付着すればどのような材料でもよいが、上述の諸要件を充足することから、特に活性炭、ポリビニルアルコール、エチレングリコールなどが好ましい。
担体の比重は、1.001以上1.5以下であることが好ましく、1.01以上1.5以下であることがより好ましい。このように、担体の比重が比較的大きいことが、担体分離装置1の内槽12内に沈降しやすいことから望ましい。
【0020】
また、本実施形態において、夾雑物とは、処理水に含まれ得る比較的比重が小さい固形分、例えば浮遊性である固形分であったり、またはそれが集合・蓄積した固形分であり、比重が小さいグラニュール汚泥等を含む。また、夾雑物はスクリーン14の目開きよりも大きい傾向がある。また、夾雑物には、主に反応槽41での処理によって浮遊性が増して生じたものも含まれる。
【0021】
続いて、本実施形態の担体分離装置1の構造についてより詳細に説明する。
本実施形態の担体分離装置1は、図2に示すように分離槽10を備える。当該分離槽10は地中に埋設してもよく、地上に設置することもできる。分離槽10は、後述する区画部13等の一部を除いた状態の図3に示すように、底部111と側部112とによって区画される略直方体状の箱型とすることができ、内部に、担体を含む処理水を導入する空間を有する。
底部111には、窪み113を形成することができ、後述するように、内槽12内の担体を担体排出部17に導き出し易い形状となっている。
図示の例では、当該窪み113は、図の上下方向下方から上方に向かって窪み113の開口部が広がるように窪み113の側面が傾斜しており、截頭錐体状(漏斗のような形状)となっている。当該窪み113は、分離槽10内に内槽12の一部(下方部分)を区画形成していることから、後述の区画部13の一部としても機能している。
また、分離槽10は、上方に開口部を有するとともに、当該開口部は着脱自在な蓋部(図示せず)で閉じることができる。
分離槽10は、図示の例では直方体状に形成されているが、特にその形状は任意にすることができる。
なお、本実施形態において、担体分離装置1の上下方向や横方向は、鉛直方向や水平方向とすることができる。
【0022】
また、分離槽10は、耐食性を有する材料で形成されていることが好ましく、例えばコンクリート、ステンレスなどの金属、FRP(繊維強化プラスチック)、またはポリエチレンなどの樹脂で形成することができる。或いは分離槽10は、コンクリートで分離槽10の外枠を形成し、その内側に、上記の金属、FRP、または樹脂で内面を形成することもできる。
【0023】
担体分離装置1は、図2に示すように、例えば反応槽41からの担体を含む処理水を分離槽10の内槽12内に流入させるための流入部15を備える。流入部15は、図3に示すように、分離槽10の外部から延びて分離槽10の側部112で開口する配管とすることもできるが、分離槽10の外部から分離槽10の側部112を貫通または側部112の上方を介して分離槽10の内部まで延びる(内槽12の内部まで延びる)配管とすることもできる。
また、流入部15は、図示は省略するが、担体を含む処理水の流入量を調整可能なポンプや弁などの流入調整部を有することができる。
流入部15は、耐食性を有する材料で形成されていることが好ましく、例えばステンレスなどの金属で形成することができる。
【0024】
担体分離装置1は、図2に示すように、担体が分離された処理水を分離槽10の外槽11内から流出させるための流出部16を備える。流出部16は、図3に示すように、分離槽10の側部112に開口し分離槽10の外部へ延びる配管とすることもできるが、分離槽10内で(外槽11内で)開口し分離槽10の側部112を貫通又は側部112の上方を介して分離槽10の外部へ延びる配管とすることもできる。
また、流出部16は、図示は省略するが、担体を含む処理水の流出量を調整可能なポンプや弁などの流出調整部を有することができる。
流出部16は、耐食性を有する材料で形成されていることが好ましく、例えばステンレスなどの金属で形成することができる。
【0025】
担体分離装置1は、図2に示すように、スクリーン14で分離した担体を当該内槽12から外部へ排出させるための、内槽12の底部111に設けられた担体排出部17を備えることができる。担体排出部17を設けることにより、スクリーン14から外槽11へ透過せず旋回流によって集められた担体を、容易に装置外へ排出させることができる。また、その際、担体を沈降させ収集しておくための槽を別途設ける必要もない。
なお、担体排出部17は、図3に示すように、分離槽10の底部111、より具体的には窪み113内に形成することができ、分離槽10の底部111に開口部を有し分離槽10の外部へ延びる配管とすることができる。
また、担体排出部17は、耐食性を有する材料で形成されていることが好ましく、例えばステンレスなどの金属で形成することができる。
【0026】
分離槽10の内部には、図2に示すように、区画部13が設けられており、それにより、分離槽10の内部に外槽11と内槽12とを区画形成し、図示の例では、外槽11が内槽12の一部を内部に収容するように形成している。
そして、内槽12は、その内部に、旋回流形成部132および側壁部131で形成される空間である旋回流形成空間S1(図5において主に符号S1をつけて破線で囲む範囲。)を有する。具体的には、旋回流形成空間S1は、流入部15を介して流入した担体を含む処理水が存在し得る空間であって、主に、処理水によって旋回流が形成される空間である。
また、内槽12は、その内部に、具体的には旋回流形成空間S1中の下方部分にまたは空間S1よりも下方部分に、区画部13(図示の例では窪み113)により形成される空間である担体回収空間S2(図5において主に符号S2をつけて破線で囲む範囲。)を有することができ、担体回収空間S2は、沈降しつつある担体または旋回流に乗って下方に流れる担体を集めて回収することができる空間である。
なお、図5では、旋回流形成空間S1と担体回収空間S2とが隣り合う状態で破線を用いてその範囲を示しているが、それら空間は相互に異なる役割を発揮する空間として厳密に区分されず、一部が重複して存在することもできる。
【0027】
