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特許7595067発泡成型装置及びこれを使った発泡成型方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】発泡成型装置及びこれを使った発泡成型方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 44/34 20060101AFI20241128BHJP
   B29C 45/16 20060101ALI20241128BHJP
   B29C 45/00 20060101ALI20241128BHJP
   B29C 44/00 20060101ALI20241128BHJP
   B29C 44/06 20060101ALI20241128BHJP
【FI】
B29C44/34
B29C45/16
B29C45/00
B29C44/00 D
B29C44/06
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022508470
(86)(22)【出願日】2020-08-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-17
(86)【国際出願番号】 KR2020010295
(87)【国際公開番号】W WO2021029594
(87)【国際公開日】2021-02-18
【審査請求日】2023-08-03
(31)【優先権主張番号】10-2019-0099003
(32)【優先日】2019-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】523365479
【氏名又は名称】カン ジェウク
(74)【代理人】
【識別番号】100149870
【弁理士】
【氏名又は名称】芦北 智晴
(72)【発明者】
【氏名】カン ミョンホ
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2019-0031118(KR,A)
【文献】特開2016-195988(JP,A)
【文献】特表2012-501255(JP,A)
【文献】国際公開第2010/122780(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 21/00-25/90
B29B 7/00-11/14
B29B 13/00-15/06
B29C 31/00-31/10
B29C 37/00-37/04
B29C 44/00-45/24
B29C 45/46-45/63
B29C 45/70-45/72
B29C 45/74-45/84
B29C 67/20
B29C 71/00-71/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡剤を投入する発泡剤供給部(3);
溶融樹脂を投入する溶融樹脂供給部(5);
前記発泡剤供給部(3)から投入された発泡剤と、前記溶融樹脂供給部(5)から投入された溶融樹脂をともに内部の棒状体(70)の多重流路(P)を通過させ混合することで、発泡樹脂臨界溶液を作る固定型混合部(7);及び
前記固定型混合部(7)から投入される前記発泡樹脂臨界溶液によって、発泡成型品を成型する成型部(8,9);を含み、
前記棒状体(70)は、
空隙を形成する単位セル(80,180)を2次元に多数配列して形成する板状体(71);及び
前記板状体(71)が積層されるように前記板状体(71)の間を連結することにより、前記単位セル(80、180)が、3次元に配列されるようにする離隔体(73);を含み、
前記離隔体(73)は、隣接する前記板状体(71)の間を前記空隙を保持する間隔で連結されるようになっている、ことを特徴とする発泡成型装置。
【請求項2】
請求項に記載の発泡成型装置において、
前記板状体(71)は、2次元に、同一のパターンをなしながら、反復される層状構造体であることを特徴とする発泡成型装置。
【請求項3】
請求項に記載の発泡成型装置において、
前記棒状体(70)は、前記層状構造体と離隔体(73)が、前記離隔体(73)によって、隣接した前記層状構造体と連結される方向においても、前記層状構造体の反復パターンと同一パターンをなしながら反復される積層構造体であることを特徴とする発泡成型装置。
【請求項4】
請求項に記載の発泡成型装置において、
前記棒状体(70)は、前記単位セル(80)と前記離隔体(73)を一つの原点を中心に、xyz軸方向に反復して形成される積層構造体からなり、
前記単位セル(80)は、正方形を一つの周面Fとする8角柱(Ox、Oy、Oz)3個を前記原点を中心にxyz軸に沿ってそれぞれの軸線が配置されるように重ねることにより形成された立体であり、
前記離隔体(73)は、前記軸線と交差する前記周面(F)から延長され、隣接する前記単位セル(80)の前記周面(F)に連結され、前記周面(F)を一面にする立方体であることを特徴とする発泡成型装置。
【請求項5】
請求項に記載の発泡成型装置において、
前記棒状体(70)は、前記単位セル(180)と前記離隔体(73)が、同一の形態である立体であることを特徴とする発泡成型装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の発泡成型装置において、
前記発泡剤供給部(3)は、前記固定型混合部(7)への発泡剤投入地点を一つ以上備えることを特徴とする発泡成型装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の発泡成型装置において、
前記固定型混合部(7)から供給された前記発泡樹脂臨界溶液を前記成型部(8)に投入するため、一時貯蔵する発泡樹脂貯蔵部(11);を含むことを特徴とする発泡成型装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の発泡成型装置において、
