(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-11-27
(45)【発行日】2024-12-05
(54)【発明の名称】試験ガスアプリケータ
(51)【国際特許分類】
G01M 3/20 20060101AFI20241128BHJP
【FI】
G01M3/20 T
(21)【出願番号】P 2022543128
(86)(22)【出願日】2020-12-30
(86)【国際出願番号】 EP2020088047
(87)【国際公開番号】W WO2021144140
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2023-09-12
(31)【優先権主張番号】102020100830.9
(32)【優先日】2020-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】500469855
【氏名又は名称】インフィコン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Inficon GmbH
【住所又は居所原語表記】Bonner Strasse 498, D-50968 Koeln, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【氏名又は名称】中尾 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100220489
【氏名又は名称】笹沼 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100187469
【氏名又は名称】藤原(橋詰) 由子
(74)【代理人】
【識別番号】100225026
【氏名又は名称】古後 亜紀
(72)【発明者】
【氏名】デッカー・シルヴィオ
【審査官】鴨志田 健太
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-098342(JP,U)
【文献】独国実用新案第202010003426(DE,U1)
【文献】特開平08-219929(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リークの有無を検査する被験体に試験ガスを投与する試験ガスアプリケータ(10)であって、試験ガス容積部(14)を取り囲むハウジング(12)を備え、前記ハウジングは、試験ガスが拡散及び/又は透過する膜材(28)を備えた試験ガス出口(24)を有
し、
前記膜材(28)が、前記試験ガス容積部(14)に含まれる大気圧のガスを、前記試験ガスアプリケータ(10)の周囲の雰囲気に拡散又は透過させるように構成されている、試験ガスアプリケータ。
【請求項2】
請求項
1に記載の試験ガスアプリケータ(10)において、前記膜材(28)が前記試験ガス出口(24)を完全に充填することを特徴とする、試験ガスアプリケータ。
【請求項3】
請求項1
または2に記載の試験ガスアプリケータ(10)において、前記膜材(28)が、有孔フェルト材料又は無孔閉鎖膜材
料であることを特徴とする、試験ガスアプリケータ。
【請求項4】
請求項1から
3のいずれか一項に記載の試験ガスアプリケータ(10)において、前記ハウジング(12)が細長く実質的に円筒形であり、前記試験ガス出口(24)が前記ハウジング(12)
の端に同心円状に設けられていることを特徴とする、試験ガスアプリケータ。
【請求項5】
請求項1から
4のいずれか一項に記載の試験ガスアプリケータ(10)において、前記ハウジング(12)が充填弁(20)を備えていることを特徴とする、試験ガスアプリケータ。
【請求項6】
請求項1から
5のいずれか一項に記載の試験ガスアプリケータ(10)において、前記ハウジング(12)が圧力解放弁(16)を備えていることを特徴とする、試験ガスアプリケータ。
【請求項7】
請求項1から
6のいずれか一項に記載の試験ガスアプリケータ(10)において、前記試験ガスアプリケータ(10)が、前記ハウジング(12)に装着されたときに前記試験ガス出口(24)を完全に覆って閉じる安全キャップを備えることを特徴とする、試験ガスアプリケータ。
【請求項8】
請求項1から
7のいずれか一項に記載の試験ガスアプリケータ(10)において、前記膜材(28)が、前記試験ガス出口(24)から前記試験ガス容積部(14)内へと延在していることを特徴とする、試験ガスアプリケータ。
【請求項9】
請求項1から
