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特許7595029ガス供給システム、機械発泡システム及びガスを供給する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】ガス供給システム、機械発泡システム及びガスを供給する方法
(51)【国際特許分類】
   B01F 35/71 20220101AFI20241128BHJP
   B01F 23/30 20220101ALI20241128BHJP
   B01F 35/21 20220101ALI20241128BHJP
   B01F 35/221 20220101ALI20241128BHJP
   B01J 4/02 20060101ALI20241128BHJP
   B05B 7/26 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
B01F35/71
B01F23/30
B01F35/21
B01F35/221
B01J4/02 A
B05B7/26
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2021566753
(86)(22)【出願日】2019-12-27
(86)【国際出願番号】 JP2019051552
(87)【国際公開番号】W WO2021131054
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-06-30
【審判番号】
【審判請求日】2023-10-10
(73)【特許権者】
【識別番号】305032254
【氏名又は名称】サンスター技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(72)【発明者】
【氏名】高田 正春
(72)【発明者】
【氏名】山下 喜市
【合議体】
【審判長】原 賢一
【審判官】増山 淳子
【審判官】後藤 政博
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2004/060628号(WO,A1)
【文献】特開2017-75656(JP,A)
【文献】特開2009-66588(JP,A)
【文献】特開2009-160488(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 23/30
B01F 35/00 - 35/95
B01J 4/00 - 4/02
B01J 3/02
B29C 39/00 - 39/24
B29C 39/38 - 39/44
F04B 41/02
B29C 44/00 - 44/60
B29B 27/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスとペースト材料とを混合するため所定容積のピストンポンプを有する混合吐出装置のためのガス供給システムであって、
ガス供給源から供給されたガスの圧力を制御するレギュレータと、
前記ガスの流量を計測する流量計と、
前記ガスを貯蔵するガス貯蔵部と、
前記混合吐出装置へのガス導入路を開閉するバルブと、
を備え、
前記流量計は、前記ガスの流れに対して、前記ガス貯蔵部の上流に、かつ、前記レギュレータの下流に配置され、
前記バルブが開放されて前記混合吐出装置のピストンポンプにガスが供給されるとき、前記流量計が配置されている流路における該流量計のサンプリング時間内の流量変動がサンプリング歪の生じない所定範囲に収まるようにするため
(a) 前記ガス供給源は、1MPa以下の圧力のガスを前記レギュレータに供給し、
(b) 前記レギュレータは、供給された前記ガスを一定圧力となるように調圧し、
(c) 前記ガス貯蔵部は、前記バルブが閉じている間に前記一定圧力で前記ガスを蓄えると共に、前記ピストンポンプの所定容積に対する前記ガス貯蔵部の容積比が4から100の間となるように構成されている、ガス供給システム。
【請求項2】
前記ピストンポンプの所定容積に対する前記ガス貯蔵部の容積比は、8から50の間、又は、12から20の間にある、請求項1に記載のガス供給システム。
【請求項3】
前記ガス貯蔵部の容積は、20cc~2000ccである、請求項2に記載のガス供給システム。
【請求項4】
前記ガス貯蔵部の材質はSUSである、請求項3に記載のガス供給システム。
【請求項5】
前記レギュレータは、精密レギュレータである、請求項1から4のいずれか1項に記載のガス供給システム。
【請求項6】
前記精密レギュレータは、コンスタントブリード式レギュレータ又はノズル・フラッパ方式レギュレータである、請求項5に記載のガス供給システム。
【請求項7】
前記ガス貯蔵部と前記バルブとの間のガス流路に設けられたチェックバルブをさらに備える、請求項1から6のいずれか1項に記載のガス供給システム。
【請求項8】
前記チェックバルブは、該チェックバルブの前後のガス静止時の圧力差を0.01MPa以下とする、請求項7に記載のガス供給システム。
【請求項9】
前記ガス供給システムを制御するコントローラをさらに備え、
前記コントローラは、
前記ガス供給源から供給されたガスが前記レギュレータにより調圧され、前記ガスが前記ガス貯蔵部に蓄えられた状態から、前記バルブを開放し、これにより前記ピストンポンプの所定容積の空間にガスが送り蓄えられ、
