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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】流体を噴霧する装置
(51)【国際特許分類】
   B05B 14/00 20180101AFI20241128BHJP
【FI】
B05B14/00
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022502166
(86)(22)【出願日】2020-07-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-16
(86)【国際出願番号】 EP2020069559
(87)【国際公開番号】W WO2021009046
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2023-06-09
(31)【優先権主張番号】1907881
(32)【優先日】2019-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516299279
【氏名又は名称】エクセル インダストリー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ フーリー
(72)【発明者】
【氏名】ジョゼフ タランチーニ
(72)【発明者】
【氏名】ディディエ フォール
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-119927(JP,A)
【文献】特開2008-207145(JP,A)
【文献】特表2018-519153(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 14/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体噴霧装置(10)であって、流体循環導管(15)と、前記導管(15)内で流動するように構成されたスクレーパ(20)と、前記スクレーパ(20)の保管位置で前記スクレーパ(20)を受容するように構成された保管容積(60,60A)を画定するエンベロープ(24)とを含み、前記スクレーパ(20)は、前記スクレーパ(20)が前記導管を通って流動するのに伴って、前記導管(15)内に存在する流体を前記スクレーパ(20)の前に押すように形成されており、前記保管容積(60,60A)が前記導管(15)と流体連通していて、前記スクレーパ(20)が前記保管容積(60)と前記導管(15)との間を流動するのを可能にするように形成されており、
前記装置(10)は、前記スクレーパ(20)が第1磁石(50)を含むこと、そして前記エンベロープ(24)が、前記保管容積(60,60A)から前記導管(15)へ前記スクレーパ(20)を押し退ける傾向のある第1力を前記第1磁石(50)に加えることができる第2磁石(70)を含むことを特徴とする、流体噴霧装置(10)。
【請求項2】
前記第1磁石(50)が永久磁石である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第2磁石(70)が永久磁石である、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記第2磁石(70)が電磁石である、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項5】
前記第2磁石(70)は、前記第2磁石(70)が第1方向を有する電流を供給されると、前記第1力を加えることができ、そして前記第2磁石(70)が前記第1方向とは反対方向の第2方向を有する電流を供給されると、前記スクレーパ(20)を保管容積(60,60A)内に保持する傾向のある、具体的には前記スクレーパ(20)を前記第2磁石(70)に接近させる傾向のある第2力を加えることができる、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記エンベロープ(24)が開口(80)の境界を定めており、前記開口は、前記スクレーパ(20)が前記保管容積(60,60A)から前記導管(15)へ循環しているときに前記スクレーパ(20)によって横断されるように意図されており、前記スクレーパ(20)が前記保管容積(60,60A)内に受容されているときには前記スクレーパ(20)は前記第2磁石(70)と前記開口(80)との間に介在し、前記第1力は具体的には、前記第2磁石(70)から離れる方向に第1磁石(50)を動かす傾向のある力である、請求項1から5までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記第2磁石(70)が、前記エンベロープ(24)の外面(85)に当て付けられている、請求項1から6までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記エンベロープ(24)が、前記保管容積(60A)を前記導管(15)に接続する第1開口(80)と、前記保管容積(60)に通じる第2開口(82)の境界を定めており、前記保管容積(60A)が前記2つの開口(80,82)の間に介在しており、前記装置(10)が、前記第2開口(82)を通して流体を前記エンベロープ(24)内へ注入するための手段(12)をさらに含み、前記第2磁石(70)が前記エンベロープ(24)の後部容積(60B)内に収納され、前記第2開口(82)と前記保管容積(60A)との間に介在しており、前記エンベロープ(24)がさらに少なくとも1つの通路(100)の境界を定めており、前記通路は、前記スクレーパ(20)が保管位置にあるときには前記第2開口(82)から前記第1開口(80)へ、注入された流体を導くように形成されている、請求項1から6までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記第2磁石(70)は、前記スクレーパ(20)が保管位置にあるときには、1.5ニュートン~5ニュートンの力を前記第1磁石に加えるように形成されている、請求項1から8までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