前記固定型混合部(7)から供給された前記発泡樹脂臨界溶液を前記成型部(9)へ射出するため、一時貯蔵する発泡樹脂射出部(13);を含むことを特徴とする発泡成型装置。
【請求項9】
請求項に記載の発泡成型装置において、
前記発泡樹脂射出部(13)は、前記発泡樹脂臨界溶液を溶融状態で保管することができるように加熱する加熱部(97)を含むことを特徴とする発泡成型装置。
【請求項10】
請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の発泡成型装置において、
前記固定型混合部(7)から供給された前記発泡樹脂臨界溶液を前記成型部に押出するため、一時貯蔵する発泡樹脂押出部;を含むことを特徴とする発泡成型装置。
【請求項11】
溶融樹脂供給部(5)の溶融樹脂を固定型混合部(7)に投入する溶融樹脂供給段階(S10);
発泡剤供給部(3)の発泡剤を前記固定型混合部(7)に投入する発泡剤供給段階(S20);
前記溶融樹脂供給段階(S10)と前記発泡剤供給段階(S20)で、前記固定型混合部(7)にそれぞれ投入された前記溶融樹脂と前記発泡剤を、前記固定型混合部(7)の空隙へ、共に通過させて、前記溶融樹脂と前記発泡剤が流動する間に、流路を分散、拡張することにより混合し、発泡樹脂臨界溶液とする固定混合段階(S30);及び
前記固定混合段階(S30)で混合されて注入された前記発泡樹脂臨界溶液を、発泡樹脂射出部(13)に貯蔵し、成型部(9)に射出して発泡成型品を成型する発泡樹脂成型段階(S40);を含めて、
前記固定型混合部(7)は、
空隙を形成する単位セル(80、180)を2次元に多数配列して形成した板状体(71);及び
前記板状体(71)が積層できるように、前記板状体(71)の間を連結することにより、前記単位セル(80、180)が3次元に配列されるようにする離隔体(73);を含み、
前記離隔体(73)は、隣接した前記板状体(71)の間を前記空隙を保持する間隔で連結されるようになっていることを特徴とする発泡成型方法。
【請求項12】
請求項11に記載の発泡成型方法において、
前記発泡剤供給段階(S20)では、前記発泡剤が前記固定型混合部(7)に投入される発泡剤投入地点が単数である場合、前記発泡剤投入地点で、前記固定型混合部(7)に投入される発泡剤投入量を時間の経過によって、徐々に増やし、
前記発泡樹脂成型段階(S40)では、前記発泡剤の含量が前記発泡樹脂射出部(13)の射出口(92)との距離が短いほど少ないか、または含量がなくなり、遠いほど多くの前記発泡樹脂臨界溶液が前記発泡樹脂射出部(13)内に充填されるようにすることで、前記発泡樹脂射出部(13)から前記成型部(9)に射出される前記発泡樹脂臨界溶液が、射出時間の経過によって、発泡剤含有量が徐々に増えるようになって、発泡倍率が次第に高まるようにするとともに、前記成型部(9)への充填位置が、前記発泡成型品の表皮から中心へ移されるようにしたことを特徴とする発泡成型方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡成型装置及びこれを使った発泡成型方法に関するもので、より詳細には、超低比重の発泡成型品を成型によって製造するにあたり、この超低比重の発泡成型品の表面には発泡が発生しないようにすることで、超軽量でありながら、高強度の発泡成型品を製造する、発泡成型装置及びこれを使った発泡成型方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂や金属の成型では、主にキャビティが形成された固定金型(キャビティ金型)と、コアが形成された可動金型(コア金型)の間に、溶融状態の合成樹脂や金属を注入し冷却させて、キャビティ形状の成型品を得る。このような成型は、主に溶融状態の樹脂を一定の形態の金型に投入し、高温、高圧で圧縮して、製品を生産する工程で、多くの場合、熱可塑性樹脂の成型に使用される。
【0003】
それとは異なり、固定金型が可動金型によって閉鎖されない形態の成型、すなわち、プロファイルの成型は、3Dプリンティングのように、溶融樹脂などを注入するノズルが固定金型に対して移動したり、逆に固定されたノズルに対して、金型が移動しながら、金型内に溶融樹脂などを投入し、成型品を得ることになるところ、金型制作費用を大幅に下げることができるし、超大型の物品も成型によって製作できるようになる。
【0004】
一方、最近は、成型物の重さを減らしながら、同一形状の製品を製造するために、化学発泡剤、二酸化炭素と窒素などを利用した発泡成型物を製造する方法が試みられている。しかし、この時の発泡倍率は、例えば、韓国公開特許第10-2012-0029599号の射出金型装置及び発泡樹脂製品の製造方法に開示されているように、樹脂と発泡剤の混合が、回転翼による攪拌によって行われているので、発泡剤注入口の位置や個数に限界があるなどの、溶融樹脂に対する発泡剤の注入と関連して発生する制約によって、最高1.5倍程度のレベルにとどまり、成型物の比重も最低0.7以上になり、希望する低比重の発泡成型品を製造するのは、現在の技術では不可能である。また、この発泡成型品の表皮が、図1に図示されているように、粗くて、強度と外観が低下し、実際に使用するためには、ペインティングなどの表面処理をしなければならないという問題点があった。
【0005】
