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特許7595040ゲートウェイ装置および医療通信システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】ゲートウェイ装置および医療通信システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/00 20180101AFI20241128BHJP
   G16H 10/60 20180101ALI20241128BHJP
【FI】
G16H10/00
G16H10/60
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022027851
(22)【出願日】2022-02-25
(65)【公開番号】P2023124213
(43)【公開日】2023-09-06
【審査請求日】2022-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】314005768
【氏名又は名称】PHCホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】葉山 幸治
(72)【発明者】
【氏名】鴛田 新也
(72)【発明者】
【氏名】和泉 栄一
(72)【発明者】
【氏名】前田 康孝
(72)【発明者】
【氏名】吉鶴 博文
(72)【発明者】
【氏名】柴崎 航
(72)【発明者】
【氏名】朝岡 峻一郎
(72)【発明者】
【氏名】浅野 朱里
(72)【発明者】
【氏名】菊地 一馬
(72)【発明者】
【氏名】関口 卓弥
(72)【発明者】
【氏名】松村 健太
(72)【発明者】
【氏名】徐 敏碩
(72)【発明者】
【氏名】須永 凌太
【審査官】鹿野 博嗣
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-146414(JP,A)
【文献】特開2015-045897(JP,A)
【文献】特表2020-536304(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0015417(US,A1)
【文献】特開2005-189994(JP,A)
【文献】特開2002-132959(JP,A)
【文献】特開2021-103348(JP,A)
【文献】特開2017-208039(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0143014(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オンプレミス環境のコンピュータによって実現されている医療情報管理システムであって、医療情報を管理する前記医療情報管理システムと、前記医療情報を用いて種々のサービスを提供する医療サービス提供システムと、の通信を中継するゲートウェイ装置であって、
前記ゲートウェイ装置は、クラウド環境のコンピュータによって実現され、
前記医療情報管理システムおよび前記医療サービス提供システムを認証する認証部と、
認証された前記医療情報管理システムとの間で、一度通信が確立された後は常時接続を維持し、双方向の通信を可能とする第1通信プロトコルを用いて常時接続を確立可能な常時接続部と、
認証された前記医療サービス提供システムとの間で、情報の送受信が完了した場合に通信が切断される第2通信プロトコルを用いた通信接続を確立し、前記医療情報の送受信を行う送受信部と、
複数の前記医療情報管理システムのいずれかと複数の前記医療サービス提供システムのいずれかとの接続を許可するか否かを示す接続許可情報を記憶する記憶部と、
前記常時接続が確立されている前記医療情報管理システム、および、前記接続許可情報に基づいて、認証された前記医療サービス提供システムとの前記通信接続を許可するか否かを判断する判断部と、
を備える、ゲートウェイ装置。
【請求項2】
前記送受信部は、前記医療情報管理システムにおいて前記医療情報の変更があった場合に、前記医療サービス提供システムに対して、前記変更があった旨の通知を行う、
請求項に記載のゲートウェイ装置。
【請求項3】
前記送受信部は、前記医療情報管理システムにおいて前記医療情報の変更があった場合に、前記医療サービス提供システムに対して、変更された前記医療情報を送信する、
請求項に記載のゲートウェイ装置。
【請求項4】
前記記憶部は、複数種類の前記医療情報のうち、前記医療サービス提供システム毎に予め設定された種類を示す種類情報をさらに記憶しており、
前記送受信部は、前記医療サービス提供システムに対して、前記種類情報が示す種類の前記医療情報を送信する、
請求項またはに記載のゲートウェイ装置。
【請求項5】
医療情報を管理する医療情報管理システムと、
前記医療情報管理システムと、前記医療情報を用いて種々のサービスを提供する医療サービス提供システムと、の通信を中継するゲートウェイ装置と、
を備え、
前記ゲートウェイ装置は、
クラウド環境のコンピュータによって実現され、
複数の前記医療情報管理システムのいずれかと、複数の前記医療サービス提供システムのいずれかと、の接続を許可するか否かを示す接続許可情報を予め記憶しており、オンプレミス環境のコンピュータによって実現されている前記医療情報管理システムとの間で、一度通信が確立された後は常時接続を維持し、双方向の通信を可能とする第1通信プロトコルを用いて常時接続を確立させるとともに、前記医療サービス提供システムとの間で、情報の送受信が完了した場合に通信が切断される第2通信プロトコルを用いた通信接続を許可するか否かを、前記常時接続が確立されている前記医療情報管理システム、および、前記接続許可情報に基づいて判断し、許可すると判断した場合に前記通信接続を行う、
医療通信システム。
【請求項6】
前記医療情報管理システムは、複数種類の前記医療情報のうち、前記医療サービス提供システムが必要とする種類の前記医療情報を抽出し、前記ゲートウェイ装置を介して抽出した前記医療情報を前記医療サービス提供システムに送信する、
請求項5に記載の医療通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療情報を扱うゲートウェイ装置および医療通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療機関において、患者の個人情報、既往歴、診療履歴などの各種医療情報を電子カルテとして管理することが行われている。医療情報は、取り扱いに注意を要する機微な情報であるため、医療機関内で医療情報を扱う医療情報管理システムは、クラウドから独立したオンプレミスなシステムとして設計されることがある。
【0003】
近年、クラウド上に構築されたウェブサーバなどを用いて、医療機関を利用する患者、または医療機関に属する医療従事者へ様々なサービスを提供する医療サービス提供システムが普及している。具体例としては、医療機関外から医療機関への予約を受け付ける予約システム、医療機関に訪れた患者の受付を行う受付システム、患者への問診を事前に行う問診システム、診療費の決済を行う決済システム、外部の検査機関への検査予約を行う検査予約システムなどが挙げられる。