アクチュエータ(75)をさらに含み、前記アクチュエータは、ピン(90)が保管位置から前記導管(15)への前記スクレーパ(20)の運動を妨げる第1位置と、前記ピン(90)が前記保管位置から前記導管(15)への前記スクレーパ(20)の通過を許す第2位置との間で前記ピン(90)を動かすように形成されている、請求項1から9までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記保管容積(60,60A)内の前記スクレーパ(20)の存在を検出するように形成されたセンサを含み、前記センサが、磁界の値を測定するように、且つ測定された磁界値に依存する前記スクレーパ(20)の存在を検出するように形成されている、請求項1から10までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記センサが、測定された磁界値を閾値と比較するように、そして前記測定された値が前記閾値以上であるならば前記スクレーパ(20)の存在を検出するように形成されている、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記第1力は、前記保管容積(60,60A)の軸線(A4)に対して平行な方向に前記スクレーパ(20)を動かす傾向があり、前記第1磁石(50)と前記第2磁石(70)とが前記軸線(A4)に沿って互いにオフセットされており、前記センサが、所定の位置の磁界値を測定するように形成されており、前記位置が、前記軸線(A4)に対して垂直な平面(P)に所属しており、前記平面(P)が前記軸線(A4)に沿って、前記第1磁石(50)と前記第2磁石(70)との間に介在している、請求項12に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は流体噴霧装置に関する。
【0002】
流体噴霧装置は、流体が通流する管の内部を清浄化するためにスクレーパをしばしば使用する。これらのスクレーパは、導管内の流体をこれらの前に押すことにより、スクレーパが通った後、導管内に残留する流体量を最小限にするデバイスである。従って、流体の性質が変わると、例えば異なる色の塗料のような異なる流体を連続して噴霧しようとする場合、最も新しく噴霧される流体が以前に噴霧された流体の残留物によって汚染されるリスクが制限される。
【0003】
使用していないときには、スクレーパは通常は流体循環システムの専用部分内に保管される。この部分は通常、スクレーパ保管容積の境界を定める剛性エンベロープによって形成される。スクレーパを使用しようとするときには、専用アクチュエータがスクレーパを回路部分内に押し込む。この回路部分内には駆出流体が注入される。このときスクレーパに対する流体の作用がスクレーパを回路内に追い込むので、スクレーパは回路内を循環し、回路壁上の流体残留物をスクレーパの前に押す。
【0004】
しかしながら、このアクチュエータの存在はエンベロープの局所的な脆弱性を生み出す。それというのも、エンベロープの外側に配置されたアクチュエータはスクレーパを押すために、エンベロープを貫通しなければならないからである。従ってエンベロープはこのアクチュエータの通過のための少なくとも1つの開口を有している。この開口は、アクチュエータが摩耗又は衝撃を被るようになるか、あるいは回路内に過剰圧力が形成された場合に、漏れのリスクを生じさせる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、回路内に存在する残留物による流体の汚染のリスクを限られたものに維持しながら、従来技術のシステムよりも漏れのリスクが少ない流体噴霧装置が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これを目的として、流体噴霧装置であって、流体循環導管と、前記導管内で流動し得るスクレーパと、前記スクレーパの保管位置で前記スクレーパ(を受容するための保管容積を画定するエンベロープとを含み、前記スクレーパは、前記スクレーパが前記導管内を流動するのに伴って、前記導管内に存在する流体を、導管を擦過して押すように形成されており、前記保管容積が前記導管と流体連通していて、前記スクレーパが前記保管容積と前記導管との間を流動するように形成されており、前記スクレーパが第1磁石を含み、そして前記ハウジングが、前記保管容積から前記導管へ前記スクレーパを動かす傾向のある第1力を前記第1磁石に加えるように構成された第2磁石を含む、流体噴霧装置が提案される。
【0007】
特定の実施態様によれば、前記装置は下記特徴のうちの1つ又は2つ以上を単独で、又は技術的に可能な任意の組み合わせで含む。
- 前記第1磁石が永久磁石であり、
- 前記第2磁石が永久磁石であり、
- 前記第2磁石が電磁石であり、
- 前記第2磁石は、前記第2磁石が第1方向を有する電流を供給されると、前記第1力を加えることができ、そして前記第2磁石が前記第1方向とは反対方向の第2方向を有する電流を供給されると、前記スクレーパを保管容積内に保持する傾向のある、具体的には前記スクレーパを前記第2磁石に接近させる傾向のある第2力を加えることができ、
- 前記エンベロープが開口の境界を定めており、前記開口は、前記スクレーパが前記保管容積から前記導管へ循環しているときに前記スクレーパによって横断されるように意図されており、前記スクレーパが前記保管容積内に受容されているときには前記スクレーパは前記第2磁石と前記開口との間に介在し、前記第1力は具体的には、前記第2磁石から離れる方向に第1磁石を動かす傾向のある力であり、
- 前記第2磁石が、前記エンベロープの外面と接触しており、
- 前記エンベロープが、前記保管容積を前記導管に接続する第1開口と、前記保管容積に通じる第2開口との境界を定めており、前記保管容積が前記2つの開口の間に介在しており、前記装置が、前記第2開口を通して流体を前記エンベロープ内へ注入するための手段をさらに含み、前記第2磁石が前記エンベロープの内部容積内に収納され、前記第2開口と前記保管容積との間に介在しており、前記エンベロープがさらに少なくとも1つの通路の境界を定めており、前記通路は、前記スクレーパが保管位置にあるときには前記第2開口から前記第1開口へ、注入された流体を導くように形成されており、
- 前記第2磁石は、1.5ニュートン~5ニュートンの力を前記第1磁石に加えるように形成されており、そして
- 前記装置がアクチュエータをさらに含み、前記アクチュエータは、ピンが保管位置から前記導管への前記スクレーパの運動を妨げる第1位置と、前記ピンが前記保管位置から前記導管への前記スクレーパの通過を許す第2位置との間で前記ピンを動かすように形成されている。
【0008】
添付の図面を参照しながら、非限定的な一例として挙げられる下記説明を読めば、本発明の特徴及び利点が明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、流体循環導管とスクレーパとスクレーパ保管容積とを含む流体噴霧装置の第1実施例を示す概略図である。
図2図2は、スクレーパの断面を示す部分的な概略図である。
図3図3は、スクレーパ保管容積及びこの保管容積の境界を定めるエンベロープの断面を示す部分的な概略図である。
