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特許7595007液体と添加剤の混合物を分注するためのシステムおよび方法並びにそこで使用するためのカートリッジ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】液体と添加剤の混合物を分注するためのシステムおよび方法並びにそこで使用するためのカートリッジ
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/66 20060101AFI20241128BHJP
   B65D 81/32 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
B65D83/66 200
B65D81/32 T
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021529486
(86)(22)【出願日】2019-11-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(86)【国際出願番号】 EP2019082642
(87)【国際公開番号】W WO2020109341
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-10-31
(31)【優先権主張番号】2022072
(32)【優先日】2018-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】509103532
【氏名又は名称】ディスペンシング・テクノロジーズ・ベスローテン・フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】Dispensing Technologies B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】パウロ・ナーヴォ
(72)【発明者】
【氏名】デニス・ヴァン・メリック
(72)【発明者】
【氏名】ドミニクス・ヤン・ヴァン・ヴェイク
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特表昭59-501661(JP,A)
【文献】特開2017-132534(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0101680(US,A1)
【文献】特表2001-510127(JP,A)
【文献】特表2018-501162(JP,A)
【文献】米国特許第09809437(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/66
B65D 81/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体分注システムであって、
分注される液体を貯蔵するための少なくとも1つの容器であって、当該液体のための充填開口部を画定するネックを有する少なくとも1つの容器と、
少なくとも1つの前記容器に解放可能に接続可能な液体分注装置と、
貯蔵された前記液体と混合される添加剤のための交換可能なカートリッジであって、前記カートリッジは前記ネック内に収容され、前記添加剤と加圧ガスとで満たされているカートリッジと、
前記カートリッジを開くための開口手段であって、当該開口手段は、前記カートリッジの壁を貫通するように配置された少なくとも1つの貫通部材を備える開口手段とを備え、
前記カートリッジは、一体型の中空体を備え、
前記液体分注装置はトリガーで作動するポンプを含むことを特徴とする、液体分注システム。
【請求項2】
前記中空体が管状であり、密封された向かい合う端部を含むことを特徴とする、請求項1に記載の液体分注システム。
【請求項3】
前記カートリッジが、一方の端部から他方の端部まで延在し、前記添加剤を前記加圧ガスから分離する内部ダイヤフラムを有することを特徴とする、請求項2に記載の液体分注システム。
【請求項4】
前記中空体が弾性のある材料で形成されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の液体分注システム。
【請求項5】
前記中空体がプラスチック材料で形成されていることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の液体分注システム。
【請求項6】
前記容器が、前記ネック内に配置されるとともに前記カートリッジを保持するように構成された支持構造を含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の液体分注システム。
【請求項7】
少なくとも1つの前記貫通部材が前記容器の前記ネック内にまたは近くに配置されることを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の液体分注システム。
【請求項8】
少なくとも1つの前記貫通部材が前記支持構造に接続されていることを特徴とする、請求項6に従属する場合の請求項7に記載の液体分注システム。
【請求項9】
