(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】高性能アスファルト組成物、それを含むアスファルト混合物およびアスファルト混合物の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08L 95/00 20060101AFI20241128BHJP
C08K 5/05 20060101ALI20241128BHJP
C08K 5/09 20060101ALI20241128BHJP
C08K 5/17 20060101ALI20241128BHJP
C08K 5/521 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
C08L95/00
C08K5/05
C08K5/09
C08K5/17
C08K5/521
(21)【出願番号】P 2021214575
(22)【出願日】2021-12-28
【審査請求日】2022-10-11
(31)【優先権主張番号】10-2021-0000181
(32)【優先日】2021-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】308007044
【氏名又は名称】エスケー イノベーション カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK INNOVATION CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】26, Jong-ro, Jongno-gu, Seoul 110-728 Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】517073214
【氏名又は名称】エスケー エナジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ジ ス
(72)【発明者】
【氏名】パク ジ スン
(72)【発明者】
【氏名】キム ミン グ
(72)【発明者】
【氏名】キム ウ スン
(72)【発明者】
【氏名】チュン ク ボン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン イル グ
(72)【発明者】
【氏名】ピュン リム オク
【審査官】櫛引 智子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-192902(JP,A)
【文献】特開2000-143993(JP,A)
【文献】特開2009-126878(JP,A)
【文献】米国特許第06261356(US,B1)
【文献】特開2017-155233(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0253528(US,A1)
【文献】特開昭57-042763(JP,A)
【文献】特公昭49-006174(JP,B1)
【文献】米国特許第02461971(US,A)
【文献】中村喜光,トール油の利用,紙パ技協誌,1965年12月,第19巻、第12号,p.615~621
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L,C08K
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレイルアルコールまたはオレイン酸を含む針入度調節剤と、下記化学式2Aで表される化合物、下記化学式2で表される化合物および下記化学式3
Aで表される化合物から選択される何れか1つ以上の剥離防止剤と、アスファルトと含む、アスファルト組成物。
[化学式2A]
【化1】
[化学式2]
【化2】
前記化学式2中、
R
1は、C1-C30アルキルまたはC2-C30アルケニルであり、
R
3およびR
4は、互いに独立して、C1-C30アルキルから選択され、前記R
3およびR
4のアルキルは、ヒドロキシでさらに置換さ
れ、
前記nは0で
ある。
[化学式3A]
【化3】
【請求項2】
前記化学式2で表される化合物は下記化学式2Bで表される化合物で
ある、請求項1に記載のアスファルト組成物。
[化学式2B]
【化4】
【請求項3】
前記針入度調節剤は、アスファルト100重量部に対して0.05~10重量部で含まれる、請求項1に記載のアスファルト組成物。
【請求項4】
前記剥離防止剤は、アスファルト100重量部に対して0.1~10重量部で含まれる、請求項1に記載のアスファルト組成物。
【請求項5】
前記アスファルトは、天然アスファルト、石油アスファルト、石油系ピッチ、再生アスファルトおよび改質アスファルトからなる群から選択される何れか1つまたは2つ以上である、請求項1に記載のアスファルト組成物。
【請求項6】
請求項1から5の何れか一項に記載のアスファルト組成物、骨材および充填材を含む、アスファルト混合物。
【請求項7】
アスファルトと、オレイルアルコールまたはオレイン酸を含む針入度調節剤と、下記化学式2Aで表される化合物、下記化学式2で表される化合物および下記化学式3
Aで表される化合物から選択される何れか1つ以上の剥離防止剤とを含むアスファルト組成物を製造するプレミキシング(Pre-mixing)ステップと、
前記アスファルト組成物、骨材および充填材を混合するステップとを含む、アスファルト混合物の製造方法。
[化学式2A]
【化5】
[化学式2]
【化6】
前記化学式2中、
R
1は、C1-C30アルキルまたはC2-C30アルケニルであり、
R
3およびR
4は、互いに独立して、C1-C30アルキルから選択され、前記R
3およびR
4のアルキルは、ヒドロキシでさらに置換さ
れ、
前記nは0で
ある。
[化学式3A]
【化7】
【請求項8】