つまり、発泡成型品を製造することにおいて、発泡倍率を高めるためには、高圧で圧縮された液状発泡剤を溶融樹脂に、均一に、また、発泡剤の含有量を多く混合しなければならない。しかし、約200℃以上の高温で加熱されたケースの内部に、高圧に加圧された状態の高粘度の粘弾性溶融樹脂と、気体と類似した非常に低い粘度を持ちながら高圧で液化された発泡剤を混合することは、非常に難しい課題である。従来には、射出装置のケースに溶融樹脂を混練するために、螺旋形スクリューを使用したが、このスクリューの内部に圧縮された液状発泡剤を投入できる流路を作って投入し、このスクリューの回転を利用し溶融樹脂と液状発泡剤を混合し、再びこのスクリューを油圧や電動を利用し、高圧で前進させ、スクリュー先端部に流入された発泡樹脂混合体を射出金型のキャビティに充電する方式を使用した。この加圧された雰囲気において、スクリュー回転で、粘度の差がかなり大きい二つの溶融樹脂と発泡剤を混合することで、完全に均一な混合物を生成することは難しいし、また、このような方法で溶融樹脂を生成させるためには、外部に溶融樹脂が漏れないように密閉された高圧の雰囲気を維持しなければならないために、耐久強度と密封性能を考慮すると、短い流動距離区間で、十分な量の液状発泡剤を投入することは不可能であり、したがって、最終発泡成型品の発泡倍率が非常に低い水準に止まっているだけではなく、このような方法で製作した発泡成型品は、発泡気孔がほとんど表面に出てきて、中央部には発泡気孔が少ない状態で形成されるため、成型品の表面が非常に粗く形成されるようになり、表面の後加工が困難になり、外観が悪くなり、外観製品として使用することが不可能になるという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】韓国公開特許第10‐2012-0029599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記のような従来の発泡成型装置が持っている問題点を解決するために提案されたもので、金型のような成型部に投入する前に、溶融樹脂と液化二酸化炭素や液化窒素および水やスチームなどの、高圧で圧縮された状態の最大限多くの量の発泡剤を、かき混ぜるための操作によって、発泡成型品に最大限多くの量の発泡剤を混合させることによって、この発泡剤が金型のような成型部内部で膨張するときにおいて、発泡空間の密度を増加させ、発泡成型品の比重を、例えば、0.8g/cm2以下に減少させることに、その目的がある。
【0008】
また、発泡ガスを十分に投入するため、200気圧以上の高いガス圧力を加え、発泡ガスが樹脂の内部に均一に、また微細な粒子に分散させることにより、溶融樹脂と発泡ガスの化合物が完璧な臨界溶液(critical solution)を形成するようにし、成型品の表面での発泡現象を減らしたり、完全に除去し、高強度の滑らかな表面を形成することにより、発泡によって弱くなった強度を最大限向上させて、高強度でありながら低比重の発泡成型品を製造することを、他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的を達成するために、本発明は、発泡剤を投入する発泡剤供給部;溶融樹脂を投入する溶融樹脂供給部;前記発泡剤供給部から投入された発泡剤と、前記溶融樹脂供給部から投入された溶融樹脂をともに内部の棒状体の多重流路を通過させて混合することで、発泡樹脂臨界溶液を作る固定型混合部;および前記固定型混合部から投入される前記発泡樹脂臨界溶液によって、発泡成型品を成型する成型部;を含む発泡成型装置を提供する。
【0010】
また、前記棒状体は、空隙を形成する単位セルを2次元に多数配列して形成した板状体;および前記板状体が積層できるように前記板状体の間を連結することにより、前記単位セルが3次元に配列されるようにする離隔体;含み、前記離隔体は、隣接する前記板状体の間を前記の空隙を保持する間隔で連結されるようになっていることが望ましい。
また、前記板状体は、2次元に同一のパターンを成しながら、反復される層状構造体であることが望ましい。
【0011】
また、前記棒状体は、前記層状構造体と前記離隔体が、前記離隔体によって隣接した前記層状構造体と連結される方向においても、前記層状構造体の反復パターンと同一のパターンをなしながら、反復される積層構造体にすることが望ましい。
【0012】
また、前記棒状体は、前記の単位セルと前記離隔体を一つの原点を中心に、xyz軸方向に反復されて形成される積層構造体であり、前記単位セルは、正方形を一つの周面とする8角柱3個を前記の原点を中心にxyz軸に沿ってそれぞれの軸線が配置されるように重ねることにより形成された立体であり、前記離隔体は、前記軸線と交差する前記周面から延長され、隣接する前記単位セルの前記周面に連結され、前記周面を一面とする立方体であることが望ましい。
【0013】
また、前記棒状体は、前記単位セルと前記離隔体が同一の形態の立体であることが望ましい。
【0014】
また、前記発泡剤供給部は、前記固定型混合部への前記発泡剤投入地点を一つ以上であることが望ましい。
【0015】
また、前記固定型混合部から供給された前記発泡樹脂臨界溶液を前記成型部に投入するため、一時貯蔵する発泡樹脂貯蔵部;を含めることが望ましい。
【0016】
また、前記固定型混合部から供給された前記発泡樹脂臨界溶液を前記成型部へ射出するため、一時貯蔵する発泡樹脂射出部;を含めることが望ましい。
【0017】
また、前記発泡樹脂射出部は、前記発泡樹脂臨界溶液を溶融状態で保管することができるように加熱する加熱部を含めることが望ましい。
【0018】
また、前記固定型混合部から供給された前記発泡樹脂臨界溶液を、前記成型部に押出するため、一時貯蔵する発泡樹脂圧出部;を含めることが望ましい。
【0019】
また、本発明は、溶融樹脂供給部の溶融樹脂を固定型混合部に投入する溶融樹脂供給段階;発泡剤供給部の発泡剤を前記固定型混合部に投入する発泡剤供給段階:前記溶融樹脂供給段階と、前記発泡剤供給段階で、前記固定型混合部にそれぞれ投入された前記溶融樹脂と前記発泡剤を前記固定型混合部の空隙へ、共に通過させて、前記溶融樹脂と前記発泡剤が流動する間に、流路を分散、拡張することにより混合し、発泡樹脂臨界溶液とする固定混合段階;および前記固定混合段階で混合されて注入された前記発泡樹脂臨界溶液を、発泡樹脂射出部に貯蔵し、成型部に射出して、発泡成型品を成型する発泡樹脂成型段階;を含めて行われることにし、前記固定型混合部は、空隙を形成する単位セルを2次元に多数配列して形成した板状体;および前記板状体が積層できるように前記板状体の間を連結することにより、前記単位セルが3次元に配列されるようにする離隔体;を含み、前記離隔体は、隣接した前記板状体の間を前記空隙を保持する間隔で、連結するようになっている発泡成型方法を提供する。
