IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 本田技研工業株式会社の特許一覧

特許7595010雄型接続子、雌型接続子、接続子構造、雄型接続子の製造方法、雌型接続子の製造方法
<>
  • 特許-雄型接続子、雌型接続子、接続子構造、雄型接続子の製造方法、雌型接続子の製造方法 図1
  • 特許-雄型接続子、雌型接続子、接続子構造、雄型接続子の製造方法、雌型接続子の製造方法 図2
  • 特許-雄型接続子、雌型接続子、接続子構造、雄型接続子の製造方法、雌型接続子の製造方法 図3
  • 特許-雄型接続子、雌型接続子、接続子構造、雄型接続子の製造方法、雌型接続子の製造方法 図4
  • 特許-雄型接続子、雌型接続子、接続子構造、雄型接続子の製造方法、雌型接続子の製造方法 図5
  • 特許-雄型接続子、雌型接続子、接続子構造、雄型接続子の製造方法、雌型接続子の製造方法 図6
  • 特許-雄型接続子、雌型接続子、接続子構造、雄型接続子の製造方法、雌型接続子の製造方法 図7
  • 特許-雄型接続子、雌型接続子、接続子構造、雄型接続子の製造方法、雌型接続子の製造方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】雄型接続子、雌型接続子、接続子構造、雄型接続子の製造方法、雌型接続子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/41 20060101AFI20241128BHJP
   H01R 43/20 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
H01R13/41
H01R43/20 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021533095
(86)(22)【出願日】2020-07-16
(86)【国際出願番号】 JP2020027616
(87)【国際公開番号】W WO2021010433
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2023-07-11
(31)【優先権主張番号】P 2019131077
(32)【優先日】2019-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 慶一
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-288760(JP,A)
【文献】特開2015-069799(JP,A)
【文献】特開2010-114043(JP,A)
【文献】特開2001-024393(JP,A)
【文献】特開2012-146411(JP,A)
【文献】特開平11-162542(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/41
H01R 43/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
雌型端子(30)が設けられた雌型接続子(14)に接続される雄型接続子(10)であって、
前記雌型端子に挿入されて該雌型端子と接続される複数の雄型端子(32)と、
前記複数の雄型端子を支持する熱可塑性樹脂製の雄型端子支持台(34)と、
前記雄型端子支持台に固定された金属製のピン部材(36)と、
を備え、
前記ピン部材は、前記雌型接続子のガイド穴(64)に挿入可能に前記雄型端子支持台から突出するガイドピン部(46)と、前記ピン部材の延在方向の前記ガイドピン部と反対側に設けられた基端部(48)とを有し、
前記雄型端子支持台には、前記ピン部材の前記基端部が圧入された圧入穴(44)が形成され、
前記基端部の軸方向の長さは、前記軸方向における前記雄型端子支持台の厚みよりも短く、
前記基端部の外周には、凹凸部(52)が設けられ、
前記雄型端子支持台の一部が、前記凹凸部の溝部(54)に入り込んでおり
前記雄型端子支持台のうち前記溝部に入り込んだ前記一部は、前記雄型端子支持台の溶融した部分が前記溝部に進入した状態で固化したものである、雄型接続子。
【請求項2】
請求項1記載の雄型接続子において、
前記圧入穴は、有底穴である、雄型接続子。
【請求項3】
雄型端子(32)が設けられた雄型接続子(10)に接続される雌型接続子(14)であって、
前記雄型端子が挿入されて該雄型端子と接続される複数の雌型端子(30)と、
前記複数の雌型端子を支持する熱可塑性樹脂製の雌型端子支持台(62)と、
を備え、
前記雌型端子支持台には、前記雄型接続子のガイドピン部(46)が挿入されるガイド穴(64)が形成され、
前記ガイド穴は、前記ガイドピン部が挿入される入口側に、前記ガイドピン部が挿通される金属製の環状部材(66)が圧入され、
前記環状部材の軸方向の長さは、前記ガイド穴の軸方向の長さよりも短く、
前記環状部材の外周には、凹凸部(86)が設けられ、
前記雌型端子支持台の一部が、前記凹凸部の溝部(88)に入り込んでおり
前記雌型端子支持台のうち前記溝部に入り込んだ前記一部は、前記雌型端子支持台の溶融した部分が前記溝部に進入した状態で固化したものである、雌型接続子。
【請求項4】
請求項3記載の雌型接続子において、
前記ガイド穴は、有底穴である雌型接続子。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の雄型接続子及び請求項3又は4に記載の雌型接続子を備える接続子構造(20)。
