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7594994たばこ税還付申告支援システム及びたばこ税還付申告支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】たばこ税還付申告支援システム及びたばこ税還付申告支援方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/20 20120101AFI20241128BHJP
【FI】
G06Q20/20 350
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021183441
(22)【出願日】2021-11-10
(65)【公開番号】P2023070949
(43)【公開日】2023-05-22
【審査請求日】2023-11-20
(73)【特許権者】
【識別番号】504393220
【氏名又は名称】TSネットワーク株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】503069539
【氏名又は名称】株式会社エヌ・ティ・ティ・データ・ウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】中島 良二
(72)【発明者】
【氏名】橘高 博史
【審査官】毛利 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-008431(JP,A)
【文献】特開2003-296507(JP,A)
【文献】特開2020-035311(JP,A)
【文献】特表2020-518933(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定行政区に属する複数の被災店舗における災害で滅失したたばこ商品の数量情報を取得する情報取得手段と、
前記取得された数量情報に基づいて、前記所定行政区に提出するために前記複数の被災店舗分を集計したたばこ税の還付申告書のデータを生成する生成手段と、
を備え
前記情報取得手段は、前記複数の被災店舗の全て若しくは一部のコンピュータから通信により前記数量情報を取得する、前記複数の被災店舗の全て若しくは一部のコンピュータから通信により取得された情報を用いて前記数量情報を導出する、又は、入力画面を出力装置に表示させ該入力画面に入力された前記数量情報を取得する、
ばこ税還付申告支援システム。
【請求項2】
所定行政区に属する複数の被災店舗における災害で滅失したたばこ商品の数量情報を取得する情報取得手段と、
前記取得された数量情報に基づいて、前記所定行政区に提出するために前記複数の被災店舗分を集計したたばこ税の還付申告書のデータを生成する生成手段と、
を備え、
前記情報取得手段は、店舗特定手段、在庫取得手段及び推定手段を含み、
前記店舗特定手段は、前記複数の被災店舗の中の少なくとも一つの被災店舗を特定し、
前記在庫取得手段は、前記特定された被災店舗における被災直前のたばこ商品の在庫数量を示す被災直前在庫情報を取得し、
前記推定手段は、前記取得された被災直前在庫情報を少なくとも用いて、前記特定された被災店舗における前記災害で滅失したたばこ商品の数量を推定する
ばこ税還付申告支援システム。
【請求項3】
前記在庫取得手段は、前記特定された被災店舗における被災直前のたばこ商品の銘柄ごとの在庫数量を示す前記被災直前在庫情報を取得し、
前記推定手段は、前記被災直前在庫情報が示す銘柄ごとの在庫数量に基づいて、前記災害で滅失したたばこ商品の銘柄ごとの数量を推定し、
前記生成手段は、前記災害で滅失したたばこ商品の銘柄ごとの数量を前記複数の被災店舗分集計した、前記還付申告書の明細書のデータを生成する、
請求項2に記載のたばこ税還付申告支援システム。
【請求項4】
前記在庫取得手段は、
前記特定された被災店舗へ所定期間内に納品されたたばこ商品の数量を示す納品実績情報及び該被災店舗へのたばこ商品の配達間隔情報を取得し、
前記取得された納品実績情報に基づいて、前記特定された被災店舗において顧客へ販売されたたばこ商品の一日当たり販売数量を推定し、
前記取得された配達間隔情報が示す配達間隔日数、前記推定された一日当たり販売数量及び販売数量に対する在庫数量の比率を示す在庫倍率に基づいて、前記特定された被災店舗におけるたばこ商品の第一の被災直前在庫数量を推定する、
請求項2又は3に記載のたばこ税還付申告支援システム。
【請求項5】
前記在庫取得手段は、
前記特定された被災店舗へ前記災害の発生前にたばこ商品を配達した直近の日付である被災前直近配達日を更に取得し、
前記推定された一日当たり販売数量に基づいて、前記被災前直近配達日から被災日までの間に前記特定された被災店舗で顧客に販売されたたばこ商品の被災前販売数量を推定し、
前記配達間隔日数、前記推定された一日当たり販売数量及び前記在庫倍率を掛け合わせることで、前記特定された被災店舗における前記被災前直近配達日のたばこ商品の在庫数量を推定し、
前記推定された前記被災前直近配達日のたばこ商品の在庫数量から前記推定された被災前販売数量を差し引くことにより、前記特定された被災店舗におけるたばこ商品の前記第一の被災直前在庫数量を推定する、
請求項4に記載のたばこ税還付申告支援システム。
【請求項6】
前記在庫取得手段は、前記配達間隔日数と前記推定された一日当たり販売数量とを掛け合わせて得られる数量を前記被災前直近配達日の最低在庫数量と仮定して、前記被災前直近配達日の該最低在庫数量に対する前記被災前直近配達日の在庫倍率をαとし、前記被災前直近配達日の該最低在庫数量に対する次回配達日の在庫倍率をβとした場合に、前記推定された一日当たり販売数量及び前記被災前直近配達日から被災日までの日数、並びに(α-β)を掛け合わせて得られる数量を前記被災前販売数量として推定する、
請求項5に記載のたばこ税還付申告支援システム。
【請求項7】
前記在庫取得手段は、
前記特定された被災店舗へ前記災害の発生前にたばこ商品を配達した直近の日付である被災前直近配達日に該被災店舗に納品されたたばこ商品の数量を示す被災前直近納品数量情報を更に取得し、
前記推定された一日当たり販売数量に基づいて、前記被災前直近配達日から被災日までの間に前記特定された被災店舗で顧客に販売されたたばこ商品の被災前販売数量を推定し、
前記配達間隔日数、前記一日当たり販売数量及び前記被災前直近納品数量情報に基づいて、前記特定された被災店舗における前記被災前直近配達日のたばこ商品の在庫数量を推定し、
前記推定された前記被災前直近配達日のたばこ商品の在庫数量から前記推定された被災前販売数量を差し引くことにより、前記特定された被災店舗におけるたばこ商品の第二の被災直前在庫数量を更に推定し、
前記第一の被災直前在庫数量と前記推定された第二の被災直前在庫数量とを比較して、該第一の被災直前在庫数量又は該第二の被災直前在庫数量のいずれか一方を、前記特定された被災店舗におけるたばこ商品の被災直前在庫数量に決定する、
請求項4から6のいずれか一項に記載のたばこ税還付申告支援システム。
【請求項8】
一以上のコンピュータにより実行されるたばこ税還付申告支援方法であって、
前記一以上のコンピュータが、
所定行政区に属する複数の被災店舗における災害で滅失したたばこ商品の数量情報を取得し、
前記取得された数量情報に基づいて、前記所定行政区に提出するために前記複数の被災店舗分を集計したたばこ税の還付申告書のデータを生成する、
ことを含み、
前記数量情報の取得では、前記一以上のコンピュータが、前記複数の被災店舗の全て若しくは一部のコンピュータから通信により前記数量情報を取得する、前記複数の被災店舗の全て若しくは一部のコンピュータから通信により取得された情報を用いて前記数量情報を導出する、又は、入力画面を出力装置に表示させ該入力画面に入力された前記数量情報を取得する、
ばこ税還付申告支援方法。
【請求項9】
一以上のコンピュータにより実行されるたばこ税還付申告支援方法であって、
前記一以上のコンピュータが、
所定行政区に属する複数の被災店舗の中の少なくとも一つの被災店舗を特定し、
前記特定された被災店舗における被災直前のたばこ商品の在庫数量を示す被災直前在庫情報を取得し、
前記取得された被災直前在庫情報を少なくとも用いて、前記特定された被災店舗における前記災害で滅失したたばこ商品の数量を推定し、
前記推定された数量を少なくとも用いて前記複数の被災店舗における前記災害で滅失したたばこ商品の数量情報を取得し、
前記取得された数量情報に基づいて、前記所定行政区に提出するために前記複数の被災店舗分を集計したたばこ税の還付申告書のデータを生成する、