【0004】
医療サービス提供システムにおいてよりよいサービスを提供するため、医療情報管理システムと医療サービス提供システムとを互いに連携させたいという要望がある。医療情報管理システムと医療サービス提供システムとを互いに連携させることにより、医療情報管理システムが管理する患者の個人情報や診療履歴などの医療情報を、医療サービス提供システムで利用できるようになる。特許文献1には、電子カルテなどの情報を扱う医療情報システムと、患者が有する端末との間を、セキュアに接続するクラウド統合基盤を含む医療情報システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2021-103348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、機微な情報である電子カルテ情報を取り扱う医療情報管理システムと、外部の医療サービス提供システムとの通信接続をセキュアに行うためには、費用や使い勝手の点で多くの問題がある。
【0007】
本開示の目的は、医療情報管理システムと、外部の医療サービス提供システムとの通信接続をセキュアに、安価に、かつ使い勝手よく行うことができるゲートウェイ装置および医療通信システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のゲートウェイ装置は、オンプレミス環境のコンピュータによって実現されている医療情報管理システムであって医療情報を管理する医療情報管理システムと、前記医療情報を用いて種々のサービスを提供する医療サービス提供システムと、の通信を中継するゲートウェイ装置であって、前記ゲートウェイ装置は、クラウド環境のコンピュータによって実現され、前記医療情報管理システムおよび前記医療サービス提供システムを認証する認証部と、認証された前記医療情報管理システムとの間で、一度通信が確立された後は常時接続を維持し、双方向の通信を可能とする第1通信プロトコルを用いて常時接続を確立可能な常時接続部と、認証された前記医療サービス提供システムとの間で、情報の送受信が完了した場合に通信が切断される第2通信プロトコルを用いた通信接続を確立し、前記医療情報の送受信を行う送受信部と、複数の前記医療情報管理システムのいずれかと、複数の前記医療サービス提供システムのいずれかと、の接続を許可するか否かを示す接続許可情報を記憶する記憶部と、前記常時接続が確立されている前記医療情報管理システム、および、前記接続許可情報に基づいて、認証された前記医療サービス提供システムとの前記通信接続を許可するか否かを判断する判断部と、を備える。
【0009】
本開示の医療通信システムは、医療情報を管理する医療情報管理システムと、前記医療情報管理システムと、前記医療情報を用いて種々のサービスを提供する医療サービス提供システムと、の通信を中継するゲートウェイ装置と、を備え、前記ゲートウェイ装置は、クラウド環境のコンピュータによって実現され、複数の前記医療情報管理システムのいずれかと、複数の前記医療サービス提供システムのいずれかと、の接続を許可するか否かを示す接続許可情報を予め記憶しており、オンプレミス環境のコンピュータによって実現されている前記医療情報管理システムとの間で、一度通信が確立された後は常時接続を維持し、双方向の通信を可能とする第1通信プロトコルを用いて常時接続を確立させるとともに、前記医療サービス提供システムとの間で、情報の送受信が完了した場合に通信が切断される第2通信プロトコルを用いた通信接続を許可するか否かを、前記常時接続が確立されている前記医療情報管理システム、および、前記接続許可情報に基づいて判断し、許可すると判断した場合に前記通信接続を行う。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、医療情報管理システムと、外部の医療サービス提供システムとの通信接続をセキュアに、安価に、かつ使い勝手よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の実施の形態に係る医療通信システムの全体構成の一例を示す概念図
図2】コンピュータのハードウェア構成の一例を示す図
図3】ゲートウェイ装置が有するソフトウェア構成の一例について説明するための図
図4】医療情報管理システムのソフトウェア構成の一例について説明するための図
図5】医療サービス提供システムのソフトウェア構成の一例について説明するための図
図6】医療サービス提供システムに対して医療情報の変更通知を行う場合の医療通信システムの動作例を示すシーケンス図
図7】医療サービス提供システムに対して変更された医療情報を送信する場合の医療通信システムの動作例を示すシーケンス図
図8】医療サービス提供システムに対して送信する医療情報の種類を選択する場合の医療通信システムの動作例を示すシーケンス図
図9】種類情報の一例を示す図
図10】医療情報の変更が、医療サービス提供システムによって生じた場合の動作例を示すシーケンス図
図11】予約・受付サービスを利用して患者が医療機関の予約を行い、当該予約・受付サービスを利用して医療機関が患者の再診受付を行う場合の使用例を説明するためのシーケンス図
図12】医療機関を初めて受診する患者が、予約・受付サービスサービスを利用して医療機関の予約を行い、当該予約・受付サービスを利用して医療機関が患者の初診受付を行う場合の使用例を説明するためのシーケンス図
図13】予約・受付サービスを利用して医療機関が患者の再診受付を行うとともに、問診サービスを利用した当該患者の問診と、検査予約サービスを利用した当該患者の検査予約とを、それぞれ行う場合の使用例を説明するためのシーケンス図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明、例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明などは省略する場合がある。
【0013】
[医療通信システム100の構成]
図1は、本開示の実施の形態に係る医療通信システム100の全体構成の一例を示す概念図である。図1に示すように、医療通信システム100は、ゲートウェイ装置1と、医療情報管理システム2と、医療サービス提供システム3と、を含む。なお、医療通信システム100が含む医療情報管理システムの数、および医療サービス提供システムの数については限定せず、1つでもよいし、複数でもよい。
【0014】
ゲートウェイ装置1は、医療情報管理システム2と医療サービス提供システム3との間で各種情報の通信制御を行う装置である。ゲートウェイ装置1は、例えばクラウド環境のコンピュータによって実現される。また、ゲートウェイ装置1の機能は、医療情報管理システム2のハードウェア構成によって実現されてもよい。ゲートウェイ装置1の構成、および動作の詳細については、後述する。
【0015】
医療情報管理システム2は、例えば医療機関(病院、診療所、介護老人保健施設、薬局、その他の医療を提供する施設など)において運用され、利用される、医療情報を管理するシステムである。