【請求項6】
複数の雄型端子(32)を支持する樹脂製の雄型端子支持台(34)と、前記雄型端子支持台から突出するガイドピン部(46)が設けられた金属製のピン部材(36)とを備える雄型接続子(10)の製造方法であって、
前記雄型端子支持台には圧入穴(44)が形成され、前記ピン部材の延在方向の前記ガイドピン部と反対側には軸方向の長さが前記軸方向における前記雄型端子支持台の厚みよりも短い基端部(48)が設けられ、前記圧入穴に前記基端部を圧入する圧入工程を有し、
前記基端部の外周には、凹凸部(52)が設けられ、
前記圧入工程の前に、前記基端部を加熱する加熱工程を有し、
前記圧入工程では、前記加熱工程で加熱された前記基端部の熱で溶融した、熱可塑性樹脂製の前記雄型端子支持台が前記凹凸部の内部に進入した状態で固化して前記ピン部材と前記雄型端子支持台とが一体化される、雄型接続子の製造方法。
【請求項7】
雄型接続子(10)に設けられた雄型端子(32)が挿入される複数の雌型端子(30)を支持するとともに、前記雄型接続子のガイドピン部(46)が挿入されるガイド穴(64)が形成された樹脂製の雌型端子支持台(62)と、前記ガイド穴の前記ガイドピン部が挿入される入口側に設けられ且つ前記ガイドピン部が挿通される環状部材(66)と、を備える雌型接続子(14)の製造方法であって、
前記ガイド穴に、軸方向の長さが前記ガイド穴よりも短い前記環状部材を圧入する圧入工程と、
を有し、
前記環状部材の外周には、凹凸部(86)が設けられ、
前記圧入工程の前に、前記環状部材を加熱する加熱工程を有し、
前記圧入工程では、前記加熱工程で加熱された前記環状部材の熱で溶融した、熱可塑性樹脂製の前記雌型端子支持台が前記凹凸部の内部に進入した状態で固化して前記環状部材と前記雌型端子支持台とが一体化される、雌型接続子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雄型接続子、雌型接続子、接続子構造、雄型接続子の製造方法、雌型接続子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開2008-66148号公報に記載されるように、雄型端子支持台に支持された複数の雄型端子を有する雄型接続子や、雌型端子支持台に支持された複数の雌型端子を有する雌型接続子が知られている。複数の雄型端子のそれぞれが、複数の雌型端子のそれぞれに挿入されることで、雄型端子と雌型端子とが電気的に接続され、互いの間で電力又は信号が伝達される。
【0003】
この種の雄型接続子及び雌型接続子では、雄型端子を雌型端子に挿入する際の位置決めのため、雄型端子支持台にガイドピン部が突設され、且つ雌型端子支持台にガイドピン部が挿入されるガイド穴が設けられる。つまり、雄型接続子及び雌型接続子を接続する際には、ガイドピン部とガイド穴とが先ず当接することになる。このため、ガイド穴には補強部材が設けられ、且つガイドピン部を形成するピン部材の材料や補強部材の材料として、耐久性に優れた金属等が用いられる。一方、雄型端子支持台や雌型端子支持台の材料としては、軽量であり、成形が容易であること等から樹脂が用いられる。
【0004】
上記のピン部材と雄型端子支持台とが一体化されて構成される雄型接続子や、補強部材と雌型端子支持台とが一体化されて構成される雌型接続子は、一般的に射出成形によって製造される。すなわち、雄型接続子を得る場合、予めピン部材を配設した金型内に、加熱溶融させた雄型端子支持台の材料(溶融樹脂)を射出注入し、冷却、固化させる。雌型接続子を得る場合、予め補強部材を配設した金型内に、加熱溶融させた雌型端子支持台の材料(溶融樹脂)を射出注入し、冷却、固化させる。
【発明の概要】
【0005】
上記の射出成形を行う場合、溶融樹脂の圧力(射出圧力)による金型に対するピン部材の位置ずれ等を抑制して高精度に雄型接続子を得るためには、可動型及び固定型の間にピン部材を挟持し、金型に対してピン部材を強固に位置決め固定する必要がある。しかしながら、この場合、ピン部材がその延在方向に雄型端子支持台を貫通する分、ピン部材の延在方向における雄型接続子の厚さが増大したり、ピン部材用の金属材料の使用量が増大したりする。その結果、雄型接続子の小型化や軽量化が困難となること、及び雄型接続子の製造コストが嵩むこと等が懸念される。
【0006】
雌型接続子を得る場合も同様に、可動型及び固定型の間に補強部材を挟持する必要があり、補強部材がガイド穴の延在方向に雌型端子支持台を貫通する分、ガイド穴の延在方向における雌型接続子の厚さが増大したり、補強部材用の金属材料の使用量が増大したりする。その結果、雌型接続子の小型化や軽量化が困難となること、及び雌型接続子の製造コストが嵩むこと等が懸念される。
【0007】
そこで、本発明は、小型化、軽量化及び低コスト化を図ることが可能な雄型接続子、雌型接続子、接続子構造、雄型接続子の製造方法及び雌型接続子の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
本発明の一態様は、雌型端子が設けられた雌型接続子に接続される雄型接続子であって、前記雌型端子に挿入されて該雌型端子と接続される複数の雄型端子と、前記複数の雄型端子を支持する樹脂製の雄型端子支持台と、前記雄型端子支持台に固定された金属製のピン部材と、を備え、前記ピン部材は、前記雌型接続子のガイド穴に挿入可能に前記雄型端子支持台から突出するガイドピン部と、前記ピン部材の延在方向の前記ガイドピン部と反対側に設けられた基端部とを有し、前記雄型端子支持台には、前記ピン部材の前記基端部が圧入された圧入穴が形成され、前記基端部の軸方向の長さは、前記圧入穴の軸方向の長さよりも短い。