ことを含むたばこ税還付申告支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たばこ税の還付申告の業務を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
たばこ商品の流通では、たばこ事業法により規定される定価制や販売許可制、並びにたばこ税の納税義務等、たばこ商品特有の規制を順守しながら、公平公正な取引が実現されている。たばこ流通業者は、たばこ商品の小売販売の認可を受けた小売販売業者の店舗に対して公平公正にたばこ商品を流通させている。
このようなたばこ商品取引では、たばこ税の納税義務を順守するべく即時決済が採用されており、たばこ商品の小売販売業者にとっては顧客への販売前にたばこ税の支払いを済ませていることになる。このため、災害により店舗内のたばこ商品が被害を受けそのままでは販売できないような状態となってしまった場合には、小売販売業者は、たばこ税の還付申告の手続きを行政に対して行うことができる。
しかしながら、小売販売業者にとってたばこ税の還付申告の手続きはハードルが高いため、たばこ流通業者が、還付申告の手続きを肩代りしてたばこ税の還付を受ける一方で、小売販売業者に対してたばこ商品等で災害補償を行うといったサービスが提供されている。
【0003】
下記特許文献1には、地方たばこ税の納税管理を正確に効率良く行うことのできる地方税納税管理システムが提案されている。このシステムは、物流倉庫から複数の小売店にそれぞれ納品するたばこ製品の納品量を各小売店からの受注データからそれぞれ求め、複数の小売店にそれぞれ納品したたばこ製品の納品量を各小売店がそれぞれ属する地方自治体毎に集計し、各地方自治体にそれぞれ納税すべき地方税額を計算して納税処理を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-296507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記地方税納税管理システムでは納税処理は実行されるものの、たばこ税の還付申告については考慮されていない。
たばこ税の還付申告にあたっては、災害により被害を受けてそのままでは販売できないような状態となってしまった(災害で滅失した)たばこ商品の数量を特定する必要がある等、労力が必要となる。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑み、災害で滅失したたばこ商品に関するたばこ税の還付申告の労力を低減させる技術を提供する。
本明細書において用語「たばこ商品」は、たばこ税の課税対象となるあらゆるたばこ商品を包含する意味で用いられ、紙巻たばこ、葉巻たばこ、噛みたばこ、嗅ぎたばこ、パイプたばこに加えて、電子たばこ、加熱式たばこ等と呼ばれるたばこに用いられるカートリッジ等を含む。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、所定行政区に属する複数の被災店舗における災害で滅失したたばこ商品の数量情報を取得する情報取得手段と、前記取得された数量情報に基づいて、前記所定行政区に提出するために前記複数の被災店舗分を集計したたばこ税の還付申告書のデータを生成する生成手段とを備えるたばこ税還付申告支援システムが提供され得る。
【0008】
また、他の側面として、本発明によれば、一以上のコンピュータにより実行されるたばこ税還付申告支援方法であって、前記一以上のコンピュータが、所定行政区に属する複数の被災店舗における災害で滅失したたばこ商品の数量情報を取得し、前記取得された数量情報に基づいて、前記所定行政区に提出するために前記複数の被災店舗分を集計したたばこ税の還付申告書のデータを生成することを含むたばこ税還付申告支援方法も提供され得る。
その他、例えば、上述のたばこ税還付申告支援方法を一以上のコンピュータに実行させるコンピュータプログラムが提供されてもよいし、このようなコンピュータプログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な記録媒体が提供されてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、災害で滅失したたばこ商品に関するたばこ税の還付申告の労力を低減させる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係るたばこ税還付申告支援システムのシステム構成の概念図である。
図2】顧客情報テーブルの例を示す図である。
図3】銘柄マスタテーブルの例を示す図である。
図4】取引実績テーブルの例を示す図である。
図5】支援サーバのハードウェア構成を概念的に示すブロック図である。
図6】支援サーバのソフトウェア構成例を概念的に示すブロック図である。
図7】災害で滅失したたばこ商品(滅失たばこ商品)の数量の入力画面を示す図である。
図8】たばこ税の修正申告書の例を示す図である。
図9図8に示される申告書に添付される明細書の例を示す図である。
図10】本実施形態に係るたばこ税還付申告支援方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下に挙げる実施形態は例示であり、本発明は以下の実施形態の構成に限定されない。
【0012】
[概要]
本実施形態に係るたばこ税還付申告支援システム(以降、本システムと表記する場合がある)1の詳細を説明する前に、本システム1の特徴の概要について説明する。
本システム1は、少なくとも、情報取得手段及び生成手段を備えている。
情報取得手段は、所定行政区に属する複数の被災店舗における災害で滅失したたばこ商品(以降、滅失たばこ商品と略称する場合もある)の数量情報を取得する。
生成手段は、情報取得手段により取得された数量情報に基づいて、当該所定行政区に提出するために当該複数の被災店舗分を集計したたばこ税の還付申告書のデータを生成する。
【0013】
「所定行政区」とは、たばこ税の還付申告先の納税地となるいずれかの行政区を意味する。都道府県たばこ税については各都道府県が所定行政区となり、区市町村たばこ税については各区市町村が所定行政区となる。
「所定行政区に属する複数の被災店舗」は、所定行政区に属するたばこ商品の販売店舗のうち本システム1で取り扱い可能な販売店舗であって滅失たばこ商品が生じた被災店舗の全て又は一部である。
情報取得手段は、滅失たばこ商品の数量情報を通信により当該複数の被災店舗の全て又は一部のコンピュータからそれぞれ取得してもよいし、当該各コンピュータから取得された情報等を用いて滅失たばこ商品の数量情報を導出してもよいし、本実施形態の詳細として後述する手法で取得してもよい。
また、情報取得手段により取得される数量情報は、たばこ商品の分類に応じた課税計算方法によりたばこ税が計算可能となる数量情報であればよく、個装のたばこ商品の個数を示す情報であってもよいし、個装のたばこ商品に収容されているたばこの本数やたばこ葉の重量或いは価格を示す情報であってもよい。
情報取得手段は、本実施形態の詳細において情報取得部20として例示されている。
【0014】
生成手段により生成されるたばこ税の還付申告書のデータは、たばこ税の還付を受けるために当該所定行政区に提出される都道府県たばこ税又は区市町村たばこ税の修正申告書の書式に必要な情報が記入された申告書データである。このデータは、当該申告書が当該所定行政区で受け付けられるようにその所定行政区で決められた媒体(紙、電子データ等)で出力可能なデータであればよく、コンピュータのメモリに格納されるデータファイル自体であってもよいし、印刷装置により紙印刷されるための印刷データであってもよい。
生成手段は、本実施形態の詳細において生成部24として例示されており、生成手段により生成されるデータにより出力される申告書は図8及び図9により例示されている。
【0015】
このように本実施形態では、所定行政区に属する複数の被災店舗における災害で滅失したたばこ商品の数量情報が取得され、その数量情報に基づいてその行政区に提出すべき当該複数の被災店舗分を集計したたばこ税の還付申告書のデータが生成される。
これにより、行政区ごとに各被災店舗での滅失たばこ商品の数量情報を集計して還付申告書に手入力していた業務に比べて、たばこ税の還付申告の労力を大幅に低減させることができる。
【0016】
[たばこ税還付申告支援システム]
以下、上述のような特徴を有する本実施形態に係るたばこ税還付申告支援システム(本システム)1について詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係るたばこ税還付申告支援システム1のシステム構成の概念図である。