前記プレミキシングステップは、針入度調節剤および剥離防止剤を混合する添加剤の製造ステップと、前記添加剤にアスファルトを投入して撹拌するアスファルト組成物の製造ステップとを含む、請求項7に記載のアスファルト混合物の製造方法。
【請求項9】
前記アスファルト組成物は、アスファルト100重量部に対して、針入度調節剤が0.05~10重量部、剥離防止剤が0.1~10重量部で含まれる、請求項7に記載のアスファルト混合物の製造方法。
【請求項10】
前記混合するステップは、80~180℃で行われる、請求項7に記載のアスファルト混合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、針入度が向上するとともに、水分抵抗性および締固め性が改善されたアスファルト組成物、それを含むアスファルト混合物およびアスファルト混合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アスファルト混合物(Asphalt Mixture)は、通常、アスコンと称し、アスファルトミキシングプラント(Asphalt Mixing Plant)にアスファルト(Asphalt)、骨材(Aggregate)、充填材(Filler)などを投入し、かかる材料を160~180℃の高温に加熱して混合する過程により製造した後、道路舗装材料として用いられる。
【0003】
したがって、アスファルト混合物を製造する過程で、高温加熱のため、多くのエネルギーが必要であるだけでなく、施工中にも二酸化炭素、硫黄酸化物、窒素酸化物などの有害ガスの排出が発生するため、環境汚染や作業者の健康に否定的な影響を及ぼし得る。また、道路の舗装時、160~180℃の高温で生産されたアスファルト混合物を常温に冷却するために多くの時間が必要であるため、それだけ交通開放時間が遅延する問題や、作業者が安全事故の危険に晒される問題が発生し、さらには、高温でアスファルトを生産するに伴い、アスファルトの酸化老化が比較的に速く進行して早期に舗装の亀裂が発生するため、舗装の寿命が短縮するという短所を有する。
【0004】
一方、中温化アスファルト(WMA、Warm Mix Asphalt)は、加熱アスファルト混合物と比べて生産および締固め温度が低いため、エネルギー消費、費用の節減、有害ガスの排出減少および冷却時間の短縮による早期交通開放などの長所を有する。しかし、加熱アスファルト混合物よりも低い温度で骨材を加熱する特性上、骨材中に存在する水分を全て除去するには限界があり、相対的にアスファルト粘度が高いため骨材をコーティングするにも難しさがある。よって、中温化アスファルト混合物の場合、アスファルト舗装に流入された水により骨材とアスファルトとの粘着力または付着力が弱化し、骨材とアスファルトの脱離を誘発し得る。
【0005】
このため、アスファルト剥離防止剤、軟化剤とともにアスファルト針入度調節剤として石油系減圧蒸留工程副産物、重質油流動床触媒分解工程副産物、脱アスファルテン工程副産物、潤滑油系および動植物系留分などをともに用いるが、この場合、粘度などのアスファルトの塑性変形抵抗性を代表する性能の低下が発生するため、所望の高品質のアスファルトを生産することが非常に制限的である。
【0006】
したがって、アスファルトの粘度は維持しつつ針入度だけを増加させることで、塑性変形抵抗性を維持してアスファルトの道路舗装性能を向上させるとともに、アスファルトの水分抵抗性および締固め性を向上させる技術の開発が必要な状態である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国登録特許第10-1439294号(2014.09.02)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の問題を解決するために導き出されたものであり、本発明は、針入度が向上するとともに、水分抵抗性および締固め性が改善されたアスファルト組成物を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、アスファルトの針入度を向上させながらも、アスファルトの粘度を維持して塑性変形抵抗性の低下を防止する高品質のアスファルト組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述したような目的を達成するために、本発明は、下記化学式1で表される針入度調節剤と、下記化学式2で表される化合物および下記化学式3で表される化合物から選択される何れか1つ以上の剥離防止剤と、アスファルトとを含む、アスファルト組成物を提供する。
【0011】
[化学式1]
【化1】
[化学式2]
【化2】
[化学式3]
【化3】
【0012】
前記化学式1~化学式3中、
Rは、C1-C30ヒドロカルビルまたはC1-C30ヘテロヒドロカルビルであり、
R1は、C1-C30アルキル、C1-C30アルケニルまたはC1-C30アルキニルであり、
R2~R4は、互いに独立して、水素、C1-C30アルキル、C1-C30アルケニルまたはC1-C30アルキニルであり、
R5またはR6は、独立して、水素、C1-C30アルキル、C1-C30アルケニルまたはC1-C30アルキニルであり、R5およびR6のうち少なくとも1つは、C1-C30アルキル、C1-C30アルケニルまたはC1-C30アルキニルであり、
mは1~10の整数であり、
nは0~20の整数であり、
前記RのヒドロカルビルまたはヘテロヒドロカルビルおよびR1~R4のアルキル、アルケニルまたはアルキニルは、ヒドロキシ、C1-C20アルコキシ、C1-C20アルキル、カルボニル、ハロゲンおよびアミノ基から選択される1つ以上の置換基でさらに置換されてもよい。
【0013】
本発明の一態様に係るアスファルト組成物において、前記化学式1で表される針入度調節剤は、下記化学式4で表される化合物であってもよい。
【0014】