【0009】
本発明の別の一態様は、雄型端子が設けられた雄型接続子に接続される雌型接続子であって、前記雄型端子が挿入されて該雄型端子と接続される複数の雌型端子と、前記複数の雌型端子を支持する樹脂製の雌型端子支持台と、を備え、前記雌型端子支持台には、前記雄型接続子のガイドピン部が挿入されるガイド穴が形成され、前記ガイド穴は、前記ガイドピン部が挿入される入口側に、前記ガイドピン部が挿通される金属製の環状部材が圧入され、前記環状部材の軸方向の長さは、前記ガイド穴の軸方向の長さよりも短い。
【0010】
本発明の別の一態様は、上記の雄型接続子及び上記の雌型接続子を備える接続子構造である。
【0011】
本発明の別の一態様は、複数の雄型端子を支持する樹脂製の雄型端子支持台と、前記雄型端子支持台から突出するガイドピン部が設けられた金属製のピン部材とを備える雄型接続子の製造方法であって、前記雄型端子支持台には圧入穴が形成され、前記ピン部材の延在方向の前記ガイドピン部と反対側には軸方向の長さが前記圧入穴よりも短い基端部が設けられ、前記圧入穴に、前記基端部を圧入する圧入工程を有する。
【0012】
本発明の別の一態様は、雄型接続子に設けられた雄型端子が挿入される複数の雌型端子を支持するとともに、前記雄型接続子のガイドピン部が挿入されるガイド穴が形成された樹脂製の雌型端子支持台と、前記ガイド穴の前記ガイドピン部が挿入される入口側に設けられ且つ前記ガイドピン部が挿通される環状部材と、を備える雌型接続子の製造方法であって、前記ガイド穴に、軸方向の長さが前記ガイド穴よりも短い前記環状部材を圧入する圧入工程を有する。
【0013】
本発明の雄型接続子では、ピン部材の基端部の軸方向の長さが、雄型端子支持台の圧入穴の軸方向の長さより短く、圧入穴に対して、基端部が雄型端子支持台を貫通しないように圧入されている。このため、例えば、ピン部材が雄型端子支持台を貫通して設けられた雄型接続子に比べて、ピン部材の延在方向における雄型接続子の厚さが増大したり、ピン部材用の金属材料の使用量が増大したりすることを抑制できる。その結果、雄型接続子の小型化、軽量化及び低コスト化を図ることが可能となる。
【0014】
本発明の雌型接続子では、ガイド穴を補強する環状部材の軸方向の長さが、雌型端子支持台のガイド穴の軸方向の長さより短く、ガイド穴の入口側に対して、環状部材が雌型端子支持台を貫通しないように圧入されている。このため、例えば、ガイド穴を補強する補強部材が雌型端子支持台を貫通して設けられた雌型接続子に比べて、ガイド穴の延在方向における雌型接続子の厚さが増大したり、環状部材(補強部材)用の金属材料の使用量が増大したりすることを抑制できる。その結果、雌型接続子の小型化、軽量化及び低コスト化を図ることが可能となる。
【0015】
本発明の接続子構造では、上記の雄型接続子及び雌型接続子を備えることで、効果的に小型化、軽量化及び低コスト化を図ることができる。
【0016】
本発明の雄型接続子の製造方法では、雄型端子支持台に形成された圧入穴に、ピン部材の基端部を、雄型端子支持台を貫通させずに圧入する。この場合、簡素な加圧圧入設備により、ピン部材と雄型端子支持台とを高精度に一体化して雄型接続子を得ることができる。このため、例えば、射出成形によりピン部材と雄型端子支持台とを一体化する場合とは異なり、キャビティ内にピン部材を固定する構成を備えた金型等の複雑な設備を不要とすることができ、製造コストを低減することが可能になる。また、ピン部材が雄型端子支持台を貫通しない分、ピン部材の延在方向における雄型接続子の厚さが増大したり、ピン部材用の金属材料の使用量が増大したりすることを抑制できる。その結果、雄型接続子の小型化、軽量化及び低コスト化を図ることが可能となる。
【0017】
本発明の雌型接続子の製造方法では、雌型端子支持台に形成されたガイド穴に、環状部材を、雌型端子支持台を貫通させずに圧入する。この場合、簡素な加圧圧入設備により、環状部材と雌型端子支持台とを高精度に一体化して雌型接続子を得ることができる。このため、例えば、射出成形により環状部材と雌型端子支持台とを一体化する場合とは異なり、キャビティ内に環状部材を固定する構成を備えた金型等の複雑な設備を不要とすることができる。また、ガイド穴の延在方向における雄型接続子の厚さが増大したり、ピン部材用の金属材料の使用量が増大したりすることを抑制できる。その結果、雌型接続子の小型化、軽量化及び低コスト化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1Aは、本発明の実施形態に係る雌型接続子の概略断面図であり、図1Bは、本発明の実施形態に係る雄型接続子の概略断面図である。
図2図1Aの雌型接続子及び図1Bの雄型接続子を接合した接続子構造の概略断面図である。
図3図1Aの雌型接続子を備えるバッテリパックの外観斜視図である。
図4図1Bの雄型接続子を備える電動車両の概略側面図である。
図5図5Aは、図1Aの雌型接続子の環状部材の概略斜視図であり、図5Bは、図1Bの雄型接続子のピン部材の概略斜視図である。
図6図6Aは、本発明の実施形態に係る雄型接続子の製造方法の加熱工程を説明する説明図であり、図6B及び図6Cは、図6Aの製造方法の圧入工程を説明する説明図である。
図7図7Aは、本発明の実施形態に係る雌型接続子の製造方法の加熱工程を説明する説明図であり、図7B及び図7Cは、図7Aの製造方法の圧入工程を説明する説明図である。