本システム1は、たばこ商品の流通業者等のようなたばこ税還付申告を行う者の申告業務を支援する。本システム1による支援は、たばこ商品の販売店舗が個々にたばこ税還付申告を行うシーンよりは、販売店舗に対してたばこ商品を販売する販売会社(流通業者を含む)が行政と販売店舗との間に入ってたばこ税還付申告を行うシーンを想定している。
以下の説明では、流通業者が本システム1のユーザである場合の例を挙げるものとする。このため、たばこ商品の販売店舗は、本システム1のユーザである流通業者の顧客となることから顧客店舗3と表記する場合がある。顧客店舗3には、いわゆるたばこ屋さんや酒屋のような個人店舗、コンビニエンスストアやスーパーのようにフランチャイズ加盟店となる店舗、事業者により運営される直営店等、様々な店舗形態がある。
【0017】
本システム1は、少なくとも支援サーバ10を備えており、本実施形態では、たばこ商品の販売物流システム2と通信可能に構成されている。
販売物流システム2は、たばこ商品の販売物流業務を支援し、少なくとも、顧客店舗3ごとの配送情報や納品実績情報等を格納する顧客情報データベース(DB)5を備えている。
なお、図1では、本システム1と販売物流システム2とを区別して示したが、両者が統合された一つのシステムとして構成されていてもよい。この場合には、本システム1が顧客情報DB5を備えるようにしてもよい。
【0018】
以下の説明において「たばこ商品」の個数或いは数量(納品個数、納品数量、需要個数、需要数量、在庫個数、在庫数量等)に言及する場合には、個装のたばこ商品に収容されているたばこの本数やカートリッジの個数を意味するものではなく、個装のたばこ商品自体の個数を意味するものとする。但し、たばこ商品の分類に応じた課税計算方法によりたばこ税が計算可能となる数量情報であればよいため、個装のたばこ商品に収容されているたばこの本数やたばこ葉の重量或いは価格等のような数量情報であってもよい。
【0019】
顧客情報DB5は、図2図3及び図4で例示されるような顧客情報テーブル、銘柄マスタテーブル及び取引実績テーブルを少なくとも格納する。
図2は、顧客情報テーブルの例を示す図である。
顧客情報テーブルは、店舗情報や取引条件等のような顧客店舗3ごとの情報を格納する。具体的には、顧客情報テーブルは、図2に示されるように、顧客店舗3ごとに、店舗ID、店舗名称、店舗所在地、納品頻度等を格納する。但し、顧客情報テーブルは、後述するように、顧客店舗3ごとの配達間隔及び配達日並びに地方たばこ税の納税地となる行政区を導出可能な情報を格納していればよく、図2に例示されていない項目(配送拠点、配送ルート、受注所要日数、決済方法、決済タイミング、受注方法等)のデータを格納してもよい。
【0020】
店舗IDは顧客店舗を識別する情報(識別子)である。例えば、コンビニエンスストアやスーパー等のようなフランチャイズ加盟店となる各顧客店舗についても個別の店舗IDが付される。
店舗名称は顧客店舗の名称を示す。
店舗所在地は顧客店舗の所在地を示す。店舗所在地は、地方たばこ税の納税地となる行政区を導出可能な情報であればよい。
納品頻度は、顧客店舗へのたばこ商品の納品の頻度を示し、例えば、週3回、週1回、隔週、4週毎、月1回等が納品頻度として設定される。後述するとおり本実施形態ではこの納品頻度が顧客店舗3ごとの配達間隔として利用される。
【0021】
図3は、銘柄マスタテーブルの例を示す図である。
銘柄マスタテーブルは、図3に例示されるように、銘柄ID、銘柄名称、たばこ分類、価格、タール量、ニコチン量、個装本数、重量情報等の銘柄情報をたばこ商品の銘柄ごとに格納する。なお、銘柄マスタテーブルは、後述するように、たばこ商品の銘柄ごとの課税計算方法を特定可能な情報を格納していればよく、図3に例示されていない、受注開始日、廃止日、喫味等のような他の銘柄情報を格納していてもよい。
【0022】
銘柄IDは、たばこ商品の銘柄を識別し得る情報であり、受注引当或いは在庫引当の対象とされる商品単位となる銘柄ごとに付与される識別子である。銘柄IDは銘柄コードと呼ぶこともできる。銘柄マスタテーブルに格納される各銘柄レコードにはそれぞれユニークな銘柄IDが含まれている。
銘柄名称は、銘柄IDで識別される銘柄の名称を示す。
たばこ分類は、銘柄IDで識別される銘柄のたばこ商品に関する課税計算方法を特定し得る分類を示す。例えば、たばこ分類「10」は紙巻たばこを示し、たばこ分類「20」は加熱式たばこを示し、その他、葉巻たばこ、刻みたばこ、嗅ぎたばこ等を示す各たばこ分類がそれぞれ設けられている。
価格は、銘柄IDで識別される銘柄の価格を示す。
タール量及びニコチン量は、銘柄IDで識別される銘柄のタール量及びニコチン量を示す。
個装本数は、銘柄IDで識別される銘柄のたばこ商品(個装商品)に収容されているたばこの本数又はカートリッジの個数を示す。
重量情報は、葉巻たばこ、刻みたばこ、嗅ぎたばこ、加熱式たばこ等のような紙巻たばこ以外のたばこ商品の課税計算方法で用いられるたばこ葉の重量等を示す。
【0023】
図4は、取引実績テーブルの例を示す図である。
取引実績テーブルは、本システム1のユーザである流通業者による顧客店舗3に対するたばこ商品の納品実績情報を格納する。図4の例において取引実績テーブルは、所定期間の顧客店舗3との取引ごとに、伝票番号、納品日、店舗ID、銘柄ID、納品数量等を格納する。
店舗IDは上述した顧客情報テーブルに格納される店舗IDと同様であり、銘柄IDは上述した銘柄マスタテーブルに格納される銘柄IDと同様である。
納品数量は、銘柄IDで特定される銘柄のたばこ商品(個装商品)の納品個数を意味する。但し、納品された個装商品に収容されているたばこの本数やカートリッジの個数の総数が納品数量として格納されていてもよいし、同一銘柄の個装商品を複数個まとめて包装したカートン商品の納品個数が納品数量として格納されていてもよい。
【0024】
本実施形態では後述するように、この取引実績テーブルに格納される納品実績情報に基づいて、顧客店舗3ごとの1日当たりのたばこ商品の需要個数(顧客への販売個数)が予測され、かつ顧客店舗3ごとの被災前直近配達日が取得される。
被災前直近配達日は、顧客店舗3へ災害の発生前にたばこ商品を配達した直近の日付を意味する。
このため、納品実績情報には、顧客店舗3ごとの1日当たりのたばこ商品の需要個数を銘柄ごとに予測可能な情報及び顧客店舗3ごとの被災前直近配達日を取得可能な情報が格納されていればよく、図4に例示される項目の一部が格納されていなくてもよいし、図4に例示されていない他の項目の情報が格納されていてもよい。
また、取引実績テーブルに格納される納品実績情報の期間は、本実施形態では6カ月以上に設定されるが、無制限であってもよいし、上述した需要個数を予測することができる程度の長さの期間に設定されればよい。
【0025】
〔支援サーバ〕
図5は、支援サーバ10のハードウェア構成を概念的に示すブロック図である。
支援サーバ10は、いわゆるコンピュータであり、図5に示されるように、CPU(Central Processing Unit)11、メモリ12、入出力インタフェース(I/F)13、通信ユニット14等を有する。CPU11は、他の各ユニットとバス等の通信線により接続される。
CPU11には、一般的なCPUに加えて、MCU(Micro Controller Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、特定用途向け集積回路(ASIC)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)等も含まれる。
メモリ12は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、補助記憶装置(ハードディスク等)である。
【0026】
入出力I/F13は、出力装置15、入力装置16等のユーザインタフェース装置と接続可能である。
出力装置15は、表示装置、印刷装置(プリンタ)等のようなユーザに対して何等かの出力を行う装置である。表示装置は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイのような、CPU11等により処理された描画データに対応する画面を表示する装置である。入力装置16は、キーボード、マウス等のようなユーザ操作の入力を受け付ける装置である。表示装置及び入力装置16は一体化されたタッチパネルであってもよいし、接続されていなくてもよい。