前記流量計によりガスの流量を計測し、
前記流量計により計測されたガスの流量から前記ピストンポンプに蓄えられるガスの量を計算し、
所定の閉条件が成立したとき、前記バルブを閉じる、各工程を実行する、請求項1からのいずれか1項に記載のガス供給システム。
【請求項10】
前記コントローラは、前記ピストンポンプに蓄えられたものとして計算された前記ガスの量が予め設定された上下限の範囲に収まっているか否かを判断し、前記ガスの量が前記上下限の範囲外の場合、システム停止命令を発する、請求項に記載のガス供給システム。
【請求項11】
前記ピストンポンプに蓄えられたものとして計算された前記ガスの量と、該ガスの量の適正範囲を示す上下限の範囲と、を表示する表示部をさらに備える、請求項又は10に記載のガス供給システム。
【請求項12】
前記表示部は、前記流量計により計測された流量の時間的変化をさらに表示する、請求項11に記載のガス供給システム。
【請求項13】
前記ガス貯蔵部と前記バルブとの間のガス流路にガスの圧力を検出する圧力計をさらに備える、請求項から12のいずれか1項に記載のガス供給システム。
【請求項14】
前記バルブを閉じるための前記所定の閉条件は、次のいずれかの条件:
(1)前記流量計により計測されるガス流量が0、又は、該ガス流量が閾値以下となったとき
(2)前記圧力計により検出されたガスの圧力の変動がなくなったとき、又は、前記ガスの圧力変動幅が閾値以下となったとき
(3)前記バルブを開としたときから所定時間が経過したとき
である、請求項13に記載のガス供給システム。
【請求項15】
前記ガス貯蔵部は、ガスタンクである、請求項1から14のいずれか1項に記載のガス供給システム。
【請求項16】
前記ガス貯蔵部は、前記ピストンポンプの所定容積に対する所定容積比を達成する長さ及び断面積を有する配管から構成される、請求項1から14のいずれか1項に記載のガス供給システム。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか1項に記載のガス供給システムと、
前記ガス供給システムからガスが供給されるピストンポンプを備える混合吐出装置と、
を備える、機械発泡システム。
【請求項18】
前記機械発泡システムは、
前記ガス供給システム及び前記混合吐出装置を制御するコントローラを備え、
前記混合吐出装置の前記ピストンポンプは、
前記ガス供給システムに接続されたシリンダと、
前記シリンダ内で昇降駆動されるピストンと、を備え、
前記混合吐出装置は、さらに、
ペースト材料を供給する材料供給装置と、
前記材料供給装置に接続された、ペースト材料の管路と、
前記シリンダから前記管路へのガス供給路を開閉する吐出バルブと、
を備え、
前記コントローラは、
前記吐出バルブを閉じた状態で前記ピストンを前記シリンダ内で上昇させ、
前記ピストンの上昇駆動により前記シリンダ内で形成された一定容積のシリンダ空間に、前記ガス供給システムからガスを導入し、
前記材料供給装置から前記管路へ一定量のペースト材料を流し、
前記ピストンを下降させることにより前記ガスを圧縮し、
前記吐出バルブを開放し、これによって吐出されたガスを前記管路内のペースト材料に混入させる、各工程を実行する、請求項17に記載の機械発泡システム。
【請求項19】
前記機械発泡システムは、
前記ガス供給システム及び前記混合吐出装置を制御するコントローラを備え、
前記混合吐出装置の前記ピストンポンプは、
前記ガス供給システムに接続されたシリンダと、
前記シリンダ内で昇降駆動されるピストンと、
を備え、
前記混合吐出装置は、さらに、
ペースト材料を供給する材料供給装置と、
前記材料供給装置と前記シリンダとの間に設けられた材料バルブと、
を備え、
前記コントローラは、
前記材料バルブを閉じた状態で前記ピストンを前記シリンダ内で上昇させ、
前記ピストンの上昇駆動により前記シリンダ内で形成された一定容積のシリンダ空間に、前記ガス供給システムからガスを導入し、
前記材料バルブを開放することによって、前記材料供給装置から前記シリンダ空間へペースト材料を供給し、
前記ピストンを下降させることにより前記シリンダ内の前記ガス及び前記ペースト材料を吐出する、各工程を実行する、請求項17に記載の機械発泡システム。
【請求項20】
請求項18又は19に記載の機械発泡システムにおいて、前記ピストンポンプにガスを供給する方法であって、
ガス供給源から供給されたガスがレギュレータによって調圧され、前記ガス貯蔵部に前記ガスが蓄えられた状態から、前記バルブを開放し、これにより前記シリンダ空間にガスが送り蓄えられ、
前記流量計によりガスの流量を計測し、
前記流量計により計測されたガスの流量から前記ピストンの上昇駆動により前記シリンダ内で形成された一定容積のシリンダ空間に蓄えられたガスの量を計算し、
所定の閉条件が成立したとき、前記バルブを閉じる、各工程を備える、方法。
【請求項21】
前記バルブを閉じるための前記所定の閉条件は、次のいずれかの条件:
(1)前記流量計により計測されるガス流量が0、又は、該ガス流量が閾値以下となったとき
(2)前記ガス貯蔵部と前記バルブとの間のガス流路に設けられた圧力計により検出されたガスの圧力の変動がなくなったとき、又は、前記ガスの圧力変動幅が閾値以下となったとき
(3)前記バルブを開としたときから所定時間が経過したとき