図8】比較例に係る雌型接続子及び雄型接続子を接合した状態を説明する概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明に係る雄型接続子、雌型接続子、接続子構造、雄型接続子の製造方法及び雌型接続子の製造方法について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の図において、同一又は同様の機能及び効果を奏する構成要素に対しては同一の参照符号を付し、繰り返しの説明を省略する場合がある。
【0020】
以下では、図1B及び図2に示す本実施形態に係る雄型接続子10が、図4に示す電動車両12に備えられ、且つ図1A及び図2に示す本実施形態に係る雌型接続子14が、図3に示すバッテリパック16に備えられる例について説明する。つまり、本実施形態では、図4の電動車両12に設けられたバッテリパック収容部18に図1Bの雄型接続子10が備えられている。また、図4のバッテリパック収容部18に図3のバッテリパック16を収容することで、バッテリパック16の雌型接続子14が、図4のバッテリパック収容部18の雄型接続子10と接合可能となっている。このようにして、互いに接合可能な雄型接続子10及び雌型接続子14から接続子構造20(図2)が構成されている。
【0021】
なお、図1Bの雄型接続子10は、図4の電動車両12のバッテリパック収容部18に備えられることに限定されない。例えば、雄型接続子10は、電動車両12に代えて、不図示のバッテリパック充電装置に備えられたバッテリパック収容部に備えられてもよいし、バッテリパック収容部18以外のものに備えられてもよい。また、図1Bの雄型接続子10が図3のバッテリパック16に設けられ、図1Aの雌型接続子14が図4のバッテリパック収容部18に備えられてもよい。さらに、雌型接続子14は、バッテリパック16及びバッテリパック収容部18以外のものに備えられてもよい。
【0022】
先ず、図4を参照しつつ、バッテリパック収容部18が設けられた電動車両12について簡単に説明する。以下では、電動車両12が、鞍乗型の電動自動二輪車である例について説明するが、電動車両12は、例えば、電動アシスト自転車や電気自動車等(何れも不図示)であってもよい。
【0023】
電動車両12は、後輪22の近傍に配設された走行駆動力源として駆動用モータ24を備える。駆動用モータ24にバッテリパック16(図3)の電力が供給されることで、電動車両12の走行等が可能となっている。また、電動車両12では、ユーザが着席するシート26を保持するシート保持部28の内部に、上方が開口する筐体状のバッテリパック収容部18が備えられる。シート26は、進行方向前方側(図4の矢印Z1側)に設けられた図示しない回動軸によって回動可能となっている。シート26がシート保持部28に着座する方向に回動されることでバッテリパック収容部18の上方に設けられた開口18aが閉塞される。
【0024】
一方、シート26の進行方向後側(図4の矢印Z2側)端部がシート保持部28から離脱する方向に回動されることでバッテリパック収容部18の開口18aが開放状態となる。このように開放状態となった開口18aを介してバッテリパック収容部18にバッテリパック16(図3)を収容すること又はバッテリパック収容部18からバッテリパック16を取り出すことが可能になる。すなわち、バッテリパック16は、バッテリパック収容部18内に着脱可能に収容される。
【0025】
バッテリパック収容部18の底部に雄型接続子10が設けられ、バッテリパック16(図3)の底部に雌型接続子14が設けられている。このため、バッテリパック収容部18にバッテリパック16を収容することで、図2に示すように、雄型接続子10と雌型接続子14とを電気的に接続することができ、互いに接続された雄型接続子10及び雌型接続子14を介して図3のバッテリパック16の電力を図4の駆動用モータ24に供給することができる。
【0026】
次に、図1B及び図2を参照しつつ、本実施形態に係る雄型接続子10について、具体的に説明する。雄型接続子10は、雌型接続子14の後述する複数の雌型端子30に挿入されて、該雌型端子30と接続される複数の雄型端子32(本実施形態では8個)と、複数の雄型端子32を互いに間隔を置いて並ぶように支持する雄型端子支持台34と、ピン部材36とを備える。
【0027】
複数の雄型端子32は、例えば、金属等の導電体からなる略矩形板状であり、雄型端子支持台34は、例えば、絶縁性の熱可塑性樹脂からなる絶縁体であり、ピン部材36は、例えば、耐久性を有する金属等からなる。
【0028】
雄型端子支持台34は、例えば、複数の雄型端子32の並び方向(矢印X方向)を長手方向とする板状である。雄型端子支持台34の長手方向の両端部には、タブ部38が突設されている。雄型端子支持台34は、その厚さ方向が上下方向(矢印Y方向)に沿うように、バッテリパック収容部18(図4)の底部にタブ部38を介したねじ止め等によって固定される。
【0029】
また、雄型端子支持台34を上下方向に貫通するように複数の端子部材40が設けられている。複数の雄型端子32は、複数の端子部材40のうち雄型端子支持台34の上面34aから上方(矢印Y1側)に突出する部分である。複数の端子部材40は、雄型端子支持台34の下面34bから下方(矢印Y2側)に突出する下方突出部42を有する。複数の雄型端子32は、バッテリパック収容部18(図4)の内側の底部において上方に突出する。
【0030】
複数の下方突出部42は、バッテリパック収容部18(図4)の外部の下方に向かって突出し、不図示の電力線等を介して駆動用モータ24(図4)に電気的に接続されたり、不図示の信号伝達線を介して電動車両12(図4)の不図示の制御部に電気的に接続されたりする。