図4図4は、流体噴霧装置の別の実施例の保管容積及びエンベロープを示す断面図である。
図5図5は、図4の装置の1実施態様を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
流体噴霧装置10の第1実施例が図1に示されている。
【0011】
装置10は第1流体Fを噴霧するように形成されている。
【0012】
装置10は例えば色変更ユニット11と、ポンプ12と、第1流体Fを噴霧するためのデバイス13、例えば塗装ガン又は噴霧器を含む。
【0013】
装置10はさらに流体循環導管15と、スクレーパ20と、少なくとも1つのインジェクタ21と、エンベロープ24とを含む。
【0014】
色変更ユニット11と、ポンプ12と、循環導管15と、エンベロープ24と、発射部材13とは一緒に、第1流体Fを循環させるための回路を形成する。回路は具体的には、色変更ユニット11から発射部材13へ第1流体Fを導くのに適している。
【0015】
第1流体Fは、例えば液体、例えば塗料又は他の塗布材料である。
【0016】
1実施態様によれば、第1流体Fは一連の導電性粒子、具体的には金属粒子、例えばアルミニウム粒子を含む。
【0017】
具体的には、色変更ユニット11は、ポンプ12に第1流体Fを供給するように形成されている。具体的には、色変更ユニット11は、ポンプ12に複数の第1流体Fを供給し、そしてポンプ12への供給を1つの第1流体Fから別の第1流体Fに切り換えるように形成されている。
【0018】
具体的には、色変更ユニット11がポンプ12に供給するのに適した第1流体Fのそれぞれは、例えば、他の第1流体Fの色とは異なる色を有する塗料である。
【0019】
ポンプ12は、色変更ユニット11から受容された第1流体Fの流れを循環導管15内へ注入するのに役立つ。例えば、ポンプ12は、弁14によって循環導管15に接続されている。具体的には、ポンプ12はエンベロープ24を通して循環導管15に接続されている。
【0020】
ポンプ12は例えば歯車ポンプである。
【0021】
発射部材13は、第1流体Fを受容し、第1流体Fを発射するように構成されている。
【0022】
例えば、発射部材13は弁22と噴霧ヘッド23とを含む。
【0023】
発射部材13は例えば、第1流体エフを発射させようとする物体に発射部材13を向けることができる可動アーム上に取り付けられている。
【0024】
弁22は、循環導管15を噴霧ヘッド23に接続するように、そして循環導管15から噴霧ヘッド23への第1流体Fの通過を許す開形態と、このような通過を阻止する閉形態とを切り換えるように形成されている。
【0025】
噴霧ヘッド23は、弁22から受容された第1流体Fを噴霧するように形成されている。
【0026】
流体循環導管15は、弁14から受容された第1流体Fを発射部材13へ導くように形成されている。
【0027】
流体循環導管15は円筒形である。例えば流体循環導管15は円形断面を有しており第1軸線A1に沿って延びている。
【0028】
1実施態様によれば、流体循環導管15は真直ぐである。別の実施態様では、流体循環導管15は湾曲した導管である。この湾曲した導管の場合、第1軸線A1は、流体循環導管15の断面が円形である、その平面に対して垂直のものとして、流体循環導管15の任意の位置で局所的に定義される。
【0029】
流体循環導管15は図2に示された内面25を有している。この内面は、第1軸線A1に対して垂直な平面内に流体循環導管15の孔を画定している。
【0030】
流体循環導管15はさらに、図3で見ることができる外面27を有している。
【0031】
循環導管15に対して上流側及び下流側が定義される。上流側及び下流側は、第1流体Fを発射するときに、第1流体エフが循環導管15を通って上流側から下流側へ流れるという点において定義される。
【0032】
例えば、ポンプは、循環導管15の上流端部15Aで第1流体Fを注入するように形成されているのに対して、循環導管15の下流端部15Bは噴霧器に接続されており、これにより第1流体Fが上流側から下流側へ、ポンプから循環導管15を通って噴霧器へ流れるのを可能にする。
【0033】
このことは図1において矢印26において示されている。
【0034】
図1に示された実施例によれば、流体循環導管15は第1部分28と第2部分29とを含む。
【0035】
循環導管15の長さは50センチメートル以上、例えば1メートル以上である。1実施態様では、第1部分28及び第2部分29のそれぞれは長さが1メートル以上である。
【0036】
第1部分28は第2部分29の上流側に配置されている。
【0037】
第1部分28は例えば、変形することにより発射部材13の運動に追従するように形成されている。
【0038】
第2部分29は例えば発射部材13内に受容され、発射部材と一緒に運動することができる。
【0039】
第2部分29は例えば螺旋形である。
【0040】
流体循環導管15のために内径Diが定義されている。内径Diは、内面25の直径方向に対向する2つの位置間で、第1軸線A1に対して垂直な平面内で測定される。
【0041】
内径Diは例えば3.8~6.2mmである。なお、循環導管15の内径Diは変化してよい。
【0042】
流体循環導管15は、例えば金属材料から形成されている。あるいは、流体循環導管15はポリマー材料から形成されている。
【0043】
スクレーパ20は、流体循環導管15を通流して、流体循環導管15内を通過するのに伴って内面25上の第1流体FFをスクレーパの前に押すように形成されている。具体的には、スクレーパ20は、内面25を清浄化するように、すなわちスクレーパ20の通過前に内面25を覆っていた量よりも少ない量の第1流体Fで覆われた内面25を残すように、例えば導管15の、スクレーパ20が循環する部分の内面25を覆う第1流体FFのすべてを除去するように形成されている。
【0044】
「その前に押す」とは、流体循環導管15内で一方の方向に移動するスクレーパ20が、スクレーパ20が向かう先の導管15の部分内に受容された第1流体Fに、その方向の動作を加えることを意味する。例えば、上流側から下流側へ動くスクレーパ20は、スクレーパ20の下流側に位置する第1流体Fに下流側に向かう運動を作用させる。
【0045】
スクレーパ20は第2軸線A2に沿って延びている。
【0046】
スクレーパ20は、第2軸線A2に対して垂直な平面内に円形断面を有する少なくとも1つの部分を含む。
【0047】
図2に示された実施例によれば、スクレーパ20はほぼ円筒形であり、第2軸線A2を中心として回転対称である。
【0048】
図2に示されているように、スクレーパ20が循環導管15の孔内に受容され、第1軸線A1が第2軸線A2と一致すると、スクレーパ20は循環導管15内を循環するように意図されている。