である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記シリンダ空間に蓄えられたものとして計算された前記ガスの量が予め設定された上下限の範囲に収まっているか否かを判断し、前記ガスの量が前記上下限の範囲外の場合、前記機械発泡システムを停止させる、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
前記バルブを閉じた後、前記ピストンを下降させ、次にガスとペースト材料とを混合させる、各工程を備える、請求項20から22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
混合された前記ガスと前記ペースト材料とを、面上に吐出して塗布する工程をさらに備える、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスとペースト材料とを混合する混合吐出装置のためのガス供給システム、ガス供給システムを備える機械発泡システム、並びに、機械発泡システムにおいてガスを供給する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス供給源からのガスを流量計により正確に計量して真空チャンバに供給する技術が知られている(下記特許文献1)。
かかる技術を利用した分野に、例えば、ガスとペースト材料とを混合する混合吐出装置がある。混合吐出装置では、所定の発泡倍率を達成するため、一定量のペースト材料に対して、ガスの量を正確に計量する必要がある。このため、混合吐出装置では、ガス供給源から真空チャンバへとガスを供給するガス供給路に、レギュレータ、流量計及びバルブを配置し、レギュレータにより一定圧に圧力制御されたガスの流量を流量計により計測しながら、バルブを開閉することにより、一定量のガスを真空チャンバ或いは低圧チャンバへと供給する。
【0003】
しかし、バルブを開いたとき、ガス流路と真空チャンバとの間の圧力差がきわめて大きい場合、ガス流路から真空チャンバにガスが急激に流れることになる。このとき、流入するガスは、流量計のサンプリングタイムより短い時間で瞬時に最高流量に達し得る。このサンプリングタイムを超える瞬間的な流量変動の間、流量計により計測されたガスの流量の精度が低下し、正確な量のガスを計量できないといった問題が生じ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-229001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実に鑑みなされたもので、ガスとペースト材料とを混合する混合吐出装置のガス供給システムにおいて、ガスの急激な流量変動を防止することによって、正確な量のガスを計量することを可能とするガス供給システム、ガス供給システムを備える機械発泡システム、並びに、機械発泡システムにおいてガスを供給する方法を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明のガス供給システムは、ガス供給源から供給されたガスの圧力を制御するレギュレータと、前記ガスの流量を計測する流量計と、前記ガスを貯蔵するガス貯蔵部と、前記混合吐出装置へのガス導入路を開閉するバルブと、を備えて構成したものである。
【0007】
前記流量計は、前記ガスの流れに対して、前記ガス貯蔵部の上流に、かつ、前記レギュレータの下流に配置されている。
前記ガス貯蔵部は、前記バルブが開放されて前記混合吐出装置のピストンポンプにガスが供給されるとき、前記流量計が配置されている流路における流量変動が所定範囲に収まるように、前記ピストンポンプの所定容積に対する前記ガス貯蔵部の容積比が定められている。例えば、前記ピストンポンプの所定容積に対する前記ガス貯蔵部の容積比は、4から100の間、8から50の間、又は、12から20の間にある。例えば、前記ガス貯蔵部の容積は、20cc~2000ccである。好ましくは、ガス貯蔵部の材質はSUSである。
【0008】
好ましくは、前記レギュレータは、精密レギュレータである。例えば、前記精密レギュレータは、コンスタントブリード式レギュレータ又はノズル・フラッパ方式レギュレータである。
【0009】
好ましくは、前記ガス貯蔵部と前記バルブとの間のガス流路に設けられたチェックバルブをさらに備える。好ましいチェックバルブは、該チェックバルブの前後のガス静止時の圧力差を0.01MPa以下とする。好ましくは、前記レギュレータに供給されるガスの圧力は、1MPa以下である。
【0010】
本発明のガス供給システムは、前記ガス供給システムを制御するコントローラをさらに備え、前記コントローラは、前記ガス供給源から供給されたガスが前記レギュレータにより調圧され、前記ガスが前記ガス貯蔵部に蓄えられた状態から、前記バルブを開放し、これにより前記ピストンポンプの所定容積の空間にガスが送り蓄えられ、前記流量計によりガスの流量を計測し、前記流量計により計測されたガスの流量から前記ピストンポンプに蓄えられるガスの量を計算し、所定の閉条件が成立したとき、前記バルブを閉じる、各工程を実行する。
【0011】
前記コントローラは、前記ピストンポンプに蓄えられたものとして計算された前記ガスの量が予め設定された上下限の範囲に収まっているか否かを判断し、前記ガスの量が前記上下限の範囲外の場合、システム停止命令を発するようにしてもよい。