また、外槽11には、その内部に、内槽12内の担体を含む処理水が後述するスクリーン14を透過して溜められる空間が形成され、外槽11に存在する処理水は流出部16から外部へ流出させることができる。なお、流出部16は、図5に示すように、上下方向の位置を、流入部15よりも低くすることができ、または、上下方向の位置を、流入部15と同じにすることもできる。
【0028】
本実施形態において、区画部13は、具体的には、図2図4図5(分離槽10を正面から視た図)、図6(分離槽10を上方から視た図)、図7に示すように、内槽12の内部に担体を含む処理水の旋回流を発生させるための曲面形状の旋回流形成部132および側壁部131を含む。さらに図示の例では、流入部15から流入する担体を含む処理水を内槽12内に適切に導くために、区画部13は導板部133をさらに有する。導板部133は、旋回流形成空間S1へ通ずる、旋回流形成部132および側壁部131の上部(上下方向上方の部分)に形成される開口部の縁から延びる部分である。
なお、区画部13は、耐食性を有する材料で形成されていることが好ましく、例えばステンレスなどの金属で形成することや複数の材料で形成することもできる。また、区画部13の一部が、例えば窪み113のように分離槽10の一部である場合には、区画部13は分離槽10を形成する材料で形成することもできる。
【0029】
側壁部131は、図4図6図7等に示すように、上下方向に沿う方向であって流入部15の延在方向に沿う方向に表面が延びる一対の部分とすることができる。より詳細には、側壁部131は、分離槽10の側部112から離間して位置し、内槽12内の旋回流形成空間S1を側方から区画形成し、図示の例では主に板状の部分として存在している。
側壁部131は、その表面が流入部15の延在方向に沿う方向に延びることから、流入部15から流入する担体を含む処理水が内槽12内に流入した際、旋回流の形成のために側方から支持するように機能することができる(旋回流の全体形状を円柱状と仮定した場合、旋回流の流れ方向が円柱の曲面に沿う方向となり、旋回流の側方が円柱の底面側となる)。
また、側壁部131は、後述のスクリーン14を保持しており、スクリーン14が図5に示すように、側壁部131の中央に位置している。また、側壁部131の一部、ここでは下部(上下方向下方の部分)が分離槽10の底部111の窪み113となっている。
【0030】
なお、側壁部131の表面が「上下方向に沿う方向」であって「流入部の延在方向に沿う方向」に延びるとは、側壁部131の表面が延びる方向が、上下方向や流入部15の延在方向と厳密に同じ方向である必要はなく、例えば、角度15°以下程度のずれがあることは許容され得、好ましくは7°以下である。また、流入部15の延在方向とは、流入部15の分離槽10への開口方向と平行な方向とすることができる。
また、図示の例では、スクリーン14が側壁部131の中に設けられているが、本実施形態においては、側壁部131がすべてスクリーン14で形成されていてもよい。
また、側壁部131は、図示の例では一対の板状の部分を含むが、例えば内槽12を、分離槽10の側部112の一方側に寄せて配置する場合などには、側壁部131を、1つの板状の部分と、分離槽10の側部112と、することもできる(すなわち、分離槽10の側部112を区画部13の側壁部131として兼用することもできる。)。
【0031】
旋回流形成部132は、図4等に示すように、側壁部131に隣接する部分であり、図示の例では、一対の側壁部131のそれぞれに隣接する部分である。より詳細には、旋回流形成部132は、分離槽10の側部112から離間して位置し、また、その表面が側壁部131に直交するように設けられており、図6に示すように、上方視において、流入部15の延在方向に直交する方向(図5に示す正面視において前後方向)に旋回流形成部132の表面が延びている。また、旋回流形成部132は、図5に示すように、正面視において全体的に上下方向に延びる姿勢で設けられており、図示の例では主に板状の部分として存在している。
【0032】
また、旋回流形成部132は、図4等に示すように、一対の旋回流形成部132とすることができ、具体的には、旋回流を形成する表面が流入部15の延在方向に対向し交差する方向に延びる第1旋回流形成部分1321と、旋回流を形成する表面が第1旋回流形成部分1321に対向する第2旋回流形成部分1322とを有する。より具体的には、一対の旋回流形成部132(第1旋回流形成部分1321および第2旋回流形成部分1322)は、図5に示すように、円弧状または楕円弧状の曲板となっている。
このような相互に対向する一対の旋回流形成部132によって区画される旋回流形成空間S1は、正面視で略円形状または楕円状になっており、図5に示すように、旋回流形成空間S1の横方向の長さ(一方の旋回流形成部132(第1旋回流形成部分1321)の表面から他方の旋回流形成部132(第2旋回流形成部分1322)の表面までの横方向長さ)が、内槽12の上下方向上方から下方に向かって漸増し、最大の長さとなった後、漸減している。
なお、一対の旋回流形成部132は、相互に円弧の曲率半径が異なっており、一対の旋回流形成部132のうち、流入部15からの担体を含む処理水の流入方向前方にある旋回流形成部132の方が、流入方向後方にある旋回流形成部132よりも曲率半径が大きくなっているが、同じにすることもできる。
また、旋回流形成部132の一部、ここでは下部が分離槽10の底部111の窪み113となっている。
【0033】
なお、旋回流形成部132の表面が「側壁部に直交する」や「流入部の延在方向に直交する方向に延びる」とは、厳密にそれらが直交する必要はなく、例えば、角度15°以下程度のずれがあることは許容され得、好ましくは7°以下である。
前記旋回流形成部132は、円弧状の曲板(曲面R形状)により形成されているため、内槽12での処理水の流動をスムーズにして良好な旋回流を形成させる効果があるが、従来技術における内槽12が直方体で構成された場合や、旋回流形成のため平面板を用いた場合では、隅の部分で流れに停滞が発生、旋回流速が低下し、スクリーン14の洗浄効果を低下させることで閉塞しやすくなる。