通信ユニット14は、他のコンピュータとの有線通信又は無線通信や、他の機器との信号のやりとり等を行う。本実施形態では通信ユニット14は、販売物流システム2の顧客情報DB5を備えるコンピュータと通信可能である。なお、通信ユニット14には、可搬型記録媒体等も接続され得る。
【0027】
図5に示されるハードウェア構成は一例であり、支援サーバ10のハードウェア構成は、図5で示される例に限定されない。支援サーバ10は、図示されていない他のハードウェア要素を有することができるし、各ハードウェア要素の数も、図5の例に限定されない。例えば、支援サーバ10は複数のCPU11を有していてもよい。また、支援サーバ10は複数台のコンピュータにより構成されていてもよい。
【0028】
図6は、支援サーバ10のソフトウェア構成例を概念的に示すブロック図である。
支援サーバ10は、ソフトウェア要素として、情報取得部20、店舗特定部21、在庫取得部22、推定部23、生成部24、データ参照部25等を有する。これら各ソフトウェア要素は、例えば、CPU11によりメモリ12に格納されるコンピュータプログラムが実行されることによりそれぞれ実現される。また、当該コンピュータプログラムは、例えば、CD(Compact Disc)、メモリカード等のような可搬型記録媒体やネットワーク上の他のコンピュータから入出力I/F13又は通信ユニット14を介してインストールされ、メモリ12に格納されてもよい。
【0029】
データ参照部25は、他のソフトウェア要素からの指示に応じて、通信ユニット14を介した通信により顧客情報DB5に格納される上述の各種テーブルを参照する。なお、顧客情報DB5が支援サーバ10のメモリ12に実現されている場合には、データ参照部25は、直接、顧客情報DB5を参照することができる。
データ参照部25は、顧客情報DB5に格納される上述の各種テーブルを参照し、各種テーブルから必要な情報を読み出す。例えば、データ参照部25は、被災店舗の店舗IDを用いて顧客情報テーブルから被災店舗の顧客情報を読み出すことができる。また、データ参照部25は、被災店舗の店舗IDを用いて取引実績テーブルから被災店舗の納品実績情報を読み出すことができる。更に、データ参照部25は、滅失たばこ商品の銘柄の銘柄IDを用いて銘柄マスタテーブルから滅失たばこ商品の銘柄に関するたばこ分類、価格、個装本数、重量情報等を読み出すことができる。
【0030】
情報取得部20は、店舗特定部21、在庫取得部22及び推定部23を含み、所定行政区に属する複数の被災店舗における滅失たばこ商品の数量情報を取得する。
後述するように、店舗特定部21により特定された被災店舗については、在庫取得部22及び推定部23の処理により滅失たばこ商品の数量が推定される。
一方で、店舗特定部21により特定されなかった被災店舗が存在する場合には、情報取得部20は、その被災店舗における滅失たばこ商品の数量情報を別途取得することができる。そこで、情報取得部20は、図7に示すような入力画面を出力装置15に表示させ、店舗特定部21により特定されなかった一以上の被災店舗における滅失たばこ商品の数量情報をまとめて入力させるようにしてもよい。
【0031】
図7は、災害で滅失したたばこ商品(滅失たばこ商品)の数量の入力画面を示す図である。
図7に例示される入力画面では、対象となる年月及び対象となる行政区が選択可能とされている。更に、この入力画面では、滅失たばこ商品の銘柄ID(銘柄コード)を入力可能な画面要素、入力された銘柄IDに対応する銘柄のたばこ商品の滅失数量を入力可能な画面要素が設けられている。
なお、滅失たばこ商品の数量情報の入力画面は、図7の例に限定されず、被災店舗を特定可能とする情報を入力可能とされていてもよいし、被災店舗ごとに滅失たばこ商品の数量を入力させるような画面構成となっていてもよい。
【0032】
店舗特定部21は、被災店舗を特定する。具体的には、店舗特定部21は、顧客情報テーブル(図2参照)に情報が格納されている全ての顧客店舗3の中から、対象災害により滅失たばこ商品が生じた一以上の顧客店舗3を被災店舗として特定する。店舗特定部21は、被災店舗として特定された顧客店舗3の店舗IDを抽出する。
【0033】
店舗特定部21による被災店舗の特定手法は何ら限定されない。例えば、店舗特定部21は、顧客情報テーブルに情報が格納されている顧客店舗3のリストを出力装置15に表示させ、そのリストの中から入力装置16を用いたユーザ操作により選択された顧客店舗3を被災店舗として特定することができる。このとき店舗特定部21は、顧客情報テーブルに格納される全ての情報を出力装置15に表示させてもよい。また、店舗特定部21は、販売物流システム2や顧客担当者が操作する外部のコンピュータから被災店舗に関する店舗情報(店舗名称、店舗所在地等)を通信により取得し、その店舗情報を用いて顧客情報テーブルを検索することで被災店舗の店舗IDを抽出することもできる。もちろん、店舗特定部21は、外部のコンピュータから被災店舗の店舗IDそのものを通信により取得してもよい。
【0034】
また、店舗特定部21は、被災店舗の特定にあたりその被災店舗が対象災害により被害を受けた日の情報を被災日情報として被災店舗ごとにそれぞれ取得する。店舗特定部21は、入力装置16を用いたユーザ操作により入力された被災日情報を取得することもできるし、外部のコンピュータから被災日情報を取得することもできる。
【0035】
在庫取得部22は、店舗特定部21により特定された被災店舗における被災直前のたばこ商品の在庫数量を示す被災直前在庫情報を取得する。
ここで「被災直前」とは、上記被災日情報が示す被災日であってもよいし、その被災日の前日であってもよいし、日付単位よりも細かい時刻単位の情報粒度を求める場合には、被災日時であってもよいし、被災日の開店時であってもよいし、被災日の前日の閉店時であってもよい。
【0036】
在庫取得部22は、この被災直前在庫情報をたばこ商品の銘柄ごとに区別して取得するようにしてもよいし、たばこ商品の銘柄ごとに区別することなく取得するようにしてもよい。本実施形態では、在庫取得部22は、店舗特定部21により特定された被災店舗における被災直前のたばこ商品の銘柄ごとの在庫数量を示す被災直前在庫情報を取得するものとする。
【0037】
在庫取得部22は、被災店舗の被災直前在庫情報をその被災店舗(顧客店舗3)のコンピュータ(たばこ什器に接続されるコンピュータ等)から通信により取得してもよいし、入力装置16を用いたユーザ操作により入力された被災直前在庫情報を取得してもよい。
本実施形態において在庫取得部22は、次のような手法により被災直前在庫数量を推定することができる。
【0038】
在庫取得部22は、被災直前在庫数量の推定にあたり、まず、店舗特定部21により特定された被災店舗へ所定期間内に納品されたたばこ商品の数量を示す納品実績情報及びその被災店舗へのたばこ商品の配達間隔情報を取得する。
具体的には、在庫取得部22は、データ参照部25に取引実績テーブルにアクセスさせることで、店舗特定部21により抽出された被災店舗の店舗IDに紐づきかつ納品日が所定期間内となる納品実績情報(納品日、店舗ID、銘柄ID、納品数量等)をその取引実績テーブルから抽出する。所定期間は、被災日前の任意の期間とされるが、期間が長過ぎると処理時間が増加し期間が短すぎると推定精度が低下するため、1か月以上1年間以内とされることが好ましく、本実施形態では6か月間に設定される。
また、在庫取得部22は、データ参照部25に顧客情報テーブルにアクセスさせることで、当該被災店舗の店舗IDに紐づく納品頻度情報を顧客情報テーブルから抽出し、この抽出された情報が示す納品頻度からその被災店舗へのたばこ商品の配達間隔を導出する。例えば、納品頻度が週1回である場合には配達間隔は7日とされ、納品頻度が月1回である場合には配達間隔は30日(31日でもよい)とされる。
【0039】
更に、在庫取得部22は、上述のようにして取得された被災店舗の納品実績情報に基づいて、その被災店舗において顧客へ販売されたたばこ商品の一日当たり販売数量を推定する。
例えば、顧客店舗3へ納品された全てのたばこ商品が売れると仮定して、一日当たりの納品数が一日当たりの販売個数であるとみなされる。この場合、在庫取得部22は、抽出された納品実績情報が示す所定期間内のたばこ商品の納品総数を当該所定期間の日数で除算することにより、その被災店舗において顧客へ販売されたたばこ商品の一日当たり販売数量を推定することができる。
また、売れ残りを考慮して納品数に対する販売数の割合を予め保持しておき、この割合を所定期間内の納品総数に適用して得られる販売数を当該所定期間の日数で除算することで、一日当たりの販売数量が推定されてもよい。