【0016】
医療情報の例としては、患者情報、受付情報、診療科情報、利用者情報などが挙げられる。患者情報は、例えば、患者の名前、年齢、生年月日、性別、住所などの個人を特定できる情報、および、保険種別、保険者番号などの保険情報を含む。受付情報は、医療機関において患者の受付を行う際に利用される情報であって、医療機関毎に定められた診察券番号などの患者コード、現在の待ち人数または順番、受け付けを行った際の受付番号、予約時刻、受付時刻、初診または再診などの来所区分、来所理由、過去の来所日や来所履歴、過去の診療履歴など、種々の情報を含む。診療科情報は、患者がかかる、またはかかった診療科を示す情報である。利用者情報は、医療情報を利用する利用者に関する情報であり、例えば患者を診察する医師、または検査する検査技師などを識別する情報などを含む。
【0017】
医療情報管理システム2は、個人を特定できる情報などの機微な情報を管理することから、オンプレミス環境のコンピュータによって実現される。医療情報管理システム2を実現させるオンプレミス環境のコンピュータは、例えばシステムを利用する医療機関内に設置されている。医療情報管理システム2と外部のネットワークとの通信は、必ずゲートウェイ装置1を介して行うように構成されている。
【0018】
医療サービス提供システム3は、例えば患者、または医療従事者に対して様々なサービスを提供する医療サービスシステムが有する装置である。なお、医療サービス提供システム3を利用する人物は、患者または医療従事者に限られず、例えば製薬メーカーの社員など、医療情報の利用を希望する他の人物であってもよい。医療サービス提供システム3は、例えば、医療機関外の様々なサービス提供者が、医療機関および患者に対して、有用な医療サービスを提供するものである。医療サービス提供システム3は、クラウド環境のコンピュータによって実現される構成であってもよいし、オンプレミス環境のコンピュータによって実現される構成であってもよい。
【0019】
医療サービス提供システムが提供する医療サービスの例としては、予約サービス、受付サービス、問診サービス、決済サービス、検査依頼サービス、治験管理サービスなどが挙げられる。予約サービスは、患者が医療機関外から医療機関への予約を可能とするサービスである。受付サービスは、患者が医療機関を訪れた際に、医療機関における患者の受付を行うサービスである。問診サービスは、医療機関に掛かろうとしている患者に対し、問診を事前に行うサービスである。決済サービスは、診療後、診療費の決済を行うサービスである。検査依頼サービスは、外部の検査機関での検査が必要になった場合に、外部の検査機関への検査依頼を行うサービスである。治験管理サービスは、患者に対して治験を行う場合の管理を行うサービスである。
【0020】
医療サービス提供システム3は、ゲートウェイ装置1を介して、医療情報管理システム2と通信可能に接続されている。
【0021】
<コンピュータのハードウェア構成>
次に、ゲートウェイ装置1、医療情報管理システム2、および医療サービス提供システム3を構成するコンピュータ1000のハードウェア構成について説明する。図2は、コンピュータ1000のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0022】
コンピュータ1000は、キーボードやマウス、タッチパッドなどの入力装置1001、ディスプレイやスピーカーなどの出力装置1002、CPU(Central Processing Unit)1003、ROM(Read Only Memory)1004、RAM(Random Access Memory)1005、ハードディスク装置やSSD(Solid State Drive)などの記憶装置1006、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)やUSB(Universal Serial Bus)メモリなどの記録媒体から情報を読み取る読取装置1007、ネットワークを介して通信を行う送受信装置1008を備え、各部はバス1009により接続される。
【0023】
そして、読取装置1007は、上記各装置の機能を実現するためのプログラムを記録した記録媒体からそのプログラムを読み取り、記憶装置1006に記憶させる。あるいは、送受信装置1008が、ネットワークに接続されたシステム装置と通信を行い、システム装置からダウンロードした上記各装置の機能を実現するためのプログラムを記憶装置1006に記憶させる。
【0024】
そして、CPU1003が、記憶装置1006に記憶されたプログラムをRAM1005にコピーし、そのプログラムに含まれる命令をRAM1005から順次読み出して実行することにより、ゲートウェイ装置1、医療情報管理システム2、および医療サービス提供システム3の機能が実現される。
【0025】
<ゲートウェイ装置1のソフトウェア構成>
図3は、ゲートウェイ装置1が有するソフトウェア構成の一例について説明するための図である。図3に示すように、ゲートウェイ装置1は、常時接続部11と、判断部12と、送受信部13と、認証部14と、記憶部15と、を備える。
【0026】
常時接続部11は、医療情報管理システム2との常時接続が可能な通信部である。本開示では、図1に示すように、常時接続部11と医療情報管理システム2との間の通信プロトコルとして、WebSocket通信を採用する。WebSocket通信は、一度通信が確立された後は常時接続を維持し、双方向の通信を可能とする通信プロトコルである。これにより、一度常時接続が確立された後は、ゲートウェイ装置1と医療情報管理システム2との間で医療情報の送受信が可能となる。
【0027】
判断部12は、医療サービス提供システム3との通信接続を許可するか否かを判断する。判断部12の判断は、記憶部15に記憶されている接続許可情報に基づいて行われる。接続許可情報は、複数の医療情報管理システム2のいずれかと、複数の医療サービス提供システム3のいずれかと、の接続を許可するか否かを示す接続許可情報を記憶する。言い換えると、接続許可情報は、医療情報管理システム2毎に定められた、接続を許可する医療サービス提供システム3を示す情報である。これにより、ゲートウェイ装置1は、医療情報管理システム2毎に、接続を許可する医療サービス提供システム3を管理することができる。
【0028】
送受信部13は、判断部12が接続を許可すると判断した場合に、医療サービス提供システム3との通信接続を確立し、医療情報の送受信を行う。本開示では、送受信部13と医療サービス提供システム3との間の通信プロトコルとして、HTTPS通信を採用する。これにより、ゲートウェイ装置1と医療サービス提供システム3との間の通信接続は、必要な場合のみ確立され、その通信接続をセキュアなものとすることができる。
【0029】
認証部14は、常時接続部11と常時接続される医療情報管理システム2の認証を行う。また、認証部14は、送受信部13と必要に応じて接続される医療サービス提供システム3の認証を行う。
【0030】