【0015】
前記化学式4中、R’は、C1-C30アルキル、C1-C30アルケニルまたはC1-C30アルキニルであり、前記R’のアルキル、アルケニルまたはアルキニルは、ヒドロキシ基、カルボニル基、アルコキシ基およびカルボキシ基から選択される1つ以上の置換基でさらに置換されてもよく、qは0または1である。
【0016】
本発明の一態様に係るアスファルト組成物において、前記化学式1で表される針入度調節剤は、下記化学式5で表される化合物であってもよい。
【0017】
【0018】
前記化学式5中、R’’は、C1-C30アルキル、C1-C30アルケニルまたはC1-C30アルキニルであり、Aは、C1-C5アルキレンであり、前記R’’のアルキル、アルケニルまたはアルキニルとAのアルキレンは、ヒドロキシ基、カルボニル基、アルコキシ基およびカルボキシ基から選択される1つ以上の置換基でさらに置換されてもよい。
【0019】
本発明の一態様に係る、前記化学式2で表される化合物は、R1は、C1-C30アルキルまたはC1-30アルケニルであり、R2~R4は、互いに独立して、水素またはC1-C3アルキルであって、ヒドロキシ基で置換されたものであってもよい。
【0020】
本発明の一態様に係る、前記化学式3で表される化合物は、モノリン酸エステルおよびジリン酸エステルの混合物であってもよい。
本発明の一態様に係る、前記化学式1で表される針入度調節剤は、アスファルト100重量部に対して0.05~10重量部で含まれてもよい。
【0021】
本発明の一態様に係る、前記化学式2で表される化合物および前記化学式3で表される化合物から選択される何れか1つ以上の剥離防止剤は、アスファルト100重量部に対して0.1~10重量部で含まれてもよい。
【0022】
本発明の一態様に係る、前記モノリン酸エステルおよびジリン酸エステルは、アスファルト100重量部に対して0.1~5重量部で含まれてもよい。
本発明の一態様に係る、前記アスファルトは、天然アスファルト、石油アスファルト、石油系ピッチ、再生アスファルトおよび改質アスファルトからなる群から選択される何れか1つまたは2つ以上であってもよい。
【0023】
本発明は、上述したアスファルト組成物、骨材および充填材を含むアスファルト混合物を提供する。
また、本発明は、アスファルトと、下記化学式1で表される針入度調節剤と、下記化学式2で表される化合物および下記化学式3で表される化合物から選択される何れか1つ以上の剥離防止剤とを含むアスファルト組成物を製造するプレミキシング(Pre-mixing)ステップと、前記アスファルト組成物、骨材および充填材を混合するステップとを含む、アスファルト混合物の製造方法を提供する。
【0024】
[化学式1]
【化6】
[化学式2]
【化7】
[化学式3]
【化8】
【0025】
前記化学式1~化学式3中、
Rは、C1-C30ヒドロカルビルまたはC1-C30ヘテロヒドロカルビルであり、
R1は、C1-C30アルキル、C1-C30アルケニルまたはC1-C30アルキニルであり、
R2~R4は、互いに独立して、水素、C1-C30アルキル、C1-C30アルケニルまたはC1-C30アルキニルであり、
R5またはR6は、独立して、水素、C1-C30アルキル、C1-C30アルケニルまたはC1-C30アルキニルであり、R5およびR6のうち少なくとも1つは、C1-C30アルキル、C1-C30アルケニルまたはC1-C30アルキニルであり、
mは1~10の整数であり、
nは0~20の整数であり、
前記RのヒドロカルビルまたはヘテロヒドロカルビルおよびR1~R4のアルキル、アルケニルまたはアルキニルは、ヒドロキシ、C1-C20アルコキシ、C1-C20アルキル、カルボニル、ハロゲンおよびアミノ基から選択される1つ以上の置換基でさらに置換されてもよい。
【0026】
本発明の一態様に係る、前記プレミキシングステップは、針入度調節剤および剥離防止剤を混合する添加剤の製造ステップと、前記添加剤にアスファルトを投入して撹拌するアスファルト組成物の製造ステップとを含んでもよい。
【0027】
本発明の一態様に係る、前記アスファルト組成物は、アスファルト100重量部に対して、針入度調節剤が0.05~10重量部、剥離防止剤が0.1~10重量部で含まれてもよい。
本発明の一態様に係る、前記混合するステップは、80~180℃で行われてもよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係るアスファルト組成物は、アスファルトと骨材の水分抵抗性、締固め性を同時に向上させることができ、アスファルト混合物の生産性および作業性を改善することができる。
【0029】
本発明に係るアスファルト組成物は、アスファルトの粘度を維持しつつ針入度だけを増加させる添加剤を用いることで、道路舗装用アスファルトの規格を満たしながらも、塑性変形抵抗性を維持してアスファルトの道路舗装性能を向上させることができる。
【0030】
本発明に係るアスファルト組成物の使用時、既存のアスファルト施工温度と比べて20~50℃低い温度においても施工が可能であるため、速い作業を図り、これにより、経済的で且つ環境に優しい施工を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明に係るアスファルト組成物、アスファルト混合物およびその製造方法について詳しく説明する。この際、他に定義しない限り、全ての技術的用語および科学的用語は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が通常理解している意味を有し、本発明における説明で用いられる用語は、単に特定の実施形態を効果的に記述するためのものであり、本発明を制限する意図ではない。
【0032】