【0031】
雄型端子支持台34には、複数の雄型端子32の並び方向の両側に1個ずつ圧入穴44が形成されている。本実施形態では、圧入穴44は、上端側が開口し、下端側が閉塞する有底穴である。
【0032】
ピン部材36は、上下方向を延在方向とし、雄型端子支持台34の上面34aから上方に突出するガイドピン部46と、該ピン部材36の延在方向のガイドピン部46と反対側(下端側)に設けられた基端部48とを有する。ピン部材36の基端部48の軸方向(矢印Y方向)の長さは、圧入穴44の軸方向(矢印Y方向)の長さよりも短い。ピン部材36の基端部48が、雄型端子支持台34の圧入穴44に圧入されることで、ピン部材36は、雄型端子支持台34を貫通することなく、該雄型端子支持台34と一体化されている。本実施形態では、基端部48の上端にはフランジ50が設けられ、フランジ50の上面50aと、雄型端子支持台34の上面34aとが面一に配置されている。
【0033】
図5Bに示すように、ピン部材36の基端部48の外周には、雄型端子支持台34(図1B)との間にアンカー効果を生じる凹凸部52が設けられている。本実施形態では、凹凸部52は、基端部48の軸心側に向かって陥没するとともに基端部48を周回する溝部54と、基端部48の溝部54より上方及び下方に設けられたローレット加工部56とを有する。しかしながら、凹凸部52は、雄型端子支持台34との間にアンカー効果が生じる種々の形状とすることができ、例えば、基端部48の外周には、公知の粗面化処理等により凹凸部52が形成されていてもよい。
【0034】
次に、図3を参照しつつ、バッテリパック16について簡単に説明する。バッテリパック16は、外装を構成する略直方体状のケース58の内部に、何れも不図示の複数の電池セルやバッテリ管理装置等が収容されて構成される。電池セルは、例えば、リチウム二次電池からなり、駆動用モータ24(図4)に対して電力を供給すること等により容量(蓄電量)が低減した場合には、バッテリパック充電装置から電力の供給を受けることで容量を回復させることが可能である。換言すれば、電池セルは、充電及び放電を繰り返すことが可能である。バッテリ管理装置は、例えば、バッテリコアパックの充放電の制御や、電動車両12(図4)等との通信を行う。
【0035】
ケース58は、例えば、アルミニウム等の金属や、樹脂(繊維強化樹脂を含む)等から形成することができる。ケース58の上面側には、バッテリパック16を持ち運ぶ際に把持することが可能なハンドル60が設けられている。また、ケース58内の底部に雌型接続子14が設けられる。不図示ではあるが、ケース58の底壁には、雌型接続子14をケース58の外部に露出させる切り欠きが設けられている。
【0036】
次に、図1A及び図2を参照しつつ、本実施形態に係る雌型接続子14について、具体的に説明する。雌型接続子14は、雌型端子支持台62と、該雌型端子支持台62に支持されることで互いに間隔を置いて並ぶ複数の雌型端子30と、後述するように、雌型端子支持台62に設けられたガイド穴64の入口側を補強する金属製の環状部材66とを有する。
【0037】
雌型端子支持台62は、例えば、絶縁性の熱可塑性樹脂からなる絶縁体である。また、雌型端子支持台62の側面には、タブ部68が突設されている。雌型端子支持台62の下端面には、複数の端子挿入穴70及び例えば2個のガイド穴64が設けられている。雌型端子支持台62は、ケース58の底壁にタブ部68を介したねじ止め等によって固定される。複数の端子挿入穴70のそれぞれには、雄型接続子10の複数の雄型端子32が個別に挿入可能となっている。
【0038】
雌型端子30は、略矩形板状の2枚の板型端子72を当接させた当接部74と、該当接部74の下端を分岐点76として二叉に分岐する分岐部78とを有する。分岐部78では、2枚の板型端子72は、分岐点76から下方に向かって互いに離間した状態で所定の距離延在した後、一旦接近することで最近接部位80を形成し、さらに互いに離間することで最下端に開口端部82を形成する。
【0039】
各雌型端子30は、分岐部78の下端側の大部分が端子挿入穴70の内部に配設される。このため、端子挿入穴70に雄型端子32が挿入されると、該端子挿入穴70内で、図2に示すように、雌型端子30の開口端部82を介して板型端子72同士の間に雄型端子32の先端側が挿入される。これによって、板型端子72がその弾発力により雄型端子32に当接した状態で維持されることで、最近接部位80が雌型端子30と雄型端子32との電気的接続点となる。
【0040】
また、当接部74の上部は、雌型端子支持台62から上方に突出し、何れも不図示ではあるが、電力線を介してバッテリ管理装置を経由しつつ複数の電池セルの入出力端子に電気的に接続されたり、信号伝達線を介してバッテリ管理装置に電気的に接続されたりする。
【0041】
雌型端子支持台62には、複数の端子挿入穴70の並び方向(矢印X方向)の両側に1個ずつガイド穴64が形成され、各ガイド穴64に、雄型接続子10のガイドピン部46を挿入することが可能となっている。ガイド穴64は、上端側が閉塞し、下端側が開口する有底穴であり、ガイド穴64の下端側(開口側、矢印Y2側)が、ガイドピン部46が挿入される入口側となる。
【0042】