更に、旋回流形成部132を曲面とすることで、旋回流の際に、担体が曲面に当たり、接触するので衝撃をやわらげ担体に損傷を与えることが低減され、また担体に付着した生物膜の過剰な剥離を抑制することができる効果があり、過度な壁面への衝突を低減し、担体に付着した生物膜を過剰に剥離させることを防止する。
【0034】
分離槽10の内槽12では、上述のように、流入部15から流入した担体を含む処理水で旋回流が形成されることが可能である。当該旋回流は、旋回流形成部132によって形成することができ、具体的には、図7に示すように、流入した担体を含む処理水が旋回流形成部132の表面にあたり、担体を含む処理水が旋回するように誘導されることで旋回流が形成される。
なお、本実施形態において、旋回流形成部132は、担体を含む処理水で旋回流を形成可能であれば、形状等は特に限定されない。
【0035】
ここで、図示の例では、分離槽10の窪み113が区画部13の一部として、旋回流形成空間S1の一部および担体回収空間S2を区画形成するところ、本実施形態においては、窪み113に代えて、例えば金属板で形成された漏斗状の回収板部(図示せず)とすることもできる。
なお、区画部13のうちの担体回収空間S2を区画形成する部分は、担体を外部へ排出させるための担体排出部17と連結されていることが好ましい。具体的には、図3に示すように、図示の例では、窪み113の底部111に担体排出部17が形成されている。また、担体排出部17は、例えば図1に示すように反応槽41に連結することができ、担体排出部17で排出した担体を再度、廃液の処理のために使用することができる。
【0036】
担体分離装置1は、図2等に示すように、区画部13に設けられ、担体を分離するとともに担体を含む処理水を内槽12から外槽11に透過させるスクリーン14を備える。具体的には、スクリーン14は、区画部13の中でも、旋回流の側方に配置されるように設けられ、図示の例では、側壁部131の中央に設けられている。
また、スクリーン14の大きさは、装置の運転条件、担体を含む処理水中の分離すべき担体の大きさ等によって任意にすることができる。また、図示の例では、スクリーン14は、一対設けられているが、いずれか一方だけであってもよい。
【0037】
スクリーン14は、特に制限されるものではないが、パンチングメタル、ウエッジワイヤー、金網等、任意のものを使用することができる。また、スクリーン14としては、担体の寸法よりも小さい目開きを用いることが好ましく、具体的には、担体の寸法の25~90%、より好ましくは40~80%とする。
また、スクリーン14の材料は、耐腐食性の材料であることが好ましく、例えばステンレスとすることができる。
【0038】
導板部133は、図示の例では、図2図4図7に示すように、流入部15から流入する担体を含む処理水を内槽12内の旋回流形成空間S1に適切に導くために設けられており、側壁部131および旋回流形成部132の上部に形成される開口部の縁から、横方向に沿う方向に延びる横板部135と、流入部15の延在方向に沿う方向であって上下方向に沿う方向に延びる一対の縦板部134とを有する。横板部135および縦板部134は、内槽12および外槽11内の担体を含む処理水と担体が分離された処理水の混ざり合いを防ぐとともに、流入部15から流入する担体を含む処理水を、側壁部131および旋回流形成部132の上部に形成される開口部まで導くことができる。
【0039】
ここで、本実施形態において、上述のように、担体を含む処理水には、担体よりも処理水内で浮遊しやすい夾雑物が含まれることがあることから、本実施形態の担体分離装置1では、夾雑物を内槽12から排出し、さらに分離槽10から排出する夾雑物排出機構18を備える。
詳細には、本実施形態において夾雑物排出機構18は、図2に示すように、旋回流形成空間S1の上下方向上部でまたは上下方向上部より上方で開口し、夾雑物を内槽12から排出するための第1排出部181と、第1排出部181により排出された夾雑物をさらに分離槽10の内部から排出するための第2排出部182とを有する。
したがって、本実施形態においては、処理水中の担体を分離させつつ、処理水により形成される旋回流の上方に漂う傾向のある夾雑物を、第1排出部181を介して内槽12から排出し、さらに、第2排出部182を介して、第1排出部181により排出された夾雑物をさらに分離槽10の内部から排出することができる。
【0040】
また、図2に示す例では、第1排出部181は、旋回流形成部132としての第1旋回流形成部分1321の上下方向上端より上方で内槽12に開口し、また、第2排出部182は、第1排出部181と接続し、第1排出部181から分離槽10の外部へ延在する流路部183を有することができる。
具体的には、図2に示す例では、第1排出部181は、旋回流形成部132の第1旋回流形成部分1321の上下方向上端と、上述した導板部133としての一対の縦板部134とで区画され、流入部15の延在方向に対向するように内槽12に開口する開口部を含む。このように、第1排出部181が、第1旋回流形成部分1321の上下方向上端より上方で内槽12に開口することで、旋回流の上方で漂った夾雑物を、処理水の同伴を低減させながら、第1排出部181により内槽12から排出されるようにすることができ、また、第1排出部181を流入部15の延在方向に対向させることにより、流入部15からの処理水の流れを利用して夾雑物を内槽12から押し出すように排出させることができる。
【0041】
なお、第1排出部181は、図示の例では、旋回流形成部132の第1旋回流形成部分1321の上下方向上端と、上述した導板部133としての一対の縦板部134とで区画された開口部としたが、例えば、旋回流形成部132の第1旋回流形成部分1321の上方に、区画部13を、導板部133として、上下方向に沿う方向に延び、流入部15の延在方向に直交する方向に延びる第2縦板部を有するものとし、第1排出部181を、当該第2縦板部に開口する開口部としたり、または、第1排出部181を、当該第2縦板部を貫通して内槽12内まで延在する配管などの流路部の開口部とすることもできる。
【0042】
第1排出部181は、内槽12から夾雑物を効率的に排出されやすくする観点から、流入部15の開口部よりも上下方向下方で内槽12へ開口すること、換言すれば、第1排出部181の開口部の上下方向下端が、流入部15の開口部の上下方向上端よりも上下方向下方に位置することが好ましい。