【0012】
本発明の好ましいガス供給システムは、前記ピストンポンプに蓄えられたものとして計算された前記ガスの量と、該ガスの量の適正範囲を示す上下限の範囲と、を表示する表示部をさらに備える。前記表示部は、前記流量計により計測された流量の時間的変化をさらに表示するようにしてもよい。
【0013】
さらに好ましくは、前記ガス貯蔵部と前記バルブとの間のガス流路にガスの圧力を検出する圧力計をさらに備える。
前記バルブを閉じるための前記所定の閉条件は、次のいずれかの条件:
(1)前記流量計により計測されるガス流量が0、又は、該ガス流量が閾値以下となったとき
(2)前記圧力計により検出されたガスの圧力の変動がなくなったとき、又は、前記ガスの圧力変動幅が閾値以下となったとき
(3)前記バルブを開としたときから所定時間が経過したとき
に設定することができる。
【0014】
本発明の前記ガス貯蔵部は、ガスタンクとして構成することができる。或いは、前記ガス貯蔵部は、前記ピストンポンプの所定容積に対する所定容積比を達成する長さ及び断面積を有する配管から構成されてもよい。
【0015】
本発明の機械発泡システムは、上記したガス供給システムと、前記ガス供給システムからガスが供給されるピストンポンプを備える混合吐出装置と、を備えて構成したものである。
【0016】
本発明の第1の態様の機械発泡システムは、前記ガス供給システム及び前記混合吐出装置を制御するコントローラを備え、前記混合吐出装置の前記ピストンポンプは、前記ガス供給システムに接続されたシリンダと、前記シリンダ内で昇降駆動されるピストンと、を備え、前記混合吐出装置は、さらに、ペースト材料を供給する材料供給装置と、前記材料供給装置に接続された、ペースト材料の管路と、前記シリンダから前記管路へのガス供給路を開閉する吐出バルブと、を備え、前記コントローラは、前記吐出バルブを閉じた状態で前記ピストンを前記シリンダ内で上昇させ、前記ピストンの上昇駆動により前記シリンダ内で形成された一定容積のシリンダ空間に、前記ガス供給システムからガスを導入し、前記材料供給装置から前記管路へ一定量のペースト材料を流し、前記ピストンを下降させることにより前記ガスを圧縮し、前記吐出バルブを開放し、これによって吐出されたガスを前記管路内のペースト材料に混入させる、各工程を実行する。
【0017】
本発明の第2の態様の機械発泡システムは、前記ガス供給システム及び前記混合吐出装置を制御するコントローラを備え、前記混合吐出装置の前記ピストンポンプは、前記ガス供給システムに接続されたシリンダと、前記シリンダ内で昇降駆動されるピストンと、を備え、前記混合吐出装置は、さらに、ペースト材料を供給する材料供給装置と、前記材料供給装置と前記シリンダとの間に設けられた材料バルブと、を備え、前記コントローラは、前記材料バルブを閉じた状態で前記ピストンを前記シリンダ内で上昇させ、前記ピストンの上昇駆動により前記シリンダ内で形成された一定容積のシリンダ空間に、前記ガス供給システムからガスを導入し、前記材料バルブを開放することによって、前記材料供給装置から前記シリンダ空間へペースト材料を供給し、前記ピストンを下降させることにより前記シリンダ内の前記ガス及び前記ペースト材料を吐出する、各工程を実行する。
【0018】
本発明のガスを供給する方法は、第1又は第2の機械発泡システムにおいて、ピストンポンプにガスを供給する方法であり、ガス供給源から供給されたガスがレギュレータによって調圧され、前記ガス貯蔵部に前記ガスが蓄えられた状態から、前記バルブを開放し、これにより前記シリンダ空間にガスが送り蓄えられ、前記流量計によりガスの流量を計測し、前記流量計により計測されたガスの流量から前記ピストンの上昇駆動により前記シリンダ内で形成された一定容積のシリンダ空間に蓄えられたガスの量を計算し、所定の閉条件が成立したとき、前記バルブを閉じる、各工程を備えて構成したものである。
【0019】
前記バルブを閉じるための前記所定の閉条件は、上記したいずれかの条件とすることができる。
好ましくは、本発明の方法は、前記シリンダ空間に蓄えられたものとして計算された前記ガスの量が予め設定された上下限の範囲に収まっているか否かを判断し、前記ガスの量が前記上下限の範囲外の場合、前記機械発泡システムを停止させる。
【0020】
本方法は、前記バルブを閉じた後、前記ピストンを下降させ、次にガスとペースト材料とを混合させる、各工程を備える。混合された前記ガスと前記ペースト材料とを、面上に吐出して塗布する工程をさらに備える。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の第1の実施形態に係るガス供給システムのブロック図である。
図2図2は、本発明の第2の実施形態に係るガス供給システムのブロック図である。
図3図3は、本発明の第3の実施形態に係るガス供給システムのブロック図である。
図4図4は、本発明の第1及び第2の実施形態に係るガス供給システムが適用される機械発泡システムの第1例の概略図である。
図5図5は、本発明の第1及び第2の実施形態に係るガス供給システムが適用される機械発泡システムの第2例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1には、本発明の第1の実施形態に係るガス供給システム1aが示されている。