在庫取得部22は、このようにして推定された被災店舗における一日当たりの販売数量及び上述のように導出された被災店舗の配達間隔日数を少なくとも用いて、次のような各種手法を用いて、被災直前在庫数量を推定することができる。
【0040】
《被災直前在庫数量の第一推定手法》
在庫取得部22は、上述のように推定された一日当たりの販売数量、上述のように導出された配達間隔日数及び販売数量に対する在庫数量の比率を示す在庫倍率に基づいて、被災店舗におけるたばこ商品の被災直前在庫数量を推定する。
ここで、一日当たりの販売数量と配達間隔日数とを掛け合わせて得られる数量は、次回配達日までの販売数量であると考えられると共に、次回配達時までに顧客店舗3が抱える最低在庫数量とみなすことができる。
顧客店舗3は、機会損失回避のためにその最低在庫数量よりも多くの在庫を抱えるのが一般的である。そこで、在庫取得部22は、一日当たりの販売数量と配達間隔日数と販売数量に対する在庫数量の比率を示す在庫倍率とを掛け合わせて得られる数を被災店舗におけるたばこ商品の被災直前在庫数量とすることができる。
在庫倍率は、たばこ商品の小売販売店の傾向や実績等から適切な値(例えば、1.5倍から2.5倍)に設定されることが好ましく、本実施形態では2倍に設定される。
【0041】
《被災直前在庫数量の第二推定手法》
第二推定手法では、在庫取得部22は、被災店舗へ災害の発生前にたばこ商品を配達した直近の日付である被災前直近配達日を更に取得する。本実施形態では、在庫取得部22は、上述のように取得された被災店舗の納品実績情報の納品日の情報に基づいて、納品日を配達日とみなし、その被災店舗への配達日群の中の、被災日より前で直近の配達日を被災前直近配達日として特定する。但し、在庫取得部22は、別のテーブルに格納される情報から被災店舗への配達日を抽出するようにしてもよい。
【0042】
更に、在庫取得部22は、上述のように推定された被災店舗での一日当たりの販売数量に基づいて、被災前直近配達日から被災日までの間にその被災店舗で顧客に販売されたたばこ商品の販売数量を被災前販売数量として推定する。例えば、在庫取得部22は、被災店舗での一日当たりの販売数量に、被災前直近配達日から被災日までの日数を掛け合わせて得られる数を被災前販売数量として推定することができる。
そして、第二推定手法は、一日当たりの販売数量と配達間隔日数と上述の在庫倍率とを掛け合わせて得られる数を被災前直近配達日の在庫数量とみなし、この被災前直近配達日の在庫数量から上述のように推定された被災前販売数量を差し引いて得られる数をその被災店舗におけるたばこ商品の被災直前在庫数量とする。即ち、第二推定手法では、在庫取得部22は、配達間隔日数、一日当たり販売数量及び在庫倍率を掛け合わせることで、その被災店舗における被災前直近配達日のたばこ商品の在庫数量を推定し、この推定された被災前直近配達日のたばこ商品の在庫数量から当該被災前販売数量を差し引くことにより、その被災店舗におけるたばこ商品の被災直前在庫数量を推定する。
【0043】
上述の第二推定手法は、被災前直近配達日から次の配達日までの間、納品実績情報から算出された一日当たりの販売数量が日ごとに在庫からなくなることを想定しているが、被災前直近配達日における上述の最低在庫数量に対する在庫倍率が被災前直近配達日から次回の配達日までの間にどのように減少するかという在庫倍率の減少傾向に応じて被災直前在庫数量を推定することもできる。
この考え方において、被災前直近配達日の最低在庫数量に対する被災前直近配達日の在庫倍率をαとし、被災前直近配達日の最低在庫数量に対する次回配達日の在庫倍率をβとして(α-β)が1となる場合、被災前直近配達日から次の配達日までの間の在庫減少数量が当該最低在庫数量と等しくなる、即ち一日当たりの販売数量が日ごとに在庫からなくなることと同意となるため、上述の第二推定手法と合致する。
一方で、0<(α-β)<1又は1<(α-β)となる場合には、次のような計算式により被災直前在庫数量を算出することができる。
【0044】
被災直前在庫数量=[被災前直近配達日の最低在庫数量]×A
A=α-(α-β)×D/T
α及びβは上述のとおりであり、Aは被災前直近配達日の最低在庫数量に対する被災直前の在庫倍率を示し、Dは被災前直近配達日から被災日までの日数を示し、Tは配達間隔日数を示す。
ここで、上述したとおり、被災前直近配達日の最低在庫数量は、[一日当たりの販売数量]×Tで求めることができる。このため、上記式は、次のように表すことができる。
被災直前在庫数量=[一日当たりの販売数量]×T×{α-(α-β)×D/T}=[一日当たりの販売数量]×T×α-[一日当たりの販売数量]×(α-β)×D
更に、上述したとおり一日当たりの販売数量と配達間隔日数(T)と在庫倍率(α)とを掛け合わせて得られる数は被災前直近配達日の在庫数量を示す。よって、上記式は更に次のように表すことができる。
被災直前在庫数量=[被災前直近配達日の在庫数量]-[一日当たりの販売数量]×(α-β)×D
【0045】
従って、上述の第二推定手法の被災前販売数量の推定手法を変形して次のように算出してもよい。即ち、在庫取得部22は、配達間隔日数(T)と当該推定された一日当たり販売数量とを掛け合わせて得られる数量を被災前直近配達日の最低在庫数量と仮定して、被災前直近配達日の最低在庫数量に対する被災前直近配達日の在庫倍率をαとし、被災前直近配達日の最低在庫数量に対する次回配達日の在庫倍率をβとした場合に、当該一日当たり販売数量及び被災前直近配達日から被災日までの日数(D)、並びに(α-β)を掛け合わせて得られる数量を被災前販売数量として推定する。
【0046】
《被災直前在庫数量の第三推定手法》
上述の第二推定手法では、被災前直近配達日の在庫数量を推定するのに被災前直近配達日の最低在庫数量に対する在庫倍率αが利用されたが、その被災前直近配達日に納品されたたばこ商品の数量を考慮して被災前直近配達日の在庫数量が推定されてもよい。
第三推定手法では、被災前直近配達日の最低在庫数量にその被災前直近配達日に納品されたたばこ商品の数量を加算したものを被災前直近配達日の在庫数量として推定する。
【0047】
つまり、第三推定手法において在庫取得部22は、当該被災前直近配達日に被災店舗に納品されたたばこ商品の数量を示す被災前直近納品数量情報を更に取得する。在庫取得部22は、データ参照部25に取引実績テーブルにアクセスさせることで、被災店舗の店舗IDに紐づきかつ納品日が被災日より前の直近の日となる納品実績情報をその取引実績テーブルから抽出し、その納品実績情報の納品数量を被災前直近納品数量とする。
更に、在庫取得部22は、配達間隔日数と一日当たり販売数量とを掛け合わせて得られる被災前直近配達日の最低在庫数量にその被災前直近納品数量を加算することで、被災店舗における被災前直近配達日のたばこ商品の在庫数量を推定し、この推定された在庫数量から上述の第二推定手法で推定された被災前販売数量を差し引くことにより、被災店舗におけるたばこ商品の被災直前在庫数量を推定する。
【0048】
第三推定手法では更に、在庫取得部22は、第一推定手法又は第二推定手法のいずれか一方で推定された被災直前在庫数量(第一の被災直前在庫数量)と、第三推定手法で推定された被災直前在庫数量(第二の被災直前在庫数量)とを比較して、それらのいずれか一方を最終的にその被災店舗におけるたばこ商品の被災直前在庫数量に決定する。例えば、在庫取得部22は、第一推定手法又は第二推定手法のいずれか一方で推定された第一の被災直前在庫数量と、第三推定手法で推定された第二の被災直前在庫数量とのうちの多いほうをその被災店舗におけるたばこ商品の被災直前在庫数量に決定する。
【0049】
このように本実施形態によれば、第一、第二又は第三推定手法のいずれかの手法で被災店舗におけるたばこ商品の被災直前在庫数量が推定可能である。
第一推定手法によれば、処理負荷を減らしより高速に被災直前在庫数量を推定することができるし、第二推定手法及び第三推定手法によれば、第一推定手法よりは処理負荷が高くなるもののより高精度に災直前在庫数量を推定することができる。
【0050】
なお、上述の説明では明記しなかったが、在庫取得部22は、たばこ商品の銘柄ごとに被災直前在庫数量を推定することができる。この場合には、たばこ商品の銘柄ごとの納品実績情報に基づいて、たばこ商品の銘柄ごとの一日当たりの販売数量が推定されればよく、被災前直近納品数量もたばこ商品の銘柄ごとに取得されればよい。この場合に、配達間隔日数は、たばこ商品の銘柄ごとに取得されてもよいし、全銘柄一括の情報として取得されてもよい。
【0051】