また、下記の説明において、本発明の要旨を不要に濁す恐れのある公知の効果および構成に関する説明は省略する。以下、明細書において、特に言及なしに用いられた単位は、重量を基準とし、一例として、%または比の単位は、重量%または重量比を意味する。
【0033】
また、本発明の構成要素を説明するにおいて、第1、第2、A、B(a)、(b)などの用語を用いてもよい。かかる用語はその構成要素を他の構成要素と区別するためのものにすぎず、その用語により当該構成要素の本質や順番または順序などが限定されることはない。
【0034】
また、本発明の明細書で用いられる単数の形態は、文脈上、特に指示しない限り、複数の形態も含むことを意図する。
また、本発明の明細書で用いられる「アルキル」、「アルケニル」および「アルキニル」は、直鎖または分岐鎖の何れを含んでもよく、「アルケニル」および「アルキニル」は、二重結合または三重結合の不飽和結合を1つまたは2つ以上含むことを意味する。
【0035】
本発明は、下記化学式1で表される針入度調節剤と、下記化学式2で表される化合物および下記化学式3で表される化合物から選択される何れか1つ以上の剥離防止剤と、アスファルトと含む、アスファルト組成物を提供する。
【0036】
[化学式1]
【化9】
[化学式2]
【化10】
[化学式3]
【化11】
【0037】
前記化学式1~化学式3中、Rは、C1-C30ヒドロカルビルまたはC1-C30ヘテロヒドロカルビルであり、R1は、C1-C30アルキル、C1-C30アルケニルまたはC1-C30アルキニルであり、R2~R4は、互いに独立して、水素、C1-C30アルキル、C1-C30アルケニルまたはC1-C30アルキニルであり、R5またはR6は、独立して、水素、C1-C30アルキル、C1-C30アルケニルまたはC1-C30アルキニルであり、R5およびR6のうち少なくとも1つは、C1-C30アルキル、C1-C30アルケニルまたはC1-C30アルキニルであり、mは1~10の整数であり、nは0~20の整数であり、前記RのヒドロカルビルまたはヘテロヒドロカルビルおよびR1~R4のアルキル、アルケニルまたはアルキニルは、ヒドロキシ、C1-C20アルコキシ、C1-C20アルキル、カルボニル、ハロゲンおよびアミノ基から選択される1つ以上の置換基でさらに置換されてもよい。
【0038】
好ましくは、前記R2~R4は、C1-C7アルキル、C1-C7アルケニルまたはC1-C7アルキニルであり、前記アルキル、アルケニルまたはアルキニルは、ヒドロキシ、C1-C15アルコキシおよびカルボニル基から選択される1つ以上の置換基でさらに置換されてもよい。
【0039】
本発明の好ましい一実施形態において、前記化学式1で表される針入度調節剤は、下記化学式4で表される化合物であってもよい。
【0040】
【0041】
前記化学式4中、R’は、C1-C30アルキル、C1-C30アルケニルまたはC1-C30アルキニルであり、前記R’のアルキル、アルケニルまたはアルキニルは、ヒドロキシ基、カルボニル基、アルコキシ基およびカルボキシ基から選択される1つ以上の置換基でさらに置換されてもよく、qは0または1である。
【0042】
または、本発明の好ましい一実施形態は、前記化学式1で表される針入度調節剤が下記化学式5で表されてもよい。
【0043】
【0044】
前記化学式5中、R’’は、C1-C30アルキル、C1-C30アルケニルまたはC1-C30アルキニルであり、Aは、C1-C5アルキレンであり、前記R’’のアルキル、アルケニルまたはアルキニルとAのアルキレンは、ヒドロキシ基、カルボニル基、アルコキシ基およびカルボキシ基から選択される1つ以上の置換基でさらに置換されてもよい。
【0045】
本発明に係るアスファルト組成物は、アスファルトと骨材の混合性、締固め性および水分抵抗性を画期的に改善してアスファルト混合物の生産性を向上させ、施工時の作業性を高めるという効果を奏する。
【0046】
本発明の一実施形態において、前記化学式2で表される化合物は、R1は、C1-C20アルキルまたはC1-C20アルケニルであり、R2~R4は、互いに独立して、水素またはC1-C20アルキルであり、前記アルキルまたはアルケニルは、ヒドロキシ基、C1-C15アルコキシ、カルボニルおよびアミノ基から選択される1つ以上でさらに置換されてもよい。
【0047】
本発明の一実施形態において、前記化学式2で表される化合物は、R1は、C1-C30アルキルまたはC1-C30アルケニルであり、R2~R4は、互いに独立して、水素またはC1-C3アルキルであって、ヒドロキシ基で置換されたものであってもよい。
【0048】
本発明の一実施形態において、前記化学式3で表される化合物は、有機リン酸エステル混合物であってもよい。前記有機リン酸エステル混合物は、エステル官能基の酸素原子に結合された、同一または異なるアルキル、アルケニルまたはアルキニルを有する化合物が2種以上混合された混合物を意味し、リン酸基を含んで酸性を示す。具体的に例を挙げると、互いに異なる2つのモノリン酸エステルの混合物、互いに異なる2つのジリン酸エステルの混合物、1つのモノリン酸エステルおよび1つのジリン酸エステルの混合物、または互いに異なる3つ以上のモノリン酸エステルおよび/またはジリン酸エステルの混合物であってもよい。
【0049】
本発明の好ましい一実施形態は、前記化学式3で表される化合物が同一のアルキル、アルケニルまたはアルキニルを有するモノリン酸エステルおよびジリン酸エステルの混合物であってもよく、前記モノリン酸エステルおよびジリン酸エステルのモル比は1:1~4:1であってもよい。この場合、アスファルトと骨材の付着性および剥離低減効果に優れる。
【0050】
本発明の一実施形態において、前記アスファルト組成物は、アスファルト100重量部に対して、針入度調節剤は0.05~10重量部、好ましくは0.1~8重量部、より好ましくは0.2~5重量部で含まれてもよい。剥離防止剤は、アスファルト100重量部に対して0.1~10重量部、好ましくは0.2~8重量部、より好ましくは0.3~5重量部で含まれてもよい。上記の範囲にて、針入度調節剤および剥離防止剤がアスファルト添加剤として用いられた際、経済的に針入度を高めながらも、優れた剥離防止効果を発現することができる。