【0023】
第1の実施形態に係るガス供給システム1aは、ガスとペースト材料とを混合して吐出する混合吐出装置90にガスを供給するように構成されている。混合吐出装置90は、ガスとペースト材料とを混合するためのピストンポンプ30を備え、ガス供給システム1aは、ピストンポンプ30にガスを供給する。ガス供給システム1aと混合吐出装置90とは、全体として、機械発泡システム50を構成している。
【0024】
ガス供給システム1aは、ガス供給源20からピストンポンプ30までのガス導入路11に、ガス供給源20から送られてきたガスの圧力を制御するレギュレータ2と、ガスの流量を計測する流量計3と、所定容積のガスを貯蔵するガス貯蔵部4と、ガス導入路を開閉するバルブ5と、流量計3により計測されたガス流量が適正であったかどうかを判断する流量コントローラ6と、を備えている。ここで、流量計3は、ガスの流れに対して、ガス貯蔵部4の前に、かつ、レギュレータ2の後に配置されている。
【0025】
ガス貯蔵部4は、ガスタンクとして構成することができる。しかし、本発明のガス貯蔵部は、ガスタンクの例に限定されるものではなく、所定容積のガスを貯蔵できる限り、任意の形態を取り得る。例えば、流量計3とバルブ5との間のガス導入路11の長さと内部断面積とによって定まるガス容積が所定容積となるように、ガス導入路11の当該長さと内部断面積とを設定することもできる。所定容積が大きければ、ガス導入路11も長くなり、ガス供給部1aの長さも増大するが、例えば、長尺の配管を螺旋状のような曲線状に形成することによって、全体的な長さを低減させることができる。勿論、所定ガス貯蔵部としての1区分のガス導入路11は、直線状であってもよく、またガス導入路11の断面積を位置に応じて変化させてもよい。
【0026】
ピストンポンプ30は、バルブ5が閉じられている間に、該ピストンポンプのピストンを上死点まで上げてシリンダ内に真空状態の所定容積を形成する。バルブ5を開放してガス供給システム1aから該シリンダにガスを送り、送った時のガスの圧力が一定圧力になれば、ピストンポンプ30のシリンダ容積とその一定圧力とにより定まるガスの量がピストンポンプ30のシリンダに供給されたことになる。本発明の実施形態では、当該シリンダに流入するガスの量を直接測定するのではなく、事前に供給側でガスの量を測定しておく。すなわち、ガス供給源20から供給されたガスをレギュレータ2により一定圧に調圧した後、流量計3により流量を計測する。流量計3により計測された流量を計測時間に亘って積算すれば、一定圧でピストンポンプ30のシリンダ空間に供給されたガスの量を求めることができ、当該ガスの量が、ピストンポンプ30のシリンダ容量に対して設定量であるか否かを判断することができる。
【0027】
レギュレータ2は、好ましくは精密レギュレ―タである。このような精密レギュレータとして、例えば、コンスタントブリード式や、ノズル・フラッパ方式などの精密レギュレータがある。
【0028】
バルブ5が開放されて混合吐出装置90のピストンポンプ30にガスが供給されるとき、流量計3が配置されている流路における流量変動が所定範囲に収まるように、ピストンポンプ30の所定容積に対するガス貯蔵部4の容積比が定められている。ガス貯蔵部4のガス容積比の下限は、好ましくは、4倍以上、より好ましくは、8倍以上、さらに好ましくは12倍以上となる。ガス容積比が小さすぎると、バルブ5を開放したときの圧力低下が大きくなり、流量計3を流れる流量が急激に増えて流量計3の計測精度が低下するからである。ガス貯蔵部4のガス容積比の上限としては、好ましくは、100倍以下、より好ましくは50倍以下、さらに好ましくは20倍以下となる。ガス貯蔵部4のガス容積比が大きすぎると、ガス流量の変化に伴う圧力差が小さくなり過ぎて、ガスの計量精度が低下する傾向があるからである。
【0029】
ガス貯蔵部4のガス容積は、好ましくは、ピストンポンプ30のシリンダ容積である5ccや10ccや20ccや100cc程度に対して、20cc~2000cc程度である。ガス貯蔵部4にとって好ましいこのガス容積は、通常エアライン中に、大量にエアを消費する用途で設置されるエア貯蔵部の容積に比べてきわめて小さい。これは、本発明の実施形態に係るガス貯蔵部4が、急激な流量変動を防止するバッファの役割を果たしているのに対して、後者では、絶対的なエア供給量が重要になるからである。
【0030】
また、ガス貯蔵部4の材質はガス容積を一定に保つように剛性の高いSUSであるのが好ましい。
次に、第1の実施形態に係るガス供給システム1aの作用を説明する。
【0031】
準備段階として、バルブ5が閉じられた状態で、ガス供給源20からガス導入路11にガスが供給されると、レギュレータ2がガスの圧力を所定の圧力に調整し、流量計3がガスの流量を計測し、ガス流量の信号が流量コントローラ6に送られる。流量計3を通過したガスは、バルブ5が閉じられているため、ガス貯蔵部4に蓄えられる。
【0032】
流量コントローラ6は、流量計3により計測されたガス流量を監視しており、レギュレータ2により調圧されたガスが所定量、流量計3を通過したか否かを判断する。流量コントローラ6は、ガス貯蔵部4とバルブ5との間のガス流路の圧力が一定圧力を示したか否か、流量計3の流量がゼロであるか否かをさらに判断する。流量コントローラ6が上記条件に合致していると判断し、かつ、混合吐出装置90でガス導入の準備ができた(例えばピストンポンプ30のピストンが上死点に至ったとき)ときに、バルブ5は開放可能となる。