推定部23は、在庫取得部22により取得された被災直前在庫情報を少なくとも用いて、被災店舗における災害で滅失したたばこ商品の数量を推定する。
推定部23は、被災直前在庫情報が示す被災直前在庫数量をそのまま滅失たばこ商品の数量としてもよいし、被災直前在庫数量の所定割合(例えば8割)を滅失たばこ商品の数量としてもよい。
また、推定部23は、被災店舗における被災直後のたばこ商品の在庫数量を被災直前在庫数量から差し引くことで、滅失たばこ商品の数量を算出することもできる。被災直後の在庫数量は、入力装置16を用いたユーザ操作により入力された情報であってもよいし、他のコンピュータから通信により取得された情報であってもよい。
【0052】
推定部23は、当該被災直前在庫情報が示す銘柄ごとの被災直前在庫数量に基づいて、災害で滅失したたばこ商品の銘柄ごとの数量を推定するようにしてもよい。この場合、推定部23は、被災店舗における被災直後のたばこ商品の銘柄ごとの在庫数量を取得し、たばこ商品の銘柄ごとに、被災直後の在庫数量をその銘柄の被災直前在庫数量から差し引くことで、滅失たばこ商品の数量を銘柄ごとに算出することもできる。
【0053】
各顧客店舗3におけるたばこ商品の在庫情報が本システム1や販売物流システム2等によって適宜収集可能であればよいが、在庫情報の自動収集が困難な顧客店舗3も存在し得る。そこで、本実施形態では、本システム1で管理されている情報、即ち各顧客店舗3へのたばこ商品の配達間隔日数を示す情報、各顧客店舗3へのたばこ商品の納品実績情報等を用いて、高精度に被災店舗におけるたばこ商品の被災直前在庫数量が推定され、推定された被災直前在庫数量に基づいて被災店舗における滅失たばこ商品の数量が推定される。
よって、本実施形態によれば、IT設備環境が整っていない顧客店舗3が被災した場合でも、その顧客店舗3における被災前直前在庫数量を取得することができる。
【0054】
生成部24は、情報取得部20により取得された被災店舗の滅失たばこ商品の数量情報に基づいて、所定行政区に提出するために複数の被災店舗分を集計したたばこ税の還付申告書のデータを生成する。具体的には、生成部24は、各被災店舗の滅失たばこ商品の数量を各被災店舗が属する行政区ごとに集計し、行政区ごとに集計された滅失たばこ商品の数量をたばこ商品の分類に応じた課税計算方法によりたばこ税が計算可能となる基準数量(紙巻たばこの本数)に換算すると共に、滅失たばこ商品のたばこ税の合計金額を算出する。
このとき、生成部24は、データ参照部25に指示して銘柄マスタテーブルにアクセスさせることで、たばこ商品の分類に応じた課税計算方法で用いるための銘柄情報を銘柄マスタテーブルから抽出することができる。例えば、生成部24は、銘柄IDを用いて銘柄マスタテーブルから、滅失たばこ商品の銘柄に関するたばこ分類、価格、個装本数、重量情報等を抽出することができる。
【0055】
また、生成部24は、図7に例示される入力画面等により取得された滅失たばこ商品の数量情報が存在する場合には、店舗特定部21により特定された被災店舗に関して在庫取得部22及び推定部23の処理により推定された滅失たばこ商品の数量に、別途取得された滅失たばこ商品の数量を加えて集計を行う。
そして、生成部24は、このように算出された情報をその行政区に提出される都道府県たばこ税又は区市町村たばこ税の修正申告書の書式の必要箇所に入力した申告書データを生成する。
【0056】
図8は、たばこ税の修正申告書の例を示す図であり、図9は、図8に示される申告書に添付される明細書の例を示す図である。
例えば、生成部24は、図8に示される修正申告書及び図9に示される明細書を印刷可能とする申告書データを生成する。このため、生成部24は、災害で滅失したたばこ商品の銘柄ごとの数量を複数の被災店舗分集計した、還付申告書の明細書のデータを生成すると表記することができる。
生成部24は、修正申告書及び明細書における提出先の情報や申告者の情報等を提出先となる行政区ごとに予め保持しておくことができる。また、修正申告書における課税標準数量及び税額、並びに税額合計の項目の情報は、既に支払われたたばこ税の情報を別途入手することで入力可能である。
生成部24は、修正申告書における返還控除を受けようとする本数及び金額の欄に、上述のようにして換算された滅失たばこ商品の基準数量及びたばこ税の合計金額を設定すればよい。また、生成部24は、明細書における品目及び数量の欄に、滅失たばこ商品の銘柄ごとに銘柄名称、銘柄ID、及び換算された基準数量(たばこの本数)を設定することができる。
【0057】
[たばこ税還付申告支援方法]
以下、本実施形態に係るたばこ税還付申告支援方法(以下、本方法と略称する場合もある)について図10を用いて説明する。図10は、本実施形態に係るたばこ税還付申告支援方法の工程を示すフローチャートである。
本方法は、上述の支援サーバ10のような一以上のプロセッサ及びメモリを少なくとも備える一以上のコンピュータにより実行される。なお、本方法に含まれる各工程の具体的内容は、上述した支援サーバ10の各ソフトウェア要素の処理内容と同様であるため、適宜省略する。
【0058】
まず、支援サーバ10は、被災店舗を特定する(S101)。具体的には、支援サーバ10は、顧客情報テーブル(図2参照)に情報が格納されている全ての顧客店舗3の中から、対象災害により滅失たばこ商品が生じた一以上の顧客店舗3を被災店舗として特定して、被災店舗として特定された顧客店舗3の店舗IDを抽出する。被災店舗の具体的な特定手法は店舗特定部21に関して上述したとおりである。
支援サーバ10は、(S101)で特定された被災店舗の中の一つを選択して、選択された被災店舗(以降、選択被災店舗と表記する)に関して、以降のステップを実行する。
【0059】
(S102)では、支援サーバ10は、上述のように選択された一つの被災店舗(選択被災店舗)に関して、その選択被災店舗へ所定期間内に納品されたたばこ商品の数量を示す納品実績情報及びその選択被災店舗へのたばこ商品の配達間隔情報を取得する。例えば、支援サーバ10は、顧客情報DB5の取引実績テーブルから、選択被災店舗の店舗IDに紐づきかつ納品日が所定期間(例えば6か月)内となる納品実績情報(納品日、店舗ID、銘柄ID、納品数量等)を抽出する。更に、支援サーバ10は、顧客情報DB5の顧客情報テーブルから、その選択被災店舗の店舗IDに紐づく納品頻度情報を抽出し、この抽出された情報が示す納品頻度からその選択被災店舗へのたばこ商品の配達間隔を導出する。
但し、納品実績情報及び配達間隔情報の具体的な取得手法はこのような例に限定されない。配達間隔情報は、納品実績情報で示される納品日から導出されるようにしてもよい。
【0060】
更に、支援サーバ10は、選択被災店舗へ災害の発生前にたばこ商品を配達した直近の日付である被災前直近配達日の情報を取得する(S103)。例えば、支援サーバ10は、(S102)で取得された納品実績情報から被災前直近配達日を特定することができる。
但し、被災前直近配達日の具体的取得手法はこのような例に限定されない。
【0061】
また、支援サーバ10は、選択被災店舗の被災日の情報を取得する(S104)。被災日の情報は、入力装置16を用いたユーザ操作により入力された情報であってもよいし、外部のコンピュータから取得された情報であってもよい。また、被災店舗ごとに被災日の情報を取得するのではなく、すべての被災店舗に関して共通の情報として被災日の情報が取得されてもよい。
【0062】
続いて、支援サーバ10は、(S102)で取得された選択被災店舗の納品実績情報に基づいて、その選択被災店舗において顧客へ販売されたたばこ商品の一日当たり販売数量を推定する(S105)。納品実績情報からのたばこ商品の一日当たり販売数量の推定手法については上述したとおりである。
【0063】
支援サーバ10は、(S105)で推定された選択被災店舗における一日当たりの販売数量及び(S102)で取得された選択被災店舗の配達間隔情報を少なくとも用いて、選択被災店舗の被災直前在庫数量を推定する。被災直前在庫数量の推定手法には様々な手法が利用可能であり、例えば、上述した第一、第二及び第三の推定手法がある。
図10には、第三推定手法(第二推定手法を含む)が例示されているため、図10の例に沿って説明している。但し、被災直前在庫数量の推定手法には図10に例示されていない他の手法が利用されてもよい。
【0064】
支援サーバ10は、選択被災店舗に関して(S103)で取得された被災前直近配達日における当該選択被災店舗の在庫数量を推定する(S106)。具体的には、支援サーバ10は、(S105)で推定されたたばこ商品の一日当たりの販売数量と(S102)で取得された配達間隔日数と予め保持される在庫倍率とを掛け合わせることで、選択被災店舗の被災前直近配達日の在庫数量を推定する。在庫倍率については上述したとおりであり、例えば2倍に設定される。