記憶部15は、ゲートウェイ装置1が動作するために必要な各種情報を記憶している。記憶部15が記憶する情報の例としては、接続許可情報、および種類情報が挙げられる。種類情報は、詳細は後述するが、医療サービス提供システム3毎にあらかじめ定められた、医療サービス提供システム3が必要とする医療情報の種類を示す情報である。
【0031】
<医療情報管理システム2のソフトウェア構成>
図4は、医療情報管理システム2のソフトウェア構成について説明するための図である。医療情報管理システム2は、送受信部21と、変更検出部22と、抽出部23と、医療情報データベース(DB)24と、表示部25と、操作部26と、を備える。
【0032】
送受信部21は、ゲートウェイ装置1の常時接続部11との間で常時接続(WebSocket通信)を確立させ、確立後、医療情報の送受信を行う。
【0033】
変更検出部22は、医療情報DB24に含まれる医療情報に変更があった場合に変更を検出する。医療情報の変更は、例えば、操作部26を介して医療機関のスタッフが医療情報を変更する操作を行った場合に生じる。具体例を挙げると、医療機関を訪れた患者から、姓が変わったことを聞いた医療機関のスタッフは、操作部26を操作して、医療情報管理システム2の医療情報DB24に含まれる患者情報を変更した場合に、医療情報の変更が行われる。
【0034】
または、医療情報の変更は、医療サービス提供システム3から変更された医療情報が送信され、ゲートウェイ装置1を介して送受信部21により受信された場合に生じる。変更検出部22は、例えば所定周期毎、または操作部26に対して医療情報を変更する操作が行われた場合に、変更を検出する処理を実行し、変更を検出する。
【0035】
抽出部23は、医療情報DB24に管理される複数種類の医療情報のうち、医療サービス提供システム3にとって必要な種類の医療情報を抽出する。これにより、例えばゲートウェイ装置1を介した医療サービス提供システム3からの要求に応じて、特定の患者に関する医療情報を検出したり、複数の患者に関する特定の種類の医療情報を検出したりすることができる。抽出部23は、例えば医療サービス提供システム3からゲートウェイ装置1を介して変更された医療情報が送信されてきたことを契機として、当該医療サービス提供システム3に必要な種類の医療情報を抽出すればよい。
【0036】
医療情報DB24は、医療情報を管理するデータベースである。
【0037】
表示部25は、医療情報管理システム2を運用する医療機関のスタッフなどに対し、各種の情報を表示する。表示部25は、例えば医療機関に設置された医療情報管理システム2用の端末が有する液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどに表示を行う。
【0038】
操作部26は、例えば医療情報管理システム2が運用される医療機関に設置され、医療機関のスタッフなどの操作を受け付ける。操作部26は、例えば医療機関に設置された医療情報管理システム2用の端末が有するキーボード、マウス、タッチパネルなどに対する入力操作を受け付ける。
【0039】
<医療サービス提供システム3のソフトウェア構成>
図5は、医療サービス提供システム3のソフトウェア構成を説明するための図である。なお、医療サービス提供システム3は、様々な企業、団体によって運営され、様々なサービスを提供するものであるため、以下説明するソフトウェア構成はあくまで一例である。
【0040】
医療サービス提供システム3は、送受信部31と、サービス提供部32と、医療サービスデータベース(DB)33と、表示部34と、操作部35と、を備える。
【0041】
送受信部31は、ゲートウェイ装置1の送受信部13との間で必要に応じて通信(HTTPS通信)接続を確立させ、医療情報の送受信を行う。
【0042】
サービス提供部32は、医療サービスDB33に記憶されているプログラムを実行することにより、各種の医療情報を用いて、医療機関または患者に対して種々の医療サービスを提供する。
【0043】
表示部34は、医療情報管理システム2を運用する医療機関に設置され、医療機関のスタッフなどに対し、各種の情報を表示する。表示部34は、例えば医療機関に設置された医療サービス提供システム3用の端末が有する液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどに表示を行う。
【0044】
操作部35は、例えば医療情報管理システム2が運用される医療機関に設置され、医療機関のスタッフなどの操作を受け付ける。操作部35は、例えば医療機関に設置された医療サービス提供システム3用の端末が有するキーボード、マウス、タッチパネルなどに対する入力操作を受け付ける。
【0045】
<医療通信システム100の構成による効果>
以上、医療通信システム100の構成について説明した。本開示の実施の形態に係る医療通信システム100では、ゲートウェイ装置1と医療情報管理システム2との間で、WebSocket通信により常時接続通信が確立される。一方、ゲートウェイ装置1と医療サービス提供システム3との間には、必要に応じてHTTPS通信が確立される。このような構成により、ゲートウェイ装置1と医療情報管理システム2との間では、一度通信が確立してしまえば、リアルタイムで双方向の情報のやり取りを行うことができる。
【0046】
ゲートウェイ装置1を使用せずに、オンプレミスの医療情報管理システム2と複数の医療サービス提供システム3との間でリアルタイムで双方向、かつセキュアな通信接続を確立させようとした場合、以下のような問題が生じうる。
【0047】
ゲートウェイ装置1を使用せずに、オンプレミスの医療情報管理システム2と外部の医療サービス提供システム3との間で、リアルタイムで双方向、かつセキュアな通信接続を確立させる方法として、医療情報管理システム2と医療サービス提供システム3との間で必要に応じてHTTPS通信を用いて接続する方法が考えられる。この場合、医療サービス提供システム3から医療情報管理システム2へ接続を行うために、医療情報管理システム2側に固定IPアドレスまたは独自ドメインを取得する必要がある。固定IPアドレスや独自ドメインを取得し、セキュリティを維持するためには、医療情報管理システム2を運用する医療機関側に大きなコストがかかる。
【0048】
また、固定IPアドレスや独自ドメインを取得できたとしても、医療情報管理システム2側を運用する医療機関が医療サービス提供システム3との連携を効率よく行うためには、医療機関に医療サービス提供システム3毎に専用のクライアント端末を設置および運用する必要がある。また、ネットワークに関する専門知識を有するスタッフを医療機関に雇用する必要が生じる場合もある。この場合、医療機関には、設備コストやメンテナンスコストなどの負担が大きく掛かることになる。また、医療機関のスタッフの操作負担も大きくなる。具体例を挙げると、患者情報の変更(名前、住所、保険種別の変更など)があった場合、医療機関側のスタッフは、医療情報管理システム2において患者情報を変更するための作業だけでなく、複数の医療サービス提供システム3のそれぞれに対して、変更された患者情報を反映させる作業が必要となる。