8のいずれか一項に記載の試験ガスアプリケータ(10)において、前記試験ガス容積部(14)が、大気圧の試験ガスを含むことを特徴とする、試験ガスアプリケータ。
【請求項10】
請求項1から
9のいずれか一項に記載の試験ガスアプリケータ(10)において、前記試験ガスアプリケータ(10)、前記試験ガス出口(24)及び前記膜材(28)が、前記試験ガス容積部(14)から前記試験ガスアプリケータ(10)の周囲の雰囲気への拡散及び/又は浸透のみによって試験ガスを搬送するように構成されていることを特徴とする、試験ガスアプリケータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気密性を検査する被験体に試験ガスを投与するための試験ガスアプリケータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
真空リーク検査では、被験体の気密性を検査する。この目的で、被験体の外部環境に試験ガス、例えばヘリウムや水素を導入しつつ、被験体を排気し、被験体から吸い出したガスに試験ガスが含まれているかを検査することが知られている。被験体から吸い出されたガスに試験ガスが含まれていれば、リークの存在が示唆されることになる。
【0003】
従来の試験ガスアプリケータでは、一般的に、試験ガスを圧力容器から取り出し、スプレーガンを用いて被験体の外部環境に投与していた。そのため、試験ガスの供給を加圧下で充填する必要があり、試験ガスを投与する際に、大抵、必要以上の試験ガスが投与されてしまうという欠点がある。また、被験体近傍に過剰な試験ガス雲が発生するため、リーク箇所の特定が困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、改良された試験ガスアプリケータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る試験ガスアプリケータは、請求項1の特徴によって定められる。
【0006】
したがって、試験ガス容積部は、ハウジングによって囲まれ、このハウジングは、試験ガスアプリケータにおいて当該ハウジングを取り囲む雰囲気に試験ガス容積部を接続する試験ガス出口を有する。試験ガス出口は、試験ガスが膜材を通って拡散及び/又は透過するような膜材を含む。
【0007】
これにより、ハウジング内の試験ガスが外部雰囲気に対して加圧されることなく、試験ガス容積部から試験ガスを適用することができる。このため、複雑な減圧技術が不要になる。試験ガスの拡散/浸透の原理により、少量の試験ガスが試験ガスアプリケータから連続的に流出するので、試験ガス濃度は試験ガス出口のすぐ近くでのみ上昇する。試験ガスアプリケータを被験体に沿って移動させることで、リークを検出することができる。
【0008】
試験ガス出口は、キャップで閉じることができる。
【0009】
ハウジングは、円筒形かつピン状であってよく、試験ガス出口は、ハウジングの遠位端の領域において同心円状に形成されている。充填弁は、試験ガス出口に対向する側に設けられてもよい。ハウジングは、例えば、ハウジング内の試験ガスがわずか大気圧程度であるように、そのシェル表面の領域に圧力解放弁を備えていてもよい。
【0010】
有利には、試験ガスはヘリウムとすることができる。膜材は、ハウジングの内部と試験ガスアプリケータの周囲の雰囲気との間に圧力差を生じさせることなく、試験ガスがこの膜材を通過して拡散するように構成されている。
【0011】
膜材は、有孔フェルト材料とすることができる。特に、試験ガスアプリケータは、フェルトピンのように設計することができる。試験ガスは、拡散によってフェルト材料の孔を通過することができる。
【0012】
あるいは、膜材は、試験ガスが透過によって通過することのできる無孔閉鎖膜材料、例えば、シリコーン材料とすることができる。
【0013】
以下では、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、試験ガスアプリケータの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
試験ガスアプリケータ10は、試験ガス容積部14を外側から完全に取り囲む円筒形のハウジング12を備える。ハウジング12の外殻面には、試験ガスアプリケータ10に試験ガスが充填されたときに、ハウジング12内の圧力が大気圧の110%を超えないようにするための圧力解放弁16が設けられる。
【0016】
試験ガス容積部14を充填するための充填弁20が、ハウジング12の後方の近位側前面18に設けられている。
【0017】