【0049】
スクレーパは外径Deを有している。外径Deは、第2軸線A2に対して垂直な平面内に最大の外径を有するスクレーパ20の部分の外径である。
【0050】
外径は例えば循環導管15の内径Diに等しい。あるいは、外径Deは循環導管15の内径Diよりも真に小さい。
【0051】
スクレーパ20は、第2軸線A2に沿ってスクレーパ20の境界を定める2つの端面30を有している。スクレーパ20の長さは、2つの端面30の間で第2軸線A2に沿って測定して、例えば循環導管15の内径Di~内径Diの2倍である。
【0052】
スクレーパ20はさらに、第2軸線A2に対して垂直な平面内でスクレーパ20の境界を定める側面35を有している。スクレーパ20がほぼ円筒形である場合、外径は側面35上の直径方向に対向する2つの位置間で測定される。
【0053】
スクレーパ20は例えば、チャンバ45を画定するシェル40を含む。この場合、端面30及び側面35はシェル40の外面である。具体的には、シェル40は2つの端壁46を含む。これらの端壁は第2軸線A2に沿って、シェル40の外側からチャンバ45を分離する。この場合、端面30は端壁面46である。
【0054】
端壁46は例えば第2軸線A2に対して垂直な平らな壁である。
【0055】
シェル40は例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエチレン、ポリオレフィン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリオキシメチレン(POM)、又はポリアミドから形成されている。
【0056】
あるいは、スクレーパ20は中実であり、すなわちチャンバ45がシェル40によって境界を定められてはいない。この場合、スクレーパ20は良好な弾性を有する材料、例えばエラストマー、特に耐溶剤性ペルフルオロエラストマーから形成される。
【0057】
スクレーパ20は磁石50を含む。
【0058】
磁石50はスクレーパ20と一体的である。磁石50は例えばチャンバ45内に収容されている。
【0059】
磁石50は例えば永久磁石、例えばネオジム磁石である。
【0060】
しかしながら、磁石50が電磁石である実施態様も可能である。
【0061】
磁石50はN極N1とS極S1とを有している。磁石50のN極N1とS極S1とは、例えば第2軸線A2に沿って整列している。
【0062】
図2及び3には、それぞれの磁石のN極及びS極が、それぞれ磁石の縦縞で描かれた半分と斜め縞で描かれた半分とによって概略的に示されている。
【0063】
具体的には、磁石50は、1ニュートン(N)以上、例えば1.5N~5Nの磁力を加えることができる。
【0064】
インジェクタ21は、第2流体を回路、具体的には循環導管15内へ注入するように形成されている。例えば、インジェクタ21は、インジェクタ21によって制御可能な流量を有する第2流体流を、循環導管15内へ注入するように形成されている。
【0065】
具体的には、インジェクタは、第2流体をエンベロープ24を介して循環導管15内へ注入するように形成されている。換言すればエンベロープは、インジェクタから第2流体を受容するように、そして受容された第2流体を循環導管15、具体的には上流端部15Aに送るように形成されている。
【0066】
図1に示された実施例では、インジェクタ21は弁47を介してエンベロープ24に接続されている。
【0067】
第2流体は例えば噴霧されるべき第1流体Fとは別の流体である。例えば第2流体は、「クリーニング流体」と呼ばれることもある液体である。液体は具体的には、第1流体Fを溶解又は希釈するのに適した溶剤である。例えば、第1流体Fが水性塗料である場合、液体は水である。なお、使用される溶剤のタイプは、第1流体Fの性質に応じて変化し得る。
【0068】
また、念のために述べるならば、溶剤以外の液体を第2流体として使用することもできる。
【0069】
あるいは、第2流体は、循環導管15内に存在する第1流体Fの後に噴霧されるように意図された第1流体F、例えば循環導管15内に存在する第1流体Fとは異なる色を有する第1流体Fである。別の実施態様では、第2流体は気体、例えば圧縮空気である。
【0070】
注入されるべき第2流体に応じて、数多くの種々異なるタイプのインジェクタを装置10内に使用することができる。例えばインジェクタ21は、ガス流を生成するのに適した歯車ポンプ又は圧縮機である。
【0071】
なお、インジェクタ21はポンプ12とは別個のデバイスとして上述したが、例えば色変更ユニット11が第2流体のリザーバを含み、次いでこの第2流体をポンプ12がエンベロープ24を介して導管15内へ注入し得るならば、インジェクタ21の役割がポンプ12によって果たされることも考えられる。
【0072】
「ステーション」と呼ばれることもあるエンベロープ24は内部容積60の境界を定めている。この容積60は以後「スクレーパ10の保管容積」と呼ぶ。
【0073】
例えば、装置10は2つのこのようなエンベロープ24を含む。これらのエンベロープのそれぞれは循環導管15の上流側15A又は下流側15Bの端部に配置されている。
【0074】
エンベロープ24は例えばプラスチック材料、具体的にはポリオキシメチレンから形成されている。あるいは、エンベロープ24は非磁性金属材料、具体的にはステンレス鋼、例えばステンレス鋼303から形成されている。
【0075】
それぞれのエンベロープ24は例えば保管容積60の境界を定める中空ブロック65を含む。ブロック65は例えば単一片である。
【0076】
あるいは、ブロック65の代わりに、互いに付着するいくつかの部分から成るハウジングが使用される。別の実施態様では、ブロック65の代わりに、保管容積の境界を定める循環導管15の一部が使用される。
【0077】
なお、ブロック65又はハウジングは数多くの異なる材料から形成されてよい。
【0078】
エンベロープ24はさらに磁石70と、任意にはアクチュエータ75とを含む。
【0079】
「保管容積」60は、スクレーパ20が導管15内で循環していないときにスクレーパ20を収容するように提供される容積を意味する。具体的には、装置10は、スクレーパ20が保管容積60内に収容される保管位置においてスクレーパを保持するための手段を含む。
【0080】
保管容積60は、スクレーパ20が保管位置にあるときに、流体Fが導管15の上流端部15Aから下流端部15Bへ流れるのをスクレーパ20が許すように形成されている。
【0081】
保管容積60は例えば円筒形であり、第4軸線A4に沿って延びている。しかしながら、保管容積60の形状は種々様々であってよい。
【0082】