【0049】
また、医療サービス提供システム3側にも、各医療機関のIPアドレスやドメイン情報を常時管理する必要があり、そのための設備、運用コストなどが必要となる。
【0050】
本開示の実施の形態に係る医療通信システム100では、上記した構成により、IPアドレスやドメイン情報の管理が不要となるため、ゲートウェイ装置1がオンプレミスの医療情報管理システム2と医療サービス提供システム3との通信を中継することにより、医療情報管理システム2と医療サービス提供システム3との間の連携を、低コストで行うことができる。
【0051】
また、本開示の実施の形態に係る医療通信システム100では、ゲートウェイ装置1が、機微な情報である医療情報を保持しないので、高いセキュリティ性を確保できる。また、医療情報管理システム2側で医療情報の変更などがあった場合にも、操作負担を増大させずに、速やかに医療サービス提供システム3側に反映させることができる。以下では、本開示の実施の形態に係る医療通信システム100の各種動作を具体例を挙げて説明する。
【0052】
[動作例]
以下では、医療通信システム100の動作例について説明する。以下の動作例は、ゲートウェイ装置1による医療情報管理システム2の認証後、ゲートウェイ装置1と医療情報管理システム2との間にWebSocket通信による常時接続が確立されていることを前提とする。また、以下の動作例は、ゲートウェイ装置1と医療サービス提供システム3との間の通信は、必要に応じて医療サービス提供システム3の認証後にHTTPS通信が確立され、必要な情報の送受信が完了したら確立されたHTTPS通信が切断されることを前提とする。
【0053】
<第1の動作例:医療情報の変更の通知>
第1の動作例として、医療情報管理システム2が管理する医療情報に変更があった場合に医療サービス提供システム3に対して通知を行う場合の動作例を説明する。図6は、医療サービス提供システム3に対して医療情報の変更通知を行う場合の医療通信システム100の動作例を示すシーケンス図である。なお、図6に示すシーケンス図では、煩雑さを避けるため、医療情報管理システム2および医療サービス提供システム3がそれぞれ1つずつ示されているが、実際にはそれぞれ複数の医療情報管理システム2および医療サービス提供システム3が存在してもよい。本明細書にて登場する以下のシーケンス図では、全て同様の前提が存在するとする。
【0054】
ステップS1において、医療情報管理システム2の変更検出部22(図4参照)は、医療情報に対する変更を検出する。医療情報の変更は、上述したように、医療機関のスタッフが医療情報管理システム2の操作部26を操作することにより、または、医療サービス提供システム3から変更された医療情報が、ゲートウェイ装置1を介して医療情報管理システム2に受信された場合に、行われる。ステップS1における変更の検出は、例えば所定周期毎、または、操作部26に対する変更の操作が行われた場合に、変更検出部22(図4参照)によって実行される。
【0055】
ステップS2において、医療情報管理システム2は、ゲートウェイ装置1に対して医療情報に変更があったことを通知する。
【0056】
ステップS3において、変更通知を受信したゲートウェイ装置1は、医療サービス提供システム3毎に、変更通知の送信を許可するか否かの判断を行う。上述したように、この判断は、ゲートウェイ装置1があらかじめ記憶している接続許可情報に基づいて行われる。
【0057】
ステップS4において、ゲートウェイ装置1は、送信を許可すると判断した医療サービス提供システム3に対し、変更通知を送信する。なお、複数の医療サービス提供システム3のうち、ステップS3で接続が許可されなかったものについては、ステップS4において変更通知は送信されない。これにより、医療情報に変更があったことが、自動的に医療サービス提供システム3に通知されるので、医療情報管理システム2を運用する医療機関のスタッフなどが手動で変更通知を送信する必要がなくなる。
【0058】
なお、上記の第1の動作例では、単に医療情報に変更があったことを変更通知において通知しているが、例えば後述の種類情報(第3の動作例を参照)に基づいて、どの種類の医療情報が変更されたかを通知するようにしてもよい。
【0059】
<第2の動作例:医療情報の送信>
第2の動作例は、医療情報に変更があった場合に、当該医療情報を医療サービス提供システム3に対して送信する場合の動作例である。第1の動作例では、医療情報に変更があった場合に医療サービス提供システム3に対し変更通知を送信していたが、第2の動作例では、変更された医療情報の送信を行う。例えば特定の患者の患者情報が変更された場合、当該患者の患者情報が医療サービス提供システム3に対して送信される。
【0060】
図7は、医療サービス提供システム3に対して変更された医療情報を送信する場合の医療通信システム100の動作例を示すシーケンス図である。
【0061】
ステップS11において、医療情報管理システム2は、医療情報に対する変更を検出する。
【0062】
ステップS12において、医療情報管理システム2は、ゲートウェイ装置1に対して変更された医療情報を送信する。
【0063】
ステップS13において、変更された医療情報を受信したゲートウェイ装置1は、医療サービス提供システム3毎に、変更された医療情報の送信を許可するか否かの判断を行う。
【0064】
ステップS14において、ゲートウェイ装置1は、送信を許可すると判断した医療サービス提供システム3に対し、変更された医療情報を送信する。なお、複数の医療サービス提供システム3のうち、ステップS13で接続が許可されなかったものについては、ステップS14において変更通知は送信されない。これにより、変更された医療情報が、自動的に医療サービス提供システム3に送信されて反映されるので、医療情報管理システム2を運用する医療機関のスタッフなどが手動で医療サービス提供システム3に更新された情報を送信する必要がなくなる。
【0065】
<第3の動作例:送信する医療情報を選択>
第3の動作例は、ゲートウェイ装置1から医療サービス提供システム3に対して医療情報を送信するとき、複数種類の医療情報のうち、あらかじめ設定された種類の情報のみをゲートウェイ装置1が選択して送信する動作例である。
【0066】
図8は、医療サービス提供システム3に対して送信する医療情報の種類を選択する場合の医療通信システム100の動作例を示すシーケンス図である。
【0067】
ステップS21において、医療情報管理システム2は、医療情報に対する変更を検出する。
【0068】
ステップS22において、医療情報管理システム2は、ゲートウェイ装置1に対して変更された医療情報を送信する。
【0069】
ステップS23において、変更された医療情報を受信したゲートウェイ装置1は、医療サービス提供システム3毎に、変更された医療情報の送信を許可するか否かの判断を行う。
【0070】
ステップS24において、ゲートウェイ装置1は、送信を許可すると判断した医療サービス提供システム3毎に、種類情報に基づいて、送信する医療情報の種類を選択する。
【0071】