【0043】
また、図2に示す例の第2排出部182の流路部183は、具体的には、流路部183の途中に、第1排出部181から分離槽10の外部へ向かって流路が収束する収束部1835を有することができる。また、当該収束部1835は、第1排出部181から分離槽10の外部へ向かって上下方向下方に沿う方向に延在することができる。
る。
夾雑物は密度が低く分離槽10の外部へ排出されにくい傾向があるが、このように収束部1835を設けることにより、夾雑物の排出速度を向上させることができるので、より効率的に夾雑物を排出させることができる。またさらに、収束部1835を上下方向下方に沿う方向に延在させることにより、夾雑物を下方に向けて回転させつつ(渦を発生させつつ)落下させることができるので、排出速度が向上し、例えば収束部1835に蓄積した夾雑物が少量であってもより効果的に排出させることができる。
【0044】
図2に示す例では、第2排出部182の流路部183は、より具体的には、第1排出部181から横方向に延在する流路底部1832と一対の流路側部1833とを含んで形成される第1流路部分1831と、第1流路部分1831に連結して、上下方向下方に沿う方向に延在する管状の第2流路部分1834とを含んで形成されている。
さらに、第2流路部分1834が、分離槽10の底部111を貫通して外槽11内まで延びる排出管に連結することができる。流路部183が管状の第2流路部分1834を含むことにより、担体分離装置1の使用時において外槽11内に存在する処理水が流路部183内に混入しないようにすることができる。また、第2流路部分1834が上下方向下方に延在するので、流路部183内の夾雑物を重力によってより勢いよく分離槽10の外部へ搬送させることができる。
また、収束部1835は、分離槽10の底部111に設けた配管への第2流路部分1834の接続部分に設けることができ、また、第1排出部181から分離槽10の外部への方向に向けて、流路部183の延在方向に直交する方向での断面積が漸減する部分とすることができる。
【0045】
なお、第2流路部分1834は、収束部1835も含めて、図2に示すように、台錘状、断面が方形状の管とすることができるが、全体または一部(例えば収束部1835のみ)を断面が円形または楕円形の管にすることができる。
また、第2流路部分1834の全体を第1排出部181から分離槽10の外部へ向かって流路が収束する形状とする(換言すれば、第2流路部分1834が収束部1835となっている)こともできる。
さらに、収束部1835内で効果的に夾雑物を下方に向けて回転させる(渦を発生させる)観点からは、レイノルズ数が100<Re<1500となる範囲で流量等を設定することができる。
【0046】
第2排出部182の流路部183の延在方向は、図2に示すように、第1排出部181から分離槽10の外部への方向に向けて、第1流路部分1831が横方向に沿う方向となっており、第2流路部分1834が上下方向下方に沿う方向になっている。なお、延在方向が横方向に沿う方向および延在方向が上下方向下方に沿う方向とは、延在方向が横方向や上下方向に厳密に同じ方向である必要はなく、例えば、角度15°以下程度のずれがあることは許容され得、好ましくは7°以下である。
【0047】
また、図示の例に係る夾雑物排出機構18では、夾雑物の排出の効率を向上させる観点から、第2排出部182の配管に弁を設けることができ、これにより、例えば、弁が閉じた状態で第2排出部182の流路部183(特に第2流路部分1834)に夾雑物が一定量溜まった場合に、弁を開くことにより、密度が低く排出されにくい夾雑物を一気に排出することができる。
なお、この場合、流路部183(特に第2流路部分1834)に夾雑物が一定量溜まったかどうかの検知は、センサーにより行ったり、作業者の目視によって行うこともできる。或いは、弁としては、流路部183(特に第2流路部分1834)に溜まった夾雑物を含む内容物の質量に基づき開閉する弁とすることもできる。
【0048】
センサーを流路部183に設けた場合には、センサーが発信する一定量の夾雑物が溜まったとの信号に基づき弁を開状態にする制御部を設けることもできる。
センサーとしては、例えば、水位計を用いることができ、また、撮像装置による画像データなどをセンサー代わりに用いたり、これらを併用してもよい。
【0049】
また、図示の例において、第2排出部182の流路部183は、全体を筒状にすることもでき、具体的には、流路部183の上方は第2流路部分1834以外、蓋で覆われていないが蓋で覆うこともできる。
また、本実施形態において、第2排出部182の第1流路部分1831の延在方向の長さや、第2流路部分1834の配置位置を調整することにより、分離槽10の大きさを調整することができる。
【0050】
本実施形態において、夾雑物排出機構18(及び後述の夾雑物排出機構28、38)は、耐食性を有する材料で形成されていることが好ましく、例えばステンレスなどの金属で形成することができる。
【0051】
ところで、上記では図2に示す例の夾雑物排出機構18について説明したが、本実施形態において、夾雑物排出機構は、旋回流形成空間S1の上下方向上部でまたは当該上下方向上部より上方で開口して、夾雑物を内槽12から排出するための第1排出部181と、第1排出部181により排出された夾雑物をさらに分離槽10の内部から排出するための第2排出部182とを有するものであれば、特に限定されない。
本実施形態の夾雑物排出機構の例示として、以下に第1の変形例について説明する。上記の図2に例示する例の夾雑物排出機構18と、図8に例示する第1の変形例に係る夾雑物排出機構28とで共通する構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0052】
上記の図2に示す例の夾雑物排出機構18と第1の変形例に係る夾雑物排出機構28とのそれぞれの第1排出部181は、図2図8に示すように同様な構成を有する。
これに対して、上記の図2に示す例の夾雑物排出機構18の第2排出部182の流路部183が有する収束部1835が、第1排出部181から分離槽10の外部へ向かって、上下方向下方に沿う方向に延在するのに対して、第1の変形例に係る夾雑物排出機構28の第2排出部282の流路部283が有する収束部2835が、図8に示すように、第1排出部181から分離槽10の外部へ向かって、横方向に沿う方向に延在する。