【0020】
また、前記の発泡剤供給段階では、前記発泡剤が前記固定型混合部に投入される発泡剤投入地点が単数である場合、前記発泡剤投入地点で、前記固定型混合部に投入される発泡剤投入量を時間の経過によって、徐々に増やし、前記発泡樹脂成型段階では、前記発泡剤の含量が前記発泡樹脂射出部の射出口との距離が短いほど少ないか、または含有がなくなり、遠いほど多くの前記発泡樹脂臨界溶液が前記発泡樹脂射出部内に充填されるようにすることで、前記発泡樹脂射出部から前記成型部に射出される前記発泡樹脂臨界溶液が射出時間の経過によって、発泡剤含有量が徐々に増えるようになって、発泡倍率が次第に高まるようにするとともに、前記成型部への充填位置が前記発泡成型品の表皮から中心へ移されるようにすることが望ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の発泡成型装置及びこれを使った発泡成型方法によると、多重流路を持つ高強度の固定型混合部によって、高粘度のゲル状の溶融樹脂と、低粘度の高圧圧縮された発泡剤を200気圧以上の高圧の雰囲気で投入することで、多量を均一に混合して発泡樹脂臨界溶液を作ることができるので、発泡樹脂臨界溶液を成型部または射出金型に投入または射出する時に、成型部または射出金型内で発生する発泡気孔の数を多量に増やすことができ、したがって、発泡成型品の比重を大きく減少させることができるようになり、発泡成型品の軽量化を図ることができる。
【0022】
それだけでなく、前記のような高圧の雰囲気で完璧な臨界溶液となった樹脂と発泡ガスとの混合物で成型すると、成型品に形成された発泡粒が直径が0.1mm以下、つまり、マイクロ単位の極微小な粒子状の気泡に形成されることが可能になる。
【0023】
これによって、表面がきれいな発泡成型品を得ることができる。
【0024】
また、固定型混合部に供給された溶融樹脂が、固定型混合部のどの位置からも完全溶融された状態を維持できるので、発泡剤投入地点を固定型混合部の任意の位置に設定することができる。
【0025】
したがって、発泡剤投入地点を複数に設定することができ、複数の投入地点ごとに、開閉バルブを通じて発泡剤投入量の調整ができるので、固定型混合部内での発泡剤と溶融樹脂の混合比を投入地点の位置によって調整することができる。
【0026】
また、発泡剤投入地点を単数で設定する場合にも、固定型混合部に投入される発泡剤の量を開閉バルブの調整を通じて、時間経過によって変化させることができる。
【0027】
だから、固定型混合部から発泡樹脂射出部に注入される発泡樹脂臨界溶液の発泡剤含有量を、発泡樹脂貯蔵部または射出部ケースの充填場所によって異なるようにすることできるので、成型部または射出金型へ投入または射出されて発泡成型される発泡成型品の外観品質を向上させることができ、発泡で弱くなった発泡成型品の強度を補完することができる。
【0028】
つまり、例えば、発泡樹脂貯蔵部のノズルに近くなるほど発泡剤含有量を増やし、ノズルから遠くなるほど発泡剤含有量を減らしたり、最も遠い位置では、0にすることができるので、発泡剤の含量がないか少ない発泡樹脂臨界溶液が、発泡樹脂貯蔵部の最後端に位置するようにし、下に行くほど発泡剤の含量が多くなるようにすることができ、これによって、投入初期に投入される、発泡剤含有量が多い発泡樹脂臨界溶液が、成型部で成型品の内部をなすように充填され、次第に発泡剤の含量が少ないか、発泡剤を含有しない発泡樹脂臨界溶液が成型品の表皮をなすように充填されるので、発泡成型品の表皮は未発泡の樹脂層になり、中心に行くほど発泡倍率が高い発泡層が形成されるようにすることができる。
【0029】
また、例えば、発泡樹脂射出部の射出口に近くなるほど発泡剤含有量を減らしたり、最も近い位置では発泡剤含有量を0とし、射出口から遠くなるほど増やすことができるようになるので、発泡剤の含量がないか、少ない発泡樹脂臨界溶液が、発泡樹脂射出部の最先端に位置するようにし、後ろに行くほど発泡剤の含量が多くなるようにすることができ、これによって、射出時の初期に射出される発泡剤の含量がないか、少ない発泡樹脂臨界溶液が、キャビティの内周面に沿って発泡成型品の表皮として塗られるように充填され、次第に発泡剤含有量が多い発泡樹脂臨界溶液が、表皮の内側に充填され、中心部位を最後に埋めることになるので、発泡成型品の表皮は未発泡の樹脂層を作り、中心に行くほど発泡倍率が高い発泡層が形成されるようにすることができる。
【0030】
したがって、中心部位が高倍率の発泡層になり、軽量化が可能で、表皮部が未発泡樹脂層となり強度が高くなるため、全体としてハニカム(honey comb)構造を持つ、高強度かつ軽量の構造用発泡成型品を得ることができる。
【0031】
また、発泡成型品の表皮が未発泡樹脂層からなるので、発泡成型品の外観を一層向上させることができる。
【0032】
また、射出成型の場合、キャビティ内周面と接触する発泡成型品の表皮が未発泡樹脂層になり、発泡成型品全体の中で密度が最も高いため、発泡樹脂臨界溶液が凝固する際に発生する収縮率を大幅に減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1は、従来の撹拌式混合方法により、溶融樹脂に発泡剤を混合し発泡成型した、発泡成型品の写真。
図2図2は、本発明の一実施形態に基づいた、発泡成型装置を概略的に図示した図面。
図3図3は、図2に図示された固定型混合部になる棒状体を図示した斜視図。
図4図4は、図3の棒状体の段部で図示した平面図。
図5図5は、棒状体の内部形状を拡大して図示した斜視図。
図6図6は、図3の棒状体を成す単位セルを線形的に概略図示した斜視図。
図7図7は、図6の単位セルを形態の要素別に分離して図示した分離斜視図。
図8図8は、他の実施形態による、単位セルを概略的に図示した斜視図。
図9図9は、発明の他の実施形態による、発泡成型装置を概略的に図示した図面。