ステップS25において、ゲートウェイ装置1は、選択した種類の医療情報を医療サービス提供システム3に対して送信する。
【0072】
図9は、ステップS24において用いられる、種類情報の一例を示す図である。図9に示すように、種類情報は、送信元の医療情報管理システム2毎、および、送信先の医療サービス提供システム3毎に、送信すべき医療情報の種類を特定した情報である。
【0073】
医療サービス提供システム3が提供する医療サービスの種類によっては、必要としない種類の医療情報があることがある。このように医療サービス提供システム3にとって不要な種類の医療情報がある場合には、機微な情報である医療情報を不必要に送信しない方がよい。第3の動作例によれば、医療サービス提供システム3毎に不要な種類の医療情報を送信しないため、よりセキュリティを維持することができる。
【0074】
<第4の動作例:医療情報管理システム2が医療サービス提供システム3にとって必要な情報を抽出>
第4の動作例では、医療情報の変更が、医療サービス提供システム3によって生じた場合の動作例について説明する。図10は、医療情報の変更が、医療サービス提供システム3によって生じた場合の動作例を示すシーケンス図である。
【0075】
ステップS31において、医療サービス提供システム3において、医療情報の変更が行われる。具体的には、ステップS31の動作は、例えば医療機関に設置された、医療サービス提供システム3の操作部35(図5参照)に対し、医療機関のスタッフが医療情報を変更する操作を行った場合の動作である。
【0076】
ステップS32において、医療サービス提供システム3は、変更された医療情報をゲートウェイ装置1に対して送信する。
【0077】
ステップS33において、ゲートウェイ装置1は、医療サービス提供システム3から受信した、変更された医療情報を、医療情報管理システム2に対して送信する。
【0078】
ステップS34において、医療情報管理システム2は、受信した情報に基づいて、医療情報を変更する。
【0079】
ステップS35において、医療情報管理システム2は、変更された医療情報を送信してきた医療サービス提供システム3が必要とする医療情報を抽出する。ステップS35の動作は、医療情報管理システム2の抽出部23(図4参照)が、医療サービス提供システム3毎にあらかじめ設定された種類の医療情報を抽出することにより行われる。
【0080】
ステップS36において、医療情報管理システム2は、抽出した医療情報をゲートウェイ装置1に対して送信する。
【0081】
ステップS37において、ゲートウェイ装置1は、変更された医療情報を送信してきた医療サービス提供システム3に対し、医療情報管理システム2から受信した医療情報の送信を許可するか否かの判断を行う。なお、ゲートウェイ装置1は、変更された医療情報を送信してきた医療サービス提供システム3に対する医療情報の送信を必ず許可するものとする。
【0082】
ステップS38において、ゲートウェイ装置1は、受信した医療情報を医療サービス提供システム3に対して送信する。
【0083】
このように、第4の動作例では、医療サービス提供システム3が必要とする種類の医療情報を、医療情報管理システム2側で自動的に選択し、ゲートウェイ装置1を介して医療サービス提供システム3に送信する。これにより、医療サービス提供システム3が必要とする情報を、改めて医療情報管理システム2に対して要求する必要がなくなり、時間と労力を低減することができる。
【0084】
[使用例]
以下では、本開示の実施の形態に係る医療通信システム100において、上述した各動作例の組み合わせによる、より具体的な使用例について説明する。
【0085】
<第1の使用例:予約・受付サービスを用いた患者の再来受付処理>
図11は、医療サービス提供システム3が予約・受付サービスである場合に、当該サービスを利用して患者が医療機関の予約を行い、当該予約・受付サービスを利用して医療機関が患者の再診受付を行う場合の使用例を説明するためのシーケンス図である。なお、受付・予約サービスとは、患者が医療機関の予約を行うことができ、受け付けた予約に関する情報を患者が予約した医療機関の医療情報管理システム2に反映するとともに、患者が実際に医療機関を訪れた際には、医療機関における当該患者の受け付けを行い、診察の順番取りや待ち人数の報知などを患者に対して行うサービスである。
【0086】
以下の使用例では、医療機関において患者の受け付けなどを行うスタッフが、医療情報管理システム2の操作部26と、医療サービス提供システム3の操作部35と、を両方とも手元で扱うことができる状況が想定されている。
【0087】
医療機関の受付にいるスタッフのもとに、当該医療機関への診療予約をすでに予約・受付サービスを用いて済ませている再診患者が訪れたとする。ステップS101において、当該患者の対応を行う医療機関のスタッフは、手元の医療サービス提供システム3用の端末を操作し、受付開始処理の実行を医療サービス提供システム3に対して要求する。
【0088】
ステップS102において、医療サービス提供システム3は、当該患者の受付処理に必要な医療情報をゲートウェイ装置1に対して要求する。受付処理に必要な医療情報の例としては、患者氏名、患者ID、予約時間、過去の受付情報、次回の診療内容などの種々の情報が挙げられる。
【0089】
ステップS103において、ゲートウェイ装置1は、医療サービス提供システム3からの情報の要求を医療情報管理システム2に対して送信してよいか否かを判断する。当該判断は、ゲートウェイ装置1に記憶されている接続許可情報に基づいて行われればよい。
【0090】
ステップS104において、ゲートウェイ装置1は、医療サービス提供システム3にとって必要な情報を判断する。この判断は、ゲートウェイ装置1に記憶されている種類情報に基づいて行われればよい。なお、本ステップS104は、ステップS102において医療サービス提供システム3がどの情報が必要かを指定していた場合は不要である。
【0091】
ステップS105において、ゲートウェイ装置1は、医療情報管理システム2に対して、必要な情報を要求する。
【0092】
ステップS106において、医療情報管理システム2は、要求された情報を抽出する。
【0093】
ステップS107において、医療情報管理システム2は、抽出した情報をゲートウェイ装置1に対して送信する。
【0094】
ステップS108において、ゲートウェイ装置1は、医療情報管理システム2から受信した情報を医療サービス提供システム3に対して送信する。
【0095】
ステップS109において、医療サービス提供システム3は、スタッフの端末(図5の表示部34)に必要な医療情報を表示させる。
【0096】
ステップS110において、スタッフは、医療サービス提供システム3の操作部35を用いて、患者の受け付けに伴う新たな医療情報の入力を行う。ステップS110において新たに入力される医療情報の例としては、受付時間、来所理由、患者が希望する診療科、などの情報が含まれる。
【0097】
ステップS111において、医療サービス提供システム3は、新たに入力された医療情報をゲートウェイ装置1に対して送信する。
【0098】