このように、第1の変形例において、収束部2835が横方向に沿う方向に延在することにより、外槽11の容積を調整しやすくなり、分離槽10を比較的小さくすることができるので、省スペース化することができる。具体的には、流路部283の延在方向の長さ(収束部2835の横方向の位置)や収束部2835の延在方向の長さは適宜設定できるところ、例えば、収束部2835の位置を内槽12に近づけたり、さらには、収束部2835の全部または一部を内槽の旋回流形成部132の直上に位置させることによって、分離槽10を比較的小さくすることができる。
また、第1の変形例において、収束部2835が横方向に沿う方向に延在することにより、担体分離装置1に比較的多くの処理水が流入するような場合に効率よく夾雑物を排出することができる。
【0053】
具体的には、第1の変形例に係る夾雑物排出機構28の第2排出部282では、図8に示すように、流路部283が、第1排出部181から横方向に延在する流路底部2832と一対の流路側部2833とを含んで形成される。
また、第2排出部282の流路部283は、図8に示すように、分離槽10の側壁部131に開口する排出管に連結することができる。このように、第2排出部282が流路部283を有することにより、夾雑物を、外槽11内に混入させることなく分離槽10の内部から外部へ排出することができる。
【0054】
収束部2835は、分離槽10の側壁部131に設けた配管への流路部283の接続部分に設けることができ、また、第1排出部181から分離槽10の外部への方向に向けて、流路部283の流路底部2832の幅及び一対の流路側部2833の高さが小さくなる部分とすることができる。
【0055】
第2排出部282の流路部283の延在方向は、収束部2835の延在方向も含めて、図8に示すように、第1排出部181から分離槽10の外部への方向に向けて、横方向に沿う方向となっている。なお、延在方向が横方向に沿う方向とは、延在方向が横方向に厳密に同じ方向である必要はなく、例えば、角度15°以下程度のずれがあることは許容され得、好ましくは7°以下である。
【0056】
なお、第1の変形例において、第2排出部282の流路部283は、筒状にすることもでき、具体的には、図8に示すように、流路部283の上方は収束部2835以外、蓋で覆われていないが、蓋で覆うこともできる。また、図8に示すように、収束部2835の上方は蓋で覆われているところ、収束部2835では流路の収束により夾雑物が流路部283からはみ出して外槽11に落下する恐れがあるが、このようにすることで、そのような夾雑物の落下を抑制することができる。
【0057】
また、第1の変形例においても、図2に示す例と同様に、第2排出部282の配管に弁を設け、流路部283に溜まった夾雑物の排出を調整することができる。また弁の開閉は、例えば流路部283に設けたセンサーにより、または、撮像装置による画像情報や作業者の目視により行うことができる。
【0058】
つづいて、本実施形態の夾雑物排出機構について、第2の変形例について説明する。上記の図2に示す例の夾雑物排出機構18と、図9に例示する第2の変形例に係る夾雑物排出機構38とで共通する構成要素については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
上記の図2に示す例の夾雑物排出機構18の第1排出部181は、第1旋回流形成部分1321の上下方向上端より上方で内槽12に開口するのに対して、第2の変形例に係る夾雑物排出機構38の第1排出部は、図9に示すように、側壁部131のスクリーン14の上下方向上端の上方に位置し、内槽12から外槽11へ開口する開口部である。
また、上記の図2に示す例の夾雑物排出機構18の第2排出部182は、流路部183を有するのに対して、第2の変形例に係る夾雑物排出機構38の第2排出部382は、図9に示すように、流出部16の外槽11内へ開口する位置よりも上下方向上方で外槽11内に開口する。
【0059】
第2の変形例によれば、第1排出部381はスクリーン14の上下方向上端より上方に、内槽12から外槽11へ開口する開口部であるので、内槽12内に浮遊し得る夾雑物を、効果的にスクリーン14に付着させずに、第1排出部381を介して内槽12から外槽11へ排出させることができる。この際、内槽12内では、旋回流が形成されているので担体は旋回流の周囲に偏在しつつ、重力により沈降する傾向があることから、第1排出部381が存在していても、担体が第1排出部381には到達しにくく、担体が内槽12から外槽11へ流出することを抑制することができる。また、夾雑物は外槽11内の処理水の表面付近で漂う傾向があるが、第2排出部382が、流出部16の外槽11内へ開口する位置よりも上下方向上方で外槽11内に開口するので、外槽11内で漂う夾雑物が流出部16から流れ出ることを抑制しつつ、第2排出部382から排出させることができる。なお、この際、内槽12から外槽11へ担体が流出しても、担体は外槽11内で沈降する傾向があることから、流出部16や第2排出部382から排出されることを抑制することができる。
したがって、本実施形態の第2の変形例によれば、処理水中の担体を分離させつつ、処理水により形成される旋回流の上方に漂う傾向のある夾雑物を、第1排出部381を介して内槽12から排出し、さらに、第2排出部382を介して、第1排出部381により排出された夾雑物をさらに分離槽10の内部から排出することができる。
【0060】
ここで、第2の変形例において、第1排出部381は、側壁部131のスクリーン14の上下方向上端の上方に位置すればその配置位置は特に限定されないが、旋回流に漂う夾雑物を効果的に排出する観点から、第1排出部381は、側壁部131のスクリーン14の上下方向上端の上方であって、旋回流形成空間S1に存在することが好ましい。また、スクリーン14に付着するおそれのある夾雑物をより効率的に取り除く観点から、第1排出部381は、側壁部131のスクリーン14の上下方向上端の上方に隣り合って形成されることがより好ましい。