ガイド穴64及び環状部材66の軸方向(矢印Y方向)が沿うように、ガイド穴64の入口側に環状部材66が圧入されることで、雌型端子支持台62と環状部材66とが一体化され、ガイド穴64の入口側が環状部材66により補強されている。このため、ガイドピン部46の軸方向とガイド穴64の軸方向とが僅かにずれた状態で、ガイド穴64にガイドピン部46を接近させた場合であっても、ガイドピン部46が金属製の環状部材66に当接することで、ガイド穴64の損傷等を抑制することができる。つまり、ガイド穴64の下端側(入口側)には、環状部材66が圧入される圧入部84が設けられ、ガイド穴64の圧入部84よりも上方には、ガイドピン部46が挿入される挿入部85が設けられる。
【0043】
環状部材66の内径は、該環状部材66にガイドピン部46を挿通することが可能となるように、ガイドピン部46の外径より僅かに大きく設定されている。なお、環状部材66には、下端側から上端側に向かって内径がテーパ状に拡径するテーパ状部66aが設けられていてもよい。環状部材66の軸方向(矢印Y方向)の長さは、環状部材66が雌型端子支持台62を貫通しないように、雌型端子支持台62の軸方向(上下方向、矢印Y方向)の長さよりも短く設定されている。
【0044】
図5Aに示すように、環状部材66の外周側には、雌型端子支持台62(図1A)との間にアンカー効果を生じる凹凸部86が設けられている。本実施形態では、凹凸部86は、環状部材66の軸心側に向かって陥没するとともに環状部材66を周回する溝部88と、環状部材66の溝部88より上方及び下方に設けられたローレット加工部90とを有する。しかしながら、凹凸部86は、雌型端子支持台62との間にアンカー効果が生じる種々の形状とすることができ、例えば、環状部材66の外周には、公知の粗面化処理等により凹凸部86が形成されていてもよい。
【0045】
図6A図6Cを参照しつつ、上記のように構成される雄型接続子10(図1B)を得る場合を例に挙げて、本実施形態に係る雄型接続子10の製造方法を説明する。この製造方法では、雄型端子支持台34とピン部材36とを一体化するべく、先ず、図6Aに示すように、ピン部材36の基端部48を加熱する加熱工程を行う。この加熱工程では、例えば、圧入治具92によりピン部材36のガイドピン部46を保持し、加熱手段94により基端部48を加熱する。なお、加熱手段94としては、金属製の基端部48を加熱することが可能な種々の手段を用いることができ、例えば、ヒータや、高周波誘導加熱装置等が挙げられる。加熱工程では、雄型端子支持台34の材料となる熱可塑性樹脂が軟化する温度以上となるようにピン部材36の基端部48を加熱することが好ましい。
【0046】
次に、図6Bに示すように、例えば、ピン部材36を保持する圧入治具92を、雄型端子支持台34の圧入穴44に接近させる。これにより、圧入穴44に、加熱した基端部48を、雄型端子支持台34を貫通させずに圧入する圧入工程を行う。本実施形態では、ピン部材36に設けられたフランジ50の上面50aに圧入治具92を当接させることで、容易且つ良好に圧入を行うことが可能になる。
【0047】
この圧入工程では、加熱工程で加熱された基端部48の熱で溶融した雄型端子支持台34が、該基端部48に設けられた凹凸部52の内部に進入した状態で固化する。その結果、雄型端子支持台34とピン部材36とがアンカー効果により強固に一体化された、雄型接続子10を得ることができる。
【0048】
なお、加熱工程及び圧入工程は、雄型端子支持台34に雄型端子32等を接合した後に行ってもよいし、接合する前に行ってもよい。
【0049】
図7A図7Cを参照しつつ、上記のように構成される雌型接続子14(図1A)を得る場合を例に挙げて、本実施形態に係る雌型接続子14の製造方法を説明する。この製造方法では、雌型端子支持台62と環状部材66とを一体化するべく、先ず、図7Aに示すように、環状部材66を加熱する加熱工程を行う。この加熱工程では、例えば、圧入治具96により保持した環状部材66を加熱手段98により加熱する。なお、加熱手段98としては、金属製の環状部材66を加熱することが可能な種々の手段を用いることができ、例えば、ヒータや、高周波誘導加熱装置等が挙げられる。加熱工程では、雌型端子支持台62の材料となる熱可塑性樹脂が軟化する温度以上となるように環状部材66を加熱することが好ましい。
【0050】
次に、図7Bに示すように、例えば、環状部材66を保持する圧入治具96を、雌型端子支持台62のガイド穴64の入口側に接近させる。これにより、ガイド穴64に、加熱した環状部材66を、雌型端子支持台62を貫通させずに圧入する圧入工程を行う。この圧入工程では、加熱工程で加熱された環状部材66の熱で溶融した雌型端子支持台62が、該環状部材66の外周に設けられた凹凸部86の内部に進入した状態で固化する。その結果、雌型端子支持台62と環状部材66とがアンカー効果により強固に一体化された、雌型接続子14を得ることができる。
【0051】
なお、加熱工程及び圧入工程は、雌型端子支持台62に雌型端子30等を接合した後に行ってもよいし、接合する前に行ってもよい。
【0052】
ここで、図8に示すように、比較例の雄型接続子100について説明する。雄型接続子100は、図2等に示すピン部材36及び雄型端子支持台34のそれぞれに代えて、ピン部材102及び雄型端子支持台104を備えている。雄型接続子100では、射出成形によりピン部材102及び雄型端子支持台104が一体化されるため、雄型端子支持台104を貫通してピン部材102が設けられている。また、雄型接続子100では、射出成形用の金型(不図示)に対するピン部材102の位置ずれ等を抑制するべく、雄型端子支持台104から露出するピン部材102の下端側(基端側)に、金型と係合する係合部106を設ける必要がある。
【0053】