具体的には、保管容積60は、スクレーパ20が保管位置にあるときに流体Fがスクレーパ20の周りを流れるように提供されている。例えば、スクレーパ20が保管位置にあるときには、保管容積60の直径はスクレーパ20の外径よりも真に大きい。
【0083】
あるいは、スクレーパ20が保管位置にあるときには、スクレーパ20は、上流端部15Aをインジェクタ21に接続する流路の外部に配置されている。
【0084】
保管容積60は導管15と流体接続している。換言すれば、保管容積60は、流体Fが保管容積から導管15へ、そしてその反対に流れるのを可能にするようになっている。
【0085】
例えば、保管容積60は導管15内へ、具体的にはエンベロープ24の開口80を介して上流端部15A内又は下流端部15B内へ開いている。
【0086】
加えて、保管容積60は、スクレーパ20が保管容積60と導管15との間で循環するのを可能にするように形成されている。具体的には、スクレーパ20が保管容積60から循環導管15へ、そしてその反対に循環しているときに、開口80はスクレーパ20によって通過されるように意図されている。この場合、開口80は保管容積80を上流端部15Aに接続する。具体的には、開口80の直径は、スクレーパ20の外径De以上である。
【0087】
図3に示された実施例によれば、第4軸線A4は第1軸線A1と一致する。この場合、開口80は第4軸線A4に沿って保管容積60の境界を定めている。
【0088】
図1に示された実施例によれば、インジェクタ21は例えば、エンベロープ24の側壁内、すなわち第4軸線A4に対して垂直な平面内で保管容積60の境界を定める壁内に設けられた開口82を通して第2流体を注入するように形成されている。
【0089】
しかしながら、考えられ得る変更実施形によれば、インジェクタ21はエンベロープ24の長手方向壁内、すなわち第4軸線A4に沿って保管容積60の境界を定める壁内に設けられた開口82を通して第2流体を注入するように形成されている。例えば、保管容積60は第4軸線A4に沿って且つ第1軸線A1に沿って開口80と82との間に介在している。
【0090】
なお、ただ1つの開口82が図3に示されてはいるものの、開口82の数は様々であってよい。
【0091】
磁石70は例えば永久磁石である。例えば磁石70はネオジム磁石である。
【0092】
磁石70は例えばエンベロープ24の外面85と接触している。具体的には、外面85は、とりわけ開口80とは反対側の、第4軸線A4に沿ってエンベロープ24の境界を定めるブロックの面65である。
【0093】
あるいは、磁石70はブロック65内へ組み込まれて、磁石70が保管容積60とエンベロープ24の外面85との間に少なくとも部分的に介在するか、あるいは保管容積60内に収容され、保管容積60によって且つ外面85によって第4軸線A4に沿っての境界を定められたブロック65の部分に当て付けられるようになっている。
【0094】
スクレーパ20が保管位置にあるときには、スクレーパ20は磁石70と開口80との間に介在している。
【0095】
磁石70はN極N2とS極S2とを有している。
【0096】
磁石70は、保管容積60から導管15へスクレーパ20を動かす傾向のある第1力を磁石50に加えるように形成されている。例えば、第1力は、保管容積60から開口80を通して循環導管15へスクレーパ20を動かす傾向のある力である。
【0097】
具体的には、第1力は、磁石70から離れる方向に磁石50を動かす傾向のある力である。
【0098】
例えばスクレーパ20が保管位置にあるときには、磁石70のN極N2はスクレーパ20に指向されるとともに、スクレーパ20が保管位置にあるときには、N極N1は磁石70に指向される。換言すれば、スクレーパ20が保管位置にあるときには、N極N1及びN2は第4軸線に沿って極S1とS2との間に介在する。
【0099】
この場合、スクレーパ20が保管位置にあるときには、N極N2は例えば磁石70のS極S2とスクレーパ20との間に介在し、N極N1はS極S1と磁石70との間に介在する。
【0100】
1実施態様では、磁石50のN極N1とS極S1とは、磁石70のN極N2及びS極S2と同様に空間的に相互に交換可能である。
【0101】
具体的には、磁石70は、磁石50によって生成される磁力以上の磁力を生成することができる。具体的には、磁石70は、スクレーパ20が保管位置にあるときに1N以上、具体的には1.5N~5Nの力を磁石50に加えるように形成されている。
【0102】
スクレーパ20が保管位置にあるときには、磁石50と磁石70との間隔は1ミリメートル(mm)~5mmである。
【0103】
例えば、軸線A4に沿って外面85と保管容積60とによっての境界を定められるエンベロープ24の仕切りの厚さは0mm~5mmであり、スクレーパ20が保管位置にあるときには、スクレーパ20はこの仕切りに当て付けられている。
【0104】
アクチュエータ75は、スクレーパ20を保管位置に保持する傾向のある第2力をスクレーパ20に加えるように形成されている。
【0105】
例えば、アクチュエータ75は、第1位置と第2位置との間にピン90を動かすように形成されている。
【0106】
アクチュエータ75は例えば液圧式又は空気圧式シリンダ、又は電動モータである。
【0107】
ピン90は、エンベロープ24を通ってエンベロープ24の外部から保管容積60へ延びる通路内に収納されている。
【0108】
ピン90が第1位置にあるときには、ピン90は保管容積60から導管15へのスクレーパ20の運動を妨げる。例えば、ピン90が第1位置にあるときには、ピン90はエンベロープ24の内面から突出することにより、開口80を部分的に閉じる。
【0109】
ピン90が第2位置にあるときには、ピン90はスクレーパ20が保管容積69から導管15に達するのを許す。例えばピン90はエンベロープ24のキャビティ内に収納されるので、ピン90はエンベロープ24の前記内面からもはや突出しない。
【0110】
導管15の内面25を清浄化する方法の第1実施例を以下に説明する。
【0111】
最初の工程では、第1流体Fは循環導管15の孔内に存在する。第1流体FFは循環導管15の内面を部分的に覆う。
【0112】
最初に、スクレーパ20は保管位置にある。具体的にはピン90は第1位置にある。従って磁石70は第1力をスクレーパ20に加えるが、しかしこのような運動は、アクチュエータ75によってピン90を介してスクレーパ20に加えられる第2力により阻止される。
【0113】
加えて、第1流体Fは循環導管15内に注入されるので、第1流体Fは発射部材13によってそこで噴霧されるべき下流端部15Bに達する。具体的には、第1流体Fは保管容積60内に注入され、開口80を通過することにより循環導管15の上流端部15Aに達する。
【0114】