【0033】
バルブ5を開放すると、ピストンポンプ30のシリンダ空間にガスが送り蓄えられ、後述する所定の閉条件が成立したときバルブ5が閉じられる。バルブ5が開放されてから閉じられるまでの間、流量計3は流量を計測し、流量コントローラ6は、計測された流量に基づいて、ピストンの上昇駆動によりシリンダ内で形成された一定容積のシリンダ空間に蓄えられたガスの量を計算する。計算されたガスの量に基づいてシリンダ空間に所定量のガスが蓄えられたか否かを判断することが可能となる。
【0034】
バルブ5が開放されたとき、一定の圧力に調整されてガス貯蔵部4に貯蔵されていたガスは、真空状態となっているピストンポンプ30へと急激に流れ込む。ガス貯蔵部4が設けられていない従来技術では、ピストンポンプ30内への急激なガスの流れ込みにより、流量計3を流れるガスの流量も急激に増大することになり、流量の急激な変化が流量計3のサンプリング時間より短い時間内で発生し得る。これにより、サンプリング歪が生じ、正確なガス量の計測に基づく所望の発泡倍率の達成が困難となる。
【0035】
しかし、本発明の第1実施形態では、流量計3の後段にガス貯蔵部4が配置されているため、ピストンポンプ30に流入するガス量が急激に増大しても十分にガス貯蔵部4に貯蔵されたガスを供給可能であるため、流量計3を通過するガスの流量は、サンプリング時間内で急激に変動しなくなる。よって、本願発明の第1の実施形態によれば、バルブ5を開にしたときでも、流量計3は、流量を正しくサンプリング可能となる。
【0036】
バルブ5を開にした後、バルブ5を閉にするタイミングは、次のいずれかに設定することができる。
(1)流量計3により計測されるガス流量が0になったとき(又は、ガス流量が閾値以下となったとき)
(2)ガス貯蔵部4から出るガスの圧力(後述する図2及び図3の圧力計8により検出された圧力)の変動がなくなり一定になったとき(又は、ガスの圧力変動幅が閾値以下となったとき)
(3)バルブ5を開としたときから所定時間が経過したとき
(1)の場合は、ピストンポンプ30のシリンダ内に一定圧でガスが供給され、ガス貯蔵部4にも同じ一定圧でガスが蓄えられてガスの流れがなくなったことを示している。そのため、バルブ5を閉じることによって次のサイクルのガス供給を準備するタイミングと判断する。(2)の場合におけるガス貯蔵部4の後段の圧力の変動がなくなったことは、ガス貯蔵部4からピストンポンプ30へのガスの流れがなくなったことを示しており、次のガス供給を準備するタイミングと判断する。ガス貯蔵部4の後段の圧力計については、他の実施形態(図2図3の圧力計8)が参照される。(3)の所定時間は、一定圧力でガス貯蔵部4に蓄えられたガスが真空状態の所定容積のピストンポンプ30に流入するまでの時間として予め計算しておくことができる。
【0037】
また、ガス供給源20は、例えば0~1MPa若しくは0~0.5MPaなどの比較的低圧のガスを供給するコンプレッサとして構成することができる。これによって、流量計2の流量測定精度をさらに向上させることができる。
【0038】
ガス供給源20としてコンプレッサを用いた場合、その後段にフィルター、オイルミストセパレーター、レギュレータを配置することがある。しかし、これらのエア機器、特にレギュレータは、ガス供給システム1aのレギュレータ2とは別個に設けられたものであり、本質的に異なる作用を有する。
【0039】
また、ガス供給源20は、本機だけでなく各種機器の駆動等に用いられることがあり、ガス供給管路途中にガス貯蔵部を設けることがある。しかし、このガス貯蔵部は各種機器へのガス圧の不足を補うためであり、ガス供給システム1aのガス貯蔵部4とは別個に設けられたものであり、本質的に異なる作用を有する。
【0040】
ガスの種類としては、空気(大気圧の空気、低圧空気、圧縮空気)、炭酸ガス、窒素ガス、酸素、アルゴン、クリプトン等の様々な気体を採用することができる。また、ペースト材料に供給するガスを大気中の空気とした場合にも、ガス供給源20を用いることができるが、その代わりに、大気中の空気を取り入れるための空気取入れ口を設け、該空気取入れ口から導入された大気圧の空気をガス供給システム1aに供給するようにしてもよい。この場合、空気を濾過し、粉塵等を除去する空気フィルターを空気取入れ口と吸入バルブとの間に設けてもよい。さらに、ガス供給源20や空気取入れ口の代わりに、ガスタンク、及びガス圧力を調整する圧力調整機構としての調整バルブ等を備える構成を用いることができる。また、ガスの圧力も、そのときの製造条件に応じて、大気圧より加圧した正圧又は大気圧より圧力が低い負圧とすることができる。
【0041】
低圧ガスを使用することにより、耐圧安全性を考慮した設計が不要となる。例えば、構成部品(配管やバルブ等)を低強度の材質で作ったり肉厚を薄くしたりすることが可能となる。さらには、ガス流量の制御を容易にし、ガス注入の信頼性や取り扱いの安全性を向上させることができる。これによってガス混入システム全体の軽量化、小型化を図ることができる。勿論、本発明は、使用目的や状況に応じて高圧ガスを取り扱う態様を含んでおり、低圧ガスの使用に限定されるものではない。
【0042】