【0051】
前記アスファルトは、天然アスファルト、石油アスファルト、石油系ピッチ、再生アスファルトおよび改質アスファルトからなる群から選択される何れか1つまたは2つ以上であってもよいが、これに特に制限されるものではない。
【0052】
本発明は、上述した技術的思想を含むアスファルト組成物、骨材および充填材を含むアスファルト混合物を提供する。
前記骨材としては、施工しようとする舗装の種類に応じて、粗骨材、細骨材などを混合して用いてもよい。ここで、粗骨材は、2.5mmの篩に残った骨材をいい、砕いた石(砕石)、スラグまたは砕いた砂利を意味する。細骨材は、2.5mmの篩を通過し、0.08mmの篩に残った骨材であって、天然砂、砕砂または両方を混合したものを意味する。
【0053】
前記充填材は、石粉、石灰石粉末、高炉(Blast Furnace)スラグ粉末、セルロース繊維、ガラス繊維、カーボンブラック、フライアッシュ(Fly-ash)、粘土粉末、軽炭粉末、消石灰、生石灰、セメントおよび製鋼ダストからなる群から選択される何れか1つまたは2つ以上の混合物であってもよいが、これに特に制限されず、アスファルト混合物の用途に応じてその他の充填材を含んでもよい。
【0054】
本発明の一実施形態に係るアスファルト組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、本発明の針入度調節剤および剥離防止剤を含むアスファルト添加剤の他に追加添加剤をさらに含んでもよく、具体的に例を挙げると、アスファルト改質剤、軟化剤、再生添加剤、針入度調節剤、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、滑剤または界面活性剤であってもよい。必要に応じて、これらの何れか1つまたは2つ以上をさらに含んでもよい。
【0055】
前記追加添加剤は、当業界で通常用いられる成分であれば制限されずに用いられてもよく、アスファルト100重量部に対して0.05~20重量部、好ましくは0.1~15重量部、より好ましくは0.3~12重量部で用いられてもよく、前記範囲は、目的とする効果を達成するのに十分な含量であるとともに経済的な面で好ましいが、これに特に限定されるものではない。
【0056】
前記アスファルト改質剤は、高分子系改質剤および炭化水素系改質第からなる群から選択される何れか1つまたは2つ以上の混合物であってもよい。
前記高分子系改質剤の具体的な一例としては、天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴム共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ビニルクロライド、エチレンメタクリレート、エチレンプロピレンゴム、エチレンビニルアセテート共重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブチルゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ポリクロロプレンゴムおよび廃タイヤ再生ゴムなどから選択される何れか1つまたは2つ以上の混合物であってもよく、これに制限されるものではない。前記高分子系改質剤は制限されないが、重量平均分子量が20,000~600,000g/molであってもよい。
【0057】
また、前記炭化水素系改質剤の例としては、ワックス系アスファルト添加剤、天然アスファルト、石油系ピッチおよびギルソナイトなどから選択される何れか1つまたは2つ以上の混合物でであってもよく、これに制限されるものではない。
【0058】
前記軟化剤(Softener)は、製品に柔軟性を付与するために加えられる液状または固体状の物質をいう。一般的に、軟化剤は、脂肪油系、松根油系、トールオイル、ファクチス(Factice)、石油系、コールタール系、合成樹脂系などに区分することができる。前記アスファルト軟化剤は、アスファルトの構成成分のうちアスファルテンの分散媒として役割をするアロマチック(Aromatic)成分を補強し、老化したアスファルトの脆性および低温柔軟性を改善する役割をする。
【0059】
前記アスファルト軟化剤は、アロマチック成分が高く飽和分の含量が少ないアロマチックプロセスオイル(Aromatic Process Oil)、原油の減圧蒸留残油(VR、Vacuum Residue)および減圧蒸留残油の脱アスファルテン工程(Deasphaltene Process)生成物のうち何れか1つ以上を含む。
【0060】
同様に、前記再生添加剤および追加的に添加される針入度調節剤は、石油系減圧蒸留工程副産物、重質油流動床触媒分解工程副産物、脱アスファルテン工程副産物、潤滑油系および動植物系留分から選択される1つまたは2つ以上を含んでもよい。
【0061】
前記界面活性剤は、カチオン、アニオン、両性界面活性剤であってもよく、具体的なカチオン界面活性剤としては、直鎖アルキルアミン(Linear Alkyl Amine)、直鎖アルキルアンモニウム(Linear Alkyl Ammonium)、直鎖ジアミン(Linear Diamine)、n-ドデシルピリジニウムクロライド(n-Dodecyl Pyridinium Chloride)、イミダゾール(Imidazole)、モルホリン化合物(Morpholine Compound)などが挙げられ、非イオン界面活性剤としては、エトキシル化アルコール(Ethoxylated Alcohol)、アルキルフェノール(Alkyl Phenol)、脂肪酸エステル(Fatty Acid Ester)、窒素系非イオン界面活性剤(Nitrogenated Nonionic Surfactant)などが挙げられ、アニオン界面活性剤としては、硫酸塩(Sulfate)、スルホン酸塩(Sulfonate)、有機リン酸系界面活性剤(Organo Phosphorous Surfactant)、サルコシド(Sarcoside)、アルキルアミノ酸(Alkyl Amino Acid)などが挙げられ、両性界面活性剤としては、アミノプロピオン酸(Amino Propionic Acid)、イミドプロピオン酸(Imido Propionic Acid)、四級化化合物(Quaternized Compound)などが挙げられる。本発明の一実施形態に係る界面活性剤は、2つ以上の界面活性剤の混合物の形態でも使用可能である。