近位側前面18に対向するハウジング12の遠位側前面22は、円筒形開口部26の形態の試験ガス出口24を構成している。膜材28が円筒形開口部26に配置され、この膜材28は、試験ガスが膜材28中に拡散し、及び/又は膜材28から透過するように構成されている。試験ガスは、拡散のみによって膜材28を完全に通過する。膜材28の両側における圧力差は、この目的のために必要ではない。
【0018】
膜材28は、フェルト材料であり、円筒状にプレス加工されたカートリッジ状に設けられる。
【0019】
円筒状のキャップ30が、ハウジング12の遠位端に気密に嵌められるように構成されており、試験ガスが、試験ガス容積部14からキャップ30で構成された外部環境に入らないようになっている。
【0020】
試験ガス容積部14は、充填弁20を介して、ヘリウムからなる試験ガスで充填される。圧力解放弁16は、ハウジング12内の圧力が試験ガスアプリケータ10の外部環境における大気圧の110%を超えることを防止する。試験ガス容積部が十分に充填されたら、キャップ30を取り外して試験ガスを被験体の外部環境に導入し、試験ガスを試験ガス容積部14から膜材料28及び試験ガス出口24を通して拡散させることができる。その際、従来のスプレーガンを用いた加圧式試験ガスアプリケータと比較して、試験ガスアプリケータ10からは少量の試験ガスしか流出しない。試験ガスアプリケータ10の先端部32は、被験体の表面上を通過させることができ、被験体から吸い出されるガス中の試験ガス量が増加したときには、試験ガスアプリケータ10の先端部32が被験体のリーク領域にある。典型的には、このとき、遠位先端部32はリークの方を向いている。このようにして、特に簡単な方法でリーク箇所を特定することができる。
なお、本開示は、実施の態様として以下の内容を含む。
[態様1]
リークの有無を検査する被験体に試験ガスを投与する試験ガスアプリケータ(10)であって、試験ガス容積部(14)を取り囲むハウジング(12)を備え、前記ハウジングは、試験ガスが拡散及び/又は透過する膜材(28)を備えた試験ガス出口(24)を有する、試験ガスアプリケータ。
[態様2]
態様1に記載の試験ガスアプリケータ(10)において、前記膜材(28)が、前記試験ガス容積部(14)に含まれる大気圧のガスを、前記試験ガスアプリケータ(10)の周囲の雰囲気に拡散又は透過させるように構成されていることを特徴とする、試験ガスアプリケータ。
[態様3]
態様1または2に記載の試験ガスアプリケータ(10)において、前記膜材(28)が前記試験ガス出口(24)を完全に充填することを特徴とする、試験ガスアプリケータ。
[態様4]
態様1から3のいずれか一項に記載の試験ガスアプリケータ(10)において、前記膜材(28)が、有孔フェルト材料又は無孔閉鎖膜材料、例えばシリコン材料であることを特徴とする、試験ガスアプリケータ。
[態様5]
態様1から4のいずれか一項に記載の試験ガスアプリケータ(10)において、前記ハウジング(12)が細長く実質的に円筒形であり、前記試験ガス出口(24)が前記ハウジング(12)の遠位端に同心円状に設けられていることを特徴とする、試験ガスアプリケータ。
[態様6]
態様1から5のいずれか一項に記載の試験ガスアプリケータ(10)において、前記ハウジング(12)が充填弁(20)を備えていることを特徴とする、試験ガスアプリケータ。
[態様7]
態様1から6のいずれか一項に記載の試験ガスアプリケータ(10)において、前記ハウジング(12)が圧力解放弁(16)を備えていることを特徴とする、試験ガスアプリケータ。
[態様8]
態様1から7のいずれか一項に記載の試験ガスアプリケータ(10)において、前記試験ガスアプリケータ(10)が、前記ハウジング(12)に装着されたときに前記試験ガス出口(24)を完全に覆って閉じる安全キャップを備えることを特徴とする、試験ガスアプリケータ。
[態様9]
態様1から8のいずれか一項に記載の試験ガスアプリケータ(10)において、前記膜材(28)が、前記試験ガス出口(24)から前記試験ガス容積部(14)内へと延在していることを特徴とする、試験ガスアプリケータ。
[態様10]
態様1から9のいずれか一項に記載の試験ガスアプリケータ(10)において、前記試験ガス容積部(14)が、大気圧の試験ガスを含むことを特徴とする、試験ガスアプリケータ。
[態様11]
態様1から10のいずれか一項に記載の試験ガスアプリケータ(10)において、前記試験ガスアプリケータ(10)、前記試験ガス出口(24)及び前記膜材(28)が、前記試験ガス容積部(14)から前記試験ガスアプリケータ(10)の周囲の雰囲気への拡散及び/又は浸透のみによって試験ガスを搬送するように構成されていることを特徴とする、試験ガスアプリケータ。