【0065】
支援サーバ10は、更に、(S105)で推定された選択被災店舗での一日当たりの販売数量に基づいて、被災前直近配達日から被災日までの間にその被災店舗で顧客に販売されたたばこ商品の販売数量を被災前販売数量として推定する(S107)。例えば、支援サーバ10は、被災店舗での一日当たりの販売数量に、被災前直近配達日から被災日までの日数を掛け合わせて得られる数を被災前販売数量として推定することができる。
【0066】
支援サーバ10は、選択被災店舗に関して(S106)で推定された被災前直近配達日の在庫数量から(S107)で推定された被災前販売数量を差し引くことにより、選択被災店舗におけるたばこ商品の第一の被災直前在庫数量を推定する(S108)。
【0067】
また、支援サーバ10は、選択被災店舗に関して(S103)で取得された被災前直近配達日に選択被災店舗に納品されたたばこ商品の数量を示す被災前直近納品数量情報を更に取得する(S109)。例えば、支援サーバ10は、顧客情報DB5の取引実績テーブルから、選択被災店舗の店舗IDに紐づきかつ納品日が被災日より前の直近の日となる納品実績情報を抽出し、その納品実績情報の納品数量を被災前直近納品数量とすることができる。
但し、選択被災店舗の被災前直近納品数量の具体的取得手法はこのような例に限定されない。
【0068】
支援サーバ10は、(S106)とは別の手法で選択被災店舗における被災前直近配達日のたばこ商品の在庫数量を推定し、当該別の手法で推定された被災前直近配達日のたばこ商品の在庫数量から、選択被災店舗に関して(S107)で推定された被災前販売数量を差し引くことにより、選択被災店舗におけるたばこ商品の第二の被災直前在庫数量を推定する(S110)。当該別の手法として、例えば、選択被災店舗に関して(S102)で取得された配達間隔日数と(S105)で推定された一日当たり販売数量とを掛け合わせて得られる数量に(S109)で取得された被災前直近納品数量を加算する手法が採用可能である。このように第二の被災直前在庫数量の推定では、第一の被災直前在庫数量の推定で利用される上述の在庫倍率は利用されない。
【0069】
支援サーバ10は、選択被災店舗に関して(S108)で推定された第一の被災直前在庫数量と(S110)で推定された第二の被災直前在庫数量を比較して、いずれか一方を最終的にその選択被災店舗におけるたばこ商品の被災直前在庫数量に決定する(S111)。例えば、支援サーバ10は、第一の被災直前在庫数量と第二の被災直前在庫数量とのうちの多いほうをその被災店舗におけるたばこ商品の被災直前在庫数量に決定する。
【0070】
そして、支援サーバ10は、(S111)で決定された被災直前在庫数量を少なくとも用いて、選択被災店舗における滅失たばこ商品の数量を推定する(S112)。支援サーバ10は、被災直前在庫数量をそのまま滅失たばこ商品の数量としてもよいし、被災直前在庫数量の所定割合(例えば8割)を滅失たばこ商品の数量としてもよいし、被災店舗における被災直後のたばこ商品の在庫数量を被災直前在庫数量から差し引くことで、滅失たばこ商品の数量を算出してもよい。被災直後の在庫数量は、入力装置16を用いたユーザ操作により入力された情報であってもよいし、他のコンピュータから通信により取得された情報であってもよい。
【0071】
支援サーバ10は、(S101)で特定された全ての被災店舗に関して滅失たばこ商品の数量の推定が完了するまで処理を繰り返す(S113;YES)。
支援サーバ10は、(S101)で特定された全ての被災店舗に関して滅失たばこ商品の数量の推定が完了すると(S113;NO)、被災店舗が属する行政区ごとに各被災店舗の滅失たばこ商品の数量を集計する(S114)。この集計では、(S101)で特定された被災店舗以外の被災店舗に関して、他の手法(図7に例示される入力画面等)により取得された滅失たばこ商品の数量情報が存在する場合には、(S101)で特定された全ての被災店舗の滅失たばこ商品の数量に、他の手法で取得された数量が加えられてもよい。
【0072】
最後に、支援サーバ10は、(S114)で集計された行政区ごとの滅失たばこ商品の数量に基づいて、行政区ごとに提出するための都道府県たばこ税又は区市町村たばこ税の修正申告書及び明細書のデータを生成する(S115)。修正申告書及び明細書のデータの具体的生成手法やそのデータの詳細については上述したとおりである。
ここで(S115)において明細書のデータが生成される場合には、明細書のデータにおいて滅失たばこ商品の銘柄ごとに数量情報が設定される必要がある。そこで、(S105)で推定される一日当たりの販売数量、(S106)で推定された被災前直近配達日の在庫数量、(S107)で推定された被災前販売数量、(S108)で推定される第一の被災直前在庫数量、(S109)で取得される被災前直近納品数量、(S110)で推定される第二の被災直前在庫数量、(S111)で決定される被災直前在庫数量、及び(S112)で推定された滅失たばこ商品の数量は、たばこ商品の銘柄ごとの数量となる。加えて、少なくとも(S102)で取得される納品実績情報についても、たばこ商品の銘柄ごとの納品実績情報となる。
但し、(S102)で取得される配達間隔情報が示す配達間隔日数及び(S103)で取得される被災前直近配達日は、たばこ商品の銘柄ごとの情報とされてもよいし、全銘柄共通の情報とされてもよい。
【0073】
[変形例]
上述の実施形態は例示であり、趣旨を逸脱しない範囲で上述の内容は適宜変形可能である。
例えば、上述の実施形態では、たばこ税の還付申告書のデータとして修正申告書及び明細書のデータが生成されたが、明細書のデータは生成されなくてもよい。この場合には、滅失たばこ商品の数量は銘柄ごとに推定されなくてもよい。
【0074】
また、図10は本方法のフローの一例を示すに過ぎず、図10に示される各工程の実行順などは適宜変更可能である。
例えば、複数の被災店舗が特定された場合には、各被災店舗に関する(S102)から(S112)の工程は並行して実行されてもよい。
また、或る一つの行政区を指定する工程が最初に実行され、(S101)では前工程で指定された行政区に属する被災店舗のみが特定されるようにしてもよい。この場合には、指定された行政区に応じて、都道府県たばこ税又は区市町村たばこ税のいずれか一方の修正申告書及び明細書のデータが生成されるようにしてもよい。また、行政区を指定する前に、還付申告を受けるたばこ税として都道府県たばこ税又は区市町村たばこ税のいずれか一方を選択する工程が先に実行されるようにしてもよい。この場合には、例えば、いずれのたばこ税の還付申告をするのか選択するための画面を表示させるようにすればよい。
また、(S102)、(S103)、(S104)及び(S109)の各工程は、並行して実行されてもよいし、支障の出ない範囲で実行順が前後してもよい。
【0075】
上記の実施形態及び変形例の一部又は全部は、次のようにも特定され得る。但し、上述の実施形態及び変形例が以下の記載に制限されるものではない。
(1)
所定行政区に属する複数の被災店舗における災害で滅失したたばこ商品の数量情報を取得する情報取得手段と、
前記取得された数量情報に基づいて、前記所定行政区に提出するために前記複数の被災店舗分を集計したたばこ税の還付申告書のデータを生成する生成手段と、
を備えるたばこ税還付申告支援システム。
(2)
前記複数の被災店舗の中の少なくとも一つの被災店舗を特定する店舗特定手段と、
前記特定された被災店舗における被災直前のたばこ商品の在庫数量を示す被災直前在庫情報を取得する在庫取得手段と、
前記取得された被災直前在庫情報を少なくとも用いて、前記特定された被災店舗における前記災害で滅失したたばこ商品の数量を推定する推定手段と、
を更に備える(1)に記載のたばこ税還付申告支援システム。
(3)
前記在庫取得手段は、前記特定された被災店舗における被災直前のたばこ商品の銘柄ごとの在庫数量を示す前記被災直前在庫情報を取得し、
前記推定手段は、前記被災直前在庫情報が示す銘柄ごとの在庫数量に基づいて、前記災害で滅失したたばこ商品の銘柄ごとの数量を推定し、
前記生成手段は、前記災害で滅失したたばこ商品の銘柄ごとの数量を前記複数の被災店舗分集計した、前記還付申告書の明細書のデータを生成する、
(2)に記載のたばこ税還付申告支援システム。
(4)
前記在庫取得手段は、
前記特定された被災店舗へ所定期間内に納品されたたばこ商品の数量を示す納品実績情報及び該被災店舗へのたばこ商品の配達間隔情報を取得し、