一方、本実施形態に係る雄型接続子10では、雄型端子支持台34の圧入穴44に対して、ピン部材36の基端部48が雄型端子支持台34を貫通しないように圧入されて、ピン部材36と雄型端子支持台34とが一体化されている。このため、比較例の雄型接続子100とは異なり、ピン部材36に係合部106等を設ける必要がない分、図2等に示すように、ピン部材36の延在方向における雄型接続子10の厚さが増大したり、ピン部材36用の金属材料の使用量が増大したりすることを抑制できる。その結果、雄型接続子10の小型化、軽量化及び低コスト化を図ることが可能となる。
【0054】
また、図8に示すように、比較例の雌型接続子110は、図2等に示す環状部材66及び雌型端子支持台62のそれぞれに代えて、補強部材112及び雌型端子支持台114を備えている。雌型接続子110では、射出成形により補強部材112及び雌型端子支持台114が一体化されるため、雌型端子支持台114を貫通して補強部材112が設けられている。また、雌型接続子110では、射出成形用の金型(不図示)に対する補強部材112の位置ずれ等を抑制するべく、雌型端子支持台114から露出する補強部材112の上端側に、金型と係合する係合部116を設ける必要がある。
【0055】
一方、本実施形態に係る雌型接続子14では、雌型端子支持台62のガイド穴64の入口側のみに対して、ガイド穴64を補強する環状部材66が雌型端子支持台62を貫通しないように圧入されている。このため、例えば、比較例の雌型接続子110とは異なり、係合部116等を設ける必要がない分、図2等に示すように、ガイド穴64の延在方向における雌型接続子14の厚さが増大したり、環状部材66用の金属材料の使用量が増大したりすることを抑制できる。その結果、雌型接続子14の小型化、軽量化及び低コスト化を図ることが可能となる。
【0056】
上記のようにそれぞれ小型化、軽量化、低コスト化を図ることが可能な雄型接続子10及び雌型接続子14を備える本実施形態に係る接続子構造20についても、該接続子構造20の全体を効果的に小型化、軽量化及び低コスト化することができる。
【0057】
本実施形態に係る雄型接続子10の製造方法では、雄型端子支持台34に形成された圧入穴44に、加熱した基端部48を、雄型端子支持台34を貫通させずに圧入する。この場合、簡素な加圧圧入設備により、ピン部材36と雄型端子支持台34とを高精度に一体化して雄型接続子10を得ることができる。このため、例えば、射出成形によりピン部材36と雄型端子支持台34とを一体化する場合とは異なり、キャビティ内にピン部材102の係合部106(図8)と係合する構成等を備えた金型等の複雑な製造設備(不図示)を不要とすることができる。これによって、雄型接続子10の製造コストを低減することが可能になる。また、ピン部材36が雄型端子支持台34を貫通せず、ピン部材36に係合部(図8)を設ける必要もない分、ピン部材36の延在方向における雄型接続子10の厚さが増大したり、ピン部材36用の金属材料の使用量が増大したりすることを抑制できる。その結果、雄型接続子10の小型化、軽量化及び低コスト化を図ることが可能となる。
【0058】
本実施形態に係る雌型接続子14の製造方法では、雌型端子支持台62に形成されたガイド穴64に、加熱した環状部材66を、雌型端子支持台62を貫通させずに圧入する。この場合、簡素な加圧圧入設備により、環状部材66と雌型端子支持台62とを高精度に一体化して雌型接続子14を得ることができる。このため、例えば、射出成形により環状部材66と雌型端子支持台62とを一体化する場合とは異なり、キャビティ内に補強部材112の係合部116(図8)と係合する構成等を備えた金型等の複雑な設備(不図示)を不要とすることができる。また、環状部材66が雌型端子支持台62を貫通せず、環状部材66に係合部(図8)を設ける必要もない分、ガイド穴64の延在方向における雌型接続子14の厚さが増大したり、補強部材112用の金属材料の使用量が増大したりすることを抑制できる。その結果、雌型接続子14の小型化、軽量化及び低コスト化を図ることが可能となる。
【0059】
上記の実施形態に係る雄型接続子10では、基端部48の外周には、凹凸部52が設けられていることとした。
【0060】
また、上記の実施形態に係る雄型接続子10の製造方法では、基端部48の外周には、凹凸部52が設けられ、圧入工程の前に、基端部48を加熱する加熱工程を有し、圧入工程では、加熱工程で加熱された基端部48の熱で溶融した熱可塑性樹脂製の雄型端子支持台34が凹凸部52の内部に進入した状態で固化してピン部材36と雄型端子支持台34とが一体化されることとした。
【0061】
これらの場合、ピン部材36の基端部48と雄型端子支持台34の圧入穴44との接合強度を高めて、雄型接続子10の耐久性を向上させることができる。
【0062】
上記の実施形態に係る雌型接続子14では、環状部材66の外周には、凹凸部86が設けられていることとした。
【0063】
また、上記の実施形態に係る雌型接続子14の製造方法では、環状部材66の外周には、凹凸部86が設けられ、圧入工程の前に、環状部材66を加熱する加熱工程を有し、圧入工程では、加熱工程で加熱された環状部材66の熱で溶融した熱可塑性樹脂製の雌型端子支持台62が凹凸部86の内部に進入した状態で固化して環状部材66と雌型端子支持台62とが一体化されることとした。
【0064】
これらの場合、環状部材66と雌型端子支持台62のガイド穴64との接合強度を高めて、雌型接続子14の耐久性を向上させることができる。
【0065】