ステップS112において、ゲートウェイ装置1は、新たな医療情報を医療情報管理システム2に対して送信する。
【0099】
ステップS113において、医療情報管理システム2は、受信した新たな医療情報を医療情報DB24(図4参照)に反映する。
【0100】
医療サービス提供システム3から変更された医療情報が反映されたことを契機として、ステップS114において、医療情報管理システム2は、医療サービス提供システム3にとって必要な医療情報を抽出する。本使用例での医療サービス提供システム3にとって必要な医療情報とは、ステップS102にて説明した、患者氏名および予約時間の他に、過去の受診日時、過去受診した診療科および医師名、保険の種類などの情報である。
【0101】
ステップS115において、医療情報管理システム2は、抽出された医療情報をゲートウェイ装置1に対して送信する。
【0102】
ステップS116において、ゲートウェイ装置1は、医療情報管理システム2から受信した医療情報の医療サービス提供システム3への送信を許可するか否かの判断を行う。
【0103】
ステップS117において、ゲートウェイ装置1は、医療情報管理システム2から受信した医療情報を医療サービス提供システム3に対して送信する。
【0104】
ステップS118において、受付処理に必要な医療情報を受信した医療サービス提供システム3は、受信した医療情報を表示する。これにより、医療機関のスタッフは、患者の受付処理を完了させることができる。
【0105】
なお、患者の受付処理を完了させるまでの間に、例えば患者情報や受付情報など、医療情報が変更となることがある。この場合、ステップS119において、スタッフは医療情報管理システム2の操作部26を用いて、医療情報の変更点を入力する操作を行う。
【0106】
ステップS120において、医療情報管理システム2は、入力された変更点を医療情報DB24の医療情報に反映させる。すると、ステップS121において、医療情報管理システム2の変更検出部22によって、医療情報の変更が検出される。
【0107】
ステップS122において、医療情報管理システム2は、変更された医療情報をゲートウェイ装置1に対して送信する。
【0108】
ステップS123において、ゲートウェイ装置1は、変更された医療情報の医療サービス提供システム3への送信を許可するか否かの判断を行う。
【0109】
ステップS124において、ゲートウェイ装置1は、医療サービス提供システム3に対して変更された医療情報の送信を行う。
【0110】
なお、図11にて説明した第1の使用例では、医療サービス提供システム3が受付要求を受信した時点で、必要な情報を医療情報管理システム2に要求する場合の使用例について説明した。例えば受付の時点では医療サービス提供システム3が医療情報管理システム2に対して受付に必要な全ての情報を要求せず、医療サービス提供システム3自らがその時点で有している情報のみを医療機関スタッフの端末に送信するようにしてもよい。この場合、図11のステップS102からステップS108までの処理は不要となる。
【0111】
ただし、第1の使用例では、医療サービス提供システム3が有していない、患者に関する各種情報を、受付の時点で医療情報管理システム2に要求することにより、以下のような効果を得ることができる。すなわち、医療サービス提供システム3が患者の受付に関する全ての情報を保持していれば、図11のステップS102からステップS108までの処理は不要ではあるが、医療サービス提供システム3が保持すべき情報の量が増大してしまうとともに、機微な情報を医療サービス提供システム3が保持することになるため、セキュリティ上の課題が生じうる。
【0112】
しかしながら、第1の使用例のように、機微な情報を医療情報管理システム2が一括で管理しておき、医療サービス提供システム3には持たせないようにすることで、システム全体のセキュリティ性を向上させることができるとともに、システム全体の構築コストを低減することができる。
【0113】
このように、医療通信システム100の第1の使用例によれば、医療サービス提供システム3としての予約・受付サービスで予約を行った患者が医療機関を訪れたとき、医療機関のスタッフが必要最低限の情報を医療サービス提供システム3に対して入力することで、当該患者の受付処理に必要な各種医療情報が、医療情報管理システム2からゲートウェイ装置1を介して、医療サービス提供システム3に自動的に送信される。このため、医療機関のスタッフは、受付処理のために必要な医療情報を、例えば医療情報管理システム2の端末などを操作して、自力で取得する操作を行う必要がない。これにより、スタッフの操作労力を大幅に低減させる効果を得ることができる。
【0114】
なお、医療サービス提供システム3とゲートウェイ装置1との間の通信は、必要に応じてHTTPS通信で行われ、ゲートウェイ装置1と認証済みの医療情報管理システム2との間の通信は、WebSocket通信によって常時行われているので、機微な情報である医療情報の医療通信システム100の各構成間におけるセキュリティは十分に確保される、という効果も得ることができる。
【0115】
<第2の使用例:予約・受付サービスを用いた患者の初診受付処理>
図12は、医療サービス提供システム3が予約・受付サービスである場合に、ある医療機関を初めて受診する患者が、当該サービスを利用して医療機関の予約を行い、当該予約・受付サービスを利用して医療機関が患者の初診受付を行う場合の使用例を説明するためのシーケンス図である。
【0116】
医療機関の受付にいるスタッフのもとに、当該医療機関への診療予約をすでに予約・受付サービスを用いて済ませているが、初診の患者が訪れたとする。ステップS201において、当該患者の対応を行う医療機関のスタッフは、手元の医療サービス提供システム3用の端末を操作し、受付開始処理の実行を医療サービス提供システム3に対して要求する。
【0117】
ステップS202において、医療サービス提供システム3は、スタッフの端末(図5の表示部34)に当該患者の受付処理に必要な医療情報を表示させる。受付処理に必要な医療情報の例としては、第1の使用例と同じく、患者氏名および予約時間などの情報である。
【0118】
現時点において、医療機関における受付処理が医療サービス提供システム3の表示部34に表示させることができない点については、第1の使用例と同様である。
【0119】
ステップS203において、スタッフは、医療情報管理システム2の操作部26を用いて、初診患者に関する患者情報などを含む新たな医療情報を入力する。入力された新たな医療情報は、医療情報管理システム2の医療情報DB24に登録される。
【0120】
一方、ステップS204において、スタッフは、医療サービス提供システム3の操作部35を用いて、受付処理に伴う新たな医療情報の入力を行う。ステップS204において新たに入力される医療情報の例としては、受付時間、来所理由、患者が希望する診療科、などの情報が含まれる。
【0121】
ステップS205において、医療サービス提供システム3は、新たに入力された医療情報をゲートウェイ装置1に対して送信する。
【0122】