前記取得された納品実績情報に基づいて、前記特定された被災店舗において顧客へ販売されたたばこ商品の一日当たり販売数量を推定し、
前記取得された配達間隔情報が示す配達間隔日数、前記推定された一日当たり販売数量及び販売数量に対する在庫数量の比率を示す在庫倍率に基づいて、前記特定された被災店舗におけるたばこ商品の第一の被災直前在庫数量を推定する、
(2)又は(3)に記載のたばこ税還付申告支援システム。
(5)
前記在庫取得手段は、
前記特定された被災店舗へ前記災害の発生前にたばこ商品を配達した直近の日付である被災前直近配達日を更に取得し、
前記推定された一日当たり販売数量に基づいて、前記被災前直近配達日から被災日までの間に前記特定された被災店舗で顧客に販売されたたばこ商品の被災前販売数量を推定し、
前記配達間隔日数、前記推定された一日当たり販売数量及び前記在庫倍率を掛け合わせることで、前記特定された被災店舗における前記被災前直近配達日のたばこ商品の在庫数量を推定し、
前記推定された前記被災前直近配達日のたばこ商品の在庫数量から前記推定された被災前販売数量を差し引くことにより、前記特定された被災店舗におけるたばこ商品の前記第一の被災直前在庫数量を推定する、
(4)に記載のたばこ税還付申告支援システム。
(6)
前記在庫取得手段は、前記配達間隔日数と前記推定された一日当たり販売数量とを掛け合わせて得られる数量を前記被災前直近配達日の最低在庫数量と仮定して、前記被災前直近配達日の該最低在庫数量に対する前記被災前直近配達日の在庫倍率をαとし、前記被災前直近配達日の該最低在庫数量に対する次回配達日の在庫倍率をβとした場合に、前記推定された一日当たり販売数量及び前記被災前直近配達日から被災日までの日数、並びに(α-β)を掛け合わせて得られる数量を前記被災前販売数量として推定する、
(5)に記載のたばこ税還付申告支援システム。
(7)
前記在庫取得手段は、
前記特定された被災店舗へ前記災害の発生前にたばこ商品を配達した直近の日付である被災前直近配達日に該被災店舗に納品されたたばこ商品の数量を示す被災前直近納品数量情報を更に取得し、
前記推定された一日当たり販売数量に基づいて、前記被災前直近配達日から被災日までの間に前記特定された被災店舗で顧客に販売されたたばこ商品の被災前販売数量を推定し、
前記配達間隔日数、前記一日当たり販売数量及び前記被災前直近納品数量情報に基づいて、前記特定された被災店舗における前記被災前直近配達日のたばこ商品の在庫数量を推定し、
前記推定された前記被災前直近配達日のたばこ商品の在庫数量から前記推定された被災前販売数量を差し引くことにより、前記特定された被災店舗におけるたばこ商品の第二の被災直前在庫数量を更に推定し、
前記第一の被災直前在庫数量と前記推定された第二の被災直前在庫数量とを比較して、該第一の被災直前在庫数量又は該第二の被災直前在庫数量のいずれか一方を、前記特定された被災店舗におけるたばこ商品の被災直前在庫数量に決定する、
(4)から(6)のいずれか一つに記載のたばこ税還付申告支援システム。
(8)
一以上のコンピュータにより実行されるたばこ税還付申告支援方法であって、
前記一以上のコンピュータが、
所定行政区に属する複数の被災店舗における災害で滅失したたばこ商品の数量情報を取得し、
前記取得された数量情報に基づいて、前記所定行政区に提出するために前記複数の被災店舗分を集計したたばこ税の還付申告書のデータを生成する、
ことを含むたばこ税還付申告支援方法。
(9)
前記一以上のコンピュータが、
前記複数の被災店舗の中の少なくとも一つの被災店舗を特定し、
前記特定された被災店舗における被災直前のたばこ商品の在庫数量を示す被災直前在庫情報を取得し、
前記取得された被災直前在庫情報を少なくとも用いて、前記特定された被災店舗における前記災害で滅失したたばこ商品の数量を推定する、
ことを更に含む(8)に記載のたばこ税還付申告支援方法。
(10)
前記一以上のコンピュータが、
前記特定された被災店舗における被災直前のたばこ商品の銘柄ごとの在庫数量を示す前記被災直前在庫情報を取得し、
前記取得された被災直前在庫情報が示す銘柄ごとの在庫数量に基づいて、前記災害で滅失したたばこ商品の銘柄ごとの数量を推定する、
ことを更に含み、
前記明細書のデータの生成では、前記災害で滅失したたばこ商品の銘柄ごとの数量を前記複数の被災店舗分集計した、前記還付申告書の明細書のデータを生成する、
(9)に記載のたばこ税還付申告支援方法。
(11)
前記一以上のコンピュータが、
前記特定された被災店舗へ所定期間内に納品されたたばこ商品の数量を示す納品実績情報及び該被災店舗へのたばこ商品の配達間隔情報を取得し、
前記取得された納品実績情報に基づいて、前記特定された被災店舗において顧客へ販売されたたばこ商品の一日当たり販売数量を推定し、
前記取得された配達間隔情報が示す配達間隔日数、前記推定された一日当たり販売数量及び販売数量に対する在庫数量の比率を示す在庫倍率に基づいて、前記特定された被災店舗におけるたばこ商品の第一の被災直前在庫数量を推定する、
ことを更に含む(9)又は(10)に記載のたばこ税還付申告支援方法。
(12)
前記一以上のコンピュータが、
前記特定された被災店舗へ前記災害の発生前にたばこ商品を配達した直近の日付である被災前直近配達日を取得し、
前記推定された一日当たり販売数量に基づいて、前記被災前直近配達日から被災日までの間に前記特定された被災店舗で顧客に販売されたたばこ商品の被災前販売数量を推定し、
前記配達間隔日数、前記推定された一日当たり販売数量及び前記在庫倍率を掛け合わせることで、前記特定された被災店舗における前記被災前直近配達日のたばこ商品の在庫数量を推定する、
ことを更に含み、
前記第一の被災直前在庫数量の推定では、前記推定された前記被災前直近配達日のたばこ商品の在庫数量から前記推定された被災前販売数量を差し引くことにより、前記特定された被災店舗におけるたばこ商品の前記第一の被災直前在庫数量を推定する、
(11)に記載のたばこ税還付申告支援方法。
(13)
前記一以上のコンピュータが、
前記被災前販売数量の推定では、前記配達間隔日数と前記推定された一日当たり販売数量とを掛け合わせて得られる数量を前記被災前直近配達日の最低在庫数量と仮定して、前記被災前直近配達日の該最低在庫数量に対する前記被災前直近配達日の在庫倍率をαとし、前記被災前直近配達日の該最低在庫数量に対する次回配達日の在庫倍率をβとした場合に、前記推定された一日当たり販売数量及び前記被災前直近配達日から被災日までの日数、並びに(α-β)を掛け合わせて得られる数量を前記被災前販売数量として推定する、
(12)に記載のたばこ税還付申告支援方法。
(14)
前記一以上のコンピュータが、
前記特定された被災店舗へ前記災害の発生前にたばこ商品を配達した直近の日付である被災前直近配達日に該被災店舗に納品されたたばこ商品の数量を示す被災前直近納品数量情報を取得し、
前記推定された一日当たり販売数量に基づいて、前記被災前直近配達日から被災日までの間に前記特定された被災店舗で顧客に販売されたたばこ商品の被災前販売数量を推定し、
前記配達間隔日数、前記一日当たり販売数量及び前記被災前直近納品数量情報に基づいて、前記特定された被災店舗における前記被災前直近配達日のたばこ商品の在庫数量を推定し、
前記推定された前記被災前直近配達日のたばこ商品の在庫数量から前記推定された被災前販売数量を差し引くことにより、前記特定された被災店舗におけるたばこ商品の第二の被災直前在庫数量を推定し、
前記第一の被災直前在庫数量と前記推定された第二の被災直前在庫数量とを比較して、該第一の被災直前在庫数量又は該第二の被災直前在庫数量のいずれか一方を、前記特定された被災店舗におけるたばこ商品の被災直前在庫数量に決定する、
ことを更に含む(11)から(13)のいずれか一つに記載のたばこ税還付申告支援方法。
(15)
(8)から(14)のいずれか一つに記載のたばこ税還付申告支援方法を一以上のコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【符号の説明】
【0076】
1 たばこ税還付申告支援システム(本システム)
2 販売物流システム
3 顧客店舗
5 顧客情報DB(データベース)
10 支援サーバ
11 CPU
12 メモリ
13 入出力I/F
14 通信ユニット
15 出力装置
16 入力装置
20 情報取得部
21 店舗特定部
22 在庫取得部
23 推定部
24 生成部
25 データ参照部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10