注入工程中、スクレーパ20は保管位置から導管15へ動かされる。例えば、アクチュエータ75はピン90をその第2位置へ動かし、そして磁石70によって磁石50に加えられた第1力は次いで、保管位置から導管15の上流端部15Aへスクレーパ20を動かす。
【0115】
循環工程中、スクレーパ20は循環導管15内を循環する。具体的にはスクレーパ20は循環導管15の一方の端部15A,15Bのところで挿入され、そして、スクレーパ20の上流側で循環導管内へ注入された第2流体流によって、例えば保管容積60内へ注入され開口80を通過する第2流体流によって、循環導管15の他方の端部15A,15Bへ推進される。
【0116】
第2流体流は次いで、第1軸線A1に沿って循環導管15内でスクレーパを推進する傾向のある第3力を端面30の一方に加える。
【0117】
循環工程20中、第1軸線A1と第2軸線A2とは合致する。
【0118】
第2流体流の影響下で、スクレーパ20は循環導管15内を循環する。例えば第2流体流が導管15の上流端部15A内に流入されると、スクレーパ20は上流から下流へ流れる。なお、スクレーパ20の流れ方向は、例えば第2流体流が導管15の下流端部15B内へ注入される場合に、変化することができる。
【0119】
スクレーパの循環中、スクレーパ20は、循環導管15内に存在する第1流体Fをその前に押し、ひいては第1流体Fの回収を可能にする。例えば、導管15の下流端部15B内へ開く、第1流体Fの回収のための弁が、スクレーパ20によって推し進められた第1流体Fの排出を可能にする。あるいは、第1流体Fは発射部材13の弁22を通る循環導管から流出する。
【0120】
スクレーパが導管15の内面25上に存在する第1流体Fを推し進めるのに伴って、循環導管15の内面25はこのように清浄化される。
【0121】
保管工程中、スクレーパ20は、例えば下流端部15Bのところで注入された第2流体流の影響を受けて、その保管位置に戻される。第2流体流は、上流端部15Aへ向かって、次いで保管位置へ向かってスクレーパ20を動かす傾向のある第4力をスクレーパ20に加える。次いでスクレーパ20はピン90の作用によって保管位置でロックされる。ピンは、第2位置から第1位置へアクチュエータ75によって動かされる。
【0122】
磁石70によって、従来技術の設備の場合のようにこの目的のためにエンベロープ24に開口を穿孔する必要なしに、スクレーパ20をその保管位置から導管15へ効率的に動かすことができる。エンベロープ24の開口の数が減らされるので、漏れのリスクが軽減される。
【0123】
永久磁石70はシステム10を極めて使用しやすくする。同じ符号の極が互いに近接した2つの磁石50及び70の間の反発を極めてシンプルに利用できる。
【0124】
保管位置においてスクレーパ20が開口80と磁石70との間に介在していると、システムの動作が特にシンプルになる。
【0125】
磁石70がエンベロープ24の外面と接触していると、システム10はやはり実行及び操作が特にシンプルになる。
【0126】
アクチュエータ75及びピン90は、スクレーパ20が保管位置の所定の位置に容易に保持されるのを可能にする。
【0127】
装置10の第2実施例を以下に説明する。
【0128】
第1実施例と同一のエレメントに関しては再び説明することはしない。異なるものだけを明らかにする。
【0129】
磁石70は電磁石である。具体的には、磁石70は、第4軸線A4に沿って配向された磁界を生成するように形成されている。
【0130】
例えば、磁石70は、第4軸線A4に対して平行な、又は第4軸線A4と一致する軸線の周りに巻かれた導電体によって形成されたコイルを含む。
【0131】
磁石70は、第1力及び第2力をスクレーパ20に加えるように形成されている。
【0132】
装置10はさらに、磁石70に第1力及び/又は第2力を生成させるのに適した電流を磁石70に供給するのに適した電源を含む。
【0133】
例えば、電源は、第1流れ方向を有する第1電流、及び第2流れ方向を有する第2電流を磁石70に供給するように形成されている。これら2つは互いに対向することを意味する。
【0134】
例えば、2つの電流は、それぞれ特定の強度を有する電流である。第1電流の強度は第2電流の強度とは逆の符号を有する。具体的には、この電流がそれぞれの電流は、電磁石内、具体的には電磁石70のコイル内に流れると、それぞれの電流は相応の電流強度として定義される。
【0135】
強度は例えば絶対値において等しい。あるいはこれらの絶対値は互いに異なる。
【0136】
電磁石70に第1電流が供給されると、電磁石は第1力を加える。
【0137】
電磁石70に第2電流が供給されると、電磁石は第2力を加える。第2力はこの場合、磁石70と50とを互いに接近させる傾向のある力である。
【0138】
システム10はまたアクチュエータ75もピン90も有していない。
【0139】
装置10の第2実施例によって実施される清浄化方法の第2実施例を以下に説明する。第1実施例の方法と同一のエレメントについては再び説明することはしない。異なるものだけを明らかにする。
【0140】
初期工程及び保管工程において、電磁石70に第2電流を供給することによって、スクレーパ20を電磁石70に引き付け、これにより電磁石を保管位置に動かし、又は保管位置内に保持する。
【0141】
注入工程中、電磁石70には第1電流を供給し、ひいては電磁石を導管15に向かって動かす。
【0142】
このことはシステム10の漏れの発生を少なくする。それというのも、ピン90の通過のために必要となる開口がもはや必要でないからである。これにより、エンベロープ24のタイトネスがさらに改善される。
【0143】
装置10の第3実施例を以下に説明する。第1実施例の装置10と同一のエレメントについては再び説明することはしない。異なるものだけを明らかにする。
【0144】
第3実施例は図4に示されている。
【0145】
第3実施例の装置10では、磁石70はエンベロープ24内に収容されている。具体的には磁石70は保管容積60内に収納されている。
【0146】
例えば、エンベロープ24は、図4に符号65A,65Bによって示された少なくとも2つの別個のブロックを含む。これらのブロックは一緒に、エンベロープ24の内部容積と少なくとも部分的に隣接している。
【0147】
エンベロープ24の内部容積は、以後符号60Aで示される保管容積と、以後「後部容積」60Bと呼ばれる、磁石70を収納する容積60Bとを含む。
【0148】
ブロック65Aは保管容積60Aと開口80の境界を定めている。ブロック65Aは循環導管15とブロック65Bとの間に介在している。
【0149】
加えて、ブロック65Aは後部容積60Bの境界を部分的に定めている。具体的には、ブロック65Aは少なくとも第1軸線A1に沿って後部容積60Bの境界を定めている。
【0150】