また、第1排出部381は、その横方向における位置や長さは特に限定されないが、その横方向中心の位置をスクリーン14の横方向中心と同じにすることができ、また、その横方向長さLL1を、スクリーン14の横方向長さLL2の0.5~1.5倍の長さとすることができる。また、第1排出部381の横方向長さLL1は、スクリーン14の横方向長さLL2の0.8倍以上の長さであることが好ましく、より好ましくは、0.9倍以上の長さである。また、第1排出部381の横方向長さLL1は、スクリーン14の横方向長さLL2の1.2倍以下であることが好ましく、より好ましくは1.0倍以下である。さらに、第1排出部381の横方向長さLL1は、スクリーン14の横方向長さLL2の1.0倍であることが最も好ましい。
【0061】
また、第1排出部381の開口部の大きさ(開口部の面積)は、特に限定されないが、例えば、側壁部131に配置させたスクリーン14の大きさ(スクリーン14の面積)よりも小さくすることができ、好ましくは0.4倍以下であり、より好ましくは0.3倍以下である。また、第1排出部381の開口部の大きさは、小さすぎると夾雑物を排出する効果が低下する恐れがあるので、スクリーン14の大きさの0.05倍以上であることが好ましく、より好ましくは0.1倍以上である。
【0062】
さらに、図示の例では、担体分離装置1が一対のスクリーン14を有するところ、上記の第1排出部381も一対のスクリーン14の上方にそれぞれ配置することができる。
また、図示の例では、旋回流形成部132の第1旋回流形成部分1321の上方には、区画部13が、導板部133としての上下方向上方に延び、流入部15の延在方向に直交する方向に延びる第2縦板部136を有している。
【0063】
また、第2の変形例に係る夾雑物排出機構38の第2排出部382は、図示のように、分離槽10の外部から側壁部131を貫通して外槽11内で開口する配管とすることもでき、または、配管と、当該配管の開口部から開口面積を拡大させた排出部分(図示は省略)とを有するものにすることもできる。また、第2排出部382の外槽11内への開口は、図示のように、横方向に向けて開口することが好ましい。
【0064】
第2排出部382の外槽11内への開口する上下方向位置は、流出部16の外槽11内へ開口する位置よりも上下方向上方に位置(換言すれば、第2排出部382の外槽11内への開口の上下方向下端が流出部16の外槽11内への開口の上下方向上端よりも上下方向上方に位置)すれば特に限定されないが、流入部15の内槽12内へ開口する位置と同じまたは当該位置よりも上下方向下方に位置(換言すれば、第2排出部382の外槽11内への開口の上下方向上端が流入部15の内槽12内への開口の上下方向上端と上下方向同じ位置または当該上端よりも上下方向下方に位置)することが好ましい。
【0065】
さらに、第2の変形例においては、図9に示すように、外槽11の上下方向下方側を区画する外槽底部が、凹部385を有し、夾雑物排出機構38が、凹部385の底で開口する第3排出部384をさらに有することが好ましい。このようにすることにより、たとえ内槽12から外槽11へ担体が流れ出ても、流れ出た担体を第3排出部384を介して分離槽10の外部へ取り出すことができる。
なお、図示の例では、外槽底部は、分離槽10の底部111に含まれることから、この例では、分離槽10の底部111が凹部385を有している。また、当該凹部385は、図示のように、分離槽10の底部111の横方向において一方端から中央に向けて傾斜し、また、他方端から中央に向けて傾斜することで形成することができる。或いは、凹部385は、図示は省略するが、凹部385の底から截頭錐体状(漏斗のような形状)に形成することもできる。
【0066】
また、第3排出部384は、図示のように、凹部385の底で開口する配管とすることができ、また、外槽11内に蓄積され得る担体を必要に応じて排出させることができるように弁を設けることもできる。さらに、第3排出部384を担体排出部17と合流させることもできる。
【0067】
また、本明細書では、夾雑物排出機構18および第1、2の変形例の夾雑物排出機構28、38について、それぞれ別々に説明したが、担体分離装置1は、少なくとも2つの形態の夾雑物排出機構18、28、38が相互に組み合わされた夾雑物排出機構を備えること、例えば、夾雑物排出機構18と夾雑物排出機構38とが組み合わされたもの、夾雑物排出機構28と夾雑物排出機構38との組み合わされたものを備えることができる。このように組み合わされた夾雑物排出機構の場合は、ドレン排水部19を担体排出部17と合流させることもできる。
【0068】
ところで、本実施形態において、担体分離装置1は、図2図3等に示すように、分離槽10の底部111にドレン排水部19を備えることができ、これにより、担体分離装置1の運転を停止して分離槽10内の清掃や点検等の際に、残留する担体が分離された処理水などを排水することができる。ドレン排水部19は、分離槽10の底部111に開口部を有し分離槽10の外部へ延びる、例えばステンレスなどの金属製の配管とすることができる。
なお、図9では、図2図3に示すようなドレン排水部19を示していないが、例えば、図9に示す例においては、第3排水部を、ドレン排水部としても用いることができる。
【0069】
担体分離装置1は、図示は省略するが、分離槽10内に水位を測定可能なセンサーを備えることができる。具体的には、センサーは、分離槽10の内槽12内に設けることができる。本実施形態の担体分離装置1は、スクリーン14の目詰まりが生じにくい特徴を持っているが、担体表面の生物膜の状態や、異物の流入、或いは、夾雑物によって目詰まりすることがある。そこで、水位を測定しモニターすることで、担体を含む処理水が内槽12から溢れ出すことを防止することができる。また、水位が上昇した場合には、スクリーン14面の目詰まりを開放するための制御を行ったり、流入部15を閉止するなどを行うことができる。
なお、図示の例の担体分離装置1において、通常運転時では、水位は、区画部13の側壁部131および旋回流形成部132によって形成される開口部付近の高さに位置にすることができる。
【0070】