図10図10は、本発明の発泡成型装置を使って、溶融樹脂と発泡剤を混合し、発泡成型した発泡成型品の例示の写真。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態による発泡成型装置を、添付した図面を参照しながら、詳しく説明する。
【0035】
本発明の発泡成型装置は、図2に図面符号1で、概略的に図示したように、発泡剤供給部3、溶融樹脂供給部5、固定型混合部7および成型部8を含む。
【0036】
ここで、前記発泡剤供給部3は、発泡樹脂臨界溶液を混合するのに使われる発泡剤を固定型混合部7に投入、供給する手段として、例えば、図2に図示したように、第1乃至第3管路15、16、17のような少なくとも一つ以上の管路を通じて固定型混合部7と連結されており、固定型混合部7への発泡剤投入地点を一つ以上、たとえば、複数の発泡剤投入地点25、26、27を備える。したがって、発泡剤供給部3は、例えば、液化二酸化炭素、液化窒素、高圧水素、スチーム、アルコールおよび有機高分子ガス、ヘリウムなどのような発泡剤を、投入地点25、26、27を通じて、同時に、あるいは時間差を置いて、固定型混合部7に供給できる。特に、発泡剤は、液化二酸化炭素や液化窒素のように高圧に圧縮されて、液化された発泡剤であることが望ましく、その属性上、相対的に低い粘度を持つ。
【0037】
前記溶融樹脂供給部5は、前記発泡剤とともに、発泡樹脂臨界溶液を混合するのに使用される溶融樹脂を固定型混合部7に、投入、供給する手段として、図2に図示したように、固定型供給部7の一端に連結される。この時、溶融樹脂供給部5も、図2には一つだけ図示されているが、必要に応じて、複数備えることもできる。
【0038】
一方、溶融樹脂供給部5は、外部で樹脂を溶融させて供給を受ける容器の形で製作することができるだけでなく、図2に図示したように、外部から投入された樹脂を直接溶融させる溶融装置の形で制作することもできる。したがって、図2に図示された溶融樹脂供給部5は、投入された樹脂を溶融させる円筒型のケース51と移送スクリュー53、そして、スクリュー駆動モーター55で構成されるので、外部でケース51内部に投入された樹脂を加熱する加熱手段(未図示)によって、加熱し溶融させながら、駆動モーター55を作動させて、移送スクリュー53によって、排出口52に移送させることになる。これによって、溶融樹脂供給部5で溶融された溶融樹脂は、相対的に高い粘度を持つゲル(gel)状で(実際には、粘弾性状態で)、移送され、固定型混合部7に投入される。ただし、移送スクリュー53は、油圧式で動作させることもできる。
【0039】
前記固定型混合部7は、前記発泡剤供給部3から投入された発泡剤と、溶融樹脂供給部5から投入された溶融樹脂を、混合する手段として、図2ないし図4に図示したように、内部に多重流路Pを持つように形成された棒状体70を備えるところ、図2には、内部の棒状体のみが図示されているが、当然、この棒状体70を取り巻く外部のケースや第1乃至第3管路15、16、17、または、溶融樹脂供給部5の排出口と連結される連結管などを具備するが、これらは便宜上図面では省略する。
【0040】
このように、固定型混合部7は、溶融樹脂供給部5から供給される高粘度のゲル状の溶融樹脂と、発泡剤供給部3から供給される低粘度の高圧に圧縮された液状の発泡剤を、均一に混合することで、攪拌装置などを回転させて混合対象物を混ぜる(agitating)従来の回転型攪拌方式ではなく、混合対象の流体が流動する間に流路を反復して分散、拡張することにより、混合されるようにする固定型攪拌方式により、発泡剤と溶融樹脂を混合する。このために、固定型混合部7は、図3ないし図5に図示したように、多孔性構造の棒状体70で作られる。すなわち、固定型混合部7の棒状体70は、図3ないし図5に図示したように、多数の空隙を持つ多孔質体である。
【0041】
このために、棒状体70は、図3ないし図5に図示したように、多数の板状体71と、これらの間を連結する多数の離隔体73を含める。
【0042】
ここで、まず、前記板状体71は、空隙を形成する最小単位である単位セル80が、2次元上で、つまり、一つの原点を中心とするxyz座標系でxy平面、yz平面、またはzx平面に沿って、多数個配列されて形成されるもので、個々の板状体71は、形態が同一であることも、同一でないこともありうるし、一つの板状体71の内にも単位セル80の形態が同一であることも、同一でないこともありうる。したがって、配置が規則的に反復されることもできるし、不規則にされることもできる。ただし、板状体71は、図3ない図5に図示したように、2次元で同一パターンをしながら、反復されること、すなわち、層状構造を持つことが望ましく、単位セル80は、できれば、上記のような固定型攪拌方式により、発泡剤と溶融樹脂を攪拌できるほどの大きさを超えないようにすることが望ましい。
【0043】
前記離隔体73は、板状体71と隣接する板状体71を連結しながら、板状体71と板状体71の間に間隔を確保するためのもので、板状体71と板状体71を積層し、棒状体70を形成するため板状体71と板状体の間を連結することで、板状体71の内に2次元に配列された単位セル(80)は、板状体71の積層によって、3次元に配列される。つまり、xyz軸による空間上に多数個が配列される。また、離隔体73は、板状体71と板状体の間に空間を確保することにより、粘弾性を持つ高粘度の溶融樹脂が投入された棒状体70内に高圧の発泡剤を投入するときに、発泡剤によって溶融樹脂が加圧されても、板状体71と板状体71の間を円滑に通過できるようにする。つまり、離隔体73は、板状体71と板状体71を連結しながらも、連結された板状体71と板状体71の間にも空隙を保持できる間隔を確保するためのものである。
【0044】