具体的には、ブロック65Aは、保管容積60と後部容積60Bとの間に延びる突起95を有することにより、スクレーパ20が保管位置にあるときに磁石70が軸線A1に沿ってスクレーパ20へ向かって動くのを阻止する。例えば、突起95は保管容積60Aを後部容積60Bから分離している。
【0151】
突起95の厚さは例えば0.5mm~4mmである。突起95の厚さは第1軸線A1に沿って測定される。
【0152】
ブロック65Bは後部容積60Bと少なくとも部分的に隣接している。具体的には、ブロック65Bは後部容積60Bと少なくとも第1軸線A1に沿って仕切っている。
【0153】
ブロック65Bはまた開口82の境界を定めている。
【0154】
保管容積60Aは後部容積60Bと開口80との間に第1軸線A1に沿って介在している。
【0155】
開口80は保管容積60A内へ通じている。開口80は軸線A1に沿って延びることにより、スクレーパ20が保管容積60Aからアパーチャ80を通って循環導管15へ、軸線A1に沿った並進運動によって動くことを可能にする。
【0156】
後部容積60Bは磁石70を収容する。例えば、後部容積60Bは保管容積60Aと同軸的である。
【0157】
具体的には、後部容積60Bは第1軸線A1を中心として回転対照的である。後部容積60Bは具体的には2つの円筒形端部と中央部分とを有している。
【0158】
それぞれの端部の直径は、例えば保管容積60Aの直径と等しい。
【0159】
中央部分は2つの端部の間に介在している。中央部分は例えば、共通の基部を有する2つの直円錐体によって境界を定められている。共通の基部は、端部の直径よりも真に大きい直径を有している。
【0160】
具体的には、共通の基部は、ブロック65Aと65Bとの界面に配置されているので、一方の円錐体がブロック65Aと隣接し、他方の円錐体がブロック65Bと隣接する。
【0161】
後部容積60Bは保管部分60Aと開口82との間に、第1軸線A1に沿って介在している。
【0162】
開口82は第5軸線A5に沿って延びている。この第5軸線A5は具体的には軸線A1と一致する。
【0163】
具体的には、開口82は円筒形である。開口82の直径は例えば2mm~10mmである。開口82の直径は具体的には、開口80及び/又は循環導管15の直径と等しい。
【0164】
エンベロープ24の内部容積はさらに、スクレーパ20が保管位置にあるときに、流体、具体的には第2流体の開口80と82との間の通過を可能にするように形成されている。具体的には、内部容積は、容積60A及び60Bに加えて、開口82と開口80との間で第6軸線A6に沿って延びる少なくとも1つの通路100を含む。
【0165】
例えば、エンベロープ24は、それぞれが開口82から開口80へ延びる複数の通路100の境界を定めている。具体的にはエンベロープ24は3つの通路100の境界を定めている。
【0166】
なお、任意には、ブロック65Bは軸線A5に沿ってブロック65の外側に向かって延びる突起105を有している。この突起105は開口82内部に配置されている。突起105は例えばほぼ円錐形である。
【0167】
具体的には、突起105は開口82内に含まれる流体の量を制限し、流体流を通路100へより良好に導く。
【0168】
それぞれの通路100は相応する第6軸線A6に沿って延びている。第6軸線A6は例えば第1軸線A1に対して平行である。
【0169】
それぞれの通路100を具体的には、容積60A,60Bから半径方向に延び且つ相応の第6軸線A6に沿って延びる孔又は溝によって形成することにより、スクレーパ20が保管位置にあるときに、流体が通路100を通って開口82から開口80へ達するのを可能にする。
【0170】
少なくとも1つの通路100が具体的には、開口82から開口80へ、又は保管容積60Aへ延びる例えば円筒形の孔によって形成されている。
【0171】
それぞれの孔の直径は例えば開口82の半分~4分の3である。具体的にはそれぞれの孔の直径は軸A5とA6との間のオフセットの2倍以上である。
【0172】
それぞれの通路100は容積60A及び60Bから容積60A及び60Bの軸線A1に対して垂直方向に延び、そしてこれらの容積60A,60Bと連通している。
【0173】
それぞれの通路100はこの場合、例えば、通路100の直径を有し且つ軸線A5に沿って延びる円筒体によって、軸線A1及びA5に対して垂直な平面内に境界を定められた形状を有している。この円筒体から、容積60A,60Bの直径を有し且つ軸線A1上にセンタリングされた円筒体によって境界を定められた容積が除外されている。
【0174】
こうして、流体が開口82と80との間で流れるのに伴って、流体は少なくともスクレーパ20、例えばスクレーパ20と磁石70とに沿って通過する。具体的には、流体はスクレーパ20及び/又は磁石70の少なくとも一部と接触している。
【0175】
なお、通路100は別の形態を成していてもよい。例えばそれぞれの通路100は多角形断面を有している。
【0176】
通路100は例えば第1軸線A1の周りに所定の角度で分配されており、具体的には図1に示されているように等距離に間隔を置いて配置されている。例えば2つの連続する第6軸線A6を軸線A1に結合するセグメント間の角度は、考えられる軸線A6対とは無関係に120°である。
【0177】
従って、開口82を通して注入された流体は、通路100を通って磁石70及びスクレーパ20の周りを流れる。
【0178】
具体的には、それぞれの第6軸線A6と軸線A1との間の距離はすべての軸線A6に関して同一である。
【0179】
通路100は、流体流が軸線A1に対して主に平行な方向に開口80と82との間を循環するのを可能にし、ひいてはその運動中に被る圧力損失はほとんどない。それというのもこの運動は主に直線状であるからである。このことはシステム10、具体的には保管容積のフラッシングをより容易にする。具体的には、エンベロープ24の内部容積60A,60B,100には、流体が蓄積して効果的にフラッシングができないデッドゾーンがない。
【0180】
なお、単一の通路100が存在する実施態様、又は3つ以外の複数の通路100が存在する実施態様も可能である。
【0181】
図5に示された実施態様によれば、装置10は、保管容積60,60A内のスクレーパ20の存在のためのセンサ110を含む。
【0182】
具体的には、センサ110は、所定の位置の磁界の値を測定し、そして測定値に基づいてスクレーパ20の存在を検出するように形成されている。
【0183】
例えば、センサ110は、測定値を閾値と比較し、具体的には測定値の絶対値を閾値と比較し、そして測定値又は絶対値が閾値以上であるときにはスクレーパ20の存在を検出するように形成されている。
【0184】