ステップS206において、ゲートウェイ装置1は、新たな医療情報を医療情報管理システム2に対して送信する。
【0123】
ステップS207において、医療情報管理システム2は、受信した新たな医療情報を医療情報DB24に反映する。
【0124】
これを契機として、ステップS208において、医療情報管理システム2は、医療サービス提供システム3にとって必要な医療情報を抽出する。ここでの医療サービス提供システム3にとって必要な医療情報とは、ステップS202にて説明した、患者氏名および予約時間の他に、過去の受診日時、過去受診した診療科および医師名、保険の種類などの情報である。
【0125】
ステップS209において、医療情報管理システム2は、抽出された医療情報をゲートウェイ装置1に対して送信する。
【0126】
ステップS210において、ゲートウェイ装置1は、医療情報管理システム2から受信した医療情報の医療サービス提供システム3への送信を許可するか否かの判断を行う。
【0127】
ステップS211において、ゲートウェイ装置1は、医療情報管理システム2から受信した医療情報を医療サービス提供システム3に対して送信する。
【0128】
ステップS212において、受付処理に必要な医療情報を受信した医療サービス提供システム3は、受信した医療情報を表示する。これにより、医療機関のスタッフは、患者の受付処理を完了させることができる。
【0129】
このように、医療通信システム100の第2の使用例によれば、患者が初診である場合でも、第1の使用例と同等の効果を得ることができる。
【0130】
<第3の使用例:複数の医療サービス提供システム3を連携>
第3の使用例では、複数の医療サービス提供システム3A,3B,3Cを連携させる場合の使用例について説明する。医療サービス提供システム3Aは、受付・予約サービスである。医療サービス提供システム3Bは、患者に対して受診前の問診を行う問診サービスである。医療サービス提供システム3Cは、X線や採血など、検査予約を受け付ける検査予約サービスである。
【0131】
図13は、予約・受付サービスを利用して医療機関が患者の再診受付を行うとともに、問診サービスを利用した当該患者の問診と、検査予約サービスを利用した当該患者の検査予約とを、それぞれ行う場合の使用例を説明するためのシーケンス図である。
【0132】
医療機関の受付にいるスタッフのもとに、当該医療機関への診療予約をすでに予約・受付サービスを用いて済ませた再診患者が訪れたとする。ステップS301において、当該患者の対応を行う医療機関のスタッフは、手元の医療サービス提供システム3A用の端末を操作し、受付開始処理の実行を医療サービス提供システム3Aに対して要求する。
【0133】
ステップS302において、医療サービス提供システム3Aは、スタッフの端末(図5の表示部34)に当該患者の受付処理に必要な医療情報を表示させる。受付処理に必要な医療情報の例としては、第1および第2の使用例と同じく、患者氏名および予約時間などの情報である。
【0134】
現時点において、医療機関における受付処理が医療サービス提供システム3Aの表示部34に表示させることができない点については、第1および第2の使用例と同様である。
【0135】
ステップS303において、スタッフは、医療サービス提供システム3Aの操作部35を用いて、受付処理に伴う新たな医療情報の入力を行う。ステップS303において新たに入力される医療情報の例としては、受付時間、来所理由、患者が希望する診療科、などの情報が含まれる。
【0136】
ステップS304において、医療サービス提供システム3Aは、新たに入力された医療情報をゲートウェイ装置1に対して送信する。
【0137】
ステップS305において、ゲートウェイ装置1は、新たな医療情報を医療情報管理システム2に対して送信する。
【0138】
ステップS306において、医療情報管理システム2は、受信した新たな医療情報を医療情報DB24に反映する。
【0139】
これを契機として、ステップS307において、医療情報管理システム2は、受付・予約サービスである医療サービス提供システム3Aにとって必要な医療情報を抽出する。ここでの医療サービス提供システム3Aにとって必要な医療情報とは、ステップS302にて説明した、患者氏名および予約時間の他に、過去の受診日時、過去受診した診療科および医師名、保険の種類などの情報である。
【0140】
ステップS308において、医療情報管理システム2は、抽出された医療情報をゲートウェイ装置1に対して送信する。
【0141】
ステップS309において、ゲートウェイ装置1は、医療情報管理システム2から受信した医療情報の医療サービス提供システム3A,3B,3Cへの送信を許可するか否かの判断を行う。この判断は、あらかじめ設定された接続許可情報に基づいて行われる。なお、本使用例では、医療サービス提供システム3A,3B,3Cへの医療情報の送信がいずれも許可されたとする。
【0142】
ステップS310において、ゲートウェイ装置1は、送信を許可すると判断した医療サービス提供システム3A,3B,3C毎に、送信する医療情報の種類を選択する。
【0143】
ステップS311において、ゲートウェイ装置1は、医療情報管理システム2から受信した医療情報を医療サービス提供システム3A,3B,3Cに対して送信する。
【0144】
ステップS312において、受付処理に必要な医療情報を受信した医療サービス提供システム3Aは、受信した医療情報を表示部34に表示する。これにより、医療機関のスタッフは、患者の受付処理を完了させることができる。
【0145】
さらに、ステップS313において、変更された医療情報を受信した医療サービス提供システム3B(問診サービス)は、当該患者への問診の準備を開始する。また、ステップS314において、変更された医療情報を受信した医療サービス提供システム3C(検査予約サービス)は、当該患者への検査予約の受付を開始する。
【0146】
このように、医療通信システム100に複数の医療サービス提供システム3が含まれる場合、ゲートウェイ装置1は、医療サービス提供システム3毎に、医療情報の送信を許可するか否かを判断する。これにより、不必要な情報が医療サービス提供システム3に送信されてしまう事態を防止でき、セキュリティ性を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0147】
本開示は、医療情報を扱う医療通信システムに有用である。
【符号の説明】
【0148】
100 医療通信システム
1 ゲートウェイ装置
2 医療情報管理システム
3 医療サービス提供システム
11 常時接続部
12 判断部
13 送受信部
14 認証部
15 記憶部
21 送受信部
22 変更検出部
23 抽出部
24 医療情報DB
25 表示部
26 操作部
31 送受信部
32 サービス提供部
33 医療サービスDB
34 表示部
35 操作部
1000 コンピュータ
1001 入力装置
1002 出力装置
1006 記憶装置
1007 読取装置
1008 送受信装置
1009 バス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13