前記カートリッジが長手方向軸に沿って前記ネック内に挿入されるように配置され、少なくとも1つの前記貫通部材が長手方向軸に平行に配置されることを特徴とする、請求項7または8に記載の液体分注システム。
【請求項10】
少なくとも1つの前記貫通部材が長手方向軸に対してオフセットされていることを特徴とする、請求項9に記載の液体分注システム。
【請求項11】
少なくとも1つの前記貫通部材が中空であり、前記カートリッジに面する刃先と、前記容器の内部と流体連通する出口とを有することを特徴とする、請求項1~10のいずれかに記載の液体分注システム。
【請求項12】
液体を分注する方法であって、
少なくとも1つの容器に分注する液体を充填する工程と、
添加剤と加圧ガスで満たされた交換可能な少なくとも1つのカートリッジを提供する工程と、
前記カートリッジを前記容器のネック内に配置する工程と、
前記カートリッジを開いて、前記添加剤を前記容器内に流入させ前記液体と混合させる工程と、
前記添加剤と混合された貯蔵された前記液体を分注する工程と、を備え、
前記カートリッジは、一体型の中空体を備え、
前記カートリッジを開く工程は、貫通部材によって前記カートリッジの壁を貫通する工程を含み、
前記添加剤が前記容器に流入する工程は、前記加圧ガスによって前記添加剤を貫通した壁に通す工程を含み、
前記添加剤と混合された貯蔵された前記液体を分注する工程は、前記容器に接続された液体分注装置のトリガーで作動するポンプのトリガーを作動させる工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
前記カートリッジが前記容器の前記ネック内に配置されたときに前記中空体の前記壁が貫通されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記液体分注装置が前記容器の前記ネックに接続されたときに前記中空体の前記壁が貫通されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記カートリッジが長手方向軸に沿って前記ネックに挿入され、前記中空体が長手方向軸に平行な方向に貫通されることを特徴とする、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記中空体が、長手方向軸に対してオフセットされた位置で貫通されることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記添加剤を前記容器に流入させる工程は、前記添加剤を、前記カートリッジに面する刃先から、前記容器の内部へ流体連通している出口まで、少なくとも1つの前記貫通部材を通って流入させる工程を含むことを特徴とする、請求項12~16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記添加剤と混合され貯蔵された前記液体が前記容器から分注された後、前記カートリッジが前記容器の前記ネックから取り除かれ、添加剤と加圧ガスで満たされた新しいカートリッジが前記ネックに配置されることを特徴とする、請求項12~17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記新しいカートリッジが前記ネック内に配置される前に、前記容器が分注される液体で再充填されることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
請求項1~11のいずれかに記載の液体分注システムで、または請求項12~19のいずれかに記載の方法で使用するためのカートリッジであって、前記カートリッジは、分注される液体のための充填開口部を画定する容器のネック内に収容されるように配置され、前記カートリッジは、前記添加剤と加圧ガスとで満たされた一体型の中空体を備え、前記中空体は貫通部材によって貫通されるように配置された壁を有する、カートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交換可能なカートリッジと組み合わせて使用するための液体分注システムであって、当該カートリッジは分注される液体と混合される添加剤を含む液体分注システムに関する。特に、本発明は、詰め替え不可能なカートリッジを使用後に交換することができるようなシステムに関する。より具体的には、本発明は、分注される液体を貯蔵するための少なくとも1つの容器であって、当該液体のための充填開口部を画定するネックを有する少なくとも1つの容器と、少なくとも1つの前記容器に接続可能であって解放可能な液体分注装置と、貯蔵された前記液体と混合される添加剤のための交換可能なカートリッジであって、前記カートリッジは前記ネック内に収容されているカートリッジと、前記カートリッジを開くための手段とを備える液体分注システムに関する。このような液体分注システムは、出願人の以前の国際出願PCT/EP2017/078516に開示されている。
【背景技術】
【0002】
今日、消費財はますますインターネットで購入されている。これは、衣類、靴、電子機器だけでなく、日常の買い物にも当てはまる。この発達は、製品の設計に影響を及ぼし、少量で、または個別に、場合によっては他の種類の商品と組み合わせて出荷するのに適している必要がある。さらに、購入前の商品の物理的検査が不可能であり、消費者と関係する製造業者との間のリンクとしての小売業者が関与していないため、消費者が注文した正確な製品を入手できるように、製品が改ざんされないようにすることがますます重要になっている。