【0062】
本発明の一実施形態に係るアスファルト混合物は、アスファルトコンクリートの表層、中間層および基層などから選択される何れか1つまたは2つ以上に用いられてもよく、これに制限されるものではない。
【0063】
本発明の一実施形態に係るアスファルト混合物は、密粒度アスファルトコンクリート舗装、耐流動性アスファルトコンクリート舗装、粗粒度アスファルトコンクリート舗装、開粒度アスファルトコンクリート舗装、排水性アスファルトコンクリート舗装および砕石マスチックアスファルトコンクリート舗装などから選択されるアスファルトコンクリート舗装に用いられてもよく、用途がこれに制限されるものではない。
【0064】
また、本発明は、アスファルトと、下記化学式1で表される針入度調節剤と、下記化学式2で表される化合物および下記化学式3で表される化合物から選択される何れか1つ以上の剥離防止剤とを含むアスファルト組成物を製造するプレミキシング(Pre-mixing)ステップと、前記アスファルト組成物、骨材および充填材を混合するステップとを含む、アスファルト混合物の製造方法を提供する。
【0065】
[化学式1]
【化14】
[化学式2]
【化15】
[化学式3]
【化16】
【0066】
前記化学式1~化学式3中、
Rは、C1-C30ヒドロカルビルまたはC1-C30ヘテロヒドロカルビルであり、
R1は、C1-C30アルキル、C1-C30アルケニルまたはC1-C30アルキニルであり、
R2~R4は、互いに独立して、水素、C1-C30アルキル、C1-C30アルケニルまたはC1-C30アルキニルであり、
R5またはR6は、独立して、水素、C1-C30アルキル、C1-C30アルケニルまたはC1-C30アルキニルであり、R5およびR6のうち少なくとも1つは、C1-C30アルキル、C1-C30アルケニルまたはC1-C30アルキニルであり、
mは1~10の整数であり、
nは0~20の整数であり、
前記RのヒドロカルビルまたはヘテロヒドロカルビルおよびR1~R4のアルキル、アルケニルまたはアルキニルは、ヒドロキシ、C1-C20アルコキシ、C1-C20アルキル、カルボニル、ハロゲンおよびアミノ基から選択される1つ以上の置換基でさらに置換されてもよい。
【0067】
前記プレミキシングステップは、針入度調節剤および剥離防止剤を混合する添加剤の製造ステップと、前記添加剤にアスファルトを投入して撹拌するアスファルト組成物の製造ステップとを含んでもよい。
【0068】
前記アスファルト組成物は、アスファルト100重量部に対して、針入度調節剤が0.05~10重量部、剥離防止剤が0.1~10重量部で含まれてもよい。
前記アスファルト組成物、骨材および充填材を混合するステップは、80~180℃で行われてもよい。
【0069】
一般的な加熱アスコンの場合、骨材を160~180℃に加熱し、160~180℃に加熱したアスファルトをバインダーとして混合して生産し、中温化アスコンは、骨材とアスファルトの温度を110~150℃に下げて生産する。本発明に係るアスファルト組成物は、前記アスファルト添加剤を含むことで、アスファルト混合物の生産温度を既存の温度と比べて30~50℃下げることができるため、具体的に110~150℃で施工が可能な中温化アスファルト混合物を提供することができる。それのみならず、ポットホール低減用アスファルトおよび廃アスコンのリサイクル用途のアスファルトにも適用可能である。
【0070】
本発明に係るアスファルト混合物の場合、生産温度の低減により、CO2排出量を顕著に減らすことができるため環境に優しく、施工後の舗装体の冷却時間の短縮による早期交通開放の利点がある。
【0071】
本発明に係るアスファルト混合物の製造時、前記アスファルト組成物は、アスファルト100重量部に対して、針入度調節剤は0.05~10重量部、好ましくは0.1~8重量部、より好ましくは0.2~5重量部で含まれてもよい。剥離防止剤は、アスファルト100重量部に対して0.1~10重量部、好ましくは0.2~8重量部、より好ましくは0.3~5重量部で含まれてもよい。上記の範囲にて、針入度調節剤および剥離防止剤がアスファルト添加剤として用いられる際、経済的に針入度を高めながらも、優れた剥離防止効果を発現することができる。
【0072】
以下、実施例により本発明についてさらに詳しく説明する。但し、下記の実施例は、本発明を詳しく説明するための1つの参照にすぎず、本発明は、これに限定されず、種々の形態で実現されてもよい。
【0073】
[製造例1]剥離防止剤1の製造
エチレンジアミン1.30g(21.63mmol)およびグリシジルラウリルエーテル10.50g(43.32mmol)を丸底フラスコに入れた後、内部温度100℃で16時間反応させて製造した。
【0074】
【化17】
1H NMR (500 MHz, CDCl
3) δ 3.89-3.81 (m, 2H), 3.44-3.36 (m, 8H), 2.81-2.54 (m, 8H), 1.56-1.55 (m, 4H), 1.28-1.25 (m, 36H), 0.87 (t, J= 7.0 Hz, 6H).