但し、離隔体73は、板状体71が前記のように層状構造体になった場合、つまり、内部の空隙の構造が2次元上で、同一パターンを反復する場合、例えば、図3ないし図5に拡大図示したように、連結された層状構造体とともに隣接する2個の層状構造体を連結する方向で、層状構造体の内部の反復パターンと同一のパターンを成しながら、反復されることができ、このようにして発生した棒状体70を積層構造体という。したがって、積層構造体は、例えば、図3ないし図5に拡大図示したように、3次元上にも、同一パターンを反復することになる。つまり、積層構造体は、3次元の立体の格子構造を持つ。
【0045】
この時、図3ないし図5に図示した積層構造体をなす最小のパターンは、図6および図7に図示したように、一つの単位セル80とその一側に連結された一つの離隔体73により作られる。つまり、図3ないし図5に図示した棒状体70は、一つの単位セル80と一つの離隔体73で作られた基本パターンを、一つの原点を中心にし、xyz軸方向に反復することで、前記のような積層構造体を形成することになる。
【0046】
また、図6に図示した基本パターンは、図7に図示したように、形態の要素別に分離して図示することができる。これによると、単位セル80は、正方形を一つの周面(F)とする8角柱(Ox、Oy、Oz)の3個をそれぞれの軸線が一つの原点を中心にし、xyz軸に沿って配置されるように重ねることによって形成された立体である。また、離隔体73は、zy平面上の配置を、板状体71、つまり、層状構造体とする時、図6に図示したように、軸線がx軸に沿って配備される位置の周面(F)、つまり、軸線と交差する周面(F)に延長されて形成されることで、この周面(F)に隣接する板状体71の単位セル80に対応する周面(F)に連結される。この時、8角柱(Ox、Oy、Oz)は、すべて正8角形なので、離隔体73は、周面(F)を一つの面とする立方体になる。
【0047】
一方、単位セル180の他の実施形態が図8に図示されている。この単位セル180も、同様に、棒状体の空隙を持つ最小単位として、2次元上に多数個配列されて、一つの板状体を形成するし、それぞれの板状体は、同一の形態を持つ。また、一つの板状体の内には、同一な形態の単位セル180が規則的に反復配置されるので、層状構造を成している。この時、単位セル180も固定型攪拌方式により、発泡剤と溶融樹脂を攪拌できるほどの大きさを越えない。
【0048】
特に、単位セル180で作られた棒状体は、隣接する単位セル180が、離隔体となるので、2次元上だけでなく、3次元上からみても同一パターンが反復される。つまり、棒状体は、1番目及び3番目の単位セル180によって作られた板状体が、2番目の単位セル180を離隔体にして、積層構造体を作ったものと同様である。
【0049】
したがって、定型混合部7は、高温、高圧の雰囲気で、発泡剤と溶融樹脂をともに多重流路Pを通過させ混合することで、発泡樹脂臨界溶液を作るところ、これは、発泡剤と溶融樹脂の二つの流体が固定型混合部7の多重流路Pを流れると、流路Pの大きさによって、分散と結集が反復されて、均一に混合されるからである。このとき、固定型混合部7は、高強度の棒状体70から作られるので、耐久強度に対する懸念がなく、高粘度の流体を通すことができるようになる。このため、耐久強度に対する懸念がないため、多重流路Pの管径、すなわち、孔隙の大きさを大きくしすぎなくてもよいので、多重流路Pの管径増大による混練状態の不具合が発生しないため、混合均一度を達成するために棒状体70の長さを長く拡張する必要もない。
【0050】
一方、前記のように高温・高圧雰囲気で、発泡剤と溶融樹脂を均一に混合した溶液の状態を発泡樹脂臨界溶液と定義し、これは、発泡溶融樹脂臨界溶液と言い換えられるが、これは、可溶液(pseudosolution)または臨界溶液(critical solution)の状態を形成するからである。
【0051】
したがって、発泡成型装置1の固定型混合部7は、図示されていないが、混合した発泡樹脂臨界溶液を発泡樹脂貯蔵部11を通さずに、直接成型部に投入することもできる。
【0052】
しかし、図2に図示したように、発泡樹脂貯蔵部11を備えるのが望ましい。この発泡樹脂貯蔵部11は、発泡樹脂臨界溶液を成型のために貯蔵する手段として,固定型混合部7の注入口89側に接続されるところ、前記のように固定型混合部7で混合され、圧力によって注入口89を通り、はみ出た発泡樹脂臨界溶液を一時貯蔵する。このため、発泡樹脂貯蔵部は、本体をなすケース81、注入口89の反対側ケース81にあるノズル83、そして、ノズル83を開閉するバルブ85を含んで構成され、ケース81内に投入された発泡樹脂臨界溶液を溶融状態で保管しながら加熱する加熱部を加えることができる。
【0053】
したがって、発泡樹脂貯蔵部11は、固定形混合部7からケース81内部に投入された発泡樹脂臨界溶液を、必要に応じて加熱部87により、溶融状態に維持しながら、ケース81内で一定量が計量されたとき、バルブ85を開放し、ノズル83を通して成型部8に投入する。
【0054】
前記成型部8は、図2に図示したように、発泡樹脂貯蔵部11から投入された発泡樹脂臨界溶液により、所定の発泡成型品が成型される部分であり、成型の方法により、様々な形態で提供される。図9を参照して後述するように、発泡樹脂臨界溶液を射出成型する際には、射出金型9を使用することとなり、押出又は異形押出するときは、押出金型を使用するとよい。また、図2に図示したように、プロファイル成型(profile forming)を行う際には、成型部8は、前後左右上下に動かせる成型板からなる。ただし、成型部8を固定する場合、ノズル83とケース81の間を可撓性管等で連結し、ノズル83を成型部8の前後左右上下に動かせるようにしてもよい。このように、プロファイル成型をする場合、金型費用を大幅に減らすことができ、超大型の物品を成型できるようになる。
【0055】
本発明の他の実施例に従った発泡成型装置が、図9に図面符号101を用いて概略的に図示されている。この発泡成型装置101は、図示したように、発泡成型装置1と同様に、発泡剤供給部3、溶融樹脂供給部5、固定型混合部7及び成型部9を含むところ、発泡成型装置1の発泡樹脂貯蔵部11の代わりに発泡樹脂射出部13を備え、成型部9としては、射出金型が用いられることを除けば、発泡成型装置1と同様である。