【0003】
今日の製品設計におけるもう1つの課題は、持続可能性である。
【0004】
上記で特定された出願PCT/EP2017/078516は、分注される液体を貯蔵するための容器と、容器に接続可能であって解放可能な液体分注装置とを含む液体分注システムを開示している。容器は、貯蔵された液体と混合される活性液体のためのカートリッジを収容することができるネックを有する。カートリッジは、活性液体を容器に流入させるための流出開口部とともに、空気を流入させるための通気開口部を有する。
【0005】
この以前の出願で提案されたように活性液体で満たされたカートリッジを提供することにより、エンドユーザーは、例えば洗剤である所望の液体を、容器に単に水を入れて例えば濃縮物である添加剤を混ぜるだけで得ることができる。このようにして、生産者からエンドユーザーに出荷される液体の量を劇的に減らすことができる。カートリッジはレターボックスに収まるほど小さく、通常の郵便で送ることができるため、配達が簡単になる。また、宅配業者サービスが利用されている場合でも、誰かが荷物を配達するのを待つ必要はなく、レターボックスに入れるだけで済む。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、その目的のために、電子商取引および持続可能性の両方の要求を満たす、さらに改善された液体分注システムを提供することを有する。本発明によれば、これは、カートリッジが添加剤および加圧ガスで満たされた一体型の中空体を含み、開口手段は、中空体の壁を貫通するように配置された少なくとも1つの貫通部材を含むという点で、上記で定義されたタイプの液体分注システムにおいて達成される。添加剤を加圧ガスと一緒に充填することにより、添加剤をカートリッジから容易かつ迅速に排出することができる。さらに、カートリッジを一体の中空体として具現化することにより、使用後にカートリッジを廃棄する際の廃棄物が比較的少なくなり、カートリッジのコストも比較的低くなる。
【0007】
「一体型」という用語は、別々に作られた部品を組み立てて固定する工程なしで、一体的に作られた本体を意味することを意図している。「貫通部材」は、スパイク、針、切断刃、鋭利なエッジなどを含むがこれらに限定されず、中空体の壁に開口部を形成するために適当な任意の鋭利な物体であり得る。
【0008】
液体分注システムの一実施形態では、中空体は実質的に管状であり、密封された向かい合う端部を含む。管状の本体は、取り扱い、保管、輸送が簡単で、1つの部品で簡単に製造できる。その形状により、内部ガス圧にさらに耐えることができる。
【0009】
カートリッジの内部ダイヤフラムが一端から他端まで伸びており、添加剤を加圧ガスから分離している場合、その特性に関係なく、カートリッジはガスと添加剤の任意の組み合わせに使用できる。
【0010】
液体分注システムの一実施形態では、中空体は、可撓性材料でできていてもよい。中空体は、使用後の廃棄物の量を制限するために、壁が薄く、加圧ガスが放出された後につぶされ得る。
【0011】
さらなる実施形態では、中空体はプラスチック材料でできていてもよい。プラスチックは製造時の取り扱いが簡単であり、気密にすることができ、低コストである。さらに、プラスチックは使用後にリサイクルすることができる。中空体は、プラスチック材料のいくつかの層でできていてもよく、バリア特性、強度、弾力性、透明性または色などのカートリッジに必要な特性に応じて、様々なタイプまたはグレードのプラスチック材料を含み得る。
【0012】
容器は、ネック内に配置され、カートリッジを保持するように構成された支持構造を含み得る。このような支持構造により、カートリッジを容器のネックに簡単に配置したり、容器のネックから取り外したりすることができる。
【0013】
カートリッジが容器内に配置されたときに貫通されることを可能にするために、少なくとも1つの貫通部材が、容器のネック内にまたは近くに配置され得る。
【0014】
これは、少なくとも1つの貫通部材が支持構造に接続されているということで達成され得る。
【0015】
カートリッジが長手方向軸に沿ってネックに挿入されるように配置され、少なくとも1つの貫通部材が長手方向軸に実質的に平行に配置される場合、カートリッジを貫通する力は、その挿入から得られ得る。
【0016】
液体分注システムのさらなる実施形態では、少なくとも1つの貫通部材は、長手方向軸に対してオフセットされている。このようにして、中空体の壁を貫通するときに、貫通部材がその接合部分に当たらないことが確保される。
【0017】
液体分注システムの一実施形態では、少なくとも1つの貫通部材は中空であり得、カートリッジに面する刃先と、容器の内部と流体連通する出口とを有し得る。このようにして、貫通部材は、添加剤をカートリッジから容器に導く導管を形成する。
【0018】
本発明はさらに、液体を分注する方法に関し、当該方法は、少なくとも1つの容器に分注する液体を充填する工程と、添加剤で満たされた交換可能な少なくとも1つカートリッジを提供する工程と、カートリッジを容器のネック内に配置する工程と、カートリッジを開いて、添加剤を容器内に流入させ液体と混合させる工程と、添加剤と混合された貯蔵された液体を分注する工程と、を備える。このような方法は、PCT/EP2017/078516にも開示されている。