次に、ガス供給システム1aを利用した、ペースト材料とガスとを混合する機械発泡システム50を図4及び図5を用いて説明する。なお、図4及び図5において、上記と同様の構成要件については、同様の参照番号を付して詳細な説明を省略する。
(機械発泡システムの第1例)
図4に示す第1例の機械発泡システム50aは、ガスをペースト材料に混入する手段として、ガス供給源20と、ガス供給システム1aと、ペースト材料が流れる管路空間(管路47によって形成されたペースト材料の通路として形成される)にガスを吐出するためのピストンポンプ30と、ピストンポンプ30のピストンを駆動させるピストン駆動部31と、ピストンポンプ30から管路47へのガス供給路を開閉する吐出バルブ32と、を備える。
【0043】
また、機械発泡システム50aの混合吐出装置90aは、ペースト材料を貯蔵するタンク40と、該タンク40に貯蔵されたペースト材料を管路47に圧送する圧送ポンプ41と、ガスが混入されたペースト材料を攪拌するミキサー45と、ガスとペースト材料との混合物を吐出するためにガンの先端に取り付けられたノズル46と、を備えていてもよい。また、圧送ポンプ41、ミキサー45、ノズル46に、一定量のペースト材料が流れたことを検出するため、図示しない流量計が経路中のどこかに設けられていてもよい。
【0044】
混合吐出装置90aでは、先ず、ピストン駆動部31によって、ピストンポンプ30のピストンが上死点に至るまで駆動される。これによってピストンポンプ30の画定された容積のシリンダ内は真空状態となる。この画定された容積の真空状態のシリンダ内に、ガス供給システム1aにより正確に計量された量のガスが、バルブ5(図1)を開放することによって流れ込む。所定量のガスがピストンポンプ30のシリンダ内に蓄えられると、バルブ5が閉じられる。なお、ピストンポンプ30において、画定されるべき容積に応じて、物理的な上死点に達しない手前の位置でピストンの上昇駆動を停止し真空状態を形成してもよい。
【0045】
次に、ピストン駆動部31によって、ピストンポンプ30のピストンが下死点に向かって下降され、内部のガスが圧縮される。管路47には、一定の流量でペースト材料が流れており、吐出バルブ32を開放することによって、当該ペースト材料に、ピストンポンプ30からガスが流れ込み、ガスがペースト材料中に混入される。なお、本発明は、本工程においてピストンポンプのピストンが下死点へ到達後に吐出バルブ32が開く態様だけでなく、ピストンが下死点へ向かう途中に吐出バルブ32が開く場合や、上死点と下死点との間のいずれかの場所で停止した状態で吐出バルブ32が開く態様も含まれる。吐出バルブ32が開くタイミングは、ピストンの位置やペースト材料の圧力やシリンダ内のガスの圧力を検出し開くタイミングを決定することも可能である。好ましくは、ピストンがシリンダ下死点近傍に設定されることが良く、管路を流れるペースト材料の圧力よりもシリンダ内のガスの圧力が高いことが望ましい。
【0046】
混合吐出装置90aでは、ガス供給システム1aにより正確に計量されたガスが一定量のペースト材料に混入されるので、所望の発泡倍率を容易に得ることが可能となる。
機械発泡システムの第2例)
図5に示す第2例の混合吐出装置90bは、2つのピストンポンプ30A、30Bを並列に配置したものである。この構成上の相違に応じて、ガス供給システム1aでは、ガス導入路11を2つのガス導入路11A、11Bに分岐させ、それぞれのガス導入路11A、11Bをピストンポンプ30A、30Bのガス入力ポート33A、33Bに各々接続している。
【0047】
また、第1の混合吐出装置90aとの他の相違点は、第2例の混合吐出装置90bでは、ピストンポンプ30A、30Bのシリンダ内に、ガスのみならずペースト材料も導入され、当該シリンダ内でガスとペースト材料とが混合される構成である。この構成上の相違に応じて、ペースト材料のタンク40から延びる管路47は、2つの管路47A、47Bに分岐され、管路47A、47Bは、開閉バルブ50A、50Bを介して、ピストンポンプ30A、Bの材料入力ポート51A、51Bに各々接続されている。
【0048】
混合吐出装置90bによれば、先ず、ピストン駆動部31A、31Bによって、ピストンポンプ30A、30Bのピストンが上死点に至るまで駆動される。これによってピストンポンプ30A、30Bの画定された容積のシリンダ内は真空状態となる。この画定された容積の真空状態のシリンダ内に、ガス供給システム1aにより正確に計量された量のガスが、バルブ5A,5Bを開放することによって、流れ込む。その後、バルブ5A,5Bを閉じ、バルブ50A、50Bを開放し、圧送ポンプ41を駆動することによって、管路47A、47Bを介してペースト材料がピストンポンプ30A、30B内に流れ込む。所定量のガス及び所定量のペースト材料がピストンポンプ30A、30Bのシリンダ内に蓄えられると、バルブ50A、50Bが閉じられる。
【0049】
次に、ピストン駆動部31A、31Bによって、ピストンポンプ30A、30Bのピストンが下死点まで下降され、内部のガスとペースト材料とが、出力ポート52A、52Bから押し出される。押し出された混合物は、配管中を流れるうちに、また、図示しないミキサーでさらに混合されることにより、ガスの気泡が細かくされ、これらの気泡がペースト材料中に均等に分散される。
【0050】