担体分離装置1は、図示は省略するが、内槽12内の担体を含む処理水の排出量を調整する排出調整部をさらに備えることができる。具体的には、排出調整部は、担体排出部17に設けることもでき、この場合、担体排出部17からの担体を含む処理水の排出量を、排出調整部としてのポンプや弁で調整することができる。或いは、担体排出部17に、担体排出部17から分岐するドレン配管とドレン配管の開閉を調整する弁とを排出調整部として設けることができ、当該弁を制御することで、担体排出部17からの担体を含む処理水の排出量を調整することができる。或いは、図示は省略するが、内槽12の上下方向下方に、具体的には、分離槽10の底部111のうち内槽12内に位置する部分に、内槽12内に開口するドレン配管と、ドレン配管の開閉を調整する弁とを排出調整部として設けることができ、当該弁を制御することで、内槽12内の担体を含む処理水の排出量を調整することができる。
【0071】
このように、担体分離装置1が排出調整部を備えることで、例えば、スクリーン14に担体が目詰まりした場合に、スクリーン14を洗浄することができる。具体的には、例えば、担体分離装置1を運転中において、排出調整部によって担体を含む処理水の排出を増加させることで、内槽12内に存在する担体を含む処理水の量を減少させることができるが、それにより、スクリーン14を介して内槽12から外槽11へ透過する担体を含む処理水の量が減少し或いは担体が分離された処理水が外槽11から内槽12へ逆流するので、スクリーン14に目詰まりした担体を取り除くことができる。
【0072】
次いで、本実施形態の担体の分離方法について説明する。
本実施形態の担体の分離方法は、上記の本発明の実施形態の担体分離装置1を用いて処理水から担体を分離するための担体の分離方法であり、担体を含む処理水を流入部15から内槽12内に流入させて、スクリーン14で担体を分離して担体が分離された処理水を外槽11に流入させ、次いで、外槽11内の処理水を流出部16から流出させる工程を含む。そして、本実施形態の担体の分離方法では、流入部15から流入する処理水が夾雑物を含むとき、夾雑物を、夾雑物排出機構18の第1排出部181を介して内槽12から排出し、さらに第2排出部182を介して分離槽10から排出する工程を含む。
本実施形態の担体の分離方法において、上記の工程を含むことにより、スクリーン14への担体の目詰まりを防止するとともに、担体を含む処理水から担体を容易に分離することができる。また、処理水が夾雑物を含む場合には、夾雑物のスクリーン14への付着を防止しつつ、夾雑物を分離槽10から排出することができる。
【0073】
なお、夾雑物を分離槽10から排出する工程においては、例えば、夾雑物排出機構18の第2排出部182が夾雑物の排出を調整可能な弁を有する場合には、当該弁を、センサーが検知する夾雑物が蓄積したとの信号に基づき、または、作業者の操作に基づき、開く操作を行う工程を含むことができる。このように、夾雑物が蓄積した状態で閉じていた弁を開くことにより、蓄積した夾雑物を一気に排出することができ、密度が低く浮遊しやすい夾雑物であっても、排出することができる。
また、当該弁を開く操作を行う工程は、タイマー設定等によって定期的に実施することもできる。
【0074】
ところで、本実施形態の担体の分離方法において、上記の工程によって担体や夾雑物等のスクリーン14への付着や目詰まりは低減可能であるが、以下のような洗浄工程を有することができる。
具体的には、洗浄工程において、流入部15に、担体を含む処理水の流入量を調整可能な流入調整部(図示は省略)を設けるとともに、当該流入調整部により、担体を含む処理水の流入量を一時的に減少ないし停止する。スクリーン14に目詰まりしている担体や夾雑物は、担体を含む処理水がスクリーン14を透過する際の水圧で目詰まりしているのであるが、流入量を一時的に減少ないし停止させることにより、スクリーン14での透過流速、およびそれに伴って処理水の透過による水圧が低下し、スクリーン14に目詰まりしていた担体や夾雑物をスクリーン14から脱離させてスクリーン14を洗浄することができる。
また、上記の流入調整部による調整に代えて、或いは、それに加えて、担体分離装置1に、内槽12内の担体を含む処理水の排出量を調整することができる排出調整部を設けるとともに、排出調整部により、担体を含む処理水の排出量が増加するように調整する。これにより、流入調整部により担体を含む処理水の流入量を一時的に減少ないし停止するように調整した場合と同様に、スクリーン14での透過流速を低下させて、スクリーン14を洗浄することができる。
なお、排出調整部での調整は、担体排出部17に設けた、排出調整部としてのポンプや弁を調整すること、或いは、担体排出部17に、担体排出部17から分岐するドレン配管とドレン配管の開閉を調整する弁とを排出調整部として設けて、当該弁を制御すること、或いは、内槽12の上下方向下方に、具体的には、分離槽10の底部111のうち内槽12内に位置する部分に、内槽12内に開口するドレン配管と、ドレン配管の開閉を調整する弁とを排出調整部として設けて、当該弁を制御すること、等によって行うことができる。
【0075】
本実施形態において、洗浄工程は、タイマー設定等によって定期的に実施したり、または、水位を測定可能なセンサーを用いて、水位が所定の水位以上になった場合に実施したりすることができる。
【0076】
続いて、本実施形態の処理システムについて説明する。
本実施形態の処理システム4は、図1に示すような、有機性廃水などの被処理水を処理するためのシステムであり、具体的には、食品工場等の製造廃水、化学工場等の有機性廃水、一般下水等の、有機物を含む有機性廃水を、嫌気性微生物と接触させて嫌気性処理を行うシステムである。
より詳細には、本実施形態の処理システム4は、被処理水を微生物を保持する担体で処理する反応槽41と、先述の、内槽12内の上下方向下方に形成された、担体を当該内槽12から排出させる担体排出部17を備える担体分離装置1と、反応槽41と担体排出部17とを連結する連結部とを備える。また、処理システム4は、任意で、被処理水に含まれ得る有機物を分解する酸発酵槽42を備えることができる。