【0019】
本発明は、その目的のために、このタイプの改良された方法を提供することを有する。そのために、本発明の方法は、カートリッジは、添加剤と加圧ガスで満たされた一体型の中空体を含み、カートリッジを開く工程は、貫通部材によって中空体の壁を貫通する工程をさらに含み、添加剤が容器に流入する工程は、加圧ガスによって添加剤を貫通した壁を通す工程を含むことを特徴とする。上記のように、加圧ガスを使用して添加剤をカートリッジから押し出すことにより、カートリッジの内容物を迅速かつ完全に容器へ移して空にすることができる。さらに、添加剤が液体に注入される力により、混合が容易になる。また、カートリッジとして一体型中空体を使用することで、材料の消費と無駄を削減する。
【0020】
請求項12~17のいずれか一項に記載の方法の実施形態において、添加剤と混合され貯蔵された液体が容器から分注された後、カートリッジが容器のネックから取り除かれ、添加剤とで加圧ガスで満たされた新しいカートリッジがネック内に配置されることを特徴とする。このようにして、新しい混合物が液体分注装置内で形成され得る。
【0021】
そのために、新しいカートリッジをネック内に配置する前に、容器が分注される液体で再充填され得る。
【0022】
この方法のさらなる実施形態は、従属請求項13~17によって定義される。
【0023】
そして最後に、本発明は、上記に開示された液体分注システムまたは上記に論じられた方法で使用するためのカートリッジに関する。
【0024】
ここで、本発明は、そのいくつかの例示的な実施形態によって説明され、ここで、添付の図面を参照し、対応する要素は、「100」だけ増分された参照番号を有する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明による液体分注システムで使用するためのカートリッジの第1の実施形態の正面図である。
図2図2は、図1の線II-IIに沿ったカートリッジの縦断面図である。
図3図3は、カートリッジの第2の実施形態の正面図である。
図4図4は、図3の線IV-IVに沿ったカートリッジの縦断面図である。
図5図5は、図3および図4のカートリッジの斜視図である。
図6図6は、図5の線VI-VIに沿ったカートリッジの断面図である。
図7図7は、容器、カートリッジ、および分注装置を含む、本発明による液体分注システムの実施形態の分解側面図であり、容器本体が縦断面で示されている。
図8図8は、図7に対応し、カートリッジが容器内に導入されている状態を示す図である。
図9図9は、図7および図8に対応する図であり、容器のネックに取り付けられた分注装置を示す。
図10図10は、図8に示す組立段階での液体分注システムの正面図である。
図11図11は、図10の線XI-XIに沿った容器およびカートリッジの縦断面図である。
図12図12は、図11の円XIIで囲まれた領域の拡大詳細図である。
図13図13Aおよび13Bは、それぞれ、カートリッジの第3の実施形態の正面図および側面図である。
図14図14Aおよび14Bは、それぞれ、カートリッジの第4の実施形態の正面図および側面図である。
図15図15は、本発明の方法の一実施形態のステップを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の一実施形態による液体分注システム1は、容器2、カートリッジ3、および分注装置4(図7)を備える。容器は、本出願人によって販売されているFlair(登録商標)タイプの容器のような、いわゆる「バッグインボトル(bag-in-bottle)」容器であり得る。
【0027】
この実施形態では、カートリッジ3は、添加剤6および加圧ガス7で充填された一体型の中空体5を備える(図1)。添加剤6は、液体または粒状材料、特に粉末であり得る。加圧ガスは、空気または別のガスであり得る。ガスは、単に推進剤として機能し、また、境界面12で直接接触している添加剤と反応しないか、または影響を及ぼさないように選択される。
【0028】
図示の実施形態では、中空体5は実質的に管状であり、シールされ向かい合う端8、9を有する。
【0029】
そのような管状中空体5は、プラスチック材料から作られた管10を提供し、管10を第1の端部8で密封し、管10に添加剤および加圧ガスを充填し、次に管10を第1の端部8とは反対側の第2の端部9で密封することによって、製造することができる。管10は、中空体5の単一の連続壁を形成し、任意の適当なプラスチック材料から作製され得、例えば、PE、PP、EVOH、(官能化)ポリオレフィン、または適当な特性を持つその他の材料などの、異なる材料から作製された複数の層を含み得る。管10は、押出成型、射出成形、またはシートを圧延して継ぎ目で接合することによって作製することができる。射出成形を使用する場合、試験管のように、管10は底が閉じた状態で形成することができる。その場合、それは直ちに満たされる可能性があり、一端だけを密封する必要がある。管10は、管10の外側に多少延びる単純な横方向接合11によって密封され得、カートリッジ3の幅が管10の直径よりやや大きくなる。