【0075】
[製造例2]剥離防止剤2の製造
剥離防止剤2であるN,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)オレイルアミンは、Zhangjiagang Halberdo Chemical Co.、 Ltdから購入して用いた。
【化18】
【0076】
[製造例3]剥離防止剤3の製造
窒素雰囲気下で、塩化ホスホリル16.45g(107.28mmol)を丸底フラスコに入れた後、内部温度10℃以下で1-ドデカノール10.00g(53.67mmol)を入れ、内部温度50℃で3時間反応させた。常温に冷ました後に反応物を氷水に投入し、ジエチルエーテルをさらに入れた後に十分に撹拌した。層分離して水層を除去し、残った有機層を濃縮した。
【0077】
【化19】
1H NMR (500 MHz, CDCl
3) δ 10.63 (br, 2H), 4.07-4.05 (m, 2H), 1.70-1.65 (m, 2H), 1.36-1.26 (m, 18H), 0.88 (t, J= 6.8 Hz, 3H).
【0078】
[実施例1]アスファルト組成物1およびアスファルト混合物1の製造
1-1.アスファルト組成物1の製造
25℃で針入度が72である石油系アスファルト100重量部に対して、オレイルアルコールを0.3重量部、製造例1で製造された剥離防止剤1を0.5重量部投入し、140~150℃で20分間500rpmの速度で撹拌し、アスファルト組成物1を製造した。前記アスファルト組成物に対する針入度および粘度を測定して下記表1に示した。オレイルアルコールは、Sigma-Aldrich Corporationから購入して用いた。
【0079】
1-2.アスファルト混合物1および試験片の製造
前記製造されたアスファルト組成物5.0重量%および花崗片麻岩骨材(WC-2粒度)95.0重量%を130℃で混合し、アスファルト混合物1を製造した。前記アスファルト混合物を115℃で締固めて試験片を製造し、締固め度を測定して下記表2に示した。
【0080】
[実施例2]アスファルト組成物2およびアスファルト混合物2の製造
2-1.アスファルト組成物2の製造
前記実施例1-1において、製造例1の剥離防止剤1の代わりに製造例2の剥離防止剤2を用いたことを除いては、実施例1-1と同様に製造した。
【0081】
2-2.アスファルト混合物2および試験片の製造
前記実施例1-2において、アスファルト組成物1の代わりに実施例2-1のアスファルト組成物2を用いたことを除いては、実施例1-2と同様に製造した。
【0082】
[実施例3]アスファルト組成物3およびアスファルト混合物3の製造
3-1.アスファルト組成物3の製造
前記実施例1-1において、オレイルアルコールおよび製造例1の剥離防止剤1の代わりにオレイン酸および製造例3の剥離防止剤3を用いたことを除いては、実施例1-1と同様に製造した。オレイン酸は、Sigma-Aldrich Corporationから購入して用いた。
【0083】
3-2.アスファルト混合物3および試験片の製造
前記実施例1-2において、アスファルト組成物1の代わりに実施例3-1のアスファルト組成物3を用いたことを除いては、実施例1-2と同様に製造した。
【0084】
[比較例1]一般アスファルト混合物4(添加剤なし)の製造
前記実施例1~3において、アスファルト組成物1~3の代わりに、針入度調節剤であるオレイルアルコールおよびオレイン酸、剥離防止剤1~3を投入していない一般アスファルトと骨材を160℃で混合してアスファルト混合物4を製造し、前記アスファルト混合物を145℃で締固めたことを除いては、実施例1-2~3-2と同様に製造した。
【0085】
[比較例2および3]針入度調節剤なしにアスファルト組成物5、6およびアスファルト混合物5、6の製造
前記実施例1および2において、アスファルト組成物の製造時、オレイルアルコールを添加していないことを除いては、実施例1および2と同様に製造した。
【0086】
[比較例4]針入度調節剤なしにアスファルト組成物7およびアスファルト混合物7の製造
前記実施例3において、アスファルト組成物の製造時、オレイン酸を添加していないことを除いては、実施例3と同様に製造した。
【0087】
[比較例5]剥離防止剤なしにアスファルト組成物8およびアスファルト混合物8の製造
前記実施例1において、アスファルト組成物の製造時、剥離防止剤1を添加していないことを除いては、実施例1と同様に製造した。
【0088】
[比較例6]剥離防止剤なしにアスファルト組成物9およびアスファルト混合物9の製造