【0056】
したがって、発泡剤供給部3、溶融樹脂供給部5、固定型混合部7の説明は、発泡成型装置1に関する上記説明の通りとし、ここでは省略する。
【0057】
但し、前記発泡樹脂射出部13は、前記と同様に、固定型混合部7で混合されて注入される発泡樹脂臨界溶液を、射出のため一時貯蔵するところ、図9に図示したように、固定型混合部7の注入口89側に連結され、本体を成すケース91、このケース91内に装着されるプランジャまたはスクリュー93、そして、プッシュ・ロード94を通じて、プランジャー93を稼動させる駆動モーター95を含めて作られ、ケース91内に投入された発泡樹脂臨界溶液を溶融状態で保管するように加熱する加熱部97を含む。
【0058】
したがって、発泡樹脂射出部13は、固定型混合部7からケース91内部に投入された発泡樹脂臨界溶液を加熱部97によって溶融状態で維持しながら、ケース91内で一定量が計量されたとき、駆動モーター95によって、又は油圧式にプランジャーまたはスクリュー93を前後進させて、出口側に連結された射出金型の形態の成型部9に射出する。
前記成型部9は、図9に図示したように、発泡樹脂射出部13から射出された発泡樹脂臨界溶液を空洞に充填し、所定の発泡成型品で成型する。
これからは、本発明の望ましい実施形態を使った発泡成型装置1,101による発泡成型方法を説明する。
【0059】
本発明による発泡成型方法は、溶融樹脂供給段階(S10)、発泡剤供給段階(S20)、固定混合段階(S30)および発泡樹脂成型段階(S40)を含めて行われる。
【0060】
ここで、前記溶融樹脂供給段階(S10)は、溶融樹脂供給部5の溶融樹脂を固定型混合部7に投入する段階として、図2に図示したように、最初に、溶融状態で溶融樹脂供給部5に投入された溶融樹脂、又は溶融前の状態で投入され、溶融樹脂供給部5で溶融された高粘度の溶融樹脂を、モーター55によって、又は油圧式で動作する移送スクリュー(53)の回転によって、先端の排出口を通じて固定型混合部7に投入する。
【0061】
前記の発泡剤供給段階(S20)は、発泡剤供給部3の発泡剤を前記固定型混合部7に投入する段階として、図2に図示したように、発泡剤供給部3で高圧に圧縮された発泡剤を一つ以上の管路15、16、17を通じて、固定型混合部7に投入する。
【0062】
前記固定混合段階(S30)は、溶融樹脂供給段階(S10)と発泡剤供給段階(S20)で、上記のように、固定型混合部7にそれぞれ投入された溶融樹脂と発泡剤を混合する段階として、図2に図示したように、溶融樹脂と発泡剤を固定型混合部7の多重流路Pに、共に通過させることで、溶融樹脂と発泡剤が多重流路Pを通過する間に、分散、結集を反復することにより、発泡樹脂臨界溶液に、均一に混合されるようになる。この時、固定型混合部7の棒状体70がチタン(Ti)のような高強度の金属またはプラスチックで作られるので、多重流路Pの管径、つまり、空隙の大きさを自由に調整することができる。また、このように多重流路Pの管径、つまり、内部空間の密度を調整できるので、多量の発泡ガスを同時に、あるいは順次に投入することもできるようになる。さらに、スクリューが回転する作動部分を、例えば、120気圧以上に密閉できない従来の発泡樹脂混合機とは違って、前記のような多重流路Pは、200気圧以上であっても密閉することが容易であるため、高い圧力で、多量の発泡ガスを投入しても、密閉が可能になる。
【0063】
前記発泡樹脂成型段階(S40)は、前記固定混合段階(S30)で固定型混合部7によって混合されて注入された発泡樹脂臨界溶液を成型部8に投入し、発泡成型品を成型する段階として、図2に図示したように、発泡樹脂貯蔵部11に注入された発泡樹脂臨界溶液を発泡樹脂貯蔵部11に貯蔵した後、バルブ85を開放し、成型部8に投入する。
【0064】
この時、固定型混合部7から、発泡樹脂貯蔵部11に注入される発泡樹脂臨界溶液は、固定型混合部7が連結された注入口89と遠い部分から徐々に近づく方向に、円筒型のケース81の内部に充填される。つまり、図2に図示したように、注入口89がケース81の前方端に配備される場合、固定型混合部7から発泡樹脂貯蔵部11に注入される発泡樹脂臨界溶液は、注入口89と遠いケース81の床から天井に徐々に近づくにつれ、充填される。
【0065】
以降、ケース81内に充填された発泡樹脂臨界溶液は、バルブ(85)が開放されたとき、ノズル83を通じて成型部8に投入され、発泡成型品に成型される。この時、例えば、プロファイル成型の場合には、成型部8が移動する際に、発泡樹脂臨界溶液が投入され、成型部8を満たすことになるところ、成型部8の動きは、コンピューター等によって制御されることにより、まるで、3Dプリンタとのように成型をすることになる。
【0066】
一方、本発明は、発泡剤と溶融樹脂を混合する手段として、前記のような固定型混合部7を採用するところ、棒状体70の表面のどちらの部分でも、同様の条件で発泡剤が投入できるので、つまり、多重流路Pで投入される溶融樹脂は多重流路Pのどの地点でも完全に溶融した状態なので、多重流路Pに投入される時に発泡剤に及ぼす溶融樹脂の影響が一定であるので、図2に図示したように、固定型混合部7に発泡剤を投入する投入地点を任意の位置に設定することができるようにすることだけでなく、一つ以上の複数に備えられることができるようになる。
【0067】
一方、このように発泡剤を投入する複数の管路、すなわち、第1から第3管路15、16、17がともに開閉バルブ(21)を通じて開閉動作の制御が可能なところ、発泡剤供給部3は、開閉バルブ21の選択的な開度の調整に応じて、固定型混合部7への発泡剤投入量を発泡剤投入地点によって、変化させることができるようになる。また、発泡剤供給部3は、開閉バルブ21の開閉時間調整を通じて、それぞれの発泡剤投入地点に投入される発泡剤の量を時間の経過によって制御できるようになる。
【0068】