【0030】
管210の直径が接合によって超えられてはならない用途のために、例えば、管状壁が外部構造によって支持されることが重要であるため、特別なV字型接合211を形成することができる(図13)。これは、接合211の内側に向けられた形状のために、中空体205の有効体積のわずかな減少を引き起こすであろう。
【0031】
接合311が管310の外側に延びるのを防ぐ別の方法は、管310の直径を大きくすること、例えば、比較的高い圧力でガスを充填することによる(図14)。このようにして、カートリッジの最大寸法は、接合311の幅ではなく、加圧管310の直径によって画定される。
【0032】
ガスが添加剤と接触してはならない用途の場合、カートリッジ103のさらなる実施形態は、内側ダイヤフラム113を含む管状中空体105を含む。このダイヤフラム113は、一端部108から他部109まで延び、添加剤106を加圧ガス107から分離する。図示の実施形態では、ダイヤフラム113は、中空体105を形成する管110と共押出しまたは共成形することができる内管114の一部を形成する。あるいは、カートリッジのこの実施形態は、箔の3つの層を一緒に接合するか、縦方向の接合線によって管を分離することにより作製できる。
【0033】
ダイヤフラム113は、中空体105の内部を、添加剤106用の第1のチャンバ115と加圧ガス107用の第2のチャンバ116とに分離する。ダイヤフラム113は、カートリッジ103が開かれたときに、第2のチャンバ116が無傷のままであり、加圧ガス107が逃げることができないように配置されるべきである。そうでなければ、加圧ガス107は、添加剤106をカートリッジ103から押し出すための推進剤として機能することができない。
【0034】
容器2は、分注される液体、例えば水で満たされ得、当該液体には分注する前に添加剤を混合することができる。カートリッジ3は、容器2のネック17内に収容されるように構成されている。添加剤は、開口手段18を使用して中空体5の壁に開口部を形成することにより、カートリッジ3から放出され得る。本発明によれば、開口手段18は、中空体5の壁を貫通するように配置された貫通部材19を備える。この実施形態では、貫通部材19は中空であり、カートリッジ3に面する刃先20と、容器2の内部と流体連通する出口21とを有する(図12)。
【0035】
図12に示すように、容器2は、ネック17内に配置され、カートリッジ3を保持するように構成された支持構造22を含む。この実施形態では、支持構造22は環状であり、放射状フランジ25により外側リング24に接続された内側リング23を含む。外側リング24は、容器2のネック17に固定されている。内側リング23は、カートリッジ3をある程度のゆとりがある状態で収容するように寸法が決められており、カートリッジをネック17に挿入しやすくしている。内側リング23は、カートリッジ3の下端8の接合11が通過できるようにするために、2つの対向する溝(図12の側面図には示されていない)を含み得る。
【0036】
この実施形態では、貫通部材19は、同様に、容器2のネック17内にまたは近くに配置されている。実際、貫通部材19は、支持構造22に接続されている。容器2の内部に面する支持構造22の下部において、リング23は、リング23を別個のアーム27に分割するいくつかの凹所26を有する。アーム27は、アーム27の下端で放射状フランジ28によって接続されている。このフランジ28は、貫通部材19が突き出ている開口部29を有する。貫通部材19は、フランジ28に隣接するショルダー31によって固定されている。添加剤は、壁の開口部を通って中空体5から逃げ、貫通部材19の外側に流れる。凹所26は、当該添加剤が、容器2の内部に到達させることを可能にする。
【0037】
貫通部材19は、その刃先20と出口21との間に管状部分30を有する。この管状部分30は、液体のレベルLの下で、容器2の内部に限定された距離だけ延びる。このようにして、貫通部材19の管状部分30は、短い浸漬管(short dip tube)として機能する。この短い「浸漬管」は、ヘッドスペースHからの空気ではなく、液体が常に分注されることを確実にするように働く。
【0038】
管状部分30と刃先20との間で、貫通部材19はテーパリング部分32を有する。このテーパリング部分32は非対称であるため、刃先20は、ネック17の中心軸Cと一致する管状部分30の中心軸からオフセットされる。カートリッジ3はネック17内で対称的に配置されているので、このオフセットは、刃先20が接合11と係合しないことを確保する。接合11は通常、中空体の対称面内にある。代わりに、貫通部材19は、接合11と管状部品10との間のどこかで壁にぶつかり、中心軸Cに対してある角度で延びる。
【0039】
中空体5が、試験管の形状で作られている場合、それは射出成形で成形可能であるが、より低い接合を持たないであろう。その場合、刃先20を中央に配置することができ、テーパリング部分32の必要はないであろう。
【0040】