なお、混合吐出装置90bでは、発泡体の吐出が途切れないように、ピストンポンプ30A、30Bが交互に異なる位相で連続的に吐出するよう運転される。或いは、1回あたりの吐出量を増加するため、ピストンポンプ30A、30Bを同位相で並列運転してもよい。ピストンポンプは1本でもよく、或いは、3本以上設置することもできる。後者の場合、複数のピストンポンプのうち2つ以上からなる組ごとに連続吐出運転、他の組を当該組との並列運転とすることができる。
【0051】
第2例の混合吐出装置90bにおいても、ガス供給システム1aによって正確に計量されたガスがピストンポンプに導入されるので、所望の発泡倍率を容易に得ることが可能となる。
(第2の実施形態)
次に第2の実施形態に係るガス供給システム1bを図2を用いて説明する。なお、図2において、第1の実施形態と同様の構成要件については、同様の参照番号を付して、詳細な説明を省略する。
【0052】
図2に示されるように、第2の実施形態に係るガス供給システム1bは、第1の実施形態に係るガス供給システム1aにおいて、ガス貯蔵部4とバルブ5との間に配置されたチェックバルブ7と、チェックバルブ7とバルブ5との間に配置された圧力計8と、圧力計8により検出されたガスの圧力に基づいてレギュレータ2を制御する圧力コントローラ9と、をさらに追加して構成したものである。
【0053】
チェックバルブ7を配置したことにより、材料の逆流を防止することができ、ひいては流量計3の破損を防止することができる。好ましくは、チェックバルブ7は、該チェックバルブ7の前後のガス静止時の圧力差を0.01MPa以下とするものがよい。圧力差が大きくなると、ガス流量の測定誤差が大きくなるからである。
【0054】
また、圧力計8により検出された圧力が所定範囲に収まるようにレギュレータ2が制御されるので、真空チャンバ30に導入するガスの量をより正確にすることが可能となる。本実施形態に係るレギュレータ2は、上述のように制御されるので、ガス供給源20に配置されるレギュレータと上記した例のレギュレータとは異なることが理解されよう。
【0055】
第2の実施形態に係るガス供給システム1bも上記した混合吐出装置90a、90bに適用可能である。
なお、第2の実施形態において、第1の実施形態に対して、チェックバルブ7のみを追加する場合や、圧力計8及び圧力コントローラ9のみを追加する場合も考えられる。
(第3の実施形態)
次に第3の実施形態に係るガス供給システム1cを図3を用いて説明する。なお、図3において、第1及び第2の実施形態と同様の構成要件については、同様の参照番号を付して、詳細な説明を省略する。
【0056】
第3の実施形態に係るガス供給システム1cは、第2の実施形態に係るガス供給システム1bにおいて、流量コントローラ6、圧力コントローラ9及び混合吐出装置90を制御するメインコントローラ10と、ガス流量をグラフ表示する表示部12と、をさらに追加して構成したものである。
【0057】
メインコントローラ10及び表示部12を設けたことによって、ガス供給システム1c及び混合吐出装置90を統合的に監視し制御することができ、より正確な量のガスとペースト材料とを混合することが可能となる。例えば、第1の実施形態で説明されたようにバルブ5を開放してからバルブ5を閉じるまでの間にピストンポンプ30のシリンダ空間内のガスの量が計算されるが、この計算されたガスの量が所定量であったか否かをメインコントローラ10が判断し、その結果を表示部12に表示することによって、オペレータが容易にシステムが適正に運転されているかを判断することができる。
【0058】
また例えば、計算されたシリンダ空間内に蓄えられたガスの量が予め設定したガス量の上下限の範囲に入らない場合には、メインコントローラ10がシステム停止命令を発して装置を自動停止させたりすることができる。或いはまた、表示部12にガス量の計算結果と上下限の範囲とを表示させることによってオペレータが手動で装置を停止したり、オペレータが上下範囲を表示部を介して設定し、コントローラ10が設定された上下範囲に基づいて上記したシステム停止命令を発するようにすることもできる。さらには、不具合を事前に見つけたり、その原因究明を補助するために、表示部12に流量計3により計測されたガス流量の履歴(時間的変化)を表示するようにしてもよい。
【0059】
第3の実施形態に係るガス供給システム1cも上記した混合吐出装置90a、90bに適用可能である。
以上が本発明の実施形態であるが、本発明は上記例に限定されるものではなく、本発明の範囲内で任意好適に変更可能である。例えば、本発明のガス供給システムが適用されるシステムを、図4図5に示される機械発泡システムで説明したが、本発明は、これらの例に限定されず、所定容積の真空状態の空間に正確に計量されたガスを供給可能な装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0060】
1a、1b、1c ガス供給システム
2 レギュレータ
3 流量計
4 ガス貯蔵部
5 バルブ
6 流量コントローラ
7 チェックバルブ
8 圧力計
9 圧力コントローラ
10 メインコントローラ
11、11A、11B ガス導入路
12 表示部
30、30A、30B ピストンポンプ(真空チャンバ)
50、50a、50b 機械発泡システム
90、90a、90b 混合吐出装置
図1
図2
図3
図4
図5