したがって、発泡剤が固定型混合部7に投入される発泡剤投入地点が複数である場合、前記発泡剤供給段階(S20)で、第1から第3管路15、16、17のバルブ21の開度を調整し、投入地点の位置が固定型混合部7の注入口89に近づくほど、つまり、例えば、図2で、第2及び第3管路16、17よりは、第1管路15の投入地点で、発泡剤投入量を減らしたり、発泡剤投入を止めることができる。
【0069】
すなわち、固定型混合部7は、それぞれの管路15、16、17が図2に図示したように、それぞれの投入地点25、26、27で、注入口89まで届く距離が違いので、それぞれの管路15、16、17で同時に発泡剤を投入しても、各投入口と注入口89までの距離の差により、注入口89とノズル83を通じて成型部8に投入される発泡樹脂臨界溶液の投入時間には時間差が発生する。この時、各バルブ21の開度を調整すると、発泡剤投入口で投入される発泡剤の量を、時間の経過によって、異なるようにすることができる。例えば、管路15を通じてはバルブ21を最小開放し、固定型混合部7に投入される発泡剤量を最小にし、管路16を通じては発泡剤投入量を中間とし、管路17を通じてはバルブ21を最大にして発泡剤投入量を最大にすることができる。
【0070】
これによって、注入口89と最も近かった管路17で投入された最も多量の発泡剤によって高倍率の、つまり、気泡が最も多く発泡樹脂臨界溶液が作られ、この高倍率の臨界溶液は一番先にノズル83を通じて成型部8に投入される。また、中間距離の管路16で投入された中間量の発泡剤によって形成された中間倍率の臨界溶液は、高倍率の臨界溶液の次に成型部8に投入され、最も遠く離れた管路15を通じて投入された少量の発泡剤によって形成された低倍率の臨界溶液は、一番遅れて成型部8に投入される。したがって、成型品は、内部に高倍率のつまり、最も密度が低い発泡部位が形成され、表皮には低倍率の、つまり、最も密度が高い発泡部位が形成される。結果的に、中心部位は、高倍率の発泡層になり軽量化が可能で、表皮部分は、低発泡または未発泡を成して強度が高くなるので、全体的には、ハニーコム(honey comb)構造を持つ高強度かつ軽量の構造用発泡成型品を獲得できるようになる。
【0071】
また、発泡剤投入地点が単数である時にも、前記発泡剤供給段階(S20)で、バルブ(21)の開度を時間経過によって、徐々に減少させることにより、固定型混合部7に投入される発泡剤投入量を時間経過によって、順次減少させることができるようになる。これによって、発泡樹脂成型段階(S40)で、ケース81の注入口89に隣接する位置に注入される、すなわち、ケース81内部に、後で注入、充電される発泡樹脂臨界溶液は、発泡剤の含量がないか少なくなるようになり、注入口89から遠くなるほど、発泡剤含有量が徐々に増えることになる。
【0072】
したがって、同様に、発泡樹脂貯蔵部11から成型部8に投入される発泡樹脂臨界溶液は、投入時間の経過によって、発泡剤含有量が次第に減り、発泡倍率が次第に低下するから、発泡樹脂臨界溶液は、投入初期に発泡剤含有量が、例えば、最大である状態で成型部8に充填され発泡成型品の内部となり、時間の経過によって、発泡剤含有量が減少し、次第に発泡成型品の表皮に充填位置を移すようになる。つまり、発泡樹脂貯蔵部11から成型部8に投入される発泡樹脂臨界溶液は、発泡剤の含量が最初、例えば、最大から時間経過によって、徐々に減少されるので、発泡成型品の内部には、発泡剤含有量が多い発泡樹脂臨界溶液が位置して高倍率の発泡が起き、逆に、発泡成型品の表皮には、発泡剤がなかったり、少ない樹脂層が発生して内部に位置した高倍率発泡部位を取り囲むことになる。これによって、発泡成型品も、表皮が未発泡樹脂層になり、中心が高倍率で発泡された樹脂層になり、全体的には、ハニーコム構造を持つことになるので、高強度の構造用発泡成型品となる。
【0073】
一方、本発明による他の実施形態による発泡成型方法も、溶融樹脂供給段階(S10)、発泡剤供給段階(S20)、固定混合段階(S30)および発泡樹脂成型段階(S40)を含めて行われるところ、前記溶融樹脂供給段階(S10)と、前記発泡剤供給段階(S20)そして固定混合段階(S30)は、上記説明と同じですので、これ以上の説明は省略する。
【0074】
ただし、前記発泡樹脂成型段階(S40)は、前記固定混合段階(S30)で固定型混合部7によって混合されて注入された発泡樹脂臨界溶液を成型部9に射出し、発泡成型品を成型するところ、図9に図示したように、発泡樹脂射出部13に注入された発泡樹脂臨界溶液を発泡樹脂射出部13に貯蔵し、モーター95によって、又は油圧式で稼動しているプランジャー(93)の前後運動によって、成型部9に射出する。この時、固定型混合部7から発泡樹脂射出部13に注入される発泡樹脂臨界溶液は、固定型混合部7が連結された注入口89と近い部分から徐々に遠ざかる方向に、円筒型のケース91の内部に充填される。つまり、図9に図示したように、注入口89がケース91の前方端に配備される場合、固定型混合部7から発泡樹脂射出部13へ注入される発泡樹脂臨界溶液は、注入口89と近いケース91の前方端から後方段に徐々に充填される
【0075】
以降、モーター95や、油圧装置が動作してプランジャ93が前進すると、ケース91内に充填された発泡樹脂臨界溶液は、射出口92を通じて、成型部9に射出されて発泡成型品に成型される。
【0076】
本発明の発泡成型装置及びこれを使った発泡成型方法によると、多重流路を持つ高強度の固定型混合部によって高粘度のゲル状の溶融樹脂と、低粘度の高圧圧縮された発泡剤を200気圧以上までの高圧の雰囲気で投入することで、多量を均一に混合し、発泡樹脂臨界溶液を作ることができるので、発泡樹脂臨界溶液を成型部または射出金型に投入、または射出する時に、成型部または射出金型内で発生される発泡の気孔の数を多量に増やすことができ、したがって、発泡成型品の比重を大きく減少させることができるようになって、発泡成型品の軽量化を図ることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10