また、本実施形態の処理システム4において、担体分離装置1は、先述の本発明の実施形態の担体分離装置1であって、内槽12の底部111に設けられた、スクリーン14で分離した担体を外部へ流出させる、担体排出部17を備える装置を用いることができる。さらに、本実施形態の処理システム4では、担体排出部17と反応槽41とが連結部(連結ライン(図示の例ではラインL5、L4))で連結される。
【0077】
本実施形態において、具体的には、酸発酵槽42は、廃液などの被処理水に含まれる有機物を分解し酸発酵処理水を得る槽とすることができるが、反応槽41での処理の前処理を行う槽として、廃水に含まれ得る有機物(高分子)を、酢酸やプロピオン酸といった低分子有機酸まで分解することができる。
酸発酵槽42で得られた酸発酵処理水は、酸発酵槽42と反応槽41とを連結するラインL4により、反応槽41に流出される。
【0078】
反応槽41では、被処理水(廃液または上記の酸発酵槽42を設ける場合には酸発酵処理水)を流入させ、当該被処理水を微生物を保持する担体で処理、具体的には嫌気性処理し、担体を含む処理水を得る。特に限定されないが、反応槽41は、反応槽41内にグラニュール汚泥や担体を含み、有機性廃水を上向流通水して、高負荷高速処理を行うことができる。嫌気性反応槽41(メタン発酵槽)では、嫌気性反応により発生するバイオガス(メタンガス)が嫌気性反応槽41内を上昇して、嫌気性反応槽41の上部から外部に排出されて回収される。このとき、微生物を保持している担体も一緒に上昇し、嫌気性反応槽41から越流として流出することがある。
なお、反応槽41では、図1に示すように、反応槽41の上部と下部とをつなぐ循環ラインL1を設けて、循環させることもできる。
反応槽41は、機械式やガス撹拌による完全混合槽、上向流嫌気性汚泥床(UASB:Upflow Anaerobic Sludge Blanket)、UASB法の高負荷向け改良型として膨張汚泥床(EGSB:Expanded Granular Sludge Bed)や効率的な流動状態を有するガスコレクタと案内壁とバッフルを内部に備える反応槽に適用できる。
【0079】
担体分離装置1は、上記の本発明の実施形態の担体分離装置1であって、反応槽41で廃水が処理された後の、または処理中の担体を含む処理水が、ラインL2を通り、担体分離装置1の流入部15を介して分離槽10内に流入する。そして、担体分離装置1において、処理水中の担体が分離されて、担体が分離された処理水が流出部16より流出し、また、分離された担体(担体が濃縮された処理水)が、担体排出部17より排出される。
さらに、担体分離装置1が有する夾雑物排出機構18により、第2排出部182を介して夾雑物が分離槽10から排出される。第2排出部182より排出された夾雑物はラインL7を通って担体分離装置1より搬出され、図示は省略するが、必要に応じて混合する処理水をさらに分離して、廃棄処分することができ、或いは、反応槽41にてさらなる処理を行うこともできる。
担体分離装置1の流出部16より排出された担体が分離された処理水は、ラインL3を通って処理システム4の外部に搬出することができる。また、ラインL3を通る担体が分離された処理水の一部は、ラインL6を通って、再度、酸発酵槽42に戻すこともできる。
【0080】
そして、本実施形態の処理システム4では、担体分離装置1の担体排出部17と反応槽41とが連結部(連結ライン)で連結されている。具体的には、図1の例では、ラインL4に、担体分離装置1の担体排出部17から延びるラインL5が合流し、それにより、担体分離装置1の担体排出部17と反応槽41とが連結されている。
本実施形態の処理システム4では、処理システム4が担体分離装置1を備え、また、担体分離装置1の担体排出部17と反応槽41とが連結ラインで連結されていることから、効率的に廃水処理を行うことができる。具体的には、廃水を担体を用いて処理する場合には、処理水とともに担体も反応槽41から流出することがあるが、処理システム4が担体分離装置1を備えるので、容易に担体を分離し排出させることができる。そして、排出した担体は、速やかに担体を反応槽41に戻すことができ、再び、廃水の処理に用いることができる。また、担体分離装置1により、容易に担体が分離された処理水を得ることができるので、嫌気性処理した担体が分離された処理水も容易に得ることができる。
さらに、本実施形態の処理システム4では、担体を含む処理水が担体よりも浮遊しやすい夾雑物が含まれていても、担体分離装置1が有する夾雑物排出機構18により、夾雑物を分離槽10から排出させることができるので、担体分離装置1での担体の分離をより効率的に行うことができる。
【0081】
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明したが、本発明の担体分離装置、担体の分離方法および処理システムは、上記の例に限定されることは無く、適宜変更を加えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明によれば、担体を含む処理水が浮遊性の夾雑物を含む場合であっても、処理水から担体を効率よく分離することが可能な担体分離装置、担体の分離方法および、廃水処理を効率的に行うことが可能な処理システムを提供することができる。
【符号の説明】
【0083】
1:担体分離装置
10:分離槽
11:外槽
111:底部
112:側部
113:窪み
12:内槽
13:区画部
131:側壁部
132:旋回流形成部
1321:第1旋回流形成部分
1322:第2旋回流形成部分
133:導板部
134:縦板部
135:横板部
136:第2縦板部
14:スクリーン
15:流入部
16:流出部
17:担体排出部
18、28、38:夾雑物排出機構
181、381:第1排出部
182、282、382:第2排出部
183、283:流路部
1831:第1流路部分
1832、2832:流路底部
1833、2833:流路側部
1834:第2流路部分
1835、2835:収束部
384:第3排出部
385:凹部
19:ドレン排水部
4:処理システム
41:反応槽
42:酸発酵槽
L1:循環ライン
L2~L7:ライン
S1:旋回流形成空間
S2:担体回収空間
LL1、LL2:横方向長さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9