上記の実施形態に係る雄型接続子10では、圧入穴44が有底であることとした。この場合、図1Bに示すように、圧入穴44の上端側(矢印Y1側)の開口はピン部材36の基端部48で閉塞され、圧入穴44の下端側(矢印Y2側)は、該圧入穴44の底部によって閉塞される。このため、圧入穴44の内部に水や塵埃等の異物が侵入することを抑制できる。しかしながら、圧入穴44は、底部を有さない貫通孔であってもよい。
【0066】
上記の実施形態に係る雌型接続子14では、ガイド穴64は、有底穴であることとした。この場合、図1Aに示すように、ガイド穴64の上端側(矢印Y1側)が、該ガイド穴64の底部によって閉塞されるため、ガイド穴64の内部に水や塵埃等の異物が侵入することを抑制できる。しかしながら、ガイド穴64は、底部を有さない貫通孔であってもよい。
【0067】
本発明は、上記した実施形態に特に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0068】
例えば、上記の実施形態に係る雄型接続子10の製造方法では、圧入工程の前に加熱工程を行うこととしたが、加熱工程を行うことなく圧入工程を行ってもよい。この場合、一層簡素な加圧圧入設備により、ピン部材36と雄型端子支持台34とを高精度に一体化して雄型接続子10を得ることができる。なお、例えば、加熱工程を行わない場合等には、基端部48の外周に凹凸部52が設けられていなくてもよい。また、加熱工程を行わない場合には、雄型端子支持台34の材料は熱可塑性樹脂に限定されず、熱硬化性樹脂等の種々の樹脂を用いることができる。
【0069】
本発明の他の実施形態に係る雄型接続子10の製造方法における圧入工程では、熱可塑性樹脂製の雄型端子支持台34と、ピン部材36との少なくとも一方が振動した状態で、圧入穴44に基端部48を圧入することで、ピン部材36と雄型端子支持台34とが一体化されることとしてもよい。つまり、例えば、不図示の超音波圧入装置等を用いて、雄型端子支持台34及びピン部材36の少なくとも一方を超音波振動させた状態で、基端部48を、雄型端子支持台34を貫通させずに圧入穴44に圧入することとしてもよい。
【0070】
この場合であっても、簡素な設備により、ピン部材36と雄型端子支持台34とを高精度に一体化して雄型接続子10を得ることができる。このため、上記の実施形態と同様に、雄型接続子10の小型化、軽量化及び低コスト化を図ることが可能となる。
【0071】
なお、上記のように、雄型端子支持台34及びピン部材36の少なくとも一方を振動させて圧入工程を行う場合、基端部48の外周には凹凸部52が設けられていてもよく、設けられていなくてもよい。凹凸部52が設けられている場合、振動による摩擦熱等によって溶融した雄型端子支持台34が基端部48の凹凸部52の内部に進入した状態で固化するため、雄型端子支持台34とピン部材36とを一層強固に一体化することが可能になる。また、雄型端子支持台34及びピン部材36の少なくとも一方を振動させて圧入工程を行う場合、該圧入工程の前に加熱工程を行う必要はないが、加熱工程を行うこととしてもよい。
【0072】
上記の実施形態に係る雌型接続子14の製造方法では、圧入工程の前に加熱工程を行うこととしたが、加熱工程を行うことなく圧入工程を行ってもよい。この場合、一層簡素な加圧圧入設備により、環状部材66と雌型端子支持台62とを高精度に一体化して雌型接続子14を得ることができる。なお、例えば、加熱工程を行わない場合等には、環状部材66の外周に凹凸部86が設けられていなくてもよい。また、加熱工程を行わない場合には、雌型端子支持台62の材料は熱可塑性樹脂に限定されず、熱硬化性樹脂等の種々の樹脂を用いることができる。
【0073】
本発明の他の実施形態に係る雌型接続子14の製造方法における圧入工程では、熱可塑性樹脂製の雌型端子支持台62と、環状部材66との少なくとも一方が振動した状態で、ガイド穴64に環状部材66を圧入することで、環状部材66と雌型端子支持台62とが一体化されることとしてもよい。つまり、例えば、不図示の超音波圧入装置等を用いて、雌型端子支持台62及び環状部材66の少なくとも一方を超音波振動させた状態で、環状部材66を、雌型端子支持台62を貫通させずにガイド穴64に圧入することとしてもよい。
【0074】
この場合であっても、簡素な設備により、環状部材66と雌型端子支持台62とを高精度に一体化して雌型接続子14を得ることができる。このため、上記の実施形態と同様に、雌型接続子14の小型化、軽量化及び低コスト化を図ることが可能となる。
【0075】
なお、上記のように雌型端子支持台62及び環状部材66の少なくとも一方を振動させて圧入工程を行う場合、環状部材66の外周には、凹凸部86が設けられていてもよく、設けられていなくてもよい。凹凸部86が設けられている場合、振動による摩擦熱等によって溶融した雌型端子支持台62が環状部材66の凹凸部86の内部に進入した状態で固化するため、環状部材66と雌型端子支持台62とを一層強固に一体化することが可能になる。また、雌型端子支持台62及び環状部材66の少なくとも一方を振動させて圧入工程を行う場合、該圧入工程の前に、上記の加熱工程を行う必要はないが、加熱工程を行うこととしてもよい。
【符号の説明】
【0076】
10…雄型接続子 14…雌型接続子
20…接続子構造 30…雌型端子
32…雄型端子 34…雄型端子支持台
36…ピン部材 44…圧入穴
46…ガイドピン部 48…基端部
52、86…凹凸部 62…雌型端子支持台
64…ガイド穴 66…環状部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8