前記実施例3において、アスファルト組成物の製造時、剥離防止剤3を添加していないことを除いては、実施例3と同様に製造した。
【0089】
[実験例1]アスファルト組成物の針入度の評価
KS M 2252瀝青材料の針入度試験方法に従い、実施例1-1~実施例3-1および比較例1~比較例4のアスファルト組成物の針入度の評価を行った。評価の結果は下記表1に示した。
【0090】
表1によると、実施例1-1~3-1のアスファルト組成物の場合、比較例1~比較例4のアスファルト組成物と比べて、何れも針入度が10%ほど向上したことを確認することができる。
【0091】
[実験例2]アスファルト組成物の粘度の評価
KS M 2247アスファルトの絶対粘度試験方法に従い、実施例1-1~実施例3-1および比較例1~比較例4のアスファルト組成物の粘度の評価を行った。評価の結果は下記表1に示した。
【0092】
表1により、実施例1-1~3-1のアスファルト組成物と比較例1~比較例4のアスファルト組成物の粘度差はほぼないことから、本発明に係るアスファルト組成物の場合、粘度は維持しつつ針入度だけを増加させることで、塑性変形抵抗性の維持効果を提供可能であることを確認することができる。
【0093】
[実験例3]アスファルト混合物の水分抵抗性能の評価
EN-12697-11 Determination of the Affinity between Aggregate and Bitumen実験方法を基準とし、動的水浸後の被覆率(%)の評価を行った。8~11.2mmの骨材510g、および実施例1~実施例3および比較例1~比較例6のアスファルト組成物16gを、実施例および比較例に記載の混合温度で2分間混合し、常温で冷却させた。このうち、150gの試料を取って水が入っている試験用ガラス瓶に入れ、1分当たり60回の速度で24時間回転させた後、アスファルトが骨材に被覆された量を肉眼で評価した。その結果は下記表2に示した。
【0094】
表2により、実施例1-2~実施例3-2の場合、本発明に係る針入度調節剤および剥離防止剤を全く用いていない比較例1と比べて5倍ほど高い動的水浸後の被覆率を示し、剥離防止剤を用いていない比較例5および比較例6と比べても5倍以上高い動的水浸後の被覆率を示した。このことから、本発明に係る針入度調節剤および剥離防止剤を全て含むアスファルト混合物の場合、水分抵抗性能が顕著に向上した結果を示すことを確認することができる。
【0095】
[実験例4]アスファルト混合物の中温化性能の評価(締固め度)
アスファルト混合物の供試体の製造は、ASTM D6925 Standard Test Method for Preparation and Determination of the Relative Density of Asphalt Mix Specimens by Means of the Superpave Gyratory Compactor試験法を基準とした。混合物の締固めは、KS F 2377旋回締固め試験器を用いたアスファルト混合物の締固め方法および密度算出方法に基づいて行い、混合物の孔隙率を算出した。添加剤のない一般アスファルトを活用して160℃で混合、145℃で締固めを行った加熱アスファルト混合物の孔隙率と、添加剤を活用したアスファルトを用いて130℃で混合、115℃で締固めを行った中温化アスファルト混合物の孔隙率との比を締固め度に算出した。
【数1】
【0096】
前記締固め度は、大韓民国国土交通部で提示した中温化アスファルトの締固め効果を評価するための規格であり、中温化アスファルト混合物のW64規格を満たすために、締固め度は必ず1以下でなければならない。その結果は下記表2に示した。
【0097】
[実験例5]アスファルト混合物の塑性変形抵抗性の評価
KS F 2374アスファルト混合物のホイールトラッキング試験方法を基準とした。具体的に、アスファルトと骨材を125℃で2分間混合した後、横×縦×高さが300×300×50mmのモールドに入れ、115℃で孔隙4±1%となるように締固めて試験片を製造した後、60℃の温度で45分以後1mm変形されるのに必要なホイールの通過回数を評価した。その結果は下記表2に示した。
【0098】
本発明に係る実施例1-2~実施例3-2の場合、粘度を維持しつつ、針入度の改善とともに塑性変形抵抗性を向上させた結果を確認することができる。
【0099】
【0100】
【0101】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、請求の範囲と発明の説明および添付した図面の範囲内で多様に変形して実施することができ、これもまた本発明の範囲に属することはいうまでもない。