壁は中心軸Cに対してある角度で延びるので、カートリッジ3は、中心軸または長手方向軸に実質的に平行な容器のネック17に挿入されるが、刃先20は、ある角度で壁に当たる。刃先20が接合11に近いほど、角度が大きくなり、壁を比較的容易に貫通することができる。カートリッジ3が容器のネック17に挿入されるとすぐに壁に穴を開けることができるが(すなわち、図8および10~12に示される状況)、カートリッジが内側リング23の上部に緩く配置され、そして、液体分注装置4が容器に接続されている場合にのみ、図12に示される位置にカートリッジが押されること(図9を参照)も考えられ得る。
【0041】
中空体5の壁が貫通されると、添加剤に作用するガス圧のために、添加剤6は、中空体5から非常に迅速に流出する。添加剤が壁の開口部および貫通部材19の管状部分30を通って流出する間、容器2のヘッドスペースHからの空気は、すべての側面から内側リング23に入り、さらに空の中空体5を圧縮するように働く。中空体5は、塑性変形、すなわち壁を貫通することにより開くため、再充填することができない。したがって、カートリッジ3が空にされ、容器2からの液体がすべて使い果たされた後、空のカートリッジ3は、添加剤で満たされた新しいカートリッジと交換されなければならない。
【0042】
図示の実施形態では、液体分注装置4は噴霧器ヘッドであり、これは、ばね(図示せず)の付勢力に対するトリガー32によって作動されるポンプ(図示せず)を含む。噴霧器ヘッドは、ノズル33を含む。噴霧器ヘッドは、ポンプとノズルとの間に予圧弁を含む予圧縮噴霧器であり得るが、従来の噴霧器であってもよい。あるいは、分注装置4は、出願人によって販売されているFlairosol(登録商標)のような緩衝型分注装置でさえあり得る。分注装置4は、例えば、ねじ接続、バヨネット接続、または「スナップオン、ツイストオフ(snap-on,twist-off)」接続などの任意の従来の手段によって容器のネック17に接続することができる。必要なねじ山またはバヨネット要素は、支持構造22の外側リング24の外側に配置することができる。
【0043】
容器2が第1の液体で満たされると、カートリッジ3が容器2のネック17に配置され、スプレーヘッドまたは分注装置4が容器のネック17に接続され、液体分注システム1を使用するための準備が整う。カートリッジ3を容器のネック17内に配置し、および/または分注装置4をネック17に接続することにより、添加剤は、第1の液体と混合された容器内へ強制的に排出された。容器2に貯蔵された液体とカートリッジ3にガス圧下で貯蔵された添加剤とのこの混合物は、分注装置4のトリガー32を作動させることによって分注することができる。
【0044】
全ての液体が容器2から分注されたとき、分注装置4を容器2から切り離すことができる。続いて、空のカートリッジ3を容器2のネック17の支持構造22から取り出すことができる。当該カートリッジ3はもう使用できず、新しいカートリッジ3と交換する必要がある。
【0045】
この方法を図15のフローチャートに示す。
【0046】
ステップ400において容器2が提供され、容器2はステップ401において液体で満たされる。ステップ402において、添加剤6および加圧ガス7で満たされるカートリッジ3が提供される。ステップ403において、カートリッジ3は、容器2(のネック17)に配置される。ステップ404では、カートリッジ3が貫通部材19によって貫通され、その結果、添加剤6がガス圧によって押し出され、容器内の液体と混合される。ステップ405において、液体分注装置4は、容器2(のネック17)に取り付けられる。上記で説明したように、ステップ404および405は逆にすることができ、分注装置が容器に取り付けられるときにカートリッジに穴を開けることができる。ステップ406は、分注装置4を操作することによって液体混合物を分注するための液体分注システムの通常の使用である。ステップ407において、液体混合物が完全に分注された後、またはユーザが単に別の液体混合物を分注するシステムを必要とするとき、分注装置4が容器2から切り離される。分注装置4が切り離されると、空のカートリッジは、ステップ408において取り外され、廃棄され得る。カートリッジは、(通常)プラスチック材料で作られた一体型の中空体であるため、プラスチック廃棄物として簡単にリサイクルできる。ステップ408から、方法はステップ403に戻り、そこで新しいカートリッジ3が容器2に配置される。
【0047】
このようにして、本発明は、容器、特にシステムの最も高価な部品である液体分注装置を複数回使用することを可能にする液体分注システムおよび方法を提供する。容器および装置は、容器2に貯蔵された液体とカートリッジ3に貯蔵された添加剤との混合物である液体を分注するために使用され得る。添加剤は、容器中に存在する水によって単に希釈される濃縮物であり得、または、それは二成分液体システムの1つの成分であり得、他の成分は容器内の液体である。カートリッジは比較的小さいので、世界中に簡単に輸送して送ることができる。したがって、この液体分注システムはeコマースに非常に適している。さらに、カートリッジは比較的小さくリサイクルされる可能性があるのに対し、システムの主要部分が再利用されるという事実のために、システムの二酸化炭素排出量は小さい。
【0048】
本発明はいくつかの例示的な実施形態によって説明されてきたが、添付の特許請求の範囲において多くの変形が考えられることは明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図15