後で明らかになるように、「磁界の値を測定する」とは、磁界の値(例えばテスラ)が直接には計算されない場合にも、磁界に直接に相関されたパラメータを測定することを意味する。このような測定の一例は、磁界に依存する電気抵抗、電流又は電圧の測定である。
【0185】
センサ110が保管容積60,60A内にスクレーパ20の存在を検出すると、センサ110は、例えば電気信号を別のデバイス、例えば装置10の制御モジュールに発生させるか、又はランプ又は発光体に給電するように信号を発生させる。
【0186】
具体的には、スクレーパ20が保管位置にあるときには、前記位置は第4軸線A4に沿って2つの磁石50と70との間に介在する平面Pに所属する。平面Pは第4軸線A4に対して垂直である。
【0187】
1つの実施態様によれば、スクレーパ20が保管位置にあるときには、2つの磁石50,70は、第4軸線A4に沿って互いにオフセットされている。具体的には、2つの磁石50,70は、第4軸線A4に沿った並進運動によって、互いに少なくとも部分的に重なることができる。
【0188】
スクレーパ20が保管位置にあるときには、第1磁石50と第2磁石70とは、これらの間に、第4軸線A4に沿って、以後「中間空間」と呼ぶ空間の一部の境界を定めている。具体的には、中間空間115は第1磁石50の一方の端部と、第2磁石70の一方の端部によって境界を定められている。なお、中間空間115は必ずしも空ではなく、具体的には空間115は、スクレーパ20の少なくとも一部とエンベロープ24の一部とを含有することが可能である。
【0189】
平面Pは、中間空間115と共通する少なくとも1つの位置、及び/又は中間空間115を仕切る端部のうちの一方と共通する少なくとも1つの位置を有している。図5の実施例によれば、スクレーパ20が保管位置にあるときには、平面Pは中間空間115の境界を定める第1磁石50の端部と共通する位置を有している。
【0190】
換言すれば、磁界測定位置は2つの磁石50,70間のギャップ115に位置している。
【0191】
軸線A4に対して垂直方向の、位置Pと位置Pに最も近い磁石50,70との間の距離は、例えば5~10mmである。
【0192】
スクレーパ20が保管位置にあるときの、2つの磁石50,70の間の距離は例えば2mm~10mm、具体的には2mm~5mmである。具体的には、その距離は3.5mmである。
【0193】
センサ110は例えば、磁界の半径方向成分、すなわち第4軸線A4に対して垂直な成分の値を測定するように形成されている。なお、磁界の他の成分の測定も可能である。
【0194】
センサ110は例えば、磁界値を測定するように形成された測定モジュールと、測定値からスクレーパ20の存在を検出するように形成された検出モジュールとを含む。
【0195】
測定モジュールは例えば磁気抵抗測定モジュールである。磁気抵抗測定モジュールでは、エレメントが磁界の関数として変化する電気抵抗を有する。エレメントを貫流する電流、及び/又はエレメントを横切る電圧の強度は、この場合にはまた磁界の値に対して相関される。
【0196】
加えて、非磁気抵抗測定モジュールを使用する他のタイプのセンサも可能である。例えば1実施態様では、測定モジュールは磁界値(テスラ)を計算し、そして計算値を検出モジュールに伝送する。検出モジュールは次いで計算値を閾値と比較し、そして計算値が閾値以上であるならば、スクレーパの存在を検出する。
【0197】
測定モジュールが磁気抵抗モジュールであるときには、検出モジュールは抵抗値、電流値、及び/又は電圧値を相応する抵抗閾値、電流閾値、又は電圧閾値と比較し、そして比較に基づいてスクレーパ20の存在を検出する。
【0198】
抵抗閾値、電流閾値、又は電圧閾値は、磁界閾値に相応する閾値である。すなわち磁界値が磁界閾値に等しいときには、抵抗値は抵抗閾値に等しく、電流値は電流閾値に等しく、あるいは電圧値は電圧値閾値に等しい。
【0199】
なお、電流、電圧、及び抵抗は使用される測定モジュールのタイプに応じて、磁界が増大するのに伴って増大するか、又は磁界が増大するのに伴って減少する。
【0200】
従って、1実施態様によれば、検出モジュールは電流値、電圧値、又は抵抗値をそれぞれ抵抗閾値、電流閾値、又は電圧閾値と比較し、そして抵抗値、電流値、又は電圧値が相応する抵抗閾値、電流閾値、又は電圧閾値以上であるならば、スクレーパの存在を検出する。これは、測定された磁界値が磁界閾値以上であるというのと同等のことである。
【0201】
別の実施態様によれば、検出モジュールは、電流値、電圧値、又は抵抗値をそれぞれ抵抗閾値、電流閾値、又は電圧閾値と比較し、そして抵抗値、電流値、又は電圧値が相応する抵抗閾値、電流閾値、又は電圧閾値以下であるならば、スクレーパの存在を検出する。これは、測定された磁界値が磁界閾値以上であるというのと同等のことである。
【0202】
磁気抵抗測定モジュールはよく知られており、多くの用途、例えばハードドライブの読み出しに使用されている。
【0203】
なお、センサ110は別個の測定モジュール及び検出モジュールを有するものとして上述されているが、これら2つのモジュールが組み合わされた実施態様も可能である。
【0204】
磁界値を測定するセンサ110を使用することにより、機械的な検出デバイスの通過を可能にするためにエンベロープ24に付加的な開口を設ける必要なしに、第1磁石50の存在を利用して、スクレーパ20の存在が検出されるのを可能にする。従って漏れのリスクが低減される。
【0205】
さらに、磁気センサの使用は爆発性雰囲気内での作業と相容れないものではない。
【0206】
測定値を閾値と比較することにより、スクレーパ20の存在を最小限の数学的処理によって容易に検出することができる。磁石50,70の場合のように、2つの磁石が互いに近接して配置され、同じ符号のこれらの極が互いに向き合っているときには、磁石50,70の間のギャップ115における磁界値は、磁石50,70のうちの一方だけが存在する場合に同じ位置で測定された値と比較して、磁石50,70からの距離が比較的大きくても著しく増大する。換言すれば、磁力線は中間空間115において磁石50,70から遠ざけられる。
【0207】
従って、測定位置が2つの磁石50,70の間に介在する平面Pに属する場合、第2磁石70から比較的大きな距離を置いてセンサ110を位置決めすることにより保管容積60,60A内のスクレーパ20の存在を検出し、ひいてはスクレーパ20の存在しない場合にセンサ110が第1磁石70を検出するのを回避することが可能である。この場合、誤判定のリスクが低減されるため、スクレーパ20の検出はより正確になる。
【0208】
本発明は上述の実施態様のあらゆる技術的に可能な組み合わせに相応する。
図1
図2
図3
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図5